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特許異議申立

2022-700901

天然色素を含む食品組成物

審判番号
2022-700901
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-155294
登録番号
7036389
請求日
2022年09月14日
審決日
2023年07月28日
公報発行日
2023年10月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ハウス食品株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
  • 【異議申立人】佐藤 武史
審判長/審判官
  • 審判長 加藤 友也
  • 審判官 三上 晶子
  • 審判官 植前 充司
分類
P1651.113-YAA(A23L) / P1651.121-YAA(A23L) / P1651.537-YAA(A23L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7036389号発明「天然色素を含む食品組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7036389号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 特許第7036389号の請求項1ないし4、6及び7に係る特許を維持する。 特許第7036389号の請求項5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7036389号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、令和2年9月16日を出願日とする特許出願であって、令和4年3月7日にその特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、同年同月15日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許に対して、令和4年9月14日に特許異議申立人 佐藤 武史(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし7)がされ、同年12月8日付けで取消理由が通知され、令和5年2月2日に特許権者 ハウス食品株式会社(以下、「特許権者」という。)より訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされるとともに意見書の提出がされ、同年同月9日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知を行ったところ、同年3月8日に特許異議申立人より意見書が提出され、同年同月30日付けで取消理由<決定の予告>が通知され、同年5月31日に特許権者から訂正請求がされるとともに意見書が提出され、同年6月8日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知を行ったところ、特許異議申立人から何ら応答がなかったものである。 なお、令和5年2月2日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について合議体が付したものである。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「・・・を含む、食品組成物(ただし、・・・を除く)」と記載されているのを「・・・を含む、食品組成物(ただし、・・・を除く)であって、 前記天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり、 前記天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%であり、 モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり、 カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である、 食品組成物」に訂正する。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし4、6及び7も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、クチナシ黄色素、デュナリエラカロテン、トウガラシ色素、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である」と記載されているのを「カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、及びマリーゴールド色素から選択される1以上である」に訂正する。 請求項2の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項3、4及び6も同様に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6に「天然物が、しょうが、大根、わさび又はにんにくである、請求項5に記載の食品組成物」と記載されているのを「天然物が、しょうが又は大根である、請求項1~4のいずれか1項に記載の食品組成物」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項7に「・・・を含む、請求項1に記載の食品組成物の製造方法」と記載されているのを「・・・を含む、請求項1に記載の食品組成物の製造方法であって、 前記天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり、 前記天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%であり、 モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり、 カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である、 食品組成物の製造方法」に訂正する。 (6)一群の請求項について 訂正前の請求項1ないし7について、請求項2ないし7は請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであるから、請求項1ないし7は特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 訂正の目的、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1による請求項1ないし7の訂正について 訂正事項1による請求項1の訂正は、「天然物の細片」を「前記天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり、前記天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%であり」と特定し、「モナスカス色素」を「ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり」と特定し、「カロテノイド色素」を「アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である」と特定することにより、請求項1に記載の発明(食品組成物)を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1による請求項1についての訂正は、願書に添付した明細書の【0019】、【0021】、【0026】、【0027】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものである。 また、訂正事項1による請求項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし7の訂正についても同様である。 (2)訂正事項2による請求項2ないし4及び6の訂正について 訂正事項2は、請求項2において、カロテノイド色素について列挙されている選択肢の一部を削除することにより、請求項1に記載の発明(食品組成物)を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 請求項2の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項3、4及び6の訂正についても同様である。 (3)訂正事項3による請求項5の訂正について 訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4による請求項6の訂正について ア「天然物が、しょうが又は大根である」への訂正 訂正事項4の「天然物が、しょうが、大根、わさび、又はにんにくである」の「天然物が、しょうが又は大根である」への訂正は、請求項6において、天然物について列挙されている選択肢の一部を削除することにより、請求項1に記載の発明(食品組成物)を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ「請求項1~4のいずれか1項に記載の食品組成物」への訂正 訂正事項4の「請求項5に記載の食品組成物」の「請求項1~4のいずれか1項に記載の食品組成物」への訂正は、訂正事項3における請求項5の削除に伴い、請求項6において引用する請求項の番号を、削除された請求項5が元々引用していた「請求項1~4のいずれか1項」に変更するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 そして、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項5による請求項7の訂正について 訂正事項5による請求項7の訂正は、「天然物の細片」を「前記天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり、前記天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%であり」と特定し、「モナスカス色素」を「ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり」と特定し、「カロテノイド色素」を「アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である」と特定することにより、請求項7に記載の発明(食品組成物の製造方法)を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項5による請求項7についての訂正は、願書に添付した明細書の【0019】、【0021】、【0026】、【0027】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものである。 また、訂正事項5による請求項7の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 むすび 以上のとおり、本件訂正による請求項1ないし7の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第1号又は3号に掲げる事項を目的とするものである。 また、本件訂正による請求項1ないし7についての訂正は、いずれも、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。 なお、特許異議の申立ては、訂正前の請求項1ないし7に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし7〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、摘記に際し、半角数字・記号は全角とした。 「【請求項1】 水性媒体と、天然物の細片とを含み、かつ、 天然色素として下記の(i): (i)モナスカス色素と、カロテノイド色素との組み合わせを含む、食品組成物(ただし、ヘム鉄と、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを含む、食品組成物、並びに、コチニール赤色素を含む食品組成物を除く)であって、 前記天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり、 前記天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%であり、 モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり、 カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である、 食品組成物。 【請求項2】 モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり、 カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、及びマリーゴールド色素から選択される1以上である、 請求項1に記載の食品組成物。 【請求項3】 天然物の細片が1~200mm3の体積を有する、請求項1又は2に記載の食品組成物。 【請求項4】 pHが2.5~4.8である、請求項1~3のいずれか1項に記載の食品組成物。 【請求項5】(削除) 【請求項6】 天然物が、しょうが又は大根である、請求項1~4のいずれか1項に記載の食品組成物。 【請求項7】 水性媒体と天然物の細片とを含む混合物を調製する工程、並びに、 下記の(i): (i)モナスカス色素と、カロテノイド色素との組み合わせを配合する工程(ただし、ヘム鉄と、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを配合する工程、並びに、コチニール赤色素を更に配合する工程を除く)、 を含む、請求項1に記載の食品組成物の製造方法であって、 前記天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり、 前記天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%であり、 モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり、 カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である、 食品組成物の製造方法。」 第4 特許異議の申立ての理由の概要 令和4年9月14日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 1 申立理由1(甲第1号証ないし甲第4号証に基づく新規性) 本件特許の請求項1ないし3、及び、5ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし3、及び、5ないし7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 申立理由2(甲第1号証ないし甲第4号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 3 申立理由3(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、次の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 着色対象の天然物の細片としてしょうが、大根という淡色系の特定の野菜のすりおろし物を用いた場合にのみ所定の効果が認められる本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載から、天然物の細片の形態(種類、形態、色等)が特定されていない本件特許発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとは認められない。本件特許発明1と発明の要旨が共通する本件特許発明2~7についても同様である。 4 証拠方法 甲第1号証:“お漬物ギフトセット ちいさなだいやす”,G-Callショッピング,[検索日2022年8月18日],インターネット<URL: https://www.g-call.com/shopping/pc/detail.php?gdp_no=31253> 甲第1号証の1:“こんなの欲しかった!手のひらサイズのかわいい京漬け物”,価格.COMマガジン,[検索日2022年8月18日],インターネット<URL: https://kakakumag.com/food/?id=8668> 甲第2号証:“Chunky Hot Sauce with Gochujang”,Mintel GNPD,記録番号(ID#)1600695,掲載時期2011年7月,[検索日2022年7月14日],インターネット<URL: https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/1600695/from_search/rKgR4IPPzU/?page=1> 甲第2号証の1:“具材たっぷりの新感覚の焼肉のたれ、エバラ[具だくさん 中辛・辛ロ・ねぎ塩]はまさに具と一緒に肉を食べている感覚”,Gigazine,[検索日2022年8月18日],インターネット<URL: https://gigazine.net/news/20120515-ebarafoods-gudakusan/> 甲第3号証:“エバラ「キムチ鍋の素」を食べてみた☆”,ぐるぐる☆ハングル,掲載時期2017年9月25日,インターネット<URL: https://ameblo.jp/nao-nao-0804/entry-12313746542.html> 甲第3号証の1:“Kimuchi Hot Pot Soup Sauce”,Mintel GNPD,記録番号(ID#)5339673,掲載時期2017年12月,[検索日2022年7月14日],インターネット<URL: https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/5339673/from_search/tBZp9BlfCu/?page=1> 甲第4号証:“簡単なのに 見栄え豪華で美味しい オーマイ パエリアの素”,クピの蒼い風,掲載時期2015年7月16日,[検索日2022年8月18日],インターネット<URL: http://blog.livedoor.jp/kupikupikupi11/archives/65833625.html> 甲第4号証の1:“Paella Sauce”,Mintel GNPD,記録番号(ID#)l770293,掲載時期2012年4月,[検索日2022年7月14日],インターネット<URL: https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/1770293/from_search/rKgR4IPPzU/?page=8> 甲第5号証:“容器包装詰低酸性食品に関するボツリヌス食中毒対策について”,食安基発第0617003号,食安監察発第0617003号,平成20年6月17日,インターネット<URL: https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/dl/s0708-3q.pdf> 甲第6号証:“昭和58度市販食品品質研究調査(市販漬物の実態について)”,茨城県食品試験所報告,茨城県試験所,1984年10月,27号,p.40-50,インターネット<URL: https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030301966.pdf> 証拠の表記は、特許異議申立書の記載におおむね従った。 以下、順に「甲1」のようにいう。 第5 取消理由通知<決定の予告>における取消理由の概要 当審が令和5年3月30日付けで特許権者に通知した取消理由通知<決定の予告>における取消理由の概要は、次のとおりである。 なお、取消理由1ないし3は、申立理由1ないし2のうち、甲1ないし甲3に基づく全部分を包含する。甲3及び甲3の1は同じ商品に関するものであるから、甲3の1に基づく取消理由3は、申立理由1ないし2のうち甲3に基づく部分と実質的に同じ証拠に基づくものである。 また、取消理由4は、申立理由1のうち甲4に基づく全部分、及び、申立理由2のうち、請求項1ないし3及び5ないし7に対する甲4に基づく部分を包含する。甲4及び甲4の1は同じ商品に関するものであるから、甲4の1に基づく取消理由4は、申立理由1ないし2のうち甲4に基づく部分と実質的に同じ証拠に基づくものである。 1 取消理由1(甲1に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲1に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 取消理由2(甲2に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲2に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 3 取消理由3(甲3の1に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3の1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲3の1に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 4 取消理由4(甲4の1に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし3及び5ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4の1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲4の1に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし3及び5ないし7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 第6 取消理由及び申立理由2についての当審の判断 当審は、以下に述べるように、令和5年3月30日付けで通知した取消理由にはいずれも理由がないと判断するとともに、その取消理由として採用しなかった請求項4に対する甲4に基づく申立理由2についても理由がないと判断する。 1 取消理由1(甲1に基づく新規性・進歩性)について (1)甲1及び甲1の1の記載事項等 ア 甲1に記載された事項 甲1には、「お漬物ギフトセット ちいさなだいやす しその実漬」(以下、「しその実漬」という。)について、おおむね次の事項が記載されている。 ・「 [図:0001402751000001.jpg] 」(第1頁上) ・「 [図:0001402751000002.jpg] ・・・(略)・・・ [図:0001402751000003.jpg] 」(第2頁~第3頁) イ 甲1の1に記載された事項 甲1の1には、「しその実漬」について、おおむね次の事項が記載されている。 ・「 [図:0001402751000004.jpg] 」(第1頁) ・「 [図:0001402751000005.jpg] 」(第3頁) ウ 甲1に記載された発明 ア及びイの事項を「しその実漬」に関して整理すると、甲1には次の甲1発明が記載されていると認める。 <甲1発明> 「大根、胡瓜、しその実、しそ、生姜、漬け原材料[しょうゆ、還元水あめ、醸造酢、食塩、清酒、昆布エキス、酵母エキス、香辛料]、紅麹色素、及び、クチナシ色素を原材料とする、しその実漬。」 さらに、甲1に記載された「しその実漬」が、大根、胡瓜、しその実、しそ、生姜、漬け原材料[しょうゆ、還元水あめ、醸造酢、食塩、清酒、昆布エキス、酵母エキス、香辛料]、紅麹色素、及び、クチナシ色素を含むものであることからみて、甲1には次の甲1製法発明が記載されていると認める。 <甲1製法発明> 「大根、胡瓜、しその実、しそ、生姜、漬け原材料[しょうゆ、還元水あめ、醸造酢、食塩、清酒、昆布エキス、酵母エキス、香辛料]、紅麹色素、及び、クチナシ色素を配合し混合物を調製する工程を含む、しその実漬の製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1について 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「しょうゆ」、「醸造酢」は、本件特許発明1の「水性媒体」に相当する。 甲1の第1頁及び第2頁~第3頁に記載の「しその実漬」の商品の外観図や、甲1の1の第3頁の「しその実漬」の中身の外観図からみて、甲1発明の大根、及び生姜が細片として存在することは明らかである。そうすると、甲1発明の「大根」及び「生姜」は、本件特許発明1の「天然物の細片」に相当し、本件特許発明1の「天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり」との特定事項を満たす。 甲1発明の「紅麹色素」は、本件特許発明1の「モナスカス色素」に相当し、本件特許発明1の「モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上である」との特定事項を満たす。 甲1の1の第3頁の「しその実漬」の中身の外観図からみて、「しその実漬」は黄色く着色されたものであるから、甲1発明の「クチナシ色素」が「クチナシ黄色素」であることは明らかである。そうすると、甲1発明の「クチナシ色素」は、本件特許発明1の「カロテノイド色素」に相当する。 甲1発明の「しその実漬」は、本件特許発明1の「食品組成物」に相当する。 また、甲1発明は、その原材料からみて、ヘム鉄やコチニール赤色素を含まないものであるから、本件特許発明1の「(ただし、ヘム鉄と、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを含む食品組成物、並びに、コチニール赤色素を含む食品組成物を除く)」との発明特定事項を満たす。 してみると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「水性媒体と、天然物の細片とを含み、かつ、 天然色素として下記の(i): (i)モナスカス色素と、カロテノイド色素との組み合わせを含む、食品組成物(ただし、ヘム鉄と、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを含む、食品組成物、並びに、コチニール赤色素を含む食品組成物を除く)であって、 前記天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり、 モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上である、 食品組成物。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1-1> 「天然物の細片」に関し、本件特許発明1においては「天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%であり」と特定されるのに対し、甲1発明が当該特定事項を満たすかが明らかでない点 <相違点1-2> 「カロテノイド色素」に関し、本件特許発明1においては「カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である」と特定されるのに対し、甲1発明においては「クチナシ色素」である点 事案に鑑み、相違点1-2について検討する。 「クチナシ色素」は、「アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上」ではないから、相違点1-2は実質的な相違点である。 してみると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲1発明であるとはいえない。 また、甲1発明は上市された商品であるし、他の証拠に記載された事項を考慮しても、甲1発明において、「クチナシ色素」を他の色素に変更する動機付けはない。 したがって、甲1発明において、相違点1-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 してみると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件特許発明2ないし4及び6について 本件特許発明2ないし4及び6は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものである。 したがって、本件特許発明2ないし4及び6は、本件特許発明1と同様に、甲1発明であるとはいえないし、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明7について 本件特許発明7と甲1製法発明とを対比すると、少なくとも上記相違点1-2と同様の相違点があり、該相違点については上記アと同様に判断されるから、本件特許発明7は、甲1製法発明であるとはいえないし、甲1製法発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)まとめ したがって、取消理由1には理由がない。 2 取消理由2(甲2に基づく新規性・進歩性)について (1)甲2及び甲2の1の記載事項等 ア 甲2に記載された事項 甲2には、「エバラ 具だくさん 辛口」について、おおむね次の事項が記載されている。 ・「 [図:0001402751000006.jpg] 」(第1頁) ・「 [図:0001402751000007.jpg] 」(第2頁) イ 甲2の1に記載された事項 甲2の1には、「エバラ 具だくさん 辛口」について、おおむね次の事項が記載されている。 ・「 [図:0001402751000008.jpg] [図:0001402751000009.jpg] 」(第2-3頁) ・「 [図:0001402751000010.jpg] [図:0001402751000011.jpg] 」(第4頁下-第5頁) ウ 甲2に記載された発明 ア及びイの事項を「エバラ 具だくさん 辛口」に関して整理する。 甲2の第2頁の「エバラ 具だくさん 辛口」の外観図及び原材料、及び、甲2の1の第2-3頁及び第4頁下-第5頁の「エバラ 具だくさん 辛口」の中身の外観図からみて、甲2の焼き肉のたれにおいて、りんご、玉ねぎ、にんにく、及び、ローストガーリックが細片の状態で存在していることは明らかである。 そうすると、甲2には次の甲2発明が記載されていると認める。 <甲2発明> 「りんご、醤油、砂糖、玉ねぎ、りんご酢、アミノ酸液、コチュジャン、白ごま、味噌、豆板醤、蜂蜜、唐辛子、にんにく、食塩、ローストガーリック、蛋白加水分解物、ごま油、増粘剤(加工でん粉)、パプリカ色素、及び、ベニコウジ色素を原材料とし、りんご、玉ねぎ、にんにく、及び、ローストガーリックの細片を含む、焼き肉のたれ。」 さらに、甲2に記載された「エバラ 具だくさん 辛口」が、りんご、玉ねぎ、にんにく、及び、ローストガーリックの細片と、醤油、砂糖、りんご酢、アミノ酸液、コチュジャン、白ごま、味噌、豆板醤、蜂蜜、唐辛子、食塩、蛋白加水分解物、ごま油、増粘剤(加工でん粉)、パプリカ色素、及び、ベニコウジ色素を含むものであることからみて、甲2には次の甲2製法発明が記載されていると認める。 <甲2製法発明> 「りんご、玉ねぎ、にんにく、及び、ローストガーリックの細片と、醤油、砂糖、りんご酢、アミノ酸液、コチュジャン、白ごま、味噌、豆板醤、蜂蜜、唐辛子、食塩、蛋白加水分解物、ごま油、増粘剤(加工でん粉)、パプリカ色素、及び、ベニコウジ色素を配合し混合物を調製する工程を含む、焼き肉のたれの製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1について 本件特許発明1と甲2発明とを対比する。 甲2発明の「醤油」、「りんご酢」、「アミノ酸液」は、本件特許発明1の「水性媒体」に相当する。 甲2発明の「にんにく」の細片、「ローストガーリックの細片」は、本件特許発明1の「天然物の細片」に相当し、本件特許発明1の「天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり」との特定事項を満たす。 甲2発明の「ベニコウジ色素」は、本件特許発明1の「モナスカス色素」に相当し、本件特許発明1の「モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上である」との特定事項を満たす。 甲2発明の「パプリカ色素」は、本件特許明細書の【0027】でいう「リスト1」(https://www.ffcr.or.jp/webupload/kizon_tenkabutsu_2020.pdf)の210によれば、トウガラシ色素であり、トウガラシ色素は、本件特許発明1の「カロテノイド色素」である。そうすると、甲2発明の「パプリカ色素」は、本件特許発明1の「カロテノイド色素」に相当する。 甲2発明の「焼き肉のたれ」は、本件特許発明1の「食品組成物」に相当する。 また、甲2発明は、その原材料からみて、ヘム鉄やコチニール赤色素を含まないものであるから、本件特許発明1の「(ただし、ヘム鉄と、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを含む食品組成物、並びに、コチニール赤色素を含む食品組成物を除く)」との発明特定事項を満たす。 してみると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「水性媒体と、天然物の細片とを含み、かつ、 天然色素として下記の(i): (i)モナスカス色素と、カロテノイド色素との組み合わせを含む、食品組成物(ただし、ヘム鉄と、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを含む、食品組成物、並びに、コチニール赤色素を含む食品組成物を除く)であって、 前記天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり、 モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上である、 食品組成物。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点2-1> 「天然物の細片」に関し、本件特許発明1においては「天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%であり」と特定されるのに対し、甲2発明が当該特定事項を満たすかが明らかでない点 <相違点2-2> 「カロテノイド色素」に関し、本件特許発明1においては「カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である」と特定されるのに対し、甲2発明においては「パプリカ色素」である点 事案に鑑み、相違点2-2について検討する。 「パプリカ色素」は、「アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上」ではないから、相違点2-2は実質的な相違点である。 してみると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲2発明であるとはいえない。 また、甲2発明は上市された商品であるし、他の証拠に記載された事項を考慮しても、甲2発明において、「パプリカ色素」を他の色素に変更する動機付けはない。 したがって、甲2発明において、相違点2-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 してみると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件特許発明2ないし4及び6について 本件特許発明2ないし4及び6は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものである。 したがって、本件特許発明2ないし4及び6は、本件特許発明1と同様に、甲2発明であるとはいえないし、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明7について 本件特許発明7と甲2製法発明とを対比すると、少なくとも上記相違点2-2と同様の相違点があり、該相違点については上記アと同様に判断されるから、本件特許発明7は、甲2製法発明であるとはいえないし、甲2製法発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)まとめ したがって、取消理由2には理由がない。 3 取消理由3(甲3の1に基づく新規性・進歩性)について (1)甲3の1の記載事項等 ア 甲3の1に記載された事項 甲3の1には、「エバラ キムチ鍋の素」について、おおむね次の事項が記載されている。 ・「 [図:0001402751000012.jpg] 」(第1頁) ・「 [図:0001402751000013.jpg] 」(第2頁) イ 甲3の1に記載された発明 アの事項を「エバラ キムチ鍋の素」に関して整理する。 甲3の1の第2頁の「エバラ キムチ鍋の素」の外観図の上部分の壁面に細片が付着していることからみて、甲3の1の「エバラ キムチ鍋の素」において、りんごパルプ及びにんにくが細片の状態で存在していることは明らかである。 そうすると、甲3の1には次の甲3発明が記載されていると認める。 <甲3発明> 「果糖ぶどう糖液糖、アミノ酸液、みそ、醸造酢、魚醤(魚介類)、魚介エキス(オキアミ、鮭、アサリ、ホタテ)、食塩、りんごパルプ、チキンエキス、砂糖、にんにく、乳酸発酵調味料、唐辛子、酵母エキス、かつお節、調味料(アミノ酸等)、パプリカ色素、ベニコウジ色素、酸味料、香辛料抽出物、及び、カラメル色素を原材料とし、りんごパルプ及びにんにくの細片を含む、キムチ鍋の素。」 さらに、甲3の1に記載された「キムチ鍋の素」が、りんごパルプ及びにんにくの細片と、果糖ぶどう糖液糖、アミノ酸液、みそ、醸造酢、魚醤(魚介類)、魚介エキス(オキアミ、鮭、アサリ、ホタテ)、食塩、チキンエキス、砂糖、乳酸発酵調味料、唐辛子、酵母エキス、かつお節、調味料(アミノ酸等)、パプリカ色素、ベニコウジ色素、酸味料、香辛料抽出物、及び、カラメル色素を含むものであることからみて、甲3の1には次の甲3製法発明が記載されていると認める。 <甲3製法発明> 「りんごパルプ及びにんにくの細片と、果糖ぶどう糖液糖、アミノ酸液、みそ、醸造酢、魚醤(魚介類)、魚介エキス(オキアミ、鮭、アサリ、ホタテ)、食塩、チキンエキス、砂糖、乳酸発酵調味料、唐辛子、酵母エキス、かつお節、調味料(アミノ酸等)、パプリカ色素、ベニコウジ色素、酸味料、香辛料抽出物、及び、カラメル色素を配合し混合物を調製する工程を含む、焼き肉のたれの製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1について 本件特許発明1と甲3発明とを対比する。 甲3発明の「アミノ酸液」、「醸造酢」、及び、「魚醤(魚介類)」は、本件特許発明1の「水性媒体」に相当する。 甲3発明の「にんにくの細片」は、本件特許発明1の「天然物の細片」に相当し、本件特許発明1の「天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり」との特定事項を満たす。 甲3発明の「ベニコウジ色素」は、本件特許発明1の「モナスカス色素」に相当し、本件特許発明1の「モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上である」との特定事項を満たす。 甲3発明の「パプリカ色素」は、本件特許明細書の【0027】でいう「リスト1」(https://www.ffcr.or.jp/webupload/kizon_tenkabutsu_2020.pdf)の210によれば、トウガラシ色素であり、トウガラシ色素は、本件特許発明1の「カロテノイド色素」である。そうすると、甲3発明の「パプリカ色素」は、本件特許発明1の「カロテノイド色素」に相当する。 甲3発明の「キムチ鍋の素」は、本件特許発明1の「食品組成物」に相当する。 また、甲3発明は、その原材料からみて、ヘム鉄やコチニール赤色素を含まないものであるから、本件特許発明1の「(ただし、ヘム鉄と、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを含む食品組成物、並びに、コチニール赤色素を含む食品組成物を除く)」との発明特定事項を満たす。 してみると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「水性媒体と、天然物の細片とを含み、かつ、 天然色素として下記の(i): (i)モナスカス色素と、カロテノイド色素との組み合わせを含む、食品組成物(ただし、ヘム鉄と、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを含む、食品組成物、並びに、コチニール赤色素を含む食品組成物を除く)であって、 前記天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり、 モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上である、 食品組成物。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点3-1> 「天然物の細片」に関し、本件特許発明1においては「天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%であり」と特定されるのに対し、甲3発明が当該特定事項を満たすかが明らかでない点 <相違点3-2> 「カロテノイド色素」に関し、本件特許発明1においては「カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である」と特定されるのに対し、甲3発明においては「パプリカ色素」である点 事案に鑑み、相違点3-2について検討する。 「パプリカ色素」は、「アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上」ではないから、相違点3-2は実質的な相違点である。 してみると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲3発明であるとはいえない。 また、甲3発明は上市された商品であるし、他の証拠に記載された事項を考慮しても、甲3発明において、「パプリカ色素」を他の色素に変更する動機付けはない。 したがって、甲3発明において、相違点3-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 してみると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件特許発明2ないし4及び6について 本件特許発明2ないし4及び6は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものである。 したがって、本件特許発明2ないし4及び6は、本件特許発明1と同様に、甲3発明であるとはいえないし、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明7について 本件特許発明7と甲3製法発明とを対比すると、少なくとも上記相違点3-2と同様の相違点があり、該相違点については上記アと同様に判断されるから、本件特許発明7は、甲3製法発明であるとはいえないし、甲3製法発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)まとめ したがって、取消理由3には理由がない。 4 取消理由4(甲4の1に基づく新規性・進歩性)及び請求項4に対する甲4に基づく申立理由2について (1)甲4の1及び甲4の記載事項等 ア 甲4の1に記載された事項 甲4の1には、「ごちそうパエリア」について、おおむね次の事項が記載されている。 ・「 [図:0001402751000014.jpg] 」(第1頁) ・「 [図:0001402751000015.jpg] 」(第2頁) イ 甲4に記載された事項 甲4には、「ごちそうパエリア」について、おおむね次の事項が記載されている。 ・「 [図:0001402751000016.jpg] [図:0001402751000017.jpg] 」(第2頁-第3頁第一番目の図) ウ 甲4の1に記載された発明 ア及びイの事項を「ごちそうパエリア」に関して整理すると、甲4の1には次の甲4発明が記載されていると認める。 <甲4発明> 「植物油脂、にんにく、ブイヨンパウダー、マーガリン、乾燥玉ねぎ、トマトペースト、食塩、チキンエキス、酵母エキスパウダー、こしょう、ターメリック、サフラン、増粘剤(加工でん粉)、着色料(カロチノイド、紅麹)、調味料(アミノ酸等)、及び、香料を原材料とする、パエリアの素。」 さらに、甲4の1に記載された「ごちそうパエリア」が、植物油脂、にんにく、ブイヨンパウダー、マーガリン、乾燥玉ねぎ、トマトペースト、食塩、チキンエキス、酵母エキスパウダー、こしょう、ターメリック、サフラン、増粘剤(加工でん粉)、着色料(カロチノイド、紅麹)、調味料(アミノ酸等)、及び、香料を含むものであることからみて、甲4の1には次の甲4製法発明が記載されていると認める。 <甲4製法発明> 「植物油脂、にんにく、ブイヨンパウダー、マーガリン、乾燥玉ねぎ、トマトペースト、食塩、チキンエキス、酵母エキスパウダー、こしょう、ターメリック、サフラン、増粘剤(加工でん粉)、着色料(カロチノイド、紅麹)、調味料(アミノ酸等)、及び、香料を配合し混合物を調製する工程を含む、パエリアの素の製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1について 本件特許発明1と甲4発明とを対比する。 甲4発明の「トマトペースト」は、本件特許発明1の「水性媒体」に相当する。 甲4の第3頁第一番目の図において、フライパンに「ごちそうパエリア」と水を入れかきまぜたときに水中に細片が存在していることがみてとれるから、甲4発明のパエリアの素において、にんにくが細片の状態で存在していることは明らかである。そうすると、甲4発明の「にんにく」は、本件特許発明1の「天然物の細片」に相当し、本件特許発明1の「天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり」との特定事項を満たす。 甲4発明の「紅麹」は、本件特許発明1の「モナスカス色素」に相当し、本件特許発明1の「モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上である」との特定事項を満たす。 甲4発明はサフランを含んでおり、サフラン中にはサフラン色素が含まれる。そして、サフラン色素は本件特許発明1の「カロテノイド色素」に相当するから、甲4発明は、「カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である」との特定事項を満たす。 また、甲4発明は、その原材料からみて、ヘム鉄やコチニール赤色素を含まないものであるから、本件特許発明1の「(ただし、ヘム鉄と、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを含む食品組成物、並びに、コチニール赤色素を含む食品組成物を除く)」との発明特定事項を満たすことも明らかである。 してみると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「水性媒体と、天然物の細片とを含み、かつ、 天然色素として下記の(i): (i)モナスカス色素と、カロテノイド色素との組み合わせ を含む、食品組成物(ただし、ヘム鉄と、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを含む、食品組成物、並びに、コチニール赤色素を含む食品組成物を除く)であって、 前記天然物が、しょうが、大根、わさび及びにんにくから選択される1以上であり、 モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり、 カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、デュナリエラカロテン、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である、 食品組成物。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点4> 「天然物の細片」に関し、本件特許発明1においては「天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%であり」と特定されるのに対し、甲4発明が当該特定事項を満たすかが明らかでない点 相違点4について検討する。 甲4発明の「ごちそうパエリア」は、甲4の1の製品の外観図からみて液状の製品であってその大部分が液体であることや、甲4の第3頁第一番目の図における細片の量からみて、甲4発明の「天然物の細片(湿重量)」は、食品組成物の全量あたり20%以上であるとはいえない。 したがって、甲4発明が「天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%」を満たすとはいえず、相違点4は実質的な相違点である。 してみると、本件特許発明1は甲4発明であるとはいえない。 また、甲4発明の「ごちそうパエリア」は液状の製品であってその大部分が液体であるし、他の証拠に記載された事項を考慮しても、甲4発明において、「天然物の細片(湿重量)が、食品組成物の全量あたり20~99.5質量%」とする動機付けはない。 したがって、甲4発明において、相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 してみると、本件特許発明1は甲4発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件特許発明2ないし4及び6について 本件特許発明2ないし4及び6は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものである。 したがって、本件特許発明2、3及び6は、本件特許発明1と同様に、甲4発明であるとはいえないし、本件特許発明2ないし4及び6は、本件特許発明1と同様に、甲4発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件特許発明7について 本件特許発明7と甲4製法発明とを対比すると、上記相違点4と同様の相違点があり、該相違点については上記アと同様に判断されるから、本件特許発明7は、甲4製法発明であるとはいえないし、甲4製法発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)まとめ したがって、取消理由4、及び、取消理由として採用しなかった請求項4に対する甲4に基づく申立理由2にはいずれも理由がない。 第7 取消理由に採用しなかった特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由について 取消理由に採用しなかった特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由は、申立理由3(サポート要件)である。 そこで、検討する。 1 判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 これを踏まえ、以下検討する。 2 サポート要件についての判断 本件特許における発明の課題(以下、「発明の課題」という。)は、「水性媒体及び天然物の細片が天然色素により着色され、着色が光及び熱に対して安定な食品組成物を提供すること」(【0009】)である。 そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0013】には、本件特許発明1ないし4、6及び7に対応する記載がある。 また、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、モナスカス色素とカロテノイド色素とを組み合わせて含む食品組成物では、水性媒体及び天然物の細片が着色され、且つ、着色の保存時の光安定性及び加熱調理時の熱安定性が高いことが記載され(【0024】~【0025】)、【0026】にはモナスカス色素について、【0027】にはカロテノイド色素について、【0037】~【0041】には食品組成物の製造方法について、それぞれ記載がある。 さらに、【0030】~【0034】及び【0042】~【0057】には、モナスカス色素、カロテノイド色素はそれぞれ単独では、水性媒体及び天然物の細片の着色性、光安定性及び熱安定性が全て満足できるものはないが、モナスカス色素とカロテノイド色素との組み合わせを色素として配合することにより、水性媒体及び天然物の細片の着色性、光安定性及び熱安定性の要求を全て満足することができるとの記載がある。 これらの記載に接した当業者であれば、「水性媒体と、天然物の細片とを含み、かつ、天然色素として、モナスカス色素と、カロテノイド色素との組み合わせを含む、食品組成物」であれば、発明の課題を解決できると認識できる。 そして、本件特許発明1ないし4、6及び7は何れも、「水性媒体と、天然物の細片とを含み、かつ、天然色素として、モナスカス色素と、カロテノイド色素との組み合わせを含む、食品組成物」との特定事項(以下、「特定事項A」という。)を全て有し、かつ、さらに特定するものであるから、当然、当業者は発明の課題を解決できると認識できる。 よって、本件特許発明1ないし4、6及び7はいずれも、明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であり、明細書の発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえ、サポート要件に適合する。 3 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、上記第4 3のとおり、着色対象の天然物の細片としてしょうが、大根という淡色系の特定の野菜のすりおろし物を用いた場合にのみ所定の効果が認められる本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載から、天然物の細片の形態(種類、形態、色等)が特定されていない本件特許発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとは認められない旨主張する。 しかしながら、上記2で検討したとおり、本件特許発明1ないし4、6及び7には、発明の課題を解決できる程度の特定がされている。 また、特許異議申立人の主張は、特定事項Aを満たすものでも発明の課題を解決し得ないとする具体的な証拠を提示するものではない。 よって、特許異議申立人の主張を採用することはできない。 4 申立理由3についてのまとめ 上記のとおりであるから、申立理由3は、その理由がない。 第8 むすび したがって、令和5年3月30日付けで通知した取消理由(決定の予告)、及び、特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、本件特許の請求項1ないし4、6及び7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし4、6及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件特許の請求項5に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人による請求項5に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700901

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