特許異議申立
2022-701125
果皮エキスおよびその製造方法
- 審判番号
- 2022-701125
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-132179
- 登録番号
- 7068396
- 請求日
- 2022年11月16日
- 審決日
- 2026年03月23日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】サントリーホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】山本 修
- 【権利者代理人】宮前 徹
- 【権利者代理人】中西 基晴
- 【権利者代理人】中村 充利
- 【異議申立人】青木 一幸
- 審判長/審判官
- 審判長 柴田 昌弘
- 審判官 松田 成正
- 審判官 植前 充司
- 分類
- P1651.113-YAA(A23L) / P1651.121-YAA(A23L) / P1651.537-YAA(A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7068396号発明「果皮エキスおよびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7068396号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。
特許第7068396号の請求項1ないし12に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7068396号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし12に係る特許についての出願は、平成28年12月27日に出願された特願2016-252277の一部を令和2年8月4日に新たな特許出願としたものであって、令和4年5月6日にその特許権の設定の登録がされ、同年同月16日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和4年11月16日に,特許異議申立人 青木 一幸(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1ないし12に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、令和5年2月27日付けで取消理由が通知され、同年5月1日に特許権者 サントリーホールディングス株式会社(以下、「特許権者」という。)から訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされるとともに意見書が提出され、同年同月22日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年6月21日に特許異議申立人から意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 請求の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、「特許第7068396号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について訂正することを求める。」というものである。
2 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について合議体が付したものである。)
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「0.5mm~5cmの大きさにした柑橘類果皮をヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼとペクチナーゼおよび/またはセルラーゼとで酵素処理して酵素処理スラリーを得る工程」との記載を、
「0.5mm~5cmの大きさにした柑橘類果皮を水中でヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼとペクチナーゼおよび/またはセルラーゼとで酵素処理して酵素処理スラリーを得る工程」に訂正する。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし12も同様に訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項8において、
「請求項1~7のいずれかに記載の方法で製造した果皮エキスを飲食品に配合することを含む、飲食品の製造方法。」との記載を、
「請求項1~7のいずれかに記載の方法で製造した果皮エキスを飲料に配合することを含む、飲料の製造方法。」に訂正する。
請求項8の記載を引用して特定する請求項9も同様に訂正する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項10において、
「請求項1~7のいずれかの方法によって果皮エキスを製造し、その果皮エキスを飲食品に配合することを含む、飲食品の呈味向上方法。」との記載を、
「請求項1~7のいずれかの方法によって果皮エキスを製造し、その果皮エキスを飲料に配合することを含む、飲料の呈味向上方法。」に訂正する。
3 一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし12について、請求項2ないし12は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであるから、訂正前の請求項1ないし12に対応する訂正後の請求項1ないし12は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
4 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
訂正事項1に係る請求項1の訂正は、果皮を酵素処理する際に「水中」で行うことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、明細書の【0023】の記載からみて、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし12についても同様である。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2に係る請求項8の訂正は、「飲食品」を「飲料」に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2に係る請求項8の訂正は、明細書の【0033】の記載からみて、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
請求項8の記載を引用して特定する請求項9についても同様である。
(3) 訂正事項3について
訂正事項3に係る請求項10の訂正は、「飲食品」を「飲料」に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3に係る請求項10の訂正は、明細書の【0033】の記載からみて、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
5 訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、本件においては、訂正前の全ての請求項である請求項1ないし12に対して特許異議申立がされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし12に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明12」ということがある。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
0.5mm~5cmの大きさにした柑橘類果皮を水中でヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼとペクチナーゼおよび/またはセルラーゼとで酵素処理して酵素処理スラリーを得る工程と、
酵素処理スラリーから固液分離によって果皮エキスを得る工程と、
を有する、果皮エキスの製造方法であって、
柑橘類果皮が、レモン果皮、グレープフルーツ果皮、ピンクグレープフルーツ果皮、オレンジ果皮から選択される1つまたは2つ以上を含む、上記方法。
【請求項2】
柑橘類果皮が、レモン果皮を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酵素処理後の果皮スラリーに含まれる粒子の90%が、粒径500μm以下である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記果皮エキスにおける(クエン酸およびリンゴ酸)/アミノ酸の重量比が10以下である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記酵素処理スラリーの濃度が5重量%以上である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
原料である柑橘類果皮を複数回に分けて添加して酵素処理を行う、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
フィルタープレスおよび/または遠心分離を用いて酵素処理スラリーを固液分離する、請求項1~6のいずれかの方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の方法で製造した果皮エキスを飲料に配合することを含む、飲料の製造方法。
【請求項9】
(クエン酸およびリンゴ酸)/アミノ酸の重量比が14以下になるように果皮エキスを飲料に配合する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~7のいずれかの方法によって果皮エキスを製造し、その果皮エキスを飲料に配合することを含む、飲料の呈味向上方法。
【請求項11】
レモン果皮、グレープフルーツ果皮、ピンクグレープフルーツ果皮、オレンジ果皮から選択される1つまたは2つ以上を含む柑橘類果皮から、請求項1~7のいずれかに記載の方法で製造した果皮エキスであって、
(クエン酸およびリンゴ酸)/アミノ酸の重量比が10以下である、上記果皮エキス。
【請求項12】
(クエン酸およびリンゴ酸)/アミノ酸の重量比が4以下である、請求項11に記載の果皮エキス。」
第4 特許異議申立理由の要旨
特許異議申立人が申し立てた、本件特許発明1ないし12に係る特許に対する特許異議申立理由の要旨及び証拠方法は、次のとおりである。
1 申立理由1(サポート要件)
本件特許発明1ないし12に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
なお、申立理由1の具体的理由の要旨は、次のとおりである。
(1) 申立理由1-1(「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」の使用量、「ペクチナーゼおよび/またはセルラーゼ」の使用量について)
本件特許発明1ないし12には、酵素処理において使用する酵素がごく微量(例えば0.1w/w%よりも低量)である場合も包含されるところ、例えば、ごく微量の酵素を用いて酵素処理しても優れた果皮エキスが得られないから、このような酵素の使用量を含み得る本件特許発明1ないし12により本件特許発明が解決しようとする課題を解決できないことは当業者に明らかである。また、単に、「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」と「ペクチナーゼおよび/またはセルラーゼ」とを含みさえすれば、各使用量にかかわらず、本件特許の発明の課題を解決できることが、本件特許の出願時の技術常識であったとも解されない。してみれば、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の内容を、「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」の使用量、並びに「ペクチナーゼおよび/またはセルラーゼ」の使用量が特定されていない本件特許発明1ないし12の範囲まで拡張ないし一般化できるとは認められないから、本件特許発明1ないし12は本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載したものとはいえず、本件特許発明1ないし12について特許請求の範囲の記載がサポート要件を満足するとはいえない。
(2) 申立理由1-2(「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」と「セルラーゼ」とを併用した酵素について)
本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」と「ペクチナーゼ」とを併用した酵素は実施例に具体的に記載されているものの、「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」と「セルラーゼ」とを併用した酵素については何ら具体的開示がない。
また、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0064】(【表3】)の記載からは、ヘミセルラーゼとペクチナーゼをを併用すると、ヘミセルラーゼを単独で使用した場合と比較して、アミノ酸含量が222ppmも低下しており、ヘミセルラーゼとペクチナーゼとの併用による相乗効果が発揮されないことが理解できる。
つまり、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載に沿って本件特許発明を検討すると、ヘミセルラーゼとペクチナーゼを併用する酵素は、その構成成分である「ヘミセルラーゼ」を単独で使用する酵素と比較して、アミノ酸含量が222ppmも低下しており、ヘミセルラーゼとペクチナーゼとの併用による効果を十分に得られるものではないし、そうすると、本件特許の明細書に具体的開示のない「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」と「セルラーゼ」とを併用する場合にも本件特許発明の課題を解決できることは当業者であっても認識できるとはいえず、また本件特許出願時において技術常識であったことを示す証拠もない。
以上より、「ヘミセルラーゼ」と「ペクチナーゼ」とで酵素処理する場合に併用による相乗効果が発揮されないことを考慮すれば、併用する酵素の組み合わせについても、本件特許発明の課題を解決する上で重要な要素になるものと認められる。そうすると、本件特許発明1及び本件特許発明1の特定事項の全てを有する本件特許発明2ないし12には、発明の詳細な説明に具体的開示のない「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」と「セルラーゼ」とで酵素処理する場合も包含されるところ、このような酵素の組み合わせを含み得る本件特許発明1ないし12により本件特許発明が解決しようとする課題を解決できることが、当業者は認識できず、また本件特許の出願時の技術常識であったとも解されない。してみれば、発明の詳細な説明の内容を、具体的開示のない「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテーゼ」と「セルラーゼ」とで酵素処理する場合も包含される本件特許発明1ないし12の範囲まで拡張ないし一般化できるとは認められないから、本件特許発明1ないし12は発明の詳細な説明に記載したものとはいえず、本件特許発明1ないし12について特許請求の範囲の記載がサポート要件を満足するとはいえない。
2 申立理由2-1(甲第1号証を主たる証拠とする新規性欠如)
本件特許発明1ないし12は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
3 申立理由2-2(甲第2号証を主たる証拠とする新規性欠如)
本件特許発明1ないし12は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
4 申立理由3-1(甲第1号証を主たる証拠とする進歩性欠如)
本件特許発明1ないし12は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
5 申立理由3-2(甲第2号証を主たる証拠とする進歩性欠如)
本件特許発明1ないし12は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
6 申立理由3-3(甲第3号証を主たる証拠とする進歩性欠如)
本件特許発明1ないし12は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
7 申立理由3-4(甲第6証を主たる証拠とする進歩性欠如)
本件特許発明1ないし7、11及び12は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第6号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
8 申立理由3-5(甲第7号証を主たる証拠とする進歩性欠如)
本件特許発明1ないし7、11及び12は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
9 証拠方法
・甲第1号証:特開昭54-107544号公報
・甲第2号証:特公昭57-58151号公報
・甲第3号証:特開平11-178537号公報
・甲第4号証:「植物組織崩壊酵素製剤」パンフレット、阪急共栄物産株式会社(発売元)
・甲第5号証:エイチビィアイ株式会社ホームページ、「沿革」のページ、URL:https://www.hbi-enzymes.com/History.htm
・甲第6号証:特開平6-113871号公報
・甲第7号証:特開2009-179622号公報
・甲第8号証:「セルラーゼY-NC」パンフレット、ヤクルト薬品工業株式会社、平成26年3月
・甲第9号証:三沢 豊ら「食品におけるセルラーゼ剤の応用に関する研究(第1報)」、日本食品工業学会誌、第14巻第7号(1967年7月)、第286~291頁
・甲第10号証:荒井 綜一ら編著、「最新 香料の事典」、朝倉書店(2000年5月10日 初版第1刷)、第250~251頁
なお、特許異議申立人は、令和5年6月21日提出の意見書に添付して、次の参考文献1~4を提出している。
・参考文献1:国際公開第2011/126003号
・参考文献2:Hongzhang Chen et al., “Effect of ethanol and yeast on cellulase activity and hydrolysis of crystalline cellulose”, ENZYME AND MICROBIAL TECHNOLOGY, Elsevier Inc., Vol.39(2006), pp.1430-1432
・参考文献3:“Effect of solvents on the hydrolysis of casein catalysed by pepsin-A kinetic study”, Indian Journal of Chemistry, Vol.38A, November 1999, pp.1181-1183
・参考文献4:Sangeeta Negi et al., “Extraction and Purification of Glucoamylase and Protease Produced by Aspergillus awamori in a Single-Stage Fermetation”, Food Technol. Biotechnol., Vol.49(2011), No.3, pp.310-315
第5 令和5年2月27日付け取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の概要
本件特許発明1ないし12に係る特許に対して、当審が令和5年2月27日付け取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。なお、取消理由は、申立理由3-3を包含する。
取消理由(甲第3号証を主たる証拠とする進歩性欠如)
本件特許発明1ないし12は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
第6 当審の判断
以下のとおり、当審は、取消理由およびいずれの申立理由によっても、本件特許発明1ないし12に係る特許を取り消すことはできないものと判断する。
1 令和5年2月27日付け取消理由通知で特許権者に通知した取消理由についての判断
(1) 甲第3号証の記載事項等
ア 甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、「柑橘フレーバー剤の製造法」に関し、次の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】柑橘果実の破砕物又は搾汁粕若しくは果皮を植物組織崩壊酵素を溶解した含水アルコール溶液に浸漬したのち、濾過することを特徴とする柑橘フレーバー剤の製造法。
【請求項2】柑橘果実が香酸柑橘果実である請求項1記載の柑橘フレーバー剤の製造法。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な柑橘フレーバー剤の製造法に係るものである。」
「【0002】
【従来の技術】柑橘果実は独特の香りを有しており、フレーバ-付与剤として、食品はもとより色々な商品に利用されている。とりわけ香酸柑橘類である、ゆず、かぼす、すだち等は、果皮のオイル中に含まれる特徴ある香りが古くより日本料理に活かされてきた。例えば果皮細片を煮物や汁物に浮かせたり、果汁をしょうゆに添加してポン酢しょうゆとして用いられている。
【0003】香酸柑橘類から果汁を搾取する場合、果実を破砕しながら圧搾搾汁するのであるが、果肉部に対し果皮部が厚いため、搾りにくく極めて少量の果汁しか得られない。また果皮のオイル中に含まれる香気成分は、圧搾では十分に採取することができない。このため有機溶剤を用いて抽出する方法も試みられているが、得られた香気成分は油溶性のものであり、用途が限定されるきらいがある。」
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は柑橘果実、特に香酸柑橘類から水溶性の香気成分を効率よく採取して、柑橘フレーバー剤を製造することを課題とするものであり、柑橘果実の破砕物又は搾汁粕若しくは果皮を植物組織崩壊酵素を溶解した含水アルコール溶液に浸漬したのち、濾過することにより、上記課題を解決できるという知見を得て本発明を完成したのである。」
「【0005】
【課題を解決するための手段】以下本発明を具体的に説明する。本発明の対象となる柑橘果実は、レモン、ライム、オレンジ、ゆず、かぼす、すだち等であるが、果皮が厚く、含有果汁量の少ない、ゆず、かぼす、すだち等の香酸柑橘類が好適である。
【0006】これらの柑橘果実の破砕物、あるいは搾汁粕若しくは果皮を植物組織崩壊酵素を溶解した含水アルコールに浸漬する。本発明で用いられる植物組織崩壊酵素とは、市販されているセルラーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ剤等をいい、これらの酵素剤の1種以上を、含水アルコールに0.01~1.0%の濃度となるように溶解する。
【0007】含水アルコールのアルコール濃度は、15~85%であり、アルコール濃度が高すぎると酵素作用が阻害され、また低すぎると香気成分の抽出が不十分となると同時に抽出時に微生物汚染を受け易い。浸漬に用いる含水アルコールの量は、浸漬する柑橘果実の破砕物、あるいは搾汁粕若しくは果皮の2~10倍量であり、このような含水アルコールに5~50℃で1~20日浸漬する。そしてこの間、適宜軽い攪拌を行うことが好ましい。こうして浸漬することにより、添加酵素により植物組織が崩壊され含水アルコールによるフレーバーオイルの抽出が促進される。
【0008】次いで、濾布等にて固液分離を行い、その濾液をそのまま冷凍あるいは冷蔵してもよいが、好ましくは80℃以上に加熱して酵素の失活処理を行う。このようにして得られた抽出液は、水溶性の柑橘フレーバー剤として各種食品等に添加して、用いることが出来る。」
「【0009】
【発明の効果】本発明によると含水アルコール中に含有される植物組織崩壊酵素類の作用で、柑橘果実、特に果皮に含まれる新鮮なフレーバーが強く、渋み等の雑味が少なく、呈味もまろやかな水溶性の柑橘フレーバー剤が得られる。特に柚、すだち、かぼす等においては和風料理に適した新鮮な香味の水溶性フレーバー剤となる。含水アルコール中に添加された植物組織崩壊酵素の作用で、フレーバーのみならずエキスの抽出も促進され、また抽出時間の短縮という効果も有する。」
「【0010】以下の実験例で本発明の効果を確認する。
【実験例】ゆず果実200個(25Kg)を破砕し、これを6kgづつに四分し、(a)セルロシンAC40粉末(阪急バイオインダストリー(株)製)を0.2%溶解した80%含水アルコール1L中に浸漬、(b)同含水アルコール2L中に浸漬、(c)酵素剤無添加の60%含水アルコール1L中に浸漬、(d)同含水アルコール2L中に浸漬し、20℃で48時間浸漬した。浸漬20時間後に全体を軽く攪拌し、アルコール溶液が破砕物に均一に接触するようにした。48時間後に濾布を用いて圧搾して、各サンプルからゆずフレーバー剤を得た。
【0011】結果を表1に示す。
【表1】
[図:0001436126000001.jpg]
[図:0001436126000002.jpg]
各試料を希釈液(0.2%ツイーン80添加20%アルコール溶液)で100倍に希釈、この希釈サンプル4gに対し、内部標準として50μlの3-オクタノール溶液(2000ppmエタノール溶液)を20ml容バイアル瓶に詰め、ニトフロン製のフタをアルミ冠で巻き締めることにより密封した。これをHP7694ヘッドスペースサンプラー/HP6890ガスクロマトグラフィー/HP5973質量分析計(ヒューレットパッカード社製)を用いてバイアル瓶を55℃、20分間加熱後ヘッドスペースガスの分析を行った。カラムはHP-WAX(ヒューレットパッカード社製、60×0.25×0.5)、温度条件は35℃、5分保持後、毎分5℃の昇温により180℃とし、その後毎分10℃の昇温により240℃とした。
【0012】<実施例1>レモン果実を搾汁して得られた搾汁粕10.7kgを、0.05%のセルロシンAC40粉末(阪急バイオインダストリー(株)製)を溶解した60%含水アルコール2L中に浸漬し、20℃で72時間浸漬した。この間、4回軽く攪拌した。その後濾布を用いて圧搾し、濾液2.5Lを得た。この液を80℃で3分間加熱して酵素を失活させてレモンフレーバー剤を得た。
【0013】<実施例2>ゆずの果皮7kgを、0.1%のセルロシンPE60粉末(阪急バイオインダストリー(株)製)を溶解した70%含水アルコール3L中に浸漬し、20℃で24時間浸漬した。この間、3回軽く攪拌した。その後濾布を用いて圧搾し、濾液2.7Lを得た。この液を80℃で3分間加熱して酵素を失活させてゆずフレーバー剤を得た。」
イ 甲第3号証に記載された発明
上記アの記載、特に甲第3号証の実施例1の記載を中心に整理すると、甲第3号証には、次の発明が記載されていると認める。
「レモン果実を搾汁して得られた搾汁粕を、セルロシンAC40粉末(阪急バイオインダストリー(株)製)を溶解した含水アルコール中に浸漬し、攪拌し、その後濾布を用いて圧搾し、濾液を加熱して酵素を失活させて得る、レモンフレーバー剤の製造方法。」(以下、「甲3製法発明」という。)
「甲3製法発明により得られたレモンフレーバー剤を各種食品に添加する、食品の呈味向上方法。」(以下、「甲3方法発明」という。)
「甲3製法発明により得られたレモンフレーバー剤。」(以下、「甲3発明」という。)
(2) 対比・判断
ア 本件特許発明1について
本件特許発明1と、甲3製法発明とを対比する。
甲3製法発明の「レモン果実」は、本件特許発明1の「柑橘類」に相当する。
また、甲3製法発明における「セルロシンAC40」は、甲第4号証における「セルロシンAC40、セルロシンALは…セルラーゼ製剤であり、…、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼなども含有しています。」との記載を勘案すると、植物組織崩壊酵素としてセルラーゼ、ヘミセルラーゼ及びペクチナーゼを含む酵素製剤であることは明らかである。よって、甲3製法発明の「セルロシンAC40粉末(阪急バイオインダストリー(株)製)を溶解した含水アルコール中に浸漬し、攪拌」する工程は、本件特許発明1の「水中でヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼとペクチナーゼおよび/またはセルラーゼとで酵素処理して酵素処理スラリーを得る工程」との特定事項のうち、「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼとペクチナーゼおよび/またはセルラーゼとで酵素処理して酵素処理スラリーを得る工程」との限りにおいて相当する。
さらに、甲3製法発明の「濾布を用いて圧搾し、濾液」を得る工程は、本件特許発明1の「酵素処理スラリーから固液分離によって」「エキスを得る工程」に相当する。
そして、甲3製法発明は「レモン果実を搾汁して得られた搾汁粕」を用いるものである以上、搾汁粕にはレモンの「果皮」が含まれているものといえるから、「濾液」には「果皮エキス」が含まれるものであるとともに、本件特許発明1の「柑橘類果皮が、レモン果皮、グレープフルーツ果皮、ピンクグレープフルーツ果皮、オレンジ果皮から選択される1つまたは2つ以上を含む」との特定事項をも満たす。
してみると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
(一致点)
「柑橘類果皮をヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼとペクチナーゼおよび/またはセルラーゼとで酵素処理して酵素処理スラリーを得る工程と、
酵素処理スラリーから固液分離によって果皮エキスを得る工程と、
を有する、果皮エキスの製造方法であって、
柑橘類果皮が、レモン果皮、グレープフルーツ果皮、ピンクグレープフルーツ果皮、オレンジ果皮から選択される1つまたは2つ以上を含む、上記方法。」
(相違点)
・相違点3-1
本件特許発明1は「0.5mm~5cmの大きさにした柑橘類果皮」を用いることを特定するのに対し、甲3製法発明は果皮の大きさが不明である点。
・相違点3-2
本件特許発明1は「水中で」酵素処理を行うことを特定するのに対し、甲3製法発明は「含水アルコール中」で行うものである点。
事案に鑑み、相違点3-2について検討する。
甲第3号証には、「本発明は柑橘果実、特に香酸柑橘類から水溶性の香気成分を効率よく採取して、柑橘フレーバー剤を製造することを課題とするものであり、柑橘果実の破砕物又は搾汁粕若しくは果皮を植物組織崩壊酵素を溶解した含水アルコール溶液に浸漬したのち、濾過することにより、上記課題を解決できるという知見を得て本発明を完成した」(【0004】)との記載があり、「含水アルコール溶液」については「含水アルコールのアルコール濃度は、15~85%であり、アルコール濃度が高すぎると酵素作用が阻害され、また低すぎると香気成分の抽出が不十分となると同時に抽出時に微生物汚染を受け易い。浸漬に用いる含水アルコールの量は、浸漬する柑橘果実の破砕物、あるいは搾汁粕若しくは果皮の2~10倍量であり、このような含水アルコールに5~50℃で1~20日浸漬する。そしてこの間、適宜軽い攪拌を行うことが好ましい。こうして浸漬することにより、添加酵素により植物組織が崩壊され含水アルコールによるフレーバーオイルの抽出が促進される」(【0007】)との記載がある。
これらの記載からは、「含水アルコール」のアルコール濃度は、「15~85%」とすることが望ましく、アルコール濃度が高すぎるものも、アルコール濃度が低すぎるものも不都合があることが示されている。
つまり、甲3製法発明においては、「含水アルコール」において、アルコール濃度が一定の濃度(15%)以上であることが、甲第3号証に記載された課題を解決するために必要な条件であるといえる。
してみると、甲3製法発明において、「含水アルコール」からアルコールを除き、「水」とする動機付けはない。
よって、甲3製法発明において、相違点3-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
この点について特許異議申立人は意見書において、含水アルコールと水はともに溶媒として周知であること、甲第3号証において、【0007】の記載などを元に、「水」を用いることは排除していないことなどを主張するが、上記検討のとおり、甲第3号証においてアルコールを含む「含水アルコール」を用いることが課題解決の上で必要であるといえる以上、「含水アルコール」を「水」に変更する動機付けはなく、特許異議申立人の上記主張はいずれも採用することができない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲3製法発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件特許発明2ないし9について
本件特許発明2ないし9はいずれも、本件特許発明1の発明特定事項の全てを有し、さらに限定するものである。
そして、上記アのとおり、本件特許発明1は、甲3製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明2ないし9も、甲3製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件特許発明10について
本件特許発明10と甲3方法発明とを対比すると、上記アと同様の相当関係がいえるから、両者は少なくとも、上記相違点3-2と同旨の点で相違する。
しかしながら、上記相違点3-2は、上記アのとおり判断されるから、本件特許発明10は、甲3方法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 本件特許発明11について
本件特許発明11と甲3発明とを対比すると、上記アと同様の相当関係がいえるから、両者は少なくとも、上記相違点3-2と同旨の点で相違する。
しかしながら、上記相違点3-2は、上記アのとおり判断されるから、本件特許発明11は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ 本件特許発明12について
本件特許発明12は、本件特許発明11の発明特定事項の全てを有し、さらに限定するものである。
そして、上記エのとおり、本件特許発明11は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明12も、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3) 取消理由についてのまとめ
上記(2)のとおりであるから、取消理由では、本件特許発明1ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
2 令和5年2月27日付け取消理由通知において採用しなかった申立理由についての判断
(1) 申立理由1(サポート要件)について
ア サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
イ 特許請求の範囲の記載
上記第3のとおりである。
ウ サポート要件についての判断
本件特許の発明の課題(以下、「発明の課題」という。)は、「果実や果汁ではなく、柑橘類の果皮から、香味に優れたエキスを製造する技術を提供すること」(【0008】)である。
そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「柑橘類の果皮をヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼを用いて酵素処理してから固液分離することによって、優れた果皮エキスが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った」(【0009】)との記載、「本発明の果皮エキスは、5cm以下の大きさの柑橘類果皮を所定の酵素で酵素処理する工程と、固液分離によって果皮エキスを得る工程と、を含む方法によって製造することができる」(【0014】)との記載、「物理的処理後の果皮の大きさは5cm以下になっていれば特に制限されない・・・(略)・・・。本明細書においては、果皮の大きさがこのような範囲であると、ハンドリング性が向上し、また、後続の酵素処理が効率的に進行するため好ましい」(【0016】)との記載、「本発明においては、柑橘果皮をヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼによって酵素処理する。柑橘果皮を酵素処理することにより、果皮に含まれる香味成分が溶出しやすくなるとともに、柑橘果皮が崩壊して果皮スラリーの流動性が高くなるため製造上、特に有用である」(【0017】)との記載、「本発明の酵素処理においては、ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼを使用すれば、他の酵素を併用してもよく、例えば、キシラーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼなどの酵素を併用してもよい」(【0020】)との記載があり、具体的な実施例によるアミノ酸濃度の検証などが記載されている。
これらの記載に接した当業者であれば、「5cm以下の大きさの柑橘類果皮」を用い、「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼを用いて酵素処理してから固液分離する」との特定事項を満たすことにより、発明の課題を解決できると認識できる。
そして、本件特許発明1ないし12はいずれも、上記の発明の課題を解決できると認識できる特定事項の全てを有し、さらに限定するものであるから、当然、発明の課題を解決できると当業者は認識できる。
したがって、本件特許発明1ないし12に関し、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するものといえる。
エ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、上記「第4 1 申立理由1」に挙げるように、「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」の使用量、「ペクチナーゼおよび/またはセルラーゼ」の使用量が特定されていない範囲まで発明の課題を解決できるとは拡張、一般化できない点、及び、「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」と「セルラーゼ」とを併用した酵素について具体的に検討されていない点をあげ、本件特許発明1ないし12はサポート要件を満たしていない旨主張する。
しかしながら、上記ウで検討したとおり、「5cm以下の大きさの柑橘類果皮」を用い、「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼを用いて酵素処理してから固液分離する」ことにより、果皮に含まれる香味成分が溶出しやすくなるとともに、柑橘果皮が崩壊して果皮スラリーの流動性が高くなり、発明の課題を解決できると当業者は認識できるものであるから、その効果は酵素の量により効果の大小の差はあれども定性的な効果が呈されるものと当業者ならば認識できる。また、「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼ」を用いることが、発明の課題を解決するための特定事項であり、併せて用いる「ペクチナーゼおよび/またはセルラーゼ」は、発明の課題の解決という点では、必須でない(【0020】)。
してみると、特許異議申立人の上記主張はいずれも、本件特許発明1ないし12に関する上記ウの判断には影響するものではなく、採用することができない。
オ 申立理由1についてのまとめ
上記ウ及びエのとおりであるから、申立理由1では、本件特許発明1ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
(2) 申立理由2-1及び申立理由3-1(甲第1号証を主たる証拠とする新規性欠如・進歩性欠如)について
ア 甲第1号証の記載事項等
(ア) 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、「全果又は外皮などを原料とした特殊果汁の製造方法」に関し、次の記載がある。なお、摘記にあたって、数字・記号等を全角に、句読点を適宜統一している部分がある。また、システム上表記できない漢字については、平仮名に改めた部分がある。
「2. 特許請求の範囲
(1)かんきつ類果実などの外皮付き全果又は、外皮および/または、搾汁かす等を原料として特殊果汁を得るに際し、原料を破砕する工程、原料に植物組織分解酵素を加え酵素反応させる工程、前記酵素を失活させろ過、濃縮して飲用に不適当なフレーバーを除去する工程を含み、前記酵素反応中に於て、攪拌及び原料を微細化させながら分解を行なわせることにより酵素反応を促進させることを特徴とする全果又は、外皮などを原料とした特殊果汁の製造方法。
(2)前記酵素反応中の微細化の工程に於て、微細化の粗さが0.1~2mmとなる様にした特許請求の範囲第1項による全果又は外皮などを原料とした特殊果汁の製造方法。」(第1頁左欄「2. 特許請求の範囲」の項)」
「即ちこの発明は、かんきつ類果実などの外皮付き全果又は、外皮および/または、搾汁かす等を原料として特殊果汁を得るに際し、先ず原料組織を破砕する工程、原料に対して0.05~0.2%の植物組織分解酵素例えばセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ又はこれらの混合品を加え酵素反応させる工程、前記酵素を失活させろ過、濃縮して飲用に不適切なフレーバーを除去する工程を含み、前記酵素反応に際し、酵素添加後攪拌及びホモミキサー等により原料をさらに微細化し分解を行なうことにより反応を促進させることを特徴とする特殊果汁の製造方法である。」(第2頁右上欄第4行ないし第15行)
「この発明における外皮付き全果又は外皮および/または搾汁かすとしては、みかんなどのかんきつ類全般、とまと、りんご、及びその冷凍品などが概ね原料となり得る。」(第2頁右した欄第9行ないし第12行)
「これらの原料を処理するには先ず通常チョッパーで約5mm位の大きさに破砕し、次に酵素反応等を効率的に行なわせるために原料に対し、所定量の水をここで加えておくのが良い。例えば全果のときは約1/2倍、外皮のときは約3倍、搾汁かすのときは約2倍の水を加える。
この発明で用いる酵素は、アスペルギルス属、トリコデルマ属等に由来するセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、アミラーゼなどが好適であり、これらは一般に原料に対して約0.05~0.2%量で用いられる。」(第2頁右下欄第16行ないし第3頁左上欄第6行)
「実施例2.
温州みかんの外皮10Kgを100℃にて7分間ボイルし、大量の水にて洗滌した。これをチヨツパーにかけて、約5mm位に破砕し、水30l及びセルラーゼ0.1%量(10g)を加え、クエン酸にてpHを3にした。
温度を40℃に保ち、攪拌翼を500rpm,ホモミキサーを1800rpmにて回転させ原料を循環させながら1.5時間酵素反応させた。
次に温度を100℃に昇温し、5分間保持して酵素を失活させ遠心分離機にてろ過し、液汁38Kgを得た。得られた液汁を80℃にて1/2量になるまで濃縮した後、水を加えて元の量に戻し、製品果汁を得た。」(第4頁左上欄第8行ないし右上欄第1行)
(イ) 甲第1号証に記載された発明
上記(ア)の記載、特に実施例2の記載に着目し整理すると、甲第1号証には次の発明が記載されていると認める。
「温州みかんの外皮10Kgを100℃にて7分間ボイルし、大量の水にて洗滌し、これをチョッパーにかけて、約5mm位に破砕し、水30l及びセルラーゼ0.1%量(10g)を加え、クエン酸にてpHを3にし、
温度を40℃に保ち、攪拌翼を500rpm,ホモミキサーを1800rpmにて回転させ原料を循環させながら1.5時間酵素反応させ、
次に温度を100℃に昇温し、5分間保持して酵素を失活させ遠心分離機にて濾過し、液汁38Kgを得、得られた液汁を80℃にて1/2量になるまで濃縮した後、水を加えて元の量に戻す、製品果汁の製造方法。」(以下、「甲1製法発明」という。)
「甲1製法発明により得られた製品果汁を各種食品に添加する、食品の呈味向上方法。」(以下、「甲1方法発明」という。)
「甲1製法発明により得られた製品果汁。」(以下、「甲1発明」という。)
イ 対比・判断
(ア) 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1製法発明とを対比する。
甲1製法発明の「温州みかんの外皮」は、本件特許発明1の「柑橘類果皮」に相当する。
また、甲1製法発明において「温州みかんの外皮10Kgを100℃にて7分間ボイルし、大量の水にて洗滌し、これをチョッパーにかけて、約5mm位に破砕」していることから、本件特許発明1の「0.5mm~5cmの大きさにした」との特定事項を満たす。
次に、甲1製法発明における「水30l及びセルラーゼ0.1%量(10g)を加え、クエン酸にてpHを3にし、温度を40℃に保ち、攪拌翼を500rpm,ホモミキサーを1800rpmにて回転させ原料を循環させながら1.5時間酵素反応させ」との工程は、本件特許発明1の「酵素処理して酵素処理スラリーを得る工程」に相当し、甲1製法発明の「遠心分離機にて濾過し、液汁」を得る工程は、本件特許発明1の「酵素処理スラリーから固液分離によって果皮エキスを得る工程」に相当する。
してみると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
(一致点)
「0.5mm~5cmの大きさにした柑橘類果皮を水中で酵素処理して酵素処理スラリーを得る工程と、
酵素処理スラリーから固液分離によって果皮エキスを得る工程と、
を有する、果皮エキスの製造方法。」
(相違点)
・相違点1-1
本件特許発明1は「ヘミセルラーゼおよび/またはプロテアーゼとペクチナーゼおよび/またはセルラーゼとで酵素処理」すると特定するのに対し、甲1製法発明はセルラーゼで酵素処理するものである点。
・相違点1-2
本件特許発明1は「柑橘類果皮が、レモン果皮、グレープフルーツ果皮、ピンクグレープフルーツ果皮、オレンジ果皮から選択される1つまたは2つ以上を含む」と特定するのに対し、甲1製法発明は「温州みかん」である点。
上記相違点1-1について検討する。
甲第1号証には、「植物組織分解酵素例えばセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ又はこれらの混合品」(第2頁右上欄第7行ないし第10行)を用いることができる旨の記載があるが、ヘミセルラーゼやプロテアーゼと他の植物組織分解酵素を組み合わせた具体的な記載はなく、実施例もセルラーゼ単独で行ったもののみである。
そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、ヘミセルラーゼとペクチナーゼ、プロテアーゼとヘミセルラーゼをそれぞれ組み合わせて用いると果皮エキスのアミノ酸量が増加したとの効果が示されている。
してみると、甲第1号証には、特定の酵素の組み合わせを想起させる記載はなく、また、本件特許発明1は、特定の酵素を組み合わせることによる格別の効果を奏するものといえる。
よって、甲1製法発明において、相違点1-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲1製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ) 本件特許発明2ないし9について
本件特許発明2ないし9はいずれも、本件特許発明1の発明特定事項の全てを有し、さらに限定するものである。
そして、上記アのとおり、本件特許発明1は、甲1製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明2ないし9も、甲1製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ) 本件特許発明10について
本件特許発明10と甲1方法発明とを対比すると、上記アと同様の相当関係がいえるから、両者は少なくとも、上記相違点1-1と同旨の点で相違する。
しかしながら、上記相違点1-1は、上記アのとおり判断されるから、本件特許発明10は、甲1方法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(エ) 本件特許発明11について
本件特許発明11と甲1発明とを対比すると、上記アと同様の相当関係がいえるから、両者は少なくとも、上記相違点1-1と同旨の点で相違する。
しかしながら、上記相違点1-1は、上記アのとおり判断されるから、本件特許発明11は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(オ) 本件特許発明12について
本件特許発明12は、本件特許発明11の発明特定事項の全てを有し、さらに限定するものである。
そして、上記エのとおり、本件特許発明11は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明12も、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 申立理由2-1及び申立理由3-1についてのまとめ
上記イのとおりであるから、申立理由2-1及び申立理由3-1では、本件特許発明1ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
(3) 申立理由2-2及び申立理由3-2(甲第2号証を主たる証拠とする新規性欠如・進歩性欠如)について
甲第2号証は、甲第1号証の公開公報に係る特許出願の公告公報であり、その内容は甲第1号証と概ね同じである。
よって、上記(2)と同様に判断される。
したがって、申立理由2-2及び申立理由3-2では、本件特許発明1ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
(4) 申立理由3-4(甲第6号証を主たる証拠とする進歩性欠如)について
ア 甲第6号証に記載された発明
甲第6号証には、「柑橘類に含有されるフラボノイド化合物およびリモノイド化合物の分離回収方法」に関する記載があり、特に実施例4の記載を中心に整理すると、甲第6号証には次の発明が記載されていると認める。
「温州ミカン搾汁粕(1000g)に等量の水を加え、希塩酸でpH4.0に調整し、加熱殺菌(85℃)後、冷却(50℃)し、ペクチナーゼ活性、セルラーゼ活性、ヘミセルラーゼ活性を有する市販酵素剤(上田化学工業(株)製 セルロシンPE100)を0.1重量%の割合となるように加え、50℃で24時間静置し酵素反応を行わせ、酵素処理後遠心分離(10000rpm,10分間)し、上澄み画分(上澄み液)1600gを得、得られた上澄み画分を合成吸着樹脂(オルガノ(株)製 Amberlite XAD-2)150mlに吸着せしめ、水(150ml)で糖類などの夾雑物を除去したのち、メチルアルコール(450ml)で溶出させる、リモノイド配糖体を含む画分の製造方法。」(以下、「甲6製法発明」という。)
なお、甲第6号証には、「柑橘類に含まれるフラボノイド化合物およびリモノイド化合物を分離して経済的に有利に回収することができる分離回収方法」に関する記載はあるものの、得られたフラボノイド化合物及びリモノイド化合物と飲料における呈味に関する記載がないため、甲第6号証の記載から「飲料の呈味向上方法」(本件特許発明10及び11)に対応する発明を認定することはできない。
イ 対比・判断
(ア) 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲6製法発明とを対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。
・相違点6
本件特許発明1は「果皮エキスの製造方法」であるのに対し、甲6製法発明は「リモノイド配糖体を含む画分の製造方法」である点。
上記相違点6について検討する。
本件特許発明1は「果皮エキス」を得るためのものであるところ、甲6製法発明は、温州ミカン搾汁粕を原料として酵素反応を行い、得られた上澄み画分から、「リモノイド配糖体を含む画分」を分画するものであるから、「果皮エキス」そのものではない。
そして、甲第6号証及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲6製法発明において、「リモノイド配糖体を含む画分の製造方法」を「果皮エキスの製造方法」に変更する動機付けもない。
よって、甲6製法発明において、相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。
したがって、本件特許発明1は甲6製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ) 本件特許発明2ないし7について
本件特許発明2ないし7はいずれも、本件特許発明1の発明特定事項の全てを有し、さらに限定するものである。
そして、上記(ア)のとおり、本件特許発明1は、甲6製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明2ないし7も、甲6製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ) 本件特許発明11及び12について
上記アのとおり、甲第6号証の記載から、「飲料の呈味向上方法」に対応する発明を認定することはできない。
したがって、本件特許発明11及び12は、甲第6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 申立理由3-4についてのまとめ
上記イのとおりであるから、申立理由3-4では、本件特許発明1ないし7、11及び12に係る特許を取り消すことはできない。
(5) 申立理由3-5(甲第7号証を主たる証拠とする進歩性欠如)について
ア 甲第7号証に記載された発明
甲第7号証には「経口投与組成物」に関する記載があり、特に実施例1の記載を中心に整理すると、甲第7号証には次の発明が記載されていると認める。
「温州みかんから果汁を絞った後の残渣(みかんジュース粕、水分率約90%)800gに食品加工用のペクチナーゼ酵素剤であるスミチームPX(新日本化学工業株式会社製、ペクチナーゼ5,000ユニット/g、アラバナーゼ90ユニット/g)1gとセルラーゼ/ヘミセルラーゼ酵素剤であるセルラーゼY-NC(ヤクルト薬品工業株式会社製セルラーゼ30,000ユニット/g)1gを添加し、よくかき混ぜて室温8時間静置反応を行い、この反応液を遠心分離して上清を除去した後、水を添加して攪拌し、再度遠心分離により上清を除去し、この沈殿物を凍結乾燥機により乾燥し、ミキサー型粉砕機で粉砕・粉末化する、経口投与組成物の製造方法。」(以下、「甲7製法発明」という。)
なお、甲第7号証には、「経口投与組成物の製造方法」に関する記載はあるものの、得られた経口投与組成物と飲料における呈味に関する記載がないため、甲第7号証の記載から「飲料の呈味向上方法」(本件特許発明10及び11)に対応する発明を認定することはできない。
イ 対比・判断
(ア) 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲7製法発明とを対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。
・相違点7
本件特許発明1は「果皮エキスの製造方法」であるのに対し、甲7製法発明は「経口投与組成物の製造方法」である点。
上記相違点7について検討する。
本件特許発明1は「果皮エキス」を得るためのものであるところ、甲7製法発明は、温州みかんから果汁を絞った後の残渣を原料として酵素反応を行い、反応液を遠心分離して上清を除去した後、水を添加して攪拌し、再度遠心分離により上清を除去し、この沈殿物を凍結乾燥機により乾燥し、ミキサー型粉砕機で粉砕・粉末化することで「経口組成物」を得ているものであるから、甲7製法発明の「経口組成物」からは「果皮エキス」に相当すると考えられる「上清」は除かれているものであり、本件特許発明1の「果皮エキス」にはあたらない。
そして、甲第7号証及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲7製法発明において、「経口組成物の製造方法」を「果皮エキスの製造方法」に変更する動機付けもない。
よって、甲7製法発明において、相違点7に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。
したがって、本件特許発明1は甲7製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ) 本件特許発明2ないし7について
本件特許発明2ないし7はいずれも、本件特許発明1の発明特定事項の全てを有し、さらに限定するものである。
そして、上記(ア)のとおり、本件特許発明1は、甲7製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明2ないし7も、甲7製法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ) 本件特許発明11及び12について
上記アのとおり、甲第7号証の記載から、「飲料の呈味向上方法」に対応する発明を認定することはできない。
したがって、本件特許発明11及び12は、甲第7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 申立理由3-5についてのまとめ
上記イのとおりであるから、申立理由3-5では、本件特許発明1ないし7、11および12に係る特許を取り消すことはできない。
第7 結語
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1ないし12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701125