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特許異議申立

2022-700809

自動溶接システム、溶接制御方法、及び機械学習モデル

審判番号
2022-700809
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-020283
登録番号
7021728
請求日
2022年08月16日
審決日
2023年08月23日
公報発行日
2023年11月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社神戸製鋼所
  • 【権利者代理人】是枝 洋介
  • 【権利者】学校法人中部大学
  • 【権利者代理人】是枝 洋介
  • 【権利者代理人】楠屋 宏行
  • 【権利者代理人】羽柴 拓司
  • 【異議申立人】笹井 栄治
審判長/審判官
  • 審判長 刈間 宏信
  • 審判官 鈴木 貴雄
  • 審判官 大山 健
分類
P1651.121-YAA(B23K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7021728号発明「自動溶接システム、溶接制御方法、及び機械学習モデル」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7021728号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~23〕、24、25、〔26~28〕について訂正することを認める。 特許第7021728号の請求項6~24、26~28に係る特許を維持する。 特許第7021728号の請求項1~5、25に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 特許掲載公報の発行までの経緯 特許第7021728号(以下「本件特許」という。)の請求項1~25に係る特許についての出願は、平成30年2月7日の特許出願(優先権主張 平成29年5月12日)であって、令和4年2月8日にその特許権の設定登録がされ、令和4年2月17日に特許掲載公報が発行された。 2 特許異議の申立て以降の経緯 本件特許についての本件特許異議の申立ての主な経緯は、次のとおりである。 (1)令和4年8月16日 特許異議申立人 笹井栄治(以下「申立人」という。)による、本件特許の請求項1~25に係る特許に対する特許異議の申立て (2)令和4年10月13日付け 申立人に対する審尋 (3)令和4年10月28日 申立人による回答書の提出 (4)令和4年11月24日付け 取消理由通知 (5)令和5年1月25日 特許権者 株式会社神戸製鋼所及び学校法人中部大学(以下単に「特許権者」という。)による意見書の提出 (6)令和5年2月15日付け 取消理由通知(決定の予告) (7)令和5年3月28日 特許権者と合議体の面接審理 (8)令和5年4月21日 特許権者による訂正請求書の提出、及び、意見書の提出 (9)令和5年5月16日付け 令和5年4月21日提出の訂正請求書に対する手続補正指令、及び、同日提出の意見書に対する手続補正指令 (10)令和5年6月8日 特許権者による訂正請求書を補正対象とする手続補正書の提出、及び、上申書の提出 (11)令和5年6月14日付け 特許法第120条の5第5項の規定による通知 (12)令和5年7月14日 申立人による意見書の提出 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容について 令和5年4月21日に提出され、令和5年6月8日提出の手続補正書により補正された訂正請求書による、特許請求の範囲の訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付して示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に 「前記画像特徴情報は、前記画像中の溶融池、アーク、又は溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む、 請求項2乃至5の何れかに記載の自動溶接システム。」 とあるうち、請求項1を引用する請求項2を更に引用するものについて、独立形式に改め、 「溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像と、前記アーク溶接の状態に関する状態関連情報とを含む複数の教師データによって教師あり学習を実行し、前記画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする機械学習モデルを構築するモデル構築手段と、 アーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するカメラと、 前記カメラによって得られた画像を入力として前記機械学習モデルに与え、前記機械学習モデルから出力される状態関連情報を取得する情報取得手段と、 前記情報取得手段によって取得された前記状態関連情報に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御する制御手段と を備え、 前記モデル構築手段は、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、 前記情報取得手段によって取得された前記画像特徴情報に基づいて、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を生成する補正情報生成手段をさらに備え、 前記制御手段は、前記補正情報生成手段によって生成された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御するように構成されている、 自動溶接システム。」 に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7~16、及び、21~23も同様に訂正する。)。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項10に 「請求項2乃至9の何れかに記載の自動溶接システム。」 とあるうち、請求項6~9のいずれかを引用するものについて、 「請求項6乃至9の何れかに記載の自動溶接システム。」 に訂正する(請求項10の記載を引用する請求項11~16、及び、21~23も同様に訂正する。)。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項11に 「請求項2乃至10の何れかに記載の自動溶接システム。」 とあるうち、請求項6~10のいずれかを引用するものについて、 「請求項6乃至10の何れかに記載の自動溶接システム。」 に訂正する(請求項11の記載を引用する請求項12~16、及び、21~23も同様に訂正する。)。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項15に 「請求項2乃至14の何れかに記載の自動溶接システム。」 とあるうち、請求項6~14のいずれかを引用するものについて、 「請求項6乃至14の何れかに記載の自動溶接システム。」 に訂正する(請求項15の記載を引用する請求項16、及び、21~23も同様に訂正する。)。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項17に 「前記モデル構築手段は、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、 前記制御手段は、前記情報取得手段によって取得された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御するように構成されている、 請求項1に記載の自動溶接システム。」 とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像と、前記アーク溶接の状態に関する状態関連情報とを含む複数の教師データによって教師あり学習を実行し、前記画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする機械学習モデルを構築するモデル構築手段と、 アーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するカメラと、 前記カメラによって得られた画像を入力として前記機械学習モデルに与え、前記機械学習モデルから出力される状態関連情報を取得する情報取得手段と、 前記情報取得手段によって取得された前記状態関連情報に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御する制御手段と を備え、 前記モデル構築手段は、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報、並びに前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、 前記制御手段は、前記情報取得手段によって取得された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御するように構成されている、 自動溶接システム。」 に訂正する(請求項17の記載を引用する請求項18~23も同様に訂正する。)。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項21に 「請求項1乃至20の何れかに記載の自動溶接システム。」 とあるうち、請求項6~20のいずれかを引用するものについて、 「請求項6乃至20の何れかに記載の自動溶接システム。」 に訂正する(請求項21の記載を引用する請求項22及び23も同様に訂正する。)。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項22に 「請求項1乃至21の何れかに記載の自動溶接システム。」 とあるうち、請求項6~21のいずれかを引用するものについて、 「請求項6乃至21の何れかに記載の自動溶接システム。」 に訂正する(請求項22の記載を引用する請求項23も同様に訂正する。)。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項23に 「請求項1乃至22の何れかに記載の自動溶接システム。」 とあるうち、請求項6~22のいずれかを引用するものについて、 「請求項6乃至22の何れかに記載の自動溶接システム。」 に訂正する。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項24に 「溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池、アーク、又は溶接ワイヤの像を含む画像と、前記アーク溶接の状態に関する状態関連情報とを含む複数の教師データによって教師あり学習を実行し、前記画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする機械学習モデルを構築するステップと、 アーク溶接における溶融池又はアークを撮像するステップと、 撮像して得られた画像を入力として前記機械学習モデルに与え、前記機械学習モデルから出力される状態関連情報を取得するステップと、 取得された前記状態関連情報に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御するステップと を有する、 溶接制御方法。」 と記載されているのを、 「溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像と、前記アーク溶接の状態に関する状態関連情報とを含む複数の教師データによって教師あり学習を実行し、前記画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする機械学習モデルを構築するステップと、 アーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するステップと、 撮像して得られた画像を入力として前記機械学習モデルに与え、前記機械学習モデルから出力される状態関連情報を取得するステップと、 取得された前記状態関連情報に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御するステップと を有し、 前記機械学習モデルを構築するステップでは、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築し、 取得された前記画像特徴情報に基づいて、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を生成するステップをさらに有し、 前記溶接機構を制御するステップでは、生成された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御する、 溶接制御方法。」 に訂正する。 (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項25を削除する。 (16)訂正事項16 特許請求の範囲の請求項3に 「前記モデル構築手段は、前記画像特徴情報及び前記アーク溶接の状態の正常度合いを示す溶接正常度を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、 前記補正情報生成手段は、前記情報取得手段によって取得された前記画像特徴情報及び前記溶接正常度に基づいて、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を生成するように構成されている、 請求項2に記載の自動溶接システム。」 とあるうち、請求項1を引用する請求項2をさらに引用するものについて、 「溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像と、前記アーク溶接の状態に関する状態関連情報とを含む複数の教師データによって教師あり学習を実行し、前記画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする機械学習モデルを構築するモデル構築手段と、 アーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するカメラと、 前記カメラによって得られた画像を入力として前記機械学習モデルに与え、前記機械学習モデルから出力される状態関連情報を取得する情報取得手段と、 前記情報取得手段によって取得された前記状態関連情報に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御する制御手段と を備え、 前記モデル構築手段は、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報、並びに前記アーク溶接の状態の正常度合いを示す溶接正常度を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、 前記情報取得手段によって取得された前記画像特徴情報及び前記溶接正常度に基づいて、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を生成する補正情報生成手段をさらに備え、 前記制御手段は、前記補正情報生成手段によって生成された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御するように構成されている、 自動溶接システム。」 と記載し、新たに請求項26とする。 (17)訂正事項17 特許請求の範囲の請求項4に 「前記モデル構築手段は、前記画像特徴情報の出力及び前記溶接正常度の出力を別々のタスクとする前記学習を実行するように構成されている、 請求項3に記載の自動溶接システム。」 とあるのを、 「前記モデル構築手段は、前記画像特徴情報の出力及び前記溶接正常度の出力を別々のタスクとする前記学習を実行するように構成されている、 請求項26に記載の自動溶接システム。」 と記載し、新たに請求項27とする。 (18)訂正事項18 特許請求の範囲の請求項5に 「前記モデル構築手段は、前記タスクのそれぞれに対して設定された優先度に基づいて前記学習を実行するように構成されている、 請求項4に記載の自動溶接システム。」 とあるのを、 「前記モデル構築手段は、前記タスクのそれぞれに対して設定された優先度に基づいて前記学習を実行するように構成されている、 請求項27に記載の自動溶接システム。」 と記載し、新たに請求項28とする。 2 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~23は、請求項2~23が本件訂正前の請求項1の記載を引用する関係にあって、請求項1の記載を訂正する訂正事項1によって請求項1に連動して訂正されることから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である本件訂正後の請求項〔1~23、26~28〕については、一群の請求項ごとに訂正の請求がされたものである。 3 独立特許要件について 本件特許異議の申立ては、本件訂正前の全ての請求項1~25を対象としているので、訂正事項1~18に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 4 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 本件訂正による訂正事項1~18が、特許法第120条の5第2項ただし書各号に掲げる訂正の目的要件、及び、同条第9項で準用する同法第126条第5~6項に規定される各要件に適合しているかについて、以下検討する。 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的の適否 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的の適否 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的の適否 訂正事項3は、請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項3は、請求項3を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3は、請求項3を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的の適否 訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的の適否 訂正事項5は、請求項5を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項5は、請求項5を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項5は、請求項5を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的の適否 (ア)訂正事項6は、本件訂正前の請求項6が請求項2~5のいずれかの記載を引用するものであったところ、訂正事項2~5により請求項2~5が削除されて請求項2~5を引用できなくなったことに伴い、請求項1の記載を引用する請求項2の記載をさらに引用する請求項6を、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へと改める訂正(以下「訂正事項6A」という。)を含む。 当該訂正事項6Aは、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 (イ)また、訂正事項6は、本件訂正前の請求項1における「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤの像を含む画像」及び「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤを撮像するカメラ」、並びに本件訂正前の請求項6における「前記画像中の溶融池、アーク、又は溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報」との記載を、それぞれ、 「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像」及び「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するカメラ」、並びに「前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報」とする訂正(以下「訂正事項6B」という。)を含む。 当該訂正事項6Bは、「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤ」との選択的記載から「溶融池」を必須のものに限定するとともに、さらに「アーク」又は「溶接ワイヤ」の少なくとも一方を「溶融池」とともに必須のものに限定する訂正であることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 (ア)訂正事項6のうち、訂正事項6Aは、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (イ)また、訂正事項6Bは、本件明細書等の段落【0057】の 「本実施の形態における画像特徴情報は、アーク中心(ArcX,ArcY)、ワイヤ先端(WireX,WireY)、溶融池先端左端(Pool_Lead_Lx,Pool_Lead_Ly)、溶融池先端右端(Pool_Lead_Rx,Pool_Lead_Ry)、溶融池左端(Pool_Lx)、及び溶融池右端(Pool_Rx)である。」 との記載や、段落【0071】の 「速度補正量ΔVを算出する際は、まずΔLを次式(2)によって算出する。 LeadY=(Pool_Lead_Ly+Pool_Lead_Ry) /2-ArcY ΔL=LeadY-L0 (2)」 との記載、また、段落【0068】~【0073】等の記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (ウ)よって、訂正事項6は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (ア)訂正事項6のうち、訂正事項6Aは、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (イ)また、訂正事項6Bは、本件訂正前の請求項1及び6の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (ウ)よって、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (7)訂正事項7 ア 訂正の目的の適否 訂正事項7は、本件訂正前の請求項10が請求項1~9のいずれかの記載を引用するものであったところ、訂正事項1~5により請求項1~5が削除されて請求項1~5を引用できなくなったことに伴い、引用する請求項を請求項6~9のいずれかとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項7は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項7は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (8)訂正事項8 ア 訂正の目的の適否 訂正事項8は、本件訂正前の請求項11が請求項1~10のいずれかの記載を引用するものであったところ、訂正事項1~5により請求項1~5が削除されて請求項1~5を引用できなくなったことに伴い、引用する請求項を請求項6~10のいずれかとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項8は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項8は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (9)訂正事項9 ア 訂正の目的の適否 訂正事項9は、本件訂正前の請求項15が請求項1~14のいずれかの記載を引用するものであったところ、訂正事項1~5により請求項1~5が削除されて請求項1~5を引用できなくなったことに伴い、引用する請求項を請求項6~14のいずれかとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項9は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項9は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (10)訂正事項10 ア 訂正の目的の適否 (ア)訂正事項10は、本件訂正前の請求項17が請求項1の記載を引用するものであったところ、訂正事項1により請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことに伴い、請求項1の記載を引用する請求項17を、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へと改める訂正(以下「訂正事項10A」という。)を含む。 当該訂正事項10Aは、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 (イ)また、訂正事項10は、本件訂正前の請求項1における「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤの像を含む画像」及び「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤを撮像するカメラ」との記載を、それぞれ、「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像」及び「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するカメラ」とする訂正(以下「訂正事項10B」という。)を含む。 当該訂正事項10Bは、「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤ」との選択的記載から「溶融池」を必須のものに限定するとともに、さらに「アーク」又は「溶接ワイヤ」の少なくとも一方を「溶融池」とともに必須のものに限定する訂正であることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 (ウ)さらに、訂正事項10は、本件訂正前の請求項17における「前記モデル構築手段は、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており」との記載を、 「前記モデル構築手段は、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報、並びに前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、」とする訂正(以下「訂正事項10C」という。)を含む。 当該訂正事項10Cは、機械学習モデルから出力される「状態関連情報」が「補正情報」のほか「前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報」であることを追加するものであって、「状態関連情報」を限定する訂正であることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 (ア)訂正事項10のうち、訂正事項10Aは、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (イ)また、訂正事項10Bは、上記(6)イ(イ)と同様に、本件明細書等の段落【0057】、【0068】~【0073】等の記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (ウ)また、訂正事項10Cは、本件補正前の請求項17及び6に記載された事項、並びに、上記(イ)からみて、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (エ)よって、訂正事項10は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (ア)訂正事項10のうち、訂正事項10Aは、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (イ)また、訂正事項10B及び10Cは、本件訂正前の請求項1及び17の発明特定事項をそれぞれ概念的により下位の内容とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (ウ)よって、訂正事項10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (11)訂正事項11 ア 訂正の目的の適否 訂正事項11は、本件訂正前の請求項21が請求項1~20のいずれかの記載を引用するものであったところ、訂正事項1~5により請求項1~5が削除されて請求項1~5を引用できなくなったことに伴い、引用する請求項を請求項6~20のいずれかとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項11は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項11は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (12)訂正事項12 ア 訂正の目的の適否 訂正事項12は、本件訂正前の請求項22が請求項1~21のいずれかの記載を引用するものであったところ、訂正事項1~5により請求項1~5が削除されて請求項1~5を引用できなくなったことに伴い、引用する請求項を請求項6~21のいずれかとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項12は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項12は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (13)訂正事項13 ア 訂正の目的の適否 訂正事項13は、本件訂正前の請求項23が請求項1~22のいずれかの記載を引用するものであったところ、訂正事項1~5により請求項1~5が削除されて請求項1~5を引用できなくなったことに伴い、引用する請求項を請求項6~22のいずれかとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項13は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項13は、請求項1~5の削除に伴い引用する請求項を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (14)訂正事項14 ア 訂正の目的の適否 (ア)訂正事項14は、本件訂正前の請求項24における「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤの像を含む画像」及び「溶融池又はアークを撮像するステップ」との記載を、それぞれ、「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像」及び「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するステップ」とする訂正(以下「訂正事項14A」という。)を含む。 当該訂正事項14Aは、「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤ」又は「溶融池又はアーク」との選択的記載から「溶融池」を必須のものに限定するとともに、さらに「アーク」又は「溶接ワイヤ」の少なくとも一方を「溶融池」とともに必須のものに限定する訂正であることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 (イ)また、訂正事項14は、訂正事項6による本件訂正後の請求項6の内容と整合させるべく、本件訂正前の請求項24における 「を有する 溶接制御方法。」との記載を、 「を有し、 前記機械学習モデルを構築するステップでは、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築し、 取得された前記画像特徴情報に基づいて、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を生成するステップをさらに有し、 前記溶接機構を制御するステップでは、生成された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御する、 溶接制御方法。」とする訂正(以下「訂正事項14B」という。)を含む。 当該訂正事項14Bは、本件訂正前の請求項24における「溶接制御方法」が「補正情報を精製するステップ」をさらに有することを限定するとともに、本件訂正前の「機械学習モデルを構築するステップ」及び「溶接機構を制御するステップ」をそれぞれ限定する訂正であることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 (ア)訂正事項14のうち、訂正事項14Aは、上記(6)イ(イ)と同様に、本件明細書等の段落【0057】、【0068】~【0073】等の記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (イ)また、訂正事項14Bは、本件補正前の請求項2及び6に記載された事項、並びに、上記(ア)からみて、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (ウ)よって、訂正事項14は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項14の訂正事項14A及び14Bは、いずれも、本件訂正前の請求項24の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (15)訂正事項15 ア 訂正の目的の適否 訂正事項15は、請求項25を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項15は、請求項25を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項15は、請求項25を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (16)訂正事項16 ア 訂正の目的の適否 (ア)訂正事項16は、訂正事項3により削除された請求項3を新たに請求項26とするものであって、本件訂正前の請求項3が請求項2の記載を引用するものであったところ、訂正事項2により請求項2が削除されて請求項2を引用できなくなったことに伴い、請求項1の記載を引用する請求項2の記載をさらに引用する請求項3を、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へと改める訂正(以下「訂正事項16A」という。)を含む。 当該訂正事項16Aは、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 (イ)また、訂正事項16は、本件訂正前の請求項1における「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤの像を含む画像」及び「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤを撮像するカメラ」との記載を、それぞれ、「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像」及び「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するカメラ」とする訂正(以下「訂正事項16B」という。)を含む。 当該訂正事項16Bは、「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤ」との選択的記載から「溶融池」を必須のものに限定するとともに、さらに「アーク」又は「溶接ワイヤ」の少なくとも一方を「溶融池」とともに必須のものに限定する訂正であることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 (ウ)さらに、訂正事項16は、本件訂正前の請求項2における「前記モデル構築手段は、前記画像における溶融池、アーク、又は溶接ワイヤの像の特徴を示す画像特徴情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、」との記載を、 「前記モデル構築手段は、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報・・・を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、」とする訂正(以下「訂正事項16C」という。)を含む。 当該訂正事項16Cは、機械学習モデルから出力される状態関連情報である「画像特徴情報」が「前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報」であることを具体的に特定するものであって、「画像特徴情報」を限定する訂正であることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 (ア)訂正事項16のうち、訂正事項16Aは、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (イ)また、訂正事項16Bは、上記(6)イ(イ)と同様に、本件明細書等の段落【0057】、【0068】~【0073】等の記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (ウ)さらに、訂正事項16Cは、本件訂正前の請求項3が引用する請求項2に記載された事項、本件訂正前の請求項6に記載された事項、及び、上記(イ)からみて、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (エ)よって、訂正事項16は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (ア)訂正事項16のうち、訂正事項16Aは、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (イ)また、訂正事項16B及び16Cは、本件訂正前の請求項3が引用する請求項1及び2の発明特定事項をそれぞれ概念的により下位の内容とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (ウ)よって、訂正事項16は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (17)訂正事項17 ア 訂正の目的の適否 訂正事項17は、訂正事項4により削除された請求項4を新たに請求項27とするものである。また、訂正事項17は、本件訂正前の請求項4が請求項3の記載を引用するものであったところ、本件訂正前の請求項3が訂正事項3により削除され、訂正事項16により新たに請求項26とされたことに伴い、引用する請求項を請求項26とするものである。してみると、訂正事項17は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項17は、本件訂正前の請求項3が新たな請求項26となったことに伴って、本件訂正前の請求項4を新たな請求項27とするものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項17は、本件訂正前の請求項3が新たな請求項26となったことに伴って、本件訂正前の請求項4を新たな請求項27とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (18)訂正事項18 ア 訂正の目的の適否 訂正事項18は、訂正事項5により削除された請求項5を新たに請求項28とするものである。また、訂正事項18は、本件訂正前の請求項5が請求項4の記載を引用するものであったところ、本件訂正前の請求項4が訂正事項4により削除され、訂正事項17により新たに請求項27とされたことに伴い、引用する請求項を請求項27とするものである。してみると、訂正事項18は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項18は、本件訂正前の請求項3~4が新たな請求項26~27となったことに伴って、本件訂正前の請求項5を新たな請求項28とするものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項17は、本件訂正前の請求項3~4が新たな請求項26~27となったことに伴って、本件訂正前の請求項5を新たな請求項28とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 5 別の訂正単位とする求め 特許権者は、本件訂正後の請求項26~28については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項1~23とは別途訂正することを求めている。 6 小括 上記4(1)~(18)のとおり、訂正事項1~18に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1、3又は4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~23〕、24、25、〔26~28〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明の認定 上記第2により本件訂正は認められたため、本件特許の請求項1~28に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明28」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~28に記載された、以下の事項により特定されるとおりのものと認める。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 【請求項4】(削除) 【請求項5】(削除) 【請求項6】 溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像と、前記アーク溶接の状態に関する状態関連情報とを含む複数の教師データによって教師あり学習を実行し、前記画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする機械学習モデルを構築するモデル構築手段と、 アーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するカメラと、 前記カメラによって得られた画像を入力として前記機械学習モデルに与え、前記機械学習モデルから出力される状態関連情報を取得する情報取得手段と、 前記情報取得手段によって取得された前記状態関連情報に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御する制御手段と を備え、 前記モデル構築手段は、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、 前記情報取得手段によって取得された前記画像特徴情報に基づいて、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を生成する補正情報生成手段をさらに備え、 前記制御手段は、前記補正情報生成手段によって生成された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御するように構成されている、 自動溶接システム。 【請求項7】 前記画像特徴情報は、前記溶融池の領域の中心位置を含み、 前記補正情報生成手段は、前記溶融池の領域の中心位置に基づいて、前記溶接ワイヤを保持する溶接トーチの位置についての前記補正情報を生成するように構成されている、 請求項6に記載の自動溶接システム。 【請求項8】 前記画像特徴情報は、前記溶接ワイヤの領域の先端位置を含み、 前記補正情報生成手段は、前記溶接ワイヤの領域の先端位置に基づいて、前記溶接ワイヤを保持する溶接トーチの高さについての前記補正情報を生成するように構成されている、 請求項6又は7に記載の自動溶接システム。 【請求項9】 前記画像特徴情報は、前記溶融池の領域の先端位置及び前記アークの領域の中心位置を含み、 前記補正情報生成手段は、前記溶融池の領域の先端位置及び前記アークの領域の中心位置に基づいて、前記溶接ワイヤを保持する溶接トーチの移動速度についての前記補正情報を生成するように構成されている、 請求項6乃至8の何れかに記載の自動溶接システム。 【請求項10】 前記画像特徴情報は、突合せ継手における開先の幅を含み、 前記補正情報生成手段は、前記突合せ継手における開先の幅に基づいて、前記溶接ワイヤを保持する溶接トーチを周期的に揺動させるウィービング動作の幅についての前記補正情報を生成するように構成されている、 請求項6乃至9の何れかに記載の自動溶接システム。 【請求項11】 前記画像特徴情報は、前記画像中の溶融池、アーク、及び溶接ワイヤの領域毎に異なるラベルが割り当てられたラベル画像を含む、 請求項6乃至10の何れかに記載の自動溶接システム。 【請求項12】 前記補正情報生成手段は、前記ラベル画像における前記溶接ワイヤの領域の面積に基づいて、前記溶接ワイヤを保持する溶接トーチの高さについての前記補正情報を生成するように構成されている、 請求項11に記載の自動溶接システム。 【請求項13】 前記補正情報生成手段は、前記ラベル画像における前記溶融池の領域の面積に基づいて、前記溶接ワイヤに生じる溶接電圧又は溶接電流についての前記補正情報を生成するように構成されている、 請求項11又は12に記載の自動溶接システム。 【請求項14】 前記ラベル画像における前記アークの領域についての位置又は面積に基づいて、溶接状態が正常であるか否かを判定する溶接状態判定手段と、 前記溶接状態判定手段によって前記溶接状態が異常であると判定された場合に、前記溶接状態が異常であることを通知する通知手段と をさらに備える、 請求項11乃至13の何れかに記載の自動溶接システム。 【請求項15】 前記モデル構築手段は、前記補正情報生成手段による前記補正情報の生成に用いられない情報を含む前記画像特徴情報を出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されている、 請求項6乃至14の何れかに記載の自動溶接システム。 【請求項16】 前記補正情報の生成に用いられない情報である複数の候補情報から、前記機械学習モデルにおける前記画像の認識性能に基づいて、前記画像特徴情報に含むべき情報を決定する決定手段をさらに備え、 前記モデル構築手段は、前記決定手段によって決定された前記情報を含む前記画像特徴情報を出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されている、 請求項15に記載の自動溶接システム。 【請求項17】 溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像と、前記アーク溶接の状態に関する状態関連情報とを含む複数の教師データによって教師あり学習を実行し、前記画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする機械学習モデルを構築するモデル構築手段と、 アーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するカメラと、 前記カメラによって得られた画像を入力として前記機械学習モデルに与え、前記機械学習モデルから出力される状態関連情報を取得する情報取得手段と、 前記情報取得手段によって取得された前記状態関連情報に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御する制御手段と を備え、 前記モデル構築手段は、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報、並びに前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、 前記制御手段は、前記情報取得手段によって取得された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御するように構成されている、 自動溶接システム。 【請求項18】 前記モデル構築手段は、前記補正情報及び前記アーク溶接の状態の正常度合いを示す溶接正常度を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、 前記制御手段は、前記情報取得手段によって取得された前記補正情報及び前記溶接正常度にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御するように構成されている、 請求項17に記載の自動溶接システム。 【請求項19】 前記モデル構築手段は、前記補正情報の出力及び前記溶接正常度の出力を別々のタスクとする前記学習を実行するように構成されている、 請求項18に記載の自動溶接システム。 【請求項20】 前記モデル構築手段は、前記タスクのそれぞれに対して設定された優先度に基づいて前記学習を実行するように構成されている、 請求項19に記載の自動溶接システム。 【請求項21】 前記カメラは、前記溶融池、アーク、又は溶接ワイヤを時間的に連続して撮像するように構成されており、 前記モデル構築手段は、時間的に連続した複数の画像を含む時系列画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする前記機械学習モデルを構築するように構成されている、 請求項6乃至20の何れかに記載の自動溶接システム。 【請求項22】 前記機械学習モデルは、畳み込み層及びプーリング層を含む畳み込みニューラルネットワークである、 請求項6乃至21の何れかに記載の自動溶接システム。 【請求項23】 複数の前記状態関連情報を複数の組に分割する分割手段をさらに備え、 前記モデル構築手段は、前記分割手段によって分割された前記状態関連情報の組を各別に含む前記教師データによって教師あり学習を実行し、前記状態関連情報の組と各別に対応する複数の前記機械学習モデルを構築するように構成されており、 前記情報取得手段は、前記カメラによって得られた画像を入力として前記複数の機械学習モデルのそれぞれに与え、前記機械学習モデルのそれぞれから出力される前記状態関連情報の組を取得するように構成されている、 請求項6乃至22の何れかに記載の自動溶接システム。 【請求項24】 溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像と、前記アーク溶接の状態に関する状態関連情報とを含む複数の教師データによって教師あり学習を実行し、前記画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする機械学習モデルを構築するステップと、 アーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するステップと、 撮像して得られた画像を入力として前記機械学習モデルに与え、前記機械学習モデルから出力される状態関連情報を取得するステップと、 取得された前記状態関連情報に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御するステップと を有し、 前記機械学習モデルを構築するステップでは、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築し、 取得された前記画像特徴情報に基づいて、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を生成するステップをさらに有し、 前記溶接機構を制御するステップでは、生成された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御する、 溶接制御方法。 【請求項25】(削除) 【請求項26】 溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像と、前記アーク溶接の状態に関する状態関連情報とを含む複数の教師データによって教師あり学習を実行し、前記画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする機械学習モデルを構築するモデル構築手段と、 アーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するカメラと、 前記カメラによって得られた画像を入力として前記機械学習モデルに与え、前記機械学習モデルから出力される状態関連情報を取得する情報取得手段と、 前記情報取得手段によって取得された前記状態関連情報に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御する制御手段と を備え、 前記モデル構築手段は、前記画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報、並びに前記アーク溶接の状態の正常度合いを示す溶接正常度を前記状態関連情報として出力する前記機械学習モデルを構築するように構成されており、 前記情報取得手段によって取得された前記画像特徴情報及び前記溶接正常度に基づいて、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を生成する補正情報生成手段をさらに備え、 前記制御手段は、前記補正情報生成手段によって生成された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御するように構成されている、 自動溶接システム。 【請求項27】 前記モデル構築手段は、前記画像特徴情報の出力及び前記溶接正常度の出力を別々のタスクとする前記学習を実行するように構成されている、 請求項26に記載の自動溶接システム。 【請求項28】 前記モデル構築手段は、前記タスクのそれぞれに対して設定された優先度に基づいて前記学習を実行するように構成されている、 請求項27に記載の自動溶接システム。」 第4 当審より先に通知した取消しの理由の概要 本件訂正前の請求項1~25に係る特許に対して、当審が令和5年2月15日付け取消理由通知書(決定の予告)にて特許権者に通知した取消しの理由の概要は、次のとおりである。 ・理由1(進歩性)について 本件訂正前の請求項1~25に係る発明は、以下の甲第1号証に記載された発明及び甲第2~5号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1~25に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 甲第1号証:米国特許出願公開第2016/0193680号明細書 甲第2号証:特表2006-502001号公報 甲第3号証:米国特許第4877940号明細書 甲第4号証:特開2009-195977号公報 甲第5号証:特開2007-181871号公報 (以下「甲第1号証」~「甲第5号証」を、それぞれ「甲1」~「甲5」という。) 第5 本件特許発明に対する当審合議体の判断 上記第3にて認定した本件訂正後の本件特許発明6~24、26~28が、上記第4の取消理由通知書(決定の予告)にて通知した取消しの理由を解消しているかについて、以下検討する。なお、本件特許発明1~5、25は削除された。 1 本件特許発明6について (1)甲号証に記載された発明等の認定 ア 甲1発明 (ア)甲1には、以下の事項が記載されている(日本語訳は、当審による訳に基づく。下線は当審にて付した。以下同様。)。 A「ABSTRACT An automated welding device comprises ・・・into the one or more welding parameters of the automated welding device.」 <日本語訳> 「要約 本発明のシステムは、60dB以上のダイナミック・レンジを有するカメラ、処理回路、溶接トーチ、および電気機械サブシステムを備える自動溶接装置を含み、前記カメラは可視および/または赤外線の波長を使って一つ以上のワークピースの画像を捕捉するように動作し、前記処理回路は一つ以上のワークピースの物理的特性の決定のために画像を処理するように動作し、前記処理回路は溶接トーチによる接合部の溶接中に、一つ以上のワークピースの決定された物理的特性に基づく、そして一つ以上のワークピースの溶接中に自動化された溶接装置の一つ以上の溶接パラメータを制御する電気信号を発するように動作し、そして、前記電気機械サブシステムは電気信号を自動化された溶接装置の一つ以上の溶接パラメータに変換するように動作することを特徴とする。」 B「[0014] The track 116 comprises, for example,・・・and fusion of multiple captures with varying integration time.」 <日本語訳> 「[0014] トラック116は、例えば、パイプに一時的に取り付けられた(例えば、クランプされ、磁石を介して保持された)金属バンド(またはチェーン)および/またはフレームを備える。トラック116は、パイプの周りのバグ100をガイドし、推進するのに役立つ場合があります。トラック116および/またはパイプ118aおよび118bは、基準点(「データム」)として機能するマーキング、センサ、送信機、磁石、および/または他の特徴を備え得る。マーキング520aおよび520bの例が図5に示されている。次に、バグ100によって収集されたデータは、トラック116に取り付けられた後続のバグが、バグ100からのどのデータがトラック116に沿ったどのポイントに適用されるかを決定できるように、それが収集されたトラック116に沿った位置を参照することができる。接合部120に沿った特定の位置についてカメラ104によってキャプチャされたデータは、その場所でキャプチャされたデータムと一緒に(例えば、カメラ104、バグ100、および/またはカメラ104および/またはバグ100が通信可能に結合されたサーバのメモリに)格納され得る。これは、溶接中または溶接が行われていないパス中に実行できます。次に、後続のパス中に、バグ100は、接合部を見ずにデータムを(カメラ104を介して)単に見て、格納されたデータからジョイントジオメトリ(例えば、接合部の1つまたは複数のエッジの位置)を調べ、そして対応する制御信号をバグ100の様々な構成要素に送信する。このアプローチの利点は、後続のパスでのデータリコールのための追加の位置決め(例えば、GPS)システムの費用なしで同じカメラ104を使用できることである。もう1つの利点は、カメラをアークや火花の過酷な環境から物理的に遠ざけることができることです。カメラ104は、溶接用に特別に設計されている必要はないかもしれない。カメラ104は、60dB以上変化する光強度の範囲をキャプチャすることができる高ダイナミックレンジ(HDR、中ダイナミックレンジ、超高ダイナミックレンジ、およびワイドダイナミックレンジとも呼ばれる)技術をサポートすることができる。HDR技術では、次の1つ以上を使用できます。非線形または対数応答のイメージャ。局所適応(人工網膜としても知られています);ウェル容量調整;空間的に変化する露出時間;飽和までの積分時間のピクセルごとの制御、およびさまざまな積分時間での複数のキャプチャの融合。」 C「[0028] Returning to FIGS. 1A-1C, use of HDR imager(s)・・・based on the wavelengths of light emitted from that portion of the puddle.」 <日本語訳> 「[0028] 図1および2に戻る。図1A~1Cでは、HDRイメージャおよび/または短絡同期画像キャプチャおよび/または上記のような他の技術を使用して明るいアークの影響を軽減することにより、溶接アークおよび/または溶接池をカメラの視野に含めることを可能にすることができる。そのような場合、画像プロセッサ102は、溶接アークおよび/または溶接池の特性(例えば、サイズ、放出光の波長など)を測定し、溶接浸透に関する情報を決定し、および/または高度な溶接欠陥検出を実行するための画像処理アルゴリズムを実装することができる。画像プロセッサ102は、そのサイズ(例えば、表面積、体積、幅、および/または深さ)、放出された光の波長、および/または明るさに基づいて、溶接池の温度(例えば、温度プロファイルまたは輪郭マップ)を推定するアルゴリズムを実装することができる。カメラが波長の範囲をキャプチャするように構成されている場合、溶接池の一部の温度は、溶接池のその部分から放出される光の波長に基づいて計算することができる。」 D「[0034] The image processor 102 comprises・・・the bug 100 via a wired, wireless, and/or optical communication link.」 <日本語訳> 「[0034] 画像プロセッサ102は、カメラ104が取得した画像を処理するための回路を備える。画像プロセッサ102は、例えば、管118aおよび118bの種類および/または寸法、接合部120の寸法および位置(「継手フィット」を含む)、溶接パラメータ(例えば、作業角度、移動角度、移動速度、およびコンタクトチップから加工物への距離)、周囲照明、アーク輝度などの有用な情報を抽出するための画像処理アルゴリズムを実施し得る。画像プロセッサ102は、バグ100に取り付けてもよく、あるいは、バグから物理的に離してもよく、バグ100と有線、無線、および/または光学通信リンクを介して通信してもよい。」 E「[0036] The weld torch 114 is an electromechanical subsystem・・・ or any other type of welding.」 <日本語訳> 「[0036] 溶接トーチ114は、電極を備えかつ溶接ワイヤを接合部120に案内し、そのコンタクトチップから電極を通して溶接アークに電力を伝え、かつ溶接池を覆うために遮蔽気体を輸送し方向つけることがある電気機械サブシステムである。溶接トーチ114は、例えば、遮蔽された金属アーチ溶接、TIG溶接、MIG溶接、あるいは任意の他のタイプの溶接をおこなうように構成し得る。」 F「[0041] In operation the bug 100 travels along the track 116・・・to determine temperature by capturing infrared wavelengths).」 <日本語訳> 「[0041] 動作中、トーチ114が接合部120を溶接するとき、バグ100はトラック116に沿って移動する。バグ100がトラック116に沿って進行するとき、カメラ104によってキャプチャされた画像は、溶接プロセスに関連する様々な特性を検出するために画像プロセッサ102によって処理される。さらに、または代わりに、そのような特性は、センサ128の出力に基づいて、および/または先験的知識(例えば、バグがネットワークを介してアクセスする、および/またはバグ100のメモリに格納される格納されたデータベース)に基づいて決定され得る。そのため、溶接プロセスの特性評価は、マルチモーダル学習に基づいている。そのような特性には、例えば、接合部120の特性(例えば、エッジの位置、中心線の位置、深さ、および/または幅)、管118の特性(例えば、サイズ、形状、直径など)、溶接池の特性(サイズなど)、溶接アークの特性(サイズ、明るさなど)、および/または溶接パラメータ(移動速度、移動角度、作業角度、照準、コンタクトチップからワークまでの距離)、および/または接合部120の温度(たとえば、溶接池の後ろおよび/または前(進行方向))が含まれ得る。特性に基づく制御は、1つまたは複数を調整することを含み得る。例えば、溶接プロセス中に、溶接電圧、溶接電流、溶接ワイヤ速度、トーチ114の角度、トーチ114の横方向位置、垂直、トーチ114の位置、トーチ114の振動幅、バグ100がトラック116に沿って移動する速度、カメラ104の露光時間、レンズ106の焦点距離、レンズ106上のフィルターの暗さ、横方向の位置 カメラ104、カメラ104の垂直位置、照明サブシステム112の横方向位置、照明サブシステム112の角度、照明サブシステム112の垂直位置、照明サブシステム112の強度、照明サブシステム112の波長 、および/または画像データを使用する溶接ビード、溶接池、および/または溶接池の前の接合部の温度(任意選択で、任意の実施形態において、イメージャは、赤外線波長を捕捉することによって温度を決定するように動作可能であり得る)。」 G「[0090] FIGS. 6A-6E depicts example images captured by the camera・・・in an attempt to deposit more metal to fill the divot).」 <日本語訳> 「[0090] 図6A-図6Eは、図1の溶接平行移動プラットフォームのカメラによって撮影された例の画像を描いている。図6Aは、トーチの前方(進行方向)に位置するカメラ104で撮影した接合部120、溶接池602、電極606及びビード604の画像である。実装例において、このビューは、接合部120を追跡するために使用され得る。図6Bは、トーチの後方(進行方向)に位置するカメラ104で撮影した溶接池602、電極606、およびビード604の画像である。実装例において、このビューは、溶接池サイズを測定し、浸透を監視するために使用され得る。図6Cは、トーチの前方からの別の図を示しているが、ガスノズル608及びコンタクトチップ610が見える俯瞰角度からは図示している。実装例において、このビューは、電極突出部(消耗電極がアークに到達する前にコンタクトチップの底部出口を超えてどれだけ遠くまで延長されるかの尺度)の測定、ならびに接合部120との位置合わせに使用され得る。これに関して、図示の例では、電極606は接合部120を中心としていない。この画像に応答して、電極606を右に移動させ、トーチをZ方向に上下に動かして一定の電極を突き出し、その結果、一定の熱入力および一定の浸透を維持する信号が送られ得る。図6Dは、トーチの前方からの別の図を示しており、2つの配管間に隙間がある例を示している。例示的な実装形態では、このような画像を使用して、このギャップを測定し、移動速度、ワイヤ送り速度、電圧、電流、および/または他の何らかのパラメータを調整して、ギャップをよりよく埋めることができる。図6Eは、トーチの前からの別の図を示し、前の通過中に敷設されたビード604に異常(例えば、ディボットまたはこぶ)610がある例を示す。例示的な実装形態では、そのような画像を使用して、そのような異常を検出し、調整(例えば、移動速度、ワイヤ送り速度、電圧、電流、および/または他の何らかのパラメータを調整する)をトリガして、異常を修正しようとする(例えば、ダイボットを埋めるためにより多くの金属を堆積させようとしてワイヤ速度を遅くおよび/または増加させる)。」 H「[0091] In accordance with an example implementation of this disclosure,・・・(slower speed corresponding to higher heat input).」 <日本語訳> 「[0091] 本開示の一実施例によれば、自動溶接装置(例えば、100)は、60dB以上のダイナミックレンジを有するカメラ(例えば、104)、処理回路(例えば、102および122)、溶接トーチ(例えば、114)、および電気機械サブシステム(例えば、124)を備える。カメラは、可視、近赤外線、および/または赤外線の波長を使用して、一つまたは複数のワークピース(例えば、管116aおよび116b)の画像(例えば、図3、4A~4B、6A~6Eに示す画像)を取り込むように動作可能である。処理回路は、前記一つまたは複数のワークピースの物理的特性を決定するために画像を処理するように動作可能である。前記一つまたは複数のワークピースの物理的特性は、サイズ(例えば、接合部(例えば、120)の幅および/または深さ)、接合部に対応する接合部の体積、接合部の肩の高さ、溶接トーチのコンタクトチップに対する接合部の位置、電気的突き出し、アーク長、溶接池の形状(例えば、サイズおよび/または形状)、溶接池の位置(例えば、接合部の中心からの溶接池の中心のオフセットなど)、溶け込み、固化ビードのプロファイル(例えば、サイズおよび/または形状など)、および/またはアンダーカット、メルトスルー、融着の欠如、および不均一な溶融などの欠陥の特性(例えば、存在、サイズ、形状、位置、深刻度など)を含み得る。処理回路は、溶接トーチによる前記一つまたは複数のワークピースの溶接中に、前記一つまたは複数のワークピースの決定された物理的特性に基づき電気信号を生成し、前記一つまたは複数の溶接中に自動溶接装置の前記一つまたは複数の溶接パラメータを制御するように動作可能である。前記一つまたは複数の溶接パラメータは、自動化溶接装置の機械的作用に対応する場合があり、電気機械サブシステムは、電気信号を自動化溶接装置の機械的作用に変換させるように動作可能である。自動化溶接装置は、決定された物理的特性を有線または無線通信リンク上へ送信するように動作可能であるトランシーバー(例えば130)を含み得る。トランシーバーは、前記一つまたは複数のワークピース間の接合部に沿ったパスを以前に行った別の自動化管溶接装置からの前記一つまたは複数のワークピースに関する情報を受信するように動作可能であり得て、電気信号の生成は、他の自動化溶接装置からの前記一つまたは複数のワークピースに関する情報に基づき得る。トランシーバーは、前記一つまたは複数のワークピースに沿ったパスを以前に行った別の自動化溶接装置からの前記一つまたは複数のワークピースに関する情報を受信するように動作可能であり得る。処理回路は、他の自動化溶接装置が情報を取り込んだ際のトラックの位置に対する、自動化溶接装置が取り付けられたトラックの動きに基づいて情報を補償するように動作可能であり得る。自動化溶接装置の機械的作用は、接合部に沿った自動化溶接装置の移動および/または継手に対する溶接トーチのコンタクトチップの移動を含み得る。自動化溶接装置は、カメラを保護する光学シールドを含み得て、画像の処理は、光学シールド上の障害物についての検査を含み得る。自動化溶接装置は、ワークピースを照明する(例えば、溶接池、溶融池および/または溶接池の後ろの固化溶接部の照明を含む)照明サブシステムを含み得て、電気信号は、前記一つまたは複数のワークピースの決定された物理的特性に基づき、および/または、接合部に沿ったどのパス(例えば、ルート、フィル、キャップ等)が行われているかに基づき光の特性が変化するように、照明システムによって生成される光の特性を制御し得る。光の特性には、光が明視野か暗視野かどうかを含み得る。画像の処理には、画像中に存在するエッジ候補の同定を含む。実際の溶接接合部のエッジの同定には、エッジ候補長さ、エッジ候補の無機、エッジ候補厚さ、およびエッジ候補輝度の内の一つまたは複数に基づき溶接スパッタから生じる誤ったエッジ候補のフィルターリングを含み得る。画像は、前記一つまたは複数のワークピース上の基準マークを取り込み得て、画像の処理は、画像が取り込まれた接合部に沿った位置の、基準マークに基づく決定を含み得る。自動化溶接装置は、非画像使用センサ(例えば、一つまたは複数のセンサ128)を含み得て、前記一つまたは複数のワークピースの特性の決定は、非画像使用センサの出力に基づき得る。前記一つまたは複数のワークピースの物理的特性の決定は、前記一つまたは複数のワークピースの先験的知識および/または、自動化溶接装置の先験的知識(例えば、コントローラ122のメモリに格納)に基づき得る。物理的特性の決定は、継手に沿った第一のパス(例えば、ルートパスまたはフィルパス)中に起こり得て、かつ電気信号の生成は、継手に沿った以後のパス(例えば、フィルパスまたはキャップパス)中に起こり得る。処理回路は、電圧、電流、前記一つまたは複数のワークピースへの熱入力、ワイヤ速度、前記自動化溶接装置の移動速度、および/または前記溶接トーチのコンタクトチップと前記一つまたは複数のワークピースの間の距離のフィードフォワードおよび/またはフィードバック制御を、前記一つまたは複数のワークピースの前記決定された物理的特性に基づいて行うように動作可能であり得る。熱入力の制御は、例えば、ワークピースと溶接トーチの間の電圧、トーチからワークピースに送達される電流、および自動化溶接装置の速度(より高い熱入力に対応するより遅い速度)の制御を含み得る。」 I 図6A~6C 「 [図:0001403642000001.jpg] [図:0001403642000002.jpg] [図:0001403642000003.jpg] 」 (イ)上記(ア)から、甲1には、自動溶接装置に関して次の事項が記載されていることが理解できる。 A 甲1のABSTRACT、段落[0028],[0036],[0041]の記載から、甲1に記載の自動溶接装置は、溶接ワイヤを含む電極606を接合部120に導く溶接トーチ114を用いてアーク溶接を行う装置であることがわかる。 B 甲1のABSTRACT、段落[0014],[0028],[0090],[0091]の記載、及び、図6A~6Cから、甲1に記載の自動溶接装置は、カメラ104により、溶接池602、溶接アーク、及び消耗電極である溶接ワイヤを含む電極606の像を含む画像を撮影することがわかる。 また、ABSTRACT、段落 [0041]の記載から、甲1に記載の自動溶接装置は、カメラ104により撮影された画像を、画像プロセッサ102によって処理することで、溶接池の特性(例えば、サイズなど)、溶接アークの特性(例えば、サイズ、輝度など)、溶接パラメータ(例えば、移動速度、移動角度、作業角度、照準、コンタクトチップからワークまでの距離)、及び/又は、接合部120の温度等の溶接プロセスに関連する様々な特性を検出するものであることがわかる。 また、段落[0028]の記載から、甲1に記載の自動溶接装置における画像プロセッサ102は、入力した画像から、溶接アークおよび/または溶接池の特性(例えば、サイズ、放出光の波長など)を測定し、溶接浸透に関する情報を決定し、および/または高度な溶接欠陥検出を実行するための画像処理アルゴリズムを実装していることがわかる。 さらに、そのサイズ(例えば、表面積、体積、幅、および/または深さ)、放出された光の波長、および/または明るさに基づいて、溶接池の温度(例えば、温度プロファイルまたは輪郭マップ)を推定するアルゴリズムを実装していることがわかる。 また、段落[0090]における図6Cに関する記載から、甲1に記載の自動溶接装置は、消耗電極である電極606と接合部120との位置合わせのために、カメラ104で撮影した接合部120、溶接池602、電極606及びビード604の画像に基づいて、電極606の位置を移動させる制御を行うものであることが理解できる。 加えて、段落[0091]の記載から、甲1に記載の自動溶接装置は、画像を処理することで決定される物理的特性の1つとして、例えば接合部の中心からの溶接池の中心のオフセットなどの溶接池の位置を含む特性が出力され、その物理的特性に基づいて自動溶接装置の溶接パラメータを制御するものであることが理解できる。 してみると、画像プロセッサ102の当該アルゴリズムは、画像を入力とし、溶接池の温度の推定値等の特性等の溶接プロセスに関連する特性を出力するものであるといえるし、また、当該プロセッサは、カメラ104で撮影した接合部120、溶接池602、電極606及びビード604の画像を入力とし、消耗電極である電極606と接合部120との位置関係、又は、接合部120の中心からの溶接池602の中心のオフセットなどの溶接池の位置に関する溶接プロセスに関連する特性を出力するものであることが理解できる。 また当然に、当該アルゴリズムは、画像、並びに、溶接池の温度、消耗電極である電極606及び接合部120の位置関係、又は、接合部120の中心及び溶接池602の中心の位置関係を含むデータに基づいて、自動溶接装置に実装される前にモデル(例えば、画像から当該2つの位置関係をエッジとして適切に抽出するための調整等を施したモデル)として構築されるものであることが技術常識であるといえる。 C 甲1のABSTRACT、段落[0041]の記載から、甲1に記載の自動溶接装置は、当該特性に基づいて、例えば、溶接プロセス中に、溶接電圧、溶接電流、溶接ワイヤ速度、トーチ114の角度、トーチ114の横方向位置、トーチ114の垂直方向位置、トーチ114の振動幅等の、アーク溶接を実行する溶接機構を制御する手段を備えていることがわかる。 D 上記Bのとおり、甲1に記載の自動溶接装置は、画像プロセッサ102によって画像処理することで、溶接池の特性(例えば、サイズ)、溶接アークの特性(例えば、サイズ、輝度)、溶接パラメータ(例えば、移動速度、移動角度、作業角度、照準、コンタクトチップからワークまでの距離)等の、溶接プロセスに関する特性を検出し、上記Cのとおり、当該検出された特性に基づいて、溶接電圧、溶接電流、溶接ワイヤ速度、トーチ114の角度、トーチ114の横方向位置、トーチ114の垂直方向位置、トーチ114の振動幅等の、アーク溶接を実行する溶接機構を制御するものである。そして、当該特性が変化すれば、制御量も変化することは自明であって、制御量の変化分を補正情報として制御することも、制御一般において通常に行われる事項であるといえる。 (ウ)上記(ア)及び(イ)から、甲1に記載された事項を本件特許発明6に合わせて整理すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている、といえる。 「溶接ワイヤを用いたアーク溶接における接合部120、溶接池602、溶接アーク及び電極606の像を含む画像と、前記アーク溶接の溶接プロセスに関する特性とを含むデータによって、前記画像を入力とし前記溶接プロセスに関する特性を出力とするアルゴリズムを構築するアルゴリズム構築手段と、 アーク溶接における接合部120、溶接池602、溶接アーク及び電極606を撮像するカメラ104と、 前記カメラ104によって得られた画像を入力として前記アルゴリズムに与え、前記アルゴリズムから出力される溶接プロセスに関する特性を取得する情報取得手段と、 前記情報取得手段によって取得された前記溶接プロセスに関する特性に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御する制御手段と を備え、 前記アルゴリズム構築手段は、前記画像中の溶接池602及び接合部120、又は電極606及び接合部120の領域についての位置に関する情報を含む溶接プロセスに関する特性を出力する前記アルゴリズムを構築するように構成されており、 前記情報取得手段によって取得された前記溶接プロセスに関する特性に基づいて、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を生成する補正情報生成手段をさらに備え、 前記制御手段は、前記補正情報生成手段によって生成された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御するように構成されている、 自動溶接装置。」 イ 甲2記載の技術的事項 (ア)甲2には、自動溶接システムに関して以下の事項が記載されている。 A「【請求項17】 前記訓練可能なシステムが、ニューラル・ネットワークである請求項18に記載の装置。」 B「【請求項23】 パルス化電源のアーク溶接プロセスを適応制御するシステムであって、 アーク溶接パルスの間に放出される信号を検知する手段と、 前記信号から実験移行モードを認識する手段と、後続のパルスに修正された移行モードを作るようにパルス化電力パラメータ・セットを決定する手段とを備える訓練可能なシステムと、 前記パラメータ・セットを使用して電源を制御するための手段とを備えるシステム。」 C「【0024】 滴移行モードは、滴移行に関連するアーク溶接パルスの間に放出される信号を検知することによって観察されることができる。信号は、例えば、放射フラックス、電位フラックス、音響放射、機械振動、磁気フラックスなどでありえる。センサは、例えば、フォトダイオード、電荷結合デバイス(CCD)、検流計、マイクロホン、圧電振動センサ、容量センサ、磁力計などの信号を検知するデバイスである。センサは、受動センサ、すなわち溶接プロセスから自然に放出される信号を検知するセンサ、若しくは能動センサ、すなわちレーザに結合されたフォトダイオードなどの溶接プロセスを問い合わせるデバイスに結合されたセンサでありえる。好ましくは、検知された信号は、放射フラックスであり、すなわちアーク溶接パルスの間に自然に放出されたルミネッセンスであり、かつセンサはフォトダイオードである。」 D「【0033】 「本発明において、多数の異なるニューラル・ネットワーク・アーキテクチャが、使用されることができ、例えば、A d a l i n e ネットワーク、後方伝播ネットワーク、Hopfieldモデル、両方向結合性メモリ・ネットワーク、Boltzmannマシン、カウンタ伝播ネットワーク、自己構成マップ、適応共振理論ネットワーク、蓋然性ニューラル・ネットワークなどを含む。例えば、参照によってその開示全体が本明細書に組み込まれる、John WileyによるMasters,T、「Practical Neural Network Recipes」、ニューヨーク、1993年を参照されたい。より詳細には、蓋然論的ニューラル・ネットワークが使用される。蓋然性ニューラル・ネットワークは、高速訓練速度、さらなる例に対する訓練の容易性、雑音の多い若しくは不連続的なデータに対する頑強性、及びパターンなどの分類データにおける良好な性能を含む、いくつかの利点を提供する。例えば、参照によってその開示全体が本明細書に組み込まれる、Specht,D.F.「Neural Networks」、第3巻、1990年、頁109-118、米国特許第6442536号、米国特許第5554273号、及び米国特許第5327357号を参照されたい。」 E「【0063】 実際の滴分離作用は、高速ビデオによって記録される。ビデオは、センサ・データと画像を自動的に相関する、専用のコンピュータで制御されたシステムによって実行される。システムは、溶接領域を照明するためにヘリウム・ネオン・レーザを含み、結果としての画像は、1秒毎に2000個のフレームのビデオ・カメラによって獲得される。このビデオ・システムの詳細は、その教示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Balsamo,PSS;Vilarinho,LO;Vilela,M;Scotti,Aの「International Journal of Joining Materials」、第12巻、2000年、1~12頁に記載される。 【0064】 一連の制御フラグは、ネットワークに関して決定される。この例において、実験滴移行モードは、目標移行モードに中心合わせされた7個の制御フラグに分類される。目標モードは、パルス期間の中心のまわりで移行されるパルス毎の1つの滴である。後続のパルスに関するパルス期間の制御に関して、フラグは、あれば変更が行われるべきシステムを表す。図1-3は、パルス期間がより長くあるべきであることを示し、一方、図5-7は、パルス期間がより短くあるべきであることを示す。フラグ4は、デフォルト条件であり、すなわち実験モードは、目標モードに合う。これらのフラグ及び上述の高速ビデオ画像を使用して、訓練及び確認データ・セットにおける、各パルスの滴移行モード及び各パルス毎の実験移行モードが分類される。」 (イ)上記(ア)から、甲2には以下の技術的事項(以下「甲2記載の技術的事項」という。)が記載されている、といえる。 「パルス化電源のアーク溶接プロセスを適応制御する自動溶接システムであって、 アーク溶接パルスの間に放出される信号を検知する手段と、 前記信号から実験移行モードを認識する手段と、後続のパルスに修正された移行モードを作るようにパルス化電力パラメータ・セットを決定する手段とを備える訓練可能なシステムと、 前記パラメータ・セットを使用して電源を制御するための手段とを備え、 訓練されたシステムは、実際の試験における溶接電源を動作するために使用され、 前記アーク溶接パルスの間に放出される信号を検知する手段は、1秒毎に2000個の画像を獲得できる高速ビデオであり、 前記訓練可能なシステムが、後方伝播ネットワークを含むニューラル・ネットワークであること。」 ウ 甲3記載の技術的事項 (ア)甲3には、自動溶接システムに関して以下の事項が記載されている。 A 第1欄第18~22行 「The analysis, in real time, of the weld puddle ・・・good definition of the weld puddle.」 <日本語訳> 「溶接池のリアルタイム分析は、閉回路テレビで試みられましたが、溶接で放出される光は非常に明るく、さまざまな金属では、溶接池を適切に定義するにはコントラストが不十分な場合があります。」 B 第3欄第8~16行 「Infrared images of the weld are captured by scanning with an infrared camera,・・・by determining the average center of brightness of the image.」 <日本語訳> 「溶接部の赤外線画像は、赤外線カメラでスキャンし、スキャンした情報をデジタル化し、その情報を第1の画像プロセッサに入力し、その後、第1の画像プロセッサの処理済み圧縮出力を第2の画像処理エキスパートシステムに転送します。第1のプロセッサは、画像の平均輝度中心を決定することにより、溶接池の中心を特定します。」 C 第3欄第42~60行 「The information thus acquired is analyzed ・・・which actually controls the welding apparatus.」 <日本語訳> 「このようにして取得された情報は、第2の画像処理エキスパートシステムプロセッサによって分析され、溶接池の追跡に関連する特徴量が決定され、溶接プロセスの速度や方向、温度、および溶接が正常に進行しているか、修正が必要かどうか等、溶接池の選択された幾何学的および冶金学的データ特性が解釈されます。3番目のコントローラーエキスパートシステムプロセッサーは、この情報をさらに分析して、電力、速度、および方向に関連する制御戦略を定義する情報を生成します。特に、溶接速度と溶接電流は、溶接池のサイズに応じて制御されます。たとえば、溶接池のサイズが小さすぎる場合は、溶接速度を下げたり、溶接電流を増やしたりすることができます。この情報は、おそらく「C」で書かれた特別な機械制御プログラムを含み、実際に溶接装置を制御する、第4の機械制御エキスパートシステムプロセッサに供給される。」 D 第7欄第5~12行 「According to one version, as shown in FIG. 1,・・・clear images of the weld puddle 19 under observation.」 <日本語訳> 「1つのバージョンによれば、図1に示されるように、本発明による溶接システム13は、ラジオメータ15、画像分析器16(1)を含むコントローラ16、および、例えば、観察中の溶接池19の鮮明な画像を生成する10.6ミクロンの波長の上限レンズフィルターを備えた12インチのクローズアップレンズを含む赤外線(IR)検出器17を含む。」 E 第8欄第14~63行 「The output of the radiometer 15 is connected ・・・the center of the weld puddle is determined as follows:」 」 <日本語訳> 「ラジオメータ15の出力は、画像分析器16(1)に接続されている。画像分析器16(1)は、好ましくは「C」で書かれた選択された形状認識アルゴリズムで受信されたデータを処理する。溶接池の形状の決定およびその外側境界の発見は、その境界に沿って溶接池19を追跡し、最大池幅および池の重心を決定することによって達成される。これは、以下で説明するように、デジタルで行われる。特に、ラジオメータ15は、画像分析器16(1)上の画像処理ボードによって受信されるビデオ信号を提供する。このボードは、アナログビデオ信号を画像処理コンピュータ16(1)上のバイトの配列としてデジタル表現に変換する。各バイトは、256の異なるグレーレベルの1つを表す。コンピュータ16(1)上の画像処理アレイは、最大512×512ピクセル、ピクセルあたり8ビットの情報の完全な虚数を収容し、格納することができる。アレイは毎秒30回スキャンされるため、ラジオメータ15は、手動のダイヤルとノブを使用して溶接池の特定の機能に十字線を設定できるコントロールを備えたビデオディスプレイ(図示せず)を効果的に使用できる。本発明によるラインスキャンは、(x,y)軸を有し、(x,y)情報に加えて((x,y)上の特定の点に関連する明るさ)を提示することができる単一のカメラを使用する3次元での形状認識を含む。二次元(x,y)画像は強度を示す数値を持っている。これにより、立体的で表示可能な効果が得られる。生成された実際の画像を調べることにより、この3次元画像の側面の傾斜などの特定の特徴が、溶接池の側面の冷却速度の定性的な尺度として明らかになる。このような表現では、溶接池19の欠陥はダークスポットとして表示される。 本発明の好ましい実施形態では、画像分析器16(1)が溶接池19の赤外線画像のデジタル表現から情報を抽出する正確な技術は以下の通りである。まず、溶接池19の中心は、画像の明るさの中心に点を配置することによって決定される。画像の左上隅に座標(0,0)があり、x軸の値が画像の上部を横切って右に向かって増加し、y軸の値が画像の右端に沿って下に向かって増加するとする。画像であり、P(x,y)が位置(x,y)のピクセルの明るさである場合、溶接池の中心は次のように決定される。」 F 第12欄第40~62行 「In addition to controlling and monitoring weld speed and weld current,・・・to control the arc length of the torch.」 <日本語訳> 「プロセスコントローラは、溶接速度と溶接電流の制御と監視に加えて、溶接池19の位置を監視することにより、トーチの位置と配置を追跡および制御する。プロセスコントローラは、不一致(一緒に溶接される表面が同一平面上になく、溶接点で実質的に一致する場合)、プレートシームと、溶接機がたどる経路と過度のルート開口部との間の不整合、などのエラー状態をさらに監視し、トーチの位置、高度、および配置を調整して、このようなエラー状態を最小化または排除する。このような不一致、ミスアライメント、および過度のルート開口状態の検出に応じて、溶接速度または電流を変更する、または、トーチを傾けたりシフトしたりして、溶接するプレート間に適切な溶接シームを明確に確立する。トーチ角度は通常、溶接される表面に垂直または垂直である。ただし、溶接ロボットは、必要に応じて溶接トーチを横、前、または後ろに傾けることができ、トーチを(x,y)座標平面上の任意の場所に前、後ろ、および横に配置したり、トーチの弧の長さを制御するz軸に沿ってシフトしたりできる。」 G 第13欄第64行~第14欄第5行 「The image processing algorithms determine ・・・including one or more protrusion 222.」 <日本語訳> 「画像処理アルゴリズムは、溶接池の生の特徴を決定し、実際のエラー決定は、それらの決定を確立するために所定のルールセットを使用する画像処理エキスパートシステムで実行される。すべての初期溶接エラーは非常によく似ている。したがって、欠陥の種類を区別するためにすぐに労力を費やすことはない。代わりに、溶接欠陥は観察下で少し大きくなることが許されている。それが成長するにつれて、1つまたは複数の突起222を含む特徴的なパターンが現れ始める。」 (イ)上記(ア)から、甲3には以下の技術的事項(以下「甲3記載の技術的事項」という。)が記載されている、といえる。 「溶接部の溶接池の赤外線画像は、赤外線カメラでスキャンし、スキャンした情報をデジタル化し、その情報を第1の画像プロセッサに入力し、その後、第1の画像プロセッサの処理済み圧縮出力を第2画像処理エキスパートシステムに転送し、 このようにして取得された情報は、第2の画像処理エキスパートシステムプロセッサによって分析され、溶接池の追跡に関連する特徴量が決定され、溶接プロセスの速度や方向、温度、および溶接が正常に進行しているか、修正が必要かどうか等、溶接池の選択された幾何学的および冶金学的データ特性が解釈され、 3番目のコントローラーエキスパートシステムプロセッサーは、この情報をさらに分析して、電力、速度、および方向に関連する制御戦略を定義する情報を生成し、特に、溶接速度と溶接電流は、溶接池のサイズに応じて制御され、たとえば、溶接池のサイズが小さすぎる場合は、溶接速度を下げたり、溶接電流を増やしたりすることができ、 この情報は、実際に溶接装置を制御する、第4の機械制御エキスパートシステムプロセッサに供給されるものであって、画像処理アルゴリズムは、溶接池の生の特徴を決定し、実際のエラー決定は、それらの決定を確立するために所定のルールセットを使用する画像処理エキスパートシステムで実行され、 プロセスコントローラは、溶接速度と溶接電流の制御と監視に加えて、溶接池の位置を監視することにより、トーチの位置と配置を追跡および制御し、不一致(一緒に溶接される表面が同一平面上になく、溶接点で実質的に一致する場合)、プレートシームと、溶接機がたどる経路と過度のルート開口部との間の不整合、などのエラー状態をさらに監視し、トーチの位置、高度、および配置を調整して、このようなエラー状態を最小化または排除し、このような不一致、ミスアライメント、および過度のルート開口状態の検出に応じて、溶接速度または電流を変更する、または、トーチを傾けたりシフトしたりして、溶接するプレート間に適切な溶接シームを明確に確立すること。」 エ 甲4記載の技術的事項 (ア)甲4には、自動溶接装置に関して以下の事項が記載されている。 A「【0001】 本発明は、自動溶接制御方法及び自動溶接装置に係り、特に、溶接用レーザセンサと溶接用視覚センサを併用して、高精度の溶接制御を行なうことが可能な自動溶接制御方法、及び、この自動溶接制御方法を採用した自動溶接装置に関する。」 B「【0048】 撮れた溶融池画像とワイヤ画像の処理方法は、例えば、特許文献2乃至4に記載した方法を用いることができる。即ち、特許文献2に記載したように、図6に示す如く、視覚センサで被溶接物10の溶融池12とその近傍を撮影し、撮影した画像から溶融池12の輪郭13を抽出し、抽出した輪郭13から溶融池12の左端点LPと右端点RP及び溶融池12先端の左端点FLPと右端点FRPの4箇所の特異点を抽出する。抽出した4箇所の特異点で構成された四角形14の2本の対角線L1、L2の長さの差を算出し、算出した2本の対角線の長さの差ΔLから溶接線に対する電極24の倣い位置ずれの有無と倣い位置ずれ方向及び倣い位置ずれ量を算出し、算出した電極24の位置ずれ量と倣い位置ずれ方向に基づいて、溶接トーチ22の位置を制御する(ステップ130)。これにより高精度な溶接線倣い制御を行なうことができる。」 C「【0050】 あるいは、特許文献4に記載したように、図8に示す如く、視覚センサで撮影した被溶接物10の溶融池12及びその近傍の画像からトーチ揺動の左右端部の画像16R、16Lを抽出し、抽出した左右端部の画像16R、16Lを合成して仮想溶融池画像12´を有する合成画像18を作成し、仮想溶融池画像12´の左端点LPと右端点RPとの間の距離を揺動幅特徴量として算出して開先幅変動に対するトーチ揺動パターンの追従(適応)制御を適切に行なう。又、電極画像24の先端中心点WPから仮想溶融池画像12´の左端点LPと右端点RPの中央点までの距離を揺動中心特徴量として算出し、算出した揺動中心特徴量を用いて開先中心線倣い制御を適切に行なう(ステップ130)。図において、11´は仮想的な開先である。これにより、ルートギャップや裏当て隙間や目違いが変わっても良好なビード形状とビード品質を安定して得ることができる。」 (イ)上記(ア)から、甲4には以下の技術的事項(以下「甲4記載の技術的事項」という。)が記載されている、といえる。 「視覚センサで被溶接物の溶融池とその近傍を撮影し、撮影した画像から溶融池の輪郭を抽出し、抽出した輪郭から溶融池の左端点LPと右端点RP及び溶融池先端の左端点FLPと右端点FRPの4箇所の特異点を抽出し、抽出した4箇所の特異点で構成された四角形の2本の対角線L1、L2の長さの差を算出し、算出した2本の対角線の長さの差ΔLから溶接線に対する電極の倣い位置ずれの有無と倣い位置ずれ方向及び倣い位置ずれ量を算出し、算出した電極の位置ずれ量と倣い位置ずれ方向に基づいて、溶接トーチの位置を制御すること、 あるいは、視覚センサで撮影した被溶接物の溶融池及びその近傍の画像からトーチ揺動の左右端部の画像16R、16Lを抽出し、抽出した左右端部の画像16R、16Lを合成して仮想溶融池画像を有する合成画像を作成し、仮想溶融池画像の左端点LPと右端点RPとの間の距離を揺動幅特徴量として算出して開先幅変動に対するトーチ揺動パターンの追従(適応)制御を適切に行なうこと。」 オ 甲5記載の技術的事項 (ア)甲5には、自動溶接システムに関して以下の事項が記載されている。 A「【請求項1】 溶接トーチの先端からワイヤを突出させてこれをアークにより溶融させながら該溶接トーチを開先左右倣い及び開先上下倣いさせるようにして開先の延在方向に沿って移動させ、それにより前記開先にビードを形成する溶接システムにおいて、 前記ワイヤ及び前記アークを撮像する撮像装置と、 前記撮像した映像を画像処理して前記ワイヤの突出長さを抽出する画像処理手段と、 前記抽出したワイヤの突出長さを一定長に維持するよう制御することにより前記開先上下倣いを行う制御手段と、を備えた自動アーク溶接システム。」 B「【0071】 従って、開先上下倣い制御の具体的手法として、溶接電流を直接パソコン6に取り込み、これを指標として適正電流を維持するよう溶接トーチ9の高さを補正するという方法が容易に着想されるが、本実施の形態では、ワイヤ突出長を指標として、これが一定になるよう溶接トーチ9の高さ(ひいてはワイヤ10の先端10aの高さ)を補正するという方法を採用することとした。これは、上述の開先左右倣い制御に用いた溶接部画像センサとしてのCCDカメラ4をそのまま開先上下倣い制御にも用いて、この溶接部画像センサ以外のセンサを一切用いない溶接システムを構築するためである。 【0072】 ワイヤ突出長とは、本来、ワイヤへの給電用のコンタクトチップ先端からのワイヤの突出長である。しかし、画像処理を行うに際し、必ずしもコンタクトチップ先端が溶接部画像中に見られるわけではないので、ここではトーチ先端部を構成するガスノズルの先端(以下、単にトーチ先端という)からワイヤの先端までの距離をワイヤ突出長と定義する。従って、開先上下倣い制御用の画像処理においては、最終的に、図11(b)に×印で示すワイヤ先端位置及び溶接トーチ先端位置が抽出される。」 (イ)上記(ア)から、甲5には以下の技術的事項(以下「甲5記載の技術的事項」という。)が記載されている、といえる。 「溶接トーチの先端からワイヤを突出させてこれをアークにより溶融させながら該溶接トーチを開先左右倣い及び開先上下倣いさせるようにして開先の延在方向に沿って移動させ、それにより前記開先にビードを形成する溶接システムにおいて、 前記ワイヤ及び前記アークを撮像する撮像装置と、 前記撮像した映像を画像処理して前記ワイヤの突出長さを抽出する画像処理手段と、 前記抽出したワイヤの突出長さを一定長に維持するよう制御することにより前記開先上下倣いを行う制御手段と、を備え、 開先上下倣い制御の具体的手法として、ワイヤ突出長を指標として、これが一定になるよう溶接トーチの高さ(ひいてはワイヤの先端の高さ)を補正するという方法を採用し、 開先上下倣い制御用の画像処理においては、ワイヤ先端位置及び溶接トーチ先端位置が抽出されること。」 (2)本件特許発明6と甲1発明との対比 ア 本件特許発明6と甲1発明とを対比すると、両者の発明特定事項は、以下の相当関係にある。 (ア)甲1発明における「溶接池602」は、本件特許発明6における「溶融池」に相当する。また、甲1発明における「電極606」は、上記(1)ア(イ)A~Cのとおり、消耗電極である溶接ワイヤを含むことから、本件特許発明6における「溶接ワイヤ」に相当する。そして、甲1発明における「溶接ワイヤを用いたアーク溶接における接合部120、溶接池602、溶接アーク及び電極606の像を含む画像」は、溶接池602、溶接アーク及び電極606を含むから、本件特許発明6における「溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像」に相当する。 (イ)甲1発明の「アーク溶接の溶接プロセスに関する特性」は、画像中の溶接池602及び接合部120、又は電極606及び接合部120の領域についての位置に関する情報を含むことから、本件特許発明6の「アーク溶接の状態に関する状態関連情報」に相当する。また、甲1発明における「画像中の溶接池602及び接合部120、又は電極606及び接合部120の領域についての位置に関する情報を含む溶接プロセスに関する特性」と、本件特許発明6における「画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報」とは、「状態関連情報」であって「画像中の溶融池又は溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報」である限りで一致する。 (ウ)甲1発明の「データ」と、本件特許発明6の「複数の教師データ」とは、上記(ア)の画像を入力とし、上記(イ)の情報を出力とする「入出力データ」という点で一致する。また、甲1発明の「アルゴリズム」は、上記(ア)の画像を入力とし、上記(イ)の情報を出力するものであるから、本件特許発明6の「機械学習モデル」と対比すると、「入出力関係モデル」という点で一致し、同様に、「アルゴリズム構築手段」と「モデル構築手段」とを対比すると、「入出力関係モデル構築手段」という点で一致する。 (エ)甲1発明における、アーク溶接における接合部120、溶接池602、溶接アーク及び電極606を撮像する「カメラ104」は、本件特許発明6における、アーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像する「カメラ」に相当する。 (オ)甲1発明における「自動溶接装置」は、本件特許発明6における「自動溶接システム」に相当する。 イ 上記アから、本件特許発明6と甲1発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「溶接ワイヤを用いたアーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像と、前記アーク溶接の状態に関する状態関連情報とを含む入出力データによって、前記画像を入力とし前記状態関連情報を出力とする入出力関係モデルを構築する入出力関係モデル構築手段と、 アーク溶接における溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤを撮像するカメラと、 前記カメラによって得られた画像を入力として前記入出力関係モデルに与え、前記入出力関係モデルから出力される状態関連情報を取得する情報取得手段と、 前記情報取得手段によって取得された前記状態関連情報に基づいて、前記アーク溶接を実行する溶接機構を制御する制御手段と を備え、 前記入出力関係モデル構築手段は、前記画像中の溶融池又は溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報を前記状態関連情報として出力する前記入出力関係モデルを構築するように構成されており、 前記情報取得手段によって取得された前記画像特徴情報に基づいて、前記アーク溶接に関する物理量を補正するための補正情報を生成する補正情報生成手段をさらに備え、 前記制御手段は、前記補正情報生成手段によって生成された前記補正情報にしたがって前記物理量を補正するよう、前記溶接機構を制御するように構成されている、 自動溶接システム。」 ウ 本件特許発明6と甲1発明とは、以下の相違点1で相違する。 <相違点1> 画像と状態関連情報とを含む入出力データによって、画像を入力とし状態関連情報を出力とする「入出力関係モデル」を構築する「入出力関係モデル構築手段」に関し、 「入出力関係モデル」が、本件特許発明6では、画像を入力とし、画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報を出力とする機械学習モデルであるのに対して、 甲1発明では、画像を入力とし、前記画像中の溶接池602及び接合部120、又は電極606及び接合部120の領域についての位置に関する情報を含む溶接プロセスに関する特性を出力とするアルゴリズムであり、 また、「入出力関係モデル構築手段」が、本件特許発明6では、画像、並びに、画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報を含む複数の教師データによって教師あり学習を実行することで機械学習モデルを構築するのに対して、 甲1発明では、画像、並びに、前記画像中の溶接池602及び接合部120、又は電極606及び接合部120の領域についての位置に関する情報を含む溶接プロセスに関する特性を含むデータによってアルゴリズムを構築する点。 (3)当審合議体の上記相違点1に対する判断 ア 上記(1)イ(イ)に示した甲2記載の技術的事項における「ニューラル・ネットワーク」は、甲2の段落【0033】において例示された「後方伝播ネットワーク」を含むものであり、当該「後方伝播ネットワーク」は、いわゆる「教師あり学習」として知られているが、甲2には、画像を入力として、画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報を状態関連情報として出力するような機械学習モデルまでは、記載されていない。 イ また、甲1発明のアルゴリズムは、画像を入力として、「画像中の溶接池602及び接合部120、又は電極606及び接合部120の領域についての位置に関する情報」を出力するように構成されているが、甲1には、本件特許発明6の「溶融池及びアーク」に相当する溶接池602及び溶接アークの領域についての位置に関する情報や、本件特許発明6の「溶融池及び溶接ワイヤ」に相当する溶接池602及び電極606の領域についての位置に関する情報を出力することについて、記載や示唆はない。 そのため、甲1には、溶接池602及び溶接アーク、又は溶接池602及び電極606の領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報によってアルゴリズムを構築することについても、記載や示唆がない。 ウ 同様に、甲3~5記載の技術的事項にも、画像を入力とし、「画像中の溶融池の領域についての位置に関する情報」又は「画像中の溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報」を出力とし、その情報に基づいて溶接機構を自動制御する技術は記載又は示唆されているといえる。しかしながら、「画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報」を出力することについては、記載も示唆もない。 エ してみると、甲1~5のいずれにも、画像と「画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報」である状態関連情報とを含む「複数の教師データ」によって「教師あり学習を実行」することで、「画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報」である状態関連情報を出力する「機械学習モデル」を構築することについては、記載も示唆もない。 オ すなわち、甲1発明に甲2記載の技術的事項を適用することで、甲1発明におけるアルゴリズムを、教師あり学習を実行して構築することが容易であったとしても、「溶接池602及び溶接アーク、又は溶接池602及び電極606の像を含む画像」を入力として「画像中の溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの領域についての位置に関する情報を含む画像特徴情報」を出力するよう、当該画像及び当該画像特徴情報を含む「複数の教師データ」に基づいて「教師あり学習」を実行して「機械学習モデル」を構築し、当該「機械学習モデル」に当該画像を入力して当該画像特徴情報を出力することまでを想到することは、当業者にとって容易になし得たことであるとはいえない。 (4)小括 よって、本件特許発明6は、甲1発明及び甲2~5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件訂正後の請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえない。 2 本件特許発明7~16について (1)当審合議体の判断 本件特許発明7~16は、本件特許発明6において特定される事項をすべて含むものであるから、上記1と同様の理由により、当業者にとって容易になし得たものであるとはいえない。 (2)小括 よって、本件特許発明7~16は、甲1発明及び甲2~5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件訂正後の請求項7~16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえない。 3 本件特許発明17について (1)本件特許発明17と甲1発明との対比、当審合議体の判断 本件特許発明17と甲1発明とを対比すると、両者の間には上記相違点1と同様の相違点を有する。そして、その相違点は、上記1と同様の理由により、当業者にとって容易になし得たものであるとはいえない。 (2)小括 よって、本件特許発明17は、甲1発明及び甲2~5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件訂正後の請求項17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえない。 4 本件特許発明18~20について (1)当審合議体の判断 本件特許発明18~20は、本件特許発明17において特定される事項をすべて含むものであるから、上記3と同様の理由により、当業者にとって容易になし得たものであるとはいえない。 (2)小括 よって、本件特許発明18~20は、甲1発明及び甲2~5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件訂正後の請求項7~16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえない。 5 本件特許発明21~23について (1)当審合議体の判断 本件特許発明21~23は、本件特許発明6又は17において特定される事項をすべて含むものであるから、上記1又は3と同様の理由により、当業者にとって容易になし得たものであるとはいえない。 (2)小括 よって、本件特許発明21~23は、甲1発明及び甲2~5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件訂正後の請求項21~23に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえない。 6 本件特許発明24について (1)本件特許発明24と甲1発明に対応する自動溶接方法の発明との対比、当審合議体の判断 本件特許発明24は、自動溶接システムの発明である本件特許発明6に対応する自動溶接方法の発明であるところ、甲1には、自動溶接装置の発明である甲1発明に対応する自動溶接方法の発明も記載されているといえる。 そして、本件特許発明24と甲1発明に対応する自動溶接方法の発明とを対比すると、両者の間には上記相違点1と同様の、「機械学習モデル」及び「機械学習モデルを構築するステップ」に関する相違点を有する。そして、その相違点は、上記1と同様の理由により、当業者にとって容易になし得たものであるとはいえない。 (2)小括 よって、本件特許発明24は、甲1発明に対応する自動溶接方法の発明及び甲2~5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件訂正後の請求項24に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえない。 7 本件特許発明26について (1)本件特許発明26と甲1発明との対比、当審合議体の判断 本件特許発明26と甲1発明とを対比すると、両者の間には少なくとも上記相違点1と同様の相違点を有する。そして、その相違点は、上記1と同様の理由により、当業者にとって容易になし得たものであるとはいえない。 (2)小括 よって、本件特許発明26は、甲1発明及び甲2~5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件訂正後の請求項26に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえない。 8 本件特許発明27~28について (1)当審合議体の判断 本件特許発明27~28は、本件特許発明26において特定される事項をすべて含むものであるから、上記7と同様の理由により、当業者にとって容易になし得たものであるとはいえない。 (2)小括 よって、本件特許発明27~28は、甲1発明及び甲2~5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件訂正後の請求項27~28に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえない。 第6 申立人意見書による主張とその検討 1 申立人は、令和5年7月14日提出の意見書(以下「申立人意見書」という。)にて、次の2点を主張する。 (1)訂正事項6等に関し、本件訂正前の「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤ」を「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正をしようとするのであれば、「溶融池、アーク、溶接ワイヤの何れか一つを選択する」ものでなければ「特許請求の範囲の減縮」を目的とすることにはならないが、訂正事項6等は、本件訂正前の「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤ」を「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤ」と訂正しようとするものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものではない。また、他の訂正の目的にも合致しない。 よって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に掲げる訂正の目的に適合しないものであり、認められるべきでない。 (2)特許法第29条第2項違反に関し、本件特許発明6は、「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤ」との事項以外は、本件訂正前の請求項1を引用する請求項2をさらに引用する請求項6に係る発明と差異はない。 そして、「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤ」との事項については、甲1に、「溶融池及びアーク、又は溶融池及び溶接ワイヤの像を含む画像」、及び「溶融池、アーク、又は溶接ワイヤを撮像するカメラ」が開示され、甲1発明は、溶融池、アーク、溶接ワイヤの像を含む画像から、アーク溶接の状態に関する状態関連情報を出力しているものであるところ、甲4記載の技術的事項には「溶融池の領域についての位置に関する情報」が示されているから、甲1発明に甲4記載の技術的事項の領域についての位置に関する情報として、溶融池のみならず、アークや溶接ワイヤとすることは、当業者が容易に想到し得る程度のものである。 2 当審合議体の判断 上記1(1)及び(2)の点は、以下のとおり採用することができない。 (1)上記1(1)の点については、上記第2の4(6)ア(イ)のとおりであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 (2)上記1(2)の点については、上記第5の1(3)のとおりであるから、当業者であっても容易に想到し得たものであるとはいえない。 第7 むすび 上記第5のとおり、本件特許発明6~24、26~28は、甲1発明及び甲2~5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、請求項6~24、26~28に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたとはいえない。 したがって、本件請求項6~24、26~28に係る特許は、特許法第113条第2号には該当しないから、取消理由通知書(決定の予告)にて通知した取消しの理由、及び、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件請求項6~24、26~28に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件請求項1~5、25に係る特許は、上記第2及び第3のとおり、本件訂正により削除された。これにより、申立人による請求項1~5、25に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700809

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