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特許異議申立

2022-700726

窒化ホウ素粉末及びその製造方法、炭窒化ホウ素粉末、並びに、複合材及び放熱部材

審判番号
2022-700726
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-553498
登録番号
7015971
請求日
2022年07月27日
審決日
2023年10月17日
公報発行日
2024年01月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】デンカ株式会社
  • 【権利者代理人】長谷川 芳樹
  • 【権利者代理人】清水 義憲
  • 【権利者代理人】吉住 和之
  • 【権利者代理人】中塚 岳
  • 【権利者代理人】佐々木 善紀
  • 【異議申立人】山川 隆久
審判長/審判官
  • 審判長 原 賢一
  • 審判官 松井 裕典
  • 審判官 金 公彦
分類
P1652.113-YAA(C01B) / P1652.121-YAA(C01B) / P1652.537-YAA(C01B) / P1652.851-YAA(C01B) / P1652.857-YAA(C01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7015971号発明「窒化ホウ素粉末及びその製造方法、炭窒化ホウ素粉末、並びに、複合材及び放熱部材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7015971号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、6、7〕について訂正することを認める。 特許第7015971号の請求項1~3、6、7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7015971号の請求項1~7に係る特許についての出願は、2020年(令和 2年)10月21日(優先権主張 令和 1年10月23日)を国際出願日とする国際出願であり、令和 4年 1月26日にその特許権の設定登録がされ、同年 2月 3日に特許公報が発行され、その後、同年 7月27日に、その請求項1~3、6、7に係る特許を対象として、特許異議申立人山川 隆久(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされ、同年10月13日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年12月19日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求があり、これに対し、令和 5年 2月15日に申立人より参考資料1が添付された意見書の提出があり、同年 3月28日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である同年 6月 1日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求があったものである。 なお、当審は申立人に、上記令和 5年 6月 1日受付の訂正請求があった旨を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人はそれに対し応答しなかった。 また、令和 4年12月19日にされた訂正の請求(以下、その訂正を「先の訂正」ということがある。)は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正事項 上記令和 5年 6月 1日に請求された訂正の請求(以下、この訂正を「本件訂正」という。)は、本件特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3、6、7について訂正することを求めるものであって、その具体的な訂正事項は次のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「である」 とあるのを 「であり、 水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上である」 に訂正する。 (請求項1を直接又は間接的に引用する請求項3、6、7についても同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に 「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.55mL/g以下である、請求項1に記載の窒化ホウ素粉末。」 とあるのを 「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であり、 水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上である、窒化ホウ素粉末。」 に訂正する。 (請求項2を直接又は間接的に引用する請求項3、6、7についても同様に訂正する。) (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「平均粒径が15~100μm」とあるのを「平均粒径が15~80μm」に訂正する。 (請求項3を直接又は間接的に引用する請求項6、7についても同様に訂正する。) (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項3に 「である」 とあるのを 「であり、 水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が30%以上である」に訂正する。 (請求項3を直接又は間接的に引用する請求項6、7についても同様に訂正する。) 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の在否 (1)訂正事項1について ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の在否 訂正事項1は、窒化ホウ素粉末について「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上である」ことを限定する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、上記訂正は特許請求の範囲の減縮を行う訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 新規事項の有無 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の【0025】に「窒化ホウ素粉末は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合の下限値は、特に限定されるものでは無いが、例えば、3%以上、5%以上、10%以上、20%以上、又は30%以上であってよい。」と記載されていることから、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (2)訂正事項2について ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の在否 (ア)訂正事項2は、まず、請求項1を引用する請求項2を独立請求項の形に書き下し、 「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.55mL/g以下である、窒化ホウ素粉末。」 とした上で、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の数値範囲を「0.22mL/g以上」に限定し、窒化ホウ素粉末について「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上である」ことを限定する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項を引用しないものとすること」を目的とするものである。 (イ)上記(ア)に記載したとおり、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を行う訂正、及び、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項を引用しないものとする訂正であるので、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものではない。 イ 新規事項の有無 (ア)訂正事項2における訂正の内、「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、」の記載を追加する点については、請求項1を引用する請求項2を独立請求項の形に書き下したことによるものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (イ)訂正事項2における訂正の内、「0.22mL/g以上」については、本件特許明細書等の【0071】の【表1】に、「実施例3」の「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積[mL/g]」として「0.22」という数字が記載されていることから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 「【0071】 【表1】 [図:0001405785000001.jpg] 」 (ウ)訂正事項2における訂正の内、「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上である」については、本件特許明細書等の【0025】に「窒化ホウ素粉末は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合の下限値は、特に限定されるものでは無いが、例えば、3%以上、5%以上、10%以上、20%以上、又は30%以上であってよい。」と記載されていることから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (エ)上記(ア)~(ウ)に記載したとおり、訂正事項2は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (3)訂正事項3について ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の在否 訂正事項3は、窒化ホウ素粉末の平均粒径を「15~100μm」から「15~80μm」へと限定する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 本件特許明細書等の【0031】に「窒化ホウ素粉末の平均粒径は、熱伝導率を十分に高くする観点から、例えば、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、又は40μm以上であってもよい。当該平均粒径は、シート状の複合材等に好適に用いることができるように、例えば、200μm以下、150μm以下、100μm以下、90μm以下、又は80μm以下であってもよい。当該平均粒径は上述の範囲内で調整してもよく、例えば、15~200μm、15~100μm、又は15~80μmであってよい。」と記載されていることから、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (4)訂正事項4について ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の在否 訂正事項4は、窒化ホウ素粉末について「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が30%以上である」ことを限定する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、上記訂正は特許請求の範囲の減縮を行う訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 新規事項の有無 本件特許明細書等の【0025】に「窒化ホウ素粉末は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合の下限値は、特に限定されるものでは無いが、例えば、3%以上、5%以上、10%以上、20%以上、又は30%以上であってよい。」と記載されていることから、訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 3 小括 本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項〔1~3、6、7〕について訂正することを求めるものであるところ、上記2のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、且つ、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、訂正後の請求項〔1~3、6、7〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は容認し得るものであるから、異議申立ての対象である本件訂正後の請求項1~3、6、7に係る発明(以下、各請求項に係る発明及び特許を項番に対応させて「本件発明1」、「本件特許1」などといい、併せて「本件発明」、「本件特許」ということがある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~3、6、7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下であり、 水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上である、窒化ホウ素粉末。 【請求項2】 窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であり、 水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上である、窒化ホウ素粉末。 【請求項3】 平均粒径が15~80μmであり、 水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が30%以上である、請求項1又は2に記載の窒化ホウ素粉末。」 「【請求項6】 請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化ホウ素粉末と樹脂とを含有する、複合材。 【請求項7】 請求項6に記載の複合材を有する、放熱部材。」 第4 令和 5年 3月28日付けで通知した取消理由(決定の予告)、令和 4年10月13日付けで通知した取消理由、及び、これら取消理由において採用しなかった異議申立人による特許異議の申立理由の概要 1 令和 5年 3月28日付けで通知した取消理由(決定の予告) (1)特許法第29条第1項第3号所定の規定違反(新規性欠如)(取消理由1) 先の訂正後の請求項1、2、6、7に係る発明は、下記3に記載の甲第2号証(下記3に記載の参考資料1、2を参考とする。)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 (2)特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如)(取消理由2) 先の訂正後の請求項1~3、6、7に係る発明は、下記3に記載の甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 令和 4年10月13日付けで通知した取消理由 (1)特許法第29条第1項第3号所定の規定違反(新規性欠如)(取消理由1) ア 設定登録時の請求項1、2、6、7に係る発明は、下記3に記載の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 イ 設定登録時の請求項1~3、6、7に係る発明は、下記3に記載の甲第2号証又は甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 (2)特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如)(取消理由2) 設定登録時の請求項1~3、6、7に係る発明は、下記3に記載の甲第1号証又は甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 3 各取消理由において採用しなかった異議申立人による特許異議の申立理由の概要 (1)特許法第36条第6項第1号所定の規定違反(サポート要件違反)(申立理由1) 設定登録時の請求項1、2に係る発明は、後記第5の2(1)の点で特許請求の範囲の記載が不備のため、その特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (2)特許法第29条第1項第3号所定の規定違反(新規性欠如)(申立理由2) ア 設定登録時の請求項3に係る発明は、下記に記載の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 イ 先の訂正後の請求項1~3、6、7に係る発明は、下記に記載の参考資料1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。(当審注:この申立理由は、異議申立書ではなく、令和 5年 2月16日に提出された意見書に記載された理由である。) ウ 先の訂正後の請求項3に係る発明は、下記に記載の甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。(当審注:この申立理由は、異議申立書ではなく、令和 5年 2月16日に提出された意見書に記載された理由である。) (3)特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如)(申立理由3) 先の訂正後の請求項1~3、6、7に係る発明は、下記に記載の参考資料1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(当審注:この申立理由は、異議申立書ではなく、令和 5年 2月16日に提出された意見書に記載された理由である。) 記 甲第1号証:特開2012-17421号公報 甲第2号証:特開2018-82164号公報 甲第3号証:特開2016-27144号公報 参考資料1:MOMENTIVE performance materials PolarTherm(R) Boron Nitride Powder PT350,PT360,and PT370,[online],2007年,Shanghai Ping Yiao Trading Co.,Ltd,[令和5年3月14日検索],インターネット<URL:http://www.pingyiao.com/en/momentive/m2/pdf/Momentive%20PT350,PT360,PT370.pdf> 参考資料2:Product Datasheet CarboTherm(R) Thermal Management Fillers Boron Nitride Powders,[online],2011年,Saint-Gobain Ceramic Materials,[令和5年3月14日検索],インターネット<URL:https://cdn.thomasnet.com/ccp/10046374/36769.pdf> 上記(R)は、Rが丸で囲われた文字(登録商標マーク)を示す。 以下、甲第1号証を略して、「甲1」などという。 参考資料1は、令和 5年 2月16日受付の意見書で新たに提示された文献である。 参考資料2は、令和 5年 3月28日付け取消理由通知書において当審が新たに提示した文献である。 第5 当審の判断 当審は、上記取消理由1、2及び申立理由1~3のいずれにも理由がないと判断する。 以下、その理由について詳述する。 1 取消理由1、2、申立理由2、3(新規性欠如及び進歩性欠如)について 取消理由1、2及び申立理由2、3は、いずれも新規性又は進歩性に関する理由であるため、まとめて判断を行う。なお、申立理由2のうち、上記第4の3(2)イ及び(3)で参考資料1を主引用文献とするものは、訂正により新たに生じた申立理由ではないが、念のため検討を行うこととする。 (1)甲1~3、参考資料1に記載の事項(「・・・」は省略を表す。下線は当審にて付与した。) ア 甲1に記載の事項 (ア)「【請求項1】 窒化ホウ素粉体と樹脂とを含有する熱伝導性樹脂組成物において、 前記窒化ホウ素粉体と前記樹脂から求められる、下記式で表されるパラメータPが0.22以下であり、 前記窒化ホウ素粉体の含有量が70~95質量%であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。 P=Δlog(G’/ηm)/Δφ (前記式中、G’は、前記窒化ホウ素粉体と前記樹脂からなる混合物の、角周波数1rad/sにおける貯蔵弾性率[Pa]を表し、ηmは、前記樹脂の粘性率[Pa・s]を表し、φは、前記混合物における窒化ホウ素粉体の体積分率[%]を表す。ただし、log(G’/ηm)は1以下であり、かつG’及びηmの測定値から求められるlog(G’/ηm)の値が2デカード以上離れている二点を含む。) 【請求項2】 前記窒化ホウ素粉体の全細孔容積が0.80cm3/g以下であり、 前記窒化ホウ素粉体のバルク密度が0.70g/cm3以上であり、 前記窒化ホウ素粉体の粒度分布における歪度が-1.0以上1.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。 【請求項3】 前記樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝導性樹脂組成物。 【請求項4】 請求項1~3のいずれか一項に記載の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる成形体。」 (イ)「【0003】 前記成形体を形成するための熱伝導性樹脂組成物は、一般に、熱伝導性粒子と樹脂とから構成される。このような熱伝導性樹脂組成物において、成形体における高い熱伝導性は、熱伝導性粒子を多量に配合することによって得られるが、一方で熱伝導性粒子の多量の配合は、熱伝導性樹脂組成物の流動性を損ない、成形の不具合による生産性の低下や組成の不均一性をもたらすことがある。このように、熱伝導性樹脂組成物には、高い熱伝導性や、絶縁性等の成形体として所望される他の物性の他に、例えば成形性の低下の抑制や材料の入手の容易さ等の生産性に係る要素も求められている。従来より知られている熱伝導性樹脂組成物には、前記の問題について、検討の余地が残されている。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明は、窒化ホウ素粉体の高い濃度において成形することが可能な新規な熱伝導性樹脂組成物を提供する。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明者らは、鋭意検討の結果、樹脂組成物の貯蔵弾性率、樹脂成分の粘性率、及び窒化ホウ素粉体の含有量から求められる特定のパラメータが一定の値を下回る場合に、そのような条件の熱伝導性樹脂組成物が、窒化ホウ素粉体の含有量が高くても、従来になく低い粘度を示すことを見出し、本発明に至った。 ・・・ 【0035】 本発明において、窒化ホウ素粉体は、Pで示される特性以外の他の特性を有していてもよい。このような他の特性としては、例えば全細孔容積、バルク密度、及び粒度分布における歪度が挙げられる。 【0036】 窒化ホウ素粉体は、全細孔容積(以下、「Vp」とも言う)が0.80cm3/g以下であることが好ましい。Vpが0.80cm3/g以下であることは、熱伝導性樹脂組成物において窒化ホウ素粉体の内部に浸透して消費される樹脂の量を少なくし、熱伝導性樹脂組成物において樹脂で構成される実質的なバインダ層の体積を大きくし、熱伝導性樹脂組成物の粘度を低下させ、成形性を向上させる観点から好ましい。 【0037】 Vpが0.80cm3/gより大きい場合、窒化ホウ素粉体と樹脂を含む樹脂組成物を製造するときに、フィラー内部に浸透し、消費される樹脂量が多くなるため、樹脂で構成される実質的なバインダ層の体積が小さくなり、樹脂組成物の粘度が上昇し、成形しにくくなるか、又は全く成形できなくなる等の、成形性が損なわれることがある。 【0038】 Vpは、より低粘度の熱伝導性樹脂組成物を得る観点から、0.70cm3/g以下であることがより好ましく、0.50cm3/g以下であることがさらに好ましい。 【0039】 Vpは、例えば、Vpが0.80cm3/gを超える窒化ホウ素粉体にVpが小さな窒化ホウ素粉体を混合する方法や、Vpが0.80cm3/gを超える窒化ホウ素粉体を従来公知の方法で焼成や粒成長させることにより調整することができる。前記焼成や粒成長は従来公知の条件(温度、雰囲気、助剤)を用いることができる。 【0040】 Vpは、粉体の全細孔容積を測定する通常の装置や方法を用いて測定することができ、例えば、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用い、室温で試料を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積として求めることができる。 【0041】 窒化ホウ素粉体は、バルク密度(以下、「ρb」とも言う)が0.70g/cm3以上であることが好ましい。ρbが大きい窒化ホウ素粉体は、窒化ホウ素粉体単体のみを考えた場合、同じ空間体積において窒化ホウ素粉体単体が占める割合が大きい(空隙の割合が小さい)こととなる。つまり、ρbが大きいほど最大充填量が多くなる。ある充填量において、その充填量を最大充填量で除した値が小さいものほど熱伝導性樹脂組成物の粘度が小さく、成形性が向上する。ρbを0.70g/cm3以上とすることは、窒化ホウ素粉体の含有量を多くしても熱伝導性樹脂組成物の粘度が上昇せず、高い熱伝導性のまま、成形性を改良する観点から好ましい。 【0042】 ρbが0.70g/cm3より小さいと、窒化ホウ素粉体の含有量を大きくしにくく、また窒化ホウ素粉体のハンドリング性が低下することがある。ρbは、窒化ホウ素粉体の含有量をより大きくする観点から、0.80g/cm3以上であることがより好ましい。 【0043】 ρbは、例えば、ρbが0.70g/cm3未満の窒化ホウ素粉体にρbの大きい窒化ホウ素粉体を混合する方法や、大きな粒子によってできる間隙を埋めるようなサイズの小さい粒径の窒化ホウ素粉体を混合する方法によって調整することができる。 【0044】 ρbは、粉体のバルク密度を測定する通常の装置や方法を用いて求めることができ、例えば、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用い、予め容積を測定した専用セルに精秤した粉体試料を入れ、セルごとの質量を測定し、このセルを、減圧下(50μmHg以下)、室温で10分間減圧処理し、処理したセルに水銀を導入し、水銀導入後のセルを秤量し、導入された水銀の質量から水銀の容量を算出し、予め求めたセルの容量からこの水銀容量を差し引いて粉体試料の容量を算出し、この容量で粉体試料の質量を除することによって求めることができる。 【0045】 窒化ホウ素粉体は、粒度分布における歪度(以下、「Sk」とも言う)が-1.0以上1.0以下であることが好ましい。Skが-1.0以上1.0以下であることは、熱伝導性樹脂組成物における窒化ホウ素粉体の高い含有量と優れた成形性との両方を得る観点から好ましい。その理由としては、Skを-1.0以上1.0以下とすることにより、全粉体のうち大きな粒径に偏った部分が成形体における主たる熱の通り道(熱伝導パス)を形成し、それ以外の部分が副たる熱伝導パスを効果的に形成して、全体として熱伝導パスが広い範囲に発達するため、と考えられる。さらに、Skが-1.0以上1.0以下である窒化ホウ素粉体は、そうでない窒化ホウ素粉体に比べ、窒化ホウ素粉体と樹脂との混合時の粘度が比較的低く、前記の効果的な熱伝導パスがさらに容易に形成されると考えられる。 【0046】 Skは、成形体における熱伝導率の向上と熱伝導性樹脂組成物の成形性との両立の観点から、-1.0以上0.8以下であることがより好ましく、-0.8以上0.5以下であることがさらに好ましい。 【0047】 Skは、例えば、Skが-1.0未満又は1.0を超える粉体を篩い分けして歪度が-1.0以上1.0以下の粉体を得る方法、Skが-1.0未満又は1.0を超える粉体を篩い分けして分級し、その二つ以上を選別して混合して調整する方法、Skが-1.0未満又は1.0を超える二種以上の粒子を公知の造粒剤を用いて造粒してSkが-1.0以上1.0以下となるように造粒する方法、Skが-1.0未満の粉体(焼結体であってもよい)を公知の粉砕方法で適当な時間(適度に)粉砕して-1.0以上1.0以下となるように調整する方法、によって調整することができる。」 (ウ)「【実施例】 【0072】 実施例に用いた材料を以下に示す。 ・ビスフェノール系エポキシ樹脂(主剤)(a-1):三菱化学(株)製 jER 828 ・エポキシ樹脂硬化剤(酸無水物系)(b-1):三菱化学(株)製 jERキュア YH300 ・硬化促進剤(c-1):三菱化学(株)製 jERキュア EMI24 ・粉体A:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT110と粉体Cを質量比20:80で混合した粉体。 ・粉体B:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PTX180と粉体Cを質量比70:30で混合した粉体。 ・粉体C:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、300μmの篩で篩い分けして篩の上方に残った粉体。 ・粉体D:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT350を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、150μmの篩を通過した粉体を100μmの篩で篩い分けして100μmの篩の上方に残った粉体。 ・粉体E:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PTX180 ・粉体F:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670 ・粉体G:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PTX25 ・粉体H:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PTX60 【0073】 粉体A~Hのそれぞれを、以下の分析方法によって分析し、各粉体についてそれぞれの測定値を得た。粉体A~Hの特性値を表1に示す。 ・・・ 【0077】 (2)全細孔容積Vp マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めた。 ・・・ 【0080】 【表1】 [図:0001405785000002.jpg] 【0081】 [実施例1] ビスフェノール系エポキシ樹脂(a-1)100質量部に対して、エポキシ樹脂硬化剤(b-1)を80質量部配合し、これらを(株)シンキー社製 自転・公転真空ミキサーARV-310で2,000rpmで2分間混合した後に、得られた混合物に硬化促進剤(c-1)を2質量部添加し、同じミキサーを用い、2,000rpmで2分間混合し、エポキシ混合物を得た。そのエポキシ混合物に72.4質量%となる量の粉体Aを添加し、日陶科学(株)製 自動乳鉢ANM-150で5分間混合し、熱伝導性樹脂組成物1を得た。 【0082】 熱伝導性樹脂組成物1について、(株)東洋精機製作所製 キャピラリー式レオメータ キャピログラフ1Bを用い、直径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて、50℃において、せん断速度1,216[1/s]で押し出して、熱伝導性樹脂組成物1の粘度を測定し、その成形性を評価した。 【0083】 また、熱伝導性樹脂組成物1を金型に入れ、温度150℃、プレス圧力15MPaで1時間加圧硬化させ、約40mm角で厚さ約5~10mmの成形体1を作製した。作製した成形体1を切り出して直径12mm、厚み約1.5mmの円盤状の検体に成形したのち、アルバック理工(株)製 全自動レーザーフラッシュ法熱定数測定装置TC-7000を用いて、前記検体の熱伝動率を測定した。 【0084】 さらに、成形体1から直径30mm以上の平面を有する検体を切り出し、(株)三菱化学アナリテック製 ハイレスタUP(MCP-HT450)を用い、リングプローブで前記検体の体積抵抗率を測定した。 熱伝導性樹脂組成物1の組成及び成形体1の物性を表2に示す。 【0085】 [実施例2] 粉体Aに代えて粉体Bを用いた以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物2を得、また成形体2を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。熱伝導性樹脂組成物2の組成及び成形体2の物性を表2に示す。 【0086】 [実施例3] 粉体Aに代えて粉体Cを用い、粉体の含有量を88.5質量%とした以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物3を得、また成形体3を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。熱伝導性樹脂組成物3の組成及び成形体3の物性を表3に示す。 【0087】 [実施例4] 粉体Aの含有量を88.5質量%とした以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物4を得、また成形体4を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。熱伝導性樹脂組成物4の組成及び成形体4の物性を表3に示す。 【0088】 [比較例1] 粉体Aに代えて粉体Dを用いた以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物C1を得、また成形体C1を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。熱伝導性樹脂組成物C1の組成及び成形体C1の物性を表2に示す。 【0089】 [比較例2] 粉体Aに代えて粉体Eを用いた以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物C2を得、また成形体C2を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。熱伝導性樹脂組成物C2の組成及び成形体C2の物性を表2に示す。 【0090】 [比較例3] 粉体Aに代えて粉体Fを用い、粉体の含有量を88.5質量%とした以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物C3を得、また成形体C3を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。熱伝導性樹脂組成物C3の組成及び成形体C3の物性を表3に示す。 【0091】 [比較例4] 粉体Aに代えて粉体Dを用い、粉体の含有量を88.5質量%とした以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物C4を得、また成形体C4を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。熱伝導性樹脂組成物C4の組成及び成形体C4の物性を表3に示す。なお、熱伝導性樹脂組成物C4の粘度は、ロードセルの上限を超過し測定できなかった。 【0092】 [比較例5] 粉体Aに代えて粉体Gを用い、粉体の含有量を88.5質量%とした以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物C5を得、また成形体C5を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。しかしながら、熱伝導性樹脂組成物C5は均一に混合されず、粘度測定においてロードセルの上限を超過し測定できなかった。また、均一な成形体が得られず、成形体C5の熱伝導性及び体積抵抗率も測定できなかった。 【0093】 [比較例6] 粉体Aに代えて粉体Hを用い、粉体の含有量を88.5質量%とした以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物C6を得、また成形体C6を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。しかしながら、熱伝導性樹脂組成物C6も均一に混合されず、粘度測定においてロードセルの上限を超過し測定できなかった。また、均一な成形体が得られず、成形体C6の熱伝導性及び体積抵抗率も測定できなかった。 【0094】 [比較例7] 粉体Aの含有量を65.7質量%とした以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物C7を得、また成形体C7を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。熱伝導性樹脂組成物C7の組成及び成形体C7の物性を表4に示す。 【0095】 [比較例8] 粉体Aの含有量を97.0質量%とした以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物C8を得、また成形体C8を得、これらの物性を実施例1と同様にして求めた。しかしながら、熱伝導性樹脂組成物C8は均一に混合されず、粘度測定においてロードセルの上限を超過し測定できなかった。また、均一な成形体も得られず、成形体C8の熱伝導性及び体積抵抗率も測定できなかった。 【0096】 【表2】 [図:0001405785000003.jpg] 【0097】 表2から明らかなように、窒化ホウ素粉体の含有量が74.2質量%の場合、パラメータPに関わらず高い熱伝導率と体積抵抗率とを有する成形体が得られるが、表2における実施例2と比較例2との対比から明らかなように、0.22以下のパラメータPを示す窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物の粘度は、0.22を超えるパラメータPを示す窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物の粘度より小さいことがわかる。 【0098】 【表3】 [図:0001405785000004.jpg] 【0099】 表3から明らかなように、窒化ホウ素粉体の含有量が88.5質量%の場合、0.22以下のパラメータPを示す窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物の粘度は、0.22より大きいパラメータPを示す窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物の粘度よりも小さく、かつ0.22以下のパラメータPを示す窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成形体の熱伝導率は、0.22より大きいパラメータPを示す窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成形体の熱伝導率よりも大きいことがわかる。また、窒化ホウ素粉体の含有量が88.5質量%の場合では、0.22よりも大きいパラメータPを示す窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物の粘度が測定できない程大きくなることがあることがわかる。 【0100】 【表4】 [図:0001405785000005.jpg] 」 (エ)「【産業上の利用可能性】 【0102】 本発明では、新たなパラメータPによって、高含有量と成形性とを熱伝導性樹脂組成物において両立可能な窒化ホウ素粉体を特定することができる。したがって、本発明は、例えば電子装置の放熱材等の、このような成形体を利用する技術分野のさらなる発展をもたらすことが期待されると共に、通常の窒化ホウ素粉体の本技術分野における利用のさらなる促進をもたらすことが期待される。」 イ 甲2に記載の事項 (ア)「【請求項1】 第1の窒化ホウ素凝集粒子と、第2の窒化ホウ素凝集粒子と、硬化性化合物とを含み、 前記第1の窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布において、累積50%細孔径が0.75μm未満であり、 前記第2の窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布において、累積50%細孔径が0.75μm以上である、硬化性材料。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0011】 特許文献1~3に記載のような従来の窒化ホウ素凝集粒子を用いた硬化性組成物では、窒化ホウ素凝集粒子の熱伝導率の等方性を維持するために、シート成形等のプレス時に、プレスによって窒化ホウ素凝集粒子を崩壊等させない必要がある。このため、窒化ホウ素凝集粒子間に空隙が残存することがある。結果として、厚さ方向の熱伝導性を向上させることができるものの、絶縁性が低下することがある。従来の窒化ホウ素凝集粒子では、絶縁性を高めるには限界がある。 【0012】 本発明の目的は、絶縁性を効果的に高めることができる硬化性材料及び積層体を提供することである。」 (ウ)「【0026】 本発明に係る硬化性材料及び積層体では、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布において、累積50%細孔径が0.75μm未満である。 ・・・ 【0028】 本発明に係る硬化性材料及び積層体では、上記の構成が備えられているので、絶縁性を効果的に高めることができる。本発明に係る硬化性材料では、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子の細孔径が小さいために、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子は硬化性化合物で満たされやすく、プレス等の圧縮の力が付与された場合でも、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子は、その形態を保持することができる。本発明に係る積層体では、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子の細孔径が小さいために、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子は硬化性化合物で満たされやすく、積層体の作製時にプレス等の圧縮の力が付与された場合でも、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子は、その形態を保持することができる。 【0029】 また、本発明に係る硬化性材料及び積層体では、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子の細孔径が大きいために、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子は硬化性化合物で満たされ難く、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子を構成する一次粒子の表面は硬化性化合物が付着していても、細孔内部には空隙が残りやすい。上記第2の窒化ホウ素凝集粒子に対して、プレス等の圧縮の力が付与された場合には、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子は、その形態が保持されずに、適度に変形又は崩壊する。このため、適度に変形又は崩壊した上記第2の窒化ホウ素凝集粒子によって、形態が保持されている上記第1の窒化ホウ素凝集粒子間に存在する空隙を埋めることができ、また、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子内の空隙は、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子が変形することで埋めることができるので、絶縁性をより一層高めることができる。また、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子の一次粒子の表面に硬化性化合物が付着していることで、変形後の上記第2の窒化ホウ素凝集粒子の一次粒子間を硬化性化合物により埋めることができ、絶縁性を一層高めることができる。 【0030】 上記第1の窒化ホウ素凝集粒子の硬さは、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子の硬さよりも相対的に高い。上記第2の窒化ホウ素凝集粒子の硬さは、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子の硬さよりも相対的に低い。このため、プレス等によって圧縮の力が付与された場合に、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子は過度に変形又は崩壊せず、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子は適度に変形又は崩壊する。また、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子の変形又は崩壊が生じるプレス圧は、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子の変形又は崩壊が生じるプレス圧よりも低い。 【0031】 例えば、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子のみを含む硬化性材料を用いて、シート成形等によりプレスを行うと、プレスによって上記第1の窒化ホウ素凝集粒子は、変形又は崩壊し難く、面方向及び厚さ方向の熱伝導性を高めることができるが、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子間に空隙が残存してしまい、絶縁性が悪化する。上記第2の窒化ホウ素凝集粒子のみを含む硬化性材料を用いて、シート成形等によりプレスを行うと、プレスによって上記第2の窒化ホウ素凝集粒子が変形又は崩壊し、上記第2の窒化ホウ素凝集粒子を構成する一次粒子が面方向に配向する。上記第2の窒化ホウ素凝集粒を構成する一次粒子が面方向に配向すると、面方向の熱伝導性を高めることができるが、厚さ方向(プレス方向)の熱伝導性を高めることができない。 【0032】 本発明に係る硬化性材料は、細孔径が異なる2種類の窒化ホウ素凝集粒子を用いており、細孔径が小さい第1の窒化ホウ素凝集粒子は硬く、細孔径が大きい第2の窒化ホウ素凝集粒子は脆いため、プレス等によって圧縮の力が付与されると、第1の窒化ホウ素凝集粒子の周囲で第2の窒化ホウ素凝集粒子が適度に変形又は崩壊する。また、圧縮後の第2の窒化ホウ素凝集粒子は、第1の窒化ホウ素凝集粒子間に存在する空隙を埋めることができる。結果として、面方向だけでなく厚さ方向においても、熱伝導性を効果的に高めることができる。さらに、第1の窒化ホウ素凝集粒子間に第2の窒化ホウ素凝集粒子が配置されることになり、第1の窒化ホウ素凝集粒子間の空隙を埋めることができ、絶縁性を効果的に高めることができる。このような効果を得るために、特定の細孔径の関係を満足する第1の窒化ホウ素凝集粒子及び第2の窒化ホウ素凝集粒子を用いることは、大きく寄与する。 ・・・ 【0035】 上記第1の窒化ホウ素凝集粒子及び上記第2の窒化ホウ素凝集粒子の体積基準での細孔径分布は、以下のようにして測定できる。 【0036】 QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定する。得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線が得られる。 【0037】 上記細孔径分布の測定結果から、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子及び上記第2の窒化ホウ素凝集粒子の上記累積50%細孔径を算出することができる。具体的には、窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布を評価する。この細孔径分布において、最小の細孔径における細孔容積から順に積算した細孔容積の積算値が、上記窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計の50%となるときに、上記窒化ホウ素凝集粒子の上記積算値における細孔径を、累積50%細孔径とする。0μmから5μmの範囲の容積和を基準としたのは、細孔容積差と細孔径の関係において(図3参照)、本発明で用いた窒化ホウ素凝集粒子においては、5μm付近で細孔容積は一度0に近づくので、5μm以下が凝集粒子内部の細孔を示していると考えられる。一方、5μm以上については、凝集粒子間の細孔を示していると考えられる。これは、凝集粒子の断面データとも矛盾がない。特に4μmから5μmの範囲においては、一部粒子間空隙も入り得るが、体積量としては誤差の範囲であること、また、粒子内空隙を明確にするということから、0μmから5μmの範囲の空隙の体積和を空隙体積とする。図3は模式図であり、一例を示したものである。また、水銀の浸入のない閉細孔も存在すると考えられるが、それは少量であり、閉細孔を考慮しない定義づけによっても、本発明の効果は十分に奏される。 ・・・ 【0044】 絶縁性をより一層高める観点、及び熱伝導性をより一層高める観点からは、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子の平均粒子径は、好ましくは20μm以上、より好ましくは40μm以上であり、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。」 (エ)「【0144】 図1は、本発明の一実施形態に係る硬化性材料の硬化物を模式的に示す断面図である。なお、図1では、図示の便宜上、実際の大きさ及び厚みとは異なっている。 ・・・ 【0150】 上記硬化性材料、上記絶縁層及び上記硬化物は、熱伝導性及び機械的強度等が高いことが求められる様々な用途に用いることができる。上記硬化物部は、例えば、電子機器において、発熱部品と放熱部品との間に配置されて用いられる。」 (オ)「【0158】 以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。本発明は以下の実施例に限定されない。 【0159】 熱硬化性化合物: (1)三菱化学社製「エピコート828US」、エポキシ化合物 【0160】 熱硬化剤: (1)東京化成工業社製「ジシアンジアミド」 (2)四国化成工業社製「2MZA-PW」、イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール 【0161】 第1の窒化ホウ素凝集粒子: (1)サンゴバン社製「PCTH7MHF」 (2)「凝集粒子1」 (3)「凝集粒子2」 (4)モメンティブ社製「PT350」 【0162】 「凝集粒子1」の作製方法: 平均長径3.3μm、アスペクト比12.7の窒化ホウ素の一次粒子を空隙率が41%となるようにスプレードライ法で凝集させることにより、凝集粒子1を作製した。 【0163】 「凝集粒子2」の作製方法: 平均長径3.6μm、アスペクト比13の窒化ホウ素の一次粒子を空隙率が43%となるようにスプレードライ法で凝集させることにより、凝集粒子2を作製した。 【0164】 第2の窒化ホウ素凝集粒子: (1)モメンティブ社製「PTX25S」 (2)モメンティブ社製「PTX60S」 (3)サンゴバン社製「CTS7M」 (4)凝集粒子3 (5)凝集粒子4 【0165】 「凝集粒子3」の作製方法: 平均長径6μm、アスペクト比12の窒化ホウ素の一次粒子を空隙率が48%となるようにスプレードライ法で凝集させることにより、凝集粒子3を作製した。 【0166】 「凝集粒子4」の作製方法: 平均長径5.8μm、アスペクト比13の窒化ホウ素の一次粒子を空隙率が55%となるようにスプレードライ法で凝集させることにより、凝集粒子4を作製した。 【0167】 (第1の窒化ホウ素凝集粒子及び第2の窒化ホウ素凝集粒子の体積基準での細孔径分布) 第1の窒化ホウ素凝集粒子及び第2の窒化ホウ素凝集粒子の体積基準での細孔径分布を、以下のようにして測定した。 【0168】 第1の窒化ホウ素凝集粒子及び第2の窒化ホウ素凝集粒子の体積基準での細孔径分布の測定方法: QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定した。窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行った。得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得た。 【0169】 上記細孔径分布の測定結果から、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子及び上記第2の窒化ホウ素凝集粒子の上記累積50%細孔径を算出した。具体的には、窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布を評価した。この細孔径分布において、最小の細孔径における細孔容積から順に積算した細孔容積の積算値が、上記窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計の50%となるときに、上記窒化ホウ素凝集粒子の上記積算値における細孔径を、累積50%細孔径とした。 【0170】 上記細孔径分布の測定結果から、第1の窒化ホウ素凝集粒子及び第2の窒化ホウ素凝集粒子の累積50%細孔径を算出した。 【0171】 さらに、上記細孔径分布の測定結果から、第1の窒化ホウ素凝集粒子において、以下の値を算出した。 【0172】 細孔径が0μmを超え、0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計(細孔容積1C) 細孔径が0μmを超え、1μm以下である細孔の細孔容積の合計(細孔容積1A) 細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計(細孔容積1B) 【0173】 また、上記細孔径分布の測定結果から、第2の窒化ホウ素凝集粒子において、以下の値を算出した。 【0174】 細孔径が0μmを超え、0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計(細孔容積2C) 細孔径が0μmを超え、1μm以下である細孔の細孔容積の合計(細孔容積2A) 細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計(細孔容積2B) 【0175】 (第1の窒化ホウ素凝集粒子及び第2の窒化ホウ素凝集粒子の平均粒子径) 第1の窒化ホウ素凝集粒子及び第2の窒化ホウ素凝集粒子の粒子径を、堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定した。第1の窒化ホウ素凝集粒子及び第2の窒化ホウ素凝集粒子において、累積体積が50%であるときの無機粒子の粒子径(d50)の値を算出した。 【0176】 (実施例1~10) (1)硬化性材料の作製 下記の表1,2に示す成分を下記の表1,2に示す配合量で配合し、遊星式攪拌機を用いて500rpmで25分間攪拌することにより、硬化性材料を得た。 【0177】 (2)熱伝導性シート(硬化性シート)の作製 得られた硬化性材料を離型PETシート(厚み50μm)上に、厚み350μmになるように塗工し、90℃のオーブン内で10分間乾燥して硬化性シートを形成し、積層シートを得た。その後、離型PETシートを剥がして、硬化性シートの両面を、銅箔とアルミニウム板とで挟み、温度150℃、圧力10MPaの条件で真空プレスすることにより熱伝導性シートを作製した。 【0178】 (比較例1) 第2の窒化ホウ素凝集粒子の代替品: (6)「凝集粒子2」 第2の窒化ホウ素凝集粒子のかわりに「凝集粒子2」を用いたこと、第1の窒化ホウ素凝集粒子の配合量を14重量%に変更したこと、及び窒化ホウ素凝集粒子(2種類目)の配合量を56重量%に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、硬化性材料及び熱伝導性シート(硬化性シート)を作製した。 【0179】 (比較例2) 第2の窒化ホウ素凝集粒子の代替品: (6)「凝集粒子2」 第2の窒化ホウ素凝集粒子のかわりに「凝集粒子2」を用いたこと、第1の窒化ホウ素凝集粒子の配合量を35重量%に変更したこと、及び窒化ホウ素凝集粒子(2種類目)の配合量を35重量%に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、硬化性材料及び熱伝導性シート(硬化性シート)を作製した。 【0180】 (比較例3) 第1の窒化ホウ素凝集粒子の代替品: (5)モメンティブ社製「PTX25S」 【0181】 第1の窒化ホウ素凝集粒子のかわりにモメンティブ社製「PTX25S」を用いたこと、第2の窒化ホウ素凝集粒子としてモメンティブ社製「PTX60S」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性材料及び熱伝導性シート(硬化性シート)を作製した。 【0182】 (比較例4) 第1の窒化ホウ素凝集粒子の代替品: (5)モメンティブ社製「PTX25S」 【0183】 第1の窒化ホウ素凝集粒子のかわりにモメンティブ社製「PTX25S」を用いたこと、第2の窒化ホウ素凝集粒子としてサンゴバン社製「CTS7M」を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、硬化性材料及び熱伝導性シート(硬化性シート)を作製した。 【0184】 (評価) (1)熱伝導率 得られた熱伝導性シートを1cm角にカットした後、両面にカーボンブラックをスプレーすることで測定サンプルを作製した。得られた測定サンプルを用いて、レーザーフラッシュ法により熱伝導率を算出した。表1,2中の熱伝導率は、比較例1の値を1.00とした相対値である。 【0185】 (2)絶縁破壊強度 得られた熱伝導性シート上に直径2cmの円形に銅をパターニングして、テストサンプルを得た。耐電圧試験機(ETECH Electronics社製「MODEL7473」)を用いて、テストサンプル間に0.33kV/秒の速度で電圧が上昇するように、25℃にて交流電圧を印加した。テストサンプルに10mAの電流が流れた電圧を絶縁破壊電圧とした。絶縁破壊電圧をサンプル厚みで除算することで規格化し、絶縁破壊強度を算出した。絶縁破壊強度を以下の基準で判定した。 【0186】 [絶縁破壊強度の判定基準] ○:60kV/mm以上 △:30kV/mm以上、60kV/mm未満 ×:30kV/mm未満 【0187】 結果を下記の表1,2に示す。 【0188】 【表1】 [図:0001405785000006.jpg] 【0189】 【表2】 [図:0001405785000007.jpg] 」 (カ)「【図3】 [図:0001405785000008.jpg] 」 ウ 甲3に記載の事項 (ア)「【請求項1】 熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂中に分散された無機充填材とを含む熱伝導性シートであって、 当該熱伝導性シートの硬化物を700℃、4時間加熱処理して灰化した後の灰化残渣に含まれる上記無機充填材について、水銀圧入法による細孔径分布測定を行ったとき、 前記水銀圧入法により測定される、細孔径Rを横軸とし、対数微分細孔容積(dV/dlogR)を縦軸としたときの細孔径分布曲線において、 前記細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下の範囲にピーク(P)を有し、 前記ピーク(P)は2以上のピークが重なり合っている、熱伝導性シート。 【請求項2】 請求項1に記載の熱伝導性シートにおいて、 前記細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下の範囲における累積細孔体積V1が0.1mL/g以上2.0mL/g以下である、熱伝導性シート。 ・・・ 【請求項6】 請求項1乃至5いずれか一項に記載の熱伝導性シートにおいて、 前記細孔径Rが0.01μm以上1.0μm未満の範囲には実質的にピークを有さない、熱伝導性シート。 【請求項7】 請求項6に記載の熱伝導性シートにおいて、 前記細孔径Rが0.01μm以上1.0μm未満の範囲における累積細孔体積V3が0.30mL/g以下である、熱伝導性シート。 【請求項8】 請求項1乃至7いずれか一項に記載の熱伝導性シートにおいて、 前記無機充填材は、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成されている二次凝集粒子である、熱伝導性シート。 【請求項9】 請求項8に記載の熱伝導性シートにおいて、 前記二次凝集粒子を構成する前記一次粒子の平均長径が0.01μm以上40μm以下である、熱伝導性シート。 【請求項10】 請求項1乃至9いずれか一項に記載の熱伝導性シートにおいて、 前記無機充填材の平均粒径が5μm以上180μm以下である、熱伝導性シート。」 (イ)「【0002】 従来から絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT;Insulated Gate Bipolar Transistor)およびダイオード等の半導体チップ、抵抗、ならびにコンデンサ等の電子部品を基板上に搭載して構成したインバーター装置またはパワー半導体装置が知られている。 これらの電力制御装置は、その耐圧や電流容量に応じて各種機器に応用されている。特に、近年の環境問題、省エネルギー化推進の観点から、各種電気機械へのこれら電力制御装置の使用が年々拡大している。 特に車載用電力制御装置について、その小型化、省スペ-ス化と共に電力制御装置をエンジンル-ム内に設置することが要望されている。エンジンル-ム内は温度が高く、温度変化が大きい等過酷な環境であり、高温での放熱性および絶縁性により一層優れる部材が必要とされる。 【0003】 たとえば、特許文献1には、半導体チップをリードフレーム等の支持体に搭載し、支持体と、ヒートシンクに接続される放熱板とを、絶縁樹脂層とで接着した半導体装置が開示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2011-216619号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかし、このような半導体装置は高温での放熱性および絶縁性がまだ十分に満足できるものでなかった。そのため、半導体チップの熱を外部に十分に放熱させたり、電子部品の絶縁性を保ったりすることが困難となる場合があり、その場合は半導体装置の性能が低下してしまう。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明によれば、 熱硬化性樹脂と、上記熱硬化性樹脂中に分散された無機充填材とを含む熱伝導性シートであって、 当該熱伝導性シートの硬化物を700℃、4時間加熱処理して灰化した後の灰化残渣に含まれる上記無機充填材について、水銀圧入法による細孔径分布測定を行ったとき、 上記水銀圧入法により測定される、細孔径Rを横軸とし、対数微分細孔容積(dV/dlogR)を縦軸としたときの細孔径分布曲線において、 上記細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下の範囲にピーク(P)を有し、 上記ピーク(P)は2以上のピークが重なり合っている、熱伝導性シートが提供される。 【0007】 本発明の熱伝導性シートは、上記無機充填材の細孔径分布曲線が、上記細孔径Rが1μm以上10μm以下の範囲においてピーク(P)を有し、上記ピーク(P)は2以上のピークが重なり合っている。こうした無機充填材であると、熱硬化性樹脂が無機充填材の内部に十分に入り込むため、熱伝導性シート中のボイドの発生が少ない。これにより、熱伝導性シートおよびその硬化物の絶縁性を向上できるため、得られる半導体装置の絶縁信頼性を向上できる。 さらに熱伝導性シート中の上記無機充填材の充填性が高く、上記無機充填材同士の接触面積が大きい。これにより、熱伝導性シートおよびその硬化物の熱伝導性を向上させることができる。 以上から、本発明によれば、上記無機充填材が上記細孔径分布曲線を示すことにより、放熱性および絶縁性のバランスに優れた熱伝導性シートおよびその硬化物を得ることができると推察される。そして、当該熱伝導性シートを半導体装置に適用することで、耐久性の高い半導体装置を実現できる。 ・・・ 【0010】 本発明によれば、放熱性および絶縁性バランスに優れた熱伝導性シートおよびその硬化物ならびに耐久性の高い半導体装置を提供できる。 ・・・ 【0014】 本実施形態に係る熱伝導性シートは、熱硬化性樹脂(A)と、熱硬化性樹脂(A)中に分散された無機充填材(B)とを含む。 そして、当該熱伝導性シートの硬化物を700℃、4時間加熱処理して灰化した後の灰化残渣に含まれる無機充填材(B)について、水銀圧入法による細孔径分布測定を行ったとき、上記水銀圧入法により測定される、細孔径Rを横軸とし、対数微分細孔容積(dV/dlogR)を縦軸としたときの細孔径分布曲線において、細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下、好ましくは1.0μm以上8.0μm以下の範囲にピーク(P)を有する。 また、ピーク(P)は、2以上、好ましくは3以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下のピークが重なり合っているものである。ピーク(P)は、たとえば水銀圧入式のポロシメータで測定できる。 ここで、細孔径Rが上記範囲にピーク(P)を有するとは、ピーク(P)の極大値が上記範囲内にあることを意味する。また、本実施形態において、細孔径は細孔の直径を示す。 また、2以上のピークが重なり合っているものであるとは、ピーク(P)が2以上の極大値を有し、かつ、個々のピークが分離できないことを意味する。なお、ショルダーピークも一つのピークとして数える。 このような熱伝導性シートの硬化物を、半導体パッケージ等の半導体装置において熱伝導材として適用することにより、耐久性の高い半導体装置を実現できる。 【0015】 ここで、ピーク(P)において、細孔径Rが好ましくは1.0μm以上3.0μm以下、より好ましくは1.0μm以上2.5μm以下の範囲に第1の極大値を有し、細孔径Rが好ましくは3.0μmを超えて10.0μm以下、より好ましくは3.0μmを超えて8.0μm以下の範囲に第2の極大値を有することが好ましい。ここで、第1の極大値に対応するピーク(P1)は無機充填材(B)の粒子内の空隙体積を示し、第2の極大値に対応するピーク(P2)は無機充填材(B)の粒子間の空隙体積を示していると考えられる。ここで、上記各範囲内にそれぞれ極大値が2つ以上ある場合は、最も大きいものを第1の極大値または第2の極大値とする。 無機充填材(B)がピーク(P1)を有すると、熱硬化性樹脂(A)が無機充填材(B)の内部に十分に入り込むため、熱伝導性シート中のボイドの発生が少ない。これにより、熱伝導性シートおよびその硬化物の絶縁性を向上できるため、得られる半導体装置の絶縁信頼性を向上できる。 また、無機充填材(B)がピーク(P2)を有すると、熱伝導性シート中の無機充填材(B)の充填性が高く、無機充填材(B)同士の接触面積が大きい。これにより、熱伝導性シートおよびその硬化物の熱伝導性を向上させることができる。」 (ウ)「【0022】 また、本実施形態に係る熱伝導性シートにおいて、上記細孔径Rが0.01μm以上1μm未満の範囲には、通常、実質的にピークを有さない。実質的にピークを有さないとは極大点がないことを意味する。ここで、0.01μm以上1.0μm未満の範囲のピークは、粒子内の空隙体積のうち、小さいものを意味し、このような粒子内の空隙体積があると、無機充填材(B)の強度が低下すると推察される。 よって、上記範囲に実質的にピークを有さないことにより、無機充填材(B)の強度(二次凝集粒子の場合は凝集力)を向上させることができ、その結果、熱伝導性シート製造前後において、無機充填材(B)の形状や配向(二次凝集粒子の場合は一次粒子の配向)をある程度保持することができる。これにより、熱伝導性シートおよびその硬化物の熱伝導性を向上できるため、得られる半導体装置の放熱性を向上できる。特に無機充填材(B)が二次凝集粒子の場合、二次凝集粒子の形状をある程度維持することにより、一次粒子間の接触が保たれ、また一次粒子のランダム配向が保たれるために熱伝導性シートおよびその硬化物の熱伝導性をより一層向上できる。 【0023】 また、上記細孔径Rが0.01μm以上1.0μm未満の範囲における累積細孔体積V3が0.30mL/g以下であることが好ましく、0.15mL/g以下がより好ましい。累積細孔体積V3の下限値は例えば、0.03mL/g以上である。 これにより、無機充填材(B)の強度(二次凝集粒子の場合は凝集力)を向上させることができ、その結果、熱伝導性シート製造前後において、無機充填材(B)の形状や配向(二次凝集粒子の場合は一次粒子の配向)をある程度保持することができる。これにより、熱伝導性シートおよびその硬化物の熱伝導性を向上できるため、得られる半導体装置の放熱性を向上できる。特に無機充填材(B)が二次凝集粒子の場合、二次凝集粒子の形状をある程度維持することにより、一次粒子間の接触が保たれ、また一次粒子のランダム配向が保たれるために熱伝導性シートおよびその硬化物の熱伝導性をより一層向上できる。」 (エ)「【実施例】 【0084】 以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例では、部はとくに特定しない限り質量部を表す。また、それぞれの厚みは平均膜厚で表わされている。 【0085】 (鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成された二次凝集粒子の作製) 市販の炭化ホウ素粉末をカーボンるつぼの中に投入し、窒素雰囲気下、2000℃、10時間の条件で窒化処理した。 次いで、得られた窒化ホウ素粉末に市販の三酸化二ホウ素粉末を加え、ブレンダ―で1時間混合した(窒化ホウ素:三酸化二ホウ素=7:3(質量比))。得られた混合物をカーボンるつぼの中に投入し、窒素雰囲気下、2000℃、10時間の条件で焼成することにより、平均粒径が80μmの凝集窒化ホウ素を得た。 ここで、凝集窒化ホウ素の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA-500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)とした。 【0086】 (熱伝導性シートの作製) 実施例1~7について、以下のように熱伝導性シートを作製した。 まず、表1に示す配合に従い、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを溶媒であるメチルエチルケトンに添加し、これを撹拌して熱硬化性樹脂組成物の溶液を得た。次いで、この溶液に無機充填材を入れて予備混合した後、三本ロールにて混練し、無機充填材を均一に分散させた熱伝導性シート用樹脂組成物を得た。次いで、得られた熱伝導性シート用樹脂組成物に対し、60℃、0.6MPa、15時間の条件によりエージングを行った。次いで、熱伝導性シート用樹脂組成物を、銅箔上にドクターブレード法を用いて塗布した後、これを100℃、30分間の熱処理により乾燥して、膜厚が400μmである樹脂シートを作製した。次いで、上記樹脂シートを二本のロール間に通して圧縮することにより、樹脂シート内の気泡を除去し、膜厚が200μmであるBステージ状の熱伝導性シートを得た。 なお、表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。 【0087】 実施例8については、熱伝導性シート用樹脂組成物に対し、80℃、0.6MPa、20時間の条件によりエージングを行った以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。 【0088】 実施例9については、熱伝導性シート用樹脂組成物に対し、40℃、0.6MPa、10時間の条件によりエージングを行った以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。 【0089】 実施例10については、熱伝導性シート用樹脂組成物に対し、50℃、0.6MPa、15時間の条件によりエージングを行った以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。 【0090】 実施例11については、熱伝導性シート用樹脂組成物に対し、30℃、0.6MPa、15時間の条件によりエージングを行い、エポキシ樹脂の種類をエポキシ樹脂7に変更した以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。 【0091】 実施例12については、熱伝導性シート用樹脂組成物に対し、30℃、0.6MPa、20時間の条件によりエージングを行い、エポキシ樹脂の種類をエポキシ樹脂8に変更した以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。 【0092】 比較例1については、熱伝導性シート用樹脂組成物に対してエージングを行わなかったことと、無機充填材として充填材1の代わりに充填材2を用いた点を除き、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。 【0093】 比較例2については、熱伝導性シート用樹脂組成物に対してエージングを行わなかったことと、無機充填材として充填材1の代わりに充填材3を用いた点を除き、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。 【0094】 比較例3については、熱伝導性シート用樹脂組成物に対してエージングを行わなかった点を除き、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。 なお、表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。 【0095】 (熱硬化性樹脂(A)) エポキシ樹脂1:ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(XD-1000、日本化薬社製) エポキシ樹脂2:ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂(YX-4000、三菱化学社製) エポキシ樹脂3:アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂(E201、出光興産社製) エポキシ樹脂4:フェノールアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂(NC-2000-L、日本化薬社製) エポキシ樹脂5:ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂(NC-3000、日本化薬社製) エポキシ樹脂6:ナフタレンアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂(NC-7000、日本化薬社製) エポキシ樹脂7:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(830S、大日本インキ社製) エポキシ樹脂8:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(828、三菱化学社製) シアネート樹脂1:フェノールノボラック型シアネート樹脂(PT-30、ロンザジャパン社製) 【0096】 (硬化触媒C-1) 硬化触媒1:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(2PHZ-PW、四国化成社製) 硬化触媒2:トリフェニルホスフィン(北興化学社製) (硬化剤C-2) フェノール系硬化剤1:トリスフェニルメタン型のフェノールノボラック樹脂(MEH-7500、明和化成社製) 【0097】 (無機充填材(B)) 充填材1:上記鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成された二次凝集粒子の作製により作製された凝集窒化ホウ素 充填材2:上記作製例において、焼成温度を2100℃、焼成時間を15時間に変更した以外は上記二次凝集粒子の作製例と同様の方法により作製された、平均粒径が80μmの凝集窒化ホウ素 充填材3:上記作製例において、焼成温度を1500℃、焼成時間を8時間に変更した以外は上記二次凝集粒子の作製例と同様の方法により作製された、平均粒径が80μmの凝集窒化ホウ素 【0098】 (細孔径分布曲線の測定) はじめに、得られた熱伝導性シートを180℃、10MPaで40分間熱処理することにより、熱伝導性シートの硬化物を得た。次いで、熱伝導性シートの硬化物を大気圧下で、700℃、4時間加熱処理して灰化した。次いで、得られた灰化残渣に含まれる無機充填材(B)の細孔径分布曲線を水銀圧入式のポロシメータ(島津製作所社製マイクロメリテックス 細孔分布測定装置オートポア9520型)により計測した。 具体的には以下の通りである。灰化残渣を100℃、1時間、大気圧下で、加熱乾燥し水分を蒸発させることにより測定試料(無機充填材(B))を得た。次いで、得られた測定試料約0.2gを標準5cc粉体用セル(ステム容積0.4cc)に採り、初期圧7kPa(約1psia、細孔径約180μm相当)の条件で測定した。水銀パラメーターは、装置デフォルトの水銀接触角130degrees、水銀表面張力は485dynes/cmに設定した。 【0099】 得られた細孔径分布曲線から、各ピークを求めた。また、細孔径Rが1μm以上10μm以下の範囲におけるピークについて、重なり合うピークの数を求めた。 また、得られた細孔径分布曲線から、細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下の範囲における累積細孔体積V1、細孔径Rが10.0μmを超えて30.0μm以下の範囲における累積細孔体積V2、および細孔径Rが0.01μm以上1.0μm未満の範囲における累積細孔体積V3をそれぞれ求めた。 【0100】 (Tg(ガラス転移温度)の測定) 熱伝導性シートの硬化物のガラス転移温度を次のように測定した。まず、得られた熱伝導性シートを180℃、10MPaで40分間熱処理することにより、熱伝導性シートの硬化物を得た。次いで、得られた硬化物のガラス転移温度(Tg)を、DMA(動的粘弾性測定)により昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で測定した。 【0101】 (絶縁信頼性評価) 実施例1~12および比較例1~3のそれぞれについて、半導体パッケージの絶縁信頼性を次のように評価した。まず、熱伝導性シートの硬化物を用いて図1に示す半導体パッケージを作製した。次いで、この半導体パッケージを用いて、温度85℃、湿度85%、交流印加電圧1.5kVの条件で連続湿中絶縁抵抗を評価した。なお、抵抗値106Ω以下を故障とした。評価基準は以下の通りである。 ◎◎:300時間以上故障なし ◎ :200時間以上300時間未満で故障あり ○ :150時間以上200時間未満で故障あり △ :100時間以上150時間未満で故障あり × :100時間未満で故障あり 【0102】 (ヒートサイクル試験) 実施例1~12および比較例1~3のそれぞれについて、半導体パッケージのヒートサイクル性を次のように評価した。まず、熱伝導性シートの硬化物を用いて図1に示す半導体パッケージを作製した。次いで、この半導体パッケージ3個を用いて、ヒートサイクル試験を実施した。ヒートサイクル試験は、-40℃5分~+125℃5分を1サイクルとして3000回行なった。 つぎに、超音波映像装置(日立建機ファインテック社製、FS300)を用いて、半導体チップ、導電層に異常がないか観察した。 ◎:半導体チップ、導電層ともに異常なし。 ○:半導体チップおよび/または導電層の一部にクラックが見られるが実用上問題なし。 △:半導体チップおよび/または導電層の一部にクラックが見られ実用上問題あり。 ×:半導体チップ、導電層ともにクラックが見られ使用できない。 【0103】 【表1】 [図:0001405785000009.jpg] 」 エ 参考資料1に記載の事項 (ア)「PolarTherm(R) Boron Nitride Powder PT350,PT360,and PT370」(タイトル) (当審訳:PolarTherm(登録商標)窒化ホウ素粉末PT350、PT360、PT370) (イ)「 [図:0001405785000010.jpg] 」(2頁) オ 参考資料2に記載の事項 (ア)「 [図:0001405785000011.jpg] 」(2頁) (2)甲1~3、参考資料1に記載された発明 ア 甲1に記載された発明 (ア)甲1の前記(1)ア(ウ)の実施例によれば、甲1には、粉体Aとして、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT110と粉体Cを質量比20:80で混合した粉体」(【0072】)であって、パラメータPが0.20、全細孔容積Vpが0.520cm3/g、バルク密度ρbが0.780g/cm3、歪度Skが-0.12であるもの(【表2】)が記載され、当該粉体Aに混合される粉体Cとして、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、300μmの篩で篩い分けして篩の上方に残った粉体」(【0072】)が記載されている。 そして、同(ア)によれば、当該パラメータPは、「P=Δlog(G’/ηm)/Δφ (前記式中、G’は、前記窒化ホウ素粉体と前記樹脂からなる混合物の、角周波数1rad/sにおける貯蔵弾性率[Pa]を表し、ηmは、前記樹脂の粘性率[Pa・s]を表し、φは、前記混合物における窒化ホウ素粉体の体積分率[%]を表す。ただし、log(G’/ηm)は1以下であり、かつG’及びηmの測定値から求められるlog(G’/ηm)の値が2デカード以上離れている二点を含む。)」(【請求項1】)であること、当該歪度は、粒度分布における歪度であること(【請求項2】)が記載され、さらに、同(ウ)によれば、当該全細孔容積Vpは、「マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めた」(【0077】)ものであることが記載されている。 そうすると、甲1には、粉体Aに着目した場合、次の発明(以下、「甲1A発明」という。)が記載されているといえる。 「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT110と、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、300μmの篩で篩い分けして篩の上方に残った粉体とを、質量比20:80で混合した粉体であって、 パラメータPが0.20、全細孔容積Vpが0.520cm3/g、バルク密度ρbが0.780g/cm3、粒度分布における歪度Skが-0.12であり、当該パラメータPは、P=Δlog(G’/ηm)/Δφ (前記式中、G’は、窒化ホウ素粉体と樹脂からなる混合物の、角周波数1rad/sにおける貯蔵弾性率[Pa]を表し、ηmは、前記樹脂の粘性率[Pa・s]を表し、φは、前記混合物における窒化ホウ素粉体の体積分率[%]を表す。ただし、log(G’/ηm)は1以下であり、かつG’及びηmの測定値から求められるlog(G’/ηm)の値が2デカード以上離れている二点を含む。)であり、当該全細孔容積Vpは、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めたものである、粉体。」 (イ)甲1の前記(1)ア(ウ)の実施例によれば、甲1には、粉体Cとして、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、300μmの篩で篩い分けして篩の上方に残った粉体。」(【0072】)であって、パラメータPが0.18、全細孔容積Vpが0.450cm3/g、バルク密度ρbが0.860g/cm3、歪度Skが0.71であるもの(【表2】)が記載されている。 そして、同(ア)によれば、当該パラメータPは、「P=Δlog(G’/ηm)/Δφ (前記式中、G’は、前記窒化ホウ素粉体と前記樹脂からなる混合物の、角周波数1rad/sにおける貯蔵弾性率[Pa]を表し、ηmは、前記樹脂の粘性率[Pa・s]を表し、φは、前記混合物における窒化ホウ素粉体の体積分率[%]を表す。ただし、log(G’/ηm)は1以下であり、かつG’及びηmの測定値から求められるlog(G’/ηm)の値が2デカード以上離れている二点を含む。)」(【請求項1】)であること、当該歪度は、粒度分布における歪度であること(【請求項2】)が記載され、さらに、同(ウ)によれば、当該全細孔容積Vpは、「マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めた」(【0077】)ものであることが記載されている。 そうすると、甲1には、粉体Cに着目した場合、次の発明(以下、「甲1C発明」という。)が記載されているといえる。 「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、300μmの篩で篩い分けして篩の上方に残った粉体であって、 パラメータPが0.18、全細孔容積Vpが0.450cm3/g、バルク密度ρbが0.860g/cm3、粒度分布における歪度Skが0.71であり、当該パラメータPは、P=Δlog(G’/ηm)/Δφ (前記式中、G’は、窒化ホウ素粉体と樹脂からなる混合物の、角周波数1rad/sにおける貯蔵弾性率[Pa]を表し、ηmは、前記樹脂の粘性率[Pa・s]を表し、φは、前記混合物における窒化ホウ素粉体の体積分率[%]を表す。ただし、log(G’/ηm)は1以下であり、かつG’及びηmの測定値から求められるlog(G’/ηm)の値が2デカード以上離れている二点を含む。)であり、当該全細孔容積Vpは、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めたものである、粉体。」 (ウ)甲1の前記(1)ア(ウ)の実施例によれば、甲1には、粉体Dとして、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT350を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、150μmの篩を通過した粉体を100μmの篩で篩い分けして100μmの篩の上方に残った粉体。」(【0072】)であって、パラメータPが0.23、全細孔容積Vpが0.793cm3/g、バルク密度ρbが0.790g/cm3、歪度Skが-0.56であるもの(【表2】)が記載されている。 そして、同(ア)によれば、当該パラメータPは、「P=Δlog(G’/ηm)/Δφ (前記式中、G’は、前記窒化ホウ素粉体と前記樹脂からなる混合物の、角周波数1rad/sにおける貯蔵弾性率[Pa]を表し、ηmは、前記樹脂の粘性率[Pa・s]を表し、φは、前記混合物における窒化ホウ素粉体の体積分率[%]を表す。ただし、log(G’/ηm)は1以下であり、かつG’及びηmの測定値から求められるlog(G’/ηm)の値が2デカード以上離れている二点を含む。)」(【請求項1】)であること、当該歪度は、粒度分布における歪度であること(【請求項2】)が記載され、さらに、同(ウ)によれば、当該全細孔容積Vpは、「マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めた」(【0077】)ものであることが記載されている。 そうすると、甲1には、粉体Dに着目した場合、次の発明(以下、「甲1D発明」という。)が記載されているといえる。 「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT350を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、150μmの篩を通過した粉体を100μmの篩で篩い分けして100μmの篩の上方に残った粉体であって、 パラメータPが0.23、全細孔容積Vpが0.793cm3/g、バルク密度ρbが0.790g/cm3、粒度分布における歪度Skが-0.56であり、当該パラメータPは、P=Δlog(G’/ηm)/Δφ (前記式中、G’は、窒化ホウ素粉体と樹脂からなる混合物の、角周波数1rad/sにおける貯蔵弾性率[Pa]を表し、ηmは、前記樹脂の粘性率[Pa・s]を表し、φは、前記混合物における窒化ホウ素粉体の体積分率[%]を表す。ただし、log(G’/ηm)は1以下であり、かつG’及びηmの測定値から求められるlog(G’/ηm)の値が2デカード以上離れている二点を含む。)であり、当該全細孔容積Vpは、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めたものである、粉体。」 (エ)甲1の前記(1)ア(ウ)の実施例によれば、甲1には、粉体Fとして、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670」(【0072】)であって、パラメータPが0.25、全細孔容積Vpが0.467cm3/g、バルク密度ρbが0.850g/cm3、歪度Skが-0.95であるもの(【表2】)が記載されている。 そして、同(ア)によれば、当該パラメータPは、「P=Δlog(G’/ηm)/Δφ (前記式中、G’は、前記窒化ホウ素粉体と前記樹脂からなる混合物の、角周波数1rad/sにおける貯蔵弾性率[Pa]を表し、ηmは、前記樹脂の粘性率[Pa・s]を表し、φは、前記混合物における窒化ホウ素粉体の体積分率[%]を表す。ただし、log(G’/ηm)は1以下であり、かつG’及びηmの測定値から求められるlog(G’/ηm)の値が2デカード以上離れている二点を含む。)」(【請求項1】)であること、当該歪度は、粒度分布における歪度であること(【請求項2】)が記載され、さらに、同(ウ)によれば、当該全細孔容積Vpは、「マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めた」(【0077】)ものであることが記載されている。 そうすると、甲1には、粉体Fに着目した場合、次の発明(以下、「甲1F発明」という。)が記載されているといえる。 「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670からなる粉体であって、 パラメータPが0.25、全細孔容積Vpが0.467cm3/g、バルク密度ρbが0.850g/cm3、粒度分布における歪度Skが-0.95であり、当該パラメータPは、P=Δlog(G’/ηm)/Δφ (前記式中、G’は、窒化ホウ素粉体と樹脂からなる混合物の、角周波数1rad/sにおける貯蔵弾性率[Pa]を表し、ηmは、前記樹脂の粘性率[Pa・s]を表し、φは、前記混合物における窒化ホウ素粉体の体積分率[%]を表す。ただし、log(G’/ηm)は1以下であり、かつG’及びηmの測定値から求められるlog(G’/ηm)の値が2デカード以上離れている二点を含む。)であり、当該全細孔容積Vpは、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めたものである、粉体。」 イ 甲2に記載された発明 (ア)甲2の前記(1)イ(オ)によれば、甲2には、実施例5の「第1の窒化ホウ素凝集粒子」が「サンゴバン社製「PCTH7MHF」」からなるものであり(【0161】及び【表1】)、当該「PCTH7MHF」について、累積50%細孔径が0.51μm、細孔容積1Aが0.16cm3/g、細孔容積1Bが0.20cm3/g、細孔容積1Cが0.10cm3/g、平均粒子径が100μmであること(【表1】の実施例5)が記載されている。 そして、同(オ)によれば、甲2には、「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し」、「窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行」い、「得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得」て(【0168】)、「細孔径分布の測定結果から」、「第1の窒化ホウ素凝集粒子」の、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布」における「累積50%細孔径」(【0169】及び【0170】)、「細孔径が0μmを超え、1μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1A」、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1B」、「細孔径が0μmを超え、0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1C」(【0171】及び【0172】)を算出すること、「第1の窒化ホウ素凝集粒子」の「粒子径」は、「堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定し」、「累積体積が50%であるときの無機粒子の粒子径(d50)の値」を算出すること(【0175】)が記載されている。 そうすると、甲2には、実施例5の「PCTH7MHF」に着目した場合、次の発明(以下、「甲2PCTH7MHF発明」という。)が記載されているといえる。 「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子であって、 サンゴバン社製「PCTH7MHF」からなるものであり、 累積50%細孔径が0.51μm、細孔容積1Aが0.16cm3/g、細孔容積1Bが0.20cm3/g、細孔容積1Cが0.10cm3/g、平均粒子径が100μmであり、 QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し、窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行い、得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得て、細孔径分布の測定結果から、第1の窒化ホウ素凝集粒子の、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布における累積50%細孔径、細孔径が0μmを超え、1μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1A、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B、細孔径が0μmを超え、0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Cを算出し、第1の窒化ホウ素凝集粒子の粒子径は、堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定し、累積体積が50%であるときの無機粒子の粒子径(d50)の値を算出する、凝集粒子。」 (イ)甲2の前記(1)イ(オ)によれば、甲2には、実施例1の「第1の窒化ホウ素凝集粒子」が「凝集粒子1」からなるものであり(【0161】及び【表1】)、当該「凝集粒子1」について、累積50%細孔径が0.50μm、細孔容積1Aが0.23cm3/g、細孔容積1Bが0.30cm3/g、細孔容積1Cが0.15cm3/g、平均粒子径が70μmであること(【表1】の実施例1)が記載されている。 また、同(オ)によれば、上記「凝集粒子1」は「平均長径3.3μm、アスペクト比12.7の窒化ホウ素の一次粒子を空隙率が41%となるようにスプレードライ法で凝集させることにより」「作製」(【0162】)されるものである。 そして、同(オ)によれば、甲2には、「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し」、「窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行」い、「得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得」て(【0168】)、「細孔径分布の測定結果から」、「第1の窒化ホウ素凝集粒子」の、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布」における「累積50%細孔径」(【0169】及び【0170】)、「細孔径が0μmを超え、1μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1A」、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1B」、「細孔径が0μmを超え、0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1C」(【0171】及び【0172】)を算出すること、「第1の窒化ホウ素凝集粒子」の「粒子径」は、「堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定し」、「累積体積が50%であるときの無機粒子の粒子径(d50)の値」を算出すること(【0175】)が記載されている。 そうすると、甲2には、実施例1の「凝集粒子1」に着目した場合、次の発明(以下、「甲2凝集粒子1発明」という。)が記載されているといえる。 「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子であって、 凝集粒子1からなるものであり、 累積50%細孔径が0.50μm、細孔容積1Aが0.23cm3/g、細孔容積1Bが0.30cm3/g、細孔容積1Cが0.15cm3/g、平均粒子径が70μmであり、 凝集粒子1は平均長径3.3μm、アスペクト比12.7の窒化ホウ素の一次粒子を空隙率が41%となるようにスプレードライ法で凝集させることにより作製され、 QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し、窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行い、得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得て、細孔径分布の測定結果から、第1の窒化ホウ素凝集粒子の、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布における累積50%細孔径、細孔径が0μmを超え、1μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1A、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B、細孔径が0μmを超え、0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Cを算出し、第1の窒化ホウ素凝集粒子の粒子径は、堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定し、累積体積が50%であるときの無機粒子の粒子径(d50)の値を算出する、凝集粒子。」 (ウ)甲2の前記(1)イ(オ)によれば、甲2には、実施例2の「第1の窒化ホウ素凝集粒子」が「凝集粒子2」からなるものであり(【0161】及び【表1】)、当該「凝集粒子2」について、累積50%細孔径が0.60μm、細孔容積1Aが0.20cm3/g、細孔容積1Bが0.31cm3/g、細孔容積1Cが0.13cm3/g、平均粒子径が40μmであること(【表1】の実施例2)が記載されている。 また、同(オ)によれば、上記「凝集粒子2」は「平均長径3.6μm、アスペクト比13の窒化ホウ素の一次粒子を空隙率が43%となるようにスプレードライ法で凝集させることにより」「作製」(【0163】)されるものである。 そして、同(オ)によれば、甲2には、「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し」、「窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行」い、「得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得」て(【0168】)、「細孔径分布の測定結果から」、「第1の窒化ホウ素凝集粒子」の、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布」における「累積50%細孔径」(【0169】及び【0170】)、「細孔径が0μmを超え、1μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1A」、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1B」、「細孔径が0μmを超え、0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1C」(【0171】及び【0172】)を算出すること、「第1の窒化ホウ素凝集粒子」の「粒子径」は、「堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定し」、「累積体積が50%であるときの無機粒子の粒子径(d50)の値」を算出すること(【0175】)が記載されている。 そうすると、甲2には、実施例2の「凝集粒子2」に着目した場合、次の発明(以下、「甲2凝集粒子2発明」という。)が記載されているといえる。 「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子であって、 凝集粒子2からなるものであり、 累積50%細孔径が0.60μm、細孔容積1Aが0.20cm3/g、細孔容積1Bが0.31cm3/g、細孔容積1Cが0.13cm3/g、平均粒子径が40μmであり、 凝集粒子2は平均長径3.6μm、アスペクト比13の窒化ホウ素の一次粒子を空隙率が43%となるようにスプレードライ法で凝集させることにより作製され、 QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し、窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行い、得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得て、細孔径分布の測定結果から、第1の窒化ホウ素凝集粒子の、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布における累積50%細孔径、細孔径が0μmを超え、1μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1A、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B、細孔径が0μmを超え、0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Cを算出し、第1の窒化ホウ素凝集粒子の粒子径は、堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定し、累積体積が50%であるときの無機粒子の粒子径(d50)の値を算出する、凝集粒子。」 (エ)甲2の前記(1)イ(オ)によれば、甲2には、実施例6の「第1の窒化ホウ素凝集粒子」が「モメンティブ社製「PT350」」からなるものであり(【0161】及び【表1】)、当該「PT350」について、累積50%細孔径が0.31μm、細孔容積1Aが0.14cm3/g、細孔容積1Bが0.17cm3/g、細孔容積1Cが0.11cm3/g、平均粒子径が120μmであること(【表1】の実施例6)が記載されている。 そして、同(オ)によれば、甲2には、「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し」、「窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行」い、「得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得」て(【0168】)、「細孔径分布の測定結果から」、「第1の窒化ホウ素凝集粒子」の、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布」における「累積50%細孔径」(【0169】及び【0170】)、「細孔径が0μmを超え、1μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1A」、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1B」、「細孔径が0μmを超え、0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1C」(【0171】及び【0172】)を算出すること、「第1の窒化ホウ素凝集粒子」の「粒子径」は、「堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定し」、「累積体積が50%であるときの無機粒子の粒子径(d50)の値」を算出すること(【0175】)が記載されている。 そうすると、甲2には、実施例6の「PT350」に着目した場合、次の発明(以下、「甲2PT350発明」という。)が記載されているといえる。 「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子であって、 モメンティブ社製「PT350」からなるものであり、 累積50%細孔径が0.31μm、細孔容積1Aが0.14cm3/g、細孔容積1Bが0.17cm3/g、細孔容積1Cが0.11cm3/g、平均粒子径が120μmであり、 QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し、窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行い、得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得て、細孔径分布の測定結果から、第1の窒化ホウ素凝集粒子の、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布における累積50%細孔径、細孔径が0μmを超え、1μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1A、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B、細孔径が0μmを超え、0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Cを算出し、第1の窒化ホウ素凝集粒子の粒子径は、堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定し、累積体積が50%であるときの無機粒子の粒子径(d50)の値を算出する、凝集粒子。」 ウ 甲3に記載された発明 甲3の上記(1)ウ(エ)の実施例8によれば、甲3には、「熱伝導性シート用樹脂組成物に対し、80℃、0.6MPa、20時間の条件によりエージングを行った以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した」(【0087】)と記載され、同(エ)の実施例1によれば、「表1に示す配合に従い、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを溶媒であるメチルエチルケトンに添加し、これを撹拌して熱硬化性樹脂組成物の溶液を得」て、「次いで、この溶液に無機充填材を入れて予備混合した後、三本ロールにて混練し、無機充填材を均一に分散させた熱伝導性シート用樹脂組成物を得」て、「次いで、得られた熱伝導性シート用樹脂組成物に対し、60℃、0.6MPa、15時間の条件によりエージングを行」い、「次いで、熱伝導性シート用樹脂組成物を、銅箔上にドクターブレード法を用いて塗布した後、これを100℃、30分間の熱処理により乾燥して、膜厚が400μmである樹脂シートを作製し」、「次いで、上記樹脂シートを二本のロール間に通して圧縮することにより、樹脂シート内の気泡を除去し、膜厚が200μmであるBステージ状の熱伝導性シートを得た」こと(【0086】)が記載されている。 そして、同(エ)の【表1】によれば、実施例8の配合は、エポキシ樹脂1が18.9g、フェノール系硬化剤1が7.3g、硬化触媒1が0.1g、充填材1が73.8gであることが記載されている。ここで、各成分の具体的な材料について、同(エ)によれば、「エポキシ樹脂1:ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(XD-1000、日本化薬社製)」(【0095】)、「フェノール系硬化剤1:トリスフェニルメタン型のフェノールノボラック樹脂(MEH-7500、明和化成社製)」、「硬化触媒1:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(2PHZ-PW、四国化成社製)」(【0096】)、「充填材1:上記鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成された二次凝集粒子の作製により作製された凝集窒化ホウ素」(【0097】)と記載され、当該鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成された二次凝集粒子について、「市販の炭化ホウ素粉末をカーボンるつぼの中に投入し、窒素雰囲気下、2000℃、10時間の条件で窒化処理し」、「次いで、得られた窒化ホウ素粉末に市販の三酸化二ホウ素粉末を加え、ブレンダ―で1時間混合し(窒化ホウ素:三酸化二ホウ素=7:3(質量比))」、「得られた混合物をカーボンるつぼの中に投入し、窒素雰囲気下、2000℃、10時間の条件で焼成することにより、平均粒径が80μmの凝集窒化ホウ素を得た」こと、「凝集窒化ホウ素の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA-500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)とした」こと(【0085】)が記載されている。 また、同(エ)によれば、当該熱伝導性シートの細孔径分布曲線の測定においては、「得られた熱伝導性シートを180℃、10MPaで40分間熱処理することにより、熱伝導性シートの硬化物を得」て、「次いで、熱伝導性シートの硬化物を大気圧下で、700℃、4時間加熱処理して灰化し」、「次いで、得られた灰化残渣に含まれる無機充填材(B)の細孔径分布曲線を水銀圧入式のポロシメータ(島津製作所社製マイクロメリテックス 細孔分布測定装置オートポア9520型)により計測した」(【0098】)こと、「得られた細孔径分布曲線から、各ピークを求め」、「細孔径Rが1μm以上10μm以下の範囲におけるピークについて、重なり合うピークの数を求め」、「得られた細孔径分布曲線から、細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下の範囲における累積細孔体積V1、細孔径Rが10.0μmを超えて30.0μm以下の範囲における累積細孔体積V2、および細孔径Rが0.01μm以上1.0μm未満の範囲における累積細孔体積V3をそれぞれ求めた」こと(【0099】)が記載されており、実施例8の熱伝導性シートから得られた灰化残渣に含まれる無機充填材の細孔径分布の測定結果として、ピーク(P)が有り、ピーク(P)における重なり合うピークの数が2、ピーク(P1)の極大値における細孔径が2.10μm、ピーク(P2)の極大値における細孔径が3.40μm、細孔径Rが10μmを超えて30μm以下の範囲のピークの数が2、細孔径Rが0.01μm以上1μm未満の範囲のピークの極大値が無し、累積細孔体積V1が0.40mL/g、累積細孔体積V2が0.09mL/g、累積細孔体積V3が0.05mL/g、ガラス転移温度(Tg)が192℃であること(【表1】)が記載されている。 そうすると、甲3には、実施例8の熱伝導性シートから得られた灰化残渣に含まれる無機充填材に着目した場合、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているといえる。 「ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(XD-1000、日本化薬社製)が18.9g、 フェノール系硬化剤としてのトリスフェニルメタン型のフェノールノボラック樹脂(MEH-7500、明和化成社製)が7.3g、 硬化触媒としての2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(2PHZ-PW、四国化成社製)が0.1g、 充填材としての鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成された二次凝集粒子であって、市販の炭化ホウ素粉末をカーボンるつぼの中に投入し、窒素雰囲気下、2000℃、10時間の条件で窒化処理し、次いで、得られた窒化ホウ素粉末に市販の三酸化二ホウ素粉末を加え、ブレンダ―で1時間混合し(窒化ホウ素:三酸化二ホウ素=7:3(質量比))、得られた混合物をカーボンるつぼの中に投入し、窒素雰囲気下、2000℃、10時間の条件で焼成することにより得られた、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA-500)により粒子の粒度分布を体積基準で測定しそのメディアン径(D50)である平均粒径が80μmの凝集窒化ホウ素が73.8g、 との配合に従い、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを溶媒であるメチルエチルケトンに添加し、これを撹拌して熱硬化性樹脂組成物の溶液を得て、次いで、この溶液に無機充填材を入れて予備混合した後、三本ロールにて混練し、無機充填材を均一に分散させた熱伝導性シート用樹脂組成物を得て、次いで、得られた熱伝導性シート用樹脂組成物に対し、80℃、0.6MPa、20時間の条件によりエージングを行い、次いで、熱伝導性シート用樹脂組成物を、銅箔上にドクターブレード法を用いて塗布した後、これを100℃、30分間の熱処理により乾燥して、膜厚が400μmである樹脂シートを作製し、次いで、上記樹脂シートを二本のロール間に通して圧縮することにより、樹脂シート内の気泡を除去し、膜厚が200μmであるBステージ状の熱伝導性シートを得て、 得られた熱伝導性シートを180℃、10MPaで40分間熱処理することにより、熱伝導性シートの硬化物を得て、次いで、熱伝導性シートの硬化物を大気圧下で、700℃、4時間加熱処理して灰化し、得られた灰化残渣に含まれる無機充填材であって、 細孔径分布曲線を水銀圧入式のポロシメータ(島津製作所社製マイクロメリテックス 細孔分布測定装置オートポア9520型)により計測し、得られた細孔径分布曲線から、各ピークを求め、細孔径Rが1μm以上10μm以下の範囲におけるピークについて、重なり合うピークの数を求め、得られた細孔径分布曲線から、細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下の範囲における累積細孔体積V1、細孔径Rが10.0μmを超えて30.0μm以下の範囲における累積細孔体積V2、および細孔径Rが0.01μm以上1.0μm未満の範囲における累積細孔体積V3をそれぞれ求めた場合、ピーク(P)が有り、ピーク(P)における重なり合うピークの数が2、ピーク(P1)の極大値における細孔径が2.10μm、ピーク(P2)の極大値における細孔径が3.40μm、細孔径Rが10μmを超えて30μm以下の範囲のピークの数が2、細孔径Rが0.01μm以上1μm未満の範囲のピークの極大値が無し、累積細孔体積V1が0.40mL/g、累積細孔体積V2が0.09mL/g、累積細孔体積V3が0.05mL/g、ガラス転移温度(Tg)が192℃である、無機充填材。」 エ 参考資料1に記載された発明 上記(1)エ(ア)には、「PT350」という型番の「窒化ホウ素粉末」が記載されている。 そして、同(イ)の表には、PT350のタップ密度(Tap Density)が0.7g/ccであることが記載されている。 そうすると、参考資料1には、次の発明(以下、「参考資料1発明」という。)が記載されているといえる。 「型番がPT350であり、タップ密度が0.7g/ccである、窒化ホウ素粉末」 (3)甲1(甲1A発明)を主引用文献とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1A発明を対比する。 甲1A発明の「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT110と、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、300μmの篩で篩い分けして篩の上方に残った粉体と」を含む「粉体」は、「窒化ホウ素」の「粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」である点で本件発明1と共通する。 そして、甲1A発明の「マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型」は、「水銀圧入退出曲線を測定」することにより細孔容積を測定するものであるから、本件発明1の「水銀ポロシメーター」に相当する。 また、甲1A発明の「全細孔容積Vpが0.520cm3/g」であり、「当該全細孔容積Vpは、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めたものである」ことは、容積の単位として「cm3」は「mL」と等しく「0.520cm3/g」は「0.520mL/g」と等しいことを踏まえると、「ポアサイズ10nm~500μm」における「全細孔容積Vp」が「0.520mL/g」であることを意味している。ここで、「ポアサイズ10nm~500μm」より狭い範囲である「細孔半径が0.02~1.2μm」においては、「積算気孔体積」が「0.520mL/g」以下の値となることは明らかである。したがって、甲1A発明の「マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型」で測定される「ポアサイズ10nm~500μm」における「全細孔容積Vpが0.520cm3/g」との値は、本件発明1の「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下」を満たすといえる。 そうすると、本件発明1と甲1A発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である、窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点1> 窒化ホウ素の粒子について、本件発明1は、一次粒子が凝集して構成される凝集粒子であるのに対し、甲1A発明は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製PT110及びPT670の混合粉末であることは記載されているものの、PT110及びPT670が凝集粒子からなる粉末であるか否か明らかでない点。 <相違点2> 本件発明1は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上であるのに対し、甲1A発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点2から検討する。 本件発明1は、充填性に優れ、かつ、優れた熱伝導性を発揮し得る複合材を製造可能な窒化ホウ素粉末を製造することを課題とするものである。そしてその課題を解決するため、「全気孔体積に占める」「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」の「割合」をある特定の範囲(20%以上)に限定しているものである。 対して、甲1A発明は、「成形体における高い熱伝導性は、熱伝導性粒子を多量に配合することによって得られるが、一方で熱伝導性粒子の多量の配合は、熱伝導性樹脂組成物の流動性を損ない、成形の不具合による生産性の低下や組成の不均一性をもたらす」(【0003】)という問題があったことから、「窒化ホウ素粉体の高い濃度において成形することが可能な新規な熱伝導性樹脂組成物を提供」(【0003】)ことを課題とするものである。そしてその課題解決のため、「樹脂組成物の貯蔵弾性率、樹脂成分の粘性率、及び窒化ホウ素粉体の含有量から求められる特定のパラメータが一定の値を下回る」(【0011】)ようにし、さらには、全細孔容積Vpが0.80cm3/g以下、バルク密度ρbが0.70g/cm3以上 歪度Skが-1.0以上1.0以下となるようにしている。この際、全細孔容積Vpは、「ポアサイズ10nm~500μm」(【0040】)の細孔を測定して全細孔容積としている。そして、実施例では、当該数値条件を満たす粉体として、A~Hの8つの粉体が例示されている。 【表1】 [図:0001405785000012.jpg] ここで、本件発明1の「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下」との点を一致点としたのは、粉体Aにおいて、全細孔容積Vpの値が0.65mL/g以下の範囲にあるためであるが、【表1】に示された8つの粉体を見てみると、ポアサイズ10nm~500μmの細孔容積である全細孔容積Vpは、本件発明1の細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積における数値範囲(0.65mL/g以下)を満たすもの(粉体A、C、F)もあれば、満たさないものもある(粉体B、D、E、G、H)。 このことから、甲1A発明は、あくまで全細孔容積Vpに着目したものであり、全細孔容積Vpに含まれる特定の気孔径範囲(0.02~1.2μm)における積算気孔体積には着目しているとはいえず、ひいては、特定の気孔径範囲(0.02~1.2μm)における積算気孔体積を閾値(0.65mL/g)以下にした上で、全細孔容積(全気孔体積)に占める特定の気孔径範囲(0.02~1.2μm)における積算気孔体積の割合を特定の割合(20%以上)にすることを想到するとはいえない。 また、前述のとおり本件発明1と甲1A発明とは、課題の解決手段を異にしており、甲1A発明は、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合(20%以上)するという手段を採用していない。加えて、甲1の明細書全体としても、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合とすることと、甲1A発明の課題であるところの窒化ホウ素粉体の高い濃度における成形性(流動性)との間に何らかの相関関係がある旨の記載はないし、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合とすることで、(窒化ホウ素粉体の高い濃度における成形性に限らず)何らかの好適な効果が得られることを示唆するような記載は一切ない。 そのため、甲1に接した当業者が、甲1A発明の熱伝導性樹脂組成物を、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」が特定の割合(20%以上)となるように調整しようとする動機はない。 そうすると、甲2、3、参考資料1、2の記載事項にかかわらず、上記相違点1に係る本件発明1の事項は、当業者が容易に想到し得るものではない。 念のため、甲2、3、参考資料1、2について検討すると、甲2には上記(2)イ(ア)~(エ)に記載した凝集粒子が、甲3には上記(2)ウに記載した無機充填剤が、参考資料1には、窒化ホウ素粉末PT350のタップ密度(Tap Density)が0.7g/ccである点が、参考資料2には、サンゴバン社製「PCTH7MHF」のタップ密度(Tap Density)が0.8g/ccである点がそれぞれ記載されているが、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合(20%以上)とする点については記載がないため、甲1A発明に、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項を適用したとしても、前記相違点1に係る本件発明1の特定事項を有するものとするには至らない。 そのため、相違点1の判断にかかわらず、本件発明1は、甲1A発明ではないし、甲1A発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明1は、甲1A発明ではないし、甲1A発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本件発明2について (ア)対比 本件発明2と甲1A発明を対比する。 甲1A発明の「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT110と、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、300μmの篩で篩い分けして篩の上方に残った粉体と」を含む「粉体」は、「窒化ホウ素」の「粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」である点で本件発明2と共通する。 そうすると、本件発明2と甲1A発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含む、 窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点3> 窒化ホウ素の粒子について、本件発明2は、一次粒子が凝集して構成される凝集粒子であるのに対し、甲1A発明は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製PT110及びPT670の混合粉末であることは記載されているものの、PT110及びPT670が凝集粒子からなる粉末であるか否か明らかでない点。 <相違点4> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であるのに対し、甲1A発明は、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積Vpが0.520cm3であるものの、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の値が特定されていない点。 <相違点5> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上であるのに対し、甲1A発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点5から検討する。 相違点5は、上記ア(ア)の相違点2と、割合の数値が10%か20%かの違いはあるものの、「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の数値範囲にしている点では共通している。そのため、上記ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、相違点3及び4の判断にかかわらず、本件発明2は、甲1A発明ではないし、甲1A発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明2は、甲1A発明ではないし、甲1A発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 本件発明3、6、7について 本件発明3、6、7はいずれも本件発明1又は2を直接又は間接的に引用し、本件発明1又は2の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1又は2と同様に、本件発明3、6、7は、甲1A発明ではないし、甲1A発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4)甲1(甲1C発明)を主引用文献とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1C発明を対比する。 甲1C発明の「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、300μmの篩で篩い分けして篩の上方に残った粉体」は、「窒化ホウ素」の「粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」である点で本件発明1と共通する。 そして、甲1C発明の「マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型」は、「水銀圧入退出曲線を測定」することにより細孔容積を測定するものであるから、本件発明1の「水銀ポロシメーター」に相当する。 また、甲1C発明の「全細孔容積Vpが0.450cm3/g」であり、「当該全細孔容積Vpは、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めたものである」ことは、容積の単位として「cm3」は「mL」と等しく「0.450cm3/g」は「0.450mL/g」と等しいことを踏まえると、「ポアサイズ10nm~500μm」における「全細孔容積Vp」が「0.450mL/g」であることを意味している。ここで、「ポアサイズ10nm~500μm」より狭い範囲である「細孔半径が0.02~1.2μm」においては、「積算気孔体積」が「0.450mL/g」以下の値となることは明らかである。したがって、甲1C発明の「マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型」で測定される「ポアサイズ10nm~500μm」における「全細孔容積Vpが0.450cm3/g」との値は、本件発明1の「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下」を満たすといえる。 そうすると、本件発明1と甲1C発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である、窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点6> 窒化ホウ素の粒子について、本件発明1は、一次粒子が凝集して構成される凝集粒子であるのに対し、甲1C発明は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製PT670であることは記載されているものの、PT670が凝集粒子であるか否か明らかでない点。 <相違点7> 本件発明1は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上であるのに対し、甲1C発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点7から検討する。 上記(ア)の相違点7は、上記(3)ア(ア)の相違点2と、同様の相違点である。そのため、上記(3)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、相違点6の判断にかかわらず、本件発明1は、甲1C発明ではないし、甲1C発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明1は、甲1C発明ではないし、甲1C発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本件発明2について (ア)対比 本件発明2と甲1C発明を対比する。 甲1C発明の「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、300μmの篩で篩い分けして篩の上方に残った粉体」は、「窒化ホウ素」の「粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」である点で本件発明2と共通する。 そうすると、本件発明2と甲1C発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含む、 窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点8> 窒化ホウ素の粒子について、本件発明2は、一次粒子が凝集して構成される凝集粒子であるのに対し、甲1C発明は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製PT670であることは記載されているものの、PT670が凝集粒子であるか否か明らかでない点。 <相違点9> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であるのに対し、甲1C発明は、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積Vpが0.450cm3であるものの、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の値が特定されていない点。 <相違点10> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上であるのに対し、甲1C発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点10から検討する。 上記(ア)の相違点10は、上記(3)ア(ア)の相違点2と、割合の数値が10%か20%かの違いはあるものの、「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の数値範囲にしている点では共通している。そのため、上記(3)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、相違点8及び9の判断にかかわらず、本件発明2は、甲1C発明ではないし、甲1C発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明2は、甲1C発明ではないし、甲1C発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 本件発明3、6、7について 本件発明3、6、7はいずれも本件発明1又は2を直接又は間接的に引用し、本件発明1又は2の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1又は2と同様に、本件発明3、6、7は、甲1C発明ではないし、甲1C発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (5)甲1(甲1D発明)を主引用文献とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1D発明を対比する。 甲1D発明の「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT350を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、150μmの篩を通過した粉体を100μmの篩で篩い分けして100μmの篩の上方に残った粉体」は、「窒化ホウ素」の「粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」である点で本件発明1と共通する。 そうすると、本件発明1と甲1D発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含む、 窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点11> 窒化ホウ素の粒子について、本件発明1は、一次粒子が凝集して構成される凝集粒子であるのに対し、甲1D発明は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製PT350であることは記載されているものの、PT350が凝集粒子であるか否か明らかでない点。 <相違点12> 本件発明1は、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下であるのに対し、甲1D発明は、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積Vpが0.793cm3であるものの、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の値が特定されていない点。 <相違点13> 本件発明1は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上であるのに対し、甲1D発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点13から検討する。 上記(ア)の相違点13は、上記(3)ア(ア)の相違点2と、同様の相違点である。そのため、上記(3)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、相違点11及び12の判断にかかわらず、本件発明1は、甲1D発明ではないし、甲1D発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明1は、甲1D発明ではないし、甲1D発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本件発明2について (ア)対比 本件発明2と甲1D発明を対比する。 甲1D発明の「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT350を、日陶科学(株)製 電動フルイANF-30を用い、150μmの篩を通過した粉体を100μmの篩で篩い分けして100μmの篩の上方に残った粉体」は、「窒化ホウ素」の「粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」である点で本件発明2と共通する。 そうすると、本件発明2と甲1D発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含む、 窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点14> 窒化ホウ素の粒子について、本件発明1は、一次粒子が凝集して構成される凝集粒子であるのに対し、甲1D発明は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製PT350であることは記載されているものの、PT350が凝集粒子であるか否か明らかでない点。 <相違点15> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であるのに対し、甲1D発明は、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積Vpが0.793cm3であるものの、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の値が特定されていない点。 <相違点16> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上であるのに対し、甲1D発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点16から検討する。 上記(ア)の相違点16は、上記(3)ア(ア)の相違点2と、割合の数値が10%か20%かの違いはあるものの、「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の数値範囲にしている点では共通している。そのため、上記(3)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、相違点14及び15の判断にかかわらず、本件発明2は、甲1D発明ではないし、甲1D発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明2は、甲1D発明ではないし、甲1D発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 本件発明3、6、7について 本件発明3、6、7はいずれも本件発明1又は2を直接又は間接的に引用し、本件発明1又は2の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1又は2と同様に、本件発明3、6、7は、甲1D発明ではないし、甲1D発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (6)甲1(甲1F発明)を主引用文献とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1F発明を対比する。 甲1F発明の「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670」は、「窒化ホウ素」の「粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」である点で本件発明1と共通する。 そして、甲1F発明の「マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型」は、「水銀圧入退出曲線を測定」することにより細孔容積を測定するものであるから、本件発明1の「水銀ポロシメーター」に相当する。 また、甲1F発明の「全細孔容積Vpが0.467cm3/g」であり、「当該全細孔容積Vpは、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて、各粉体を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積を求めたものである」ことは、容積の単位として「cm3」は「mL」と等しく「0.467cm3/g」は「0.467mL/g」と等しいことを踏まえると、「ポアサイズ10nm~500μm」における「全細孔容積Vp」が「0.467mL/g」であることを意味している。ここで、「ポアサイズ10nm~500μm」より狭い範囲である「細孔半径が0.02~1.2μm」においては、「積算気孔体積」が「0.467mL/g」以下の値となることは明らかである。したがって、甲1F発明の「マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型」で測定される「ポアサイズ10nm~500μm」における「全細孔容積Vpが0.467cm3/g」との値は、本件発明1の「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下」を満たすといえる。 そうすると、本件発明1と甲1F発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である、窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点17> 窒化ホウ素の粒子について、本件発明1は、一次粒子が凝集して構成される凝集粒子であるのに対し、甲1F発明は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製PT670であることは記載されているものの、PT670が凝集粒子であるか否か明らかでない点。 <相違点18> 本件発明1は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上であるのに対し、甲1F発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点18から検討する。 上記(ア)の相違点18は、上記(3)ア(ア)の相違点2と、同様の相違点である。そのため、上記(3)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、相違点17の判断にかかわらず、本件発明1は、甲1F発明ではないし、甲1F発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明1は、甲1F発明ではないし、甲1F発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本件発明2について (ア)対比 本件発明2と甲1F発明を対比する。 甲1F発明の「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670」は、「窒化ホウ素」の「粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」である点で本件発明2と共通する。 そうすると、本件発明2と甲1F発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含む、 窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点19> 窒化ホウ素の粒子について、本件発明2は、一次粒子が凝集して構成される凝集粒子であるのに対し、甲1F発明は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製PT670であることは記載されているものの、PT670が凝集粒子であるか否か明らかでない点。 <相違点20> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であるのに対し、甲1F発明は、ポアサイズ10nm~500μmの全細孔容積Vpが0.467cm3であるものの、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の値が特定されていない点。 <相違点21> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上であるのに対し、甲1F発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点21から検討する。 上記(ア)の相違点21は、上記(3)ア(ア)の相違点2と、割合の数値が10%か20%かの違いはあるものの、「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の数値範囲にしている点では共通している。そのため、上記(3)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、相違点19及び20の判断にかかわらず、本件発明2は、甲1F発明ではないし、甲1F発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明2は、甲1F発明ではないし、甲1F発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 本件発明3、6、7について 本件発明3、6、7はいずれも本件発明1又は2を直接又は間接的に引用し、本件発明1又は2の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1又は2と同様に、本件発明3、6、7は、甲1F発明ではないし、甲1F発明、及び、甲2、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (7)甲2(甲2PCTH7MHF発明)を主引用文献とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 甲2PCTH7MHF発明の「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子」は、通常窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成されるものであるから、本件発明1の「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」に相当する。 そして、甲2PCTH7MHF発明の「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」」は、本件発明1の「水銀ポロシメーター」に相当する。また、甲2PCTH7MHF発明の「細孔容積1Bが0.20cm3/g」であり、「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し、窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行い、得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得て、細孔径分布の測定結果から、第1の窒化ホウ素凝集粒子の」「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B」を算出することは、容積の単位として「cm3」は「mL」と等しく「0.20cm3/g」は「0.20mL/g」と等しいことを踏まえると、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B」が「0.20mL/g」であることを意味している。そうすると、「細孔径が0μmを超え、5μm以下」より狭い範囲である「細孔半径が0.02~1.2μm」においては、「積算気孔体積」が「0.20mL/g」以下の値となることは明らかである。したがって、甲2PCTH7MHF発明の「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」」で測定される「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1Bが0.20cm3/g」との値は、本件発明1の「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下」を満たすといえる。 以上から、本件発明1と甲2PCTH7MHF発明は、 「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である、窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違している。 <相違点22> 本件発明1は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上であるのに対し、甲2PCTH7MHF発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 本件発明1は、充填性に優れ、かつ、優れた熱伝導性を発揮し得る複合材を製造可能な窒化ホウ素粉末を製造することを課題とするものである。そしてその課題を解決するため「全気孔体積に占める」「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」の「割合」をある特定の範囲(20%以上)に限定しているものである。 対して、甲2PCTH7MHF発明は、「熱伝導性を効果的に高め」(【0031】)つつ「絶縁性を効果的に高めることができる硬化性材料及び積層体を提供すること」(【0011】)を課題としている。そして、「第1の窒化ホウ素凝集粒子と、第2の窒化ホウ素凝集粒子と、硬化性化合物とを含み、前記第1の窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布において、累積50%細孔径が0.75μm未満であり、前記第2の窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布において、累積50%細孔径が0.75μm以上である」(【請求項1】)という構成を採用することにより、「圧縮の力が付与された場合」に「第1の窒化ホウ素凝集粒子は、その形態を保持」(【0028】)するとともに、「変形又は崩壊した上記第2の窒化ホウ素凝集粒子によって、形態が保持されている上記第1の窒化ホウ素凝集粒子間に存在する空隙を埋める」(【0029】)ことにより、「絶縁性をより一層高める」(【0029】)とともに、「厚さ方向においても、熱伝導性を効果的に高め」(【0032】)ている。 また、本件明細書【0027】の「本発明者らの検討によれば、上記空隙率の観点で同程度の気孔を有する窒化ホウ素粉末であっても、全体の気孔に占める凝集粒子内部における気孔の割合が小さい窒化ホウ素粉末であると、充填性及び熱伝導性に優れる複合体を製造できる。そして、本発明者らの検討によって、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmである特定の範囲における積算気孔体積が、上述の凝集粒子内部における気孔の割合によく対応すること、ひいては、当該積算気孔体積を所定範囲となるように調整した窒化ホウ素粉末によれば、充填性及び熱伝導性に優れる複合体を製造可能であることが見出された。」との記載によれば、細孔半径が0.02~1.2μmである特定の範囲における積算気孔体積が、充填性及び熱伝導性に影響するものであることがわかり、本件発明1では、具体的な数値範囲として、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積を0.65mL/g以下、全気孔体積に占める細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合を20%以上となるように制御することで充填性及び熱伝導性に優れた窒化ホウ素粉末としている。 一方、本件発明1の「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下」との点を一致点としたのは、甲2の、窒化ホウ素凝集粒子(1種類目)がPCTH7MHFである実施例5の「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B」が0.65mL/g以下の範囲にあるためであるが、この態様が記載されている【表1】には、「細孔径が0μmを超え5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B」が0.66cm3/gとなる実施例(【表1】の実施例7の窒化ホウ素凝集粒子(1種類目))が記載されているなど、この範囲の気孔径を小さくする制御を行うものではなく、ましてや、全気孔体積に占める割合を制御するものでもない。 加えて、甲2では、細孔径が0μmを超え1μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1A、細孔径が0μmを超え5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B、細孔径が0μmを超え0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Cは、いずれも本件発明1の細孔半径0.02~1.2μmにおける積算気孔体積と、細孔半径の数値範囲が異なっており、また、細孔容積1A、1B、1Cはいずれも全気孔体積ではなく、甲2には全気孔体積について他に記載もないことから甲2における全気孔体積は不明である。そのため、甲2において、全気孔体積に占める細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合を求めることができない。 また、上述のとおり、本件発明1と甲2PCTH7MHF発明とは、課題を解決手段を異にしており、甲2PCTH7MHF発明は、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合(20%以上)するという手段を採用していない。加えて、甲2の明細書全体としても、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合とすることと、甲2PCTH7MHF課題であるところの熱伝導性及び絶縁性との間に何らかの相関関係がある旨の記載はないし、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合とすることで、(熱伝導性及び絶縁性に限らず)何らかの好適な効果が得られることを示唆するような記載は一切ない。そのため、甲2に接した当業者が、甲2PCTH7MHF発明の凝集粒子を、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」が特定の割合(20%以上)となるように調整する動機がない。 そうすると、甲1、3、参考資料1、2の記載事項にかかわらず、上記相違点14に係る本件発明1の事項は、当業者が容易に想到し得るものではない。 念のため、甲1、3、参考資料1、2について検討すると、甲1には上記(2)ア(ア)~(エ)に記載した凝集粒子が、甲3には上記(3)ウに記載した無機充填剤が、参考資料1には、窒化ホウ素粉末PT350のタップ密度(Tap Density)が0.7g/ccである点が、参考資料2には、サンゴバン社製「PCTH7MHF」のタップ密度(Tap Density)が0.8g/ccである点がそれぞれ記載されているが、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合(20%以上)とする点については記載がない。 加えて、参考資料1、2に記載された「タップ密度」は、計測前にタップ操作を行うという仕様から、本来の密度(タップ前の密度)よりも高い密度が計測されているものであり、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を算出する前段として「気孔体積」を計算するためのパラメータの一つ(密度)として利用するには適さないものである。 そのため、甲2PCTH7MHF発明に、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項を適用したとしても、前記相違点14に係る本件発明1の特定事項を有するものとするには至らない。 してみると、本件発明1は、甲2PCTH7MHF発明ではないし、甲2PCTH7MHF発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明1は、甲2PCTH7MHF発明ではないし、甲2PCTH7MHF発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本件発明2について (ア)対比 甲2PCTH7MHF発明の「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子」は、通常窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成されるものであるから、本件発明2の「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」に相当する。 以上から、本件発明2と甲2PCTH7MHF発明は、 「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含む、 窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違している。 <相違点23> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下あるのに対し、甲2PCTH7MHF発明は、細孔径が0μmを超え1μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Aが0.16cm3/g、細孔径が0μmを超え5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Bが0.20cm3/g、細孔径が0μmを超え0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Cが0.10cm3/gであるものの、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の値が特定されていない点。 <相違点24> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上であるのに対し、甲2PCTH7MHF発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 a 相違点23について 本件発明1は、充填性に優れ、かつ、優れた熱伝導性を発揮し得る複合材を製造可能な窒化ホウ素粉末を製造することを課題とするものである。そしてその課題を解決するため、「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」をある特定の数値範囲(0.22mL/g以上0.55mL/g以下)に限定しているものである。 対して、甲2PCTH7MHF発明は、「熱伝導性を効果的に高め」(【0031】)つつ「絶縁性を効果的に高めることができる硬化性材料及び積層体を提供すること」(【0011】)を課題としている。そして、「第1の窒化ホウ素凝集粒子と、第2の窒化ホウ素凝集粒子と、硬化性化合物とを含み、前記第1の窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布において、累積50%細孔径が0.75μm未満であり、前記第2の窒化ホウ素凝集粒子における、細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の体積基準での細孔径分布において、累積50%細孔径が0.75μm以上である」(【請求項1】)という構成を採用することにより、「圧縮の力が付与された場合」に「第1の窒化ホウ素凝集粒子は、その形態を保持」(【0028】)するとともに、「変形又は崩壊した上記第2の窒化ホウ素凝集粒子によって、形態が保持されている上記第1の窒化ホウ素凝集粒子間に存在する空隙を埋める」(【0029】)ことにより、「絶縁性をより一層高める」(【0029】)とともに、「厚さ方向においても、熱伝導性を効果的に高め」(【0032】)ている。 上述のとおり、本件発明1と甲2PCTH7MHF発明とは、課題を解決手段を異にしており、甲2PCTH7MHF発明は、「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」を特定の数値範囲(0.22mL/g以上0.55mL/g以下)にするという手段を採用していない。加えて、甲2の明細書全体としても、「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」を特定の数値範囲とすることと、甲2PCTH7MHF課題であるところの熱伝導性及び絶縁性との間に何らかの相関関係がある旨の記載はないし、「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」を特定の数値範囲とすることで、(熱伝導性及び絶縁性に限らず)何らかの好適な効果が得られることを示唆するような記載は一切ない。そのため、甲2に接した当業者が、甲2PCTH7MHF発明の熱伝導性樹脂組成物を、「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」が特定の数値範囲(0.22mL/g以上0.55mL/g以下)となるように調整しようと思い至ることは困難である。 さらに、甲2PCTH7MHF発明では、「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」が本件発明2の「0.22mL/g」よりも低い値である(細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である1Aが、0.20cm3/gであるため、細孔径が0、02~1.2μmにおける細孔の細孔容積の合計は0.20cm3/gよりも小さく、それゆえ、本件発明2の0.22mL/g以上との条件を満たさない)ところ、これを本件発明2の「0.22mL/g以上」の数値範囲を満たすべく調整した場合、第1の窒化ホウ素凝集粒子の気孔が多くなる。ここで、甲2に記載された硬化性材料は「第1の窒化ホウ素凝集粒子と、第2の窒化ホウ素凝集粒子と、硬化性化合物とを含」(【請求項1】)むものであるが、この内、第1の窒化ホウ素凝集粒子は、「プレス等の圧縮の力が付与された場合でも、」「その形態を保持」(【0028】)するように機能し、第2の窒化ホウ素凝集粒子は、「適度に変形又は崩壊」し「第1の窒化ホウ素凝集粒子間に存在する空隙を埋める」(【0029】)ように機能する。つまり、第1の窒化ホウ素凝集粒子には圧力に耐える強度が必要とされる。しかしながら、前述のとおり第1の窒化ホウ素凝集粒子の気孔が増えれば、第1の窒化ホウ素凝集粒子の強度が下がるため、「プレス等の圧縮の力が付与された場合でも、上記第1の窒化ホウ素凝集粒子」(PCTH7MHF)「は、その形態を保持」(【0028】)することが困難となる。そのため、甲2PCTH7MHF発明において、「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」を増加させ、本件発明2の数値範囲を満たす「0.22mL/g以上」とすることには、阻害要因がある。 そうすると、甲1、3、参考資料1、2の記載事項にかかわらず、上記相違点23に係る本件発明2の事項は、当業者が容易に想到し得るものではない。 念のため、甲1、3、参考資料1、2について検討すると、甲1には上記(2)ア(ア)~(エ)に記載した凝集粒子が、甲3には上記(3)ウに記載した無機充填剤が、参考資料1には、窒化ホウ素粉末PT350のタップ密度(Tap Density)が0.7g/ccである点が、参考資料2には、サンゴバン社製「PCTH7MHF」のタップ密度(Tap Density)が0.8g/ccである点がそれぞれ記載されているが、「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」を特定の数値範囲(0.22mL/g以上0.55mL/g以下)とする点については記載がないため、甲2PCTH7MHF発明に、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項を適用したとしても、前記相違点23に係る本件発明2の特定事項を有するものとするには至らない。 そのため、本件発明2は、甲2PCTH7MHF発明ではないし、甲2PCTH7MHF発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 b 相違点24について 相違点24は、上記ア(ア)の相違点22と、割合の数値が10%か20%かの違いはあるものの、「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の数値範囲にしている点では共通している。そのため、上記ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、本件発明2は、甲2PCTH7MHF発明ではないし、甲2PCTH7MHF発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明2は、甲2PCTH7MHF発明ではないし、甲2PCTH7MHF発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 本件発明3、6、7について 本件発明3、6、7はいずれも本件発明1又は2を直接又は間接的に引用し、本件発明1又は2の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1又は2と同様に、本件発明3、6、7は、甲2PCTH7MHF発明ではないし、甲2PCTH7MHF発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (8)甲2(甲2凝集粒子1発明)を主引用文献とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 甲2凝集粒子1発明の「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子」は、通常窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成されるものであるから、本件発明1の「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」に相当する。 そして、甲2凝集粒子1発明の「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」」は、本件発明1の「水銀ポロシメーター」に相当する。また、甲2凝集粒子1発明の「細孔容積1Bが0.30cm3/g」であり、「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し、窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行い、得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得て、細孔径分布の測定結果から、第1の窒化ホウ素凝集粒子の」「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B」を算出することは、容積の単位として「cm3」は「mL」と等しく「0.30cm3/g」は「0.30mL/g」と等しいことを踏まえると、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B」が「0.30mL/g」であることを意味している。そうすると、「細孔径が0μmを超え、5μm以下」より狭い範囲である「細孔半径が0.02~1.2μm」においては、「積算気孔体積」が「0.30mL/g」以下の値となることは明らかである。したがって、甲2凝集粒子1発明の「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」」で測定される「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1Bが0.30cm3/g」との値は、本件発明1の「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下」を満たすといえる。 以上から、本件発明1と甲2凝集粒子1発明は、 「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である、窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違している。 <相違点25> 本件発明1は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上であるのに対し、甲2凝集粒子1発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 上記(ア)の相違点25は、上記(7)ア(ア)の相違点22と、同様の相違点である。そのため、上記(7)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、本件発明1は、甲2凝集粒子1発明ではないし、甲2凝集粒子1発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明1は、甲2凝集粒子1発明ではないし、甲2凝集粒子1発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本件発明2について (ア)対比 甲2凝集粒子1発明の「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子」は、通常窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成されるものであるから、本件発明2の「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲2凝集粒子1発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含む、 窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点26> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であるのに対し、甲2凝集粒子1発明は、細孔径が0μmを超え1μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Aが0.23cm3/g、細孔径が0μmを超え5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Bが0.30cm3/g、細孔径が0μmを超え0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Cが0.15cm3/gであるものの、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の値が特定されていない点。 <相違点27> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上であるのに対し、甲2凝集粒子1発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点27から検討する。 上記(ア)の相違点27は、上記(7)ア(ア)の相違点22と、割合の数値が10%か20%かの違いはあるものの、「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の数値範囲にしている点では共通している。そのため、上記(7)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、相違点26の判断にかかわらず、本件発明2は、甲凝集粒子1発明ではないし、甲2凝集粒子1発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明2は、甲2凝集粒子1発明ではないし、甲2凝集粒子1発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 本件発明3、6、7について 本件発明3、6、7はいずれも本件発明1又は2を直接又は間接的に引用し、本件発明1又は2の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1又は2と同様に、本件発明3、6、7は、甲2凝集粒子1発明ではないし、甲2凝集粒子1発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (9)甲2(甲2凝集粒子2発明)を主引用文献とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 甲2凝集粒子2発明の「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子」は、通常窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成されるものであるから、本件発明1の「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」に相当する。 そして、甲2凝集粒子2発明の「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」」は、本件発明1の「水銀ポロシメーター」に相当する。また、甲2凝集粒子2発明の「細孔容積1Bが0.31cm3/g」であり、「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し、窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行い、得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得て、細孔径分布の測定結果から、第1の窒化ホウ素凝集粒子の」「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B」を算出することは、容積の単位として「cm3」は「mL」と等しく「0.31cm3/g」は「0.31mL/g」と等しいことを踏まえると、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B」が「0.31mL/g」であることを意味している。そうすると、「細孔径が0μmを超え、5μm以下」より狭い範囲である「細孔半径が0.02~1.2μm」においては、「積算気孔体積」が「0.31mL/g」以下の値となることは明らかである。したがって、甲2凝集粒子2発明の「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」」で測定される「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1Bが0.31cm3/g」との値は、本件発明1の「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下」を満たすといえる。 以上から、本件発明1と甲2凝集粒子2発明は、 「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である、窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違している。 <相違点28> 本件発明1は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上であるのに対し、甲2凝集粒子2発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 上記(ア)の相違点28は、上記(7)ア(ア)の相違点22と、同様の相違点である。そのため、上記(7)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、本件発明1は、甲2凝集粒子2発明ではないし、甲2凝集粒子2発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明1は、甲2凝集粒子2発明ではないし、甲2凝集粒子2発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本件発明2について (ア)対比 甲2凝集粒子2発明の「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子」は、通常窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成されるものであるから、本件発明2の「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲2凝集粒子2発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含む、 窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点29> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であるのに対し、甲2凝集粒子2発明は、細孔径が0μmを超え1μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Aが0.20cm3/g、細孔径が0μmを超え5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Bが0.31cm3/g、細孔径が0μmを超え0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Cが0.13cm3/gであるものの、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の値が特定されていない点。 <相違点30> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上であるのに対し、甲2凝集粒子2発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点30から検討する。 上記(ア)の相違点30は、上記(7)ア(ア)の相違点22と、割合の数値が10%か20%かの違いはあるものの、「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の数値範囲にしている点では共通している。そのため、上記(7)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、相違点29の判断にかかわらず、本件発明2は、甲2凝集粒子2発明ではないし、甲2凝集粒子2発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明2は、甲2凝集粒子2発明ではないし、甲2凝集粒子2発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 本件発明3、6、7について 本件発明3、6、7はいずれも本件発明1又は2を直接又は間接的に引用し、本件発明1又は2の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1又は2と同様に、本件発明3、6、7は、甲2凝集粒子2発明ではないし、甲2凝集粒子2発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (10)甲2(甲2PT350発明)を主引用文献とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 甲2PT350発明の「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子」は、通常窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成されるものであるから、本件発明1の「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」に相当する。 そして、甲2PT350発明の「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」」は、本件発明1の「水銀ポロシメーター」に相当する。また、甲2PT350発明の「細孔容積1Bが0.17cm3/g」であり、「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」を用い、水銀加圧入法により印加した圧力に対して水銀の積算侵入量を測定し、窒化ホウ素凝集粒子を0.2-0.3gはかり取り、低圧モード、高圧モードでの測定を行い、得られたデータから、細孔径の単位区間あたりの細孔容積を示す分布曲線を得て、細孔径分布の測定結果から、第1の窒化ホウ素凝集粒子の」「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B」を算出することは、容積の単位として「cm3」は「mL」と等しく「0.17cm3/g」は「0.17mL/g」と等しいことを踏まえると、「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1B」が「0.17mL/g」であることを意味している。そうすると、「細孔径が0μmを超え、5μm以下」より狭い範囲である「細孔半径が0.02~1.2μm」においては、「積算気孔体積」が「0.17mL/g」以下の値となることは明らかである。したがって、甲2PT350発明の「QUANTACHROME社製の水銀ポロシメーター「ポアーマスター60」」で測定される「細孔径が0μmを超え、5μm以下である細孔の細孔容積の合計」である「細孔容積1Bが0.17cm3/g」との値は、本件発明1の「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下」を満たすといえる。 以上から、本件発明1と甲2PT350発明は、 「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である、窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違している。 <相違点31> 本件発明1は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上であるのに対し、甲2PT350発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 上記(ア)の相違点31は、上記(7)ア(ア)の相違点22と、同様の相違点である。そのため、上記(7)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、本件発明1は、甲2PT350発明ではないし、甲2PT350発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明1は、甲2PT350発明ではないし、甲2PT350発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本件発明2について (ア)対比 甲2PT350発明の「第1の窒化ホウ素凝集粒子としての凝集粒子」は、通常窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成されるものであるから、本件発明2の「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲2PT350発明は、 「窒化ホウ素の粒子を含む、 窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違しているといえる。 <相違点32> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であるのに対し、甲2PT350発明は、細孔径が0μmを超え1μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Aが0.14cm3/g、細孔径が0μmを超え5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Bが0.17cm3/g、細孔径が0μmを超え0.5μm以下である細孔の細孔容積の合計である細孔容積1Cが0.11cm3/gであるものの、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の値が特定されていない点。 <相違点33> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上であるのに対し、甲2PT350発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 a 相違点32について 上記(ア)の相違点32は、上記(7)イ(ア)の相違点23と同様の内容の相違点である。そのため、上記(7)イ(イ)aに記載した理由と同様の理由により、本件発明2は、甲2PT350発明ではないし、甲2PT350発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 b 相違点33について 上記(ア)の相違点33は、上記(7)ア(ア)の相違点22と、割合の数値が10%か20%かの違いはあるものの、「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の数値範囲にしている点では共通している。そのため、上記(7)ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、本件発明2は、甲2PT350発明ではないし、甲2PT350発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明2は、甲2PT350発明ではないし、甲2PT350発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 本件発明3、6、7について 本件発明3、6、7はいずれも本件発明1又は2を直接又は間接的に引用し、本件発明1又は2の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1又は2と同様に、本件発明3、6、7は、甲2PT350発明ではないし、甲2PT350発明、及び、甲1、3、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (11)甲3を主引用文献とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 甲3発明の「灰化残渣に含まれる無機充填材」は、「充填材としての鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成された二次凝集粒子であ」る「凝集窒化ホウ素」由来のものであるところ、当該「凝集窒化ホウ素」は、熱伝導性シートの各製造工程を経ても、通常その形状を一定程度維持し得るものであるし、また、甲3の前記(1)ウ(ウ)によれば、「本実施形態に係る熱伝導性シートにおいて、上記細孔径Rが0.01μm以上1μm未満の範囲には、通常、実質的にピークを有さない」こと、「上記範囲に実質的にピークを有さないことにより」、「特に無機充填材(B)が二次凝集粒子の場合、二次凝集粒子の形状をある程度維持することにより、一次粒子間の接触が保たれ、また一次粒子のランダム配向が保たれるために熱伝導性シートおよびその硬化物の熱伝導性をより一層向上できる」こと(【0022】)が記載されていることからすれば、熱伝導性シートの状態においても一次粒子が凝集した二次凝集粒子の形状を維持しているといえる。そして、同(イ)の「本発明の熱伝導性シートは、上記無機充填材の細孔径分布曲線が、上記細孔径Rが1μm以上10μm以下の範囲においてピーク(P)を有し、上記ピーク(P)は2以上のピークが重なり合っている。こうした無機充填材であると、熱硬化性樹脂が無機充填材の内部に十分に入り込むため、熱伝導性シート中のボイドの発生が少ない。これにより、熱伝導性シートおよびその硬化物の絶縁性を向上できるため、得られる半導体装置の絶縁信頼性を向上できる。さらに熱伝導性シート中の上記無機充填材の充填性が高く、上記無機充填材同士の接触面積が大きい。これにより、熱伝導性シートおよびその硬化物の熱伝導性を向上させることができる。」(【0007】)との記載によれば、無機充填材の細孔径分布曲線に係る諸特性は、熱伝導性シートの状態において、所定の機序のもと熱伝導性シートの絶縁性及び熱伝導性の向上に寄与するものであることが理解できるから、熱伝導性シートの灰化処理は、熱伝導性シートに含まれる無機充填材の細孔径分布曲線の測定を行うことを目的とし、熱伝導性シートに含まれる熱硬化性樹脂等の他の成分を除去する処理であって、灰化処理の前後で無機充填材の形状に特段の変化は生じないというべきである。したがって、甲3発明の「灰化残渣に含まれる無機充填材」は、「鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成された二次凝集粒子」の形状を維持しているといえるから、本件発明1の「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」に相当するといえる。 また、甲3発明の「水銀圧入式のポロシメータ(島津製作所社製マイクロメリテックス 細孔分布測定装置オートポア9520型)」は、本件発明1の「水銀ポロシメーター」に相当する。さらに、甲3発明の「細孔径分布曲線を水銀圧入式のポロシメータ(島津製作所社製マイクロメリテックス 細孔分布測定装置オートポア9520型)により計測し」、「得られた細孔径分布曲線から、細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下の範囲における累積細孔体積V1」及び「細孔径Rが0.01μm以上1.0μm未満の範囲における累積細孔体積V3をそれぞれ求めた場合」、「累積細孔体積V1が0.40mL/g」及び「累積細孔体積V3が0.05mL/g」であることについて、「累積細孔体積V1」及び「累積細孔体積V3」を合計した累積細孔体積の値は、両者の細孔径Rの範囲を合わせた、細孔径Rが「0.01μm以上」「10.0μm以下」の範囲における累積細孔体積を意味するところ、この値を計算すると「0.45mL/g」となる。そうすると、細孔径Rが「0.01μm以上」「10.0μm以下」の範囲における累積細孔体積よりも狭い範囲である「細孔半径が0.02~1.2μm」においては、「積算気孔体積」が「0.45mL/g」以下の値となることは明らかである。したがって、甲3発明の「水銀圧入式のポロシメータ(島津製作所社製マイクロメリテックス 細孔分布測定装置オートポア9520型)により計測」される「累積細孔体積V1が0.40mL/g」及び「累積細孔体積V3が0.05mL/g」であることは、本件発明1の「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下」を満たすといえる。 そうすると、本件発明1と甲3発明は、 「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、 水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である、窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点34> 本件発明1は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が20%以上であるのに対し、甲3発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 本件発明1は、充填性に優れ、かつ、優れた熱伝導性を発揮し得る複合材を製造可能な窒化ホウ素粉末を製造することを課題とするものである。そしてその課題を解決するため、「全気孔体積に占める」「細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」の「割合」をある特定の範囲(20%以上)に限定しているものである。 対して、甲3発明は、無機充填材の細孔を、水銀圧入法により測定される、細孔径Rを横軸とし、対数微分細孔容積(dV/dlogR)を縦軸としたときの細孔径分布曲線において、細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下の範囲にピーク(P)を有し、ピーク(P)は2以上のピークが重なり合っているような細孔分布の細孔とする(【請求項1】)ことにより、放熱性及び絶縁性のバランスに優れた(【0010】)熱伝導性シートとするものである。 また、本件明細書【0027】の「本発明者らの検討によれば、上記空隙率の観点で同程度の気孔を有する窒化ホウ素粉末であっても、全体の気孔に占める凝集粒子内部における気孔の割合が小さい窒化ホウ素粉末であると、充填性及び熱伝導性に優れる複合体を製造できる。そして、本発明者らの検討によって、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmである特定の範囲における積算気孔体積が、上述の凝集粒子内部における気孔の割合によく対応すること、ひいては、当該積算気孔体積を所定範囲となるように調整した窒化ホウ素粉末によれば、充填性及び熱伝導性に優れる複合体を製造可能であることが見出された。」との記載によれば、細孔半径が0.02~1.2μmである特定の範囲における積算気孔体積が、充填性及び熱伝導性に影響するものであることがわかり、本件発明1では、具体的な数値範囲として、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積を0.65mL/g以下、全気孔体積に占める細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合を20%以上となるように制御することで充填性及び熱伝導性に優れた窒化ホウ素粉末としている。 一方、甲3発明は、「細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下の範囲にピーク(P)を有し、ピーク(P)は2以上のピークが重なり合っているような細孔分布の細孔とする」ものであり、細孔分布に着目したものであって、細孔半径が特定の範囲の積算気孔体積や、全気孔体積に占める細孔半径が特定の範囲の積算気孔体積の割合に着目したものではない。 また、甲3では、全気孔体積の測定を行っていないことから、全気孔体積に占める細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合を算出することは困難である。 加えて、甲3の【0015】には「細孔径Rが好ましくは1.0μm以上3.0μm以下、より好ましくは1.0μm以上2.5μm以下の範囲に第1の極大値を有し、細孔径Rが好ましくは3.0μmを超えて10.0μm以下、より好ましくは3.0μmを超えて8.0μm以下の範囲に第2の極大値を有する」との記載があることからすれば、細孔半径0.02~1.2μmよりも大きい細孔半径において相応の積算気孔体積が存在し、それが好ましい状態であると考えられるため、甲3において、全気孔体積に占める細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合を所定範囲以上(20%以上)となるように調整する、すなわち0.02~1.2μmの範囲に気孔分布のピークが来るように調整する動機がない。 さらに、上述のとおり、本件発明1と甲3発明とは、課題を解決手段を異にしており、甲3発明は、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合(20%以上)するという手段を採用していない。加えて、甲3の明細書全体としても、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合とすることと、甲3課題であるところの放熱性及び絶縁性のバランスに優れた熱伝導性シートを提供することとの間に何らかの相関関係がある旨の記載はないし、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合とすることで、(放熱性、絶縁性に限らず)何らかの好適な効果が得られることを示唆するような記載は一切ない。そのため、甲3に接した当業者が、甲3発明の無機充填材を、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」が特定の割合(20%以上)となるように調整しようとする動機はない。 また、甲3発明は、無機充填材の強度が低下しないようにするため、「細孔径」「0.01μm以上1.0μm未満の範囲のピーク」を「実質的に」「有さない」(【0022】)構成としている。言い換えると、細孔径0.01μm以上1.0μm未満の細孔を少なくしている。対して、本件発明1は、全気孔体積に占める細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合を20%以上とするものであり、細孔半径が0.02~1.2μmの細孔を一定以上設けることを肝としている。「0.02~1.2μm」と「0.01μm以上1.0μm未満」は大部分が重なる数値範囲であり、甲3発明は該当数値範囲の細孔を少なくしているのに対し、本件発明1は一定以上設けようとしているものであるから、志向している方向性が真逆であり、この点からも、甲3に接した当業者が、甲3発明の無機充填材を、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」が特定の割合(20%以上)となるように調整しようとする動機がない。 そうすると、甲1、2、参考資料1、2の記載事項にかかわらず、上記相違点34に係る本件発明1の事項は、当業者が容易に想到し得るものではない。 念のため、甲1、2、参考資料1、2について検討すると、甲1には上記(2)ア(ア)~(エ)に記載した凝集粒子が、甲2には上記(2)イ(ア)~(エ)に記載した凝集粒子が、参考資料1には、窒化ホウ素粉末PT350のタップ密度(Tap Density)が0.7g/ccである点が、参考資料2には、サンゴバン社製「PCTH7MHF」のタップ密度(Tap Density)が0.8g/ccである点がそれぞれ記載されているが、「全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の割合(20%以上)とする点については記載がないため、甲3発明に、甲1、2、参考資料1、2に記載の事項を適用したとしても、前記相違点34に係る本件発明1の特定事項を有するものとするには至らない。 そのため、本件発明1は、甲3発明ではないし、甲3発明、及び、甲1、2、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明1は、甲3発明ではないし、甲3発明、及び、甲1、2に記載の事項又は参考資料1に記載の事項に基づいてに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について (ア)対比 甲3発明の「灰化残渣に含まれる無機充填材」は、「充填材としての鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成された二次凝集粒子であ」る「凝集窒化ホウ素」由来のものであるところ、当該「凝集窒化ホウ素」は、熱伝導性シートの各製造工程を経ても、通常その形状を一定程度維持し得るものであるし、また、甲3の前記(1)ウ(ウ)によれば、「本実施形態に係る熱伝導性シートにおいて、上記細孔径Rが0.01μm以上1μm未満の範囲には、通常、実質的にピークを有さない」こと、「上記範囲に実質的にピークを有さないことにより」、「特に無機充填材(B)が二次凝集粒子の場合、二次凝集粒子の形状をある程度維持することにより、一次粒子間の接触が保たれ、また一次粒子のランダム配向が保たれるために熱伝導性シートおよびその硬化物の熱伝導性をより一層向上できる」こと(【0022】)が記載されていることからすれば、熱伝導性シートの状態においても一次粒子が凝集した二次凝集粒子の形状を維持しているといえる。そして、同(イ)の「本発明の熱伝導性シートは、上記無機充填材の細孔径分布曲線が、上記細孔径Rが1μm以上10μm以下の範囲においてピーク(P)を有し、上記ピーク(P)は2以上のピークが重なり合っている。こうした無機充填材であると、熱硬化性樹脂が無機充填材の内部に十分に入り込むため、熱伝導性シート中のボイドの発生が少ない。これにより、熱伝導性シートおよびその硬化物の絶縁性を向上できるため、得られる半導体装置の絶縁信頼性を向上できる。さらに熱伝導性シート中の上記無機充填材の充填性が高く、上記無機充填材同士の接触面積が大きい。これにより、熱伝導性シートおよびその硬化物の熱伝導性を向上させることができる。」(【0007】)との記載によれば、無機充填材の細孔径分布曲線に係る諸特性は、熱伝導性シートの状態において、所定の機序のもと熱伝導性シートの絶縁性及び熱伝導性の向上に寄与するものであることが理解できるから、熱伝導性シートの灰化処理は、熱伝導性シートに含まれる無機充填材の細孔径分布曲線の測定を行うことを目的とし、熱伝導性シートに含まれる熱硬化性樹脂等の他の成分を除去する処理であって、灰化処理の前後で無機充填材の形状に特段の変化は生じないというべきである。したがって、甲3発明の「灰化残渣に含まれる無機充填材」は、「鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成された二次凝集粒子」の形状を維持しているといえるから、本件発明1の「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含」む「窒化ホウ素粉末」に相当するといえる。 そうすると、本件発明1と甲3発明は、 「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含む、 窒化ホウ素粉末。」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点35> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であるのに対し、甲3発明は、細孔径Rが1.0μm以上10.0μm以下の範囲における累積細孔体積V1が0.40mL/g、細孔径Rが10.0μmを超えて30.0μm以下の範囲における累積細孔体積V2が0.09mL/g、細孔径Rが0.01μm以上1.0μm未満の範囲における累積細孔体積V3が0.05mL/gであるものの、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の値が特定されていない点。 <相違点36> 本件発明2は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が10%以上であるのに対し、甲3発明は、水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合が特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記(ア)の相違点36から検討する。 上記(ア)の相違点36は、上記ア(ア)の相違点34と、割合の数値が10%か20%かの違いはあるものの、「水銀ポロシメーターによって測定される全気孔体積に占める、細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積の割合」を特定の数値範囲にしている点では共通している。そのため、上記ア(イ)に記載した理由と同様の理由により、相違点35の判断にかかわらず、本件発明3は、甲3発明ではないし、甲3発明、及び、甲1、2、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)小括 本件発明2は、甲3発明ではないし、甲3発明、及び、甲1、2、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 本件発明3、6、7について 本件発明3、6、7はいずれも本件発明1又は2を直接又は間接的に引用し、本件発明1又は2の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1又は2と同様に、本件発明3、6、7は、甲3発明ではないし、甲3発明、及び、甲1、2、参考資料1、2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (12)参考資料1を主引用文献とする場合 参考資料1発明は、甲2PT350発明と同様に、モメンティブ社製「PT350」を窒化ホウ素粉末としたものであり、上記(10)に記載したのと同様の理由により、本件発明1~3、6、7は、参考資料1発明ではないし、参考資料1発明、及び、甲1~3、参考資料2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 2 申立理由1(サポート要件違反)について (1)異議申立書に記載の論拠 本件特許発明1には「窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である、窒化ホウ素粉末。」が記載され、本件特許発明2には「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.55mL/g以下である、請求項1に記載の窒化ホウ素粉末。」が記載されている。 また、本件特許の発明の詳細な説明には、「窒化ホウ素粉末は、水銀ポロシメーターによって測定される特定の細孔半径を有する細孔に対応する積算気孔体積が0.65mL/g以下であることによって、複合材を調製した際の窒化ホウ素の充填率に優れ、且つ優れた熱伝導性を発揮し得る」ことが記載されている(本件特許明細書の段落【0007】)。本件特許の実施例1~3には、窒化ホウ素の積算気孔体積が0.22~0.32mL/gである場合に充填性及び熱伝導性が優れることが示され、窒化ホウ素の積算気孔体積が0.66mL/gである本件特許の比較例3は、本件特許の実施例1~3に比べて充填性及び放熱性に劣っていることが示されている(本件特許の明細書の段落【0071】の【表1】)。 つまり、本件特許発明において、本件発明の課題を解決できるのは、窒化ホウ素の積算気孔体積が0.22~0.32mL/gの場合のみである。そして、本件特許の発明の詳細な説明には、本件特許発明1及び2に係る積算気孔体積を0.65mL/g以下または0.55mL/g以下にすることで充填性や熱伝導性が向上することについて、当業者が認識できる程度の説明は何ら示されていない。また、出願時の技術常識に照らしても、積算気孔体積を小さくすることによって充填性や熱伝導性が向上することが推認できるとは当業者であってもいいきれない。 さらに、窒化ホウ素の積算気孔体積が0.66mL/gである場合には本件発明の課題が解決できないのであれば、積算気孔体積が0.66mL/gよりもわずかに小さい0.65mL/である場合に、本件発明の課題が解決できるとは当業者であっても到底認識することはできない。同様に窒化ホウ素の積算気孔体積が0.55mL/gである場合に、本件発明の課題が解決できると当業者であっても到底認識することはできない。 従って、出願時の技術常識に照らしても、請求項1及び2に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 (2)第4の3(1)の理由に関する当審の判断 ア サポート要件の判断手法 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 イ 本件発明1、2の課題について 本件発明1、2の課題は「窒化ホウ素の充填性に優れ、且つ優れた熱伝導性を発揮し得る複合材を製造可能な窒化ホウ素粉末」「を提供すること」(【0006】)である。 ウ 本件発明1、2の課題を解決することができることに関する発明の詳細な説明の記載について (ア)本件明細書の【0007】には「本開示の一側面は、窒化ホウ素の一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含み、水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である、窒化ホウ素粉末を提供する。」との記載があり、続く【0008】には「上記窒化ホウ素粉末は、水銀ポロシメーターによって測定される特定の細孔半径を有する細孔に対応する積算気孔体積が0.65mL/g以下であることによって、複合材を調製した際の窒化ホウ素の充填率に優れ、且つ優れた熱伝導性を発揮し得る。」との記載がある。これら記載からは、「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下である」場合に、「窒化ホウ素の充填率に優れ」かつ「優れた熱伝導性を発揮し得る」ことがわかる。 (イ)本件明細書【0071】の【表1】には、比較例2の細孔半径0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.67mL/g、充填率がC評価、熱伝導性が1.0、比較例3の細孔半径0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.66mL/g、充填率がB評価、熱伝導性が1.2、実施例2の細孔半径0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.32mL/g、充填率がA評価、熱伝導性が1.4、実施例1の細孔半径0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.23mL/g、充填率がA評価、熱伝導性が1.5であることが記載されている。これら記載からは、比較例2、比較例3、実施例2、実施例1の順に細孔半径0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が小さくなっていき、細孔半径0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が小さくなるに伴い、充填性及び熱伝導性が改善していくことがわかる。 そのため、細孔半径0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が、比較例3の0.66mL/gよりも小さい値である、本件発明1の「0.65mL/g」または本件発明2の「0.55mL/g」であれば、少なくとも比較例3よりも改善した、言い換えると、(比較例3よりも)優れた充填性及び熱伝導性が得られるものと認められる。 してみると、本件明細書【0071】の【表1】に示された実験結果は、「0.65mL/g」(または「0.55mL/g」)を、細孔半径0.02~1.2μmにおける積算気孔体積における閾値とすることにより(少なくとも比較例3よりも)優れた充填性及び熱伝導性が得られることを裏付けているといえる。 (ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、上記イの課題である「窒化ホウ素の充填性に優れ、且つ優れた熱伝導性を発揮し得る複合材を製造可能な窒化ホウ素粉末」「を提供する」ためには、「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」が、「0.65mL/g以下」であることが必要であるとわかる。 エ 本件明細書の発明の詳細な説明に記載される本件発明の課題を解決することができると認識できる範囲と本件発明1、2の対比 (ア)本件発明1との対比 上記ウで述べたように、上記イの課題を解決するためには、「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」が、「0.65mL/g以下」であることが必要である。 一方、本件発明1には、「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.65mL/g以下であ」る点が発明特定事項として含まれている。 そうすると、本件発明1は、上記イの発明の課題を解決するために必要な手段を全て含んでいるといえ、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであって、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるといえるから、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合するものということができる。 (イ)本件発明2との対比 上記ウで述べたように、上記イの課題を解決するためには、「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積」が、「0.65mL/g以下」であることが必要である。 一方、本件発明2には、「水銀ポロシメーターによって測定される細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g以上0.55mL/g以下であ」る点が発明特定事項として記載されており、「0.22mL/g以上0.55mL/g以下」という数値範囲は、前記「0.65mL/g以下」の数値範囲に含まれるものである。 そうすると、本件発明2は、上記イの発明の課題を解決するために必要な手段を全て含んでいるといえ、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであって、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるといえるから、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合するものということができる。 (3)申立人の主張について 申立人は、発明の詳細な説明に開示されているのは細孔半径が0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が0.22mL/g~0.32mL/gの場合のみであり、0.65mL/gまたは0.55mL/gについては発明の詳細な説明に記載されておらず、0.65mL/gである場合に課題が解決できるとは当業者であっても認識することができない旨を主張する。 しかしながら、比較例2、比較例3、実施例2、実施例1の結果を対比することで、細孔半径0.02~1.2μmにおける積算気孔体積が小さくなるに伴い、充填性及び熱伝導性が改善していくことが理解できること、比較例3の0.66mL/gよりも小さい値である、本件発明1の「0.65mL/g」または本件発明2の「0.55mL/g」であれば、少なくとも比較例3よりも改善した、すなわち(少なくとも比較例3よりも)優れた充填性及び熱伝導性が得られることは、上記(2)ウ(イ)で述べたとおりであるので、本件発明1の「0.65mL/g」であれば、課題であるところの優れた充填性及び熱伝導性は達成可能であると認められ、上記申立人の主張は採用できない。 第6 むすび 上記第5で検討したとおり、本件特許1~3、6、7は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであるとも、同法第36条第6項第1号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるということはできず、同法第113条第2号又は第4号に該当するものではないから、上記取消理由1、2及び申立理由1~3では、本件特許1~3、6、7を取り消すことはできない。 また、他に本件特許1~3、6、7を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700726

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