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特許異議申立

2022-700449

吸収性物品

審判番号
2022-700449
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-051207
登録番号
6972590
請求日
2022年05月24日
審決日
2023年11月21日
公報発行日
2024年02月22日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】王子ホールディングス株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人秀和特許事務所
  • 【異議申立人】大澤 豊
審判長/審判官
  • 審判長 藤原 直欣
  • 審判官 稲葉 大紀
  • 審判官 井上 茂夫
分類
P1651.113-YAA(A61F) / P1651.121-YAA(A61F) / P1651.537-YAA(A61F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第6972590号発明「吸収性物品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6972590号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。 特許第6972590号の請求項1~7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6972590号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成29年3月16日の出願であって、令和3年11月8日に特許権の設定登録がされ(特許掲載公報 令和3年11月24日発行)、その請求項1~7に係る特許について、令和4年5月24日に特許異議申立人大澤豊(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。それ以降の経緯は以下のとおりである。 令和4年 9月14日付け 取消理由通知書 令和4年11月17日 意見書(特許権者)及び訂正請求書 令和4年12月28日 意見書(申立人) 令和5年 2月21日付け 取消理由通知書(決定の予告) 令和5年 4月27日 意見書(特許権者)及び訂正請求書(以下「本件訂正請求」といい、訂正自体は「本件訂正」という。) 令和5年 6月 9日 意見書(申立人) なお、令和4年11月17日にされた訂正の請求は、本件訂正請求がされたから、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 本件訂正請求は、「特許第6972590号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求める。」ものであり、本件訂正の内容は、次の訂正事項を含むものである。なお、下線は、当審が訂正箇所に付したものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも肌非対向面に積層するコアラップシートをさらに有し、」とあるのを、 「前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも肌非対向面に積層するコアラップシートをさらに有し、 前記肌非対向面側部材は、前記コアラップシートと前記コアラップシートよりも前記肌非対向面に積層するバックシートとを有し、」に訂正する。 (請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、4~7も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に 「前記肌非対向面に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有し、」とあるのを、 「前記肌非対向面に積層するコアラップシート及びバックシートは、幅方向にヒダ状部を有し、 前記ヒダ状部を構成する山折り及び谷折りの各折り目が前記長手方向に延在し、」に訂正する。 (請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、4~7も同様に訂正する。) (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に 「前記肌非対向面に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記吸収体に接合され、」とあるのを、 「前記肌非対向面に積層するコアラップシート及びバックシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記肌非対向面側部材の前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され、」に訂正する。 (請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、4~7も同様に訂正する。) (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に 「前記屈曲溝は前記コアラップシートが接合された前記吸収体を圧搾して形成される、」とあるのを、 「前記屈曲溝は前記肌非対向面側部材が接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成される、」に訂正する。 (請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、4~7も同様に訂正する。) (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項3に 「前記肌非対向面側部材の少なくとも一部は、弾性部材を有する請求項1又は2に記載の吸収性物品の製造方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「長手方向と、前記長手方向に直交する幅方向とを有し、 吸収体と、 前記吸収体よりも肌対向面側に位置するシート状の肌対向面側部材と、 前記吸収体よりも肌非対向面側に位置するシート状の肌非対向面側部材と、を備え、 前記吸収体は、前記長手方向に沿って一対の屈曲溝を有する吸収性物品の製造方法であって、 前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも肌非対向面に積層するコアラップシートをさらに有し、 前記肌非対向面部に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有し、 前記ヒダ状部を構成する山折り及び谷折りの各折り目が前記長手方向に延在し、 前記肌非対向面に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記コアラップシートの前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され、前記屈曲溝は前記コアラップシートが接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成され、 前記肌非対向面側部材の少なくとも一部は、弾性部材を有し、 前記弾性部材は、前記肌非対向面側部材に伸長した状態で固定され、幅方向に平行に配置されている、吸収性物品の製造方法。」に訂正する。 (請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4~7も同様に訂正する。) (6)訂正前の請求項1~7は、請求項2~6が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項〔1~7〕について請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の肌非対向面側部材について「前記コアラップシートと前記コアラップシートよりも前記肌非対向面に積層するバックシートとを有」することを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1は、【0020】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載のコアラップシートに加え「バックシート」が、幅方向にヒダ状部を有するとともに、前記ヒダ状部について、「前記ヒダ状部を構成する山折り及び谷折りの各折り目が前記長手方向に延在」することを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2は、【0025】及び【0031】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 (3)訂正事項3 訂正事項3は、訂正前の請求項1に記載のコアラップシートが吸収体に接合される構成について、コアラップシートに加え「バックシート」が「前記ヒダ状部を含む領域の前記肌非対向面側部材の前記吸収体との接触箇所の全面で」前記吸収体に接合されることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項3は、【0027】、【0033】及び【0049】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 (4)訂正事項4 訂正事項4は、訂正前の請求項1に記載の屈曲溝が「前記肌非対向面側部材が接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域」を圧搾して形成されることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項4は、【0032】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 (5)訂正事項5 訂正事項5は、訂正前の請求項3のうち請求項1を引用するものを独立形式に改めるものであるとともに、(ア)コアラップシートのヒダ状部が「前記ヒダ状部を構成する山折り及び谷折りの各折り目が前記長手方向に延在」することを限定し、(イ)コアラップシートが「前記ヒダ状部を含む領域の前記コアラップシートの前記吸収体との接触箇所の全面で」吸収体に接合され、屈曲溝が吸収体の「前記ヒダ状部に重畳する領域」を圧搾して形成されることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項を引用しないものとすることを目的とするものである。 また、訂正事項5は、本件特許明細書の【0025】、【0027】及び【0032】の記載に基づく訂正であるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 3 小括 したがって、本件訂正の訂正事項1~5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。 なお、特許権者は、訂正後の請求項3及び請求項3を引用する請求項4~7に係る訂正について、当該訂正が認められるときには、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることを求めていたが、請求項4~7が請求項3を直接的又は間接的に引用する他、請求項1も引用しているため、その求めは認められない。 第3 訂正後の本件発明 上記のとおり、本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1~7に係る発明(以下「本件発明1」等といい、まとめて「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 長手方向と、前記長手方向に直交する幅方向とを有し、 吸収体と、 前記吸収体よりも肌対向面側に位置するシート状の肌対向面側部材と、 前記吸収体よりも肌非対向面側に位置するシート状の肌非対向面側部材と、を備え、 前記吸収体は、前記長手方向に沿って一対の屈曲溝を有する吸収性物品の製造方法であって、 前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも肌非対向面に積層するコアラップシートをさらに有し、 前記肌非対向面側部材は、前記コアラップシートと前記コアラップシートよりも前記肌非対向面に積層するバックシートとを有し、 前記肌非対向面に積層するコアラップシート及びバックシートは、幅方向にヒダ状部を有し、 前記ヒダ状部を構成する山折り及び谷折りの各折り目が前記長手方向に延在し、 前記肌非対向面に積層するコアラップシート及びバックシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記肌非対向面側部材の前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され、前記屈曲溝は前記肌非対向面側部材が接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成される、吸収性物品の製造方法。 【請求項2】 前記肌非対向面に積層するコアラップシートは、前記吸収体の少なくとも肌非対向面に直接積層している、請求項1に記載の吸収性物品の製造方法。 【請求項3】 長手方向と、前記長手方向に直交する幅方向とを有し、 吸収体と、 前記吸収体よりも肌対向面側に位置するシート状の肌対向面側部材と、 前記吸収体よりも肌非対向面側に位置するシート状の肌非対向面側部材と、を備え、 前記吸収体は、前記長手方向に沿って一対の屈曲溝を有する吸収性物品の製造方法であって、 前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも肌非対向面に積層するコアラップシートをさらに有し、 前記肌非対向面部に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有し、 前記ヒダ状部を構成する山折り及び谷折りの各折り目が前記長手方向に延在し、 前記肌非対向面に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記コアラップシートの前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され、前記屈曲溝は前記コアラップシートが接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成され、 前記肌非対向面側部材の少なくとも一部は、弾性部材を有し、 前記弾性部材は、前記肌非対向面側部材に伸長した状態で固定され、幅方向に平行に配置されている、吸収性物品の製造方法。 【請求項4】 前記吸収性物品は、前記長手方向に延びる一対のサポート弾性部材を有し、 前記サポート弾性部材は、前記一対の屈曲溝の幅方向外側の吸収体側端領域に重畳している請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法。 【請求項5】 前記サポート弾性部材の長手方向長さは、前記屈曲溝の長手方向長さよりも長い請求項4に記載の吸収性物品の製造方法。 【請求項6】 前記サポート弾性部材は前記吸収体よりも肌非対向面側に設けられる請求項4又は5に記載の吸収性物品の製造方法。 【請求項7】 前記吸収体は非屈曲領域に拡散溝をさらに有する請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法。」 第4 取消理由通知(決定の予告)の概要 当審において特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)の概要は、次のとおりである。 1 取消理由1(明確性) 本件特許は、請求項1~7の記載が次の点で明確でなく、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 請求項1の「幅方向にヒダ状部を有する状態」が多義的に解釈できるため不明確となっている。 2 取消理由2(サポート要件) 本件特許は、請求項1~7の記載が次の点で発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件発明が課題を解決するためには、「吸収体」の「屈曲溝」と「コアラップシート」の「ヒダ状部」の平面視における位置関係を特定することが必須であるところ、前記位置関係が請求項1の記載において特定されていない。 3 取消理由3(進歩性) 本件特許の請求項1、2、7に係る発明は、引用文献3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。 <甲号証及び引用文献等一覧> 甲1:特開2016-112029号公報(引用文献1) 甲2:特開2015-66308号公報 甲3:特開2013-123619号公報(引用文献2) 甲4:特許第5486348号 甲5:特開2003-52744号公報 甲6:特開平7-231914号公報 甲7:特開2004-305771公報 甲8:特開2010-142299号公報 甲9:特開2014-158527号公報(引用文献4) 甲10:特開2002-272769公報 甲11:特開2006-115996号公報 引用文献3:特開2010-227286号公報 引用文献5:特開2006-15012号公報(周知技術を示す文献) (以下「甲第○号証」を「甲○」という。) 第5 当審の判断 1 引用例について (1)甲1 甲1の【0001】、【0013】、【0017】、【0019】、【0026】、【0027】、【0029】~【0030】、【0033】、【0043】、図1、図2を参照すると、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「縦方向Xと、縦方向Xに直交する横方向Yとを有し、 吸収性コア40と、 吸収性コア40よりも肌対向面側に位置する表面シート2と、 吸収性コア40よりも非肌対向面側に位置する裏面シート3と、を備え、 吸収性コア40は、縦方向Xに延びる一対の非積繊部5を有するおむつ1の製造方法であって、 おむつ1は、吸収性コア40の非肌対向面に積層する非肌側コアラップシート42をさらに有し、 非肌側コアラップシート42は、横方向Yにタック部6を有し、 非肌側コアラップシート42は、吸収性コア40の横方向Yの中央部及び両側部の合計3箇所で接着剤を介して吸収性コア40に接合され、平面視においてタック部6と重なる部分には接着剤が塗布されておらず、 非積繊部5は吸収性コア40にエンボス加工を施して形成される、おむつ1の製造方法。」 (2)甲5 甲5の【0001】、【0015】、【0018】、図1、図3を参照すると、甲5には以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されている。 「長手方向とこれに直交する幅方向とを有し、 吸収体4と、 吸収体4の肌対向面側に配されたトップシート3と、 吸収体4の肌非対向面側に配されたバックシート2と、を備え、 吸収体4は、長手方向に沿って延びるエンボス6cを有する吸収性物品の製造方法であって、 吸収性物品は、吸収体4を囲繞することで肌非対向面を被覆するクレープ紙5を更に有し、 クレープ紙5は、吸収体4を囲繞し、エンボス6cは、クレープ紙5で囲繞された吸収体4をエンボス加工して形成される、 吸収性物品の製造方法。」 (3)甲9 甲9の【0001】、【0015】、【0023】、【0027】、【0033】、【0036】、【0040】、【0046】、図1、図2を参照すると、甲9には以下の発明(以下「甲9発明」という。)が記載されている。 「長手方向とこれに直交する幅方向とを有し、 吸収体207と、 吸収体207の肌対向面側に配されたトップシート202と、 吸収体207の肌非対向面側に配されたバックシート204と、を備え、 吸収体207は、エンボスを有する吸収性物品の製造方法であって、 吸収性物品は、吸収体207の肌非対向面に積層する下部コアラップシート207bを更に有し、 下部コアラップシート207bは、表面に凹凸及びクレープを有し、 下部コアラップシート207bは、表面に凹凸及びクレープを有する状態で、吸収体207に接着され、 エンボスは、下部コアラップシート207bが接着されて得られた吸収体207をエンボス加工して形成される、 吸収性物品の製造方法。」 (4)引用文献3 ア 引用文献3には、以下の記載がある(なお、下線は理解の一助のために当審が付した。他の文献についても同様。)。 「【0001】 本発明は、生理用ナプキンに関するものである。」 「【0027】 次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。 〔第1実施形態〕 図1~図8は、本実施形態に係る生理用ナプキン1を示している。この生理用ナプキンは、図1~図5に示すように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性のバックシート2と、肌当接面をなし、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性トップシート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも体液排出部を含むように前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSとから主に構成されている。」 「【0032】 吸収体4は形状及びポリマー粉末保持等のためにクレープ紙等の包装シート4Lによって囲繞するのが望ましい。なお、本実施形態に係る生理用ナプキン1においては、吸収体4は、バックシート2に対してホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合されており、吸収体4が包装シート4Lで囲繞される場合は、バックシート2と吸収体4とは、包装シート4Lを介して間接的に接合される。」 「【0043】 上述した第1の易山折線51、第2の易山折線52、及び第3の易山折線53は、図3~図5に示すように、全て吸収体4の表裏に貫通するスリットから形成されており、折り曲げやすくなっている。」 「【0049】 本生理用ナプキン1においては、詳細には図3~図5に示されるように、吸収体4の使用面側には細長く、かつ周方向に閉じた環状の易谷折線であるエンボス凹部8が形成されている。このエンボス凹部8は、第1の易山折線51、第2の易山折線52、及び第3の易山折線53を一纏めに囲んでおり、エンボス凹部8の成す環は、臀裂部分において幅方向が若干細くなっている。また、エンボス凹部8は、透液性トップシート3の表面から吸収体4内まで食い込むように形成されている。 【0050】 次に、本実施形態に係る生理用ナプキン1の使用方法の例を説明する。なお、以下に示す使用方法では、工程の順番は特に限定されない。剥離紙80における第1部分83をバックシート2から剥がし、第1の接着部71を露出させる。第1の接着部71を露出させたら、図6に示すように、第1の易山折線51で吸収体4を折り曲げ、第1の易山折線間51に位置する部分を周囲に対して表面側に隆起させる。そして、これと共に、バックシート2における第1の易山折線51の両側を、第1の接着部71で接着して山折状態を維持する。 ・・・ 剥離紙80における第4部分84をバックシート2から剥がし、ズレ止め接着部74を露出させ、ショーツに対して接着する。」 「【0058】 本実施形態に係る生理用ナプキン1では、吸収体4の使用面側に細長く、かつ周方向に閉じた環状の易谷折線であるエンボス凹部8が形成されている。このように構成されていることによって、使用時に吸収体4を易谷折線で谷折することで、第1の易山折線51、第2の易山折線52、及び第3の易山折線53で山折した際に隆起する部分が、隆起しやすくなる。また、本実施形態に係る生理用ナプキン1では、エンボス凹部8が周方向に閉じた環状に形成されているため、吸収体4におけるエンボス凹部8の内側部分で吸収しきれなかった体液を、エンボス凹部8で堰き止めることができる。さらに、本実施形態に係る生理用ナプキン1では、エンボス凹部8の成す環が、臀裂部分において幅方向が若干細くなっているため、第3の易山折線53を折り曲げて臀裂部分の幅方向中央を表面側に山状に隆起させる際に、山状の隆起部分の先端がより鋭角になるため、臀裂に対して好適にフィットする。 【0059】 エンボス凹部8は、環状ではなく易山折線51~53の両側において前後方向に沿って延在する直線状とすることも可能であるが、吸収体4の前後で上述した堰とめ効果を得られなくなってしまうため、環状とすることが好ましい。」 「【図1】 [図:0001406667000001.jpg] 」 「【図2」 [図:0001406667000002.jpg] 」 「【図3】 [図:0001406667000003.jpg] 」 「【図6】 [図:0001406667000004.jpg] 」 図1からみて、生理用ナプキン1は前後方向に長い形状を有しているから、長手方向と、該長手方向に直交する幅方向を有するといえる。 「吸収体4は形状及びポリマー粉末保持等のためにクレープ紙等の包装シート4Lによって囲繞するのが望ましい。」(【0032】)との記載、「エンボス凹部8は、透液性トップシート3の表面から吸収体4内まで食い込むように形成されている」(【0049】)との記載及び図3からみて、吸収体4に形成されるエンボス凹部8は、クレープ紙等の包装シート4Lで吸収体4を囲繞した状態で吸収体4内まで食い込むように形成されていることが分かる。 イ 引用発明 上記アから、引用文献3には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「長手方向と、幅方向とを有し、 ポリエチレンシートなどからなる不透液性のバックシート2と、肌当接面をなし、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性トップシート3と、これら両シート2、3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、を備え、 吸収体4の使用面側には細長く、かつ周方向に閉じた環状の易谷折線であるエンボス凹部8が形成されている生理用ナプキン1の製造方法であって、 吸収体4は、クレープ紙からなる包装シート4Lによって囲繞されており、 吸収体4には、クレープ紙からなる包装シート4Lで吸収体4を囲繞した状態で吸収体4内まで食い込むように前記エンボス凹部8が形成されている、生理用ナプキン1の製造方法。」 (5)周知技術 ア 甲9には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、尿とりパッド、使い捨ておむつ、軽失禁パッド及びライナーなどの吸収性物品に関する。」 「【0015】 以下に本発明の実施形態について説明する。 図1、図2に示すように、本発明の実施形態に係る吸収性物品200は細長い片状をなし、身体接触側表面(図2の上面)を形成する液透過性のトップシート202と、液不透過性のバックシート204と、トップシート202とバックシート204の間に配置され、吸水性樹脂と接着剤とを有する吸収層がシート状のコアラップシートと積層されてなるシート状吸収体207と、を含んで構成されている。・・・ 【0016】 シート状吸収体207は、吸収層207xを上部コアラップシート207aと下 部コアラップシート207bで挟持して積層してなる(図8参照)。 ・・・ 【0027】 シート状吸収体207は、吸水性樹脂(高吸水性ポリマー;SAP)と接着剤とを有する吸収層がシート状のコアラップシートと積層されてなる。吸水性樹脂とコアラップシートはいずれも接着剤により接着され、吸収層をコアラップシートの表面に担持可能になっている。このため、吸収層を比較的薄くすることができ、シート状吸収体207全体の厚みを薄くできる。 図8は、シート状吸収体207の構成の一例を示す。シート状吸収体207は、上部コアラップシート207a、吸収層207x、下部コアラップシート207bをこの順で積層して構成されている。」 「【0036】 次に、図7を用いて、本発明の実施形態に係るコアラップシートのウェブの製造方法について説明する。図7はコアラップシートのウェブの製造装置50の一例を示す。 図7の装置50は、ファブリックプレス方式の抄紙機であり、予備的に脱水するための通風乾燥(TAD)設備を用いず、プレス手段のみで凹凸付けしたウェブ103を製造することができる。装置50は、連続するウェブを形成するウェット部2、ウェブを脱水して模様付け又は凹凸付けするプレス部3、及びウェブを最終乾燥する乾燥部4を備えている。」 「【0040】 ・・・クレープ付けドクター21は乾燥表面20の下流に配置され、乾燥表面20によって乾燥した凹凸付け繊維性ウェブ102にクレープ付けを行い、それによって、凹凸付け及びクレープ付けの両方を施された最終ウェブ103が得られる。クレープ付は、紙を縦方向(マシン走行方向)に機械的に圧縮し、クレープと称される波状の皺を形成する公知の方法であり、・・・。」 「【実施例】 【0044】 ・・・ 【0046】 <吸収性物品の製造> 次に、上記コアラップシートを用い、図1、図2に示す吸収性物品200を製造した。トップシート202は、25g/m2のエアースルー不織布とし、バックシート204は32g/m2の通気性ポリエチレンシートとし、液拡散性シート(実施例10のみ)は25g/m2のエアースルー不織布とした。吸水性繊維層210は、木材パルプベースの75g/m2のエアレイド不織布とした。 シート状吸収体207は、以下の吸収層と上記コアラップシートとを、図8に示すように積層して製造した。・・・。」 「【図1】 [図:0001406667000005.jpg] 」 「【図2】 [図:0001406667000006.jpg] 」 「【図7】 [図:0001406667000007.jpg] 」 「【図8】 [図:0001406667000008.jpg] 」 イ 引用文献5には、以下の記載がある。 「【0001】 本発明は、紙おむつや、生理用ナプキン、尿取りパッド、失禁パッド等の吸収性物品に関するものである。」 「【0019】 このように孔52,52…が設けられて複数列に区分された吸収体53は、その全体が、クレープ紙57によって、被覆されている。この被覆によって、吸収体53の形状保持性の向上が図られている。」 「【0030】 〔吸収体53の製造例〕 次に、吸収体53の製造例について、図4~図6を参照しながら、説明する。なお、図4においては、紙面左側の初期工程を側面図で、紙面中央の中間工程を平面図で、紙面右側の最終工程を側面図で、それぞれ示している。 【0031】 本吸収体53を製造するにあたっては、まず、図4に示すように、リール24等から帯状のクレープ紙57を巻き出し、この巻き出したクレープ紙57の表面に、塗布装置21によって、ホットメルト接着剤等の接着剤を塗布する。次いで、その上に、図5に示すように、帯状の中央吸収体53Aを載せて、接着剤の接着力により、両者を接合する。なお、図5では、紙おむつ1つ分にあたる中央吸収体53A及びクレープ紙7のみを示しており、実際には、かかる各部材が、長手方向に連続した帯状となっている。 【0032】 クレープ紙7に接合された中央吸収体53Aは、次いで、一対のロール29,29間に、その中央から送り込む。そして、この送り込みに際しては、同時に、その斜め側方から、両側吸収体53B,53Bを送り込む。この送り込みにより、図6に示すように、両側吸収体53B,53Bが、中央吸収体53Aの両側に並列配置され、同時に、クレープ紙57に接合される。」 「【図4】 [図:0001406667000009.jpg] 」 ウ 周知技術 上記ア及びイから、以下の事項は周知技術(以下「周知技術」という。)であると認める。 「吸収性物品において、吸収体をクレープ紙で囲繞すると共に前記吸収体と前記クレープ紙を接合すること。」 2 取消理由通知(決定の予告)について (1)取消理由(明確性)について 請求項1の「コアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記吸収体に接合され、」との記載に関し、「コアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態」が、多義的に解釈できるため明確ではなかったところ、本件訂正により「前記ヒダ状部を構成する山折り及び谷折りの各折り目が前記長手方向に延在し、」との事項により限定されたから、上記「第4」「1」の取消理由は解消した。 (2)取消理由(サポート要件)について 請求項1において「吸収体」の「屈曲溝」と「コアラップシート」の「ヒダ状部」の平面視における位置関係が特定されていないため、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえなかったところ、本件訂正により、「コアラップシート」は「前記ヒダ状部を含む領域の前記肌非対向面側部材の前記吸収体との接触箇所の全面で」接合するとともに、「屈曲溝」は「前記ヒダ状部に重畳する領域」に形成されることが限定されたから、上記「第4」「2」の取消理由は解消した。 (3)取消理由(進歩性)について ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 引用発明の「長手方向」、「幅方向」はそれぞれ、本件発明1の「長手方向」、「前記長手方向に直交する幅方向」に相当する。 引用発明の「吸収体4」、「バックシート2」、「クレープ紙からなる包装紙4」、「トップシート3」、「バックシート2」及び「包装紙4」、「生理用ナプキン1の製造方法」はそれぞれ、本件発明1の「吸収体」、「バックシート」、「コアラップシート」、「肌対向面側部材」、「肌非対向面側部材」、「吸収性物品の製造方法」に相当する。 引用発明の「吸収体4の使用面側には細長く、かつ周方向に閉じた環状の易谷折線であるエンボス凹部8が形成されている」とともに「吸収体4には、クレープ紙からなる包装シート4Lで吸収体4を囲繞した状態で吸収体4内まで食い込むように前記エンボス凹部8が形成されている」態様と、本件発明1の「前記吸収体は、前記長手方向に沿って一対の屈曲溝を有する」とともに「前記屈曲溝は前記肌非対向面側部材が接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成される」態様は、「前記吸収体は、凹部を有する」態様である限りにおいて一致する。 以上を総合すると、両者は以下の点で一致し、相違する。 [一致点1] 「長手方向と、前記長手方向に直交する幅方向とを有し、 吸収体と、 前記吸収体よりも肌対向面側に位置するシート状の肌対向面側部材と、 前記吸収体よりも肌非対向面側に位置するシート状の肌非対向面側部材と、を備え、 前記吸収体は、凹部を有する、吸収性物品の製造方法であって、 前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも肌非対向面に積層するコアラップシートをさらに有し、 前記肌非対向面側部材は、前記コアラップシートと前記コアラップシートよりも前記肌非対向面に積層するバックシートとを有する、吸収性物品の製造方法。」 [相違点A-1] 吸収体は凹部を有する態様に関し、本件発明1では、「前記吸収体は、前記長手方向に沿って一対の屈曲溝を有する」とともに「前記屈曲溝は前記肌非対向面側部材が接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成される」態様であるのに対し、引用発明では、「吸収体4の使用面側には細長く、かつ周方向に閉じた環状の易谷折線であるエンボス凹部8が形成されている」とともに「吸収体4には、クレープ紙からなる包装シート4Lで吸収体4を囲繞した状態で吸収体4内まで食い込むように前記エンボス凹部8が形成されている」態様である点。 [相違点A-2] コアラップシート及びバックシートに関し、本件発明1では、「前記肌非対向面に積層するコアラップシート及びバックシートは、幅方向にヒダ状部を有し、 前記ヒダ状部を構成する山折り及び谷折りの各折り目が前記長手方向に延在し、 前記肌非対向面に積層するコアラップシート及びバックシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記肌非対向面側部材の前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され」るのに対し、引用発明では、かかる構成を有することが特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み相違点A-2について検討する。 引用発明において、クレープ紙からなる包装シート4Lと同様に、バックシート2にもヒダを設けた上で吸収体4に全面接合するようにすることについては記載も示唆もない。また、上記1(5)ウで示した周知技術である「吸収性物品において、吸収体をクレープ紙で囲繞すると共に前記吸収体と前記クレープ紙を接合すること。」を考慮しても、上記相違点A-2には至らない。さらに、かかる構成については提出された他の証拠にも記載も示唆もない。 そして、本件発明1は上記相違点A-2に係る構成により、「肌非対向面側部材33と吸収体31の接触箇所の全面を接合することで、肌非対向面側部材33が吸収体31の動きに追従しやすくなり、屈曲形状を形成及び維持しやすくなる。」(【0033】)という格別な効果を奏するものである。 (ウ)まとめ よって、相違点A-1について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件発明3について (ア)対比 本件発明3と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、両者の相当関係は上記ア(ア)で示したものとおおむね同様であるから、両者は以下の点で一致し、相違する。 [一致点2] 「長手方向と、前記長手方向に直交する幅方向とを有し、 吸収体と、 前記吸収体よりも肌対向面側に位置するシート状の肌対向面側部材と、 前記吸収体よりも肌非対向面側に位置するシート状の肌非対向面側部材と、を備え、 前記吸収体は、凹部を有する吸収性物品の製造方法であって、 前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも肌非対向面に積層するコアラップシートをさらに有する、吸収性物品の製造方法。」 [相違点A-3] 吸収体は凹部を有する態様に関し、本件発明3では、「前記吸収体は、前記長手方向に沿って一対の屈曲溝を有する」とともに「前記屈曲溝は前記コアラップシートが接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成され」る態様であるのに対し、引用発明では、「吸収体4の使用面側には細長く、かつ周方向に閉じた環状の易谷折線であるエンボス凹部8が形成されている」とともに「吸収体4には、クレープ紙からなる包装シート4Lで吸収体4を囲繞した状態で吸収体4内まで食い込むように前記エンボス凹部8が形成されている」態様である点。 [相違点A-4] コアラップシートに関し、本件発明3では、「前記肌非対向面部に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有し、 前記ヒダ状部を構成する山折り及び谷折りの各折り目が前記長手方向に延在し、 前記肌非対向面に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記コアラップシートの前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され」るのに対し、引用発明では、かかる構成を有することが特定されていない点。 [相違点A-5] 本件発明3では、「前記肌非対向面側部材の少なくとも一部は、弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記肌非対向面側部材に伸長した状態で固定され、幅方向に平行に配置されている」のに対し、引用発明では、かかる構成を有することが特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み相違点A-5について判断する。 引用発明において、肌に対向する面とは反対側に位置するクレープ紙からなる包装シート4L及びバックシート2の少なくとも一部に、幅方向に伸長した状態で固定される弾性部材を設けることについて記載も示唆もない。 かかる構成について、甲1(特に【0017】及び図1)には、「ウエスト部における表面シート2と裏面シート3との間には、糸状の弾性部材31が横方向Yに沿って伸長状態で固定され」ることが記載されている。しかしながら、当該記載事項は、その後に「これにより、おむつ1の着用時における該ウエスト部には、弾性部材31の収縮によりウエストギャザーが形成される。」と続いているように、おむつのウエストギャザーに関する技術事項であるから、生理用ナプキン等の吸収性物品にかかる引用発明に適用する動機付けはない。また、かかる構成については提出された他の証拠にも記載も示唆もない。 そして、本件発明3は上記相違点A-5に係る構成により、「その後に弾性部材を収縮させることで、ヒダ山の繰り返し構造(ヒダ状構造)を形成することができる。」(【0027】)という格別な効果を奏するものである。 (ウ)まとめ よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本件発明2、4~7について 本件発明2、4~7は、本件発明1又は本件発明3の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記ア及びイで検討したのと同様の理由により、本件発明2、4~7は、引用発明1及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由について (1)申立理由(委任省令要件)について 申立人は、本件特許明細書には、吸収性物品の物の発明としての課題や効果は記載されているものの、特許請求の範囲で特定された方法の発明としての課題や効果は記載されていないから、当業者が技術上の意義を理解するために必要な事項が記載されていない旨主張している(特許異議申立書15ページ下から3行~17ページ8行)。 しかしながら、請求項1に係る発明により、「吸収体よりも肌非対向面側に配設された部材が屈曲形状を元に戻す方向に突っ張るため、屈曲形状が維持されにくい」(【0007】)という課題を解決できることは当業者であれば理解でき、申立人の主張は採用できない。 (2)申立理由(明確性)について ア 申立人は、請求項1で、屈曲溝とヒダ状部との位置関係が特定されていない旨主張している(特許異議申立書18ページ9行~19ページ9行)。 しかしながら、本件訂正により「前記屈曲溝は前記肌非対向面側部材が接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成される」ことが限定されたから、上記申立理由は解消した。 イ 申立人は、請求項1の「前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも肌非対向面に積層するコアラップシートをさらに有し、」との記載が、吸収体の肌非対向面にコアラップシートが直接に積層していない形態を含むため、技術的な意味が不明確である旨主張している(特許異議申立書19ページ10行~下から5行)。 しかしながら、本件訂正により、請求項1は、「肌非対向面側部材」の「コアラップシート」は「前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され」ることが特定されたものであるから、上記主張は採用できない。 ウ 申立人は、請求項3の「前記肌非対向面側部材の少なくとも一部は、弾性部材を有する」との記載は、弾性部材がいかなる形状でどの方向に弾性力が作用する状態で設けられているのか明確ではない旨主張している(特許異議申立書19ページ下4行~20ページ下8行)。 しかしながら、本件訂正により「前記弾性部材は、前記肌非対向面側部材に伸長した状態で固定され、幅方向に平行に配置されている」ことが限定されたから、上記申立理由は解消した。 (3)申立理由(新規性、進歩性)について ア 甲1を主引例とする新規性・進歩性 (ア)本件発明1について a 対比 本件発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点B-1] 一対の溝について、本件発明1では「屈曲溝」であるのに対し、甲1発明では「非積繊部」である点。 [相違点B-2] 肌非対向面側部材がヒダ状部を有する点について、本件発明1では「コアラップシート及びバックシート」がヒダ状部を有するのに対し、甲1発明では「非肌側コアラップシート42」は表面にタック部6を有するものの、「裏面シート3」がヒダ状部を有することは特定されていない点。 [相違点B-3] 一対の溝が形成される点について、本件発明1では「前記肌非対向面に積層するコアラップシート及びバックシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記肌非対向面側部材の前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され、前記屈曲溝は前記肌非対向面側部材が接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成される」のに対し、甲1発明では「非肌側コアラップシート42は、吸収性コア40の横方向Yの中央部及び両側部の合計3箇所で接着剤を介して接合され、平面視においてタック部6と重なる部分には接着剤が塗布されておらず、非積繊部5は吸収性コア40にエンボス加工を施して形成される」点。 b 判断 まず、上記各相違点は実質的なものであるから本件発明1は甲1発明ではない。 次に、上記各相違点のうち、事案に鑑み相違点B-2及び相違点B-3について併せて判断する。 甲1発明において、非肌側コアラップシート42に設けられたタック部6と同様に、裏面シート3にもタック部6なるヒダ状部を設け、非肌側コアラップシート42及び裏面シート3を吸収性コア40との接触箇所の全面で吸収性コア40に接合し、さらに、非積繊部5を非肌側コアラップシート42及び裏面シート3を圧搾して形成することの動機付けはない。特に、甲1発明は、「非肌側コアラップシート42は、吸収性コア40の横方向Yの中央部及び両側部の合計3箇所で接着剤を介して吸収性コア40に接合され、平面視においてタック部6と重なる部分には接着剤が塗布されて」ないものとすることにより、「吸収性コア40の膨潤時には、タック部6における相対向する非肌側コアラップシート42,42の間を基端部6B側から速やかに開かせることが可能とな」(【0043】)るという作用効果を奏するものであるから、本件発明1のように「非肌側コアラップシート42及び裏面シート3を吸収性コア40との接触箇所の全面で吸収性コア40に接合」する構成を採用することの阻害要因があるといえる。 したがって、相違点B-2及び相違点B-3に係る本件発明1の構成は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 c まとめ よって、相違点B-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ)本件発明3について a 対比 本件発明3と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点B-4] 一対の屈曲溝について、本件発明3では「屈曲溝」であるのに対し、甲1発明では「非積繊部」である点。 [相違点B-5] 一対の溝が形成される点について、本件発明3では「前記肌非対向面に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記コアラップシートの前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され、前記屈曲溝は前記コアラップシートが接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成され」るのに対し、甲1発明では「非肌側コアラップシート42は、吸収性コア40の横方向Yの中央部及び両側部の合計3箇所で接着剤を介して接合され、平面視においてタック部6と重なる部分には接着剤が塗布されておらず、非積繊部5は吸収性コア40にエンボス加工を施して形成される」点。 [相違点B-6] 本件発明3では、「前記肌非対向面側部材の少なくとも一部は、弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記肌非対向面側部材に伸長した状態で固定され、幅方向に平行に配置されている」のに対し、甲1発明では、かかる構成を有することが特定されていない点。 b 判断 上記相違点のうち、事案に鑑み相違点B-5について判断するに、上記(ア)bで相違点B-3について検討したのと同様の理由により、相違点B-5に係る構成は、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 c まとめ よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (ウ)本件発明2、4~7について 本件発明2、4~7は、本件発明1又は本件発明3の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(ア)及び(イ)で検討したのと同じ理由により、本件発明2、4~7は、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 甲5を主引例とする新規性、進歩性 (ア)本件発明1について a 対比 本件発明1と甲5発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点C-1] 溝について、本件発明1では「一対の屈曲溝」であるのに対し、甲5発明では「エンボス6c」である点 [相違点C-2] 肌非対向面側部材がヒダ状部を有する点について、本件発明1では「コアラップシート及びバックシート」がヒダ状部を有するのに対し、甲5発明では「クレープ紙5」はヒダ状部を有するものの、「バックシート2」がヒダ状部を有することは特定されていない点。 [相違点C-3] 溝が吸収体のヒダ状部に重畳する領域に形成される点について、本件発明1では「前記肌非対向面に積層するコアラップシート及びバックシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記肌非対向面側部材の前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され、前記屈曲溝は前記肌非対向面側部材が接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成される」のに対し、甲5発明では「クレープ紙5は、吸収体4を囲繞し、エンボス6cは、クレープ紙5で囲繞された吸収体4をエンボス加工して形成される」点。 b 判断 まず、上記各相違点は実質的なものであるから本件発明1は甲5発明ではない。 次に、上記各相違点のうち、事案に鑑み相違点C-2及び相違点C-3について併せて判断する。 甲5発明において、バックシート2にもヒダ状部を設け、クレープ紙5及びバックシート2を吸収体4との接触箇所の全面で吸収体4に接合し、さらに、エンボス6cをクレープ紙5及びバックシート2を圧搾して形成することの動機付けはない。また、上記1(5)ウで示した周知技術である「吸収性物品において、吸収体をクレープ紙で囲繞すると共に前記吸収体と前記クレープ紙を接合すること。」を適用しても、上記相違点C-2及び相違点C-3に係る本件発明1の構成には至らない。さらに、かかる構成については提出された他の証拠にも記載も示唆もない。 そして、本件発明1は上記構成により、「肌非対向面側部材33と吸収体31の接触箇所の全面を接合することで、肌非対向面側部材33が吸収体31の動きに追従しやすくなり、屈曲形状を形成及び維持しやすくなる。」(【0033】)という格別な効果を奏する。 c まとめ よって、相違点C-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ)本件発明3について a 対比 本件発明3と甲5発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点C-4] 溝について、本件発明3では「一対の屈曲溝」であるのに対し、甲5発明では「エンボス6c」である点 [相違点C-5] 溝が吸収体のヒダ状部に重畳する領域に形成される点について、本件発明3では「前記肌非対向面に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記コアラップシートの前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され、前記屈曲溝は前記コアラップシートが接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成され」るのに対し、甲5発明では「クレープ紙5は、吸収体4を囲繞し、エンボス6cは、クレープ紙5で囲繞された吸収体4をエンボス加工して形成される」点。 [相違点C-6] 本件発明3では、「前記肌非対向面側部材の少なくとも一部は、弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記肌非対向面側部材に伸長した状態で固定され、幅方向に平行に配置されている」のに対し、甲5発明では、かかる構成を有することが特定されていない点。 b 判断 上記相違点のうち、事案に鑑み相違点C-6について判断する。 相違点C-6についての判断は、上記2(3)イ(イ)の相違点A-5についての判断と同様である。 c まとめ よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲5発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (ウ)本件発明2、4~7について 本件発明2、4~7は、本件発明1又は本件発明3の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(ア)及び(イ)で検討したのと同じ理由により、本件発明2、4~7は、甲5発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 甲9を主引用例とする進歩性 (ア)本件発明1について a 対比 本件発明1と甲9発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点D-1] 溝について、本件発明1では「一対の屈曲溝」であるのに対し、甲9発明では「エンボス」である点 [相違点D-2] 肌非対向面側部材がヒダ状部を有する点について、本件発明1では「コアラップシート及びバックシート」がヒダ状部を有するのに対し、甲9発明では「下部コアラップシート207b」は表面に凹凸及びクレープを有するものの、「バックシート204」がヒダ状部を有することは特定されていない点。 [相違点D-3] 溝が吸収体のヒダ状部に重畳する領域に形成される点について、本件発明1では「前記肌非対向面に積層するコアラップシート及びバックシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記肌非対向面側部材の前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され、前記屈曲溝は前記肌非対向面側部材が接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成される」のに対し、甲9発明では「下部コアラップシート207bは、表面に凹凸及びクレープを有する状態で、吸収体207に接着され、エンボスは、下部コアラップシート207bが接着されて得られた吸収体207をエンボス加工して形成される」点。 b 判断 上記相違点のうち、事案に鑑み相違点D-2及び相違点D-3について併せて判断する。 甲9発明において、バックシート204にも凹凸及びクレープを設け、下部コアラップシート207b及びバックシート204を吸収体207との接触箇所の全面で吸収体207に接合し、さらに、エンボスを下部コアラップシート207b及びバックシート204を圧搾して形成することには動機付けがない。また、上記1(5)ウで示した周知技術である「吸収性物品において、吸収体をクレープ紙で囲繞すると共に前記吸収体と前記クレープ紙を接合すること。」を適用しても、上記相違点D-2及び相違点D-3に係る本件発明1の構成には至らない。さらに、かかる構成については提出された他の証拠にも記載も示唆もない。 そして、本件発明1は上記構成により、「肌非対向面側部材33と吸収体31の接触箇所の全面を接合することで、肌非対向面側部材33が吸収体31の動きに追従しやすくなり、屈曲形状を形成及び維持しやすくなる。」(【0033】)という格別な効果を奏する。 c まとめ よって、相違点D-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲9発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ)本件発明3について a 対比 本件発明3と甲9発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点D-4] 溝について、本件発明3では「一対の屈曲溝」であるのに対し、甲9発明では「エンボス」である点 [相違点D-5] 本件発明3では「前記肌非対向面に積層するコアラップシートは、幅方向にヒダ状部を有する状態で前記ヒダ状部を含む領域の前記コアラップシートの前記吸収体との接触箇所の全面で前記吸収体に接合され、前記屈曲溝は前記コアラップシートが接合された前記吸収体の前記ヒダ状部に重畳する領域を圧搾して形成され」るのに対し、甲9発明では「下部コアラップシート207bは、表面に凹凸及びクレープを有する状態で、吸収体207に接着され、エンボスは、下部コアラップシート207bが接着されて得られた吸収体207をエンボス加工して形成される」ものの、接触箇所の全面で接着されることは特定されていない点。 [相違点D-6] 本件発明3では、「前記肌非対向面側部材の少なくとも一部は、弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記肌非対向面側部材に伸長した状態で固定され、幅方向に平行に配置されている」のに対し、甲9発明では、かかる構成を有することが特定されていない点。 b 判断 上記相違点のうち、事案に鑑み相違点D-6について判断する。 相違点D-6についての判断は、上記2(3)イ(イ)の相違点A-5についての判断と同様である。 c まとめ よって、相違点D-4及び相違点D-5について検討するまでもなく、本件発明3は、甲9発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (ウ)本件発明2、4~7について 本件発明2、4~7は、本件発明1又は本件発明3の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(ア)及び(イ)で検討したのと同じ理由により、本件発明2、4~7は、甲9発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、請求項1~7に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。さらに、他に請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由は発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700449

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