審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2025-700514

ステントデリバリー装置

審判番号
2025-700514
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-022296
登録番号
7581945
請求日
2025年05月13日
審決日
2026年01月07日
公報発行日
2026年04月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】住友ベークライト株式会社
  • 【権利者代理人】右田 俊介
  • 【異議申立人】有光 美紗子
審判長/審判官
  • 審判長 栗山 卓也
  • 審判官 土田 嘉一
  • 審判官 佐藤 智弥
分類
P1651.113-YAA(A61F) / P1651.121-YAA(A61F) / P1651.536-YAA(A61F) / P1651.537-YAA(A61F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7581945号発明「ステントデリバリー装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7581945号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第7581945号の請求項1及び2に係る特許を維持する。 特許第7581945号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7581945号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和3年2月16日の出願であって、令和6年11月5日にその特許権の設定登録がされ、同年11月13日に特許掲載公報が発行された。 そして、請求項1~3に係る特許に対し、令和7年5月13日に特許異議申立人 有光 美紗子(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされ、その後の手続の経緯は以下のとおりである。 令和 7年 7月16日付け:取消理由通知書 同年 9月17日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年10月10日 :手続補正書(方式)の提出(2通) (特許権者) 同年10月16日付け:訂正請求があった旨の通知 (特許法第120条の5第5項) 同年11月20日 :意見書の提出(申立人) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和7年9月17日提出の訂正請求書による訂正の請求は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求めるものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記外管部の軸方向において、前記突出部分の最大突出箇所と前記凹欠部分の最大凹欠箇所との差分寸法が、前記補強層の網目の目開き1個分の寸法よりも小さい」と記載されているのを、「前記外管部の軸方向において、前記突出部分の最大突出箇所と前記凹欠部分の最大凹欠箇所との差分寸法が、前記補強層の網目の目開き1個分の寸法よりも小さく、前記網目の目開き半個分の寸法よりも大きい」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項1~3について、請求項2~3は、直接ないし間接的に、本件訂正により訂正される請求項1を引用する関係にあるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項1~3について請求されている。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、「前記突出部分の最大突出箇所と前記凹欠部分の最大凹欠箇所との差分寸法」について「前記網目の目開き半個分の寸法よりも大きい」ことを限定する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1は、発明特定事項を直列的に付加するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項に適合する。 そして、訂正事項1は、訂正前の請求項3の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項に適合する。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当する。 また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項に適合する。 そして、訂正事項2は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項に適合する。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記第2のとおり、本件訂正が認められたから、本件特許の請求項1~3に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明3」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 外管部と、 前記外管部の基端部が固定されている外管ハンドルと、 前記外管部に対して軸方向に摺動可能に挿通されている内管部と、 前記内管部と一体化されており、前記外管ハンドルから基端側に延出している内シャフトと、 前記内シャフトの基端部が固定されているシャフトハンドルと、 を備え、 前記外管ハンドルを前記外管部とともに前記シャフトハンドル側に後退させることによって、前記内管部の先端部を前記外管部から露出させて、前記内管部により保持されたステントを体腔に留置可能であり、 前記外管部は、基端側部分と、前記基端側部分の先端側に連接されている先端側部分と、を有し、 前記基端側部分は、第1樹脂材料を基材として構成されており、 前記先端側部分は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されており、 前記先端側部分と前記基端側部分との境界部の周方向において、前記先端側部分と前記基端側部分との境界線が先端側に凸になっている突出部分と、前記境界線が基端側に凸になっている凹欠部分と、が存在しており、 前記外管部は、編組された金属ワイヤにより網目状に構成された補強層を含み、 一連の前記補強層が、前記基端側部分から前記先端側部分に亘って配置されており、 前記境界部の周方向において互いに隣接する前記突出部分及び前記凹欠部分に関し、 前記外管部の軸方向において、前記突出部分の最大突出箇所と前記凹欠部分の最大凹欠箇所との差分寸法が、前記補強層の網目の目開き1個分の寸法よりも小さく、前記網目の目開き半個分の寸法よりも大きいステントデリバリー装置。 【請求項2】 前記境界部の周方向において、複数の前記突出部分と複数の前記凹欠部分とが繰り返し存在している請求項1に記載のステントデリバリー装置。 【請求項3】 (削除)」 第4 取消理由の概要 令和7年7月16日付けで通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 理由1(新規性)訂正前の請求項1及び2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるから、本件特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 理由2(進歩性)訂正前の請求項1及び2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 理由3(明確性)本件特許は、訂正前の請求項1及び2の記載が以下の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 ・請求項1及び2には、差分寸法の下限値が特定されていないため、請求項1及び2に係る発明は明確でない点。 理由4(実施可能要件)本件特許は、発明の詳細な説明の記載が以下の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 ・発明の詳細な説明に、先端側部分と基端側部分との境界部の周方向において境界線に突出部分と凹欠部分を生じさせる方法や、差分寸法を補強層の網目の目開き1個分の寸法よりも小さくするように調整する方法が具体的に記載されていないから、発明の詳細な説明は訂正前の請求項1~3に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない点。 甲第1号証:特開2018-171372号公報 甲第2号証:米国特許出願公開第2003/0040789号明細書 甲第3号証:特表2004-500204号公報 甲第7号証:宮田 剣,“製品機能をアップさせる二次加工技術 -接合・融着・多層化技術を中心に- 4章 直接加熱接合 4.1 高分子材料の加熱接合メカニズム”,プラスチック成形加工学会誌 成形加工12月号,平成20年11月20日,第20巻,第12号,pp.874-878 なお、甲第1号証~甲第3号証及び甲第7号証を、以下それぞれ「甲1」~「甲3」及び「甲7」という。 第5 本件明細書の記載事項 本件特許の明細書(以下「本件明細書」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付したものであり、「・・・」は省略を示す(以下同様)。 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本願発明者の検討によれば、引用文献1のステントデリバリー装置は、体腔に挿入される際の侵襲性を低減する観点から、なお改善の余地がある。 【0005】 本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、体腔に挿入される際の侵襲性をより低減することが可能な構造のステントデリバリー装置を提供するものである。」 「【発明を実施するための形態】 ・・・ 【0010】 ・・・ 外管部10は、基端側部分18と、基端側部分18の先端側に連接されている先端側部分17と、を有し、基端側部分18は、第1樹脂材料を基材として構成されており、先端側部分17は、第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されている。 図7(a)に示すように、先端側部分17と基端側部分18との境界部12の周方向において、先端側部分17と基端側部分18との境界線が先端側に凸になっている突出部分12aと、境界線が基端側に凸になっている凹欠部分12bと、が存在している。 ・・・ 【0011】 本実施形態によれば、先端側部分17は、第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されている。すなわち、先端側部分17が基端側部分18よりも柔らかく構成されている(先端側部分17の曲げ剛性が基端側部分18の曲げ剛性よりも低い)ので、ステントデリバリー装置100を体腔に挿入する際に、先端側部分17を体腔の屈曲形状に良好に追従させることが可能な構造を容易に実現できる。 更に、本実施形態によれば、先端側部分17と基端側部分18との境界部12の周方向において、突出部分12aと、凹欠部分12bと、が存在している。これにより、境界部12において、他の部分よりも硬度が低い部分(先端側部分17)と他の部分よりも硬度が高い部分(基端側部分18)とがなだらかに切り替わっている構成となるので、この範囲において、外管部10がキンクしてしまうことを抑制できる。 このように、本実施形態によれば、ステントデリバリー装置100が体腔に挿入される際の侵襲性をより低減することができる。 また、本実施形態によれば、外管部10の軸方向において、突出部分12aの最大突出箇所と凹欠部分12bの最大凹欠箇所との差分寸法L1が、補強層16の網目16aの目開き1個分の寸法L2よりも小さい。このため、先端側部分17と基端側部分18との境界部12の外観が良好となる。 また、本実施形態によれば、一連の補強層16が、基端側部分18から先端側部分17に亘って配置されているので、先端側部分17と基端側部分18との連結強度を確保することができる。 ・・・ 【0016】 ここで、本実施形態の場合、図7(b)に示すように、内層14は、先端側部分17と基端側部分18とに亘って配置されている一連の層である一方で、外層15において、先端側部分17を構成している部分と、基端側部分18を構成している部分と、は互いに個別に成形された後で、相互に一体化されている。 より詳細には、外層15において、先端側部分17を構成している部分は、例えば、第1樹脂材料によって構成されており、基端側部分18を構成している部分は、例えば、第2樹脂材料によって構成されている。 【0017】 本実施形態の場合、外管部10を作成するに際して、先ず、金属ワイヤを内層14の外周面においてメッシュ状に編組して補強層16を形成する。続いて、第2樹脂材料によって構成されている樹脂管を、内層14の先端側部分に対して外挿し、第1樹脂材料によって構成されている樹脂管を、内層14の基端側部分に対して外挿する。そして、先端側部分17の基端と基端側部分18の先端とを互いに突き当てた状態で、不図示の熱収縮チューブを用いて熱融着する。これにより、外層15において、先端側部分17を構成している部分と、基端側部分18を構成している部分とが、径方向おける段差が無い状態で相互に熱融着される。」 第6 甲各号証の記載事項及び引用発明 1 甲1の記載事項及び甲1発明 (1)甲1の記載事項 甲1には、次の事項が記載されている。 ア「【0019】 図1は本発明の一実施形態に係るステントデリバリー装置としてのカテーテル10の全体を示す外観図である。カテーテル10は、患者の体内(管腔)に挿入される細長いカテーテル部11と、カテーテル部11の近位端側に接続され、患者の体外から、体内のカテーテル部11を操作する操作部13とを有する。図2は、カテーテル部11の外側チューブ50が近位端側にスライド(移動)され、ステント80が外側チューブ50内部のステント収容領域12から露出した状態を示している。・・・ 【0020】 図2に示すように、カテーテル部11は、外側チューブ50と、外側チューブ50の内部に挿通された内側チューブ60とを有する。また、内側チューブ60の遠位端には、先端チップ20が取り付けられている。部分断面図である図3に示すように、内側チューブ60には、ガイドワイヤを挿通するための内側ルーメン61が形成されている。内側ルーメン61の遠位端は、先端チップ20に形成された貫通孔21に連通しており、ガイドワイヤは、内側ルーメン61及び貫通孔21を介して、カテーテル10の近位端から遠位端まで、カテーテル10の内部を挿通することができる。」 イ「【0024】 図4に示すように、ステント収容領域12は、外側チューブ50における遠位端近くの所定範囲に設けられており、縮径した状態のステント80を収容する。ステント80は、カテーテル10の外側チューブ50と内側チューブ60との軸線方向に関する相対位置をステント80を収容するための所定位置とした状態において、ステント収容領域12に収容され、その収容された状態で、体内の治療箇所に搬送される。」 ウ「【0027】 外側チューブ50は、樹脂製のチューブである外樹脂チューブ52と、外樹脂チューブ52に埋設された補強線54とを有する。補強線54は、外樹脂チューブ52の軸線P回りに周回しつつ、外樹脂チューブ52の軸線P方向に延在して外樹脂チューブ52を補強する。・・・ 【0028】 図1及び図2に示すように、カテーテル部11の近位端側に接続する操作部13は、熱収縮チューブ70と、コネクタ72と、接続シャフト74と、内側ハブ76とを有する。コネクタ72は、外側チューブ50の近位端に固定されている。コネクタ72は、外側チューブ50内に形成される外側ルーメン51(図4参照)内に薬液等を導入可能なYコネクタで構成されているが、コネクタ72としてはこれに限定されない。また、外側チューブ50の近位端側の部分には、外側チューブ50とコネクタ72との接続部分を覆うように、熱による収縮により縮径された熱収縮チューブ70が取り付けられている。 【0029】 接続シャフト74の遠位端は、内側チューブ60の近位端に接続している。接続シャフト74は、金属製パイプなどで構成されており、外側チューブ50や内側チューブ60などの樹脂チューブより剛性が高い。接続シャフト74の近位端には、内側ハブ76が取り付けられている。・・・ 【0030】 図2に示すように、患者の体内でステント80を放出する場合、まず、図1及び図4に示すように、カテーテル10の外側チューブ50と内側チューブ60との軸線方向に関する相対位置をステント80を収容するための所定位置として、その状態でカテーテル10のステント収容領域12に収容した縮径状態のステント80を、患者の体内の治療対象箇所に搬送する。次に、患者の体外にある操作部13の内側ハブ76を固定することにより、接続シャフト74及び接続シャフト74に繋がる内側チューブ60の軸線方向に関する位置を固定する。 【0031】 さらに、内側チューブ60の軸線方向の位置を固定した状態で、外側チューブ50に接続するコネクタ72を近位端側に移動させることにより、図2に示すように、外側チューブ50の遠位端が近位端側へ移動し、ステント80が体内管腔に露出する。露出したステント80は、自己拡張することにより拡径してステント収容領域12を離れ、体内に放出される。」 エ「【0035】 図7に示すように、第2部分10bの近位端側に隣接する第3部分10cは、軸線方向に関して、外チューブ境界位置52cから内チューブ境界位置60cまでの領域に対応する部分である。図4に示すように、外樹脂チューブ52は、第1の硬度を有する樹脂からなる第1外チューブ領域52aと、第1の硬度より硬い第2の硬度を有する樹脂からなる第2外チューブ領域52bとを有する。第1外チューブ領域52aは、軸線方向に関してステント収容領域を含む所定範囲(外樹脂チューブ52の遠位端から外チューブ境界位置52cまでの範囲)を構成しており、第2外チューブ領域52bは、第1外チューブ領域より近位端側の所定範囲(外チューブ境界位置52cから外樹脂チューブ52の近位端まで)を構成している。」 オ「【0048】 図6(a)及び図6(b)は、補強線54の第1補強領域54a及び第2補強領域54bを示す模式的な外観図である。補強線54は、外樹脂チューブ52の軸線P回りを螺旋状に周回しつつ、外樹脂チューブ52の軸線P方向に延在する。外樹脂チューブ52には、複数の補強線54が埋設されており、複数の補強線54は、図6(a)及び図6(b)に示すような管状の編組体を構成している。」 カ「【0052】 補強線54の材料としては、たとえば、金、銀、白金、銅、イリジウム、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、アルミニウム、錫、亜鉛などの金属単体、ステンレス鋼、ニクロム鋼、ニッケル-チタン合金、チタン系合金などの合金が挙げられる。」 キ【図2】「 [図:0001434167000001.jpg] 」 ク【図4】「 [図:0001434167000002.jpg] 」 ケ【図6】「 [図:0001434167000003.jpg] 」 コ【図7】「 [図:0001434167000004.jpg] 」 サ 【図2】から、接続シャフト74が、コネクタ72の近位端側に延出していることが看取できる。 シ 【図4】及び【図7】から、複数の補強線54が、第1外チューブ領域52a及び第2外チューブ領域52bにわたって埋設されていることが看取できる。 (2)甲1発明 上記(1)を総合すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「患者の体内に挿入される細長いカテーテル部11と、カテーテル部11の近位端部に接続され、患者の体外から、体内のカテーテル部11を操作する操作部13とを有し、 カテーテル部11は、 外側チューブ50と、 外側チューブ50の内部に挿通された内側チューブ60と、 を備え、 操作部13は、 外側チューブ50の近位端に固定されているコネクタ72と、 内側チューブ60の近位端に接続し、コネクタ72の近位端側に延出している接続シャフト74と、 接続シャフト74の近位端に取り付けられている内側ハブ76と、 を備え、 内側チューブ60の軸線方向の位置を固定した状態で、外側チューブ50に接続するコネクタ72を近位端側に移動させることにより、外側チューブ50の遠位端が近位端側へ移動し、外側チューブ50における遠位端近くの所定範囲に設けられたステント収容領域12に収容されたステント80が体内管腔に露出し、体内に放出され、 外側チューブ50は、樹脂製のチューブである外樹脂チューブ52を有し、 外樹脂チューブ52は、遠位端から外チューブ境界位置52cまでの範囲を構成する第1外チューブ領域52aと、外チューブ境界位置52cから近位端までを構成する第2外チューブ領域52bを有し、 第1外チューブ領域52aは、第1の硬度を有する樹脂からなり、 第2外チューブ領域52bは、第1の硬度より硬い第2の硬度を有する樹脂からなり、 外樹脂チューブ52には、複数の補強線54が第1外チューブ領域52a及び第2外チューブ領域52bにわたって埋設されており、複数の補強線54は、管状の編組体を構成し、金属単体又は合金を材料とする、 ステントデリバリー装置としてのカテーテル10。」 2 甲2の記載事項及び甲2発明 (1)甲2の記載事項 甲2には、次の事項が記載されている。なお、和訳は、申立人が提出した抄訳文に基づいて当審が作成した。 ア「[0012] In one preferred delivery system, the stent is positioned over an inner shaft and is covered by a composite sheath. The composite sheath can comprise a plurality of materials to provide a variable property such as a graded stiffness along the length of the sheath. In one embodiment the sheath can Include a braid or coil between outer and inner sheath layers to provide the longitudinal stiffness and flexibility needed for particular applications. The sheath can have at least a ten percent variation in stiffness along its length and as much as a fifty percent variation with the stiffer section at the proximal end and the least stiff section at the distal end. The sheath can extend coaxially about the inner shaft from the handle connected to the proximal end of the catheter and can be connected to an actuator that is manually operated by the user to slide the sheath relative to the inner shaft. [0013] In one embodiment the inner shaft can include a braided tube, which extends from the proximal handle to a distal position of the delivery system. The inner shaft extends through a lumen of a catheter from the proximal handle to a distance short of the distal end where the catheter ends. The inner shaft can be free-floating within the lumen and receives the stent at the distal end. An outer sheath overlies the stent and the inner shaft and is moved to release the stent using a pull wire which is moved by the proximal handle using a conventional tooth strip attached to a pull wire.」 (和訳)[0012]1つの好ましい送達システムでは、ステントは、内側シャフトの上に配置され、複合シースによって覆われる。複合シースは、シースの長さに沿った傾斜剛性などの可変特性を提供するために、複数の材料を含むことができる。一実施形態では、シースは、特定の用途に必要な長手方向剛性及び可撓性を提供するために、外側シース層と内側シース層との間に編組又はコイルを含むことができる。シースは、その長さに沿って少なくとも10%の剛性変化を有し、近位端の剛性がより高い部分と遠位端の剛性が最小の部分とで、最大50%の変化を有することができる。シースは、カテーテルの近位端に接続されたハンドルから内側シャフトの周りに同軸に延在することができ、内側シャフトに対してシースをスライドさせるためにユーザが手動操作するアクチュエータに接続されることができる。 [0013]一実施形態では、内側シャフトは、近位ハンドルからデリバリーシステムの遠位位置まで延びる編組チューブを含むことができる。内側シャフトは、カテーテルのルーメンを通って近位ハンドルからカテーテルが終端する遠位端の手前の距離まで延在する。内側シャフトは、ルーメン内で自由に浮動することができ、遠位端においてステントを受容する。外側シースは、ステント及び内側シャフトを覆い、プルワイヤに取り付けられた従来の歯付きストリップを使用して近位ハンドルによって移動されるプルワイヤを使用して、ステントを解放するために移動される。 イ「[0149] Similar to the previous “over-the-wire” delivery system shown, an “over-the-wire” delivery system 340 shown in FIG. 19A has an inner shaft 342 extending from a proximal handle 344 to a distal tip end 346. The inner shaft 342 extends through an outer shaft 350 at the proximal end. An outer sheath 352 is located at the distal end of the “over-the-wire” delivery system 340, overlying the exposed inner shaft 342 and a portion of the outer shaft 350. The outer sheath 352 is moved toward the handle using a pull wire 354 and a pull ring 356. The pull wire 354 extends through a lumen 348 of the outer shaft 350 from the proximal handle 344 to a point just proximal to where the inner shaft 342 extends from the outer shaft 350. [0150] Referring to FIG. 19B, the outer sheath 352 is formed of several layers of material. An inner layer 360 can be formed of a nylon 12 which extends the entire length of the outer sheath 352. Overlying the inner layer 360 is a braid 362 of either a metallic or fiberglass such as a stainless steel braid. The outer sheath 352 has an outer layer 364 formed of nylon 12 extending from the proximal end to a position proximal and adjacent to the distal end 346. The last portion of the outer layer 364 is formed of another material which is less stiff, or softer, such as a PEBAX.」 (和訳)[0149]先に示されている“オーバーザワイヤ”デリバリ―システムと同様に、図19Aに示す“オーバーザワイヤ”デリバリーシステム340は、近位ハンドル344から遠位先端部346まで延在する内側シャフト342を有する。内側シャフト342は、近位端で外側シャフト350を通って延在する。外側シース352は、“オーバーザワイヤ”デリバリーシステム340の遠位端に位置し、露出された内側シャフト342及び外側シャフト350の一部を覆っている。外側シース352は、プルワイヤ354及びプルリング356を使用してハンドルに向かって移動される。プルワイヤ354は、外側シャフト350のルーメン348を通って、近位ハンドル344から、内側シャフト342が外側シャフト350から延在する部分の近位の点まで延在する。 [0150]図19Bを参照すると、外側シース352は、いくつかの材料の層で形成される。内側層360は、外側シース352の全長にわたって延在するナイロン12で形成することができる。編組362が内側層360を覆っており、この編組362は、ステンレス鋼の編組のような金属又はガラス繊維である。外側シース352は、近位端から遠位端346の近位に隣接する位置まで延在する、ナイロン12で形成された外側層364を有する。外側層364の最後の部分は、PEBAXのような剛性がより低く、又はより柔軟な別の材料で形成される。 ウ 図19A「 [図:0001434167000005.jpg] 」 エ 図19B「 [図:0001434167000006.jpg] 」 オ 図19Bから、編組362が、外側層364の近位端側の部分から、外側層364の遠位端にわたって内側層360を覆っていることが看取できる。 (2)甲2発明 上記(1)を総合すると、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 「外側シース352と、 外側シース352を移動させるプルワイヤ354及びプルリング356と、 近位ハンドル344と、 外側シース352に覆われ、近位ハンドル344から遠位先端部346まで延在する内側シャフト342と、 を備え、 外側シース352は内側シャフト342に対してスライドし、 外側シース352は、ステントを解放するために、プルワイヤ354及びプルリング356を使用して近位ハンドル342に向かって移動され、 外側シース352が内側層360、編組362、外側層364で形成され、 外側層364はナイロン12で形成され、外側層364の最後の部分は、PEBAXのような剛性がより低く、又はより柔軟な別の材料で形成され、 編組362が、外側層364の近位端側の部分から、外側層364の遠位端にわたって内側層360を覆っており、編組362はステンレス鋼の編組のような金属である、“オーバーザワイヤ”デリバリーシステム340。」 3 甲3の記載事項及び甲3発明 (1)甲3の記載事項 甲3には、次の事項が記載されている。 ア「【0002】 (発明の背景) 幾つかのタイプのカテーテルは血管内の治療に利用される。血管内のカテーテルの例には、ガイドカテーテル、血管形成カテーテル、ステント送達カテーテル、血管造影カテーテル、神経カテーテルなどが含まれる。」 イ「【0004】 ガイドカテーテルは一般に、患者の特定の冠状動脈の口へのガイドカテーテル先端の配置を容易にするように、ガイドカテーテルの先端部分に沿って予め形成された湾曲部を有する。効率的に機能するよう、ガイドカテーテルは、比較的堅い本体部分と柔らかい先端チップを有するべきである。堅い本体部分によりガイドカテーテルに充分な「プッシュアビリティ(pushability)」と「トルク性(torqueability)」が提供され、上記能力によりガイドカテーテルは経皮的に末梢血管へと挿入され、脈管構造内において移動・回転されて、特定冠状動脈に隣接する所望の部位にカテーテル先端を位置決めする。しかしながら、先端部分は、先端部分がガイドワイヤを伝って追跡し、蛇行状の経路を通って治療部位へと操縦され得るように、充分な柔軟性を有するべきである。加えて、ガイドカテーテルが脈管構造内を通り適切な位置へと移動される間に、血管に外傷を生じる危険を最小限にする為に、カテーテルのまさに先端では柔らかい先端チップが使用されるべきである。」 ウ「【0012】 前記内部管状部材の実質的な部分上には支持部材が配置され、かつ前記部分に一致する。支持部材層は、内部管状部材の外面に一致するように編まれたフィラメントからなる織り合わされたブレード部材であることが望ましい。支持部材層の外面は、概して、フィラメントの織成の結果として輪郭付けられる。更に、支持部材層の少なくとも1つのフィラメントがタングステンであることが望ましい。単数又は複数のタングステンフィラメントはシャフトに付加的な放射線不透過性をもたらす。ステンレス鋼フィラメントとタングステンフィラメントの組み合わせが望ましいことが分かっており、タングステンフィラメントはフィラメントの総数の半分以下を構成する。上記組み合わせにより所望の柔軟性特徴が達成される。」 エ「【0015】 図1は本発明に従うガイドカテーテル10の側断面図を示す。カテーテルシャフト11が、支持部材層14に囲まれた内部管状部材12からなる。次に外部管状部材16が支持部材層14を囲む。カテーテルシャフト11の上記構造上の特徴は図2に更に詳細に示されている。」 オ「【0023】 図2は、内部管状部材12の上に適用された支持部材層14を更に示す。好適な実施の形態では、支持部材層14は、カテーテルシャフト11の長さに渡って延びる2つ以上の織り合わされたブレードフィラメント30を備える。好適なブレードは20~40の範囲にあるピックを有する一定の2/2編み(2/2 weave)を備える。」 カ「【0029】 図4を参照すると、除去後の外部管状部材16の先端部分の部分側断面図が示されている。内部管状部材12と支持部材層14と外部管状部材16とを備えるようにカテーテルシャフト11が処理された後に、カテーテルシャフトの先端部分20が修正される。カテーテルシャフトの先端部分20の更なる処理は、ガイドカテーテルに特定の医療処置での多用性を与える。例えば、カテーテルシャフトの先端部分を相対的に堅くする修正は、冠状動脈処置中のガイドカテーテルの応答性を最大にする為に有用である。 【0030】 ガイドカテーテル10に関する構造上の特性を修正する為に、まずカテーテルの準備を行なう。修正の為のガイドカテーテル10の準備は、外部管状部材16の修正が望まれる部分を除去することを伴う。図4では、除去される材料はカテーテルシャフトの先端部分20に位置している。修正はカテーテルシャフト11の他の位置で行われる場合もあるが、先端部分が望ましい。」 キ「【0040】 好適な応用例では、外部管状インサートはカテーテルシャフトの先端部分20に配置され、次の更に先端の各インサートは、連続して更に柔軟となるシャフトを生成する為に更に硬度が低く、柔らかい先端チップ28で先端に向かって終端する。以下は実例である。図6を参照すると、修正されていないカテーテルシャフト11の外部管状部材16は、70Dのデュロメータ硬度であることが望ましい。修正されていないカテーテルシャフトに隣接するように配置された第1の外部管状部材インサート51は、修正されていないカテーテルシャフトの硬度より若干低い63Dのデュロメータ硬度を有する。次に、一層柔軟な硬度55Dの第2の外部管状部材インサート53が第1の外部管状部材インサート51に隣接するようにカテーテルシャフトの修正された部分70に配置される。最高の柔軟性30Dを有する第3の外部管状部材インサート55が続いて修正されたカテーテルシャフト70に付加される。先端チップ28を完成させる為に、次にマンドレル60がカテーテルシャフトの先端部分20の内部管状部材12の内部に挿入される。最後に、同様に硬度30Dである第4の最終外部管状部材インサート57が、第3の外部管状部材インサート55に隣接するようマンドレル60上に付加される。第4の外部管状部材インサート57の長さは残りのカテーテルシャフトの修正部分70よりも長いので、第4のインサート57はマンドレル60上へと部分的に移されている。 【0041】 インサートがカテーテルシャフトの修正部分70に適切に配置されたら、カテーテル10は最終製造段階に進む。製造のこの段階では、処理スリーブ、望ましくは熱収縮材料が、カテーテルシャフト11の修正部分70上及び近接した修正されていない部分上に装備される。これらの部分は熱処理の為に熱源にさらされる。熱源の温度は、シャフトに付着し且つ互いに付着するよう外部管状部材材料を充分に流動させ、内面は修正シャフトの輪郭表面に一致する。外部管状部材インサートは、準備段階で形成された山37と谷39へと流入する。第4の外部管状部材インサート57は、更にマンドレル60上に流れて、修正カテーテルシャフトの露出した先端70を覆う先端チップ28を生成する。冷却されたらば、処理スリーブを除去する。更にマンドレル60を回収する。結果として、修正先端部分に柔らかい先端チップ28が備わる。」 ク 図2「 [図:0001434167000007.jpg] 」 ケ 図6「 [図:0001434167000008.jpg] 」 (2)甲3発明 上記(1)を総合すると、甲3には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。 「カテーテルシャフト11を備え、 カテーテルシャフト11が、支持部材層14に囲まれた内部管状部材12からなり、外部管状部材16が支持部材層14を囲み、 カテーテルシャフト11の先端部分20が修正され、 修正されていない外部管状部材16は70Dのデュロメータ硬度であり、修正されていない外部管状部材16に隣接するように配置された第1の外部管状部材インサート51は63Dのデュロメータ硬度であり、第1の外部管状部材インサート51に隣接するように配置された第2の外部管状部材インサート53は55Dのデュロメータ硬度であり、続いて付加される第3の外部管状部材インサート55及び第4の最終外部管状部材インサート57は30Dのデュロメータ硬度であり、 支持部材層14は、カテーテルシャフト11の長さに渡って延びる2つ以上の織り合わされたブレードフィラメント30を備え、ブレードは、20~40の範囲にあるピックを有する一定の2/2編みを備え、ブレードフィラメント30は、タングステンであるか、ステンレス鋼フィラメントとタングステンフィラメントの組み合わせである、ステント送達カテーテル。」 4 甲7の記載事項 甲7には、次の事項が記載されている。 ア 876ページ右欄17行~877ページ左欄9行 「図4に菱沼によるヒートシールの接合面の高分子鎖のモデルを示す6).(a)界面接着において接合面は一様ではなく微細な島状スポット結合の集合体となっている.・・・ 図3,図4に示したように,加熱接合はまず接合面が加熱により溶融状態となる.直ちに,ある圧力である時間で圧着される.その間またはその後,冷却固化し接合が完成する.接合部における相互の接触状態(表面形状),また溶融状態から固化への過程において形成される分子レベルの構造(分子間結合)が接合の要因となる. 要因として考えられる項目を表3にスケールごとに分類しまとめて示した.ミクロスケール(<10-3m,>10-9m)において重要な因子となるのは接合面の形状(凹凸等)である.接合が起き始める初期状態は図4の(a)界面接着に相当し,接合は微細なスポットの集合により実現されていると考えられる.」 イ 図4「 [図:0001434167000009.jpg] 」 ウ 表3「 [図:0001434167000010.jpg] 」 5 甲8~甲10の記載事項 令和7年11月20日に申立人が提出した意見書に添付された甲第8号証~甲第10号証(以下それぞれ「甲8」~「甲10」という。)には、それぞれ以下の事項が記載されている。 (1)甲8(特開2018-198794号公報)の記載事項 ア「【0033】 ・・・ 後述するように、本実施形態では、凹凸を有する接合ラインDを形成するため、一つの例として、第1長さ領域b1となる部材と第2長さ領域b2となる部材の対向する面に予め凹凸を形成しておく。予め形成される凹凸によって凹部と凸部との形状を充分制御できる場合、接合ラインDの凹部と凸部の形状を凡そ同じにすることができる。」 イ「【0037】 近位領域C、第1長さ領域b1、第2長さ領域b2及び遠位領域Aにおける外層50を形成する上記のチューブは、予め押し出し成形等によって作成し、近位領域C、第1長さ領域b1、第2長さ領域b2及び遠位領域Aに対応する長さに加工しておく。このとき、本実施形態では、図5、図6に示した曲線の接合ラインDを得るため、第1長さ領域b1となる樹脂のチューブと、第2長さ領域b2となる樹脂のチューブの互いに隣接して対向する面に凹凸を設けておき、そしてかかる凹凸が互いに嵌合するようにこれらの樹脂のチューブを上記の芯材の上に並べて被せる。 次に、上記内層24、ワイヤ補強層30、サブチューブ40及び樹脂のチューブは、周囲に熱収縮材料が被覆され、加熱される。加熱温度は、外層50(近位領域C、第1長さ領域b1、第2長さ領域b2及び遠位領域A)を構成する樹脂のうち、最も軟化点温度が高いものの当該軟化点温度よりも高温とする。 以上の工程により、近位領域C、第1長さ領域b1、第2長さ領域b2及び遠位領域Aが各境界で溶融一体化して外層50が形成される。」 ウ【図5】「 [図:0001434167000011.jpg] 」 エ【図6】「 [図:0001434167000012.jpg] 」 (2)甲9(特開2018-51373号公報)の記載事項 ア「【0019】 図1において、接合構造1は、樹脂からなる管状部材3と樹脂からなる管状部材5とを接合するものであり、管状部材3と管状部材5との接合部2における接合面7は、管状部材の円周方向に沿って長軸方向に凸凹形状を呈するものである。」 イ「【0038】 図6において、接合構造21は、樹脂からなる管状部材23と樹脂からなる管状部材25とを接合するものであり、管状部材23と管状部材25との接合部22における接合面27は、管状部材の円周方向に沿って長軸方向に凸凹形状を呈するものである。」 ウ「【0049】 図8において、接合構造31は、樹脂からなる管状部材33と樹脂からなる管状部材35とを接合するものであり、管状部材33と管状部材35との接合部32における接合面37は、管状部材の円周方向に沿って長軸方向に凸凹形状を呈するものである。」 エ【図1】「 [図:0001434167000013.jpg] 」 オ【図6】「 [図:0001434167000014.jpg] 」 カ【図8】「 [図:0001434167000015.jpg] 」 (3)甲10(特表2015-526157号公報)の記載事項 ア「【0018】 図1Aに示されるように、軟質先端部130は、係合部位150で伸長部分100の遠位端部105の周縁部106で連結されてよい。図1B~1Dが示すように、係合部位150は、軟質端部130が伸長部分100の遠位端部105を係合する係合部位150で表面積151を増大させるために適合される噛み合い特徴119を有してよい。上で説明されるように、一部の例では、表面特徴119は、1つ以上の噛み合うさね部120および溝121を含んでよい。図1Aで示されるように、一部の例では、軟質先端部130の1つ以上のさね部120は、伸長部分100の遠位端部105の周縁部106の中に形成される、対応する溝121と係合し、また噛み合ってよい。他の例では、伸長部分100は、軟質先端部130の中に形成される溝の中に受けられるさね部を含んでよい。」 【0019】 軟質先端部130および伸長部分100は、多数の製造方法を利用して、共に連結されてよい。例えば、軟質先端部130の伸長部分100との連結は、押し出し成形、鋳造、成形、射出成形、インサート成形、溶接、接着、ならびにその他の所望の、または好適な方法をもって実現されてよい。例えば、軟質先端部130は、インサート成形によって伸長部分100の上に形成されてよい。その上、連結は、これらの方法のうちの1つ以上の組み合わせを使用して実現されてもよい。」 イ【図1A】「 [図:0001434167000016.jpg] 」 第7 取消理由についての判断 1 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について 本件訂正により、本件発明1及び2は、理由1及び理由2の取消理由が対象としていない訂正前の請求項3の発明特定事項を全て含むものとなったから、理由1及び理由2の取消理由は解消した。 2 理由3(明確性)について 本件訂正により、本件発明1及び2は、理由3の取消理由が対象としていない訂正前の請求項3の発明特定事項を全て含むものとなり、差分寸法の下限値が特定されたから、理由3の取消理由は解消した。 3 理由4(実施可能要件)について 本件明細書の段落【0016】及び【0017】には、異なる樹脂材料を基材とする先端側部分及び基端側部分を接合する方法として、先端側部分17を構成している部分と、基端側部分18を構成している部分とを互いに個別に成形した後、先端側部分17の基端と基端側部分18の先端とを互いに突き当てた状態で熱融着することが記載されている。 また、樹脂材料同士を接合する際、対向する面にあらかじめ凹凸を設けておくことにより境界を所望の形状に形成できることは、甲8~甲10に記載されているように本件特許の出願時における技術常識である。 そうすると、先端側部分と基端側部分との境界部に所望の差分寸法を有する突出部分及び凹欠部分を形成できることは、本件明細書の記載及び当該技術常識から、当業者が理解できることである。 申立人は、令和7年11月20日提出の意見書において、本件明細書には、凹凸を「所望の寸法で予め設ける」との内容や、接合面の溶融及び圧着により、凹凸の差分寸法を精緻に調整する具体的な方法は記載も示唆もされておらず、接合後の凹凸の差分寸法を所望の範囲とすることは当業者に過度の試行錯誤を強いるものである旨主張している。 しかし、甲8~甲10に記載されているように、樹脂材料同士を接合した後の境界を所望の形状とすることは、本件特許の出願時における技術常識であり、本件明細書の記載及び当該技術常識によれば、凹凸の差分寸法を所望の範囲とすることは、当業者が過度の試行錯誤を要することなく行い得ることである。 したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1及び2を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものである。 4 小括 よって、本件発明1及び2は、取消理由通知に記載した取消理由によっては取り消すことができない。 第8 取消理由通知において採用しなかった異議申立理由 1 訂正後の本件発明1及び2(訂正前の請求項3に係る発明)に対する、甲1を主引例とする新規性及び進歩性の欠如 (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (a)甲1発明の「外側チューブ50」は、その機能及び構造からみて、本件発明1の「外管部」に相当し、以下同様に、「外側チューブ50の近位端に固定されているコネクタ72」は「前記外管部の基端部が固定されている外管ハンドル」に、「ステントデリバリー装置としてのカテーテル10」は「ステントデリバリー装置」に、それぞれ相当する。 (b)甲1発明の「外側チューブ50の内部に挿通された内側チューブ60」は、「軸線方向の位置を固定した状態で、外側チューブ50に接続するコネクタ72を近位端側に移動させることにより、外側チューブ50の遠位端が近位端側へ移動」するから、外側チューブ50に対して軸線方向に摺動可能に挿通されている。 そうすると、甲1発明の「外側チューブ50の内部に挿通された内側チューブ60」は、本件発明1の「前記外管部に対して軸方向に摺動可能に挿通されている内管部」に相当する。 (c)甲1発明の「内側チューブ60の近位端に接続し、コネクタ72の近位端側に延出している接続シャフト74」は、内側チューブと一体化されていることが明らかであるから、本件発明1の「前記内管部と一体化されており、前記外管ハンドルから基端側に延出している内シャフト」に相当する。 また、甲1発明の「接続シャフト74の近位端に取り付けられている内側ハブ76」は、本件発明1の「前記内シャフトの基端部が固定されているシャフトハンドル」に相当する。 (d)甲1発明の「内側チューブ60の軸線方向の位置を固定した状態で、外側チューブ50に接続するコネクタ72を近位端側に移動させることにより、外側チューブ50の遠位端が近位端側へ移動し、外側チューブ50における遠位端近くの所定範囲に設けられたステント収容領域12に収容されたステント80が体内管腔に露出し、体内に放出され、」は、本件発明1の「前記外管ハンドルを前記外管部とともに前記シャフトハンドル側に後退させることによって、前記内管部の先端部を前記外管部から露出させて、前記内管部により保持されたステントを体腔に留置可能であり、」に相当する。 (e)甲1発明の「外樹脂チューブ」が「有」する「外チューブ境界位置52cから近位端までを構成する第2外チューブ領域52b」及び「遠位端から外チューブ境界位置52cまでの範囲を構成する第1外チューブ領域52a」は、本件発明1の「前記外管部」が「有」する「基端側部分」及び「前記基端側部分の先端側に連接されている先端側部分」に、それぞれ相当する。 そして、甲1発明の「第2外チューブ領域52bは、第1の硬度より硬い第2の硬度を有する樹脂からなり、」「第1外チューブ領域52aは、第1の硬度を有する樹脂からな」ることは、本件発明1の「前記基端側部分は、第1樹脂材料を基材として構成されており、前記先端側部分は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されて」いることに相当する。 (f)甲1発明の「外樹脂チューブ52には、複数の補強線54が第1外チューブ領域52a及び第2外チューブ領域52bにわたって埋設されており、複数の補強線54は、管状の編組体を構成し、金属単体又は合金を材料とする」ことは、本件発明1の「前記外管部は、編組された金属ワイヤにより網目状に構成された補強層を含み、一連の前記補強層が、前記基端側部分から前記先端側部分に亘って配置されて」いることに相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明は、 「外管部と、 前記外管部の基端部が固定されている外管ハンドルと、 前記外管部に対して軸方向に摺動可能に挿通されている内管部と、 前記内管部と一体化されており、前記外管ハンドルから基端側に延出している内シャフトと、 前記内シャフトの基端部が固定されているシャフトハンドルと、 を備え、 前記外管ハンドルを前記外管部とともに前記シャフトハンドル側に後退させることによって、前記内管部の先端部を前記外管部から露出させて、前記内管部により保持されたステントを体腔に留置可能であり、 前記外管部は、基端側部分と、前記基端側部分の先端側に連接されている先端側部分と、を有し、 前記基端側部分は、第1樹脂材料を基材として構成されており、 前記先端側部分は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されており、 前記外管部は、編組された金属ワイヤにより網目状に構成された補強層を含み、 一連の前記補強層が、前記基端側部分から前記先端側部分に亘って配置されている、ステントデリバリー装置。」 の点で一致し、次の点で相違する。 <相違点1> 本件発明1は、「前記先端側部分と前記基端側部分との境界部の周方向において、前記先端側部分と前記基端側部分との境界線が先端側に凸になっている突出部分と、前記境界線が基端側に凸になっている凹欠部分と、が存在しており、」「前記境界部の周方向において互いに隣接する前記突出部分及び前記凹欠部分に関し、前記外管部の軸方向において、前記突出部分の最大突出箇所と前記凹欠部分の最大凹欠箇所との差分寸法が、前記補強層の網目の目開き1個分の寸法よりも小さく、前記網目の目開き半個分の寸法よりも大きい」のに対し、甲1発明は、そのような特定がない点。 (2)判断 上記相違点1について検討する。 ア 新規性について 甲3(段落【0040】及び【0041】)に記載されているように、樹脂製の管状部材を接続する手法として熱処理による接合は通常行われることであるし、甲7に記載されているように、樹脂材料を熱処理により接合すれば、接合面にミクロスケールの凹凸が発生することは技術常識である。 しかし、甲1発明において、第1外チューブ領域52aと第2外チューブ領域52bが熱処理により接合されているとしても、その接合面に発生するミクロスケールの凹凸は、最大突出箇所と最大凹欠箇所との差分寸法が、補強線54の網目の目開き半個分の寸法よりも大きくならないから、上記相違点1は、実質的な相違点である。 よって、本件発明1は、甲1発明ではない。 イ 進歩性について 甲1には、接合面の凹凸の差分寸法を補強線54の網目の寸法に対して所定の範囲とすることに関して記載も示唆もないから、甲1発明において、接合面における最大突出箇所と最大凹欠箇所との差分寸法を、補強線54の網目の目開き1個分の寸法よりも小さく、半個分の寸法よりも大きいものとする動機はない。 そうすると、甲1発明において、上記相違点1に係る本件発明1の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 なお、申立人は、令和7年11月20日提出の意見書において、上記相違点1に係る事項について、カテーテルを構成する樹脂の境界部に凸部及び凹部を設け、これにより境界部に凹凸形状を形成する技術自体は、甲8~甲10に記載されているように周知技術であるから、容易想到である旨主張する。 しかし、甲8~甲10の記載事項は、いずれも、カテーテルを構成する樹脂の境界部に凹凸形状を形成する技術にすぎず、凹凸の差分寸法を補強層の網目の寸法に対して所定の範囲にすることまでは示唆されていない。 よって、本件発明1は、甲1発明に基いて、又は甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定を付したものであるから、同様の理由により、甲1発明ではなく、甲1発明に基いて、又は甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 訂正後の本件発明1及び2(訂正前の請求項3に係る発明)に対する、甲2を主引例とする新規性及び進歩性の欠如 (1)対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (a)甲2発明の「外側シース352」は、その機能及び構成からみて、本件発明1の「外管部」に相当する。 (b)甲2発明の外側シース352は「内側シャフト342に対してスライド」するから、甲2発明の「外側シース352に覆われ、近位ハンドル344から遠位先端部346まで延在する内側シャフト342」は、本件発明1の「前記外管部に対して軸方向に摺動可能に挿通されている内管部」に相当する。 (c)甲2発明の「外側シース352は、ステントを解放するために、プルワイヤ354及びプルリング356を使用して近位ハンドル342に向かって移動され」ることと、本件発明1の「前記外管ハンドルを前記外管部とともに前記シャフトハンドル側に後退させることによって、前記内管部の先端部を前記外管部から露出させて、前記内管部により保持されたステントを体腔に留置可能であ」ることとは、外管部を後退させることによって、前記内管部の先端部を前記外管部から露出させて、前記内管部により保持されたステントを体腔に留置可能であること、の限りで一致する。 (d)甲2発明の「外側層364の最後の部分」よりも近位端側の部分は、本件発明1の「前記外管部」が「有」する「基端側部分」に相当し、甲2発明の「外側層364の最後の部分」は、本件発明1の「前記外管部」が「有」する「基端側部分の先端側に連接されている先端側部分」に相当する。 そして、甲2発明の「外側層364はナイロン12で形成され、外側層364の最後の部分は、PEBAXのような剛性がより低く、又はより柔軟な別の材料で形成され」ることは、外側層364の最後の部分よりも近位端側の部分がナイロン12で形成され、外側層364の最後の部分が、剛性がより低く、又は柔軟な別の材料で形成されることであるから、本件発明1の「前記基端側部分は、第1樹脂材料を基材として構成されており、前記先端側部分は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されて」いることに相当する。 (e)甲2発明の「編組362が、外側層364の近位端側の部分から、外側層364の遠位端にわたって内側層360を覆っており、編組362はステンレス鋼の編組のような金属である」ことは、本件発明1の「前記外管部は、編組された金属ワイヤにより網目状に構成された補強層を含み、一連の前記補強層が、前記基端側部分から前記先端側部分に亘って配置されて」いることに相当する。 (f)甲2発明の「“オーバーザワイヤ”デリバリーシステム340」は、本件発明1の「ステントデリバリー装置」に相当する。 したがって、本件発明1と甲2発明は、 「外管部と、 前記外管部に対して軸方向に摺動可能に挿通されている内管部と、 を備え、 前記外管部を後退させることによって、前記内管部の先端部を前記外管部から露出させて、前記内管部により保持されたステントを体腔に留置可能であり、 前記外管部は、基端側部分と、前記基端側部分の先端側に連接されている先端側部分と、を有し、 前記基端側部分は、第1樹脂材料を基材として構成されており、 前記先端側部分は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されており、 前記外管部は、編組された金属ワイヤにより網目状に構成された補強層を含み、 一連の前記補強層が、前記基端側部分から前記先端側部分に亘って配置されている、ステントデリバリー装置。」 の点で一致し、次の点で相違する。 <相違点2> 本件発明1は、「前記外管部の基端部が固定されている外管ハンドルと、」「前記内管部と一体化されており、前記外管ハンドルから基端側に延出している内シャフトと、前記内シャフトの基端部が固定されているシャフトハンドルと、」を備え、外管部を後退させることによって内管部の先端部を外管部から露出させて、内管部により保持されたステントを体腔に留置可能であることについて、「前記外管ハンドルを前記外管部とともに前記シャフトハンドル側に後退させる」のに対して、甲2発明は、外側シース352を移動させるプルワイヤ354及びプルリング356と、近位ハンドル342とを備え、外側シース352が、ステントを解放するために、プルワイヤ354及びプルリング356を使用して近位ハンドル342に向かって移動される点。 <相違点3> 本件発明1は、「前記先端側部分と前記基端側部分との境界部の周方向において、前記先端側部分と前記基端側部分との境界線が先端側に凸になっている突出部分と、前記境界線が基端側に凸になっている凹欠部分と、が存在しており、」「前記境界部の周方向において互いに隣接する前記突出部分及び前記凹欠部分に関し、前記外管部の軸方向において、前記突出部分の最大突出箇所と前記凹欠部分の最大凹欠箇所との差分寸法が、前記補強層の網目の目開き1個分の寸法よりも小さく、前記網目の目開き半個分の寸法よりも大きい」のに対し、甲2発明は、そのような特定がない点。 (2)判断 事案に鑑み、まず上記相違点3について検討する。 ア 新規性について 甲3(段落【0040】及び【0041】)に記載されているように、樹脂製の管状部材を接続する手法として熱処理による接合は通常行われることであるし、甲7に記載されているように、樹脂材料を熱処理により接合すれば、接合面にミクロスケールの凹凸が発生することは技術常識である。 しかし、甲2発明において、外側層364の最後の部分と、外側層364の最後の部分よりも近位端側の部分が熱処理により接合されているとしても、その接合面に発生するミクロスケールの凹凸は、最大突出箇所と最大凹欠箇所との差分寸法が、編組362の網目の目開き半個分の寸法よりも大きくならないから、上記相違点3は、実質的な相違点である。 よって、本件発明1は、甲2発明ではない。 イ 進歩性について 甲2には、接合面の凹凸の差分寸法を編組362の網目の寸法に対して所定の範囲とすることに関して記載も示唆もないから、甲2発明において、接合面における最大突出箇所と最大凹欠箇所との差分寸法を、編組362の網目の目開き1個分の寸法よりも小さく、半個分の寸法よりも大きいものとする動機はない。 そうすると、甲2発明において、上記相違点3に係る本件発明1の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 なお、令和7年11月20日提出の意見書における、上記相違点3に係る事項についての申立人の主張は、上記1(2)イと同様の理由により採用することができない。 よって、上記相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明に基いて、又は甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定を付したものであるから、同様の理由により、甲2発明ではなく、甲2発明に基いて、又は甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 甲3を主引例とする進歩性の欠如 (1)対比 本件発明1と甲3発明とを対比する。 (a)甲3発明の「カテーテルシャフト11」と、本件発明1の「外管部」とは、管部の限りで一致する。 (b)甲3発明の「修正されていない外部管状部材16」は、カテーテルシャフト11の基端側の部分である。 また、甲3発明の「第1の外部管状部材インサート51」、「第2の外部管状部材インサート53」及び「第3の外部管状部材インサート55及び第4の最終外部管状部材インサート57」からなる部分は、修正されていない外部管状部材16の先端側に連接された部分である。 そうすると、甲3発明の「カテーテルシャフト11の先端部分20が修正され、外部管状部材16は70Dのデュロメータ硬度であり、外部管状部材16に隣接するように配置された第1の外部管状部材インサート51は63Dのデュロメータ硬度であり、第1の外部管状部材インサート51に隣接するように配置された第2の外部管状部材インサート53は55Dのデュロメータ硬度であり、続いて付加される第3の外部管状部材インサート55及び第4の最終外部管状部材インサート57は30Dのデュロメータ硬度であ」ることと、本件発明1の「前記外管部は、基端側部分と、前記基端側部分の先端側に連接されている先端側部分と、を有し、前記基端側部分は、第1樹脂材料を基材として構成されており、前記先端側部分は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されて」いることとは、前記管部は、基端側部分と、前記基端側部分の先端側に連接されている先端側部分と、を有し、前記基端側部分は、第1樹脂材料を基材として構成されており、前記先端側部分は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されていることの限りで一致する。 (c)甲3発明の「ブレードは、20~40の範囲にあるピックを有する一定の2/2編みを備え、」「タングステンであるか、ステンレス鋼フィラメントとタングステンフィラメントの組み合わせである」「ブレードフィラメント30」は、本件発明1の「編組された金属ワイヤにより網目状に構成された補強層」に相当する。 そうすると、甲3発明の「支持部材層14は、カテーテルシャフト11の長さに渡って延びる2つ以上の織り合わされたブレードフィラメント30を備え」ることと、本件発明1の「前記外管部は、編組された金属ワイヤにより網目状に構成された補強層を含み、一連の前記補強層が、前記基端側部分から前記先端側部分に亘って配置されて」いることとは、前記管部は、編組された金属ワイヤにより網目状に構成された補強層を含み、一連の前記補強層が、前記基端側部分から前記先端側部分に亘って配置されていることの限りで一致する。 (d)甲3発明の「ステント送達カテーテル」は、本件発明1の「ステントデリバリー装置」に相当する。 したがって、本件発明1と甲3発明は、 「管部を備え、 前記管部は、基端側部分と、前記基端側部分の先端側に連接されている先端側部分と、を有し、 前記基端側部分は、第1樹脂材料を基材として構成されており、 前記先端側部分は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されており、 前記管部は、編組された金属ワイヤにより網目状に構成された補強層を含み、 一連の前記補強層が、前記基端側部分から前記先端側部分に亘って配置されている、ステントデリバリー装置。」 の点で一致し、次の点で相違する。 <相違点4> 本件発明1は、管部が「外管部」であり、「前記外管部の基端部が固定されている外管ハンドルと、前記外管部に対して軸方向に摺動可能に挿通されている内管部と、前記内管部と一体化されており、前記外管ハンドルから基端側に延出している内シャフトと、前記内シャフトの基端部が固定されているシャフトハンドルと、を備え、前記外管ハンドルを前記外管部とともに前記シャフトハンドル側に後退させることによって、前記内管部の先端部を前記外管部から露出させて、前記内管部により保持されたステントを体腔に留置可能であ」るのに対して、甲3発明は、そのような特定がない点。 <相違点5> 本件発明1は、「前記先端側部分と前記基端側部分との境界部の周方向において、前記先端側部分と前記基端側部分との境界線が先端側に凸になっている突出部分と、前記境界線が基端側に凸になっている凹欠部分と、が存在しており、」「前記境界部の周方向において互いに隣接する前記突出部分及び前記凹欠部分に関し、前記外管部の軸方向において、前記突出部分の最大突出箇所と前記凹欠部分の最大凹欠箇所との差分寸法が、前記補強層の網目の目開き1個分の寸法よりも小さく、前記網目の目開き半個分の寸法よりも大きい」のに対して、甲3発明は、そのような特定がない点。 (2)判断 事案に鑑み、まず上記相違点5について検討する。 上記相違点5に係る本件発明1の事項は、甲1、甲2、甲7~10のいずれにも記載されておらず、周知技術でもない。 よって、上記相違点4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明、甲1、2の記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定を付したものであるから、同様の理由により、甲3発明、甲1、2の記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 サポート要件 本件明細書の段落【0004】及び【0005】には、「発明が解決しようとする課題」として、「体腔に挿入される際の侵襲性をより低減することが可能な構造のステントデリバリー装置を提供する」ことが記載されており、同じく段落【0010】及び【0011】等には、当該課題を解決するための手段として、基端側部分18が、第1樹脂材料を基材として構成され、先端側部分17が、第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成され、先端側部分17と基端側部分18との境界部12の周方向において、突出部分12aと、凹欠部分12bと、が存在していることが記載されている。 そして、請求項1には、「前記基端側部分は、第1樹脂材料を基材として構成されており、前記先端側部分は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料を基材として構成されており、前記先端側部分と前記基端側部分との境界部の周方向において、前記先端側部分と前記基端側部分との境界線が先端側に凸になっている突出部分と、前記境界線が基端側に凸になっている凹欠部分と、が存在して」いることが記載されている。 そうすると、請求項1には、発明の課題を解決するための上記手段が反映されている。 なお、特許異議申立書において申立人は、「先端側部分17と基端側部分18との境界部12の外観が良好となる」(本件明細書の段落【0011】)という効果をもたらすことについての技術的根拠が本件明細書に記載されておらず、本件発明1で特定されている差分寸法と補強層の網目の目開き寸法との寸法関係により、その効果が導き出されるメカニズムが不明であるから、本件発明1及び2は発明の詳細な説明に記載されたものでない旨主張する。 しかし、当該「先端側部分17と基端側部分18との境界部12の外観が良好となる」ことは、本件発明1及び2の効果についての記載にすぎず、上記のとおり、請求項1には、発明の課題を解決するための手段が反映されているから、当該主張は採用することができない。 よって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 また、本件発明1を引用する本件発明2も、同様の理由により、発明の詳細な説明に記載されたものである。 第9 むすび 以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件訂正前の請求項3は本件訂正により削除されたため、請求項3についての特許異議の申立ては、不適法なものであり、その補正をすることができないから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2025-700514

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決182件(住友ベークライト株式会社、有光 美紗子)
  • 2025-700949異議申立 / 2026-05-29 / 訂正認容樹脂組成物およびパワーモジュール
    同じ当事者: 住友ベークライト株式会社
  • 2026-700060異議申立 / 2026-04-27 / 維持導電性ペーストおよび半導体装置
    同じ当事者: 住友ベークライト株式会社
  • 2024-701219異議申立 / 2026-03-06 / 維持感光性樹脂組成物、樹脂膜、および電子装置
    同じ当事者: 住友ベークライト株式会社
  • 2025-700255異議申立 / 2026-01-29 / 訂正認容カバーテープおよび電子部品包装体
    同じ当事者: 住友ベークライト株式会社
  • 2025-700408異議申立 / 2025-11-18 / 請求成立(取消)化粧材、壁構造体、施工セットおよび施工方法
    同じ当事者: 住友ベークライト株式会社
同じ論点・分野の審決(審決分類)880件(113・A61F、121・A61F、536・A61F ほか)
  • 2021-700644異議申立 / 2023-03-10 / 訂正認容吸収性物品
    共通の審決分類: 113・A61F、121・A61F、536・A61F、537・A61F
  • 2021-700674異議申立 / 2023-03-10 / 訂正認容吸収性物品
    共通の審決分類: 113・A61F、121・A61F、536・A61F、537・A61F
  • 2022-700394異議申立 / 2023-01-25 / 維持創の処置用医療テープの製造方法
    共通の審決分類: 113・A61F、121・A61F、536・A61F、537・A61F
  • 2021-700259異議申立 / 2022-11-08 / 維持吸収性物品及びその製造方法
    共通の審決分類: 113・A61F、121・A61F、536・A61F、537・A61F
  • 2021-700401異議申立 / 2022-06-30 / 訂正認容吸水性樹脂粒子、吸水性樹脂粒子の液体漏れ性の評価方法、及び吸水性樹脂粒子の製造方…
    共通の審決分類: 113・A61F、121・A61F、536・A61F、537・A61F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存