特許異議申立
2025-700336
不織布、及び、吸収性物品
- 審判番号
- 2025-700336
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-567761
- 登録番号
- 7555965
- 請求日
- 2025年03月25日
- 審決日
- 2026年05月15日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】ユニ・チャーム株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人一色国際特許事務所
- 【異議申立人】村上 兄
- 審判長/審判官
- 審判長 川俣 洋史
- 審判官 山本 一
- 審判官 殿川 雅也
- 分類
- P1651.841-ZB (A61F) / P1651.537-ZB (A61F) / P1651.113-ZB (A61F) / P1651.121-ZB (A61F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7555965号発明「不織布、及び、吸収性物品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7555965号の請求項1~12に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7555965号(以下「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)12月28日(優先権主張 令和元年12月27日)を国際出願日とする日本語特許出願であり、令和6年9月13日にその特許権の設定登録がされ、同月25日に特許掲載公報が発行されたものである。ここで、令和元年12月27日を以下「優先日」という。
その後、その特許に対し、令和7年3月25日に、特許異議申立人 村上 兄(以下「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、本件特許の請求項1~12に係る特許について、特許異議の申立てがされた。
その後の経緯の概要は、次のとおりである。
令和7年 5月14日付け:取消理由通知書
同年 7月11日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 8月13日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
同年 9月 3日付け:訂正請求があった旨の通知(特許法120条
の5第5項)
同年12月 2日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和8年 1月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 2月17日付け:訂正拒絶理由通知書
同年 3月18日 :特許権者による意見書の提出
なお、令和8年1月30日に訂正の請求がされたので、令和7年7月11日にされた先の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
また、令和7年9月3日付けで申立人に対して訂正請求があった旨の通知を行い、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、当該期間内に申立人から応答はなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和8年1月30日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、本件特許の明細書を本件訂正請求の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)に添付した訂正明細書のとおり、また、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1~11、請求項12について訂正することを求めるものであって、その内容は、以下の訂正事項1~13からなるものである。(下線は訂正箇所を示す)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「吸収性物品に用いられる不織布であって、
複数の顕在捲縮繊維を含み、
1本又は複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し、
前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」
と記載されているのを、
「吸収性物品に用いられる不織布であって、
複数の短繊維の顕在捲縮繊維を含み、
複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し、
前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~11も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記顕在捲縮繊維同士が、接着剤により接合されている、」との記載を追加する訂正を行う(請求項1の記載を引用する請求項2~11も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する訂正を行う。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4における「請求項3に記載の」との記載を、「請求項1又は2に記載の」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5における「請求項1から4のいずれか1項に記載の」との記載を、「請求項1、2又は4のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6における「請求項1から5のいずれか1項に記載の」との記載を、「請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7における「請求項1から6のいずれか1項に記載の」との記載を、「請求項1、2、4、5又は6のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8における「請求項1から7のいずれか1項に記載の」との記載を、「請求項1、2、4、5、6又は7のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9における「請求項1から8のいずれか1項に記載の」との記載を、「請求項1、2、4、5、6、7又は8のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10における「請求項1から9のいずれか1項に記載の」との記載を、「請求項1、2、4、5、6、7、8又は9のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(11)訂正事項11
訂正前の明細書の段落【0007】に、
「上記目的を達成するための主たる発明は、吸収性物品に用いられる不織布であって、複数の顕在捲縮繊維を含み、1本又は複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し、前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、S≦2×Lを満たすことを特徴とする不織布である。」
と記載されているのを、
「上記目的を達成するための主たる発明は、吸収性物品に用いられる不織布であって、複数の短繊維の顕在捲縮繊維を含み、複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し、前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、S≦2×Lを満たし、前記顕在捲縮繊維同士が、接着剤により接合されている、ことを特徴とする不織布である。」
の記載に訂正する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項12に、
「液体を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に設けられた不織布と、を備えた吸収性物品であって、
前記不織布は、
複数の顕在捲縮繊維を含み、
1本又は複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し、
前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」
と記載されているのを、
「液体を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に設けられた不織布と、を備
えた吸収性物品であって、
前記不織布は、
複数の短繊維の顕在捲縮繊維を含み、
複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し、
前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」
に訂正する。
(13)訂正事項13
訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項12に、
「前記顕在捲縮繊維同士が、接着剤により接合されている、」との記載を追加する訂正を行う。
(14)一群の請求項についての説明
訂正前の請求項1~11について、請求項2~11は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~11は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正内容
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1に「前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」と記載されているのを、「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」と変更することを含む。
イ 本件明細書等の記載
本件特許の願書に添付した明細書及び図面(以下各々「本件明細書」及び「本件図面」といい、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を併せて「本件明細書等」という。)には以下の記載がある。
「 【0012】
吸収性物品に用いられる不織布であって、複数の顕在捲縮繊維を含み、1本又は複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し、前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、S≦2×Lを満たすことを特徴とする不織布である。
【0013】
このような不織布によれば、円の半周以上の円弧が形成されることになり、円弧の形を維持しやすい。これにより、顕在捲縮繊維に起因した低密度部が形成されるので、高粘度の液体(軟便等)を透過させやすくすることができる。
【0014】
かかる不織布であって、S≦Lをさらに満たすことが望ましい。
【0015】
このような不織布によれば、円が形成されることで、形状をより維持しやすくなる。
【0016】
かかる不織布であって、前記顕在捲縮繊維同士が、接着剤により接合されていることが望ましい。」
「 【0041】
図2は、顕在捲縮繊維11の形状(螺旋形状)についての説明図である。ここでは、1本の繊維(顕在捲縮繊維11)について示している。図において、顕在捲縮繊維11の繊維長をLとし、円弧部12の三つの点を通る円13の周長をSとする。
【0042】
図に示すように、S>2×Lの場合、円弧部12は円13の半周未満の円弧となっており、円弧の形状を維持しにくい。また、高粘度の液体(軟便等)を透過させるための低密度部が形成されにくい。
【0043】
そこで、本実施形態では、S≦2×Lを満たすようにしている。この場合、顕在捲縮繊維11によって円13の半周以上の円弧部12が形成されることになり、円弧部12の形状を維持しやすい。これにより、不織布10には、顕在捲縮繊維11に起因した低密度部が形成されやすくなり、高粘度の液体(軟便等)を透過させやすくすることができる。
【0044】
さらに、S≦Lを満たす場合、円弧部12が少なくとも円形状になって円13が形成される。これにより、螺旋状の形状をより維持しやすくなる。ただし、以下に説明するエアレイド法で形成された顕在捲縮繊維11の場合は、Sが小さすぎると、円13が小さくなって液透過性が悪化するため、S>L/4あるいはS>L/5であることが好ましい。また、以下に記載のカード機によって形成された顕在捲縮繊維11の場合はS>L/17であることが好ましい。
【0045】
なお、図2では、円弧部12(円13)が1本の顕在捲縮繊維11で形成されているが、不織布10において、円弧部12(円13)が複数本の顕在捲縮繊維11で形成されていてもよい。
【0046】
不織布10の製法としては、顕在捲縮繊維11を含む短繊維をエアレイドで積層してウェブを形成し、液体バインダー(接着剤に相当)で繊維同士を接合し、乾燥させてシート化する方法が挙げられる。なお、エアレイドには限られず、例えば、カード機でウェブを形成してもよい。この場合、エアレイドよりも地合いが良好になるため、より長い繊維長のものを使用可能である。ただし、カード機に対して、エアレイドの方が工程中で螺旋捲縮形状が維持されやすい。よって、エアレイドでウェブを形成する方がより好ましい。
【0047】
本実施形態では上述したように液体バインダーで繊維を接合している。換言すると、顕在捲縮繊維11同士が液体バインダーで接合されている。これにより、複数本の顕在捲縮繊維11が絡まりやすいので、円13の縁部を形成しやすい。」
「 【0062】
図5は、シートの表面の観察結果を示す図である。また図6はシートの断面の観察結果を示す図である。なお、図5、図6では、電子顕微鏡(日立テクノロジーズ社製のFLEX SEM1000)を用いて、倍率30倍で観察を行った。また、図7は、実施例1、実施例2、及び比較例のシート表面の比較図である。図7では、実施例1、実施例2、及び比較例について、それぞれ、3枚(No1、No2、No3)のシートの観察を行った結果を示している。また、図8は、図7の実施例1(No1)の拡大図である。図8では、顕在捲縮繊維によって形成された円13を図示している。なお、図7、図8では、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製のVHX-7100)を用いて観察を行った。
【0063】
図8に示すように、実施例1の表面には、1本又は複数本の顕在捲縮繊維によって複数の円13が形成されている。これらの円13で囲まれた円領域Rは、繊維の密度が低い低密度部となっている。これに対し、比較例では実施例1のような円が形成されておらず、ほぼ均等に繊維が配置されている(図5、図7参照)。このように、実施例1では比較例よりも低密度の部位(円領域R)が多く形成されており、比較例よりも高粘度の液体を透過させやすい。また、図6に示すように、実施例1及び2では、厚さ方向にも円弧が形成されていることにより、比較例よりも厚みが大きくなっており、クッション性が向上している。
【0064】
また、図8に示す円13の半径は、測定機器(VHX-7100)の計測モード(半径)で円弧上の3点を指定することで自動計測した。この際、複数の螺旋捲縮繊維が束のように絡まって一つの円弧部を形成しているような場合は、束になっている部分の中央部分で3点を指定して半径を計測した。その結果、図8に示す複数の円13の平均半径は0.73mmであり、円13の平均周長は4.58mmであった。顕在捲縮繊維の繊維長が5mmであるので、S≦2×Lを満たしている。ここで、平均周長とは、顕在捲縮繊維による円弧部が10個以上視認される領域(図8では長辺約16mm、短辺約12mmの矩形領域)で、10個以上の円13を抽出し、その各円13の周長を平均することによって求められるものである。なお、上記の平均周長は、抽出した円13の平均半径で形成される円の周長と等しくなる(平均半径から平均周長を求めることができる)。」
「【図8】
[図:0001438275000001.jpg]
」
ウ 新規事項の追加について
(ア)訂正事項1の、「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」という事項について、特許権者は、令和8年1月30日に提出された意見書の5(2)アにおいて、「円弧部Aについて、「円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束」において、三つの点を通る円(真円)が顕在捲縮繊維の束と重なるような三つの点を種々選択することができます。そして、選択された「三つの点」それぞれについて、これら「三つの点」を通る円の周長が求まります。
・・・中略・・・顕在捲縮繊維のカーブする部分は、曲率の緩やかな部分と大きい部分が生じます。また、顕在捲縮繊維の束はある程度の太さを有しています。そして、選択される三つの点に応じて、平均周長は変化します。
しかしながら、円弧部Aについて種々選定される「三つの点」、及び、円弧部Bについて種々選定される「三つの点」のうち、上記のようにして求められる平均周長がS≦2×Lを満たすものが存在すれば、請求項1に係る発明に含まれ、また、そのようなものが存在しないのであれば、請求項1に係る発明は含まれないことになります。」と主張する。
したがって、当該訂正事項1に係る事項は、円弧部を形成する複数本の顕在捲縮繊維の束において、いずれか任意に選択された三つの点で求められる平均周長がS≦2×Lであることを特定しようとするものと認められる。
(イ)この点に関し、前記イの記載には、円弧部の円の平均周長Sが、前記円弧部を形成する複数本の顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長であることの明示的な記載はない。また、【図8】にも、図中に三つの点をどのように定めるかなんら示されていない。
(ウ)一方、【0064】には、「複数の螺旋捲縮繊維が束のように絡まって一つの円弧部を形成しているような場合は、束になっている部分の中央部分で3点を指定して半径を計測した。」と複数本の顕在捲縮繊維の束においては、中央部分という特定の部分で三点を指定することが記載されているが、この記載が一例であって、その他いずれの三つの点であってもよいと解釈できるだけの説明はなんらされていない。
(エ)そうすると、円弧部を形成する複数本の顕在捲縮繊維の束において、いずれか任意に選択された三つの点で求められる平均周長がS≦2×Lであることは、本件明細書等に記載されているとは認められない。
(オ)以上より、「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」という事項を追加することを含む訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正ではない。
エ 特許権者の主張について
(ア)本件訂正請求書における主張
a 特許権者は、本件訂正請求書の7(1)3)イ(ア)cにおいて、「「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき」の記載は、段落0045、0047、0063、0064、及び図8等の記載から自明な事項である」と主張している。
しかしながら、前記ウに示したとおり、これらの記載及び図示をみても、平均周長Sが「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき」のものであると把握できる根拠は見いだせない。
b 特許権者はまた、「例えば、図8における最も左側の円について、下記参考図(図8の一部に加筆したもの)において、矢印で示した点が「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点」の一例である。
<参考図>
[図:0001438275000002.jpg]
」
と主張するが、既に記載がある円上の三点を示す参考図により、平均周長Sが「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき」のものであることは導き出すことはできない。
c したがって、前記特許権者の主張は、前記ウの判断を左右せず、採用できない。
(イ)令和8年3月18日提出の意見書における主張
a 特許権者は令和8年3月18日提出の意見書において、以下のとおり主張する。
「本件明細書の段落0041には、「顕在捲縮繊維の繊維長をLとし、円弧部の三つの点を通る円の周長をSとする」と定義されています。かかる定義は、三つの点を特定の点に限定するものではありません。
その上で、本件明細書の段落0058、0060においては、測定機器の計測モードを用い、「円弧上の3点を指定して半径/周長を自動計測する」という周長の具体的な計測方法を詳述しています。
また、段落0064では、三つの点に関する具体的な例として、束となった態様について、「束になっている部分の中央部分で3点を指定」する例を示すとともに、「視認領域(例:図8の矩形領域)で10個以上の円を抽出し、各円の周長の平均をSとする」という平均化の具体手順も示しております。平均化することにより、「三つの点の取り方」によるばらつきに対しても、平均周長Sの値に対する信頼性を確保することができます。
このように、本件明細書においては、段落0041にて「顕在捲縮繊維の繊維長をLとし、円弧部の三つの点を通る円の周長をSとする」と定義した上で、段落0058、0060にて具体的な計測方法を説明し、段落0064にて「三つの点の取り方」の具体的な例や平均化による平均周長の求め方が説明されております。
したがって、請求項において「いずれかの三つの点」と規定することは、段落0041における「顕在捲縮繊維の繊維長をLとし、円弧部の三つの点を通る円の周長をSとする」との定義を明確化したにすぎず、新たな技術的事項を追加するものではありません。」
b 前記aの主張について検討すると、「複数の螺旋捲縮繊維が束のように絡まって一つの円弧部を形成しているような場合は、束になっている部分の中央部分で3点を指定」する点は本件明細書等に記載がある(【0064】)ものの、この「束になっている部分」のうち「中央部分」以外の箇所を含む「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点」について記載も示唆もない。そうすると、【0064】にて「三つの点の取り方」の具体的な例や平均化による平均周長の求め方が説明されることのみを理由に、いずれの三つの点であってもよいとするだけの根拠とはならず、むしろ、開示される具体例以外のいずれの三つの点でもよいことが本件明細書等に記載されていたと同然とできるだけの根拠を示す必要があるといえるが、それについてなんら主張はない。
c 前記bからみて、請求項において「いずれかの三つの点」と規定し、円弧部を形成する複数本の顕在捲縮繊維の束において、いずれか任意に選択された三つの点で求められる平均周長がS≦2×Lであることを特定することは、「顕在捲縮繊維の繊維長をLとし、円弧部の三つの点を通る円の周長をSとする」との定義を明確化したものとはいえず、S≦2×Lの関係を満足する不織布を、想定していた範囲を超えたものとするから、新たな技術的事項を追加するものである。
したがって、前記aの主張は採用できない。
オ 小括
よって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法120条の5第9項で準用する126条5項の規定に適合しない。
(2)訂正事項11及び12について
ア 訂正内容
訂正事項11は、前記1(11)で示したとおり、明細書の段落【0007】に、「前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」と記載されているのを、「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」と変更することを含む。
また、訂正事項12は、前記1(12)で示したとおり、訂正前の請求項12に「前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」と記載されているのを、「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」と変更することを含む。
イ 新規事項の追加について
訂正事項11及び12の前記アの訂正内容は、訂正事項1の訂正内容と同じであるから、前記(1)ウと同様の理由により、「前記円弧部を形成する複数本の前記顕在捲縮繊維の束におけるいずれかの三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、」という事項を追加することを含む訂正事項11及び12に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正ではない。
ウ 小括
よって、訂正事項11及び12に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法120条の5第9項で準用する126条5項の規定に適合しない。
(3)訂正の適否のまとめ
前記(1)及び(2)のとおり、訂正事項1、訂正事項11及び訂正事項12は、特許法120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合しないものであるから、訂正事項1、訂正事項11及び訂正事項12に係る訂正は認められない。
また、訂正事項1~10に係る訂正は、前記1(14)に示した一群の請求項1~11についてするものであるところ、前記のとおり訂正事項1に係る訂正は認められないから、訂正事項2~10に係る訂正も認められない。さらに、訂正事項12及び13に係る訂正は、請求項12についてするものであるところ、前記のとおり訂正事項12に係る訂正は認められないから、訂正事項13に係る訂正も認められない。
したがって、一群の請求項についてされたものである、訂正後の請求項1~11について訂正を求める訂正事項1~10、明細書について訂正を求める訂正事項11、及び、訂正後の請求項12について訂正を求める訂正事項12及び13に係る本件訂正は、いずれも認められない。
第3 本件発明
前記第2のとおり、本件訂正は認められず、令和8年1月30日に訂正の請求がされたことにより、令和7年7月11日にされた先の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされるので、本件特許の請求項1~12に係る発明は、それぞれ、特許登録時の特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明12」といい、これらをまとめて「本件特許発明」という。)。
「【請求項1】
吸収性物品に用いられる不織布であって、
複数の顕在捲縮繊維を含み、
1本又は複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し、
前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、
S≦2×L
を満たすことを特徴とする不織布。
【請求項2】
請求項1に記載の不織布であって、
S≦L
をさらに満たすことを特徴とする不織布。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の不織布であって、
前記顕在捲縮繊維同士が、接着剤により接合されている、
ことを特徴とする不織布。
【請求項4】
請求項3に記載の不織布であって、
前記円弧部の少なくとも一部は、前記接着剤により互いに接合された複数の前記顕在捲縮繊維により構成されている、
ことを特徴とする不織布。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の不織布であって、
前記顕在捲縮繊維の繊度が30デニール未満である、
ことを特徴とする不織布。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の不織布であって、
前記顕在捲縮繊維の含有量が80重量%よりも大きい、
ことを特徴とする不織布。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の不織布であって、
繊維密度が0.065g/cm3よりも小さい、
ことを特徴とする不織布。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の不織布であって、
前記円の平均半径は、前記不織布の厚さよりも小さい、
ことを特徴とする不織布。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の不織布であって、
前記表面において、複数の前記円で囲まれる円領域の合計面積よりも、前記円領域以外の
領域の面積の方が広い、
ことを特徴とする不織布。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の不織布であって、
前記吸収性物品は、
液体を吸収する吸収体と、
前記吸収体よりも肌側に設けられ、厚さ方向に貫通する孔を複数有するシート部材と、
を備えており、
前記シート部材と前記吸収体との間に配置されている、
ことを特徴とする不織布。
【請求項11】
請求項10に記載の不織布であって、
複数の前記円のうちの或る円は、前記シート部材の或る孔と少なくとも一部が重なっており、
別の円は、前記シート部材の前記孔と重なっていない、
ことを特徴とする不織布。
【請求項12】
液体を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に設けられた不織布と、を備えた吸収性物品であって、
前記不織布は、
複数の顕在捲縮繊維を含み、
1本又は複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し、
前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、
S≦2×L
を満たすことを特徴とする吸収性物品。」
第4 取消理由の要旨
1 証拠一覧
申立人により申立書とともに提出された証拠は以下のとおりである。
甲第1号証:特開2014-34741号公報
甲第2号証:国際公開第2017/145999号
甲第3号証:特開2016-141929号公報
以下、甲第1号証~甲第3号証を「甲1」~「甲3」などという。
2 取消理由
令和7年5月14日付けの取消理由通知書で通知した理由は以下のとおりである。
[取消理由1](明確性違反)本件特許の請求項1~12に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
[取消理由2](新規性欠如)本件特許の請求項1~2、5、7~8、10~11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許の請求項1~2、5、7~8、10~11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
[取消理由3](進歩性欠如)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1~12に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
第5 当審の判断
1 取消理由1について
(1)請求項1について
ア 「円弧部上の三つの点を通る円の平均周長」について
(ア)本件特許の請求項1には、「1本又は複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し」、「前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき」「S≦2×Lを満たす」との記載がある。
(イ)ここで、「表面から視認可能な円弧部」をいかに定義し、どの点を「三つの点」とするのか、請求項1にはなんら特定されていない。そうすると、若干のカーブでも円弧部に包含され得るところ、表面から視認したどのような状態の捲縮繊維を円弧部として抽出すればよいのか明確に把握できない。
また、円弧部上のどの三つの点を選んでも曲率ひいては周長がただ一つに定まるのは真円の場合のみであるところ、技術常識を踏まえれば、捲縮繊維が形成する円弧部は必ずしも真円の円周の一部とはならず、曲率の緩やかな部分と大きい部分が生じると理解できるから、どの点を「三つの点」とするのかによって、その点を通る円の周長に違いがでることは明らかである。
さらには、「複数本の」「顕在捲縮繊維で形成され」た「円弧部」の場合は、複数本のうちのどの部分のどこまでを円弧部とした円とするかによっても、周長は変化し得ると理解できる。
以上より、平均周長Sを明確に決定できない。
(ウ)この点に関して、発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「 【0058】
上記サンプルについて、形成されている円弧部分の中心角が180度以上になるか否かを判定し、180度以上になるもの(S≦2×L)をOK(○)とし、180度未満のもの(S>2×L)をNG(×)とした(図2参照)。なお、中心角は、測定機器(VHX-7100)の計測モード(円弧)で円弧両端を含む計3点を選択して自動計測させ、180度以上か否かを判定した。さらに判定でOK(○)となった繊維の繊維形状(捲縮数、捲縮半径)を評価した。
・・・中略・・・
【0060】
(捲縮半径)
図4は、捲縮半径の評価結果を示す図である。ここでは上記の判定でOKの円弧部12によって形成される円13(円弧部12の三つの点を通る円)の半径を求めた。捲縮半径は、測定機器(VHX-7100)の計測モード(半径)で円弧上の3点を指定することで自動計測した。
なお、図4に示す捲縮半径は、図3と同様に、任意の繊維30本について、上記判定でOKとなった捲縮部全ての半径の平均値である。捲縮半径は、1インチ当たりの捲縮数と同様に、繊維長にかかわらず、ほぼ同じ値(約0.9~1mm)となっている。」
・・・中略・・・
【0064】
また、図8に示す円13の半径は、測定機器(VHX-7100)の計測モード(半径)で円弧上の3点を指定することで自動計測した。この際、複数の螺旋捲縮繊維が束のように絡まって一つの円弧部を形成しているような場合は、束になっている部分の中央部分で3点を指定して半径を計測した。その結果、図8に示す複数の円13の平均半径は0.73mmであり、円13の平均周長は4.58mmであった。顕在捲縮繊維の繊維長が5mmであるので、S≦2×Lを満たしている。ここで、平均周長とは、顕在捲縮繊維による円弧部が10個以上視認される領域(図8では長辺約16mm、短辺約12mmの矩形領域)で、10個以上の円13を抽出し、その各円13の周長を平均することによって求められるものである。なお、上記の平均周長は、抽出した円13の平均半径で形成される円の周長と等しくなる(平均半径から平均周長を求めることができる)。」
(エ)しかしながら、前記(ウ)の記載中においても、円弧部をどのように定めればよいのか、また、3点をどのように指定すればよいのかは、詳細に説明されていないから、発明の詳細な説明を参酌しても、前記(イ)の点は明確ではない。
(オ)そうすると、不織布に含まれる顕在捲縮繊維が異なる曲率で曲がっていることが技術常識であることから、部分的に曲率が異なる円弧部に対して3点の決め方が一意に決まらないために平均周長Sを客観的に定めることができず、同じ不織布に対して、S≦2×Lを満たすのか否か、明確に特定できないことになる。
したがって、このような物の特定は、同じ不織布に対してでさえ測定方法によって測定結果が異なり請求項1の発明特定事項を充足するか否かが変動し得るので、第三者に対して不測の不利益を生じさせるおそれがあり、請求項1の記載は明確でない。
イ 「顕在捲縮繊維の平均繊維長」について
(ア)請求項1には、「不織布」において「前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし」たとの記載がある。
(イ)ここで、「不織布」には、一般に乾式法などにより製造される短繊維を用いた不繊布だけでなく、メルトブロー(ン)法やスパンボンド法などにより製造される長繊維からなる不繊布が包含されるものである。
しかしながら、技術常識を踏まえれば、前記製法による長繊維からなる不織布において、繊維長は不定であり、かつ、視認によっても明確に特定できるものではないから、平均繊維長をどのように認識・測長すればよいのか不明である。
(ウ)発明の詳細な説明においても、長繊維を含む種々の不織布全般に対して繊維長をどのように定めるのか、なんら説明はされていない。
(エ)したがって、発明の詳細な説明を参酌しても、請求項1の前記記載は、明確ではない。
(2)請求項2~11について
請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~11についても、前記(1)と同様の理由がある。
(3)請求項12について
請求項12には、請求項1と同様の「平均周長」と「平均繊維長」に関する記載があるから、前記(1)と同様の理由がある。
(4)小括
以上のとおりであるから、請求項1~12に係る発明は、明確ではない。
2 各証拠に記載される事項及び発明
(1)甲1について
ア 甲1の記載事項
甲1には、以下のとおりの記載がある。
(ア)「【請求項1】
第一の立体捲縮繊維と第二の立体捲縮繊維とを含む不織布であって、
第一の立体捲縮繊維は、立体捲縮を有する繊維であり、
第二の立体捲縮繊維は、コイル状のミクロクリンプを有する繊維であり、
第一の立体捲縮繊維の捲縮数は、第二の立体捲縮繊維の捲縮数よりも少なく、
第一の立体捲縮繊維の表面の少なくとも一部分が熱接着成分として、繊維同士の少なくとも一部を熱接着し、
第二の立体捲縮繊維を構成する成分は実質的に溶融していない、
不織布。
【請求項2】
第一の立体捲縮繊維は、立体捲縮が顕在化している顕在捲縮繊維である、請求項1に記載の不織布。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2種類の立体捲縮繊維を含み、優れた弾力性、柔らかさおよび嵩回復性を有し、なおかつ、従来の不織布よりも優れた触感を有する不織布およびそれを用いたクッション材に関する。
・・・中略・・・
【0010】
特許文献1および2の材料では、コイル・スプリング状の潜在捲縮繊維が熱融着して他の繊維と絡み合っていることから、弾力性や柔らかさに寄与する潜在捲縮繊維が熱で融けて変形し、コイル・スプリング状の形状を維持することができず、また、コイル・スプリング状の潜在捲縮繊維同士、あるいは、隣り合うコイル・スプリング状の捲縮部分が熱融着している。これらの理由により、特許文献1および2の材料においては、クッション性、弾力性および柔らかさが低下する傾向にある。特許文献3のふとん用詰綿材料では、繊維同士が接着されていないため、使用中、嵩が減少したり、変形したりしやすいだけでなく、嵩回復性も低下する傾向にある。また、特許文献4の材料では、耐ヘタリ性、クッション性、柔軟性等を悪化させずに、車両用シートワディング材としての形態安定性を確保するために、バインダー繊維を溶融させて、顕在捲縮繊維、潜在捲縮繊維などの繊維同士を結着させているが、得られる製品の弾力性および柔らかさは不十分であり、その触感も十分ではない。さらに、特許文献5は、顕在捲縮性複合繊維からなる不織布の車両用クッション材としての使用を開示しているが、上記文献では、顕在捲縮性複合繊維のみを用いて不織布を作製しており、他の繊維を使用して、更にクッション性を高めた不織布などの開示はなく、このような顕在捲縮性複合繊維からなる不織布もまた、触感において改善の余地を有する。
【0011】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、弾力性、柔らかさおよび嵩回復性に優れ、望ましくは、より高い耐久性や従来の不織布にはない新しい触感、例えば、低反発(軟質)ポリウレタンフォームのような、ふんわりとやわらかく、もっちりとした触感などの触感を有する不織布およびそれを用いたクッション材の提供を目的としてなされたものである。
・・・中略・・・
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の不織布は、第一の立体捲縮繊維と第二の立体捲縮繊維とを含み、第一の立体捲縮繊維は、その表面の少なくとも一部分が熱接着成分として、不織布内での繊維同士の熱接着に関与し得る繊維であり、第二の立体捲縮繊維は、第一の立体捲縮繊維よりも捲縮数の多いコイル状(スプリング状)のミクロクリンプを有する繊維である(本明細書中、本発明の不織布を単に「不織布」または「熱接着不織布」と呼ぶ場合がある)。
【0017】
本発明の不織布では、第二の立体捲縮繊維よりも捲縮が緩やかな(すなわち、捲縮数の少ない)第一の立体捲縮繊維が、不織布内での繊維同士の熱接着に積極的に関与し、なおかつ、弾力性および柔らかさを与える捲縮のきつい(すなわち、捲縮数の多い)コイル状のミクロクリンプを有する第二の立体捲縮繊維の構成成分が溶融によって実質的に変形しないことを特徴とする。従って、本発明では、第二の立体捲縮繊維が発現するコイル状ミクロクリンプの形状を不織布内で維持することができ、その結果、本発明の不織布は、優れた弾力性および柔らかさとともに、ふんわりとやわらかく、もっちりとした従来の不織布にはない新しい触感を有することができる。」
(ウ)「【0020】
立体捲縮は、顕在捲縮性複合繊維において発現した立体捲縮であってよい。ここで、顕在捲縮性複合繊維とは、繊維の段階で立体捲縮を発現しており、加熱処理に付しても立体捲縮の状態が変化しない、または変化するとしてもその度合いが小さい繊維である。
・・・中略・・・
【0053】
このようにして得られる第一の立体捲縮繊維において、捲縮数(立体捲縮数)は、以下に説明する第二の立体捲縮繊維の捲縮数よりも少なく、繊維のカード通過性及び不織布等にしたときの嵩高性を考慮すると、10個/25mm~22個/25mmであることが好ましい。また、第一の立体捲縮繊維について、JIS L 1015(2010年)に準じて捲縮数および捲縮率を測定したときに、捲縮率と捲縮数の比(捲縮率/捲縮数)が0.7~1.2であることが好ましく、0.85~1であることがより好ましい。捲縮率は、捲縮の固定性(捲縮の伸びにくさ)を示し、捲縮率/捲縮数が、上記範囲を満たすと、捲縮が伸びにくく、適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮を有するので、カード通過性が良好であり、カード通過後のウェブは嵩高性を維持し、熱処理後の不織布等は弾力性を維持することができる。
【0054】
第一の立体捲縮繊維の繊度および繊維長は特に限定されず、不織布の製造方法および不織布の用途に応じて選択される。例えば、第一の立体捲縮繊維は、後述するように、カード機(またはその他の手段)によりウェブを作製した後、繊維同士を熱接着させる熱接着不織布の製造に用いられる場合、その繊度は1.1dtex~50dtex、繊維長は10mm~110mmの短繊維とすることが好ましい。例えば、第一の立体捲縮繊維の繊度は2.2dtex~30dtexであってよい。さらに具体的には、第一の立体捲縮繊維は、カード機を用いて繊維ウェブを作製して製造される乾式不織布(例えばエアスルー不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布など)にする場合、前記の不織布の製造方法に適した繊維長(例えば、繊維長15mm~90mm、より好ましくは32mm~80mm)とし、前記製造方法に適した繊度(例えば、繊度3.3dtex~30dtex、より好ましくは5.6dtex~20dtex)とする。エアレイド不織布を製造する場合、エアレイド不織布の製造に適した繊維長(例えば、10mm~32mm、より好ましくは12mm~28mm)とし、前記製造方法に適した繊度(例えば、繊度2.2dtex~30dtex、より好ましくは3.3dtex~20dtex)を有してよい。繊度は、紡糸フィラメントの繊度および延伸倍率を調節することによって、所望のように調節することができる。所定長さの繊維は、前記アニーリング処理の後で、繊維をカットすることにより得られる。
・・・中略・・・
【0072】
[不織布の製造]
続いて、本発明の不織布を、その製造方法とともに説明する。本発明の不織布の製造は、まず、不織布に含まれ得る各立体捲縮繊維の質量を秤量することからはじめる。具体的には、第一の立体捲縮繊維については、その含有量(不織布の総質量を基準とする)が好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%~80質量%、さらにより好ましくは25質量%~70質量%、なおさらにより好ましくは30質量%~70質量%となるように、第一の立体捲縮繊維の質量を秤量する。第二の立体捲縮繊維については、その含有量(不織布の総質量を基準とする)が好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%~55質量%、さらにより好ましくは15質量%~55質量%、なおさらにより好ましくは15質量%~45質量%となるように、第二の立体捲縮繊維の質量を秤量する。第三の立体捲縮繊維については、その含有量(不織布の総質量を基準とする)が0質量%~75質量%、好ましくは10質量%~75質量%、より好ましくは15質量%~60質量%、さらにより好ましくは15質量%~55質量%となるように、第三の立体捲縮繊維の質量を秤量する。ただし、第一、第二および第三の立体捲縮繊維の含有量の合計は100質量%を超えないものとする。」
(エ)「【実施例】
【0085】
[実施例1~7、比較例1~4]
(第一の立体捲縮繊維)
本発明の実施例および比較例で使用する第一の立体捲縮繊維として、以下の立体捲縮繊維1Aおよび1Bを用意した。
【0086】
立体捲縮繊維1A
第一成分として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(融点:121℃、密度:0.931g/cm3、メルトインデックス(MI):20g/10min、曲げ弾性率:600MPa、硬度:60(宇部丸善ポリエチレン株式会社製 ZM076))(85質量%)および低密度ポリエチレン(LDPE(融点:106℃、密度:0.918g/cm3、メルトインデックス(MI):22g/10min、曲げ弾性率:130MPa、硬度:46(日本ポリエチレン株式会社製 LJ802)(15質量%))を使用し(括弧内は混合比(質量%))、第二成分としてポリエチレンテレフタレート(PET)(融点:250℃、極限粘度値(IV値)0.64(東レ株式会社製、T200E))を使用して、それらの2つの成分を、偏心鞘芯型複合ノズル(600ホール)を用い、第一成分/第二成分の複合比(容積比)を55/45として、鞘成分の紡糸温度を290℃、芯成分の紡糸温度を340℃、ノズル温度を290℃として溶融押出し、偏心率25%、繊度15.5dtexの紡糸フィラメントを得た。
【0087】
得られた紡糸フィラメントを、70℃の熱水中で3.6倍に延伸し、繊度約6.0dtexの延伸フィラメントとした(繊維強度2.18cN/dtex)。次いで、撥水性の繊維処理剤を、付着量が繊維の質量に対して0.3質量%になるように付与した後、延伸フィラメントにスタッフィングボックス型クリンパーにて機械捲縮を15.9個/25mm(捲縮率11.3%)となるように付与した。そして、100℃に設定した熱風吹き付け装置にて約15分間、弛緩した状態でアニーリング処理と乾燥処理を同時に施した。その後、フィラメントを64mmの繊維長に切断して、顕在捲縮性複合短繊維(1A)(捲縮数:15.9個/25mm)を得た。
【0088】
立体捲縮繊維1B(比較用)
第一成分として、ポリブテン-1(PB-1)(サンアロマー株式会社製 DP0401M(融点123℃、MFR(190℃)20g/10min))(96質量%)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(日本ポリエチレン株式会社製 NJ744N(融点120℃、MFR(190℃)12g/10min)(4質量%)を使用し(括弧内は混合比(質量%))、第二成分としてポリエチレンテレフタレート(PET)(融点:250℃、極限粘度値(IV値)0.64(東レ株式会社製、T200E))を使用して、それらの2つの成分を、偏心鞘芯型複合ノズル(600ホール)を用い、第一成分/第二成分の複合比(容積比)を55/45として、鞘成分の紡糸温度を250℃、芯成分の紡糸温度を320℃、ノズル温度を290℃として溶融押出し、偏心率25%、繊度11dtexの紡糸フィラメントを得た。
【0089】
得られた紡糸フィラメントを、80℃の熱水中で2.3倍に延伸し、繊度約6.0dtexの延伸フィラメントとした(繊維強度2.33cN/dtex)。次いで撥水性の繊維処理剤を、付着量が繊維の質量に対して0.3質量%になるように付与した後、延伸フィラメントにスタッフィングボックス型クリンパーにて機械捲縮を14.3個/25mm(捲縮率13.4%)となるように付与した。そして、100℃に設定した熱風吹き付け装置にて約15分間、弛緩した状態でアニーリング処理と乾燥処理を同時に施した。その後、フィラメントを64mmの繊維長に切断して、顕在捲縮性複合短繊維(1B)(捲縮数:15.5個/25mm)を得た。
・・・中略・・・
【0096】
(不織布の製造)
本発明の実施例1~7および比較例1~3の不織布を以下の通り製造した。
第一、第二および第三の立体捲縮繊維を以下の表1に示す配合比(混綿比)となるようにそれぞれ秤量した。次いで、秤量した各繊維(原綿)をそれぞれ開繊し、第一、第二および第三の立体捲縮繊維を十分に混合(混綿)した後、パラレルカード機を用いて目付約40g/m2のカードウェブを9枚作製した。このカードウェブを積層して目付約360g/m2のカードウェブを得た。このカードウェブを厚さが20mm(比較例1では16mm)になるよう調整して、所定の温度(比較例1、2は145℃、それ以外は135℃)に設定した熱風循環式の熱処理機にて40秒間熱処理を行い、目付約400g/m2の熱接着不織布を得た。」
(オ)「【0104】
実施例1~7および比較例1~3で得られた不織布の構成、物性および評価結果を以下の表1にまとめて示す。
【0105】
【表1】
[図:0001438275000003.jpg]
」
(カ)「【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の不織布は、優れた弾力性、柔らかさおよび嵩回復性を有し、さらに必要に応じて、さらに優れた耐久性や、もっちりとした従来にはない新しい触感などを提供することができるので、自動車用、航空機用、鉄道車両用、船舶用などの座席、一般家庭用、事務用といった各種座席や、生理用ナプキン、紙おむつ、介護用紙おむつといった吸収性物品において表面シートの下に配置するクッション性の高いセカンドシートに使用する各種クッション材、女性のブラジャーのパッド、肩パッド、肘当てパッド、膝当てパッドといった衣料用パッド、ベッドやベッドマット、マットレス、布団、枕といった各種寝装用品といった用途に好適であるほか、嵩高で弾力性、嵩回復性に富むことから、吸音材や遮音材、防振材や制振材、断熱材、保温材等を構成するのに適している。」
イ 甲1から把握できる事項
(ア)前記ア(ウ)【0053】の「捲縮率と捲縮数の比(捲縮率/捲縮数)が0.7~1.2であることが好ましく、0.85~1であることがより好ましい。捲縮率は、捲縮の固定性(捲縮の伸びにくさ)を示し、捲縮率/捲縮数が、上記範囲を満たすと、捲縮が伸びにくく、適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮を有するので、カード通過性が良好であり、カード通過後のウェブは嵩高性を維持し、熱処理後の不織布等は弾力性を維持することができる。」との記載を踏まえると、前記ア(エ)【0086】の「立体捲縮繊維1A」は、【0087】に記載されるとおり、捲縮数が15.9個/25mm、捲縮率11.3%であり、(捲縮率/捲縮数)は、0.71となるから、「捲縮が伸びにくく、適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮を有する」と理解できる。
(イ)前記ア(オ)【表1】から、実施例で用いられる不織布物性として、厚み20mm、密度20kg/m3であることが読み取れる。
ウ 甲1に記載された発明
(ア)前記ア及びイより、甲1には、次のとおりの発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明]
「第一の立体捲縮繊維と第二の立体捲縮繊維とを含む不織布であって、
第一の立体捲縮繊維は、立体捲縮を有する繊維であり、
第二の立体捲縮繊維は、コイル状のミクロクリンプを有する繊維であり、
第一の立体捲縮繊維の捲縮数は、第二の立体捲縮繊維の捲縮数よりも少なく、
第一の立体捲縮繊維の表面の少なくとも一部分が熱接着成分として、繊維同士の少なくとも一部を熱接着し、
第二の立体捲縮繊維を構成する成分は実質的に溶融しておらず(【請求項1】)、
第一の立体捲縮繊維は、立体捲縮が顕在化している顕在捲縮繊維であり(【請求項2】)、
第一の立体捲縮繊維については、その含有量(不織布の総質量を基準とする)が好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%~80質量%、第二の立体捲縮繊維については、その含有量(不織布の総質量を基準とする)が好ましくは5質量%以上であり(【0072】)、
使用する第一の立体捲縮繊維として、立体捲縮繊維1Aは、繊度約6.0dtexの延伸フィラメントに機械捲縮を15.9個/25mm(捲縮率11.3%)となるように付与し、フィラメントを64mmの繊維長に切断して得た、顕在捲縮性複合短繊維(1A)(捲縮数:15.9個/25mm)であり(【0087】)、
厚み20mm、密度20kg/m3であり(前記イ(イ))、
立体捲縮繊維1Aは、捲縮が伸びにくく、適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮を有するものであって(前記イ(ア))、
生理用ナプキン、紙おむつ、介護用紙おむつといった吸収性物品において表面シートの下に配置するクッション性の高いセカンドシートに使用するクッション材である(【0112】)、
不織布。」
(イ)甲1には、前記ア(カ)のとおり、「本発明の不織布は、・・・中略・・・生理用ナプキン、紙おむつ、介護用紙おむつといった吸収性物品において表面シートの下に配置するクッション性の高いセカンドシートに使用する各種クッション材・・・中略・・・用途に好適である」ことが記載されることからすれば、甲1発明に加えて、次の発明(以下「甲1’発明」)も記載されているといえる。
[甲1’発明]
「第一の立体捲縮繊維と第二の立体捲縮繊維とを含む不織布であって、
第一の立体捲縮繊維は、立体捲縮を有する繊維であり、
第二の立体捲縮繊維は、コイル状のミクロクリンプを有する繊維であり、
第一の立体捲縮繊維の捲縮数は、第二の立体捲縮繊維の捲縮数よりも少なく、
第一の立体捲縮繊維の表面の少なくとも一部分が熱接着成分として、繊維同士の少なくとも一部を熱接着し、
第二の立体捲縮繊維を構成する成分は実質的に溶融しておらず、
第一の立体捲縮繊維は、立体捲縮が顕在化している顕在捲縮繊維であり、
第一の立体捲縮繊維については、その含有量(不織布の総質量を基準とする)が好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%~80質量%、第二の立体捲縮繊維については、その含有量(不織布の総質量を基準とする)が好ましくは5質量%以上であり、
使用する第一の立体捲縮繊維として、立体捲縮繊維1Aは、繊度約6.0dtexの延伸フィラメントに機械捲縮を15.9個/25mm(捲縮率11.3%)となるように付与し、フィラメントを64mmの繊維長に切断して得た、顕在捲縮性複合短繊維(1A)(捲縮数:15.9個/25mm)であり、
厚み20mm、密度20kg/m3であり、
立体捲縮繊維1Aは、捲縮が伸びにくく、適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮を有するものである、
不織布を、
表面シートの下に配置するクッション性の高いセカンドシートに使用する生理用ナプキン、紙おむつ、介護用紙おむつといった吸収性物品」
(2)甲2について
ア 甲2の記載事項
甲2には、以下のとおりの記載がある。
「[0012] 以下、本発明の実施形態について詳述する。
本実施形態の不織布は熱可塑性繊維から成り、スパンボンド法により製造された長繊維不織布、カード法などで製造された短繊維不織布でもよい。しかしながら、短繊維不織布の場合、カーディング時に繊維がX方向またはY方向にひき揃えられ、表面が平滑になりやすいこと、強度、生産性の観点、肌への刺激低減などの観点から、ウェブを構成する繊維としては、スパンボンド法により製造された長繊維が好ましい。本願明細書中、長繊維とは、繊維長が55mm以上のものという。繊維長が短いほど、繊維の端部分が肌に触れる確立が増えるため、ちくちくした触感を与えることから、繊維長は55mm以上が好ましい。」
「[0023] 本実施形態の不織布を構成する繊維は、強度、生産性の観点から、スパンボンド法を用いた長繊維のウェブの形態であることが好ましい。2種以上の熱可塑性樹脂と組み合わせた複合長繊維とする場合には、例えば、2つ以上の異なる押出機からそれぞれ異なる熱可塑性樹脂を溶融押出し、多数の紡糸孔を有する紡糸口金から2種以上の熱可塑性樹脂が複合された状態で糸条として吐出させる。次いで、吐出された糸条を5℃~20℃に制御した冷風をあて、冷却しながら牽引装置により牽引する。牽引装置より出た糸条は、搬送コンベア上に堆積されウェブとして搬送する。搬送中のウェブを積層し、多層積層の不織ウェブとしてもよい。多層積層の不織布の場合、各層毎が異なる繊維径で形成されてもよく、異形断面糸、捲縮繊維、中空糸などの特殊な形態の繊維のものが積層されたものでもよい。
[0024] 前記不織ウェブの接合には、接着剤を用いて接合する方法、低融点繊維や複合繊維により接合する方法、ホットメルトバインダーをウェブ形成中に散布して溶融接合する方法、ニードルパンチ、水流等で繊維を交絡するなどの方法を用いることができ、特に限定はされない。高速生産性の観点から、部分熱圧着により接合してもよい。例えば、ピンポイント状、楕円形状、ダイヤ形状、矩形状などの接合点を付与できる加熱したエンボス/フラットロール間にウェブを通して接合することができる。部分熱圧着における熱圧着面積率は、強度保持および柔軟性、また、不織布の嵩の保持、表面の凹凸構造がロール間で潰れされない様にするという観点から、5~40%が好ましく、より好ましくは5~25%である。」
イ 周知技術
前記アより、次のとおりの技術は、周知技術と認められる。
「多層積層の不織ウェブの接合には、接着剤を用いて接合する方法、低融点繊維や複合繊維により接合する方法、ホットメルトバインダーをウェブ形成中に散布して溶融接合する方法、ニードルパンチ、水流等で繊維を交絡するなどの方法を用いることができること。」
(3)甲3について
甲3には、以下のとおりの記載がある。
「【0034】
図示された装置を用いるか、または本発明による方法によって、連続フィラメントから成る少なくとも2層のスパンボンド不織布層2,3を有する積層体1を製造することができる。好ましくは、この実施例において、積層体は、2つのスパンボンド不織布層2および3だけから成る。連続フィラメントは、適切には、この実施例においては、熱可塑性プラスチックから成る。
【0035】
好ましくは、図1および図2による実施例においては、非捲縮性の連続フィラメントまたは微捲縮性の連続フィラメントが堆積されて、第一のスパンボンド不織布層2となる。これらの連続フィラメントは、有利には、この実施例においては、同芯的または対称的なコア-シェル型構成またはコア-シェル型断面構成を有する。そのコア部は、適切には、この実施例においてはポリプロピレンから成り、かつシェル部はポリエチレンから成り、ここでそのポリプロピレン対ポリエチレンの重量比は、有利には、この実施例においては70:30である。コア部内のより高いプロピレン分率は、ここでは第一のスパンボンド不織布層2の安定性または強度に寄与する。望ましくは、図1および図2による実施例では、第一の下側のスパンボンド不織布層2は、次いで熱ロール4を用いて圧縮または予備固定される。この第一の熱ロール4は、この実施例においては、120℃の温度を有することが望ましい。
【0036】
この圧縮または予備固定の後に、捲縮性の連続フィラメントまたは第一の下側のスパンボンド不織布層2の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントが第一のスパンボンド不織布層2の上に堆積されて、第二の上側のスパンボンド不織布層3となる。第二の上側のスパンボンド不織布層3のためのこれらの連続フィラメントは、適切には、自然捲縮または潜在捲縮を有するフィラメントである。そのために、この実施例においては、サイドバイサイド構成を有する二成分フィラメントの形の連続フィラメントが使用される。」
3 取消理由2及び3について
(1)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「不織布」、「生理用ナプキン、紙おむつ、介護用紙おむつといった吸収性物品」は、本件特許発明1の「不織布」、「吸収性物品」に相当する。また、甲1発明の「不織布」は、「生理用ナプキン、紙おむつ、介護用紙おむつといった吸収性物品において表面シートの下に配置するクッション性の高いセカンドシートに使用するクッション材である」から、本件特許発明1の「不織布」と甲1発明の「不織布」とは、「吸収性物品に用いられる」ものである点で一致する。
(イ)甲1発明の「第一の立体捲縮繊維」は、「顕在捲縮繊維」であるから、本件特許発明1の「顕在捲縮繊維」に相当する。また、甲1発明の「不織布」は、「第一の立体捲縮繊維」を含むところ、「使用する第一の立体捲縮繊維」としての「立体捲縮繊維1A」は、繊維長64mmの短繊維であるから、技術常識からすれば、甲1発明の「不織布」は、複数の「第一の立体捲縮繊維」を含むことは明らかである。
そうすると、本件特許発明1の「不織布」と甲1発明の「不織布」とは、「複数の顕在捲縮繊維を含」むものである点で一致する。
(ウ)甲1発明の「第一の立体捲縮繊維」は、「適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮を有するもの」であり、「適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮」が曲線状となる部分を有することは明らかである。ここで、曲線には円弧が含まれることは自明であるから、甲1発明の「「適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮」の曲線状となる部分」は、本件特許発明1の「円弧部」に相当する。
さらに、前記(イ)を踏まえると、甲1発明の不織布は、複数の「第一の立体捲縮繊維」を含むのであるから、当該曲線状となる部分は、不織布中に複数存在することは明らかであり、また、当該曲線状となる部分を複数本の立体捲縮繊維が重なって形成する場合もあることは当然である。
また、甲1発明の「第一の立体捲縮繊維」を含んでなる不織布は、当該「第一の立体捲縮繊維」の「適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮」を表面から視認することが可能であるといえる。
そうすると、本件特許発明1の「不織布」と甲1発明の「不織布」とは、「1本又は複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有」するものである点で一致する。
(エ)本件特許発明1の「前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき S≦2×L を満たす」(請求項の記載を引用する際の空白は改行を表す。以下同様。)の意味するところは、幾何学的にみて、顕在捲縮繊維が、平均的に自身が形成する円弧部上の三つの点を通る円の半周以上の長さであることをいうと認められる。
一方、甲1発明の「第一の立体捲縮繊維」は、フィラメントを切断して得た「64mmの繊維長」の「顕在捲縮性複合短繊維」で、かつ、「捲縮数:15.9個/25mm」であり、捲縮数が、繊維の山と谷とを全部数え、2で除して求めたものとの技術常識(必要であれば、JIS L 1015(2010年)8.12.1けん縮数の項を参照。)からすれば、1本の繊維あたり、少なくとも30個を超える山部があるといえる。
そして、甲1発明の「第一の立体捲縮繊維」は、「適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮を有するもの」であり、波形及び/又は螺旋状からなる山部が一本の繊維に30個を超えて存在すれば、「第一の立体捲縮繊維」の「64mmの繊維長」は、捲縮の山部が有する曲線状の部分に近似する円弧を持つ円の円周長の1/2を大きく超えるものとなることは明らかである。
また、甲1発明の「第一の立体捲縮繊維」は顕在捲縮性複合短繊維であるところ、前記2(1)ア(ウ)の【0020】に「顕在捲縮性複合繊維とは、・・・加熱処理に付しても立体捲縮の状態が変化しない、または変化するとしてもその度合いが小さい繊維」との記載があることからすれば、仮に不織布となった後の繊維の捲縮形状が不織布になる前の繊維の捲縮形状とは全く同じ形状ではないとしても、繊維の状態が複数の波形や螺旋が全くなくなるほどに異なるものではないと推認できる。
そうすると、不織布の状態で各繊維の平均をとったとしても、「第一の立体捲縮繊維」の平均繊維長は、捲縮の山部が有する曲線状の部分に近似する円弧を持つ平均円周長の1/2を超える蓋然性が高い。
したがって、本件特許発明1の「不織布」と甲1発明の「不織布」とは、前記(ウ)も踏まえれば、「前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき S≦2×L を満たす」ものである点で一致する。
イ 判断
前記アのとおりであるから、本件特許発明1と甲1発明とは、全ての点で一致する。
したがって、本件特許発明1と甲1発明とは同一である。
また、本件特許発明1は、甲1発明から当業者が容易に想到し得たものである。
(2)本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1の構成をすべて引用し、「S≦L をさらに満たす」との限定を追加したものである。
前記追加された構成について検討すると、前記(1)ア(エ)のとおり、「第一の立体捲縮繊維」の「64mmの繊維長」は、捲縮の山部が有する曲線状の部分に近似する円弧を持つ円の円周を大きく超えるものとなることは明らかであるから、本件特許発明2の「不織布」と甲1発明の「不織布」とは、「前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき」には、「S≦Lをさらに満たす」ものである点で一致する。
したがって、前記(1)を踏まえると、本件特許発明2と甲1発明とは、全ての点で一致し、同一である。
また、本件特許発明2は、甲1発明から当業者が容易に想到し得たものである。
(3)本件特許発明5について
本件特許発明5は、本件特許発明1~4の構成をすべて引用し、「前記顕在捲縮繊維の繊度が30デニール未満である」との限定を追加したものである。
前記追加された構成について検討すると、甲1発明の「第一の立体捲縮繊維」としての「立体捲縮繊維1A」は、「繊度約6.0dtexの延伸フィラメント」を切断して得たものであるから、換算すると約5.4デニールであり、30デニール未満である。
したがって、前記(1)~(2)を踏まえると、本件特許発明5と甲1発明とは、全ての点で一致し、同一である。
また、本件特許発明5は、甲1発明から当業者が容易に想到し得たものである。
(4)本件特許発明7について
本件特許発明7は、本件特許発明1~6の構成をすべて引用し、「繊維密度が0.065g/cm3よりも小さい」との限定を追加したものである。
前記追加された構成について検討すると、甲1発明の「不織布」は、「密度20kg/m3」であるから、換算すると0.02g/cm3であり、0.065g/cm3よりも小さい。
したがって、前記(1)~(3)を踏まえると、本件特許発明7と甲1発明とは、全ての点で一致し、同一である。
また、本件特許発明7は、甲1発明から当業者が容易に想到し得たものである。
(5)本件特許発明8について
本件特許発明8は、本件特許発明1~7の構成をすべて引用し、「前記円の平均半径は、前記不織布の厚さよりも小さい」との限定を追加したものである。
前記追加された構成について検討すると、甲1発明の「厚み」は「20mm」である一方で、甲1発明の「第一の立体捲縮繊維」は、「捲縮数:15.9個/25mm」であるから、捲縮の山部が有する曲線状の部分に近似する円弧を持つ円は、20mmの厚み内に十分収まる程度と理解できる。
したがって、前記円の平均半径は、不織布の厚さよりも小さい蓋然性が高く、前記(1)~(4)を踏まえると、本件特許発明8と甲1発明とは、全ての点で一致し、同一である。
また、本件特許発明8は、甲1発明から当業者が容易に想到し得たものである。
(6)本件特許発明10~11について
ア 本件特許発明10は、本件特許発明1~9の構成をすべて引用し、「前記吸収性物品は、 液体を吸収する吸収体と、 前記吸収体よりも肌側に設けられ、厚さ方向に貫通する孔を複数有するシート部材と、 を備えており、 前記シート部材と前記吸収体との間に配置されている」との限定を追加したものである。
しかしながら、前記追加された限定は、不織布とは別の吸収体及びシート部材の構造、及び、不織布の配置箇所を述べるに過ぎず、不織布なる物の構造、機能等を何ら特定していないから、不織布を特定するための意味を有しないと認められる。
イ 本件特許発明11は、本件特許発明10の構成をすべて引用し、「複数の前記円のうちの或る円は、前記シート部材の或る孔と少なくとも一部が重なっており、 別の円は、前記シート部材の前記孔と重なっていない」との限定を追加したものである。
前記追加された構成は、不織布とは別のシート部材の構造との関係で特定しようとするものであって、不織布における複数の円がいかなる配置であったとしても、シート部材の孔の配置によって、或る円は、シート部材の或る孔と少なくとも一部が重なっており、別の円は、シート部材の孔と重なっていないようにすることが可能であることからすれば、前記追加された限定は、不織布なる物の構造、機能等を特定するものとはいえず、不織布を特定するための意味を有しないと認められる。
そうすると、前記(1)~(5)を踏まえると、本件特許発明10~11と甲1発明とは、全ての点で一致し、同一である。
また、本件特許発明10~11は、甲1発明から当業者が容易に想到し得たものである。
(7)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1~2、5、7~8、10~11は、甲1発明と同一であるから、特許法29条1項3号に該当し、同項の規定に違反してされたものである。また、甲1発明から当業者が容易に発明することができたものであるから、同法29条2項の規定に違反してされたものである。
4 取消理由3について
(1)本件特許発明3及び4について
本件特許発明3は、本件特許発明1~2の構成をすべて引用し、さらに限定を追加したものである。また、本件特許発明4は、本件特許発明3の構成をすべて引用し、さらに限定を追加したものである。
前記追加された構成について検討すると、本件特許発明3は、「顕在捲縮繊維同士が、接着剤により接合され」るものであり、「このような不織布によれば、接着剤によって複数本の繊維が絡まりやすい。これにより円の縁部を形成しやすい」(本件明細書【0017】)、「円弧部12の少なくとも一部が、液体バインダー(接着剤)により接合された複数の顕在捲縮繊維11により構成されていることが好ましい。これにより、円13の縁部をよりしっかり形成することができる」(本件明細書【0050】)との作用効果を奏するものである。
一方、甲1発明は、「第一の立体捲縮繊維の表面の少なくとも一部分が熱接着成分として、繊維同士の少なくとも一部を熱接着」するものであり、前記2(1)アの甲1【0017】には、「第一の立体捲縮繊維が、不織布内での繊維同士の熱接着に積極的に関与」するとあり、熱接着を前提とする「第一の立体捲縮繊維」を必須の構成として備えるものである。
そうすると、甲1発明の「第一の立体捲縮繊維」の繊維同士の熱接着に換えて、接着剤による接合とすることは、均等物の置換とはいえず、また、甲2及び甲3の記載を踏まえても、接着剤による接合を組み合わせる特段の動機付けも見出せない。
したがって、申立人が提出した甲1~甲3に基づいて本件特許発明3の構成とすることは、当業者が容易になし得たものとはいえない。
また、同様の理由により、甲1~甲3に基づいて本件特許発明4の構成とすることは、当業者が容易になし得たものではない。
(2)本件特許発明6について
本件特許発明6は、本件特許発明1~5の構成をすべて引用し、さらに「前記顕在捲縮繊維の含有量が80重量%よりも大きい」との限定を追加したものである。
前記追加された構成について検討すると、甲1発明の「第一の立体捲縮繊維」は、「その含有量(不織布の総質量を基準とする)が好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%~80質量%」で、不織布を構成する他の繊維である「第二の立体捲縮繊維」は、「その含有量(不織布の総質量を基準とする)が好ましくは5質量%以上」であるから、「第一の立体捲縮繊維」を80質量%よりも大きくすることは、当業者が求められる不織布特性に応じて適宜なし得る程度の数値範囲の好適化にすぎない。
したがって、甲1発明において、本件特許発明6の構成となすことに、当業者が格別の創意を必要とするものではない。
(3)本件特許発明9について
本件特許発明9は、本件特許発明1~8の構成をすべて引用し、さらに「前記表面において、複数の前記円で囲まれる円領域の合計面積よりも、前記円領域以外の領域の面積の方が広い」との限定を追加したものである。
前記追加された構成について検討すると、どの程度の円弧部を「表面から視認可能な円弧部」として抽出し、円領域として合計するかに応じて、円領域と円領域以外の領域の面積はそれぞれ変わり得るものであって、このような面積の大小関係に特段の技術的意義があるとは認められない。
そうすると、甲1発明の「不織布」において、繊維の疎密を調整することは、求められる柔軟性等に応じて適宜なし得るものであって、「第一の立体捲縮繊維」の捲縮の山部が有する曲線状の部分に近似する円弧を持つ円で囲まれる面積の合計よりも、それ以外の領域の面積の方を広くなるようにすることは単なる設計的事項の採用にすぎない。
したがって、甲1発明において、本件特許発明9の構成となすことに、当業者が格別の創意を必要とするものではない。
(4)本件特許発明12について
ア 本件特許発明12と甲1’発明とを対比する。
(ア)甲1’発明の「吸収性物品」は、「不織布」を「セカンドシートに使用する」から、本件特許発明12の「吸収性物品」と甲1’発明の「吸収性物品」は、「不織布を備えた」ものである点で一致する。
(イ)甲1’発明の「吸収性物品」は、「生理用ナプキン、紙おむつ、介護用紙おむつといった」用途である以上、液体を吸収する吸収体を備えることは自明である。そうすると、本件特許発明12の「吸収性物品」と甲1’発明の「吸収性物品」は、「液体を吸収する吸収体」を備えたものである点で一致する。
(ウ)その他前記3(1)アのとおりであるから、本件特許発明12と甲1’発明とは、
「液体を吸収する吸収体と、不織布と、を備えた吸収性物品であって、
前記不織布は、
複数の顕在捲縮繊維を含み、
1本又は複数本の前記顕在捲縮繊維で形成され、表面から視認可能な円弧部を、複数有し、
前記顕在捲縮繊維の平均繊維長をLとし、前記円弧部上の三つの点を通る円の平均周長をSとしたとき、
S≦2×L
を満たす吸収性物品」で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
本件特許発明12の「不織布」が「前記吸収体よりも肌側に設けられた」ものであるのに対し、甲1’発明は「不織布」が「前記吸収体よりも肌側に設けられた」ものであるか不明である点。
イ 前記相違点について検討すると、生理用ナプキン、紙おむつ、介護用紙おむつといった吸収性物品において、不織布からなるセカンドシートが吸収体よりも肌側に設けられる構造をとることは、例を挙げるまでもなく一般に広く知られる周知技術である。
そうすると、甲1’発明の具体化に際し、不織布を吸収体よりも肌側におくことは、当業者が周知の吸収性物品としたものに過ぎず、当業者が通常の創作能力を発揮してなし得る範囲内の事項である。
(5)小括
以上のとおりであるから、前記3も踏まえると、本件特許発明1、2、5~12は、甲1に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1~12に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件特許発明1~2、5、7~8、10~11は、甲1発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、請求項1~2、5、7~8、10~11に係る特許は、同項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件特許発明1、2、5~12は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2、5~12に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-700336