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特許異議申立

2022-700271

組成物、積層体、包材、電池ケース用包材および電池

審判番号
2022-700271
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-234398外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6941150
請求日
2022年03月29日
審決日
2022年10月17日
公報発行日
2022年11月25日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-Y (C08L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6941150号発明「組成物、積層体、包材、電池ケース用包材および電池」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論
特許第6941150号の請求項1~16に係る特許を維持する。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

特許第6941150号(請求項の数16。以下、「本件特許」という。)は、平成29年1月18日を国際出願日(優先権主張 平成28年1月21日 日本国(JP))とする特許出願(特願2017-562829号)の一部を令和1年12月25日に新たに出願したもの(特願2019-234398号)に係るものであって、令和3年9月7日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、令和3年9月29日である。)。

その後、令和4年3月29日に、本件特許の請求項1~16に係る特許に対して、特許異議申立人である小島 早奈美(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。

第2 本件発明

特許第6941150号の特許請求の範囲の記載は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~16に記載される以下のとおりのものである。(以下、請求項1~16に記載された事項により特定される発明を「本件発明1」~「本件発明16」といい、まとめて「本件発明」ともいう。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)

「【請求項1】
炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)がエポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有する単量体(b)で変性された変性オレフィン重合体であり、下記要件(i)~(iii)を満たす変性オレフィン重合体(A)と、
エポキシ化合物またはオキサゾリン化合物の少なくとも一方を含む架橋剤(B)と、
pKaが11以上である触媒(C)と、
続きを表示(全45行)
を含む組成物。
要件(i):前記重合体(a)が、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む
要件(ii):前記変性オレフィン重合体(A)のJIS K7122に従って測定される融解熱が、0~50J/gである
要件(iii):前記変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が、100秒以上である
【請求項2】
40℃における動粘度が30~500,000cStである炭化水素系合成油(D)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記重合体(a)が、プロピレンに由来する構成単位を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記プロピレンに由来する構成単位の含有割合が、前記炭素数2~20のα-オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して40~95モル%である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記重合体(a)において、前記プロピレンに由来する構成単位を除く構成単位が、すべて前記炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位である、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
前記炭素数4~20のα-オレフィンが1-ブテンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記単量体(b)に由来する構成単位の含有割合が、前記変性オレフィン重合体(A)100質量%に対して0.1~15質量%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記官能基がカルボキシル基または酸無水物基である、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋剤(B)が、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物およびトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルより選ばれる少なくとも1種である、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
基材と、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物の硬化物からなる接着剤層とを含む積層体。
【請求項11】
内層と接着剤層と基材とをこの順で含む積層体を含み、
該接着剤層が、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物の硬化物からなる層である、包材。
【請求項12】
内層と内側接着剤層と基材と外側接着剤層と外層とをこの順で含む積層体を含み、
該内側接着剤層が、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物の硬化物からなる層である、電池ケース用包材。
【請求項13】
請求項12に記載の電池ケース用包材と、前記電池ケース用包材に包装される電解液とを備え、前記電池ケース用包材の内層の少なくとも一部が前記電解液に接触している、電池。
【請求項14】
炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)がエポキシ基に対し反応性の官能基を有する単量体(b1)で変性された変性オレフィン重合体であり、下記要件(i)~(iii)を満たす変性オレフィン重合体(A)と、
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物およびトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルより選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B1)と、
を含む組成物。
要件(i):前記重合体(a)が、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む
要件(ii):前記重合体(A)のJIS K7122に従って測定される融解熱が、0~50J/gである
要件(iii):前記変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が、100秒以上である
【請求項15】
40℃における動粘度が30~500,000cStである炭化水素系合成油(D)を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
基材と、請求項14または15に記載の組成物の硬化物からなる接着剤層とを含む積層体。」

第3 異議申立ての理由の概要及び証拠方法

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申立人の申立ての理由の概要は、以下のとおりである。

1 申立ての理由の概要

(1)申立理由A(進歩性)

本件発明1~16に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明及び甲第2~6号証に記載された技術的事項に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(2)申立理由B(進歩性)

本件発明1~16に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3~6号証に記載された技術的事項に基づいて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

2 証拠方法

異議申立書とともに提出された証拠方法は、以下のとおりである。

甲第1号証:特開平4-130169号公報
甲第2号証:国際公開2015/068385号
甲第3号証:国際公開2014/123183号
甲第4号証:特表2011-503128号公報
甲第5号証:国際公開2009/062676号
甲第6号証:特開2015-59200号公報

第4 本件明細書及び各甲号証に記載された事項

1 本件明細書に記載された事項

本件明細書には、以下の事項が記載されている。

(本a)「【技術分野】

【0001】

本発明は、組成物、積層体、包材、電池ケース用包材および電池に関する。

・・・

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら、前記特許文献1~4に記載の接着剤から得られる接着剤層は、基材や被着体、例えば、アルミニウム箔やポリプロピレンフィルムなどとの接着強度が十分ではなく、低温で接着剤層を形成する際、特に低温(例:80℃以下)養生条件で接着剤を硬化させる際には、得られる接着剤層の接着強度が十分ではなかった。

【0006】

本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、基材や被着体との接着強度に優れる接着剤層、特に低温養生条件下でも接着強度に優れる接着剤層を形成することのできる組成物、および該接着剤層を含む積層体等を提供することを目的とする。

・・・

【発明の効果】

【0022】

本発明の一実施形態によれば、接着強度および耐薬品性(耐電解液性)に優れる接着剤層を得ることができ、特に、アルミニウム箔層とポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂製フィルム層とを高い強度で接着することができる。

また、本発明の一実施形態によれば、接着強度に優れる接着剤層を低温養生条件下でも容易に形成することができ、耐久性に優れ、接着強度の低下が十分に抑制された積層体、包材および電池ケース用包材等を容易に、例えば、ドライラミネート法で形成することができる。」

(本b)「【0025】

1.1 変性オレフィン重合体(A)

前記重合体(A)は、前記要件(i)および(ii)を満たし、炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)の、エポキシ基もしくはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有する単量体(b)、または、エポキシ基に対し反応性の官能基を有する単量体(b1)による変性体である。

このような重合体(A)を用いることで初めて、接着強度および耐薬品性(耐電解液性

)に優れる接着剤層を得ることができる。

重合体(A)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。

【0026】

1.1.1 炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)

前記重合体(a)は、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含めば特に制限されず、炭素数4~20のα-オレフィンからなる重合体であってもよいし、炭素数4~20のα-オレフィンと炭素数2~3のα-オレフィンとを用いて得られる共重合体であってもよいし、必要により、α-オレフィン以外の不飽和単量体(以下「他の不飽和単量体」ともいう。)に由来する構成単位を含む重合体であってもよい。

前記重合体(a)が炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を有さない場合、該重合体と溶剤とを含む組成物の長期安定性が低下し、かつ、接着強度および耐薬品性との両立が困難となる。

【0027】

前記重合体(a)の原料として用いられるα-オレフィンは、1種単独でもよく、2種以上でもよい。つまり、炭素数4~20のα-オレフィンの単独重合体であってもよく、共重合体であってもよく、1種以上の炭素数4~20のα-オレフィンと1種以上の炭素数2~3のα-オレフィンとの共重合体(a1)であってもよい。

前記共重合体としては、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体が挙げられるが、ランダム共重合体が好ましい。

【0028】

前記炭素数4~20のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。

【0029】

前記炭素数4~20のα-オレフィンは、溶剤への溶解性および強度に優れる重合体が得られる等の点から、好ましくは炭素数4~10の直鎖状のオレフィンであり、より好ましくは炭素数4~6の直鎖状のオレフィンであり、前記効果に特に優れる重合体が得られる等の点から、1-ブテンを含むことがさらに好ましく、特に好ましくは1-ブテンである。

【0030】

前記炭素数2~3のα-オレフィンとしては、エチレンおよびプロピレンが挙げられ、溶剤への溶解性および強度に優れる重合体が得られる等の点から、プロピレンを含むことが好ましく、プロピレンが特に好ましい。

【0031】

前記他の不飽和単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレンなどの共役ポリエン類、1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、2,5-ノルボルナジエンなどの非共役ポリエン類が挙げられる。

【0032】

前記重合体(a)としては、溶剤への溶解性および強度に優れる重合体が得られる等の点から、前記共重合体(a1)が好ましく、プロピレンと炭素数4~20のα-オレフィンとの共重合体がより好ましく、特に、プロピレンに由来する構成単位を除く構成単位が、すべて前記炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位である共重合体がより好ましく、前記炭素数4~20のα-オレフィンが1-ブテンを含むことがさらに好ましく、1-ブテンとプロピレンとの共重合体が特に好ましい。

【0033】

前記重合体(a)において、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合は、炭素数2~20のα-オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して、好ましくは重合体(a)を構成する全構成単位100モル%に対して、例えば5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、また、例えば100モル%以下、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下、特に好ましくは35モル%以下である。

炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、前記上限の規定を満たすと、より強度に優れる重合体を得ることができ、前記下限の規定を満たすと、より溶剤への溶解性に優れる重合体を得ることができる。

【0034】

前記重合体(a)において、炭素数2~3のα-オレフィン(好ましくはプロピレン)に由来する構成単位の含有割合は、炭素数2~20のα-オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して、好ましくは重合体(a)を構成する全構成単位100モル%に対して、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、特に好ましくは65モル%以上であり、また、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。

炭素数2~3のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、前記上限の規定を満たすと、共重合体の融点(Tm)および融解熱(ΔH)を低下させることができ、前記下限の規定を満たすと、より強度に優れる重合体を得ることができる。

【0035】

前記重合体(a)は、α-オレフィンの重合体の製造に通常用いられる公知の固体状Ti触媒やメタロセン触媒などの存在下で、炭素数2~20のα-オレフィンを重合させることにより得ることができる。メタロセン触媒としては、例えば、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドなどのメタロセン化合物と、メチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物と、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物とを含む触媒が挙げられる。より具体的には、前記重合体(a)は、例えば、国際公開第2004/87775号に記載されている方法などによって得ることができる。

【0036】

前記重合体(a)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された、標準ポリスチレンで換算される重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1×104以上であり、また、好ましくは1×107以下であり、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1以上であり、また、好ましくは3以下である。

MwやMw/Mnが前記下限の規定を満たすと、強度が十分に高い接着剤層を得ることができ、また、該接着剤層と基材や被着体との接着強度が良好となり、前記上限の規定を満たすと、溶剤への溶解性が良好な重合体が得られ、固化および析出が起こりにくい組成物を得ることができる。

本発明において、MwおよびMw/Mnは、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。

【0037】

前記重合体(a)の融点(Tm)は、好ましくは120℃未満、より好ましくは100℃未満である。

Tmが前記範囲にあると、本組成物から低温養生条件下で接着剤層を形成しても、接着強度に優れる接着剤層を得ることができる。

【0038】

本発明において、Tmは、JIS K 7122に従って、示差走査熱量測定(DSC測定)によって求められ、具体的には、10℃/minで30℃から180℃まで昇温後、3分間その温度で保持し、次いで、10℃/minで0℃まで降温し、3分間その温度で保持し、次いで、再度10℃/minで150℃まで昇温する過程において、2度目の昇温時のサーモグラムより、JIS K 7122に準じて求められる。

【0039】

前記重合体(a)の融解熱(ΔH)は、好ましくは0J/g以上、より好ましくは3J/g以上、特に好ましくは、5J/g以上であり、また、好ましくは50J/g以下、より好ましくは40J/g以下である。

ΔHが前記上限の規定を満たすと、本組成物から低温養生条件下で接着剤層を形成しても、接着強度に優れる接着剤層を得ることができ、前記下限の規定を満たすと、強度に優れる接着剤層を得ることができる。

【0040】

本発明において、ΔHは、JIS K 7122に従って、示差走査熱量測定(DSC測定)によって求められ、具体的には、10℃/分の昇温過程で得られるサーモグラムのピーク面積から算出される。より具体的には、測定前の熱履歴をキャンセルする目的で、測定前に10℃/分で180℃まで昇温し、その温度で3分保持し、次いで10℃/分で0℃まで降温し、その温度で3分間保持した後に、ΔHを測定する。」

(本c)「【0041】

1.1.2 エポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有する単量体(b)およびエポキシ基に対し反応性の官能基を有する単量体(b1)

前記単量体(b)は、エポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有すれば特に制限されず、また、前記単量体(b1)は、エポキシ基に対し反応性の官能基を有すれば特に制限されず、従来公知の化合物を用いることができる。

前記エポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基としては、活性水素を有する基が挙げられ、具体的には、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、チオール基などが挙げられる。前記エポキシ基に対し反応性の官能基としては、活性水素を有する基が挙げられ、具体的には、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、チオール基などが挙げられる。

前記単量体(b)および(b1)は、それぞれ1種類の反応性官能基を有していてもよく、2種以上の反応性官能基を有していてもよい。

【0042】

前記単量体(b)および(b1)としては、接着剤層を形成する際に、効率的に反応し、重合体(A)の基材(例:アルミニウム箔)や被着体(例:ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂製フィルム)に対する親和性を高めて、接着剤層と基材や被着体との接着強度をより一層向上させることができること、また、得られる接着剤層の耐薬品性、耐電解液性を向上させることができること、等の点から、酸無水物基またはカルボキシル基を有する単量体(b)および(b1)が好ましい。

・・・

【0052】

前記単量体(b)および(b1)としては、接着剤層を形成する際に、効率的に反応し、重合体(A)の基材や被着体に対する親和性を高めて、接着剤層と基材や被着体との接着強度をより一層向上させることができること、また、得られる接着剤層の耐薬品性、耐電解液性を向上させることができること、等の点から、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物が好ましく、不飽和カルボン酸無水物がより好ましく、無水マレイン酸がさらに好ましい。」

(本d)「【0053】

1.1.3 変性オレフィン重合体(A)の合成

重合体(A)を合成する方法としては、特に制限されず、炭素数2~20のα-オレフィンと前記単量体(b)または(b1)とを重合反応させてもよいが、前記単量体(b)または(b1)と重合体(a)とを反応させることが好ましく、具体的には、下記(1)~(4)の方法が挙げられる。

【0054】

(1)重合体(a)を溶媒に溶解し、単量体(b)または(b1)とラジカル重合開始剤とを添加して加熱、攪拌することにより、重合体(a)と単量体(b)または(b1)とを反応させる方法。

(2)重合体(a)を加熱溶融して、得られる溶融物に、単量体(b)または(b1)とラジカル重合開始剤とを添加し、攪拌することにより、重合体(a)と単量体(b)または(b1)とを反応させる方法。

(3)重合体(a)と、単量体(b)または(b1)とラジカル重合開始剤とを混合し、得られる混合物を押出機に供給して加熱混練しながら、重合体(a)と単量体(b)または(b1)とを反応させる方法。

(4)重合体(a)を、単量体(b)または(b1)とラジカル重合開始剤とを有機溶媒に溶解した溶液に浸漬させた後、重合体(a)が溶解しない温度まで加熱することにより、重合体(a)と単量体(b)または(b1)とを反応させる方法。

【0055】

前記反応に用いる重合体(a)、単量体(b)および単量体(b1)はそれぞれ、1種単独を使用してもよく、2種以上を使用してもよい。

また、前記反応の際には、単量体(b)または(b1)とともに、前記官能基を有さない単量体を用いてもよいが、架橋剤(B)と効率的に反応できる重合体(A)が得られること、また、得られる接着剤層の耐薬品性、耐電解液性を向上させることができること等の点から、前記官能基を有さない単量体を用いないことが好ましい。

【0056】

単量体(b)または(b1)の配合割合は、単量体(b)または(b1)に由来する構成単位の含有割合が下記範囲となるよう配合することが好ましく、重合体(a)、単量体(b)および単量体(b1)の総量100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下である。

単量体(b)または(b1)に由来する構成単位の含有割合が前記範囲にあると、接着剤層を形成する際に、効率的に反応し、重合体(A)の基材や被着体に対する親和性を高めて、接着剤層と基材や被着体との接着強度をより一層向上させることができ、また、得られる接着剤層の耐薬品性、耐電解液性を向上させることができる。

・・・

【0063】

重合体(A)を溶媒の存在下で合成する場合には、得られた重合体(A)を含む溶液(ワニス)を、そのまま本組成物の調製に使用してもよいし、該ワニスから重合体(A)を取り出し、本組成物の調製に使用してもよい。」

(本e)「【0064】

1.1.4 変性オレフィン重合体(A)の物性等

重合体(A)の、GPCによって測定され、標準ポリスチレンで換算されたMwは、好ましくは1×104以上、より好ましくは2×104以上、特に好ましくは3×104以上であり、また、好ましくは1×107以下、より好ましくは1×106以下、特に好ましくは5×105以下である。

重合体(A)のMwが、前記下限の規定を満たすと、強度が十分高く、また、基材や被着体との接着強度に優れる接着剤層を得ることができ、前記上限の規定を満たすと、溶剤への溶解性が良好であり、固化および析出が起こりにくい重合体(A)を得ることができる。特に、重合体(A)のMwが5×105以下であると、基材や被着体との接着強度に優れる接着剤層を得ることができる。

【0065】

前記重合体(A)の、Mw/Mnは、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、また、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。

Mw/Mnが前記下限の規定を満たすと、溶剤への溶解性が良好であり、固化および析出が起こりにくい重合体(A)を得ることができ、前記上限の規定を満たすと、強度が十分高く、また、基材や被着体との接着強度に優れる接着剤層を得ることができる。

【0066】

重合体(A)のTmは、好ましくは120℃未満、より好ましくは100℃未満、さらに好ましくは90℃以下、特に好ましくは85℃以下であり、また、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上である。

重合体(A)のTmが前記上限の規定を満たすと、本組成物から低温養生条件下で接着剤層を形成しても、接着強度の低下を防止することができ、前記下限の規定を満たすと、強度および耐久性に優れる接着剤層を得ることができる。

前記Tmを有する重合体(A)は、例えば、該重合体(A)中の炭素数2~3のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合を前記範囲にし、かつ、要件(i)を満たすことで得ることができる。

【0067】

重合体(A)のΔHは、0J/g以上、好ましくは3J/g以上、より好ましくは5J/g以上であり、また、50J/g以下、好ましくは40J/g以下、より好ましくは35J/g以下である。

重合体(A)のΔHが前記上限の規定を満たすと、本組成物から低温養生条件下で接着剤層を形成しても、接着強度に優れる接着剤層を得ることができ、前記下限の規定を満たすと、強度に優れる接着剤層を得ることができる。

前記重合体(A)のΔHが50J/gを超えると、得られる重合体(A)は、溶剤への溶解性が乏しくなり、固化および析出を起こしやすくなる。

前記ΔHを有する重合体(A)は、例えば、該重合体(A)中の炭素数2~3のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合を前記範囲にし、かつ、要件(i)を満たすことで得ることができる。

【0068】

重合体(A)の50℃における半結晶化時間は、好ましくは100秒以上、より好ましくは150秒以上、さらに好ましくは200秒以上である。また、前記半結晶化時間には、実質的に結晶化が起こらない、または、半結晶化時間の値が大きすぎて求められない、すなわち半結晶化時間が無限大となるような場合も含まれる。

重合体(A)の半結晶化時間が前記下限の規定を満たすと、重合体(A)が基材や被着体の表面の凹凸に浸入しながら、または、浸入した後に、架橋剤(B)と反応することができ、アンカー効果によって、得られる接着剤層の接着強度をより一層向上させることができる。

前記半結晶化時間は、示差走査熱量計による等温結晶化測定によって求めることができ、具体的には下記実施例に記載の方法で求めることができる。

【0069】

重合体(A)の40℃における動粘度は、500,000cStを超えることが好ましい。ここで、動粘度が500,000cStを超える場合には、流動性が低く動粘度が測定できないような場合が含まれる。

本発明において、40℃における動粘度は、ASTM D 445に基づいて測定する。

【0070】

重合体(A)における、単量体(b)または(b1)に由来する構成単位の含有割合(変性量)は、変性オレフィン重合体(A)100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。

変性量が前記範囲にあると、接着剤層を形成する際に重合体(A)が効率的に反応し、重合体(A)の基材や被着体に対する親和性を高めて、接着剤層と基材や被着体との接着強度をより一層向上させることができ、また、得られる接着剤層の耐薬品性、耐電解液性を向上させることができる。

【0071】

本発明における変性量は、1H-NMRにより測定することができ、具体的には、以下の条件で測定することができる。

すなわち、ECX400型核磁気共鳴装置(日本電子(株)製)を用い、溶媒は重水素化オルトジクロロベンゼンとし、試料濃度20mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は1H(400MHz)、シーケンスはシングルパルス、パルス幅は5.12μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は7.0秒、積算回数は500回以上とする条件である。

基準のケミカルシフトは、テトラメチルシランの水素に由来するピークを0ppmとするが、例えば、重水素化オルトジクロロベンゼンの残存水素に由来するピークを7.10ppmとすることでも同様の結果を得ることができる。

単量体(b)または(b1)に由来する1Hなどのピークは、常法によりアサインできる。

【0072】

なお、単量体(b)または(b1)として、不飽和カルボン酸および酸無水物などを用いた場合には、重合体(A)に導入された官能基量の目安となる量として、例えば、酸価を用いることも可能である。

この場合、重合体(A)の酸価は、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは0.5mgKOH/g以上であり、また、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、特に好ましくは10mgKOH/g以下である。

酸価が前記範囲にあると、接着剤層を形成する際に重合体(A)が効率的に反応し、重合体(A)の基材や被着体に対する親和性を高めて、接着剤層と基材や被着体との接着強度をより一層向上させることができ、また、得られる接着剤層の耐薬品性、耐電解液性を向上させることができる。

【0073】

前記酸価の測定方法としては、以下の方法、JIS K-2501-2003に準ずる以下の方法が挙げられる。

重合体(A)約10gを正確に測り取り、200mLのトールビーカーに投入する。そこに滴定溶剤として、キシレンとジメチルホルムアミドとを1:1(体積比)で混合してなる混合溶媒を150mL添加する。指示薬として1w/v%のフェノールフタレインエタノール溶液(和光純薬工業(株)製)を数滴加え、液温を80℃に加熱して、重合体(A)を溶解させる。液温が80℃で一定になった後、0.1mol/Lの水酸化カリウムの2-プロパノール溶液(和光純薬工業(株)製)を用いて滴定を行い、滴定量から酸価を求める。

【0074】

具体的には、下記式から酸価を算出することができる。なお、本発明において、前記酸価は、前記滴定を3回繰り返した平均値である。

酸価(mgKOH/g)=(EP1-BL1)×FA1×C1/SIZE

該式において、「EP1」は滴定量(mL)、「BL1」はブランク値(mL)、「FA1」は滴定液のファクター(1.00)、「C1」は濃度換算値(5.611mg/mL:0.1mol/LのKOHの2-プロパノール溶液1mL中の水酸化カリウム相当量)、「SIZE」は重合体(A)の採取量(g)を表す。

【0075】

前記重合体(A)の配合量は、本組成物の不揮発分(溶媒以外の成分)100質量%に対し、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。

重合体(A)の配合量が前記範囲にあると、接着強度および耐薬品性(耐電解液性)に優れる接着剤層を得ることができる。」

(本f)「【0076】

1.2 架橋剤(B)および(B1)

本組成物1には、エポキシ化合物またはオキサゾリン化合物の少なくとも一方を含む架橋剤(B)が用いられ、本組成物2には、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物およびトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルより選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B1)が用いられる。架橋剤(B)は、前記重合体(A)とは異なる化合物である。

本組成物1では、架橋剤(B)と共に、重合体(A)および触媒(C)を用いるため、硬化時の体積変化が小さく、低温で硬化可能な組成物を得ることができ、特に、接着強度に優れる接着剤層を得ることができる。一方、本組成物2では、架橋剤(B)として、架橋剤(B1)を用いるため、触媒(C)を用いなくても、前記効果を奏する組成物を得ることができる。

・・・

【0085】

前記オキサゾリン化合物は、1分子中に2個以上のオキサゾリン基を有する架橋可能な化合物である。このようなオキサゾリン化合物としては、例えば、オキサゾリン基含有モノマーの重合体、オキサゾリン基含有モノマーと他のモノマーとの共重合体などのオキサゾリン基含有ポリマーが挙げられる。

・・・

【0089】

前記エポキシ化合物のエポキシ当量およびオキサゾリン化合物のオキサゾリン当量は、より接着強度および耐薬品性、耐電解液性に優れる接着剤層を得ることができる等の点から、好ましくは100g/eq以上、より好ましくは125g/eq以上であり、また、好ましくは1,600g/eq以下、より好ましくは500g/eq以下である。

前記当量は、JIS K7236に基づいて測定することができる。

【0090】

前記架橋剤(B)および(B1)の配合量は、架橋剤(B)および(B1)中のエポキシ基およびオキサゾリン基当量/重合体(A)中のエポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基の当量が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上となり、また、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下、特に好ましくは10以下となるように配合することが望ましい。

架橋剤(B)および(B1)の配合量が前記範囲にあると、より接着強度および耐薬品性、耐電解液性に優れる接着剤層を得ることができる。」

(本g)「【0091】

1.3 触媒(C)

本組成物1には、pKaが11以上である触媒(C)を用いる。

このような触媒(C)を用いることで、架橋剤(B)として、架橋剤(B1)を用いなくても、低温でも効率よく架橋反応を促進でき、耐薬品性、耐電解液性に優れる接着剤層を形成でき、接着強度に優れる、特に、アルミニウム箔層とポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂製フィルム層とを高い強度で接着することができる接着剤層を得ることができる。

触媒(C)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。

【0092】

前記触媒(C)としては、pKaが11以上の化合物であれば特に制限されないが、架橋剤(B)の架橋反応を促進できる化合物であることが好ましく、このような化合物としては、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,6-ジアザビシクロ[3.4.0]ノネン-5等の強塩基性第三級アミン、ホスファゼン塩基を有するホスファゼン触媒が挙げられ、DBU、ホスファゼン触媒が好ましい。

【0093】

なお、前記pKaは、25℃、水溶液中における酸解離定数のことである。また、例えば、リン酸には、3つのpKa、つまり、pKa1、pKa2およびpKa3があるが、本発明におけるpKaは、pKa1、つまり、第一酸解離定数のことをいう。

【0094】

前記触媒(C)の配合量は、本組成物の不揮発分(溶媒以外の成分)100質量%に対し、好ましくは1ppm以上、より好ましくは100ppm以上であり、また、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である。

触媒(C)の配合量が前記範囲にあると、硬化速度に優れる組成物が得られ、また、耐薬品性、耐電解液性および接着強度に優れる接着剤層を得ることができる。」

(本h)「【0095】

1.4 炭化水素系合成油(D)

本組成物は、接着強度の高い接着剤層を得ることができる等の点から、前記成分に加えて、さらに、炭化水素系合成油(D)を含んでもよい。

炭化水素系合成油(D)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。

【0096】

前記炭化水素系合成油(D)としては、例えば、炭素数2~20のオレフィンの重合体が挙げられる。その中でも、好ましくは、炭素数2~20のオレフィンを単独重合させて得られるオリゴマー、および、2種以上のこれらのオレフィンを共重合させて得られるオ

リゴマーが挙げられる。

該炭素数2~20のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、1-デセンおよび1-ドデセンが挙げられる。

【0097】

前記炭化水素系合成油(D)としては、エチレンに由来する構成単位と炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構成単位とを含むエチレン系共重合体を好適に用いることができる。この場合、エチレンに由来する構成単位量は、エチレンに由来する構成単位と炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構成単位との合計100モル%に対し、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上であり、また、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下である。

【0098】

炭化水素系合成油(D)は、40℃における動粘度が、30cSt以上、好ましくは300cSt以上、より好ましくは5,000cSt以上であり、また、500,000cSt以下、好ましくは400,000cSt以下、さらに好ましくは300,000cSt以下である。

炭化水素系合成油(D)の40℃における動粘度が前記範囲にあると、接着強度の高い接着剤層を得ることができる。

【0099】

本組成物に炭化水素系合成油(D)を配合する場合、該炭化水素系合成油(D)の配合割合は、重合体(A)と炭化水素系合成油(D)との合計100質量%に対し、好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下である。

炭化水素系合成油(D)の配合量が前記範囲にあると、強度および接着強度に優れる接着剤層を得ることができる。」

(本i)「【0100】

1.5 本組成物の調製方法

本組成物1は、前記重合体(A)、架橋剤(B)、触媒(C)および必要により炭化水素系合成油(D)を混合することで、また、本組成物2は、前記重合体(A)、架橋剤(B1)および必要により炭化水素系合成油(D)を混合することで調製することができる。

【0101】

また、本組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、重合体(a)(未変性体)、硬化触媒、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤などの光安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化チタン(ルチル型)、酸化亜鉛、カーボンブラックなどの顔料、揺変剤、増粘剤、ロジン樹脂、テルペン樹脂などの粘着付与剤、表面調整剤、沈降防止剤、耐候剤、顔料分散剤、帯電防止剤、充填剤、有機または無機微粒子、防黴剤、シランカップリング剤などの、前記(A)~(D)成分以外の添加剤を配合してもよい。

【0102】

さらに、本組成物は、加工性向上の点から、前記成分に加えて溶媒を配合した、ワニスであってもよい。

該溶媒としては、重合体(A)の合成の際に用い得る溶媒と同様の溶媒等が挙げられ、好ましくは、トルエン、メチルシクロヘキサン/メチルイソブチルケトン混合溶媒、メチルシクロヘキサン/メチルエチルケトン混合溶媒、メチルシクロヘキサン/酢酸エチル混合溶媒、シクロヘキサン/メチルエチルケトン混合溶媒、シクロヘキサン/酢酸エチル混合溶媒、セロソルブ/シクロヘキサノン混合溶媒が挙げられる。なお、水を分散媒として用いることもできる。

【0103】

前記溶媒は、ワニス100質量%中における不揮発分の含有割合が、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上となり、また、例えば50質量%以下、好ましくは40質量%以下となるように配合することが望ましい。

【0104】

本組成物は、ドライラミネート用接着剤、ホットメルト接着剤、光学透明両面テープ用組成物として用いるのに好適である。」

(本j)「【実施例】

【0138】

以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

【0139】

1.重合体の物性

[プロピレン、エチレンおよび1-ブテンに由来する構成単位の含有割合]

下記製造例で得られた重合体中のプロピレン、エチレンおよび1-ブテンそれぞれに由来する構成単位の含有割合を、13C-NMRを利用して求めた。

【0140】

[融点(Tm)、融解熱(ΔH)]

示差走査熱量計(TA Instruments社製;DSC-Q1000)を用いて、下記製造例で得られた重合体の融点(Tm)および融解熱(ΔH)を求めた。具体的な方法は、前述のとおりである。

【0141】

[40℃における動粘度]

下記製造例で得られた重合体の40℃における動粘度は、ASTM D 445に基づいて測定した。

【0142】

[重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)]

重量平均分子量(Mw)および分子量分布(分散度)(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(島津製作所社製;LC-10 series)を用いて、以下の条件で測定した。得られた測定結果から、単分散標準ポリスチレンにより作成した検量線を用いて、下記製造例で得られた重合体の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を算出した。

【0143】

・検出器: (株)島津製作所製;C-R4A
・カラム: TSKG 6000H-TSKG 4000H-TSKG 3000H-TSKG 2000H(いずれも東ソー(株)製)
・移動相: テトラヒドロフラン
・温度: 40℃
・流量: 0.8mL/min

【0144】

[変性量]

下記製造例で得られた重合体中の無水マレイン酸の含有割合(変性量)を1H-NMRによる測定から求めた。具体的な方法は、前述のとおりである。

【0145】

[酸価]

下記製造例で得られた重合体の酸価は、JIS K-2501-2003に準じて測定した。具体的な方法は、前述のとおりである。

【0146】

[無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体の半結晶化時間]

下記製造例で得られた重合体5mg程度を専用アルミニウムパンに詰め、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製;Diamond DSC)を用い、30℃から150℃まで320℃/minで昇温し、150℃で5分間保持した後、50℃まで320℃/minで降温し、その温度で保持した時に得られるDSC曲線を解析した。具体的には、DSC熱量曲線とベースラインとの間の面積から全熱量を算出し、50℃に到達した時刻を基準(t=0)として、算出した全熱量の50%に到達した時間を半結晶化時間とした。

【0147】

2.重合体の合成

[製造例1:プロピレン/1-ブテン共重合体(1)の合成]

充分に窒素置換した2Lのオートクレーブに、ヘキサンを900mLおよび1-ブテンを75g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧7kg/cm2Gにした。次いで、メチルアルミノキサン0.30ミリモル、および、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドをZr原子換算で0.001ミリモル加え、プロピレンを連続的に供給して全圧を7kg/cm2Gに保ちながら30分間重合した。重合後、脱気して大量のメタノール中でポリマー(共重合体(1))を回収し、110℃で12時間減圧乾燥した。

【0148】

得られた共重合体(1)の融点(Tm)は84℃、融解熱(ΔH)は32J/g、重量平均分子量(Mw)は330,000、分子量分布(Mw/Mn)は2、プロピレンに由来する構成単位の含有割合は78モル%、1-ブテンに由来する構成単位の含有割合は22モル%であった。

【0149】

[製造例2:無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(A-1)の合成]

前記共重合体(1)3kgを10Lのトルエンに加え、窒素雰囲気下で145℃に昇温し、共重合体(1)をトルエンに溶解させた。さらに、攪拌下で無水マレイン酸382g、ジ-tert-ブチルパーオキシド175gを4時間かけて系に供給し、続けて145℃で2時間攪拌した。冷却後、多量のアセトンを投入して、無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(A-1)を沈殿させ、ろ過し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥した。

【0150】

得られた共重合体(A-1)の融点(Tm)は84℃、融解熱(ΔH)は32J/g、50℃での半結晶化時間は276秒、重量平均分子量(Mw)は110,000、分子量分布(Mw/Mn)は2、無水マレイン酸の変性量は、共重合体(A-1)100質量%に対し1質量%、酸価は6mgKOH/gであった。

【0151】

[製造例3:エチレン/プロピレン共重合体(D-1)の合成]

充分に窒素置換した攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1Lを加え、96mmol/Lに調整したエチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C2H5)1.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500mL/hの量で連続的に1時間供給した後、さらに触媒として16mmol/lに調整したVO(OC2H5)Cl2のヘキサン溶液を500mL/h、および、ヘキサン500mL/hを連続的に供給した。一方、重合反応器上部から、重合反応器内の重合液が常に1Lになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを27L/h、プロピレンガスを26L/h、水素ガスを100L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより、35℃で実施した。得られた重合溶液を塩酸で脱灰した後、大量のメタノールに投入して沈殿を析出させた後、沈殿物を130℃で24時間減圧乾燥した。これにより、エチレン/プロピレン共重合体(D-1)を得た。

【0152】

得られた共重合体(D-1)におけるエチレンに由来する構成単位の含有割合は56モル%、プロピレンに由来する構成単位の含有割合は44モル%であった。また、共重合体(D-1)の、重量平均分子量(Mw)は14,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9、40℃における動粘度は37,500cStであった。

【0153】

[製造例4:無水マレイン酸変性プロピレン/エチレン共重合体(A-2)の合成]

プロピレンに由来する構成単位の含有割合が67モル%、重量平均分子量(Mw)330,000であるプロピレン/エチレン共重合体3kgを10Lのトルエンに加え、系内の窒素置換を1時間実施した。系の温度を145℃に上げ、プロピレン/エチレン共重合体をトルエンに完全に溶解させた後、系の撹拌を継続しながら、無水マレイン酸382g、ジ-tert-ブチルパーオキシド175gを別々の供給口から4時間かけて系に供給し、さらに後反応として145℃で2時間撹拌を続けた後、系を室温まで冷却した。冷却後の反応液の一部を採取し、大量のアセトン中に投入することにより、クラム状(くず状)の無水マレイン酸変性プロピレン/エチレン共重合体を沈殿させた。得られた沈殿物を採取し、アセトンで繰返し洗浄した後、常温で2昼夜真空乾燥することにより、精製された無水マレイン酸変性プロピレン/エチレン共重合体(A-2)を得た。

【0154】

得られた共重合体(A-2)の無水マレイン酸の変性量は、共重合体(A-2)100質量%に対し1.5質量%であった。また、融解熱(ΔH)は1.6J/g、重量平均分子量(Mw)は140,000、酸価は9mgKOH/gであった。

【0155】

3.架橋剤(B)および触媒(C)

以下の実施例および比較例では、下記表1に示す架橋剤(B)を用い、下記表2に示す触媒(C)を用いた。

【0156】

【表1】

[図:0001390584000001.jpg]

【0157】

【表2】

[図:0001390584000002.jpg]

【0158】

4.複合フィルム(Al箔/接着剤層/CPP積層体)の作製

[実施例1]

製造例2で製造した無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(A-1)80gと、製造例3で製造したエチレン/プロピレン共重合体(D-1)20gとを400gのトルエンに溶解させて、変性オレフィン重合体ワニス(1)を調製した。

【0159】

得られた変性オレフィン重合体ワニス(1)49.4gと、予め架橋剤(B-1)1gを9gの酢酸エチルに溶解させた溶液1.3gとを混合し、ラミネート用接着剤組成物を調製した。

【0160】

次いで、ラミネート用接着剤組成物をトルエンで希釈し、バーコーターを用いて、得られる塗膜付箔の坪量が3.3g/m2になるように、厚さ40μmのアルミニウム箔(Al箔、表面未処理)のツヤ面上に常温下において塗布し、溶媒を揮散させることで、塗膜付箔を得た。その後、得られた塗膜付箔の塗膜面と、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、片面コロナ処理品)におけるコロナ処理面とを貼り合わせ、60℃で3日間養生することにより、前記塗膜を硬化させて、Al箔およびCPP間を接着させることで、Al箔、接着剤層およびCPPがこの順で積層した積層体(複合フィルム)を得た。

【0161】

[実施例2]

架橋剤(B-1)を架橋剤(B-2)に変更した以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0162】

[実施例3]

架橋剤(B-1)を架橋剤(B-3)に変更した以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0163】

[実施例4]

架橋剤(B-1)を架橋剤(B-4)に変更した以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0164】

[実施例5]

製造例2で製造した共重合体(A-1)100gを400gのトルエンに溶解させて、変性オレフィン重合体ワニス(2)を調製した。得られた変性オレフィン重合体ワニス(2)49.4gを用いた以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0165】

[比較例1]

架橋剤(B-1)を架橋剤(B-5)に変更した以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0166】

[比較例2]

架橋剤(B-1)を架橋剤(B-6)に変更した以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0167】

[比較例3]

架橋剤(B-1)を架橋剤(B-7)に変更した以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0168】

[比較例4]

架橋剤(B-1)を架橋剤(B-8)に変更した以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0169】

[比較例5]

架橋剤(B-1)を使用しなかった以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0170】

[比較例6]

製造例4で製造した共重合体(A-2)100gを400gのトルエンに溶解させて、変性オレフィン重合体ワニス(3)を調製した。得られた変性オレフィン重合体ワニス(3)49.4gを用いた以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0171】

[実施例6]

実施例1で得られた変性オレフィン重合体ワニス(1)49.4gと、予め架橋剤(B-5)1gを9gの酢酸エチルに溶解させた溶液1.3gと、予め触媒(C-6)0.1gを19.9gの酢酸エチルに溶解させた溶液1gとを混合し、ラミネート用接着剤組成物を調製した。得られたラミネート用接着剤組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

【0172】

[実施例7]

実施例1の変性オレフィン重合体ワニス(1)の使用量49.4gを49.7gに変更し、予め架橋剤(B-5)1gを9gの酢酸エチルに溶解させた溶液1.3gを、予め架橋剤(B-3)1gを9gの酢酸エチルに溶解させた溶液0.7gに変更した以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0173】

[実施例8]

架橋剤(B-5)を架橋剤(B-3)に変更した以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0174】

[実施例9]

実施例1の変性オレフィン重合体ワニス(1)の使用量49.4gを45.1gに変更し、予め架橋剤(B-5)1gを9gの酢酸エチルに溶解させた溶液1.3gを、予め架橋剤(B-3)1gを9gの酢酸エチルに溶解させた溶液9.8gに変更した以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0175】

[実施例10]

架橋剤(B-5)を架橋剤(B-4)に変更した以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0176】

[実施例11]

製造例2で製造した共重合体(A-1)100gを400gのトルエンに溶解させて、

変性オレフィン重合体ワニス(2)を調製した。得られた変性オレフィン重合体ワニス(2)49.4gを用いた以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0177】

[比較例7]

触媒(C-6)を触媒(C-1)に変更した以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0178】

[比較例8]

触媒(C-6)を触媒(C-2)に変更した以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0179】

[比較例9]

触媒(C-6)を触媒(C-3)に変更した以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0180】

[比較例10]

触媒(C-6)を触媒(C-4)に変更した以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0181】

[比較例11]

触媒(C-6)を触媒(C-5)に変更した以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0182】

[比較例12]

架橋剤(B-5)を架橋剤(B-6)に変更し、触媒(C-6)を触媒(C-1)に変更した以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0183】

[比較例13]

実施例1の変性オレフィン重合体ワニス(1)の使用量49.4gを50gに変更し、エポキシ化合物(B-5)を使用しなかった以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0184】

[比較例14]

製造例4で製造した共重合体(A-2)100gを400gのトルエンに溶解させて、変性オレフィン重合体ワニス(3)を調製した。得られた変性オレフィン重合体ワニス(3)49.4gを用いた以外は実施例6と同様にして、複合フィルムを得た。

【0185】

5.評価

[接着強度(常態強度)]

実施例1~11および比較例1~14の複合フィルムを、長さ60mm、幅15mmの大きさに切り出して試験片を作製し、この試験片について、万能引張測定装置を用いて、クロスヘッド速度50mm/分にて、180°剥離試験を実施して、複合フィルムの初期接着強度を測定した。その結果を表3および4に示す。なお、測定した初期接着強度に応じて、以下の基準にて評価を行った。

(評価基準)

◎: 11N/15mm以上

〇: 8N/15mm以上、11N/15mm未満

△: 6N/15mm以上、8N/15mm未満

×: 6N/15mm未満

【0186】

【表3】

[図:0001390584000003.jpg]

【0187】

【表4】

[図:0001390584000004.jpg]

【0188】

なお、表3および4中の樹脂(A)、化合物(B)および油(D)の数値は、各組成物中の不揮発分(樹脂(A)+化合物(B)+油(D))100質量%に対する各成分の含有割合を示す。また、表4中の触媒(C)の数値は、各組成物中の不揮発分(樹脂(A)+化合物(B)+油(D))100質量%に対する触媒(C)の含有割合を示す。

【0189】

前記実施例6~11で得られた組成物において、エポキシ化合物(B)の代わりにオキサゾリン化合物を用いても、前記と同様の効果が得られると考えられる。」

2 各甲号証に記載された事項

(1)甲第1号証に記載された事項

甲第1号証には、以下の事項が記載されている。

(甲1a)「(1)α,β-不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物を0.1ないし15重量%グラフト共重合したプロピレン-α-オレフィン共重合体(1)と、1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物または樹脂(2)を主たる構成要素とし、(1)のカルボキシル基または酸無水物基と、(2)のエポキシ基の架橋反応によって硬化皮膜を形成させることを特徴とするポリプロピレン系樹脂用コーティング組成物。

(2)α,β-不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物を0.1ないし15重量%グラフト共重合したプロピレン-α-オレフィン共重合体(1)と、1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物、または樹脂(2)との重量部比が100:0.5~50である請求項1記載のポリプロピレン系樹脂用コーティング組成物。

(3)α,β-不飽和ジカルボン酸、またはその酸無水物を0.1ないし15重量%グラフト共重合したプロピレン-α-オレフィン共重合体の分子量が3000ないし35000である請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂用コーティング組成物。」(特許請求の範囲)

(甲1b)「〔産業上の利用分野〕

本発明は、ポリプロピレン系樹脂成形品の表面を塗装する場合や、またポリプロピレン系樹脂に他の基材を接着する場合に密着力を向上させる目的で使用するコーティング組成物に関する。

〔従来の技術〕

ポリプロピレン系樹脂は優れた性質を持ち価格が安いことから、家庭電化製品や自動車部品等に多量に使用されている。しかし、ポリプロピレン系樹脂は無極性であるため、塗装や接着が困難であるという欠点を有している。

・・・

〔発明が解決しようとする課題〕

以上のようにポリプロピレンに塗装や接着を行うためには、プライマー処理を施すことが現実的ではあるが、いずれの技術も欠点を有しており、耐ガソリン性等の厳しい性能が要求される自動車用途に適したプライマー組成物は無かった。

また、本発明者らは既にプロピレン-ブテン共重合体にα,β-不飽和ジカルボン酸またはその誘導体をグラフト共重合したコーティング組成物を提案しているが(90年9月5日出願)厳しい性能が要求される用途ではまだ耐溶剤性,耐ガソリン性に改善の余地がある。

本発明は、このような問題点を解決し、ポリプロピレン系樹脂の塗装性や接着性を改善できるコーティング組成物を提供することを目的としている。」(第1頁右欄第8行~第2頁左下欄第3行)

(甲1c)「〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するため種々研究の結果、本発明に到達した。すなわち、α,β-不飽和ジカルボン酸、またはその酸無水物を0.1ないし15重量%、グラフト共重合したプロピレン-α-オレフィン共重合体(1)と、1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物または樹脂(2)を主たる構成要素とし、(1)のカルボキシル基または酸無水物基と、(2)のエポキシ基の架橋反応によって硬化皮膜を形成させることを特徴とするポリプロピレン系樹脂用コーティング組成物は、ポリプロピレン系樹脂に対し優れた付着性,外観,耐衝撃性,耐湿性,耐水性に加えて良好な耐ガソリン性を示すことを見い出し前記目的は達成された。」(第2頁左下欄第4~18行)

(甲1d)「本発明のコーティング組成物の原料であるプロピレン-α-オレフィン共重合体は、ブロピレンを主成分にα-オレフィンを共重合したものであり、ブロック共重合よりランダム共重合が望ましい。α-オレフィン成分としてはエチレン,1-ブテン,1-ペンテン,1-ヘキセン,1-ヘプテン,1-オクテン,4-メチル-1-ペンテン等が挙げられ、これらを2種類以上共重合してもよい。これらの中でも樹脂の物性の点でエチレンまたは1-ブテンが好ましい。また、プロピレン成分の割合は55ないし85モル%が好ましく、55モル%より少ないとポリプロピレンに対する密着性が劣り、85モル%より多いと得られたコーティング組成物の溶剤に対する溶解性が悪くなる。

プロピレン-α-オレフィン共重合体にグラフト共重合するα,β-不飽和ジカルボン酸、またはその酸無水物とは、例えばマレイン酸,フマル酸,イタコン酸,シトラコン酸,アリルコハク酸,メサコン酸,アコニット酸、およびこれらの酸無水物が挙げられる。α,β-不飽和ジカルボン酸、またはその酸無水物をグラフト共重合する量は0.1ないし15重量%が好ましく、0.1重量%以下では得られた樹脂の上塗り塗料に対する密着性が悪く、またエポキシ樹脂との架橋による効果が少なくなり、15重量%以上ではポリプロピレンに対する密着性が悪くなるばかりかグラフト効率が悪くなって不経済である。特に好ましくは、1ないし10重量%である。また、α,β-不飽和ジカルボン酸または、その酸無水物をグラフト共重合した樹脂の分子量は、3000ないし35000が好ましく、3000以下では凝縮力が不足して密着性が悪くなり、35000以上では溶剤に対する溶解性や他樹脂との相溶性が悪くなって好ましくない。分子量をこの範囲にするためには、原料の分子量やグラフト反応を行なうときの条件をコントロールすことで可能である。なお、ここで分子量は重量平均分子量のことをいい、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定することができる。」(第2頁左下欄第19行~第3頁左上欄第19行)

(甲1e)「プロピレン-α-オレフィン共重合体にα,β-不飽和ジカルボン酸、またはその酸無水物をグラフト共重合する方法は、プロピレン-α-オレフィン共重合体をキシレン等の有機溶剤に加熱溶解させ、ラジカル発生剤の存在下に反応させる方法(溶液法)や、プロピレン-α-オレフィン共重合体を融点以上に加熱溶融させてラジカル発生剤の存在下で反応させる方法(溶融法)等、公知の方法によって行うことができる。溶液法では有機溶剤として、トルエン,キシレン等の芳香族系溶剤を使うことが好ましく、反応温度は100ないし180℃で行ない、この方法は副反応が少なく、均一なグラフト共重合体を得ることができるという特徴がある。溶融法の場合にはバンバリーミキサー,ニーダー,押出し機等を使用し、原料樹脂の融点以上300℃以下の温度で反応させ、操作が簡単である上短時間で反応を終了させることができる。

反応に用いるラジカル発生剤は、公知のものの中から適宜選択することができるが、特に有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、例えばベンゾイルパーオキサイド,ジクミルパーオキサイド,ラウロイルパーオキサイド,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-ヘキシン-3,ジ-t-ブチルパーオキサイド,t-ブチルハイドロパーオキサイド,t-ブチルパーオキシベンゾエート,クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。」(第3頁左上欄最終行~左下欄第8行)

(甲1f)「本発明に用いられる1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物または樹脂としては、ポリオレフィンと相溶性の良いものが好ましく、ビスフェノールA型や多価アルコールのグリシジルエーテル型、例えばエチレングリコールグリシジルエーテル,プロピレングリコールグリシジルエーテル,グリセロールボリグリシジルエーテル,ソルビトールボリグリシジルエーテル等があり、その他オレフィン類を過酸で酸化させて得られる環状脂肪族エポキシ樹脂や、グリシジルメタアクリレートの共重合体等1分子に2個以上のエポキシ基を有するものであれば使用するこどができる。」(第3頁左下欄第9行~右下欄第1行)

(甲1g)「α,β-不飽和ジカルボン酸、またはその酸無水物をグラフト共重合したプロピレン-α-オレフィン共重合体(1)と1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物、または樹脂(2)の配合比は、重量比で100:0.5~50の範囲が本発明の実施上望ましい。(2)が0.5以下では耐ガソリン性が十分でなく、50を越えるとポリプロピレンに対する密着性が低下する。さらに、エポキシ基とカルボキシル基または酸無水物基との架橋反応を促進するために、第3級アミン類、例えばピリジン,イソキノリン,キノリン,N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン,トリエチルアミン,ベンジルジメチルアミン,1,8-ジアゾ-ビシクロ-ウンデセン-7等の触媒を添加するのもよく、(1)に対して0.05重量%~5重量%の範囲で添加することができる。」(第3頁右下欄第2~17行)

(甲1h)「本発明において得られた樹脂は、ポリプロピレンに対し強固な密着性を示す上に従来のものと比べ、耐溶剤性,耐ガソリン性が優れている。また、耐候性,有機溶剤に対する溶解性,保存安定性,スプレー適性,他樹脂との相溶性も良好である。このため、ポリプロピレン系樹脂成形品の塗装や、接着の際のプライマーとして好適である。・・・

・・・

〔作用〕

本発明のポリプロピレン系樹脂用コーティング組成物は、プロピレン-α-オレフィン共重合体にα,β-不飽和ジカルボン酸、またはその無水物をグラフト共重合したもの(1)と、1分子当り2個以上のエポキシ基を有する化合物、または樹脂(2)を主たる構成要素としているので、有機溶剤溶液としたときの液状が良く塗布性が優れており、またポリプロピレン系樹脂に対して優れた密着性を示すほか上塗り塗料等の極性樹脂にも密着性を示す。さらに、(1)のカルボキシル基または酸無水物基と、(2)のエポキシ基との架橋反応により硬化皮膜を形成させるので、塗布・乾燥後の皮膜は耐溶剤性や耐ガソリン性が極めて優れている。」(第3頁右下欄第18行~第4頁右上欄第17行)

(甲1i)「〔実施例〕

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。

製造例1

攪拌機,冷却管および滴下ロートを取り付けた三口フラスコ中で、プロピレン-ブテン共重合体(プロピレン成分75モル%,重量平均分子量65000) 100gを、キシレン 400gに加熱溶解させた後、系の温度を140℃に保って攪拌しながら、無水マレイン酸10gとジクミルパーオキサイド2gをそれぞれ2時間かけて滴下させ、その後3時間反応させた。反応後室温まで冷却した後、反応物を大量のアセトン中に投入して精製し、グラフト量 5.8%のグラフト共重合体を得た。GPCにより分子量を測定すると、重量平均分子量は27000であった。これをトルエンに20重量%の濃度で溶解した。」(第4頁右上欄第18行~左下欄第15行)

(甲1j)「実施例1

製造例1で得た組成物のトルエン溶液 350gに、エポキシ樹脂(エピコート828,油化シェルエポキシ製)を15g配合した。これを酸化チタン30gと混合し、サンドミルにて1時間顔料を分散させた後、トルエンで適当な粘度に希釈して、トルエンで表面の脱脂を行なったポリプロピレン板にスプレー塗布した。約10分間室温で放置乾燥した後、二液型ウレタン系塗料をスプレー塗布し、10分間室温で放置した。次に、熱風乾燥器を用いて80℃で30分間強制乾燥した。得られた塗装板を室温で7日間放置した後、塗膜の試験を行った。結果を第1表に示した。」(第4頁右下欄第14行~第5頁左上欄第6行)

(甲1k)「実施例2

製造例1で得た組成物のトルエン溶液 350gに、エポキシ樹脂(デナコールEX-611,ナガセ化成製)10gを配合した。これを酸化チタン30gと混合し、サンドミルにて1時間顔料を分散させた。反応促進剤として、アミン系触媒(U-Cat-SA-No102,サンアプロ製)の10重量%キシレン溶液7gを加えた。これを実施例1と同様な操作を行い塗装板を得た。試験の結果を第1表に示した。」(第5頁左上欄第7~16行)

(甲1l)「第1表

[図:0001390584000005.jpg]

なお、試験方法は次の通りである。

塗膜の外観

塗膜の外観を目視にて観察した。

付着性

塗膜表面にカッターで素地に達する切れ目を入れて1mm間隔で100個のゴバン目を作り、その上にセロハン粘着テープを密着させて180度方向に引き剥し、残存するゴバン目の数を数えた。

・・・

〔発明の効果〕

本発明において得られた樹脂は耐溶剤性,耐ガソリン性が優れているほか、ポリプロピレンに対する密着性、有機溶剤に対する溶解性,保存安定性、スプレー適性,他樹脂との相溶性も良好である。このため、ポリプロピレン系樹脂成形品の塗装や接着の際のプライマーとして好適であり、基材と上塗りの両方に強力な付着性を示し、特に自動車用途等厳しい性能が要求される場合でも、諸物性に優れた塗膜が得られる。さらに、本発明の樹脂を用いて塗料を調製しプライマー無しでポリプロピレン系樹脂に塗装することも可能であり、また、ポリプロピレンフィルムに対するコーティング剤としても適用可能である。」(第5頁左下欄第4行~第6頁左上欄第6行)

(2)甲第2号証に記載された事項

甲第2号証には、以下の事項が記載されている。

(甲2a)「[請求項1] プロピレン由来の構成単位(a)を60~95モル%、炭素数4以上のα-オレフィン由来の構成単位(b)を5~40モル%〔(a)+(b)=100モル%とする〕含み、下記(i)~(iv)を全て満たすプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)に、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体または不飽和スルホン酸もしくはその塩から選ばれる少なくとも1種をグラフトした共重合体であり、

酸価が0.5~100KOHmg/gである、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)。

(i)GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が3,000~40,000の範囲にある

(ii)DSCで測定した融点(Tm)が60~110℃の範囲にある

(iii)DSCで測定した結晶融点ピークの半値幅が1~20℃の範囲にある

(iv)1HNMRにより測定した、1000個の炭素原子あたりのビニリデン基の個数が0.5~5個である

[請求項2] 前記プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)が、プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)を熱分解して得られる、請求項1に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)。

[請求項3] 前記プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)が、プロピレン由来の構成単位(a’)を60~95モル%、炭素数4以上のα-オレフィン由来の構成単位(b’)を5~40モル%〔(a’)+(b’)=100モル%とする〕含み、かつ下記(i’)~(iii’)の全てを満たす、請求項2に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)。

(i')GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が50,000~1,000,000の範囲にある

(ii')DSCで測定した融点(Tm)が60~120℃の範囲にある

(iii')DSCで測定した結晶融点ピークの半値幅が1~20℃の範囲にある

[請求項4] 前記プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)が、下記要件(v)をさらに満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)。

(v)DSCで測定した融解ピークのΔHが40~100J/gの範囲にある

[請求項5] 前記変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)の結晶化温度をTc(A)とし、前記プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)の結晶化温度をTc(A1)としたとき、結晶化温度の比Tc(A1)/Tc(A)が、1.0~1.6の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)。

・・・

[請求項10] 請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)と、他の樹脂(B1)とを含み、

前記変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)と前記他の樹脂(B1)の重量比が、1/99~90/10である、樹脂組成物。

・・・

[請求項16] 熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(B2)100~50重量部と、

無機強化材(C)0~50重量部(ただし、成分(B2)と成分(C)との合計を100重量部とする)と、

請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)を0.01~10重量部と、を含む、成形用樹脂組成物。

[請求項17] ベースポリマー(B3)100重量部と、

粘着付与剤(D)10~300重量部と、

請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)1~100重量部と、を含む、ホットメルト組成物。

[請求項18] 請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)、もしくは、請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)および他の樹脂(B1)を含む、塗料。

[請求項19] 請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)、もしくは、請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)および他の樹脂(B1)を含む、プライマー。

[請求項20] 請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)、もしくは、請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)および他の樹脂(B1)を含む、接着剤。

[請求項21] 請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)、もしくは、請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)および他の樹脂(B1)を含む、粘着剤。

[請求項22] 請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)、もしくは、請求項1~5のいずれか一項に記載の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)および他の樹脂(B1)を含む、焼結助剤。」

(甲2b)「技術分野

[0001] 本発明は、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体とその製造方法、それを含むコーティング材、成形用樹脂組成物およびホットメルト組成物に関する。

・・・

[0012] 従って、本発明の課題は、熱分解によって得られる炭素数4以上のα-オレフィン単位を含むプロピレン系ワックスを、二重結合を含む極性化合物で変性することで、低融点であり、かつベタ付きが少なく、極性基を含有しても結晶性を維持し、高硬度化しうるなどの優れた性能を示す極性基含有プロピレン系ワックスを提供することにある。

・・・

発明の効果

[0018] 本発明によれば、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体は、低融点でありながら、ベタ付きが少なく、極性基を含有しても結晶性を維持し、高硬度でありうる。従って、本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体は、コーティング材や、成形様樹脂組成物、ホットメルト組成物などの各種用途に好ましく用いることができる。」

(甲2c)「[0020] 1.変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)の製造方法

本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、極性基構造単位を所定の割合で含むプロピレン・α-オレフィン共重合体でありうる。極性基は、ヘテロ原子を含む極性基であることが好ましい。より具体的には、炭素、水素、酸素を含む極性基が好ましい態様であり、更に具体的にはエステル基、エーテル基、カルボン酸基(無水カルボン酸基を含む)、アルデヒド基、ケトン基を挙げることができる。

[0021] 本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、1)プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)を熱分解して、低分子量のプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)を得る工程と;2)低分子量のプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)に、二重結合を含む極性化合物をグラフト重合させて、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)を得る工程と、を経て製造されうる。

[0022] 1)の工程について

プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)を熱分解して、低分子量のプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)を得る。

[0023] プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)を熱分解する方法としては、窒素等の不活性雰囲気下で、プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)を押出機に供給し、加熱、混練して押出しながら熱分解する方法;プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)を押出機に供給し、その後段に管状反応器を連結し、該管状反応器内にて連続的に熱分解する方法;あるいはプロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)を熱分解反応器に仕込み、バッチ式で攪拌しながら熱分解する方法などが挙げられる。

・・・

[0039] 〔結晶化温度(Tc)〕

プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)の、DSCの結果により得られる結晶化温度(Tc)は、20~80℃、好ましくは30~70℃、更に好ましくは39~65℃、特に好ましくは40~55℃の範囲にある。結晶化温度(Tc)が上記範囲にあるプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)の変性物は、有機溶媒、あるいは併用する樹脂に対する溶解性、分散性、耐ブロッキング性、基材との密着性のバランスに優れる。

[0040] プロピレン・α-オレフィン共重合体の結晶化温度(Tc)は、DSC(示差走査型熱量測定法)に従い、DSC-20(セイコー電子工業社製)によって測定することができる。試料約10mgを200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、10℃/分で常温(-20℃)まで降温する操作を行う。そして、得られたカーブの発熱ピークの温度を結晶化温度として求めることができる。

・・・

[0044] 〔融解熱量(ΔH)〕

プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)のDSCの結果により得られる融解熱量(ΔH)は、40~100J/g、より好ましくは45~80J/g、さらに好ましくは45~70J/g、最も好ましくは45~60J/gの範囲にありうる。

[0045] ΔHが上記範囲にあるプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)の変性物は、有機溶媒、あるいは併用する樹脂に対する溶解性や分散性、安定性、塗膜の耐ブロッキング性のバランスに優れる。また、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)の変性物は、DSCの結果により得られる融点(Tm)が比較的低い値であるにもかかわらず、高い硬度を有しうるため、コーティング材などに用いた際に、溶解性、分散性、耐ブロッキング性のバランスに特に優れる。この理由は定かではないが、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)の変性物は、DSCの結果により得られる融点(Tm)が比較的低いにも係わらず、融解ピークの△Hが予想外に大きい値を示すためではないかと推定している。

[0046] 融解熱量(ΔH)は、上記DSCにより得られた吸熱ピークと吸熱ピーク全体のベースラインとで区切られた面積を融解熱量(ΔH)(J/g)として算出することができる。

[0047] 上記(i)~(iii)の要件を満たすプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)を原料として用いることで、後述する(i'')~(iii'')の要件を満たす変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)が得られやすいと考えられる。

[0048] プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)の上記(i)~(iii)の要件は、熱分解前のプロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)の物性;具体的には、プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)の製造時の触媒の種類などによって調整することができる。プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)の上記(i)~(iii)の要件を満たすためには、例えば熱分解前のプロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)として、メタロセン触媒下で製造されたものを用いることが好ましい。」

(甲2d)「[0070] <二重結合を含む極性化合物>

二重結合を含む極性化合物は、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体または不飽和スルホン酸もしくはその塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドシス-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプトー5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸〔商標〕)等の不飽和カルボン酸;これらの酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステル等の誘導体;およびスチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などの不飽和スルホン酸もしくはその塩などが挙げられる。これらの中でも、不飽和ジカルボン酸もしくはその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジック酸(商標)、またはこれらの酸無水物が好適である。

[0071] 二重結合を含む極性化合物の特に好ましい例として、無水マレイン酸を挙げることができる。無水マレイン酸は、前述のプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)との反応性が比較的高く、それ自身が重合等による大きな構造変化が少なく、基本構造として安定な傾向がある。このため、安定した品質の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)が得られやすいなどの優位点がある。

[0072] <グラフト変性>

本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、前述の通り、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)を、極性基構造単位に対応する二重結合を含む極性化合物でグラフト変性して得ることができる。

[0073] プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)のグラフト変性は、公知の方法で行うことができる。例えば、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)を有機溶媒に溶解し、次いで得られた溶液に不飽和カルボン酸等の二重結合を含む極性化合物およびラジカル開始剤などを加え、通常60~350℃、好ましくは80~190℃の温度で、0.5~15時間、好ましくは1~10時間反応させる方法を例示することが出来る。

・・・

[0079] <変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)>

〔Mw〕

変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)の、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)の上限は、50,000、好ましくは40,000、更に好ましくは25,000、特に好ましくは18,000であり;重量平均分子量(Mw)の下限は、3,000、好ましくは5,000、更に好ましくは8,000、特に好ましくは12,000でありうる。

・・・

[0082] 〔融点(Tm)〕

変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)の、DSCの結果により得られる融点(Tm)は、55~105℃、好ましくは60~95℃、更に好ましくは65~85℃、特に好ましくは67~80℃の範囲でありうる。融点(Tm)が上記範囲にある変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、有機溶媒、あるいは併用する樹脂に対する溶解性や分散性、耐ブロッキング性、基材との密着性のバランスに優れる。

[0083] 〔結晶化温度(Tc)〕

変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)の、DSCの結果により得られる結晶化温度(Tc)は、15~80℃、好ましくは25~70℃、更に好ましくは30~70℃、特に好ましくは40~50℃の範囲でありうる。結晶化温度(Tc)が上記範囲にある変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、有機溶媒、あるいは併用する樹脂に対する溶解性や分散性、耐ブロッキング性、基材との密着性のバランスに優れる。

・・・

[0088] 〔融解ピークのΔH〕

変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)の、DSCの結果により得られる融解熱量(ΔH)は、好ましくは20~100J/g、より好ましくは25~80J/g、さらに好ましくは30~65J/g、最も好ましくは35~60J/gの範囲にありうる。ΔHが上記範囲にある変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、有機溶媒、あるいは併用する樹脂に対する溶解性、分散性、コーティング材の安定性、塗膜の耐ブロッキング性のバランスに優れる。

[0089] 変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、DSCの結果により得られる融点(Tm)が比較的低い値であるにもかかわらず、高い硬度を有しうる。それにより、例えば変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)をコーティング材などに用いた際に、溶解性、分散性と耐ブロッキング性のバランスの点で特に優れる。この理由は定かではないが、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、DSCの結果により得られる融点(Tm)が比較的低いにもかかわらず、融解ピークの△Hが予想外に大きい値を示すためではないかと推定している。

[0090] 変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)のMw、融点(Tm)、結晶化温度(Tc)、融点ピークの半値幅、融解ピークのΔHは、それぞれ前述した方法と同様にして測定されうる。

・・・

[0097] 〔半結晶化時間〕

変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)の半結晶化時間は、特に制限はないが、通常、2000秒以下、好ましくは1500秒以下、より好ましくは1000秒以下、特に好ましくは700秒以下、最も好ましくは550秒以下である。半結晶化時間が2000秒以下である変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、コーティング材として用いた場合、基材に塗工した際の、塗膜固化時間が短く作業性に優れる。また、塗膜の耐ブロッキング性と基材への密着性のバランスに優れる。

[0098] 一方、半結晶化時間は30秒以上、好ましくは50秒以上、より好ましくは70秒以上、さらに好ましくは90秒以上、特に好ましくは150秒以上、最も好ましくは300秒以上である。半結晶化時間が30秒以上であると、基材に塗工した際に、スジやムラが発生して塗工性が悪化するのを抑制できる。また、得られた塗膜の基材への密着性も損ないにくい。その理由は明らかではないが、半結晶化時間が短すぎると、塗膜の乾燥工程においてレベリング性が劣ることから、基材への塗膜の密着が不均一となって塗膜密着性が低下することによると考えられる。

[0099] 半結晶化時間は、以下の方法により測定することができる。

示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用い、試料を約5mgセットして、200℃の状態で5分間放置することにより試料を完全に溶融させる。その後、320℃/分の降温速度で50℃まで急冷して等温結晶化を行う。冷却開始から結晶化熱が全発熱量の1/2に到達するまでの時間を半結晶化時間とする。

[0100] 半結晶化時間は、αオレフィンや酸の導入量により調整することができる。

[0101] 変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、前述の通り、熱分解によって得られるプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)を変性して得られるため、極性基構造単位の多くは、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)の分子末端部分のビニリデン基または内部二重結合に付加していると考えられる。従って、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、高い結晶化速度を有し、半結晶化時間を短くできると考えられる。」

(甲2e)「[0102] 2.樹脂組成物

本発明の樹脂組成物は、本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)を含み、必要に応じて他の樹脂(B1)をさらに含んでもよい。

[0103] <他の樹脂(B1)>

他の樹脂(B1)としては、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、アルキド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリオレフィン、或いはこれらの混合樹脂等を用いることができる。特に、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)との相溶性の観点では、オレフィン系樹脂やスチレン系樹脂が好ましく、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーが特に好ましい。後述するように樹脂組成物をプライマーとして用いた場合に、上塗り層との密着性を得やすくする観点では、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。

・・・

[0108] 本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じてプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)、プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)、他の熱可塑性樹脂、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、顔料、充填剤、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤、銅害防止剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。」

(甲2f)「[0110] 3.変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)の用途

本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)および本発明の樹脂組成物は、種々の用途、例えば、コーティング材、成形用樹脂組成物、ホットメルト組成物、塗料、プライマー、接着剤、粘着剤、焼結助剤などに用いることができる。

[0111] 本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)を含む上記用途の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の熱可塑性樹脂、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、顔料、充填剤、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤、銅害防止剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。

[0112] 3-1.コーティング材

本発明の第1のコーティング材は、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)と、水または有機溶媒とを含む。

[0113] <変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)>

変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)でありうる。

・・・

[0124] 本発明の第2のコーティング材は、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)と、他の樹脂(B1)と、水または有機溶媒とを含む。変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)と有機溶媒は、前述と同様に定義されうる。

[0125] <他の樹脂(B1)>

他の樹脂(B1)としては、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、アルキド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリオレフィン、或いはこれらの混合樹脂等を用いることができる。特に、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)との相溶性の観点より、オレフィン系樹脂やスチレン系樹脂が好ましく、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーが特に好ましい。あるいは、第2のコーティング材をプライマーとして用いた場合に、上塗り層との密着性を得やすくする観点から、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。

・・・

[0133] 本発明の第2のコーティング材における、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)と他の樹脂(B1)の重量比は、通常、1/99~90/10であり、好ましくは1/99~50/50であり、より好ましくは2/98~30/70であり、さらに好ましくは8/92~25/75である。上記の値の範囲内であれば、本発明のコーティング材の安定性、塗工性、塗膜の耐ブロッキング性、基材との密着性を向上させるとともに、他の樹脂の強度や耐熱性等の特性を良好に保つことができる。

[0134] 本発明のコーティング材(本発明の第1および第2のコーティング材)は、樹脂成形品などの被塗工基材の表面に塗布されうる。塗布の際に他のコーティング材、例えばアクリル系コーティング材などと混合して塗布してもよい。

[0135] 本発明のコーティング材の塗布方法は、特に限定するものではないが、噴霧、刷毛、コーター等で塗布することが好ましく、例えば、スプレーガンで被塗装表面に吹きつけ、塗布を行うことができる。塗布は、通常、常温にて容易に行なうことができる。また、塗布後の乾燥方法についても特に限定はなく、自然乾燥や加熱強制乾燥等、適宜の方法で乾燥することができる。」

(甲2g)「[0145] 3-2.成形用樹脂組成物

本発明の成形用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(B2)と、無機強化材(C)と、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)とを含む。

[0146] <熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂(B2)>

熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂でありうる。熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂でありうる。即ち、これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。

[0147] ポリカーボネート樹脂は、典型的には、芳香族ジオール(例えばビスフェノールA)とホスゲンとを反応することにより得られる芳香族ポリカーボネート樹脂であり、好ましくはジエチレングリコールジアリルカーボネートでありうる。このようなポリカーボネート樹脂は市販されており、例えば商品名NOVAREX(三菱エンジニアリングプラスチックス(株))、パンライト(帝人化成(株))、レキサン(SABICイノベーティブプラスチックス(同))等を挙げることができる。

[0148] 熱可塑性ポリエステル樹脂は、典型的には、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させて得られる樹脂であり、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等でありうる。このような熱可塑性ポリエステル樹脂は市販されており、例えば商品名ライナイト(デュポン(株))等を挙げることができる。

[0149] ABS樹脂は、典型的には、ポリブタジエンにアクリロニトリルおよびスチレンをグラフト重合させて得られる耐衝撃性樹脂であり、好ましくはポリブタジエン成分が5~40重量%であって、スチレン成分とアクリロニトリル成分のグラフト量比(スチレン/アクリロニトリル)が70/30~80/20でありうる。このようなABS樹脂は市販されており、例えば商品名スタイラック(旭化成ケミカルズ(株))、サイコラック(宇部サイコン(株))等を挙げることができる。

[0150] ポリアセタール樹脂は、典型的には、ホルマリンあるいはトリオキサンを、所望に応じてエチレンオキサイドと共に、カチオン触媒の存在下に開環重合して得られる樹脂であり、ポリオキシメチレン鎖を主骨格とする樹脂であるが、好ましくはコポリマータイプのものでありうる。このようなポリアセタール樹脂は市販されており、例えば商品名ユピタール(三菱エンジニアリングプラスチックス(株))等を挙げることができる。

[0151] ポリアミド樹脂は、典型的には、ジアミンとジカルボン酸との重縮合、あるいはカプロラクタムの開環重合等により得られる樹脂であり、好ましくは脂肪族ジアミンと脂肪族または芳香族ジカルボン酸の重縮合反応物でありうる。このようなポリアミド樹脂は市販されており、例えば商品名レオナ(旭化成ケミカルズ(株))、ザイテル(デュポン(株))等を挙げることができる。

[0152] ポリフェニレンオキシド樹脂は、典型的には、2,6-ジメチルフェノールを銅触媒の存在下に酸化カップリングさせることにより得られる樹脂であり、この樹脂に他の樹脂をブレンドする等の手法により変性した変性ポリフェニレンオキシド樹脂も含まれる。本発明では、スチレン系ポリマーのブレンド変性物が好ましい。このようなポリフェニレンオキシド樹脂は市販されており、例えば商品名ザイロン(旭化成ケミカルズ(株))、ユピエース(三菱エンジニアリングプラスチックス(株))等を挙げることができる。

[0153] ポリイミド樹脂は、典型的には、テトラカルボン酸とジアミンとを重縮合させ、主骨格にイミド結合を生成させて得られる樹脂であり、好ましくは無水ピロメリット酸とジアミノジフェニルエーテルから形成されるものでありうる。このようなポリイミド樹脂は市販されており、例えば商品名ベスペル(デュポン(株))等を挙げることができる。

[0154] エポキシ樹脂は、典型的には、芳香族ジオール(例えばビスフェノールA)とエピクロルヒドリンとをアルカリの存在下に反応させることにより得られる樹脂であり、好ましくはエポキシ当量170~5000のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などでありうる。このようなエポキシ樹脂は市販されており、例えば商品名エポミック(三井化学(株))、エピクロン(大日本インキ化学工業(株))、スミエポキシ(住友化学工業(株))等を挙げることができる。

[0155] 熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂は、典型的には、脂肪族不飽和ジカルボン酸と脂肪族ジオールとをエステル化反応させることにより得られる樹脂であり、好ましくはマレイン酸やフマル酸等の不飽和ジカルボン酸と、エチレングリコールやジエチレングリコール等のジオールとをエステル化反応して得られる樹脂でありうる。このような熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂は市販されており、例えば商品名リゴラック(昭和高分子(株))、スミコン(住友ベークライト(株))等を挙げることができる。

[0156] フェノール樹脂は、いわゆるノボラック型およびレゾール型いずれをも包含するが、ヘキサメチレンテトラミンで硬化させるノボラック型やジメチレンエーテル結合を主体とする固形レゾールが好ましい。このようなフェノール樹脂は市販されており、例えば商品名スミコンPM(住友ベークライト(株))、ニッカライン(日本合成化学工業(株))等を挙げることができる。

[0157] これらのなかでも、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂の1種であるポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂との組み合せが好ましい。

[0158] 熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(B2)の含有量は、樹脂組成物100重量部に対して50~95重量部であることが好ましく、70~95重量部であることがより好ましく、80~95重量部であることがさらに好ましい。

・・・

[0174] 本発明の成形用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の添加剤、例えば臭素化ビスフェノール、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、トリフェニルホスフェート、ホスホン酸アミドおよび赤燐等のような難燃剤、三酸化アンチモンおよびアンチモン酸ナトリウム等のような難燃助剤、燐酸エステルおよび亜燐酸エステル等のような熱安定剤、ヒンダードフェノール等のような酸化防止剤、耐熱剤、耐候剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、結晶核剤、可塑剤および発泡剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、顔料、充填剤、染料、可塑剤等を必要に応じてさらに含んでもよい。」

(甲2h)「[0180] 3-3.ホットメルト組成物

本発明のホットメルト組成物は、ベースポリマー(B3)と、粘着付与剤(D)と、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)とを含む。

[0181] <ベースポリマー(B3)>

ベースポリマー(B3)は、ホットメルト接着剤に通常使用されるポリマーであってよく、以下のものを例示することができる。

1)ポリエチレン

2)エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)

3)ケン化EVA、グラフト変性EVA等の変性EVAポリマー

4)エチレン・(メタ)エチルアクリレート(EEA)などのエチレン・(メタ)アクリレート共重合体

5)エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体を部分中和してなるアイオノマー樹脂。具体的には、三井・デュポンポリケミカル社から商品名:ハイミランで上市されているものなどが挙げられる。

6)エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・(メタ)アクリル酸ターポリマー

7)ポリアミド:二塩基酸とジアミンの反応生成物であり、たとえば、大豆油、桐油、トール油等の脂肪酸の2量体であるダイマー酸と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアルキルジアミンとの反応生成物、ならびにナイロン12等のナイロン類等が挙げられる。これらの具体例として、ダイアミド(ダイセル化学工業)、プラチロン(東亜合成化学工業)、アミラン(東レ)等を挙げることができる。

8)ポリエステル:例えば、エステルレジン200および300(東洋紡)、Vita1200、300(グッドイヤー社)等を挙げることができる。

9)プロピレン系ポリマー:アタクチックポリプロピレン、プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(但し、Mw:40000より高い)等が挙げられる。

10)ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物からなる共重合体、およびその水添物:具体的には、スチレン・ブタジエンランダム共重合体、スチレン・イソプレンランダム共重合体、ブタジエン・ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン・ポリイソプレンブロック共重合体、ポリスチレン・ポリイソプレン・ポリスチレントリブロック共重合体、ポリスチレン・ポリブタジエン・ポリスチレントリブロック共重合体、ポリ(α-メチルスチレン)・ポリブタジエン・ポリ(α-メチルスチレン)トリブロック共重合体、およびこれらの水添物等を挙げることができる。」

(甲2i)「実施例

[0195] 次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限りこれらの実施例に制約されるものではない。

実施例及び比較例における物性値等は、以下の測定方法により求めた。

[0196] 〔重合体の組成〕

重合体のプロピレン由来の構成単位、及び炭素数4以上のα-オレフィン由来の構成単位の含有割合は、13C-NMRスペクトルの解析により求めた。

[0197] 〔分子量・分子量分布〕

重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPCにより測定した。GPC測定は、以下の条件で行った。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求めた。

・・・

[0198] 〔融点(Tm)〕

融点(Tm)は、DSC(示差走査型熱量測定法)に従い、DSC-20(セイコー電子工業社製)によって測定した。即ち、試料約10mgを-20℃から200℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブの吸熱ピークの温度を融点として求めた。この昇温測定の前に、一旦、試料(共重合体)を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、10℃/分で常温(-20℃)まで降温する操作を行い、試料(共重合体)の熱履歴を統一した。

[0199] 〔融点ピークの半値幅〕

上記DSCにより得られた吸熱ピーク全体のベースラインから吸熱ピークトップまでの高さの半量の位置におけるピーク幅(℃)を半値幅として求めた。

[0200] 〔融解熱量(ΔH)〕

上記DSCにより得られた吸熱ピークと吸熱ピーク全体のベースラインとで区切られた面積から融解熱量(ΔH)(J/g)を算出した。

[0201] 〔結晶化温度(Tc)〕

重合体の結晶化温度(Tc)は、DSC(示差走査型熱量測定法)に従い、DSC-20(セイコー電子工業社製)によって測定した。即ち、試料約10mgを200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、10℃/分で常温(-20℃)まで降温する操作を行い、得られたカーブの発熱ピークの温度を結晶化温度として求めた。

・・・

[0206] 〔半結晶化時間〕

示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用い、試料を約5mgセットして、200℃の状態で5分間放置することにより試料を完全に溶融させた。その後、320℃/分の降温速度で50℃まで急冷して等温結晶化を行った。冷却開始から結晶化熱が全発熱量の1/2に到達するまでの時間を半結晶化時間(秒)とした。

[0207] 1.プロピレン・炭素数4以上のα-オレフィン共重合体(A2)の製造

〔プロピレン・1-ブテン共重合体(A2-1)〕

充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、900mlの乾燥ヘキサン、1-ブテン65gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を70℃に昇温し、プロピレンで0.7MPaに加圧した。次いで、ジメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリド0.002mmolとアルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温62℃、プロピレン圧0.7MPaを保ちながら30分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液から重合体を析出し、真空下130℃、12時間乾燥し、プロピレン・1-ブテン共重合体(A2-1)を得た。

・・・

[0211] 2.変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)の製造

[製造例1]

1)プロピレン・1-ブテン共重合体(A1-1)の製造

攪拌装置、窒素導入管、コンデンサーを備えた1.5Lステンレス製熱分解装置に、上記製造した原料プロピレン・1-ブテン共重合体(A2-1)を200g入れ、系内を充分に窒素置換した。次に、窒素を流入したまま熱分解装置内の温度を380℃まで昇温し樹脂を溶融した後、攪拌を開始した。系内の樹脂温度が所定温度に達してから4.5時間加熱し熱分解を実施した。その後、常温まで冷却することにより、プロピレン・1-ブテン共重合体(A1-1)を得た。

2)変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)の製造

得られたプロピレン・1-ブテン共重合体(A1-1)200gをトルエン1000ml中に入れ、160℃で耐圧オートクレーブ中で完全に溶解させた。これに、70℃の無水マレイン酸16.3gおよび常温のジターシャリーブチルパーオキサイド(日本油脂社製、パーブチルD)27.7gを同時にそれぞれ1.5時間かけて供給し、1時間熟成後、真空度を1mmHgとして溶剤を除去し、表2に示す物性を有する変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)を得た。

・・・

[0217] 製造例1~6で得られた共重合体の各物性を、前述の方法で測定した。それの結果を表2に示す。

[表2]

[図:0001390584000006.jpg]

[0223] 3.コーティング材

3-1.水分散型組成物

〔実施例1〕

〔酸変性プロピレン・1-ブテン共重合体の製造〕

プロピレン・1-ブテン共重合体(A2-1)を100重量部に無水マレイン酸1重量部、重合開始剤にパーヘキシン25B(日油株式会社製)を0.3重量部とを混合したものを2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM-30,L/D=40)を用いて加熱温度220℃、16kg/時間で変性を行い、酸変性プロピレン・1-ブテン共重合体を得た。

[0224] 〔水分散型組成物の製造〕

前述のプロピレン・1-ブテン共重合体(A2-1)を70重量部、上記で得られた酸変性プロピレン・1-ブテン共重合体を30重量部、製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)を10重量部、オレイン酸カリウム4重量部とを混合したものを、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM-30,L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールの30%水溶液を連続的に供給し、加熱温度230℃で連続的に押出した。押出された樹脂混合物は、同二軸押出機の先端に連結された40mmφ一軸押出機(L/D=27、バレル温度:130℃)の先端より押し出すことにより、水分散型組成物を得た。

・・・

[0231] 実施例1~2および比較例1~4の評価結果を表3に示す。

[表3]

[図:0001390584000007.jpg]

・・・

[0233] 3-2.溶媒分散型組成物

(原料)

<極性モノマーグラフト架橋樹脂の調製>

プロピレン系エラストマーの合成

充分に窒素置換した2リットルのオートクレーブに、ヘキサンを900ml、1-ブテンを85g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧7kg/cm2Gにし、メチルアルミノキサン0.30ミリモル、上記製造例と同様の方法で製造されたrac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドをZr原子に換算して0.001ミリモル加え、プロピレンを連続的に供給して全圧を7kg/cm2Gに保ちながら30分間重合を行った。重合後、脱気して大量のメタノール中でポリマーを回収し、110℃で12時間減圧乾燥し、Mw240,000、Tm91℃のプロピレン系エラストマーを得た。

[0234] 極性モノマーグラフト架橋樹脂の調製

次いで、上記プロピレン系エラストマー(合成品)50質量部、スチレン系エラストマー(タフテックH1051、旭化成社SEBS、スチレン含量:40質量部、Mw:72,000)50質量部に対し、極性モノマー(無水マレイン酸)1.0質量部、ラジカル重合開始剤(パーへキシン25B )0.2質量部加え、充分混合した後、2軸押出機(日本プラコン社製、30mm押出機、L/D=42、同方向回転、ベント2箇所設置、0.08MPaにベントを減圧)を用いて、押出温度220℃ 、回転数500回転/分、押出量16kg/時間で押出変性を行い、極性モノマーグラフト架橋樹脂を得た。

[0235] 酸変性ワックス:

製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)

[0236] (実施例3)

上記製造した極性モノマーグラフト架橋樹脂54gと、製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)6gとを、メチルシクロヘキサン240gに同時に溶解し、固形分20質量%の溶媒分散型組成物を得た。

[0237] (実施例4)

上記製造した極性モノマーグラフト架橋樹脂48gと、製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)12gとを、メチルシクロヘキサン240gに同時に溶解し、固形分20%の溶媒分散型組成物を得た。

・・・

[0243] これらの評価結果を表4に示す。

[表4]

[図:0001390584000008.jpg]

・・・

[0245] 3-3.溶媒溶解型組成物

〔実施例5〕

200ml三角フラスコに、有機溶媒としてメチルシクロヘキサン(SP値7.8)90質量部と、ワックスとして製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)10質量部とを投入し、ヒーター付きスターラーを用いて室温にて攪拌して、溶媒溶解型組成物を得た。

[0246] 〔実施例6~10、比較例6~11〕

有機溶媒とワックスの種類を表5または6に示されるように変更した以外は実施例5と同様にして溶媒溶解型組成物を得た。

・・・

[0256] 実施例5~10の評価結果を表5に示し;比較例6~12の評価結果を表6に示す。

[表5]

[図:0001390584000009.jpg]

・・・

[0261] 4.成形用樹脂組成物

(原料)

熱可塑性樹脂(B2):

芳香族ポリカーボネート樹脂(帝人(株)、パンライトL-1225Y)

無機強化材(C):

ポリカーボネート用グラスファイバー(日東紡(株):チョップドストランドCS(F)3PE455S)

ワックス:

製造例1の変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)

製造例6の変性プロピレン・エチレン共重合体(X-3)

[0262] 〔実施例11〕

芳香族ポリカーボネート樹脂(帝人(株):パンライトL-1225Y)90重量部、ポリカーボネート用グラスファイバー(日東紡(株):チョップドストランドCS(F)3PE455S)10重量部、および変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)3重量部を、同方向回転二軸押出機 HK25D((株)パーカーコーポレーション:φ25mm,L/D=41)を用いて溶融混練して、シリンダー温度280℃のもと押出してペレット化した樹脂組成物を得た。

[0263] 得られたペレットを、120℃で8時間乾燥した後、射出成形機((株)ニイガタマシンテクノ,ニイガタNN100)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数60rpm、射出圧力130MPa、金型温度90℃の条件で射出成形して、各JIS試験に従い試験片を作製した。作製した試験片の衝撃強度、曲げ弾性率、および引張強度を、下記に示す方法で評価した。

・・・

[0268] これらの評価結果を表7に示す。

[表7]

[図:0001390584000010.jpg]

[0272] 5.ホットメルト組成物

(原料)

ベースポリマー(B3):

EVA#220(三井デュポンケミカル社製エチレン-酢酸ビニル共重合体)

粘着付与剤(D):

脂肪族系石油樹脂:日本ゼオン社製、クイントンM1

ワックス:

製造例1の変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)

製造例4の変性プロピレン・エチレン共重合体(X-1)

製造例5の変性プロピレン・エチレン共重合体(X-2)

未変性プロピレン・エチレンワックス(サゾールワックス社、サゾールワックス(商標名)H1)

[0273] 〔実施例12〕

ベースポリマー(B3)としてエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA#220:三井デュポンポリケミカル社)40質量部と、粘着付与剤(D)として脂肪族系石油樹脂(日本ゼオン社製クイントンM1)40質量部と、変性プロピレン・αーオレフィン共重合体(A)として製造例1の変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)20質量部とを、180℃で溶融混合し、ホットメルト組成物を調製した。

・・・

[0278] これらの評価結果を表8に示す。

[表8]

[図:0001390584000011.jpg]

・・・

産業上の利用可能性

[0281] 本発明によれば、熱分解によって得られる炭素数4以上のα-オレフィン単位を含むプロピレン系ワックスと、二重結合を含む極性化合物とを反応させて、低融点などの優れた性能を示す極性基含有プロピレン系ワックスを提供することができる。

本発明によれば、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体は、低融点でありながら、ベタ付きが少なく、極性基を含有しても結晶性を維持し、高硬度である。従って、本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体は、コーティング材や、成形様樹脂組成物、ホットメルト接着剤組成物などの各種用途に好ましく用いることができる。

[0282] 本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体は、水や溶媒への分散性、溶解性に優れる。そのため、当該変性プロピレン・α-オレフィン共重合体を含むコーティング材は、塗布後の固化速度が速く、高濃度化も可能であり、また、他樹脂へブレンドした際も、相容が良好であるため、ワニス分離を抑制したり、塗工ムラを低減したり、コーティング材の塗布面に耐ブロッキング性を付与できる。このため、樹脂溶液が分離現象を起こすことなくスプレー塗装することが可能であり、スプレー塗装することが可能な塗料、プライマー、接着剤、インキ用バインダーに有用である。また、上記コーティング材は、塗膜表面にベタツキがなく、各種成形物等へ優れた密着性を示すため、プラスチック、金属、紙、木材、繊維、皮革、ガラス、ゴム、セラミック、コンクリート等へのコーティング材、塗料、プライマー、接着剤、粘着剤、またインキ用バインダー等として、各種、工業材料分野、建築材料分野に利用される。また、塗料中のフィラー分散剤や顔料分散剤、焼結助剤、セラミックスや冶金配合物のバインダーとしても利用される。

本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体を含む成形用樹脂組成物として、衝撃強度、曲げ強度、引張強度等の力学特性のバランスに優れる。

本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体を含むホットメルト接着剤組成物は、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体とベースポリマーや粘着付与樹脂との相容性が良好であるため、流動性に優れるとともに、基材との密着性が高い。

本発明の変性プロピレン・α-オレフィン共重合体は、上記以外の種々の用途に用いることもできる。例えば、オレフィン系塗料、樹脂改質剤、ヒートシール剤、印刷インキ耐磨耗剤、表面コーティング剤、熱転写記録媒体向け添加剤、不織布改質剤、トナー添加剤、艶出し剤、樹脂成形用離型剤、ゴム用加工助剤、紙質向上剤、繊維加工助剤、電気絶縁剤、天然ワックスの配合剤、ポリオレフィンフィルムの防曇剤、顔料分散剤(マスターバッチ)、成形加工助剤、ゴム用酸化防止剤、ペーパーコーティング、繊維仕上剤、塩ビ用滑剤、アスファルト用添加剤、発泡ポリスチレン用増核剤、ロストワックス、ろうそくの一成分等種々の用途に用いることができる。」

(3)甲第3号証に記載された事項

甲第3号証には、以下の事項が記載されている。

(甲3a)「請求の範囲

[請求項1] 炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む、炭素数2~20のα-オレフィンの重合体が、イソシアネート基と反応することができる官能基を有する単量体で変性され、JIS K7122に従って測定される融解熱が、0J/g以上、50J/g以下である変性オレフィン重合体(A)と、

ポリイソシアネート(B)と

を含むことを特徴とする、接着剤。

[請求項2] 前記重合体が、プロピレンに由来する構成単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。

[請求項3] 前記プロピレンに由来する構成単位の含有割合が、前記炭素数2~20のα-オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して、40モル%以上、95モル%以下であることを特徴とする、請求項2に記載の接着剤。

[請求項4] 前記重合体において、前記プロピレンに由来する構成単位を除く構成単位が、すべて前記炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位であることを特徴とする、請求項2に記載の接着剤。

[請求項5] 前記炭素数4~20のα-オレフィンが、1-ブテンであることを特徴とする、請求項4に記載の接着剤。

[請求項6] 前記単量体の含有割合が、前記変性オレフィン重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上、15質量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。

[請求項7] 前記官能基が、カルボキシル基および/または酸無水物基であることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。

[請求項8] 炭化水素系合成油をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。

[請求項9] 基材と、

前記基材の一方側に設けられ、接着剤から形成される接着剤層と

を備え、

前記接着剤層は、

炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む、炭素数2~20のα-オレフィンの重合体が、イソシアネート基と反応することができる官能基を有する単量体で変性され、JIS K7122に従って測定される融解熱が、0J/g以上、50J/g以下である変性オレフィン重合体(A)と、

ポリイソシアネート(B)と

を含む組成物を含むコーティング剤からなることを特徴とする、積層体。

[請求項10] 前記接着剤層は、前記基材の一方面に直接積層されていることを特徴とする、請求項9に記載の積層体。

[請求項11] 前記基材の一方側に前記接着剤層を介して接着される被着体をさらに備えることを特徴とする、請求項9に記載の積層体。

[請求項12] 基材と、

前記基材の内側に接着される内側層と、

前記基材の外側に接着される外側層と、

前記基材および前記内側層の間に介在され、請求項1に記載の接着剤の硬化物を含む内側接着剤層と、

前記基材および前記外側層の間に介在される外側接着剤層とを備えることを特徴とする、電池ケース用包材。

[請求項13] 請求項12に記載の電池ケース用包材と、

前記電池ケース用包材に包装される電解液とを備え、

前記電池ケース用包材の前記内側層の少なくとも一部が、前記電解液に接触していることを特徴とする、電池。

[請求項14] 基材と、

前記基材の内側に接着される内側層と、

前記基材および前記内側層の間に介在され、請求項1に記載の接着剤の硬化物を含む内側接着剤層とを備えることを特徴とする、高アルカリ溶液用包材。

[請求項15] 請求項14に記載の高アルカリ溶液用包材と、

前記高アルカリ溶液用包材に包装されるpH9以上の溶液とを備えることを特徴とする、包装体。

[請求項16] 基材と、

前記基材の内側に接着される内側層と、

前記基材および前記内側層の間に介在され、請求項1に記載の接着剤の硬化物を含む内側接着剤層とを備えることを特徴とする、アルコール含有溶液用包材。

[請求項17] 請求項16に記載のアルコール含有溶液用包材と、

前記アルコール含有溶液用包材に包装されるアルコール含有溶液とを備えることを特徴とする、包装体。」

(甲3b)「技術分野

[0001] 本発明は、接着剤、積層体、電池ケース用包材、電池、高アルカリ溶液用包材、アルコール含有溶液用包材および包装体に関する。

[0002] 詳しくは、本発明は、接着剤およびそれから形成される接着剤層を備える積層体に関する。また、本発明は、接着剤から形成される内側接着剤層を備える電池ケース用包材およびそれを備える電池に関する。また、本発明は、接着剤から形成される内側接着剤層を備える高アルカリ溶液用包材およびそれを備える包装体に関する。また、本発明は、接着剤から形成される内側接着剤層を備えるアルコール含有溶液用包材およびそれを備える包装体に関する。

・・・

発明が解決しようとする課題

[0007] しかるに、上記した耐電解液性のさらなる向上が要求されるとともに、アルミニウム箔層と熱可塑性樹脂フィルム層との優れた接着強度の向上も要求されている。

・・・

[0009] 本発明の目的は、接着強度に優れる接着剤およびそれから形成される接着剤層を備える積層体を提供することにある。また、本発明の目的は、接着強度に優れる接着剤から形成される内側接着剤層を備える電池ケース用包材およびそれを備える電池を提供することにある。また、本発明の目的は、接着強度に優れる接着剤から形成される内側接着剤層を備える高アルカリ溶液用包材およびそれを備える包装体を提供することにある。また、本発明の目的は、接着強度に優れる接着剤から形成される内側接着剤層を備えるアルコール含有溶液用包材およびそれを備える包装体を提供することにある。

[0010] 本発明の接着剤は、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む、炭素数2~20のα-オレフィンの重合体が、イソシアネート基と反応することができる官能基を有する単量体で変性され、JIS K7122に従って測定される融解熱が、0J/g以上、50J/g以下である変性オレフィン重合体(A)と、ポリイソシアネート(B)とを含むことを特徴としている。

・・・

発明の効果

[0027] 本発明の接着剤と、これから形成される接着剤層を備える本発明の積層体、電池ケース用包材、電池、高アルカリ溶液用包材、アルコール含有溶液用包材および包装体は、耐久性に優れ、接着強度の低下を十分に抑制することができる。」

(甲3c)「発明を実施するための形態

[0029] 本発明の接着剤を調製するための組成物は、変性オレフィン重合体(A)と、ポリイソシアネート(B)とを含む。

[0030] 以下、変性オレフィン重合体(A)と、ポリイソシアネート(B)とのそれぞれについて詳述する。

[0031]1.変性オレフィン重合体(A)

変性オレフィン重合体(A)は、炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)が、イソシアネート基と反応することができる官能基を有する単量体(b)によって変性されることにより得られる。

[0032]1-1.炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)

炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)は、具体的には、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含んでいる。

[0033]

つまり、炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)は、炭素数4~20のα-オレフィンからなる単独重合体か、または、炭素数4~20のα-オレフィンと炭素数2~3のα-オレフィンとからなる共重合体である。

[0034] 炭素数4~20のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。

[0035] 炭素数4~20のα-オレフィンは、単独使用または2種以上併用することができる。

[0036] 炭素数4~20のα-オレフィンとして、好ましくは、炭素数4~10の直鎖状のオレフィン、より好ましくは、炭素数4~6の直鎖状のオレフィン、さらに好ましくは、1-ブテンが挙げられる。炭素数4~20のα-オレフィンとして1-ブテンを用いれば、良好な溶剤溶解性と優れた樹脂強度とを両立することができる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。

[0037] 炭素数2~20のα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、上記した炭素数4~20のα-オレフィンが挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。

[0038] 炭素数2~20のα-オレフィンとして、好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテンが挙げられ、より好ましくは、プロピレンおよび1-ブテンの併用が挙げられる。

[0039] 炭素数2~20のα-オレフィンとして、具体的には、例えば、炭素数4~20のα-オレフィンから選ばれる1種以上と、炭素数2~3のα-オレフィンから選ばれる1種以上との共重合体、例えば、炭素数4~20のα-オレフィンから選ばれる1種以上の単独重合体または共重合体などが挙げられる。好ましくは、共重合体が挙げられ、より好ましくは、炭素数4~20のα-オレフィンから選ばれる1種以上のα-オレフィンと、エチレンおよび/またはプロピレンとの共重合体が挙げられ、さらに好ましくは、1-ブテンとプロピレンとの共重合体が挙げられる。1-ブテンとプロピレンとの共重合体であれば、良好な溶剤溶解性と優れた樹脂強度とを両立することができる。

[0040] 共重合体としては、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体が挙げられる。好ましくは、ランダム共重合体が挙げられる。

[0041] 炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合は、炭素数2~20のα-オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して、例えば、5モル%以上、好ましくは、10モル%以上、より好ましくは、20モル%以上、さらに好ましくは、30モル%以上であり、また、例えば、100モル%以下、好ましくは、60モル%以下、より好ましくは、さらに好ましくは、50モル%以下、とりわけ好ましくは、40モル%以下である。上記含有割合が上記上限以下であれば、優れた樹脂強度を担保することができる。一方、上記含有割合が上記下限以上であれば、優れた溶剤溶解性を担保することができる。

[0042] なお、炭素数2~20のα-オレフィンの重合体は、炭素数2~20(炭素数4~20を含む)のα-オレフィンに由来する構成単位を必須の構成単位として含み、必要により、α-オレフィン以外の不飽和単量体(他の不飽和単量体という。)に由来する構成単位を任意の構成単位として含むこともできる。他の不飽和単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレンなどの共役ポリエン類や、1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5-エトリデン-2ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、2,5-ノルボナジエンなどの非共役ポリエン類が挙げられる。

[0043] 一方、重合体において、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を除く構成単位としては、好ましくは、すべて炭素数2~3のα-オレフィンに由来する構成単位、より好ましくは、すべてプロピレンに由来する構成単位が挙げられる。

[0044] 換言すれば、重合体において、炭素数2~3のα-オレフィン(好ましくは、プロピレン)に由来する構成単位を除く構成単位が、すべて炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位である。好ましくは、重合体が、炭素数4~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種と、炭素数2~3のα-オレフィン(具体的には、プロピレン)との共重合体であり、かつ、上記した他の不飽和単量体に由来する構成成分を含まない。

[0045] この場合には、炭素数2~3のα-オレフィン(好ましくは、プロピレン)に由来する構成単位の含有割合は、炭素数2~20のα-オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して、例えば、40モル%以上、好ましくは、50モル%以上、より好ましくは、60モル%以上、さらに好ましくは、65モル%以上であり、また、例えば、95モル%以下、好ましくは、90モル%以下、より好ましくは、80モル%以下、さらに好ましくは、70モル%以下である。上記含有割合が上記上限以下であれば、共重合体の融点(Tm)および融解熱(ΔH)を低下させることができる。一方、上記含有割合が上記下限以上であれば、優れた樹脂強度を担保することができる。

[0046] 上記した重合体(a)は、α-オレフィンの重合体の製造に通常用いられる公知の固体状Ti触媒やメタロセン触媒などの存在下で、炭素数2~20のα-オレフィンを重合させることにより得られる。メタロセン触媒は、例えば、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドなどのメタロセン化合物と、メチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物と、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物とからなる。より具体的には、重合体(a)は、例えば、国際公開第2004/87775号パンフレットに記載されている方法などによって得られる。

[0047] 得られた重合体(a)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定され、標準ポリスチレンで換算される重量平均分子量(Mw)は、例えば、10,000以上、1,000,000以下であり、また、分子量分布(分散度)(は、1以上、3以下である。なお、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)である。

[0048] また、重合体の融点(Tm)は、例えば、120℃未満、好ましくは100℃未満である。」

(甲3d)「[0049]1-2.イソシアネート基と反応することができる官能基を有する単量体(b)

イソシアネート基と反応することができる官能基は、活性水素を有する基であって、そのような基としては、例えば、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、下記式(1)で示される酸無水物基などが挙げられる。これら官能基は、単独使用または併用することができ、好ましく、カルボキシル基、酸無水物基、より好ましくは、酸無水物基が挙げられる。

[0050] なお、本発明において酸無水物基という場合、当該酸無水物基の一部または全部が加水分解などを受けて二塩基酸(具体的には、ジカルボン酸)の形になっていてもよい。

[0051] とりわけ好ましくは、官能基のすべてがカルボキシル基および/または酸無水物基、最も好ましくは、酸無水物基である。官能基がカルボキシル基および/または酸無水物基、好ましくは、酸無水物である場合(具体的には、官能基のすべてがカルボキシル基および/または酸無水物基、好ましくは、酸無水物基である場合)には、組成物から接着剤層を形成して硬化させる際に、カルボキシル基および/または酸無水物基、好ましくは、酸無水物基がイソシアネート基と効率的に反応しながら、変性ポリオレフィン重合体(A)の基材(例えば、アルミニウム箔など)に対する親和性を高めて、接着剤層の基材(例えば、アルミニウム箔など)に対する密着力をより一層向上させることができる。また、耐電解液性を向上させることができる。

・・・

[0053] 上記した官能基を有する単量体(b)としては、例えば、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、ビニルエステル化合物、および、それらの誘導体(不飽和カルボン酸無水物を除く)などが挙げられる。

・・・

[0061] 不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物などが挙げられる。

・・・

[0065] 単量体(b)として、好ましくは、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物、より好ましくは、不飽和カルボン酸無水物、さらに好ましくは、無水マレイン酸が挙げられる。また、好ましくは、単量体(b)のすべてが不飽和カルボン酸無水物、より好ましくは、単量体(b)のすべてが無水マレイン酸である。

[0066] 単量体(b)が不飽和カルボン酸無水物(具体的には、無水マレイン酸)である場合(好ましくは、単量体(b)のすべてが不飽和カルボン酸無水物(具体的には、無水マレイン酸)である)場合には、組成物から接着剤層を形成して硬化させる際に、不飽和カルボン酸無水物(より具体的には、無水マレイン酸)がポリイソシアネートと反応しながら、変性ポリオレフィン重合体(A)の基材(例えば、アルミニウム箔など)に対する親和性を高めて、接着剤層の基材(例えば、アルミニウム箔など)に対する密着力をより一層向上させることができる。」

(甲3e)「[0068]1-3.変性オレフィン重合体(A)の調製

変性オレフィン重合体(A)を調製するには、単量体(b)を、重合体(a)の存在下で重合反応させればよく、これによって、重合体(a)が、単量体(b)またはその重合体によって、変性される。具体的には、変性オレフィン重合体(A)を調製するには、下記(1)~(4)の方法が挙げられる。

(1)重合体(a)を有機溶媒に溶解し、単量体(b)およびラジカル重合開始剤を添加して加熱、攪拌することにより、重合体(a)を単量体(b)で変性して反応させる方法。

・・・

[0069] 単量体(b)の配合割合は、最終的に必要な単量体(b)の変性量が得られるように配合すれば特に制限はなく、重合体(a)および単量体(b)の総量100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、15質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、5質量部以下、さらに好ましくは、4質量部以下、とりわけ好ましくは、2質量部以下である。

・・・

[0072] ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機パーオキシド、有機パーエステルなどが挙げられる。

・・・

[0074] ラジカル重合開始剤のうち、好ましくは、有機パーオキシド、より好ましくは、ジクミルパーオキシド、ジ-tert-ブチルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキシドが挙げられる。」

(甲3f)「[0079]1-4.変性オレフィン重合体(A)の物性

変性オレフィン重合体(A)の、GPCによって測定され、標準ポリスチレンで換算される重量平均分子量(Mw)は、例えば、1×104以上、好ましくは、2×104以上、より好ましくは、3×104以上であり、また、例えば、1000×104以下、好ましくは、100×104以下、より好ましくは、50×104以下である。

[0080] 重量平均分子量が上記下限以上であると、塗膜の強度を十分高くすることができ、また密着強度が良好となる。一方、重量平均分子量が上記上限以下であれば、溶剤への溶解性が良好であり、固化、析出が起こりにくい。とりわけ、変性オレフィン重合体(A)の重量平均分子量が50×104以下であれば、特に、接着性能が優れる傾向にある。

・・・

[0084] 変性オレフィン重合体(A)の融解熱(ΔH)は、0J/g以上、好ましくは、3J/g以上、より好ましくは、5J/g以上であり、また、50J/g以下、好ましくは、40J/g以下、より好ましくは、30J/g以下である。

[0085] 変性オレフィン重合体(A)の融解熱(ΔH)が上記上限以下であれば、組成物からなるコーティング剤(後述)を塗布後、低温で養生して接着剤層を形成しても(後述)、接着強度の低下を防止することができる。一方、変性オレフィン重合体(A)の融解熱(ΔH)が上記下限以上であれば、組成物からなるコーティング剤(後述)を基剤に塗布し、その後、塗膜を形成する際、塗膜に優れた強度を付与することができる。

[0086] 融解熱(ΔH)は、JIS K 7122に従って、示差走査熱量測定(DSC測定)によって求められ、具体的には、10℃/分の昇温過程で得られるサーモグラムのピーク面積から算出される。その測定に際して、本発明においては、測定前の熱履歴をキャンセルする目的で、測定前に10℃/分で180℃に昇温し、その温度で3分保持し、次いで10℃/分で0℃まで降温し、その温度で3分間保持した後に、融解熱(ΔH)を測定する。

[0087] また、変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間は、例えば、100秒以上、好ましくは、300秒以上、より好ましくは、500秒以上、さらに好ましくは、700秒以上である。また、変性オレフィン重合体(A)の好ましい範囲には、実質的に結晶化が起こらず、すなわち半結晶化時間の値が大きすぎて求められない、すなわち半結晶化時間が無限大となるような場合も含まれる。

[0088] 半結晶化時間は、示差走査熱量計による等温結晶化測定によって求められ、等温結晶化過程でのDSC熱量曲線とベースラインとの間の面積を全熱量とした場合の、50%熱量に到達した時間を意味する〔新高分子実験講座8 高分子の物性(共立出版社)参照〕。

[0089] 変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が上記下限以上であれば、組成物を接着剤として用いる場合に、変性オレフィン重合体(A)が基材や被着体の表面の凹凸に浸入しながら、または、浸入した後に、ポリイソシアネート(B)と反応することができる(アンカー効果)。そのため、このような接着剤のアンカー効果に基づいて、接着剤層の接着強度をより一層向上させることができる。」

(甲3g)「[0118] 3.炭化水素系合成油(D)

組成物は、さらに、炭化水素系合成油(D)を含むこともできる。

・・・

[0127] また、組成物、あるいは、それを構成する各成分、具体的には、変性オレフィン重合体(A)、ポリイソシアネート(B)、炭化水素系合成油(D)には、必要に応じて、そのいずれかまたは全てに、エポキシ樹脂、硬化触媒、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤(光安定剤、熱安定剤を含む)、可塑剤、界面活性剤、顔料、揺変剤、増粘剤、粘着付与剤、表面調整剤、沈降防止剤、耐候剤、顔料分散剤、帯電防止剤、充填剤、有機または無機微粒子、防黴剤、シランカップリング剤などの添加剤を配合してもよい。」

(甲3h)「[0133]5.コーティング剤

このようにして調製される組成物を、コーティング剤として用いることができる。

[0134] このコーティング剤は、プライマーや塗料、ホットメルト接着剤、光学透明両面テープとして用いるのに好適である。また、該コーティング剤から得られる層を少なくとも1層有している積層体は、加飾フィルムとして好適に用いられる。

・・・

[0142] 上記した加飾方法によって得られる成形体としては、例えば、自動車内外装用部材、例えば、AV機器などの各種フロントパネル、例えば、ボタン、エンブレムなどの表面化粧材、例えば、携帯電話、カメラなど情報家電の筐体、ハウジング、表示窓、ボタンなどの各種部品、例えば、家具用外装材、例えば、浴室、壁面、天井、床などの建築用内装材、例えば、サイディングなどの外壁、塀、屋根、門扉、破風板などの建築用外装材、例えば、窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居などの家具類の表面化粧材、例えば、各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラスなどの光学部材、例えば、電車、航空機、船舶などの自動車以外の各種乗り物の内外装用部材、例えば、および瓶、化粧品容器、小物入れなどの各種包装容器、包装材料、景品、小物などの雑貨などのその他各種用途などが挙げられる。

[0143]6.コーティング剤の接着剤としての使用

また、コーティング剤は、接着剤層を形成するための本発明の接着剤として用いられる。

・・・

[0145] 以下、接着剤としての使用をする際の具体例を説明する。すなわち、具体的には、接着剤層は、基材の表面(一方側面)に積層されており、この基材と接着剤層とから積層体(例えば、接着シート)を形成する。

[0146] 基材としては、例えば、PPなどのポリオレフィン材料からなるフィルム、例えば、ABS、PC、PET、PPS、ポリアミド、アクリル樹脂などの極性樹脂からなるフィルム、例えば、ED鋼板、Mg合金、SUS(ステンレス)、アルミニウム、アルミニウム合金からなる金属箔、より好ましくは、金属箔、さらに好ましくは、アルミニウム箔が挙げられる。基材の厚みは、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、100μm以下である。

・・・

さらに、上記した接着剤層の表面(一方側面)に被着体を設けて、それらからなる積層体を構成することもできる。

[0151] 被着体としては、例えば、PPなどのポリオレフィン材料、例えば、ABS、PC、PET、PPS、ポリアミド、アクリル樹脂などの極性樹脂、例えば、ED鋼板、Mg合金、SUS(ステンレス)、アルミニウム、アルミニウム合金、ガラスなどの無機材料が挙げられる。また、上記樹脂と上記無機材料が複合化された被着体も挙げられる。好ましくは、ポリオレフィン材料からなるフィルムや成形体が挙げられる。なお、被着体の接着面(接着剤層と接触する面)には、コロナ処理などの処理を施すこともできる。

・・・

[0156] ・・・

7.積層体の用途

このような積層体は、接着強度および耐電解液性に優れる電池ケース用包材や、接着強度および耐アルカリ性に優れる高アルカリ溶液用包材、さらには、接着強度および耐アルコール性に優れるアルコール含有溶液用包材として好適に用いられる。

7-1.電池ケース用包材および電池

・・・

[0157] この電池ケース用包材1は、図1に示すように、基材2と、基材2の内側に接着される内側層3と、基材2の外側に接着される外側層4と、基材2および内側層3の間に介在される内側接着剤層5と、基材2および外側層4の間に介在される外側接着剤層6とを備えている。

・・・

[0160] 内側接着剤層5は、上記した接着剤層に相当する。

・・・

[0165] 図2に示すように、電池10は、電池ケース用包材1と、電池ケース用包材1に包装される電解液11とを備える。また、電池10は、電池ケース用包材1内に収容される正極17、負極18、および、セパレータ19を備える。

[0166] 電池ケース用包材1は、電池ケース用包材1における内側層3の内面に次に説明する電解液11が接触するように、袋状に構成されている。具体的には、電池ケース用包材1は、内側層3が電解液11に接触するように、電解液11を包装している。」

(甲3i)「実施例

[0196] 以下に示す実施例などの数値は、上記の実施形態において記載される数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。

・・・

[0198][融点(Tm)、融解熱(ΔH)]

示差走査熱量計(TA Instruments製;DSC-Q1000)を用いて、融点(Tm)および融解熱(ΔH)を求めた。

・・・

[0204][無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体の半結晶化時間]

無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体5mg程度を専用アルミニウムパンに詰め、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製;Diamond DSC)を用い、30℃から150℃まで320℃/minで昇温し、150℃で5分間保持した後、50℃まで320℃/minで降温し、その温度で保持した時に得られるDSC曲線を解析した。具体的には、DSC熱量曲線とベースラインとの間の面積から全熱量を算出し、その全熱量の50%に到達した時間を、50℃に到達した時刻を基準(t=0)として半結晶化時間を求めた。

・・・

<重合体の合成>

[製造例1:プロピレン/1-ブテン共重合体(1)の合成]

充分に窒素置換した2Lのオートクレーブに、ヘキサンを900mL、1-ブテンを90g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧7kg/cm2Gにし、メチルアルミノキサン0.30ミリモル、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドをZr原子に換算して0.001ミリモル加え、プロピレンを連続的に供給して全圧を7kg/cm2Gに保ちながら30分間重合した。重合後、脱気して大量のメタノール中でポリマーを回収し、110℃で12時間減圧乾燥した。得られたプロピレン/1-ブテン共重合体(1)の融点(Tm)は78℃、融解熱(ΔH)は29J/g、重量平均分子量(Mw)は330,000、分子量分布(分散度)(Mw/Mn)は2、プロピレンに由来する構成単位の含有割合は67モル%、1-ブテンに由来する構成単位の含有割合は33モル%であった。

[0205][製造例2:無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(1)の合成]

上記プロピレン/1-ブテン共重合体(1)3kgを10Lのトルエンに加え、窒素雰囲気下で145℃に昇温し、プロピレン/1-ブテン共重合体(1)をトルエンに溶解させた。さらに、攪拌下で無水マレイン酸382g、ジ-tert-ブチルパーオキシド175gを4時間かけて系に供給し、続けて145℃で2時間攪拌した。冷却後、多量のアセトンを投入して、無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(1)を沈殿させ、ろ過し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥した。

[0206] 得られた無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(1)の融点(Tm)は76℃、融解熱(ΔH)は29J/g、50℃での半結晶化時間は946秒、重量平均分子量(Mw)は110,000、分子量分布(Mw/Mn)は2、無水マレイン酸の変性量は無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(1)100質量部に対し、1質量部であった。

・・・

[0210][製造例5:プロピレン/1-ブテン共重合体(2)の合成]

1-ブテンの仕込み量90gを75gにした以外は[製造例1:プロピレン/1-ブテン共重合体]の合成と同様に処理した。得られたプロピレン/1-ブテン共重合体(2)の融点(Tm)は84℃、融解熱(ΔH)は32J/g、重量平均分子量(Mw)は330,000、分子量分布(Mw/Mn)は2、プロピレンに由来する構成単位の含有割合は78モル%、1-ブテンに由来する構成単位の含有割合は22モル%であった。

[0211][製造例6:無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(2)の合成]

製造例1のプロピレン/1-ブテン共重合体(1)に代えて製造例5のプロピレン/1-ブテン共重合体(2)を用いた以外は[製造例2:無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(1)の合成]と同様に処理した。得られた無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(2)の融点(Tm)は84℃、融解熱(ΔH)は32J/g、50℃での半結晶化時間は276秒、重量平均分子量(Mw)は110,000、分子量分布(Mw/Mn)は2、無水マレイン酸の変性量は無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(2)100質量部に対し、1質量部であった。

<変性オレフィン重合体(1)ワニスの調製>

[調製例1:変性オレフィン重合体ワニス(1)]

製造例2で製造した無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(1)100gを400gのトルエンに溶解させ変性オレフィン重合体ワニス(1)を調製した。

・・・

[0213]・・・

<ポリイソシアネートの準備>

[準備例1:ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性体の準備]

ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性体(「タケネートD-165N」、平均官能基数3以上、イソシアネート基含有量23.5%、三井化学社製)を、準備例1のポリイソシアネートとして準備した。

・・・

<複合フィルム(Al箔/接着剤層/PPフィルム積層体)の作製>

実施例1

調製例1の変性オレフィン重合体ワニス(1)の不揮発分と準備例1のビウレット変性体とが質量基準で表1に記載の比率になるように混合し、ラミネート用接着剤を調製した。次いで、ラミネート用接着剤をトルエンで希釈し、バーコーターを用いて、坪量3.3g/m2(固形分)となるように厚さ40μmのアルミニウム箔(表面未処理)のツヤ面上に常温下において塗布し、溶媒を揮散させた。その後、アルミニウム箔におけるラミネート用接着剤の塗布面と、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(片面コロナ処理品)におけるコロナ処理面とを貼り合わせ、60℃で3日間養生することにより、ラミネート用接着剤を硬化させて、アルミニウム箔および未延伸ポリプロピレンフィルム間を接着させて、複合フィルムを、アルミニウム箔、接着剤層および未延伸ポリプロピレンフィルムの積層体として得た。

[0214]実施例2~7および比較例1~2

表1に示す処方に従って各成分を混合して、ラミネート用接着剤を調製した以外は、実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。

・・・

[0218][表1]

[図:0001390584000012.jpg]

」

(4)甲第4号証に記載された事項

甲第4号証には、以下の事項が記載されている。

(甲4a)「【0216】

以下、・・・;「DBU」は1,8-ジアゾ-7-ビシクロ[5.4.0]ウンデセンを意味し;・・・;「r.t.」は室温を意味する。」

(5)甲第5号証に記載された事項

甲第5号証には、以下の事項が記載されている。

(甲5a)「"DBU" means l,8-diaza-7-bicyclo[5.4.0] undecene」(第46頁14行)

(6)甲第6号証に記載された事項

甲第6号証には、以下の事項が記載されている。

(甲6a)「【特許請求の範囲】

【請求項1】

変性ポリオレフィン樹脂(A)、アルコールベースのエポキシ化合物(B)と多官能イソシアネート化合物(C)とを含有することを特徴とするラミネート用接着剤組成物。

・・・

【請求項4】

前記ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、アルコールベースのエポキシ化合物(B)を0.01~100重量部の割合で配合する請求項1記載のラミネート用接着剤組成物。

【請求項5】

ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、多官能イソシアネート化合物(C)を0.1~30重量部の割合で配合する請求項4記載のラミネート用接着剤組成物。

・・・

【請求項7】

請求項1~6の何れか1つに記載のラミネート用接着剤を金属層とポリオレフィン樹脂層との間に使用した積層体。

【請求項8】

請求項7記載の積層体を含む二次電池。」

(甲6b)「【技術分野】

【0001】

本発明は、特に、二次電池に使用する電解質を封止するのに好適なラミネート積層体用接着剤組成物、これを使用した積層体、および二次電池に関するものである

・・・

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明の目的は、金属層とプラスチック層との接着性に優れ、防湿性、耐熱性、絶縁性、耐久性等を満足し、更に、耐電解質性を兼ね備え、経時で層間剥離を生じることがないラミネート積層体用接着剤組成物、それを使用した積層体、および二次電池を得ることにある。

・・・

【発明の効果】

【0007】

本発明の接着剤組成物は、アルミニウム箔等の金属層と極性の低いオレフィンシートとの間に使用することで、低温でのエージングでも優れた接着性を発現する。その結果、本接着剤を使用した積層体は、良好な耐湿性、耐熱性、耐溶剤性、耐久性等を発揮できる。

また、その積層体を二次電池用積層体として用いた場合、プロピレンカーボネートやエチレンカーボネートを用いた電解液に対して、優れた耐性を有する為、経時での層間剥離を生じることがない。」

(甲6c)「【0008】

本発明に用いるポリオレフィン樹脂としては、例えば、水酸基含有ポリオレフィン樹脂、酸基含有ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。

【0009】

前記水酸基含有ポリオレフィン樹脂としては、ポリオレフィン樹脂を後述する水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、あるいは、水酸基含有ビニルエーテルでグラフト変性あるいは共重合化して得られる。前記ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2~8のオレフィンの単独重合体や共重合体、炭素数2~8のオレフィンと他のモノマーとの共重合体を挙げることができる。具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂などのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1-ブテン)、ポリ4-メチルペンテン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリ(α-メチルスチレン)、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・へキセン共重合体などのα?オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などを挙げることができる。更に、これらポリオレフィンを塩素化した塩素化ポリオレフィンも使用することができる。」

(甲6d)「【0018】

本発明に用いるアルコールベースのエポキシ化合物(B)としては、アルコール性水酸基とエピハロヒドリンとの反応によって得られるものが挙げられる。・・・

【0019】

前記の化合物の中でも、粘度が低い点から、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテルが好ましい。更に、エポキシ樹脂中の不純物塩素量を軽減したものが好ましい。脂肪族エポキシの市販品には、例えば、共栄社化学(株)製エポライト100MF(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル)、ナガセケムテックス(株)製EX-321L(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル)がある。」

(甲6e)「【0040】

以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。尚、実施例中の「部」は、重量基準である。

・・・

【0043】

本発明のラミネート接着剤の密着性等の評価は下記の方法で行った。得られた結果を表1、2に示す。

【0044】

基材:ポリオレフィンフィルム「ZK-93KM」70μm(東レフィルム加工株式会社製)およびアルミニウム箔
塗布:バーコーター
乾燥条件:80℃、60秒 エージング条件:40℃、3日
塗布量:5g/m2(ドライ)
接着強度:株式会社エー・アンド・ディー製テンシロン試験 15mm幅 180°剥離強度
耐電解質性:エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1/1

25℃-14日間浸漬後の接着強度保持率

○:90%以上、△:90~70%、×:70%以下

【0045】

【表1】

[図:0001390584000013.jpg]

【0046】

【表2】

[図:0001390584000014.jpg]

【0047】

前記表中で用いた各種原料は、下記のものを用いた。

ユニストール P-901(三井化学株式会社製)水酸基含有ポリオレフィン樹脂、固形分水酸基価50mgKOH/g 加熱残分20%

ユニストール P-902(三井化学株式会社製)酸基含有ポリオレフィン樹脂、固形分酸価55mgKOH/g 加熱残分22%

ユニストール P-801(三井化学株式会社製)水酸基含有ポリオレフィン樹脂、固形分水酸基価40mgKOH/g 加熱残分16%

キュアゾール 2E4MZ(四国化成工業株式会社製)イミダゾール 不揮発分100%

デナコール EX-321(ナガセケムテックス株式会社製)エポキシ樹脂、エポキシ当量140 不揮発分100%

エピクロン 860(DIC株式会社製)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量240 不揮発分100%

ルプラネートM20S(BASF社製)ポリイソシアネート化合物、NCO%31.0 不揮発分100%

デスモジュールN3800(住化バイエルウレタン株式会社製)ポリイソシアネート化合物、NCO%10.9 不揮発分100%」

第5 当審の判断

1 申立理由A(進歩性)について

(1)甲第1号証に記載された発明について

甲第1号証の(甲1j)には、実施例1に着目すると、

「製造例1で得た組成物のトルエン溶液 350gに、
エポキシ樹脂(エピコート828,油化シェルエポキシ製)を15g配合し、
これを酸化チタン30gと混合し、サンドミルにて1時間顔料を分散させた後、トルエンで適当な粘度に希釈し」た組成物の発明が記載されており、

「製造例1で得た組成物のトルエン溶液」について、(甲1i)には、

「攪拌機,冷却管および滴下ロートを取り付けた三口フラスコ中で、プロピレン-ブテン共重合体(プロピレン成分75モル%,重量平均分子量65000) 100gを、キシレン 400gに加熱溶解させた後、系の温度を140℃に保って攪拌しながら、無水マレイン酸10gとジクミルパーオキサイド2gをそれぞれ2時間かけて滴下させ、その後3時間反応させた。反応後室温まで冷却した後、反応物を大量のアセトン中に投入して精製し、グラフト量 5.8%のグラフト共重合体を得た。GPCにより分子量を測定すると、重量平均分子量は27000であった。これをトルエンに20重量%の濃度で溶解した」ことが記載されているから、

甲第1号証には、

「攪拌機,冷却管および滴下ロートを取り付けた三口フラスコ中で、
プロピレン-ブテン共重合体(プロピレン成分75モル%,重量平均分子量65000) 100gを、キシレン 400gに加熱溶解させた後、
系の温度を140℃に保って攪拌しながら、無水マレイン酸10gとジクミルパーオキサイド2gをそれぞれ2時間かけて滴下させ、その後3時間反応させ、反応後室温まで冷却した後、反応物を大量のアセトン中に投入して精製して得た、
グラフト量5.8%の、GPCにより測定した重量平均分子量が27000であるグラフト共重合体をトルエンに20重量%の濃度で溶解したトルエン溶液 350gに、
エポキシ樹脂(エピコート828,油化シェルエポキシ製)を15g配合し、
これを酸化チタン30gと混合し、サンドミルにて1時間顔料を分散させた後、トルエンで適当な粘度に希釈した組成物」

の発明(以下「甲1発明A」という。)が記載されているといえる。

また、同様に、甲第1号証の実施例2に着目すると、

「製造例1で得た組成物のトルエン溶液 350gに、エポキシ樹脂(デナコールEX-611,ナガセ化成製)10gを配合した。これを酸化チタン30gと混合し、サンドミルにて1時間顔料を分散させた。反応促進剤として、アミン系触媒(U-Cat-SA-No102,サンアプロ製)の10重量%キシレン溶液7gを加えた」組成物の発明が記載されており、

「製造例1で得た組成物のトルエン溶液」として、上記と同様に(甲1i)の記載を踏まえると、

「攪拌機,冷却管および滴下ロートを取り付けた三口フラスコ中で、
プロピレン-ブテン共重合体(プロピレン成分75モル%,重量平均分子量65000) 100gを、キシレン 400gに加熱溶解させた後、
系の温度を140℃に保って攪拌しながら、無水マレイン酸10gとジクミルパーオキサイド2gをそれぞれ2時間かけて滴下させ、その後3時間反応させ、反応後室温まで冷却した後、反応物を大量のアセトン中に投入して精製して得た、
グラフト量5.8%の、GPCにより測定した重量平均分子量が27000であるグラフト共重合体をトルエンに20重量%の濃度で溶解したトルエン溶液 350gに、
エポキシ樹脂(デナコールEX-611,ナガセ化成製)10gを配合し、これを酸化チタン30gと混合し、サンドミルにて1時間顔料を分散させ、反応促進剤として、アミン系触媒(U-Cat-SA-No102,サンアプロ製)の10重量%キシレン溶液7gを加えた組成物」

の発明(以下「甲1発明B」という。)が記載されているといえる。

(2)本件発明1について

ア 対比

本件発明1と甲1発明Bとを対比する。

甲1発明Bの「グラフト共重合体」は、「プロピレン-ブテン共重合体(プロピレン成分75モル%,重量平均分子量65000)」に「無水マレイン酸」を、有機過酸化物である「ジクミルパーオキサイド」の「ラジカル発生剤」(上記(甲1e)及び本件明細書の段落【0059】を参照)の存在下で反応させたものである。

甲1発明Bの「プロピレン-ブテン共重合体(プロピレン成分75モル%,重量平均分子量65000)」は、本件発明1の「炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)」に相当する。

また、「プロピレン-ブテン共重合体(プロピレン成分75モル%,重量平均分子量65000)」は、共重合を構成する単量体として「ブテン」を有するものであるから、本件発明1と同様に「要件(i):前記重合体(a)が、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む」といえる。

甲1発明Bの「グラフト共重合体」の「無水マレイン酸」は、本件発明8及び本件明細書の(本c)の段落【0041】、【0048】、【0052】の記載からみて、「エポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有する単量体(b)」であるといえる。

本件発明1の「炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)がエポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有する単量体(b)で変性された変性オレフィン重合体」について、本件明細書の(本d)の段落【0053】~【0054】には、

「1.1.3 変性オレフィン重合体(A)の合成
重合体(A)を合成する方法としては、特に制限されず、・・・前記単量体(b)または(b1)と重合体(a)とを反応させることが好ましく、具体的には、下記(1)~(4)の方法が挙げられる。
(1)重合体(a)を溶媒に溶解し、単量体(b)または(b1)とラジカル重合開始剤とを添加して加熱、攪拌することにより、重合体(a)と単量体(b)または(b1)とを反応させる方法。・・・」

と記載されている。

一方、甲1発明Bにおいても、「重合体(a)」である「プロピレン-ブテン共重合体」を「溶媒」である「キシレン」に溶解し、「エポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有する単量体(b)」である「無水マレイン酸」を、「ラジカル発生剤」である「ジクミルパーオキサイド」を滴下して反応させたものであるから、甲1発明Bの「プロピレン-ブテン共重合体(プロピレン成分75モル%,重量平均分子量65000)・・・を、キシレン・・・に加熱溶解させた後、・・・無水マレイン酸10gとジクミルパーオキサイド2gをそれぞれ2時間かけて滴下させ、その後3時間反応させ、・・・得た、・・・重量平均分子量が27000であるグラフト共重合体」は、本件発明1の「炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)がエポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有する単量体(b)で変性された変性オレフィン重合体であり、下記要件(i)を満たす変性オレフィン重合体(A)」に相当するといえる。

甲1発明Bの「エポキシ樹脂(デナコールEX-611,ナガセ化成製)」は、本件発明1の「エポキシ化合物・・・を含む架橋剤(B)」に相当する。

甲1発明Bの「アミン系触媒(U-Cat-SA-No102,サンアプロ製)」は、本件発明1の「pKaが11以上である触媒(C)」と、「触媒(C)」である限りにおいて一致するといえる。

そうすると、本件発明1と甲1発明Bとは、

「炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)がエポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有する単量体(b)で変性された変性オレフィン重合体であり、下記要件(i)を満たす変性オレフィン重合体(A)と、
エポキシ化合物またはオキサゾリン化合物の少なくとも一方を含む架橋剤(B)と、
触媒(C)と、
を含む組成物。
要件(i):前記重合体(a)が、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む」

点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:「変性オレフィン重合体(A)」について、本件発明1では、「要件(ii):前記変性オレフィン重合体(A)のJIS K7122に従って測定される融解熱が、0~50J/gである」及び「要件(iii):前記変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が、100秒以上である」を満たすのに対して、甲1発明Bでは、そのような特定がない点。

相違点2:「触媒(C)」について、本件発明1では、「pKaが11以上」であるのに対し、甲1発明Bでは、「アミン系触媒(U-Cat-SA-No102,サンアプロ製)」である点。

イ 判断

上記相違点1について検討する。

(ア)甲1発明Bにおける相違点1の熱的特性について

甲1発明Bの「プロピレン-ブテン共重合体(プロピレン成分75モル%,重量平均分子量65000)」に「無水マレイン酸」をグラフト重合させた「グラフト共重合体」(以下「甲1発明Bの「グラフト重合体」」という。)の物性について、「α,β-不飽和ジカルボン酸または、その酸無水物をグラフト共重合した樹脂の分子量は、3000ないし35000が好ましく、3000以下では凝縮力が不足して密着性が悪くなり、35000以上では溶剤に対する溶解性や他樹脂との相溶性が悪くなって好ましくない」と「分子量」については記載されているものの、「プロピレン-ブテン共重合体」に「無水マレイン酸」をグラフト重合させた「グラフト共重合体」の分子量と「変性オレフィン重合体(A)のJIS K7122に従って測定される融解熱」及び「変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間」との関係を示す証拠がない。

したがって、「甲1発明Bの「グラフト重合体」が、本件発明1の熱的特性である「要件(ii):前記変性オレフィン重合体(A)のJIS K7122に従って測定される融解熱が、0~50J/gである」及び「要件(iii):前記変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が、100秒以上である」との要件を満たすものであることは、甲第1号証には記載されておらず、また、当該要件を満たすことについて推認できる記載もない。また、甲第2~6号証にも、甲1発明Bの「グラフト共重合体」が、本件発明1の当該要件を満たすことについて推認できる記載はない。

次に、甲1発明Bの「グラフト共重合体」が、本件発明1の当該要件を満たすことについて当業者が容易に発明をすることができたか否かについて検討する。

(イ)甲第1号証に記載の技術的事項からの容易想到性について

甲第1号証には、(甲1b)に課題について「ポリプロピレン系樹脂の塗装性や接着性を改善できるコーティング組成物を提供することを目的」とすることが記載され、そのための解決手段として、(甲1a)の請求項1及び(甲1c)に「(1)α,β-不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物を0.1ないし15重量%グラフト共重合したプロピレン-α-オレフィン共重合体(1)と、1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物または樹脂(2)を主たる構成要素とし、(1)のカルボキシル基または酸無水物基と、(2)のエポキシ基の架橋反応によって硬化皮膜を形成させることを特徴とするポリプロピレン系樹脂用コーティング組成物」とすることにより、「ポリプロピレン系樹脂に対し優れた付着性,外観,耐衝撃性,耐湿性,耐水性に加えて良好な耐ガソリン性を示すことを見い出し前記目的は達成された」ことが記載されている。

一方で、甲第1号証には、上述したとおり、甲1発明Bの「グラフト共重合体」について、その「分子量」について記載はあるものの、本件発明1の熱的特性である「要件(ii):前記変性オレフィン重合体(A)のJIS K7122に従って測定される融解熱が、0~50J/gである」及び「要件(iii):前記変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が、100秒以上である」との要件を満たすものと選択することについて動機づける記載はない。

(ウ)甲第2号証に記載の技術的事項からの容易想到性について

甲第2号証には、(甲2b)の段落[0012]に課題について「低融点であり、かつベタ付きが少なく、極性基を含有しても結晶性を維持し、高硬度化しうるなどの優れた性能を示す極性基含有プロピレン系ワックスを提供すること」が記載され、そのための解決手段として(甲2a)の請求項1には「プロピレン由来の構成単位(a)を60~95モル%、炭素数4以上のα-オレフィン由来の構成単位(b)を5~40モル%〔(a)+(b)=100モル%とする〕含み、下記(i)~(iv)を全て満たすプロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)に、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体または不飽和スルホン酸もしくはその塩から選ばれる少なくとも1種をグラフトした共重合体」の「酸価」、「(i)GPCで測定した重量平均分子量(Mw)」、「(ii)DSCで測定した融点(Tm)」、「(iii)DSCで測定した結晶融点ピークの半値幅」、「(iv)1HNMRにより測定した、1000個の炭素原子あたりのビニリデン基の個数」を特定の値とすることが記載され、請求項4には「(v)DSCで測定した融解ピークのΔHが40~100J/gの範囲にある」ことが記載され、(甲2d)の段落[0088]には「変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)の、DSCの結果により得られる融解熱量(ΔH)は、好ましくは20~100J/g、・・・、最も好ましくは35~60J/gの範囲にありうる。ΔHが上記範囲にある変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、有機溶媒、あるいは併用する樹脂に対する溶解性、分散性、コーティング材の安定性、塗膜の耐ブロッキング性のバランスに優れる」ことが記載され、段落[0098]には「変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)」の「半結晶化時間」について「30秒以上、好ましくは50秒以上、より好ましくは70秒以上、さらに好ましくは90秒以上、特に好ましくは150秒以上、最も好ましくは300秒以上である。半結晶化時間が30秒以上であると、基材に塗工した際に、スジやムラが発生して塗工性が悪化するのを抑制できる。また、得られた塗膜の基材への密着性も損ないにくい」ことも記載されている。さらに、(甲2i)の段落[0217]の[表2]の製造例1~3の「A-1」~「A-3」の「変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)」として、本件発明1の「要件(i)」~「要件(iii)」を満たす変性プロピレン・1-ブテン共重合体も記載されている(製造例1の「A-1」については、下記「2 申立理由B(進歩性)について」「(2)本件発明1について」「ア 対比」を参照。)。

しかしながら、甲第2号証には、下記の「2 申立理由B(進歩性)について」「(2)本件発明1について」「イ 判断」「(ア)甲第2号証に記載の技術的事項からの容易想到性について」で検討するように、甲第1号証の(甲1a)記載の「1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物または樹脂(2)」を必須の構成とすることまでは記載されていない。

また、甲第1号証は、上述のとおり、「ポリプロピレン系樹脂の塗装性や接着性を改善できるコーティング組成物を提供することを目的」として「α,β-不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物を0.1ないし15重量%グラフト共重合したプロピレン-α-オレフィン共重合体(1)」と「1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物または樹脂(2)」を主たる構成要素とする「ポリプロピレン系樹脂用コーティング組成物」とするものであるのに対し、甲第2号証は、「低融点であり、かつベタ付きが少なく、極性基を含有しても結晶性を維持し、高硬度化しうるなどの優れた性能を示す極性基含有プロピレン系ワックスを提供すること」を目的とし、「プロピレン・α-オレフィン共重合体(A1)に、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体または不飽和スルホン酸もしくはその塩から選ばれる少なくとも1種をグラフトした共重合体」の「酸価」、「(i)GPCで測定した重量平均分子量(Mw)」、「(ii)DSCで測定した融点(Tm)」、「(iii)DSCで測定した結晶融点ピークの半値幅」、「(iv)1HNMRにより測定した、1000個の炭素原子あたりのビニリデン基の個数」を特定の値とするものである。

そうすると、甲第1号証と甲第2号証では、その目的や課題解決のための手段が異なることから、甲1発明Bの主要な成分である「グラフト共重合体」として甲第2号証に記載された特定の熱的特性を有する「グラフトした共重合体」を用いること、あるいは、甲第2号証を参酌しても甲1発明Bの主要な成分である「グラフト共重合体」として本件発明1の「要件(ii)」及び「要件(iii)」を満たすものを採用することを直ちに動機づけることはできない。

(エ)甲第3号証に記載の技術的事項からの容易想到性について

甲第3号証の(甲3b)には課題として「接着強度に優れる接着剤およびそれから形成される接着剤層を備える積層体を提供する」ことが記載され、(甲3a)の請求項1には、「炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む、炭素数2~20のα-オレフィンの重合体が、イソシアネート基と反応することができる官能基を有する単量体で変性され、JIS K7122に従って測定される融解熱が、0J/g以上、50J/g以下である変性オレフィン重合体(A)・・・」が記載されている。この「JIS K7122に従って測定される融解熱が、0J/g以上、50J/g以下である」ことについて、甲第3号証の(甲3f)の段落[0085]には「変性オレフィン重合体(A)の融解熱(ΔH)が上記上限以下であれば、組成物からなるコーティング剤(後述)を塗布後、低温で養生して接着剤層を形成しても(後述)、接着強度の低下を防止することができる」と、「低温で養生して接着剤層を形成しても(後述)、接着強度の低下を防止することができる」ことを意図したものであることが記載されている。さらに、(甲3i)の実施例1では、「製造例2で製造した無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(1)100gを400gのトルエンに溶解させ変性オレフィン重合体ワニス(1)」(段落[0211]を参照)と「ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性体(「タケネートD-165N」、平均官能基数3以上、イソシアネート基含有量23.5%、三井化学社製)を、準備例1のポリイソシアネート」(段落[0213]を参照)とを「混合し、ラミネート用接着剤を調製」したこと、「製造例2で製造した無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(1)」の「融解熱(ΔH)は29J/g」、「50℃での半結晶化時間は946秒」であること(段落[0206]を参照)、「ラミネート用接着剤」について「・・・60℃で3日間養生することにより、ラミネート用接着剤を硬化させて、アルミニウム箔および未延伸ポリプロピレンフィルム間を接着させて、複合フィルムを、アルミニウム箔、接着剤層および未延伸ポリプロピレンフィルムの積層体として得た」(段落[0213]を参照)と、「60℃で3日間養生」の条件下で接着したことを確認している。

一方、甲第1号証の(甲1b)の「本発明は、・・・ポリプロピレン系樹脂の塗装性や接着性を改善できるコーティング組成物を提供することを目的としている」との記載からみて、「塗装性や接着性」の改善を目的としたものであるといえ、(甲1j)の実施例1では「・・・ポリプロピレン板にスプレー塗布した。約10分間室温で放置乾燥した後、二液型ウレタン系塗料をスプレー塗布し、10分間室温で放置した。次に、熱風乾燥器を用いて80℃で30分間強制乾燥した。得られた塗装板を室温で7日間放置した後、塗膜の試験を行った」、(甲1k)の実施例2では「・・・これを実施例1と同様な操作を行い塗装板を得た」と記載されており、これらの記載からみて、甲第3号証の上記の「低温で養生して接着剤層を形成」することまでも意図してものであるとはいえない。また、甲1発明Bは、「変性オレフィン重合体(A)」とともに「エポキシ樹脂」を含むものであるのに対し、甲第3号証は「エポキシ樹脂」を用いるものではなく「ポリイソシアネート(B)」を用いる点でも異なる。

そうすると、甲1発明Bの「グラフト共重合体」として、甲第3号証に記載された特定の熱的特性を有する「グラフトした共重合体」を用いること、あるいは、甲第3号証を参酌しても甲1発明Bの主要な成分である「グラフト共重合体」として本件発明1の「要件(ii)」及び「要件(iii)」を満たすものを採用することを直ちに動機づけることはできない。

(エ)他の甲号証に記載の技術的事項からの容易想到性について

また、甲第4~6号証を参酌しても、甲1発明Bの主要な成分である「グラフト共重合体」として本件発明1の「要件(ii)」及び「要件(iii)」を満たすものを採用することを直ちに動機づけることはできない。

ウ 小括

以上のとおり、本件発明1は、相違点2について検討するまでもなく、甲1発明及び甲第2~6号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものともいえない。

(3)本件発明14について

ア 対比

本件発明1と甲1発明Aとを上記「(2)本件発明1について」「ア 対比」での検討を踏まえて対比する。

甲1発明Aの「エポキシ樹脂(エピコート828,油化シェルエポキシ製)」は、本件発明14の「ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂」に相当する。

そうすると、本件発明14と甲1発明Aとは、

「炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)がエポキシ基に対し反応性の官能基を有する単量体(b1)で変性された変性オレフィン重合体であり、下記要件(i)を満たす変性オレフィン重合体(A)と、
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物およびトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルより選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B1)と、
を含む組成物。
要件(i):前記重合体(a)が、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む」点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3:「変性オレフィン重合体(A)」について、本件発明14では、「要件(ii):前記変性オレフィン重合体(A)のJIS K7122に従って測定される融解熱が、0~50J/gである」及び「要件(iii):前記変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が、100秒以上である」を満たすのに対して、甲1発明Aでは、そのような特定がない点。

イ 判断

上記相違点3について検討する。

相違点3は、上記相違点1と同じものであり、上記「(2)本件発明1について」「イ判断」で検討したとおり、本件発明14も、甲第1号証に記載された発明であるとはいえないし、また、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。また、本件発明14も、甲1発明A及び甲第2~6号証に記載された事項から、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 小括

以上のとおり、本件発明14も、甲1発明及び甲第2~6号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)本件発明2~13、15~16について

本件発明2~13は本件発明1を直接的又は間接的に引用して限定した発明であり、本件発明15~16は本件発明14を直接的又は間接的に引用して限定した発明であるから、本件発明2~13、15~16は、上記(2)(3)で示した理由と同じ理由により、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)まとめ

以上のとおり、申立理由Aによっては、本件発明1~16に係る特許を取り消すことはできない。

2 申立理由B(進歩性)について

(1)甲第2号証に記載された発明について

甲第2号証の(甲2i)には、「コーティング材」である「溶媒溶解型組成物」について段落[0223]、[0245]、[0256]の[表6]の実施例5として、

「200ml三角フラスコに、
有機溶媒としてメチルシクロヘキサン(SP値7.8)90質量部と、
ワックスとして製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)10質量部
とを投入し、ヒーター付きスターラーを用いて室温にて攪拌して、溶媒溶解型組成物」の発明が記載されており、

「製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)」について、段落[0207]及び[0211]にその製造方法について「無水マレイン酸」により変性したことが記載され、段落[0217]の[表2]には、その物性について、「融解熱量」が「37J/g」であること、「半結晶化時間」は「515秒」であることが記載されている。

そうすると、甲第2号証には、実施例5として、

「200ml三角フラスコに、
有機溶媒としてメチルシクロヘキサン(SP値7.8)90質量部と、
ワックスとして製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)(無水マレイン酸変性、融解熱量:37J/g、半結晶化時間515秒)10質量部
とを投入し、ヒーター付きスターラーを用いて室温にて攪拌して、溶媒溶解型組成物」の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。

(2)本件発明1について

ア 対比

本件発明1と甲2発明とを対比する。

甲2発明の「製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)(無水マレイン酸変性、融解熱量:37J/g、半結晶化時間515秒)」は、本件発明1と同様に「炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)」であって「要件(i):前記重合体(a)が、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む」ものといえる。

また、甲2発明の「製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)」は、「無水マレイン酸変性」のものであり、本件明細書の(本c)の段落【0041】の記載、(本j)の段落【0149】の記載からみて、本件発明1の「エポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有する単量体(b)で変性された変性オレフィン重合体」であるといえる。

さらに、甲2発明の「製造例1で得られた変性プロピレン・1-ブテン共重合体(A-1)」は、「融解熱量:37J/g」、「半結晶化時間515秒」の熱的特性を有するものであり、その測定方法に関して、甲第2号証の(甲2i)の段落[0198]~[0200]、[0206]の記載と本件明細書の(本b)の段落【0040】及び(本j)の段落【0140】、【0146】の記載からみると、甲2発明においても本件明細書とで同様の方法で測定されているといえるから、本件発明1の「要件(ii):前記変性オレフィン重合体(A)のJIS K7122に従って測定される融解熱が、0~50J/gである」及び「要件(iii):前記変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が、100秒以上である」の要件を満たすといえる。

そうすると、本件発明1と甲2発明とは、

「炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)がエポキシ基またはオキサゾリン基に対し反応性の官能基を有する単量体(b)で変性された変性オレフィン重合体であり、下記要件(i)~(iii)を満たす変性オレフィン重合体(A)
を含む組成物。
要件(i):前記重合体(a)が、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む
要件(ii):前記変性オレフィン重合体(A)のJIS K7122に従って測定される融解熱が、0~50J/gである
要件(iii):前記変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が、100秒以上である」

である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点4:「組成物」中に、本件発明1では、「エポキシ化合物またはオキサゾリン化合物の少なくとも一方を含む架橋剤(B)」を含むのに対し、甲2発明では、これを含んでいない点。
相違点5:「組成物」中に、本件発明1では、「pKaが11以上である触媒(C)」を含んでいるのに対し、甲2発明では、これを含んでいない点。

イ 判断

上記相違点4について検討する。

(ア)甲第2号証に記載の技術的事項からの容易想到性について

甲第2号証の(甲2e)の段落[0102]、[0103]には、「樹脂組成物」として用いた場合に、配合できる「他の樹脂(B1)」として、「エポキシ樹脂」を含む多様な樹脂を配合できることが記載されているものの、「特に、変性プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)との相溶性の観点では、オレフィン系樹脂やスチレン系樹脂が好ましく、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーが特に好ましい。後述するように樹脂組成物をプライマーとして用いた場合に、上塗り層との密着性を得やすくする観点では、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい」と記載されており、多様な樹脂の中から、特に、「エポキシ樹脂」を積極的に選択する動機付けがあるとはいえない。また、(甲2f)の段落[0110]、[0112]、[0125]には、用途として「コーティング材」とした場合に配合できる「他の樹脂(B1)」について同様の記載があり、(甲2g)の段落[0145]~[0146]には、用途として「成形用樹脂組成物」とした場合に配合できる樹脂について、「エポキシ樹脂」を含む態様な樹脂の記載があるものの、特に、「エポキシ樹脂」を積極的に選択する動機付けがあるとはいえない。

また、(甲2e)の[0108]、[0111]には、「樹脂組成物」として用いる場合に配合できる多様な「添加剤」について記載され、(甲2g)の段落[0174]にも、「成形用樹脂組成物」として用いる場合に配合できる多様な「添加剤」について記載されているが、「架橋剤(B)」として「エポキシ化合物またはオキサゾリン化合物の少なくとも一方」を配合することは記載されていない。

そうすると、甲第2号証の記載を参酌しても、甲2発明において、「架橋剤(B)」として「エポキシ化合物またはオキサゾリン化合物の少なくとも一方」を配合することを動機づけることはできない。

(イ)甲第1号証に記載の技術的事項からの容易想到性について

上記「(ア)甲第2号証に記載の技術的事項からの容易想到性について」で検討したとおり、甲第2号証には、「架橋剤(B)」として「エポキシ化合物またはオキサゾリン化合物の少なくとも一方」を配合することは記載されておらず、また、上記「1 申立理由A(進歩性)について」「(2)本件発明1について」「イ 判断」「(ウ)甲第2号証に記載の技術的事項からの容易想到性について」で検討したとおり、甲第1号証と甲第2号証では、その目的や課題解決のための手段が異なることから、甲2発明において、「架橋剤(B)」として「エポキシ化合物またはオキサゾリン化合物の少なくとも一方」を配合することを動機づけることはできない。

(ウ)他の甲号証に記載の技術的事項からの容易想到性について

また、甲第3~6号証の上記摘記を参酌しても、甲2発明において、「架橋剤(B)」として「エポキシ化合物またはオキサゾリン化合物の少なくとも一方」を配合することを動機づけることはできない。

ウ 小括

以上のとおり、本件発明1は、甲2発明及び甲第1、3~6号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものともいえない。

(3)本件発明14について

ア 対比

本件発明14と甲2発明とを上記「(2)本件発明1について」「ア 対比」での検討を踏まえて対比すると、両者は、

「炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(a)がエポキシ基に対し反応性の官能基を有する単量体(b1)で変性された変性オレフィン重合体であり、下記要件(i)~(iii)を満たす変性オレフィン重合体(A)
を含む組成物。
要件(i):前記重合体(a)が、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含む
要件(ii):前記重合体(A)のJIS K7122に従って測定される融解熱が、0~50J/gである
要件(iii):前記変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が、100秒以上である」

である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点6:「組成物」中に、本件発明14では、「ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物およびトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルより選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B1)」を含むのに対し、甲2発明では、これを含んでいない点。

イ 判断

上記相違点6について検討する。

相違点6の「ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物およびトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルより選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B1)」は、上記相違点3の「エポキシ化合物」を含む「架橋剤(B)」をより特定したものであり、上記「(2)本件発明1について」「イ 判断」で検討したとおり、本件発明14も、甲第2号証に記載された発明であるとはいえないし、また、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。また、本件発明14も、甲2発明び甲第1、3~6号証に記載された事項から、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 小括

以上のとおり、本件発明14は、甲2発明及び甲第1、3~6号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものともいえない。

(4)本件発明2~13、15~16について

本件発明2~13は本件発明1を直接的又は間接的に引用して限定した発明であり、本件発明15~16は本件発明14を直接的又は間接的に引用して限定した発明であるから、本件発明2~13、15~16は、上記(2)(3)で示した理由と同じ理由により、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3~6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)まとめ

以上のとおり、申立理由Bによっても、本件発明1~16に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび

以上のとおり、申立人が主張する異議申立ての理由A~B及び証拠によっては、本件発明1~16に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に本件発明1~16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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2022-700271

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