2022-019031
複合部材の様々な材料層を分離するための方法及び装置
- 審判番号
- 2022-019031
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-566348外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月25日
- 審決日
- 2024年03月01日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】グロース・レアンダー・キリアン
- 【請求人代理人】江崎 光史
- 【請求人代理人】鍛冶澤 實
- 【請求人代理人】中村 真介
- 【請求人】グロース・マシャ・エリー
- 【請求人代理人】江崎 光史
- 【請求人代理人】鍛冶澤 實
- 【請求人代理人】中村 真介
- 分類
- P18 .121-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、2018年(平成30年)1月25日(パリ条約による優先権主張2017年1月26日、ドイツ、2017年4月20日、ドイツ、2017年6月14日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
第2 令和4年11月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年11月25日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正により、請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は、補正箇所である。)。
「【請求項1】複合部材の複数の異なる材料層を分離する方法であって、前記複合部材が、光起電モジュールであり、40%を超える透過率を有する、可視光について透明な少なくとも1つの材料層と、以下では光を吸収する材料層という少なくとも1つの第1の別の材料層とを含んでおり、ウエハを基礎とする光起電モジュールの前記光を吸収する材料層が、ケイ素から成るか、又は薄膜太陽電池モジュールの発電層であり、外部の光源の光が、前記少なくとも1つの透明な材料層を通って、前記第1の別の光を吸収する材料層へ入射し、そこで光が少なくとも部分的に吸収される、前記方法において、前記外部の光源の光が、少なくとも1つの気体放電ランプを用いて提供され、これにより、光を吸収する材料層が、前記複合部材の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドにおいて、1秒よりも短い時間照射されるとともに加熱され、気体放電ランプから発出される可視光が、前記透明な材料層を通過して、光を吸収する材料層の加熱を引き起こすように、前記少なくとも1つの気体放電ランプが構成されるとともに作動されること、前記露光フィールドにおける前記照射が、露光時間の一時点において一定の強度を有していること、及び光を吸収する材料層の加熱の結果、前記複合部材の互いに隣接する少なくとも2つの材料層が互いに分離されることを特徴とする方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正前の請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】複合部材の複数の異なる材料層を分離する方法であって、前記複合部材が、光起電モジュール、ディスプレイ、「集光型太陽光発電」の分野における構成要素であり、40%を超える透過率を有する、可視光について透明な少なくとも1つの材料層と、少なくとも1つの第1の別の材料層とを含んでおり、外部の光源の光が、前記少なくとも1つの透明な材料層を通って、以下では光を吸収する材料層という前記第1の別の材料層へ入射し、そこで光が少なくとも部分的に吸収される、前記方法において、前記外部の光源の光が、少なくとも1つの気体放電ランプを用いて提供され、これにより、光を吸収する材料層が、前記複合部材の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドにおいて、1秒よりも短い時間照射されるとともに加熱されること、前記露光フィールドにおける前記照射が、露光時間の一時点において一定の強度を有していること、及び光を吸収する材料層の加熱の結果、前記複合部材の少なくとも2つの材料層が互いに分離されることを特徴とする方法。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「複合部材」について、「光起電モジュール、ディスプレイ、「集光型太陽光発電」の分野における構成要素」との記載を「光起電モジュール」と限定し、「少なくとも1つの第1の別の材料層」について、「光を吸収する材料層」であり、当該「光を吸収する材料層」が「ウエハを基礎とする光起電モジュール」の「光を吸収する材料層」であって、かつ、「ケイ素から成るか、又は薄膜太陽電池モジュールの発電層」と限定し、「外部の光源の光」について、「気体放電ランプから発出される可視光」であり、「前記透明な材料層を通過して、光を吸収する材料層の加熱を引き起こす」ものである光であって、当該「光」が、「前記少なくとも1つの気体放電ランプが構成されるとともに作動され」ることにより発出されるものであるとの限定をし、さらに、「互いに分離される」「複合部材の少なくとも2つの材料層」について、当該2つの材料層が「互いに隣接する」と限定したものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載及び引用発明
ア 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の最先の優先権主張の日(以下「最先の優先日」という。)前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2015-217372号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審が付した。)。
「【請求項1】保護ガラスと、前記保護ガラス並びに裏面保護材と封止材により接着してなる太陽電池素子、及び太陽電池素子を接続する配線部材を備えた太陽電池パネルのリサイクル方法であって、封止材である樹脂成分と、保護ガラス、太陽電池素子、裏面保護材、及び配線部材の分離方法に於いて、光ビーム照射により、当該封止材である樹脂成分を沸騰状態及び/又は沸騰状態とした後に、当該封止材と、保護ガラス、太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材を分離させる工程を有することを特徴とする太陽電池パネルのリサイクル方法。【請求項2】光ビームの光源が、ハロゲンランプ、赤外線ランプ及び遠赤外線ランプから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。」
「【0001】本発明は、太陽電池パネルのリサイクル方法に関し、特に太陽電池パネルの封止材である樹脂成分とガラス及びシリコンモジュールを効率的に分離させるリサイクル方法に関する。」
「【0005】以上の通り、太陽電池パネルのリサイクル方法について種々提案がなされているが、特許文献1では軟化した充填材と裏面保護材の分離にブレード等の治具による物理的な方法が必要であるという工程の煩雑さ、特許文献2では芳香族系有機溶媒を使用するため、容器溶剤の管理と安全性面、特許文献3では封止樹脂材の除去に2段階の加熱分離工程が必要になる、というように其々の先行文献には課題があり、より効率的で安全なリサイクル方法が求められている。」
「【0009】すなわち、本発明は、太陽電池パネルのリサイクルに於いて、最も大変な工程である太陽電池パネルの各部材と封止材であるEVA樹脂との分離を、光ビームを近距離より特定の出力にて照射することによって、EVA樹脂を炭化させることなく沸騰状態にし、EVA樹脂の流動性を高め、保護ガラス、太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材を分離させることを可能とし、太陽電池パネルの分離・解体作業を効率的かつ容易にすることを可能にした。【発明の効果】【0010】本発明の光ビーム照射により封止材であるEVA樹脂と保護ガラス、太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材とを分離する方法を用いることにより、太陽電池パネルの解体、リサイクルが短時間且つ容易に可能となるため、リサイクル作業が大幅に効率化される。」
「【0012】以下に、本発明について詳細に説明する。先ず、一般的な太陽電池パネルの構造について、図1を用いて説明する。太陽電池パネルは、一般的に、太陽光が照射される側から、保護ガラス(1)、その下部に封止材(2)で固定された発電を行う太陽電池素子(3)、その太陽電池素子で発電された電気を集電する配線部材(5)、そして、最下部に裏面保護材(4)があり、前記各部材を固定する周辺枠材から構成されている。【0013】そして、其々の主な部材は、保護ガラス(1)は強化ガラス、封止材(2)はEVA樹脂、太陽電池素子(3)はシリコン(集電部は銀電極)、配線部材(5)は銅又は銅に錫等をメッキした金属導電性材料、太陽電池素子と配線材部の接合にははんだ材料、裏面保護材(4)にはフッ素系樹脂、PET系樹脂、アルミニウム箔とPET樹脂を積層したフィルム等が、一般的に用いられている。」
「【0016】これに対して、本発明は、熱源としてハロゲンランプや赤外線等の光ビームを用いる点では同様であるが、光ビーム照射によって、太陽電池素子(3)を接着固定している封止材(2)であるEVA樹脂を沸騰状態にして、EVA樹脂の粘着性を著しく低下させて、保護ガラス(1)、太陽電池素子(3)、裏面保護材(4)、及び配線部材(5)との接着力を殆どなくし、また、EVA樹脂が沸騰状態になること及び一部がガス化するため体積が膨張することにより、太陽電池パネル内で保護ガラスと太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材と位置関係を壊すことによって、EVA樹脂を保護ガラス、太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材から容易に分離させることを可能にしたリサイクル方法並びに工程である。すなわち、本発明の光ビーム照射によって、EVA樹脂を沸騰状態にした場合、EVA樹脂の粘性は著しく低下し、保護ガラス及び太陽電池素子は自重又は簡単な衝撃により、ブレード等の剥ぎ取り治具を使用しなくても、EVA樹脂と分離することが可能となる。また、本発明のEVA樹脂の沸騰状態とは、あくまでも加熱により、太陽電池パネルに使用されているEVA樹脂表面から気泡を発生している状態や本来の接着能力を著しく低下させて流動性が著しくました状態を指し、EVA樹脂本来の沸点状態という意味合いに限定されない。続きを表示(全25行)【実施例】【0017】次に、本発明について実施例を用いて説明する。〔試料〕市販の太陽電池パネルを約10cm角の大きさに切断した試料を準備する。〔実験方法〕市販のハロゲンランプ(100V,2kw,f25/L80)セットした自社製の照射装置を用いて、約10cm角サイズに切断した太陽電池パネル片を耐火煉瓦板に光ビームが垂直にあたるように設置して、EVA樹脂が沸騰状態に達する迄光ビームを照射する。(本実験では、光ビーム照射後に、約5秒で、光ビーム照射部分のEVA樹脂が沸騰状態に達したことを確認した。)EVA樹脂が沸騰状態に達したら電源をoffにして、光ビームの照射を止め、速やかに切断した太陽電池パネル片を垂直に立てる。〔試験結果〕1.保護ガラス試料である太陽電池パネルを耐火煉瓦板に垂直に立てると直ぐに、EVA樹脂が沸騰状態になった部分の保護ガラスが剥がれ始め、その自重にてEVA樹脂が沸騰状態を確認していない保護ガラスも剥がれ落ちた。そして、まだ接着している保護ガラスにピンセットで軽い衝撃を与えると試料である切断した太陽電子パネルに残存した保護ガラスの全て剥がれ落ちるのを確認した。2.太陽電池素子光ビーム照射後直ぐに、光ビーム照射部分の保護ガラスに亀裂が生じ始めると、その直後から保護ガラスの亀裂に追随するように太陽電池素子も破損していき、沸騰状態のEVA樹の特性や発生した気泡に相応して、当該太陽電池素子も連動し、保護ガラス及び裏面保護材から分離していることを確認した。光ビーム照射を止めて、試料である切断した太陽電池パネルを耐火煉瓦板に垂直に立てると、EVA樹脂が沸騰状態となった部分の太陽電池素子は破片状となり、剥がれ落ちているのを確認した。その際に、EVA樹脂の炭化物と思われる黒化物は見られなかった【0018】実施例で示すように、ハロゲンランプのサイズに制限があったため、太陽電池パネル全体のEVA樹脂が沸騰状態にならない部分もあったが、光ビーム照射によりEVA樹脂が沸騰状態になった部分は、封止材であるEVA樹脂と、保護ガラス、太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材がブレードを使用することなく分離出来ることが確認された。【0019】本発明の光ビーム照射によるEVA樹脂を沸騰状態にする方法として、EVA樹脂が炭化する等の問題が発生しない限り、熱源は特に制限はされず、ハロゲンランプや赤外線ランプ等が例示でき、特に赤外線ランプは、保護ガラスや太陽電池素子の主たる素材であるシリコンを透過して、太陽電池素子の裏面に存在するEVA樹脂に対しても作用するため、EVA樹脂を効率的に沸騰状態にすることが可能となり、好ましい。」
図1は次のものである。
[図:0001412727000001.jpg]
イ 上記アによれば、引用文献には、光ビームの光源としてハロゲンランプを用いた太陽電池パネルのリサイクル方法において、封止材である樹脂成分と、保護ガラス、太陽電池素子、裏面保護材、及び配線部材を分離する方法について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(引用発明等の認定の根拠とした段落の段落番号等を参考までに括弧内に付してある。)。
「保護ガラスと、前記保護ガラス並びに裏面保護材と封止材により接着してなる太陽電池素子、及び太陽電池素子を接続する配線部材を備えた太陽電池パネルのリサイクル方法において、封止材である樹脂成分と、保護ガラス、太陽電池素子、裏面保護材、及び配線部材を分離する方法であって、(請求項1)太陽電池パネルは、太陽光が照射される側から、保護ガラス(1)、その下部に封止材(2)で固定された発電を行う太陽電池素子(3)、その太陽電池素子で発電された電気を集電する配線部材(5)、そして、最下部に裏面保護材(4)があり、前記各部材を固定する周辺枠材から構成され、(【0012】)保護ガラス(1)は強化ガラス、封止材(2)はEVA樹脂、太陽電池素子(3)はシリコン(集電部は銀電極)、配線部材(5)は銅又は銅に錫等をメッキした金属導電性材料、太陽電池素子と配線材部の接合にははんだ材料、裏面保護材(4)にはフッ素系樹脂、PET系樹脂、アルミニウム箔とPET樹脂を積層したフィルムが、用いられ、(【0013】)光ビーム照射によって、太陽電池素子(3)を接着固定している封止材(2)であるEVA樹脂を沸騰状態にして、EVA樹脂の粘着性を著しく低下させて、保護ガラス(1)、太陽電池素子(3)、裏面保護材(4)、及び配線部材(5)との接着力を殆どなくし、また、EVA樹脂が沸騰状態になること及び一部がガス化するため体積が膨張することにより、太陽電池パネル内で保護ガラスと太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材と位置関係を壊すことによって、EVA樹脂を保護ガラス、太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材から容易に分離させることを可能にするものであり、(【0016】)EVA樹脂が沸騰状態に達する迄光ビームを照射し、(【0017】)光ビーム照射によって、EVA樹脂を沸騰状態にした場合、EVA樹脂の粘性は著しく低下し、保護ガラス及び太陽電池素子は自重又は簡単な衝撃により、ブレード等の剥ぎ取り治具を使用しなくても、EVA樹脂と分離することが可能となり、(【0016】)ハロゲンランプをセットした照射装置を用いて、太陽電池パネル片に光ビームを照射するものであって、(【0017】)光ビーム照射によるEVA樹脂を沸騰状態にする方法として、EVA樹脂が炭化する等の問題が発生しない限り、熱源は特に制限はされず、ハロゲンランプや赤外線ランプ等が例示でき、(【0019】)太陽電池パネルの解体、リサイクルが短時間且つ容易に可能となる(【0010】)方法。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明を対比する。
ア 本件補正発明の「複合部材の複数の異なる材料層を分離する方法」との特定事項について
(ア)引用発明の「封止材である樹脂成分と、保護ガラス、太陽電池素子、裏面保護材、及び配線部材」は、本件補正発明の「複数の異なる材料層」に、相当する。
(イ)また、引用発明の太陽電池パネルは「保護ガラスと、前記保護ガラス並びに裏面保護材と封止材により接着してなる太陽電池素子、及び太陽電池素子を接続する配線部材を備え」ることから、当該太陽電池パネルは本件補正発明でいう「複合部材」であるといえる。
(ウ)そうすると、引用発明の「太陽電池パネルのリサイクル方法において、封止材である樹脂成分と、保護ガラス、太陽電池素子、裏面保護材、及び配線部材を分離する方法」は、本件補正発明の「複合部材の複数の異なる材料層を分離する方法」に相当する。
イ 本件補正発明の「複合部材が、光起電モジュールであり、40%を超える透過率を有する、可視光について透明な少なくとも1つの材料層と、以下では光を吸収する材料層という少なくとも1つの第1の別の材料層とを含んでおり、ウエハを基礎とする光起電モジュールの前記光を吸収する材料層が、ケイ素から成るか、又は薄膜太陽電池モジュールの発電層であり、」との特定事項について
(ア)引用発明の「太陽電池パネル」は、本件補正発明の「光起電モジュール」に相当する。
(イ)引用発明の「太陽電池パネル」は、上記ア(イ)のとおり、本件補正発明でいう「複合部材」であるといえることから、引用発明では、本件補正発明でいう「複合部材が、光起電モジュールであ」ることになる。
(ウ)引用発明の太陽電池パネルの「保護ガラス」について、太陽電池の技術分野において、保護ガラスが透明であって可視光を透過することは技術常識であるから、引用発明の「保護ガラス」と、本件補正発明の「40%を超える透過率を有する、可視光について透明な少なくとも1つの材料層」とは、「可視光について透明な少なくとも1つの材料層」の点で共通する。
(エ)引用発明の「太陽電池素子」は、上記強化ガラスとは別の材料層であることは明らかであるとともに、光を吸収する材料層であることも、「太陽電池素子」が光のエネルギーを吸収して起電力を得るという技術常識に照らして明らかである。そして、引用発明の「太陽電池素子」は、シリコン(集電部は銀電極)からなるものであるところ、太陽電池素子のシリコンがケイ素からなるウエハにより構成され、太陽電池パネルを構成する複数の層のうちの「発電層」としての一つの層を形成することは、一般に太陽電池素子のシリコンがケイ素からなるウエハにより一つの層を構成するという技術常識に照らして明らかである。
そうすると、引用発明の「太陽電池素子」は、本件補正発明の「以下では光を吸収する材料層という少なくとも1つの第1の別の材料層」であって、「ウエハを基礎とする光起電モジュールの前記光を吸収する材料層が、ケイ素から成る」「発電層」であることに相当する。
ウ 本件補正発明の「外部の光源の光が、前記少なくとも1つの透明な材料層を通って、前記第1の別の光を吸収する材料層へ入射し、そこで光が少なくとも部分的に吸収される、」との特定事項について
(ア)引用発明において「ハロゲンランプをセットした照射装置」を用いることは、本件補正発明の「外部の光源」を用いることに相当する。
(イ)引用発明のハロゲンランプの「光ビーム」は、本件補正発明の「外部の光源の光」に相当し、ハロゲンランプの「光ビーム」が可視光を含むことは技術常識に照らして明らかである。
(ウ)上記イ(ウ)のとおり、引用発明の「保護ガラス」は可視光を透過するといえるとともに、引用発明の「太陽電池素子」が可視光を吸収することも技術常識に照らして明らかである。
(エ)そうすると、引用発明の「ハロゲンランプをセットした照射装置」の「光ビーム」が、可視光について透明な「保護ガラス」を通って、「太陽電池素子」に吸収されることは、本件補正発明の「外部の光源の光が、前記少なくとも1つの透明な材料層を通って、前記第1の別の光を吸収する材料層へ入射し、そこで光が少なくとも部分的に吸収される、」ことに相当する。
エ 本件補正発明の「前記外部の光源の光が、少なくとも1つの気体放電ランプを用いて提供され、これにより、光を吸収する材料層が、前記複合部材の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドにおいて、1秒よりも短い時間照射されるとともに加熱され、気体放電ランプから発出される可視光が、前記透明な材料層を通過して、光を吸収する材料層の加熱を引き起こすように、前記少なくとも1つの気体放電ランプが構成されるとともに作動されること、前記露光フィールドにおける前記照射が、露光時間の一時点において一定の強度を有していること」との特定事項について
(ア)引用発明において「ハロゲンランプをセットした照射装置」を用いるところ、光ビーム照射によるEVA樹脂を沸騰状態にする方法として、EVA樹脂が炭化する等の問題が発生しない限り、熱源は特に制限はされないことと、本件補正発明の「前記外部の光源の光が、少なくとも1つの気体放電ランプを用いて提供さ」れることとは、「前記外部の光源の光が、少なくとも1つの」光源「を用いて提供さ」れることで共通する。
(イ)引用発明の「太陽電池パネル」には、「光ビーム」が「照射」されているところ、当該「照射」は「太陽電池パネル」の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドを照射しているといえる。そして、「太陽電池パネル」の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドに照射された光ビームは、当該露光フィールドに対応して、「太陽電池パネル」の「太陽電池素子」を「照射」していることは明らかであるし、光ビームに照射された「太陽電池素子」が、当該光ビームのエネルギーを吸収して「加熱」されることは技術常識に照らして明らかであるから、引用発明の「太陽発電素子」が光ビームによって照射されるとともに加熱される上で、「ハロゲンランプをセットした照射装置」が、上記「照射」及び「加熱」を引き起こすように構成されているといえる。
また、当該「太陽電池素子」には、EVA樹脂が沸騰状態に達する迄光ビームを照射するところ、当該「光ビーム」が、露光時間の一時点において一定の強度を有することは、自明である。
(ウ)そうすると、引用発明において、「ハロゲンランプをセットした照射装置を用いて、太陽電池パネル片に光ビームを照射」し、「EVA樹脂が沸騰状態に達する迄光ビームを照射する」ことと、本件補正発明において、「前記外部の光源の光が、少なくとも1つの気体放電ランプを用いて提供され、これにより、光を吸収する材料層が、前記複合部材の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドにおいて、1秒よりも短い時間照射されるとともに加熱され、気体放電ランプから発出される可視光が、前記透明な材料層を通過して、光を吸収する材料層の加熱を引き起こすように、前記少なくとも1つの気体放電ランプが構成されるとともに作動されること、前記露光フィールドにおける前記照射が、露光時間の一時点において一定の強度を有していること」とは、「前記外部の光源の光が、少なくとも1つの」光源「を用いて提供され、これにより、光を吸収する材料層が、前記複合部材の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドにおいて、」所定の時間「照射されるとともに加熱され、」光源「から発出される可視光が、前記透明な材料層を通過して、光を吸収する材料層の加熱を引き起こすように、前記少なくとも1つの」光源「が構成されるとともに作動されること、前記露光フィールドにおける前記照射が、露光時間の一時点において一定の強度を有していること」、という点で共通する。
オ 本件補正発明の「光を吸収する材料層の加熱の結果、前記複合部材の互いに隣接する少なくとも2つの材料層が互いに分離されること」との特定事項について
(ア)引用発明の「太陽電池パネル」は、「保護ガラス(1)、その下部に封止材(2)で固定された発電を行う太陽電池素子(3)、その太陽電池素子で発電された電気を集電する配線部材(5)、そして、最下部に裏面保護材(4)、その太陽電池素子で発電された電気を集電する配線部材(5)、そして、最下部に裏面保護材(4)」を備えていることから、保護ガラスと太陽電池素子は封止剤を挟んで隣接しているものといえる。
(イ)本件補正発明の「光を吸収する材料層」は、「気体放電ランプ」により「光」が「照射されるともに加熱され」るところ、当該「照射」及び「加熱」の結果、本件補正発明の「光を吸収する材料層」に隣接する部材が間接的に加熱されることは不可避であることから、本件補正発明が、「光を吸収する材料層の加熱の結果」「互いに分離される」ことは、「光を吸収する材料層」及び隣接する部材の「加熱の結果」「互いに分離される」ことといえる。そして、本件補正発明の「少なくとも2つの材料層が互いに分離されること」が光を吸収する材料層の「加熱の結果」生じることの意味は、本件補正後の明細書の【0047】に、第2の露光後に、前面側ガラスが、例えば吸盤を用いて、背面側ガラスから取り外されることが記載されていることに照らせば、「加熱」のみによって「分離」状態に至ることまでを要するのではなく、分離のためには通常必要とされない程度の外力を付加して「分離」状態に至ることをも含むと解される。
これを引用発明についてみると、引用発明では、上記エ(イ)のとおり、引用発明の「太陽電池素子」は、「光ビーム」が「照射されるとともに加熱される」ところ、当該「光ビーム照射」及び「加熱」の結果、引用発明の「太陽電池素子」に隣接する樹脂成分が間接的に加熱されることは不可避であるとともに、引用発明においては、「太陽電池素子」が、「光ビーム」が「照射されるとともに加熱され」、当該「光ビーム照射」及び「加熱」の結果、「EVA樹脂が沸騰状態になること及び一部がガス化するため体積が膨張することにより、太陽電池パネル内で保護ガラスと太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材と位置関係を壊すことによって、EVA樹脂を保護ガラス、太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材から容易に分離させることを可能」にし、「光ビーム照射によって、EVA樹脂を沸騰状態にした場合、EVA樹脂の粘性は著しく低下し、保護ガラス及び太陽電池素子は自重又は簡単な衝撃により、ブレード等の剥ぎ取り治具を使用しなくても、EVA樹脂と分離する」ことが可能である。
そうすると、引用発明は、「太陽電池素子」が、「光ビーム」が「照射されるとともに加熱され」、当該「光ビーム照射」及び「加熱」の結果、保護ガラスと太陽電池素子が分離されるといえるから、本件補正発明の「光を吸収する材料層の加熱の結果、前記複合部材の互いに隣接する少なくとも2つの材料層が互いに分離されること」に相当する。
(4)一致点及び相違点の認定
上記(3)によれば、本件補正発明と引用発明は、下記の点で一致し、下記の点で一応相違するか、又は、相違する。
【一致点】
「複合部材の複数の異なる材料層を分離する方法であって、前記複合部材が、光起電モジュールであり、可視光について透明な少なくとも1つの材料層と、以下では光を吸収する材料層という少なくとも1つの第1の別の材料層とを含んでおり、ウエハを基礎とする光起電モジュールの前記光を吸収する材料層が、ケイ素から成る発電層であり、外部の光源の光が、前記少なくとも1つの透明な材料層を通って、前記第1の別の光を吸収する材料層へ入射し、そこで光が少なくとも部分的に吸収される、前記方法において、外部の光源の光が、少なくとも1つの光源を用いて提供され、これにより、光を吸収する材料層が、前記複合部材の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドにおいて、所定の時間照射されるとともに加熱され、光源から発出される可視光が、前記透明な材料層を通過して、光を吸収する材料層の加熱を引き起こすように、前記少なくとも1つの光源が構成されるとともに作動されること、前記露光フィールドにおける前記照射が、露光時間の一時点において一定の強度を有していること、及び光を吸収する材料層の加熱の結果、前記複合部材の互いに隣接する少なくとも2つの材料層が互いに分離される方法。」
【相違点1】
可視光について透明な少なくとも1つの材料層が、本件補正発明は、「40%を超える透過率を有する」のに対し、引用発明は、「保護ガラス」であるものの、その透過率は明らかでない点。
【相違点2】
光源が、本件補正発明は、「気体放電ランプ」であるのに対し、引用発明は、「ハロゲンランプをセットした照射装置」を用いるところ、光ビーム照射によるEVA樹脂を沸騰状態にする方法として、VA樹脂が炭化する等の問題が発生しない限り、熱源は特に制限はされないものの、気体放電ランプではない点。
【相違点3】
本件補正発明は、「光を吸収する材料層が、前記複合部材の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドにおいて、1秒よりも短い時間照射されるとともに加熱され」るのに対し、引用発明は、「EVA樹脂が沸騰状態に達する迄光ビームを照射」するものの、1秒よりも短い時間か明らかでない点。
(5)判断
ア 相違点1について
(ア)上記(3)イ(ウ)のとおり、引用発明の「保護ガラス」は、可視光を透過するものといえる。
(イ)そして、「太陽電池パネル」の「保護ガラス」として、通常、透過率が高いもの、少なくとも40%を超える透過率と有するものを用いることは、技術常識に照らして明らかであり、引用発明の「保護ガラス」も、そのような透過率を有すると考えるのが自然である。
(ウ)以上によれば、引用発明は相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるといえるから、相違点1は実質的な相違点ではない。
イ 相違点2及び3について
(ア)引用発明は、「太陽電池素子」で発電するものであるとともに、光ビーム照射を「ハロゲンランプ」を用いて行うものである。そして、一般にシリコンを用いた太陽電池素子は、可視光の波長の光で発電することが可能であることは技術常識であるとともに、引用文献の【0019】には、「ハロゲンランプ」が「赤外線ランプ」と併記された上で、「赤外線ランプ」に対してのみ、シリコンを透過することが記載されており、しかも、上記(3)ウ(イ)のとおり、「ハロゲンランプ」が可視光の波長の光を照射できる光源であることは技術常識であるから、引用文献に接した当業者は、「ハロゲンランプ」が可視光の波長の光を照射する光源として位置付けられていることを認識するといえる。
また、引用発明は、「ハロゲンランプをセットした照射装置」を用いるところ、光ビーム照射によるEVA樹脂を沸騰状態にする方法として、EVA樹脂が炭化する等の問題が発生しない限り、熱源は特に制限されないし、引用発明が、保護ガラスや太陽電池素子の主たる素材であるシリコンを透過して、太陽電池素子の裏面に存在するEVA樹脂に対しても作用することが必要であるという事情は見当たらないから、裏面に存在するEVA樹脂に対しても作用するために、引用文献の【0019】に記載された赤外線ランプを用いることが必須であるとはいえない。
そうすると、引用発明の熱源としてハロゲンランプ以外のハロゲンランプと同様の可視光の波長を有する光源を用いた場合であっても当該光源の光ビームによって「太陽発電素子」が「照射されるとともに加熱される」ものであることが示唆されているといえる。
(イ)そして、引用発明の「太陽電池素子」は、「光ビーム」が「照射されるとともに加熱される」ところ、引用発明は、当該「光ビーム照射」及び「加熱」の結果、「EVA樹脂が沸騰状態になること及び一部がガス化するため体積が膨張することにより、太陽電池パネル内で保護ガラスと太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材と位置関係を壊すことによって、EVA樹脂を保護ガラス、太陽電池素子並びに配線部材、及び裏面保護材から容易に分離させることを可能」にし、「光ビーム照射によって、EVA樹脂を沸騰状態にした場合、EVA樹脂の粘性は著しく低下し、保護ガラス及び太陽電池素子は自重又は簡単な衝撃により、ブレード等の剥ぎ取り治具を使用しなくても、EVA樹脂と分離する」ことが可能であり、太陽電池パネルの解体、リサイクルが短時間且つ容易に可能となるような、封止材である樹脂成分と、保護ガラス、太陽電池素子、裏面保護材、及び配線部材を分離する方法であるから、当業者は、引用発明の熱源としてハロゲンランプよりも短時間で前記分離が可能である光源を採用する動機づけがあるといえる。
(ウ)加えて、気体放電ランプであるフラッシュランプは、可視光の波長を有することが技術常識に照らして明らかであるとともに、短時間(100ms以下)で材料の加熱を行うことができる光源として、気体放電ランプであるフラッシュランプを用いることは周知技術である(必要ならば、特開2016-72293号公報(【0029】)、特開2004-134672号公報(【0065】)及び国際公開第2016/175654号(14頁6~20行)を参照されたい。)。
(エ)そうすると、上記(イ)のとおり、太陽電池パネルの解体、リサイクルのために、引用発明の分離をする方法を短時間で行うことが動機づけられる当業者が、短時間で加熱ができ、かつ、ハロゲンランプと同様に可視光の波長を有する、上記(ウ)で説示した周知の気体放電ランプであるフラッシュランプを採用することは、適宜なし得る周知技術の選択に過ぎない。
その際に、引用発明の「保護ガラス」は可視光を透過する以上、気体放電ランプであるフラッシュランプの可視光を透過することは明らかである。
(オ)以上によれば、引用発明に周知技術を採用し、相違点2及び3に係る本件補正発明の構成のようにすることは当業者が適宜なし得た事項である。
ウ 本件補正発明の効果について
これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の効果は、本件補正発明の構成が奏するものとして、引用発明及び周知技術に基づき当業者が予測し得た範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ 請求人の主張について
請求人は、(i)引用文献は、EVA樹脂を沸騰状態にして当該EVA樹脂と他の材料層を分離する準備をする方法を開示しているにすぎず、すなわち、当該他の材料層間の分離をするものではない、(ii)引用文献においては、EVA樹脂を「沸騰状態」にしていることから、リサイクルを目的とする本件補正発明のような「光起電モジュール」である複合材料の分離には全く不適である旨主張する。
しかしながら、上記(i)については、引用発明の「封止材である樹脂成分と、保護ガラス、太陽電池素子、裏面保護材、及び配線部材を分離する方法」は、光ビーム照射によって、EVA樹脂を沸騰状態にした場合、EVA樹脂の粘性は著しく低下し、保護ガラス及び太陽電池素子は自重又は簡単な衝撃により、ブレード等の剥ぎ取り治具を使用しなくても、EVA樹脂と分離することが可能となるものであり、自重又は簡単な衝撃にEVA樹脂と分離することが可能となる程度に接しているに過ぎないから、上記(3)オ(イ)で説示したとおり、光ビーム照射によりEVA樹脂が沸騰状態とすることで、分離の準備だけではなく、材料層間の分離ができるものである。
また、上記(ii)について、引用発明は、「太陽電池パネルのリサイクル方法」であることから、材料のリサイクルを行うものであり、EVA樹脂が「沸騰状態」となりEVA樹脂が仮にリサイクルに適さないものになったとしても、他の部材のリサイクルを行うものといえる。
したがって、上記請求人の主張は、失当である。
(6)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年5月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の最先の優先日前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて、本願の最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないという内容を含むものである。
3 進歩性について
(1)引用文献の記載及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載及び引用発明は、上記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
(2)対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]1で検討した本件補正発明から、上記第2の2で説示した限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2で認定判断したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-019031