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特許拒絶査定不服審判

2022-017630

表示装置

審判番号
2022-017630
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-150462外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年11月02日
審決日
2024年06月17日
公報発行日
2024年09月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-150462「表示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月20日出願公開、特開2020- 27824〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

1 手続の経緯

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本願は、平成30年8月9日の出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。

令和4年 6月 1日付け:拒絶理由通知書

同年 7月 7日 :意見書及び手続補正書の提出

同年 9月 9日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同月20日 :原査定の謄本の送達)

同年11月 2日 :審判請求書及び手続補正書の提出

同年12月 9日付け:前置報告書

令和5年 1月30日 :上申書
同年10月23日付け:拒絶理由通知書
同年12月14日 :意見書及び手続補正書の提出

2 本願発明

本願の請求項1~17に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、令和5年12月14日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)後の請求項1~17に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1の記載は、次のとおりのものである。

<本願発明>

「発光装置と、
前記発光装置が実装される実装基板と、
前記実装基板に対して前記発光装置が位置する側において前記発光装置の周囲を囲むハウジングと、を備えており、
前記発光装置は、
続きを表示(全19行)
第1方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面を有する発光素子と、
前記発光素子を搭載する支持部材と、
前記支持部材の上に形成され、前記発光素子を覆う透光性樹脂と、を備えており、
前記支持部材は、
前記素子主面と同じ方向を向く基材主面および前記素子裏面と同じ方向を向く基材裏面を有する基材と、
各々が、前記発光素子に導通し、かつ、前記基材に配置された第1配線および第2配線を含む配線パターンと、を備えており、
前記発光素子は、前記素子裏面と前記基材主面とが対向した姿勢で搭載されており、
前記透光性樹脂は、
前記発光素子が発した光の集光制御を行うレンズ部と、
前記第1方向において前記支持部材と前記レンズ部との間に介在し、かつ、前記発光素子を覆う基部と、を含んでおり、
前記支持部材の前記第1方向の寸法は、前記基部の前記第1方向の寸法よりも大きく、前記基部の前記第1方向の寸法の1.29~2.86倍であり、
前記第1方向において前記実装基板と前記ハウジングとの間には、隙間が設けられており、
前記発光装置の前記支持部材の前記第1方向の寸法は、前記隙間の長さよりも大であり、
前記発光素子の前記第1方向の寸法は、0.06~0.20mmである、
ことを特徴とする表示装置。」

3 当審拒絶理由の概要

本願発明は、本件補正前の請求項1の記載を引用する請求項6に係る発明であるところ、令和5年10月23日付け拒絶理由通知書で通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)は、本件補正前の請求項6に係る発明に対する、次の理由を含むものである。

本件補正前の請求項6に係る発明は、その出願日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術事項及び周知技術に基いて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開2018-10949号公報

2.特開2013-214671号公報

3.実願昭57-142185号(実開昭59-45948号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)

4 当審の判断

(1)引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定

ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定

(ア)引用文献1に記載された事項

当審拒絶理由で引用された特開2018-10949号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は当合議体が付した、以下同じ。)

「【請求項1】
第1方向において、第1方向前方を向く基材主面および第1方向後方を向く基材裏面を有し、前記第1方向に直角な第2方向において互いに反対側を向く一対の第1基材側面、前記第1方向および前記第2方向に直角な第3方向において互いに反対側を向く一対の第2基材側面を有する基材と、
前記基材主面に搭載された半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を覆い、かつ、透光性を有し、前記第1方向視において、前記基材より小である封止樹脂と、
前記基材主面に形成された主面電極を有し、前記半導体発光素子への導通経路である配線パターンと、
前記第1方向視において、前記主面電極と重なるパターン被覆部を有し、絶縁性の材質からなるレジスト層と、
を備えており、
前記パターン被覆部は、前記第2方向において、前記封止樹脂の端縁より外側に配置され、かつ、前記第1方向視において、一方の前記第2基材側面から他方の前記第2基材側面まで前記第3方向に繋がる樹脂流出防止部を有する、ことを特徴とする半導体発光装置。」

【請求項2】

前記樹脂流出防止部は、前記第1方向視において、線状であり、かつ、前記封止樹脂の前記第2方向の端縁と一致している、請求項1に記載の半導体発光装置。」

「【請求項11】
前記半導体発光素子は、前記第1方向前方を向く第1パッド部と、前記第1方向後方を向く第2パッド部と、を有し、
前記第1パッド部は、前記ワイヤがボンディングされ、前記ワイヤボンディング部と導通し、
前記第2パッド部は、導通性接合材により前記ダイボンディング部に接合され、前記ダイボンディング部と導通している、請求項10に記載の半導体発光装置。」
「【請求項21】
前記封止樹脂は、前記第1方向前方に突き出たドーム状のドーム形状部を有する、請求項20に記載の半導体発光装置。」
「【0034】
図1~図8において、半導体発光装置Aの厚さ方向をz方向、z方向に直角な方向をx方向、x方向およびz方向に直角な方向をy方向とする。また、各方向において、矢印が向く方向を前方とし、その反対方向を後方としている。z方向が本発明の「第1方向」に相当し、x方向が本発明の「第2方向」、y方向が本発明の「第3方向」に相当する。
【0035】
基材1は、絶縁性の材料よりなる。このような絶縁性の材料としては、例えば、絶縁性の樹脂もしくはセラミックなどが挙げられる。絶縁性の樹脂としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂などが挙げられる。セラミックとしては、例えば、Al2O3、SiC,またはAlNなどが挙げられる。なお、基材1は、アルミニウムなどの金属よりなる基板に、絶縁膜が形成されたものであってもよい。基材1は、z方向視において、x方向に長く伸びた矩形状を呈する。本実施形態においては、基材1は、z方向寸法が、400μmである。基材1は、基材主面11、基材裏面12、一対の第1基材側面13,14、および、一対の第2基材側面15,16を有する。」
「【0040】
半導体発光素子2は、いわゆるLEDチップであり、半導体発光装置Aの光源となる電子部品である。なお、半導体発光素子2は、LEDチップに限定されず、受光素子あるいはダイオードなどであってもよい。半導体発光素子2は、n型半導体層と活性層とp型半導体層とを有する。n型半導体層は活性層に積層されている。活性層はp型半導体層に積層されている。よって、活性層はn型半導体層とp型半導体層との間に位置する。n型半導体層、活性層、および、p型半導体層は、例えば、GaNよりなる。半導体発光素子2は、z方向前方を向く面に第1パッド部を有し、z方向後方を向く面に第2パッド部を有する。なお、これらの図示は省略する。半導体発光素子2は、基材1に搭載されている。半導体発光素子2の発光色は特に限定されない。
【0041】
配線パターン3は、半導体発光素子2に電力を供給するための電流経路を構成するものである。配線パターン3は、半導体発光素子2に導通している。配線パターン3は、例えば、Cu、Ni、Ti、Auなどの単種類または複数種類の金属からなる。配線パターン3は基材1に形成されている。本実施形態においては、配線パターン3は、厚さ18μmのCu箔上に厚さ15μmのCuめっきを有している。したがって、配線パターン3は、z方向寸法が33μmである。なお、配線パターン3の構成および厚さ方向寸法はこれに限定されない。配線パターン3は、主面電極31、複数の裏面電極32,33、および、複数の側面電極34,35を有する。
【0042】
主面電極31は、基材1の基材主面11の一部を覆う。主面電極31は、ダイボンディング部311、ワイヤボンディング部312、第1端縁部313、第2端縁部314、第1連結部315、第2連結部316、第1帯状部317、および、第2帯状部318を有している。」
「【0047】
第1帯状部317および第2帯状部318は、基材主面11のy方向前方の端部からy方向後方の端部まで繋がっている。第1帯状部317は、基材主面11のx方向前方寄りに配置されている。第2帯状部318は、基材主面11のx方向後方寄りに配置されている。本実施形態においては、第1帯状部317は、第1端縁部313および第1連結部315と繋がっている。また、第2帯状部318は、第2端縁部314および第2連結部316と繋がっている。」
「【0049】
側面電極34,35はそれぞれ、基材1のスルーホール部131,141の表面を覆っている。側面電極34,35は、基材主面11から基材裏面12に達している。側面電極34は、z方向前方の端縁が第1端縁部313に繋がり、z方向後方の端縁が裏面電極32に繋がっている。したがって、半導体発光素子2の第2パッド部は、ダイボンディング部311、第1連結部315、第1端縁部313、および、側面電極34を介して、裏面電極32と電気的に接続されている。側面電極35は、z方向前方の端縁が第2端縁部314に繋がり、z方向後方の端縁が裏面電極33に繋がっている。」
「【0050】
レジスト層4は、基材1に形成され、絶縁性を有する材質からなる。なお、理解の便宜上、一部の図において、レジスト層4にハッチングして示している。レジスト層4は、基材主面側レジスト41と基材裏面側レジスト42とを含んでいる。
【0051】
基材主面側レジスト41は、基材1の基材主面11に形成されている。基材主面側レジスト41は、フィルム状のレジストを圧着して貼り付け、硬化させることで、基材主面11に形成される。フィルム状のレジストを圧着するときの圧力により、基材主面側レジスト41には、z方向前方の面が平面となる。基材主面側レジスト41は、パターン被覆部411および基材被覆部413を有する。
【0052】
パターン被覆部411は、基材主面側レジスト41のうち、配線パターン3上に形成された部分である。パターン被覆部411は、z方向前方の面が平坦である。本実施形態においては、パターン被覆部411は、第1帯状部317および第2帯状部318のすべてを覆っている。本実施形態においては、パターン被覆部411は、z方向寸法が、15μmである。パターン被覆部411は、樹脂流出防止部412を有する。」
「【0054】
基材被覆部413は、基材主面側レジスト41のうち、基材1上に形成された部分である。本実施形態においては、基材被覆部413のz方向寸法は、配線パターン3のz方向寸法とパターン被覆部411のz方向寸法との和より小さい。例えば、基材被覆部413のz方向寸法は40μmである。」
「【0056】
ワイヤ5は、半導体発光素子2と配線パターン3とを導通させるためのものである。ワイヤ5は、例えば、Auなどの金属からなり、ワイヤボンディングによりボンディングされている。ワイヤ5は、一端が半導体発光素子2の第1パッド部にボンディングされ、他端がワイヤボンディング部312にボンディングされている。したがって、半導体発光素子2の第1パッド部は、ワイヤ5、ワイヤボンディング部312、第2連結部316、第2端縁部314、および、側面電極35を介して、裏面電極33と電気的に接続されている。
【0057】
封止樹脂6は、半導体発光素子2、配線パターン3の一部、レジスト層4の一部、および、ワイヤ5を覆っている。封止樹脂6は、光を透過させる樹脂材料からなる。このような樹脂材料として、透明あるいは半透明の、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、もしくは、ポリビニル系樹脂などが挙げられる。また、半導体発光素子2からの光によって励起されることにより異なる波長の光を発する蛍光材料を含むものであってもよい。
【0058】
封止樹脂6は、後述する金型成形工程においてモールド成形により形成される。封止樹脂6は、x方向において、基材1よりも小である。また、封止樹脂6は、z方向前方にドーム形状部61を有する。
【0059】
ドーム形状部61は、封止樹脂6のうち、z方向前方に突出し、半球体形状をなす部分である。当該ドーム形状部61により、半導体発光素子2から発せられた光を所定の方向に照射することができる。すなわち、ドーム形状部61により、封止樹脂6は凸面レンズとして機能する。なお、封止樹脂6の形状は特に限定されない。例えば、半導体発光素子2から発する光を拡散させる場合には、z方向前方の面を凹面にしてもよい。」
「図1
[図:0001413745000001.jpg]
」
「図2
[図:0001413745000002.jpg]
」
「図7
[図:0001413745000003.jpg]
」

(イ)前記(ア)の記載から読み取れる技術事項

前記【0035】、【0057】~【0059】の記載及び図7より、封止樹脂6は、第1方向においてドーム形状部61と基材1との間に、半導体発光素子2を覆う部分を有していると認められる。

(ウ)引用発明の認定

前記(ア)及び(イ)より、引用文献1には、実施形態に係る半導体発光装置について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、参考までに、引用発明の認定に用いた引用文献1の記載等に係る段落番号等を括弧内に付してある。

<引用発明>

「第1方向において、第1方向前方を向く基材主面および第1方向後方を向く基材裏面を有し、前記第1方向に直角な第2方向において互いに反対側を向く一対の第1基材側面、前記第1方向および前記第2方向に直角な第3方向において互いに反対側を向く一対の第2基材側面を有する基材と、
前記基材主面に搭載された半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を覆い、かつ、透光性を有し、前記第1方向視において、前記基材より小である封止樹脂と、
前記基材主面に形成された主面電極を有し、前記半導体発光素子への導通経路である配線パターンと、
続きを表示(全26行)
前記第1方向視において、前記主面電極と重なるパターン被覆部を有し、絶縁性の材質からなるレジスト層と、
を備えており、
前記パターン被覆部は、前記第2方向において、前記封止樹脂の端縁より外側に配置され、かつ、前記第1方向視において、一方の前記第2基材側面から他方の前記第2基材側面まで前記第3方向に繋がる樹脂流出防止部を有する、半導体発光装置であって、(【請求項1】)
前記樹脂流出防止部は、前記第1方向視において、線状であり、かつ、前記封止樹脂の前記第2方向の端縁と一致しており、(【請求項2】)
前記半導体発光素子は、前記第1方向前方を向く第1パッド部と、前記第1方向後方を向く第2パッド部と、を有し、(【請求項11】)
前記封止樹脂は、前記第1方向前方に突き出たドーム状のドーム形状部を有し、(【請求項21】)
前記封止樹脂は、第1方向においてドーム形状部と基材との間に、半導体発光素子を覆う部分を有し、(前記(イ))
半導体発光素子は、第1方向前方を向く面に第1パッド部を有し、第1方向後方を向く面に第2パッド部を有し、(【0034】、【0040】)
基材は、第1方向寸法が、400μmであり、(【0034】、【0035】)
配線パターンは、第1方向寸法が33μmであり、主面電極、複数の裏面電極32,33、および、複数の側面電極34,35を有し、(【0034】、【0041】)
配線パターンは、基材に形成され、(【0041】)
主面電極は、ダイボンディング部、ワイヤボンディング部、第1端縁部、第2端縁部、第1連結部、第1帯状部、および、第2帯状部を有し、(【0042】)
第1帯状部は、第1端縁部および第1連結部と繋がっており、第2帯状部は、第2端縁部および第2連結部と繋がっており、(【0047】)
半導体発光素子の第2パッド部は、ダイボンディング部、第1連結部、第1端縁部、および、側面電極34を介して、裏面電極32と電気的に接続されており、(【0049】)
レジスト層は、基材主面側レジストと基材裏面側レジストを含んでおり、(【0050】)
基材主面側レジストは、パターン被覆部および基材被覆部を有し、(【0051】)
パターン被覆部は、基材主面側レジストのうち、配線パターン上に形成された部分であり、(【0052】)
基材被覆部は、基材主面側レジストのうち、基材上に形成された部分であり、(【0054】)
ワイヤは、半導体発光素子と配線パターンとを導通させるためのものであり、半導体発光素子の第1パッド部は、ワイヤ、ワイヤボンディング部、第2連結部、第2端縁部、および、側面電極35を介して、裏面電極33と電気的に接続されており、(【0056】)
封止樹脂は、半導体発光素子、配線パターンの一部、レジスト層の一部を覆っており、(【0057】)
ドーム形状部は、封止樹脂のうち、第1方向前方に突出し、半球体形状をなす部分であり、ドーム形状部により、封止樹脂は凸面レンズとして機能する、(【0034】、【0059】)
半導体発光装置。」

イ 引用文献2に記載された事項及び引2装置の認定

(ア)引用文献2に記載された事項

当審拒絶理由で引用された特開2013-214671号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。

「【請求項1】
少なくとも一つの側面が透明部材で形成される角筒状のケースと、該ケースに収容され、前記透明部材を透過させて光を照射する光源が搭載される配線基板と、前記光源からの光を通す貫通穴が形成され、前記配線基板上に配置される遮光板とを備える光源装置において、
前記遮光板には、前記配線基板上に搭載される電子部品と対向する位置にその対向する電子部品を収容可能な凹部が形成されてなることを特徴とする光源装置。」
「【0017】
以下、本発明の光源装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。本実施形態では、本発明の光源装置を自動車に搭載される光源装置に適用する例を説明するが、例えば、自動車に搭載されるメータ等の計器類、文字や記号等による各種の情報表示のインジケータ意匠が施された表示板を背面側から照明して視認性を向上させる表示装置等に本発明を適用することもできる。」
「【0027】
本実施形態では、遮光板7は、LED11を貫通穴23に収容するとともに、配線基板5の基板面9に搭載される電子部品13をそれぞれ凹部25に収容した状態で配線基板5上に配置されるので、遮光板7を配線基板5上に載せることができ、或いは、載せない場合でも、遮光板7を配線基板5に近づけて配置することができる。また、遮光板7は、電子部品13との接触を避けるために、段付き形状にする必要がなく、形状の複雑化を避けることができる。したがって、配線基板5に遮光板7を取り付けたときの配線基板5と遮光板7との合計の厚みを薄くすることができ、しかも遮光板7を配線基板5に固定する構造を簡単にできるため、より小さなケース3に収容することができる。また、遮光板7と配線基板5との隙間を小さくすることにより、LED11から発光する光の漏れを少なくできるため、貫通穴23を通じたLED11の発光状態の視認性を高めることができる。」

(イ)前記(ア)の記載から読み取れる技術事項

前記(ア)の【0017】の記載より、引用文献2には、引用文献2に記載された光源装置を適用した表示装置が記載されているものと認められる。また、前記(ア)の【0027】の記載によれば、遮光板と配線基板との間には隙間が存在するものと認められる。

(ウ)引2装置の認定

前記(ア)の【請求項1】、【0027】及び前記(イ)より、引用文献2には、次の装置(以下「引2装置」という。)が記載されていると認められる。

<引2装置>

「光源装置を適用した表示装置であって、(前記(イ))
光源装置は、少なくとも一つの側面が透明部材で形成される角筒状のケースと、該ケースに収容され、前記透明部材を透過させて光を照射する光源が搭載される配線基板と、前記光源からの光を通す貫通穴が形成され、前記配線基板上に配置される遮光板とを備え、
前記遮光板には、前記配線基板上に搭載される電子部品と対向する位置にその対向する電子部品を収容可能な凹部が形成されてなり、(【請求項1】)
前記遮光板を前記配線基板に近づけて配置することができ、前記遮光板と前記配線基板との間に隙間が存在し、前記遮光板と前記配線基板との隙間を小さくすることにより、前記光源から発光する光の漏れを少なくできる、(【0027】、前記(イ))
表示装置。」

(2)対比(一致点及び相違点)

ア 本願発明の「発光装置と、前記発光装置が実装される実装基板と、前記実装基板に対して前記発光装置が位置する側において前記発光装置の周囲を囲むハウジングと、を備えており」、「前記第1方向において前記実装基板と前記ハウジングとの間には、隙間が設けられており」、「前記発光装置の前記支持部材の前記第1方向の寸法は、前記隙間の長さよりも大である」及び「表示装置」との特定事項について

引用発明の「半導体発光装置」は、本願発明の「発光装置」に相当し、本願発明と引用発明は「発光装置」を備える点で共通するといえる。

しかしながら、引用発明は、その余の前記特定事項を備える表示装置ではない点で相違する。

イ 本願発明の「前記発光装置は、第1方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面を有する発光素子と、前記発光素子を搭載する支持部材と、前記支持部材の上に形成され、前記発光素子を覆う透光性樹脂と、を備えており」との特定事項について

(ア)引用発明の「半導体発光素子」は、「第1方向前方を向く面及び第1方向後方を向く面を有し」ているから本願発明の「第1方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面を有する発光素子」に相当する。

(イ)引用発明の「基材及び配線パターン」(以下「配線基材」という。)は、「半導体発光素子」が「基材主面に搭載され」ることを踏まえれば、本願発明の「前記発光素子を搭載する支持部材」に相当する。

(ウ)引用発明の「封止樹脂」は、「透光性を有し」ている。また、引用発明の「封止樹脂」は、「半導体発光素子を覆」っているものである。さらに、引用発明の「半導体発光素子」は、「基材主面に搭載され」たものであることを勘案すれば、引用発明の「封止樹脂」は、少なくとも「基材」の上に形成されているものと理解できる。よって、引用発明の「封止樹脂」は、本願発明の「前記支持部材の上に形成され、前記発光素子を覆う透光性樹脂」に相当する。

(エ)以上より、引用発明は、本願発明の前記特定事項を満たすといえる。

ウ 本願発明の「前記支持部材は、前記素子主面と同じ方向を向く基材主面および前記素子裏面と同じ方向を向く基材裏面を有する基材と、各々が、前記発光素子に導通し、かつ、前記基材に配置された第1配線および第2配線を含む配線パターンと、を備えており」との特定事項について

(ア)引用発明の「基材」は、「第1方向前方を向く基材主面および第1方向後方を向く基材裏面を有し」ており、「半導体発光素子」は、「第1方向前方を向く面及び第1方向後方を向く面を有し」ているから、本願発明の「前記素子主面と同じ方向を向く基材主面および前記素子裏面と同じ方向を向く基材裏面を有する基材」に相当する。

(イ)a 引用発明の「配線パターン」は、本願発明の「配線パターン」に相当する。

b 引用発明の「配線パターン」は、「主面電極、複数の裏面電極32,33、および、複数の側面電極34,35を有し」ており、当該「主面電極」は、「ダイボンディング部、ワイヤボンディング部、第1端縁部、第2端縁部、第1連結部、第2連結部、第1帯状部、および、第2帯状部を有し」ている。そして、当該「第1帯状部」は、「第1端縁部および第1連結部と繋がっており」、当該「第2帯状部」は、「第2端縁部および第2連結部と繋がっており」、引用発明の「半導体発光素子の第1パッド部」は、「ワイヤ、ワイヤボンディング部、第2連結部、第2端縁部、および、側面電極35を介して、裏面電極33と電気的に接続され」、引用発明の「半導体発光素子の第2パッド部」は、「ダイボンディング部、第1連結部、第1端縁部及び側面電極34を介して、裏面電極32と電気的に接続されて」いる。

そうすると、引用発明の「ワイヤボンディング部、第2連結部、第2端縁部」、「第2帯状部」、「側面電極35」及び「裏面電極33」は、1つに繋がった配線パターン(以下「ワイヤボンディング配線パターン」という。)と理解でき、引用発明の「ダイボンディング部、第1連結部、第1端縁部」、「第1帯状部」、「側面電極34」及び「裏面電極32」は、1つに繋がった配線パターン(以下「ダイボンディング配線パターン」という。)と理解できる。よって、引用発明のワイヤボンディング配線パターンは、本願発明の「第1配線」に相当し、引用発明のダイボンディング配線パターンは、本願発明の「第2配線」に相当する。

c 前記bのとおり、引用発明の「半導体発光素子の第1パッド部」は、ワイヤボンディング配線パターンと電気的に接続されているから、当該ワイヤボンディング配線パターンは、「半導体発光素子」と導通するものと理解できる。また、引用発明の「半導体発光素子の第2パッド部」は、ダイボンディング配線パターンと電気的に接続されているから、当該ダイボンディング配線パターンは、「半導体発光素子」と導通するものと理解できる。よって、引用発明のワイヤボンディング配線パターン及びダイボンディング配線パターンは、本願発明の「各々が、前記発光素子に導通し」との特定事項を満たしている。

d 引用発明の「配線パターン」は、「基材に形成され」ているところ、当該「配線パターン」は、「主面電極、複数の裏面電極32,33、および、複数の側面電極34,35を有」するものである。よって、引用発明のワイヤボンディング配線パターン及びダイボンディング配線パターンは、本願発明の「前記基材に配置された」との特定事項を満たしている。

e 以上より、引用発明は、本願発明の前記特定事項を満たすといえる。

エ 本願発明の「前記発光素子は、前記素子裏面と前記基材主面とが対向した姿勢で搭載されており」との特定事項について

引用発明の「半導体発光素子」は、「第1方向前方を向く面及び第1方向後方を向く面を有し」、「基材主面に搭載され」ており、「基材」は、「第1方向前方を向く基材主面および第1方向後方を向く基材裏面を有し」ている。

よって、引用発明は、本願発明の前記特定事項を満たすといえる。

オ 本願発明の「前記透光性樹脂は、前記発光素子が発した光の集光制御を行うレンズ部と、前記第1方向において前記支持部材と前記レンズ部との間に介在し、かつ、前記発光素子を覆う基部と、を含んでおり」との特定事項について

引用発明の「封止樹脂」は、「前記第1方向前方に突き出たドーム状のドーム形状部を有」するところ、「ドーム形状部により、封止樹脂は凸面レンズとして機能し」ているから、当該「ドーム形状部」は、本願発明の「前記発光素子が発した光の集光制御を行うレンズ部」に相当する。

さらに、引用発明の「封止樹脂」は、「第1方向においてドーム形状部と基材との間に、半導体発光素子を覆う部分を有し」ており、当該「半導体発光素子を覆う部分」(以下「素子被覆部」という。)は、本願発明の「前記第1方向において前記支持部材と前記レンズ部との間に介在し、かつ、前記発光素子を覆う基部」に相当する。

よって、引用発明は、本願発明の前記特定事項を満たすといえる。

カ 本願発明の「前記支持部材の前記第1方向の寸法は、前記基部の前記第1方向の寸法よりも大きく、前記基部の前記第1方向の寸法の1.29~2.86倍であり」との特定事項について

引用発明において、「配線基材」の第1方向の寸法と「素子被覆部」の第1方向の寸法との関係は不明である。

キ 本願発明の「前記発光素子の前記第1方向の寸法は、0.06~0.20mmである」との特定事項について

引用発明において、「半導体発光素子」の第1方向の寸法は、特定されていない。

ク 以上を総合すると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

「第1方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面を有する発光素子と、
前記発光素子を搭載する支持部材と、
前記支持部材の上に形成され、前記発光素子を覆う透光性樹脂と、を備えており、
前記支持部材は、
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前記素子主面と同じ方向を向く基材主面および前記素子裏面と同じ方向を向く基材裏面を有する基材と、
各々が、前記発光素子に導通し、かつ、前記基材に配置された第1配線および第2配線を含む配線パターンと、を備えており、
前記発光素子は、前記素子裏面と前記基材主面とが対向した姿勢で搭載されており、
前記透光性樹脂は、
前記発光素子が発した光の集光制御を行うレンズ部と、
前記第1方向において前記支持部材と前記レンズ部との間に介在し、かつ、前記発光素子を覆う基部と、を含んでいる、
発光装置。」

<相違点>

・相違点1

本願発明は、「表示装置」であり、「発光装置と、前記発光装置が実装される実装基板と、前記実装基板に対して前記発光装置が位置する側において前記発光装置の周囲を囲むハウジングと、を備えており」、「前記第1方向において前記実装基板と前記ハウジングとの間には、隙間が設けられており」、「前記発光装置の前記支持部材の前記第1方向の寸法は、前記隙間の長さよりも大である」のに対し、引用発明は、「半導体発光装置」であり、そのような構成を備える表示装置ではない点。

・相違点2

「発光装置」について、本願発明は、「前記支持部材の前記第1方向の寸法は、前記基部の前記第1方向の寸法よりも大きく、前記基部の前記第1方向の寸法の1.29~2.86倍」であると特定されるのに対し、引用発明は、「配線基材」の第1方向の寸法と「素子被覆部」の第1方向の寸法との関係は不明である点。

・相違点3

「発光素子」について、本願発明は、「第1方向の寸法は、0.06~0.20mmである」と特定されるのに対し、引用発明は、半導体発光素子の第1方向の寸法は不明である点。

(3)判断

ア 相違点1について

(ア)引用発明は「半導体発光装置」であるから、引用発明を、光源を有する装置の光源として用いることは、当業者が適宜なし得る事項といえる。

そうすると、引用発明を、引用文献2に記載された引2装置の光源として用いると共に、遮光板と配線基板との間の隙間を小さくすることは、当業者が容易になし得たことといえ、引用発明を引2装置の光源として用いた表示装置(以下「引用発明表示装置」という。)において、相違点1に係る本願発明の特定事項を満たすように構成することは、以下のとおり、当業者が容易になし得たことである。

(イ)引用発明表示装置の「光源である半導体発光装置(引用発明)」、「配線基板」、「遮光板」及び「表示装置」は、それぞれ本願発明の「発光装置」、「実装基板」、「ハウジング」及び「表示装置」に相当し、引用発明表示装置の「配線基板」及び「遮光板」は、それぞれ相違点1に係る本願発明の「発光装置が実装される」及び「前記実装基板に対して前記発光装置が位置する側において前記発光装置の周囲を囲む」との特定事項を満たしているといえる。

(ウ)引用発明表示装置の「遮光板」と「配線基板」との間には「隙間が存在する」ところ、遮光板と配線基板との隙間を小さくすることにより光源から発光する光の漏れを少なくするとの技術思想(引2装置)に基づいて、当該隙間を小さくすることは当業者が容易になし得たことといえ、当該隙間の具体的な値として、200~300μm程度の周知かつ常識的な値(当審拒絶理由で引用された実願昭57-142185号(実開昭59-45948号)のマイクロフィルム(引用文献3)の第3頁第11~13行、第2及び3図参照)を採用することは、当業者にとって格別困難な事項ではない。

(エ)他方、引用発明において、「配線基材」の「第1方向の寸法」は、基材の厚さ(400μm)と主電極及び裏面電極の厚さ(33μm+33μm)の合計である「466μm」程度と解されるところ、前記(ウ)のように引用発明表示装置の遮光板と配線基板との隙間を常識的な値である200~300μmとすれば、相違点1に係る本願発明の「前記発光装置の前記支持部材の前記第1方向の寸法は、前記隙間の長さよりも大である」との特定事項を満たすこととなる。

イ 相違点2について

相違点2に係る発明特定事項の技術上の意義について、明細書の記載を参酌すると、明細書には次の記載がある。

「【0094】
発光装置A1によれば、支持部材2のz方向寸法L2は、透光性樹脂8の基部81のz方向寸法L81のおよそ1.29~2.86倍である。たとえば、支持部材2のz方向寸法L2がこの範囲よりも小さい場合、表示装置B1において上記した隙間Δgから漏れ出す光束量を適切に抑制することが難しい。一方、支持部材2のz方向寸法L2がこの範囲よりも大きい場合、支持部材2のz方向寸法L2が大きくなり、発光装置A1の全体のz方向寸法が大きくなってしまう。その結果、発光装置A1を実装基板91に実装した際に不安定となる。したがって、支持部材2のz方向寸法L2を、透光性樹脂8の基部81のz方向寸法L81のおよそ1.29~2.86倍とすることで、表示装置B1において、隙間Δgから漏れ出す光束量を抑制しつつ、実装基板91への実装時の発光装置A1の不安定さを解消することができる。」

そこで、基部の第1方向の寸法(基部81のz方向寸法)L81に対する支持部材の第1方向の寸法(支持部材2のz方向寸法)L2の比(以下「寸法比」という。)と隙間Δgとの技術的関係について、続けて考察する。

(i)寸法比の下限(1.29)について、L2を変化させずにL81を大きくすることで、当該下限を満たすことは可能であるところ、L81の寸法自体は隙間Δgから漏れ出す光束量に影響しないことは明らかであるから、寸法比の下限は、隙間Δgから漏れ出す光束量と直接的な技術的関連はないものと理解できる。

(ii)寸法比の上限(2.86)について、前記(i)と同様に、L2を変化させずにL81を小さくすることで、当該上限を満たすことは可能であるところ、L81を小さくすることで「発光装置A1の全体のz方向寸法」はむしろ小さくなるから、寸法比の上限と、実装基板91への実装時の発光装置A1の不安定さとには直接的な技術的関連は認められない。

前記(i)及び(ii)によれば、【0094】に記載されたいずれの作用も、寸法比とは直接的な技術的関連はなく、寸法比の限定が、格別の技術上の意義を有するものとはいえないから、引用発明において、前記相違点2に係る関係を満たす設計をすることは、当業者が適宜なし得た設計事項ということができる。

ウ 相違点3について

相違点3に係る発明特定事項である「前記発光素子の前記第1方向の寸法は、0.06~0.20mmである」ことの技術上の意義について、明細書の記載を参酌すると、明細書には次の記載がある。

「【0033】
発光素子1は、発光装置A1の光源となる電子部品である。本実施形態においては、発光素子1は、いわゆるLEDチップである。発光素子1は、平面視矩形状である。本実施形態においては、発光素子1は、x方向寸法およびy方向寸法がともにおよそ0.15~0.31mmである。また、発光素子1は、z方向寸法(図12に示すL1)がおよそ0.06~0.20mmである。」
「【0097】
発光装置A1によれば、発光素子1のz方向寸法L1は、およそ0.06~0.20mmである。また、透光性樹脂8は、発光素子1からz方向において離間したレンズ部82を含んでおり、当該レンズ部82によって、発光素子1から出射される光を集光制御している。本願発明者は、発光素子1のz方向寸法L1を大きくするほど、すなわち、発光素子1からレンズ部82までの距離が小さいほど、発光装置A1から出射される光の光度が低くなり、かつ、半値角が広くなることを突き止めた。一方、発光素子1のz方向寸法L1を小さくするほど、すなわち、発光素子1からレンズ部82までの距離が大きいほど、発光装置A1から出射させる光の光度が高くなり、かつ、半値角が狭くなることを突き止めた。たとえば、発光素子1のz方向寸法L1が0.13mmの場合、発光素子1のz方向寸法L1が0.17mmである場合よりも、発光装置A1からの出射される光の光度がおよそ36%向上することが分かった。また、発光素子1のz方向寸法L1が0.13mmの場合、半値角がおよそ60°であり、発光素子1のz方向寸法L1が0.17mmの場合、半値角がおよそ90°であった。以上のことから、発光素子1のz方向寸法L1を、およそ0.06~0.20mmとすることで、発光装置A1は、出射する光の光度を確保しつつ、半値角が狭くなりすぎない(本実施形態においては40%以下にならない)ようにできる。ただし、出射する光の光度を優先する場合には、発光素子1のz方向寸法L1をおよそ0.06~0.13mmにすることが望ましい。さらに、発光素子1のz方向寸法L1の調整によって、出射する光の光度および半値角を調整しているので、発光素子1の平面視寸法の変更やレンズ部82の形状の変更を行うことがないため、既存のパッケージの流用やコスト増大の抑制が可能となる。」

これらの記載から、相違点3に係る本願発明の発明特定事項である「前記発光素子の前記第1方向の寸法は、0.06~0.20mmである」ことにおいて、その上限を0.20mmとすることについては、出射する光の光度を確保することを技術上の意義とするものであり、その下限を0.06mmとすることについては、半値角が狭くなりすぎないことを技術上の意義とするものであるが、以下で示す本願の出願時の技術常識に照らせば、当該各技術上の意義は、レンズ部の焦点とレンズ部の光軸上に位置する発光素子の上面(以下「発光点」という。)との位置関係(距離)により定まるものと理解できる。

そして、発光素子の第1方向寸法と出射する光の光度及び半値角との関係は、当業者にとって技術常識(必要であれば、特開2015-22989号公報の【0057】~【0060】及び図9、特開平9-325714号公報の【0008】、【0011】及び図1参照。)といえるから、当該技術常識を踏まえつつ発光素子の第1方向寸法を設計することは、当業者であれば当然に行う設計的な事項である。また、発光素子の第1方向の寸法である「0.06~0.20mm」との具体的な値について検討しても、発光素子において通常に用いられる値にすぎないものであるし、出射する光の光度や半値角はレンズ部の焦点とレンズ部の光軸上に位置する発光点との位置関係により定まるところ、本願発明ではレンズ部の焦点位置は特定されていないから、発光素子の第1方向の寸法の具体的な値自体に格別の技術上の意義を認めることはできない。

よって、引用発明において、前記相違点3に係る特定事項を満たす発光素子を用いることは、技術常識を踏まえ当業者が適宜なし得た設計事項ということができる。

エ 総合検討

これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の作用効果は、本願発明の構成が奏するものとして、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ 審判請求人の主張について

(ア)審判請求人は、相違点2に係る本願発明の「前記支持部材の前記第1方向の寸法は、前記基部の前記第1方向の寸法よりも大きく、前記基部の前記第1方向の寸法の1.29~2.86倍であ」るとの特定事項について、基部の第1方向の寸法L81を大きくしたり小さくしたりすれば、発光素子からレンズ部までの距離が変化して光度と半値角との関係がずれることになるから、基部の第1方向の寸法L81を大きくしたり小さくしたりすることできないため、本願発明は、(基部の第1方向の寸法L81は変化させずに)支持部材の第1方向の寸法L2を変化させて、透光性樹脂の基部の第1方向の寸法L81の1.29~2.86倍にするとの技術思想を有するものである旨を主張している。

しかしながら、「1.29~2.86倍」との値は、支持部材の第1方向の寸法L2と基部の第1方向の寸法L81の比の関係を示すものであり、支持部材の第1方向の寸法L2と基部の第1方向の寸法L81の相対的な関係により定まる値であるところ、本願発明では支持部材の第1方向の寸法L2及び基部の第1方向の寸法L81の具体的な値はいずれも特定されていない。そうすると、支持部材の第1方向の寸法L2と基部の第1方向の寸法L81は、当該相対的な関係を満たす限りにおいて、その両方が任意の値を取り得ることとなる。したがって、本願発明は、(基部の第1方向の寸法L81は変化させずに)支持部材の第1方向の寸法L2を変化させて、基部の第1方向の寸法L81の1.29~2.86倍にするとの技術思想を有するとの請求人の主張は、請求項の記載に基づくものではない。

(イ)審判請求人は、発光素子の第1方向の寸法「0.06~0.20mm」が特定されたので、当該寸法により発光素子からレンズ部までの距離を調整することには限度があるから、相違点2に係る本願発明の「前記支持部材の前記第1方向の寸法は、前記基部の前記第1方向の寸法よりも大きく、前記基部の前記第1方向の寸法の1.29~2.86倍であ」るとの特定事項は、支持部材の第1方向の寸法を、基部の第1方向の寸法の何倍にすればよいかといった発想により定まるものである旨を主張している。

請求人の主張は判然としないが、発光素子の寸法を変えることで発光素子からレンズ部までの距離を調整することには限度があるから、前記(ア)の主張のように基部の第1方向の寸法L81も変化できない、との主張であれば、前記(ア)で説示したとおり、基部の第1方向の寸法L81を変化させないことを前提とした請求人の主張は請求項の記載に基づくものではない。

(ウ)したがって、審判請求人の前記(ア)~(イ)の主張は採用し得ないものである。

カ 小括

よって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-017630

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