特許拒絶査定不服審判
2022-005136
電子部品搭載基板およびその製造方法
- 審判番号
- 2022-005136
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-174271外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月06日
- 審決日
- 2023年02月01日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-174271「電子部品搭載基板およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月22日出願公開、特開2018-186258〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年 9月11日(優先権主張 平成29年 3月28日 平成29年 5月16日)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 3年 6月 2日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 8月 3日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年12月28日付け:拒絶査定
令和 4年 4月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和 4年 4月 6日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和 4年 4月 6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は、令和 3年 8月 3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~22を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1~20に補正するものであるところ、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項17を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項15に変更する補正事項を含むものである。
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項15の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項15】
第1面と、第1面の反対側に位置する第2面とを有する基板を準備する工程と、
前記第1面から前記第2面まで前記基板を貫通する貫通電極を形成する工程と、
前記貫通電極の内部に、有機材料を含有する有機層を形成する工程と、
前記第1面上に第1導電層を形成する工程と、
前記第1面上に電極が露出するように電子部品を搭載する工程と、
前記第1導電層および前記電子部品に対して絶縁性を有し、前記有機材料を含有する絶縁層を前記有機層に接するように少なくとも部分的に形成する工程と、
前記絶縁層に対して前記第1導電層および前記電子部品の前記電極に電気的に接続された第2導電層を少なくとも部分的に形成する工程と、を備え、
前記絶縁層の誘電正接は、0より大きく0.01より小さく、
前記基板は、ガラスを含有する、電子部品搭載基板の製造方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和 3年 8月 3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項17の記載は次のとおりである。
「【請求項17】
第1面と、第1面の反対側に位置する第2面とを有する基板を準備する工程と、
前記第1面から前記第2面まで前記基板を貫通する貫通電極を形成する工程と、
前記貫通電極の内部に、有機材料を含有する有機層を形成する工程と、
前記第1面上に第1導電層を形成する工程と、
前記第1面上に電極が露出するように電子部品を搭載する工程と、
前記第1導電層および前記電子部品に対して絶縁性を有し、前記有機材料を含有する絶縁層を前記有機層に接するように少なくとも部分的に形成する工程と、
前記絶縁層に対して前記第1導電層および前記電子部品の前記電極に電気的に接続された第2導電層を少なくとも部分的に形成する工程と、を備える、電子部品搭載基板の製造方法。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項17に記載された発明を特定するために必要な事項である「絶縁層」及び「基板」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項17に記載された発明と補正後の請求項15に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項15に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に示した事項により特定されるとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2010/134511号(2010年11月25日国際公開。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
「[0001]・・・。
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。特に、半導体素子を配線基板に内蔵した半導体装置及びその製造方法に関する。」
「[0020] また、本発明の一実施形態における半導体装置の製造方法は、図12から図18に示すように、第1面の表面と第1面の反対面である第2面の表面とにコア配線12が設けられ、さらに第1面と第2面とのコア配線12とを接続する貫通ビア13が設けられたコア基板11を用いる(図12(a)等参照)。このコア基板11の第1面に、電極端子14a形成面を表にして半導体素子14を搭載する工程(図12(b))と、第1面に半導体素子14を覆う第1絶縁層を形成する工程(図12(c))と、第1絶縁層の表面に第1配線層19aを形成し、半導体素子14の電極端子14aと接続部15を介して接続された配線と、第1面に設けられたコア配線12とビア17を介して接続された配線と、を第1配線層19aに形成する第1配線形成工程(図13(a))と、第2面に第2絶縁層18-2を形成する工程と、第2絶縁層18-2の表面に第2配線層22を形成し、第2面に設けられたコア配線12とビア20を介して接続された配線を第2配線層に形成する第2配線形成工程(図13(b))と、を備えた半導体装置10の製造方法であって、第1絶縁層16を形成する工程及び前記第1配線(19a、図17の21)の形成工程は、第2絶縁層18-2を形成する工程及び第2配線(19c、19d、22)形成工程とは、別工程で実施される。」
「[0036] コア基板11は、例えば、樹脂基板、シリコン、セラミック、ガラス、ガラス-エポキシ複合体等を用いる。特に、コスト、反り制御の観点から有機系の樹脂基板やガラス-エポキシ複合体等が望ましい。本実施形態では、コア基板11は、剛性のあるガラス-エポキシ複合体を用いた。・・・。」
「[0039] 内蔵層16、絶縁層A(18-1)、絶縁層B(18-2)は、例えば、感光性又は非感光性の有機材料で形成されており、・・・。」
「図12
[図:0001396011000001.jpg]
」
「【図13】
[図:0001396011000002.jpg]
」
ここで、[0020]、図12(b)を参照すると、「半導体素子14を搭載する工程」では、半導体素子14の電極端子14aがコア基板11上において露出していることは明らかといえる。
(イ)上記(ア)から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されている。
a 半導体素子を配線基板に内蔵した半導体装置及びその製造方法に関すること([0001])。
b 第1面の表面と第1面の反対面である第2面の表面とにコア配線12が設けられ、さらに第1面と第2面とのコア配線12とを接続する貫通ビア13が設けられたコア基板11を準備する工程を備えること([0020]、図12(a))。
c コア基板11の第1面に、電極端子14a形成面を表にして電極端子14aがコア基板11上において露出するように半導体素子14を搭載する工程を備えること([0020]、図12(b))。
d 第1面に半導体素子14を覆う第1絶縁層16を形成する工程を備えること([0020]、図12(c))。
e 第1絶縁層の表面に第1配線層19aを形成し、半導体素子14の電極端子14aと接続部15を介して接続された配線と、第1面に設けられたコア配線12とビア17を介して接続された配線と、を第1配線層19aに形成する第1配線形成工程を備えること([0020]、図13(a))。
f コア基板11に、ガラス-エポキシ複合体を用いること([0036])。
g 上記(ア)[0020]に記載された第1絶縁層16と[0039]に記載された内蔵層16とは、同一の番号が付されていることから、両者は同じ層を示していると認められるところ、第1絶縁層16を有機材料で形成すること([0020]、[0039])。
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「半導体素子を配線基板に内蔵した半導体装置の製造方法において、
第1面の表面と第1面の反対面である第2面の表面とにコア配線12が設けられ、さらに第1面と第2面とのコア配線12とを接続する貫通ビア13が設けられたコア基板11を準備する工程と、
コア基板11の第1面に、電極端子14a形成面を表にして電極端子14aがコア基板11上において露出するように半導体素子14を搭載する工程と、
第1面に半導体素子14を覆う第1絶縁層16を形成する工程と、
第1絶縁層の表面に第1配線層19aを形成し、半導体素子14の電極端子14aと接続部15を介して接続された配線と、第1面に設けられたコア配線12とビア17を介して接続された配線と、を第1配線層19aに形成する第1配線形成工程と
を備え、
コア基板11に、ガラス-エポキシ複合体を用い、
第1絶縁層16を有機材料で形成する、半導体素子を配線基板に内蔵した半導体装置の製造方法。」
イ 引用文献4
(ア)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-156368号公報(平成24年 8月16日出願公開。以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
「【0013】
図1(a)に示した実装構造体1は、例えば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ装置またはその周辺機器などの電子機器に使用されるものである。この実装構造体1は、電子部品2と、電子部品2がフリップチップ実装された配線基板3と、電子部品2および配線基板3に接続された導体バンプ4と、を含んでいる。
【0014】
電子部品2は、例えばICまたはLSI等の半導体素子として機能するものであり、例えばシリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム砒素リン、窒化ガリウムまたは炭化珪素等の半導体材料により形成することができる。・・・」
「【0016】
配線基板3は、コア基板5と、該コア基板5の上下に形成された一対の配線層6と、を含んでいる。この配線基板3は、一主面に電子部品2が実装され、他主面がマザーボード(図示せず)に実装される。
【0017】
コア基板5は、配線基板3の強度を高めるものであり、基体7と、該基体7を厚み方向に貫通するスルーホールTに形成された筒状のスルーホール導体8と、該スルーホール導体8の内部に配された柱状の絶縁体9と、を含んでいる。」
「【0025】
絶縁体9は、後述するビア導体14の支持面を形成するものであり、例えばエポキシ樹脂等の樹脂材料により形成することができる。
【0026】
一方、コア基板5の上下には、上述した如く、一対の配線層6が形成されている。配線層6は、基体7上に積層された複数の絶縁層12と、基体7上または絶縁層12上に形成された導電層13と、絶縁層12を厚み方向に貫通するビア孔Vに形成され、導電層13に接続されたビア導体14と、を含んでいる。
【0027】
絶縁層12は、導電層13を支持する支持部材として機能するだけでなく、導電層13同士の短絡を防ぐ絶縁部材として機能するものであり、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂材料と、該樹脂材料により被覆された、酸化ケイ素等の粒子からなる無機絶縁フィラーとを含んでいる。」
「【0030】
ここで、便宜上、絶縁層12の内、基体7の電子部品2側の主面に配された絶縁層12を第1絶縁層12aとし、基体7のマザーボード側の主面に配された絶縁層12を第2絶縁層12bとする。・・・
【0031】
また、導電層13の内、基体7の第1絶縁層12a側の主面に配された導電層13を第1導電層13aとし、基体7の第2絶縁層12b側の主面に配された導電層13を第2導電層13bとし、第2絶縁層12bの第2導電層13bと反対側の主面に配された導電層13を第3導電層13cとする。なお、上述したスルーホールTは、第2導電層13bから第1導電層13aに向かって幅狭なテーパー状となっている。」
「【0050】
次に、上述した実装構造体1の製造方法を、図2から図3に基づいて説明する。」
「【0052】
まず、図2(a)に示すように、例えば未硬化樹脂を含む前駆体シートを複数積層するとともに最外層に金属箔を積層し、該積層体を加熱加圧して硬化させることにより、金属箔からなる第1導電材料層13axおよび第2導電材料層13bxが上下に形成された基体7を作製する。次に、図2(b)に示すように、第2導電材料層13bxにレーザ光を照射し(照射方向L)、第2導電材料層13bx側から第1導電層13ax側に向かって基体7を貫通するスルーホールTを形成する。次に、図2(c)に示すように、無電解めっき法、電解めっき法、スパッタリング法または蒸着法またはCVD法等を用いて、スルーホールTの内壁に導電材料を被着させることによって、スルーホール導体8を形成する。次に、エッチング法およびフォトリソグラフィ技術を用いて、第1導電材料層13axをパターニングして第1導電層13aを形成し、第2導電材料層13bxをパターニングして第2導電層13bを形成する。次に、スルーホール導体8に取り囲まれた領域に樹脂材料を充填して絶縁体9を形成する。」
「【0062】
まず、図3(a)に示すように、未硬化の樹脂をコア基板5上に配置し、樹脂を加熱して流動密着させつつ、更に加熱して樹脂を硬化させることにより、コア基板5上に絶縁層12を形成する。・・・」
「図1
[図:0001396011000003.jpg]
」
「図2
[図:0001396011000004.jpg]
」
「図3
[図:0001396011000005.jpg]
」
図3(a)から、コア基板5上に、絶縁層12aが形成されていることが見てとれる。
(イ)上記(ア)の【0052】の「第1導電材料層13axをパターニングして第1導電層13aを形成し、・・・。次に、スルーホール導体8に取り囲まれた領域に樹脂材料を充填して絶縁体9を形成する。」との記載、及び【0062】の「図3(a)に示すように、未硬化の樹脂をコア基板5上に配置し、樹脂を加熱して流動密着させつつ、更に加熱して樹脂を硬化させることにより、コア基板5上に絶縁層12を形成する」との記載、並びに図2(c)、図3(a)から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
第1導電層13aは、スルーホールTが形成される部分において開口を有しており、当該開口部分を介して、第1絶縁層12aは絶縁体9と接していること。
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献4には、次の技術が記載されていると認められる。
「電子部品2と、電子部品2がフリップチップ実装された配線基板3と、を含む実装構造体1の製造方法であって、
コア基板5を準備する工程と、コア基板5の両側に一対の配線層6を形成する工程を含み、
コア基板5を準備する工程は、
第1導電材料層13axおよび第2導電材料層13bxが上下に形成された基体7を作製し、基体7を貫通するスルーホールTを形成し、スルーホール導体8を形成し、第1導電材料層13axをパターニングして第1導電層13aを形成し、第2導電材料層13bxをパターニングして第2導電層13bを形成し、スルーホール導体8に取り囲まれた領域に樹脂材料を充填して絶縁体9を形成することで、コア基板5を作製し、
一対の配線層6を形成する工程は、
未硬化の樹脂をコア基板5上に配置し、樹脂を加熱して流動密着させつつ、更に加熱して樹脂を硬化させることにより、コア基板5上に絶縁層12を形成する工程を含み、
電子部品2は、半導体素子として機能し、
絶縁体9は、エポキシ樹脂材料により形成することができ、
絶縁層12は、エポキシ樹脂を含んでおり、
第1導電層13aは、スルーホールTが形成される部分において開口を有しており、当該開口部分を介して、第1絶縁層12aは絶縁体9と接している、
実装構造体1の製造方法。」
ウ 引用文献A
(ア)本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2001-15920号公報(平成13年 1月19日出願公開。以下「引用文献A」という。)には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】・・・。図19及び図20は、コアの配線基板に多層配線構造の基板を用いた従来例である。・・・。図19に示すように、内部に多層の内部配線パターン203が形成された配線基板200には、両面に第1の配線パターン204及び第2の配線パターン205が形成されている。第1及び第2の配線パターン間は貫通孔202内に形成された導電路(接続配線)208により電気的に接続されている。接続配線208は、Cuメッキなどにより形成される。
【0006】そして貫通孔202にはこの内部の空間を埋めるようにエポキシ樹脂などからなる絶縁プラグ206が充填されている。第1の配線パターン204及び第2の配線パターン205の上には層間絶縁膜207、209が形成され、その上にはそれぞれ第3の配線パターン201及び第4の配線パターン210が形成されている。・・・。」
「図19
[図:0001396011000006.jpg]
」
「図20
[図:0001396011000007.jpg]
」
図19、図20から、第1の配線パターン204及び第2の配線パターン205は、配線基板200上において開口部を有していることが見てとれ、図19から、当該開口部を介して、第1の配線パターン204の上に形成された層間絶縁膜207と、貫通孔202に充填されたエポキシ樹脂などからなる絶縁プラグ206は、互いに接していることが見てとれる。
(イ)上記(ア)から、引用文献Aには、次の技術が記載されていると認められる。
「多層配線構造の基板について、
配線基板200には、両面に第1の配線パターン204及び第2の配線パターン205が形成され、第1及び第2の配線パターン間は貫通孔202内に形成された導電路(接続配線)208により電気的に接続され、
貫通孔202にはこの内部の空間を埋めるようにエポキシ樹脂などからなる絶縁プラグ206が充填され、第1の配線パターン204及び第2の配線パターン205の上には層間絶縁膜207、209が形成され、
第1の配線パターン204及び第2の配線パターン205は、配線基板200上において開口部を有しており、当該開口部を介して、第1の配線パターン204の上に形成された層間絶縁膜207と、貫通孔202に充填されたエポキシ樹脂などからなる絶縁プラグ206は、互いに接している多層配線構造の基板。」
エ 引用文献B
(ア)本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-71557号公報(平成23年 4月 7日出願公開。以下「引用文献B」という。)には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
「【0001】
本発明は、誘電率が低く、剛性等の機械的特性に優れるシクロオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層を有する多層プリント配線板に関する。」
「【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、誘電率や誘電正接が小さく、GHz帯域の高周波信号を用いた場合にも信号遅延や信号エラーが発生しにくく、また、剛性等の機械的特性にも優れるため、導体回路同士の接続の信頼性が高い層間樹脂絶縁層を有する多層プリント配線板を提供することにある。」
「【0018】
このような本発明の多層プリント配線板によれば、上記層間樹脂絶縁層がシクロオレフィン系樹脂により構成されているので、エポキシ樹脂等からなる層間樹脂絶縁層と比べて誘電率や誘電正接が大きく低下し、信号伝搬の遅延や信号の電送損失等に起因する信号エラーを防止することができる。」
「【0021】
上記シクロオレフィン系樹脂の種類は特に限定されるものではないが、1GHzにおける誘電率は、3.0以下であり、誘電正接は、0.01以下であることが望ましい。」
「【0027】」
次に、このようなシクロオレフィン系樹脂を用いた多層プリント配線板の製造方法について説明する。
【0028】
(1)まず、樹脂基板の表面に下層導体回路を有する配線基板を作製する。
・・・。
【0029】
通常、この樹脂基板にドリルで貫通孔を設け、該貫通孔の壁面および銅箔表面に無電解めっきを施してスルーホールを形成する。・・・。
この後、スルーホール内壁等に粗化処理を施し、スルーホールを樹脂ペースト等で充填し、その表面を覆う導電層を無電解めっきもしくは電気めっきにて形成してもよい。
「【0031】
(3)次に、上記(2)で作製した下層導体回路を有する配線基板の両面に、上記シクロオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層を形成する。
・・・。」
「【実施例】
【0042】
(実施例1)
(1)厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミド-トリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅貼積層板を出発材料とした(図1(a)参照)。まず、この銅貼積層板をドリル削孔し、続いてめっきレジストを形成した後、この基板に無電解銅めっき処理を施してスルーホール9を形成し、さらに、銅箔を常法に従いパターン状にエッチングすることにより、基板の両面に内層銅パターン(下層導体回路)4を形成した。」
「【0044】
(3)シクロオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂充填剤10を、基板の両面に印刷機を用いて塗布することにより、下層導体回路4間またはスルーホール9内に充填し、加熱乾燥を行った。即ち、この工程により、樹脂充填剤10が下層導体回路4の間あるいはスルーホール9内に充填される(図1(c)参照)。」
「【0048】
(6)次に、上記工程を経た基板の両面に、厚さ50μmの熱硬化型シクロオレフィン系樹脂シートを温度50~150℃まで昇温しながら圧力5kg/cm2で真空圧着ラミネートし、シクロオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層2を設けた(図2(b)参照)。真空圧着時の真空度は、10mmHgであった。」
「図1
[図:0001396011000008.jpg]
」
「図2
[図:0001396011000009.jpg]
」
ここで、図1(b)から、スルーホール9の上部及び下部には開口が設けられていることが見てとれる。
(イ)上記(ア)の【0043】、【0044】、【0048】、図1(b)~図2(b)から、引用文献Bには、樹脂充填剤10と層間樹脂絶縁層2は接していることが記載されているといえる。
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献Bには、次の技術が記載されていると認められる。
「多層プリント配線板の製造方法において、
GHz帯域の高周波信号を用いた場合にも信号遅延や信号エラーが発生しにくくするために、
ガラスエポキシ樹脂からなる基板1に無電解銅めっき処理を施してスルーホール9を形成し、
シクロオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂充填剤10をスルーホール9内に充填し、
基板の両面にシクロオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層2を設け、
スルーホール9の上部及び下部には開口を設け、
当該開口を介して樹脂充填剤10と層間樹脂絶縁層2は接しているものとし、
層間樹脂絶縁層をシクロオレフィン系樹脂により構成し、1GHzにおける誘電正接を0.01以下とする多層プリント配線板の製造方法。」
オ 引用文献C
(ア)本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2016/129655号(2016年 8月18日国際公開。以下「引用文献C」という。)には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
「【0001】
本発明は、層間絶縁用樹脂フィルム、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム、及びプリント配線板に関する。」
「【0004】
一方で、コンピュータ、情報通信機器は近年ますます高性能化及び高機能化し、大量のデータを高速で処理するために、扱う信号が高周波化する傾向にある。特に携帯電話及び衛星放送に使用される電波の周波数領域はGHz帯の高周波領域のものが使用されており、高周波数化による伝送損失を抑制するため、高周波領域で使用する有機材料には、比誘電率及び誘電正接が低い材料が望まれていた。」
「【0006】
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであり、加速環境試験後も回路基板との接着性に優れ、且つ低熱膨張性、耐熱性、及び誘電特性に優れる層間絶縁層を得ることができる層間絶縁用樹脂フィルム、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム、並びに該層間絶縁用樹脂フィルム、又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを用いてなるプリント配線板を提供することを目的とする。」
「【0055】
[層間絶縁用樹脂フィルムの作製]
実施例1
・・・。その後、ナノマイザー処理によって分散し、層間絶縁用樹脂フィルムを作製するためのワニス1を得た。
次に、このワニス1を、支持体であるPETフィルム(厚さ38μm)上に、乾燥後の層間絶縁用樹脂フィルムの厚さが37μmとなるようにコンマコーターを用いて塗布した後、105℃で2分間乾燥した。なお、乾燥後の層間絶縁用樹脂フィルム中の揮発成分の量は6質量%であった。次いで、層間絶縁用樹脂フィルムの表面に保護フィルムとして厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、支持体及び保護フィルムを有する層間絶縁用樹脂フィルムを得た。
【0056】
実施例2~5、比較例1
実施例1において、ジシアンジアミド(関東化学株式会社製、固形分濃度0.8質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)の配合量を表1に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にして、層間絶縁用樹脂フィルムを作製するためのワニス2~6を得た。次に、このワニス2~6を使用して、実施例1と同様にして、支持体及び保護フィルムを有する層間絶縁用樹脂フィルムを得た。」
「【0069】
【表1】
[図:0001396011000010.jpg]
」
(イ)上記(ア)の【0055】、【0056】には実施例1~5に関する支持体及び保護フィルムを有する層間絶縁用樹脂フィルムの作成方法が記載され、【表1】には各実施例における層間絶縁用樹脂フィルムの誘電正接が0.0072~0.0084であることが記載されている。
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献Cには、次の技術が記載されていると認められる。
「高周波数化による伝送損失を抑制するため、誘電正接が低いなどの誘電特性に優れる層間絶縁層を得ることができる接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを用いてなるプリント配線板であって、
層間絶縁用樹脂フィルムの誘電正接が0.0072~0.0084であるプリント配線板。」
カ 引用文献D
(ア)本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2006-104223号公報(平成18年 4月20日出願公開。以下「引用文献D」という。)には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
「【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板に関する。」
「【0003】
これに対して、環状オレフィン系樹脂であるポリノルボルネンは、300℃前後のガラス転移温度を有する高耐熱性樹脂であり、かつGHz帯の周波数領域において、誘電率が2.2~2.8、誘電正接が0.001~0.006であり、優れた誘電特性を示す(例えば、非特許文献1参照)。そのため、高周波数対応の多層配線板用の絶縁樹脂として期待されている。」
「【0049】
この様にして得られた樹脂層3は、加工性と誘電特性に優れており、例えば0.5μm以下の表面凹凸の高低差、10GHzにおいて3.0以下の誘電率、0.006以下の誘電正接を達成することができる。
【0050】
次に、回路基板について説明する。
図2は、本発明の回路基板の一例を示す断面図である。
図2に示すように、回路基板10は、コア基板5と、コア基板5の両面に設けられた樹脂層3とで構成されている。
・・・。」
「図2
[図:0001396011000011.jpg]
」
(イ)上記(ア)から、引用文献Dには、次の技術が記載されていると認められる。
「コア基板5と、コア基板5の両面に設けられた樹脂層3とで構成される回路基板であって、
樹脂層3は、10GHzにおいて0.006以下の誘電正接を有する回路基板。」
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明は、「第1面の表面と第1面の反対面である第2面の表面とにコア配線12が設けられ、さらに第1面と第2面とのコア配線12とを接続する貫通ビア13が設けられたコア基板11を準備する」ことから、コア基板11を準備する工程、コア基板11に貫通ビアを設けるための貫通孔を設ける工程、コア基板11にコア配線12を設ける工程、コア基板11の貫通孔に貫通ビア13を設ける工程、をそれぞれ備える。
また、引用発明の「コア配線12」及び「貫通ビア13」は、それぞれ本件補正発明の「第1導電層」及び「貫通電極」に相当する。
さらに、引用発明の「コア基板11」は「ガラス-エポキシ複合体」を用いていることから、本件補正発明の「基板」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「第1面と、第1面の反対側に位置する第2面とを有する基板を準備する工程」、「前記第1面から前記第2面まで前記基板を貫通する貫通電極を形成する工程」及び「前記第1面上に第1導電層を形成する工程」を備える点、「前記基板は、ガラスを含有する」点で一致する。
(イ)引用発明は、「コア基板11の第1面に、電極端子14a形成面を表にして電極端子14aがコア基板11上において露出するように半導体素子14を搭載する工程」を備える。
ここで、引用発明の「半導体素子14」及び「電極端子14a」は、本件補正発明の「電子部品」及び「電極」にそれぞれ相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記第1面上に電極が露出するように電子部品を搭載する工程」を備える点で一致する。
(ウ)引用発明は、「第1面に半導体素子14を覆う第1絶縁層16を形成する工程」を備え、「第1絶縁層16に有機材料を用いる」ものである。
また、引用発明の「第1絶縁層16」は、本件補正発明の絶縁性を有する「絶縁層」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記第1導電層および前記電子部品に対して絶縁性を有し、有機材料を含有する絶縁層を少なくとも部分的に形成する工程」を備える点で一致する。
(エ)引用発明は、「第1絶縁層の表面に第1配線層19aを形成し、半導体素子14の電極端子14aと接続部15を介して接続された配線と、第1面に設けられたコア配線12とビア17を介して接続された配線と、を第1配線層19aに形成する第1配線形成工程」を備えるものである。
また、引用発明の「コア配線12」、「半導体素子14」及び「第1配線層19a」は、本件補正発明の「第1導電層」、「電子部品」及び「第2導電層」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記絶縁層に対して前記第1導電層および前記電子部品の前記電極に電気的に接続された第2導電層を少なくとも部分的に形成する工程」を備える点で一致する。
(オ)以上の(ア)~(エ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「電子部品搭載基板の製造方法」である点で共通するといえる。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「第1面と、第1面の反対側に位置する第2面とを有する基板を準備する工程と、
前記第1面から前記第2面まで前記基板を貫通する貫通電極を形成する工程と、
前記第1面上に第1導電層を形成する工程と、
前記第1面上に電極が露出するように電子部品を搭載する工程と、
前記第1導電層および前記電子部品に対して絶縁性を有し、有機材料を含有する絶縁層を少なくとも部分的に形成する工程と、
前記絶縁層に対して前記第1導電層および前記電子部品の前記電極に電気的に接続された第2導電層を少なくとも部分的に形成する工程と、を備え、 前記基板は、ガラスを含有する、電子部品搭載基板の製造方法。」
【相違点1】
本件補正発明は、「前記貫通電極の内部に、有機材料を含有する有機層を形成する工程」を備え、絶縁層を形成する工程において「前記有機材料を含有する絶縁層を前記有機層に接するように」絶縁層を形成するのに対し、引用発明では、本件補正発明の「前記貫通電極の内部に、有機材料を含有する有機層を形成する工程」に相当する構成を備えておらず、絶縁層を形成する工程において、「前記有機材料を含有する絶縁層を前記有機層に接するように」形成していない点。
【相違点2】
本件補正発明では、「前記絶縁層の誘電正接は、0より大きく0.01より小さく」なるのに対し、引用発明では、第1絶縁層16の誘電正接の値が特定されていない点。
(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用文献4、A~Bには、上記(2)イ~エのとおり、基板上に形成された絶縁層及び貫通孔(スルーホール)を備える基板、又はその製造方法において、貫通孔内に形成される導電体の内部に樹脂を充填することや、充填された樹脂と絶縁層が接する技術が記載されている。
また、引用文献4、Bには、上記(2)イ、エのとおり、貫通孔内に形成される導電体の内部に充填された樹脂が、基板上に形成された絶縁層に用いられる樹脂と同じ樹脂材料を含有する技術が記載されている。
そうすると、上記技術を備えることは本願の優先日前において周知技術であるといえる。
そして、引用文献4、A~Bの「貫通孔内に形成される導電体の内部に樹脂を充填すること」は、本件補正発明の「前記貫通電極の内部に、有機材料を含有する有機層を形成する工程」に相当する。また、引用文献4、A~Bの「充填された樹脂と基板上に形成される絶縁層(膜)が接する」技術は、本件補正発明の「絶縁層を有機層に接するように形成する」ことに相当する。さらに、引用文献4、Bの絶縁層は「貫通孔内に形成される導電体の内部に充填された樹脂を含有する」ことから、本件補正発明の「前記有機材料を含有する絶縁層」に相当する。
ここで、引用発明と引用文献4、A~Bに記載された技術は、基板上に形成された絶縁層を有する回路基板である点で技術分野の関連性を有していることから、引用発明のコア配線12、貫通ビア13及び第1絶縁層16に代えて引用文献4、A~Bに記載された上記周知技術を採用して、相違点1に係る本件補正発明の構成あるいは工程を備えるようにすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。
イ 相違点2について
引用文献B~Dには、絶縁層を有する回路基板において、絶縁層の誘電正接を「0.01以下」、「0.0072~0.0084」及び「0.006以下」とする技術が記載されている。また、引用文献B~Dに記載された絶縁層を構成する材料の誘電正接が0以上となることは自明といえる。そうすると、当該技術分野において誘電正接を「0より大きく0.01より小さく」する技術は本願の優先日前において周知技術である。
ここで、引用発明と引用文献B~Dに記載された技術は、絶縁層を有する回路基板である点で技術分野の関連性を有していることから、引用発明に引用文献B~Dに記載された周知技術を適用して、第1絶縁層16の誘電正接を「0より大きく0.01より小さく」することは当業者であれば容易に想到し得ることである。
ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献4、A~Dに記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献4、A~Dに記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和 4年 4月 6日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~22に係る発明は、令和 3年 8月 3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項17に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項17に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項17に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献4に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1.国際公開第2010/134511号
引用文献4.特開2012-156368号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、4及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)、ア、イに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記絶縁層の誘電正接は、0より大きく0.01より小さく」及び「前記基板は、ガラスを含有する」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献4、A~Dに記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用文献A~Dは、引用文献4に記載されている技術、あるいは本件補正発明において限定された事項である「絶縁層の誘電正接は、0より大きく0.01より小さく」する技術が本願の優先日前において周知技術であることを示すために引用された文献であり、本願発明の拒絶の理由を判断する際には必ずしも明示される必要がない文献といえることから、本願発明は、引用発明及び引用文献4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-005136