2022-002874
光学素子および表示装置
- 審判番号
- 2022-002874
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-056337外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年02月25日
- 審決日
- 2024年05月10日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】微采視像科技股▲分▼有限公司
- 【請求人代理人】弁理士法人朝日奈特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (G02B) / P18 .575-WZ (G02B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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特願2020-56337号(以下「本件出願」という。)は、令和2年3月26日(パリ条約の例による優先権主張 2019年(平成31年)3月26日 台湾)に出願された特許出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
第2 令和6年2月27日提出の手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年2月27日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1) 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前である、令和5年9月6日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「光を発する点光源を備え、画像を表示するように構成されるディスプレイ上に、前記点光源から離間して配置される光学素子であって、前記光学素子は、第1媒体と、前記第1媒体上に形成される第2媒体と、前記第1媒体と前記第2媒体との間の界面に形成される光偏向構造体とを備え、前記第1媒体と前記第2媒体は、単独で、感圧接着剤(PSA)、ゴム系接着剤およびポリシロキシサン系接着剤を含む粘弾性または弾性接着剤であり、前記粘弾性または弾性接着剤は、弾性ポリウレタン系接着剤またはポリシロキサン系接着剤、スチレンブロック共重合体系接着剤、(メタ)アクリル系ブロック共重合体系接着剤、ポリビニルエーテル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、およびポリメタクリレート系接着剤からなる群から選択される少なくとも1つであり、前記光偏向構造体は、湾曲している界面である、光学素子。」
(2) 本件補正後の特許請求の範囲
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。
「光を発する点光源を備え、画像を表示するように構成されるディスプレイ上に、前記点光源から離間して配置される光学素子であって、前記光学素子は、第1媒体と、前記第1媒体上に形成される第2媒体と、前記第1媒体と前記第2媒体との間の界面に形成される光偏向構造体と、前記ディスプレイと前記第1媒体との間に配置される外層と、を備え、前記第1媒体と前記第2媒体は、単独で、感圧接着剤(PSA)、ゴム系接着剤およびポリシロキシサン系接着剤を含む粘弾性または弾性接着剤であり、前記粘弾性または弾性接着剤は、弾性ポリウレタン系接着剤またはポリシロキサン系接着剤、スチレンブロック共重合体系接着剤、(メタ)アクリル系ブロック共重合体系接着剤、ポリビニルエーテル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、およびポリメタクリレート系接着剤からなる群から選択される少なくとも1つであり、前記光偏向構造体は、湾曲している界面である、光学素子。」
(3) 本件補正について
本件補正は、補正前の請求項1において、「光学素子」について、「前記ディスプレイと前記第1媒体との間に配置される外層」を備えたものに限定する、補正事項を含むものである。
ここで、上記補正事項は、【0041】及び図4の記載に基づくものである。
さらに、本件補正前の請求項1に係る発明と、本件補正後の請求項1に係る発明の、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は、同一である(本件出願の明細書の【0001】及び【0005】~【0007】)。
してみると、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に適合するものであり、また、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。
2 独立特許要件(進歩性)についての判断
(1) 引用例1に記載された事項
ア 引用例1の記載
令和5年11月21日付け拒絶理由通知書において引用された特表2019-501416号公報(以下「引用例1」という。)は、優先権主張の日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載されたものであるところ、そこには以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示し、以下同様である。
(ア) 「【発明の詳細な説明】【背景技術】【0001】各種理由によりディスプレイの上に周期的光学フィルムを置くことがある。例えば、周期的ルーバを含むフィルムがプライバシーフィルムとして使用することができる。周期的光学フィルムは、ディスプレイに周期的に配列された画素の上に置かれると、望ましくないモアレパターンを生じやすい。続きを表示(全31行)・・・略・・・【0009】構造化表面又は構造化境界面を有する格子アセンブリが、有用な光学効果をもたらすことができる。例えば、構造化表面又は構造化境界面は、物品を透過する光の回折をもたらすことができる。本明細書によれば、例えば、ディスプレイの上に載置されるか又はバックライトとディスプレイパネルの間に配置される周期的に変化する光学フィルムと共に含まれていれば、モアレを低減させるように格子アセンブリを選択できることが分かった。【0010】図13は、格子アセンブリ1300及び光学フィルム1330を含む光学積層体1399の断面図である。格子アセンブリ1300は第1の層1310及び第2の層1320を含み、第1の層1310と第2の層1322の間の境界面1335が格子1335aを画定する。光学フィルム1330は、基材1333に配置された周期的に変化する光学フィルム層1331を含む。例示される実施形態では、周期的に変化する光学フィルム層1331は、隣接するプリズム間に実質的に一定のピッチを有する周期的に配列された複数のプリズムを含む。格子アセンブリ1300は、ディスプレイの上に載置されたとき又はディスプレイパネルとバックライトの間に配置されたときに、ディスプレイとの光学フィルム1330の相互作用により発生するモアレの出現を低減させる回折ピークを生じさせるように構成してもよい。格子1335aは、ピークから谷までの高さh及びピッチPを有する。第1の層1310は屈折率n1を有し、第2の層1320は屈折率n2を有する。ピークから谷までの高さh、ピッチP、及び屈折率コントラスト(境界面1335の互いに反対側にある材料の屈折率の差の絶対値|n1-n2|)は、本明細書の他の箇所で更に説明されるような所望の程度の回折を生じさせるように選択してもよい。一部の実施形態では、第1の層1310と第2の層1320の両方が、粘弾性又はエラストマ性接着剤層、架橋樹脂層、及び可溶性樹脂層から成る群から選択される。・・・略・・・。一部の実施形態では、本明細書の格子アセンブリは、接着剤(例えば、粘弾性又はエラストマ性接着剤)である外側層を含む。それにより、格子アセンブリは、例えば、周期的に変化する光学フィルムを別の層又はディスプレイの表面に積層するために使用することのできる光学的な接着剤となる。・・・略・・・【0012】回折格子により発生する回折ピークの強度分布は、格子全体の屈折率コントラストと格子のピークから谷までの高さとの積の関数である。・・・略・・・モアレを低減させる回折ピークが比較的高い強度で現れ、これに対して、有効解像度を低下させることになる回折ピークは低い強度でしか現れないか又は測定可能な程度には全く現れないように、ピークから谷までの高さと屈折率コントラストとの積を調節することができる。・・・略・・・【0019】図15は、ディスプレイ1598の表面(例えば、ディスプレイガラスの外側表面)に貼り付けられた光学積層体1599の断面図である。光学積層体1599は、ルーバフィルム1596に貼り付けられた格子アセンブリ1500を含む。ルーバフィルム1596は、ディスプレイ1598の真正面又は真正面に近い視認者のみがディスプレイ1598のコンテンツを見ることができるように、視野角を制限するように構成することができる。・・・略・・・【0020】格子アセンブリ1500は、本明細書の他の箇所で説明される格子アセンブリのいずれでもよい。格子アセンブリ1500は、第1の層1510及び第2の層1520を含む。第1の層1510は、接着剤層(例えば、粘弾性又はエラストマ性接着剤層)でもよく、第2の層1520は、別の接着剤層(例えば、別の粘弾性又はエラストマ性接着剤層)でもよく、又は、例えば架橋若しくは可溶性樹脂層でもよい。・・・略・・・【0041】粘弾性又はエラストマ性接着剤は、感圧接着剤(pressure-sensitive adhesive、PSA)、ゴム系接着剤(例えば、ゴム、ウレタン)及びシリコーン系接着剤でもよい。・・・略・・・粘弾性又はエラストマ性接着剤は、実質的に透明で光学的に明澄でもよい。本明細書の粘弾性又はエラストマ性接着剤のいずれかが光学的に明澄な粘弾性の接着剤でもよい。・・・略・・・【0042】好適な粘弾性又はエラストマ性接着剤としては、いずれもSt.Paul,MNにある3M Companyから入手可能な、エラストマ性のポリウレタン又はシリコーン接着剤、及び光学的に明澄な粘弾性の接着剤CEF22、817x及び818xが挙げられる。他の有用な粘弾性又はエラストマ性接着剤としては、スチレンブロックコポリマー、(メタ)アクリルブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリオレフィン及びポリ(メタ)アクリレート系のPSAが挙げられる。・・・略・・・【0073】図7には、本明細書による格子アセンブリが示されている。格子アセンブリ700は、第1の層710、及び第1の層710に隣接する第2の層730を含む。第1の層710は、第1の屈折率n1を有する第1の粘弾性又はエラストマ性接着剤層であり、第2の層730は、n1とは異なる第2の屈折率n2を有する第2の粘弾性又はエラストマ性接着剤層である。格子アセンブリ700は、格子735aを画定する境界面735を含む。格子は、ピークから谷までの高さh及びピッチPを有する。格子全体の屈折率コントラスト|n1-n2|を乗じたピークから谷までの高さhが、約150nm~約350nmの範囲でもよく、ピッチは約2マイクロメートル~約50マイクロメートルの範囲でもよい。本明細書の他の箇所で説明されるように、この範囲は、良好なモアレ解消特性をもたらすことが分かった。・・・略・・・【0075】本明細書の格子アセンブリの一部の実施形態では、光を制御して拡散する複数の粒子又はビーズを1つ以上の層に加えてもよい。格子アセンブリがモアレの低減に使用される実施形態では、そのようなビーズは、格子アセンブリを通して見るときに画素サイズよりも大きなエリアに画素イメージを広げ、このことはモアレの低減を助長する。モアレの低減に加えて、複数の粒子又はビーズを組み込むことによって、発生し得る玉虫色を低減させることができる。格子アセンブリがディスプレイに含まれていると、格子アセンブリからの周辺光の反射が周波数に依存するため、玉虫色が時折観察されることがある。・・・略・・・粒子は、格子に直接隣接する層に組み込んでもよく、又は格子層に近接して配置された別個の追加の層に組み込んでもよい。」
(イ) 「【図7】[図:0001414445000001.jpg]【図8A】[図:0001414445000002.jpg]続きを表示(全11行)・・・略・・・【図13】[図:0001414445000003.jpg]・・・略・・・【図15】[図:0001414445000004.jpg]」
イ 引用発明1
(ア) 引用例1の【0073】によれば、「図7には、本明細書による格子アセンブリが示されている」ところ、当該図7から、「格子アセンブリ700」の「格子735aを画定」する、「第1の層710」と「第2の層730」の間の「境界面735」が湾曲していることが理解できる。
(イ) 引用例1の【0073】の記載及び上記(ア)より、引用例1には、図7に示された「格子アセンブリ700」の発明として、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「 第1の層710、及び第1の層710に隣接する第2の層730を含む、格子アセンブリ700であって、第1の層710は、第1の屈折率n1を有する第1の粘弾性又はエラストマ性接着剤層であり、第2の層730は、n1とは異なる第2の屈折率n2を有する第2の粘弾性又はエラストマ性接着剤層であり、格子アセンブリ700は、格子735aを画定する、第1の層710と第2の層730の間の境界面735含み、当該境界面735は湾曲しており、格子は、ピークから谷までの高さh及びピッチPを有し、格子全体の屈折率コントラスト|n1-n2|を乗じたピークから谷までの高さhが約150nm~約350nmの範囲であり、ピッチは約2マイクロメートル~約50マイクロメートルの範囲である、格子アセンブリ700。」
(2) 引用例2に記載された事項
ア 引用例2の記載
令和5年11月21日付け拒絶理由通知書において引用された国際公開第2018/220473号(以下「引用例2」という。)は、優先権主張の日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載されたものであるところ、そこには以下の記載がある。
(ア) 2頁下から5行~5頁17行(特に、基本構造(3頁15~22行)、屈折率の差の絶対値|n1-n2|(5頁4~13行)等)
「 Displays typically include a two-dimensionally pixelated display surface. In some cases, the spaces between the pixels or subpixels are visible to a viewer and this may be objectionable, particularly in head-mounted displays in which an optical system magnifies a displayed image for viewing by a viewer. This is known as the screen-door effect or fixed-pattern noise. According to some embodiments, of the present description, multilayer optical films for reducing the screen-door effect of a display are provided. The multilayer optical films may be referred to as screen-door effect mitigation films. According to some embodiments of the present description, it has been found that diffraction gratings having the heights, periods and index contrasts (differences in refractive indices on opposite sides of the grating) described herein can be used in an optical system to significantly reduce the screen-door effect while preserving a desired perceived image resolution. The gratings may be provided as a structured interface between first and second optical layers of a multilayer optical film.」(2頁下から5行~3頁7行)
(日本語訳)
「 ディスプレイは、典型的に、2次元的に画素化されたディスプレイ表面を含む。いくつかの場合、画素またはサブ画素間の間隙が観察者に見え、これは、特に光学系が観察者の観察のために表示された画像を拡大するヘッドマウントディスプレイにおいて、好ましくない。これはスクリーン-ドア効果または固定パターンとして知られる。本説明のいくつかの実施形態によれば、ディスプレイのスクリーン-ドア効果を低減するための多層光学フィルムが提供される。本説明のいくつかの実施形態によれば、ここで説明される高さ、周期及び屈折率コントラスト(格子の対向側の屈折率差)を持つ回折格子は、望ましい知覚される像解像度を維持しながらスクリーン-ドア効果を顕著に低減するために、光学系において使用されることが理解される。格子は、多層光学フィルムの第1及び第2光学層間の構造化された境界面として提供されてもよい。」
「 FIG. 1A shows a first optical layer 125 having a first major surface 178 which has a two-dimensional structure having a first period Tx along a first direction (x-direction) and a second period Ty along an orthogonal second direction (y-direction). In some embodiments, one or both of Tx and Ty are in a range from about 1 micrometer, or about 5 micrometers, or about 7.5 micrometers, or about 8 micrometers, to about 30 micrometers, or about 20 micrometers, or about 15 micrometers, or about 10 micrometers, or about 9.5 micrometers.」(3頁8~13行)
(日本語訳)
「 図1Aは、第1の方向(x方向)に沿って第1の周期Tx及び直交する第2の方向(y方向)に沿って第2の周期Tyを有する2次元構造を有する第1主面178を有する第1光学層125を示す。いくつかの実施形態において、Tx及びTyの一方または両方は、約1μm、または約5μm、または約7.5μm、または約8μmから、約30μm、または約20μm、または約15μm、または約10μm、または約9.5μmまでの範囲にある。」
「 FIG. 1B shows a multilayer optical film 100 which includes the first optical layer 125 of FIG. 1A and a second optical layer 145 disposed on the first optical layer 125. The first and second optical layers 125 and 145 define a structured interface 180 therebetween comprising a two-dimensional grating 182 extending along mutually orthogonal first and second directions (x- and y-directions). In some embodiments, the structured interface 180 is continuous across the width and length of the multilayer optical film 100. In some embodiments, the two-dimensional grating 182 is continuous across the width and length of the multilayer optical film 100. In some embodiments, the two-dimensional grating 182 is a substantially sinusoidal grating.・・・略・・・The grating 182 has an average height H.」(3頁15~28行)
(日本語訳)
「 図1Bは、図1Aの第1光学層125及び第1光学層125上に配置された第2光学層145を含む多層光学フィルム100を示す。第1及び第2光学層125及び145は、それらの間に、相互に直交する第1及び第2方向(x方向及びy方向)に沿って伸びる、2次元格子182からなる、構造化された境界面180を画定する。いくつかの実施形態では、構造化された境界面180は、多層光学フィルム100の幅及び長さに渡って連続する。いくつかの実施形態では、2次元格子182は、多層光学フィルム100の幅及び長さに渡って連続する。いくつかの実施形態では、2次元格子182は、実質的に正弦波格子である。・・・略・・・格子182は、平均高さHを有する。」
「 First optical layer 125 includes first outer major surface 181 and second optical layer 145 includes second outer major surface 191. In some embodiments, first outer major surface 181 is a substantially planar surface. In some embodiments, second outer major surface 191 is a substantially planar surface. Additional layers ( e.g., a hardcoat layer or release liner) may be disposed on one or both of the first and second outer major surfaces 181 and 191.Suitable materials for use as first optical layer 125 or second optical layer 145 include polymers, crosslinkable or crosslinked resins, and optically clear adhesives. In some embodiments, at least one of the first and second optical layers 125 and 145 comprises a crosslinked resin. Suitable resins are described further elsewhere herein. In some embodiments, at least one of the first and second optical layers 125 and 145 comprises an optically clear adhesive. Suitable adhesives are described further elsewhere herein. In some embodiments, the first optical layer 125 comprises a crosslinked resin and the second optical layer 145 comprises an optically clear adhesive. In some embodiments, the second optical layer 145 is an optically clear adhesive that is applied to first optical layer 125 forming a planarized layer.」(4頁16~29行)
(日本語訳)
「 第1光学層125は、第1外側主面181を含み、第2光学層145は、第2外側主面191を含む。いくつかの実施形態では、第1外側主面181は、実質的な平面である。いくつかの実施形態では、第2外側主面191は、実質的な平面である。付加的な層(例えば、ハードコート層または剥離ライナー)が、第1及び第2外側主面181及び191の一つまたは両方の上に配置されてもよい。第1光学層125または第2光学層145としての使用に適切な材料は、ポリマー、架橋可能なまたは架橋された樹脂及び光学的に透明な接着剤を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも第1及び第2光学層125及び145は、架橋された樹脂からなる。適切な樹脂は、この説明の他の箇所でさらに記載されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2光学層125及び145の少なくとも一方は、光学的に透明な接着剤からなる。適切な接着剤は、この説明の他の箇所でさらに記載されている。いくつかの実施形態では、第1光学層125は、架橋された樹脂からなり、第2光学層145は、光学的に透明な接着剤からなる。いくかの実施形態では、第2光学層145は、平坦化された層を形成する、第1光学層125に適用される光学的に透明な接着剤である。」
「 In some embodiments, multilayer optical film 100 is a screen-door effect mitigation film for reducing a screen-door effect of a display. An optical system may include the multilayer optical film 100 proximate a two-dimensionally pixelated display surface in order to reduce the appearance of the screen-door effect caused by gaps between pixels and/or subpixels of the display surface while preserving a desired degree of resolution as described further elsewhere herein. According to some embodiments, it has been found that it is particularly advantageous to select the grating of the multilayer optical film to diffract a specified wavelength λ into approximately equal intensity zero and first diffraction orders, where λ is a wavelength between a peak green wavelength and a peak red wavelength, for example, emitted by the display.」(4頁30行~5頁3行)
(日本語訳)
「 いくつかの実施形態では、多層光学フィルム100は、ディスプレイのスクリーン-ドア効果を低減するためのスクリーン-ドア効果低減フィルムを形成する。この説明の他の箇所でさらに記載されるように、所望の程度の解像度を維持しつつ表示面の画素及び/またはサブ画素間の隙間に起因するスクリーン-ドア効果の出現を低減するために光学系が2次元的に画素化されたディスプレイ表面に近接する多層光学フィルム100を含む。いくつかの実施形態によれば、特定の波長λを、略等しい強度の0次及び1次の回折次数へと回折させる多層光学フィルムの格子を選択することが特に有利であり、ここでλは、例えばディスプレイから放射されるピーク緑波長及びピーク赤波長の間の波長である、ことが理解される。」
「 At a wavelength λ, the first optical layer 125 has a first refractive index n1and the second optical layer 145 has a second refractive index n2. In some embodiments, the absolute value of the difference in the first and second refractive indices, |n1-n2|, is at least about 0.05, or at least about 0.08, or at least about 0.1, or at least about 0.12, or at least about 0.14. In some embodiments, the absolute value of the difference in the first and second refractive indices, |n1-n2|, is no more than about 0.3, or no more than about 0.26, or no more than 0.25, no more than about 0.24, or no more than about 0.22, or no more than about 0.2, or no more than about 0.19, no more than about 0.18. For example, in some embodiments, |n1-n2| is in a range of about 0.08 to about 0.25, or in a range of about 0.1 to about 0.25, or in a range of about 0.1 to about 0.2, or in a range of about 0.14 to about 0.18. In some embodiments, the wavelength λ is at least about 550 nm, or at least about 580 nm, or at least about 590 nm, or at least about 595 nm. In some embodiments, the wavelength λ is no more than about 650 nm, or no more than about 633 nm, or no more than about 620 nm, or no more than about 610 nm, or no more than about 605 nm. For example, in some embodiments, λ is in a range from about 580 nm to about 650 nm. In some embodiments, λ is about 600 nm.」(5頁4~17行)
(日本語訳)
「 波長λにおける、第1光学層125は、第1屈折率n1を有し、第2光学層145は、第2屈折率n2を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2屈折率の差の値の絶対値、|n1-n2|は、少なくとも約0.05、または少なくとも約0.08、または少なくとも約0.1、または少なくとも約0.12、または少なくとも約0.14である。いくつかの実施形態では、第1及び第2屈折率の差の値の絶対値、|n1-n2|は、約0.3以下、または約0.26以下、または約0.25以下、または約0.24以下、または約0.22以下、または約0.2以下、または約0.19以下、または約0.18以下である。例えば、いくつかの実施形態では、|n1-n2|は、約0.08~約0.25の範囲、あるいは約0.1~約0.25の範囲、あるいは約0.1~約0.2の範囲、あるいは約0.14~約0.18の範囲である。いくつかの実施形態では、波長λは、少なくとも約550nm、あるいは少なくとも約580nm、あるいは少なくとも約590nm、あるいは少なくとも約595nmである。いくつかの実施形態では、波長λは、約650nm以下、約633nm以下、約620nm以下、約610nm以下、約605nm以下である。例えば、いくつかの実施形態では、λは約580nm~約650nmの範囲である。いくつかの実施形態では、λは約600nmである。」
(イ) 7頁28行~30行
「 In some embodiments, one of both of the first and second optical layers is an adhesive layer, such as an optically clear adhesive layer. An optically clear adhesive has a high transmittance and a low haze.」
(日本語訳)
「 いくつかの実施形態では、第1及び第2光学層の両方のうちの一つは、光学的に透明な接着剤層のような、接着層である。光学的に透明な接着剤層は、高い透過率とヘイズを有する。」
(ウ) 7頁33行~8頁17行
「Suitable adhesives include viscoelastic or elastomeric adhesives which may be pressure-sensitive adhesives (PSAs), rubber-based adhesives (e.g., rubber, urethane) and silicone-based adhesives.・・・略・・・Viscoelastic or elastomeric adhesives may be substantially transparent and optically clear. Any of the viscoelastic or elastomeric adhesives of the present description may be viscoelastic optically dear adhesives.・・・略・・・Viscoelastic or elastomeric adhesive layers may be applied directly as a substantially 100 percent solids adhesive or may be formed by coating a solvent-borne adhesive and evaporating the solvent. Viscoelastic or elastomeric adhesives may be hot melt adhesives which may be melted, applied in the melted form and then cooled to form a viscoelastic or elastomeric adhesive layer. Suitable adhesives include elastomeric polyurethane or silicone adhesives and the viscoelastic optically clear adhesives CEF22, 817x, and 818x, all available from 3M Company, St. Paul, MN. Other useful viscoelastic or elastomeric adhesives include PSAs based on styrene block copolymers, (meth)acrylic block copolymers, polyvinyl ethers, polyolefins, and poly(meth )acrylates.」
(日本語訳)
「適切な接着剤は、感圧接着剤(PSA)、ゴム系接着剤(例えば、ゴム、ウレタン)、シリコーン系接着剤である粘弾性または弾性接着剤を含む。・・・略・・・粘弾性または弾性接着剤は、実質的に透明であり、光学的に透明である。この説明におけるあらゆる粘弾性または弾性接着剤は、粘弾性の光学的に透明な接着剤である。・・・略・・・粘弾性または弾性接着剤層は、実質的に100%の固体の接着剤として直接適用されるか、または、溶剤系の接着剤として塗布し、溶媒を蒸発させることにより形成できる。粘弾性または弾性接着剤層は、溶融し、溶融形態で塗布され、次いで冷却され、粘弾性または弾性接着剤層を形成する、ホットメルト接着剤でもよい。適切な接着剤は、弾性ポリウレタン、または、シリコーン接着剤弾性接着、及び、全て3Mカンパニー、St.Paul、MNから入手可能な粘弾性で光学的に透明な接着剤、CEF22、817x、818xを含む。他の有用な粘弾性または弾性接着剤は、スチレンブロックコポリマー、(メタ)アクリルブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリオレフィン及びポリ(メタ)アクリレート系のPSAを含む。」
(エ) 9頁15~32行
「 FIG. 4 is a schematic cross-sectional view of an optical system 450 including a multilayer optical film 300, which may correspond to multilayer optical film 100, for example, disposed proximate a display component 350 having a display surface 352. The multilayer optical film 300 includes first and second optical layers (not illustrated in FIG. 4) with a grating interface disposed therebetween as described further elsewhere herein (see, e.g., FIG. 1B). Either the first or the second optical layer may be disposed facing the display surface 352.」(9頁15~20行)
(日本語訳)
「 図4は、例えば、ディスプレイ表面352を有するディスプレイ要素350に近接して配置され、多層光学フィルム100に対応する、多層光学フィルム300を含む光学系450の略断面図である。多層光学フィルム300は、ここで他の箇所にさらに記載されるような、それらの間に配置される格子境界面を備えた第1及び第2光学層(図4には図示せず)を含む(例えば図1B参照)。第1または第2光学層のいずれかがディスプレイ表面に対向して配置される。」
「The display surface 352 may be a two-dimensionally pixelated display surface as described further elsewhere herein. In some embodiments, the display component 350 is an LCD display and a light source 351 may be included to provide light input to a backlight of the liquid crystal display. Light source 351 may be a white light or may include a plurality of colored light emitting diodes (LEDs), for example. In some embodiments, the display component 350 is an OLED display. In this case the separate light source 35l may be omitted and the light source for the display is the emissive layer of the pixels or subpixels of the display. In some embodiments, the display surface 352 displays an image 354 and the optical system 450 magnifies the displayed image 354 through a grating interface in the multilayer optical film 300 as a virtual image 358 for viewing by a viewer 410. In some embodiments, at least one additional layer 370 is disposed between the multilayer optical film 300 and the display surface 352. In other embodiments, the at least one additional layer 370 is omitted and the multilayer optical film 300 is disposed directly on the display surface 352.」(9頁20~32行)
(日本語訳)
「ディスプレイ表面352は、この説明の他の箇所で記載されたように2次元的に画素化されたディスプレイ表面である。いくつかの実施形態では、ディスプレイ要素350は、LCDディスプレイであり、光源351が含まれ、液晶ディスプレイのバックライトへの光入力を供給する。光源351は、例えば、白色光か、または複数のカラー光を放射するダイオード(LEDs)を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイ要素は、OLEDディスプレイである。この場合、分離した光源351は省略され、ディスプレイの光源は、ディスプレイの画素またはサブ画素の放射層である。いくつかの実施形態では、ディスプレイ表面352は、画像354を表示し、光学系450は、表示された画像354を、多層光学フィルム300中の格子境界面を介し、観察者410が観察するために仮想画像358として拡大する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの付加的な層370が、多層光学フィルム300とディスプレイ表面352との間に配置される。他の実施形態では、その少なくとも1つの付加的な層370は省略され、多層光学フィルム300はディスプレイ表面352上に直接配置される。」
(オ) 10頁15~20行
「In some embodiments, a display including a light source, a two-dimensionally pixelated display surface (see, e.g., FIG. 2) for displaying an image, and a multilayer optical film of the present description disposed proximate the display surface (see, e.g., FIG. 4). The multilayer optical film includes a grating including first and second optical layers defining a two-dimensional grating interface therebetween extending along mutually orthogonal first and second directions as described further elsewhere herein (see, e.g., FIGS. 1A-1B).」
(日本語訳)
「いくつかの実施形態においては、ディスプレイは、光源、画像を表示するための2次元的に画素化されたディスプレイ表面(例えば図2参照)、及び、ディスプレイ表面に近接して配置された本説明に記載の多層光学フィルム(例えば図4参照)を含む。多層光学フィルムは、他の箇所でさらに記載されたような相互に直交する第1及び第2方向に沿って伸びる、それらの間の2次元格子境界面を画定する第1及び第2光学層を含む格子を含む(例えば、図1A-1Bを参照)。」
(カ) 13頁下から8行~14頁2行
「 The following is a list of exemplary embodiments of the present description.Embodiment 1 is a multilayer optical film comprising:a first optical layer having an index of refraction n1 at a wavelength λ in a range from about 580 nm to about 650 nm; anda second optical layer disposed on the first optical layer and having an index of refraction n2 at λ, the first and second optical layers defining a structured interface therebetween comprising a two-dimensional substantially sinusoidal grating extending along mutually orthogonal first and second directions, the grating having a period T in a range from about 7 .5 micrometers to about 10 micrometers along each of the first and second directions and an average height H, such that |n1-n2|*H is in a range from about 0.24 micrometers to about 0.3 micrometers.」
(日本語訳)
「 以下は、本発明の例示的な実施形態のリストである。実施形態1は、約580nm~約650nmの範囲の波長λにおける屈折率n1を有する第1光学層と、第1光学層上に配置されたλで屈折率n2を有する第2光学層からなり、第1及び第2光学層は、その間に、相互に直交する第1及び第2方向に沿って伸びる、2次元的な実質的に正弦波状の格子であって、第1及び第2方向のそれぞれに沿って約7.5マイクロメータ~約10マイクロメータの範囲の周期T及び平均高さHが|n1-n2|*Hが約0.24マイクロメータ~約0.3マイクロメータの範囲となる、格子を画定する、多層光学フィルムである。」
(キ) 14頁下から2行~最下行
「Embodiment 12 is the multilayer optical film of any one of Embodiments 1 to 10, wherein at least one of the first and second optical layers comprises an optically clear adhesive.」
(日本語訳)
「実施形態12は、実施の形態1~10のいずれかの多層光学フィルムであって、少なくとも第1及び第2光学層の一方が、光学的に透明な接着剤からなる。」
(ク) 「[図:0001414445000005.jpg][図:0001414445000006.jpg]・・・略・・・[図:0001414445000007.jpg]」
イ 引用発明2
(ア) 引用例2の3頁15~19行には、「図1Bは、図1Aの第1光学層125及び第1光学層125上に配置された第2光学層145を含む多層光学フィルム100を示す。」、「第1及び第2光学層125及び145は、それらの間に、相互に直交する第1及び第2方向(x方向及びy方向)に沿って伸びる、2次元格子182からなる、構造化された境界面180を画定する。」と記載されるところ、図1Bの「構造化された境界面180」の形状から、「構造化された境界面180」は、湾曲していることが理解できる(引用例2の3頁22行の「2次元格子182は、実質的に正弦波格子である。」との記載からも「2次元格子182からなる」「構造化された境界面180」が湾曲していることが理解できる。)。
(イ) 上記アの引用例2の3頁2行~5頁19行(特に、基本構造(3頁15~22行)、屈折率の差の値の絶対値|n1-n2|(5頁4行~19行)等)及び図1A、図1Bの記載及び上記(ア)より、引用例2には、図1A及び図1Bに示された「第1光学層125と第1光学層125上に配置された第2光学層145を含む多層光学フィルム100」の発明として、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「第1光学層125、及び、第1光学層125上に配置された第2光学層145を含む多層光学フィルム100であって、波長λにおいて、第1光学層125は第1屈折率n1を有し、第2光学層145は第2屈折率n2を有し、第1及び第2屈折率の差の値の絶対値|n1-n2|は、少なくとも約0.05、または少なくとも約0.08、または少なくとも約0.1、または少なくとも約0.12、または少なくとも約0.14であり、第1屈折率及び第2屈折率の差の値の絶対値|n1-n2|は、約0.3以下、または約0.26以下、または約0.25以下、または約0.24以下、または約0.22以下、または約0.2以下、または約0.19以下、または約0.18以下であり、第1光学層125及び第2光学層145は、それらの間に、相互に直交する第1及び第2方向(x方向及びy方向)に沿って伸びる、2次元格子182からなる、構造化された境界面180を画定し、2次元格子182からなる、構造化された境界面180は湾曲している、多層光学フィルム100。」
(3) 引用例2を主引用例とする進歩性について
ア 対比
本件補正後発明と、引用発明2とを対比する。
(ア) 第1媒体、第2媒体、光偏向構造体
a 引用発明2は、「第1屈折率n1を有」する「第1光学層125」と、「第1光学層125上に配置された」、「第2屈折率n2を有」する「第2光学層145」を含む。
引用発明2の「第1光学層125」は、本件補正後発明の「第1媒体」に相当する。
また、引用発明2の「第2媒体」は、「第1光学層125上に配置された」ものであるから、本件補正後発明の、「前記第1媒体上に形成される」とされる、「第2媒体」に相当する。
b 引用発明2は、「第1光学層125及び第2光学層145」「の間に」、「2次元格子182からなる」、「湾曲している」「構造化された境界面180」を備えている。
また、引用発明2の「2次元格子182」からなる「構造化された境界面180」は、それを構成する第1光学層125及び第2光学層145の第1及び第2屈折率の差の値の絶対値からみて、回折格子として機能する(引用例2の2頁下から5行~3頁7行の「ここで説明される高さ、周期及び屈折率コントラスト(格子の対向側の屈折率差)を持つ回折格子は、望ましい知覚される像解像度を維持しながらスクリーン-ドア効果を顕著に低減するために、光学系において使用されることが理解される。」(上記(2)ア(ア)参照)との記載からも理解できる。)。
そうすると、引用発明2の「構造化された境界面180」は、本件補正後発明の「光偏向構造体」に相当し、本件補正後発明の「光偏向構造体」の、「前記第1媒体と前記第2媒体との間の界面に形成される」との構成を具備する。
また、引用発明2は、本件補正後発明の、「前記光偏向構造体は、湾曲している界面である」との構成を具備する。
(イ) 光学素子
上記(ア)より、引用発明2の「多層光学フィルム100」は、本件補正後発明の「光学素子」に相当する。
また、本件補正後発明の「光学素子」と、引用発明2の「多層光学フィルム」は、「第1媒体と」、「第2媒体と」、「光偏向構造体と」「を備え」ている点で共通する。
イ 一致点及び相違点
以上の対比結果を踏まえると、本件補正後発明と、引用発明2は、
「光学素子であって、前記光学素子は、第1媒体と、前記第1媒体上に形成される第2媒体と、前記第1媒体と前記第2媒体との間の界面に形成される光偏向構造体とを備え、前記光偏向構造体は、湾曲している界面である、光学素子。」の構成で一致し、以下の点で相違、または一応相違する。
(相違点2-1-1)
「光学素子」が、本件補正後発明においては、「光を発する点光源を備え、画像を表示するように構成されるディスプレイ上に、前記点光源から離間して配置される」ものであるの対して、引用発明2においては、そのようなものであるかどうか不明である点。
(相違点2-1-2)
「前記光学素子」が、本件補正後発明においては、「前記ディスプレイと前記第1媒体との間に配置される外層」「を備え」ているのに対して、引用発明2においては、そのようなものあるかどうか不明である点。
(相違点2-1-3)
「前記第1媒体と前記第2媒体」が、本件補正後発明においては、「単独で、感圧接着剤(PSA)、ゴム系接着剤およびポリシロキシサン系接着剤を含む粘弾性または弾性接着剤であり、前記粘弾性または弾性接着剤は、弾性ポリウレタン系接着剤またはポリシロキサン系接着剤、スチレンブロック共重合体系接着剤、(メタ)アクリル系ブロック共重合体系接着剤、ポリビニルエーテル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、およびポリメタクリレート系接着剤からなる群から選択される少なくとも1つであ」るのに対して、引用発明2においては、そのようなものであるかどうか不明である点。
ウ 判断
(ア) 相違点2-1-1について
a 本願明細書の【0034】の「光源150は、ディスプレイ、ディスプレイの画素(またはサブピクセル)、バックライトモジュール・・・略・・・であってもよい。」との記載、及び、【0042】の「ディスプレイ520内の単一のサブピクセルが、発光ユニット521として使用され、画像は、発光ユニット521から発せられる光522により形成される。」との記載によれば、相違点2-1-1に係る「光を発する点光源」について、ディスプレイの画素を「光を発する点光源」といえると理解できるところ、相違点2-1-1に係る「光を発する点光源を備え、画像を表示するように構成されるディスプレイ上に、前記点光源から離間して配置される」との発明特定事項は、光学素子の使用方法に係る事項であるから、物に係る発明である光学素子の物としての構成を何ら特定するものではない。してみると、相違点2-1-1は、実質的な相違点を構成しない。
b 上記aのとおりでないとしても、引用例2には、「多層光学フィルム」をディスプレイ(表面)上に載置することが記載され(9頁15~20行、10頁15~17行、15頁20行~21行及び図4(ディスプレイ要素350、ディスプレイ表面352、多層光学フィルム300(多層光学フィルム100に対応)等参照))、そしてディスプレイのバックライトとして光を発する点光源(LED等)は慣用のものであることを踏まえれば、引用発明2において、相違点2-1-1に係る本件補正後発明の構成とすることは、引用例2の記載に基づき、当業者が容易に想到し得たことである。
あるいは、画素を点光源ということができる(上記a)ことを踏まえて検討しても同様である。
具体的には、画素自体がディスプレイ表面を直接形成することはない(画素より表面側には通常、基板やフィルム(層)が配置されている)から、引用発明2の多層光学フィルム100がディスプレイ(表面)上に載置される構成とした場合、多層光学フィルム100は点光源(画素)から離間して配置されることになる。してみると、引用発明2において、相違点2-1-1に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
さらに、引用例2には、ディスプレイ表面(352)と多層光学フィルム(300)との間に付加的な1つの層(370)を配置することが記載されている(9頁29~31行及び図4)から、引用発明2において、相違点2-1-1に係る本件補正後発明の構成とすることは、引用例2の記載に基づき、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点2-1-2について
a 「光学素子」が、「(光を発する点光源を備え、画像を表示するように構成される)前記ディスプレイと前記第1媒体との間に配置される外層」「を備え」る、との発明特定事項に関し、光学素子の第1媒体をディスプレイ側とすることは、光学素子の使用方法に係る事項であることから、物に係る発明である光学素子の物としての構成を何ら特定するものではないところ、引用例2には、第1光学層125の第1主要表面181及び第2光学層145の第2主要表面191(図1B参照)に付加的な層として例えばハードコート層を設けてもよいことが記載されている(4頁19~20行)から、引用発明2の多層光学フィルム100の第1光学層125(第1媒体)にハードコート層(本件補正後発明の「外層」に相当)を配置した構成とすることは、引用例2の記載に基づき、当業者が容易に想到し得たことである。
b 上記aのとおりでないとしても、上記(ア)bで述べたとおり、引用例2には、「多層光学フィルム」をディスプレイ(表面)上に載置することが記載され、また、引用例2には、第1光学層または第2光学層のいずれかがディスプレイ表面に対向して配置されることが記載されている(9頁19~20行)。
そうすると、引用発明2の第1光学層125をディスプレイ表面に対向して配置される側とし、引用発明2の多層光学フィルムが、ディスプレイと第1光学層125(第1媒体)との間に配置される(上記aの)ハードコート層(外層)を備えた構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
あるいは、ディスプレイ表面352と多層光学フィルムとの間に付加的な1つの層(図4の370)を配置してもよい(上記(ア)b)ことから、引用発明2の多層光学フィルム100の第1光学層125(第1媒体)に付加的な層を予め設けて、ディスプレイと第1光学層(第1媒体)との間に配置される外層を備えた構成とすることも、当業者が容易に想到し得たことである。
c 以上のとおりであるから、引用発明2において、相違点2-1-2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ) 相違点2-1-3について
a 引用発明2の第1光学層及び第2光学層の材料に関し、引用例2の14頁下から2行~最下行や4頁24~25行または7頁28~29行等には、第1光学層及び第2光学層の一方あるいは両方が光学的に透明な接着剤からなること、7頁33行~8頁17行には、(A)適切な接着剤は、感圧接着剤(PSA)、ゴム系接着剤(例えば、ゴム、ウレタン)、シリコーン系接着剤である粘弾性または弾性接着剤を含むこと、(B)粘弾性または弾性接着剤は、実質的に透明であり、光学的に透明であること、粘弾性の光学的に透明な接着剤であること、(C)適切な接着剤は、弾性ポリウレタン、または、シリコーン接着剤弾性接着、及び、全て3Mカンパニーから入手可能な粘弾性で光学的に透明な接着剤を含むこと、(D)他の有用な粘弾性または弾性接着剤は、スチレンブロックコポリマー、(メタ)アクリルブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリオレフィン及びポリ(メタ)アクリレート系のPSAを含むこと、が記載されている。
そうすると、引用発明2の「第1光学層125」及び「第2光学層145」が、単独で、感圧接着剤(PSA)、ゴム系接着剤を含む粘弾性及び弾性接着剤であり、前記粘弾性及び弾性接着剤は、弾性ポリウレタン系接着剤、スチレンブロック共重合体系接着剤、(メタ)アクリル系ブロック共重合体系接着剤、ポリビニルエーテル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤及びポリメタクリレート系接着剤からなる群から選択される少なくとも1つからなる構成とし、相違点2-1-3に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(エ) 本件補正後発明の効果について
a 本件補正後発明の効果に関連して、本願明細書には、「本発明の実施形態によると、光学フィルムおよびそれを用いる表示装置を提供する。」、「光学フィルムは、表示内容の可読性を改善し得る。」(【0005】)、「光学フィルムは、狭視野角、色ずれ、光漏れを含む、ディスプレイモジュールの問題を解決し得る。」(【00006】)、「光学フィルムは、光学フィルムを通過した後の入射光の拡散により生じるフレームのぶれを解決し得る。」(【0007】)、「たとえば、回折構造を有する光学フィルムは、狭視野角、色ずれ、光漏れなどのディスプレイモジュールの問題を解決するために使用され得る。しかし、それらの光学フィルムは、状況によっては、フレームのブレの原因となり得る。」(【0018】)、「光学フィルムを通過する光により引き起こされる拡張レベル(expansion level)が、画像の表示品質に影響を及ぼす要因の1つであり、フレームのブレの問題は、ディスプレイ上に表示される光学フィルムの拡張レベルを制御することにより解決され得ることを見出した。より具体的には、光学フィルムの両側(前側および後側)から得られる画像拡大率(image expansion level)の制御が、フレームのブレの問題を解決する手助けとなる。」(【0019】)、「本例では、2つの反対方向に沿って光学素子を通過する光によって生じる拡張レベル、および、それらの対応関係が、ディスプレイの知覚される解像度を適切に保つために、さらに研究される。」(【0019】)、「WA(光が第1層を光入射側として光学素子を通過するときに得られる画像拡大幅)は、WB(光が第2層を光入射側として光学素子を通過するときに得られる画像拡大幅)よりも小さく、画像が過剰に拡張される問題を効果的に制御することができる。」(【0047】)との記載がある。
また、「外層」に関しては、「測定の利便さのために、光学素子410は、複数の膜層の積層構造として形成される。底部から上部まで、積層構造は、第1外層411、第1媒体で形成される第1層412、第2媒体で形成される第2層413、第2外層414を含み、第1層412と第2層413との間の界面は、光偏向構造体415を含む。」(【0041】)と記載されるにとどまる。
b しかしながら、例えば、上記aの回折格子(光学フィルム)による拡張レベルの制御、及び、当該制御による表示内容の可読性の改善、画像の表示品質の向上に関しては、引用例2に記載されているように、ディスプレイ表面に回折格子を配置することにより、回折格子による回折(あるいは偏向、拡大)により、望ましい像解像度を維持しつつ、画素間の隙間を埋めて、画素の間隙に起因するクリーン-ドア効果を顕著に低減すること、また、そのために0次及び1次の各回折次数の回折強度が等しくなるように格子設計を行うことは、よく知られていることである(上記(2)ア(ア)の2頁下から5行~3頁7行及び4頁30行~5頁3行の記載参照)。
同様に、上記の表示内容の可読性の改善、画像の表示品質の向上に関し、引用例1に記載されているように、視野角を制限する周期的ルーバの使用に伴い発生するモアレを、周期的ルーバに積層される回折格子による回折により、有効解像度を低下させることなく、低減するように回折格子を設計することも、よく知られていることである。(上記(1)ア(ア)の【0001】、【0009】及び【0012】等の記載参照)。
そして、回折格子の基本的な回折(あるいは偏向、拡大)機能や上記の回折格子の機能やその設計に係る当業者の技術常識に基づけば、上記aで述べた、回折格子による拡張レベルの設計、制御による表示内容の可読性の改善、画像の表示品質の向上等の本件補正後発明の各効果は、優先権主張の日当時、本件補正後発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができたものであり、当該構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものとは認められない。
(オ) 令和6年2月27日提出の意見書における請求人の主張について
a 請求人は、同意見書3~5頁において、「引用例1~3には、・・・略・・・補正後の本件の請求項1・・・略・・・で特定される、ディスプレイと第1媒体との間に配置される外層を備える光学素子、・・・略・・・開示も示唆もされていません。」、「引用例2のmultilayer optical filmでは、以下に示します引用例2のFig.1Bが示すように、first optical layer 125におけるstructured interface 180と反対側の表面には何も積層されていません。従って、ディスプレイとfirst optical layer 125との間には外層は配置されません。すなわち、引用例2には、本件の請求項1・・・略・・・に係る発明が備える、上記特徴A「前記光学素子は、・・・前記ディスプレイと前記第1媒体との間に配置される外層と、を備え」・・・略・・・は、開示も示唆すらもされていません。」と主張する。
b しかしながら、上記(イ)a及びbで述べたとおりであるから、請求人の同意見書における上記主張を採用することはできない。
エ 小括
本件補正後発明は、引用例2に記載された発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
(4) 引用例1を主引用例とする進歩性について
ア 対比
本件補正後発明と、引用発明1とを対比する。
(ア) 第1媒体、第2媒体、光偏向構造体
a 引用発明1は、「第1の屈折率n1を有する第1の粘弾性又はエラストマ性接着剤層であ」る「第1の層710」と、「第1の層710に隣接する」、「n1とは異なる第2の屈折率n2を有する第2の粘弾性又はエラストマ性接着剤層であ」る「第2の層730」を含む。
ここで、本件補正後発明において、「第1媒体」及び「第2媒体」は、光学素子としてはどちらを第1、第2とするかは任意である。そうすると、引用発明1の「第1の層710」を、本件補正後発明の「第1媒体」に相当させ、引用発明1の「第2の層730」を、本件補正後発明の、「前記第1媒体上に形成される」とされる、「第2媒体」に相当させることができる。
b 引用発明1は、「第1の層710と第2の層730の間」に、「格子735aを画定する」、「湾曲して」いる「境界面735」を含んでいる。
また、「格子735aを画定する」、「湾曲して」いる「境界面735」は、それを構成する第1の層710及び第2の層730の各屈折率n1及びn2が異なるから、回折格子として機能する。
そうすると、引用発明1の「格子735aを画定する」「境界面735」は、本件補正後発明の「光偏向構造体」に相当し、本件補正後発明の「光偏向構造体」の、「前記第1媒体と前記第2媒体との間の界面に形成される」との構成を具備する。
また、引用発明1は、本件補正後発明の、「前記光偏向構造体は、湾曲している界面である」との構成を具備する。
(イ) 光学素子
上記(ア)より、引用発明1の「格子アセンブリ700」は、本件補正後発明の「光学素子」に相当する。
また、本件補正後発明の「光学素子」と、引用発明1の「格子アセンブリ700」は、「第1媒体と」、「第2媒体と」、「光偏向構造体と」「を備え」ている点で共通する。
イ 一致点及び相違点
以上の対比結果を踏まえると、本件補正後発明と、引用発明1は、
「光学素子であって、前記光学素子は、第1媒体と、前記第1媒体上に形成される第2媒体と、前記第1媒体と前記第2媒体との間の界面に形成される光偏向構造体とを備え、前記光偏向構造体は、湾曲している界面である、光学素子。」の構成で一致し、以下の点で相違、または一応相違する。
(相違点1-1-1)
「光学素子」が、本件補正後発明においては、「光を発する点光源を備え、画像を表示するように構成されるディスプレイ上に、前記点光源から離間して配置される」ものであるの対して、引用発明1においては、そのようなものであるかどうか不明である点。
(相違点1-1-2)
「前記光学素子」が、本件補正後発明においては、「前記ディスプレイと前記第1媒体との間に配置される外層」「を備え」ているのに対して、引用発明1においては、そのようなものあるかどうか不明である点。
(相違点1-1-3)
「前記第1媒体と前記第2媒体」が、本件補正後発明においては、「単独で、感圧接着剤(PSA)、ゴム系接着剤およびポリシロキシサン系接着剤を含む粘弾性または弾性接着剤であり、前記粘弾性または弾性接着剤は、弾性ポリウレタン系接着剤またはポリシロキサン系接着剤、スチレンブロック共重合体系接着剤、(メタ)アクリル系ブロック共重合体系接着剤、ポリビニルエーテル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、およびポリメタクリレート系接着剤からなる群から選択される少なくとも1つであ」るのに対して、引用発明2においては、そのようなものであるかどうか不明である点。
ウ 判断
(ア) 相違点1-1-1について
a 上記(3)ウ(ア)で述べたとおり、本願明細書の【0034】及び【0042】の記載によれば、相違点1-1-1に係る「光を発する点光源」について、ディスプレイの画素を「光を発する点光源」といえると理解できるところ、相違点1-1-1に係る「光を発する点光源を備え、画像を表示するように構成されるディスプレイ上に、前記点光源から離間して配置される」との発明特定事項は、光学素子の使用方法に係る事項であるから、物に係る発明である光学素子の物としての構成を何ら特定するものではない。してみると、相違点1-1-1は、実質的な相違点を構成しない。
b 上記aのとおりでないとしても、引用例1には、「格子アセンブリ」を「ディスプレイの上に載置」することが記載され(【0009】~【0010】、【0019】、【0020】及び図15(ディスプレイ1598、格子アセンブリ1500等))、また、バックライトとして光を発する点光源は慣用のものであることを踏まえれば、引用発明1において、相違点1-1-1に係る本件補正後発明の構成とすることは、引用例1の記載に基づき、当業者が容易に想到し得たことである。
また、画素を点光源ということができる(上記a)ことを踏まえて検討しても同様である。
すなわち、画素自体がディスプレイ表面を直接形成することはないから、引用発明1の格子アセンブリ700がディスプレイ(表面)上に載置される構成とした場合、格子アセンブリ700は点光源(画素)から離間して配置されることになる。そうすると、引用発明1において、相違点1-1-1に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点1-1-2について
a 「光学素子」が、「(光を発する点光源を備え、画像を表示するように構成される)前記ディスプレイと前記第1媒体との間に配置される外層」「を備え」る、とのことに関し、光学素子の第1媒体をディスプレイ側とすることは、光学素子の使用方法に係る事項であることから、物に係る発明である光学素子の物としての構成を何ら特定するものではない。
そして、引用例2(4頁19~20行)には、第1光学層及び第2光学層を有し、第1光学層及び第2光学層の間に2次元格子からなる境界面を画定する多層光学フィルムの第1主要表面及び第2主要表面にハードコート層を設けることが記載、示唆されているところ、引用発明1の格子アセンブリ700は、引用例2の多層光学フィルムと、ディスプレイ(表面)上に配置される回折格子として共通する。また、格子アセンブリ700の保護は、当業者であれば当然に考える技術的事項である。してみると、引用例2の上記記載に基づき、引用発明1の第1の層710(第1媒体)にハードコート層(「外層」に相当)を配置した構成とすることは、格子アセンブリ700の保護を考える当業者が容易に想到し得たことである。
b 上記aのとおりでないとしても、上記(ア)bで述べたとおり、引用例1には、「格子アセンブリ」を「ディスプレイの上に載置」することが記載されている。
そうすると、引用発明1の第1の層710をディスプレイ表面に対向して配置される側とし(例えば、引用例1の図15では、格子アセンブリ1500の第1の層1510をディスプレイ1598側としている(【0019】~【0020】)。)、引用発明1の格子アセンブリ700が、ディスプレイと第1の層710(第1媒体)との間に配置される(上記aの)ハードコート層(外層)を備えた構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
あるいは、引用例2(9頁29~31行及び図4)には、ディスプレイ表面352と多層光学フィルムとの間に付加的な1つの層(370)を配置してもよいことが記載、示唆されている。
さらに、引用例1の【0010】には、「本明細書の格子アセンブリは、接着剤(例えば、粘弾性又はエラストマ性接着剤)である外側層を含む」ことが、【0075】には、「本明細書の格子アセンブリの一部の実施形態では、光を制御して拡散する複数の粒子又はビーズを1つ以上の層に加えてもよ」く、「粒子は、格子に直接隣接する層に組み込んでもよく、又は格子層に近接して配置された別個の追加の層に組み込んでもよい」ことが記載されている。
してみると、引用例2あるいは引用例1の上記の各記載、示唆に基づき、引用発明1において、第1の層710をディスプレイ表面に対向して配置される側とし、引用発明1の格子アセンブリ700が、ディスプレイと第1の層710(第1媒体)との間に配置される外層を備えた構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
c 以上のとおりであるから、引用発明1において、相違点1-1-2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ) 相違点1-1-3について
引用発明1の「第1の層710」は「第1の粘弾性又はエラストマ性接着剤層」であり、「第2の層730」は「第2の粘弾性又はエラストマ性接着剤層」であるところ、引用例1の【0041】には、「粘弾性又はエラストマ性接着剤は、感圧接着剤(・・・略・・・PSA)、ゴム系接着剤(例えば、ゴム、ウレタン)及びシリコーン系接着剤でもよい。」、【0042】には、「好適な粘弾性又はエラストマ性接着剤としては、・・・略・・・エラストマ性のポリウレタン又はシリコーン接着剤、及び光学的に明澄な粘弾性の接着剤・・・略・・・が挙げられる。」、「他の有用な粘弾性又はエラストマ性接着剤としては、スチレンブロックコポリマー、(メタ)アクリルブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリオレフィン及びポリ(メタ)アクリレート系のPSAが挙げられる。」と記載されている。
してみると、引用発明1の「第1の層710」及び「第2の層730」を、相違点1-1-3に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである
(エ) 本件補正後発明の効果について
上記(3)ウ(エ)で述べたとおりである。
(オ) 令和6年2月27日提出の意見書における請求人の主張について
a 請求人は、同意見書3~5頁において、「引用例1の光学積層体では、以下に示します引用例1の図1が示すように、第1の層110における境界面135と反対側の表面には何も積層されていません。従って、ディスプレイと第1の層110との間には外層は配置されません。すなわち、引用例1には、本件の請求項1・・・略・・・に係る発明が含んでいる、上記特徴A「前記光学素子は、・・・前記ディスプレイと前記第1媒体と
の間に配置される外層と、を備え」・・・略・・・は、開示も示唆すらもされていません。
b しかしながら、上記(イ)a及びbで述べたとおりであるから、請求人の同意見書における上記主張を採用することはできない。
エ 小括
本件補正後発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2、引用例1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
3 補正の却下の決定のむすび
本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記[補正の却下の決定の結論]に記載のとおり、決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」[理由]1(1)に記載のとおりのものである。
2 当審の拒絶理由
令和5年11月21日付けで、本願発明について通知した拒絶の理由は概略以下のとおりである。
理由1(進歩性)
本願発明は、優先権主張の日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(引用例等一覧)
(当合議体注:引用例1~3のそれぞれが主引用例である。)
3 理由1(特許法第29条第2項(進歩性))について
(1) 引用例及び引用発明
引用例1の記載及び引用発明1は、上記「第2」[理由]2(1)ア及びイに記載したとおりである。
引用例2の記載及び引用発明2は、上記「第2」[理由]2(2)ア及びイに記載したとおりである。
(2) 対比及び判断
ア 引用例2を主引用例とする場合
本願発明は、上記「第2」[理由]2で検討した本件補正後発明から、同1(3)で述べた限定事項を除いたものである。また、本願発明の構成を全て具備し、これにさらに限定を付したものに相当する本件補正後発明は、上記「第2」[理由]2(3)で述べたとおり、引用例2に記載された発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうしてみると、本願発明は、上記「第2」[理由]2(3)で述べた理由と同様の理由により、引用例2に記載された発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 引用例1を主引用例とする場合
本願発明は、上記「第2」[理由]2で検討した本件補正後発明から、同1(3)で述べた限定事項を除いたものである。また、本願発明の構成を全て具備し、これにさらに限定を付したものに相当する本件補正後発明は、上記「第2」[理由]2(4)で述べたとおり、引用例1に記載された発明及び引用例2、引用例1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうしてみると、本願発明は、上記「第2」[理由]2(4)で述べた理由と同様の理由により、引用例1に記載された発明及び引用例2、引用例1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
してみると、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-002874