2021-701258
ブース
- 審判番号
- 2021-701258
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-225988外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6897067
- 請求日
- 2021年12月27日
- 審決日
- 2022年11月18日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1652.113-YAA(E04B) / P1652.121-YAA(E04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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特許第6897067号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成28年11月21日に出願され、令和3年6月14日にその特許権の設定登録がされ、同年6月30日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許のうち、請求項1、2に係る特許について、同年12月27日に特許異議申立人 塩見拓人(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審より、令和4年6月17日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は、その指定期間内である令和4年8月17日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行った。
なお、同年9月16日付けで当審から申立人に対し、訂正の請求があった旨の通知をするとともに、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが(特許法第120条の5第5項)、申立人から意見書は提出されなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなるブース」と記載されているのを、「対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなり、前記スクリーンが、周方向に間隔を開けて配された複数本の支柱を備えたものであり、 前記天板が、反使用端側を前記複数本の支柱のいずれかに支持させているとともに、使用端側を他の支柱に支持させているものであるブース」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「前記スクリーンが、仮想正六角柱に沿った形状をなし、当該仮想正六角柱の一つの角部に対応する部位に前記出入口を有するものであり、前記天板の対をなすエッジを選択的に対応させることができる対をなす入隅を3組備えている請求項2記載のブース」と記載されているのを、「対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなり、前記スクリーンが、仮想正多角柱に沿った形状をなし複数対の入隅を有するものであり、前記天板が、反使用端側の対をなすエッジを前記スクリーンの何れかの対をなす入隅に選択的に対応させて前記スクリーンに着脱可能に取付けられるもので、前記スクリーンが、仮想正六角柱に沿った形状をなし、当該仮想正六角柱の一つの角部に対応する部位に前記出入口を有するものであり、前記天板の対をなすエッジを選択的に対応させることができる対をなす入隅を3組備えているブース」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「前記スクリーンが、部分筒状の骨組みを構成するフレーム構造体と、このフレーム構造体の内外両面に張設された変形可能な面材とを備えたものである請求項1、2又は3記載のブース」と記載されているのを、「対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなり、前記スクリーンが、部分筒状の骨組みを構成するフレーム構造体と、このフレーム構造体の内外両面に張設された変形可能な面材とを備えたものであるブース」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項6も同様に訂正する)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「前記スクリーンが、部分筒状の骨組みを構成するフレーム構造体を備えたものであって、前記フレーム構造体が、複数本の支柱と、これら支柱間に横架されたフレームとを備えたものであり、前記天板が、前記支柱のいずれかにブラケットを介して選択的に取付けられるものである請求項1、2、3又は4記載のブース」と記載されているのを、「対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなり、前記スクリーンが、部分筒状の骨組みを構成するフレーム構造体を備えたものであって、前記フレーム構造体が、複数本の支柱と、これら支柱間に横架されたフレームとを備えたものであり、前記天板が、前記支柱のいずれかにブラケットを介して選択的に取付けられるものであるブース」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6も同様に訂正する)。
(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0006】に記載された「請求項1記載のブースは、対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなる。」を「請求項1記載のブースは、対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなり、前記スクリーンが、周方向に間隔を開けて配された複数本の支柱を備えたものであり、 前記天板が、反使用端側を前記複数本の支柱のいずれかに支持させているとともに、使用端側を他の支柱に支持させているものである。」に訂正する。
(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0008】に記載された「請求項3記載のブースは、請求項2記載の構成において、前記スクリーンが、仮想正六角柱に沿った形状をなし、当該仮想正六角柱の一つの角部に対応する部位に前記出入口を有するものであり、前記天板の対をなすエッジを選択的に対応させることができる対をなす入隅を3組備えている。」を「請求項3記載のブースは、対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなり、前記スクリーンが、仮想正多角柱に沿った形状をなし複数対の入隅を有するものであり、前記天板が、反使用端側の対をなすエッジを前記スクリーンの何れかの対をなす入隅に選択的に対応させて前記スクリーンに着脱可能に取付けられるもので、前記スクリーンが、仮想正六角柱に沿った形状をなし、当該仮想正六角柱の一つの角部に対応する部位に前記出入口を有するものであり、前記天板の対をなすエッジを選択的に対応させることができる対をなす入隅を3組備えている。」に訂正する。
(7)訂正事項7
願書に添付した明細書の段落【0009】に記載された「請求項4記載のブースは、請求項1、2又は3記載の構成において、前記スクリーンが、部分筒状の骨組みを構成するフレーム構造体と、このフレーム構造体の内外両面に張設された変形可能な面材とを備えたものである。」を「請求項4記載のブースは、対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなり、前記スクリーンが、部分筒状の骨組みを構成するフレーム構造体と、このフレーム構造体の内外両面に張設された変形可能な面材とを備えたものである。」に訂正する。
(8)訂正事項8
願書に添付した明細書の段落【0010】に記載された「請求項5記載のブースは、請求項1、2、3又は4記載の構成において、前記スクリーンが、部分筒状の骨組みを構成するフレーム構造体を備えたものであって、前記フレーム構造体が、複数本の支柱と、これら支柱間に横架されたフレームとを備えたものであり、前記天板が、前記支柱のいずれかにブラケットを介して選択的に取付けられるものである。」を「請求項5記載のブースは、対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなり、前記スクリーンが、部分筒状の骨組みを構成するフレーム構造体を備えたものであって、前記フレーム構造体が、複数本の支柱と、これら支柱間に横架されたフレームとを備えたものであり、前記天板が、前記支柱のいずれかにブラケットを介して選択的に取付けられるものである。」に訂正する。
(9)訂正の単位及び別の訂正単位とする求めについて
訂正前の請求項2~6は、訂正前の請求項1を、直接又は間接的に引用するものであるから、訂正前の請求項1~6は、一群の請求項に該当するものであり、訂正前の請求項1~6について訂正する訂正事項1ないし4は、一群の請求項に対してされたものである。
また、特許権者は、訂正後の請求項3に係る訂正について、また、訂正後の請求項4、5及び6に係る訂正について、本件訂正が認められるときには、それぞれ別の訂正単位とすることを求めている。
2 訂正の適否の判断
以下、各訂正事項について、訂正の適否を検討する。
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載のスクリーンについて、「前記スクリーンが、周方向に間隔を開けて配された複数本の支柱を備えたものであり」と特定して限定し、また訂正前の請求項1に記載の天板について、「前記天板が、反使用端側を前記複数本の支柱のいずれかに支持させているとともに、使用端側を他の支柱に支持させているものである」と特定して限定するものである。
また訂正前の請求項2が請求項1を引用するので、請求項1の訂正により、訂正後の請求項2も同様に限定するものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
訂正事項1の「前記スクリーンが、周方向に間隔を開けて配された複数本の支柱を備えたものであり」という点については、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)の段落【0018】に「・・・前記フレーム構造体4は、図8に示すように、複数本の支柱6A~6Fと、それら支柱6A~6F間に横架されたフレーム7A~7Cとを備えたものである。・・・当該スクリーン2の両端に位置する、対をなす端の支柱6A、6Bと、これら支柱6A、6Bの内側面6Ad、6Bd間に一定のピッチで配された第1~第4の中間の支柱6C~6Fとを備えており、・・・」と記載されており、また訂正事項1の「前記天板が、反使用端側を前記複数本の支柱のいずれかに支持させているとともに、使用端側を他の支柱に支持させているものである」という点については、本件明細書等の段落【0053】に「・・・前記右寄り態様(P)では、図2に示すように、天板3の使用端3a両側を手前側のブラケット171を介して端の支柱6Aと第3の中間の支柱6Eとに支持させるとともに、天板3の反使用端3b両側を第1の中間の支柱6C及び第2の中間の支柱6Dに奥側のブラケット173を介して支持させている。前記正面態様(Q)では、天板3の使用端3a両側を手前側のブラケット171を介して第1の中間の支柱6Cと第4の中間の支柱6Fとに支持させるとともに、天板3の反使用端3b両側を第2の中間の支柱6D及び第3の中間の支柱6Eに奥側のブラケット173を介して支持させている。前記左寄り態様(R)では、天板3の使用端3a両側を手前側のブラケット171を介して第2の中間の支柱6Dと端の支柱6Bとに支持させるとともに、天板3の反使用端3b両側を第3の中間の支柱6E及び第4の中間の支柱6Fに奥側のブラケット173を介して支持させている。」と記載されており、加えて本件明細書等の図1、図2及び図8からも導かれる。
よって、訂正事項1は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
上記アのとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1を引用する請求項2を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1及び請求項2の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
同時に、訂正事項3は、訂正前の請求項4において引用されていた訂正前の請求項2又は3の記載の引用をしないものとするものであるから、同法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。
また訂正前の請求項6が請求項4を引用するので、請求項4の訂正により、訂正後の請求項6も同様に引用関係の解消及び特許請求の範囲の減縮をするものである。
そして、このような訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項5の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
同時に、訂正事項4は、訂正前の請求項5において引用されていた訂正前の請求項2、3又は4の記載の引用をしないものとするものであるから、同法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。
また訂正前の請求項6が請求項5を引用するので、請求項5の訂正により、訂正後の請求項6も同様に引用関係の解消及び特許請求の範囲の減縮をするものである。
そして、このような訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
(5)訂正事項5~8について
訂正事項5~8は、それぞれ、明細書の【課題を解決するための手段】を記載する段落【0006】、【0008】、【0009】、【0010】において、訂正事項1~4に対応した内容にそれぞれ対応する記載としたものであって、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるためになされたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
訂正事項5~8は、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるためになされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項5~8は、訂正事項1~4と同様の理由により、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(9)独立特許要件について
本件訂正においては、訂正前の請求項1、2が特許異議の申立ての対象とされているので、上記(1)アのとおり請求項1及び2について特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1及び2に係る発明には、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
請求項3に係る訂正は、上記(2)のとおり、他の請求項の記載を引用しないものとするものであり、特許請求の範囲の減縮は行われておらず、独立特許要件は課されない。
特許異議の申立てがなされていない請求項4~6に係る発明については、上記(3)及び(4)のとおり、特許請求の範囲の減縮が行われているところ、請求項4~6についての訂正が認められるためには、独立特許要件を満たすことが必要である。そこで、訂正後の請求項4~6に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討したが、 独立特許要件を欠くとする事由を見いだすことができない。よって、請求項4~6についての訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(10)まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第9項において準用する同法126条第5項、第6項及び第7項の規定に適合する。
よって、本件訂正後の請求項〔1、2〕、3、〔4-6〕についての訂正を認める。
第3 訂正後の本件特許発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1、2に係る発明(以下、項番号によりそれぞれ「本件訂正発明1」等という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなり、前記スクリーンが、周方向に間隔を開けて配された複数本の支柱を備えたものであり、前記天板が、反使用端側を前記複数本の支柱のいずれかに支持させているとともに、使用端側を他の支柱に支持させているものであるブース。【請求項2】前記スクリーンが、仮想正多角柱に沿った形状をなし複数対の入隅を有するものであり、前記天板が、反使用端側の対をなすエッジを前記スクリーンの何れかの対をなす入隅に選択的に対応させて前記スクリーンに着脱可能に取付けられるものである請求項1記載のブース。」
第4 証拠一覧、特許異議申立理由の要旨、及び取消理由通知に記載した取消理由の要旨
1 証拠一覧
本件特許異議申立における証拠は、以下のとおりである。
2 特許異議申立理由の要旨
申立人が申立書において主張する特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。
(新規性及び進歩性)
本件訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの発明に係る特許は同法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及及び甲第2号証、甲第3号証に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、これらの発明に係る特許は同法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 取消理由通知に記載した取消理由の要旨
令和4年6月17日付け取消理由通知に記載した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(新規性及び進歩性)
本件訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの発明に係る特許は同法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
または、本件訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は同法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、本件訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
第5 証拠について
1 甲第1号証について
(1)甲第1号証の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である特表2002-527129号公報(甲第1号証。)には、以下の記載がある(当審で下線を付した。以下同様。)。
ア 「【請求項21】作業環境を構成するシステムにおいて、基面から上方に延びかつ互いに間隔を隔てておりかつ立っているユーザより高い位置にある頂部を備えた支柱から形成されたフレーム構造と、支柱をこれらの頂部で相互連結する複数の横ビームとを有し、少なくとも幾つかの支柱および横ビームは電力およびデータケーブルの配給のための通路を形成でき、互いに間隔を隔てた複数の支柱の少なくとも幾つかの間に延びる実質的に非剛性の複数のバリヤ部材と、少なくとも1つの支柱および横ビームに容易に着脱できる複数の作業環境要素とを更に有し、該作業環境要素は、作業面および保管部材からなる群から選択されることを特徴とする作業環境を構成するシステム。」
イ 「【0001】(技術分野)本発明は、オープンオフィス内にワークスペースを配置するシステムに関する。より詳しくは、本発明は、同時多目的使用に適合でき、同時に、複数の形態および用途に容易に変更できるユーティリティ/調度システム(utilities and furniture system)に関する。【0002】続きを表示(全38行)(背景技術)最適作業環境であると考えられる概念は急速に変化するので、作業領域を配置しかつ形成するあらゆるシステムは、1つの配置から他の配置へと迅速に変更できる多くの異なる形態に構成できなくてはならない。このようなシステムは、種々の作業活動および機器に充分に適合できるフレキシビリティがなくてはならない。またこのようなシステムは、複数のスペース効率プランに容易に組み立てられかつ再構成できるものでなくてはならない。・・・【0006】組込み形および半組込み形のスペース分割システムおよび慣用システムの調度品の使用は、変更しなければならないときに、直ちに或る問題が発生する。スペース分割システムを変更するコストおよび時間的条件はしばしば非常に大きくなり、従って、必要でかつ望まれる変更でも頻繁には行われていない。慣用形式の調度品はフレキシビリティに欠ける設計であり、しばしば単一目的に使用できるに過ぎない。使用しない場合には、慣用調度品は嵩張ったものであるため、大きな保管スペースを必要とする。・・・【0008】(発明の開示)従って、フレキシブルな作業領域内に作業者を効率的に配置できる作業領域を形成できると同時に、組立ておよび再配置が容易に行えるシステムが要望されている。【0009】本発明は、従来のオープンプランの調度システムに比べて優れた効率およびフレキシビリティが得られる改善された組立体に関する。・・・【0018】本発明は、スペースを複数の作業領域12に分割するユニークなシステム10に関する。システム10の設置の補助および各ユーザの個人的スペースを形成するのにフロアマット14が使用される。支柱18および横ビーム22、24を備えた3次元フレーム構造16が、各ユーザ用スペースを分離しかつユーティリティの分配を行なう。ひとたび組み立てられると、システム10は自立した状態にあり、安定化のための、スペースの建築要素またはインテリアデザイン要素は不要である。システム10は、主として120°角度の使用により形成される幾何学的形状を付加した開端システムである。120°角度は、支柱18および横ビーム22、24にとって最も経済的でかつ構造的に確実な幾何学的形状を提供する。システム10は、同一特性またはユニークな特性をもつ複数のワークスペースを創成できかつユーザのための高いルーム密度を達成する上で極めて有効である。【0019】また、システム10は、主フレーム構造を取り外したり分解することなく、容易に移動、変更またはスタイリング変更が行える新規な能力を有している点に特徴がある。システム10は、一人の設置者により運搬および移動が行えるように充分軽量化された設計および工学的構造を有している。【0020】一例として、図示のシステム10は、複数の作業領域12を形成している。作業領域12は、フロアマット14により少なくとも一部を形成できる。フロアマット14は、オフィスのフロアプランのレイアウトを補助することにより設置を補助する。また、フロアマット14は、ユーザのための個人的作業領域の画定を補助する。フロアマット14は、また、弾性および吸音性を有する材料で形成できる。【0021】フロアマット14に隣接してフレーム構造16が配置され、該フレーム構造16は隣接作業領域を相互連結しかつシステム10のベースを形成する。フレーム構造16は、基礎部材20から垂直上方に延びる複数の支柱18を有している。隣接する支柱18は、上方横ビーム22および下方横ビーム24等の複数の横ビームにより相互連結される。上方横ビーム22は、ユーティリティを通すためのトラフ26を有している。支柱18への横ビーム22,24の連結は、所定の120°角度で行われる。この自動的に形成される角度配向は、多数のユーザによるスペースの使用並びに比較的容易な設置方法を創出できるユニークな可能性を提供する。・・・【0023】特に、図1Bに示すルーム36を参照すると、上方横ビーム22は、バリヤ部材40にも取り付けることができる。図示のバリヤ部材40は、中央に配置された孔42を有している。図示のように、下方横ビーム24にもバリヤ部材46を取り付けることができる。バリヤ部材40、46は、Velcroおよび連結部材の使用により、プライバシー、吸音または保管等の種々の機能を提供できる。任意であるが、バリヤ部材46は、通気性のある透明材料で作りかつ孔48を設けることができる。図1Cには、他の好ましいバリヤ部材49が示されている。【0024】下方横ビーム24は、保管部材52、54、56への取付けにも使用できる。アーム58が下方横ビーム24に取り付けられ、かつここから下方へと延びる。保管部材部材52、54、56は、これらがユーザにより選択された位置へと回転できるように取り付けられる。他のアクセサリ要素が横ビーム22、24に取り付けられる。支柱18には複数の作業面60が取り付けられているところが示されている。図1Bに示す作業面構造64を特に参照すると、作業面60は、支柱18より実質的に小さい高さを有する短支柱68に取り付けることができる。作業面60は、湾曲前縁部70を有している。後縁部72は、ほぼ120°の角度を形成するように角度が定められる。この120°の角度は、任意の2つの横ビーム22、24または3本の支柱の群により定められる角度を形成する。・・・【0029】図2A~図2XXには、システム10が提供できる複数の異なる配置形態が示されている。これらの図面には、フロアマット14、作業面16、支柱18、横ビーム22および短支柱68が示されている。図2A~図2Iには、3人以下から5人以上のユーザに対応できる複数のジグザグ形状が示されている。図2J~図2Rには、2人以下5人以上のユーザの作業領域を提供できる種々のデルタ形状が示されている。図2S~図2Wには、4人以下から15人以上のユーザの作業領域を提供できる二重デルタ形状が示されている。図2X~図2EEには、図1Bに示したルーム36と同一または類似の複数のルーム形状が示されている。これらのルーム形状は、1人~6人以上のユーザのための作業領域を提供できる。図2NN~図2VVには、1人~10人以上のユーザの作業領域を提供できる複数の片側集合配置が示されている。図2WWおよび図2XXには、6人以上のユーザの作業領域を提供できる2つの付加ルーム形状が示されている。・・・【0049】図21~図24には、本発明による第3モニタリフト850が示されている。モニタリフト850は、図21~図24に示すような作業面60に有効である。モニタリフト850は作業面60の中央部にあるものが示されているが、作業面60の外縁部852に隣接して取り付けることができることも認識すべきである。・・・・・・【0070】図45は、バリヤ部材40の好ましい実施形態を示すものである。バリヤ部材40は、慣用織物材料1560を用いて構成できる。図46に示すように、フック1580が、バリヤ部材40の上部1582および下部1584に取り付けられる。フック1580は、横ビーム22に取り付けられる外側部分1582、1584を有している。横ビーム22は、これらの部分1582、1584により形成されるチャンネル1588内に受け入れられるフィンガを有している。」
ウ 図1B、図2A、図2FF、図2JJ、図2KK、図2LL、図2MM、図21、図22、図45及び図46は次のものである(当審で白抜矢印を付した。以下同様。)。
図1B
[図:0001393995000001.jpg]
図2A
[図:0001393995000002.jpg]
図2FF
[図:0001393995000003.jpg]
図2JJ
[図:0001393995000004.jpg]
図2KK
[図:0001393995000005.jpg]
図2LL
[図:0001393995000006.jpg]
図2MM
[図:0001393995000007.jpg]
図21
[図:0001393995000008.jpg]
図22
[図:0001393995000009.jpg]
図45
[図:0001393995000010.jpg]
図46
[図:0001393995000011.jpg]
エ 上記ウの各図面に関し、以下のことが把握できる。
(ア)図2Aを参照して、図2FF、図2JJ、図2KK、図2LL及び図2MM(以下「図2FF-図2MM」という。)に共通する以下のことが看取できる。
a 図2FF-図2MM中の白抜矢印で示す領域に示される太線の小円は支柱18である。
b 図2FF-図2MM中の白抜矢印で示す領域に示される太線の小円間を結ぶ太線の直線は横ビーム22である。
c 上記イで摘記した「【0021】・・・支柱18への横ビーム22,24の連結は、所定の120°角度で行われる。」という記載も踏まえ、図2FF-図2MM中の白抜矢印で示す領域の太線の直線と太線の小円すなわち支柱18と横ビーム22により正六角形が構成されていることが看取できる。
d 図2FF-図2MM中の白抜矢印で示す領域で、支柱と横ビームで形成される正六角形内、2つの太線の直線と3つの太線の小円のすなわち2つの横ビーム22と3本の支柱18に対応している閉じた図形は作業面60である。
(イ)図45及び図46から、バリヤ部材40は面材であることが看取できる。
(ウ)図1Bの白抜矢印で示した領域において1対の支柱18間にバリヤ部材40が設けられない出入口が形成されていることが看取でき、また「作業環境を構成するシステム」にユーザが出入りする出入口が必要なことは自明であることを踏まえると、図2FF-図2MMの白抜矢印で示す領域において(直線が記載されていない)1対の支柱18、18間に出入口が形成されていると看取できる。
(エ)図21及び図22から、作業面60は天板状の部材であることが看取できる。
(オ)図2FF-図2MMの白抜矢印で示した領域の支柱18と横ビーム22で形成される正六角形において、出入口(間に直線が記載されない1組の支柱18、18)を基準に正六角形内方向を見て、作業面60が、図2FFでは右方に、図2JJ、図2KK、図2LL及び図2MMでは左方に位置している、すなわち作業面60の取付け位置は支柱18と横ビーム22で形成される正六角形内で周方向に異なり得ることが看取できる。
(2)甲1発明
上記(1)によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
[甲1発明]
「基面から上方に延びかつ互いに間隔を隔てた支柱から形成されたフレーム構造と、支柱を相互連結する複数の横ビームと、互いに間隔を隔てた複数の支柱の間に延びる実質的に非剛性の複数の、面材であるバリヤ部材と、支柱および横ビームに容易に着脱できる、天板状の部材である作業面とを有する、作業環境を構成するシステムであって、支柱への横ビームの連結は、所定の120°角度で行われ、支柱と横ビームにより正六角形が構成され、1対の支柱間に出入口が形成され、作業面の取付け位置は支柱と横ビームで形成される正六角形内で周方向に異なり得るものであり、作業面の後縁部は、2つの横ビームにより定められる角度120°に対応するほぼ120°の角度を形成し、支柱と横ビームで形成される正六角形内の2つの横ビームと3本の支柱に対応する、作業環境を構成するシステム。」
2 甲第2号証について
(1)甲第2号証の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である米国特許第6581344号明細書(甲第2号証。)には、以下の記載がある(括弧内に特許異議申立人が提出した抄訳を付した。以下同様。頁、行数は特許異議申立書に添付された甲第2号証に従う。)
ア 「FIGS. 8A through 8C show attachment of a worksurface 280 to frame system 24 according to an exemplary embodiment. Worksurface 280 couples to beam 28 (which is attached to post 30 (e.g., by a fastener or the like)) with engagement of one or more tabs 282 and corresponding slots 284 in beam 28 and a clamp 286. Engagement of tabs 282 and slots 284 is configured to provide (generally) vertical support for worksurface 280.Clamp 286 includes a clip 288 and a loop 290. Clip 288 includes a plurality of grooves 292, a tab 294, and a pivoting base 296, pivoting base 298 is attached to a side 300 of worksurface 280 and provides a pivot point 302 for clip 288 to pivot about. One end 304 of loop 290 engages a shoulder bolt 306 attached to post 30. Another end 308 of loop 290 engages one of grooves 292 when clip 288 is in the open position (shown in FIG. 8A). As clip 288 is pivoted about pivot point to 302, loop 290 pulls worksurface 280 against beam 28 and post 30 until clip 288 "snaps" closed (shown in FIGS. 8C).Worksurface 280 is coupled to angled support 32 by a support brace 310 configured to provide vertical and horizontal support. Support brace 310 includes a pair of opposed terminal ends (shown as an upper end 312 and a lower end 314). Upper end 312 is coupled to an underside 316 of worksurface with a bracket (shown as a "C-shaped" clip 318). Clip318 is attached to underside 316 of worksurface 280 by any of a variety of techniques (e.g., fastener, adhesive, etc.). Upper end 312 is inserted through a track 320 and held in place with a cap 322. Lower end 314 of support brace 310 is coupled to angled support 32 by a bracket 324 (which is attached to angled support by any of a variety of techniques such as fasteners 326, welding, adhesive, etc.).FIGS. 9A through 9C show attachment of a worksurface 330 to frame system 24 according to an exemplary embodiment. Worksurface 330 couples to beam 28 by engagement of tabs 282 (extending from a rear surface of worksurface 330) with slots 284 in beam 28 (as shown in FIGS.8A through 8C). Support brace 310 couples worksurface 330 and an angled member 332. When assembled, angled member332 is positioned in a groove (shown as a notch 334 in side 336 of worksurface 338). To position angled member 332 in notch 334, angled member 332 is flexed or bowed generally away from panel 26 (in FIG. 9C where the phantom lines represent a straight line between ends of angled member 332). According to an alternative embodiment, the space is provided by an U-shaped clip attached to the side of the worksurface.」(第8欄 下から22行~第9欄26行。)
(図8Aから8Cは、例示的な実施形態による、フレームシステム24への作業面280の取り付けを示している。作業面280は、ビーム28(例えば、留め具などによってポスト30に取り付けられている)に結合し、1つまたは複数のタブ282と、ビーム28の対応するスロット284およびクランプ286との係合。タブ282およびスロットの係合。284は、作業面280に(一般に)垂直支持を提供するように構成される。
クランプ286は、クリップ288およびループ290を含む。クリップ288は、複数の溝292、タブ294、およびピボットベース296を含み、ピボットベース298は、作業面280の側面300は、クリップ288が周りを旋回するためのピボット点302を提供する。ループ290の一端304は、ポスト30に取り付けられたショルダーボルト306と係合する。ループ290の別端308は、クリップ288が開位置にあるとき(図8Aに示される)、溝292の1つと係合する。クリップ288がピボット点を中心に302に旋回されると、ループ290は、クリップ288が「スナップ」して閉じるまで(図8Cに示される)、 ビーム28およびポスト30に対して作業面280を引っ張る。
作業面280は、垂直および水平の支持を提供するように構成された支持ブレース310によって角度の付いた支持32に結合されている。支持ブレース310は、一対の対向する端子端(上端312および下端314として示されている)を含む。上端312は、ブラケット(「C字型」クリップ318として示されている)で作業面の下側316に結合されている。クリップ318は、様々な技術(例えば、留め具、接着剤など)のいずれかによって作業面280の下側316に取り付けられる。上端312は、トラック320を通して挿入され、キャップ322で所定の位置に保持される。支持ブレース310の下端314は、ブラケット324(以下のように様々な技術のいずれかによって角度支持に取り付けられる)によって角度支持32に結合される。(ファスナー326、溶接、接着剤などとして)。
図9Aから9Cは、例示的な実施形態による、フレームシステム24への作業面330の取り付けを示す。作業面330は、(図8Aから8Cに示されるように)ビーム28のスロット284とタブ282(作業面330の後面から延びる)との係合によってビーム28に結合する。支持ブレース310は、作業面330と角度の付いた部材332を結合する。組み立てられると、角度の付いた部材332は、溝(作業面338の側面336のノッチ334として示される)に配置される。角度付き部材332をノッチ334内に配置するために、角度付き部材332は、一般にパネル26から離れるように曲げられるか、または曲がる(図9Cにおいて、ファントム線は、角度付き部材332の端部間の直線を表す)。代替の実施形態によれば、空間は、作業面の側面に取り付けられたU字形のクリップによって提供される。)
イ 「1. A workstation for a work environment having a floor, the workstation comprising:a plurality of frame sections having vertical posts attachable to the floor;a plurality of panels interconnectable to at least one of the frame sections;a worksurface attachable to at least one of the frame sections;a latch mechanism configured to operate between a released position and latched position to releasably and rigidly secure the vertical posts of the frame sections to the floor so that the workstation may be quickly and easily coupled to and uncoupled from the floor;wherein an interference fit is provided by a clip coupled to the latch mechanism.」
(第9欄下から8行~第10欄8行(クレーム1))
(1 床を有する作業環境用のワークステーションであって、ワークステーションは、以下を備える。床に取り付け可能な垂直支柱を有する複数のフレームセクション。フレームセクションの少なくとも1つに相互接続可能な複数のパネル。フレームセクションの少なくとも1つに取り付け可能な作業面。ワークステーションを床に迅速かつ容易に結合および分離できるように、解放位置とラッチ位置との間で動作してフレームセクションの垂直支柱を床に解放可能かつ堅固に固定するように構成されたラッチ機構。ここで、締まりばめは、ラッチ機構に結合されたクリップによって提供される。)
ウ 「3. The workstation of claim 1 wherein the worksurface is attached to the at least one of the frame sections by a bracket member.」
(第10欄11行~13行(クレーム3))
(前記作業面が、ブラケット部材によってフレームセクションの少なくとも1つに取り付けられている、請求項1に記載のワークステーション。)
エ FIGURE 1、8A、8B、8C、9A、9B及び9Cは次のものである。
FIGURE 1
[図:0001393995000012.jpg]
FIGURE 8A、8B、8C
[図:0001393995000013.jpg]
FIGURE 9A、9B、9C
[図:0001393995000014.jpg]
3 甲第3号証について
(1)甲第3号証の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である米国特許第5309686号明細書(甲第3号証。)には、以下の記載がある。
ア 「Work surfaces 42 of the present system are attached to track 32 by mean of a work surface bracket 40. As shown in FIG. 8, work surface bracket 40 includes a flat portion 96 attached to a J-shaped flange 98. Disposed in J-shaped flange 98 is an opposing anti-dislodgement tang 100. Tang 100 helps to prevent separation of bracket 40 from track 32 by requiring more than only vertical movement to separate the bracket 40 and track 32. Bracket 40 also includes four holes 97, two of which are shown in FIG. 1. Holes 97 permit screws or other fasteners to attach work surface 42 to bracket 40. Hole 97 also permits bracket 40 to act as a tying member between two work surfaces 42, as shown in FIG. 10, by connecting two work surfaces 42 to the same bracket 40.Work surface bracket 40 attaches to track 32 as shown in FIG. 9. Anti-dislodgement tang 100 is first inserted into channel 64 and behind upper front edge 76. Bracket 40 is then swung down in the direction of the arrow in FIG. 9 until flange 98 is seated over lower front edge 78. At this point, bracket 40 is now attached to track 32 and may be slid horizontally anywhere along the length of track 32. Flat portion 96 of bracket 40 is substantially parallel to floor 26 permitting mounting of work surface 42. The end of work surface 42 opposite bracket 40 may be supported by a pedestal (not shown) or other means to provide further vertical support of work surface 42 while bracket 40 keeps work surface 42 in place. As shown in FIGS. 1 and 10, brackets 40 attach to work surface 42.Anti-dislodgement tang 100 prevents removal by only vertical movement of work surface 42 and bracket 40 from track 32 by maintaining the J-shaped flange portion 98 within channel 64 upon an impact or bump. An impact or vertical lifting force applied to bracket 40 will cause tang 100 to slide behind and catch upper front edge 76 thereby preventing bracket 40 from being released from track 32. For removal of bracket 40 from track 32, bracket 40 must be tilted upwardly and rotated so that J-shaped flange portion 98 may escape from channel 64. FIG. 10 shows a plan view of a modular office layout showing a plurality of brackets 42 attaching different shaped work surfaces 42 to track 32.」
(第6欄5行~48行)
(本システムの作業面42は、作業面ブラケット40によってトラック32に取り付けられる。図8に示すように、作業面ブラケット40は、J字型フランジ98に 取り付けられた平坦部96を含む。J字型フランジ98に 配置されているのは、対向する外れ防止タング100である。タング100は 、ブラケット40とトラック32とを分離するために、垂直方向の動きだけを必要とすることによって、トラック32からのブラケット40の分離を防止するのに役立つ。ブラケット40はまた、4つの孔97を含み、そのうちの2つは図1に示されている。穴97は、作業面42をブラケット40に取り付けるためのネジまたは他の留め具を可能にする。穴97はまた、図10に示すように、2つの作業面42を同じブラケット40に接続することによって、ブラケット40が2つの作業面42 間の抱き合わせ部材として機能することを可能にする。
作業面ブラケット40は 、図9に示すように、トラック32に取り付けられる。外れ防止タング100は、まず、チャネル64に挿入され、上側前縁76の後ろに挿入される。次に、ブラケット40は、フランジ97が下側前縁78の上に着座するまで、図9の矢印の方向に振り下ろされる。この時点で、ブラケット40は、今やトラック32に取り付けられており、トラック32の長さに沿ってどこでも水平に摺動させることができる。ブラケット40の平坦部96は、作業面42の取付けを可能にするように床26と実質的に平行である。ブラケット40の反対側の作業面42の端部は、ブラケット40が作業面42を所定位置に保持する間に作業面42のさらなる垂直支持を提供するために台座(図示せず)又は他の手段により支持されてもよい。図1及び図10に示すように、ブラケット40は、作業面42に取り付ける。
外れ防止タング100は、衝撃または衝突時にJ字型フランジ部分98をチャネル64内に維持することによって、トラック32からの作業面42およびブラケット40の垂直移動のみによる取り外しを防止する。ブラケット40に加えられる衝撃または垂直方向の持ち上げ力は、タング100を上側前縁76の背後に滑らせ、捕捉させ、それによって、ブラケット40がトラック32から解放されるのを防止する。ブラケット40をトラック32から取り外すためには、ブラケット40を上方に傾けて回転させ、J字型フランジ部分98がチャネル64から脱出できるようにする必要がある。図10は、異なる形状の作業面42をトラック32に取り付ける複数のブラケット42を示すモジュラーオフィスレイアウトの平面図である。)
イ 「As shown in FIG. 18, a model office floor plan is presented showing a number of panels 62 attached together to fixed wall 22. Each of the fixed office spaces 150 along with the open office space 160 are shown using the work space partition system 20 of the present invention. Work surfaces 42 and overhead storage compartments 52 are hung in both the fixed office spaces 150 and in the office constructed within open office space 160. Power and data cables 141 are routed to the center of open office space 160 through panel unit 60.The work space management system 20 is now operational to allow office personnel to complete their necessary functions. If a change in business conditions or a change in office personnel require a new office configuration, it is now possible to quickly and easily change and adapt the work space partition system to meet their work space needs. Since work surfaces 42 and modular furniture units 52 are attached to tracks 30 and 32 by brackets, they may be removed or relocated to any required track location.」
(第9欄34行~53行)
(図18に示すように、固定壁22に一緒に取り付けられた多数のパネル62を示すモデルオフィスフロアプランが提示される。オープンオフィス空間160と共に、固定オフィス空間150の各々が、本発明のワークスペースパーティションシステム20を使用して示されている。作業面42及 び頭上収納コンパートメント52は、固定オフィス空間150及びオープンオフィス空間160内に構築されたオフィス内にボットで掛けられている。電源ケーブルおよびデータケーブル141は、パネルユニット60を介してオープンオフィス空間160の中央に配線される。
ワークスペース管理システム20は、オフィスの担当者が必要な機能を完了できるように運用されている。 ビジネス状況の変化やオフィス担当者の変更によって新しいオフィス構成が必要となった場合、ワークスペースパーティションシステムを迅速かつ容易に変更し、そのワークスペースニーズに適合させることが可能になった。作業面42およびモジュール式家具ユニット52は、ブラケットによってトラック30および32に取り付けられているので、それらは、任意の必要なトラック位置に取り外しまたは再配置されることができる。)
ウ FiG. 1、8、9、10及び18は次のものである
FiG. 1
[図:0001393995000015.jpg]
FiG. 8
[図:0001393995000016.jpg]
FiG. 9
[図:0001393995000017.jpg]
FiG. 10
[図:0001393995000018.jpg]
FiG. 18
[図:0001393995000019.jpg]
第6 当審の判断
1 本件訂正発明1について
(1)対比
本件訂正発明1と甲1発明を対比する。
ア 本件特許の明細書における「【0017】≪スクリーン≫前記スクリーン2は、パイプを組み合わせて構築され部分筒状の骨組みを構成するフレーム構造体4と、このフレーム構造体4の一部を覆うようにして前記パイプ間に着脱可能に張設された可撓変形可能な面材5A、5Bとを具備してなるもので、・・・」という記載を踏まえると、本件訂正発明1の「スクリーン」とは、「骨組みを構成するフレーム構造体」及びそれに「張設された可撓変形可能な面材」を合わせたものと解され、よって甲1発明の「基面から上方に延びかつ互いに間隔を隔てた支柱から形成されたフレーム構造と、支柱を相互連結する複数の横ビームと、互いに間隔を隔てた複数の支柱の間に延びる実質的に非剛性の複数の、面材であるバリヤ部材」は、本件訂正発明1の「スクリーン」に相当する。
そして甲1発明における「基面から上方に延びかつ互いに間隔を隔てた支柱から形成されたフレーム構造と、支柱を相互連結する複数の横ビームと、互いに間隔を隔てた複数の支柱の間に延びる実質的に非剛性の複数の、面材であるバリヤ部材」は、「1対の支柱間に出入口が形成され」るものであるから、本件訂正発明1の「対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーン」に相当する。
イ 甲1発明の「支柱および横ビームに容易に着脱できる、天板状の部材」であり、「取付け位置は支柱と横ビームで形成される正六角形内で周方向に異なり得る」「作業面」は、本件訂正発明1の「スクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板」に相当する。
ウ 甲1発明が「基面から上方に延びかつ互いに間隔を隔てた支柱から形成されたフレーム構造」を有していることは、本件訂正発明1が「スクリーンが、周方向に間隔を開けて配された複数本の支柱を備えたもの」であることに相当する。
エ 甲1発明における作業面の「後縁部」は本件訂正発明1の天板の「反使用端側」に相当し、そして甲1発明において、「作業面の後縁部は」「支柱と横ビームで形成される正六角形内の2つの横ビームと3本の支柱に対応」し、かつ「作業面」は「支柱」「に着脱できる」ものであることと、本件訂正発明1が「天板が、反使用端側を前記複数本の支柱のいずれかに支持させているとともに、使用端側を他の支柱に支持させているものである」こととは、「天板が、反使用端側を複数本の支柱のいずれかに支持させている」点で共通する。
オ 上記ア及イの対比を踏まえ、甲1発明の「作業環境を構成するシステム」は本件訂正発明1の「ブース」に相当する。
カ 前記アないしオから、本件訂正発明1と甲1発明とは、
[一致点1]
「対向する起立端縁間に出入口が形成されている部分筒状のスクリーンと、このスクリーンの内側に取付け位置を周方向に変更可能な状態で取付けられた天板とを具備してなり、前記スクリーンが、周方向に間隔を開けて配された複数本の支柱を備えたものであり、前記天板が、反使用端側を前記複数本の支柱のいずれかに支持させているものであるブース。」
である点で一致し、そして以下の点で相違する。
[相違点1]
本件訂正発明1においては、天板が「使用端側を他の支柱に支持させているものである」のに対して、甲1発明においてはそのような特定がされていない点。
(2)判断
相違点1について検討する。
まず新規性について、本件訂正発明1と甲1発明との間に実質的な相違点が存在するから、本件訂正発明1は、甲1発明ではない。
次に進歩性について、相違点1に係る本件訂正発明1の構成である天板が「使用端側を他の支柱に支持させているものである」点は、甲1発明における作業面と支柱をそのように設計変更する動機はなく、また甲第2号証、甲第3号証を見ても、相違点1に係る本件訂正発明1の構成は記載も示唆もされていない。
よって、相違点1に係る本件訂正発明1の構成は、甲1発明並びに甲第2号証及び甲第3号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
2 本件訂正発明2について
本件特許発明2は、本件訂正発明1の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記1と同様の理由により、甲1発明ではなく、また、当業者が甲1発明並びに甲第2号証及び甲第3号証に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。
3 小括
したがって、本件訂正発明1、2は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえず、また、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえないので、本件訂正発明1、2に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、取消理由及び特許異議申立理由により取り消すことはできない。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び申立人が申し立てた特許異議申立理由及び証拠によっては、本件訂正発明1、2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701258