特許異議申立
2022-701261
フラップ天板付き家具
- 審判番号
- 2022-701261
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-191421
- 登録番号
- 7087323
- 請求日
- 2022年12月19日
- 審決日
- 2024年07月25日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】コクヨ株式会社
- 【権利者代理人】赤澤 一博
- 【権利者代理人】宮澤 岳志
- 【異議申立人】山本 美智子
- 審判長/審判官
- 審判長 有家 秀郎
- 審判官 西田 秀彦
- 審判官 土屋 真理子
- 分類
- P1651.121-YAA(A47B) / P1651.537-YAA(A47B) / P1651.536-YAA(A47B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7087323号発明「フラップ天板付き家具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7087323号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。
特許第7087323号の請求項1-10に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7087323号の請求項1~10に係る特許は、平成29年9月29日に出願され、令和4年6月13日にその特許権の設定登録がされ、同年同月21日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許について、令和4年12月19日に、特許異議申立人山本美智子(以下「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1~10に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。
その後の経緯は、以下のとおりである。
令和 5年 3月17日付け:取消理由通知
令和 5年 5月17日 :意見書及び訂正請求書の提出
令和 5年 9月11日付け:取消理由通知(決定の予告)
令和 5年 9月28日 :意見書及び手続補正書(補正対象書類: 訂正請求書)の提出
令和 6年 1月25日付け:取消理由通知(決定の予告)
なお、申立人に対し、令和5年6月12日付けで、特許権者より令和5年5月17日に提出された訂正の請求について期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からは何らの応答もなかった。
また、特許権者に対し、令和6年1月25日付けで通知した上記取消理由通知(決定の予告)において、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正請求書の補正について
(1)補正の内容
令和5年9月28日に特許権者が提出した手続補正書による補正は、令和5年5月17日に特許権者が提出した訂正請求書(以下、単に「訂正請求書」という。)における訂正事項3、訂正事項6、及び訂正事項3が訂正要件に適合している事実の説明について、下記の内容の補正を行うものと認められる。
ア 訂正事項3に係る補正
補正前の訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項9の記載における「前記脚ベース側に」という記載を、「前記ベース側に」と訂正する内容であったところ、補正後の訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項9の記載における「前記脚ベース側に」という記載を、「ベース側に」と訂正する内容とする。
イ 訂正事項6に係る補正
補正前の訂正事項6は、明細書の段落【0012】の記載における「前記脚ベース側に」という記載を、「前記ベース側に」と訂正する内容であったところ、補正後の訂正事項6は、明細書の段落【0012】の記載における「前記脚ベース側に」という記載を、「ベース側に」と訂正する内容とする。
ウ 訂正事項3が訂正要件に適合している事実の説明に係る補正
訂正事項3が訂正要件に適合している事実の説明の中で、補正前においては、「訂正後の請求項9に関して、「・・・前記動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、・・・」との箇所は、訂正前の請求項9における「前記脚ベース」のうちの「脚」という誤記を削除している。」と記載していたのを、補正後においては、「訂正後の請求項9に関して、「・・・前記動作連動手段が、前記構成要素の回動をベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、・・・」との箇所は、訂正前の請求項9における「前記脚ベース」のうちの「前記脚」という誤記を削除している。」との記載に補正する。
(2)訂正請求書の補正についての判断
ア 先の取消理由通知(決定の予告)における見解
令和6年1月25日付け取消理由通知(決定の予告)においては、上記訂正請求書の補正について、補正の前後で訂正事項3及び訂正事項6が変わっているから、訂正請求書の要旨を変更するものであって、補正を認めることができない旨の見解を示した。
イ 補正の内容からみた判断
補正の内容は、上記(1)ア~ウに示したとおりである。
訂正事項3に係る補正についてみれば、訂正事項3において訂正の対象とする語は、訂正前の特許請求の範囲における請求項9の記載中の「前記脚ベース側」という語であるから、補正の前後において訂正の対象とする訂正前の語は変わっていない。また、補正前の訂正事項3は、上記「前記脚ベース側」という訂正前の語について、訂正後に「前記ベース側」とするものであったところ、請求項9には、訂正前、及び補正前の訂正後のいずれにおいても、上記訂正対象となった語を別として、「脚ベース」及び「ベース」のいずれの語も記載されていないから、補正前の訂正事項3においては、訂正対象とする語の訂正後の記載において、「前記」を残した点で誤記があったことが明らかである。
そして、訂正事項3に係る補正は、訂正対象とする語の訂正後の記載について、補正前における上述した明らかな誤記を正すものということができる。
したがって、訂正事項3に係る補正は、補正前の訂正事項3における明らかな誤記を正すものであるから、当該誤記を正した点で訂正事項3に変更を生じているからといって、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
訂正事項6に係る補正、及び、訂正事項3が訂正要件に適合している事実の説明に係る補正についても、同様である。
(3)訂正請求書の補正についてのまとめ
上記(1)及び(2)のとおり、令和5年9月28日提出の手続補正書による、訂正請求書の補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではないから、認められる。
2 訂正の内容
上記1に示したとおり、令和5年9月28日提出の手続補正書による、訂正請求書の補正は認められるので、上記補正後の訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたもので、
前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作を前記キャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、
前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであるとともに前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されており、
前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されている天板付き家具。」と記載されているのを、
「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたもので、
前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、
前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであるとともに前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されており、
前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されていて、前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転フリーな車輪非ロック状態となり、天板を前記使用姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転禁止される車輪ロック状態となる天板付き家具。」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~7も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項8に、
「前記動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記脚ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しているとともに、
天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されている請求項7記載のフラップ天板付き家具。」と記載されているのを、
「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたもので、
前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、
前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであるとともに前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されており、
前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されており、
前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを車輪ロック状態と車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっており、
前記動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しているとともに、
天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されているフラップ天板付き家具。」に訂正する。
(請求項8の記載を引用する請求項10も同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9に、
「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタが車輪非ロック状態に切り換わるように構成されているとともに、
前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを前記車輪ロック状態と前記車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっており、
前記動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記脚ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しており、
天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されているフラップ天板付き家具。」と記載されているのを、
「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタが車輪非ロック状態に切り換わるように構成されているとともに、
前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを前記車輪ロック状態と前記車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっており、
前記動作連動手段が、前記構成要素の回動をベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しており、
天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されているフラップ天板付き家具。」に訂正する。(請求項9の記載を引用する請求項10も同様に訂正する。)
(4)訂正事項4
願書に添付した明細書の段落【0008】に記載された
「請求項1記載の発明に係るフラップ天板付き家具は、車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるものであって、前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたもので、前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作を前記キャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであるとともに前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されており、
前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されているものである。」を、
「請求項1記載の発明に係るフラップ天板付き家具は、車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるものであって、前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたもので、前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであるとともに前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されており、前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されていて、前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転フリーな車輪非ロック状態となり、天板を前記使用姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転禁止される車輪ロック状態となるものである。」に訂正する。
(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0012】に記載された
「請求項8記載の発明に係るフラップ天板付き家具は、請求項7記載の構成のものにおいて、前記動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記脚ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しているとともに、天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されているものである。」を、
「請求項8記載の発明に係るフラップ天板付き家具は、車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるものであって、前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたもので、前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであるとともに前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されており、前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されており、前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを車輪ロック状態と車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっており、前記動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しているとともに、天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されているものである。」に訂正する。
(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0012】に記載された
「請求項9記載の発明に係るフラップ天板付き家具は、車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタが車輪非ロック状態に切り換わるように構成されているとともに、前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを前記車輪ロック状態と前記車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっており、前記動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記脚ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しており、天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されているものである。」を、
「請求項9記載の発明に係るフラップ天板付き家具は、車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタが車輪非ロック状態に切り換わるように構成されているとともに、前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを前記車輪ロック状態と前記車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっており、前記動作連動手段が、前記構成要素の回動をベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しており、天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されているものである。」に訂正する。
3 訂正の適否について
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
(ア)訂正前の請求項1において、「天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作を前記キャスタ連動部材・・・」における「前記キャスタ連動部材」以前には、「キャスタ連動部材」が記載されていないから、「前記キャスタ連動部材」は誤記である。訂正事項1に係る訂正のうち、「前記キャスタ連動部材」の「前記」を削除する訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。
(イ)訂正事項1に係る訂正のうち、訂正後の「前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動して」を追加する訂正は、訂正前の「前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすること」と、「キャスタ連動部材」及び「前後両キャスタの操作部」との連動関係が特定されていないものから、訂正後の「前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動」するものに特定し、限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(ウ)訂正事項1に係る訂正のうち、訂正後の「前後両キャスタの車輪が回転フリーな車輪非ロック状態となり」を追加する訂正は、訂正前の「前後両キャスタの車輪」の「車輪非ロック状態」について具体的に特定がされていないものから、「回転フリーな車輪非ロック状態」のものに特定し、限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(エ)訂正事項1に係る訂正のうち、訂正後の「天板を前記使用姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動して」を追加する訂正は、訂正前の「天板を前記使用姿勢とすること」と、「キャスタ連動部材」及び「前後両キャスタの操作部」との連動関係が特定されていないものから、訂正後の「天板を前記使用姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動」するものに特定し、限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(オ)訂正事項1に係る訂正のうち、訂正後の「前後両キャスタの車輪が回転禁止される車輪ロック状態となる」を追加する訂正は、訂正前の「前後両キャスタの車輪」の「車輪非ロック状態」について具体的に特定がされていないものから、「回転禁止される車輪ロック状態」のものに特定し、限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、上記アのとおり、誤記の訂正及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
ウ 新規事項の追加の有無
(ア)本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を、以下「本件明細書等」という。)の段落【0022】~【0024】、【0045】及び図7,10、14~16には、訂正事項1で追加された事項が記載されている。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正である。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び2号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
(ア)訂正前の請求項8が、請求項7を引用し、請求項7がさらに請求項1、2,3、4又は5のいずれかを引用するものであるところ、訂正事項2に係る訂正のうち、訂正後に、請求項8が、請求項1を引用する請求項7を引用するものについて、独立形式請求項へ改める訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするとともに、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。
(イ)訂正前の請求項8において、「前記脚ベース」以前には、「ベース」は記載されているが「脚ベース」が記載されていないから、訂正前の「前記脚ベース」は誤記である。訂正事項2に係る訂正のうち、訂正前の「前記脚ベース」を、訂正後の「前記ベース」とする訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2に係る訂正は、上記アのとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、特許請求の範囲の減縮、及び誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項2に係る訂正は、上記アのとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、特許請求の範囲の減縮、及び誤記の訂正を目的とするものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正である。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項2は、特許法120条の5第2項ただし書1号、2号及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的
訂正前の請求項9において、「前記脚ベース」以前には、「脚ベース」が記載されていないから、「前記脚ベース」は誤記である。訂正事項3に係る、訂正前の請求項9における「前記脚ベース」を、訂正後の「ベース」とする訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3に係る訂正は、上記アのとおり、誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項3に係る訂正は、上記アのとおり、誤記の訂正を目的とするものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正である。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項3は、特許法120条の5第2項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4~6
ア 訂正の目的
訂正事項4~6に係る訂正は、上記訂正事項1~3に係る、請求項1、請求項8及び請求項9の記載の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4~6に係る訂正は、上記アのとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項4~6に係る訂正は、上記ア及びイで判断したことをふまえれば、本件明細書等に記載されているといえるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項4~6は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法120条の5第9項において読み替えて重用する同法126項5項及び6項の規定に適合する。
(5)一群の請求項
訂正前の請求項2~8、10は、直接的または間接的に請求項1の記載を訂正する訂正事項1によって連動して訂正され、訂正前の請求項10は、同請求項が、直接的に引用する請求項9の記載を訂正する訂正事項3によって連動して訂正されるから、請求項1~8、10、及び、請求項9、10は、それぞれ「一群の請求項」である。そして、2つの「一群の請求項」は、請求項10を共通して有しているから、組み合わされて、一つの「一群の請求項1~10」となる。
したがって、本件訂正は、一群の請求項1~10についてするものである。
4 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1号~4号に掲げる事項を目的とし、同法第126条第9項により準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-10]について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~10に係る発明(以下、請求項番号に対応して「本件訂正発明1」等といい、全体の発明を「本件訂正発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(記号については、申立書を参考に当審で付した。)
「【請求項1】
1A:車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
1B:前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたもので、
1C:前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
1D:前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、
1E:前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであるとともに前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されており、
1F:前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されていて、前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転フリーな車輪非ロック状態となり、天板を前記使用姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転禁止される車輪ロック状態となる天板付き家具。
【請求項2】
前記両キャスタは、それぞれ前記操作部である作動部を前後方向に移動させることによって前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたものであり、前記脚体は、前記ベース内に前後方向移動により前記両キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されている請求項1記載の天板付き家具。
【請求項3】
天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部を設けている請求項1又は2記載の天板付き家具。
【請求項4】
前記動作連動手段が、前記脚体に対する前記天板のフラップ動作に伴って所要角度だけ回動する連動カムを備え、この連動カムの回動により前記キャスタが前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換わるようにしたものであり、前記連動カムを天板のフラップ動作とは異なった動作により回動させて前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態に切り替えることもできるようにしている請求項1、2又は3記載のフラップ天板付き家具。
【請求項5】
前記連動カムが、前記天板の下面に当接して当該連動カムを前記天板とともに前記所要角度だけ回動させるための平面状カム面と、前記天板のフラップ動作と当該連動カムの回転動作とを切り離すための円弧状カム面とを備えたものである請求項4記載のフラップ天板付き家具。
【請求項6】
前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得るものであり、正逆回転を伴わせて前記キャスタを車輪ロック状態と車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっている請求項1、2、3、4又は5記載のフラップ天板付き家具。
【請求項7】
前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを車輪ロック状態と車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっている請求項1、2、3、4又は5記載のフラップ天板付き家具。
【請求項8】
8A:車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
8B:前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたもので、
8C:前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
8D:前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、
8E:前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであるとともに前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されており、
8F:前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されており、
8G:前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを車輪ロック状態と車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっており、
8H:前記動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しているとともに、
8I:天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されているフラップ天板付き家具。
【請求項9】
9A:車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
9B:前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
9C:前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタが車輪非ロック状態に切り換わるように構成されているとともに、
9D:前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを前記車輪ロック状態と前記車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっており、
9E:前記動作連動手段が、前記構成要素の回動をベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しており、
9F:天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されているフラップ天板付き家具。
【請求項10】
前記構成要素が、前記上下連動シャフトの上端部の枢着箇所よりも上方の位置で前記一時解除用操作部からの操作力の伝達を受ける請求項8又は9記載のフラップ天板付き家具。」
第4 特許異議申立書に記載された特許異議申立理由の概要、取消理由通知<決定の予告>(令和6年1月25日付け)に記載した取消理由の概要、及び証拠について
1 特許異議申立理由の概要
特許異議申立書の「申立ての理由」(2~24頁、105~107頁)をふまえると、申立人が主張する特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
(1)進歩性欠如
ア 甲第1号証を主たる証拠として
本件訂正前の請求項1~10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明(又は甲第5号証に記載された発明)、甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
イ 甲第3号証を主たる証拠として
本件訂正前の請求項1~10に係る発明は、甲第3号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明(又は甲第5号証に記載された発明)、周知技術(甲第6号証に記載された発明)及び甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(2)実施可能要件違反
本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載には不備があり、本件訂正前の請求項1及び9、並びにこれらに従属する請求項2~8、10に係る発明は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(3)サポート要件違反
本件訂正前の請求項1及び9、並びにこれらに従属する請求項2~8、10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていないものを含んでいるから、発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(4)明確性要件違反
本件訂正前の請求項1、8及び9、並びにこれらに従属する請求項2~7、10に係る発明は、特許を受けようとする発明が明確ではなく、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
2 取消理由(決定の予告)の概要
令和6年1月25日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は以下のとおりである。
令和5年5月17日提出の訂正請求書に対する、同年9月28日提出の手続補正書による補正は、訂正請求書の要旨を変更するものであるから、認められない。
上記補正前の訂正請求書により訂正された本件特許の請求項9、10の記載は不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、請求項9、10に係る発明の特許は取り消されるべきものである。
3 証拠
特許異議申立人が提示した証拠は以下のとおりである。
甲第1号証:特開2017-86355号公報
甲第2号証:特開2007-131239号公報
甲第3号証:特開2008-104793号公報
甲第4号証:特開平5-68618号公報
甲第5号証:特開2017-81474号公報
甲第6号証:特開2006-96327号公報
第5 証拠について
1 甲第1号証
(1)甲第1号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第1号証には、以下の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。
ア 「【0001】
本発明は、天板付什器に関する。」
イ 「【0017】
図1に、図2示すように、テーブル装置(天板付什器)10は、床面F上に設置され、上下方向に延びる左右一対の支持脚20と、物品が載置可能な上面30fを有し、左右支持脚20の上端部に支持された例えば平面視矩形状の天板30と、テーブル装置10の奥側において天板30の下方に位置し、左右支持脚20の間の空間を閉塞する幕板15と、を備えている。
【0018】
左右支持脚20は、天板30の幅方向両端部にそれぞれ設けられている。各支持脚20は、床面F上に対向配置される前後方向に長い脚部21と、脚部21の後部から上方に延び、天板30を下方から支持する中空柱状の支柱部23と、を備えている。本実施形態において、支柱部23は、脚部21の後部から斜め上前方に向けて延出している。左右支持脚20は、支柱部23の上部の間で天板30の幅方向に延びる連結杆23jによって一体的に連結されている。
・・・
【0025】
図2を併せて参照し、ロックプレート34tは、係合凹部34uを第一ロックピン31pに係合させることで、天板30を水平にした通常使用状態(図2において実線で示す。)で天板30の回動をロック可能である。また、ロックプレート34tは、係合凹部34uを第二ロックピン31qに係合させることで、天板30を前端部30a側を上方に跳ね上げた跳ね上げ状態(図2において二点鎖線で示す。)で天板30の回動をロック可能である。
【0026】
天板30の後端部30bの下面には、下後方に向かけて延出するサポートアーム35が設けられている。サポートアーム35は、幕板15の上端部に設けられたジョイント部材16に、左右方向に沿う軸中心で回動可能に連結されている。幕板15の下端部には、ジョイント部材17を介して、リンクプレート18の一端部が左右方向に沿う軸中心で回動可能に連結されている。リンクプレート18の他端部は、支柱部23の上下中間部に左右方向に沿う軸中心で回動可能に連結されている。
【0027】
幕板15は、天板30を通常使用状態としたときに、天板30の後端部30bの下方へほぼ鉛直方向に沿って延びるように配置される(図2において実線で示す。)。この通常使用状態から、天板30の手前側を上方に跳ね上げるように天板30を軸線C1回りに回動させると、天板30と一体に回動するサポートアーム35が幕板15の上端部を下方かつ前方に移動させる。これに伴い、リンクプレート18が支柱部23側の軸中心で回動し、幕板15の下端部を下前方に移動させる。その結果、天板30を支柱部23と側面視で略平行となるまで跳ね上げた跳ね上げ状態としたときに、幕板15が支柱部23の後面に沿う位置まで移動した格納状態(図2において二点鎖線で示す。)となる。」
ウ 「【0028】
図2、図7に示すように、脚部21は、支柱部23の下端に一体に設けられ、床面Fに沿って前後方向に延びるベースフレーム24と、ベースフレーム24を覆うカバー25と、を備えている。脚部21の上面21u(カバー25の上面)は、後端部21rに対して前端部21f側が漸次低くなるように傾斜している。ベースフレーム24の前後端部には、床面F上を転動可能な前後キャスター26,27が設けられている。前後キャスター26,27は、それぞれベースフレーム24に対して鉛直方向に沿う軸回りに回動可能に支持されている。これら前後キャスター26,27により、テーブル装置10が床面F上の任意の方向へ容易に移動可能とされている。
【0029】
ベースフレーム24の前後端部には、前後キャスター26,27によるテーブル装置10の移動の拘束、および前記拘束の解除が可能なストッパ機構50が設けられている。
ストッパ機構50は、前部ストッパ部材51と、後部ストッパ部材52と、付勢部材53と、駆動機構60と、を備えている。
【0030】
図10、図11を併せて参照し、前部ストッパ部材51は、ベースフレーム24の前端部において、前キャスター26よりも前方に設けられている。前部ストッパ部材51は、その下面が平面状の接地面51sとされている。接地面51sは、後部ストッパ部材52が接地して脚部21が後上がりに傾斜した際には、床面Fに接地して前キャスター26を床面Fから離間させる(図10参照)。接地面51sは、後部ストッパ部材52が床面Fから離間して脚部21が後下がりに傾斜した際には、床面Fから離間して前キャスター26を床面Fに接地させる(図11参照)。」
エ 「【0036】
本実施形態では、スイング部材55、ガイド溝57、連係部材61およびスライド軸61tを含んで駆動機構60が構成されている。
ガイド溝57は、連係部材61およびスイング部材55が側面視で直交配置されたときの第二支持軸61sの位置(以下、直交時軸位置という。)P1よりも前方に離間した位置を前端部57aとし、直交時軸位置P1よりも僅かに後方にずれた位置を後端部57bとしている。
【0037】
連係部材61が前方に揺動すると、スライド軸61tがガイド溝57内を前方にスライドしつつ上方に変位するので、スイング部材55が付勢部材53の付勢力に抗して上方へ揺動し、後部ストッパ部材52が上方に引き上げられる(図7中に二点鎖線で示す。)。そして、スライド軸61tがガイド溝57の前端部57aまでスライドすると、後部ストッパ部材52が床面Fから離間して後キャスター27が床面Fに接地する。このとき、後述の如く前キャスター26も床面Fに接地するので、前後キャスター26,27が床面Fに対して転動可能な状態となる。
【0038】
一方、連係部材61が後方に揺動すると、スライド軸61tがガイド溝57内を後方にスライドしつつ下方に変位するので、スイング部材55が下方へ揺動し、後部ストッパ部材52が下方に押し下げられる(図7中に実線で示す。)。そして、スライド軸61tがガイド溝57の後端部57bまでスライドすると、後部ストッパ部材52が床面Fに接地して後キャスター27を床面Fから離間させる。このとき、脚部21が後上がりに傾斜し、前部ストッパ部材51を床面Fに接地させて前キャスター26を床面Fから離間させる。これにより、前後キャスター26,27が床面Fに対して転動不能な状態となる。
【0039】
すなわち、連係部材61は、前後キャスター26,27の床面Fに対しての転動を可能にする転動可能状態と、前記転動を不能にする転動不能状態と、を切り替えるべく作動するキャスター側作動部材を構成している。
【0040】
スライド軸61tがガイド溝57の後端部57bまでスライドすると、スライド軸61tが直交時軸位置P1よりも僅かに後方に至るので、スイング部材55が床面Fからの反力を受けても、連係部材61がガイド溝57の後端部57b側に付勢されることとなる。よって、床面Fからの反力を受けても、連係部材61がガイド溝57の前端部57a側にスライドしてスイング部材55を上方に揺動させることはない。連係部材61がガイド溝57の後端部57bに位置する状態からスイング部材55を上方に揺動させるには、連係部材61を前方に揺動させる別途の操作力を付与すればよい。
【0041】
図2、図6、図8に示すように、テーブル装置10は、天板30の下面に設置された操作レバー63によって連係部材61を操作可能とし、前後キャスター26,27の床面Fに対しての転動を可能とする転動可能状態と前記転動を不能とする転動不能状態とを切り替え可能とする転動切替装置66を備えている。
【0042】
操作レバー63は、天板30の幅方向の両側に設けられている。各操作レバー63は、天板30に上下方向の枢軸65回りに枢支され、枢軸65を中心に回動操作可能とされている。各操作レバー63は、操作前の初期位置では指掛かり部63dを概ね左右方向に沿わせて配置され、この初期位置から指掛かり部63dを前方かつ幅方向外側へ回動させるように操作可能とされている。
【0043】
操作レバー63は、指掛かり部63dと枢軸65との間に屈曲部63eを有している。具体的に、操作レバー63は、枢軸65を挿通する基部63aと、基部63aから前方に延出する前方延出部63bと、前方延出部63bの前端から幅方向内側に延出する内方延出部63cと、内方延出部63cの幅方向内側に連なる指掛かり部63dと、を有し、前方延出部63bと内方延出部63cとの間に屈曲部63eが形成されている。操作レバー63の基部63a、前方延出部63bおよび内方延出部63cの周囲は、天板30の下方からレバーハウジング64により覆われている。
【0044】
図2~図5に示すように、転動切替装置66は、操作レバー63および連係部材61と、操作レバー63の操作によって連係部材61を作動させる操作機構67と、を備えている。
操作機構67は、前後キャスター26,27、連係部材61および操作レバー63と同様、天板30の幅方向の両側に設けられており、幅方向両側のそれぞれにおいて、操作レバー63によって連係部材61を操作可能としている。
【0045】
操作機構67は、操作レバー63の操作力を連係部材61側に伝達するワイヤー68と、操作レバー63および連係部材61の間に配設される中継部材71と、備えている。ワイヤー68は、操作レバー63と中継部材71との間に渡る第一ワイヤー68aと、中継部材71と連係部材61との間に渡る第二ワイヤー68bと、を備える。両ワイヤー68a,68bは、アウターケーブル内にインナーケーブルを摺動可能に挿通した既知の操作ケーブルである。
【0046】
中継部材71は、側面視でV字形状をなすベルクランク状の部材であり、軸線C1に沿う回動軸72を介して軸受け部材36に回動可能に支持されている。中継部材71は、天板30が通常使用状態にありかつ操作レバー63が操作前状態にある場合において、回動軸72の下方に延びる第一アーム部71aと、回動軸72の前上方に延びる第二アーム部71bと、を有している。以下、天板30が通常使用状態にありかつ操作レバー63が操作前状態にある場合における中継部材71の状態を初期状態という。
【0047】
第一アーム部71aの先端部には第一ワイヤー68aの前端部が係止され、第二アーム部71bの先端部には第二ワイヤー68bの上端部が係止されている。第一ワイヤー68aの後端部は操作レバー63の内方延出部63cに係止され、第二ワイヤー68bの下端部は連係部材61のスライド軸61t側の端部に係止されている。第一ワイヤー68aの後部は、ロックレバー34の回動軸34sの後方で下後方を指向して延びている。第二ワイヤー68bの上部は、支柱部23の上端部内に挿入されたケーブルガイド69の湾曲面69fに沿って湾曲している。図7を参照し、第二ワイヤー68bの下部は、ホルダ部材58に形成された湾曲面58fに沿って湾曲している。
【0048】
図9(a)を参照し、天板30が通常使用状態にありかつ操作レバー63が操作前状態にある場合において、テーブル装置10の使用者が操作レバー63の指掛かり部63dを前方かつ幅方向外側に向けて回動操作すると、第一ワイヤー68aが前方に引かれるとともに中継部材71の下向きの第一アーム部71aが前方に引かれ、中継部材71が軸線C1回りに後転方向へ回動する(図9(b)参照)。すると、中継部材71の前向きの第二アーム部71bにより第二ワイヤー68bが上方に引かれ、第二ワイヤー68bがホルダ部材58の湾曲面58fに沿って連係部材61の下端部を前上方へ引き上げ、連係部材61を前方へ揺動させる。
【0049】
操作レバー63は、指掛かり部63dよりも枢軸65側の内方延出部63cに第一ワイヤー68aを係止させているが、第一ワイヤー68aをより枢軸65側に係止させれば、操作レバー63の操作力を軽減可能であり、第一ワイヤー68aをより枢軸65と反対側に係止させれば、第一ワイヤー68aの引き代を大きくすることが可能である。」
オ 「【0051】
ここで、回動軸72は、軸受け部材36に支持される円軸部72aと、円軸部72aの幅方向内側に連なり軸線C1に沿う二平面が形成された二面取り軸部72bと、二面取り軸部72bの幅方向内側に連なる角軸部72cと、を有している。二面取り軸部72bおよび角軸部72cは、サポートプレート31の上部31aおよび支持ブラケット33の側壁部33bの幅方向内側に突出する。二面取り軸部72bには、後述する連動ディスク75が一体回動可能に取り付けられている。角軸部72cには、連動シャフト74の左右端部が一体回動可能に取り付けられている。
また、左右ロックレバー34の回動軸34sの間には、ロック連動機構77として左右回動軸34s間を連結する左右方向に沿う第二連動シャフト78が設けられている。
【0052】
また、天板30と連係部材61との間には、天板30の跳ね上げに応じて連係部材61を作動させる跳ね上げ連動機構79が構成されている。
跳ね上げ連動機構79は、左右中継部材71の回動軸72の二面取り軸部72bに一体回動可能に固定される連動ディスク75と、支持ブラケット33の側壁部33bの幅方向内側に突設された連動ピン76と、を有している。
【0053】
連動ディスク75は、中継部材71が初期状態にあるときに回動軸72の前下方に突出する係止片75aを有している。この係止片75aに対し、連動ピン76は、天板30が通常使用状態にあるときには、係止片75aの下後方に離間している。
【0054】
この状態から天板30が跳ね上げられると、天板30とともに回動した連動ピン76が係止片75aの端縁に当接し、その後に天板30の跳ね上げに応じて連動ピン76が連動ディスク75を天板30の跳ね上げと同方向に回動させる(図9(c)参照)。これにより、連動ディスク75とともに中継部材71が回動し、第二ワイヤー68bを介して連係部材61を前方に揺動させることが可能である。なお、図9では便宜上、連動ディスク75の図示を略し、連動ピン76が中継部材71を直接回動させる態様を示している。
【0055】
次に、作用について説明する。
まず、天板30が通常使用状態にありかつ操作レバー63が操作前状態にある場合においては、図10に示すように、前部ストッパ部材51と後部ストッパ部材52とが床面Fに接地し、前後キャスター26,27が床面Fから浮いた状態となる。これにより、テーブル装置10が床面F上での移動が拘束されて固定的に設置された状態となる。
天板30が通常使用状態にありかつ操作レバー63が操作前状態にある場合においては、ワイヤー68に引張力が作用しておらず、連係部材61が前方(合議体注:「後方」の誤記と認める。)に揺動しきってスイング部材55の揺動をロックした状態になっている。
【0056】
テーブル装置10を移動させるため、前部ストッパ部材51および後部ストッパ部材52による移動の拘束を解除するには、天板30を跳ね上げるか、操作レバー63を操作するか、の何れかが必要である。
【0057】
天板30を跳ね上げる場合、まず、ロックプレート34tによる天板30のロックを解除する。すなわち、天板30の通常使用状態では、第一ロックピン31pがロックプレート34tの係合凹部34uに係合し、天板30を通常使用状態にロックした状態にあるので、このロックを解除する。天板30のロック解除はロックレバー34の操作で行われるが、左右ロックレバー34の回動軸34sの間は第二連動シャフト78により一体回動可能に連結されているので、左右ロックレバー34の何れか一方を操作すれば、左右ロックプレート34tによる天板30のロックを同時に解除することが可能である。
【0058】
次いで、天板30の前端部30aを上方に引き上げて天板30を軸線C1回りに回動させると、跳ね上げ連動機構79において連動ピン76が連動ディスク75に係合し、連動ディスク75および中継部材71を天板30と同方向(後転方向)に回動させる(図9(c)参照)。通常使用状態にある天板30が回動して連動ピン76が連動ディスク75に係合するには、天板30を約30度回動させる必要がある。この位相差により、天板30の跳ね上げ直後から前後キャスター26,27を接地させてテーブル装置10を移動させてしまうことを規制する。
【0059】
中継部材71の後転方向の回動により第二ワイヤー68bが上方に引かれると、第二ワイヤー68bが連係部材61を前方へ揺動させるとともにスイング部材55を上方へ揺動させ、後部ストッパ部材52を床面Fから離間させて後キャスター27を接地させる。
そして、天板30が跳ね上げ状態まで回動すると、第二ロックピン31qがロックレバー34の係合凹部34uに係合し、天板30を跳ね上げ状態にロックする。
【0060】
図11に示すように、後部ストッパ部材52が床面Fから離間して後キャスター27を床面Fに接地させると、脚部21が後下がりに僅かに傾動し、前キャスター26を床面Fに接地させるとともに前部ストッパ部材51を床面Fから離間させる。これにより、支持脚20において前後キャスター26,27のみが床面Fに接地し、テーブル装置10の拘束が解除されて床面F上で容易に移動可能な状態となる。
【0061】
操作レバー63を操作する場合、通常使用状態にある天板30の下方において、幅方向両側にある左右操作レバー63の指掛かり部63dを前方かつ幅方向外側へ回動させるように操作する(図8参照)。すると、第一ワイヤー68aが前方に引かれて中継部材71を後転方向に回動させる(図9(b)参照)。中継部材71の後転方向の回動により第二ワイヤー68bが上方に引かれると、第二ワイヤー68bが連係部材61を前方へ揺動させるとともにスイング部材55を上方へ揺動させ、後部ストッパ部材52を床面Fから離間させて後キャスター27を接地させる。これにより、天板30を跳ね上げる場合と同様、支持脚20において前後キャスター26,27のみが床面Fに接地し、テーブル装置10の拘束が解除されて床面F上で容易に移動可能な状態となる。」
カ 「【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、操作レバー63を天板30の下面に支持したが、これに限らず、上部構造体11の何れの場所に設けてもよい。脚部21の後方にのみ揺動可能な後部ストッパ部材52を備える構成に限らず、前方のみあるいは前後両方に揺動可能な接地部材を備える構成であってもよい。ストッパ部材によりキャスターの接地状態を切り替える構成に限らず、キャスターの車輪をロック可能な構成であってもよい。一対の支持脚20を備える什器に限らず、天板30のサイズおよび形状等によっては、一本のみあるいは三本以上の支持脚を備える構成であってもよい。テーブル装置10への適用に限らず、他形態の天板付什器に適用してもよい。
ここで、天板付き什器の幅が大きい場合、幅方向一側の操作レバー63のみを操作することが有り得る。このとき、幅方向一側に立った使用者は、片手で操作レバー63を操作しつつ、もう一方の手で天板30の幅方向外側における任意の位置を保持することとなるが、この場合にも、操作レバー63が幅方向外側に回動操作されるので、使用者が操作レバー63を引き易い。すなわち、幅方向一側のみに操作部材が設けられる構成であってもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。」
キ 【図2】
「
[図:0001415252000001.jpg]
」
上記図2から、「連係部材61」及び「スイング部材55」は、「キャスタ27」と近傍の位置にあることが看取できる。
また、上記イの段落【0025】によれば、図2において「天板30を水平にした通常使用状態」が実線で記載され、「天板30を前端部30a側を上方に跳ね上げた跳ね上げ状態」が二点鎖線で記載されており、両状態について「天板30の回動をロック可能」と記載されている。また図2は、実線の天板30から、二点鎖線の天板30に向かって矢印が記載され、段落【0027】には、「通常使用状態から、天板30の手前側を上方に跳ね上げるように天板30を軸線C1まわりに回動させる」との記載があることをふまえると、天板30は、水平にした通常使用状態から、前端部30a側を上方に跳ね上げた状態までの間で回動の動作が可能であるといえる。
ク 【図7】
「
[図:0001415252000002.jpg]
」
上記図7から、「連係部材61」及び「スイング部材55」は、「ベースフレーム24」の後端部において構成されている点が看取できる。
ケ 【図9】
「
[図:0001415252000003.jpg]
」
(2)甲1発明
上記(1)より、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる
(甲1発明)
「床面F上に設置され、上下方向に延びる左右一対の支持脚20と、物品が載置可能な上面30fを有し、左右支持脚20の上端部に支持された例えば平面視矩形状の天板30と、テーブル装置10の奥側において天板30の下方に位置し、左右支持脚20の間の空間を閉塞する幕板15と、を備えているテーブル装置10であり、(【0017】)
天板30は、水平にした通常使用状態から、天板30を前端部30a側を上方に跳ね上げた状態までの間で回動の動作が可能であり、(【0025】、【図2】)
左右支持脚20は、天板30の幅方向両端部にそれぞれ設けられ、各支持脚20は、床面F上に対向配置される前後方向に長い脚部21と、脚部21の後部から上方に延び、天板30を下方から支持する中空柱状の支柱部23と、を備えており、(【0018】)
脚部21は、支柱部23の下端に一体に設けられ、床面Fに沿って前後方向に延びるベースフレーム24と、ベースフレーム24を覆うカバー25と、を備えており、ベースフレーム24の前後端部には、床面F上を転動可能な前後キャスター26,27が設けられて、前後キャスター26,27は、それぞれベースフレーム24に対して鉛直方向に沿う軸回りに回動可能に支持されており、(【0028】)
ベースフレーム24の前後端部には、前後キャスター26,27によるテーブル装置10の移動の拘束、および前記拘束の解除が可能なストッパ機構50が設けられていて、ストッパ機構50は、前部ストッパ部材51と、後部ストッパ部材52と、付勢部材53と、駆動機構60と、を備えており、(【0029】)
駆動機構60は、スイング部材55、ガイド溝57、連係部材61およびスライド軸61tを含んで、構成されており、連係部材61及びスイング部材55は、ベースフレーム24の後端部において構成されていて、キャスタ27の近傍の位置にあり、(【0036】、【図2】、【図7】)
連係部材61が前方に揺動すると、前キャスター26も床面Fに接地するので、前後キャスター26,27が床面Fに対して転動可能な状態となり、連係部材61が後方に揺動すると、前キャスター26を床面Fから離間させ、これにより、前後キャスター26,27が床面Fに対して転動不能な状態となるものであり、(【0037】、【0038】)
天板30の下面に設置された操作レバー63によって連係部材61を操作可能とし、前後キャスター26,27の床面Fに対しての転動を可能とする転動可能状態と前記転動を不能とする転動不能状態とを切り替え可能とする転動切替装置66を備えており、(【0041】)
転動切替装置66は、操作レバー63および連係部材61と、操作レバー63の操作によって連係部材61を作動させる操作機構67と、を備えており、(【0044】)
操作機構67は、操作レバー63の操作力を連係部材61側に伝達するワイヤー68と、操作レバー63および連係部材61の間に配設される中継部材71と、を備え、ワイヤー68は、操作レバー63と中継部材71との間に渡る第一ワイヤー68aと、中継部材71と連係部材61との間に渡る第二ワイヤー68bと、を備え、(【0045】)
中継部材71は、側面視でV字形状をなすベルクランク状の部材であり、軸線C1に沿う回動軸72を介して軸受け部材36に回動可能に支持されていて、天板30が通常使用状態にありかつ操作レバー63が操作前状態にある場合において、回動軸72の下方に延びる第一アーム部71aと、回動軸72の前上方に延びる第二アーム部71bと、を有しており、第一アーム部71aの先端部には第一ワイヤー68aの前端部が係止され、第二アーム部71bの先端部には第二ワイヤー68bの上端部が係止されており、第一ワイヤー68aの後端部は操作レバー63の内方延出部63cに係止され、第二ワイヤー68bの下端部は連係部材61のスライド軸61t側の端部に係止されており、(【0046】、【0047】)
天板30と連係部材61との間には、天板30の跳ね上げに応じて連係部材61を作動させる跳ね上げ連動機構79が構成されていて、跳ね上げ連動機構79は、左右中継部材71の回動軸72の二面取り軸部72bに一体回動可能に固定される連動ディスク75と、支持ブラケット33の側壁部33bの幅方向内側に突設された連動ピン76と、を有しており、連動ディスク75は、中継部材71が初期状態にあるときに回動軸72の前下方に突出する係止片75aを有していて、この係止片75aに対し、連動ピン76は、天板30が通常使用状態にあるときには、係止片75aの下後方に離間しており、(【0052】、【0053】)
天板30が通常使用状態にありかつ操作レバー63が操作前状態にある場合においては、ワイヤー68に引張力が作用しておらず、連係部材61が後方に揺動しきってスイング部材55の揺動をロックした状態になっており、(【0055】)
天板30の前端部30aを上方に引き上げて天板30を軸線C1回りに回動させると、跳ね上げ連動機構79において連動ピン76が連動ディスク75に係合し、連動ディスク75および中継部材71を天板30と同方向(後転方向)に回動させるものであり、中継部材71の後転方向の回動により第二ワイヤー68bが上方に引かれると、第二ワイヤー68bが連係部材61を前方へ揺動させるとともにスイング部材55を上方へ揺動させ、後部ストッパ部材52を床面Fから離間させて後キャスター27を接地させ、後部ストッパ部材52が床面Fから離間して後キャスター27を床面Fに接地させると、脚部21が後下がりに僅かに傾動し、前キャスター26を床面Fに接地させるとともに前部ストッパ部材51を床面Fから離間させ、これにより、支持脚20において前後キャスター26,27のみが床面Fに接地し、テーブル装置10の拘束が解除されて床面F上で容易に移動可能な状態となり、(【0058】、【0059】、【0060】)
天板30が通常使用状態にありかつ操作レバー63が操作前状態にある場合において、テーブル装置10の使用者が操作レバー63の指掛かり部63dを前方かつ幅方向外側に向けて回動操作すると、第一ワイヤー68aが前方に引かれるとともに中継部材71の下向きの第一アーム部71aが前方に引かれ、中継部材71が軸線C1回りに後転方向へ回動すると、中継部材71の前向きの第二アーム部71bにより第二ワイヤー68bが上方に引かれ、第二ワイヤー68bがホルダ部材58の湾曲面58fに沿って連係部材61の下端部を前上方へ引き上げ、連係部材61を前方へ揺動させる、(【0048】)
テーブル装置10。」
2 甲第2号証
(1)甲第2号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第2号証には、以下の記載がある。
ア 「【0001】
本発明は、ロック装置付きのキャスタを備えるテーブルに関する。」
イ 「【0017】
本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1~図13は、本発明の一実施形態を示す。
図1~図3に示すように、このテーブルは、前後方向を向く水平脚杆(1)の後部(中間部とすることもある)より脚柱(2)が立設された側面視ほぼL字状の左右1対の脚(3)(3)の上部に、天板(4)の中間部を、左右方向を向く水平軸(5)をもって枢着し、天板(4)が、図1に示すように、ほぼ水平をなす使用位置と、図2に示すように、脚柱(2)と平行の上下方向を向く折り畳み位置とに回動しうるようになっている。
【0018】
天板(4)と、その後部下方に設けた後面板(6)とを、図1に示す使用位置と、図2に示すように、後面板(6)が天板(4)の直下に位置するようにした折り畳み位置とに回動しうるようにするための回動機構(7)に関しては、本発明に直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0019】
各脚(3)の水平脚杆(1)の下面前後部には、キャスタ(8)(8)と、各キャスタ用のロック装置(9)(9)とがそれぞれ設けられている。したがって、脚(3)(3)の下端に設けた4個のキャスタ(8)をもって、脚(3)(3)と、この脚(3)(3)によって支持された天板(4)とが支持されている。
【0020】
天板(4)の前部下面(左右方向に関しては、一側部または中央部)には、1個の操作レバー(10)が、上下方向を向く軸(11)をもって、ロック位置(L)とアンロック位置(U)とに回動可能として枢着されている。
この操作レバー(10)は、上述した4個のロック装置(9)と、連係手段(12)をもって、操作レバー(10)のロック位置からアンロック位置への回動に連動して、全ロック装置(9)がロック解除され、また操作レバー(10)のアンロック位置からロック位置への回動に連動して、全ロック装置(9)がロックされるように互いに連係されている。
【0021】
次に、この連係手段(12)の詳細について説明する。
図4~図6に示すように、左右の脚(3)の水平脚杆(1)の下面における前後方向の中間部には、回動リンク(13)の中間部が、上下方向を向く軸(14)をもって、枢着されている。
回動リンク(13)の一端と前方のロック装置(9)における作動杆(15)と、また回動リンク(13)の他端と後方のロック装置(9)における作動杆(15)とは、それぞれ前後方向を向く連結杆(16)(16)をもって、互いに連結されている。
【0022】
各連結杆(16)と回動リンク(13)の各端部との連結は、各連結杆(16)における軸(14)に近接した方の端部に固着した平面L字状の接続金具(17)の遊端部を、回動リンク(13)の各端部に、上下方向を向く軸(18)をもって連結することにより、軸(14)を中心として、両接続金具(17)が巴状の配置となるようにするのが好ましい。
【0023】
前方の連結杆(16)の後端に固着された接続金具(17)における軸(18)より後方に突出する延長部(17a)には、ワイヤ(19)の一端が止着されている。ワイヤ(19)は、軸(14)より後方における水平脚杆(1)の下面に設けられた保持片(20)に一端が止着された可撓性のガイドチューブ(21)内に挿入され、ガイドチューブ(21)とともに、脚(3)における水平脚杆(1)に沿って後方に向かった後、脚柱(2)内を通って、上方に立ち上がり、次いで天板(4)の下面に沿って、操作レバー(10)まで至っている。
【0024】
図7および図8に示すように、操作レバー(10)は、天板(4)の下面に固着したケーシング(22)内に、軸(11)をもって枢支された巻取ドラム(23)と一体に形成され、前端に形成された操作部(10a)が、ケーシング(22)の前面に形成された窓孔(24)を通って、前方に突出している。
【0025】
左右の脚(3)から延出してきたガイドチューブ(21)(21)の他端は、そこから引き出された各ワイヤ(19)(19)が、巻取ドラム(23)に重なることなく円滑に巻きつくように、巻取ドラム(23)の外周面の接線方向を向くようにして、ケーシング(22)に止着されている。
各ガイドチューブ(21)の他端から引き出された各ワイヤ(19)は、巻取ドラム(23)の外周面の一部に巻き付けられ、各ワイヤ(19)の他端に設けられた球状のワイヤエンド(25)は、巻取ドラム(23)の外周面に設けられた嵌合孔(26)に嵌合係止されている。
【0026】
ケーシング(22)における巻取ドラム(23)に近接した部分に設けた収容孔(27)には、ゴム等の弾性体(28)と、それによって巻取ドラム(23)の外周面に圧接させられるようにした上下方向を向く円柱状の押圧体(29)とが収容されている。
巻取ドラム(23)の外周面には、操作レバー(10)を、ロック位置(L)とアンロック位置(U)としたとき、押圧体(29)が嵌合するようにした上下方向を向く浅い樋状の凹溝(30)(31)が設けられ、操作レバー(10)を、ロック位置(L)とアンロック位置(U)とにおいて、弾圧保持しうるようにしてある。
【0027】
操作レバー(10)の操作部(10a)を、図7に実線で示すロック位置(L)から、同じく想像線で示すアンロック位置(U)へ回動させると、両ワイヤ(19)(19)が、巻取ドラム(23)の外周面に巻き付けられて、ガイドチューブ(21)(21)から引き出され、左右の脚(3)の下面における回動リンク(13)が、図5に示すロック位置(L)から、図6に示すアンロック位置(U)へ回動させられ、前後の連結杆(16)(16)が互いに軸(14)に向かって引き寄せられ、4個のロック装置(9)の作動杆(15)が、ほぼ同時に引き出されて、すべてのロック装置(9)がロック解除され、テーブルを自由に動かすことができるようになる。
【0028】
操作レバー(10)の操作部(10a)を、図7に想像線で示すアンロック位置(U)から、同じく実線で示すロック位置(L)へ回動させると、両ワイヤ(19)(19)が緩められ、ロック装置(9)に内蔵した、後述する圧縮コイルばね(48)の付勢力により、回動リンク(13)が上記と逆方向に回動させられ、前後の連結杆(16)(16)が互いに軸(14)から離れる方向に移動して、4個のロック装置(9)の作動杆(15)が、ほぼ同時にロック装置(9)内に進入し、すべてのロック装置(9)がロックされ、テーブルは不動となる。
【0029】
図7および図8に示すように、ケーシング(22)の前面における窓孔(24)の下方には、円弧面(22a)が形成されており、また操作レバー(10)における操作部(10a)の基部の下方には、この円弧面(22a)の半部を覆う円弧状の垂下片(10b)が設けられている。
操作レバー(10)を、実線で示すロック位置(L)としたとき、垂下片(10b)で覆われないで、前方に露呈する円弧面(22a)の左半部には、赤色に着色するか、または「LOCK」の文字を付し、操作レバー(10)を、想像線で示すアンロック位置(U)としたとき、垂下片(10b)で覆われないで、前方に露呈する円弧面(22a)の右半部には、青色に着色するか、または「FREE」の文字を付しておくのがよい。
【0030】
以上の構成中、回動リンク(13)、連結杆(16)(16)、ワイヤ(19)、ガイドチューブ(21)等により、連係手段(12)が形成されている。
【0031】
次に、各キャスタ(8)とそのロック装置(9)との詳細について説明する。なお、以下の説明で、前方のキャスタ(8)とそのロック装置(9)とのみについて説明し、後方のキャスタ(8)とそのロック装置(9)とについては、前方のキャスタ(8)とそのロック装置(9)と前後対称の同一構造であるので、説明を省略する。 図9および図10に示すように、各キャスタ(8)は、水平脚杆(1)の下端に、上下方向を向く旋回軸(32)をもって旋回自在に枢支された旋回部材(33)と、この旋回部材(33)の両側面に、水平軸(34)をもって枢支された1対の車輪(35)(35)とを備えている。
【0032】
旋回部材(33)の上面には、旋回軸(32)を中心とする内歯車状の第1被係合部(36)が設けられており、また、両車輪(35)(35)の対向面には、水平軸(34)を中心とする内歯車状の第2被係合部(37)が設けられている。
【0033】
図9~図13に示すように、ロック装置(9)は、水平脚杆(1)の下端に取り付けられたケーシング(38)を備えている。このケーシング(38)は、上端が上端壁(38a)により閉塞された角筒状の垂直案内部(38b)と、この垂直案内部(38b)の一側面(図5に示す前部のキャスタ(8)用のロック装置(9)においては後面)に連設された角筒状の水平案内部(38c)とを備えている。
【0034】
ケーシング(38)の水平案内部(38c)には、上述の連結杆(16)に基端部が止着された角柱状の作動杆(15)が、前方のロック位置と後方のアンロック位置とに、前後方向に摺動可能として嵌合されている。
作動杆(15)の前端部両側面には、前方に向かって上下に拡開し、上面が前上向き傾斜する傾斜面(39)をなす側面視ほぼ三角形の突部(40)(40)が設けられている。
また、作動杆(15)の両側面には、作動杆(15)がロック位置に達したとき、水平案内部(38c)の開口端部に当接して、それ以上前方に移動しないようにするためのストッパ(15a)が設けられている。
【0035】
ケーシング(38)の垂直案内部(38b)には、第1昇降体(41)における角柱状の本体(42)が、上下方向に摺動自在に嵌合されている。
本体(42)の中間部には、作動杆(15)が貫通しうるようにした前後方向を向く貫通孔(43)が設けられており、この貫通孔(43)の両内側面上部には、作動杆(15)の左右の傾斜面(39)(39)上に摺動自在に載置されるようにした、傾斜面(39)(39)と同一傾斜角度をもって前上向き傾斜する傾斜面(44)(44)が下端に設けられた内向き突部(45)(45)が設けられている。
【0036】
本体(42)の下端には、旋回軸(32)を中心とするリング状とした押え部(46)と、本体(42)の直下において、内歯車状の第1被係合部(36)の一部と噛合しうるようにした1個または複数の歯からなる第1係合部(47)とが、同一高さとなるようにして、一体的に設けられている。
【0037】
ケーシング(38)における垂直案内部(38b)の上端壁(38a)と、第1昇降体(41)における本体(42)の上端面との間には、第1付勢手段である圧縮コイルばね(48)が縮設されている。
第1昇降体(41)は、この圧縮コイルばね(48)により、常時下向きに付勢され、作動杆(15)がロック位置に位置しているときは、図9に実線で示すように、第1係合部(47)が旋回部材(33)の上面の第1被係合部(36)と噛合し、またリング状の押え部(46)が、第1被係合部(36)以外の旋回部材(33)の上面に当接または近接するロック位置に位置するようになっている。
【0038】
この状態から、作動杆(15)が、連結杆(16)により後方に引かれて、アンロック位置へ移動させられると、作動杆(15)の傾斜面(39)と第1昇降体(41)の傾斜面(44)とからなる傾斜カム機構(49)の作用により、傾斜面(44)とともに、第1昇降体(41)が、圧縮コイルばね(48)の付勢力に抗して押し上げられ、図9に想像線で示すように、第1係合部(47)が第1被係合部(36)から上方に離れたアンロック位置となる。
【0039】
旋回部材(33)の上面における押え部(46)の直下の位置には、有底孔(50)が設けられており、この有底孔(50)内には、第2昇降体(51)における上下方向を向く昇降軸(52)が、上下方向に摺動自在に嵌合されている。
旋回部材(33)の中間部には、有底孔(50)の中間部と直交する横孔(53)が設けられており、この横孔(53)には、昇降軸(52)の下端部より二股状に分岐して、旋回部材(33)の両側方に下向き鉤形をなして突出する、全体として下向きコ字状の二股部材(54)が、上下方向に摺動自在に嵌合されている。二股部材(54)の両側下端部には、両車輪(35)(35)の内面に設けられた内歯車状の第2被係合部(37)(37)と係脱する第2係合部(55)(55)が設けられている。
【0040】
有底孔(50)の底面と、二股部材(54)の下面中央との間には、圧縮コイルばね(48)の付勢力より付勢力が弱い、第2付勢手段である圧縮コイルばね(56)が縮設されている。
第2昇降体(51)は、この圧縮コイルばね(56)により、常時上向きに付勢され、第1昇降体(41)が、図9に想像線で示すように、アンロック位置に位置しているときは、昇降軸(52)の上端が、旋回部材(33)の上面より上方に突出し、かつ両第2係合部(55)(55)が、両車輪(35)(35)の第2被係合部(37)(37)より上方に離れたアンロック位置に位置している。
【0041】
この状態から、第1昇降体(41)がロック位置まで下降させられると、昇降軸(52)の上端が、第1昇降体(41)の押え部(46)により押し下げられ、第2昇降体(51)は、両第2係合部(55)(55)が、両車輪(35)(35)の第2被係合部(37)(37)に噛合するロック位置となる。
【0042】
以上から明らかなように、この実施形態によると、操作レバー(10)の操作部(10a)を、ロック位置(L)からアンロック位置(U)へ回動させると、両ワイヤ(19)(19)が引かれて、左右の脚(3)の下面における回動リンク(13)が、ロック位置(L)からアンロック位置(U)へ回動させられ、前後の連結杆(16)(16)が互いに軸(14)に向かって引き寄せられ、4個のロック装置(9)の作動杆(15)が、ほぼ同時に引き出され、各ロック装置(9)においては、傾斜カム機構(49)の作用により、第1昇降体(41)がアンロック位置まで上昇させられ、それに伴って、第1係合部(47)が第1被係合部(36)から上方に離脱するとともに、第2昇降体(51)が、圧縮コイルばね(56)の付勢力により、アンロック位置まで持ち上げられ、両第2係合部(55)(55)が、両車輪(35)(35)の第2被係合部(37)(37)より上方に離脱する。
したがって、4個のキャスタ(8)がすべてフリー、すなわちアンロック状態となるので、テーブルを自由に動かすことができるようになる。
【0043】
操作レバー(10)の操作部(10a)を、アンロック位置(U)からロック位置(L)へ回動させると、両ワイヤ(19)(19)が緩められ、ロック装置(9)に内蔵した圧縮コイルばね(48)の付勢力により、回動リンク(13)が上記と逆方向に回動させられ、前後の連結杆(16)(16)が互いに軸(14)から離れる方向に移動して、4個のロック装置(9)の作動杆(15)が、ほぼ同時にロック位置に移動させられ、各ロック装置(9)においては、圧縮コイルばね(48)の付勢力により、第1昇降体(41)がロック位置まで押し下げられ、それに伴って、第1係合部(47)が第1被係合部(36)と噛合し、水平脚杆(1)に対する旋回部材(33)の旋回を強力に阻止するとともに、第2昇降体(51)の上端が、第1昇降体(41)の押え部(46)により、ロック位置まで押し下げられて、両第2係合部(55)(55)が、両車輪(35)(35)の第2被係合部(37)(37)に噛合して、各車輪(35)の回転が強力に阻止される。
したがって、4個のキャスタ(8)のすべての旋回部材(33)の旋回と、各車輪(35)の回転と強力に阻止されるので、テーブルは不動となる。」
ウ 【図1】
「
[図:0001415252000004.jpg]
」
エ 【図4】
「
[図:0001415252000005.jpg]
」
オ 【図9】
「
[図:0001415252000006.jpg]
」
カ 【図10】
「
[図:0001415252000007.jpg]
」
(2)甲第2号証に記載の事項
上記(1)から、甲第2号証には、次の技術事項(以下、「甲2技術事項」という。)が記載されていると認められる。
(甲2技術事項)
「ロック装置付きのキャスタを備えるテーブルにおいて、(【0001】)
前後方向を向く水平脚杆(1)の後部より脚柱(2)が立設された側面視ほぼL字状の左右1対の脚(3)(3)の上部に、天板(4)の中間部を、左右方向を向く水平軸(5)をもって枢着し、天板(4)が、ほぼ水平をなす使用位置と、脚柱(2)と平行の上下方向を向く折り畳み位置とに回動しうるようになっており、(【0017】)
各脚(3)の水平脚杆(1)の下面前後部には、キャスタ(8)(8)と、各キャスタ用のロック装置(9)(9)とがそれぞれ設けられ、脚(3)(3)の下端に設けた4個のキャスタ(8)をもって、脚(3)(3)と、この脚(3)(3)によって支持された天板(4)とが支持されており、(【0019】)
天板(4)の前部下面には、1個の操作レバー(10)が、上下方向を向く軸(11)をもって、ロック位置(L)とアンロック位置(U)とに回動可能として枢着されており、この操作レバー(10)は、4個のロック装置(9)と、連係手段(12)をもって、操作レバー(10)のロック位置からアンロック位置への回動に連動して、全ロック装置(9)がロック解除され、また操作レバー(10)のアンロック位置からロック位置への回動に連動して、全ロック装置(9)がロックされるように互いに連係されており、(【0020】)
左右の脚(3)の水平脚杆(1)の下面における前後方向の中間部には、回動リンク(13)の中間部が、上下方向を向く軸(14)をもって、枢着されており、回動リンク(13)の一端と前方のロック装置(9)における作動杆(15)と、また回動リンク(13)の他端と後方のロック装置(9)における作動杆(15)とは、それぞれ前後方向を向く連結杆(16)(16)をもって、互いに連結されており、(【0021】)
前方の連結杆(16)の後端に固着された接続金具(17)における軸(18)より後方に突出する延長部(17a)には、ワイヤ(19)の一端が止着されており、ワイヤ(19)は、軸(14)より後方における水平脚杆(1)の下面に設けられた保持片(20)に一端が止着された可撓性のガイドチューブ(21)内に挿入され、ガイドチューブ(21)とともに、脚(3)における水平脚杆(1)に沿って後方に向かった後、脚柱(2)内を通って、上方に立ち上がり、次いで天板(4)の下面に沿って、操作レバー(10)まで至っており、(【0023】)
以上構成中、連係手段(12)が、回動リンク(13)、連結杆(16)(16)、ワイヤ(19)、ガイドチューブ(21)等により形成されており、(【0030】)
各キャスタ(8)は、水平脚杆(1)の下端に、上下方向を向く旋回軸(32)をもって旋回自在に枢支された旋回部材(33)と、この旋回部材(33)の両側面に、水平軸(34)をもって枢支された1対の車輪(35)(35)とを備えており、(【0031】)
旋回部材(33)の上面には、旋回軸(32)を中心とする内歯車状の第1被係合部(36)が設けられており、また、両車輪(35)(35)の対向面には、水平軸(34)を中心とする内歯車状の第2被係合部(37)が設けられており、(【0032】)
ロック装置(9)は、水平脚杆(1)の下端に取り付けられたケーシング(38)を備え、このケーシング(38)は、上端が上端壁(38a)により閉塞された角筒状の垂直案内部(38b)と、この垂直案内部(38b)の一側面に連設された角筒状の水平案内部(38c)とを備えており、(【0033】)
ケーシング(38)の水平案内部(38c)には、上述の連結杆(16)に基端部が止着された角柱状の作動杆(15)が、前方のロック位置と後方のアンロック位置とに、前後方向に摺動可能として嵌合され、作動杆(15)の前端部両側面には、前方に向かって上下に拡開し、上面が前上向き傾斜する傾斜面(39)をなす側面視ほぼ三角形の突部(40)(40)が設けられており、(【0034】)
ケーシング(38)の垂直案内部(38b)には、第1昇降体(41)における角柱状の本体(42)が、上下方向に摺動自在に嵌合され、本体(42)の中間部には、作動杆(15)が貫通しうるようにした前後方向を向く貫通孔(43)が設けられており、この貫通孔(43)の両内側面上部には、作動杆(15)の左右の傾斜面(39)(39)上に摺動自在に載置されるようにした、傾斜面(39)(39)と同一傾斜角度をもって前上向き傾斜する傾斜面(44)(44)が下端に設けられた内向き突部(45)(45)が設けられており、(【0035】)
本体(42)の下端には、旋回軸(32)を中心とするリング状とした押え部(46)と、本体(42)の直下において、内歯車状の第1被係合部(36)の一部と噛合しうるようにした1個または複数の歯からなる第1係合部(47)とが、同一高さとなるようにして、一体的に設けられており、(【0036】)
ケーシング(38)における垂直案内部(38b)の上端壁(38a)と、第1昇降体(41)における本体(42)の上端面との間には、第1付勢手段である圧縮コイルばね(48)が縮設され、第1昇降体(41)は、この圧縮コイルばね(48)により、常時下向きに付勢され、作動杆(15)がロック位置に位置しているときは、第1係合部(47)が旋回部材(33)の上面の第1被係合部(36)と噛合し、またリング状の押え部(46)が、第1被係合部(36)以外の旋回部材(33)の上面に当接または近接するロック位置に位置するようになっており、(【0037】)
作動杆(15)が、連結杆(16)により後方に引かれて、アンロック位置へ移動させられると、作動杆(15)の傾斜面(39)と第1昇降体(41)の傾斜面(44)とからなる傾斜カム機構(49)の作用により、傾斜面(44)とともに、第1昇降体(41)が、圧縮コイルばね(48)の付勢力に抗して押し上げられ、第1係合部(47)が第1被係合部(36)から上方に離れたアンロック位置となり、(【0038】)
操作レバー(10)の操作部(10a)を、ロック位置(L)からアンロック位置(U)へ回動させると、両ワイヤ(19)(19)が引かれて、左右の脚(3)の下面における回動リンク(13)が、ロック位置(L)からアンロック位置(U)へ回動させられ、前後の連結杆(16)(16)が互いに軸(14)に向かって引き寄せられ、4個のロック装置(9)の作動杆(15)が、ほぼ同時に引き出され、各ロック装置(9)においては、傾斜カム機構(49)の作用により、第1昇降体(41)がアンロック位置まで上昇させられ、それに伴って、第1係合部(47)が第1被係合部(36)から上方に離脱するとともに、第2昇降体(51)が、圧縮コイルばね(56)の付勢力により、アンロック位置まで持ち上げられ、両第2係合部(55)(55)が、両車輪(35)(35)の第2被係合部(37)(37)より上方に離脱し、4個のキャスタ(8)がすべてアンロック状態となるので、テーブルを自由に動かすことができるようになり、(【0042】)
操作レバー(10)の操作部(10a)を、アンロック位置(U)からロック位置(L)へ回動させると、両ワイヤ(19)(19)が緩められ、ロック装置(9)に内蔵した圧縮コイルばね(48)の付勢力により、回動リンク(13)が上記と逆方向に回動させられ、前後の連結杆(16)(16)が互いに軸(14)から離れる方向に移動して、4個のロック装置(9)の作動杆(15)が、ほぼ同時にロック位置に移動させられ、各ロック装置(9)においては、圧縮コイルばね(48)の付勢力により、第1昇降体(41)がロック位置まで押し下げられ、それに伴って、第1係合部(47)が第1被係合部(36)と噛合し、水平脚杆(1)に対する旋回部材(33)の旋回を強力に阻止するとともに、第2昇降体(51)の上端が、第1昇降体(41)の押え部(46)により、ロック位置まで押し下げられて、両第2係合部(55)(55)が、両車輪(35)(35)の第2被係合部(37)(37)に噛合して、各車輪(35)の回転が強力に阻止され、4個のキャスタ(8)のすべての旋回部材(33)の旋回と、各車輪(35)の回転とが強力に阻止されるので、テーブルは不動となる(【0043】)、
こと。」
3 甲第3号証
(1)甲第3号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第3号証には、以下の記載がある。
ア 「【0001】
本発明は、必要時にキャスタを床面に接地させることで、位置を微調整可能なテーブルに関するものである。」
イ 「【0024】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本実施形態の移動机1の外観を示す側面図、図2は、天板支持部30の詳細を示す分解斜視図、図3(a)は、脚部4の外観を示す斜視図、図3(b)は、脚部4の外観を示す分解斜視図、図4は、連動機構の構成を示す分解斜視図である。
【0025】
本実施形態の移動机1は、天板2が水平な使用位置にある場合に床面上で固定され、天板2が略垂直な収納位置にある場合に床面上を移動可能に構成されたものであり、長方形の板材からなる天板2と、天板2の長手方向の両端の下方に設けられ、天板支持部30を介して天板2を使用位置と収納位置との間で回動可能に支持すると共に、下方に一対のキャスタ10を夫々備えた一対の脚部4と、脚部4の内部に設けられ、天板2が収納位置にあるとき、または、後述する微調整レバー70が操作されたときに脚部4の下方にキャスタ10を突出させ移動机1の移動を可能とするための昇降機構20と、を備えている。なお、以下、天板2の長手方向を移動机1の左右方向、この方向に直交する方向を前後方向とし、着席側を移動机1の後方(図1の右方)、反対側を移動机1の前方として説明する。
【0026】
脚部4は、図1~図3に示すように、天板2を上方で支持する脚柱6と、脚柱6の下端に前後方向に幅を持って設けられた脚座8と、から構成されており、一対の脚部4は、脚柱6の上方に設けられた框パイプ14で連結されている。
・・・
【0032】
また、天板支持部30には、天板2を使用位置または収納位置で固定するためのロック装置と、天板2が使用位置と収納位置との間で回動されたとき、また、天板2が使用位置で固定された状態で微調整レバー70が操作されたときに、昇降機構20を上下動させるための連動機構と、が設けられている。」
ウ「【0042】
次に、連動機構について説明する。連動機構は、図4に示すように、主に、天板2の下方、且つ、後方側の左右の端縁付近に夫々設けられた一対の微調整レバー70と、各微調整レバー70を天板受け金具34に連結するための微調整キー78及びボルト80と、この微調整キー78が挿通されて微調整キー78と一体に回動される回転金具74と、天板2の下方において、左右方向に水平配置されたフロート連動パイプ82と、フロート連動パイプ82と昇降機構20とを連結するフロートキー92と、フロート連動パイプ82の周囲に固定される微調整カム76と、回転金具74を介して微調整レバー70と微調整カム76とを連結するリンク部材72と、から構成されている。」
エ「【0055】
次に、昇降機構20について説明する。図5(a)は、昇降機構20の構成を示す斜視図であり、図5(b)は、昇降機構20の構成を示す分解斜視図である。
昇降機構20は、図5に示すように、フロートキー92に結合される昇降カム96と、一端が昇降カム96に揺動可能に連結されたロッド98と、一端がロッド98の揺動端に揺動可能に連結されるテコ104と、テコ104のロッド98と連結された端部と反対側の端部に連結される浮動脚106と、浮動脚106の両端に夫々設けられた2個のフロートリンク108と、から構成されている。
【0056】
昇降カム96は、金属の板材を折り曲げて形成された断面コの字状の部材であり、平行な一対の第1平面部96aを貫通するように、フロートキー92が係合可能な小判状の係止孔96cと、ピン孔96dと、が形成されている。ここで、小判状の係止孔96cは、その平行な一対の辺が、一対の第1平面部96aを接続する第2平面部96bと平行となるように形成されている。
【0057】
ロッド98は、脚柱6と略同じ長さの管状部材であり、両端に軸と直交する方向に挿通孔98a,98bが形成されており、一端側は、ピン孔96b及び挿通孔98aにピン100が挿通されることにより、ピン100に軸支されている。
【0058】
テコ104は、金属の板材を折り曲げて形成された断面コの字状の長尺部材であり、その一端側には、平行な一対の第1平面部104aを貫通するようにピン孔104bが形成されており、第1平面部96aの内側にロッド98の端部が配置された状態で、ピン孔104b及び挿通孔98bにピン102が挿通され、ピン102に軸支されている。
【0059】
また、テコ104のピン102に軸支される側と反対側の端部及び中央部には、一対の第1平面部104aを貫通するように浮動脚106と連結するためのピン110が挿通される挿通孔104cと、脚座8と連結するためのピン114が係合されるピン孔104dが形成されている。
【0060】
浮動脚106は、金属の板材を折り曲げて形成された断面コの字状の長尺部材であり、開口側を上方にして配置される。そして、一対の平行な第1平面部106aを接続する第2平面部106bの外側の面(つまり、下方側の面)の両端には、キャスタ10が結合されている。
【0061】
また、一対の第1平面部106aの両端にはピン112により、ピン112周りに揺動可能にフロートリンク108が連結されている。そして、浮動脚106の一対の第1平面部106aの内側に、テコ104のロッド98が連結された側と反対側の端部が配置され、浮動脚106の中央部よりやや一端側にずれた位置に形成されたピン孔106c及びテコ104に形成された挿通孔104cにピン110が挿通されて、浮動脚106がピン110に軸支されている。
【0062】
このように連結された昇降機構20は、図3(b)に示すように、浮動脚106の一対の第1平面部106aが、脚座8の前後方向に延びる側壁と平行になるように、且つ、テコ104が連結された側を前方にして、脚座8の下方から、脚部4(つまり、脚柱6及び脚座8)の内部に配置される。そして、脚座8に形成された3箇所のピン孔8cの夫々と、テコ104に形成された挿通孔104b及びフロートリンク108に形成されたピン孔108aにピン114が嵌合されて、浮動脚106が、脚座8に対して上下動可能に連結される。
・・・
【0068】
そして、天板2を使用位置から収納位置に回転させる際には、まず、ロックレバー52を、図1の矢印に示すように、コイルスプリング66の付勢力に抗して天板2側に操作することにより、框プレート16の第1凸部16cとロックプレート54の係合溝54aとの係合を解除し、天板2を回転可能とする。
【0069】
次に、ロックレバー52を操作した状態で天板2を上方に押し上げて、図7(a)に示す略垂直な(本実施形態では床面となす角度が約80度)収納位置に回転させると、回転金具74を介して、リンク部材72が、天板2の回転中心、つまり、フロート連動パイプ82を中心として回転し、図7(c)に示すように、長孔72dの一端に係合されたピン90を介して微調整カム76が、天板2と共に時計と反対回りに回転する。また、微調整カム76の回転に伴い、フロート連動パイプ82、フロートキー92、及び、昇降カム96が一体に回転し、さらに、図7(b)に示すように、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、ピン100が、昇降カム96の回動中心の略右側に配置される。
【0070】
そして、このときロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から最も上方に位置に移動し、一方、浮動脚106は、テコ104を介して脚座8に対して下方に移動し、キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地される。
【0071】
ここで、この移動机1において、キャスタ10は、天板2の収納位置への回転の途中で床面に接地される。そして、その後、天板2の回転が進むと、キャスタ10が床面から受ける反発力により、テコ104を介して脚座8が上方に移動し、脚座8が床面から離間される。よって、移動机1は、天板2が収納位置にあるときに、床面に接地されたキャスタ10により移動可能となる。また、天板2が収納位置に移動した際に、ロックプレート54の係合溝54aが、框プレート16の第2凸部16dに係合し、天板2は収納位置で固定される。
【0072】
一方、天板2を収納位置から使用位置に回転させる際には、ロックレバー52を操作して係合を解除しつつ、天板2を押し下げて使用位置に回転させる。このとき、昇降カム96が天板2と共に時計回りに回転し、ピン100は、再び昇降カム96の回動中心の下方に移動する。また、ロッド98が下方に移動すると共に、テコ104を介して浮動脚106が脚座8に対して上方に移動し、キャスタ10が床面から離間される。なお、天板2が使用位置に移動した際に、ロックプレート54の係合溝54aは、再び、框プレート16の第1凸部16cに係合し、天板2は使用位置で固定される。
【0073】
また、天板2が使用位置にある状態で、図8(a)の矢印に示すように、微調整レバー70を手動で操作する、つまり、天板2の下方に手を伸ばして微調整レバー70を垂下された位置から天板2の着席側に引き出す(本実施形態では約120度時計と反対回りに回転させる)と、微調整レバー70の回転に伴い回転金具74が回転する。なお、微調整レバー70は、着席側に引き出された状態で天板2の側端縁の近傍に配置されるので、ユーザは、着席側に立った状態で、容易に微調整レバー70を引き出したままで保持することができると共に、天板2の側端部を掴むことができる。
【0074】
そして、回転金具74と共にピン88が時計と反対回り(つまり、前方)に回転し、リンク部材72が、このピン88を介して前方に移動する。また、リンク部材72が前方に移動するのに伴い、図8(c)に示すように、長孔72dの後方側の端部に係合されていたピン90が前方に移動し、このピン90を介して微調整カム76が、時計と反対回りに回転する。そして、微調整カム76の回転に伴い、フロート連動パイプ82、フロートキー92、及び、昇降カム96が一体に回転し、さらに、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、図8(b)に示すように、ピン100が、昇降カム96の回動中心の右斜め下方に配置される。なお、このときの昇降カム96の回転角度が、天板2を使用位置から収納位置に回転させた場合に比べて小さくなるように、微調整レバー70と、フロート連動パイプ82とが連結されている。
【0075】
そして、微調整レバー70の操作に伴い、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から上方に移動し、一方、浮動脚106は、テコ104を介して脚座8に対して下方に移動し、キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地される。ここで、この移動机1において、キャスタ10は、微調整レバー70が、図8(a)の位置まで完全に引き出される前に、床面に接地される。そして、その後、微調整レバー70が図8(a)の位置まで引き出されると、キャスタ10が床面から受ける反発力により、テコ104を介して脚座8が上方に移動し、脚座8が床面から離間される。よって、移動机1は、微調整レバー70が操作された状態で、床面に接地されたキャスタ10により移動可能となる。」
オ【図1】
「
[図:0001415252000008.jpg]
」
上記エをふまえると、脚部4は、その内部に浮動脚106を配置している点が看取できる。
カ 【図5】
「
[図:0001415252000009.jpg]
」
キ 【図7】
「
[図:0001415252000010.jpg]
」
(2)甲第3号証に記載された発明
上記(1)から、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲3発明)
「天板2が水平な使用位置にある場合に床面上で固定され、天板2が略垂直な収納位置にある場合に床面上を移動可能に構成されたものであり、長方形の板材からなる天板2と、天板2の長手方向の両端の下方に設けられ、天板支持部30を介して天板2を使用位置と収納位置との間で回動可能に支持すると共に、下方に一対のキャスタ10を夫々備えた一対の脚部4と、脚部4の内部に設けられ、天板2が収納位置にあるとき、または、微調整レバー70が操作されたときに脚部4の下方にキャスタ10を突出させ移動机1の移動を可能とするための昇降機構20と、を備えている移動机1において、(【0025】)
脚部4は、天板2を上方で支持する脚柱6と、脚柱6の下端に前後方向に幅を持って設けられた脚座8と、から構成されており、一対の脚部4は、脚柱6の上方に設けられた框パイプ14で連結されており、(【0026】)
天板支持部30には、天板2を使用位置または収納位置で固定するためのロック装置と、天板2が使用位置と収納位置との間で回動されたとき、また、天板2が使用位置で固定された状態で微調整レバー70が操作されたときに、昇降機構20を上下動させるための連動機構と、が設けられており、(【0032】)
連動機構は、主に、天板2の下方、且つ、後方側の左右の端縁付近に夫々設けられた一対の微調整レバー70と、各微調整レバー70を天板受け金具34に連結するための微調整キー78及びボルト80と、この微調整キー78が挿通されて微調整キー78と一体に回動される回転金具74と、天板2の下方において、左右方向に水平配置されたフロート連動パイプ82と、フロート連動パイプ82と昇降機構20とを連結するフロートキー92と、フロート連動パイプ82の周囲に固定される微調整カム76と、回転金具74を介して微調整レバー70と微調整カム76とを連結するリンク部材72と、から構成されており、(【0042】)
昇降機構20は、フロートキー92に結合される昇降カム96と、一端が昇降カム96に揺動可能に連結されたロッド98と、一端がロッド98の揺動端に揺動可能に連結されるテコ104と、テコ104のロッド98と連結された端部と反対側の端部に連結される浮動脚106と、浮動脚106の両端に夫々設けられた2個のフロートリンク108と、から構成されており、(【0055】)
浮動脚106は、金属の板材を折り曲げて形成された断面コの字状の長尺部材であり、開口側を上方にして配置され、一対の平行な第1平面部106aを接続する第2平面部106bの外側の面(つまり、下方側の面)の両端には、キャスタ10が結合されており、(【0060】)
昇降機構20は、浮動脚106の一対の第1平面部106aが、脚座8の前後方向に延びる側壁と平行になるように、且つ、テコ104が連結された側を前方にして、脚座8の下方から、脚部4の内部に配置され、脚座8に形成された3箇所のピン孔8cの夫々と、テコ104に形成された挿通孔104b及びフロートリンク108に形成されたピン孔108aにピン114が嵌合されて、浮動脚106が、脚座8に対して上下動可能に連結され、(【0062】)
脚部4は、その内部に浮動脚106を配置していて、(【図1】)
天板2を上方に押し上げて、収納位置に回転させると、微調整カム76が、天板2と共に時計と反対回りに回転し、微調整カム76の回転に伴い、フロート連動パイプ82、フロートキー92、及び、昇降カム96が一体に回転し、さらに、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から最も上方に位置に移動し、一方、浮動脚106は、テコ104を介して脚座8に対して下方に移動し、キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地され、(【0068】~【0070】)
天板2を収納位置から使用位置に回転させると、キャスタ10が床面から離間され、(【0072】)
天板2が使用位置にある状態で、微調整レバー70を垂下された位置から天板2の着席側に引き出すと、微調整カム76の回転に伴い、フロート連動パイプ82、フロートキー92、及び、昇降カム96が一体に回転し、さらに、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から上方に移動し、一方、浮動脚106は、テコ104を介して脚座8に対して下方に移動し、キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地される、(【0073】~【0075】)
移動机。」
4 甲第4号証
(1)甲第4号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第4号証には、以下の記載がある。
ア「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に集会場やホールや会議室等で利用される移動式テーブルと、これら移動式テーブルや移動式椅子類等に利用される脚構造に関する。」
イ「【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に従い説明する。まず図6及び図7に移動式テーブルの全体構造を概略的に示す如く、前後下部にキャスター1,2をそれぞれを有した左右一対の脚ベース3上に支柱4が各々立設され、これら左右の支柱4上部に天板5が起倒可能に支持されている。また、その天板5の下側に荷物収納棚6が設けられ、左右支柱4の前側には幕板7が設けられている。
・・・
【0018】前記天板5は、合板に化粧仕上げを施した横長平板状のもので、下面の左右端寄り部に天板受け10がそれぞれビス止め等により取付け固定されている。この左右の天板受け10は図4に示す如く前後に長尺な断面逆ハット形状のもので、これら天板受け10の前後方向略中間部に段付きボルトよりなる枢軸11を貫通し、かつその枢軸11を前記支柱4上端のハウジング4aの上部後側寄りのねじ孔4bに螺着することで、この枢軸11を中心に該天板5が図1に示す如く左右支柱4上に水平な転倒状態と、図2に示す如く左右支柱4の後側に該支柱4と平行なやや後傾起立状態とに回動操作可能に支持されている。」
ウ「【0024】ここで、図1乃至図3と図5に示す如く、前記左右脚ベース3下部の前後キャスター1,2はそれぞれ走行向きを自由に変え得る自在キャスターである。これら前後キャスター1,2は左右の脚ベース3内の前後端寄りにそれぞれ軸30を介し上下方向に回動可能に軸着したキャスターベース兼用脚座31,32に取付けられている。
【0025】この前後のキャスターベース兼用脚座(以下単に脚座と略記する)31,32は図1(立て向き状態)に示す如くやや縦長な異形菱形駒状をなす形態で、下端に滑り止めが施されている。この前側の脚座31は、この上下方向略中間後側より部に左右方向に前記軸30を貫通し、この軸30を脚ベース3内の前端寄り下側縁部に固定した左右一対の軸受け33に支承させることで上下に回動可能に取り付けられてる。この脚座31の後面側略中央から直角にキャスターステム31a(図5参照)が突設され、これに前側のキャスター1が取り付け支持されている。後側の脚座32は図1に示す如く前記前側の脚座31と前後対称に取り付けられ、この前面側略中央に後側のキャスター2が取り付けられている。
【0026】即ち、前後の脚座31,32が図1に示す如く立て向き垂直状態にある時には、この脚座31,32の下部が脚ベース3より下方に突出して床面に安定接地し、これらに前後のキャスター1,2が互いに対向する方向に横向きに支持されて床面から少し浮上する状態となり、前後の脚座31,32が各々の軸30を中心に互いに離反する方向に跳ね上がるように回動すると、図2に示す如くこれら前後の脚座31,32が脚ベース3内に横向き(寝た状態)に退入して納まると共に、これらと入れ代わりにキャスター1,2が下降して来て立て向きとなって床面に接地できる構成となっている。つまり、前後の脚座31,32が上下に回動することによりキャスター1,2と交互に入れ代わって略同一位置で床面に接地できる構成である。
【0027】また、前記脚座31,32とキャスター1,2とを前記天板5の起倒操作に連動して交互に床面に接地させる連動機構40が設けられている。この連動機構40は昇降ロッド41とリンク42と前後のシンクロッド43,44とを備えてなる構成である。
【0028】その昇降ロッド41は脚ベース3内から前記支柱4内に挿通され、この上端が図4に示す如く前記天板受け10に枢軸11よりも前側下方に離間して固着した連動ピン45に連繋されている。前記リンク42は三角板状のもので、ー側辺寄り部に軸46を貫通し、この軸46を脚ベース3内の中間より少し前側部に固定した左右一対の軸受け47に支承させることで回動可能に取り付けられている。このリンク42の軸46と対向する頂角部に前記昇降ロッド41の下端がピン48により枢支連結されている。
【0029】前記前側のシンクロッド43は比較的短尺なもので、後端部が前記リンク42の軸46より上側角部にピン49を介し枢支連結され、前端部が前記前側の脚座31の上端部にピン50を介し枢支連結されている。前記後側のシンクロッド44は比較的長尺なもので、前端部が前記リンク42の軸46より下側角部にピン51を介し枢支連結され、後端部が前記後側の脚座32の上端部にピン52を介し枢支連結されている。
【0030】しかして、こうした構成の移動式テーブルであれば、ロック機構12のロックレバー15をロックスプリング16に抗し指で引上げ回動操作して、このフック部15bをロックコロ14から離脱させてロック解除し、この状態で天板5を折り畳む如く左右支柱4の後側に起立回動操作すれば、これに前述の如く連動する連動機構40の昇降ロッド41が引上げられてリンク42を図2に示す如く回動し、これに伴い前後のシンクロッド43,44により前後の脚座31,32の上端側が引っ張られ、その前後の脚座31,32が互いに離反する方向に跳ね上がるように回動して脚ベース3内に横向き(寝た状態)に退入して納まると共に、これらと入れ代わりに前後のキャスター1,2が下降して来て立て向きとなって床面に接地するようになる。これで左右脚ベース3の前後キャスター1,2全てが床面に接地して移動可能な状態となる。この状態でテーブルを軽く押せばキャスター走行によりスムーズに目的の箇所に移動できるようになる。」
エ【図1】
「
[図:0001415252000011.jpg]
」
上記図1から、支柱4が立設された脚ベース3には、シンクロッド43、44が、配置されている点が看取できる。
オ【図2】
「
[図:0001415252000012.jpg]
」
カ【図4】
「
[図:0001415252000013.jpg]
」
(2)甲第4号証に記載された技術事項
上記(1)から、甲第4号証には、次の技術事項(以下、「甲4技術事項」という。)が記載されていると認められる。
(甲4技術事項)
「前後下部にキャスター1,2をそれぞれを有した左右一対の脚ベース3上に支柱4が各々立設され、これら左右の支柱4上部に天板5が起倒可能に支持されている移動式テーブルにおいて、(【0015】)
前後キャスター1,2は左右の脚ベース3内の前後端寄りにそれぞれ軸30を介し上下方向に回動可能に軸着したキャスターベース兼用脚座31,32に取付けられていて、(【0024】)
前後の脚座31,32が上下に回動することによりキャスター1,2と交互に入れ代わって略同一位置で床面に接地できる構成であり、(【0026】)
前記脚座31,32とキャスター1,2とを前記天板5の起倒操作に連動して交互に床面に接地させる連動機構40が設けられ、この連動機構40は昇降ロッド41とリンク42と前後のシンクロッド43,44とを備えてなる構成であり、(【0027】)
支柱4が立設された脚ベース3には、シンクロッド43、44が、配置されており、(【図1】)
その昇降ロッド41は脚ベース3内から前記支柱4内に挿通され、この上端が前記天板受け10に枢軸11よりも前側下方に離間して固着した連動ピン45に連繋されており、(【0028】)
ロック機構12のロックレバー15をロックスプリング16に抗し指で引上げ回動操作して、このフック部15bをロックコロ14から離脱させてロック解除し、この状態で天板5を折り畳む如く左右支柱4の後側に起立回動操作すれば、これに連動する連動機構40の昇降ロッド41が引上げられてリンク42を回動し、これに伴い前後のシンクロッド43,44により前後の脚座31,32の上端側が引っ張られ、その前後の脚座31,32が互いに離反する方向に跳ね上がるように回動して脚ベース3内に横向き(寝た状態)に退入して納まると共に、これらと入れ代わりに前後のキャスター1,2が下降して来て立て向きとなって床面に接地するようになっている、(【0030】)
こと。」
5 甲第5号証
(1)甲第5号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第5号証には、以下の記載がある。
ア「【0001】
本発明は、オフィス等で好適に使用されるキャスタ付家具、及びキャスタに関する。」
イ「【0022】
フラップ天板付テーブルAは、フラップ動作可能な天板Cの左右両端部を脚体Dにより支持してなる家具本体たるテーブル本体Bと、このテーブル本体Bの底部に設けられた使用端側のキャスタたる第一のキャスタEと、前記テーブル本体Bの底部に設けられた反使用端側のキャスタたる第二のキャスタFとを備えてなる。
【0023】
テーブル本体Bは、天板Cの両端部を左右の脚体Dによりフラップ動作可能に支持したものであり、前記各脚体Dは前後に延びる脚ベースd1の中央に脚支柱d2を立設したものである。そして、前記テーブル本体Bの底部である前記脚ベースd1の使用端側に第一のキャスタEを設けるとともに反使用端側に第二のキャスタFを設けている。
【0024】
脚ベースd1は、下方に開放されたチャンネル状のものであり、その使用端に前側に向かって開口した窓d11を有している。この脚ベースd1は、使用端部における両側壁d12の内面に第一のキャスタE取付用の凹陥部d13を備えているとともに反使用端部における両側壁d12の内面に第二のキャスタF取付用の凹陥部d14を備えている。
【0025】
第一のキャスタEは、前記脚ベースd1の使用端側に設けられたもので、キャスタとして機能するローラー3を有した基本構造を備えたキャスタ本体Gと、このキャスタ本体Gの動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で作動する作動子5を有したロック部Hと、このロック部Hの作動子5を作動させて前記ロック部Hをロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部Mとを具備してなる。
【0026】
キャスタ本体Gは、前記脚ベースd1に取り付けられた支持体1と、この支持体1に水平旋回可能に保持されたターンベース2と、このターンベース2の偏心位置に枢支された前記ローラー3とを備えたものである。換言すれば、キャスタ本体Gは、天壁11の下面に円筒体状をなす周壁12が垂設された支持体1と、この支持体1内に水平旋回可能に収容されたターンベース2と、このターンベース2の旋回軸心から偏位した部位に水平軸j1を介して軸支されたローラー3とを備えたものである。
【0027】
支持体1は、中心にボス部14を有した円盤状の天壁11と、この天壁11の周縁部から下方に垂下させた周壁12とを備えた逆カップ状のものであり、前記天壁11の上面には前後方向に延びる一対のレール壁15が設けられている。天壁11の下面には、前記ボス部14を囲繞する環状領域16が設定されており、この環状領域16に複数の係合凹部h1が円周方向に隣接させて形成されている。前記周壁12には、その外面側に支持体1を前記脚ベースd1に取り付けるための左右対をなす弾性爪17が一体に設けられている。すなわち、この支持体1の外径は、前記脚ベースd1における側壁d12内面間の内法寸法に略対応させてある。そして、この支持体1を前記脚ベースd1の側壁d12間に挿入すると、前記弾性爪17が前記脚ベースd1の凹陥部d13に弾性係合するとともに前記レール壁15の上端が前記脚ベースd1における天壁11の下面に当接し、支持体1が前記脚ベースd1に安定した状態で取り付けられるようになっている。また、この支持体1の周壁12外面には、上下に延びる膨出部13が形成されておりこの膨出部13に上方に開口された有底の軸保持穴18が形成されている。」
ウ「【0030】
ロック部Hは、前記キャスタ本体Gの動きをロックするためのものであり、前記支持体1に保持されプッシュボタン8に対する操作に応じて前記ロック位置(I)と前記非ロック位置(J)との間で進退動作を行う作動子5と、前記ターンベース2内に昇降可能に保持されたロック体6と、前記作動子5の進退動作を前記ロック体6の昇降動作に変換するカム機構7とを備えてなり、前記作動子5がロック位置(I)と非ロック位置(J)との間で進退するのに伴って、前記ロック体6が前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を禁止する係合位置(K)と前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を許容する非係合位置(L)との間で作動し得るように設定されている。
【0031】
作動子5は、前記支持体1の天壁11に配されたレール壁15に位置させて前記天壁11の上面に水平方向に進退可能に配設された細長ブロック状のものであり、外方端部にプッシュボタン取付部51を有するとともに内方端部に連結杆取付部52を備えている。プッシュボタン取付部51は、作動子5の外方端面から一体に突出した受け板55と、この受け板55に設けられたボルト挿通孔h2とを備えている。連結杆取付部52は、作動子5の内方端面から突設された角柱状の突起t2と、この突起t2に形成された雌ねじ孔h3とを備えている。この作動子5の下面には、カム溝71とカム板保持部54とが形成されている。なお、作動子5をスライド可能に支持し得る前記レール壁15の対向する内側面には前記作動子5が前記支持体1から離れるのを防止するための抜け止め突起t1が形成されている。この作動子5は、支持体1との間に配された図示しない作動子5付勢用のスプリングにより外方に弾性付勢されている。
・・・
【0046】
第二のキャスタFは、前記脚ベースd1の反使用端側に前記脚ベースd1に取り付けられた支持体1’にターンベース2’が水平旋回可能に保持されこのターンベース2’の偏心位置にローラー3’が枢支されているキャスタ本体G’と、このキャスタ本体G’の動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で水平方向に作動する作動子5’を有したロック部H’を具備してなる。すなわち、第二のキャスタFは、操作部Mを備えていない点、及びロック部H’の作動子5’の構造に関する点において第一のキャスタEと異なっているが、第二のキャスタFにおけるキャスタ本体G’と第一のキャスタEにおけるキャスタ本体Gとは同一の構成をなしている。
・・・
【0048】
作動子5’は、前記支持体1’の天壁11’に配されたレール壁15’に位置させて前記天壁11’の上面に水平方向に進退可能に配設された細長ブロック状のものであり、内方端部に連結杆取付部52’を備えている。連結杆取付部52’は、作動子5’の内方端面から突設された角柱状の突起t2’と、この突起t2’に形成された雌ねじ孔h3’とを備えている。この作動子5’の下面には、カム溝71’が形成されている。このカム溝71’は、後述するように第一のキャスタEのカム溝71と異なった構成をなしている。
・・・
【0051】
すなわち、カム溝71’は、作動子5’の進退方向に沿って延びてなるものであり、浅溝部72’と深溝部73’とが緩やかな段部74’を介して作動子5’の進退方向に隣接させて設けられている。そして、作動子5’がロック位置(I)にある状態では、前記カム溝71’の深溝部73’が前記支持体1’におけるボス部14’の直上に位置するように設定されている。作動子5’が非ロック位置(L)にある状態では、前記カム溝71’の浅溝部72’が前記支持体1’におけるボス部14’の直上に位置するように設定されている。なお、第一のキャスタEにおいては、前記浅溝部72が内方端側に位置し前記深溝部73が外方端側に位置しているのに対して、この第二のキャスタFにおいては、前記浅溝部72’が外方端側に位置し前記深溝部73’が内方端側に位置している。そのため、第一のキャスタEの作動子5と前記第二のキャスタFの作動子5’とを連結杆Nにより直結しても両キャスタE、Fのロック体6、6’が同期して係合位置(K)と非係合位置(L)との間で作動するようになっている。
【0052】
連結杆Nは、角パイプ素材を脚ベースd1の形状に対応させて曲げ成形したもので、一端を第一のキャスタEの連結杆取付部52の突起t2に外嵌させるとともに、他端を第二のキャスタFの連結杆取付部52’の突起t2’に外嵌させてビス止めされている。」
エ【図3】
「
[図:0001415252000014.jpg]
」
オ【図4】
「
[図:0001415252000015.jpg]
」
上記図3及び図4から、連結杆Nは、脚ベースd1の内側で、その長さ方向に沿って設けられている点が看取できる。
(2)甲第5号証に記載された技術事項
上記(1)から、甲第5号証には、次の技術事項(以下、「甲5技術事項」という。)が記載されていると認められる。
(甲5技術事項)
「フラップ天板付テーブルAは、フラップ動作可能な天板Cの左右両端部を脚体Dにより支持してなる家具本体たるテーブル本体Bと、このテーブル本体Bの底部に設けられた使用端側のキャスタたる第一のキャスタEと、前記テーブル本体Bの底部に設けられた反使用端側のキャスタたる第二のキャスタFとを備えてなり、(【0022】)
テーブル本体Bは、天板Cの両端部を左右の脚体Dによりフラップ動作可能に支持したものであり、前記各脚体Dは前後に延びる脚ベースd1の中央に脚支柱d2を立設したものであって、前記テーブル本体Bの底部である前記脚ベースd1の使用端側に第一のキャスタEを設けるとともに反使用端側に第二のキャスタFを設けており、(【0023】)
第一のキャスタEは、前記脚ベースd1の使用端側に設けられたもので、キャスタとして機能するローラー3を有した基本構造を備えたキャスタ本体Gと、このキャスタ本体Gの動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で作動する作動子5を有したロック部Hと、このロック部Hの作動子5を作動させて前記ロック部Hをロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部Mとを具備してなり、(【0025】)
キャスタ本体Gは、前記脚ベースd1に取り付けられた支持体1と、この支持体1に水平旋回可能に保持されたターンベース2と、このターンベース2の偏心位置に枢支された前記ローラー3とを備えたものであり、支持体1は、中心にボス部14を有した円盤状の天壁11と、この天壁11の周縁部から下方に垂下させた周壁12とを備えた逆カップ状のものであり、前記天壁11の上面には前後方向に延びる一対のレール壁15が設けられており、(【0026】、【0027】)
ロック部Hは、前記キャスタ本体Gの動きをロックするためのものであり、前記支持体1に保持されプッシュボタン8に対する操作に応じて前記ロック位置(I)と前記非ロック位置(J)との間で進退動作を行う作動子5と、前記ターンベース2内に昇降可能に保持されたロック体6と、前記作動子5の進退動作を前記ロック体6の昇降動作に変換するカム機構7とを備えてなり、前記作動子5がロック位置(I)と非ロック位置(J)との間で進退するのに伴って、前記ロック体6が前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を禁止する係合位置(K)と前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を許容する非係合位置(L)との間で作動し得るように設定され、(【0030】)
作動子5は、前記支持体1の天壁11に配されたレール壁15に位置させて前記天壁11の上面に水平方向に進退可能に配設された細長ブロック状のものであり、外方端部にプッシュボタン取付部51を有するとともに内方端部に連結杆取付部52を備えており、(【0031】)
第二のキャスタFは、前記脚ベースd1の反使用端側に前記脚ベースd1に取り付けられた支持体1’にターンベース2’が水平旋回可能に保持されこのターンベース2’の偏心位置にローラー3’が枢支されているキャスタ本体G’と、このキャスタ本体G’の動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で水平方向に作動する作動子5’を有したロック部H’を具備し、(【0046】)
作動子5’は、前記支持体1’の天壁11’に配されたレール壁15’に位置させて前記天壁11’の上面に水平方向に進退可能に配設された細長ブロック状のものであり、(【0048】)
第一のキャスタEの作動子5と前記第二のキャスタFの作動子5’とを連結杆Nにより直結しても両キャスタE、Fのロック体6、6’が同期して係合位置(K)と非係合位置(L)との間で作動するようになっており、(【0051】)
連結杆Nは、角パイプ素材を脚ベースd1の形状に対応させて曲げ成形したもので、一端を第一のキャスタEの連結杆取付部52の突起t2に外嵌させるとともに、他端を第二のキャスタFの連結杆取付部52’の突起t2’に外嵌させてビス止めされていて、(【0052】)
連結杆Nは、脚ベースd1の内側で、その長さ方向に沿って設けられている、(【図3】【図4】)
こと。」
6 甲第6号証
(1)甲第6号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第6号証には、以下の記載がある。
ア「【0001】
本発明は、家具本体を床面に対して移動可能に支持し得るキャスタ付の脚体並びに当該脚体を具備する家具に関するものである。」
イ「【0029】
本実施形態では、本発明に係る脚体1を採用することにより、設置位置を好適に移動及び固定し得る家具たるテーブルTについて説明する。
【0030】
テーブルTは、図1に示すように、家具本体たるテーブル本体2と、当該テーブル本体2を下方より支持する脚体1とを具備している。ここで本実施形態において、テーブルTの使用端側を前端側と記載し、反使用端側を後端側と記載するものとする。
・・・
【0032】
次に、脚体1の各部の具体的な構成について、以下に詳述する。
【0033】
図1、図2に示すように、脚体1は脚ベース10と、脚柱11と、テーブルTの使用端側に位置する第一キャスタ3と、該第一キャスタ3と略同一構成でありテーブルTの反使用端側に位置する第二キャスタ4とを具備している。
【0034】
ここで、本実施形態において一対のキャスタ3、4は床面に対して移動不能にロックされるロック状態と前記ロックが解除されたロック解除状態とを相互に切り換える後述のロック手段3A、4Aを有している。そして本実施形態に係る脚体1はロック手段3A、4Aを作動させるために外力により操作される後述の操作手段5と、該操作手段5に入力された操作力を一対のロック手段3A、4Aに同時に伝達する後述の操作力伝達手段6とを具備することにより、一対のキャスタ3、4のロック又はロック解除を同時に行うことを可能としている。このような機構の詳細は後で説明する。」
ウ「【0050】
操作手段5は、図3~図5に示すように、一部分が脚ベース10の外部に露出し外力により上下動作するボタン511及びボタン511を支持する支持部512を有する操作体51と、操作力伝達手段6と係合する係合子52とを具備している。また、これら操作体51及び係合子52は、脚ベース10の内部に固定された縦断面視U字形をなす支持板53に固定されている。すなわち、操作体51及び係合子52は脚ベース10に間接的に固定された状態となっている。
・・・
【0053】
操作力伝達手段6は、一対のロック手段3X、4Xの間に架設した前記脚ベース10の長手方向に沿って棒状に延びる板部材60を主体としているものである。図5に示すように、当該操作力伝達手段6の操作手段5に対応する箇所には、操作手段5を挿通させる挿通窓61と、該挿通窓61近傍において操作手段5を両側から覆うように立ち上がる側片62を形成し、当該側片62には上下方向に延びる長孔63を形成している。
【0054】
そして、枢着軸52aを板部材60に設けた長孔63に対して上下移動可能に挿通させることにより係合部Pを構成している。また、本実施形態では当該係合部Pに、昇降手段3X、4Xによる一対のキャスタ3、4の所定範囲における昇降動作に対応して、係合部Pの係合状態を維持し得る後述する係合維持領域Qを形成している。
・・・
【0057】
すなわち、図7に示す状態からボタン511を押圧すると、操作手段5の上述した動作により板部材60が前方向にスライドして図6に示す状態となる。すると、当該板部材60に固定されているロックレバー33、43も同時に前方向にスライドして、凹所331、431の傾斜面331a、431aにロックボタン314、414が接しながらスライドしてロックボタン314、414が凹所331、431から外れることにより、ロックレバー33、43がロックボタン314、414を押圧している状態となることにより、一対のキャスタ3、4をロック解除状態からロック状態へと同時に切り換える。
【0058】
一方、このロック状態から再びボタン511を押圧すると、当該ボタン511が上述したように上昇し、それに伴い板部材60が後方へスライド移動することによりロックボタン314、414上にロックレバー33、43の凹所331、431を位置させてロックボタン314、414が上方に位置したロック解除状態となる。」
エ「【0067】
例えば、上記実施形態において、操作手段としてボタンを用いた態様について開示したが、本発明に係る操作手段はボタンのみに限られるものではなく、以下に記載するように、スライド動作を利用したスライダ511Aを採用したものであっても良い。図8、図9に、本発明の第二実施形態に係る家具たるテーブルTの要部として、操作手段5A及び及び操作力伝達手段6Aの構造を示している。テーブルTにおけるその他の構成については上記実施形態と同様であるため同様の符号を用いるとともに説明を省略する。」
オ「【0077】
操作手段5Bは、外力により脚ベース10の長手方向に沿って傾倒動作をなすように設けられた傾倒部たるペダル511Bを有する操作体51Bと、脚ベース10の内部において操作体51Bの傾倒動作に伴い脚ベース10の長手方向を接線として回動し操作力伝達手段6Bと係合して係合部P2を構成する係合子たる振り子部材52Bとを有している。そして、これら操作体51B及び振り子部材52Bは、脚ベース10の内部に固定される支持板53Bに固定されている。すなわち、操作体51B及び振り子部材52Bは脚ベース10に間接的に固定された状態となっている。」
カ「【0084】
加えて、同実施形態の変形例として、上述したペダル511Bを具備する操作手段5Bと後述する操作力伝達手段6B2とを採用した態様を図12、図13を用いて説明する。」
キ 【図3】
「
[図:0001415252000016.jpg]
」
ク 【図7】
「
[図:0001415252000017.jpg]
」
上記イ(段落【0033】)をふまえると、第一キャスタ3及び第二キャスタ4は、脚ベース10の使用端側及び反使用端側にそれぞれ取付けられている点が看取できる。
(2)甲第6号証に記載された技術事項
上記(1)から、甲第6号証には、次の技術事項(以下、「甲6技術事項」という。)が記載されていると認められる。
(甲6技術事項)
「テーブル本体2と、当該テーブル本体2を下方より支持する脚体1とを具備している、テーブルTにおいて、(【0030】)
脚体1は脚ベース10と、脚柱11と、該第一キャスタ3と、第二キャスタ4、とを具備し、脚ベース10の使用端側に第一キャスタ3を取付け、該第一キャスタ3と略同一構成であり脚ベース10の反使用端側に第二キャスタ4を取付けており、(【0033】、【図7】)
一対のキャスタ3、4は床面に対して移動不能にロックされるロック状態と前記ロックが解除されたロック解除状態とを相互に切り換えるロック手段3A、4Aを有しており、脚体1はロック手段3A、4Aを作動させるために外力により操作される操作手段5と、該操作手段5に入力された操作力を一対のロック手段3A、4Aに同時に伝達する操作力伝達手段6とを具備することにより、一対のキャスタ3、4のロック又はロック解除を同時に行うことを可能としており、(【0034】)
操作手段5は一部分が脚ベース10の外部に露出し外力により上下動作するボタン511及びボタン511を支持する支持部512を有する操作体51と、操作力伝達手段6と係合する係合子52とを具備しており、(【0050】)
操作力伝達手段6は、脚ベース10の長手方向に沿って棒状に延びる板部材60を主体としているものであり、ボタン511を押圧すると、操作手段5の動作により板部材60が前方向にスライドし、当該板部材60に固定されているロックレバー33、43も同時に前方向にスライドして、凹所331、431の傾斜面331a、431aにロックボタン314、414が接しながらスライドしてロックボタン314、414が凹所331、431から外れることにより、ロックレバー33、43がロックボタン314、414を押圧している状態となることにより、一対のキャスタ3、4をロック解除状態からロック状態へと同時に切り換え、(【0057】)
一方、ロック状態から再びボタン511を押圧すると、当該ボタン511が上昇し、それに伴い板部材60が後方へスライド移動することによりロックボタン314、414上にロックレバー33、43の凹所331、431を位置させてロックボタン314、414が上方に位置したロック解除状態となるものであり、(【0058】)
操作手段としてスライダ511Aを採用したもの、ペダル511Bを有する操作体51Bと、振り子部材52Bとを有しているもの、ペダル511Bを具備する操作手段5Bと操作力伝達手段6B2とを採用したものでもよい、(【0067】、【0077】、【0084】)
こと。」
第6 取消理由通知<決定の予告>(令和6年1月25日付け)に記載した取消理由について当審の判断
1 明確性要件について
(1)明確性要件の判断基準
特許法36条6項2号の趣旨は、特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合に、特許が付与された発明の技術的範囲が不明確となることにより生じ得る第三者の不測の不利益を防止することにある。そこで、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載のみならず、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
(2)検討・判断
令和6年1月25日付けで通知した取消理由(決定の予告)においては、令和5年5月17日提出の訂正請求書に対する、同年9月28日提出の手続補正書による補正は、訂正請求書の要旨を変更するものであるから、認められないとしたうえで、上記補正前の訂正請求書により訂正された本件特許の請求項9及び10の記載は、請求項9における「前記ベース側」の記載について、それ以前に「ベース」という語が記載されていないから、不明確であると判断した。
しかしながら、上記第2の1に示したとおり、上記補正は訂正請求書の要旨を変更するものでなく、認められるから、以下では、上記補正がされた本件訂正後の請求項9及び10について、上記(1)の判断基準に基づいて判断する。
ア 本件訂正後の請求項9の記載について
本件訂正後の請求項9には以下の記載がある。
(ア)「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、」
(イ)「前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを前記車輪ロック状態と前記車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっており、」
(ウ)「前記動作連動手段が、前記構成要素の回動をベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しており、」
イ 判断
上記補正がされた本件訂正後の請求項9において、それ以前に記載がされていない語を「前記ベース側」とする形式上の不備はなくなったから、上記取消理由通知(決定の予告)で通知した記載不備の取消理由は解消された。 以下では、本件訂正後の請求項9において、上記補正前の「前記ベース側」という記載を補正した「ベース側」という記載に関して、明確性の不備があるか否かを、さらに判断する。
(ア)上記ア(ア)より、「脚体」が、「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタ」を有していること、また、当該「切換」の手段として「動作連動手段」が用いられていることが理解できる。なお、「キャスタ」は、フラップ天板付き家具の脚体の下方にある床面上を転動する部材であることは明らかである。
(イ)上記ア(イ)より、「前記車輪ロック状態と前記車輪非ロック状態」との切り換えは、「構成要素」の回動によるものであることが理解できる。
(ウ)上記ア(ウ)には、「動作連動手段」が備えている「上下連動シャフト」は、「構成要素の回動」を「昇降動作として伝達する」ものであること、また、「上下連動シャフトの上端部」は、「構成要素」の軸心から変位した部位に枢着していることが示されている。そして、「上下連動シャフト」は、「上端部」を有すること及び「上下連動シャフト」との名称から下側には「下端部」を有する、上下に延在する部材であると認められ、その上端部が「構成要素」に枢着することから、「昇降動作」が「伝達」されるのは、「上下連動シャフト」の下端部側であると理解できる。
(エ)上記(ウ)をふまえると、本件訂正後の請求項9に記載された「ベース側」とは、「構成要素の回動」の動作を伝達する先であること、すなわち、上下に延在する部材である「シャフト」が「構成要素」に枢着される「上端部」とは反対側の、シャフトの下端部側を指していることは明らかである。また、本件特許の図面(図9)には、「ベース11」が脚体1Aの下部を構成していることが示されており、「ベース」が「フラップ天板付き家具」の、脚体の下方の部位を構成する部材であることは明らかである。
そうすると、「ベース側」とは、「脚体」の下方の部位を構成している「ベース」の側であって、上下に延在する部材である「シャフト」が「構成要素」に枢着される「上端部」とは反対側の、シャフトの下端部側であることと理解することができる。
c 小括
以上のとおりであるから、本件訂正後の請求項9の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとまではいえない。
(イ)本件訂正後の請求項10の記載について
本件訂正後の請求項10は、本件訂正後の請求項9を引用して記載したものであるから、「ベース側」の記載については、同様である。
よって、本件訂正後の請求項10の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとまではいえない。
ウ 明確性要件のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正後の請求項9及び10の記載は明確であり、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしている。
第7 取消理由通知<決定の予告>において採用しなかった特許異議申立理由について
事案に鑑みて、明確性要件、サポート要件、実施可能要件、進歩性欠如の以下の順に検討する。
1 明確性要件について
(1)申立人の主張
申立人は、以下の主張をしている。(申立書104頁11行-105頁11行)
ア 主張ア
本件訂正前の請求項1に記載の「前記キャスタ連動部材」は、これよりも前に「キャスタ連動部材」が記載されておらず、「前記キャスタ連動部材」が何を指し示すものか不明確である。
イ 主張イ
本件訂正前の請求項8に記載の「前記脚ベース」は、当該請求項8及び請求項8の従属先の請求項のいずれも、これより前に「脚ベース」が記載されておらず、「前記脚ベース」が何を指し示すものか不明確である。
ウ 主張ウ
本件訂正前の請求項9に記載の「前記脚ベース」は、当該請求項9には、これより前に「脚ベース」が記載されておらず、「前記脚ベース」が何を指し示すものか不明確である。
エ 主張エ
本件訂正前の請求項2~8は、請求項1に従属する請求項であり、本件訂正前の請求項10は、請求項9に従属する請求項であることから、請求項2~8、請求項10についても同様に不明確である。
(2)上記主張についての検討
ア 主張アについて
本件訂正後の請求項1には、「前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、」と記載されている。
本件訂正前の請求項1に対して、申立人が指摘していた「前記キャスタ連動部材」は、上記のとおり「キャスタ連動部材」に訂正されており、当該記載以前の「キャスタ連動部材」を指し示すものではないから、申立人が主張する点で不明確なものではない。なお、本件訂正後の「キャスタ連動部材」は、請求項1におけるその余の記載より、「天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作」を「前記キャスタの前記操作部を作動させる」ために「前後方向の動作に変換」する部材であると理解できるから、「キャスタ連動部材」の語が意味する内容も、明確である。
イ 主張イについて
本件訂正後の請求項8には、「前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものである」と記載されているともに「前記動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、」と記載されている。
本件訂正前の請求項8に対して、申立人が指摘していた「前記脚ベース」は、本件訂正後の請求項8において「前記ベース」に訂正された。そして、「前記ベース」は、当該記載以前の記載により特定される、「脚体」が備える「前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベース」を指し示していることは明らかであるから、本件訂正後の請求項8の記載は、申立人が主張する点で不明確なものではない。
ウ 主張ウについて
本件訂正後の請求項9には、「前記動作連動手段が、前記構成要素の回動をベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しており、」と記載されている。
本件訂正前の請求項9に対して、申立人が指摘していた「前記脚ベース」は、上記のとおり「ベース」に訂正されており、本件訂正後の請求項9の記載は、上記第6の1(2)で示したとおり、明確である。
エ 主張エについて
請求項1、8及び9を引用して記載する請求項についても同様に、明確である。
(3)明確性要件についてのまとめ
したがって、本件訂正後の請求項1~10の記載は明確であり、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしている。
2 サポート要件について
(1)申立人の主張
申立人は、以下の主張をしている。(申立書103頁21行-104頁10行)
本件訂正前の請求項1及び請求項9に係る発明の「キャスタ連動部材」は、単一部材で構成されたキャスタ連動部材のみならず、複数部材で構成されたキャスタ連動部材を含むものと解される。
本件明細書における発明の詳細な説明には、「第1のキャスタの作動部と第2のキャスタの作動部とを接続する部材」として、単一部材で構成されている「キャスタ連動部材」は記載されているが、複数部材で構成されている「キャスタ連動部材」に関しては記載されていない。発明の詳細な説明に記載された事項を、請求項1及び請求項9に記載された範囲にまで、拡張ないし一般化できるとも言えず、この結果、本件訂正前の請求項1及び請求項9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていないものが含まれている。よって、本件訂正前の請求項1及び請求項9、及びこれらを引用して記載する請求項2~8、10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
(2)判断基準
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載がなくとも、当業者が出願時の技術常識に照らし、当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
(3)本件特許明細書の記載
ア「【0007】
本発明は、以上の点に着目し、設置と撤去が常に同じような態様で繰り返される家具において、設置及び撤去のための作業工数を削減することを目的とする。」
イ「【0048】
以上説明したように、本実施形態では、天板2のフラップ動作を利用してキャスタ4、5の車輪44、54をロック状態(L)又は非ロック状態(N)に切り換えることができる、換言すれば脚体1A、1Bを自動的に制動状態又は非制動状態に切り換えることができるので、一連の操作が簡略化される。従って、このようなフラップ天板付家具Tの設置及び撤去のための作業工数を削減し、作業者の負担を軽減することができる。しかも、脚体の制動・非制動1A、1Bは、キャスタ4、5の車輪44、54をロック状態(L)又は非ロック状態(N)に切り換えることにより行っているので、例えば、キャスタを床面に対して浮上又は着地させて制動又は非制動を切り換えるものに比べて切換操作を比較的小さな力で行うことができる。そのため、天板2のフラップ動作に悪影響を及ぼすことなくフラップ動作と制動・非制動の切り換え動作を連動させることが可能になる。」
(4)上記主張についての検討・判断
上記(2)で示した基準に基づいて検討・判断する。
本件発明の課題は、上記(3)アに示されるとおり、設置と撤去が常に同じような態様で繰り返される家具において、設置及び撤去のための作業工数を削減することであると認められる。
本件訂正発明1、8及び9の「フラップ天板付き家具」は、「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してな」り、「天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであ」る。
すなわち、本件訂正発明1、8及び9の「フラップ天板付き家具」は、「天板」を「使用姿勢」とし、あるいは「跳ね上げ姿勢」とすることで、「キャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることによ」り、「車輪ロック状態」とし、また、「車輪非ロック状態」とするものである。また、「車輪ロック状態」とすることによって「フラップ天板付き家具」の「設置」ができ、また「車輪非ロック状態」とすることによって「フラップ天板付き家具」の「撤去」ができることは明らかであって、「天板」の上記姿勢と車輪の状態との関係は常に同じであることも明らかである。
したがって、本件訂正発明1、8及び9の「フラップ天板付き家具」は、その「設置」と「撤去」については、その「天板」の「使用姿勢」と「跳ね上げ姿勢」の繰り返し、すなわち、常に同じような態様で繰り返される家具であるといえる。
また、発明の詳細な説明の段落【0048】(上記(3)イ)には、「天板2のフラップ動作を利用して」、「脚体1A、1Bを自動的に制動状態又は非制動状態に切り換えることができるので、一連の操作が簡略化される」こと、「このようなフラップ天板付家具Tの設置及び撤去のための作業工数を削減し、作業者の負担を軽減することができる」ことが示されている。このことをふまえれば、本件訂正発明1、8及び9が、設置及び撤去のための作業工数を削減していることは明らかである。
以上のとおりであるから、本件訂正発明1、8及び9は、上記(3)アに示した本件発明の課題を解決できることは明らかである。
なお、請求項1、8及び9の「キャスタ連動部材」との記載は、「キャスタ連動部材」が複数の部材で構成されているものを含むものであるものの、上記のとおり、本件訂正発明1、8及び9は、本件発明の課題を解決ができるものであって、「キャスタ連動部材」が複数の部材で構成されているか否かで、この結論が左右されるものではない。
したがって、本件訂正発明1、8及び9は、サポート要件を満たす。また、本件訂正発明1、8又は9を引用する本件訂正発明2~7,10についても同様にサポート要件を満たす。
3 実施可能要件について
(1)申立人の主張
申立人は、以下の主張をしている。(申立書102頁17行-103頁20行)
本件訂正前の請求項1及び請求項9に係る発明の「キャスタ連動部材」は、単一部材で構成されたキャスタ連動部材のみならず、複数の部材で構成されたキャスタ連動部材を含むものと解される。
しかし、発明の詳細な説明では、「第1のキャスタの作動部と第2のキャスタの作動部とを接続する部材」として、単一部材で構成されている「キャスタ連動部材」が記載されているが、複数の部材で構成されている「キャスタ連動部材」に関しては記載されていないため、発明の詳細な説明では、複数の部材で構成されている「キャスタ連動部材」について、いわゆる当業者が実施できる程度の明確かつ十分に記載されていない。よって、発明の詳細な説明は、実施可能要件違反に該当する。
(2)判断基準
本件訂正発明1及び本件訂正発明9は物の発明であるところ、物の発明の実施とは、その物の生産及び使用等をする行為であるから、物の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明において、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づき、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産し、使用することができる程度の記載があることを要する。
(3)上記主張についての検討・判断
上記(2)で示した基準に基づいて検討・判断する。
本件訂正発明1、本件訂正発明8及び本件訂正発明9において、「フラップ天板付き家具」は「キャスタ連動部材」を有している。
そして、本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0024】には、図7及び図10を示しつつ「キャスタ連動部材」の具体的な説明がされており、段落【0044】-【0048】には、「キャスタ連動部材」を含めた「フラップ天板付き家具」の具体的な作動状況が説明されている。
これらの本件明細書の発明の詳細な説明の記載を考慮すれば、「キャスタ連動部材」を有する「フラップ天板付き家具」を生産し、使用するうえで、当業者に過度の試行錯誤を要するものではない。また、「キャスタ連動部材」を単数の部材ではなく、複数の部材で構成することも、当業者に過度の試行錯誤を要するものではない。
本件訂正発明1、本件訂正発明8及び本件訂正発明9を引用している本件訂正発明2~7、本件訂正発明10についても同様である。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、本件訂正発明1~10について、実施可能要件を満たす。
4 進歩性欠如について
(1)甲第1号証を主引用例とした場合
ア 本件訂正発明1について
(ア)対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
a 甲1発明の「支持脚20」、「天板30」及び「キャスター26,27」は、本件訂正発明1の「脚体」、「天板」及び「キャスタ」に、それぞれ相当する。
甲1発明の「左右支持脚20の上端部に支持され」、「水平にした通常使用状態から、天板30を前端部30a側を上方に跳ね上げた状態までの間で回動の動作が可能であ」る「天板30」は、本件訂正発明1の「脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板」に相当する。
甲1発明の「回動の動作が可能であ」る「天板30」を備えた「テーブル装置10」は、本件訂正発明1の「フラップ天板付き家具」又は「天板付き家具」に相当する。
b(a)甲1発明の「床面Fに対して転動不能な状態」と、本件訂正発明1の「回転禁止される車輪ロック状態」とは、「床面に対して」「転動不能状態」で共通し、また、甲1発明の「床面Fに対して」「転動可能な状態」と、本件訂正発明1の「回転フリーな車輪非ロック状態」とは、「床面に対して」「転動可能状態」で共通する。
また、甲1発明は、「前後キャスター26,27の床面Fに対しての転動を可能とする転動可能状態」と「転動不能状態」とを切り替え可能とするものであり、また、甲1発明の「キャスタ26,27」は、「支持脚20」の「脚部21」が備える「ベースフレーム24」の「前後端部」に設けられていることから、「キャスタ26,27」は、「支持脚20」に設けられているといえる。
そうすると、甲1発明の「床面Fに対して」「転動不能状態」と「転動可能状態」に選択的に切替可能となっている「キャスタ26,27」が設けられた「支持脚20」と、本件訂正発明1の「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体」とは、「床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体」の点で共通する。
(b)甲1発明は、「天板30の前端部30aを上方に引き上げて天板30を軸線C1回りに回動させると、跳ね上げ連動機構79において連動ピン76が連動ディスク75に係合し、連動ディスク75および中継部材71を天板30と同方向(後転方向)に回動させ」、「中継部材71の後転方向の回動により第二ワイヤー68bが上方に引かれると」、「支持脚20において前後キャスター26,27のみが床面Fに接地し、テーブル装置10の拘束が解除されて床面F上で容易に移動可能な状態とな」るものである。
そうすると、甲1発明の、上記「跳ね上げ連係機構79」(連動ディスク75、連動ピン76)、「中継部材71」及び「第二ワイヤー68b」の構成は、「天板30」の「動作」と、「床面Fに対して」「転動不能状態」から、「転動可能状態」に切り換えることとを連動させているから、甲1発明の「跳ね上げ連係機構79」(連動ディスク75、連動ピン76)、「中継部材71」及び「第二ワイヤー68b」の構成は、本件訂正発明1の「動作連動手段」に相当する。
また、甲1発明は、「天板30」を「回動」させる動作を利用して、「床面Fに対して」「転動不能状態」と「転動可能状態」とを切り換えていることは、明らかである。
そうすると、甲1発明が、上記構成を具備していることと、本件訂正発明1の「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなる」こととは、「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを、床面に対して転動不能状態又は床面に対して前記転動可能状態に切り換える動作連動手段とを具備してなる」点で共通する。
c(a)甲1発明の「天板30」を「水平にした通常使用状態」とした場合及び「天板30を前端部30a側を上方に跳ね上げた状態」とした場合は、本件訂正発明1の「天板」を「使用姿勢にした場合」、及び「天板」を「跳ね上げ姿勢にした場合」に、それぞれ相当する。
(b)上記b及び上記(a)をふまえると、甲1発明の上記b(b)で示した構成(「跳ね上げ連係機構79」(連動ディスク75、連動ピン76)、「中継部材71」及び「第二ワイヤー68b」が、「水平にした通常使用状態」とした場合に、「キャスター26,27」が「床面Fに対して」「転動不能状態」となり、「天板30を前端部30a側を上方に跳ね上げた状態」とした場合に、「キャスター26,27」が、「床面Fに対して」「転動可能状態」となるようにしていること)と、本件訂正発明1の「前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪非ロック状態に切り換わるように構成された」こととは、「前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して転動不能状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して転動可能状態に切り換わるように構成された」点で共通する。
d(a)甲1発明は「ベースフレーム24の前後端部」に「ストッパ機構50」が設けられ、「ストッパ機構50」は、「駆動機構60」を備えており、「駆動機構60」は、「連係部材61」を含んで構成されている。
また、甲1発明は、「第二ワイヤー68bが上方に引かれると、第二ワイヤー68bが連係部材61を前方へ揺動させるとともにスイング部材55を上方へ揺動させ」ている。つまり、甲1発明は、「第二ワイヤー68bが上方に引かれ」るという操作を受けて、「連係部材61を前方へ揺動させるとともにスイング部材55を上方へ揺動させ」ていることから、「連係部材61」及び「スイング部材55」は、本件訂正発明1の「操作力を受け付ける操作部」に相当する。
(b)甲1発明の「連係部材61及びスイング部材55」は、「ベースフレーム24の後端部において構成されていて、キャスタ27の近傍の位置にあ」るものである。
そうすると、甲1発明において、「キャスター27」が、「連係部材61」及び「スイング部材55」と近傍の位置にあり、「連係部材61及びスイング部材55」が、「ベースフレーム24」の「後端部」において構成されていることは、本件訂正発明1において、「前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有」していることに相当する。
(c)甲1発明において、「連係部材61」及び「スイング部材55」が揺動することにより、「キャスター26,27」が「床面Fに対して」「転動不能状態」又は「床面Fに対して」「転動可能状態」に選択的に切り換わるように構成されていることは明らかである。
(d)上記(a)~(c)をふまえると、甲1発明において、「キャスター27」が、「連係部材61」及び「スイング部材55」と近傍の位置にあり、「連係部材61」及び「スイング部材55」が、「ベースフレーム24」の「後端部」に構成されていて、その揺動により、「キャスター26,27」が「床面Fに対して」「転動不能状態」又は「床面Fに対して」「転動可能状態」に選択的に切り換わるように構成されていることと、本件訂正発明1において、「前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に選択的に切り換わるように構成され」ていることとは、「前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に選択的に切り換わるように構成され」ている点で共通する。
e(a)甲1発明において、「天板30」の回動動作は、「支持脚20」に対する相対運動であり、前記動作を「跳ね上げ連係機構79」(連動ディスク75、連動ピン76)、「中継部材71」及び「第二ワイヤー68b」を介して、「連係部材61」及び「スイング部材55」に伝達しているといえる。
また、甲1発明の「連係部材61」は、上記d(a)、(b)で述べたとおり、本件訂正発明1の「キャスタ」が有する「操作部」に相当する。
そうすると、甲1発明は、本件訂正発明1の「前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達する」構成に相当する構成を有しているといえる。
(b)上記(a)で述べたとおり、甲1発明において、「天板30」の回動動作を、「連係部材61」及び「スイング部材55」に伝達しており、さらに当該「連係部材61」及び「スイング部材55」の作動により、「キャスター26,27」の「床面F」に対する「転動不能状態」を、「キャスター26,27」の「床面F」に対する「転動可能状態」に切り換えているといえる。
そうすると、甲1発明の上記(a)で示した構成と、本件訂正発明1の「天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にする」構成とは、「天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作」を「前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを床面に対して転動不能状態から床面に対して転動可能状態」にする点で共通する。
f 甲1発明において、「支持脚20」が備える「前後方向に長い脚部21」は、「ベースフレーム24」を備えており、当該「ベースフレーム24」の「前後端部」には「前後キャスター26,27」が設けられていることから、甲1発明の「支持脚20」は、その「前後端部」に「前後キャスター26,27」を設けた「ベースフレーム24」を備えているといえる。
そうすると、甲1発明は、本件訂正発明1の「前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備え」ている構成に相当する構成を有しているといえる。
そうすると、本件訂正発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点1)
「床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動不能状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動可能状態に切り換わるように構成されたもので、
前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより床面に対して前記転動不能状態又は床面に対して前記転動可能状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作を、前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを床面に対して前記転動不能状態から床面に対して前記転動可能状態にするものであり、
前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものである、
天板付き家具。」
(相違点1)
「選択切換」される「キャスタ」の状態、及び、「キャスタ」の状態を「天板」の動作に連動させる具体的な機構に関し、
本件訂正発明1においては、「キャスタ」は「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」されるものであり、
「脚体」に「前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されて」おり、「動作連動手段」が「天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換」して「前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にする」ものであり、
「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されていて、前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転フリーな車輪非ロック状態となり、天板を前記使用姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転禁止される車輪ロック状態となる」のに対して、
甲1発明においては、「前後キャスター26、27」は「床面Fに接地」する状態と「床面Fから離間」した状態とに切換えられるものであり、
「天板30」の回動を「跳ね上げ連係機構79」及び「第二ワイヤー68b」を介して伝えて「スイング部材55を上方へ揺動」させ「後部ストッパ部材52を床面から離間」させることで、「前後キャスター26、27」を「床面Fに接地」させる点。
(イ)検討・判断
a 甲2技術事項について
(a)甲2技術事項の「キャスタ(8)(8)」が、「両第2係合部(55)(55)が、両車輪(35)(35)の第2被係合部(37)(37)に噛合して、各車輪(35)の回転が強力に阻止され」ることは、本件訂正発明1の「回転禁止される車輪ロック状態」に相当し、甲2技術事項の「キャスタ(8)(8)」が、「両第2係合部(55)(55)が、両車輪(35)(35)の第2被係合部(37)(37)より上方に離脱し、4個のキャスタ(8)がすべてアンロック状態」となることは、本件訂正発明1の「回転フリーな車輪非ロック状態」に相当する。
したがって、甲2技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「選択切換」される「キャスタ」の状態が「回転禁止される車輪ロック状態」及び「回転フリーな車輪非ロック状態」であるという構成を有している。
(b)甲2技術事項の「脚(3)」、「水平脚杆(1)」、「前後方向を向く連結杆(16)」と「接続金具(17)」とからなる構成体(以下「前後方向部材」という。)、及び、「作動杆(15)」は、本件訂正発明1の「脚体」、「ベース」、「キャスタ連動部材」及び「キャスタの操作部」に、それぞれ相当し、甲2技術事項の「回動リンク(13)、連結杆(16)(16)、ワイヤ(19)、ガイドチューブ(21)等」から形成されている「連係手段(12)」は、本件訂正発明1の「動作連動手段」に相当する。
甲2技術事項の「脚(3)」において、「前後方向部材」が配されていることは、本件訂正発明1の「脚体」において、「前記キャスタ連動部材が配されて」いることに相当する。
したがって、甲2技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されて」いる構成を有している。
甲2技術事項の「前方のロック装置(9)における作動杆(15)」及び「他端と後方のロック装置(9)における作動杆(15)」は、本件訂正発明1の「ベース」の「前後両端部に取り付けられたキャスタ」それぞれの「操作部」に相当する。そして、甲2技術事項の「前方のロック装置(9)における作動杆(15)」及び「他端と後方のロック装置(9)における作動杆(15)」は、「前後方向部材」を介して、接続されていることは明らかである。
したがって、甲2技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されてい」る構成を有している。
(c)甲2技術事項は、「操作レバー(10)の操作部(10a)」を、「ロック位置(L)」から「アンロック位置(U)」に回動させる動作が、「両ワイヤ(19)(19)」を引くこととなり、当該「両ワイヤ(19)(19)」が引かれる動きを、「前後方向部材」の前後方向の動作に変換して、「作動杆(15)」を作動させるものである。
しかしながら、前記「作動杆(15)」の作動は、「操作レバー(10)の操作部(10a)」の操作によるものであって、天板を跳ね上げ姿勢とする動作によるものではない。
したがって、甲2技術事項は、相違点1に係る、本件訂正発明1の構成のうち、「動作連動手段」が、「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させ」る構成を有していない。
(d)甲2技術事項は、「操作レバー(10)の操作部(10a)を、ロック位置(L)からアンロック位置(U)へ回動させる」と、「前後の連結杆(16)(16)が互いに軸(14)に向かって引き寄せられ、」、また、「操作レバー(10)の操作部(10a)を、アンロック位置(U)からロック位置(L)へ回動させる」と、「前後の連結杆(16)(16)が互いに軸(14)から離れる方向に移動」するものであり、また、「前後の連結杆(16)(16)」のそれぞれが、各「連結杆」が移動する方向に、前後の「作動杆(15)」を作動させるものである。
したがって、甲2技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転フリーな車輪非ロック状態となり、天板を前記使用姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転禁止される車輪ロック状態」となる構成を有していない。
(e)よって、甲1発明に甲2技術事項を適用しても、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることはできない。
また、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、甲2技術事項を適用して適宜設計し得ることでもない。
b 甲5技術事項について
(a)甲5技術事項は、「作動子5」を「キャスタ本体Gの動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で作動」させて、「ロック部Hをロック状態又は非ロック状態に切り替える」ものである。前記「作動子5」が「ロック位置(I)」にある場合に、「キャスタ本体Gの動き」が「ロック」されており、この状態を、「ロック状態」としていることは明らかである。また、「作動子5」が「非ロック位置(J)」にある場合に、「キャスタ本体Gの動き」がロックされておらず、この状態を「非ロック状態」としていることは明らかである。
そうすると、甲5技術事項の「ロック状態」及び「非ロック状態」は、本件訂正発明1の「回転禁止される車輪ロック状態」及び「回転フリーな車輪非ロック状態」に、それぞれ相当する。
したがって、甲5技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「選択切換」される「キャスタ」の状態が「回転禁止される車輪ロック状態」及び「回転フリーな車輪非ロック状態」であるという構成を有している。
甲5技術事項の「連結杆N」が、「脚体D」が有する「脚ベースd1の内側で、その長さ方向に沿って設けられている」ことは、本件訂正発明1の「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されて」いることに相当する。
したがって、甲5技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されて」いるという構成を有している。
甲5技術事項の「キャスタ本体G」が備える「支持体1」は、「脚ベースd1に取り付けられ」ていて、「作動子5」は、「支持体1の天壁11に配されたレール壁15に位置させて前記天壁11の上面に水平方向に進退可能に配設され」、「第二のキャスタ本体F」が有する「支持体1’」は、「脚ベースd1の反使用端側」において「取り付けられ」ていて、「作動子5’」は、「支持体1’の天壁11’に配されたレール壁15’に位置させて前記天壁11’の上面に水平方向に進退可能に配設され」ている。
そうすると、甲5技術事項の「キャスタ本体G」及び「第二のキャスタ本体F」は、本件訂正発明1の「ベース」の「前後両端部に取り付けられたキャスタ」であり、甲5技術事項の「作動子5」及び「作動子5’」は、本件訂正発明1の「ベース」の「前後両端部に取り付けられたキャスタ」のそれぞれの「操作部」に相当する。そして、甲5技術事項の「作動子5」及び「作動子5’」と「連結杆N」が直結されていることは、本件訂正発明1の前及び後の「操作部」が「キャスタ連動部材により接続されて」いることに相当する。
したがって、甲5技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いるという構成を有している。
甲5技術事項の「第一のキャスタEの作動子5」、「第二のキャスタFの作動子5’」は、本件訂正発明1の前後の「操作部」に相当し、甲5技術事項の「作動子5」及び「作動子5’」と直結される「連結杆N」は、本件訂正発明1の「キャスタ連動部材」に相当する。
そして、甲5技術事項は、「操作部M」の操作により「作動子5」及び「作動子5’」が、「ロック位置(I)と非ロック位置(J)との間で進退」するものであって、甲5技術事項の「連結杆N」が「作動子5」及び「作動子5’」と直結されていていることから、「連結管N」(キャスタ連動部材)が、前後方向の動作をし、かつ、「連結杆N」と「作動子5」及び「作動子5’」とが、進退いずれにおいても、ともに同じ方向に移動していることは明らかである。
したがって、甲5技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「前記キャスタの前記操作部を作動させ」るという構成、及び「キャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転フリーな車輪非ロック状態」となり、「キャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転禁止される車輪ロック状態」となる構成を有している。
(b)しかしながら、甲5技術事項の「作動子5」及び「作動子5’」の移動は、「第一のキャスタE」が具備している「操作部M」の操作によるものであって、「天板の跳ね上げ姿勢とする動作」に連動するものではない。
したがって、甲5技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「動力連動手段」が「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換」する構成、及び「動作連動手段」が「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させ」る構成を有していない。
また、甲5技術事項の「ロック解除状態」と「ロック状態」の切り替えは、「第一のキャスタE」が具備している「操作部M」により切り替え操作がされるものであって、天板を跳ね上げ姿勢とすることや、天板を使用姿勢とすることによらずに車輪の状態を切り替える機構ないし原理を採用するものである。このような機構ないし原理は、甲1発明のものとは異なる。
よって、甲1発明に対して、甲1発明とは異なる切り替え機構ないし原理を採用する甲5技術事項を適用する動機付けはない。
したがって、甲1発明に甲5技術事項を適用することはできない。
c 甲3発明について
(a)甲3発明は、「天板2が使用位置と収納位置との間で回動されたとき」、「昇降機構20を上下動させるための連動機構」を有しており、「昇降機構20」は、「浮動脚106が、脚座8に対して上下動可能に連結され」ていて、「脚部4は、その内部に浮動脚106を配置し」ていて、「浮動脚106」において、その「両端には、キャスタ10が結合されて」いることから、甲3発明は、「天板2」の「回動」の動作を、「浮動脚106」の「上下動」の動作に変換し、さらに「キャスタ10」を移動させているといえるから、甲3発明の「浮動脚106」は、本件訂正発明1の「キャスタ連動部材」に相当する。
また、甲3発明の「脚部4は、その内部に浮動脚106を配置し」ていることは、本件訂正発明1の「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されて」いることに相当する。
したがって、甲3発明は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されており」との構成を有している。
(b)しかしながら、甲3発明は、「昇降機構20」により「脚部4の下方にキャスタ10を突出させ移動机1の移動を可能とする」ものであり、「天板2」が「使用位置にある場合」に「床面上で固定」されるものの、「キャスタ10」の回転が禁止されるものではない。
したがって、甲3発明は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「選択切換」される「キャスタ」の状態が「車輪が回転禁止される車輪ロック状態」及び「回転フリーな車輪非ロック状態」であるという構成を有していない。
また、甲3発明は、そもそも、本件訂正発明1の「キャスタ連動部材」が接続する「ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部」を有していないことから、甲3発明は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「操作部」に係る構成である、
「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させ」る構成、
「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されてい」る構成、
「前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動」し、「天板を前記使用姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動」する構成、を有していない。
(c)よって、甲1発明に、甲3発明を適用しても、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることはできない。
また、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、甲3発明を適用して適宜設計し得ることでもない。
d 甲4技術事項について
(a)甲4技術事項は、「天板5」の「起立回動操作」により、「連動機構40の昇降ロッド41が引上げられてリンク42を回動し、これに伴い前後のシンクロッド43,44により前後の脚座31,32の上端側が引っ張られ」ていて、「前後の脚座31,32」が、操作力を受け、「前後のキャスター1,2」が「床面に接地」する。その際、甲4技術事項の「前後のシンクロッド43,44」は、「前後の脚座31,32の上端側」を「引っ張」るから、動作として前後方向の動作に変換されていることは明らかである。
そうすると、甲4技術事項の「連動機構40」は、本件訂正発明1の「動作連動手段」に相当し、甲4技術事項の「シンクロッド43,44」及び「脚座31,32」は、本件訂正発明1の「キャスタ連動部材」及び「キャスタ」の「操作部」に、それぞれ相当する。
また、甲4技術事項は、「天板5」の「起立回動」という動作を、「前後のシンクロッド43,44」の前後方向の動作に変換し、「脚座31,32」を作動させているといえる。
したがって、甲4技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「動作連動手段」が「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させ」るという構成を有している。
甲4技術事項の「支柱4が立設された脚ベース3」に「シンクロッド43、44が、配置されて」いることは、本件訂正発明1の「脚体」に「前記キャスタ連動部材が配されて」いることに相当する。
したがって、甲4技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されており」との構成を有している。
甲4技術事項の「キャスター1,2は、左右の脚ベース3内の前後端寄りにそれぞれ軸30を介して上下方向に回動可能に軸着したキャスターベース兼用脚座31,32に取付けられて」いることから、「脚ベース3」の前後端部に「キャスター1,2」が取付けられていることは明らかである。また、上記のとおり、甲4技術事項は、「天板5」の「起立回動操作」により、「前後のシンクロッド43,44により前後の脚座31,32の上端側が引っ張られ」ることから、「前後の脚座31,32」が、「シンクロッド43,44」により接続されていることは明らかである。
したがって、甲4技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されてい」るという構成を有している。
(b)しかしながら、甲4技術事項の「移動式テーブル」は、「天板5の起倒操作に連動して」、「脚座31,32とキャスター1,2」とを「交互に床面に接地させる」ものであり、起倒操作に連動してキャスター1、2が回転禁止されたり、回転フリーにされたりするものではない。
したがって、甲4技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「選択切換」される「キャスタ」の状態が「回転禁止される車輪ロック状態」及び「回転フリーな車輪非ロック状態」であるという構成を有していない。
甲4技術事項は、「天板5」の「起倒操作」をすると、「シンクロッド43,44」により「前後の脚座31,32の上端側が引っ張られ」るから、「シンクロッド43,44」の動き及び「脚座31,32」の動きは、各々互いに逆方向であって、ともに同じ方向、あるいは同じ逆方向に移動するものではない。
したがって、甲4技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されてい」て、「前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動」し、「天板を前記使用姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動」する構成を有していない。
(c)よって、甲1発明に、甲4技術事項を適用しても、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることはできない。
また、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、甲4技術事項を適用して適宜設計し得ることでもない。
e 甲6技術事項について
(a)甲6技術事項の「ロック状態」は、「床面に対して移動不能にロックされる」ものであるから、本件訂正発明1の「回転禁止される車輪ロック状態」に相当する。甲6技術事項の「ロック解除状態」は、前記「ロック」が解除された状態と解されるから、本件訂正発明1の「回転フリーな車輪非ロック状態」に相当する。
したがって、甲6技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「選択切換」される「キャスタ」の状態が「回転禁止される車輪ロック状態」及び「回転フリーな車輪非ロック状態」であるという構成を有している。
甲6技術事項の「脚体1」は、本件訂正発明1の「脚体」に相当する。また、甲6技術事項の「脚体1」は、「脚ベース10」を具備している。
甲6技術事項の「脚体1」が具備する「脚ベース10」において、「長手方向に沿って棒状に延びる板部材60」が配置されていることは、本件訂正発明1の「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されて」いることに相当する。
したがって、甲6技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されて」いるという構成を有している。
甲6技術事項の「ロックレバー33」及び「ロックレバー43」は、「一対のキャスタ3、4をロック解除状態からロック状態へと同時に切り換え」る機能があることから、本件訂正発明1の前後の「キャスタ」の「操作部」に相当し、甲6技術事項の「ロックレバー33、43」が固定される「板部材60」は、本件訂正発明1の「キャスタ連動部材」に相当する。
したがって、甲6技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いるという構成を有している。
甲6技術事項は、「ボタン511を押圧すると、操作手段5の動作により板部材60が前方向にスライドし、当該板部材60に固定されているロックレバー33、43も同時に前方向にスライドして」、「一対のキャスタ3、4をロック解除状態からロック状態へと同時に切り換え」、「一方、ロック状態から再びボタン511を押圧すると」、「板部材60が後方へスライド移動することにより」「ロック解除状態となるものであ」る。
したがって、甲6技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「キャスタ連動部材」が「前後方向の動作」をしている構成、
及び
「キャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転フリーな車輪非ロック状態」となり、「キャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転禁止される車輪ロック状態」となる構成、を有している。
甲6技術事項の「脚ベース10の使用端側」に取付けられた「第一キャスタ3」及び、「脚ベース10の反使用端側」に取付けられた「第二キャスタ4」は、本件訂正発明1の「ベース」の「前後両端部に取り付けられたキャスタ」であり、甲6技術事項の「ロックレバー33、43」は、本件訂正発明1の「ベース」の「前後両端部に取り付けられたキャスタ」のそれぞれの「操作部」に相当する。そして、甲6技術事項の「ロックレバー33、43」を「板部材60」固定していることは、本件訂正発明1の前後の「操作部」が「キャスタ連動部材により接続されて」いることに相当する。
したがって、甲6技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いるという構成を有している。
(b)しかしながら、甲6技術事項の「ロック状態」と「ロック解除状態」の切り替えは、「脚ベース10の外部に露出」した「ボタン」による切り替え操作によるものであって、「天板を跳ね上げ姿勢とする動作」によるものではない。
したがって、甲6技術事項は、相違点1に係る本件訂正発明1のうち、「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させ」る構成を有していない。
また、甲6技術事項の「ロック状態」と「ロック解除状態」の切り替えは、「脚ベース10の外部に露出」した「ボタン」により切り換え操作がされるものであって、天板を跳ね上げ姿勢とすることや、天板を使用姿勢とすることによらずに車輪の状態を切り替える機構ないし原理を採用するものである。このような機構ないし原理は、甲1発明のものとは異なる。
よって、甲1発明に対して、甲1発明とは異なる切り替え機構ないし原理を適用する甲6技術事項を適用する動機付けはない。
したがって、甲1発明に甲6技術事項を適用することはできない。
f 組合わせて適用することについて
上記のとおり、甲1発明に対して、甲2技術事項、甲3発明、甲4技術事項を適用しても、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることはできないし、また、甲1発明に対して、甲5技術事項、甲6技術事項を適用することはできない。
また、甲1発明に甲2技術事項に適用し、相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、「選択切換」される「キャスタ」の状態が「回転禁止される車輪ロック状態」及び「回転フリーな車輪非ロック状態」であるという構成を有することができたとしても、そのような適用をした上で、さらに甲5技術事項及び甲6技術事項の「キャスタ連動部材」及び「操作部」に係る構成を採用することは、上記b及びeにおいて甲1発明に甲5技術事項又は甲6技術事項を適用する動機付けがないことを示したのと同じ理由から、当業者であっても容易に想到することができない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成に至ることは、甲2技術事項、甲3発明、甲4技術事項~甲6技術事項の全てを考慮したとしても、当業者が容易に想到できたものではない。
(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、甲1発明、甲2技術事項、甲5技術事項、甲3発明、甲4技術事項、甲6技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件訂正発明2~7について
本件訂正発明2~7は、本件訂正発明1の構成を全て有し、さらに構成を付加したものであるから、本件訂正発明1と同様に、甲1発明、甲2技術事項又は甲5技術事項、甲3発明、甲4技術事項、甲6技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件訂正発明8について
(ア)対比
本件訂正発明8と甲1発明とを対比する。
本件訂正発明8の構成8A、8B、8C、8D及び8Eについては、本件訂正発明1の構成1A、1B、1C、1D及び1Eと構成であり、
また、本件訂正発明8の8Fの「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いる点は、本件訂正発明1の1Fのうちの「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いる点と同じ構成である。
本件訂正発明8の構成において、本件訂正発明1と同じ構成については、上記ア(ア)a~fで対比したのと同様である。
a 構成8G及び8Iに関し、上記ア(ア)bで説明したのと同様に、甲1発明の「床面Fに対して転動不能な状態」と、本件訂正発明8の「車輪ロック状態」とは、「床面に対して」「転動不能状態」で共通し、また、甲1発明の「床面Fに対して」「転動可能な状態」と、本件訂正発明8の「車輪非ロック状態」とは、「床面に対して」「転動可能状態」で共通する。
b 構成8Gに関し、上記ア(ア)b(b)で述べたことをふまえると、甲1発明の「跳ね上げ連係機構79」(連動ディスク75、連動ピン76)、「中継部材71」及び「第二ワイヤー68b」の構成は、本件訂正発明8の「動作連動手段」に相当する。
甲1発明の「中継部材71」は、「天板30の前端部30aを上方に引き上げて天板30を軸線C1回りに回動させる」と、「天板30と同方向(後転方向)に回動させるものであり」、また、「テーブル装置10の使用者が操作レバー63の指掛かり部63dを前方かつ幅方向外側に向けて回動操作する」ことで、「中継部材71が軸線C1回りに後転方向へ回動する」ものである。前記「天板」の「回動」と、「操作レバー63」の「回動操作」は、互いに影響しないから、甲1発明の「中継部材71」は、本件発明訂正8の「天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素」に相当するといえる。
また、甲1発明の「中継部材71」は、「回動軸72」で「回動」する構成を有しており、「中継部材71」が、一方向又は逆方向に回動することに伴って、「キャスター26,27」を床面に対して転動不能状態から転動可能状態に切り替えていることは明らかである。
そうすると、甲1発明において、上記「中継部材71」を備えていて、「天板」の回動または「操作レバー63」の回動操作により、「キャスター26,27」を床面に対して転動不能状態から転動可能状態に切り替えていることと、本件発明訂正8において、「前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを車輪ロック状態と車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになって」いることとは、「前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを転動不能状態と転動可能状態とに選択的に切り換えられるようになって」いる点で共通する。
c 構成8Iに関し、甲1発明は、「天板」を「跳ね上げ」ることではなく、「操作レバー63の操作」によって、「キャスター26,27」を床面に対して転動不能状態から転動可能状態へと切り換えるものであるから、一時的に「キャスター26,27」の床面に対して転動不能状態を解除して、転動可能状態とすることができることは明らかである。
また、甲1発明の「操作機構67」は、「ワイヤー68」により、「操作レバー63の操作力を連係部材61側に伝達する」ものであり、「中継部材71」は、「操作レバー63および連係部材61の間」に配設されているものである。また、上記bで説明したとおり、「中継部材71」は回動する部材である。そうすると、甲1発明の「中継部材71」は、本件訂正発明8の「構成要素」に相当する。
以上のことをふまえると、甲1発明の「天板30」の下面に「操作レバー63」が設置されていて、「操作レバー63の操作力を連係部材61側に伝達」し、「操作レバー63および連係部材61の間」に配設されている「中継部材71」が、「操作レバー63および連係部材61の間」に配設されていることと、本件訂正発明8の「天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されている」こととは、「天板に、キャスタの床面に対して転動不能状態を一時的に解除して転動可能状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されている」点で共通する。
そうすると、本件訂正発明8と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点1A)
「床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動不能状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動可能状態に切り換わるように構成されたもので、
前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより床面に対して前記転動不能状態又は床面に対して前記転動可能状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作を、前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを床面に対して前記転動不能状態から床面に対して前記転動可能状態にするものであり、
前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであり、
前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを床面に対して転動不能状態と床面に対して転動可能状態とに選択的に切り換えられるようになっていて、
天板に、キャスタの床面に対して転動不能状態を一時的に解除して転動可能状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されているフラップ天板付き家具。」
(相違点1A)
「選択切換」される「キャスタ」の状態、及び、「キャスタ」の状態を「天板」の動作に連動させる具体的な機構に関し、
本件訂正発明8においては、「キャスタ」は「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」されるものであり、
「脚体」に「前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材が配されて」おり、「動作連動手段」が「天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換」して「前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にする」ものであり、「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いるとともに、「動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着している」のに対して、
甲1発明においては、「前後キャスター26、27」は「床面Fに接地」する状態と「床面Fから離間」した状態とに切換えられるものであり、
「天板30」の回動を「跳ね上げ連係機構79」及び「第二ワイヤー68b」を介して伝えて「スイング部材55を上方へ揺動」させ「後部ストッパ部材52を床面から離間」させることで、「前後キャスター26、27」を「床面Fに接地」させる点。
(イ)検討・判断
以下では、本件訂正発明8の構成8A、8B、8C、8D、8Eが、本件訂正発明1の構成1A、1B、1C、1D、1Eと同じであり、本件訂正発明8の構成8Fが、本件訂正発明1の1Fに包含されていることから、共通する相違点については、上記ア(イ)の説明を参照しつつ検討する。
a 甲2技術事項について
(a)上記ア(イ)aの説明を参照すると、甲2技術事項は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、以下の構成を有している。
すなわち、
「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」であるという構成(甲2技術事項は、「回転禁止される車輪ロック状態」及び「回転フリーな車輪非ロック状態」であるという構成を有しているから、「車輪ロック状態」及び「車輪非ロック状態」は当然に有している。)、
「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されて」いる構成、
「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されてい」る構成、
を有している。
(b)しかしながら、甲2技術事項は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、以下の構成を有していない。
すなわち、
「動作連動手段」が、「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させ」る構成、及び
「前記動作連動手段」が「前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着してい」る構成を有していない。
(c)よって、甲1発明に甲2技術事項を適用しても、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成とすることはできない。
また、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成とすることは、甲2技術事項を適用して適宜設計し得ることでもない。
b 甲5技術事項について
(a)上記ア(イ)bの説明を参照すると、甲5技術事項は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、以下の構成を有している。
すなわち、
「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」であるという構成、
「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されて」いるという構成、
「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いるという構成、
を有している。
(b)しかしながら、甲5技術事項は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、以下の構成を有していない。
すなわち、
「動作連動手段」が「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にする」構成、及び
「動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着している」構成を有していない。
また、甲5技術事項の「ロック解除状態」と「ロック状態」の切り替えは、「第一のキャスタE」が具備している「操作部M」により切り替え操作がされるものであって、天板を跳ね上げ姿勢とすることや、天板を使用姿勢とすることによらずに車輪の状態を切り替える機構ないし原理を採用するものである。このような機構ないし原理は、甲1発明のものとは異なる。
よって、甲1発明に対して、甲1発明とは異なる切り替え機構ないし原理を採用する甲5技術事項を適用する動機付けはない。
したがって、甲1発明に甲5技術事項を適用することはできない。
c 甲3発明について
(a)上記ア(イ)cの説明を参酌すると、甲3発明は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されており」との構成を有している。
(b)甲3発明は、「連動機構」が「微調整カム76」等を有していて、「昇降機構20」が「昇降カム96」等を有している。
そして、甲3発明は、「天板2を上方に押し上げて、収納位置に回転させると、微調整カム76が、天板2と共に時計と反対回りに回転し、微調整カム76の回転に伴い、フロート連動パイプ82、フロートキー92、及び、昇降カム96が一体に回転し」、その結果、「キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地され」る態様と、「天板2が使用位置にある状態で、微調整レバー70を垂下された位置から天板2の着席側に引き出すと、微調整カム76の回転に伴い、フロート連動パイプ82、フロートキー92、及び、昇降カム96が一体に回転し、さらに、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して」、その結果、「キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地される」態様を有するものである。
そうすると、甲3発明において、上記のような態様を取り得るための「連動機構」が有する、回転する「微調整カム76」及び、昇降機構20が有する、回転する「昇降カム96」は、本件訂正発明8の「動作連動手段」が備える「構成要素」に相当する。
また、甲3発明の「昇降機構20」が有する「ロッド98」は、本件訂正発明8の「上下連動シャフト」に相当する。
さらに、甲3発明の「ロッド98」において、「一端が昇降カム96に揺動可能に連結され」ていることから、「ロッド98」の上端は、昇降カム96に対して枢着されていることは明らかであり、「昇降カム96」が「回転し」、「ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から最も上方に位置に移動」することからみて、「ロッド98」の上端と「昇降カム96」との連結箇所は、昇降カム96の軸心から変位していることは明らかである。また、「ロッド98」は、「昇降カム96」の回動を脚座8側に昇降動作として伝達していることは明らかである。
以上をふまえると、甲3発明は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、「前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着してい」るとの構成を有している。
(c)しかしながら、甲3発明は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、以下の構成を有していない。
すなわち、
「床面に対して」「転動不能状態」が、「車輪が回転禁止される車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が、「車輪非ロック状態」である構成、
「操作部」に係る構成である、「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させ」る構成、「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されてい」る構成、
を有していない。
(d)よって、甲1発明に、甲3発明を適用しても、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成とすることはできない。
また、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成とすることは、甲3発明を適用して適宜設計し得ることでもない。
d 甲4技術事項について
(a)上記ア(イ)dの説明を参照すると、甲4技術事項は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、以下の構成を有している。
すなわち、
「動作連動手段」が、「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させ」るという構成、
「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されており」との構成、
「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されてい」るという構成、
を有している。
(b)甲4技術事項の「昇降ロッド41」は、本件訂正発明8の「上下連動シャフト」に相当する。甲4技術事項の「昇降ロッド41」は、「天板5」を「起立回動操作」すれば「引き上げ」られるから、「天板5」側の動作を脚ベース3側に、昇降動作として伝達していると理解できる。
甲4技術事項の「天板受け10」は、本件訂正発明8の「構成要素」に相当する。また、甲4技術事項の「枢軸11よりも前側下方に離間して固着した連動ピン45」に「昇降ロッド41」の上端が「連繋され」ていることは、本件訂正発明8の「構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着してい」ることに相当する。
したがって、甲4技術事項は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、「前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着してい」るとの構成を有している。
(c)しかしながら、甲4技術事項は、相違点1Aに係る本件訂正発明8のうち、以下の構成を有していない。
すなわち、
「キャスタ」の「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」であるという構成を有していない。
(d)よって、甲1発明に、甲4技術事項を適用しても、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成とすることはできない。
また、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成とすることは、甲4技術事項を適用して適宜設計し得ることでもない。
e 甲6技術事項について
(a)上記ア(イ)eの説明を参照すると、甲6技術事項は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、以下の構成を有している。
すなわち、
「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」である構成、
「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されて」いるという構成、
「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いるという構成、
を有している。
(b)しかしながら、甲6技術事項は、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、以下の構成を有していない。
すなわち、
「動作連動手段」が「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にする」構成、及び
「動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着している」構成を有していない。
また、甲6技術事項の「ロック状態」と「ロック解除状態」の切り替えは、「脚ベース10の外部に露出」した「ボタン」により切り換え操作がされるものであって、天板を跳ね上げ姿勢とすることや、天板を使用姿勢とすることによらずに車輪の状態を切り替える機構ないし原理を採用するものである。このような機構ないし原理は、甲1発明のものとは異なる。
よって、甲1発明に対して、甲1発明とは異なる切り替え機構ないし原理を適用する甲6技術事項を適用する動機付けはない。
したがって、甲1発明に甲6技術事項を適用することはできない。
f 組合わせて適用することについて
上記のとおり、甲1発明に対して、甲2技術事項、甲3発明、甲4技術事項を適用しても、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成とすることはできないし、また、甲1発明に対して、甲5技術事項、甲6技術事項を適用することはできない。
また、甲1発明に甲2技術事項に適用し、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」であるという構成を有することができたとしても、そのような適用をした上で、甲4技術事項の「上下連動シャフト」に関する構成を適用することは、当業者であっても容易に想到することができない。
さらに、甲1発明に甲4技術事項に適用し、相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、「上下昇降シャフト」に関する構成に想到することができたとしても、そのような適用をした上で、甲2技術事項の「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」であるという構成を適用することは、当業者であっても容易に想到することができないし、あるいは、甲5技術事項及び甲6技術事項の「キャスタ連動部材」及び「操作部」に係る構成を適用することは、上記b及びeにおいて甲1発明に甲5技術事項又は甲6技術事項を適用する動機付けがないことを示したのと同じ理由から、当業者であっても容易に想到することができない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1Aに係る本件訂正発明8の構成に至ることは、甲2技術事項、甲3発明、甲4技術事項~甲6技術事項の全てを考慮したとしても、当業者が容易に想到できたものではない。
(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明8は、甲1発明、甲2技術事項、甲5技術事項、甲3発明、甲4技術事項、甲6技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 本件訂正発明9について
(ア)対比
本件訂正発明9と甲1発明とを対比する。
本件訂正発明9の構成9A及び9Bは、本件訂正発明1の構成1A及び1Cと同じであることから、上記ア(ア)a、b及びdのとおりである。
さらに、本件訂正発明9の構成9D及び9Fは、本件訂正発明8の構成8G及び8Iと同じであるから、上記ウ(ア)a及びbのとおりである。
なお、本件訂正発明9の構成9Dには、「前記車輪ロック状態と前記車輪にロック状態」との記載があるが、本件訂正発明8の8Gの「車輪ロック状態と車輪にロック状態」との記載と実質的に相違しない。
本件訂正発明9の構成9Cについて
上記ア(ア)b(a)で説明をふまえると、甲1発明の「跳ね上げ連係機構79」(連動ディスク75、連動ピン76)、「中継部材71」及び「第二ワイヤー68b」の構成は、本件訂正発明9の「動作連動手段」に相当する。
甲1発明は、「天板30が通常使用状態」にした場合に、「キャスター」が「転動不能状態」となり、上記「跳ね上げ連係機構79」(連動ディスク75、連動ピン76)、「中継部材71」及び「第二ワイヤー68b」を用いて、「天板30を前端部30a側を上方に跳ね上げた状態」にした場合に、「転動可能状態」に切り替えることができるものである。
そうすると、甲1発明が上記のとおり構成されていることと、本件訂正発明9の「前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタが車輪非ロック状態に切り換わるように構成されている」こととは、「前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタ」が「床面に対して転動不能状態」となり、「前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合」に「前記キャスタ」が「床面に対して」「転動可能状態」に「切り換わるように構成されている」点で共通する。
そうすると、本件訂正発明9と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点1B)
「床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより床面に対して前記転動不能状態又は床面に対して前記転動可能状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して転動不能状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して転動可能状態に切り換わるように構成されているものであり、
前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを車輪ロック状態と車輪非ロック状態とに選択的に切り換えられるようになっていて、
天板に、床面に対して転動不能状態を一時的に解除して床面に対して転動可能状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されている、
フラップ天板付き家具。」
(相違点1B)
「選択切換」される「キャスタ」の状態、及び、「キャスタ」の状態を「天板」の動作に連動させる具体的な機構に関し、
本件訂正発明9においては、「キャスタ」は「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」されるものであり、「動作連動手段」が「天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換」して「前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態に切り換わる」ように構成されているとともに、「前記動作連動手段が、前記構成要素の回動をベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着している」のに対して、
甲1発明においては、「前後キャスター26、27」は「床面Fに接地」する状態と「床面Fから離間」した状態とに切換えられるものであり、
「天板30」の回動を「跳ね上げ連係機構79」及び「第二ワイヤー68b」を介して伝えて「スイング部材55を上方へ揺動」させ「後部ストッパ部材52を床面から離間」させることで、「前後キャスター26、27」を「床面Fに接地」させる点。
(イ)検討・判断
以下では、本件訂正発明9の構成9A、9Bが、本件訂正発明1の構成1A、1Cと同じであり、本件訂正発明9の構成9D、9E、9Fが、本件訂正発明8の8G、8H、8Iと同じ(9Dと8Gは実質的に同じ)であることから、共通する相違点については、上記ア(イ)、ウ(イ)の説明を参照しつつ検討する。
a 甲2技術事項について
(a)上記ウ(イ)aを参照すると、甲2技術事項は、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、以下の構成を有している。
すなわち、
「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」であるという構成(甲2技術事項は、「回転禁止される車輪ロック状態」及び「回転フリーな車輪非ロック状態」であるという構成を有しているから、「車輪ロック状態」及び「車輪非ロック状態」は当然に有している。)、
を有している。
(b)しかしながら、甲2技術事項は、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、以下の構成を有していない。
すなわち、
「動作連動手段」が、「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させ」る構成、及び
「動作連動手段」が「前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着してい」る構成を有していない。
(c)よって、甲1発明に甲2技術事項を適用しても、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成とすることはできない。
また、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成とすることは、甲2技術事項を適用して適宜設計し得ることでもない。
b 甲5技術事項について
(a)上記ウ(イ)bの説明を参照すると、甲5技術事項は、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、以下の構成を有している。
すなわち、
「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」であるという構成、
を有している。
(b)しかしながら、甲5技術事項は、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、以下の構成を有しいない。
すなわち、
「動作連動手段」が「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にする」構成、及び
「動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着している」構成を有していない。
また、甲5技術事項の「ロック解除状態」と「ロック状態」の切り替えは、「第一のキャスタE」が具備している「操作部M」により切り替え操作がされるものであって、天板を跳ね上げ姿勢とすることや、天板を使用姿勢とすることによらずに車輪の状態を切り替える機構ないし原理を採用するものである。このような機構ないし原理は、甲1発明のものとは異なる。
よって、甲1発明に対して、甲1発明とは異なる切り替え機構ないし原理を採用する甲5技術事項を適用する動機付けはない。
したがって、甲1発明に甲5技術事項を適用することはできない。
c 甲3発明について
(a)上記ウ(イ)cの説明を参酌すると、甲3発明は、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、以下の構成を有している。
すなわち、
「前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着してい」るとの構成、
を有している。
(b)しかしながら、甲3発明は、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、以下の構成を有していない。
すなわち、
「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」であるという構成、
「操作部」に係る構成である、「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にする」構成を有していない。
(c)よって、甲1発明に、甲3発明を適用しても、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成とすることはできない。
また、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成とすることは、甲3発明を適用して適宜設計し得ることでもない。
d 甲4技術事項について
(a)上記ウ(イ)dの説明を参照すると、甲4技術事項は、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、以下の構成を有している。
すなわち、
「動作連動手段」が、「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させ」るという構成、
「前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着してい」るとの構成を有している。
(b)しかしながら、甲4技術事項は、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、以下の構成を有していない。
すなわち、
「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」であるという構成を有していない。
(c)よって、甲1発明に、甲4技術事項を適用しても、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成とすることはできない。
また、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成とすることは、甲4技術事項を適用して適宜設計し得ることでもない。
e 甲6技術事項について
(a)上記ウ(イ)eの説明を参照すると、甲6技術事項は、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、以下の構成を有している。
すなわち、
「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」である構成、
を有している。
(b)しかしながら、甲6技術事項は、相違点1Bに係る本件訂正発明9のうち、以下の構成を有しいない。
すなわち、
「動作連動手段」が「天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にする」構成、及び
「動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着している」構成を有していない。
また、甲6技術事項の「ロック状態」と「ロック解除状態」の切り替えは、「脚ベース10の外部に露出」した「ボタン」により切り換え操作がされるものであって、天板を跳ね上げ姿勢とすることや、天板を使用姿勢とすることによらずに車輪の状態を切り替える機構ないし原理を採用するものである。このような機構ないし原理は、甲1発明のものとは異なる。
よって、甲1発明に対して、甲1発明とは異なる切り替え機構ないし原理を適用する甲6技術事項を適用する動機付けはない。
したがって、甲1発明に甲6技術事項を適用することはできない。
f 組合わせて適用することについて
上記のとおり、甲1発明に対して、甲2技術事項、甲3発明、甲4技術事項を適用しても、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成とすることはできないし、また、甲1発明に対して、甲5技術事項、甲6技術事項を適用することはできない。
また、甲1発明に甲2技術事項に適用し、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、「床面に対して」「転動不能状態」が「車輪ロック状態」であり、「床面に対して」「転動可能状態」が「車輪非ロック状態」であるという構成を有することができたとしても、そのような適用をした上で、甲4技術事項の「上下連動シャフト」に関する構成を適用することは、当業者であっても容易に想到することができない。
さらに、甲1発明に甲4技術事項に適用し、相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、「上下昇降シャフト」に関する構成に想到することができたとしても、そのような適用をした上で、甲2技術事項の「床面に対して」「転動不能状態」及び「転動可能状態」が、「車輪ロック状態」及び「車輪非ロック状態」であるという構成を適用することは、当業者であっても容易に想到することができないし、あるいは、甲5技術事項及び甲6技術事項の「キャスタ連動部材」及び「操作部」に係る構成を採用することは、上記b及びeにおいて甲1発明に甲5技術事項又は甲6技術事項を適用する動機付けがないことを示したのと同じ理由から、当業者であっても容易に想到することができない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1Bに係る本件訂正発明9の構成に至ることは、甲2技術事項、甲3発明、甲4技術事項~甲6技術事項の全てを考慮したとしても、当業者が容易に想到できたものではない。
(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明9は、甲1発明、甲2技術事項、甲5技術事項、甲3発明、甲4技術事項、甲6技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ 本件訂正発明10について
本件訂正発明10は、本件訂正発明9の構成を全て有し、さらに構成を付加したものであるから、本件訂正発明9と同様に、甲1発明及び甲2技術事項、甲3発明、甲4技術事項~甲6技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)甲第3号証を主引用例とした場合
ア 本件訂正発明1について
(ア)対比
a 甲3発明の「キャスタ10」、「脚部4」、「脚座8」は、本件訂正発明1の「キャスタ」、「脚体」、「ベース」に、それぞれ相当する。
甲3発明の「脚部4」に「支持」されていて、「使用位置と収容位置との間で回動」される「天板2」は、本件訂正発明1の「前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板」に相当する。
甲3発明の「移動机1」は、「回動可能」な「天板2」を有しているから、本件訂正発明1の「フラップ天板付き家具」に相当する。
甲3発明の「キャスタ10」は、「天板2を上方に押し上げ」て「収納位置にある」とき「床面に接地され」て「移動机1の移動を可能とする」から床面に対して転動可能状態となるといえる。一方、「天板2を収納位置から使用位置に回転させると、キャスタ10が床面から離間され」るから、床面に対して転動不能状態であることは明らかである。また「天板2」を「収納位置」とするか「使用位置」とするかどうかによって、「キャスタ10」を床面に対して、転動可能状態又は転動不能状態に選択的できるようにしているといえる。
そうすると、甲3発明の上記構成を有する「キャスタ10」と、本件訂正発明1の「回転禁止される」「車輪ロック状態又は」「回転フリーな」「車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタ」とは、「床面に対して」「転動不能状態」又は「転動可能状態」に「選択切換可能なキャスタ」である点で共通する。
甲3発明は、「連動機構」及び「昇降機構20」を有しており、「天板2を上方に押し上げて、収納位置に回転させると、微調整カム76が、天板2と共に時計と反対回りに回転し、微調整カム76の回転に伴い、フロート連動パイプ82、フロートキー92、及び、昇降カム96が一体に回転し」、「キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地され」ることになる。一方、「天板2を収納位置から使用位置に回転させると、キャスタ10が床面から離間され」る。
そうすると、甲3発明の前記「連動機構」及び「昇降機構20」は、本件訂正発明1の「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」とは、「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタ」を、「床面に対して」「転動不能状態」又は「転動可能状態」に「切り換える動作連動手段」で共通する。
b 甲3発明の「連動機構」及び「昇降機構20」は、「天板2を収納位置から使用位置に回転させると、キャスタ10が床面から離間され」る一方、「天板2を上方に押し上げて、収納位置に回動させる」と「キャスタ10」が「床面に接地され」ることになるものである。
そうすると、甲3発明の「連動機構」及び「昇降機構20」が上記のように切りかわるように構成されていることと、本件訂正発明1の「前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが前記車輪非ロック状態に切り換わるように構成され」ていることとは、「前記動作連動手段が、前記前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動不能状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動可能状態に切り換わるように構成された」点で共通する。
c 甲3発明は、「天板2が使用位置と収納位置との間で回動されたとき」、「昇降機構20を上下動させるための連動機構」を有しており、「昇降機構20」は、「浮動脚106が、脚座8に対して上下動可能に連結され」ていて、「脚部4は、その内部に浮動脚106を配置し」ている。
また、甲3発明は、「浮動脚106」において、その「両端には、キャスタ10が結合されて」いることから、「天板2」の「回動」の動作を、「浮動脚106」の「上下動」の動作に変換し、さらに「両端」に「結合され」た「キャスタ10」を移動させている。
そして、甲3発明は、「浮動脚106」が「下方に移動」すると、「両端」に「結合」された「キャスタ10」が「床面に接地」し、床面に対して転動可能状態となることは明らかであり、この状態から、「浮動脚106」が上方に移動した場合に、「キャスタ10」が「床面から離間」して、床面に対して転動不能状態に切り換わることは明らかである。
そうすると、甲3発明の上記「浮動脚106」と、本件訂正発明1の「前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるための前記キャスタ連動部材キャスタ連動部材」とは、「前記両キャスタを床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に切り換えるためのキャスタ連動部材」の点で共通する。
また、甲3発明の「脚部4は、その内部に浮動脚106を配置し」ていることは、本件訂正発明1の「脚体」は、「前記キャスタ連動部材が配されて」いることに相当する。
d 甲3発明は、「浮動脚106が、脚座8に対して上下動可能に連結され」るものであり、また、「キャスタ10」が「操作力」を受け付ける部材は存在しないことから、本件訂正発明1の「操作部」に相当する構成を有していないといえる。そうすると、甲3発明は、本件訂正発明1の「操作部」に係る構成を有していないことは明らかである。
また、甲3発明の「脚座8」は、本件訂正発明1の「ベース」に相当するところ、甲3発明の「脚座8」の前後両端部には、「キャスタ10」は取り付けられていない。
整理すると、本件訂正発明1と甲3発明とは、以下の一致点2で一致し、以下の相違点2で相違する。
(一致点2)
「床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動不能状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動可能状態に切り換わるように構成されたもので、
前記脚体は、前記両キャスタを床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されている、
天板付き家具。」
(相違点2)
「選択切換」される「キャスタ」の状態、及び、「キャスタ」の状態を「天板」の動作に連動させる具体的な機構に関し、
本件訂正発明1においては、「キャスタ」は「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」されるものであり、
「前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより」上記2つの状態が選択的に切り換わるように構成され、
「前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものである」とともに、
「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されていて、前記天板を前記跳ね上げ姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転フリーな車輪非ロック状態となり、天板を前記使用姿勢とすることでキャスタ連動部材と前後両キャスタの操作部とがともに同じ逆方向に移動して前後両キャスタの車輪が回転禁止される車輪ロック状態となる」
と特定されているのに対して、
甲3発明においては、「キャスタ10」は「床面に接地」した状態と「床面から離間」した状態とで切り換えられるものであり、
「両端には、キャスタ10が結合」された「浮動脚106が、脚座8に対して上下動可能に連結され」るから、「キャスタ10」は「脚座8」(本件訂正発明1の「ベース」に相当)の前後両端部に取り付けられておらず、前後の両端部の「キャスタ10」が、操作力を受け付ける部材(本件訂正発明1の「操作部」に相当)を有しておらず、当該操作力を受け付ける部材を「浮動脚106」(本件訂正発明1の「キャスタ連動部材」に相当)が接続しておらず、上記操作力を受け付ける部材と「浮動脚106」とが同じ前後方向に移動することで「キャスタ10」の状態の切り換えが行われるものではない点。
(イ)検討・判断
上記相違点2について、判断する。
甲3発明は、「両端には、キャスタ10が結合」された「浮動脚106が、脚座8に対して上下動」することで、「キャスタ10」が「床面に接地」する状態と「床面から離間」する状態とが切り換えられるところ、「浮動脚106」ごと「キャスタ10」が上下動する甲3発明において、個々のキャスタをロック状態又は非ロック状態に切り換えるよう変更する動機付けはない。
したがって、甲3発明に甲2技術事項、甲5技術事項又は甲6技術事項を適用し、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成のうち、「キャスタ」が「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」される構成とする動機付けはない。
また、甲1発明、及び甲4技術事項は、「キャスタ」の「接地」と「非接地」とを切り換えるものであるから、甲3発明に甲1発明又は甲4技術事項を適用しても、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成のうち、「キャスタ」が「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」される構成とはならない。
(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、甲3発明、甲2技術事項、甲5技術事項、甲1発明、甲4技術事項、甲6技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件訂正発明2~7について
本件訂正発明2~7は、本件訂正発明1の構成を全て有し、さらに構成を付加したものであるから、本件訂正発明1と同様に、甲3発明、甲5技術事項、甲2技術事項、甲1発明、甲4技術事項、甲6技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件訂正発明8について
(ア)対比
本件訂正発明8と甲1発明とを対比する。
本件訂正発明8の構成8A、8B、8C、8D及び8Eについては、本件訂正発明1の構成1A、1B、1C、1D及び1Eと構成であり、
また、本件訂正発明8の8Fの「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いる点は、本件訂正発明1の1Fのうちの「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いる点と同じ構成である。
本件訂正発明8の構成において、本件訂正発明1と同じ構成については、上記ア(ア)a~dで対比したのと同様である。
a 構成8Gに関し、甲3発明の「連動機構」が有する「微調整カム76」及び、「昇降機構20」が有する「昇降カム96」は、「天板2を上方に押し上げ」ることと、「天板2が使用位置にある状態で、微調整レバー70」を「引き出す」こととが、それぞれ独立してでき、各操作において、回動動作する部材であって、「キャスタ10」が「床面に接地される」ことになることから、本件訂正発明8の「前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素」に相当する。
よって、甲3発明は、本件訂正発明8の構成のうち、「前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により」キャスタの状態を「切り換えられるようになって」いる構成を有している。
b 構成8Hに関し、上記(1)ウ(イ)c(b)で説明したとおり、甲3発明は、本件訂正発明8の構成のうち、「前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着してい」るとの構成を有している。
c 構成8Iに関し、甲3発明の「一対の微調整レバー70」は「天板2の下方、且つ、後方側の左右の端縁付近に夫々設けられた」ものであり、これが「操作されたとき」、天板を収納位置にしなくても、「脚部4の下方にキャスタ10を突出させ移動机1の移動を可能とする」、すなわち、一時的に、「キャスタ10」を「床面に対して」「転動可能状態」とすることができるものである。この「微調整レバー70」を操作することによる操作力は上記「昇降カム96」に伝えられ、これを「回転」させている。
そうすると、甲3発明の上記構成は、本件訂正発明8の構成のうちの「天板に、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されている」という構成と、「天板」に、「床面に対して」「転動不能状態」を一時的に解除して、「床面に対して」「転動可能状態」とするための「一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されている」」の点で共通している。
そうすると、本件訂正発明8と甲3発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点2A)
「床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動不能状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動可能状態に切り換わるように構成されたもので、
前記脚体は、前記両キャスタを床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されており、
前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを床面に対して転動不能状態と床面に対して転動可能状態とに選択的に切り換えられるようになっていて、
前記動作連動手段が、前記構成要素の回動を前記ベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しているとともに、
天板に、床面に対して転動不能状態を一時的に解除して床面に対して転動可能状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されている、
フラップ天板付き家具。」
(相違点2A)
「選択切換」される「キャスタ」の状態、及び、「キャスタ」の状態を「天板」の動作に連動させる具体的な機構に関し、
本件訂正発明8においては、「キャスタ」は「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」されるものであり、
「前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより」上記2つの状態が選択的に切り換わるように構成され、
「前記動作連動手段が、前記天板の前記脚体に対する相対動作を機械的に前記キャスタの前記操作部に伝達するもので、天板を前記跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであり、前記脚体は、前後両端部に前記キャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものである」とともに、
「前記ベースの前後両端部に取付けられた前記キャスタの前記操作部が前記キャスタ連動部材により接続されていて」いる、
と特定されているのに対して、
甲3発明においては、「キャスタ10」は「床面に接地」した状態と「床面から離間」した状態とで切り換えられるものであり、
「両端には、キャスタ10が結合」された「浮動脚106が、脚座8に対して上下動可能に連結され」るから、「キャスタ10」は「脚座8」(本件訂正発明8の「ベース」に相当)の前後両端部に取り付けられておらず、前後の両端部「キャスタ10」が、操作力を受け付ける部材(本件訂正発明8の「操作部」に相当)を有しておらず、当該操作力を受け付ける部材を「浮動脚106」(本件訂正発明8の「キャスタ連動部材」に相当)が接続し」ているものではない点。
(イ)検討・判断
上記相違点2Aについて、判断する。
甲3発明は、「両端には、キャスタ10が結合」された「浮動脚106が、脚座8に対して上下動」することで、「キャスタ10」が「床面に接地」する状態と「床面から離間」する状態とが切り換えられるところ、「浮動脚106」ごと「キャスタ10」が上下動する甲3発明において、個々のキャスタをロック状態又は非ロック状態に切り換えるよう変更する動機付けはない。
したがって、甲3発明に甲2技術事項、甲5技術事項又は甲6技術事項を適用し、上記相違点2Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、「キャスタ」が「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」される構成とする動機付けはない。
また、甲1発明、及び甲4技術事項は、「キャスタ」の「接地」と「非接地」とを切り換えるものであるから、甲3発明に甲1発明又は甲4技術事項を適用しても、上記相違点2Aに係る本件訂正発明8の構成のうち、「キャスタ」が「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」される構成とはならない。
(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明8は、甲3発明、甲2技術事項、甲5技術事項、甲1発明、甲4技術事項、甲6技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 本件訂正発明9について
(ア)対比
本件訂正発明9の構成9A及び9Bは、本件訂正発明1の構成1A及び1Cの構成と同じであることから、上記ア(ア)a~cのとおりである。
さらに、本件訂正発明9の構成9D及び9Fは、本件訂正発明8の構成8G及び8Iと同じであるから、上記ウ(ア)a及びbのとおりである。
なお、本件訂正発明9の構成9Dには、「前記車輪ロック状態と前記車輪にロック状態」との記載があるが、本件訂正発明8の8Gの「車輪ロック状態と車輪にロック状態」との記載と実質的に相違しない。
本件訂正発明9の構成9Eは、本件訂正発明8の構成8Hと実質的に同じであるから、上記ウ(ア)cで、構成8Hについて説明したとおりである。
そうすると、本件訂正発明9と甲3発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点2B)
「床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを床面に対して転動不能状態又は床面に対して転動可能状態に切り換える動作連動手段とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記キャスタが、床面に対して前記転動不能状態又は床面に対して前記転動可能状態に選択的に切り換わるように構成されたもので、
前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動不能状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に前記キャスタが床面に対して前記転動可能状態に切り換わるように構成されたもので、
前記動作連動手段が、前記天板のフラップ動作に連動して回転する態様と、フラップ動作とは切り離された状態で回転動作する態様とをとり得る構成要素を備えたものであり、この構成要素の回動により前記キャスタを床面に対して転動不能状態と床面に対して転動可能状態とに選択的に切り換えられるようになっていて、
前記動作連動手段が、前記構成要素の回動をベース側に昇降動作として伝達する上下連動シャフトを備え、前記構成要素の軸心から変位した部位に前記上下連動シャフトの上端部を枢着しているとともに、
天板に、床面に対して転動不能状態を一時的に解除して床面に対して転動可能状態とするための一時解除用操作部が設けられており、この一時解除用操作部を操作することにより操作力が前記構成要素に伝達されて当該構成要素が回動するように構成されている、
フラップ天板付き家具。」
(相違点2B)
「選択切換」される「キャスタ」の状態、及び、「キャスタ」の状態を「天板」の動作に連動させる具体的な機構に関し、
本件訂正発明9においては、「キャスタ」は「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」されるものであり、
「前記キャスタが、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより」上記2つの状態が選択的に切り換わるように構成され、
「前記動作連動手段が、前記天板を前記使用姿勢にした場合に前記キャスタが車輪ロック状態となり、前記天板を前記跳ね上げ姿勢にした場合に天板を跳ね上げ姿勢とする動作をキャスタ連動部材の前後方向の動作に変換して前記キャスタの前記操作部を作動させることにより前記キャスタを前記車輪ロック状態から前記車輪非ロック状態にするものであ」る、
と特定されているのに対して、
甲3発明においては、「キャスタ10」は「床面に接地」した状態と「床面から離間」した状態とで切り換えられるものであり、
「両端には、キャスタ10が結合」された「浮動脚106が、脚座8に対して上下動可能に連結され」るから、「キャスタ10」は「脚座8」(本件訂正発明9の「ベース」に相当)の前後両端部に取り付けられておらず、前後の両端部「キャスタ10」が、操作力を受け付ける部材(本件訂正発明9の「操作部」に相当)を有しているものではない点。
(イ)検討・判断
上記相違点2Bについて、判断する。
甲3発明は、「両端には、キャスタ10が結合」された「浮動脚106が、脚座8に対して上下動」することで、「キャスタ10」が「床面に接地」する状態と「床面から離間」する状態とが切り換えられるところ、「浮動脚106」ごと「キャスタ10」が上下動する甲3発明において、個々のキャスタをロック状態又は非ロック状態に切り換えるよう変更する動機付けはない。
したがって、甲3発明に甲2技術事項、甲5技術事項又は甲6技術事項を適用し、上記相違点2Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、「キャスタ」が「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」される構成とする動機付けはない。
また、甲1発明、及び甲4技術事項は、「キャスタ」の「接地」と「非接地」とを切り換えるものであるから、甲3発明に甲1発明又は甲4技術事項を適用しても、上記相違点2Bに係る本件訂正発明9の構成のうち、「キャスタ」が「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とで「選択切換」される構成とはならない。
(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明9は、甲3発明、甲2技術事項、甲5技術事項、甲1発明、甲4技術事項、甲6技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ 本件訂正発明10について
本件訂正発明10は、本件訂正発明9の構成を全て有し、さらに構成を付加したものであるから、本件訂正発明9と同様に、甲3発明、甲5技術事項、甲2技術事項、甲1発明、甲4技術事項、甲6技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、請求項1~10に係る発明の特許は、取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
さらに他に請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-701261