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特許異議申立

2025-700472

可動間仕切装置

審判番号
2025-700472
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-235031
登録番号
7575858
請求日
2025年04月25日
審決日
2025年08月25日
公報発行日
2025年09月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】コクヨ株式会社
  • 【権利者代理人】大西 雅直
  • 【異議申立人】南 ヒメ子
審判長/審判官
  • 審判長 小林 俊久
  • 審判官 秋田 将行
  • 審判官 三橋 健二
分類
P1651.55 -Y (E05D) / P1651.537-Y (E05D) / P1651.121-Y (E05D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第30条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7575858号発明「可動間仕切装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7575858号の請求項1~11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許7575858号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、平成29年12月7日に出願され、令和5年3月8日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年6月12日に拒絶査定不服審判(不服2023-9620号)を請求する審判請求書が提出され、これに対し、令和6年4月4日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月5日に意見書及び手続補正書が提出され、これに対し、同年7月4日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年8月7日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月19日付けで特許すべきものとする審決がなされ、同年10月22日にその特許権の設定登録がされ、同年同月30日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~11に係る特許に対し、令和7年4月25日に、特許異議申立人南 ヒメ子(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~11に係る発明(以下「本件発明1」等といい、まとめて、「本件発明」ということがある。)は、その特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである(A等は、合議体が付した。以下、符号A等を付した事項を構成A等という。)。 「【請求項1】 A 部屋を平面視複数の空間に仕切り得るように平面視T字状又は十字状をなすように天井に交差する屈曲部分を含んで配されたレールと、 B このレールに沿って移動可能であり前記部屋を間仕切るための複数のパネルと、 C 前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能であり、且つ前記レールに沿って前記交差する屈曲部分に位置決め機構を介して位置決めされ得る支柱とを具備し、 D 前記レールに沿って、前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得る E ことを特徴とする可動間仕切装置。 【請求項2】 前記レールが、少なくとも一部に有する屈曲形状により前記部屋を仕切り得るものであり、 前記支柱が、前記レールが屈曲又は交差する屈曲部分に位置決めされる請求項1記載の可動間仕切装置。 【請求項3】 前記支柱が平面視矩形状をなすものであり、 当該矩形状をなす四面の少なくとも二面に前記パネルを接続し得るものである請求項1又は2記載の可動間仕切装置。 【請求項4】 前記パネルが、矩形状をなす前記支柱の前記四面全てに接続し得る請求項3記載の可動間仕切装置。 【請求項5】 前記レールが平面視T字状をなすように前記天井に設けられたものであり、 前記支柱が、前記レールが交差する前記屈曲部分に位置決めされる請求項1~4の何れかに記載の可動間仕切装置。 【請求項6】 前記複数のパネルが、平面視L字状をなすように配列される請求項5記載の可動間仕切装置。 【請求項7】 前記レールが、前記屈曲部分を複数有するものであり、 前記支柱が、それぞれの前記屈曲部分に位置決めされるよう複数設けられている請求項2記載の可動間仕切装置。 【請求項8】 前記支柱が、前記レールに沿った所定位置において前記部屋の前記天井側及び床面側に位置決めされるための位置決め機構を有するものである請求項1~7の何れかに記載の可動間仕切装置。 【請求項9】 前記位置決め機構が、操作レバーと、操作レバーの動作により動作可能であり前記床面側及び前記天井側に係合し得る係合部と、前記操作レバーの動作寸法よりも大きな作動寸法で前記係合部を動作させる動作寸法増幅部とを有している請求項8記載の可動間仕切装置。 【請求項10】 前記位置決め機構が、前記係合部が前記天井側及び床面側に位置決めされた後の当該係合部の余剰動作を吸収する緩衝機構を有している請求項8又は9記載の可動間仕切装置。 【請求項11】 前記パネルが、平面視所定の寸法を有するパネル本体と、このパネル本体から平面視突出することにより前記支柱へ係合し得る突出部とを有している請求項1~10の何れかに記載の可動間仕切装置。」 第3 特許異議申立理由の概要及び証拠 1 特許異議申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、概ね以下の申立理由を主張するとともに、申立書に添付して、以下の2に示す各甲号証(以下、各甲号証をそれぞれ「甲1」等ということがある。)を証拠として提出している。 (1)理由1(新規事項) 令和6年8月7日付けの手続補正は、願書に最初に添付した明細書等の記載に基づくものではない。よって、本件特許は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第1項第1号に基づいて取り消されるべきである。 なお、申立人は、特許異議申立書の第1の理由の要点(5頁)、第5のむすび(42頁)において、理由1の対象を令和6年6月5日付け手続補正としているが、特許請求の範囲は、令和6年8月7日付け手続補正により全て補正されているから、申立書の10~13頁の主張からみて、令和6年8月7日付けの手続補正を理由1の対象とするものと理解した。 (2)理由2(明確性) 本件発明1は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、これを引用する本件発明2~11も同様に特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。よって、本件発明1~11に係る特許は、同法第113条第4号に基づいて取り消されるべきである。 (3)理由3(進歩性) 本件発明1~11は、甲1または甲10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、甲1または甲10に記載された発明、および甲1~10に記載された技術または周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、本件発明1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に基づいて取り消されるべきである。 2 申立書に添付して提出された証拠 甲1:「プランナーウォールSHIFT|商品を探す|コクヨ ファニチャー」、[online]、平成28年8月12日、[2025年3月12日検索]、 インターネット<URL:https://web.archive.org/web/2016081209 2026/http://www.kokuyo-furniture.co.jp:80/products/office/shift/> 甲2:コクヨ株式会社カタログ「プランナーウォール」、平成28年、コクヨ株式会社 甲3:コクヨHP「納入事例ヤフー株式会社様大阪オフィス増床」、[online]、インターネット<URL: https://www.kokuyo-furniture.co.jp/products/office/special/plannerwall/works/shift/post_100.html> 甲4:2017 年グッドデザイン賞スライディングウォール「プランナーウォール・シフト」、[online]、[2025年3月9日検索]、インターネット<URL:https://www.g-mark.org/gallery/winners/9de0db92-803d-11ed-af7e-0242ac130002> 甲5:特開2012-12816号公報 甲6:特開2011-231517号公報 甲7:特開2000-226961号公報 甲8:特開2015-90012号公報 甲9:特開2004-238845号公報 甲10:特開2015-37530号公報 第4 当審の判断 1 理由1(新規事項)について (1)申立人の主張の概要 令和6年6月5日に提出された手続補正書により請求項1に「前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と前記各収納庫との間でそれぞれパネルを移動させることで」と追加され、同年8月7日に提出された手続補正書により「前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで」と補正されたことにより、請求項1の構成Dにおいて、「・・・支柱と、・・・パネルが・・・重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得る」ものとなったが、以下の点で新規事項を追加するものである。 a 「・・・支柱と、・・・レールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させること」(以下「本件補正事項1」という。)について 「それぞれパネルを移動させる」には、それぞれのパネル(複数のパネルのそれぞれ)を移動されるものが含まれ、このとき、全てのレールの「それぞれの」端部からパネルを移動させないものを含むところ、そのような構成は、本件特許の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)に記載がなく、新規事項を追加するものである。 b 「パネルが・・・重なった状態で退避されるレールの始端側」について 「パネル」が「退避」されること(以下「本件補正事項2」という。)は、当初明細書等には記載されておらず、新規事項を追加するものである。 (2)新規事項についての判断 a 本件補正事項1について (a)請求項1の構成Dの「前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させる」において、「屈曲部分」は「平面視T字状又は十字状をなすように天井に交差する」「レール」に含まれるものであるから(構成A)、「レールの始端側」は、「レール」が「T字状」であれば3箇所、「十字状」であれば4箇所あるものと認められる。 (b)そうすると、「レールの始端側」に対応してレールは複数本あることが理解でき、請求項1の構成Dの「前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させる」における「それぞれパネルを移動させる」ことは、「パネルを移動させる」ことが、複数本あるレールの、「支柱と」「レールの始端側との間」の「それぞれ」でなされることを意味すると解するのが相当である。 (c)この点について、当初明細書等には次の記載がある。 「【0032】 パネル2は、上記レール1に少なくとも上側を支持されながら適宜移動することにより、平面視矩形状をなす支柱3の四面全てに接続し得るように構成されるものである。このパネル2は天井及び床面4に亘り略遮蔽し得る上下寸法を有し、平面視所定の寸法を有するように構成された板状をなすパネル本体21を主体とするものである。またこのパネル2は、パネル2同士並びに支柱3に対しレール1に沿った方向に接続し得るよう適宜の接続機構を有している。当該接続機構については既存の構成を種々適用し得るため、具体的な説明を省略する。そして本実施形態に係るパネル2の内、一部のパネル2は図10に示すように、上記パネル本体21に加え、このパネル本体から平面視突出することにより支柱へ係合し得る突出部22を有したものが配置されている。当該突出部22を有したパネル2が配置されることにより、パネル本体21の寸法又は当該寸法の和から支柱2までの距離が若干離間することがあっても、当該突出部22を突出させることにより部屋Rを好適に間仕切ることが可能である。 ・・・ 【0044】 このように本実施形態では上述した図8、図9等に示すように、レール1に設けられた屈曲部分15において位置決め機構5の作用により支柱3が天井側であるレール1のピン挿入孔14及び床面4に設けられたピン挿入孔44にそれぞれ上下の挿入ピン55bが挿入され、強固に位置決めされる。その結果、図1及び図2に示すような部屋Rを平面視T字状に間仕切る態様から、図11(a)、図11(b)に示すように平面視直線状に間仕切る態様や平面視L字状に間仕切る態様へと容易に変更することができる。また本実施形態に係る支柱3は上述の通り矩形状をなす四面全てがパネル2に接続し得ることから、レール1の配置によっては図12に示すように部屋Rを平面視十字すなわち+形状である四つに間仕切ることも可能である。」 【図2】 「 [図:0001426855000001.jpg] 」 【図12】 「 [図:0001426855000002.jpg] 」 ここで、図2、図12から、上記「レール1」が「支柱3」を中心として複数本延び、それぞれの「レール1」における、「支柱3」とは反対側の端部には、「パネル本体21」がレールの伸びる方向に対して垂直方向を向いて(レールの伸びる方向に対してパネルの表面が垂直になるように)重なった状態にあることが見て取れ、「パネル本体21」(パネル2)は、この状態と、「部屋Rを平面視T字状に間仕切る態様」、又は、「部屋Rを平面視十字」に「間仕切る」状態との間で移動可能なものが記載されていると認められる。 そして、上記(b)の理解は、上述の当初明細書等に記載されたものと整合し、本件補正事項1は、当初明細書等に記載されたものと認められる。 (d)申立人の本件補正事項1についての主張 申立人は、「構成要件[1D](※当審注:上記「構成D」に対応。以下同様。)の記載によれば、単に「「それぞれ」のパネルを移動させる(複数のパネルと同義)」と発明が特定されているため」、「全てのレールの端部においてパネル2が重なるよう配置されない」場合も含まれるように発明が特定され」、「「全てのレールの「それぞれの端部から」パネル2を移動」させずに間仕切態様を変更する場合(新たな技術上の意義)も含まれるように発明特定事項が記載されている」旨主張する。 しかしながら、請求項1の構成Dの「前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させる」における「それぞれ」は、「パネルを移動させる」ことが、複数本あるレールについて「・・・支柱と、・・・レールの始端側との間でそれぞれ」なされることを意味すると解されることは、上記(c)で述べたとおりである。 異議申立人が(新たな技術上の意義)と主張する「「全てのレールの「それぞれの端部から」パネル2を移動」させずに間仕切態様を変更する場合」について検討すると、本願明細書等の【0045】、【0046】及び図13には、レールが、屈曲部を二つ有する態様が記載されているところ、二つの屈曲部の間に位置するパネルを当該二つの屈曲部の間のレール以外のレールに移動することができないとすると、部屋Rを適宜の平面視形状に間仕切る場合に部屋Rの中央部にパネルが残ることとなり不合理である。そうすると、二つの屈曲部の間に位置するパネルを当該二つの屈曲部の間のレール以外のレールに移動すること、すなわち、パネルを屈曲部を越えたレールの部分に移動させることは当初明細書等に示唆されていたことであるといえる。 このように、申立人が【参考図1】として示すような「パネルが重なるよう配置されないレールの端部側を含む態様」は当初明細書等に示唆されていたといえる。 そして、当初明細書等には、上記態様が本件発明から排除されることは記載されておらず、そのように解すべき理由もない。 よって、申立人のこの主張は採用できない。 b 本件補正事項2について (a)請求項1の構成Dの「前記レールに沿って、前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得る」は、「パネル」が、「支柱」と「レールの始端側」との間で移動し、それによって、「パネル」が、「支柱」と「レールの始端側」との間で「間仕切り」をなす状態と、「レールの始端側」で「前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避」する状態とをとり得ることを意味するものと理解される。 (b)そうすると、請求項1の構成Dの「パネルが・・・重なった状態で退避され」の「退避」は、「パネル」が「支柱」と「レールの始端側」との間で「間仕切り」をなす状態から、「レールの始端側」で「前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった」状態へと移動することで退くことを意味するものと理解される。 (c)当初明細書等には、上記a(c)に摘記した図2、図12から、「パネル」が、「レールの始端側」で「前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なっ」て、「間仕切り」をなす状態(「パネル」が、「支柱」と「レールの始端側」との間で並んでいる状態)から退いた状態、すなわち、退避した状態にあるものが見て取れ、上記(b)の「退避」の意味による、請求項1の構成Dの「パネルが・・・重なった状態で退避され」ることは、当初明細書等に記載されていたことである。 (d)申立人の本件補正事項2についての主張 申立人は、「構成要件[1D]の「前記パネル2が前記レール1の延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレール1の始端側」に関して、出願当初明細書および図面には、「パネル2がレールの延伸方向に対して重なるように配置される」ことが記載されているものの、「重なった状態のパネル2の一部」は依然として直線状のレール1に存在しているため、「パネル2が退避される」ことは記載されていない。また、図2、11、12にはパネルが重なった部分が部屋/空間の外であることは記載されていないため、「パネル2が退避(または収納)」されることは出願当初明細書等に記載されておらず、新たな技術的事項を導入するものである」旨主張する。 上記「「重なった状態のパネル2の一部」は依然として直線状のレール1に存在しているため、「パネル2が退避される」ことは記載されていない」との主張、及び、「パネルが重なった部分が部屋/空間の外であることは記載されていない」との主張から、申立人は、請求項1の構成Dにおける「パネル」が「退避される」の意味を、該「パネル」が完全に「レール」からはずれること、あるいは、該「パネル」が、「部屋」(をなす空間)の外に出ることを意味すると、限定解釈しているものと理解される。 しかしながら、上記(b)で検討したように、請求項1の構成Dの「退避」は、「パネル」が「支柱」と「レールの始端側」との間で「間仕切り」をなす状態から、「レールの始端側」で「前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった」状態へと移動することで退くことを意味するものと理解されるから、上記限定解釈をする必要はなく、出願人のこの主張も採用できない。 (3)小括 以上から、本件補正事項1、本件補正事項2は、本件特許の当初明細書等に記載されている事項であり、本件特許の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願についてされたものではない。 2 理由2(明確性)について (1)申立人の主張の概要 a 請求項1の構成要件[1D]の「それぞれ」の指す対象物が不明確であるため、構成要件[1D]の技術的意味が、「支柱3と、パネルが重なるレール1の「少なくとも1つ」始端側との間で、「それぞれの」パネルを移動させて間仕切を変更する」ことを特定しているのか、または、「支柱3と、全てのレールの「それぞれの端部から」パネル2を移動させて間仕切を変更する」ことを特定しているのか否かが不明確である。 すなわち、請求項1の構成要件[1D]は、「パネルが重なつて退避される始端側」が、レールの「少なくとも1つ」に特定されているのか、または、「全てのレールの端都」に特定されているのか、が不明確である。 b 構成要件[1D]の「垂直方向を向いて重なった状態」かつ「退避される」パネルとは、パネルがどのような状態となることを特定しているのか、明細書にも何ら記載されていないため、明確ではない。 c 「レールの始端側」という文言について、一般的にパネルを移動させるレールは、複数のレールを接続し、一本または複数本の移動経路を形成するためのレールを形成することが一般的であるため、「レールの始端側」が、一本または複数本の移動経路を形成するための個々のレールのそれぞれを意味するのか、一本または複数本の移動経路のレールの単なる端部を意味するのか、が明らかでない。移動経路の場合「始端側」に対応する「終端側」があるのであれば理解できるが、出願当初明細書に何ら記載されてない「始端側」の説明が無く、不明瞭である。 したがって、請求項1に記載の「前記レールに沿って、前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させる」は、明細書および図面を参酌したとしても、複数の状態が含まれることとなり、当業者が理解できるように記載されていない。 d 請求項1の記載が明確ではないため、請求項1を引用する請求項2~11も同様に明確ではない。 (2)明確性についての判断 a 上記(1)aに記載した点 上記1(2)aで検討したように、請求項1の構成Dの「前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させる」における「それぞれ」は、「パネルを移動させる」ことが、複数本あるレールについて「・・・支柱と、・・・レールの始端側との間でそれぞれ」なされることを意味すると理解される。 そうすると、上記「それぞれ」の意味を踏まえると、請求項1の構成Dにおける「パネルが重なつて退避される始端側」が、全てのレールの端都(始端側)について特定されていることが明らかであり、「パネルが重なつて退避される始端側」の意味するものは明確である。 b 上記(1)bに記載した点 上記1(2)bで検討したように、請求項1の構成Dの「パネルが・・・重なった状態で退避され」の「退避」は、「パネル」が「支柱」と「レールの始端側」との間で「間仕切り」をなす状態から、「レールの始端側」で「前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった」状態へと移動することで退くことを意味するものと理解される。 そうすると、請求項1の構成Dの「垂直方向を向いて重なった状態」かつ「退避される」パネルとは、「支柱」と「レールの始端側」との間で「間仕切り」をなす状態から、「レールの始端側」で「前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった」状態へと移動する「パネル」を意味することが明らかであり、明確である。 c 上記(1)cに記載した点 上記1(2)b(a)で述べたとおり、請求項1の構成Dの「前記レールに沿って、前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得る」は、「パネル」が、「支柱」と「レールの始端側」との間で移動し、それによって、「パネル」が、「支柱」と「レールの始端側」との間で「間仕切り」をなす状態と、「レールの始端側」で「前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避」する状態とをとり得ることを意味するものと理解される。 そうすると、上記aのように「それぞれ」の意味を理解すると、「レールの始端側」は、それぞれの「レール」について、「支柱」側の端部に対して、「パネル」が「退避」する方の端部を意味していることが明らかである。 また、「レールの始端」は、「レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避」している「パネル」を、「間仕切り」として機能するように「支柱」へ向けて移動を開始するときの「レール」端部を意味するものと理解される。 よって、請求項1の構成Dの「前記レールに沿って、前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させる」の意味は、明確である。 d 上記(1)dに記載した点 請求項2~11は、請求項1を引用するものであるところ、上記(1)a~cに請求項1について記載した点以外に、その意味が明確でない点はない。 そして、請求項1は、上記a~cで検討したとおり明確であるから、請求項1を引用する請求項2~11も明確である。 (3)小括 以上から、請求項1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものではない。 3 理由3(進歩性)について (1)証拠の記載 ア 甲1 (ア)甲1は、コクヨ株式会社のウェブサイトページ(ウェブ)であって、「間仕切り」の製品である「プランナーウォールSHIFT」(PLANNER WALL SHIFT)を掲載したものであり、インターネットアーカイブのウェブアーカイブサービスであるウェイバックマシンが2017年8月12日に収集したものである。 そして、甲1には、以下の写真が掲載されている(以下「図1」という。)。 図1 「 [図:0001426855000003.jpg] 」 図1には、パネル上部にある天井面にレールが設けられ、レールに沿って複数のパネルが移動可能である点(以下「認定事項1」という。)が認定できる。 (イ)甲1には、以下の図面(以下「図2」という。)も掲載されている。 図2 「 [図:0001426855000004.jpg] 」 図2には、中央奥付近に複数のパネルが配置されており、該複数のパネルのうち、最も手前にドア付きのパネルが配置され、その背後に複数のパネルが重ねて配置されている点が見て取れる。そして、複数のパネルが配置された部位の正面右側上端から左手前に向けて、天井面に直線が描かれていることが見て取れる。 また、図2の左端から中央に向かう、透明な部分を有するパネル状の仕切りが設けられている点が見て取れる。 (ウ)甲1には、以下の図面(以下「図3」という。)も掲載されている。 図3 「 [図:0001426855000005.jpg] 」 図3を参照すると、図2から読み取れる天井面に描かれた直線に沿って、ドア付きのパネル及びガラスパネルが連続して配置されていることから、図2に示された態様においては奥に配置されていた複数のパネルが引き出され、図2から読み取れる天井面に描かれた直線に沿って、複数のパネルが配置されることによって、研修室とラウンジの間に複数のパネルが整列され、図2から読み取れる、予め配置されている透明な部分を有するパネル状の仕切りの右端の部分に、中央奥付近から引き出された複数のパネルの先端が当接するように配置された点が見て取れる。 (エ)甲1には、以下の図面(以下「図4」という。)も掲載されている。 図4 「 [図:0001426855000006.jpg] 」 図4には、右端に複数のパネルが重ねて配置されている点が見て取れる。そして、複数のパネルが配置された部位である右端から左に向けて、天井面に直線が描かれていることが見て取れる。また、図4から見て取れる、会議空間の前方(図面上の左側)の壁には、上記直線の左端となる部分に、柱状の膨らみがあることが見て取れる。 (オ)甲1には、以下の図面(以下「図5」という。)も掲載されている。 図5 「 [図:0001426855000007.jpg] 」 図5を参照すると、図4から読み取れる天井面に描かれた直線に沿って、パネルが連続して壁状に配置されていることから、図4に示された態様においては収納されていた複数のパネルが引き出され、図4から読み取れる天井面に描かれた直線に沿って、複数のパネルが配置されることによって、会議空間の中央部に複数のパネルが整列され、図4から読み取れる該会議空間の前方(図面上の左側)の壁の柱状に膨らんだ部分に、引き出された複数のパネルの先端が当接するように配置された点が見て取れる。 (カ)甲1には、「プランナーウォールSHIFT」を構成する要素を示す図面 として、以下の図(以下「図6」という。)が掲載されている。 図6 「 [図:0001426855000008.jpg] 」 図6より、「プランナーウォールSHIFT」は、スタンダードパネル、ダブルガラスパネル等の複数種類のパネルと、コーナーポールからなる点(以下「認定事項2」)が認定できる。 (キ)甲1には、以下の図(以下「図7」という。)が掲載されている。 図7 「 [図:0001426855000009.jpg] 」 図7は、判然とはしないものの上端にレールの断面のようなものがあり、同時にパネルの断面が記載されていることから、レールに平行な方向からみた図であると認められ、図7における「レール幅/85mm」の記載より、レールも「プランナーウォールSHIFT」を構成する要素であることが認定できる。 そして、図7においてレールの下にパネル本体及びコーナーボールが設けられていることが見て取れるから、複数のパネル及びコーナーポールが、レールの下に設けられたものである点(認定事項3)が認定できる。 (ク)図2~図5に示された「プランナーSHIFT」は、図6及び図7に示された要素により構成されることが明らかであるから、図2及び4において天井面に描かれた直線はレールを意味し、図3及び図5において、図2及び図4における天井面に描かれた直線に沿って配置された複数のパネルは、天井面に配置された直線上のレールに沿って設けられたものと認められる。 上記のレールについての認定を踏まえると、図2及び図4に示された態様では、レールの端部に、複数のパネルがレールの伸びる方向に対しパネルの表面が垂直なるように重ねて配置されている状態にあることが見て取れ、図3及び図5に示された態様では、複数のパネルが、天井面のレールに沿って配置されている状態にあることが見て取れ、また、上記(ウ)~(オ)から、複数のパネルは、レールの端部と、予め配置されているパネル状の仕切りの端の部分、又は、壁の柱状に膨らんだ部分との間で移動することが理解される。 してみると、図2~図5より、レールは天井面において直線状に設けられ、複数のパネルは、レールの端部に、該レールの伸びる方向に対しパネルの表面が垂直になるように重ねて配置されている状態と、該レールに沿って配置されている状態との間で、移動可能であり、また、前記複数のパネルは、前記レールの端部と、予め配置されているパネル状の仕切りの端の部分、又は、壁の柱状に膨らんだ部分との間で移動する点(以下「認定事項4」という。)が認定できる。 (ケ)図6及び図7に記載されたコーナーポールは、その名が示すとおり、角部(コーナー)に配置され、パネルとは別の独立した部材である(以下「認定事項5」という。)と認められる。 (コ)以上のことから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「天井面に設けられた直線状のレールと(認定事項1、認定事項4)、 レールの下に設けられ、レールに沿って移動可能である複数のパネルと(認定事項1、認定事項3)、 レールの下に設けられるコーナーポールとからなり(認定事項3)、 レールは天井面において直線状に設けられ、複数のパネルは、レールの端部に、該レールの伸びる方向に対しパネルの表面が垂直になるように重ねて配置されている状態と、該レールに沿って配置されている状態との間で、移動可能であり、また、前記複数のパネルは、前記レールの端部と、予め配置されているパネル状の仕切りの端の部分、又は、壁の柱状に膨らんだ部分との間で移動し(認定事項4)、 コーナーポールは独立した部材である(認定事項5)、 間仕切り。」 イ 甲2 (ア)甲2は、コクヨ株式会社の「間仕切り」の製品である「プランナーウォールシフト」(PLANNER WALL SHIFT)のカタログであり、最終頁に「商品仕様は、平成28年6月1日現在のものです。」と記載され、同頁右下に「2016-068」の数字が見て取れることから、遅くとも2016年末までに発行されたものと認められる。 そして、甲2には、4頁に甲1の図2及び図3と同様の空間の写真が掲載され、6頁に甲1の図4及び図5と同様の空間の写真が掲載されている。 (イ)甲2には、以下の事項も掲載されている。 5頁 「 [図:0001426855000010.jpg] 」 5頁の掲載によれば、OPENの状態おいて、中央の奥には壁状のものがあり、天井面には、該壁状のものの左右端から手前方向に伸びる、直線状の線が描かれていることが見て取れる。 また、5頁の掲載によれば、CLOSEの状態において、OPENの状態では天井面に描かれていた直線に沿って、ドア付きのパネル及びガラスパネルが連続して配置されていることから、OPENの状態においては見えなかった複数のパネルが、CLOSEの状態では天井面に描かれていた直線に沿って配置されることによって、オープンなマネージメントエリアとミーティング空間の間に複数のパネルが整列された点が見て取れる。 (ウ)甲2には、以下の事項も掲載されている(赤い四角の囲みは、申立人による。)。 7頁 「 [図:0001426855000011.jpg] 」 7頁に掲載された図によれば、CLOSEの状態の画像中央の奥の部分おいて、ドア付きのパネル及びガラスパネルと、手前側と奥側の壁状のもので区切られていた会議室が、OPEN状態ではドア付きのパネル及びガラスパネルがなくなり大きなスペース(空間)となり、天井面には、ドア付きのパネル及びガラスパネルがあったところに、直線状の線が描かれていることが見て取れる。 また、7頁の右上にある図面から、CLOSEの状態では、水色の空間と赤紫の空間との間に仕切りが並んでおり、同図面において、赤紫の空間の上のより小さい空間は壁状のもので囲まれていることが見て取れ、一方、OPENの状態では、CLOSEの状態においてはあった仕切りがなくなり、壁状のもので囲まれている上記空間には、椅子等が収納されているとともに、上記(イ)の図の右上図の表示と対比すれば、パネルがまとまって収納されていることが見て取れる。 (エ)上記(イ)、(ウ)から、上記複数のパネルは、OPENの状態では、天井面に描かれていた直線に沿って連続して配置されておらず、広い空間は複数のパネルで仕切られておらず、CLOSEの状態では、移動することで、天井面に描かれていた直線に沿って連続して配置され、複数のパネルと壁状のもので空間が仕切られるものと認められる。 (オ)甲2には、以下の事項も掲載されている。 10頁中央から下 「 [図:0001426855000012.jpg] 」 10頁右下の、スタンダードパネル、ダブルガラスパネルと書かれた図面には、判然とはしないものの上端にレールの断面のようなものがあり、同時にパネルの断面が記載されていることから、レールに平行な方向からみた図面であると認められ、同図面における「レール幅/85mm」の記載より、レールも「プランナーウォールシフト」を構成する要素であることが認定できる。また、同図面において、スタンダードパネル、ダブルガラスパネルといった複数のパネルは、レールの下に設けられるところ、レールも「プランナーウォールシフト」を構成する要素であることを踏まえると、4頁~7頁の写真から見て取れる、壁状のものの端部から伸びる、天井面の直線はレールを意味するものと認められる。 そうすると、甲2において4頁~7頁から、天井面に、壁状のものの端部から伸び、直線状に配置されたレールがあり、複数のパネルは、レールの下に設けられること(以下「認定事項6」という。)が認められる。 (カ)そして、上記(エ)、(オ)から、複数のパネルは、OPENの状態では、レールに沿って連続して配置されておらず、広い空間は複数のパネルで仕切られておらず、CLOSEの状態では、レールに沿って連続して配置され、複数のパネルと壁状のもので空間が仕切られ、複数のパネルは、OPENの状態とCLOSEの状態との間で移動可能である(以下「認定事項7」という。)と認められる。 (キ)そうすると、甲2には、次の技術事項(以下「甲2技術」という。)が記載されている。 「天井面に、壁状のものの端部から伸び、直線状に配置されたレールがあり、 複数のパネルは、レールの下に設けられ(認定事項6)、 上記複数のパネルは、OPENの状態では、レールに沿って連続して配置されておらず、広い空間は複数のパネルで仕切られておらず、CLOSEの状態では、レールに沿って連続して配置され、複数のパネルと壁状のもので空間が仕切られ、複数のパネルは、OPENの状態とCLOSEの状態との間で移動可能である(認定事項7)技術。」 ウ 甲3 (ア)甲3は、コクヨ株式会社のウェブサイトページ(ウェブ)であって、「間仕切り」の製品である「プランナーウォール・シフト」(PLANNER WALL)の導入事例を掲載したものである。なお、その導入先は、本件特許において特許法第30条第2項の発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受ける行為の導入先と同じ、「ヤフー株式会社 大阪オフィス」となっている。 そして、甲3には、以下の写真が記載されている。 図1 「 [図:0001426855000013.jpg] 」 図2 「 [図:0001426855000014.jpg] 」 図2において、空間は1つであり、天井面にL字状の線が描かれ、L字状の線の壁側の両端には、複数のパネルが重ねられて配置されていることが見て取れ、図1において、上記1つの空間は、図2において天井面のL字状の線があったところの下に、パネルが並んで配置され、2つの空間に仕切られていることが見て取れる。 (イ)そうすると、甲3には、次の技術事項(以下「甲3技術」という。)が記載されている。 「天井面にL字状の線が描かれ、該L字状の線の壁側の両端に、それぞれ重ねられて配置されている複数のパネルを、該L字状の線の下に移動させて、空間を区切る技術」。 エ 甲4 甲4は、公益財団法人日本デザイン振興会による「GOOD DESIGN AWARD」のウェブサイトページ(ウェブ)であって、その「2017年 グッドデザイン賞」のウェブにおいて、コクヨ株式会社の「間仕切り」の製品である「スライディングウォール プランナーウォール・シフト」が掲載されている。 甲4には、上記「プランナーウォール・シフト」について、当該製品についての写真などともに、 「発売 2016/07/01」 「どこで購入できるか、どこで見られるか コクヨ株式会社 東京ショールーム 梅田ショールーム」 と記載されている(以下「甲4記載事項」という。)。 オ 甲5 (ア)甲5には以下の記載がある。 「【0001】 本発明は、移動式間仕切装置に係わり、更に詳しくは大部屋を小部屋に区画するために天井から床面にわたる全面を閉止可能又は開放可能となした移動式間仕切装置に関するものである。」 「【0012】 以上にしてなる請求項1に係る発明の移動式間仕切装置によれば、移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿ってL字状あるいはT字状に整列させるとともに、下部に設けたリフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置であって、コーナー部を越えて先行して整列させる移動パネルの後端に予め化粧ポストを取付けてあり、該移動パネルを整列させた際に前記化粧ポストがガイドレールのコーナー部に位置し、該化粧ポストの側面には後続の移動パネルの前端を凹凸係合する接合部を設けたので、順番どおりに各移動パネルをガイドレールに沿って移動させ、先行の移動パネルの後端に突き合わせてリフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態に整列させると、コーナー部に隣接する先行の移動パネルの後端に予め取付けた化粧ポストがコーナー部に位置し、該化粧ポストの接合部に後続の移動パネルの前端を接合して移動規制状態にするといった簡単な作業で複数の移動パネルを用いてL字状あるいはT字状に区画することができ、コーナー部に化粧ポストが位置するので、外観性にも優れたものとなる。 ・・・・ 【0016】 請求項5によれば、複数の移動パネルを整列させて大部屋を小部屋に区画するための移動式間仕切装置に用いる移動パネルであって、特定の移動パネルの一側端に、他の移動パネルの側端を接合する接合部を設けた化粧ポストを取付けてあり、該化粧ポストの接合部には、幅方向中央部で上下全長にわたり縦溝を形成し、その両側に当接縁を形成したので、当該化粧ポストを取付けた移動パネルをL字状、T字状、十字状に整列させる際のコーナー部と隣接する位置に用いることにより、他の移動パネルを化粧ポストの接合部に接合することで、外観性に優れたコーナー部を形成できる。」 「【0019】 本発明に係る移動式間仕切装置は、図1~図6に示すように、移動パネル1の下端部に設けた転動輪2で床面F上を走行するとともに、移動パネル1の上端部に設けたガイドローラ3,3を天井Sに設けたガイドレール4に沿って移動案内し、複数の移動パネル1,…をガイドレール4に沿って列設させ、またガイドレール4の一側終端部に重ねて格納し、天井Sから床面Fにわたる全面を閉止可能又は開放可能となした下荷重方式の構造のものである。そして、本実施形態では、複数の移動パネル1,…をガイドレール4に沿って列設させた状態では、該移動パネル1の移動を規制するため、下端部に設けたリフト機構5を操作して該移動パネル1を上昇させ、もって前記転動輪2,…を床面Fから浮上させるのである。」 「【0022】 本発明は、移動パネル1の下端部に設けた転動輪2,…で床面F上を走行するとともに、移動パネル1の上端部に設けたガイドローラ3,3を天井Sに設けたガイドレール4に沿って移動案内し、複数の移動パネル1,…をガイドレール4に沿ってL字状あるいはT字状に整列させるとともに、下部に設けたリフト機構5によって転動輪2,…を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置であって、コーナー部4Eを越えて先行して整列させる移動パネル1の後端に予め化粧ポスト100を取付けてあり、該移動パネル1を整列させた際に前記化粧ポスト100がガイドレール4のコーナー部4Eに位置し、該化粧ポスト100の側面には後続の移動パネル1の前端を凹凸係合する接合部101を設けたものである。」 「【0048】 次に、図15~図19に基づいて本発明を更に詳しく説明する。本実施形態では、複数の引用文献小津パネル1,…をL字状に整列させて大部屋を区画する例を示す。従って、図17に示すように、ガイドレール4は平面視L字状に構成されている。二つのガイドレール4,4の端部を45°に切断して突き合わせてコーナー部4Eを形成している。前記化粧ポスト100は、断面略四角形の長尺部材であり、一面は前記移動パネル1の後端、即ち移動方向に対して反対側の縦枠11に取付ける取付部102となっており、他の3面のうち一側面には後続の移動パネル1の前端のパッキン10を凹凸係合する接合部101を設け、他の二側面は平面103となっている。 ・・・・ 【0051】 そして、図18に示すように、先行する移動パネル1を前記ガイドレール4のコーナー部4Eを越えて移動させ、順次先行の移動パネル1の後端に衝突させ、リフト機構5によって転動輪2,…を浮上させて移動規制状態にし、後端部のストッパー77を下降させてピン79を床面Fの係合穴81に係合する。前記コーナー部4Eに隣接する移動パネル1を所定位置に移動規制状態とすると、その後端に取付けてある化粧ポスト100はコーナー部4Eに自動的に位置し、前記縦溝104内で前記操作部108,109を操作して、下方の係合ピン107を床面Fの係合穴81に嵌挿し、上方の係合ピン106をコーナー部4Eの両摺動片28,28間の溝部に係合する。この状態で、化粧ポスト100の接合部101に、後続の移動パネル1の前端が衝突しても、該化粧ポスト100は外側へ移動することがない。従って、他の直線状に整列させる移動パネル1と同じように、化粧ポスト100の接合部101に衝突させて、リフト機構5を作動させて転動輪2,…を浮上させて移動規制状態にすることができる。尚、T字状に整列させる場合には、前記化粧ポスト100の二側面に接合部101,101を形成すれば良い。また、十字状に整列させることも可能であるが、格納箇所を複数設ける必要がある。」 (イ)そうすると、甲5には、次の技術事項(以下「甲5技術」という。)が記載されている。 「特定の移動パネルの一側端に、他の移動パネルの側端を接合する接合部を設けた化粧ポストを取付けてあり、該化粧ポストの接合部には、幅方向中央部で上下全長にわたり縦溝を形成し、その両側に当接縁を形成したので、当該化粧ポストを取付けた移動パネルをL字状、T字状、十字状に整列させる際のコーナー部と隣接する位置に用いることにより、他の移動パネルを化粧ポストの接合部に接合するものであって(【0016】)、 移動パネルを、その上端部に設けたガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って整列させ(【0012】、【0022】)、またガイドレールの一側終端部に重ねて格納し(【0019】)、 ガイドレールのコーナー部を越えて先行して整列させる移動パネルの後端に予め化粧ポストを取付けてあり、該移動パネルを整列させた際に前記化粧ポストがガイドレールのコーナー部に位置し、該化粧ポストの側面には後続の移動パネルの前端を凹凸係合する接合部を設けたので、順番どおりに各移動パネルをガイドレールに沿って移動させ、先行の移動パネルの後端に突き合わせて整列させると、コーナー部に隣接する先行の移動パネルの後端に予め取付けた化粧ポストがコーナー部に位置し(【0012】、【0022】)、 前記化粧ポストは、断面略四角形の長尺部材であり、一面は前記移動パネルの後端、即ち移動方向に対して反対側の縦枠に取付ける取付部となっており、一側面には後続の移動パネルの前端のパッキンを凹凸係合する接合部を設け(【0048】)、 T字状に整列させる場合には、前記化粧ポストの二側面に接合部を形成すれば良く、また、十字状に整列させることも可能であるが、格納箇所を複数設ける必要がある(【0051】)、技術。」 カ 甲6 (ア)甲6には以下の記載がある。 「【0013】 以下、本発明に係る移動壁用吊車装置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の移動壁用吊車装置(以下、「吊車装置1」という。)は、移動壁9を吊り下げ支持して天井に敷設されたレール6に案内されて走行するものである。移動壁9は、例えば、コンベンションホール、宴会場、会議室、研修室、ギャラリー、美術館、博物館等において、広い空間を使用目的に応じて所望のサイズに間仕切りするのに用いられる矩形パネル状に形成されている。移動壁9の幅方向の両側の上端にそれぞれ吊車装置1が連結されている。すなわち、移動壁9は、2つの吊車装置1によって吊り下げ支持されており、手動で2つの吊車装置1とともにレール6に沿って移動することができるようになっている。また、移動壁9は方向転換部7で方向転換を行う場合には、まず、走行方向前方の吊車装置1が方向転換部7で方向転換を行ってから次に走行方向後方の吊車装置1が方向転換部7で方向転換を行うことにより、移動壁9の方向が変わるようになっている。 【0014】 レール6は、図1、図6及び図7に示すように、直線レール60を十字状、T字状、L字状の少なくとも1つの形状に連結して方向転換部7を形成してなる。直線レール60は、図2及び図5~図7に示すように、断面横長の略矩形筒体の下辺であるレール片61の中央が開口されたスリット62を有する形状を基本形状とし、例えば、アルミニウムの押出し型材から成形されている。なお、直線レール60の材料としては、アルミニウムに限定されず、他の材料、例えば、鉄鋼材、ステンレス等を用いてもよい。」 「【0024】 また、方向転換部7には、無方向性に転動可能なベアリング12つまりフリーベアリングが設けられている。ベアリング12は、方向転換部7の内側の角部のスリット62と走行面61aとの間に配置されている。ベアリング12は、方向転換部7が十字状で形成されている場合には、4つの角部のすべてに設けられている。ベアリング12は、一端の開口部から一部が突出した状態で他端が閉塞された円筒体状のベアリングケース13に無方向性に転動可能に収容されている。ベアリングケース13の閉塞面の中央には、外周にねじ山が形成されているネジ部13aが同軸上に設けられており、このネジ部13aをL字取付板11の曲がり部の穴11aに通し例えばワッシャー98を介してナット99等を螺合させて、ベアリングケース13の閉塞面がL字取付板11の曲がり部の表面である取付面に面接触した状態で着脱可能に取り付けられている。すなわち、ベアリングケース13及びベアリング12は、L字取付板11を介して直線レール60に着脱可能に取り付けられている。ベアリング12は、ベアリングケース13がL字取付板11に取り付けられた状態で、走行面61aと同一面から上方に突出している。」 「【0040】 車体2は、走行する一対の車輪4の端面やカバー5の側面が直線レール60の両側辺のガイド部64に接触してガイドされて、直線レール60内を横つまり直線レール60の幅方向にぶれることなく走行する。このとき、カバー5が合成樹脂で形成されていることで、カバー5が金属で形成されている場合に比して、カバー5がレール6(ガイド部64)に接触することによる音の発生や振動を抑制することができる。そして、吊車装置1が十字状、T字状、L字状のいずれの方向転換部7を走行するときでも、車体2の下面56の円弧凹部58にベアリング12が摺接して車体2の水平状態が維持されるから、車輪4が走行面61aの間の特にスリット62に落ち込むことなく吊車装置1が走行する。」 (イ)そうすると、甲6には、次の技術事項(以下「甲6技術」という。)が記載されている。 「移動壁9の幅方向の両側の上端にそれぞれ吊車装置1が連結され、移動壁9を吊り下げ支持して天井に敷設されたレール6に案内されて走行するものであり、移動壁9は方向転換部7で方向転換を行い(【0013】)、 レール6は、直線レール60を十字状、T字状、L字状の少なくとも1つの形状に連結して方向転換部7を形成してなり(【0014】)、 方向転換部7には、無方向性に転動可能なベアリング12つまりフリーベアリングが設けられており、ベアリング12は、方向転換部7が十字状で形成されている場合には、4つの角部のすべてに設けられており(【0024】)、 吊車装置1が十字状、T字状、L字状のいずれの方向転換部7を走行するときでも、車体2の下面56の円弧凹部58にベアリング12が摺接して車体2の水平状態が維持される(【0040】)、技術。」 キ 甲7 (ア)甲7には以下の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は広い室内を適宜に区切る移動間仕切り装置における移動間仕切りの走行を案内する間仕切り保持レールに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の保持用レールの一例を図6及び7に示す。図6に於いて移動間仕切り装置50は、移動間仕切り保持レール51と、該レール上を走行する間仕切り吊り下げ用吊り車Hと、該吊り車Hに吊り下げシャフトSを介して取付けられる移動間仕切り(以下移動パネルという)Pとを主体として構成される。AはH型鋼により構成され、建具適所に取付けられるレール支持金具、Rは天井板を、またRFは上記レール51と天井板Rとの間隙を覆う天井見切り板を、またJは移動パネルPと床板Fとの間に挿入されるパネル固定用ジャッキをそれぞれ示す。ただし移動パネルPは図7に示す如く、上部の前後を吊り車Hにより吊り下げられている。なお、図8は吊り車Hの下面図を示す。図中Haはボールを示し、後述するクロスポイントBにおける直角方向への移行を許容するようにしたものである。 【0003】上記レール51は、図7に示す如く室W内に縦横方向に敷設され、移動パネルPを適宜の位置に移送し、室内を区切るようにしたものである。ただし51aはパネルPを収納するための収納室Waに敷設した補助レールを示す。」 (イ)そうすると、甲7には、次の技術事項(以下「甲7技術」という。)が記載されている。 「移動間仕切り装置50は、移動間仕切り保持レール51と、該レール上を走行する間仕切り吊り下げ用吊り車Hと、該吊り車Hに吊り下げシャフトSを介して取付けられる移動パネルPとを主体として構成され、吊り車Hは、クロスポイントBにおける直角方向への移行を許容するようにしたものであり(【0002】)、 レール51は、室W内に縦横方向に敷設され、移動パネルPを適宜の位置に移送し、室内を区切るようにしたものである(【0003】)、技術。」 ク 甲8 (ア)甲8には以下の記載がある。 「【0013】 図1(a)に示されるように、移動間仕切装置1は、部屋の空間を仕切る複数の間仕切パネル3がそれぞれ天井Rに固定に設けられた金属材からなる上面視枠状の走行レール2に移動自在に吊持されて構成されている。走行レール2は後述する数種類のレール部材(上面視略T字レール部材5A,L字レール部材5B,直線レール部材5C等)の組み合わせで構成され、直線状に配設された走行レール2に沿って床面Fから天井Rを閉塞するように立設される複数の間仕切パネル3を順次並設することで、部屋を区画できるようになっている。 【0014】 図1(b)に示されるように、部屋の壁面W側では、走行レール2が、前記した直線状の部分から直角に分岐して該直線状の部分に平行に配設され、複数の間仕切パネル3を順次一枚毎に格納可能な格納部4が形成されている。間仕切パネル3を格納部4に移動して格納する際に、吊支部材6,6を軸にして間仕切パネル3が分岐した走行レール2に沿って上面視で部屋を区画する直線方向から直角に回動し、更に平行の走行レール2に沿って移動することで、複数の間仕切パネル3が次々と壁面W側に重ね合わされて格納され、部屋の空間を連通できるようになっている。」 (イ)そうすると、甲8には、次の技術事項(以下「甲8技術」という。)が記載されている。 「移動間仕切装置1は、部屋の空間を仕切る複数の間仕切パネル3がそれぞれ天井Rに固定に設けられた金属材からなる上面視枠状の走行レール2に移動自在に吊持されて構成されており、 走行レール2は上面視略T字レール部材5A,L字レール部材5B,直線レール部材5C等の組み合わせで構成され、直線状に配設された走行レール2に沿って、複数の間仕切パネル3を順次並設することで、部屋を区画できるようになっており(【0013】)、 部屋の壁面W側では、走行レール2が、前記した直線状の部分から直角に分岐して該直線状の部分に平行に配設され、複数の間仕切パネル3を順次一枚毎に格納可能な格納部4が形成され、間仕切パネル3を格納部4に移動して、複数の間仕切パネル3が次々と壁面W側に重ね合わされて格納される(【0014】)、技術。」 ケ 甲9 (ア)甲9には以下の記載がある。 「【0014】 請求項4に記載の発明は、「居室(12)の空間の一部を仕切る間仕切り構造(10)であって、床面(12a)または天井面(12b)の少なくとも一方に取り付けられるとともに所定の角度で突き合わされた連続する2本のレール(14)(16)、各レール(14)(16)のそれぞれに摺動自在に取り付けられた建具(18)、および2本のレール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に配設され、一方のレール(14)側に配設されて建具(18)の側端が当接される第1片(24)と、他方のレール(16)側に配設されて建具(18)の側端が当接される第2片(26)と、第1片(24)の長手方向端部に取り付けられて第1片(24)をレール(14)(16)に沿って摺動させるとともにレール(14)(16)に支持するガイド(28)と、第2片(26)の長手方向端部に取り付けられて第2片(26)をレール(14)(16)に沿って摺動させるとともにレール(14)(16)に支持するガイド(30)とを有する付け柱(20)を備える」ことを特徴とするものである。 【0015】 この発明では、2本のレール(14)(16)が所定の角度で突き合わされているので、居室の既存の壁面(12c)を利用することによって4隅が完全に仕切られた独立した空間を構成することができる。また、2本のレール(14)(16)が連続するようにしているので、付け柱(20)が2本のレール(14)(16)のどちら側へも移動することができる。 【0016】 そして、この発明の間仕切り構造(10)を用いて居室(12)の空間を仕切り、この空間に和室などを設けた際には、レール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に付け柱(20)を配設することができ、間仕切り構造(10)によって仕切られた空間を趣あるものにすることができる。さらに、建具(18)を移動させて空間をつなげて使用する際には、付け柱(20)を突き合わせ部分(22)から邪魔にならない他の場所へ移動させることができ、空間に一体感が得られる。」 「【0019】 建具(18)は、レール(14)(16)に沿って摺動自在に取り付けられた板状の仕切り部材である。この建具(18)としては、挽材、合板、木質繊維板(IB,MDFなど)、木削片板(パーティクルボード,ストランドボード,OSBなど)、集成材および単板積層材などを単独あるいはこれらを任意複合した材料で構成された引戸や折戸などが好適である。 ・・・・ 【0021】 付け柱(20)は、レール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に配設されて間仕切り構造(10)の趣を演出するとともに、建具(18)によって空間を仕切った際にレール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に隙間を生じさせることなく空間を仕切るための長尺部材であり、第1片(24),第2片(26),ガイド(28)(30)によって構成されている。」 「【0028】 本発明の間仕切り構造(10)を用いて、居室(12)の空間を仕切る際には、まず、付け柱(10)(当審注:(10)は(20)の誤りと考えられる。)をレール(14)(16)に沿って移動させ、これをレール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に位置決めする。すると、レール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に達した付け柱(20)は、軟質材料で形成された第1片(24)と第2片(26)との連結部分で屈曲して、レール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に収まるようになる(図2参照)。 【0029】 そして、建具(18)をレール(14)(16)に沿って移動させ、居室(12)の空間を仕切るようにする。すると、図1,図3および図4に示すように、間仕切り構造(10)によって、レール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に隙間が生じることなく、居室(12)の空間が仕切られるようになる。」 「【0037】 さらに、図10に示すように、1つ角柱がレール(14)(16)に沿って移動できるようにしたものであってもよい。」 (イ)そうすると、甲9には、次の技術事項(以下「甲9技術」という。)が記載されている。 「床面(12a)または天井面(12b)の少なくとも一方に取り付けられるとともに所定の角度で突き合わされた連続する2本のレール(14)(16)、各レール(14)(16)のそれぞれに摺動自在に取り付けられた建具(18)、および2本のレール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に配設され、一方のレール(14)側に配設されて建具(18)の側端が当接され、他方のレール(16)側に配設された建具(18)の側端が当接される付け柱(20)を備え(【0014】)、 建具(18)を移動させて空間をつなげて使用する際には、付け柱(20)を突き合わせ部分(22)から邪魔にならない他の場所へ移動させることができ(【0016】)、 建具(18)は、レール(14)(16)に沿って摺動自在に取り付けられた板状の仕切り部材であり(【0019】)、 付け柱(20)は、レール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に配設されて間仕切り構造(10)の趣を演出するとともに、建具(18)によって空間を仕切った際にレール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に隙間を生じさせることなく空間を仕切るための長尺部材であり(【0021】)、 間仕切り構造(10)を用いて、居室(12)の空間を仕切る際には、まず、付け柱(20)をレール(14)(16)に沿って移動させ、これをレール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に位置決めし(【0028】)、 そして、建具(18)をレール(14)(16)に沿って移動させ、居室(12)の空間を仕切るようにし(【0029】)、 1つ角柱がレール(14)(16)に沿って移動できるようにしたものであってもよい(【0037】)、技術。」 コ 甲10 (ア)甲10には以下の記載がある。 「【0029】 さらに、前記装着凹部2,12には、長尺状又は細片状の第1及び第2の軟質マグネット部材9,19が長手方向に沿って装着され、前記対向部材1,11の頂部に形成された装着孔部4,14には、第1のランナー21の吊り下げ部26が装着され、前記抜け止め凹部6,16には間仕切りシート(開閉シート)としてのカーテン31,35が抜け止め状態で取り付けられ、間仕切りユニット(又は開閉構造)を形成している。 「【0041】 このような開閉部材及び間仕切りユニットでは、レール部材30に沿って開閉部材(一対の対向部材1,11)を移動させ、一対の軟質マグネット部材9,19の磁気的吸着力を利用して、他方の対向部材11に対して一方の対向部材1が位置ずれすることなく、閉鎖時の閉じ音を低減しつつ、所定の空間をカーテン31,35で円滑に仕切ることができる。しかも、第1のランナー21の取り付けが容易であるだけでなく、押さえ部材およびネジ部材を用いることなく、ステープラ(ホッチキス)などにより側端部に厚肉部33,38を簡便かつ簡単に形成できるとともに、厚肉部33,38を形成したカーテン31,35を抜け止め凹部6,16に簡便かつ容易に取り付けることができる。さらに、対向部材1,11および開閉部材が横断面において対称な構造を有しているため、部品点数を低減できるだけでなく、開閉部材および開閉構造の構造を簡素化できる。さらには、取り付けユニット47の挟圧又は挟着機構を利用して、レール部材30に沿って走行可能な第2のランナー41をカーテン31,35に簡単に取り付けることができる。」 「【0056】 [対向部材の装着部、第1のランナーなど] レール部材に吊り下げた状態で、対向部材を移動又はスライドさせるため、少なくとも一方の対向部材の頂部(又は上部)にはレール部材に沿って移動又はスライド可能な第1のランナーが取り付けられる。第1のランナーは、一対の対向部材のうち少なくとも可動な対向部材(開閉操作する対向部材)に取り付ければよく、他方の対向部材は、壁、柱などの固定部に固定された部材であってもよく、双方の対向部材が、互いに近接又は離反する方向に移動可能(又はスライド可能)な部材であってもよい。第1のランナーを装着するための装着部は、開閉方式に応じて、少なくとも一方の対向部材(第1のランナーにより可動の対向部材)の頂部(又は上部)に形成すればよい。すなわち、第1のランナーを介してレール部材に吊り下げられた状態で開閉部材を開閉するため、片開き方式では一方の対向部材(可動の対向部材)の頂部(又は上部)に形成すればよく、両開き方式では互いに対向する双方の対向部材の頂部(又は上部)に形成すればよい。」 「【0104】 図6は、本発明の開閉部材及び開閉構造のさらに他の例を示す概略断面図である。この例では、前記図1及び図2に示すのと同様の構造を有する一対の対向部材(可動な第1の対向部材)1,1の間には、第3の対向部材(基準対向部材)101が固定して立設され、一方の第1の対向部材1と第3の対向部材(基準対向部材)101とで一対の対向面(対向部)を形成し、他方の第1の対向部材1と第3の対向部材(基準対向部材)101とで一対の対向面(対向部)を形成している。この例では、第3の対向部材(基準対向部材)101は、中空円筒状に形成され、2つの第1の対向部材1との対向面(又は対向部)には、それぞれ、第3のマグネット部材(軟質マグネット部材)109a,109bを長手方向(縦方向)に沿って装着するため、上記と同様の構造のアリ溝状の装着凹部102a,102bを有する断面コ字状装着壁103a,103bが形成されている。第3の対向部材(基準対向部材)101の横断面形状も対称構造を有している。 【0105】 このような構造でも、第1の対向部材1に対して、間仕切りシート31を簡便かつ容易に取り付けることができるとともに、第1のマグネット部材9及び第3のマグネット部材109a,109bを、前記と同様の磁極の組合せの形態で、各装着凹部2,102a,102bに装着することにより、確実かつ精度よく第3の対向部材(基準対向部材)101に対して、第1の対向部材1を磁気的に吸着させることができる。特に、第3の対向部材(基準対向部材)101を基準として、各第1の対向部材1に取り付けられた間仕切りシート31で所定の空間を仕切ることができる。 【0106】 なお、第3の対向部材又は基準対向部材101は、中空円筒状に限らず、前記のように、種々の棒状体の形態で使用できる。また、基準対向部材に3以上の複数の対向面(対向部)を形成すると、基準対向部材を中心として放射状などの形態で複数の対向部材(例えば、3~6の対向部材)を配設することができる。例えば、断面四角形状の基準対向部材に隣接する3つの対向面を形成すると、基準対向部材を基点として断面T字状の形態で空間を仕切ることができ、4つの対向面を形成すると、基準対向部材を基点として断面十字状の形態で空間を仕切ることができる。そのため、基準対向部材は断面多面体の形状に形成してもよい。 【0107】 このように、一対の対向部材が、互いに対向面で対向可能な基準対向部材及び第1の対向部材(可動な対向部材)を備えている場合、基準対向部材には、周方向に複数の対向面を形成し、この対向面にマグネット部材が装着可能な装着凹部を形成してもよい。また、前記第1の対向部材の対向面にはマグネット部材が装着可能な装着凹部が形成するとともに、第1の対向部材の対向面に対して反対側の側壁には抜け止め凹部を形成してもよい。なお、複数の対向面のうち少なくとも1つの対向面に前記装着凹部を形成した基準対向部材は、立設して固定された他方の対向部材(固定対向部材)を形成することができる。また、基準対向部材は、可動な第1の対向部材に対して固定した対向部材を形成する場合が多い。好ましい態様では、基準対向部材は、断面多角形状(例えば、断面四角形状)に形成され、1又は複数の第1の対向部材に対して対向可能な複数の対向面(特に、基準対向部材のうち、少なくとも隣接する2つの対向面又は少なくとも互いに対向する対向面を含む複数の対向面)を有しており、これらの複数の対向面には前記のように装着凹部が形成されている。 【0108】 図7は、本発明の開閉部材及び開閉構造の別の例を示す概略断面図である。この例では、断面中空四角形状の第3の対向部材(基準対向部材)111の隣接する4つの側壁(4つの第1の対向部材1との対向面(又は対向部))には、上記と同様に、断面コ字状装着壁103a~103dが形成され、この装着壁は、第3のマグネット部材(軟質マグネット部材)109a~109dが長手方向(縦方向)に沿って装着可能なアリ溝状の装着凹部102a~102dを有している。第3の対向部材(基準対向部材)111の横断面形状も対称構造を有している。このような第3の対向部材(基準対向部材)111を用いると、第3の対向部材(基準対向部材)111を中心として、各第1の対向部材1に装着された間仕切りシート31により、所定の空間を断面十字状の形態で仕切ることができる。」 「【0126】 間仕切りシート(開閉シート)は、樹脂フィルム又はシート(軟質樹脂シートなど)、紙、布帛(織布(カーテンなど)、不織布など)、樹脂含浸布帛などで構成でき、網状体又はネットで構成してもよい。また、間仕切りシートは、屈曲可能に連接された複数のシートやプレート又はパネル(木材板、金属板など)で構成してもよく、折り畳み式に展開(伸長)又は収納(収縮)可能なシートやパネルで構成してもよい。間仕切りシートは、透明、半透明又は不透明な樹脂フィルム又はシート、布帛などで形成する場合が多く、メッシュ状又はネット状(網目状)などの網状体で形成してもよい。特に、ステープラ(ホッチキス)により、厚肉部を形成するための抜け規制ストリップ(細状体又は帯状体)及びストッパー部材を間仕切りシート(開閉シート)に取り付けるのが好ましい。」 (イ)そうすると、甲10には、次の発明(以下「甲10発明」という。)が記載されている。なお、上記「カーテン31」、「間仕切りシート(開閉シート)としてのカーテン31」及び「間仕切りシート31」は、「間仕切りシート」に、「対向部材1」、「対向部材(可動な第1の対向部材)1」、「第1の対向部材1」は、「対向部材1」に、「第3の対向部材(基準対向部材)101」、「第3の対向部材(基準対向部材)111」は、「第3の対向部材(基準対向部材)」に、それぞれ用語を統一した。 「レール部材30に沿って開閉部材(対向部材1)を移動させ、所定の空間を間仕切りシートで円滑に仕切ることができる間仕切りユニットであって(【0041】)、 レール部材30に吊り下げた状態で、対向部材1を移動又はスライドさせるため、対向部材1にはレール部材30に沿って移動又はスライド可能な第1のランナー21が取り付けられ、間仕切りシートが取り付けられ、レール部材30に沿って走行可能な第2のランナー41を間仕切りシートに取り付け、間仕切りユニットを形成し(【0029】、【0041】、【0056】)、 対向部材1,1の間には、第3の対向部材(基準対向部材)が固定して立設され、対向部材1と第3の対向部材(基準対向部材)とで対向面を形成し(【0104】)、 第3の対向部材(基準対向部材)の対向面に形成した装着凹部にマグネット部材を装着し、前記対向部材1の対向面に形成した装着凹部にマグネット部材を装着することにより、第3の対向部材(基準対向部材)に対して、対向部材1を磁気的に吸着させることができ、第3の対向部材(基準対向部材)を基準として、各対向部材1に取り付けられた間仕切りシートで所定の空間を仕切ることができ(【0105】、【0107】)、 第3の対向部材(基準対向部材)は、断面四角形状の前記基準対向部材に隣接する3つの対向面を形成すると、前記基準対向部材を基点として断面T字状の形態で空間を仕切ることができ、断面中空四角形状の第3の対向部材(基準対向部材)に隣接する4つの対向面を形成すると、所定の空間を断面十字状の形態で仕切ることができ(【0106】、【0108】)、 間仕切りシートは、折り畳み式に展開(伸長)又は収納(収縮)可能なシートやパネルで構成した(【0126】)、 間仕切りユニット。」 (2)本件発明1について (2-1)甲1発明を主引例とする場合 ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)本件発明1の構成Aに関して 間仕切りが部屋を仕切るものであることは当業者にとって明らかであることから、「間仕切り」の発明である甲1発明における「天井面に設けられた」「レール」は、本件発明1の構成Aにおける「部屋を平面視複数の空間に仕切り得るように」「天井に配されたレール」に相当する。 よって、本件発明1の構成Aと甲1発明とは、「部屋を平面視複数の空間に仕切り得るように」「天井に配されたレール」を具備する点で一致する。 (イ)本件発明1の構成Bに関して 甲1発明における「レールに沿って移動可能であ」ることは、本件発明1の構成Bにおける「このレールに沿って移動可能であ」ることに相当する。 また、「間仕切り」の発明である甲1発明における「複数のパネル」は、部屋を仕切るものとなることが明らかであるから、本件発明1の構成Bにおける「前記部屋を間仕切るための複数のパネル」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明1の構成Bに相当する構成を有する。 (ウ)本件発明1の構成Cに関して 甲1発明における「コーナーポール」は、本件発明1の構成Cにおける「支柱」に相当する。 甲1発明において「コーナーポールは独立した部材であ」る、すなわち、「複数のパネル」と独立して備わるものと理解されるから、甲1発明における「レールの下に設けられ」「角部に配置された場合にパネルの端部とコーナーポールの側面は当接する」「該コーナーポール」と、本件発明1の構成Cにおける「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能であり、且つ前記レールに沿って前記交差する屈曲部分に位置決め機構を介して位置決めされ得る支柱」とは、「前記パネルと独立し」、「前記パネルを」「接続可能であ」「る支柱」の点で共通する。 (エ)本件発明1の構成Dに関して 甲1発明は、「レールの下に設けられ、レールに沿って移動可能である複数のパネル」を「天井面のレールに沿って配置可能」なものであって、「複数のパネルは、レールの端部に、該レールの伸びる方向に対しパネルの表面が垂直になるように重ねて配置されている状態と、該レールに沿って配置されている状態との間で、移動可能であ」ることで、間仕切るか、開放するかを適宜変更し得るものである。 ここで、上記「複数のパネルは、レールの端部に、該レールの伸びる方向に対しパネルの表面が垂直になるように重ねて配置されている状態」は、間仕切りとして機能している「レールに沿って配置されている状態」から、退避した状態といえる。また、上記「レールの端部」は、「複数のパネル」を「レールに沿って配置されている状態」へ移動するときの、レールの始端側といえるから、甲1発明の「複数のパネル」が「レールの伸びる方向に対しパネルの表面が垂直になるように重ねて配置され」る「レールの端部」は、甲1発明の「前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側」に相当する。 また、甲1発明における「壁の柱状に膨らんだ部分」は、本願の「支柱」と、「柱」状の部分である点で共通する。 そうすると、甲1発明と、本件発明1の構成Dの「前記レールに沿って、前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得る」こととは、「前記レールに沿って」、「柱」状の部分と、「前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間で」「パネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得る」点で共通する。 (オ)本件発明1の構成Eに関して 甲1発明における「間仕切り」は、「間仕切り」を構成する複数のパネルを可動にしたものであるから、本件発明1の構成Eにおける「可動間仕切装置」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明1の構成Eに相当する構成を有する。 (カ)一致点及び相違点 上記(ア)から(オ)より、本件発明1と甲1発明は、以下の点で一致する。 <一致点> A’部屋を平面視複数の空間に仕切り得るように天井に配されたレールと、 B このレールに沿って移動可能であり前記部屋を間仕切るための複数のパネルと、 C’前記パネルと独立し、前記パネルを接続可能である支柱とを具備し、 D’前記レールに沿って、柱状の部分と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得る E 可動間仕切装置。 そして、両者は、以下の点で相違する。 <相違点1>(構成Aに関して) 「天井に配されたレール」に関して、本件発明1は、当該レールが「平面視T字状又は十字状をなすように天井に交差する屈曲部分を含んで配され」ているのに対して、甲1発明は、レールが「直線状」に設けられており、「平面視T字状又は十字状をなすように天井に交差する屈曲部分を含んで配され」ていない点。 <相違点2>(構成Cに関して) 「支柱」に関して、本件発明1は、「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能であり、且つ前記レールに沿って前記交差する屈曲部分に位置決め機構を介して位置決めされ得る」とされているのに対して、甲1発明は、支柱に相当するコーナーポールが、レールの下に設けられるものであることは把握されるものの、パネルと独立して移動可能に構成されたものとまではいえず、「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能であり、且つ前記レールに沿って前記交差する屈曲部分に位置決め機構を介して位置決めされ得る」ものではない点。 <相違点3>(構成Dに関して) 「柱」状の部分と「レールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更」する構成に関し、本件発明1は「前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱」とレール始端側間で「それぞれ」パネルを移動させるのに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。 イ 判断 (ア)事案に鑑み、まず上記相違点2(構成C)について検討する。 a 甲2技術、甲3技術、甲4記載事項、甲5技術~甲8技術、甲10発明の適用について (a)甲2技術は、「複数のパネルは、レールの下に設けられ」「複数のパネルは、OPENの状態とCLOSEの状態との間で移動可能である」ものであり、「レールに支持され」「パネルと独立して移動可能に構成され」、「位置決め機構を介して位置決めされ得る」「支柱」があるとはされていない。 してみると、甲2技術は、本件発明1の構成Cについて、「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」を備えない。 (b)甲3技術は、「天井面にL字状の線が描かれ、該L字状の線の壁側の両端に、それぞれ重ねられて配置されている複数のパネルを、該L字状の線の下に移動させて、空間を区切る」ものであり、上記「線」が「レール」を表すとしても、「レールに支持され」「パネルと独立して移動可能に構成され」、「位置決め機構を介して位置決めされ得る」「支柱」があるとはされていない。 してみると、甲3技術は、本件発明1の構成Cについて、「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」を備えない。 (c)甲4記載事項は、コクヨ株式会社の「間仕切り」の製品である「スライディングウォール プランナーウォール・シフト」について、発売日と、どこで購入できるか、どこで見られるか、について開示したものであり、「レールに支持され」「パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」について開示するものではない。 してみると、甲3技術は、本件発明1の構成Cについて、「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」を備えない。 (d)甲5技術において、「移動パネルを、その上端部に設けたガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って整列させ」、「ガイドレールのコーナー部を越えて先行して整列させる移動パネルの後端に予め化粧ポストを取付けてあり、該移動パネルを整列させた際に前記化粧ポストがガイドレールのコーナー部に位置し」、「当該化粧ポストを取付けた移動パネルをL字状、T字状、十字状に整列させる際のコーナー部と隣接する位置に用いることにより、他の移動パネルを化粧ポストの接合部に接合する」としている。 甲5技術の「化粧ポスト」は、「柱」といえるものの、「移動パネルの後端に予め」「取付けてあ」るものであり、「レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」とはいえない。 そうすると、甲5技術は、本件発明1の構成Cについて、「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」を備えない。 (e)甲6技術において、「移動壁9を吊り下げ支持して天井に敷設されたレール6に案内されて走行するものであり、移動壁9は方向転換部7で方向転換を行い」「方向転換部7には、無方向性に転動可能なベアリング12つまりフリーベアリングが設けられており、ベアリング12は、方向転換部7が十字状で形成されている場合には、4つの角部のすべてに設けられており」「吊車装置1が十字状、T字状、L字状のいずれの方向転換部7を走行するときでも、車体2の下面56の円弧凹部58にベアリング12が摺接して車体2の水平状態が維持される」ところ、「支柱」について開示がなく、「移動壁9」(移動パネル)と独立して移動可能な「支柱」を備えない。 (f)甲7技術は、「移動間仕切り保持レール51と、該レール上を走行する間仕切り吊り下げ用吊り車Hと、該吊り車Hに吊り下げシャフトSを介して取付けられる移動パネルPとを主体として構成され、吊り車Hは、クロスポイントBにおける直角方向への移行を許容する」ものであり、「支柱」について開示がなく、「移動パネルP」と独立して移動可能な「支柱」を備えない。 (g)甲8技術は、「部屋の空間を仕切る複数の間仕切パネル3がそれぞれ天井Rに固定に設けられた」「走行レール2に移動自在に吊持されて構成され」、「部屋の壁面W側では、走行レール2が」「直線状の部分から直角に分岐して該直線状の部分に平行に配設され、複数の間仕切パネル3を順次一枚毎に格納可能な格納部4が形成され、間仕切パネル3を格納部4に移動して、複数の間仕切パネル3が次々と壁面W側に重ね合わされて格納される」ものであり、「支柱」について開示がなく、「間仕切パネル3」(移動パネル)と独立して移動可能な「支柱」を備えない。 (h)甲10発明は、「対向部材1に取り付けられた間仕切りシート」を「レール部材30に沿って走行」させる「間仕切りユニット」であって、「対向部材1,1の間には、第3の対向部材(基準対向部材)が固定して立設され」、「第3の対向部材(基準対向部材)に対して、対向部材1を磁気的に吸着させる」ものである。 上記「固定して立設され」る「第3の対向部材(基準対向部材)」は、「支柱」といえるものであるが、「レール部材30」に支持された移動可能なものではなく、甲10発明は、本件発明1の構成Cについて、「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」を備えない。 (i)上記(a)~(h)から、甲2技術、甲3技術、甲4記載事項、甲5技術~甲8技術、甲10発明は、いずれも、相違点2に係る本件発明1の構成Cの「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」に相当する構成を備えるものではないから、甲1発明に適用したとしても、相違点2に係る本件発明1の構成Cを想到することはできない。 b 甲9技術の適用について (a)甲9技術は、「所定の角度で突き合わされた連続する2本のレール(14)(16)、各レール(14)(16)のそれぞれに摺動自在に取り付けられた建具(18)、および2本のレール(14)(16)の突き合わせ部分(22)に配設され、一方のレール(14)側に建具(18)の側端が当接され、他方のレール(16)側に建具(18)の側端が当接される付け柱(20)」を備えるところ、上記「付け柱(20)」の「一方のレール(14)側に建具(18)の側端が当接され、他方のレール(16)側に建具(18)の側端が当接される」ことから、上記「建具(18)」は、「付け柱(20)」の二面に接続可能なものである。 ここで、上記「建具(18)」、「付け柱(20)」が、それぞれ、本件発明1の構成Cの(移動可能であり前記部屋を間仕切るための複数の)「パネル」、(前記パネルと独立して移動可能に構成され)た「支柱」に相当するとしても、甲9技術の「付け柱(20)」(支柱)は、「建具(18)」(パネル)を「三面又は四面すべてに接続可能」なものではない。 そうすると、甲9技術は、甲1発明の構成Cの「支柱」について、「パネルを三面又は四面すべてに接続可能」である事項を備えない。 (b)してみると、甲9技術は、相違点2に係る本件発明1の構成Cの「支柱」について、「パネルを三面又は四面すべてに接続可能」である事項に相当する構成を備えるものではないから、甲1発明に適用して相違点2に係る本件発明1の構成Cを想到することは、当業者であっても容易ではない。 (c)なお、本件発明1の構成Aには、「平面視T字状又は十字状をなすように天井に交差する屈曲部分を含んで配されたレール」と特定されているところ、甲9技術においては、「所定の角度で突き合わされた連続する2本のレール」と特定されているから、そのレールの形状は「平面視T字状又は十字状をなす」ものではない。 してみると、甲9技術は、本件発明1の構成Aの「部屋を平面視複数の空間に仕切り得るように平面視T字状又は十字状をなすように天井に交差する屈曲部分を含んで配されたレール」を備えないことも、付言しておく。 c 相違点2(構成C)に係る本件発明1の構成の効果 相違点2(構成C)に係る本件発明1の構成は、「パネルと独立して移動可能に構成され前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能であり、且つ前記レールに沿って前記交差する屈曲部分に位置決め機構を介して位置決めされ得る支柱」を用いることで、パネル同士が接続し得ない配置において有効に支柱を利用し部屋を間仕切る作業をより速やかに行い得、支柱の汎用性を高くしつつ、種々のレールの配置に適合し易く、部屋を仕切るバリエーションを多彩なものとする顕著な効果を奏するものと認められる(当初明細書等【0048】~【0051】)。 d 相違点2(構成C)に係る点についての申立人の主張について (a)「支柱」が「パネルと独立して移動可能に構成され」ている点について、申立人は、甲1発明は「支柱がレールに沿って移動可能であることは明らか」(申立書35頁8~9行)と主張している。 しかしながら、甲1には、上記(1)ア(コ)に記載した甲1発明が開示されているところ、上記ア(カ)の<相違点2>(構成Cに関して)に記載したように、甲1発明は、支柱に相当するコーナーポールが、レールの下に配置され、該コーナーポールが角部に配置された場合にパネルの端部とコーナーポールの側面は当接するものであることは把握されるものの、「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って」「移動可能に構成され」たものとまでは認められない。 よって、出願人の上記主張は採用できない。 (イ)小括 以上のとおりであるから、相違点1、3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、及び、甲2技術、甲3技術、甲4記載事項、甲5技術~甲9技術、甲10発明に基づいて、当業者が容易になし得たものではない。 (2-2)甲10発明を主引例とする場合 ア 対比 本件発明1と甲10発明とを対比する。 (ア)本件発明1の構成Aに関して a 甲10発明において、「レール部材30に沿って開閉部材(対向部材1)を移動させ」、「対向部材1には」「レール部材30に沿って走行可能な第2のランナー41」を「取り付け」た「間仕切りシートが取り付けられ」、「対向部材1,1の間には、第3の対向部材(基準対向部材)が固定して立設され」、「第3の対向部材(基準対向部材)を基準として、各対向部材1に取り付けられた間仕切りシートで所定の空間を仕切る」としている。 甲10発明の上記「レール部材30」は、本件発明1の「レール」に相当する。 b また、甲10発明において、「第3の対向部材(基準対向部材)は、断面四角形状の前記基準対向部材に隣接する3つの対向面を形成すると、前記基準対向部材を基点として断面T字状の形態で空間を仕切ることができ、断面中空四角形状の第3の対向部材(基準対向部材)に隣接する4つの対向面を形成すると、所定の空間を断面十字状の形態で仕切ることができ」るとしている。 甲10発明の上記「断面T字状の形態で空間を仕切ることができ」ること及び「所定の空間を断面十字状の形態で仕切ることができる」ことは、それぞれ、本件発明1の「部屋を平面視複数の空間に仕切り得る」ことに相当する。 c ここで、甲10発明の「レール部材30に沿って」「対向部材1」及び「間仕切りシート」が「移動」(走行)する構成において、上記bの「基準対向部材を基点として断面T字状の形態で空間を仕切る」ときには、「レール部材30」は、全体として「平面視T字状」をなすように見えるものの、「固定して立設され」た「基準対向部材」の部分には無いから、「レール部材30」はに、「平面視T字状」「をなすように天井に交差する」部分はなく、すなわち、「レール部材30」は「交差する屈曲部分」を含んでいない。 同様に、上記bの「断面中空四角形状の第3の対向部材(基準対向部材)に隣接する4つの対向面を形成」し「所定の空間を断面十字状の形態で仕切る」ときには、「レール部材30」は、全体として「十字状」をなすように見えるものの、「固定して立設され」た「基準対向部材」の部分には無いから、「レール部材30」には、「十字状」「をなすように天井に交差する」部分はなく、すなわち、「レール部材30」は「交差する屈曲部分」を含んだものではない。 d 上記a~cから、甲10発明と、本件発明1の構成Aとは、「部屋を平面視複数の空間に仕切り得るように平面視T字状又は十字状をなすように天井に配されたレール」を備える点で共通する。 (イ)本件発明1の構成Bに関して 甲10発明は、「レール部材30に沿って」「対向部材1」及び「(各対向部材1に取り付けられた)間仕切りシート」が「移動」(走行)するものであるところ、「間仕切りシート」を「折り畳み式に展開(伸長)又は収納(収縮)可能な」「パネルで構成し」たときの、「第3の対向部材(基準対向部材)」の「3つの対向面」又は「4つの対向面」に「吸着する」、「各対向部材1」及び(「間仕切りシート」を構成する)「パネル」からなる部分は、本件発明1の「このレールに沿って移動可能であり前記部屋を間仕切るための複数のパネル」に相当する。 よって、甲10発明は、本件発明1の構成Bに相当する構成を有する。 (ウ)本件発明1の構成Cに関して 甲10発明の「立設され」た「第3の対向部材(基準対向部材)」は、本件発明1の「支柱」に相当する。 そして、「第3の対向部材(基準対向部材)」の「3つの対向面」又は「4つの対向面」には、(間仕切りシートが取り付けられた)「対向部材1」が接続されるから、上記(イ)の「パネル」についての検討を踏まえると、甲10発明と、本件発明の構成Cとは、「前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能であ」「る支柱」を備える点で、共通する。 (エ)本件発明1の構成Dに関して 甲10発明において、「パネルで構成した」「間仕切りシートは、折り畳み式に展開(伸長)又は収納(収縮)可能」であるところ、「間仕切りシート」を構成する「パネル」が「展開」することで、「対向部材1」とともに「間仕切りシート」を構成する「パネル」は、「第3の対向部材(基準対向部材)」の「3つの対向面」又は「4つの対向面」に接続する状態と、該「パネル」が「折り畳み式に」「収納」される状態とで、間仕切りの態様を変更できるものといえる。 また、甲10発明は、「レール部材30に沿って」「対向部材1」及び「間仕切りシート」が「移動」(走行)するものであるところ、「間仕切りシート」を構成する「パネル」が「折り畳み式に」「収納」されるときには、該「パネル」は、「レール部材30」の端部側すなわち(展開についての)「始端側」に折り畳まれることで、「レール部材30」の伸びる方向に対してパネルの表面が垂直になるように重なった状態で「収納」されることが明らかである。上記「収納」は、「対向部材1」及び「(パネルで構成した)間仕切りシート」が展開された状態に対し、該「対向部材1」及び「(パネルで構成した)間仕切りシート」が退避した状態あるものといえる。 また、上記「対向部材1」及び「(パネルで構成した)間仕切りシート」を「収納」するとき、第3の対向部材(基準対向部材)」の「3つの対向面」に接続されていたものであれば3方向に、「4つの対向面」に接続されていたものであれば4方向に、それぞれ移動させることで「収納」すなわち退避することが、当業者には自明である。 してみると、上記(ウ)の「支柱」(基準対向部材)についての検討を踏まえると、甲10発明と、本件発明1の構成Dの「前記レールに沿って、前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得る」とは、「前記レールに沿って、支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得る」点で共通する。 (オ)本件発明1の構成Eに関して 甲10発明における「間仕切りユニット」は、それを構成する「間仕切りシートは、折り畳み式に展開(伸長)又は収納(収縮)可能なシートやパネルで構成した」ものであるから、本件発明1の構成Eにおける「可動間仕切装置」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明1の構成Eに相当する構成を有する。 (カ)一致点及び相違点 上記(ア)から(オ)より、本件発明1と甲10発明は、以下の点で一致する。 <一致点> A’ 部屋を平面視複数の空間に仕切り得るように平面視T字状又は十字状をなすように天井に配されたレールと、 B このレールに沿って移動可能であり前記部屋を間仕切るための複数のパネルと、 C’ 前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能である支柱とを具備し、 D’ 前記レールに沿って、支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得る E ことを特徴とする可動間仕切装置。 そして、両者は、以下の点で相違する。 <相違点4>(構成Aに関して) 「天井に配されたレール」に関して、本件発明1は、当該レールが「平面視T字状又は十字状をなすように天井に交差する屈曲部分を含んで配され」ているのに対して、甲10発明は、レールが全体として「平面視T字状又は十字状をなすように天井に」「配され」ることは把握されるものの、レールが「平面視T字状又は十字状をなすように天井に交差する屈曲部分を含んで配され」というように、「交差する屈曲部分を含んで」配されるものではない点。 <相違点5>(構成Cに関して) 「支柱」に関して、本件発明1は、「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能であり、且つ前記レールに沿って前記交差する屈曲部分に位置決め機構を介して位置決めされ得る」とされているのに対して、甲10発明の「支柱」(立設された第3の対向部材(基準対向部材))は、「前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能であ」ものといえるものの、「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」「且つ前記レールに沿って前記交差する屈曲部分に位置決め機構を介して位置決めされ得る」ものではない点。 <相違点6>(構成Dに関して) 「支柱」と「レールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更」する構成における「支柱」に関し、本件発明1は「前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱」と特定されているのに対しし、甲10発明は、そのようなものではない点。 イ 判断 (ア)事案に鑑み、まず上記相違点5(構成C)について検討する。 a 甲1発明、甲2技術、甲3技術、甲4記載事項、甲5技術~甲8技術の適用について (a)甲1発明の「支柱」は、上記(2-1)ア(カ)に記載したように、パネルと独立して移動可能に構成されたものとまではいえず、相違点5に係る本件発明1の構成Cの「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」に相当する構成を備えるものではない。 (b)甲2技術、甲3技術、甲4記載事項、甲5技術~甲8技術は、上記(2-1)イで検討したとおり、いずれも、相違点5に係る本件発明1の構成Cの「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」に相当する構成を備えるものではない。 (c)以上から、甲1発明、甲2技術、甲3技術、甲4記載事項、甲5技術~甲8技術は、いずれも、相違点5に係る本件発明1の構成Cの「前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され」る「支柱」に相当する構成を備えるものではないから、甲10発明に適用したとしても、相違点5に係る本件発明1の構成Cを想到することはできない。 b 甲9技術の適用について (a)上記(2-1)イ(ア)bで検討したように、甲9技術の「付け柱(20)」(支柱)は、「建具(18)」(パネル)を「三面又は四面すべてに接続可能」なものではない。 そうすると、甲9技術は、本件発明1の構成Cの「支柱」について、「パネルを三面又は四面すべてに接続可能」である事項を備えない。 (b)してみると、甲9技術は、相違点5に係る本件発明1の構成Cの「支柱」について、「パネルを三面又は四面すべてに接続可能」である事項に相当する構成を備えるものではないから、甲10発明に適用したとしても、相違点5に係る本件発明1の構成Cを想到することはできない。 c 相違点5(構成C)に係る本件発明1の構成の効果 相違点5(構成C)に係る本件発明1の構成の効果は、上記(2-1)イ(ア)cで述べたとおりである。 (イ)小括 以上のとおりであるから、相違点4、6について検討するまでもなく、本件発明1は、甲10発明、及び、甲1発明、甲2技術、甲3技術、甲4記載事項、甲5技術~甲9技術に基づいて、当業者が容易になし得たものではない。 (3)本件発明2~本件発明11について 本件発明2~本件発明11は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1と同様の構成を有するから、甲1発明とは、少なくとも上記相違点2で相違し、甲10発明とは、少なくとも上記相違点5で相違するする。 そして、上記相違点2は、上記(2)(2-1)イにおいて、上記相違点5は、上記(2)(2-2)イにおいて検討したとおりである。 よって、本件発明2~本件発明11は、甲1発明、及び、甲2技術、甲3技術、甲4記載事項、甲5技術~甲9技術、甲10発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、甲10発明、及び、甲1発明、甲2技術、甲3技術、甲4記載事項、甲5技術~甲9技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した申立理由によっては、請求項1~請求項11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~請求項11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700472

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