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特許異議申立

2024-700549

収納庫用仕切り部材及び収納庫

審判番号
2024-700549
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-178812
登録番号
7395242
請求日
2024年06月10日
審決日
2024年08月28日
公報発行日
2024年09月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】コクヨ株式会社
  • 【権利者代理人】種村 一幸
  • 【異議申立人】赤松 智信
審判長/審判官
  • 審判長 ▲吉▼川 康史
  • 審判官 蔵野 いづみ
  • 審判官 太田 恒明
分類
P1652.121-Y (A47B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7395242号発明「収納庫用仕切り部材及び収納庫」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7395242号の請求項1~3、5、11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7395242号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、平成29年9月19日に出願され、令和5年12月1日にその特許権の設定登録がされ、同年同月11日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~3、5、11に係る特許に対し、令和6年6月10日に特許異議申立人赤松智信(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~11の特許に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1~3、5、11に係る発明は、次のとおりのものである(以下、それぞれ、請求項番号により「本件発明1」等といい、これらを併せて「本件発明」という。また、請求項1の符号A等は、分説するため当審で付した。「A」等が付された事項を、以下「特定事項A」等という。)。 「 【請求項1】 A 収納庫内の棚板の上面に載置され、前記収納庫内の収納空間を複数の収納空間に仕切るための収納庫用仕切り部材であって、 B 上方に立ち上がるとともに、互いに所定の間隔を空けて左右方向に対向配置された第1側板部及び第2側板部と、 C 前記第1側板部及び前記第2側板部の下端部から上方に所定の間隔をあけて配置されるとともに、前記第1側板部及び前記第2側板部のそれぞれの上端部を互いに接続する天板部と、 D 前記天板部から上方かつ前記第1側板部の延長上に立ち上がる立ち上がり部と、 を備え、 E 前記複数の収納空間は、前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と前記棚板の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間と、前記天板部の上方かつ前記立ち上がり部の側方に形成された第2収納空間と、前記棚板の上面から上方かつ前記第1側板部及び前記立ち上がり部の側方に形成され、前記第1収納空間及び前記第2収納空間に隣接する第3収納空間とを含み、 F 前記第2側板部は、前後方向において、前記第1側板部よりも前方に突出しており、 G 前記天板部の前方側に切り欠き部が形成されており、 H 前記切り欠き部は、前後方向について、前記天板部の前端から後方、かつ、前記立ち上がり部の前端よりも前方側に形成され、前記第1収納空間における入出庫作業に利用可能である、 I ことを特徴とする収納庫用仕切り部材。 【請求項2】 A 収納庫内の棚板の上面に載置され、前記収納庫内の収納空間を複数の収納空間に仕切るための収納庫用仕切り部材であって、 B 上方に立ち上がるとともに、互いに所定の間隔を空けて左右方向に対向配置された第1側板部及び第2側板部と、 C 前記第1側板部及び前記第2側板部の下端部から上方に所定の間隔をあけて配置されるとともに、前記第1側板部及び前記第2側板部のそれぞれの上端部を互いに接続する天板部と、 D 前記天板部から上方かつ前記第1側板部の延長上に立ち上がる立ち上がり部と、 J 電源供給部と、 を備え、 E 前記複数の収納空間は、前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と前記棚板の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間と、前記天板部の上方かつ前記立ち上がり部の側方に形成された第2収納空間と、前記棚板の上面から上方かつ前記第1側板部及び前記立ち上がり部の側方に形成され、前記第1収納空間及び前記第2収納空間に隣接する第3収納空間とを含み、 F 前記第2側板部は、前後方向において、前記第1側板部よりも前方に突出している、 I ことを特徴とする収納庫用仕切り部材。 【請求項3】 K 前記立ち上がり部の前記天板部からの高さは、前記第1側板部の高さ以上の高さに設定されている、 L ことを特徴とする請求項1又は2に記載の収納庫用仕切り部材。」 「 【請求項5】 M 前記収納庫用仕切り部材を前記収納庫に設置する際の位置を決定するための規制部をさらに備えている、 N ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の収納庫用仕切り部材。」 「 【請求項11】 O 請求項1から10の何れか1項に記載の収納庫用仕切り部材を備えている P ことを特徴とする収納庫。」 第3 証拠一覧、特許異議申立理由の概要 1 証拠一覧 特許異議申立書(以下「申立書」という。)に添付して提出された証拠は、以下のとおりである。 甲第1号証:特表2001-513007号公報 甲第2号証:特開平9-215532号公報 甲第3号証:特開2012-176047号公報 甲第4号証:カタログ『Home Desk Collection ’98』、株式会社岡村製作所、1997年8月、p.23-25 甲第5号証:特開2006-212106号公報 (以下「甲第1号証」等を「甲1」等という。) 2 特許異議申立理由の概要 申立人が申立書において主張する特許異議申立理由の概要は、以下のとおりである。 (1) 理由1(進歩性) 本件発明1~3、5、11は、甲1に記載された発明、甲4に記載された発明、甲5に記載された事項、技術常識(甲2、甲5)、周知技術1(甲3、甲4)及び周知技術2(甲1、甲4)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は特許法第113条第2号に基づき取り消されるべきものである。 (2) 理由2(進歩性) 本件発明1~3、5、11は、甲4に記載された発明、甲5に記載された事項及び技術常識(甲2、甲5)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は特許法第113条第2号に基づき取り消されるべきものである。 第4 証拠について 1 甲1 (1) 記載事項 甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。 ア 「図8~12は、ラップ保管システム150を示している。このシステムは、容器158、162を収納するように作られているラップ保管棚152を含む。固定スロット156がラップ保管棚152の底面153のほとんど全長にわたって延びている。底面153は、スロット158を形成するために、そのほとんど全長にわたって、くぼみを付けられていることが望ましい。ラップ保管棚152の側面パネル155は、少なくとも1本のロッド157でラップ保管棚を吊るための取付け手段154を有するように作られている。」(第28頁第20~26行) イ 「上述のように、ラップ保管システム150は元来モジューラ式であり、そしてロッド157が取り付けられている調理ライン1のどの地点にも設置することができる。ラップ保管棚152はどのようなサイズ番号にでも作ることができ、そしてまた必要な場所ならば調理ライン1内のどこにでも取付けることができる。更に、棚152は、異なる食品に対応する様々な包装材料を収納できる様々な形状とサイズのラップ容器162、158を収納することができる。」(第29頁第2~7行) ウ 「図12に最もよく示されているように、ラップ容器158は、このラップ容器158の底面175からほぼ垂直に垂れ下がっているフランジ160を備えている。底面175はまた、ラップ容器158の下の棚も画している。第2の棚は、両側面パネル178、179の間に位置しかつ底部パネル175に平行な中間のパネル177により画されている。」(第29頁第18~22行) エ 「ラップ容器162および158は、ラップ保管棚152内に置かれる。容器162の底面171の下の傾斜フランジ164は、ラップ保管棚152の内側の底面153のスロット156に、スライドして嵌め込まれる。こうして、カートンが容器162から取り出されるとき、容器162が棚152から滑り出して外れないようになっている。食品の包装材料は、穴170を通してラップ容器162から取り出される。人が穴168の所で食品の包装材料を抑えながら、穴170から包装材料を引き出すことができるという利点がある。」(第30頁第1~7行) オ 「【図12】 [図:0001414231000001.jpg] 」 (2) 認定事項 ア 上記(1)ウの「図12に最もよく示されているように、ラップ容器158は、このラップ容器158の底面175からほぼ垂直に垂れ下がっているフランジ160を備えている。底面175はまた、ラップ容器158の下の棚も画している。第2の棚は、両側面パネル178、179の間に位置しかつ底部パネル175に平行な中間のパネル177により画されている。」の記載、及び図12の図示内容から見て、「両側面パネル178、179」は、「側面パネル178」及び「側面パネル179」から構成されること、「底面175」と「底部パネル175」は同じ部材を指していることが見て取れる。そして、これらを踏まえると、甲1には、以下の(ア)~(オ)に係る事項が記載されていると認められる。 (ア) 「側面パネル178及び側面パネル179は、ラップ容器158の底面175の両側縁からそれぞれ上方に立ち上がるとともに、正面から見て左右方向に対向配置されていること。」(認定事項ア) (イ) 「側面パネル178及び側面パネル179は、それぞれラップ容器158の底面175から、底面に平行な中間のパネル177までの高さの、側面パネル178の下部分及び側面パネル179の下部分を有し、中間のパネル177は、側面パネル178の下部分及び側面パネル179の下部分の上端部を互いに接続すること。」(認定事項イ) (ウ) 「側面パネル178及び側面パネル179は、それぞれ中間のパネル177から立ち上がる、側面パネル178の上部分及び側面パネル179の上部分を有すること。」(認定事項ウ) (エ) 「ラップ容器158は、側面パネル178の下部分179の下部分、中間のパネル177、ラップ容器158の下の棚を画す底面175とにより囲まれ、前面が開放された下の収納空間を含むこと。」(認定事項エ) (オ) 「ラップ容器158は、側面パネル178の上部分及び側面パネル179の上部分の間に位置し中間のパネル177により画されている第2の棚と、側面パネル178の上部分及び側面パネル179の上部分とによる上の収納空間を含むこと。」(認定事項オ) イ 図12の図示内容から、甲1には、「中間のパネル177の前方側に、中間のパネル177の前方側から後方側に前後方向に向けた切り欠き部が形成されていること」が記載されていると認められる(認定事項カ)。 (3) 甲1に記載された発明及び技術事項 上記(1)及び(2)より、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)及び技術事項(以下「甲1技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲1発明) 「底面153を有するラップ保管棚152内に収納して置かれるラップ容器158であって(上記(1)ア、イ、エ)、 ラップ容器158は、底面175、側面パネル178、側面パネル179及び中間のパネル177を備え(上記(1)ウ、認定事項ア)、 側面パネル178及び側面パネル179は、ラップ容器158の底面175の両側縁からそれぞれ上方に立ち上がるとともに、正面から見て左右方向に対向配置され(認定事項ア)、 側面パネル178及び側面パネル179は、それぞれラップ容器158の底面175から、底面に平行な中間のパネル177までの高さの、側面パネル178の下部分及び側面パネル179の下部分を有し、中間のパネル177は、側面パネル178の下部分及び側面パネル179の下部分の上端部を互いに接続し(認定事項イ)、 側面パネル178及び側面パネル179は、それぞれ中間のパネル177から立ち上がる、側面パネル178の上部分及び側面パネル179の上部分を有し(認定事項ウ)、 ラップ容器158は、側面パネル178の下部分、側面パネル179の下部分、中間のパネル177、ラップ容器158の下の棚を画す底面175とにより囲まれ、前面が開放された下の収納空間と(認定事項エ)、側面パネル178の上部分及び側面パネル179の上部分の間に位置し中間のパネル177により画されている第2の棚と、側面パネル178の上部分及び側面パネル179の上部分とによる上の収納空間とを含み(認定事項オ)、 中間のパネル177の前方側に、中間のパネル177の前方側から後方側に前後方向に向けた切り欠き部が形成されている(認定事項カ)、 ラップ容器158。」 (甲1技術事項) 「ラップ保管棚152内に収納して置かれるラップ容器162であって、 カートンが容器162から取り出されるとき、容器162が棚152から滑り出して外れないようにするために、底面171の下に、ラップ保管棚152の内側の底面153のほとんど全長にわたって延びているスロット156に、スライドして嵌め込まれる傾斜フランジ164を備えるラップ容器162(上記(1)ア、エ)。」 2 甲2 (1) 記載事項 甲2には、以下の事項が記載されている。 「【0017】外縁部1,底面部2,仕切部3の各折曲部は、図3(a)(b)に示すように、折り曲げる側に平行な一対の溝部11が形成され、この溝部11に挟まれた位置に凸部12が形成され、各溝部11に沿って折曲することにより直角に折り曲げている。前記溝部11及び凸部12は、方形状硬質紙体(ハードボード)をプレス加工することにより形成するものである。また、仕切面3aの前面及び後面の中央には、この上に書類等を置いた場合に取り出し易いように半円状の切り欠き部4が形成されている。 ・・・ 【0023】また、スチール書庫30内において上記整理棚を使用する場合においては、図6に示すように、整理棚の磁石片6をスチール書庫30の側板31に当接させて接着させることで、スチール書庫30の側板31に対して整理棚の側板面1bの磁石片6が隙間なく確実に載置でき、整理棚が傾くことなく方形の整理棚の外形を確実に維持させることができる。」 「【図1】 [図:0001414231000002.jpg] 」 (2) 甲2に記載された技術事項 上記(1)より、甲2には次の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲2技術事項) 「スチール書庫30内において使用する整理棚において、書類等を置いた場合に取り出し易いように、仕切面3aの前面の中央には、半円状の切り欠き部を形成した整理棚(【0017】、【0023】、図1)。」 3 甲3 (1) 記載事項 甲3には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 中空箱状の載置台と、 前記載置台の前面に、左右方向に互いに離間させて設けた複数の電源コンセントと、 前後方向を向く左右1対の仕切板の下端同士を底板をもって連結することにより形成され、かつ前記載置台の上面に、前記複数の電源コンセントにそれぞれ対応するようにして、互いに離間させて左右方向に並べて設けることにより、両仕切板間に第1収容空間を、また互いに隣接するもの同士の間に第2収容空間を形成するようにした複数の仕切部材 とを備えることを特徴とする電子機器収容台。」 「【請求項8】 載置台の前面が、棚板の前端より後方に位置するようにして、電子機器収容台を棚板上に載置した請求項7記載のキャビネット。」 「【図1】 [図:0001414231000003.jpg] 」 (2) 甲3に記載された技術事項 上記(1)より、甲3には次の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲3技術事項) 「キャビネット内の棚板上に載置された電子機器収容台であって、 載置台に電源コンセントを備えた電子機器収容台(請求項1、請求項8、図1)。」 4 甲4 (1) 記載事項 甲4には、以下の事項が記載されている。 ア 「本棚や収納スペースが充実した上棚ハイタイプの、棚部分上部は必要に応じて取り外すことができ、パソコン設置がよりしやすくなります。」(23頁左上欄) イ 「 [図:0001414231000004.jpg] 」(23頁左上図) ウ 「パソコンは、デスクの左右どちら側にでも設置できます。コンパクトなタイプのパソコンなら、棚板をはずすだけで通常のデスクの状態のまま設置し、パソコンデスクとしてお使いいただけます。 ・・・ ▲ブックエンドは左右どちらでも設置可能 上棚下部のブックエンドは使い勝手に合わせて左右どちら側にも取りつけることができます。」(24頁右上欄) エ 「 [図:0001414231000005.jpg] 」(24頁上段図) オ 「4(当審注:4は丸囲みの4)過電流防止【ブレーカー内蔵コンセント】 パソコン設置を考慮し、大容量コンセント(1400W)がついています。また容量以上の電流が流れるとブレーカーが作動し、過電流を防止。安全面にも配慮し、お子さまが直接触れないようにキャップを付けました。」(25頁左下欄) カ 「 [図:0001414231000006.jpg] 」(25頁左下図) キ 「 [図:0001414231000007.jpg] 」(25頁中段図)(点線の円は当審で付与した。) ク 「■カタログ記載のご注意 ○このカタログに記載した商品は1997年8月現在のものです。」(裏表紙) ケ 「P.JT’97-8」(裏表紙) (2) 認定事項 ア 上記(1)ウの「上棚下部のブックエンドは使い勝手に合わせて左右どちら側にも取りつけることができます。」の記載、及び、上記(1)エ、カ及びキの図示内容から見て、上記(1)キの点線の円で囲まれた部分が「ブックエンド」であると認められる。 イ 上記アを踏まえると、上記(1)ア、ウ及びオの記載、及び上記(1)イ、エ、カ及びキの図示内容から、甲4には、以下の(ア)~(オ)に係る事項が記載されていると認められる。 (ア) 「ブックエンドは、上棚の棚板に載置されるものであること。」(認定事項ア) (イ) 「ブックエンドは、正面から見て左右方向に対向配置される左側板部、右側板部を有すること。」(認定事項イ) (ウ) 「左側板部、右側板部は、それぞれ下端から中間部までの高さの、左側板部の下部分、右側板部の下部分を有し、左側板部、右側板部の中間部の高さである、左側板部の下部分及び右側板部の下部分の上端部を互いに接続する平板部を有すること。」(認定事項ウ) (エ) 「左側板部、右側板部は、それぞれ平板部から立ち上がる、左側板部の上部分、右側板部の上部分を有し、左側板部の上部分、及び右側板部の上部分の高さは、左側板部の下部分、及び右側板部の下部分の高さより、それぞれ高いこと。」(認定事項エ) (オ) 「ブックエンドは、大容量コンセントを備えること。」(認定事項オ) (カ) 「ブックエンドは、左側板部の下部分、右側板部の下部分、平板部と上棚の棚板に囲まれる位置に引き出しを備えること。」(認定事項カ) (キ) 「ブックエンドは、平板部、左側板部の上部分、及び右側板部の上部分により囲まれる収納空間を含むこと。」(認定事項キ) ウ 上記(1)エの図示事項から、「ブックエンドの右側板部の右側にパソコンが収納できること。」(認定事項ク) エ 上記(1)エの図示事項から、「ブックエンドが上棚の棚板に載置されることなく、直接上棚に設置されていること」が見て取れる(認定事項ケ)。 オ 上記(1)ク及びケの記載から、甲4は、平成9年(1997年)8月に発行されたものと推認される。 (3) 甲4に記載された発明 上記(1)及び(2)より、本件発明に係る特許出願の出願日より前である平成9年8月に発行されたものと推認される甲4には次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲4発明) 「上棚の棚板に載置されるブックエンドであって(認定事項ア)、 正面から見て左右方向に対向配置される左側板部、右側板部を有し(認定事項イ)、 左側板部、右側板部は、それぞれ下端から中間部までの高さの、左側板部の下部分、右側板部の下部分を有し、左側板部、右側板部の中間部の高さである、左側板部の下部分及び右側板部の下部分の上端部を互いに接続する平板部を有し(認定事項ウ)、 左側板部、右側板部は、それぞれ平板部から立ち上がる、左側板部の上部分、右側板部の上部分を有し、左側板部の上部分、及び右側板部の上部分の高さは、左側板部の下部分、及び右側板部の下部分の高さより、それぞれ高く(認定事項エ)、 大容量コンセントを備え(認定事項オ)、 ブックエンドは、左側板部の下部分、右側板部の下部分、平板部と上棚の棚板に囲まれる位置に引き出しを備え(認定事項カ)、平板部、左側板部の上部分、及び右側板部の上部分により囲まれる収納空間を含み(認定事項キ)、右側板部の右側にパソコンが収納できるものであり(認定事項ク)、 上棚の棚板に載置されることなく、直接上棚に設置され得る(認定事項ケ)、 ブックエンド。」 5 甲5 (1) 記載事項 甲5には、以下の事項が記載されている。 「【0016】 本発明に係る学習家具は、図1~図4に示すように、天板5の高さを調節可能な机1と、低い位置に設定した机天板5下に収容可能な高さのワゴンデスク2とを組み合わせ、前記机1の適所に一対の書棚3,4を着脱可能に設けたものである。図1は、天板5を低い位置に設定し、該天板5の下方にワゴンデスク2を収容するとともに、前記一対の書棚3,4を横に並べた状態で前記机1の天板5の上位に取付けた低姿勢態様を示している。また、図3は、天板5を高い位置に設定し、机1から外した一対の書棚3,4で形成した箱体6をワゴンデスク2の上面に装着するとともに、その状態で天板5の下方に収容した高姿勢態様を示している。 ・・・ 【0019】 前記書棚3,4は、図1に示すように、全体が同一横幅で、底板14と両側板15,15とを有するもので、両側板15,15の間に仕切板16を設けたものである。尚、前記仕切板16は、省略することも可能であり、また板状のもの以外にもU字形の金属棒でも良いのである。また、前記仕切板16は固定的であっても、横方向の取付位置が可変であっても良い。本実施形態では、前記机1の天板5の上面後部であって、両脚板7,7間に書棚3,4を横に並べて装着可能としている。ここで、前記書棚3,4を天板5の上位に取付けるには、前記脚板7に設けた取付孔9を利用して、外側の側板15を脚板7の内面に重ねた状態でネジ止めしているが、単に天板5の上面に載置するだけでも良い。好ましくは、前記書棚3,4を横に並べた状態で、内側の互に重合する側板15,15同士を連結する。尚、前記書棚3,4は、机1の天板5の下位、即ち両脚板7,7間の足入れ空間の奥部に取付けることも可能である。」 「【0029】 また、図8及び図9に示した第3実施形態は、前記書棚3,4の外側の奥行寸法を内側の奥行寸法よりも大きく設定し、つまり前記底板14が台形であり、書棚3,4を天板5の上位に横に並べて設けた際には、両側が手前にせり出した形状の机上棚となり、小さな子供でも両側部に収納した書籍等に容易に手が届くようになる。そして、この傾斜縁21を有する前記書棚3,4を机1から外して箱体6を形成し、前述のようにワゴンデスク2の上面に装着すると、図9に示すように前下がりの収納部となり、手前から該収納部への物品の出し入れが容易になる。尚、本実施形態でも、箱体付きのワゴンデスク2を高い位置に設定した天板5の下方に収容することができるように寸法設定することも可能であるが、むしろ箱体付きのワゴンデスク2を机1の側方に置いて使用することが好ましい。この場合には、天板5が高い位置に設定したことによる該天板5下のデッドスペースの有効利用よりも、前記書棚3,4で机上棚を構成した際の手の届きやすさを優先させる設計思想である。」 「【図8】 [図:0001414231000008.jpg] 」 (2) 認定事項 ア 図8から、「書棚3」の「両側板15」は、「外側の側板15」及び「内側の側板15」からなることが見て取れる(認定事項ア)。 イ 図8及び上記アから、「書棚3の外側の側板15及び内側の側板15は、それぞれ底板14の両側端部の上面から立設していること」が見て取れる(認定事項イ)。 ウ 図8から、「書棚3,4の、それぞれの、外側の側板15及び内側の側板15のうち、外側の側板15は、前後方向において、内側の側板15よりも前方に突出していること」が見て取れる(認定事項ウ)。 (3) 甲5に記載された技術事項 上記(1)及び(2)より、甲5には次の技術事項(以下「甲5技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲5技術事項) 「机1の天板5に載置される一対の書棚3,4のうちの書棚3であって、前記書棚3は、底板14と、それぞれ底板14の両側端部の上面から立設する外側の側板15及び内側の側板15とを有し、外側の側板15は、前後方向において、内側の側板15よりも前方に突出しており(【0016】、【0019】、認定事項イ、認定事項ウ)、 前記書棚3,4の外側の奥行寸法を内側の奥行寸法よりも大きく設定し、つまり前記底板14が台形であり、書棚3,4を天板5の上位に横に並べて設けた際には、両側が手前にせり出した形状の机上棚となり、小さな子供でも両側部に収納した書籍等に容易に手が届くようになる(【0029】、図8)書棚3。」 第5 当審の判断 1 理由1(甲1を主引例とする進歩性欠如)について (1) 本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲1発明を対比する。 (ア) 特定事項Aについて 甲1発明の「ラップ保管棚152」、「底面153」は、本件発明1の「収納庫」、「棚板」に、それぞれ相当する。 そして、甲1発明の「ラップ保管棚152内に収納して置かれるラップ容器158」は、「下の収納空間と」「上の収納空間とを含」むものであるところ、甲1発明において「ラップ容器158」によって「ラップ保管棚152」が「複数の収納空間」に仕切られるものといえ、このことは、本件発明1の「収納庫内の棚板の上面に載置され」た「収納庫用仕切り部材」によって、「前記収納庫内の収納空間を複数の収納空間に仕切る」ことに相当する。 よって、甲1発明の「ラップ容器158」は、本件発明1の「収納庫用仕切り部材」に相当し、甲1発明は、本件発明1の特定事項Aを備える。 (イ) 特定事項Bについて 甲1発明の「ラップ容器158の底面175の両側縁からそれぞれ上方に立ち上がるとともに、正面から見て左右方向に対向配置され」る「側面パネル178及び側面パネル179」の、「それぞれラップ容器158の底面175から、底面に平行な中間のパネル177までの高さの、側面パネル178の下部分及び側面パネル179の下部分」は、本件発明1の「上方に立ち上がるとともに、互いに所定の間隔を空けて左右方向に対向配置された第1側板部及び第2側板部」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明1の特定事項Bを備える。 (ウ) 特定事項Cについて 甲1発明の「ラップ容器158の底面175から、底面に平行な中間のパネル177までの高さの、側面パネル178の下部分及び側面パネル179の下部分」「の上端部を互いに接続」する「中間のパネル177」は、本件発明1の「前記第1側板部及び前記第2側板部の下端部から上方に所定の間隔をあけて配置されるとともに、前記第1側板部及び前記第2側板部のそれぞれの上端部を互いに接続する天板部」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明1の特定事項Cを備える。 (エ) 特定事項Dについて 甲1発明の「側面パネル178及び側面パネル179」のうち、「中間のパネル177までの高さ」の部分が、「側面パネル178の下部分及び側面パネル179の下部分(上記(イ)より、本件発明1の「第1側板部及び第2側板部」に相当。)」であり、「中間のパネル177から立ち上がる」部分が「側面パネル178の上部分及び側面パネル179の上部分」であるのだから、甲1発明の「側面パネル178の上部分」又は「側面パネル179の上部分」のいずれかが、本件発明1の「前記天板部から上方かつ前記第1側板部の延長上に立ち上がる立ち上がり部」に相当するといえる。 よって、甲1発明は、本件発明1の特定事項Dを備える。 (オ) 特定事項Eについて 本件発明1の「前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と前記棚板の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間」と、甲1発明の「側面パネル178の下部分、側面パネル179の下部分、中間のパネル177、ラップ容器158の下の棚を画す底面175とにより囲まれ、前面が開放された下の収納空間」は、「前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と」天板部の下方の面の「上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間」である点で共通する。 甲1発明の「側面パネル178の上部分及び側面パネル179の上部分の間に位置し中間のパネル177により画されている第2の棚と、側面パネル178の上部分及び側面パネル179の上部分とによる上の収納空間」は、本件発明1の「前記天板部の上方かつ前記立ち上がり部の側方に形成された第2収納空間」に相当する。 よって、本件発明1の特定事項Eと、甲1発明は、「前記複数の収納空間は、前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と」天板部の下方の面の「上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間と、前記天板部の上方かつ前記立ち上がり部の側方に形成された第2収納空間と」「を含」む点で共通する。 (カ) 特定事項Gについて 甲1発明の「中間のパネル177の前方側に」「形成されている」「切り欠き部」は、本件発明1の「前記天板部の前方側に」「形成されて」いる「切り欠き部」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Gを備える。 (キ) 特定事項Hについて 甲1発明の「切り欠き部」が「中間のパネル177の前方側に、中間のパネル177の前方側から後方側に前後方向に向け」て「形成されている」ことは、本件発明1の「前記切り欠き部は、前後方向について、前記天板部の前端から後方」「形成され」ていることに相当する。 よって、本件発明1の特定事項Hは、甲1発明と、「前記切り欠き部は、前後方向について、前記天板部の前端から後方」「に形成され」る点で共通する。 (ク) 特定事項Iについて 甲1発明の「ラップ容器158」は、本件発明1の「収納庫用仕切り部材」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明1の特定事項Iを備える。 (ケ) 一致点・相違点 上記(ア)~(ク)より、本件発明1と甲1発明は、 「A 収納庫内の棚板の上面に載置され、前記収納庫内の収納空間を複数の収納空間に仕切るための収納庫用仕切り部材であって、 B 上方に立ち上がるとともに、互いに所定の間隔を空けて左右方向に対向配置された第1側板部及び第2側板部と、 C 前記第1側板部及び前記第2側板部の下端部から上方に所定の間隔をあけて配置されるとともに、前記第1側板部及び前記第2側板部のそれぞれの上端部を互いに接続する天板部と、 D 前記天板部から上方かつ前記第1側板部の延長上に立ち上がる立ち上がり部と、 を備え、 E’前記複数の収納空間は、前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と天板部の下方の面の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間と、前記天板部の上方かつ前記立ち上がり部の側方に形成された第2収納空間とを含み、 G 前記天板部の前方側に切り欠き部が形成されており、 H’前記切り欠き部は、前後方向について、前記天板部の前端から後方に形成される、 I 収納庫用仕切り部材。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](特定事項E) 「第1収納空間」に関して、 本件発明1では、「前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と前記棚板の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間」であるのに対し、 甲1発明では、「側面パネル178の下部分、側面パネル179の下部分、中間のパネル177、ラップ容器158の下の棚を画す底面175とにより囲まれ、前面が開放された下の収納空間」である点、 すなわち、本件発明1では、「棚板の上面」とにより囲まれているのに対し、甲1発明では「ラップ容器158の」「底面175」とにより囲まれている点。 [相違点2](特定事項E) 「複数の収納空間は」、 本件発明1では、「前記棚板の上面から上方かつ前記第1側板部及び前記立ち上がり部の側方に形成され、前記第1収納空間及び前記第2収納空間に隣接する第3収納空間」を含むのに対し、 甲1発明には、本件発明1の「第3収納空間」に相当する収納空間が含まれるのか不明である点。 [相違点3](特定事項F) 本件発明1では、「前記第2側板部は、前後方向において、前記第1側板部よりも前方に突出して」いるのに対し、 甲1発明では、このような特定がなされていない点。 [相違点4](特定事項H) 「切り欠き部」に関して、 本件発明1では、「前記立ち上がり部の前端よりも前方側に形成され、前記第1収納空間における入出庫作業に利用可能である」のに対し、 甲1発明では、このような特定がなされていない点。 イ 判断 (ア) 相違点について 事案に鑑み上記相違点3から検討する。 甲1には、甲1発明において、「側面パネル178の下部分及び側面パネル179の下部分」の一方を、前後方向において、他方よりも前方に突出させるようにすることについて、記載も示唆もされておらず、そのようにすることについての動機が存在するとは、認められない。 また、上記相違点3に係る本件発明1の特定事項Fに係る構成である「前記第2側板部は、前後方向において、前記第1側板部よりも前方に突出して」いる点について、甲2~甲5のいずれもにも記載も示唆もされていない。 さらに、収納庫仕切り部材の分野において、当該構成が周知技術であるとも認められない。 そして、本件発明1は、当該構成を備えることにより、「前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と前記棚板の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間」において、第1収納空間の正面方向のみならず斜め方向からもアクセス可能になるため、第1収納空間に収納物を収納する際の収納作業(入庫作業)と、第1収納空間から収納物を取り出す際の取り出し作業(出庫作業)とが容易になるという顕著な作用効果を奏するものである。 したがって、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて、上記相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ) 申立人の主張について 申立人は上記相違点3(当審注:申立書では「相違点1」に対応している。)について、申立書25頁19~36行において、 「[相違点1]について ・・・ また、甲5記載事項は、上記「イ.(オ)」のとおりであって、甲5記載事項における「底板14」は、その構造、機能、作用等からみて、本件特許発明1における「天板」に相当する(なお、甲1発明に甲5記載事項を適用すれば、必然的に「第2側板部は、前後方向において、前記第1側板部よりも前方に突出する」ことになる。)。 以上を照らし合わせると、甲1発明において、上記相違点1に係る本件特許発明1における発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。」と主張している。 しかしながら、甲5技術事項は、上記「第4 5(3)」にて認定したとおり、「底板14の両側端部の上面から立設する外側の側板15及び内側の側板15とを有し、外側の側板15は、前後方向において、内側の側板15よりも前方に突出」するものであるから、甲5技術事項の「底板14」、「外側の側板15」または「内側の側板15」は、本件発明1の「天板部」、「立ち上がり部」に、それぞれ相当するものである。 そして、甲5技術事項に、本件発明1の「第1側板部」及び「第2側板部」に相当する構成は特定されていないから、この甲5技術事項を、甲1発明に適用しても、上記相違点3に係る本件発明1の構成とならないことは明らかである。 よって、申立人の主張には理由がない。 (2) 本件発明2 ア 対比 本件発明2と甲1発明を対比する。 (ア) 特定事項A~E、Iについて 本件発明2の特定事項A~E、Iについては、上記(1)ア(ア)~(オ)、(ク)にて検討したとおりである。 (イ) 一致点・相違点 上記(ア)より、本件発明2と甲1発明は、 「A 収納庫内の棚板の上面に載置され、前記収納庫内の収納空間を複数の収納空間に仕切るための収納庫用仕切り部材であって、 B 上方に立ち上がるとともに、互いに所定の間隔を空けて左右方向に対向配置された第1側板部及び第2側板部と、 C 前記第1側板部及び前記第2側板部の下端部から上方に所定の間隔をあけて配置されるとともに、前記第1側板部及び前記第2側板部のそれぞれの上端部を互いに接続する天板部と、 D 前記天板部から上方かつ前記第1側板部の延長上に立ち上がる立ち上がり部と、 を備え、 E’前記複数の収納空間は、前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と天板部の下方の面の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間と、前記天板部の上方かつ前記立ち上がり部の側方に形成された第2収納空間とを含む、 I 収納庫用仕切り部材。」 の点で一致し、上記(1)ア(ケ)の相違点1~相違点3に加え、以下の点で相違する。 [相違点5](特定事項J) 本件発明2では、「電源供給部」を備えるのに対し、 甲1発明では、このような特定がなされていない点。 イ 判断 事案に鑑み上記相違点3から検討すると、相違点3については、上記(1)イにて説示のとおりである。 したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明3、5、11 本件発明3、5、11は、本件発明1又は本件発明2の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えた発明である。 したがって、本件発明3、5、11は、本件発明1又は本件発明2と同様の理由により、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4) 理由1のまとめ 以上のとおりであるから、本件発明1~3、5、11は、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 理由2(甲4を主引例とする進歩性欠如)について (1) 本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲4発明を対比する。 (ア) 特定事項Aについて 甲4発明の「上棚」、「棚板」は、本件発明1の「収納庫」、「棚板」に、それぞれ相当する。 そして、甲4発明の「上棚の棚板に載置されるブックエンド」は、「引き出しと」「収納空間」と「パソコンが収納できる」部分とを含むものであるところ、甲4発明において「ブックエンド」によって「上棚」が「複数の収納空間」に仕切られるものといえ、このことは、本件発明1の「収納庫内の棚板の上面に載置され」た「収納庫用仕切り部材」によって、「前記収納庫内の収納空間を複数の収納空間に仕切る」ことに相当する。 よって、甲4発明の「ブックエンド」は、本件発明1の「収納庫用仕切り部材」に相当し、甲4発明は、本件発明1の特定事項Aを備える。 (イ) 特定事項Bについて 甲4発明の「正面から見て左右方向に対向配置される左側板部、右側板部」の、「それぞれ下端から中間部までの高さの、左側板部の下部分、右側板部の下部分」は、本件発明1の「上方に立ち上がるとともに、互いに所定の間隔を空けて左右方向に対向配置された第1側板部及び第2側板部」に相当する。 よって、甲4発明は、本件発明1の特定事項Bを備える。 (ウ) 特定事項Cについて 甲4発明の「左側板部、右側板部の中間部の高さである、左側板部の下部分及び右側板部の下部分の上端部を互いに接続する平板部」は、本件発明1の「前記第1側板部及び前記第2側板部の下端部から上方に所定の間隔をあけて配置されるとともに、前記第1側板部及び前記第2側板部のそれぞれの上端部を互いに接続する天板部」に相当する。 よって、甲4発明は、本件発明1の特定事項Cを備える。 (エ) 特定事項Dについて 甲4発明の「左側板部、右側板部」のうち、「平板部」までの部分が、「左側板部の下部分、右側板部の下部分(上記(イ)より、本件発明1の「第1側板部及び第2側板部」に相当。)」であり、「平板部から立ち上がる」部分が「左側板部の上部分、右側板部の上部分」であるのだから、甲4発明の「左側板部の上部分、右側板部の上部分」のいずれかが、本件発明1の「前記天板部から上方かつ前記第1側板部の延長上に立ち上がる立ち上がり部」に相当するといえる。 よって、甲4発明は、本件発明1の特定事項Dを備える。 (オ) 特定事項Eについて a 甲4発明は「左側板部の下部分、右側板部の下部分、平板部と上棚の棚板に囲まれる位置に引き出しを備え」るものであるところ、「引き出し」が収納される前面が開口された空間が存在することは明らかであり、この空間は、本件発明1の「前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と前記棚板の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間」に相当する。 b また、甲4発明の「平板部、左側板部の上部分、及び右側板部の上部分により囲まれる収納空間」は、本件発明1の「前記天板部の上方かつ前記立ち上がり部の側方に形成された第2収納空間」に相当する。 c さらに、甲4発明の「ブックエンド」は「上棚の棚板に載置される」ことから、「右側板部」は、「上棚の棚板」の上面から上方に設けられていることは明らかである。 そして、甲4発明は「右側板部の右側にパソコンが収納できるものであ」ることから、「右側板部の右側に」収納空間が存在することは明らかであり、上記a、bより、甲4発明の「左側板部の下部分、右側板部の下部分」の間の空間は、本件発明1の「第1収納空間」に相当し、甲4発明の「左側板部の上部分、及び右側板部の上部分」の間の空間は、本件発明1の「第2収納空間」に相当することから、甲4発明の「右側板部の右側」の収納空間は、本件発明1の「前記棚板の上面から上方かつ前記第1側板部及び前記立ち上がり部の側方に形成され、前記第1収納空間及び前記第2収納空間に隣接する第3収納空間」に相当するといえる。 d よって、甲4発明は、本件発明1の特定事項Eを備える。 (カ) 特定事項Iについて 甲4発明の「ブックエンド」は、本件発明1の「収納庫用仕切り部材」に相当する。 よって、甲4発明は、本件発明1の特定事項Iを備える。 (キ) 一致点・相違点 上記(ア)~(カ)より、本件発明1と甲4発明は、 「A 収納庫内の棚板の上面に載置され、前記収納庫内の収納空間を複数の収納空間に仕切るための収納庫用仕切り部材であって、 B 上方に立ち上がるとともに、互いに所定の間隔を空けて左右方向に対向配置された第1側板部及び第2側板部と、 C 前記第1側板部及び前記第2側板部の下端部から上方に所定の間隔をあけて配置されるとともに、前記第1側板部及び前記第2側板部のそれぞれの上端部を互いに接続する天板部と、 D 前記天板部から上方かつ前記第1側板部の延長上に立ち上がる立ち上がり部と、 を備え、 E 前記複数の収納空間は、前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と前記棚板の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間と、前記天板部の上方かつ前記立ち上がり部の側方に形成された第2収納空間と、前記棚板の上面から上方かつ前記第1側板部及び前記立ち上がり部の側方に形成され、前記第1収納空間及び前記第2収納空間に隣接する第3収納空間とを含む、 I 収納庫用仕切り部材。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点6](特定事項F) 本件発明1では、「前記第2側板部は、前後方向において、前記第1側板部よりも前方に突出して」いるのに対し、 甲4発明では、このような特定がなされていない点。 [相違点7](特定事項G、H) 本件発明1では、「前記天板部の前方側に切り欠き部が形成されており、前記切り欠き部は、前後方向について、前記天板部の前端から後方、かつ、前記立ち上がり部の前端よりも前方側に形成され、前記第1収納空間における入出庫作業に利用可能である」のに対し、 甲4発明では、このような特定がなされていない点。 イ 判断 (ア) 相違点について 相違点6について検討する。 甲4には、甲4発明において、「左側板部の下部分、右側板部の下部分」の一方を、前後方向において、他方よりも前方に突出させるようにすることについて、記載も示唆もされておらず、そのようにすることについての動機が存在するとは、認められない。 また、上記相違点6に係る本件発明1の特定事項Fに係る構成である「前記第2側板部は、前後方向において、前記第1側板部よりも前方に突出して」いる点について、甲1~甲3、甲5のいずれもにも記載も示唆もされていない。 さらに、収納庫仕切り部材の分野において、当該構成が周知技術であるとも認められない。 そして、本件発明1は、当該構成を備えることにより、「前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と前記棚板の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間」において、第1収納空間の正面方向のみならず斜め方向からもアクセス可能になるため、第1収納空間に収納物を収納する際の収納作業(入庫作業)と、第1収納空間から収納物を取り出す際の取り出し作業(出庫作業)とが容易になるという顕著な作用効果を奏するものである。 したがって、甲4発明、甲1~甲3及び甲5に記載された事項に基づいて、上記相違点6に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、相違点7について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明、甲1~甲3及び甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ) 申立人の主張について 申立人は、申立書31頁6~23行において、上記相違点6(当審注:申立書では「相違点7」に対応している。)について主張しているが、その主張の具体的内容、及び当審の判断については、上記1(1)イ(イ)に記載したとおりである。 (2) 本件発明2 ア 対比・判断 本件発明2と甲4発明を対比する。 (ア) 特定事項A~E、Iについて 本件発明2の特定事項A~E、Iについては、上記(1)ア(ア)~(カ)にて検討したとおりである。 (イ) 特定事項Jについて 甲4発明の「大容量コンセント」は、本件発明2の「電源供給部」に相当する。 (ウ) 一致点・相違点 上記(ア)、(イ)より、本件発明2と甲4発明は、 「A 収納庫内の棚板の上面に載置され、前記収納庫内の収納空間を複数の収納空間に仕切るための収納庫用仕切り部材であって、 B 上方に立ち上がるとともに、互いに所定の間隔を空けて左右方向に対向配置された第1側板部及び第2側板部と、 C 前記第1側板部及び前記第2側板部の下端部から上方に所定の間隔をあけて配置されるとともに、前記第1側板部及び前記第2側板部のそれぞれの上端部を互いに接続する天板部と、 D 前記天板部から上方かつ前記第1側板部の延長上に立ち上がる立ち上がり部と、 J 電源供給部と、 を備え、 E 前記複数の収納空間は、前記第1側板部と前記第2側板部と前記天板部と前記棚板の上面とにより囲まれ、前面が開口された第1収納空間と、前記天板部の上方かつ前記立ち上がり部の側方に形成された第2収納空間と、前記棚板の上面から上方かつ前記第1側板部及び前記立ち上がり部の側方に形成され、前記第1収納空間及び前記第2収納空間に隣接する第3収納空間とを含む、 I 収納庫用仕切り部材。」 の点で一致し、上記(1)ア(キ)の相違点6で相違する。 そして、相違点6についての判断は、上記(1)イにて検討したとおりである。 したがって、本件発明2は、甲4発明、甲1~甲3及び甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明3、5、11 本件発明3、5、11は、本件発明1又は本件発明2の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えた発明である。 したがって、本件発明3、5、11は、本件発明1又は本件発明2と同様の理由により、甲4発明甲1~甲3及び甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4) 理由2のまとめ 以上のとおりであるから、本件発明1~3、5、11は、甲4発明、甲1~甲3及び甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件発明1~3、5、11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~3、5、11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700549

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    共通の審決分類: 121・A47B
  • 2024-701142異議申立 / 2026-01-07 / 訂正認容蒸気加熱式温冷配膳車およびその運転方法
    共通の審決分類: 121・A47B
  • 2024-700625異議申立 / 2025-08-04 / 請求成立(取消)天板昇降式什器
    共通の審決分類: 121・A47B
  • 2024-701087異議申立 / 2025-06-03 / 請求成立(取消)スライド棚および厨房機器
    共通の審決分類: 121・A47B
  • 2024-700790異議申立 / 2025-03-28 / 訂正認容天板付き什器
    共通の審決分類: 121・A47B

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