2021-701139
貯留排水用ブロック及び貯留排水構造
- 審判番号
- 2021-701139
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-021091外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6883996
- 請求日
- 2021年12月02日
- 審決日
- 2022年08月31日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.851-YAA(E03F) / P1651.121-YAA(E03F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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特許第6883996号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成29年2月8日に出願され、令和3年5月13日にその特許権の設定登録がされ、同年6月9日に特許掲載公報が発行された。
その後、同年12月2日に、特許異議申立人 湊 愛(以下、「申立人」という。)より特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし6に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた。
その後の経緯は、以下のとおりである。
同年 4月22日: 特許権者による意見書及び訂正請求書の
提出
同年 7月 6日: 申立人による意見書の提出
なお、以下では、令和4年4月22日付け訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。
第2 本件訂正について
1 本件訂正の内容
本件訂正は、訂正事項1ないし6からなり、各訂正事項による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1による訂正
特許請求の範囲の請求項1に、
「側面が樹脂板で構成され内部に中空部を有する中空多面体ブロックと、前記中空多面体ブロックの全周囲を覆う透水性部材と、を有し、前記樹脂板が、厚み方向に貫通する複数の孔を有し、前記樹脂板は、一方側の面が略平坦であり、他方側の面が前記樹脂板の面方向に対し交差する方向に起立するリブを備え、前記リブが前記中空多面体ブロックの内部に面するよう配置されており、外周面全体が略平坦であることを特徴とする貯留排水用ブロック。」
と記載されているのを、
「側面が樹脂板で構成され内部に中空部を有する中空多面体ブロックと、前記中空多面体ブロックの全周囲を覆う透水性部材と、を有し、前記樹脂板が、厚み方向に貫通する複数の孔を有し、前記樹脂板は、一方側の面が略平坦であり、他方側の面が前記樹脂板の面方向に対し交差する方向に起立するリブを備え、前記リブが前記中空多面体ブロックの内部に面するよう配置されており、外周面全体が略平坦であり、前記中空多面体ブロックの縦寸法、横寸法、及び奥行寸法のそれぞれが、5cm以上10cm以下の範囲であり、前記中空多面体ブロックを構成する各面が、それぞれ一枚の前記樹脂板から構成されていることを特徴とする貯留排水用ブロック。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する訂正後の請求項2、4~6も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2による訂正
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3)訂正事項3による訂正
明細書の段落【0008】に、
「本発明の貯留排水用ブロックは、側面が樹脂板で構成され内部に中空部を有する中空多面体ブロックと、前記中空多面体ブロックの全周囲を覆う透水性部材と、を有し、前記樹脂板が、厚み方向に貫通する複数の孔を有し、前記樹脂板は、一方側の面が略平坦であり、他方側の面が前記樹脂板の面方向に対し交差する方向に起立するリブを備え、前記リブが前記中空多面体ブロックの内部に面するよう配置されており、外周面全体が略平坦であることを特徴とする。」
と記載されているのを、
「本発明の貯留排水用ブロックは、側面が樹脂板で構成され内部に中空部を有する中空多面体ブロックと、前記中空多面体ブロックの全周囲を覆う透水性部材と、を有し、前記樹脂板が、厚み方向に貫通する複数の孔を有し、前記樹脂板は、一方側の面が略平坦であり、他方側の面が前記樹脂板の面方向に対し交差する方向に起立するリブを備え、前記リブが前記中空多面体ブロックの内部に面するよう配置されており、外周面全体が略平坦であり、前記中空多面体ブロックの縦寸法、横寸法、及び奥行寸法のそれぞれが、5cm以上10cm以下の範囲であり、前記中空多面体ブロックを構成する各面が、それぞれ一枚の前記樹脂板から構成されていることを特徴とする。」
と訂正する。
(4)訂正事項4による訂正
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記樹脂板が略平板状であり、前記中空多面体ブロックが、上面と、前記上面に対し所定距離を開けて平行に配置される下面と、前記上面と前記下面とを連係する複数の横側面を有し、前記上面及び前記下面を構成する第一の前記樹脂板は、内側面の外縁に上下方向に凹状の凹部を有し、前記横側面を構成する第二の前記樹脂板は、上端面及び下端面に、前記凹部に対応する上下方向に凸状の凸部を有し、前記凹部に前記凸部が嵌合され前記中空多面体ブロックが構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の貯留排水用ブロック。」
と記載されているのを、
「前記樹脂板が略平板状であり、前記中空多面体ブロックが、上面と、前記上面に対し所定距離を開けて平行に配置される下面と、前記上面と前記下面とを連係する複数の横側面を有し、前記上面及び前記下面を構成する第一の前記樹脂板は、内側面の外縁に上下方向に凹状の凹部を有し、前記横側面を構成する第二の前記樹脂板は、上端面及び下端面に、前記凹部に対応する上下方向に凸状の凸部を有し、前記凹部に前記凸部が嵌合され前記中空多面体ブロックが構成されている請求項1または2に記載の貯留排水用ブロック。」
と訂正する(請求項4の記載を引用する訂正後の請求項5及び6も同様に訂正する。)。
(5)訂正事項5による訂正
特許請求の範囲の請求項5に、
「前記中空部を介して対向する2枚の樹脂板の少なくともいずれかに、当該樹脂板の面方向に対し交差する方向に起立する支柱が形成されており、前記支柱を介して前記対向する2枚の樹脂板が物理的に連続している請求項1から4のいずれか一項に記載の貯留排水用ブロック。」
と記載されているのを、
「前記中空部を介して対向する2枚の樹脂板の少なくともいずれかに、当該樹脂板の面方向に対し交差する方向に起立する支柱が形成されており、前記支柱を介して前記対向する2枚の樹脂板が物理的に連続している請求項1、2または4のいずれか一項に記載の貯留排水用ブロック。」
と訂正する(請求項5の記載を引用する訂正後の請求項6も同様に訂正する。)。
(6)訂正事項6による訂正
特許請求の範囲の請求項6に、
「地盤に、請求項1から5のいずれか一項に記載の貯留排水用ブロックが複数埋設されてなることを特徴とする貯留排水構造。」
と記載されているのを、
「地盤に、請求項1、2、4または5のいずれか一項に記載の貯留排水用ブロックが複数埋設されてなることを特徴とする貯留排水構造。」
と訂正する。
2 訂正の適否の判断
(1)訂正事項1による訂正について
ア 訂正の目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項1における「中空多面体ブロック」について、「中空多面体ブロックの縦寸法、横寸法、及び奥行寸法のそれぞれが、5cm以上10cm以下の範囲」であること、及び、「中空多面体ブロックを構成する各面が、それぞれ一枚の前記樹脂板から構成されている」ことを、限定するとともに、請求項1を引用する本件訂正後の請求項2及び4ないし6についても同様の限定を行うものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。
イ 新規事項の有無
願書に添付した特許請求の範囲の【請求項3】には、「前記中空多面体ブロックを構成する各面が、それぞれ一枚の前記樹脂板から構成されている」と記載されている。また、願書に添付した明細書の段落【0018】には、「運搬性又は取扱い性が容易であるという観点からは、たとえば、中空多面体ブロック20の縦寸法、横寸法、及び奥行寸法のそれぞれが、5cm以上100cm以下の範囲であることが好ましく、」と記載されている。
したがって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2による訂正について
ア 訂正の目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2による訂正は、本件訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項2による訂正は、上記アのとおり、本件訂正前の請求項3を削除するものであるから、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3による訂正について
ア 訂正の目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3による訂正は、明細書の段落【0008】の記載のうち、本件訂正前の請求項1の記載に対応していた箇所を、訂正事項1により訂正された本件訂正後の請求項1の記載と整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項3による訂正は、明細書の段落【0008】の記載を、訂正事項1により訂正された本件訂正後の請求項1の記載と整合させるものであるから、訂正事項1による訂正について上記(1)アで述べたのと同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項3による訂正は、明細書の段落【0008】の記載を、訂正事項1により訂正された本件訂正後の請求項1の記載と整合させるものであるから、訂正事項1による訂正について上記(1)イで述べたのと同様に、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
(4)訂正事項4ないし6による訂正について
ア 訂正の目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4ないし6による訂正は、本件訂正前の請求項4ないし6について、それぞれ本件訂正前の請求項3を引用する選択肢を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4ないし6による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項4ないし6による訂正は、上記アのとおり、本件訂正前の請求項4ないし6について、それぞれ本件訂正前の請求項3を引用する選択肢を削除するものであるから、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
(5)訂正の単位、及び独立特許要件について
ア 訂正の単位について
訂正事項1ないし6による本件訂正は、上記(1)アないし(4)アに示したとおり、本件訂正前の請求項1ないし6について、特許請求の範囲を減縮するとともに、明細書の記載を本件訂正後の請求項1の記載と整合させるものであるから、請求項1ないし6について請求するものである。
そして、本件訂正前の請求項1ないし6について、請求項2ないし6は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1ないし6に対応する訂正後の請求項1ないし6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、請求項1ないし6について請求された本件訂正は、一群の請求項に対して、請求されたものである。
イ 独立特許要件について
本件訂正は、訂正事項1、2及び4ないし6により、本件訂正前の請求項1ないし6に係る発明について、特許請求の範囲を減縮する内容を含んでいるが、本件特許異議申立においては、本件訂正前の請求項1ないし6の全てについて特許異議の申立てがされているから、本件訂正後の請求項1ないし6に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は、本件訂正の適否の要件として課されない。
3 まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5ただし書第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正後の請求項1ないし6について、本件訂正を全て認める。
第3 本件訂正発明
本件訂正がされた請求項1、2及び4ないし6に係る発明(以下、それぞれを「本件訂正発明1」等といい、まとめて「本件訂正発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1、2及び4ないし6に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。
なお、請求項3に係る発明は、本件訂正により削除された。
「【請求項1】側面が樹脂板で構成され内部に中空部を有する中空多面体ブロックと、前記中空多面体ブロックの全周囲を覆う透水性部材と、を有し、前記樹脂板が、厚み方向に貫通する複数の孔を有し、前記樹脂板は、一方側の面が略平坦であり、他方側の面が前記樹脂板の面方向に対し交差する方向に起立するリブを備え、前記リブが前記中空多面体ブロックの内部に面するよう配置されており、外周面全体が略平坦であり、前記中空多面体ブロックの縦寸法、横寸法、及び奥行寸法のそれぞれが、5cm以上10cm以下の範囲であり、前記中空多面体ブロックを構成する各面が、それぞれ一枚の前記樹脂板から構成されていることを特徴とする貯留排水用ブロック。【請求項2】前記中空多面体ブロックの外周が、長尺の固定部材によって締め付けられている請求項1に記載の貯留排水用ブロック。」
「【請求項4】前記樹脂板が略平板状であり、前記中空多面体ブロックが、上面と、前記上面に対し所定距離を開けて平行に配置される下面と、前記上面と前記下面とを連係する複数の横側面を有し、前記上面及び前記下面を構成する第一の前記樹脂板は、内側面の外縁に上下方向に凹状の凹部を有し、前記横側面を構成する第二の前記樹脂板は、上端面及び下端面に、前記凹部に対応する上下方向に凸状の凸部を有し、前記凹部に前記凸部が嵌合され前記中空多面体ブロックが構成されている請求項1または2に記載の貯留排水用ブロック。【請求項5】前記中空部を介して対向する2枚の樹脂板の少なくともいずれかに、当該樹脂板の面方向に対し交差する方向に起立する支柱が形成されており、前記支柱を介して前記対向する2枚の樹脂板が物理的に連続している請求項1、2または4のいずれか一項に記載の貯留排水用ブロック。【請求項6】地盤に、請求項1、2、4または5のいずれか一項に記載の貯留排水用ブロックが複数埋設されてなることを特徴とする貯留排水構造。」
第4 証拠一覧、特許異議申立理由及び取消理由の概要
1 証拠一覧
申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。なお、以下では甲第1号証、甲第2号証等を、それぞれ「甲1」、「甲2」等という。
(1)申立書に添付して提出された証拠
(平成13年4月10日公開)
(平成27年5月21日公開)
(平成13年3月6日公開)
(2009年10月22日国際公開)
(1995年6月22日国際公開)
(平成20年2月21日公開)
(平成26年5月15日公開)
(平成26年9月18日公開)
(平成9年4月8日公開)
(平成23年9月8日公開)
(平成12年3月21日公開)
(平成25年5月20日公開)
(2)令和4年7月6日付け意見書に添付して提出された証拠
(平成19年3月8日公開)
ロン化成株式会社
(2012年7月発行)
2 特許異議申立理由の概要
申立人が申立書において主張する特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)
本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲1に記載された発明、及び甲2ないし甲12に示される技術的事項又は周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
3 取消理由通知に記載した取消理由の概要
令和4年2月17日付け取消理由通知において記載した取消理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)
本件訂正前の本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲1に記載された発明、甲12及び甲6に示される技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
第5 各証拠について
1 取消理由通知において言及した証拠について
取消理由通知において言及した甲1、甲12及び甲6には、下記(1)ないし(3)の記載がある。
(1)甲1
ア 記載事項
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甲1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下、同様。)。
(ア)「【0006】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のように脚柱を備えた合成樹脂製の充填体を縦横に並べると共に上下に積み重ねて地下水槽内に充填し、その外周に合成樹脂製の側板を設けた充填構造は、側板によって周囲からの土圧に対する耐圧強度が幾分向上するとはいうものの、側板だけでは耐圧強度が充分でないため、周囲からの土圧によって側板が破壊され、土が地下水槽内に入って押し潰される心配があった。特に脚柱の長い充填体を積み重ねる場合は、側板を内側から支える充填体の枠体の上下間隔が広くなるため、側板が土圧によって破壊され易くなるという問題があった。【0007】側板の強度を上げるには、側板の厚みを大きくしたり、側板に補強リブを形成すればよいが、このような方法で側板の強度を上げても限界があり、多量の樹脂を使用するためコストが高くなるばかりか、側板の重量が増して持ち運びし難くなり、施工性の低下を招くことになる。【0008】また、上記の充填構造では、地震が発生すると側板が脱落し易いため、その脱落部分から土が地下水槽内へ入る心配もあった。【0009】本発明は上記の問題に対処すべくなされたもので、その目的とするところは、周囲からの土圧に対する耐圧強度が大きく、土圧によって側板が破壊されたり、地震によって側板が脱落したりする心配がない地下水槽の充填構造を提供することにある。」
(イ)「【0032】この図1の実施形態は貯溜型の地下水槽の充填構造を例示したもので、地面を掘削して形成した地下水槽1の底面及び側面には遮水シート2が添設され、地下水槽1の底には底板3が縦横に並べられて敷設されている。そして、この地下水槽1の内側には、脚柱42を備えた充填体4が縦横に並べられると共に上下に積み重ねられて充填されており、その外周に側板5が取付けられている。また、最上段の充填体4の上には天板6と透水シート7が重ねられ、その上から土8が被せられており、更に、相対向する側板5,5の間には、耐圧強度を高める突張り棒9が充填体4の脚柱42の間を通して掛け渡されている。【0033】この充填体4は、図1,図2,図3に示すように、ポリプロピレン等の合成樹脂で射出成形された正方形の枠体41と円筒形の脚柱42から成るもので、枠体41の四隅部と中央部と四辺の中間部には、脚柱42を上下から嵌合できる嵌合穴41aが合計9つ形成され、各嵌合穴41aに脚柱42の上端部が下方から嵌合されて1ユニットの充填体4が構成されている。【0034】この脚柱42の上部と下部には節部42aが形成され、脚柱42の上端部又は下端部を枠体41の嵌合穴41aに下方又は上方から嵌合したとき、該節部42aが嵌合穴41aの周縁部に係止して、それ以上深く嵌合されないようになっている。【0035】また、上記の枠体41には、軽量化と材料の節約を図るために、数個の大きい貫通穴41bが形成されている。そして、枠体41の四辺には、後述するH形の連結駒の片側部分を挿入できる駒受部41cが2箇所ずつ合計8箇所形成され、更に、後述する側板5や天板6の突片を係止させる凹部41d,41eが四辺のコーナー近くに4箇所ずつ合計16箇所形成されている。続きを表示(全12行)【0036】一方、側板5は、上記充填体4と同様のポリプロピレン等の合成樹脂で射出成形されたものであり、図2に示すように、この側板5の片面側の中央部と四隅部と四辺の中間部には、上記脚柱42の端部を嵌合できる嵌合穴5aが合計9つ形成されている。そして、中央部の嵌合穴5aと四隅部の嵌合穴5aとの間に合計4つの棒受部5bが形成され、嵌合穴5aと棒受部5bが補強リブ5cによって縦、横、斜め方向に連結されている。この嵌合穴5aと棒受部5bは、いずれも側板5の片面から円環状に突設されたものであり、棒受部5bには突張り棒9の端部が嵌込まれるようになっている。【0037】また、この側板5の四辺のコーナー近くには、L形の突片5dと切欠凹部5eが形成され、該突片5dによって側板5が充填体4に取付けられるようになっている。尚、図示はしていないが、この側板5には多数の小孔が穿孔され、軽量化が図られている。【0038】底板3と天板6はいずれも、上記の側板5を共用したものである。即ち、図3に示すように、上記の側板5を底板3として使用し、嵌合穴5aを形成した片面が上側となるように該底板3(側板5)を縦横に並べて地下水槽1の底面に敷設し、各底板3(側板5)の嵌合穴5aに充填体4の脚柱42の下端部を嵌合して一段目の充填体4を縦横に並べている。【0039】そして、この一段目の充填体4の上に二段目の充填体4を積み重ねて、その脚柱42の下端部を一段目の充填体4の枠体41の嵌合穴41aに嵌合し、同じ要領で充填材4を数段積み重ねて、最上段の充填材4の上に、上記の側板5を天板6として被着している。この天板6(側板5)は、図3に示すように嵌合穴5aが形成された片面を下側にして最上段の充填材4の枠体41の上に重ねられ、図4に示すように天板6(側板5)の各突片5dが枠体41の各凹部41eに嵌込まれて、前後左右に位置ズレしないように取付けられている。【0040】図4に示すように、側板5は、そのL形の突片5dを充填体4の枠体41に形成された凹部41dに係止させることにより、充填体4の外側に取付けられている。この側板5の一辺の長さは充填体4の枠体41の一辺の長さと同一であり、枠体41の一辺の長さは充填体4を二段に積み重ねた高さと同一になっているため、二段に積み重ねた充填体4に対して一枚の側板5が取付けられるようになっている。・・・・【0049】以上のような地下水槽の充填構造では、地下水槽1の周囲から大きい土圧が側板5(50)に作用しても、側板5(50)が突張り棒9で内側から押されているため、土圧に充分耐えることができる。従って、側板5(50)が破壊されて周囲の土砂が地下水槽1内へ入り込む心配は皆無に等しい。【0050】そして、地面に降った雨水は被覆土8、透水シート7を浸透して、充填体4が積み上げられた地下水槽1内へ流入し、或は、流入パイプ(不図示)を通じて地下水槽1内へ流入し、遮水シート2で地下へ浸透しないように貯溜されて、必要なときに取水パイプ(不図示)を通じて有効利用される。」
(ウ)「【0051】尚、浸透型の地下水槽とする場合は、遮水シート2を除去して地下水槽1の底部に砂を敷き、地下水槽の側面に透水シートを添設すればよく、このようにすると、地下水槽1へ流入した雨水は底面の砂層や側面の透水シートを通って地下へ浸透、排水される。」
(エ)【図1】には、次の図示がある。
「[図:0001392033000001.jpg]」
(オ)【図2】には、次の図示がある。
「[図:0001392033000002.jpg]」
イ 甲1に記載された発明
上記ア(ウ)のとおり「浸透型」の地下水槽とする場合には、上記ア(イ)の段落【0032】前半部における「遮水シート2」の添設までを、「地面を掘削して形成した地下水槽1」の「底部に砂を敷き」、「地下水槽1」の「側面」に「透水シート」を添設することとし、もって「浸透型」の地下水槽1の充填構造とすることが理解される。
そうすると、上記ア(ウ)のとおり「浸透型」とする場合に着目して整理すると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
【甲1発明】
「地面を掘削して形成した地下水槽1の底部に砂を敷き、地下水槽1の側面に透水シートを添設し、地下水槽1の底には底板3が縦横に並べられて敷設され、地下水槽1の内側には、脚柱42を備えた充填体4が縦横に並べられると共に上下に積み重ねられて充填され、その外周に側板5が取付けられ、最上段の充填体4の上には天板6と透水シート7が重ねられ、相対向する側板5の間には、耐圧強度を高める突張り棒9が充填体4の脚柱42の間を通して掛け渡された、浸透型の地下水槽1の充填構造であり充填体4は、合成樹脂で成形された正方形の枠体41と、円筒形の脚柱42から成るもので、枠体41には、数個の貫通穴41bが形成されており、側板5は、合成樹脂で成形され、片面側に脚柱42の端部を嵌合できる嵌合穴5aと棒受部5bが形成され、嵌合穴5aと棒受部5bが補強リブ5cによって連結され、嵌合穴5aと棒受部5bは、いずれも側板5の片面から円環状に突設されたものであり、棒受部5bには突張り棒9の端部が嵌込まれるようになっており、側板5は多数の小孔が穿孔されたものであり、底板3と天板6は、側板5を共用し、嵌合穴5aを形成した片面が上側となるように該底板3(側板5)を地下水槽1の底面に縦横に並べて敷設し、各底板3(側板5)の嵌合穴5aに充填体4の脚柱42の下端部を嵌合して一段目の充填体4を縦横に並べ、最上段の充填材4の上に、上記の側板5を天板6として、嵌合穴5aが形成された片面を下側にして取付け、充填体4の外側に、二段に積み重ねた充填体4に対して一枚の側板5が取付けられ、地面に降った雨水は透水シート7を浸透して、地下水槽1内へ流入し、地下水槽1へ流入した雨水は底面の砂層や側面の透水シートを通って地下へ排水される、浸透型の地下水槽1の充填構造。」
(2)甲12
甲12には、次の事項が記載されている。
ア 「【0010】また、前記地下構造物を雨水浸透構造体とし、前記袋状収容部材に透水性を有するものを用いることができる。これにより、埋設時に別途浸透部材で雨水浸透構造体を覆う必要がなく、埋設作業を容易に行うことができると共に、搬送後、より迅速に雨水浸透構造体の機能を発揮させることが可能となる。・・・・【0015】続きを表示(全20行)図2に示すように、この雨水貯留構造体(以下、適宜「構造体」と略称する)1は、大別して、面板部材3~5と、側板部材9とを組み合わせて形成された本体2と、本体2の上部に設けられ、天井部が開閉可能な2つの桝7(7A、7B)とで構成される。尚、図2(b)は、図2(a)に示した桝7の蓋7aを外した状態を示している。【0016】面板部材3~5、及び側板部材9は、プラスチック材料や、プラスチック材料と無機粉体とを混合した複合材料で成形され、これらの使用枚数を増減することで、構造体1の全体寸法を適宜調整することができる。【0017】・・・・【0024】図1(a)において構造体1を組み立てた後、図1(b)に示すように、組立後の構造体1を、フレコンバッグ(袋状収容部材)11に収容し、このフレコンバッグ11に収容された構造体1を、リフトLによりトラックTに積み込む。【0025】フレコンバッグ11は、図3(a)に示すように、取手部11aと、構造体1の寸法に合わせて成形された収容部11bとを備え、図3(b)に示すように、構造体1の収容後、構造体1の桝7を除く上面を被覆する遮水シート12を配置した状態で、上述のようにトラックTに積み込む。尚、遮水シート12をフレコンバック11の一部として構成することも可能である。【0026】そして、図1(c)において、トラックTにて、フレコンバッグ11に収容された構造体1を据付現場へ搬送する。【0027】次に、図1(d)に示すように、据付現場において、リフトLにより構造体1を収容したフレコンバッグ11を荷卸しして、図1(e)において、予め形成された埋設空間20に、フレコンバッグ11のままで埋設する。ここで、フレコンバッグ11は、上述のように遮水性を有し、また、構造体1の上面には、遮水シート12が配置されているため、構造体1の搬送後、別途遮水部材で覆う必要がなく、より迅速に構造体1の機能を発揮させることができる。・・・・【0033】尚、本実施の形態においては、地下構造物として、雨水貯留構造体を例にとって説明したが、これに限らず、雨水浸透構造体を構築することもできる。この場合には、透水性を有するフレコンバッグを用いる。さらに、本発明は、雨水貯留浸透構造体に限らず、複数の構造部材からなる地下構造物すべてに適用可能であり、特に、袋状収容部材に収容された状態のまま埋設可能で、かつ、この袋状収容部材が構造物の一部として機能するような地下構造物に適用することが好ましい。」
イ 【図1】には、次の図示がある。
「[図:0001392033000003.jpg]」
ウ 【図3】には、次の図示がある。
「[図:0001392033000004.jpg]」
(3)甲6
甲6には、次の事項が記載されている。
「【請求項1】地下に埋設する貯留もしくは浸透槽にあって、平盤上に開口する筒状部を有するテーブル状部材を配設して水の貯留空間を形成し、当該貯留空間をシートで覆った貯留もしくは浸透槽において、当該貯留空間を紐で緊縛することで貯留空間内のテーブル状部材を固定した貯留もしくは浸透槽。・・・・【0009】図2は、本第1の発明の貯留空間を紐で緊縛し、テーブル状部材を配列した状態を示す概念図である。図2aは平面図、図2bは断面図を示す。図では貯留空間全体をあたかも網で包んだようになっているが、部分的に緊縛しそれらをまとめて緊縛してもよい。」
2 その他の証拠について
本件特許異議の申立てにおける上記1以外の証拠である、甲2ないし甲5、甲7ないし甲11、甲13及び甲14には、以下の記載がある。
(1)甲2
甲2には、次の事項が記載されている。
「【0038】次に、上述した実施例の貯水ユニットを組み付けて貯水槽を構成する形態について説明する。前述したように、複数個の貯水ユニットを継手部材を用いて前後、左右方向に連結し、この状態のものを上下方向に継手部材によって複数段積み重ねることで貯水槽の本体骨格部分が構成される。貯水ユニットを横方向に複数個連結し、また複数段に積み重ねた後は、施設の用途、目的に応じて上下面および側部周囲を各種のシートで覆う。例えば、地上面の排水を目的とした浸透施設とする場合は、上下面および側部の全面をポリエステル不織布等の透水シートで覆うのが好ましい。また、雨水等の貯留施設とする場合は、底面および側面周囲をTPE・PVCシート等の遮水シートで囲包した後、抵当な保護シートで全面を覆う。」
(2)甲3
甲3には、次の事項が記載されている。
「【0014】【発明の実施の形態】以下、本発明の雨水貯留浸透槽の一実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、対象地盤内に構築された雨水貯留浸透槽1の一部を示すために地盤の一部を取り除いて断面で示した斜視図である。本実施の形態では、同図に示したように、地盤平面が矩形をなした深さ1.5m程度のピットが掘削されている。このピット底部には厚さ5cmの薄層に撒き出された砕石層10が設けられている。砕石層10の上面は平坦に均され、砕石層10上には1辺が約1mの略立方体形状をなすフレキシブルバッグが縦横に整列されている。本実施の形態では、砕石には粒径が均一な単粒砕石5号相当の材料が使用されている。【0015】この砕石層上に設置されるフレキシブルバッグ20(以下、バッグ20と記す。)は、バルク材を収容可能な立体形状袋で、本実施の形態ではポリプロピレン原糸を延伸成形して剛性を持たせて透水性を有するメッシュ状に編み上げた網目シートを立方体形袋状に縫製したものが使用されている。図示したバッグ20は上部が折り畳まれるようになっているが、巾着状にすることもできる。」
(3)甲4
甲4には、次の事項が記載されている。
「【0045】図15は本発明に係る雨水等浸透施設を地中に埋設した状態を示す鉛直方向の断面図である。雨水等浸透施設Fは、地中Gに形成された穴Hの内部に配置され、上面側が土、砂利、コンクリートまたはアスファルト等の層7によって覆われている。雨水等浸透施設Fの周囲は、周知の技術に従って、不織布等の透水性保護層9によって覆い、雨水等浸透施設Fの内部への土砂の流入を阻止する。」
(4)甲5
甲5には、次の事項が記載されている。
ア FIG.2には、次の図示がある。
「[図:0001392033000005.jpg]」
イ FIG.3には、次の図示がある。
「[図:0001392033000006.jpg]」
(5)甲7
甲7には、次の事項が記載されている。
「【請求項1】水平方向及び鉛直方向に配設されて地下水槽を形成する充填部材の周囲に取付けられる板状体であって、上記板状体には、充填部材の被係止部と係止する係止片と、充填部材に当接して板状体の動きを規制する当接片が設けられていることを特徴とする地下水槽用板状体。・・・・【0019】図1に示す本発明の地下水槽用板状体1(以下、単に板状体1という。)は、図9に示すように、水平方向及び鉛直方向に配設されて地下水槽Tを形成する充填部材2の周囲に取付けられるものであって、この板状体1を充填部材2の周囲に取付けることによって、地下水槽Tの内部に土砂等の異物が侵入するのを防止している。」
(6)甲8
甲8には、次の事項が記載されている。
ア 「【0046】ここで、上記壁ユニット1と一緒に用いて地下貯水槽Iを構築する貯水空間形成ブロック101の構成について説明する。・・・・【0049】なお、上記貯水空間形成ブロック101は、該ブロック101同士を水平方向の縦横2方向に配列して組み立てるときに、図5、図6に示すように、隣接する貯水空間形成ブロック101同士で、各水平構造部102の外周端面を互いに突き合せて配置する必要がある。そのために、上記貯水空間形成ブロック101では、図5に示すように、水平構造部102の四辺において、該各辺の長手方向中間位置から等距離となる位置に、上記嵌合用突起104と、該嵌合用突起104を受け入れるための凹部106を対で設ける必要がある。よって、上記貯水空間形成ブロック101の水平構造部102の各辺に設けられる上記嵌合用突起104は、該水平構造部102の中心を対称中心とする水平面内での90度ずつの回転対称位置に配置する必要がある。・・・・【0052】これにより、図3に示すように、上記壁ユニット1は、上記貯水空間形成ブロック101を通常姿勢とその上側で上下反転させた姿勢で支柱部103同士を突き合わせて積層配置するときに、該2個一組の貯水空間形成ブロック101の側方に配置する。次いで、上記壁ユニット1は、上下の水平部6に設けてある各溝状凹部10の内側の剛結用連結部11に、上記上下の各貯水空間形成ブロック101の水平構造部102の対応する外周端面に設けてある嵌合用突起104の嵌合穴105を、上下両側から嵌合させるようにする。その後、この状態で、上記上下の各貯水空間形成ブロック101同士を連結することにより、該上下で2個一組の貯水空間形成ブロック101の側面に、上記壁ユニット1が取り付けられるようにしてある。」
イ 図6には、次の図示がある。
「[図:0001392033000007.jpg]」
(7)甲9
甲9には、次の事項が記載されている。
ア 「【0010】【発明の実施の形態】次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について具体的且つ詳細に説明する。図1と図2は、本発明による雨水処理装置を、駐車場、公園、歩道等に施工するのに好適な例を示す。まず、この雨水処理装置において使用している空洞ボックス5を図11により説明すると、この空洞ボックス5は、発泡スチロールやPET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂廃材を再利用して形成され、内部が空洞となった縦横高さが250mm程度の箱形立方体形のものである。そしてその各面には、2つずつの帯状の通孔6が互いに平行に設けられている。各面の通孔6の向きは、6面のうち連続する4面、すなわち図11の場合では、上下面及び対向する一対の側面において通孔6が互いに平行となり、且つ連続する他の4面、すなわち図11の場合では、上下面及び前記の側面以外の対向する一対の側面において通孔6が互いの延長上に向くように形成されている。・・・・【0026】【実施例】次に、本発明の実施例について具体的に説明する。図3及び図4に示す形式の満水量1,440Lの雨水処理装置(装置No.1)、図5に示す形式の満水量590Lの雨水処理装置(装置No.2)及び図8~図10に示す形式の満水量4,920Lの雨水処理装置(装置No.3)を施工した。何れも、空洞ボックス5、15の積み上げ高さは1000mmとし、それらの空洞ボックス5、15を充填した空間内の水位が測定可能なよう水位計を設置した。なお、何れの雨水処理装置においても、空洞ボックス5、15を積み上げた空間部分の空隙率は95%であった。ここで、空隙率=(空洞ボックス5、15を積み上げた空間部分の全容積-空間部分の空洞ボックス5、15の占める容積)/同空間部分の全容積である。」
イ 図11には、次の図示がある。
「[図:0001392033000008.jpg]」
(8)甲10
甲10には、次の事項が記載されている。
「【0028】そのような貯留の過程で、それぞれの貯留浸透槽1内に貯留された雨水は、不織布のような透水性シート3を通って、徐々に地中に含浸していく。それにより、下流での急激な増水による河川の氾濫も防止することができる。」
(9)甲11
甲11には、次の事項が記載されている。
「【0020】貯水ユニット2は、図1に示すように、中空柱状体である貯留パイプ5,6を積層し、形状保持具10,11により、積層された複数本の貯留パイプ5.6を、所定形状(図では端面視六角形)に一体に保持している。貯留パイプ5,6としては、例えば外径が300mm、肉厚20mmで長さが約1.5mの塩化ビニルパイプが使用され、その外周には貯留された雨水が互いに流通し得る多数の流通孔5a,6aが形成されている。図9に示すように、長さが貯留パイプ5,6とほぼ等しく、内面が六角形に形成された筒体を、軸方向に半分に切断した整列枠25に、貯留パイプ5,6を積層し、図10に示すようにビニル製の結束バンド20により、貯留パイプ5,6を束ねている。」
(10)甲13
甲13には、次の事項が記載されている。
ア 「【0017】本発明に係る地下水槽の充填材は、図1、図2に示す合成樹脂製の梁体1と、図3、図4、図5にそれぞれ示す合成樹脂製の筒状柱2、半筒状柱3、四半筒状柱4とからなる。【0018】筒状柱2は、図3に示すように、大径の下端嵌合口2aと小径の上端嵌合口2bを備えたテーパー付きの異径円筒状の柱である。その大きさや肉厚は特に制限されないが、強度、運搬性、取扱性等を考慮すると、高さを250~500mm程度、下端嵌合口2aの口径を200mm程度、上端嵌合口2bの口径を150mm程度、肉厚を1~5mm程度に設定することが好ましい。続きを表示(全12行)・・・・【0022】梁体1の大きさは特に限定されないが、前記筒状柱2等とのバランス、強度、運搬性、取扱性などを考慮すると、一辺の長さを500mm程度、高さ(上下厚み)を50mm程度に設定することが好ましい。なお、大径環状溝1aの直径が前記筒状柱2の下端嵌合口2aの口径と同一に設定され、小径環状溝1cの直径が前記筒状柱2の上端嵌合口2bの口径と同一に設定され、これらの環状溝1a,1cの溝幅が前記筒状柱2の肉厚よりも少し広く設定されることは言うまでもない。【0023】本発明に係る地下水槽の充填構造は、図10に示すように、既述した充填材を地下水槽の底板5の上に積上げ、この積上げた立体構造物の四側面と上面に側板6と天板7を取付けたものである。・・・・【0025】本発明の充填構造を組立てる場合は、先ず、図8に示すように底板5を地下水槽の底に前後左右に並べて、その上に・・・・(後略)・・・。」
イ 図9及び図10には、次の図示がある。
「[図:0001392033000009.jpg]」
(11)甲14
甲14には、3ページ目の下方に次の事項が記載されている。
「[図:0001392033000010.jpg]」
第6 当審の判断
上記第4の2及び3に示したとおり、取消理由通知に記載した取消理由、及び特許異議申立ての理由は、いずれも本件訂正前の請求項1ないし6に係る発明について、甲1を主たる証拠とした進歩性欠如を理由とするものである。
そして、上記第2に示したとおり、請求項1ないし6に係る発明について、本件訂正は認められたので、以下では、上記第3に認定した本件訂正発明について、甲1を主たる証拠とした進歩性欠如の理由により取り消されるべきか否かを、判断する。
1 本件訂正発明1について
(1)甲1発明との対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「浸透型の地下水槽1の充填構造」は、「雨水」が「地下水槽1内へ流入し、地下水槽1へ流入した雨水は底面の砂層や側面の透水シートを通って地下へ排水される」ものであるから、水を一時的に貯めたうえで排水するための構造ということができ、本件訂正発明1における「貯留排水用ブロック」とは、「貯留排水用構造」という点で共通する。
甲1発明において、「底板3と天板6」としても共用される「合成樹脂」で成形された「側板5」は、本件訂正発明1における「樹脂板」に相当する。
甲1発明において、「地下水槽1の底には底板3が縦横に並べられて敷設され、地下水槽1の内側には、脚柱42を備えた充填体4が縦横に並べられると共に上下に積み重ねられて充填されており、その外周に側板5が取付けられ、最上段の充填体4の上には天板6」が「重ね」られており、「底板3と天板6は、側板5を共用し」ている構造は、「正方形の枠体41」に「脚柱42」が嵌合された「充填体4」を縦横上下に並べて充填されることで、略直方体形状となる「地下水槽1」の「底板3と天板6」及び外周側面を、「合成樹脂」の「側板5」で覆った構造となるから、全体として中空多面体の形状となり、中空多面体の全側面が「合成樹脂」の「側板5」で構成されている構造ということができ、本件訂正発明1における「側面が樹脂板で構成され内部に中空部を有する中空多面体ブロック」とは、「側面が樹脂板で構成され内部に中空部を有する中空多面体構造」という点で共通する。
甲1発明において、「地面を掘削して形成した地下水槽1の底部に砂を敷き、地下水槽1の側面に透水シートを添設し」たうえで、「地下水槽1の底には底板3が縦横に並べられて敷設され、・・・最上段の充填体4の上には天板6と透水シート7が重ね」られている構成は、「地下水層1」の「底板3」の下に「砂」を配置し、側面の「側板5」の外に「透水シート」を添設し、「天板6」には「透水シート7」を重ねた構成であるから、中空多面体構造の全周囲に「砂」又は「透水シート(透水シート7)」が配置されており、本件訂正発明1において「前記中空多面体ブロックの全周囲」を「透水性部材」が「覆う」構成とは、「前記中空多面体構造の全周囲」に「透水性部材」が「配置」されている点で、共通する。
甲1発明において、「側板5」が、「多数の小孔が穿孔されたもの」である構成は、本件訂正発明1において、「前記樹脂板が、厚み方向に貫通する複数の孔を有」する構成に相当する。
甲1発明において、「側板5」が、「片面側に脚柱42の端部を嵌合できる嵌合穴5aと棒受部5bが形成され、嵌合穴5aと棒受部5bが補強リブ5cによって連結され、嵌合穴5aと棒受部5bは、いずれも側板5の片面から円環状に突設されたもの」である構成は、「側板5の片面」から「突設」された「嵌合穴5aと棒受部5b」を「連結」する「補強リブ5c」についても、「側板5の片面」から面外方向に向かって「突設された」ものとなる一方、「側板5」の他方の面には「突設」する「嵌合穴5aと棒受部5b」及び「補強リブ5c」等は特段設けられないこととなるから、本件訂正発明1において、「前記樹脂板は、一方側の面が略平坦であり、他方側の面が前記樹脂板の面方向に対し交差する方向に起立するリブを備え」た構成に相当する。
甲1発明において、「底板3」として用いる「側板5」について、「嵌合穴5aを形成した片面が上側となるように・・・敷設」され、「外周」の「側板5」について、「突張り棒9の端部が嵌込まれるようになって」いる「棒受け部5b」が、「相対向する側板5の間」に「突張り棒9」が「掛け渡され」るよう、「相対向」して配置され、「天板6」として用いる「側板5」について、「嵌合穴5aが形成された片面を下側に」配置する構成は、「側板5」で囲われる領域に対して、「補強リブ5c」を内部に向けて配置することが明らかであるから、本件訂正発明1において、「前記リブが前記中空多面体ブロックの内部に面するよう配置され」た構成とは、「前記リブが前記中空多面体構造の内部に面するよう配置され」た点で共通する。
以上を整理すると、本件訂正発明1と甲1発明とは、次の点で一致する。
「側面が樹脂板で構成され内部に中空部を有する中空多面体構造を有し、前記中空多面体構造の全周囲に、透水性部材が配置され、前記樹脂板が、厚み方向に貫通する複数の孔を有し、前記樹脂板は、一方側の面が略平坦であり、他方側の面が前記樹脂板の面方向に対し交差する方向に起立するリブを備え、前記リブが前記中空多面体構造の内部に面するよう配置されている、貯留排水用構造。」
そして、本件訂正発明1と甲1発明とは、次の点で相違する。
<相違点1>
中空多面体構造に関し、
本件訂正発明1においては、「縦寸法、横寸法、及び奥行寸法のそれぞれが、5cm以上100cm以下の範囲」であり、「各面が、それぞれ一枚の前記樹脂板から構成」されている「中空多面体ブロック」であるのに対し、
甲1発明においては、そうなっていない点。
<相違点2>
貯留排水用構造の全体に関し、
本件訂正発明1においては、上記相違点1に係る構成を有する「中空多面体ブロック」と、「前記中空多面体ブロックの全周囲を覆う透水性部材」とを有し、「外周面全体が略平坦」である「貯留排水用ブロック」であるのに対し、
甲1発明においては、そうなっていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1及び相違点2は、相互に密接に関連するので、まとめて判断する。
ア 甲1及び甲12に基づいて
施工を簡略化することは、一般的な課題であり、甲1においても「施工性の低下」(段落【0007】)を防ぐべきことが示されている。
しかしながら、甲1においては、地下水槽1を構成するにあたり、「地面を掘削して形成した地下水槽1の底部に砂を敷き、地下水槽1の側面に透水シートを添設し」たうえで、「地下水槽1の底には底板3が縦横に並べられて敷設され・・・最上段の充填体4の上には天板6と透水シート7が重ね」られているから、甲1発明において地下水槽1内に形成される「底板」、「側板」及び「天板」で囲まれた構造体は、比較的大型の複合構造体が想定されているにとどまると解される。そして、施工の簡略化に関する上記段落【0007】の一般的な記載があるからといって、甲1発明における地下水槽1の構造や規模を大きく変えることまでが、示唆されているということはできない。
この点に関し、甲12には、上記第5の1(2)に摘記した事項が記載されており、プラスチック材料で成形された面板部材と側板部材とを組み合わせ、使用枚数を増減することで全体寸法を適宜調整することができる、雨水浸透構造体を構築する構造体1について、組立後の構造体1を透水性のフレコンバッグに収容し、透水性のフレコンバッグに収容された構造体1をリフトによりトラックへの収容及び荷下ろし可能とし、フレコンバッグごと埋設可能とすることが示されている。
しかしながら、甲12においても、フレコンバッグに収容された構造体1はリフトによってトラックへの収容や荷下ろしを行っている一方、構造体1の各面を1枚の面板部材で構成することは記載されていないから、甲12の記載を考慮しても、甲1発明において地下水槽1内に形成される複数枚の「底板」、「側板」及び「天板」で囲まれる構造体について、「縦寸法、横寸法、及び奥行寸法のそれぞれが、5cm以上100cm以下の範囲」であり、「各面が、それぞれ一枚の前記樹脂板から構成」されている「中空多面体ブロック」に変更すること、及び、甲1発明における地下水槽1の全体を、上記「中空多面体ブロック」の「全周囲を覆う透水性部材」を有して「外周面全体が略平坦」である「貯留排水用ブロック」とすることが、示唆されているということはできない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成に至ることは、甲1におけるその余の記載、及び甲12に記載される事項に基いて、当業者にとって容易に想到できたものではない。
イ 甲6を考慮して
先の取消理由通知において言及した甲6には、上記第5の1(3)に摘記した事項が記載されている。
しかしながら、甲6の記載は、地下に埋設する浸透槽の貯留空間を紐で緊縛することで、貯留空間内の部材を固定することを示すにとどまり、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成を開示あるいは示唆するものではない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成に至ることは、甲6に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易に想到できたものではない。
ウ 甲2ないし甲5及び甲7ないし甲11を考慮して
甲2ないし甲5及び甲7ないし甲11には、上記第5の2(1)ないし(9)に摘記した事項が記載されている。
甲2、甲4、甲7、甲10の記載は、地下に設ける浸透槽の周囲を透水部材または土砂等の侵入を防止する板状体で覆うことを示すにとどまるから、甲1発明における「地下水槽1」の構造を変更すること、及び上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成を、開示あるいは示唆するものではない。
甲3の記載は、雨水貯留浸透槽の一部として縦横に整列させる、バルク材を収容可能なフレキシブルバッグを、1辺が約1mの略立方体形状をなすものとすることを示しているが、甲3におけるフレキシブルバッグは、雨水貯留浸透槽内を充填する単位として約1mの略立方体形状となっていると解されるから、甲1発明において、「地下水槽1」内で縦横に並べられ高さ方向に積み重ねられた複数の「充填体4」の外側を、複数枚の「底板」、「側板」及び「天板」で囲んだ構造体について、構造を変更することを示唆するものではない。また甲3の記載は、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成を開示するものでもない。
甲5の図示は、地下に形成される水槽のいずれかの辺の長さを、人の身長と大きく相違しない程度とした様子を示しているにとどまるから、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成を開示あるいは示唆するものではない。
甲8の記載は、壁ユニット1と貯水空間形成ブロック101とを一緒に用いて地下貯水槽1を構築する際に、貯留空間形成ブロック101を水平方向の縦横2方向に配列し、上下反転させた姿勢で積層配置して、側面に壁ユニット1を取り付けることを示しているが、甲1発明において、「地下水槽1」内で縦横に並べられ高さ方向に積み重ねられた複数の「充填体4」の外側を、複数枚の「底板」、「側板」及び「天板」で囲んだ構造体について、構造を変更することを示唆するものではない。また甲8の記載は、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成を開示するものでもない。
甲9の記載は、雨水処理装置に用いる樹脂廃材を用いた空洞ボックス5について、縦横高さが250mm程度の箱形立方体形のものとし、空洞ボックス5の積み上げ高さを1000mmとすることを示しているが、甲1発明において、「地下水槽1」内で縦横に並べられ高さ方向に積み重ねられた複数の「充填体4」の外側を、複数枚の「底板」、「側板」及び「天板」で囲んだ構造体について、構造を変更することを示唆するものではない。また甲9の記載は、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成を開示するものでもない。
甲11の記載は、複数を束ねることで貯水ユニットとする貯留パイプについて、外径を300mm、長さを約1.5mとすることを示しているにとどまり、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成を、開示あるいは示唆するものではない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成に至ることは、甲2ないし甲5及び甲7ないし甲11に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易に想到できたものではない。
エ 甲13及び甲14を考慮して
申立人が令和4年7月6日付け意見書に添付して提出した、甲13及び甲14には、上記第5の2(10)及び(11)に摘記した事項が記載されている。
甲13の記載は、底板5を前後左右に並べたうえで充填材を積み上げ、積み上げた立体構造物の四側面と上面に側板6と天板7を取付ける、地下水槽に関し、充填材の構成部材である筒状柱2の高さを250~500mm程度とし、また梁体1の一辺の長さを500mm程度とすることを示している。
しかしながら、甲13において各充填体が有する梁体1及び筒状体2の上記高さ及び長さは、甲1発明における各「充填体4」のサイズに対応するものであるから、甲1発明において複数の「充填体4」の外側を複数枚の「底板」、「側板」及び「天板」で囲んだ構造体について、構造を変更することを示唆するものではない。また、甲13は、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成を開示あるいは示唆するものでもない。
甲14の記載は、管と接続して使用される1つの貯留型雨水浸透マスとして、貯留量20l程度の小型サイズのものがあることを示すにとどまるから、甲1発明において複数の「充填体4」の外側を複数枚の「底板」、「側板」及び「天板」で囲んだ構造体について、構造を変更することを示唆するものではない。また、甲14は、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成を開示あるいは示唆するものでもない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成に至ることは、甲13及び甲14に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易に想到できたものではない。
オ 小括
上記アないしエのとおり、甲1発明において、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成を採用することは、甲2ないし甲14に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易であったものではない。
したがって、本件訂正発明1に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び申立書に記載された特許異議申立理由によって、取り消されるべきものではない。
2 本件訂正発明2及び4ないし6について
本件訂正発明2及び4ないし6は、本件訂正発明1の構成を全て有し、さらに限定を付加したものである。
そして、上記1に示したとおり、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲14に記載される事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件訂正発明2及び4ないし6も、甲1発明及び甲2ないし甲14に記載される事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件訂正発明2及び4ないし6に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び申立書に記載された特許異議申立理由によって、取り消されるべきものではない。
3 申立人の意見書における主張について
申立人は令和4年7月6日提出の意見書において、本件訂正発明1と甲1発明との上記相違点1及び2に関し、概略以下の旨を主張している。
・「中空多面体ブロックの縦寸法、横寸法及び奥行寸法のそれぞれ」を「5cm以上10cm以下の範囲」とすることは、甲13に記載される梁体1の一辺の長さが500mmであること、甲3に記載されるフレキシブルバックの1辺の長さが約1mであること、甲5に図示される人の身長との対比、甲9に記載される空洞ボックス5の積み上げ高さが1000mmであること、及び甲14における貯留型雨水浸透マスの記載より、設計事項である(第2頁第2行-第3頁第20行)。
・「中空多面体ブロックを構成する各面が、それぞれ一枚の前記樹脂板から構成されている」ものとすることは、例えば甲7、甲8及び甲9に記載されるように周知技術であり、また甲1発明において、「側板5」で囲まれる構造の寸法について特に限定されるような事情もない(第3頁第21行-第4頁第18行)。
しかしながら、上記1(2)アの前段に指摘したとおり、甲1においては、地下水槽1を構成するにあたり、「地面を掘削して形成した地下水槽1の底部に砂を敷き、地下水槽1の側面に透水シートを添設し」たうえで、「地下水槽1の底には底板3が縦横に並べられて敷設され・・・最上段の充填体4の上には天板6と透水シート7が重ね」られているから、甲1発明において地下水槽1内に形成される「底板」、「側板」及び「天板」で囲まれた構造体としては、比較的大型の複合構造体が想定されているにとどまると解される。
そして、上記1(2)アの後段ないしエに指摘したとおり、甲2ないし甲14の記載を考慮しても、甲1発明において複数の「充填体4」の外側を複数枚の「底板」、「側板」及び「天板」で囲んだ構造体について、構造を変更し、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明1の構成とすることは、記載も示唆もされていない。
したがって、上記申立人の主張を考慮しても、甲1を主たる証拠とした本件訂正発明1の進歩性について、上記1と異なる判断をすべき事情は見いだせない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、請求項1、2、及び4ないし6に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に請求項1、2、及び4ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項3に係る特許は、上記第2のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701139