審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許無効審判

2023-800029

側溝及び桝

審判番号
2023-800029
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2006-514652
登録番号
4199803
請求日
2023年05月10日
審決日
2024年11月07日
公報発行日
2026年01月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 カムイネット
  • 【請求人】ECOンビ工法研究会事務局
  • 【被請求人】中越製陶 株式会社
  • 【被請求人代理人】高橋 淳
  • 【被請求人】有限会社 リタッグ
審判長/審判官
  • 審判長 有家 秀郎
  • 審判官 居島 一仁
  • 審判官 土屋 真理子
分類
P1113.111-Y (E03F) / P1113.112-Y (E03F) / P1113.113-Y (E03F) / P1113.121-Y (E03F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第29条の2、特許法第123条、特許法第131条の2第2項、特許法第169条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第4199803号発明「側溝及び桝」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 請求項1~4に係る発明についての審判の請求は成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする

理由

理 由 第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨 1 請求の趣旨 特許第4199803号発明の特許請求の範囲の請求項1~4に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 2 答弁の趣旨 (1) 被請求人のうち中越製陶株式会社(以下「第一被請求人」という。)による答弁の趣旨 本件審判請求は成り立たない 審判費用は請求人の負担とする との審決を求める。 (2) 被請求人のうち有限会社リタッグ(以下「第二被請求人」という。)による答弁の趣旨 概ね、請求人の主張を認める。 第2 手続の経緯 1 本件特許の手続の経緯の概略 (1) 本件特許の出願から設定登録までの経緯 本件無効審判の請求に係る特許第4199803号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、2004年(平成16年)10月20日を国際出願日とする日本語特許出願(特願2006-514652号)であって(優先権主張 平成16年6月15日)、出願から本件無効審判請求の前までの手続の経緯の概略は、次のとおりである。 平成18年11月 8日 :国内書面の提出 平成20年 5月 2日付け:拒絶理由通知 同年 7月 2日 :意見書、手続補正書の提出 同年 8月28日付け:特許査定 同年10月10日 :設定登録 (2) 本件無効審判の手続の経緯 令和5年 5月10日 :審判請求書差出 同年 6月15日付け:手続補正指令書(方式) 同年 7月27日 :審判請求書の手続補正書差出 同年12月13日 :審判事件答弁書差出(第二被請求人) 同年12月14日 :審判事件答弁書差出(第一被請求人) 令和6年 2月 2日付け:審理事項通知 同年 2月27日 :口頭審理陳述要領書差出(請求人) 同年 2月29日 :口頭審理陳述要領書(請求人)の手続補正書差出 同年 3月27日 :第1回口頭審理 なお、請求人提出の令和5年7月27日差出の手続補正書により補正された審判請求書、請求人提出の令和6年2月29日差出の手続補正書により補正された同月27日差出の口頭審理陳述要領書、第二被請求人提出の審判事件答弁書、第一被請求人提出の審判事件答弁書のそれぞれを、請求書、要領書、第二被請求人答弁書、第一被請求人答弁書ということがある。 第3 本件特許発明 本件特許の請求項1~4に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件特許発明1」などという。また、これらを総称して「本件特許発明」という。)は、それぞれ本件特許の特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1~4の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体と、前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋とからなり、前記本体接面部が水平部分を有しない側溝において、前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れていることを特徴とする側溝。 【請求項2】 請求項1の側溝において、前記蓋がレジンコンクリート製又は繊維補強コンクリート製であることを特徴とする側溝。 【請求項3】 筒状の本体と蓋とからなり、蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面、前記本体接面部と接する前記蓋接面部が凸の曲面となっており、前記本体接面部が水平部分を有しない桝において、前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れていることを特徴とする桝。 【請求項4】 請求項3の桝において、前記蓋がレジンコンクリート製又は繊維補強コンクリート製であることを特徴とする桝。」 第4 請求人の主張及び証拠方法 1 請求人の主張の概要 (1) 無効理由について 請求人が主張する無効理由は、請求書、要領書、第1回口頭審理調書を総合すると、次のとおりのものである。 「本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、甲第2号証及び甲第3号証により公然知られた発明(特許法29条1項1号及び3号)、並びに、これら甲第2号証の発明及び甲第3号証の発明の実施物が刊行物に記載され(特許法29条1項3号)、甲第2号証及び甲第3号証の実施物が公然実施され(特許法29条1項2号)、前記刊行物に記載され公然実施された甲第2号証及び甲第3号証が公然知られた発明(特許法29条1項1号)となり、これら公知となった技術常識のものを引用した本件特許発明1ないし4は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条1項1号乃至3号及び同法29条2項の規定により無効とすべきである。 前記無効理由において、甲第2号証の発明に係る実施物を示す証拠は、甲第12~16号証、甲第3号証の発明に係る実施物を示す証拠は、甲第4~8、10、11、17~30号証、刊行物は、甲第9、15、16、21、23、24、27、30、31、48号証である。」 (2) その他の主張について(第1回口頭審理調書) ア 請求人は、第1回口頭審理において、特許法29条の2を根拠とする無効理由の主張を取り下げ、被請求人は当該取り下げを承諾した。 イ 請求人は、要領書において、27頁下から8行目~7行目に「中越製陶が、承諾なく勝手に冒認出願して特許登録されること」と記載し、同7頁下から3行目~2行目に「本件特許発明は発明者でない者が承諾なしに勝手に出願して特許登録を受け」と記載した点について、これらは、特許法123条1項6号に係る冒認出願を無効理由として主張するものではないことを第1回口頭審理で確認し、被請求人もこれを理解した。 ウ 請求人は、要領書に添付して甲第41号証~甲第44号証を新たに提出し、甲第41号証~甲第44号証に基づく無効理由に係る主張を行ったが、第1回口頭審理において、当該主張に係る請求の理由の補正について、特許法131条の2第2項に基づき許可しないことを審判長が決定した。 2 証拠方法 請求人は、請求書及び要領書とともに、次の証拠を提出した。なお、前記1(2)ウに示したとおり、甲第41号証~甲第44号証の提出は、口頭審理において許可しないこととした。 甲第1号証 :特許第4199803号公報 甲第2号証 :登録実用新案第3031035号公報 甲第3号証 :特許第2514918号公報 甲第4号証 :意匠登録第1015721号公報 甲第5号証 :意匠登録第1037733号公報 甲第6号証 :意匠登録第1110910号公報 甲第7号証 :商標登録第4121733号公報 甲第8号証 :商標登録第4121734号公報 甲第9号証 :「週間ブロック通信」,公共事業通信社,平成9年11月10日,第1886号,p.1, 14-16 甲第10号証:「リボーン側溝技術提供契約書」(有限会社リタッグ及び中越製陶株式会社),平成8年4月9日付け 甲第11号証:「リボーン側溝技術提供契約書」(有限会社リタッグ、株式会社ウチコン及び株式会社プロックス),平成8年1月12日付け 甲第12号証:「リボーン側溝工業会準備委員会 第一回会議資料」,平成8年4月8日付け 甲第13号証:北本市長,「公文書任意的公開回答書(北建建発第352号)」,平成11年2月2日付け 甲第14号証:国立岐阜工業高等専門学校環境都市工学科 助教授 廣瀬康之,「曲面蓋受型側溝の蓋における曲面接触部の形状に関する調査報告書」 甲第15号証の1:リボーン側蓋のパンフレット(表) 甲第15号証の2:リボーン側蓋のパンフレット(裏) 甲第16号証:「積算資料」,財団法人経済調査会,平成8年8月1日,No.873 甲第17号証:「証明書」,荒井コンクリート工業株式会社代表取締役,平成13年12月13日付け 甲第18号証:プロックス原田様宛FAX送付文書,三国コンクリート工業株式会社,平成8年4月1日付け 甲第19号証:「RUG側溝技術協力契約書」(有限会社リタッグ及び中越製陶株式会社),平成17年4月20日付け 甲第20号証:設計図,トヨタ工機株式会社,設計1996年8月19日付け(平成8年11月9日付け押印) 甲第21号証:「リボーン側溝」,株式会社テラコン,p.1-12及び写真図 甲第22号証:「リボーン側溝技術提供契約書Rレジン蓋」(有限会社リタッグ及び株式会社ヤマウ),平成12年4月1日付け 甲第23号証:リボーン側溝のカタログ,株式会社ヤマウ,p.9,10,25,35,36 甲第24号証:「Guide of Product 福コン製品の御案内」,福岡コンクリート製品協同組合,平成26年8月 甲第25号証:「福岡市大名町の敷設現場 現場立ち会い記録」 甲第26号証:「全国リボーン側溝工業会 第4回定期総会議事録(平成14年11月総会)」,全国リボーン側溝工業会四国支部製品 リボーンVS側溝, 甲第27号証:「~蓋のガタツキをなくし、騒音を解消する道路側溝からリボーン側溝へ~」,p.1,2,6,7, 株式会社カンケン 甲第28号証:「道路側溝ふたの曲げ強度試験報告書」,財団法人日本建築総合試験所 試験研究センター,平成18年10月3日 甲第29号証:「リボーン側溝技術提供契約書 リボーン側溝用 集水蓋部門」(有限会社リタッグ及びインフラテック株式会社),平成10年12月22日付け 甲第30号証:「FRC製集水蓋版ファイコン」,インフラテック株式会社,p.1,6 甲第31号証:概要説明書(リボーン ユニバーサルデザイン グレード 側溝) 甲第32号証:「RUG側溝(縦断用T-25)」,中越製陶株式会社 甲第33号証:RUG側溝敷設現場の写真 甲第34号証:令和4年(ワ)第11921号 特許権侵害に基づく差止等請求事件の陳述書,令和5年4月7日付け 甲第35号証の1:「リボーン側溝<通称R側溝>」,櫻コンクリート株式会社 甲第35号証の2:リボーン側溝の写真 甲第36号証:「リボーン側溝が紹介(NHK全国放送)された時の映像」,[online],インターネット<https://www.kamuy.net/kankyo/nhk_zenkoku_reborn.html> 甲第37号証:「リボーン側溝が紹介(NHK東海放送)された時の映像」,[online],インターネット<https://www.kamuy.net/kankyo/nhk_tokai_reborn.html> 甲第38号証:FAX送付文書:表題「リボーン側溝ガタツキの件」,株式会社テラコン,1996年6月17日 甲第39号証:「リボーン側溝説明会 風景」 甲第40号証:「平成11年11月5日 全国リボーン側溝工業会定期総会」と記載された文書 甲第45号証:「証明書」,トヨタ工機株式会社代表取締役,令和6年2月9日付け 甲第46号証:回答書,株式会社カンケン,令和3年12月13日差出 甲第47号証:特開2001-288804号公報 甲第48号証:廣瀬康之,「リボーン側溝の力学的安定性」,岐阜工業高等専門学校紀要,岐阜工業高等専門学校,2007年,第42号 以下、各甲号証の番号に従って「甲1」などということがある。 第5 被請求人の主張及び証拠方法 1 被請求人の主張の概要 第一被請求人答弁書において、第一被請求人は次の主張をしている。 (1) 本件特許発明1について ア 甲2に記載された発明(以下「甲2発明」という。)に基づく請求人の主張は、甲2発明の認定に誤りがあり、本件特許発明1と甲2発明に相違点があり、相違点は当業者が容易に想到し得ないものである(第一被請求人答弁書3~9頁)。 イ 甲3に記載された発明(以下「甲3発明」という。)に基づく請求人の主張は、甲3発明の認定に誤りがあり、本件特許発明1と甲3発明に相違点があり、相違点は当業者が容易に想到し得ないものである(第一被請求人答弁書9~12頁)。 ウ 甲4には「側溝用溝ぶた」に関する意匠が記載されているが、蓋との接触部分だけでなく、側溝本体の存在が記載されていないため、甲4に記載された発明から本件特許発明1の新規性及び進歩性は否定されない(第一被請求人答弁書12~13頁)。 エ 甲5及び甲6のそれぞれには「側溝用ブロック」に関する意匠が記載されているが、蓋との接触部分だけでなく、蓋の存在が記載されていないため、甲5又は甲6に記載された発明から本件特許発明1の新規性及び進歩性は否定されない(第一被請求人答弁書13頁)。 (2) 本件特許発明3について 本件特許発明3は「桝」であるのに対し、甲3に記載された発明は側溝に関する発明であるから、両発明は同一又は容易想到とはいえない。仮に請求人の主張が、甲3発明を主引例とし、これに甲23記載の桝を組み合わせて、本件特許発明3とすることは容易想到であるというものであるとしても、請求人は当該組み合わせの動機付けについて一切主張しておらず、そのような動機づけが認められる事情はない。また、仮に当該動機付けが存在したとしても、本件特許発明1と同様に同一性も容易想到性も否定される(第一被請求人答弁書13~14頁)。 (3) 本件特許発明2及び4について 本件特許発明2は本件特許発明1の構成要件、本件特許発明4は本件特許発明3の構成要件が、それぞれ引用されているところ、本件特許発明1及び3と甲3発明との間に相違点があり、その相違点が出願当時の当業者において克服できるものでなく、相違点を克服する副引例等についての主張もされていないから、本件特許発明2及び4についても、甲3発明と同一といえず、甲3発明から容易に想到できるものとはいえない(第一被請求人答弁書14頁)。 よって、本件特許発明1~4は、いずれも新規性及び進歩性を有しており、請求人の主張にはいずれも理由がなく、本件審判請求が成り立たないことは明らかである。 2 証拠方法 第一被請求人は、特に証拠を提出していない。 なお、第二被請求人は、第二被請求人答弁書とともに、次の証拠を提出した。 丙第1号証:「リボーン側溝説明会 風景」 丙第2号証:株式会社プロックスの代表取締役及び株式会社ウチコンの部長職の者の名刺の写し 丙第3号証:中越製陶株式会社の代表取締役及び坂町窯業株式会社の代表取締役の名刺の写し 丙第4号証:「製品のご案内 リボーン側溝」,中越製陶株式会社,p.1-14 丙第5号証:「21.レジンコンクリートエ業会第5回定期総会」,レジンコンクリート工業会,平成18年6月27日 第6 当審の判断 1 甲号証について (1) 甲2 ア 甲2の記載事項 甲2には、次の事項が記載されている(下線は、当審合議体が付与した。)。 (ア) 段落【0001】~【0020】 「 【0001】 【考案の属する技術分野】 この考案は、一般道路の側部に埋設設置されて排水路として使用される側溝構造に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来の側溝構造としては、例えば側溝躯体と側溝蓋とを傾斜面部で対向させ、これらをパッキングを介して係合することによって、側溝蓋上を車両が走行するときの騒音発生を回避するようにしたものが提案されている(実開昭62-176280号公報)。 【0003】 また、従来の別の側溝構造として、側溝躯体と側溝蓋とを幾可学的に相似な曲面で密着させることによって、車両の走行時における騒音発生や側溝躯体、側溝蓋の破損を回避するものが提案されている。 【0004】 【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、側溝躯体と側溝蓋との間に上記パッキングを介在する側溝構造にあっては、成形加工時や施工布設時に取扱いが面倒な上記パッキングをコンクリート内に埋め込む必要があるため、そのための作業が大掛りで、煩わしいという課題があった。 【0005】 また、上記相似な曲面で側溝躯体および側溝蓋を密着させるものでは、精度の高い鋼製型枠を用いる必要があり、このため型枠コストが高くなるほか、成形寸法の管理を十分に行う必要が生じ、経済性,作業性の点で難点があるという課題があった。 【0006】 この考案は上記のような課題を解決しようとするものであり、基本的には車両の走行に対して十分な強度を確保しながら、側溝蓋のがたつきの発生を防止でき、しかも車両通過後の側溝蓋の跳ね上がりを防止できるとともに、ローコストにて製造および管理できる側溝構造を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため、請求項1の考案にかかる側溝構造は、対向する側溝壁内面に形成された上部傾斜面部、該上部傾斜面部に連続して下方に延設された湾曲面部および該湾曲面部に連続して下方に延設された下部垂直面部を有する側溝躯体と、 上記上部傾斜面部に対し微小間隔を有して対峙される蓋上部傾斜面部、該蓋上部傾斜面部に連続して下方に延設されて、上記湾曲面部に対し線接触しながら対峙される蓋湾曲面部および該蓋湾曲面部に連続して下方に延設されて、上記下部垂直面部に微小間隔を有して対峙される蓋下部垂直面部を有する側溝蓋とを備えたことを特徴とする。 ・・・(略)・・・ 【0009】 【考案の実施の形態】 以下、この考案の実施の形態を図について説明する。図1はこの考案の側溝構造の実施の形態を示す縦断面図、図2は側溝蓋の正面図、図3は要部の部分拡大断面図であり、1は側溝躯体、8は側溝蓋を示す。 【0010】 側溝躯体1は、対向する各側溝壁2A,2B内面に形成された上部傾斜面部2a,2bと、これらの上部傾斜面部2a,2bに連続して下方に延設された湾曲面部3a,3bと、これらの湾曲面部3a,3bに連続して下方に延設された下部垂直面部4a,4bと、これらの各下部垂直面部4a,4bに連続する水平面部5a,5bと、これらの各水平面部5a,5bに連続する溝壁部6a,6bと、これらの溝壁部6a,6bに共通に連続する底面部7とで形成される。 【0011】 また、側溝蓋8は、図2にも示すように、これが上記上部傾斜面部2a,2bに対し図3に示すような微小間隔G1を有して対峙するように配置される蓋上部傾斜面部9a,9bと、これらの蓋上部傾斜面部9a,9bに連続して下方に延設されて、上記湾曲面部3a,3bに対し線接触しながら対峙される蓋湾曲面部10a,10bおよびこれらの蓋湾曲面部10a,10bに連続して下方に延設されて、図3に示すように、上記下部垂直面部4a,4bに対して微小間隔G2を有して対峙される蓋下部垂直面部11a,11bとで形成される。 【0012】 そして、側溝躯体1の湾曲面部3a,3bと側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bとは、その下端Pで線接触している。この時、側溝躯体1の下部垂直面部4a,4bの方が側溝蓋8の蓋下部垂直面部11a,11bより長く形成され、側溝躯体1の水平面部5a,5bと側溝蓋8の下面との間には隙間が形成される。 【0013】 上記側溝躯体1の水平面部5a,5bは、図示の実施の形態では傾斜面に形成されているが、これは水平面であってもよい。 【0014】 かかる構成になる側溝構造にあっては、側溝蓋8を側溝躯体1に嵌挿すると、その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが、これの湾曲(曲率)度より小さい湾曲度で湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3bに下端Pにて線接触するようにして支持される。 【0015】 ここで、この線接触がなされる側溝躯体1の上記下端P位置までの側溝蓋8の有効厚さは十分な強度が得られる厚さであり、この側溝蓋8上に車両が走行するようなことがあっても、十分に耐えられるものとなる。 【0016】 また、側溝躯体1および側溝蓋8の、上部傾斜面部2a,2bと蓋上部傾斜面部9a,9bとの傾斜角,湾曲面部3aと蓋湾曲面部10a,10bとの上記のような線接触および湾曲度によって、これらの湾曲面部3a,3bおよび10a,10bが相互に一方が他方に対し食い込むような楔効果を呈するため、上記線接触にも拘らず、側溝蓋8は側溝躯体1内において全くがたつきを生じることがなく、騒音公害の発生を確実に回避することができる。 【0017】 そして、上記側溝蓋8の蓋下部垂直面部11a,11bは、上記線接触する下端Pより下方に位置し、かつ側溝躯体1の下部垂直面部4a,4bとの間に微小間隙G2と保っているため、車両の車輪がその側溝蓋8上に乗り上げ、その一部に集中的に荷重が作用して、その側溝蓋8が跳ね上がろうとする場合があっても、その蓋下部垂直面部11a,11bが対向する下部垂直面部4a,4bに衝合することとなるため、それ以上の跳ね上がりが規制され、大事故を引き起こす恐れはない。 【0018】 また、側溝蓋8の蓋上部垂直面部9a,9bと側溝躯体1の上部傾斜面部2a,2bとの間には間隙G1があるため、これらの間に砂や土が入ることがあっても、その間隙G1を利用することで、側溝蓋8の開閉操作が容易になる。 【0019】 なお、上記側溝躯体1の線接触する下端Pを含む所定幅の領域および/またはその領域に対応する側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bに、予めプラスチックや鋼材などからなる補強部材(図示せず)を設けておくことで、閉蓋時における上記線接触部位での摩耗や欠落を確実に防止できる。 【0020】 【考案の効果】 以上詳細に説明した通り、請求項1の考案によれば、側溝躯体に、対向する側溝壁内面に形成された上部傾斜面部、該上部傾斜面部に連続して下方に延設された湾曲面部および該湾曲面部に連続して下方に延設された下部垂直面部を設け、側溝蓋に、上記上部傾斜面部に対し微小間隙を有して対峙される蓋上部傾斜面部、該蓋上部傾斜面部に連続して下方に延設されて、上記湾曲面部に対し線接触しながら対峙される蓋湾曲面部および該蓋湾曲面部に連続して下方に延設されて、上記下部垂直面部に微小間隙を有して対峙される蓋下部垂直面部を設けて構成したので、車両等の走行重量に十分に耐える強度を持ちながら、側溝蓋の側溝躯体における嵌合状態をがたつきなく安定化させることができると共に、蓋の跳ね上がりやこれに伴う事故を未然に回避でき、さらに、側溝蓋の側溝躯体に対する開閉操作を容易に得えるという効果を奏する。」 (イ) 【図1】及び【図3】 「【図1】 [図:0001430499000001.jpg] 【図3】 [図:0001430499000002.jpg] 」 (ウ) 図面から看取できる事項 前記(ア)からみて、前記(イ)の図1及び3から次の事項を看取することができる(以下「図面看取事項1」という。)。 <図面看取事項1> 「湾曲面部3a,3bは、凹の曲面であり、蓋湾曲面部10a,10bは、凸の曲面であること。」 イ 甲2発明 甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。 <甲2発明> 「対向する各側溝壁2A,2B内面に形成された上部傾斜面部2a,2bと、これらの上部傾斜面部2a,2bに連続して下方に延設された湾曲面部3a,3bを有し、湾曲面部3a,3bは、凹の曲面である側溝躯体1と、(段落【0010】、図面看取事項1) 上部傾斜面部2a,2bに対し微小間隔G1を有して対峙するように配置される蓋上部傾斜面部9a,9bと、これらの蓋上部傾斜面部9a,9bに連続して下方に延設されて、上記湾曲面部3a,3bに対し線接触しながら対峙される蓋湾曲面部10a,10bを有し、蓋湾曲面部10a,10bは、凸の曲面である側溝蓋8とからなり、(段落【0011】、図面看取事項1) 側溝蓋8を側溝躯体1に嵌挿すると、その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが、これの湾曲(曲率)度より小さい湾曲度で湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3bに下端Pにて線接触するようにして支持され、(段落(段落【0014】) 側溝躯体1および側溝蓋8の、上部傾斜面部2a,2bと蓋上部傾斜面部9a,9bとの傾斜角,湾曲面部3aと蓋湾曲面部10a,10bとの線接触および湾曲度によって、これらの湾曲面部3a,3bおよび10a,10bが相互に一方が他方に対し食い込むような楔効果を呈するため、上記線接触にも拘らず、側溝蓋8は側溝躯体1内において全くがたつきを生じることがなく、騒音公害の発生を確実に回避することができる、(段落【0016】) 側溝構造。(段落【0009】)」 (2) 甲3 ア 甲3の記載事項 甲3には、次の事項が記載されている。 (ア) 【特許請求の範囲】 「【請求項1】 接面部a5が全面にわたって曲面に成形加工された側溝蓋1と、前記側溝蓋1の接面部a5に対応する接面部b6が全面にわたって前記側溝蓋1の接面部a5の曲面に対して幾何学的に相似な曲面に成形加工された側溝2とからなり、前記側溝蓋1と側溝2との密着性を高め、前記側溝蓋1にかかる垂直荷重が前記側溝蓋1及び側溝2の接面部a5,b6を介して分散されて側溝2に伝達されることを特徴とする騒音の発生しない側溝。」 (イ) 段落【0001】~【0012】 「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、一般道路側溝、特に幅員の狭い道路において、有蓋側溝の上を車両が通過する可能性の高い道路の側溝に関する。 【0002】 【従来の技術】従来土木工事において側溝を設置する場合、通常、フラットなコンクリート面で側溝蓋を支えており、特に平面精度を要求される。従来の側溝蓋受け部のフラット部については、その構造上の特性から土や小石が溜りやすく、人の手で清掃しなければならなかった。発生する騒音の解消についてはゴムパッキング等を挟み騒音の軽減を計っている。また設置工事の際、側溝蓋の脱着作業は垂直方向になされる必要が有る。 【0003】 【発明が解消しようとする課題】側溝蓋のガタッキによる騒音防止のため、特にフラット部の平面精度が要求されるが、満足されていない。また二次原因として異物が挟み込まれた場合、平面機能が損なわれ、側溝蓋の騒音発生の原因となり、更にコンクリート面同志がぶつかり合う事になり側溝蓋の破損、及び側溝蓋受け部の破損につながっている。 【0004】この発明は、このような従来の技術の欠点を除去して、新規な形状の、騒音の発生しない側溝を提供するものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】図1はこの発明の原理を説明する図である。まず図1の正面図で示すように、接面部を曲面に成形加工した側溝蓋1を、幾何学的に相似な曲面に成形加工した接面部を持つ側溝2に、密着するように設置する。 【0006】 【作用】この様にして幾何学的に相似した曲面を持った側溝蓋1と側溝2を設置すると、両者は側溝蓋1の自重により密着する。 【0007】 【実施例】具体的な実施例について説明すれば、側溝蓋1のコンクリート製のものは、型枠成形とし、鉄製のものについても型枠成形とし、素材は鋳鉄による。側溝2についてもコンクリート型枠成形による。また、合成樹脂、セラミックス等の新素材であっても、強度が許容されれば選択される。 【0008】 【発明の効果】この発明は側溝蓋の接面部と側溝の接面部が曲面で密着することに特徴が有る。これにより車両等の通過騒音を解消することが可能になり、側溝蓋、及び側溝の破損の発生をも防ぐ。 【0009】例えば、側溝に棚受け部が無いことから設置時に側溝蓋との底面接触が無くなり側溝蓋の接面部と側溝の接而部で支え合うことになり、底面に土、小石等の異物を挟み込むことが無くなった。また側溝蓋と側溝の接触面積が広くなり安定性が増す。 【0010】また、側溝蓋に垂直加重がかかった場合、接触面が曲面であるために、力線が分散され、側溝蓋にかかる負担が軽減され耐用年数が延びる。 【0011】更に、曲面の持つ特性により、側溝清掃時の蓋上げ作業が容易である。又、設置工事も簡略化できる。 【0012】以上のようにこの発明は側溝蓋の接面部、側溝の接面部を曲面に成形加工することにより側溝蓋、側溝の密着を計るものであり、少ないコストで大きな効果を生むものである。土木工事の分野において広く利用できるものと期待できる。」 (ウ) 【図1】~【図3】 「【図1】 [図:0001430499000003.jpg] 【図2】 [図:0001430499000004.jpg] 【図3】 [図:0001430499000005.jpg] 」 (エ) 図面から看取できる事項 前記(ア)及び(イ)からみて、前記(ウ)の図1~3から次の事項を看取することができる(以下「図面看取事項2」という。)。 <図面看取事項2> 「接面部a5は凸の曲面であり、接面部b6は凹の曲面であること。」 イ 甲3発明 甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。 <甲3発明> 「接面部a5が全面にわたって曲面に成形加工された側溝蓋1と、前記側溝蓋1の接面部a5に対応する接面部b6が全面にわたって前記側溝蓋1の接面部a5の曲面に対して幾何学的に相似な曲面に成形加工された側溝2とからなり、(【特許請求の範囲】【請求項1】) 接面部a5は凸の曲面であり、接面部b6は凹の曲面であり、(図面看取事項2) 幾何学的に相似した曲面を持った側溝蓋1と側溝2を設置すると、両者は側溝蓋1の自重により密着するものであり、(段落【0006】) 側溝蓋の接面部と側溝の接面部が曲面で密着することにより車両等の通過騒音を解消し、側溝蓋と側溝の接触面積が広くなり安定性が増すものであり、側溝蓋に垂直加重がかかった場合、接触面が曲面であるために、力線が分散され、側溝蓋にかかる負担が軽減され耐用年数が延びるものであって、(段落【0008】~【0010】) 前記側溝蓋1と側溝2との密着性を高め、前記側溝蓋1にかかる垂直荷重が前記側溝蓋1及び側溝2の接面部a5,b6を介して分散されて側溝2に伝達される、騒音の発生しない側溝。(【特許請求の範囲】【請求項1】)」 (3) 甲4 ア 甲4の記載事項 甲4には、次の事項が記載されている。 (ア) 「(54)意匠に係る物品」 「側溝用溝ぶた」 (イ) 「(55)説明」 「背面図は正面図と同一にあらわれる。」 (ウ) 図面 [図:0001430499000006.jpg] (エ) 図面から看取できる事項 前記(ア)の記載を踏まえると、前記(ウ)の図面から次の事項を看取することができる(以下「甲4記載事項」という。)。 <甲4記載事項> 「側面部が凸の曲面である側溝用溝ぶた。」 (4) 甲5 ア 甲5の記載事項 甲5には、次の事項が記載されている。 (ア) 「(54)意匠に係る物品」 「側溝用ブロック」 (イ) 「(55)説明」 「正面図と背面図は同一、左側面図と右側面図は同一である。」 (ウ) 図面 「 [図:0001430499000007.jpg] 」 (エ) 図面から看取できる事項 前記(ア)の記載を踏まえると、前記(ウ)の図面から次の事項を看取することができる(以下「甲5記載事項」という。)。 <甲5記載事項> 「側面部が凹の曲面である側溝用ブロック。」 (5) 甲6 ア 甲6の記載事項 甲6には、次の事項が記載されている。 (ア) 「(54)意匠に係る物品」 「側溝用ブロック」 (イ) 「(55)説明」 「正面図と背面図は同一、左側面図と右側面図は同一である。」 (ウ) 図面 「 [図:0001430499000008.jpg] [図:0001430499000009.jpg] [図:0001430499000010.jpg] 」 (エ) 図面から看取できる事項 前記(ア)の記載を踏まえると、前記(ウ)の図面から次の事項を看取することができる(以下「甲6記載事項」という。)。 <甲6記載事項> 「側面部が凹の曲面である側溝用ブロック。」 (6) 甲7 ア 甲7の記載事項 甲7には、次の事項が記載されている。 (ア) 「(540)」 「リボーン側溝」 (イ) 「(511)(510)商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務」 「19 コンクリート製側溝用ブロック」 (7) 甲8 甲8には、次の事項が記載されている。 ア 「(540)」 「リボーン蓋」 イ 「(511)(510)商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務」 「19 コンクリート製側溝用溝ぶた」 (8) 甲9 ア 甲9の記載事項 甲9には、次の事項が記載されている。 (ア) 16頁 「 [図:0001430499000011.jpg] 」 (9) 甲10及び甲11 甲10は、平成8年4月9日付けで署名された技術提供契約書であり、甲3の特許出願である特願平5-81050号「騒音の発生しない側溝」に関する独占的な実施、製造販売等を第一被請求人が行うことを第二被請求人が許可すること等について記載されている。 甲11は、平成8年1月12日付けで署名された技術提携契約書であり、甲3の特許出願である特願平5-81050号「騒音の発生しない側溝」に関する独占的な実施、製造販売等を第三者が行うことを第二被請求人が許可すること等について記載されている。 (10) 甲12 ア 甲12の記載事項 甲12は、平成8年4月8日付けで作成された「リボーン側溝工業会準備委員会 第一回会議」と記載された文書であり、会議議題について記載されるとともに、次の図面が添付されている。 「 [図:0001430499000012.jpg] [図:0001430499000013.jpg] [図:0001430499000014.jpg] 」 イ 図面から看取できる事項 前記アの1枚目の図面は、「株式会社ウチコン」と番号「S003-025」と記載された側溝本体の図面、同2枚目の図面は、「株式会社ウチコン」と番号「S004-005」と記載された側溝蓋の図面、同3枚目の図面は、「株式会社ウチコン様」と記載された側溝蓋と側溝本体の図面であり、これらが同一の物についての設計図であるか不明であるものの、側溝蓋及び側溝本体の各種寸法からみて、一応、同一のものを示しているとして検討する。 作図上の技術常識からみて、前記アの3枚目の図に記載された蓋の厚さは100mmであり、蓋と側溝本体の曲面のそれぞれに接する2つの矢印線に付された「50R」及び「50」は、蓋と側溝本体の曲面部の曲率半径が50mmであることを表すことが理解できる。 また、蓋と側溝本体の曲面部は下方の位置で接し、側溝本体の曲面部に水平な部分がないことが看取できる。 次に、前記「50」が付された2つの矢印の右端は蓋及び側溝本体の曲率中心であると解することができ、それらは互いに水平方向及び垂直方向にずれていることが看取できる。 そして、前記水平方向のずれは、蓋と側溝本体の曲面部の最上部の水平方向の離間距離を表す「5」の数値及び各最上部の横方向の位置と「50」が付された前記2つの水平方向の矢印の左端の位置との離間距離を表す「1.5」の記載からみて、前記2つの水平方向の矢印の右端である蓋及び側溝本体の曲率中心の位置は、蓋と側溝本体の曲面部の最上部の水平方向位置から右方向に「1.5」及び「50」移動しても、最上部の水平方向の離間距離「5」を維持しており、5mmの水平方向のずれがあるものと解することができる。 また、蓋の厚さを表す「100」、蓋の底面から蓋の曲面部の曲率中心までの距離を表す「46.5」、蓋の上面から側溝本体の曲面部の曲率中心までの距離を表す「51」からみて、蓋及び側溝本体の曲率中心は、2.5mmの垂直方向のずれがあるものと解することができる。 よって、前記アの各図から次の事項を看取することができる(以下「甲12記載事項」という。)。 <甲12記載事項> 「蓋の厚さが100mmである側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分に、それぞれの曲率半径が50mmである部分を有し、 蓋と側溝本体の曲面部は下方の位置で接し、側溝本体の曲面部に水平な部分がないものであり、 蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置のずれが水平方向で5mm、垂直方向で2.5mmであること。」 (11) 甲13 ア 甲13の記載事項 甲13は、平成11年2月2日付けの公文書任意的公開回答書であり、「材料承認願書」の任意的公開の申出のあった公文書を公開するとしたものであり、添付された「材料承認願書」は、北本市役所土木課による平成9年3月10日付け受付印が押印され、「下記工事に使用する材料について、別添書類を添えましたので、承認下さるようお願いします。」、及び、 「1 工事名 市道2453号線側溝整備工事 2 工事場所 北本市 中丸1丁目地内 ・・・(略)・・・ 5 材料一覧表 別紙のとおり」との記載とともに、次の図面が添付されている。 「 [図:0001430499000015.jpg] [図:0001430499000016.jpg] 」 イ 図面から看取できる事項 前記アの各図から次の事項を看取することができる(以下「甲13記載事項」という。)。 <甲13記載事項> 「蓋の厚さが100mmである側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部を有すること。」 (12) 甲14 甲14は、国立岐阜工業高等専門学校環境都市工学科 助教授が作成した「曲面蓋受型側溝の蓋における曲面接触部の形状に関する調査報告書」であり、次の写真が掲載されている。なお、以下の写真の最後のものの右下に「’04 4 30」とも読める不鮮明な文字を看取できる。 「 [図:0001430499000017.jpg] [図:0001430499000018.jpg] [図:0001430499000019.jpg] 」 (13) 甲15の1及び甲15の2 甲15の1及び甲15の2のそれぞれには、次の記載がある。 ア 甲15の1 「 [図:0001430499000020.jpg] 」 イ 甲15の2 「 [図:0001430499000021.jpg] 」 ウ 図面から看取できる事項 甲15の2に、甲15の1に記載された「Scoop」の文字が反転して薄く写っていることが看取できるから、甲15の1と甲15の2は同一パンフレットの表裏に記載されたものと解することができる。 また、甲15の2の「この形状が音を出さない秘密です。」の記載から矢印で結ばれた位置に記載された「R=5」は作図の常識からみて曲率半径を示すと解することができるが、「5」が表す単位が不明である。 そして、甲15の1及び甲15の2の図面及び記載事項から次の事項を看取することができる(以下「甲15記載事項」という。)。 <甲15記載事項> 「側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部を有し、両曲面部は互いに接触し、蓋と側溝本体の曲面部の同様の部分の曲率半径が5であり、 曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量も分散され、音の発生を未然に防ぐこと。」 (14) 甲16 甲16には、次の事項が記載されている。 (ア) 話題の商品○2(当審注意:「○2」は、数字の「2」を○で囲んだ文字を表す。以下同様である。)の3段目 「ガタつき音を解消 「リボーン側溝」 (株)ウチコン ・・・略・・・ ウチコンは,在来製品で問題となっていた蓋のガタつきの音が全くない側溝「リボーン側溝」を発売した。 同製品の特長は,○1曲面(R面)構造を採用することにより,全体にかかる重量が分散され,ガタつき音の発生を未然に防ぐ,○2敷ゴムなどを使用しないため経年による劣化がない,○3蓋を固定しないため施工も容易であり,蓋上げも容易なため側溝の清掃も容易,○4価格・寸法は,在来の側溝と同等である---など。」 (15) 甲17 ア 甲17の記載事項 甲17は、平成13年12月13日付けで、荒井コンクリート工業株式会社代表取締役が押印した証明書であり、平成8年1月12日付けで、第二被請求人とのリボーン側溝技術提供契約に基づいて、株式会社プロックスにリボーン側溝型枠の製造の指示を出したこと、株式会社プロックスと宝工業株式会社との間に交わされたリボーン側溝型枠製造委託契約に基づき、平成8年5月29日、リボーン側溝型枠が宝工業株式会社から指示通り納品されたこと、及び、そのリボーン側溝型枠は現在もリボーン側溝の製造に利用していることが記載され、次の2つの図面が添付されている(なお、各図面は側溝の構造に関連するもののみを示す。)。 イ 図面1 「 [図:0001430499000022.jpg] 」 ウ 図面2 「 [図:0001430499000023.jpg] 」 エ 甲17の図面から看取できる事項 前記イの図に「株式会社プロックス」の記載があり、前記ウの図に「宝工業株式会社」の名称、客名の欄に「荒井コンクリート工業(株)様」とそれぞれ記載されていることからみて、「リボーン側溝型枠が宝工業株式会社から指示通り納品された」ことに該当する図面は前記ウの図と推認できる。 製図の常識を参酌すると、甲17の図面から次の事項を看取することができる(以下「甲17記載事項」という。)。 <甲17記載事項> 「蓋の厚さが101mmである側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分において、蓋の凸の曲面部の曲率半径が45mm、側溝本体の凹の曲面部の曲率半径が50mmである部分を有し、 蓋と側溝本体の曲面部は下方の位置で接し、側溝本体の曲面部に水平な部分がないものであり、 蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置がずれていること。」 (16) 甲18 ア 甲18の記載事項 甲18は、三国コンクリート工業株式会社から、プロックス宛てに平成8年4月1日付け及び同月16日付けでFAXで送付された文書であり、同月16日付けFAXで送付された文書の2~4枚目に次の図面が添付されている。 イ 図面1 「 [図:0001430499000024.jpg] 」 ウ 図面2 「 [図:0001430499000025.jpg] 」 エ 図面3 「 [図:0001430499000026.jpg] 」 オ 図面から看取できる事項 前記ウに「群馬県型リボーン側溝 300×300×2,000l」及び前記エに「群馬県型リボーン側溝 蓋 300」と記載されているから、これらを組み合わせて側溝とすることができると推認できる。 そして、 一方、前記イの名称の欄に「R側溝 GPU300×300」と記載され、蓋の凸の曲面部の曲率半径が45mmであることが看取できるが、前記エの蓋の凸の曲面部の曲率半径が50mmであることからみて、これらは異なる側溝であると推認できる。 そして、製図の常識を参酌すると、前記イの図面から次の事項を看取することができる(以下「甲18記載事項1」という。)。 <甲18記載事項1> 「蓋の厚さが101mmである側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分において、蓋の凸の曲面部の曲率半径が45mm、側溝本体の凹の曲面部の曲率半径が50mmである部分を有し、 蓋と側溝本体の曲面部は下方の位置で接し、側溝本体の曲面部に水平な部分がないものであり、 蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置がずれていること。」 また、前記ウ及びエの図面から次の事項を看取することができる(以下「甲18記載事項2」という。)。 <甲18記載事項2> 「蓋の厚さが103.9mmである側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分において、蓋の凸の曲面部の曲率半径が50mm、側溝本体の凹の曲面部の曲率半径が54.5mmである部分を有すること。」 (17) 甲19 甲19は、平成17年4月20日付けで署名された技術協力契約書であり、第一被請求人と第二被請求人間におけるリボーン側溝に係る改良製品(以下[RUG側溝」という。)についての契約事項が記載され、第九条に「「RUG側溝」の性能を維持するため,「RUG側溝」の型枠はトヨタ工機株式会社の製造したものを用いることとする。」と記載されている。 (18) 甲20 甲20は、設計1996年8月19日トヨタ工機株式会社と記載され、営業部の記載を含む平成8年11月9日付けの押印のある設計図であり、次の図面が記載されている。 「 [図:0001430499000027.jpg] [図:0001430499000028.jpg] 」 (19) 甲21 ア 甲21の記載事項 甲21には、次の記載がある。 (ア) 1頁 「リボーン側溝&蓋 騒音問題解消 ガタ付音が出ない秘密 [図:0001430499000029.jpg] ■特 長 1.点から線への転換 在来製品は側溝と蓋との接点が平面構造(平面支持)になっていますが、現実には面ではなく点で支える構造となってガタ付音の原因となっています。 リボーン側溝は曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量を分散し、音の発生源をなくしています。 2.蓋を固定しないため施工が容易に行えます。また、従来の蓋より蓋上げが容易なため側溝の清掃も容易に行えます。 3.敷きゴムなどは使用しないため経年による劣化がありません。 特殊な形状により不快なガタ付音が全くありません。」 (イ) 8頁上図 「 [図:0001430499000030.jpg] 」 (ウ) 10頁下図 「 [図:0001430499000031.jpg] 」 (エ) 11頁下図 「 [図:0001430499000032.jpg] 」 (オ) 図面から看取できる事項 a 作図上の技術常識に照らすと、前記(エ)の蓋に記載された2つの「R50」において、上側の「R50」が「側溝本体」の曲率半径を表し、下側の「R50」が「蓋」の曲率半径を表すことを看取でき、前記(イ)の側溝本体及び前記(ウ)の蓋の同様の位置にも「R50」と記載されていることもあわせると、側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率半径が50mmであり、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率半径が50mmであることが看取できる。 b 前記(エ)から、側溝本体と蓋が接触する位置の曲面部が水平部分を有しないことが看取できる。 c また、前記(エ)において、前記2つの曲面部が接触する位置の下端側から延びる引き出し線に「1」と記載されていることからみて、前記2つの曲面部の下端側に1mmの隙間があることが看取される。 そして、同じ曲率半径を有する2つの円は各々の曲率中心が同じ位置であれば、2つの円は全ての位置で接することは自明である。そのため、曲率半径が等しい2つの曲線部(円弧)に隙間が生じるには2つの円の曲率中心が離れている必要があることも自明である。 これらのことから、前記(エ)に記載された「R50」が付された矢印線において曲率中心に相当する位置付近に記載された「1」及び「1.7」のそれぞれは、側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率中心と、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率中心が、水平方向に1mm及び垂直方向に1.7mmずれていることを看取できる。 d なお、a~cにおける看取事項について、請求人及び第一被請求人のそれぞれは、請求書及び第一被請求人答弁書において、同様の認識をしている。 (カ) 甲21には、次の事項(以下、「甲21記載事項」という。)が記載されている。 <甲21記載事項> 「側溝において、側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率半径が50mmであり、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率半径が50mmであり、側溝本体と蓋が接触する位置の曲面部が水平部分を有しないものであって、側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率中心と、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率中心が、水平方向に1mm及び垂直方向に1.7mmずれており、曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量を分散し、音の発生源をなくしていること。」 (20) 甲22 甲22は、第二被請求人と株式会社ヤマウとの間で平成12年4月1日付けで署名された技術提供契約書であり、甲3である特許第2514918号「騒音の発生しない側溝」であるリボーン側溝に使用する側溝蓋の代用品蓋としての集水蓋を株式会社ヤマウが製造、販売及び拡布することについての契約事項について記載されている。 (21) 甲23 甲23には、次の記載がある。 ア 9頁の表題 「自由勾配側溝 道路(当審注:「道路」は枠に囲まれている。) リボーン(騒音防止)側溝 縦断用<T-25>」 イ 9頁の「特長」欄 「1.騒音の低減 構造的要因(蓋受け部を曲面)により、騒音防止に有効です。 2.緩衝材が不要 騒音防止ゴム等の緩衝材を使用する必要がありません。 3.摩耗・角破損の解消 蓋のガタツキによる摩耗・角破損がなくなります。 4.メンテナンスが容易 曲面のため蓋の取り外しが容易です。 用途 ・道路用排水側溝(可変勾配型-急勾配、緩勾配) ・宅地造成地及びグランド等の排水側溝」 ウ 9頁の「リボーン側溝 自由勾配 標準型」欄 「 [図:0001430499000033.jpg] 」 エ 10頁左下欄の図 「 [図:0001430499000034.jpg] 」 オ 36頁下段の図 「 [図:0001430499000035.jpg] 」 (22) 甲24 甲24には、次の記載がある。 ア 4葉目の1行 「自由勾配側溝(リボーン側溝)縦断用<T-25>」 イ 5葉目の右図 「 [図:0001430499000036.jpg] 」 ウ 7葉目の右図 「 [図:0001430499000037.jpg] 」 (23) 甲25 甲25は、福岡市大名町の敷設現場の現場立会い記録であり、2頁目に次の写真とその説明文が記載されている。 「 [図:0001430499000038.jpg] 」 (24) 甲26 甲26は、平成14年11月12日に開催された全国リボーン側溝工業会の第4回定期総会議事録であり、5頁14~20行に平成14年10月3及び4日に第2回技術部会を開催し、同4日に福岡市内の現場を観察し、同技術部会の議事録を平成15年1月20日頃に同工業会会員に送った旨の記載がある。 (25) 甲27 甲27には、次の記載がある。 ア 2頁「リボーン側溝の特長」欄 「○1 構造的要因(蓋受け部を曲面)により、確実に騒音が解消できます。 ○2 騒音防止ゴム等の緩衝材を使用する必要がありません。 ○3 蓋のガタツキによる摩耗・角破損がなくなります。 ○4 本体と蓋の隙間に砂等が入ってのガタツキがなく、むしろ安定させる要因となります。 ○5 本体の蓋受け部が曲面のため、側溝の清掃が容易であり、異物もたまりません。 ○6 曲面のため、蓋の取り外しが容易です。 ○7 この側溝敷設に関し、特殊な施工技術は必要ありません。」 イ 7頁 「■レジンタイプ」の図面 「 [図:0001430499000039.jpg] 」 (26) 甲28 甲28は、平成18年10月3日付けで財団法人日本建築総合試験所試験研究センター センター長及び中央試験室長の氏名及び押印がされた「道路用側溝ふたの曲げ強度試験報告書」であり、レジンコンクリート製の道路用側溝ふた(製品名レジンコンクリート集水蓋RC300)1種類の曲げ強度試験結果が記載され、3頁に次の写真が記載されている。 「 [図:0001430499000040.jpg] 」 (27) 甲29 甲29は、第二被請求人とインフラテック株式会社との間で平成10年12月22日付けで署名された技術提供契約書であり、甲3である特許第2514918号「騒音の発生しない側溝」であるリボーン側溝に使用する側溝蓋の代用品蓋としての集水蓋をインフラテック株式会社が製造、販売及び拡布することについての契約事項が記載されている。 (28) 甲30 甲30には、次の記載がある。 ア 1頁1~6行 「ファイコンはFRC(繊維補強セメント)を使用した集水蓋版です。素材である補強繊維と鉄筋コンクリートのそれぞれの特長を有効に活かし、国土交通省標準設計用側溝および各県タイプの規格寸法に合わせております。数多くの特長を持つファイコンは各官公庁をはじめ、あらゆるところでご採用いただき、着実に実績を伸ばしています。」 イ 6頁上部の図面と表(なお、枠線は請求人が付与した。) 「 [図:0001430499000041.jpg] 」 (29) 甲31 甲31は、新潟県が行う「Made in 新潟」において登録番号18D2001として登録された「リボーン ユニバーサルデザイン グレード側溝」の概要説明書であり、開発会社が第一被請求人であること、本技術の施工実績が記載されると共に、概要説明書(その4)に次の図面が記載されている。 「 [図:0001430499000042.jpg] 」 (30) 甲32 甲32には、次の記載がある。 ア 14頁右上図 「 [図:0001430499000043.jpg] 」 イ 15頁上図 「 [図:0001430499000044.jpg] 」 (31) 甲33 甲33は、RUG側溝敷設現場の写真とされるものである。 (32) 甲34 甲34は、本件特許に関連する特許権侵害に基づく差止請求事件である令和4年(ワ)第11921号において提出された令和5年4月7日付け陳述書である。 (33) 甲35の1及び甲35の2 甲35の1の表紙に「リボーン側溝」と記載されており、甲35の2は製造した会社等の記載を看取することができない側溝の写真である。 (34) 甲36及び甲37 甲36は、平成7年10月20日にNHK総合で放送された「ちょっとサイエンス」においてリボーン側溝の紹介がされたことをまとめた内容のものであり、 甲37は、平成7年9月21日にNHK東海で放送された「ニュースウエーブ」においてリボーン側溝の紹介がされたことをまとめた内容のものである。 (35) 甲38 株式会社テラコン担当者からウイング物流社長宛にFAX送信された文書であり、B案からA案に変更したい旨の記載がある。 同文書に添付されたA案及びB案に関する図面は次のとおり。 「 [図:0001430499000045.jpg] [図:0001430499000046.jpg] 」 (36) 甲39及び甲40 甲39は、平成7年11月22日に開催された関東企業リボーン側溝説明会の出席者の写真が添付された文書であり、甲40は、平成11年11月5日に開催された平成11年全国リボーン側溝工業会懇親会の写真が添付された文書である。 (37) 甲45 甲45は、令和6年2月9日付けで、トヨタ工機株式会社代表取締役が押印した証明書であり、リボーン側溝技術提供契約書に基づき、第二被請求人及び契約会員に提出した図面と設計記録日が正しいことを証明する文書である。 (38) 甲46 甲46は、令和4年(ワ)第11921号において甲第20号証として提出された、株式会社カンケンから第一被請求人に宛てられた回答書である。 (39) 甲47 甲47には、次の記載がある。 ア 段落【0024】~【0026】 「【0024】第一実施形態の外れ防止具は、側溝において使用されるものである。図1に示すように、側溝1は、側溝本体2と、側溝本体2の上面を塞ぐ側溝蓋3及び第二側溝蓋4とから構成されている。側溝本体2は、平板上の底部(図示しない)と、この底部の左右両端から上方側に延設された側部5とからなり、断面が略U字形の形状を呈している。それぞれの側部5の上部内側には、側溝蓋3及び第二側溝蓋4を載せるための載置面6,6が互いに対向して形成されている。この載置面6,6は、上部側ほど側部5,5の間隔が広くなるように、曲面状に形成されている。なお、この側溝本体2は、コンクリート二次製品として成形されている。 【0025】側溝蓋3は、グレーチングと呼ばれる金属製の格子状のものであり、鋳造によって一体成形されている。具体的には、側溝本体2の側部5,5の間に架け渡され、側溝本体2の上面を塞ぐ蓋本体部7と、この蓋本体部7の左右両端(長辺側)から垂下され、載置面6に当接する載架部8aと、蓋本体部7の前後両端(短辺側)から垂下された側壁8bとから構成されている。 【0026】蓋本体部7には、上方向に貫通する複数のスリット9が、所定の間隔で蓋本体部7の略全域にわたって設けられている。また、蓋本体部7の前後端部側には、L字形の開口を呈したスリット10が設けられている。このスリット10は、スリット9の幅と等しい幅を有する溝部10aと、後述する係止ピン15を挿入するために幅広に形成された開口部10bとから構成されている。なお、蓋本体部7の上面の高さは、側溝本体2の側部5の上面の高さと一致している。」 イ 【図1】 「 [図:0001430499000047.jpg] 」 (40) 甲48 甲48には、次の記載がある。 ア 本文1頁左欄本文1行~右欄下から2行 「本研究の対象となるリボーン側溝とは新たに開発されたU型側溝のことである.その構造的特徴は側溝本体と蓋との接触面を曲面にしたことにある.この構造により,従来型の側溝に比べて改善された点がいくつか挙げられる. ○1構造的要因により,騒音の発生が激減する. ○2本体と蓋の間に土砂等が入ってもガタツキがなく,むしろ安定させる要因となる. ○3曲面になっているため蓋の取り外しが容易である. ・・・(略)・・・ 従来品では移動荷重が作用した際,蓋部が平面支持となるため不安定で揺らぎやすく,著しく騒音が発生して問題となっていた.従前の現場打ち側溝もさる事ながら,二次製品側溝の蓋も騒音が発生している.コンクリートで完全な平面に仕上げることは殆ど不可能であるからである.しかもいったん音が出始めるとコンクリート面同士が打ち合うため,蓋と蓋受け部の隙間が益々大きくなり,小石や土などを取り除いても騒音は止められなくなってしまう.しかしリボーン側溝は,従来のような平面あるいは4点支持ではなく,曲面支持であるため,荷重が作用しても蓋と本体が曲面に沿って接することにより常に蓋が本体に支持され安定するため,騒音の発生を抑えることができる. 全国リボーン側溝工業会の加盟企業によるリボーン側溝の強度確認試験の結果を,事務局である有限会社リタッグより得て確認したところ,従来型に比ベリボーン側溝は明らかに強度が高いという結果であった.従来型の側溝に荷重をかけ続けていくと,かけた荷重が全て鉛直荷重となり蓋受け部分が圧壊してしまう.しかし,リボーン側溝の場合,従来型と同じ条件で荷重をかけ続け,従来型が圧壊した載荷量を越えてもひび割れは発生したが破壊は見られなかったと記述されていた.この原因として,リボーン側溝の最大の特徴ともいえる蓋受け部分が曲面であることが大きく関係している. 蓋受け部分を曲面にしたことにより,蓋部にかかる荷重が側溝本体に上手く伝達されるようになった.このため,今まで圧壊の原因であった局所的な鉛直荷重が分散化し,従来型に比べても強度が増加した.」 2 無効理由について (1) 請求人が請求する無効理由の整理 請求人が請求する無効理由は、第4の1(1)に示したとおりであるが、次の無効理由1~6に整理し、順に検討・判断を行う。 無効理由1:甲2に記載された発明に基づく新規性及び進歩性の欠如(特許法29条1項3号及び同法29条2項)について 無効理由2:甲2に記載された発明による公然実施物に基づく新規性及び進歩性の欠如(特許法29条1項2号及び同法29条2項)について 無効理由3:甲2に記載された発明により公然知られた発明に基づく新規性及び進歩性の欠如(特許法29条1項1号及び同法29条2項)について 無効理由4;甲3に記載された発明に基づく新規性及び進歩性の欠如(特許法29条1項3号及び同法29条2項)について 無効理由5:甲3に記載された発明による公然実施物に基づく新規性及び進歩性の欠如(特許法29条1項2号及び同法29条2項)について 無効理由6:甲3に記載された発明により公然知られた発明に基づく新規性及び進歩性の欠如(特許法29条1項1号及び同法29条2項)について (2) 無効理由1(甲2に記載された発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)について ア 本件特許発明1について (ア) 対比 本件特許発明1と甲2発明を対比する。 a 甲2発明の「側溝躯体1」及び「側溝蓋8」のそれぞれは、本件特許発明1の「側溝本体」、「蓋」に相当する。 b 甲2発明の「側溝躯体1」が有する「湾曲面部3a,3b」及び「側溝蓋8」が有する「蓋湾曲面部10a,10b」は、「蓋湾曲面部10a,10b」が「湾曲面部3a,3bに対し線接触しながら対峙される」関係にある。 そうすると、甲2発明の「湾曲面部3a,3b」及び「蓋湾曲面部10a,10b」のそれぞれは、本件特許発明1の「本体接面部」及び「蓋接面部」に相当する。 c 前記a及びbを踏まえると、甲2発明の「側溝躯体1」が有する「湾曲面部3a,3b」が「凹の曲面であ」り、「側溝蓋8」が有する「蓋湾曲面部10a,10b」が「上記湾曲面部3a,3bに対し線接触しながら対峙される」から、甲2発明の「側溝躯体1」は、本件特許発明1の「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体」に相当する。 そして、甲2発明の「上記湾曲面部3a,3bに対し線接触しながら対峙される蓋湾曲面部10a,10bを有し」、「凸の曲面である」「側溝蓋8」は、本件特許発明1の「前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋」に相当する。 d 甲2発明の「湾曲面部3a,3b」と「蓋湾曲面部10a,10b」は、「側溝蓋8を側溝躯体1に嵌挿すると、その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが、これの湾曲(曲率)度より小さい湾曲度で湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3bに下端Pにて線接触するようにして支持され」ている。 ここで、「湾曲(曲率)度」が「曲率半径」の逆数という関係であるという技術常識から、「側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10b」の曲率半径が、「側溝躯体1」が有する「湾曲面部3a,3b」の曲率半径より小さいことは自明である。また、幾何学的にみて、曲率半径が大きい「湾曲面部3a,3b」に対して曲率半径が小さい「蓋湾曲面部10a,10b」が「線接触」するには、それぞれの曲率中心が離れている必要があることは自明である。 そうすると、本件特許発明1の「前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ことと、甲2発明の「湾曲面部3a,3b」と「蓋湾曲面部10a,10b」の曲率中心の位置関係は、「前記両接面部の曲率中心が相互に離れている」点で一致する。 e 甲2発明の「側溝構造」は、「側溝躯体1」及び「側溝蓋8」を有するから、本件特許発明1の「側溝」に相当する。 よって、本件特許発明1と甲2発明は、次の一致点Aで一致し、相違点1A及び相違点2Aで相違する。 <一致点A> 「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体と、前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋とからなる側溝において、前記両接面部の曲率中心が相互に離れている側溝。」 <相違点1A> 本件特許発明1の「本体接面部」が「水平部分を有しない」のに対し、甲2発明の「湾曲面部3a,3b」はそのような特定がされていない点。 <相違点2A> 本件特許発明1は「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」のに対し、甲2発明は、「蓋湾曲面部10a,10b」の曲率が「湾曲面部3a,3b」の曲率よりも小さいものであり、曲率中心が相互に離れる距離も特定されていない点。 (イ) 検討・判断 a 相違点1Aについて 甲2発明の「側溝躯体1」の「湾曲面部3a,3b」は、「湾曲(曲率)度」を有する曲面を有し、「湾曲面部3a,3b」と「線接触しながら対峙される」ものである。 そうすると、「湾曲面部」が水平部分という直線部分を有しないことは自明であり、相違点1Aは実質的でない。 b 相違点2Aについて (a) 本件特許発明1の「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れていること」の技術的意味について (a-1) 本件特許発明1の「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れていること」について、本件の明細書の発明の詳細な説明に次に記載がある(下線は、当審合議体が付与した。)。 「【0010】 本体接面部及び蓋接面部の曲率半径を11~25mmに小さくすると、蓋掛かりの幅、すなわち(蓋の幅w2-有効幅w1)/2、を小さくすることができるので、蓋の幅を小さくできると共に、側溝の側板部又は桝の周壁の外面をフラットにすることができる。また、接面部の曲率半径を小さくすると、蓋接面部が低い位置となるので、蓋の強度が向上し、蓋の厚さtを薄くしても、十分な強度を保てる。したがって、蓋を薄くできると共に、これに伴って本体の高さを低くすることができる。 【0011】 本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が11mm未満であると、積載荷重が作用したときに蓋接面部に過大な応力が発生し、接面部が破壊するおそれがある。本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が25mmを超えると、蓋の幅を十分に狭くすることができず、側板部のコンクリート使用量を適正にした場合、側板部の外面をフラットにすることができない。 【0012】 本発明においては、本体接面部の曲率半径と蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、両接面部の曲率中心が相互に直線距離で0.5~1.5mm離れているように構成する。 【0013】 このように構成すると、蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり(図4)、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生じない。蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し(図5)、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができる。本体接面部と蓋接面部の曲率半径が異なると、積載荷重がかかったときの蓋と本体との接触面積が小さくなり、過度の応力が発生する可能性がある。本体接面部の曲率中心O1と蓋接面部の曲率中心O2との距離が0.5mmよりも小さいと、図4に示す積載荷重のない状態において、寸法誤差の吸収が不十分となり、ガタツキを生じる可能性がある。1.5mmよりも大きいと、図5に示す積載荷重が作用した状態において、本体接面部と蓋接面部の接触が不十分となり、過度の応力が発生するおそれがある。したがって、本体接面部の曲率中心O1と蓋接面部の曲率中心O2との距離は0.5~1.5mmが好ましい。」 (a-2) これらの記載からみて、本件特許発明1は、「前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れているように構成する」ことで、「蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生ず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができる」技術的意味を有するものである。 (a-3) 本件特許発明1の「両接面部の曲率中心」間の直線距離の数値範囲は、「本体接面部と蓋接面部の曲率半径が異なると、積載荷重がかかったときの蓋と本体との接触面積が小さくなり、過度の応力が発生する可能性がある」から、「本体接面部の曲率中心O1と蓋接面部の曲率中心O2との距離は0.5~1.5mmが好ましい」ことから選択されたことを理解することができる。 (a-4) そして、本件特許発明1の「曲率半径」の数値範囲は、「本体接面部及び蓋接面部の曲率半径を11~25mmに小さくすると、蓋掛かりの幅を小さくすることができるので、蓋の幅を小さくできると共に、側溝の側板部又は桝の周壁の外面をフラットにすることができ、接面部の曲率半径を小さくすると、蓋接面部が低い位置となるので、蓋の強度が向上し、蓋の厚さを薄くしても、十分な強度を保てるから、蓋を薄くできると共に、これに伴って本体の高さを低くすることができるものであり、本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が25mmを超えると、蓋の幅を十分に狭くすることができず、側板部のコンクリート使用量を適正にした場合、側板部の外面をフラットにすることができない」ことから選択されたことを理解することができる。 (b) 甲2発明における相違点2Aの構成を変更する動機付けについて 甲2発明は、「側溝蓋8を側溝躯体1に嵌挿すると、その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが、これの湾曲(曲率)度より小さい湾曲度で湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3bに下端Pにて線接触するようにして支持され」る構成を有しており、「湾曲(曲率)度」が「曲率半径」の逆数という関係であるという技術常識から、「側溝蓋8を側溝躯体1に嵌挿すると、その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが」、「これの曲率半径より大きい曲率半径」で「湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3bに下端Pにて線接触するようにして支持され」る構成を有するものである。 そして、この構成により、甲2発明は、「側溝躯体1および側溝蓋8の、上部傾斜面部2a,2bと蓋上部傾斜面部9a,9bとの傾斜角,湾曲面部3aと蓋湾曲面部10a,10bとの線接触および湾曲度によって、これらの湾曲面部3a,3bおよび10a,10bが相互に一方が他方に対し食い込むような楔効果を呈するため、上記線接触にも拘らず、側溝蓋8は側溝躯体1内において全くがたつきを生じることがなく、騒音公害の発生を確実に回避することができる」ものである。 また、甲2発明の「蓋湾曲部10a,10b」と「湾曲面部3a,3b」の「下端Pにて線接触するようにして支持され」た部分が、「側溝蓋8」に積載荷重がかかったときにどのように変化するかについて記載されておらず、他の甲号証の記載や技術常識からみて自明ともいえない。 また、甲2発明は、「側溝蓋8を側溝躯体1に嵌挿すると、その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが」、「これの曲率半径より大きい曲率半径」で「湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3bに下端Pにて線接触するようにして支持され」る構成を有るものであり、それにより所定の機能をなすものである以上、曲率半径を等しくするように変更することに阻害要因があるといえる。 そうすると、甲2発明は、本件特許発明1の構成の技術的意味として示したような、荷重がかかった際に「側溝躯体1および側溝蓋8」が広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができるものでなく、甲2発明において「側溝蓋2」に積載荷重が加わった際の側溝の挙動を示唆する記載もなく、積載荷重が加わった際の挙動を考慮して変更を行うことが自明ともいえないから、甲2発明の「湾曲面部3aと蓋湾曲面部10a,10bとの線接触および湾曲度」について変更を行う動機があるとはいえない。 (c) 請求人が主張する刊行物について 請求人が主張する刊行物である甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48は、側溝において、蓋と側溝本体とに曲面を設けるものであるが、相違点2Aに係る本件特許発明1の構成を有するものではなく、「蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり」、「蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができる」もの、すなわち、積載荷重がかかると線接触していた蓋と本体が面接触となるように変更を加えることを示唆するものではない。 よって、甲2発明に甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術を適用しても、相違点2Aに係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (d) 相違点2Aに係る本件特許発明1の構成による効果について 相違点2Aに係る本件特許発明1の構成により、次の格別の効果を奏するものである。 ・ 本体接面部及び蓋接面部の曲率半径を11~25mmに小さくすると、蓋掛かりの幅を小さくすることができるので、蓋の幅を小さくできると共に、側溝の側板部又は桝の周壁の外面をフラットにすることができること。 ・ 接面部の曲率半径を小さくすると、蓋接面部が低い位置となるので、蓋の強度が向上し、蓋の厚さtを薄くしても、十分な強度を保つことができ、蓋を薄くできると共に、これに伴って本体の高さを低くすることができること。 ・ 蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生じず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができること。 c 請求人の主張について (a) 甲2発明に係る請求人の主な主張について 請求人は、甲2発明について、請求書及び要領書において次の主張をしている。 主張1:「本件特許発明【図4】は、リボーン側溝工業会で配布された甲第2号証発明【図3】及び実施図面(甲第12号証4枚目)を引用し、明細書も引用している故に一致しており、甲第2号証発明の記載事項を、本件特許発明1に適用することは、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に推考しえるものである。」(請求書27頁1~5行) 主張2:「甲第2号証発明【請求項1】に対し、本件特許発明【図4】は、著しく、合致しているとおり、相違点はない。 (4)本件特許発明【請求項1】に対し、甲第2号証発明【図3】、及び、その実施図面(甲第12号証4枚目)に照らす 【請求項1】 分説 A)蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体と(○1)、 B)前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋(○2)とからなり、 C)前記本体接面部が水平部分を有しない(○3)側溝において、前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、 (甲2実施図面 26mm-1.5mm=24.5mm)(○4) D)前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しく(○5)するとともに、(50Rと50R) E)前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている(○6) ことを特徴とする側溝。 [図:0001430499000048.jpg] 前述(3)及び(4)、並びに、下記の(5)のとおり、本件特許発明は甲第2号証発明を引用していることは明らかである。 審判において、出願時に「最初に添付された明細書及び図面」で判断することが規定のはずである。ましてや、特許庁発行の甲第2号証の刊行物である。これに反し、「構成C」「構成D」「構成E」が記載されていないとの文字だけを見て、排除る行為は、誤審の原因(通知書2頁)である。 (5)本件特許発明【図4】を甲第2号証発明【図3】に照らして対比 照合1 本件特許発明【図4】と甲2発明【図3】の対比(請求書26頁) [図:0001430499000049.jpg] 照合2 本件特許発明【図2】(左)と甲第2号証発明【図1】(右)の対比 [図:0001430499000050.jpg] 照合1は、本件特許発明【0018】「跳ね上がりを防止する突起部9」が、甲第2号証発明【0020】11a 蓋下部垂直面部(本件特許発明「突起部9」に著しく一致し、照合2は、本件特許発明【0006】「側板部の外面をフラット」が、甲第2号証発明の側溝の「側板部の外面をフラット」にした外郭形状に著しく一致しており、蓋突起と外面フラットに、相違点はない。 照合3 本件特許発明【図4】(左)と甲第2号証発明の実施図面(右)の対比(請求書27頁) [図:0001430499000051.jpg] 甲第2号証発明(考案)は物品であり(実用新案法第二条3項「物品」)、その考案の実施が、甲第12号証2~4枚目図面であることは、前記で主張したとおりである。 照合3は、甲第2号証発明の実施形態の、甲第12号証4枚目の図面(株式会社ウチコン様と記載のもの)であり、「構成C」、「構成D」、「構成E」が構成されており、「曲率中心が相互に離れている」ことの側溝構造まで、開示されて実施されていることを示している。」(要領書23頁下から2行~26頁9行) (b) 甲2発明に係る請求人の主な主張についての検討 前記主張2は主張1を包含するものであるので、まとめて検討する。 主張2の照合1~3について主張する点については、甲2に記載された事項からみて、前記1(1)イに示した甲2発明を認定することができ、前記(ア)に示した、本件特許発明1と甲2発明との対比のとおり理解することができるものであり、請求人が主張する対比を採用することはできない。 そして、前記b(b)に示したとおり、甲2発明は、「側溝蓋8を側溝躯体1に嵌挿すると、その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが、これの湾曲(曲率)度より小さい湾曲度で湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3bに下端Pにて線接触するようにして支持され」る構成を有しており、「湾曲(曲率)度」が「曲率半径」の逆数という関係であるという技術常識から、「側溝蓋8を側溝躯体1に嵌挿すると、その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが」、「これの曲湾半径より大きい曲率半径」で「湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3bに下端Pにて線接触するようにして支持され」る構成を有するものである。 甲2発明の上記構成が有する機能・効果からみて、蓋と側溝本体の曲率半径を同じとした甲12を、甲2発明の実施形態ということができず、甲12に記載されている事項が甲2に記載されていることを前提とした請求人の上記主張は、採用することができない。 また、甲2発明における上記構成は、前記b(a)に示したように、本件特許発明1の「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れていること」の技術的意味からみて、前記相違点2Aに係る本件特許発明1の構成とは、異なる機能・効果を有する構成である。 そして、相違点2Aに係る本件特許発明1の構成の技術的意味(前記b(a)参照)を考えると、甲2に前記技術的意味を有する記載も示唆もない以上、甲2発明において、曲率半径や曲率中心の間隔を本件特許発明1の構成のように設計することは、当業者の通常の創作活動の範囲を超えることになる。また、そのように設計できるような技術が記載された文献が他の甲号証にあるともいえない。 よって、前記主張1及び2は、前記の判断を左右するものでなく、採用できない。 (ウ) 新規性についての小括 前記(イ)に示したとおり、相違点2Aは実質的な相違点であるから、本件特許発明1は、甲2発明でない。 (エ) 進歩性についての小括 前記(ア)及び(イ)から、本件特許発明1は、甲2発明、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 イ 本件特許発明2について 本件特許発明2は、本件特許発明1の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであるところ、本件特許発明1について前記アに示したとおりであるから、本件特許発明2は、甲2発明でなく、甲2発明、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 ウ 本件特許発明3について (ア) 対比 本件特許発明1と甲2発明との対比を踏まえ、本件特許発明3と甲2発明を対比すると、本件特許発明3と甲2発明とは相違点1A及び相違点2Aに加え、次の相違点3Aで相違し、その余の点で一致する。 <相違点3A> 本件特許発明3は、「筒状の本体と蓋とからな」る「桝」であるのに対し、甲2発明は、「側溝躯体1」と「側溝蓋8」とからなる「側溝構造」である点。 (イ) 検討・判断 a 相違点3Aについて 相違点3Aについて検討するに、側溝構造と類似の構成で枡を設計することは技術常識であるから、甲2発明に技術常識を適用し、相違点3Aに係る本件特許発明3の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 b 相違点1A及び2Aについて 相違点1A及び相違点2Aについて、前記アに示したとおりである。 (ウ) 本件特許発明3についての小括 本件特許発明3は、甲2発明でなく、甲2発明、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 エ 本件特許発明4について 本件特許発明4は、本件特許発明3の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであるところ、本件特許発明3について前記ウに示したとおりであるから、本件特許発明4は、甲2発明でなく、甲2発明、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 オ 無効理由1の小括 前記ア~エに示したとおりであるので、本件特許発明1~4のそれぞれは、甲2発明でなく、甲2発明、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (3) 無効理由2(甲2に記載された発明に係る公然実施物に基づく新規性及び進歩性の欠如)について 請求人は、甲12~16を甲2に記載された発明に係る公然実施物を示す旨の主張を行っているので、以下、これらの甲号証について検討する。 ア 甲12について (ア) 甲12に記載された側溝が、公然実施されたといえるかについて 甲12は、平成8年4月8日付けで作成された「リボーン側溝工業会準備委員会 第一回会議」と記載された文書であるところ、会議において、添付された図面がどのように用いられたかは不明であり、甲12の記載をもって、甲12に記載された図面の側溝が実施されたことを示すものとは認められない。 また、甲13は、添付された図面の側溝を用いて「工事名 市道2453号線側溝整備工事」を行うための材料承認願について公開することを回答した回答書であるが、甲13は、「株式会社ウチコン」と番号「S003-023」と記載された側溝本体の図面、及び「株式会社ウチコン」と番号「S004-001」と記載された側溝蓋の図面があるのみであり、甲12に記載された各図面といくつかの寸法に差があることが認められることから、甲13は甲12に記載された図面の側溝が実施されたことを裏付ける関係にあるとはいえない。 また、他の各甲号証を総合しても甲12の図面の側溝が、図面どおりに製造され、実施されていると推認することもできない。 (イ) 甲12に記載された側溝が公然実施されたとした場合についての検討 仮に、甲12に記載された側溝が実施されたものとして検討すると次のとおりである。 a 公然実施発明について 甲12記載事項から、甲12には次の発明が記載されている(以下「甲12公然実施発明」でいう。)。 <甲12公然実施発明> 「蓋の厚さが100mmである側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分に、それぞれの曲率半径が50mmである部分を有し、蓋と側溝本体の曲面部は下方の位置で接し、側溝本体の曲面部に水平な部分がないものであり、蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置のずれが水平方向で5mm、垂直方向で2.5mmである側溝。」 ここで、甲12公然実施発明は「蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分に、それぞれの曲率半径が50mmである部分を有」するから、甲2発明の「側溝蓋8を側溝躯体1に嵌挿すると、その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが、これの湾曲(曲率)度より小さい湾曲度で湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3bに下端Pにて線接触するようにして支持され」るものでなく、甲2発明とは異なる構成を有するから、甲2発明に係る実施物とはいえない。 b 甲12公然実施発明に基づく新規性及び進歩性の欠如について 請求人が、甲12公然実施発明に基づく新規性及び進歩性の欠如についても主張しているとして、以下検討する。 (a) 対比 本件特許発明1と甲12公然実施発明を対比する。 甲12公然実施発明の「凹の曲面部」を有する「側溝本体」及び「凸の曲面部」を有する「蓋」のそれぞれは、「蓋と側溝本体の曲面部は下方の位置で接」するから、本件特許発明1の「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体」及び「前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋」に相当する。 次に、甲12公然実施発明の「側溝本体の曲面部に水平な部分がない」ことは、本件特許発明1の「前記本体接面部が水平部分を有しない」ことに相当する。 そして、甲12公然実施発明の「蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分に、それぞれの曲率半径が50mmである部分を有」することは、本件特許発明1の「前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくする」ことに相当する。 また、本件特許発明1の「前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ことと、甲12公然実施発明の「蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置のずれが水平方向で5mm、垂直方向で2.5mmである」ことは、「前記両接面部の曲率中心が相互に離れている」点で一致する。 そうすると、本件特許発明1と甲12公然実施発明は、次の一致点Bで一致し、相違点1B及び相違点2Bで相違する。 <一致点B> 「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体と、前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋とからなり、前記本体接面部が水平部分を有しない側溝において、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に離れている側溝。」 <相違点1B> 本件特許発明1が、「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」のに対し、甲12公然実施発明は「蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分に、それぞれの曲率半径が50mmである部分を有し」、「蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置のずれが水平方向で5mm、垂直方向で2.5mmである」点。 (b) 検討・判断 相違点1Bについて検討するに、本件の明細書の発明の詳細な説明の段落【0010】~【0013】の記載(前記(2)ア(イ)b(a)参照)からみて、本件特許発明1は、「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mm」であり、「本体接面部の曲率半径と蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ように構成することで、蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生ず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができるものである。 これに対して、甲12公然実施発明の「蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置のずれが水平方向で5mm、垂直方向で2.5mmである」ことから、蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心が5.59mm(52+2.52の平方根)離れており、曲率半径及び曲率中心の位置のずれ量の両者が本件特許発明1とは異なっていることが理解できる。 そして、甲12公然実施発明の「蓋及び側溝本体の曲面部の同様の部分に、それぞれの曲率半径が50mmである部分を有し」、「蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置のずれが水平方向で5mm、垂直方向で2.5mmである」構成が、蓋に積載荷重がかかったときに、蓋と側溝本体がどのような接触関係となるかについて、図面から看取することができず、他の甲号証の記載や技術常識からみて自明ともいえない。 また、他の甲号証において、甲12公然実施発明を、「蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生ず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができる」ように変更することを示すものがない。 よって、甲12公然実施発明は、本件特許発明1の相違点1Bに係る構成の技術的意味として示したような、荷重がかかった際に「蓋」と「側溝本体」とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができるものとはいえず、他の甲号証の記載や技術常識から自明ともいえないから、甲12公然実施発明の「蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分」の「曲率半径」と「蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置のずれ」の数値を、前記技術的意味を有するような数値に変更する動機があるとはいえない。 そして、他の甲号証に「蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり」、「蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができる」もの、すなわち、積載荷重がかかると線接触していた蓋と本体が面接触となる構成について、記載されておらず、甲12公然実施発明に適用して上記相違点1Bに係る本件特許発明1の構成とすることが示唆されるものではない。 よって、甲12公然実施発明に甲2、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術を適用して、相違点1Bに係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (c) 請求人の主張について (c-1) 甲12に基づく甲2発明の実施に係る請求人の主な主張についての検討 請求人は、甲12について、請求書及び要領書において前記(2)ア(イ)cに示した主張1及び2を主張している。 (c-2) 甲2発明に係る請求人の主な主張についての検討 請求人が主張する前記主張1及び2は、甲12に添付された図面を甲2発明に係る実施図面とすることに依拠したものであるところ、前記aに示したとおり、甲12に添付された図面を甲2発明に係る実施物ということはできないから、前記請求人の主張は採用することはできない。 そして、甲12の図面からは、甲12の図面に記載された事項と作図の技術常識からみて、前記aに示した甲12公然実施発明を認定することができるところ、本件特許発明1と甲12公然実施発明との対比は前記(a)に示したとおりであり、相違点の判断については、前記(b)に示したとおりである。 よって、請求人の前記主張1及び2は、前記の判断を左右するものでない。 c よって、甲12に記載された事項は、公然実施されたものでなく、仮に甲12公然実施発明を認定し得るとしても、本件特許発明1は、甲12公然実施発明でなく、甲12公然実施発明及び甲2、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 d 本件特許発明2は、本件特許発明1の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであり、本件特許発明3及び本件特許発明4のそれぞれは、本件特許発明1及び本件特許発明2の「側溝」を「筒状の本体と蓋とからな」る「桝」としたものである。 そうすると、本件特許発明1について、cに示したとおりであるから、本件特許発明2~4は、甲12公然実施発明でなく、甲12公然実施発明及び甲2、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 イ 甲13及び甲14について (ア) 甲13及び甲14に記載されている発明が、公然実施されたといえるかについて 甲13は、平成11年2月2日付けの公文書任意的公開回答書であり、「材料承認願書」について任意的公開の申出のあった公文書を公開するとしたものであるところ、添付された「材料承認願書」は、北本市役所土木課による平成9年3月10日付け受付印が押印され、「下記工事に使用する材料について、別添書類を添えましたので、承認下さるようお願いします。」、及び、 「1 工事名 市道2453号線側溝整備工事 2 工事場所 北本市 中丸1丁目地内 ・・・(略)・・・ 5 材料一覧表 別紙のとおり」との記載とともに、図面が添付されているが、材料一覧表が添付されていない。 一方、承認されたか否かについて甲13に記載はないが、公文書として保存されているものであり、当該願書が承認されていない場合には承認しない旨の記載がされるのが通常であるところ、そのような記載がないことから、承認された蓋然性が高く、平成9年頃に図面の側溝を用いて実施されたことが推認できる。 なお、申立人は、審判請求書において、甲14は、甲13の実施を示す旨主張しているが、甲14の写真の側溝の型式番号等の記載や寸法等も不明であるため、甲13に基づいて実施された側溝及び蓋が甲14の写真の構造を有することについては、証拠が示されていないものと認められる。 よって、以下では、甲13に記載された側溝が公然実施されたものとして検討する。 (イ) 甲13公然実施発明について a 甲13記載事項から、甲13には次の発明が記載されている(以下「甲13公然実施発明」でいう。)。 <甲13公然実施発明> 「蓋の厚さが100mmである側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部を有する側溝。」 b 甲13公然実施発明は、「蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部」のそれぞれの曲率半径の大きさ、及び、相互の長さの大小関係や曲率中心の位置関係が不明であるから、少なくとも甲2発明の「側溝蓋8を側溝躯体1に嵌挿すると、その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが、これの湾曲(曲率)度より小さい湾曲度で湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3bに下端Pにて線接触するようにして支持され」る点を満たすといえず、甲2発明の実施物とはいえない。 c しかしながら、請求人が、甲13公然実施発明に基づく新規性及び進歩性の欠如について主張しているとして以下検討する。 (a) 本件特許発明1について 本件特許発明1と甲13公然実施発明を対比すると、少なくとも、次の点で相違する。 <相違点1C> 本件特許発明1が、「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」のに対し、甲13公然実施発明は、「蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部」のそれぞれの曲率半径の大きさ、及び、相互の長さの大小関係や曲率中心の位置関係が不明である点。 相違点1Cについて検討するに、甲13公然実施発明は、前記(2)ア(イ)bに示した甲2発明との相違点2Aに係る本件特許発明1の構成のように荷重に応じて線接触又は面接触するようにするための構成を有するものでなく、甲13にそのような構成とすることを示唆する記載等もなく、他の甲号証を参酌してもそのような構成とする動機もなく、仮に他の甲号証を適用し得たとしても、甲13公然実施発明における曲率半径及びその曲率中心の位置のずれを相違点1Cに係る本件特許発明1の構成のように、当業者が設計し得たものとまではいえない。 そうすると。本件特許発明1は、甲13公然実施発明でなく、甲13公然実施発明及び甲2、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (b) 本件特許発明2~4について 本件特許発明2~4のそれぞれと甲13公然実施発明を対比すると、前記(2)イ~エに示したのと同様に、本件特許発明1との相違点1Cと同じ相違点を有するから、本件特許発明2~4は、甲13公然実施発明でなく、甲13公然実施発明及び甲2、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 ウ 甲15及び甲16について (ア) 甲15及び甲16に記載されている発明が、公然実施されたといえるかについて 甲15の1及び甲15の2は、同一パンフレットの表裏面のものであると認められ、甲15の2からみて、株式会社ウチコン、株式会社大沢コンクリート工業及び櫻コンクリート株式会社により作成されたものと解することができる。そして甲16には、甲15の2に記載された「特徴」の記載に相当する製品特長が記載された株式会社ウチコンの側溝の紹介記事が記載されているが、甲15の1及び甲15の2の商品と同一か否かについては不明である。また、仮に関係する物としても、甲16の記載事項により甲15の1及び甲15の2に新たな技術的事項を付加するものとはいえない。 一方、甲15の1に「これが噂の消音側溝&消音蓋 NHK総合テレビ(H7.10/20)で紹介されています。」と記載されているから、甲15の2の図面のものが平成7年10月20日以前に実施されていたものと解することができるので、甲15の1及び甲15の2をもとに検討する。 (イ) 甲15公然実施発明について a 甲15記載事項から、甲15の1及び甲15の2には次の発明が記載されている(以下「甲15公然実施発明」という。)。 <甲15公然実施発明> 「側溝において、蓋と凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部を有し、両曲面部が互いに接触し、蓋と側溝本体の曲面部の同様の部分の曲率半径が5であり、 曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量も分散され、音の発生を未然に防ぐ、 側溝。」 b 甲15公然実施発明は、「蓋と側溝本体の曲面の同様の部分の曲率半径が5」であるから、甲2発明の「その側溝蓋8の蓋湾曲面部10a,10bが、これの湾曲(曲率)度より小さい湾曲度で湾曲する側溝躯体1の湾曲面部3a,3b」であることを満たさないから、甲2発明に係る実施物とはいえない。 c しかしながら、請求人が、甲15公然実施発明に基づく新規性及び進歩性の欠如を主張しているとして、以下検討する。 (a) 本件特許発明1について 本件特許発明1と甲15公然実施発明を対比する。 甲15公然実施発明の「凹の曲面部」を有する「側溝本体」及び「凸の曲面部」を有する「蓋」のそれぞれは、「両曲面部が互いに接触」するから、本件特許発明1の「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体」及び「前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋」に相当する。 そして、甲15公然実施発明の「蓋と側溝本体の曲面の同様の部分の曲率半径が5」であることは、本件特許発明1の「前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくする」ことに相当する。 そうすると、本件特許発明1と甲15公然実施発明は、次の一致点Dで一致し、相違点1D及び相違点2Dで相違する。 <一致点D> 「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体と、前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋とからなる側溝において、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくした側溝。」 <相違点1D> 本件特許発明1の「本体接面部」が「水平部分を有しない」のに対し、甲15公然実施発明の「側溝本体の凹の曲面部」はそのような特定がされていない点。 <相違点2D> 本件特許発明1は「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」のに対し、甲15公然実施発明は、「蓋と側溝本体の曲面部の同様の部分の曲率半径が5」であり、「曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量も分散され、音の発生を未然に防ぐ」ものであるが、「蓋と側溝本体の曲面部の同様の部分の曲率半径」における曲率中心の位置関係が特定されていない点。 事案に鑑み、相違点2Dから検討する。 甲15公然実施発明は、「蓋と側溝本体の曲面部の同様の部分の曲率半径が5」であるから、「曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量も分散され、音の発生を未然に防ぐ」機能からみて、「蓋と側溝本体の曲面部の同様の部分の曲率半径」のそれぞれの曲率中心で同じ位置にあると仮定すると、互いの曲面が「面接触」するというのが幾何学的常識であるから、公然実施発明の「蓋と側溝本体の曲面部の同様の部分の曲率半径」の曲率中心は相互に離れているものと解することができる。 一方、前記(2)ア(イ)b(a)に示したとおり、本件特許発明1は、「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ように構成することで、蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生ず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができるものである。 しかしながら、甲15公然実施発明は、「曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量も分散され、音の発生を未然に防ぐ」ものであるが、「蓋」に積載荷重がかかったときに「蓋」及び「側溝本体」が広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができるものでなく、甲15にそのようなことを示唆する記載もないから、それに基づき、曲率半径や曲率中心の位置関係を設計することの動機があるとはいえない。 そうすると、甲15公然実施発明は、相違点2Dに係る本件特許発明1の構成と同様の機能を有する構成を有しておらず、他の甲号証によっても、相違点2Dに係る本件特許発明1の構成とする動機を示すものもなく、他の甲号証において、「蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生ず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができる」ことを示すものがない。 したがって、相違点1Dを検討するまでもなく、前記(2)ア(イ)に示したのと同様に、本件特許発明1は、甲15公然実施発明でなく、甲15公然実施発明及び、甲2、甲9、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 c よって、本件特許発明1は、甲15公然実施発明でなく、甲15公然実施発明及び甲2、甲9、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 d 本件特許発明2は、本件特許発明1の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであり、本件特許発明3及び本件特許発明4のそれぞれは、本件特許発明1及び本件特許発明2の「側溝」を「「筒状の本体と蓋とからな」る「桝」としたものである。 そうすると、本件特許発明1についてcに示したとおりであるから、本件特許発明2~4は、甲15公然実施発明でなく、甲15公然実施発明及び甲2、甲9、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 エ 無効理由2についての小括 前記ア~ウに示したとおりであるので、本件特許発明1~4は、甲2に記載された発明による公然実施物でなく、甲2に記載された発明による実施物と主張される甲12公然実施発明、甲13公然実施発明及び甲15公然実施発明のいずれでもない。 そして、本件特許発明1~4は、甲2に記載された発明による公然実施物、並びに、甲2に記載された発明による実施物と主張される甲12公然実施発明、甲13公然実施発明及び甲15公然実施発明のいずれかと、甲2、甲9、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (4) 無効理由3(甲2に記載された発明により公然知られた発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)について 請求人が主張する甲2に記載された発明、及び、甲2に記載された発明により公然実施された各発明のそれぞれは、前記(2)及び(3)で検討したとおり、本件特許発明1~4と相違点を有するものであり、その相違点について、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 そうすると、これらの発明により公然知られた発明についても、これらの発明の技術的事項を超えるものでないから、前記(2)及び(3)と同様に、本件特許発明1~4は、甲2に記載された発明により公然知られた発明でなく、甲2に記載された発明により公然知られた発明及び甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (5) 無効理由4(甲3に記載された発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)について ア 本件特許発明1について (ア) 対比 本件特許発明1と甲3発明を対比する。 a 甲3発明の「側溝2」及び「側溝蓋1」のそれぞれは、本件特許発明1の「側溝本体」、「蓋」に相当する。 b 甲3発明の「接面部a5」は、「側溝蓋1」に「全面にわたって曲面に成形加工された」ものであるから、本件特許発明1の「蓋接面部」に相当し、甲3発明の「接面部b6」は、「側溝2」に「全面にわたって前記側溝蓋1の接面部a5の曲面に対して幾何学的に相似な曲面に成形加工された」ものであるから、本件特許発明1の「本体接面部」に相当する。 c 甲3発明は、「接面部a5は凸の曲面であり、接面部b6は凹の曲面」である。そして、甲3発明は、「前記側溝蓋1と側溝2との密着性を高め、前記側溝蓋1にかかる垂直荷重が前記側溝蓋1及び側溝2の接面部a5,b6を介して分散されて側溝2に伝達される」ものであるから、「接面部a5」と「接面部b6」は接するものである。 そして、前記a及びbを踏まえると、甲3発明の「側溝2」及び「側溝蓋1」のそれぞれは、本件特許発明1「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体」及び「前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋」に相当する。 d 甲3発明は、「前記側溝蓋1の接面部a5に対応する接面部b6が全面にわたって前記側溝蓋1の接面部a5の曲面に対して幾何学的に相似な曲面に成形加工された」ものであり、「側溝蓋の接面部と側溝の接面部が曲面で密着することにより車両等の通過騒音を解消し、側溝蓋と側溝の接触面積が広くなり安定性が増すものであり、側溝蓋に垂直加重がかかった場合、接触面が曲面であるために、力線が分散され、側溝蓋にかかる負担が軽減され耐用年数が延びるものであって、前記側溝蓋1と側溝2との密着性を高め、前記側溝蓋1にかかる垂直荷重が前記側溝蓋1及び側溝2の接面部a5,b6を介して分散されて側溝2に伝達される」ものであるから、「接面部a5」及び「接面部b6」は、相似関係にある各位置において、同一の曲率半径を有するものである。 そうすると、甲3発明の「接面部a5」及び「接面部b6」は、本件特許発明1の「前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくする」ことに相当する構成を有する。 e 甲3発明の「騒音の発生しない側溝」は、「側溝2」及び「側溝蓋1」を有するから、本件特許発明1の「側溝」に相当する。 よって、本件特許発明1と甲3発明は、次の一致点Eで一致し、相違点1E及び相違点2Eで相違する。 <一致点E> 「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体と、前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋とからなり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくする側溝。」 <相違点1E> 本件特許発明1の「本体接面部」が「水平部分を有しない」のに対し、甲3発明の「接面部b6」はそのような特定がされていない点。 <相違点2E> 本件特許発明1は「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり」、「前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」のに対し、甲3発明は、「幾何学的に相似した曲面を持った側溝蓋1と側溝2を設置すると、両者は側溝蓋1の自重により密着するもの」であって、「接面部a5」及び「接面部b6」の曲率半径の大きさが特定されておらず、それぞれの曲率中心の位置関係が特定されていない点。 (イ) 検討・判断 a 相違点2Eについて 事案に鑑み、相違点2Eから検討する。 (a) 本件特許発明1の「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり」、「前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ことの技術的意味について 本件の明細書の発明の詳細な説明の段落【0010】~【0013】の記載(前記(2)ア(イ)b(a)参照)からみて、本件特許発明1は、「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり」、「前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ように構成することで、蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生ず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができるものである。 (b) 甲3発明における相違点2Eの構成を変更する動機付けについて 甲3発明の「接面部a5」及び「接面部b6」は、「幾何学的に相似した曲面を持った側溝蓋1と側溝2を設置すると、両者は側溝蓋1の自重により密着するもの」であって、「側溝蓋の接面部と側溝の接面部が曲面で密着することにより車両等の通過騒音を解消し、側溝蓋と側溝の接触面積が広くなり安定性が増すものであり、側溝蓋に垂直加重がかかった場合、接触面が曲面であるために、力線が分散され、側溝蓋にかかる負担が軽減され耐用年数が延びるものであって、前記側溝蓋1と側溝2との密着性を高め、前記側溝蓋1にかかる垂直荷重が前記側溝蓋1及び側溝2の接面部a5,b6を介して分散されて側溝2に伝達される」ものであるから、甲3発明は、「接面部a5」及び「接面部b6」は、設置時に、密着性が高く、面接触した状態とするものである。 そして、甲3発明の「接面部a5」と「接面部b6」は、「幾何学的に相似な曲面に成形加工」されたものであって、同一の曲率半径を有するものであるから、甲3発明の「接面部a5」と「接面部b6」のそれぞれの曲率中心の位置が一致しない限り、「前記側溝蓋1と側溝2との密着性を高め、前記側溝蓋1にかかる垂直荷重が前記側溝蓋1及び側溝2の接面部a5,b6を介して分散されて側溝2に伝達される」ものとはならないことは自明であるから、「それぞれの曲率中心の位置」を離すように設計する動機があるとはいえない。 よって、甲3発明は、「本体接面部の曲率半径と蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ように構成するようにして、「蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生」じないものではなく、そのように設計することを示唆する記載もない。 (c) 請求人が主張する刊行物の甲3発明への適用可能性について 請求人が主張する刊行物である甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48は、前記(2)ア(イ)b(c)に示したとおり、荷重に応じて線接触又は面接触するようにするための構成を示すものでなく、そのように構成することを示唆するものでもない。 よって、甲3発明に、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術を適用しても、相違点2Eに係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (d) 相違点2Eに係る本件特許発明1の構成による効果について そして、相違点2Eに係る本件特許発明1の構成により、前記(2)ア(イ)b(d)に示した格別の効果を奏するものである。 (ウ) 新規性についての小括 前記bに示したとおり、相違点2Eは実質的な相違点であるから、本件特許発明1は、甲3発明でない。 (エ) 進歩性についての小括 相違点1Eを検討するまでもなく、前記(ア)及び(イ)から、本件特許発明1は、甲3発明、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 イ 本件特許発明2について 本件特許発明2は、本件特許発明1の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであるところ、本件特許発明1について前記アに示したとおりであるから、本件特許発明2は、甲3発明でなく、甲3発明、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 ウ 本件特許発明3について (ア) 対比 本件特許発明3と甲3発明を対比すると、本件特許発明3は相違点1E、2Eに加え、次の相違点3Eで相違し、その余の点で一致する。 <相違点3E> 本件特許発明3は、「筒状の本体と蓋とからな」る「桝」であるのに対し、甲3発明は、「側溝2」と「側溝蓋1」とからなる「騒音を発生しない側溝」である点。 (イ) 検討・判断 a 相違点3Eについて 相違点3Eについて検討するに、側溝構造と類似の構成で枡を設計することは技術常識であるから、甲3発明に技術常識を適用し、相違点3Eに係る本件特許発明3の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 b 相違点1E及び2Eについて 相違点1E及び2Eについて、前記アに示したとおりである。 (ウ) 本件特許発明3についての小括 本件特許発明3は、甲3発明でなく、甲3発明、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 エ 本件特許発明4について 本件特許発明4は、本件特許発明3の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであるところ、本件特許発明3について前記ウに示したとおりであるから、本件特許発明4は、甲3発明でなく、甲3発明、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 オ 無効理由4の小括 前記ア~エに示したとおりであるので、本件特許発明1~4のそれぞれは、甲3発明でなく、甲3発明、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (6) 無効理由5(甲3に記載された発明による公然実施物に基づく新規性及び進歩性の欠如)について 請求人は、甲第3号証の発明に係る実施物を示す証拠は、甲第4~8、10、11、17~30号証であると主張しているが、これらの甲号証は、同一の実施物を示すものとまでいえないから、以下では、これらの甲号証のうち、関係のある甲号証をまとめて検討する。 ア 甲4~8について 甲4は「側溝用溝ぶた」、甲5は「側溝用ブロック」、甲6は「側溝用ブロック」の図面が記載されており、それぞれの意匠公報の意匠の創作者及び意匠権者は、甲3の特許権者及び発明者と同一である。 しかしながら、同一の特許権者及び発明者による意匠であることによって、甲4~6が甲3発明の側溝と同じものを示すものでなく、さらに、甲4~6の実施を示すものでもない。 また、甲7は登録商標である「リボーン側溝」、甲8は登録商標である「リボーン蓋」が記載され、それぞれの商標権者は、甲3の特許権者及び発明者と同一である。 しかしながら、甲3発明の側溝に対して付される商標との関係を示す証拠が示されておらず、甲3発明の実施を示すものとはいえない。 さらに、仮に甲4~8により、甲3発明の実施を認定し得るとしても(以下「甲3実施発明A」という。)、甲3実施発明Aは、甲3発明の構成を有するものとして認定し得るものであるから、前記(5)に示したのと同様に、本件特許発明1~4は、甲3実施発明Aでなく、甲3実施発明A、甲9、甲15、甲16、甲23、甲21、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 イ 甲10及び甲11について 甲10は、甲3の特許出願である特願平5-81050号「騒音の発生しない側溝」に関する独占的な実施、製造販売等を第一被請求人が行うことを第二被請求人が許可すること等について記載した技術提供契約書であり、甲11は、甲3の特許出願である特願平5-81050号「騒音の発生しない側溝」に関する独占的な実施、製造販売等を第三者が行うことを第二被請求人が許可すること等について記載された技術提供契約書である。 しかしながら、甲10及び甲11のみによって、甲10及び甲11の技術提供契約書に基づいて甲3に記載された発明が実施されたことを示すものとはいえない。 また、仮に甲10や甲11により甲3発明の実施を認定し得るとしても(以下「甲3実施発明B」という。)、甲3実施発明Bは、甲3発明の構成を有するものとして認定し得るものであるから、前記(5)に示したのと同様に、本件特許発明1~4は、甲3実施発明Bでなく、甲3実施発明B、並びに、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 ウ 甲17について (ア) 甲17の記載事項 甲17は、平成13年12月13日付けで、荒井コンクリート工業株式会社代表取締役が押印した証明書であり、平成8年1月12日付けの第二被請求人とのリボーン側溝技術提供契約に基づいて、株式会社プロックスにリボーン側溝型枠の製造の指示を出したこと、株式会社プロックスと宝工業株式会社との間に交わされたリボーン側溝型枠製造委託契約に基づき、平成8年5月29日、リボーン側溝型枠が宝工業株式会社から指示通り納品されたこと、及び、そのリボーン側溝型枠は現在もリボーン側溝の製造に利用していることが記載され、2つの図面が添付されている。 ここで、2つの図面に関し、前記1(15)イの図に「株式会社プロックス」の記載があり、前記1(15)ウの図に「宝工業株式会社」の名称、客名の欄に「荒井コンクリート工業(株)様」とそれぞれ記載されているのみであり、甲17の証明書に何れの図面に基づいて甲3に記載された発明が実施されたかについて記載がなく、また、甲17の図面自体が同証明書に添付されたものか否かも不明である。 そのため、証明書に記載された、製造されて納品されたという「リボーン側溝型枠」がどのようなものを示すものか、及び、甲3に記載された発明との関係についてまで証拠として示されているとはいえない。 よって、甲17によって、甲3に記載された発明が実施されたことを示すものとはいえない。 仮に、甲17の証明書における「リボーン側溝型枠が宝工業株式会社から指示通り納品された」ことに該当する図面が、その記載内容からみて、前記1(15)ウの図と推認できるとして、少なくとも平成13年12月13日には前記1(15)ウの図の側溝が製造され、実施されたと推認できるとしたとして、以下検討する。 (イ) 甲17公然実施発明について a 甲17記載事項から、甲17には次の発明が記載されている(以下「甲17公然実施発明」という。)。 <甲17公然実施発明> 「蓋の厚さが101mmである側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分において、蓋の凸の曲面部の曲率半径が45mm、側溝本体の凹の曲面部の曲率半径が50mmである部分を有し、 蓋と側溝本体の曲面部は下方の位置で接し、側溝本体の曲面部に水平な部分がないものであり、 蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置がずれている 側溝。」 b 甲17公然実施発明は「蓋の凸の曲面部の曲率半径が45mm、側溝本体の凹の曲面部の曲率半径が50mmである部分を有し、蓋と側溝本体の曲面部は下方の位置で接」するものであるから、甲3発明の「前記側溝蓋1の接面部a5に対応する接面部b6が全面にわたって前記側溝蓋1の接面部a5の曲面に対して幾何学的に相似な曲面に成形加工された側溝2」であって、「側溝蓋の接面部と側溝の接面部が曲面で密着することにより車両等の通過騒音を解消し、側溝蓋と側溝の接触面積が広くなり安定性が増すものであり、側溝蓋に垂直加重がかかった場合、接触面が曲面であるために、力線が分散され、側溝蓋にかかる負担が軽減され耐用年数が延びるものであって、前記側溝蓋1と側溝2との密着性を高め、前記側溝蓋1にかかる垂直荷重が前記側溝蓋1及び側溝2の接面部a5,b6を介して分散されて側溝2に伝達される」ことが、甲17の図面からは看取できないから、甲3発明に関する実施物とはいえない。 よって、甲17によって、甲3発明の実施を示すとはいえない。 c 請求人が、甲17公然実施発明に基づく新規性及び進歩性の欠如についても主張しているとして、以下検討する。 本件特許発明1と甲17公然実施発明を対比する。 甲17公然実施発明の「凹の曲面部」を有する「側溝本体」及び「凸の曲面部」を有する「蓋」のそれぞれは、「蓋と側溝本体の曲面部は下方の位置で接」するから、本件特許発明1の「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体」及び「前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋」に相当する。 また、甲17公然実施発明の「側溝本体の曲面部に水平な部分がない」ことは、本件特許発明1の「前記本体接面部が水平部分を有しない」ことに相当する。 本件特許発明1の「前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れていること」と、甲17公然実施発明の「蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置がずれている」ことは、「前記両接面部の曲率中心が相互に離れている」点で一致する。 そうすると、本件特許発明1と甲17公然実施発明は、次の一致点Fで一致し、相違点1Fで相違する。 <一致点F> 「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体と、前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋とからなり、前記本体接面部が水平部分を有しない側溝において、前記両接面部の曲率中心が相互に離れている側溝。」 <相違点1F> 本件特許発明1が、「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」のに対し、甲17公然実施発明は、「蓋の凸の曲面部の曲率半径が45mm、側溝本体の凹の曲面部の曲率半径が50mmである部分を有し」、「蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置がずれている」が、どの程度ずれているか不明である点。 相違点1Fは実質的な相違点であるから、本件特許発明1は、甲17公然実施発明でない。 また、相違点1Fについて検討するに、本件の明細書の発明の詳細な説明の段落【0010】~【0013】の記載(前記(2)ア(イ)b(a)参照)からみて、本件特許発明1は、「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ように構成することで、蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生ず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができるもの(以下、「本件特許発明の機能」という。)である。 しかしながら、甲17公然実施発明においては、蓋の側溝本体の曲面部の曲率半径が、相互に異なっているとともに、いずれも相違点1Fに特定される範囲から外れており、また、蓋に積載荷重がかかったときに、蓋と側溝本体がどのような接触関係となるかを図面から看取することができず、一義的に当該接触関係が定まるともいえない。 また、他の甲号証において、「蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生ず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができる」ように、甲17公然実施発明の「蓋の凸の曲面部の曲率半径」と「側溝本体の凹の曲面部の曲率半径」を等しくするとともに、さらに「曲率半径」の長さと「蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置」の離れている距離を変更して、前記「本件特許発明の機能」をなすような数値に設計することを動機付けたり、示唆するものもない。 d よって、甲17公然実施発明を認定し得るとしても、本件特許発明1は、甲17公然実施発明でなく、甲17公然実施発明、並びに、甲3、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 そして、本件特許発明2~4についても、甲17公然実施発明でなく、甲17公然実施発明、並びに、甲3、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 エ 甲18について (ア) 甲18の記載事項 甲18は、三国コンクリート工業株式会社から、プロックス宛てに平成8年4月1日付け及び同月16日付けでFAXで送付された文書であり、同月16日付けFAXで送付された文書の2~4枚目に図面が添付されているが、甲3との関係、及び、この図面のとおりの側溝が実際に製造、販売されたことを示す証拠が示されていないから、甲3に記載された発明の実施物として甲18に記載された図面が実施されたことを示すものとはいえない。 また、仮に甲18に記載された図面が実施されたこととして検討すると、前記1(16)オに示した甲18記載事項1及び甲18記載事項2のそれぞれから、次の2つの発明が認定される。 (以下、それぞれを「甲18公然実施発明1」「甲18公然実施発明2」という。)。 <甲18公然実施発明1> 「蓋の厚さが101mmである側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分において、蓋の凸の曲面部の曲率半径が45mm、側溝本体の凹の曲面部の曲率半径が50mmである部分を有し、 蓋と側溝本体の曲面部は下方の位置で接し、側溝本体の曲面部に水平な部分がないものであり、 蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心の位置がずれている 側溝。」 <甲18公然実施発明2> 「蓋の厚さが103.9mmである側溝において、蓋の凸の曲面部及び側溝本体の凹の曲面部の同様の部分において、蓋の凸の曲面部の曲率半径が50mm、側溝本体の凹の曲面部の曲率半径が54.5mmである部分を有する側溝。」 (イ) 甲18公然実施発明1について a 甲18公然実施発明1は、甲17公然実施発明と同じ構成を有するから、前記ウ(イ)bと同様に、甲3発明に関する実施物とはいえない。 よって、甲18によって、甲3発明の実施を示すとはいえない。 b また、甲18公然実施発明1を認定し得るとしても、本件特許発明1は、甲18公然実施発明1でなく、甲18公然実施発明1、並びに、甲3、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 そして、本件特許発明2~4についても、甲18実施発明でなく、甲18公然実施発明、並びに、甲3、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (ウ) 甲18公然実施発明2について a 前記ウ(イ)bと同様に、甲18公然実施発明2は、甲3発明の構成の一部を有さないから、甲3発明に関する実施物とはいえない。 b また、甲18公然実施発明2を認定し得るとして、本件特許発明1と甲18公然実施発明2を対比すると、少なくとも次の点で相違する。 <相違点1G> 本件特許発明1が、「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」のに対し、 甲18公然実施発明2は、「蓋の凸の曲面部の曲率半径が50mm、側溝本体の凹の曲面部の曲率半径が54.5mmである部分を有」し、「蓋」と「側溝本体」の曲面部の曲率中心の位置関係が特定されていない点。 相違点1Gについて検討するに、前記ウ(イ)cに示したのと同様に、甲18公然実施発明2においては、蓋の側溝本体の曲面部の曲率半径が、相互に異なっているとともに、いずれも相違点1Fに特定される範囲から外れており、また、蓋に積載荷重がかかったときに、蓋と側溝本体がどのような接触関係となるかを図面から看取することができず、一義的に当該接触関係が定まるともいえない。 また、他の甲号証において、「蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生ず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができる」ように、甲18公然実施発明2の「蓋の凸の曲面部の曲率半径」と「側溝本体の凹の曲面部の曲率半径」を等しくするとともに、さらに「曲率半径」の長さと「蓋」と「側溝本体」の曲面部の曲率中心の離れている距離を変更して、前記「本件特許発明の機能」をなすような数値に設計することを動機付けたり、示唆するものもない。 よって、甲18公然実施発明2を認定し得るとしても、本件特許発明1は、甲18公然実施発明2でなく、甲18公然実施発明2、並びに、甲3、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 そして、本件特許発明2~4についても、甲18公然実施発明2でなく、甲18公然実施発明2、並びに、甲3、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 オ 甲19~30について (ア) 甲19~30の記載事項から導出されることについて a 甲19は、第一被請求人と第二被請求人間におけるリボーン側溝に係る改良製品(以下「RUG側溝」という。)についての契約事項が記載され、第九条に「「RUG側溝」の性能を維持するため,「RUG側溝」の型枠はトヨタ工機株式会社の製造したものを用いることとする。」と記載されている技術協力契約書である。 b 甲20は、設計1996年8月19日トヨタ工機株式会社と記載された設計図であり、「リボン側溝250B×250Hの製品図を送付いたします。よろしくご査収の程,お願い申し上げます。決定図とさせて頂きます。」と記載されている。 c 甲21は、株式会社テラコンの「リボーン側溝」のパンフレットであり、表紙に「特許第2514918号」の記載があり、「リボーン300側溝」、「リボーン400側溝」、「リボーン250側溝」についての図面が記載されている。そして、株式会社テラコンは、甲9に記載された「全国リボーン側溝工業会」の会員の欄に記載されている。 d 甲22は、技術提供契約書であり、甲3の特許第2514918号「騒音の発生しない側溝」であるリボーン側溝に使用する側溝蓋の代用品蓋としての集水蓋を株式会社ヤマウが製造、販売及び拡布することについての契約事項について記載された技術提供契約書である。 e 甲23は、株式会社ヤマウのパンフレットであり、「リボーン(騒音防止)側溝」及び「コンクリート蓋/レジン集水蓋」の図面が記載されている。 f 甲24は、福岡コンクリート製品協同組合のパンフレットであり、自由勾配側溝(リボーン側溝)の蓋及び側溝本体の図面が記載されている。 g 甲25は、福岡市大名町の敷設現場の現場立会い記録であり、「リボーン側溝(自由勾配型)とレジンコンクリート集水蓋」の写真が記載されている。 h 甲26は、平成14年11月12日に開催された全国リボーン側溝工業会の第4回定期総会議事録である。 i 甲27は、株式会社カンケンのパンフレットであり、リボーン側溝の写真とリボーン側溝用レジン集水蓋の図面が記載されている。しかしながら、前記写真のみから側溝本体と蓋の接触部の詳細な構造を看取することはできない。 j 甲28は、財団法人日本建築総合試験所試験研究センター センター長及び中央試験室長の氏名及び押印がされた「道路用側溝ふたの曲げ強度試験報告書」であり、レジンコンクリート製の道路用側溝ふた(製品名レジンコンクリート集水蓋RC300)1種類の曲げ強度試験結果が記載されている。 k 甲29は、甲3である特許第2514918号「騒音の発生しない側溝」であるリボーン側溝に使用する側溝蓋の代用品蓋としての集水蓋をインフラテック株式会社が製造、販売及び拡布することについての契約事項が記載された第二被請求人とインフラテック株式会社との間で署名された技術提供契約書である。 l 甲30は、インフラテック株式会社の「FRC製集水蓋版ファイコン」に関するパンフレットであり、リボーン側溝用の集水蓋版が記載されているものの、対応する側溝本体に関する記載はない。 m 前記a~lに示したとおり、甲19~30を総合すると、甲3の特許を使用したとされる「リボーン側溝」が、優先権主張の日前に複数の企業により製造、販売等の実施がされている事実を把握することができるが、各甲号証の側溝についての記載が必ずしも同じ実施品について示すものか不明な点がある。 一方、前記各甲号証において、側溝本体と側溝蓋との接続部分の詳細を看取できる図面が記載された甲号証は、甲20及び甲21であるが、甲20に記載された図面の側溝と、甲21に記載された「リボーン250側溝」は、蓋と側溝本体の接触面の拡大図についてみれば、甲21に記載の数値の一部が甲20には記載されていないものの、他の記載されている数値については同じである。 また、甲21の発行日が不明であるが、甲20に同型の側溝の設計図が1996年に作成されていることからみて、少なくとも優先権主張の日前にパンフレットが発行され、製造されていることが推認できるものとして、甲21に基づき甲3に記載された発明が実施されたかについて検討する。 (イ) 甲21公然実施発明について a 記載事項から、甲21には次の発明が記載されている(以下「甲21公然実施発明」という。)。 <甲21公然実施発明> 「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率半径が50mmであり、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率半径が50mmであり、側溝本体と蓋が接触する位置の曲面部が水平部分を有しない側溝であって、側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率中心と、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率中心が、水平方向に1mm及び垂直方向に1.7mmずれており、曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量を分散し、音の発生源をなくしている側溝。」 b 甲3発明は、「幾何学的に相似した曲面を持った側溝蓋1と側溝2を設置すると、両者は側溝蓋1の自重により密着するもの」である。一方、甲21公然実施発明の「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率中心と、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率中心が、水平方向に1mm及び垂直方向に1.7mmずれて」いることは、前記1(19)(オ)cに示したように、蓋と側溝本体とを設置した状態の図において、2つの曲面部の下端側に1mmの隙間があることに基づくものであるから、「設置すると」、「両者は蓋の自重により密着」するものではない。 よって、甲21公然実施発明は、甲3発明と異なる構成を有するから、甲3発明を実施したものとはいえない。 c 請求人が、甲21公然実施発明に基づく新規性及び進歩性の欠如についても主張しているとして、以下検討する。 (ウ) 本件特許発明1について a 対比 本件特許発明1と甲21公然実施発明を対比する。 (a) 甲21公然実施発明の「蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率半径が50mmであ」る「蓋」及び「側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率半径が50mmであ」る「側溝本体」のそれぞれは、「曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を曲線で受け」るように接するから、本件特許発明1の「前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋」及び「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体」に相当する。 (b) 甲21公然実施発明の「側溝本体と蓋が接触する位置の曲面部が水平部分を有しない」ことは、本件特許発明1の「前記本体接面部が水平部分を有しない」ことに相当する。 (c) 甲21公然実施発明の「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率半径が50mmであり、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率半径が50mmであ」ることは、本件特許発明1の「前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくする」ことに相当する。 (d) 甲21公然実施発明の「側溝」は、「側溝本体」及び「蓋」を有するから、本件特許発明1の「側溝」に相当する。 (e) 本件特許発明1の「前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ことと、甲21公然実施発明の「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率中心と、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率中心が、水平方向に1mm及び垂直方向に1.7mmずれて」いることは、「前記両接面部の曲率中心が相互に離れている」点で一致する。 よって、本件特許発明1と甲21公然実施発明は、次の一致点Hで一致し、相違点1Hで相違する。 <一致点H> 「蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体と、前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋とからなり、前記本体接面部が水平部分を有しない側溝において、前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくし、前記両接面部の曲率中心が相互に離れている側溝。」 <相違点1H> 本件特許発明1は「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり」、「前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」のに対し、甲21公然実施発明は、「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率半径」及び「蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率半径」がともに「50mm」であり、「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率中心と、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率中心が、水平方向に1mm及び垂直方向に1.7mmずれており、曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量を分散し、音の発生源をなくしている」点。 b 検討・判断 (a) 本件特許発明1の「前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、11~25mmであり」、「前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ことの技術的意味は、前記(5)ア(イ)b(a)に示したとおりである。 (b) そして、甲21公然実施発明の、「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率半径」及び「蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率半径」がともに「50mm」であること、及び、「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率中心と、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率中心が、水平方向に1mm及び垂直方向に1.7mmずれて」いることが、「曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量を分散し、音の発生源をなくしている」ことに関係するものと解することができる。 しかしながら、甲21公然実施発明の「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率中心と、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率中心が、水平方向に1mm及び垂直方向に1.7mmずれて」いることから、蓋と側溝本体の曲面部の曲率中心が1.97mm(12+1.72の平方根)離れており、曲率半径及び曲率中心の位置のずれ量の両者が本件特許発明1とは異なっていることが理解できる。 そして、甲21公然実施発明は、「曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量を分散し、音の発生源をなくしている」ものであるが、「曲面(R面)」であることと、「蓋の荷重を線で受け」ること、及び、「全体にかかる重量を分散」することとの関係について甲21に記載されておらず、図面から看取することができず、他の甲号証の記載等を援用しても理解することができるともいえない。 これらのことから総合すると、甲21公然実施発明の、「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率半径」及び「蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率半径」がともに「50mm」であり、「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率中心と、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率中心が、水平方向に1mm及び垂直方向に1.7mmずれており、曲面(R面)を採用することにより蓋の荷重を線で受け、全体にかかる重量を分散し、音の発生源をなくしている」構成は、蓋に積載荷重がかかったときに、蓋と側溝本体がどのような接触関係となるかについて、甲21から看取することができず、他の甲号証の記載や技術常識からみて自明ともいえない。 また、他の甲号証において、甲21公然実施発明を、「蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり、製造誤差によって接面部に多少の凹凸や歪みがあったとしても蓋のガタツキが生ず、蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができる」ように変更することを示すものがない。 (c) よって、甲21公然実施発明は、本件特許発明1の相違点1Hに係る構成の技術的意味として示したような、荷重がかかった際に「蓋」と「側溝本体」とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができるものとはいえず、他の甲号証の記載や技術常識から自明ともいえないから、甲21公然実施発明の、「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率半径」と「蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率半径」、及び、「側溝本体において蓋が接触する位置の凹の曲面部の曲率中心と、蓋において側溝本体が接触する位置の凸の曲面部の曲率中心」の「水平方向」と「垂直方向」のずれに係る数値を、前記技術的意味を有するような数値に変更する動機があるとはいえない。 そして、甲3のほか、請求人が主張する刊行物である甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に「蓋を装着したときは、蓋と本体の接触部分が線状の接触となり」、「蓋に積載荷重がかかると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、蓋接面部と本体接面部とが広い曲面で接触し、蓋と本体に過度の応力が生じることがなく、積載荷重に十分に耐えることができる」もの、すなわち、積載荷重がかかると線接触していた蓋と本体が面接触となる構成について、記載されておらず、甲21公然実施発明に適用して上記相違点1Hに係る本件特許発明1の構成とすることが示唆されるものではない。 よって、甲21公然実施発明に、甲3、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術を適用して、相違点1Bに係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (c) 相違点1Hに係る本件特許発明1の構成による効果について そして、相違点1Hに係る本件特許発明1の構成により、前記(2)ア(イ)b(d)に示した格別の効果を奏するものである。 (d) 請求人の主張について (d-1) 甲21に基づく甲3発明の実施に係る請求人の主な主張について 請求人は、甲21に基づく甲3発明の実施について、請求書において次の主張をしている。 主張3:「(2)甲第3号証発明(引用発明)は、以下のとおりである。 甲第3号証には、「曲率半径の数字」と「曲率中心の離れの数字」の記載はないが、甲第3号証の実施図面(甲第17号証、甲第18号証、甲第20号証、甲第21号証)、及び、甲第3号証の実施の刊行物(甲第21号証、甲第23号証、甲第24号証、甲第27号証)には、数字記載がある。 甲第3号証発明(引用発明)を、本件特許発明1に照らし分説すると、以下のとおり一致する。(甲第21号証カタログは甲第3号証発明の実施) A)蓋接面部と接する本体接面部が凹の曲面となっている側溝本体と、 (【図2】2側溝、6接面部b(凹の曲面)) (甲第21号証2頁 リボーン300A) B)前記本体接面部と接する蓋接面部が凸の曲面となっている蓋とからなり、 (【図3】1側溝蓋、5接面都a(凸の曲面)) (甲第21号証10頁) C)前記本体接面部が水平部分を有しない側溝において、前記本体接面部及び蓋接面部の曲率半径が、50mmであり、 (【図2】2側溝。前記本体接面部が水平部分を有しない側溝) (甲第21号証2頁、 11頁 リボーン300A) D)前記本体接面部の曲率半径と前記蓋接面部の曲率半径とを等しくするとともに、 (【図1】本体接面部(6接面部b)と前記蓋接面部(5接面部a)の曲率半径とを等しくした図) (甲第21号証11頁 リボーン300側溝) E)前記両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.7mm離れていることを特徴とする側溝。 (【図1】両接面部の曲率中心が相互に離れている) (甲第21号証11頁 リボーン300側溝。蓋図中央の蓋50Rと側溝 50Rの曲率中心が相互に0.5~1.7mm離れている。」(請求書28頁18行~29頁15行) 主張4:「エ 本件特許発明1と甲第3号証発明の実施の刊行物の対比 本件特許発明1「曲率中心が相互に離れている」ことで「広い面積で接触する」作用は、甲第3号証発明の実施物と同一であり、図面も酷似する。 本件特許発明の実施態様【図4】【図5】(左)と、甲第3号証発明の実施態様の甲第20号証、甲第21号証(右)の対比でも、双方は共通し、一致する。 ◎本体接面部と蓋接面部とが広い面積で接触する前の図の対比 [図:0001430499000052.jpg] ◎本体接面部と蓋接面都とが広い面積で接触した後の図の対比 [図:0001430499000053.jpg] 甲第3号証発明の実施図面(上記右図)の経緯は、以下のとおりである。 甲第20号証、甲第21号証の図面作成者:トヨタ工機株式会社 本体接面部と蓋接面部のlmmの隙間」(甲第21号証11頁)は、積載荷重前の接触前の状態であり、蓋の曲面の上部が接合点で接して線状の接触となる。積載荷重後、甲第20号証3枚目のように、側溝と蓋の接面部が広い面積で接触する。(平成8年当時のトヨタ工機の製作技術) そして、「1996/7/22図面完成(平成8年)」した、「lm/mギャップの有る物」(甲第20号証1枚目右図。甲第21号証11頁で実施。)の、「両接面部の曲率中心が相互に離れている図面」(甲第20号証1、3、5枚目)」がトヨタエ機の製作技術で完成して、平成8年8月19日図面に同社営業部が平成8年11月9日認印して、第二被請求人リタッグ(平田)が認印している。 刊行物カタログ(甲第21号証11頁)の図面(右上の拡大図)の側溝と蓋の「本体接面部と蓋接面部のlmmの隙間」が、本件特許発明の【図4】における、「本体接面部5」と「蓋接面部6」との隙間である。 本件特許発明【図4】では「両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」とするが、甲第21号証(右上図)では「両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.7mm離れている」とおり、略同一である。 また、本件特許発明【0019】では「図4に示すのは蓋を本体に装着した(積載荷重のない)状態で、本体1と蓋2とは、蓋接面部6の端部の接合点7で接する線状の接触である。」(【図4】左上図)とするが、甲第21号証(右上図)も全く同一の接合点で線上の接触をすることは、前記トヨタ工機株式会社の制作技術説明の通りであり、「本体接面部と蓋接面部のlmmの隙間」によって反映されるものである。 加えて、本件特許発明【0019】では「積載荷重が作用すると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、図5に示すように、本体接面部5と蓋接面部6とが広い面積で接触、蓋に作用した力が有効に本体側に伝達される。」(【図5】左下図)とされるが、前記トヨタ工機株式会社の制作技術説明のとおり、甲第21号証(右上図)から、甲第20号証3枚目の接触後の図(右下図)のように変化して「積載荷重が作用すると、蓋と本体の側板部が僅かに変形し、甲第20号証3枚目に示すように、本体接面部と蓋接面部とが広い面積で接触、蓋に作用した力が有効に本体側に伝達される。」ものである。 従って、甲第3号証発明の明細の【0010】「側溝蓋に垂直荷重がかかった場合、接触面が曲面であるために、力線が分散され、」ることで、【0009】「側溝蓋と側溝の接触面積が広くなり安定性が増す。」ものである。 よって、本件特許発明1の作用効果についても、甲第3号証発明の作用効果と共通し一致する理由は、全国リボーン側溝工業会加盟会員に対する甲第20号証、甲第21号証の配布及び型枠納品により前記の各資料を入手し、側溝構造の説明で被請求人が熟知していたからであり、これら知り得た甲第3号証発明の公然実施、刊行物に記載された発明を引用し、これらに基づき推考しえたことは、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって容易であったことは言うまでもない。」(請求書43頁15行~45頁下から5行) (d-2) 甲21に基づく甲3発明の実施に係る請求人の主な主張についての検討 請求人が主張3で主張する対比については、前記(イ)bに示したとおり、甲21は甲3発明を実施したものといえないから、採用することができない。そして、甲3に記載された事項からみて、前記1(2)イに示した甲3発明を認定することができるところ、本件特許発明1と甲3発明との対比については、前記(5)ア(ア)に示したとおりである。また、本件特許発明1と甲21公然実施発明との対比については、前記aに示したとおりである。 次に、請求人が主張4で主張する点に関し、甲20と甲21のそれぞれに記載された図面が、同一の側溝について、一方は積載荷重がかかった後に変形した状態を示し、他方は積載荷重がかかる前の接触状態を示すものかは不明であり、請求人の主張4のとおりの関係であることが他の甲号証から証明されるものともいえない。 また、仮に甲20と甲21の関係が請求人の主張4のとおりであったとしても、前記(a)の(a-3)に示したとおり、甲21公然実施発明の「曲率半径」及び「両接面部の曲率中心」の離れた距離を、相違点1Hに係る本件特許発明1の構成とすることは、「曲率半径」を「11~25mm」とし、「両接面部の曲率中心が相互に0.5~1.5mm離れている」ようにすることの技術的意味からみて、当業者であっても容易に想到し得たものとはいえない。 よって、前記主張3及び4は、前記の判断を左右するするものでなく、採用できない。 c 甲21公然実施発明について小括(新規性) 前記bに示したとおり、相違点1Hは実質的な相違点であるから、本件特許発明1は、甲21公然実施発明でない。 d 甲21公然実施発明について小括(進歩性) 前記bから、本件特許発明1は、甲21公然実施発明、並びに、甲3、甲9、甲15、甲16、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (エ) 本件特許発明2について 本件特許発明2は、本件特許発明1の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであるところ、本件特許発明1について前記(ウ)に示したとおりであるから、本件特許発明2は、甲21公然実施発明でなく、甲21公然実施発明、並びに、甲3、甲9、甲15、甲16、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (オ) 本件特許発明3について a 対比 本件特許発明3と甲21公然実施発明を対比すると、本件特許発明3は相違点1Hに加え、次の相違点2Hで相違し、その余の点で一致する。 <相違点2H> 本件特許発明3は、「筒状の本体と蓋とからな」る「桝」であるのに対し、甲21公然実施発明は、「側溝本体」と「蓋」とからなる「側溝」である点。 b 検討・判断 (a) 相違点2Hについて 相違点2Hについて検討するに、側溝構造と類似の構成で枡を設計することは技術常識であるから、甲21公然実施発明に技術常識を適用し、相違点2Hに係る本件特許発明3の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 (b) 相違点1Hについて 相違点1Hについて、前記(ウ)bに示したのと同様に、甲21公然実施発明に、甲3、甲9、甲15、甲16、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術を適用しても、相違点1Hに係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 c 本件特許発明3についての小括 本件特許発明3は、甲21公然実施発明でなく、甲21公然実施発明、並びに、甲3、甲9、甲15、甲16、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (カ) 本件特許発明4について 本件特許発明4は、本件特許発明3の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであるところ、本件特許発明3について前記(オ)に示したとおりであるから、本件特許発明4は、甲21公然実施発明でなく、甲21公然実施発明、並びに、甲3、甲9、甲15、甲16、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 カ 無効理由5についての小括 前記ア~オに示したとおりであるので、本件特許発明1~4は、甲3に記載された発明による公然実施物でなく、甲3に記載された発明による実施物と主張される甲3実施発明A、甲3実施発明B、甲17公然実施発明、甲18公然実施発明1、甲18公然実施発明2及び甲21公然実施発明のいずれでもない。 そして、本件特許発明1~4は、甲3に記載された発明による公然実施物、並びに、甲3に記載された発明による実施物と主張される甲3実施発明A、甲3実施発明B、甲17公然実施発明、甲18公然実施発明1、甲18公然実施発明2及び甲21公然実施発明のいずれかと、甲3、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (7) 無効理由6(甲3に記載された発明により公然知られた発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)について 請求人が主張する甲3に記載された発明、及び、甲3に記載された発明により公然実施された各発明のそれぞれは、前記(5)及び(6)で検討したとおり、本件特許発明1~4と相違点を有するものであり、その相違点について、甲3、甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 そうすると、これらの発明により公然知られた発明についても、これらの発明の技術的事項を超えるものでないから、前記(5)及び(6)と同様に、本件特許発明1~4は、甲3に記載された発明により公然知られた発明でなく、甲3に記載された発明により公然知られた発明及び甲9、甲15、甲16、甲21、甲23、甲24、甲27、甲30、甲31及び甲48に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (8) 無効理由1~6に係るその他の請求人の主張について 請求人は、請求書及び要領書において、公然実施に関する主張として、本来一つの実施物である側溝について、関連性が明確にわかる証拠をもとに、それが公然実施されたことを示すべきところ、複数の甲号証に記載された図面をもとに、仮想の実施物を実施している旨主張しているとも理解できる主張を行っているものが散見された。 しかしながら、主張の全趣旨からみて、必ずしも関連性が証明されたとはいえない複数の甲号証に基づく主張については、各甲号証に基づく個別の実施物についての主張として、前記(2)~(7)において整理し、検討したとおりである。 また、その余の主張についても、前記(2)~(7)に示した判断を左右するものでなく、採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、無効理由1~6はいずれも理由がないものであり、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許発明1~4についての特許は、無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-800029

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決1件(ECOンビ工法研究会事務局、中越製陶 株式会社、有限会社 リタッグ ほか)
  • 2023-800083無効審判 / 2025-09-04 / 請求不成立U字溝の改修方法
    同じ当事者: ECOンビ工法研究会事務局、中越製陶 株式会社、有限会社 リタッグ、株式会社 カムイネット
同じ論点・分野の審決(審決分類)15件(111・E03F、112・E03F、113・E03F ほか)
  • 2023-800083無効審判 / 2025-09-04 / 請求不成立U字溝の改修方法
    共通の審決分類: 111・E03F、112・E03F、113・E03F、121・E03F
  • 2023-800038無効審判 / 2024-03-28 / 請求不成立逆流防止弁
    共通の審決分類: 113・E03F、121・E03F
  • 2019-007139拒絶査定不服審判 / 2020-03-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)集水装置用有孔ブロック
    共通の審決分類: 113・E03F、121・E03F
  • 2018-006549拒絶査定不服審判 / 2019-09-03 / 請求不成立側溝
    共通の審決分類: 113・E03F、121・E03F
  • 2017-800010無効審判 / 2017-09-21 / 請求不成立被包型側溝
    共通の審決分類: 121・E03F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存