特許異議申立
2021-700873
レモン果汁含有飲料
- 審判番号
- 2021-700873
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-071187
- 登録番号
- 6842231
- 請求日
- 2021年09月10日
- 審決日
- 2022年09月05日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
- 【権利者代理人】長谷川 芳樹
- 【権利者代理人】清水 義憲
- 【権利者代理人】阿部 寛
- 【権利者代理人】吉住 和之
- 【権利者代理人】坂西 俊明
- 【異議申立人】清水 義弘
- 審判長/審判官
- 審判長 阪野 誠司
- 審判官 瀬良 聡機
- 審判官 冨永 みどり
- 分類
- P1651.113-YAA(A23L) / P1651.121-YAA(A23L) / P1651.537-YAA(A23L) / P1651.536-YAA(A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6842231号発明「レモン果汁含有飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6842231号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1~3〕、4について訂正することを認める。
特許第6842231号の請求項1~4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6842231号の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、平成27年3月31日に特許出願され、令和3年2月24日に特許権の設定登録がされ、同年3月17日にその特許公報が発行され、その後、同年9月10日に、特許異議申立人 清水 義弘(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
そして、令和3年11月22日付けで当審から取消理由通知が通知され、令和4年1月17日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年2月14日付けで当審から特許法120条の5第5項に基づく通知書が出され、特許異議申立人から同年3月18日に意見書が提出され、同年4月18日付けで当審から訂正拒絶理由通知が通知され、同年5月11日に訂正請求書の手続補正書及び意見書が提出され、同年6月3日付けで当審から取消理由通知(決定の予告)が通知され、同年7月26日に訂正請求書及び意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 補正された令和4年1月17日に提出された訂正請求書による訂正請求について
令和4年7月26日に提出された訂正請求書による訂正請求がされたため、令和4年5月11日に提出された手続補正書により補正された令和4年1月17日に提出された訂正請求書による訂正請求は、取り下げられたものとみなされる。
そして、令和4年7月26日に提出された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。
2 訂正の内容
本件訂正の内容は以下の訂正事項1~4のとおりである。
(1)訂正事項1
請求項1について、訂正前に「レモン果汁含有飲料(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料を除く。)」とあるのを、「レモン果汁含有飲料(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項3も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
請求項2について、訂正前に「請求項1記載のレモン果汁含有飲料。」とあるのを、訂正後の請求項2を請求項1を引用しない形式とし、訂正前請求項1の記載を「レモン果汁を含有する飲料であって、前記飲料の糖酸比が2.0~8.0であり、」「前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であり、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である、レモン果汁含有飲料(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料を除く。)。」と書き下す訂正をする。
請求項2を引用する請求項3も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
請求項2について、レモン果汁を含有する飲料について、「砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であり、」との特定を加える訂正をする。
請求項2を引用する請求項3も同様に引用する。
(4)訂正事項4
請求項4について、訂正前に「レモン果汁含有飲料(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料を除く。)」とあるのを、「レモン果汁含有飲料(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘味度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」に訂正する。
3 判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「レモン果汁含有飲料(但し、・・・を除く。)」との除く範囲について、「高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料」(下線は、当審合議体にて追加。以下同様。)を追加して除いた訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項について
本件訂正の訂正事項1に係る訂正は、除く範囲を追加したものにすぎず、明細書等の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項の導入をするものとはいえない。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で行われるものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
また、上記訂正は、除く範囲を追加したものにすぎず、特許請求の範囲を減縮した訂正であって、かつ発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第6項の規定に適合するものである。
エ また、請求項1の上記訂正に連動する請求項3の訂正も、同様の理由により、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で行われるものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
オ 訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前に「請求項1記載のレモン果汁飲料。」とあるのを、他の請求項の記載を引用しないものとしたもので、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とするものである。
イ 新規事項について
本件訂正の訂正事項2に係る訂正は、他の請求項の記載を引用しないものとしたものにすぎず、明細書等の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項の導入をするものとはいえない。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で行われるものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
また、上記訂正は、他の請求項の記載を引用しないものとしたもので、特許請求の範囲を同内容のままとした訂正であって、かつ発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第6項の規定に適合するものである。
エ また、請求項2の上記訂正に連動する請求項3の訂正も、同様の理由により、他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で行われるものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
オ 訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項2における「レモン果汁含有飲料(但し、・・・を除く。)」に対して、「砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であり」との限定をさらに付加して減縮した訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項について
本件訂正の訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書の【0056】~【0059】の表1~表4の実施例のうち、実施例8の砂糖の含有量(0.8w/v%)及び実施例26の砂糖の含有量(7.1w/v%)とそれら実施例がいずれも請求項2の糖酸比の範囲2.0~8.0を満たし、他の実施例の結果からみて他の範囲についても調製可能であることから、さらなる限定を特許請求の範囲に追加したものにすぎず、明細書等の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項の導入をするものとはいえない。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で行われるものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
また、上記訂正は、さらなる限定を特許請求の範囲に追加したものにすぎず、特許請求の範囲を減縮した訂正であって、かつ発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第6項の規定に適合するものである。
エ また、請求項2の上記訂正に連動する請求項3の訂正も、同様の理由により、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で行われるものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
オ 訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的について
本件訂正の訂正事項4に係る訂正も、訂正事項1と同様に、訂正前の請求項4における「レモン果汁含有飲料(但し、・・・を除く。)」との除く範囲について、「高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料」を追加して除いた訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項について
本件訂正の訂正事項4に係る訂正も、除く範囲を追加したものにすぎず、明細書等の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項の導入をするものとはいえない。
したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で行われるものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
また、上記訂正は、除く範囲を追加したものにすぎず、特許請求の範囲を減縮した訂正であって、かつ発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第6項の規定に適合するものである。
エ 訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(5)一群の請求項について
訂正事項1~3に係る訂正前の請求項1~3について、請求項2及び3はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項1、2に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3に係る本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。
4 訂正請求についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、訂正後の請求項〔1-3〕、4について訂正を認める。
第3 特許請求の範囲の記載
上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1、2、3、4に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、「本件特許発明3」、「本件特許発明4」という。まとめて、「本件特許発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、2、3、4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(なお、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明を、「訂正前の本件特許発明1」~「訂正前の特許発明4」といい、まとめて、「訂正前の本件特許発明」ということもある。)。
「【請求項1】
レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の糖酸比が2.0~8.0であり、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であり、
果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である、レモン果汁含有飲料(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)。
【請求項2】
レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の糖酸比が2.0~8.0であり、
砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であり、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であり、
果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である、レモン果汁含有飲料(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料を除く。)。
【請求項3】
果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める前記割合が40重量%以下である、請求項1又は2に記載のレモン果汁含有飲料。
【請求項4】
レモン果汁含有飲料(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)の製造方法であって、
前記飲料の糖酸比が2.0~8.0、前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下、且つ果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50質量%以下となるように原材料を配合する工程を有する、製造方法。」
第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要
1 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人は、下記の甲第1~19号証を提出し、以下の異議申立理由を主張している。
(1)サポート要件
異議申立理由1:請求項1~4に係る発明に関して、カリウムが存在することでレモンの果汁の果汁感が低下することは技術常識であるから(甲第5号証)、実施例の砂糖等の可溶性固形分を置き換えた場合に課題が解決できると理解できないし(理由1-1)、甘味料の種類によって甘味度が大きく異なることは技術常識であるから(甲第7号証)、実施例の砂糖をネオテームに置き換えても課題が解決できると理解できないし(理由1-2)、具体的に効果を確認している酸としてはクエン酸配合の場合だけで、レモン果汁の酸であるクエン酸のみ飲料に配合していること(甲第9号証)、自然な果汁感付与のため、その果汁本来の有機酸の組成と等しくなるように酸味料を添加するのが技術常識であること(甲第8号証)、酢酸が多く含まれる液体調味料の果汁感の困難性の技術常識(甲第6号証)を考慮すると、実施例のクエン酸を酢酸に置き換えても課題が解決できると理解できないし(理由1-3)、砂糖の含有量、レモン果汁と砂糖の重量比、酸度の上下限、レモン果汁含有量の下限について、具体的に確認していない範囲が存在するから課題が解決できると理解できないし(理由1-4)、風香味の評価試験が客観的に正確に評価したものととらえられないから課題が解決できると理解できないから(理由1-5)、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
したがって、本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第1項第4号の規定により取消されるべきものである。
(2)実施可能要件
異議申立理由2:請求項1~4に係る発明に関連して、化合物の種類によらず可溶性固形成分の風香味が共通するという技術常識はなく、実施例の砂糖等の可溶性固形分を置き換えた場合に効果が発揮されるのか当業者が理解できないし(理由2-1)、具体的に効果を確認している酸としてはクエン酸配合の場合だけでどの酸を選択しどのような比率で配合すればいいか当業者が理解できないし(理由2-2)、可溶性固形分又は酸の量を具体的に確認していない範囲は、甘味料や酸の含有量が異なれば風香味や酸味が異なることが技術常識であるからどのように選択及び配合すればいいか当業者は理解できないし(理由2-3)、レモン果汁含有量1~40w/v%のみ具体的効果を確認しており、レモン果汁含有量が極めて少ない場合にどのように選択及び配合すればよいか当業者が理解できないし(理由2-4)、レモンは農作物であるため、収穫場所や収穫時期、天候等により含まれる可溶性固形分や酸の濃度が変わることが技術常識であるから、収穫したレモンごとにレモン果汁の糖酸比を測定しなければならず、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤を強いるものであるから当業者がどのように本件特許発明を実施するか理解できないから(理由2-5)、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえない。
したがって、本件特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第1項第4号の規定により取消されるべきものである。
(3)新規性
異議申立理由3-1:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第10号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法同条第1項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由3-2:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第11号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法同第1項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由3-3:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第12号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法同条第1項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由3-4:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第13号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法同条第1項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由3-5:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第14号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法同条第1項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由3-6:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第15号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法同条第1項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由3-7:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第18号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法同条第1項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
(4)進歩性
異議申立理由4-1:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第10号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由4-2:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第11号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由4-3:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第12号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由4-4:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第13号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由4-5:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第14号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由4-6:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第15号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由4-7:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第18号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由4-8:訂正前の本件の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第19号証に記載された発明および甲第10~15、18号証に記載された技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。
記
甲第1号証:「第3回 糖思考 甘味度と糖度、Brix」、2013年1月24日(アーカイブ)、株式会社林原商事<URL:https://web.archive.org./web/20130124094350/http:/www.food.hayashibara.co.jp/trehacom/pdf/trehacom_vo13_4.pdf>
甲第2号証:「おいしい時間~糖度について~」、2012年11月、鹿児島県薬剤師会 試験センター、第24号、<URL:http://www.minc.ne.jp/kpa-siken/image/oisii024.pdf>
甲第3号証:「お砂糖豆知識」、2010年3月6日、独立行政法人農畜産業振興機構、<URL:https://web.archive.org/web/20120402011307/http://sugar.alic.co.jp/tisiki/ti_0108.html>
甲第4号証:「高校農業 農業実験」、2007年5月20日(アーカイブ)、岐阜県教育委員会、<URL:https://web.archive.org/web/20070520014213/https://gakuen.gifu-net.ed.jp/~contents/kou_nougyou/jikken/SubShokuhin/01/genri.html>
甲第5号証:特開2011-45247号公報
甲第6号証:特開2009-142194号公報
甲第7号証:公益財団法人日本醸造協会、日本醸造協会誌、2011年、第106巻、第12号、p.818~825
甲第8号証:特開2015-53936号公報
甲第9号証:公益社団法人日本栄養・食糧学会、日本栄養・食糧学会誌、2001年、第54巻、第1号、p.29~33
甲第10号証:特開2011-135841号公報
甲第11号証:特開2003-289837号公報
甲第12号証:特開平6-90704号公報
甲第13号証:特開2015-8711号公報
甲第14号証:特開2015-12871号公報
甲第15号証:特開2011-120479号公報
甲第16号証:特開平7-149658号公報
甲第17号証:特開平6-14751号公報
甲第18号証:特開平10-262642号公報
甲第19号証:農林水産省、農林水産省告示第3118号「果実飲料の日本農林規格」、2013年12月24日
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1~4に係る特許に対して、当審合議体が令和3年11月22日付けで特許権者に通知した取消理由、及びその後取り下げられたものと見なされた訂正請求により訂正された請求項1~4に係る特許に対して、当審が令和4年6月3日付けで取消理由通知(決定の予告)により通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
理由:(新規性)下記の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1~3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項1~4に係る特許は、同法同条第1項の規定に違反してされたものである。
記
刊行物1:特開2011-135841号公報(甲第10号証)
刊行物2:特開2003-289837号公報(甲第11号証)
刊行物3:特開平6-90704号公報(甲第12号証)
刊行物4:三宅義明 外5名,ヒトにおけるレモン果汁およびクエン酸摂取が運動後の血中乳酸濃度に及ぼす影響,日本栄養・食糧学会誌,第54巻,第1号,2001年,p.29~33(甲第9号証)
なお、刊行物4は、本願出願時の技術常識を示す文献である。
第5 当審の判断
当審は、上記取消理由で通知した理由及び特許異議申立人の申し立てた理由によって、本件特許の請求項1~4に係る特許は取り消されるべきではないと判断する。
その理由は次のとおりである。
取消理由について
1 刊行物の記載
(1)刊行物1の記載
本件特許出願前に日本国内において、頒布された刊行物1には、以下の記載がある。
(1a)「【0061】
(実験2)製造直後サンプルにおける各種甘味料の呈味改善効果
表5、表6に示す配合表に従って、高甘味度甘味料(アセスルファムK、スクラロース)とレモン/グレープフルーツ果汁とを含む、アルコール飲料ベースの原液を作成した。
【0062】
【表5】
[図:0001392008000001.jpg]
【0064】
次に、この原液に種々の甘味料を、該甘味料による甘味度が同程度になるよう加えた後、イオン交換水を加えて全量を1000mLとし、レモン/グレープフルーツ果汁を含むアルコール飲料ベースを作成した。
【0065】
添加した甘味料の種類・配合量と、得られたアルコール飲料ベースのサンプル名を表7及び表8に示す。ここで、実施例1及び比較例1-1、1-2、1-3のように、縦の列に記載されたサンプルにおける甘味料の配合量は、添加した各甘味料による甘味度が同程度になるように計算したものである。
【0066】
このときの各甘味料の甘味度は、ショ糖の甘味度を100として、マルチトール、スクラロース、アセスルファムK、ソルビトール、エリスリトール、キシリトールで、それぞれ、75、60000、20000、60、75、97とみなし、各サンプルにおける甘味料の配合量を計算した。例えば、表7、比較例1-1のショ糖含有量は、0.101w/v%であるが、これと同じ甘味度のマルチトール含有量を計算すると、0.101÷75(マルチトールの甘味度)×100(ショ糖の甘味度)=0.135w/v%となる(実施例1)。同じようにして、スクラロース含有量を計算すると、0.101÷60000(スクラロースの甘味度)×100(ショ糖の甘味度)=0.00017w/v%となる(比較例1-2)。
【0067】
実施例2及び比較例2-1、2-2、2-3、2-4、2-5、2-6以下も同様である。なお、作成したアルコール飲料ベースのアルコール度数は24v/v%であり、追加した甘味料を除く単糖類及び二糖類の総含有量は、レモンが0.1g/100g、グレープフルーツが0.45g/100gであった。
【0068】
【表7】
[図:0001392008000002.jpg]
」
(1b)「
【0070】
これらのアルコール飲料ベースをソーダにて3倍に希釈したものについて、官能評価を実施した。
各サンプルの評価は、専門パネラー7名にて次のようにして行った。実施例及び比較例を飲用したときに感じられるアルコール飲料の味について、表7、表8に記載の甘味料を添加しないものを対照として、苦味/厚み・ボディ感/飲みやすさの3つの観点について以下の基準に従い、4点満点として評価を行った。
【0071】
(苦み)
1点:苦みを感じる/2点:苦みを少し感じる/3点:苦みをあまり感じない/4点:苦みを感じない
(厚み・ボディ感)
1点:厚みが感じられない/2点:あまり厚みが感じられない/3点:やや厚みが感じられる/4点:厚みが感じられる
(飲みやすさ)
1点:飲みにくい/2点:やや飲みにくい/3点:やや飲みやすい/4点:飲みやすい
各パネラーの採点結果の平均点を表9、表10に示す。3点以上を合格とした。
【0072】
【表9】
[図:0001392008000003.jpg]
」
(2)刊行物2の記載
本件特許出願前に日本国内において、頒布された刊行物2には、以下の記載がある。
(2a)「【請求項1】 酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料」
(2b)「【0059】実施例2、比較例2
表2に示す原料を用いて常法にしたがってレモン飲料を調製した。
【0060】
【表2】
[図:0001392008000004.jpg]
」
(3)刊行物3の記載
本件特許出願前に日本国内において、頒布された刊行物3には、以下の記載がある。
(3a)「
【0017】次に、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
(実施例1~2)表1に示した割合で、レモン果汁、クエン酸、アスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムを混合し、初期pH及び酸量が表1に示す値となる清涼飲料を調製し、これに表1に示す量の炭酸水素ナトリウムを添加し、pHをそれぞれ調整した。このようにして得られた調合液に90℃にて1分保持する低温、短時間殺菌処理を行い、容器に充填、密封して製品とした。
【0018】(比較例1~2)比較例1は、原料混合後、pH調整を行わなかった。比較例2は、pHを4.2に調整し、85℃にて30分間保持する殺菌処理を行った。その他は、実施例と同様にして製品を得た。
【0019】得られた製品を、製造直後、及び40℃にて10日間保存した後に専門パネラー20名にて風味と褐変度の官能評価を行った。このとき、それぞれの殺菌直前の調合液を対照品として用いた。これらの結果を表1に併せて示す。
【0020】
【表1】
[図:0001392008000005.jpg]
」
2 刊行物記載の発明
(1) 刊行物1記載の発明
ア 刊行物1には、摘記(1a)のとおり、高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベースの原液の配合表として、(表5)に、原料用アルコール410mL、レモン香料1.5mL、クエン酸(無水)16g、クエン酸Na4g、アセスルファムK0.27g、スクラロース0.0135g、レモン果汁4.5g、イオン交換水残部でシラップ量が800mLとしたものが記載され、該原液に各甘味料を加えた後、イオン交換水を加えて全量を1000mLとし、レモン果汁を含むアルコール飲料ベースを作製したことが記載され、作製したアルコール飲料ベースのアルコール度数は24v/v%であることも記載され、表7にアルコール飲料(ベース)中の甘味料として、実施例5においては、マルチトールが2.16(w/v%)配合されていること、が示されているといえる。
イ したがって、上記レモン果汁を含むアルコール飲料ベースの各成分を%換算して表現すると、刊行物1には、実施例5に係る発明として、以下の発明が記載されているといえる。
「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベースであって、レモン香料0.15%(v/v%)クエン酸(無水)1.6(w/v%)、クエン酸Na0.4(w/v%)、アセスルファムK0.027(w/v%)、スクラロース0.00135(w/v%)、レモン果汁0.45(w/v%)マルチトール2.16(w/v%)を含有し、アルコール度数は24v/v%であるもの。」(以下「刊行物1発明」という。)
ウ また、各成分を原料として配合してレモン果汁を含むアルコール飲料ベースを製造しているのであるから、以下の発明も記載されているといえる。
「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベースの製造方法であって、レモン香料0.15%(v/v%)クエン酸(無水)1.6(w/v%)、クエン酸Na0.4(w/v%)、アセスルファムK0.027(w/v%)、スクラロース0.00135(w/v%)、レモン果汁0.45(w/v%)マルチトール2.16(w/v%)を原料として配合して、アルコール度数は24v/v%のものを製造する方法。」(以下「刊行物1製造方法発明」という。)
(2)刊行物2記載の発明
ア 刊行物2には、摘記(2b)のとおり、表2に示す原料を用いて常法にしたがってレモン飲料を調製したと記載され、表2に、実施例2として、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部としたものが示されている。
イ したがって、刊行物2には、特許請求の範囲の請求項1(摘記(2a))に対応した実施例2に係る発明として、以下の発明が記載されているといえる。
「レモン飲料であって、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部としたもの。」(以下「刊行物2発明」という。)
ウ また、各成分を原料として配合してレモン飲料を製造しているのであるから、刊行物2には、以下の発明も記載されているといえる。
「レモン飲料の製造方法であって、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部を原料として配合して製造する方法。」(以下「刊行物2製造方法発明」という。)
エ 刊行物2には、摘記(2b)のとおり、表2に示す原料を用いて常法にしたがってレモン飲料を調製したと記載され、表2に、比較例2として、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部としたものが示されている。
オ したがって、刊行物2には、比較例2に係る発明として、以下の発明が記載されているといえる。
「レモン飲料であって、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部としたもの。」(以下「刊行物2A発明」という。)
カ また、各成分を原料として配合してレモン飲料を製造しているのであるから、刊行物2には、以下の発明も記載されているといえる。
「レモン飲料の製造方法であって、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部を原料として配合して製造する方法。」(以下「刊行物2A製造方法発明」という。)
(3) 刊行物3記載の発明
ア 刊行物3には、摘記(3a)のとおり、「(実施例1~2)表1に示した割合で、レモン果汁、クエン酸、アスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムを混合し、初期pH及び酸量が表1に示す値となる清涼飲料を調製し、これに表1に示す量の炭酸水素ナトリウムを添加し、pHをそれぞれ調整した。このようにして得られた調合液に90℃にて1分保持する低温、短時間殺菌処理を行い、容器に充填、密封して製品とした。・・・(比較例1~2)比較例1は、原料混合後、pH調整を行わなかった。比較例2は、pHを4.2に調整し、85℃にて30分間保持する殺菌処理を行った。その他は、実施例と同様にして製品を得た。」と記載され、表1に、比較例1として、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%配合され、酸量が2.3重量%としたものが示されている。
イ したがって、刊行物3には、比較例1に係る発明として、以下の発明が記載されているといえる。
「清涼飲料であって、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%配合され、酸量が2.3重量%としたもの。」(以下「刊行物3発明」という。)
ウ また、各成分を原料として配合して清涼飲料を製造しているのであるから、刊行物3には、以下の発明も記載されているといえる。
「清涼飲料の製造方法であって、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%を原料として配合し、酸量が2.3重量%として製造する方法。」(以下「刊行物3製造方法発明」という。)
3 本件特許発明と刊行物記載の発明との対比・判断
(1)本件特許発明1について
ア-1 本件特許発明1と刊行物1発明との対比・判断
(ア)対比
刊行物1発明の「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベース」は、本件特許発明1の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物1発明の「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベースであって、」「レモン果汁0.45(w/v%)含有するもの」は、本件特許発明1の「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」る「レモン果汁含有飲料」に該当する。
したがって、本件特許発明1と刊行物1発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-1:本件特許発明1においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、刊行物1発明においては、飲料に「クエン酸(無水)1.6(w/v%)、クエン酸Na0.4(w/v%)、アセスルファムK0.027(w/v%)、スクラロース0.00135(w/v%)、レモン果汁0.45(w/v%)マルチトール2.16(w/v%)を含有」することは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-1:本件特許発明1においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物1発明においては、飲料に「クエン酸(無水)1.6(w/v%)、クエン酸Na0.4(w/v%)、アセスルファムK0.027(w/v%)、スクラロース0.00135(w/v%)、レモン果汁0.45g(w/v%)マルチトール2.16(w/v%)を含有」することは特定されているものの、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-1:本件特許発明1においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物1発明においては、そのような特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-1から検討する。
刊行物1発明の「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベース」は、「レモン果汁含有飲料」であって、「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」るものの、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)。」(下線は当審合議体にて追加。以下同様。)との特定事項により、本件特許発明1のレモン果汁を含有する飲料から除かれているのは明らかであるので、相違点3-1は、実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
したがって、本件特許発明1は、相違点1-1、相違点2-1を検討するまでもなく、刊行物1に記載された発明ではない。
ア-2 本件特許発明1と、刊行物2発明又は刊行物2A発明との対比・判断
(ア)本件特許発明1と刊行物2発明との対比
刊行物2発明の「レモン飲料であって、」「レモン果汁20部」「としたもの」は、本件特許発明1の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物2発明の「レモン飲料であって、」「レモン果汁20部」であることは、本件特許発明1の「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」ることに該当する。
したがって、本件特許発明1と刊行物2発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-2:本件特許発明1においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、刊行物2発明においては、飲料の成分組成を「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-2:本件特許発明1においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物2発明においては、飲料の成分組成を、「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-2:本件特許発明1においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物2発明においては、そのような特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-2から検討する。
刊行物2発明の「レモン飲料」は、「レモン果汁含有飲料」であって、「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」るものの、刊行物2発明は、刊行物2の特許請求の範囲の請求項1に記載された「酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料」の実施例として記載されたものであるから、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)。」との特定事項により、本件特許発明1のレモン果汁を含有する飲料から除かれているのは明らかであるので、相違点3-2は、実質的な相違点である。
(ウ)刊行物2発明との対比・判断のまとめ
したがって、本件特許発明1は、相違点1-2、相違点2-2を検討するまでもなく、刊行物2に記載された発明ではない。
(アA)本件特許発明1と刊行物2A発明との対比
刊行物2A発明の「レモン飲料であって、」「レモン果汁20部」「としたもの」は、本件特許発明1の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物2A発明の「レモン飲料であって、」「レモン果汁20部」であることは、本件特許発明1の「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」ることに該当する。
したがって、本件特許発明1と刊行物2A発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-2A:本件特許発明1においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、刊行物2A発明においては、飲料の成分組成を「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部としたもの」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-2A:本件特許発明1においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物2A発明においては、飲料の成分組成を、「レモン飲料であって、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部としたもの」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-2A:本件特許発明1においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物2A発明においては、そのような特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-2Aから検討する。
刊行物2A発明の「レモン飲料」は、「レモン果汁含有飲料」であって、「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」るものの、刊行物2A発明は、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)。」との特定事項により、本件特許発明1のレモン果汁を含有する飲料から除かれているのは明らかであるので、相違点3-2Aは、実質的な相違点である。
(ウ)刊行物2A発明との対比・判断のまとめ
したがって、本件特許発明1は、相違点1-2A、相違点2-2Aを検討するまでもなく、刊行物2A発明との対比・判断の観点から、刊行物2に記載された発明とはいえない。
(エ)まとめ
以上のとおり、本件特許発明1は、刊行物2に記載された発明ではない。
ア-3 本件特許発明1と刊行物3発明との対比・判断
(ア)対比
刊行物3発明の「清涼飲料であって、レモン果汁30.0重量%」「としたもの」は、本件特許発明1の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物3発明の「清涼飲料であって、レモン果汁30.0重量%」であることは、本件特許発明1の「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」ることに該当する。
したがって、本件特許発明1と刊行物3発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-3:本件特許発明1においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、刊行物3発明においては、飲料の成分組成を「レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%配合され、酸量が2.3重量%」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-3:本件特許発明1においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物3発明においては、飲料の成分組成を、「レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%配合され、酸量が2.3重量%」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-3:本件特許発明1においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物3発明においては、そのような特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-3から検討する。
刊行物3発明の「清涼飲料」は、「レモン果汁含有飲料」であって、「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」るものの、刊行物3発明は、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計量100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含むレモン飲料汁、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)。」との特定事項により、本件特許発明1のレモン果汁を含有する飲料から除かれているのは明らかであるので、相違点3-3は、実質的な相違点である。
(ウ)刊行物3発明との対比・判断のまとめ
したがって、本件特許発明1は、相違点1-3、相違点2-3を検討するまでもなく、刊行物3に記載された発明とはいえない。
(2)本件特許発明2について
ア-1 本件特許発明2と刊行物1発明との対比・判断
(ア)対比
刊行物1発明の「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベース」は、本件特許発明1の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物1発明の「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベースであって、」「レモン果汁0.45(w/v%)含有するもの」は、本件特許発明1の「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」ることに該当する。
したがって、本件特許発明2と刊行物1発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-1-2:本件特許発明2においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、刊行物1発明においては、飲料に「クエン酸(無水)1.6(w/v%)、クエン酸Na0.4(w/v%)、アセスルファムK0.027(w/v%)、スクラロース0.00135(w/v%)、レモン果汁0.45(w/v%)マルチトール2.16(w/v%)を含有」することは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-1-2:本件特許発明2においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物1発明においては、飲料に「クエン酸(無水)1.6(w/v%)、クエン酸Na0.4(w/v%)、アセスルファムK0.027(w/v%)、スクラロース0.00135(w/v%)、レモン果汁0.45g(w/v%)マルチトール2.16(w/v%)を含有」することは特定されているものの、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-1-2:本件特許発明2においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物1発明においては、そのような特定のない点。
相違点4-1-2:本件特許発明2においては、「砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であ」ることが特定されているのに対して、刊行物1発明は、砂糖の含有量の特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点4-1-2から検討する。
刊行物1発明のアルコール飲料ベースは、砂糖を含有することの記載はなく、実施例5に基づく発明であるから、砂糖(ショ糖)の含有されていないアルコール飲料ベースの原液にマルチトールを添加してレモン果汁を含むアルコール飲料ベースを作成したものであるのだから、砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であることが記載されているに等しいとはいえないし、そのことが技術常識であるともいえない。
したがって、相違点4-1-2は、実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
よって、本件特許発明2は、相違点1-1-2~相違点3-1-2を検討するまでもなく、刊行物1に記載された発明とはいえない。
ア-2 本件特許発明2と、刊行物2発明又は刊行物2A発明との対比・判断
(ア)本件特許発明2と刊行物2発明との対比
刊行物2発明の「レモン飲料であって、」「レモン果汁20部」「としたもの」は、本件特許発明2の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物2発明の「レモン飲料であって、」「レモン果汁20部」であることは、本件特許発明2の「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」ることに該当する。
したがって、本件特許発明2と刊行物2発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-2-2:本件特許発明2においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、刊行物2発明においては、飲料の成分組成を「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-2-2:本件特許発明2においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物2発明においては、飲料の成分組成を、「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-2-2:本件特許発明2においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物2発明においては、そのような特定のない点。
相違点4-2-2:本件特許発明2においては、「砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であ」ることが特定されているのに対して、刊行物2発明は、砂糖の含有量の特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点4-2-2から検討する。
刊行物2発明のレモン飲料は、実施例2に基づく発明であるから、甘味料として、砂糖ではなく、高果糖液糖を使用して製造したものであり、実施例として全体として成分組成が記載されたものであるから、砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であることが記載されているに等しいとはいえないし、そのことが技術常識であるともいえない。
したがって、相違点4-2-2は、実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
よって、本件特許発明2は、相違点1-2-2~相違点3-2-2を検討するまでもなく、刊行物2発明との対比・判断の観点から、刊行物2に記載された発明とはいえない。
(アA)本件特許発明2と刊行物2A発明との対比
刊行物2A発明の「レモン飲料であって、」「レモン果汁20部」「としたもの」は、本件特許発明2の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物2A発明の「レモン飲料であって、」「レモン果汁20部」であることは、本件特許発明2の「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」ることに該当する。
したがって、本件特許発明2と刊行物2A発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-2A-2:本件特許発明2においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、刊行物2A発明においては、飲料の成分組成を「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部としたもの」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-2A-2:本件特許発明2においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物2A発明においては、飲料の成分組成を、「レモン飲料であって、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部としたもの」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-2A-2:本件特許発明2においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物2A発明においては、そのような特定のない点。
相違点4-2A-2:本件特許発明2においては、「砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であ」ることが特定されているのに対して、刊行物2A発明は、砂糖の含有量の特定のない点。
(イA)判断
事案に鑑み、相違点4-2A-2から検討する。
刊行物2A発明のレモン飲料は、比較例2に基づく発明であって、甘味料として、砂糖ではなく、高果糖液糖を使用して製造したものであり、比較例として全体として成分組成が記載されたものであるから、砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であることが記載されているに等しいとはいえないし、そのことが技術常識であるともいえない。
したがって、相違点4-2A-2は、実質的な相違点である。
(ウA)刊行物2A発明との対比・判断のまとめ
したがって、本件特許発明2は、相違点1-2A-2~相違点3-2A-2を検討するまでもなく、刊行物2に記載された発明ではない。
(エ)まとめ
以上のとおり、本件特許発明2は、刊行物2に記載された発明とはいえない。
ア-3 本件特許発明2と刊行物3発明との対比・判断
(ア)対比
刊行物3発明の「清涼飲料であって、レモン果汁30.0重量%」「としたもの」は、本件特許発明2の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物3発明の「清涼飲料であって、レモン果汁30.0重量%」であることは、本件特許発明2の「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」ることに該当する。
したがって、本件特許発明2と刊行物3発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-3-2:本件特許発明2においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、刊行物3発明においては、飲料の成分組成を「レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%配合され、酸量が2.3重量%」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-3-2:本件特許発明2においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物3発明においては、飲料の成分組成を、「レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%配合され、酸量が2.3重量%」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-3-2:本件特許発明2においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物3発明においては、そのような特定のない点。
相違点4-3-2:本件特許発明2においては、「砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であ」ることが特定されているのに対して、刊行物3発明は、砂糖の含有量の特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点4-3-2から検討する。
刊行物3発明の清涼飲料は、比較例1に基づく発明であって、砂糖を14.0重量%となるように製造したものであり、比較例として全体として成分組成が記載されたものであるから、砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であることが記載されているに等しいとはいえないし、そのことが技術常識であるともいえない。
したがって、相違点4-3-2は、実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
したがって、本件特許発明2は、相違点1-3-2~相違点3-3-2を検討するまでもなく、刊行物3に記載された発明とはいえない。
(3)本件特許発明3について
ア-1 本件特許発明3と刊行物1発明との対比・判断
(ア)対比
本件特許発明3は、本件特許発明1又は2において、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める前記割合が40重量%以下である」と特定し、上限を50重量%以下から40重量%以下とした点でのみ相違する発明である。
したがって、本件特許発明3と刊行物1発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料」である点で一致し、請求項1を引用する本件特許発明3とは、上記相違点1-1及び3-1に加え、また、請求項2を引用する本件特許発明3とは、上記相違点1-1-2、3-1-2及び4-1-2に加え、以下の点で相違する。
相違点1-1-3:(相違点1-1及び1-1-2と同じ。)
相違点2-1-3:本件特許発明3においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が40重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物1発明においては、飲料に「クエン酸(無水)1.6(w/v%)、クエン酸Na0.4(w/v%)、アセスルファムK0.027(w/v%)、スクラロース0.00135(w/v%)、レモン果汁0.45g(w/v%)マルチトール2.16(w/v%)を含有」することは特定されているものの、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-1-3:(相違点3-1及び3-1-2と同じ。)
相違点4-1-3:(相違点4-1-2と同じ)
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-1-3及び相違点4-1-3から検討する。
前記(1)アー1(イ)及び(2)ア-1(イ)で検討したのと同様に、相違点3-1-3及び相違点4-1-3は、実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
したがって、本件特許発明3は、相違点1-1-3及び2-1-3を検討するまでもなく、刊行物1に記載された発明とはいえない。
ア-2 本件特許発明3と刊行物2発明又は刊行物2A発明との対比・判断
したがって、本件特許発明3と刊行物2発明(又は刊行物2A)とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-2-3:本件特許発明3においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、刊行物2発明においては、飲料の成分組成を「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点(刊行物2A発明においては、飲料の成分組成を「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点)。
相違点2-2-3:本件特許発明3においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が40重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物2発明においては、飲料の成分組成を、「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点(刊行物2A発明においては、飲料の成分組成を「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点)。
相違点3-2-3:請求項1を引用する本件特許発明3においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン果汁、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定が、請求項2を引用する本件特許発明3においては、「砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であり、」かつ「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物2発明(又は刊行物2A)においては、そのような特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-2-3から検討する。
前記(1)ア-2(イ)相違点3-2、(イA)相違点3-2A及び(2)ア-2(イ)相違点4-2-2の判断で検討したのと同様に、相違点3-2-3は、実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
したがって、本件特許発明3は、相違点1-2-3~相違点2-2-3を検討するまでもなく、刊行物2に記載された発明とはいえない。
ア-3 本件特許発明3と刊行物3発明との対比・判断
(ア)対比
刊行物3発明の「清涼飲料であって、レモン果汁30.0重量%」「としたもの」は、本件特許発明3の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物3発明の「清涼飲料であって、レモン果汁30.0重量%」であることは、本件特許発明3の「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」ることに該当する。
したがって、本件特許発明3と刊行物3発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下である、レモン果汁含有飲料」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-3-3:本件特許発明3においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、刊行物3発明においては、飲料の成分組成を「レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%配合され、酸量が2.3重量%」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-3-3:本件特許発明3においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が40重量%以下である」ことが特定されているのに対して、刊行物3発明においては、飲料の成分組成を、「レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%配合され、酸量が2.3重量%」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-3-3:請求項1を引用する本件特許発明3においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン果汁、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定が、請求項2を引用する本件特許発明3においては、「砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であり、」かつ「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、並びにアルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物3発明においては、そのような特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-3-3から検討する。
刊行物3発明の清涼飲料は、比較例1に基づく発明であって、砂糖を14.0重量%となるように製造したものであり、比較例として全体として成分組成が記載されたものであるから、砂糖の含有量が0.8~7.1w/v%であることが記載されているに等しいとはいえないし、前記(1)ア-3(イ)相違点3-3及び(2)ア-3(イ)4-3-2の相違点の判断で検討したのと同様に、相違点3-3-3は、実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
したがって、本件特許発明3は、相違点1-3-3~相違点2-3-3を検討するまでもなく、刊行物3に記載された発明とはいえない。
(4)本件特許発明4について
ア-1 本件特許発明4と刊行物1製造方法発明との対比・判断
(ア)対比
刊行物1製造方法発明の「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベース」は、本件特許発明4の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物1製造方法発明の「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベースの製造方法であって、」「レモン果汁0.45(w/v%)・・・を原料として配合して、・・・製造する方法」は、本件特許発明4の「レモン果汁含有飲料」「の製造方法であって、」「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下・・・となるように原材料を配合する工程を有する、製造方法」に該当する。
したがって、本件特許発明4と刊行物1製造方法発明とは、
「レモン果汁含有飲料の製造方法であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下となるように原材料を配合する工程を有する、製造方法。」である点で一致し、以下の点で一応相違する。
相違点1-1-4:本件特許発明4においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0」「となるように」することが特定されているのに対して、刊行物1製造方法発明においては、飲料に「クエン酸(無水)1.6(w/v%)、クエン酸Na0.4(w/v%)、アセスルファムK0.027(w/v%)、スクラロース0.00135(w/v%)、レモン果汁0.45(w/v%)マルチトール2.16(w/v%)を原料として配合」することは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-1-4:本件特許発明4においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下となるように」することが特定されているのに対して、刊行物1製造方法発明においては、飲料に「クエン酸(無水)1.6(w/v%)、クエン酸Na0.4(w/v%)、アセスルファムK0.027(w/v%)、スクラロース0.00135(w/v%)、レモン果汁0.45g(w/v%)マルチトール2.16(w/v%)を含有」することは特定されているものの、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-1-4:本件特許発明4においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物1製造方法発明においては、そのような特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-1-4から検討する。
刊行物1製造方法発明の「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベース」は、「レモン果汁含有飲料」であって、「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」るものの、前記(1)ア-1(イ)の相違点3-1の判断で検討したのと同様に、本件特許発明4のレモン果汁含有飲料の製造方法から除かれているのは明らかであるので、相違点3-1-4は、実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
したがって、本件特許発明4は、相違点1-1-4及び相違点2-1-4を検討するまでもなく、刊行物1に記載された発明ではない。
ア-2 本件特許発明4と、刊行物2製造方法発明又は刊行物2A製造方法発明との対比・判断
(ア)本件特許発明4と刊行物2製造方法発明との対比
刊行物2製造方法発明の「レモン飲料であって、」「レモン果汁20部」「としたもの」は、本件特許発明4の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物2製造方法発明の「レモン飲料であって、」「レモン果汁20部」であることは、本件特許発明4の「レモン果汁含有飲料」であって、「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下であ」ることに該当する。
したがって、本件特許発明4と刊行物2製造方法発明とは、
「レモン果汁含有飲料の製造方法であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下となるように原材料を配合する工程を有する、製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-2-4:本件特許発明4においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0」「となるように」することが特定されているのに対して、刊行物2製造方法発明においては、飲料の成分組成を「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点(刊行物2A製造方法発明においては、飲料の成分組成を「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点)。
相違点2-2-4:本件特許発明4においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下となるように」することが特定されているのに対して、刊行物2製造方法発明においては、飲料の成分組成を、「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、高度分岐環状デキストリン2質量部、水63質量部」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点(刊行物2A製造方法発明においては、飲料の成分組成を「合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8部、蜂蜜5部、レモン果汁20部、水65質量部」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点)。
相違点3-2-4:本件特許発明4においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物2製造方法発明(又は刊行物2A製造方法発明)においては、そのような特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-2-4から検討する。
刊行物2製造方法発明の「高甘味度甘味料とレモン果汁を含むアルコール飲料ベース」は、「レモン果汁含有飲料」であって、「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下となるように原材料を配合する」ものの、前記(1)ア-1(イ)の相違点3-1の判断で検討したのと同様に、本件特許発明4のレモン果汁含有飲料の製造方法から除かれているのは明らかであるので、相違点3-2-4は、実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
したがって、本件特許発明4は、相違点1-2-4及び相違点2-2-4を検討するまでもなく、刊行物2に記載された発明ではない。
ア-3 本件特許発明4と刊行物3製造方法発明との対比・判断
(ア)対比
刊行物3製造方法発明の「清涼飲料」「であって、レモン果汁30.0重量%」「を原料として配合とし」たものは、本件特許発明4の「レモン果汁含有飲料」に該当する。
刊行物3製造方法発明の「清涼飲料の製造方法であって、レモン果汁30.0重量%・・・を原料として配合し、・・・製造する方法」は、本件特許発明4の「レモン果汁含有飲料」「の製造方法であって、」「飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下・・・となるように原材料を配合する工程を有する、製造方法」に該当する。
したがって、本件特許発明4と刊行物3製造方法発明とは、
「レモン果汁を含有する飲料の製造方法であって、
前記飲料の果汁含有量が30重量/体積%以下となるように原材料を配合する工程を有する、製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-3-4:本件特許発明4においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0」「となるように」することが特定されているのに対して、刊行物3製造方法発明においては、飲料の成分組成を「レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%配合され、酸量が2.3重量%」とすることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-3-4:本件特許発明4においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下となるように」することが特定されているのに対して、刊行物3製造方法発明においては、飲料の成分組成を、「レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、クエン酸0.15重量%配合され、酸量が2.3重量%」とすることは特定されているものの、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が特定されていない点。
相違点3-3-4:本件特許発明4においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、刊行物3発明においては、そのような特定のない点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点3-3-4から検討する。
刊行物3製造方法発明の清涼飲料は、比較例1に基づく発明であって、前記(1)ア-3(イ)相違点3-3の相違点の判断で検討したのと同様に、相違点3-3-4は、実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
したがって、本件特許発明4は、相違点1-3-4及び相違点2-3-4を検討するまでもなく、刊行物3に記載された発明とはいえない。
4 取消理由の判断のまとめ
以上のとおり、当審から通知した取消理由通知及び取消理由通知(予告)に示した取消理由は、共に解消しており、上記取消理由には理由がない。
取消理由で採用しなかった特許異議申立理由についての検討
1 異議申立理由1(サポート要件)について
(1)特許法第36条第6項第1号の判断の前提
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
(2)特許請求の範囲の記載
前記第3に記載されたとおりの発明特定事項を有するレモン果汁含有飲料の発明が、請求項1~3に、レモン果汁含有飲料の製造方法の発明が請求項4にそれぞれ記載されている。
(3)発明の詳細な説明の記載
ア 本件特許明細書の発明の詳細な説明には、請求項1~4に係る発明に関する記載として、特許請求の範囲の実質的な繰り返し記載を除いて、【0002】~【0013】の背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段の記載、【0014】【0015】の発明の効果の記載、【0018】~【0020】の糖酸比、糖度(Brix値)、酸度の定義記載、【0021】~【0026】のレモン果汁含有飲料の糖酸比、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合、飲料の果汁含有量の数値範囲の技術的意義の記載、【0027】~【0038】の果汁含有量の換算法、飲料のpH、その他成分(添加剤:甘味料、酸味料等)、容器詰め飲料の態様記載、【0040】~【0048】のレモン果汁飲料の製造方法、糖酸比、糖度、酸度、可溶性固形分の割合の調整方法、果汁感増強方法等の記載がある。
イ そして、実施例として、
【0050】~【0060】には、【0051】~【0054】の測定法と、【0055】の評価基準に基づき、表1~表5において、種々の糖酸比、果汁含有量、レモン果汁由来の糖度の割合、砂糖含有量に設定した実施例1~29、比較例1~15を調製し、評価を行った結果が示されている。
そして、【0061】~【0063】には、「表1に示されるとおり、糖酸比が1.5~10であり、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である実施例1~10のレモン果汁含有飲料は、果汁増感剤等を添加していないため、果汁増感剤等に由来する異味・異臭がなく、また果汁増感剤等を添加していないにも関わらず、適度な酸味とレモンの優れた果汁感とを備えることが確認された。
【0062】
表2に示されるとおり、果汁含有量が低い飲料であっても、比較的果汁含有量が高い飲料であっても、同様の効果を確認することができた。
【0063】
表3-5に示されるとおり、さらに果汁含有量が高い場合であっても、同様の効果を確認することができた。」との考察結果の記載がある。
(4)判断
ア 本件特許発明の課題について
上記(3)の【0002】~【0013】の背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段の記載及び本件特許明細書全体を参酌して、本件特許発明1~3の課題は、果汁増感剤等に由来する異味・異臭がなく、適度な酸味とレモンの優れた果汁感とを備えるレモン果汁含有飲料を提供することにあり、本件特許発明4の課題は、該レモン果汁含有飲料の製造方法を提供することにあると認める。
イ 本件特許発明1に関して
上記(3)のア及びイのとおり、本件特許発明1の各構成であるパラメータに対応して、本件特許明細書には、レモン果汁を含有する飲料の糖酸比、レモン果汁を含有する飲料の果汁含有量、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合の各パラメータの上下限の技術的意義の一般的記載が存在し、レモン果汁含有量の糖酸比、飲料の果汁含有量、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を特定範囲とすることで、レモンの果汁感と酸味の質をより高度に発揮できるという技術的思想が示されており、各パラメータ間の技術的意議の相関記載に技術的矛盾はなく、レモン果汁含有飲料の各成分の配合方法や含有量測定方法や製造方法の記載が存在し、各成分の含有量を変更した場合でも本件特許発明1の効果を奏した具体的検証結果の記載も存在するのであるから、本件特許発明1の構成によって、当業者であれば上記本件特許発明1の課題を解決できることを認識できるといえる。
ウ 本件特許発明2~4に関して
本件特許発明2~4に関しても、【0030】、表1~5の甘味料としての砂糖に関する含有量に関する記載、【0022】、表1~5の果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合に関する記載、【0039】~【0044】表1~5のレモン果汁含有飲料の製造方法に関する記載についても併せて考慮すれば、本件特許発明1と同様に、本件特許発明2~4の構成によって、当業者であれば上記本件特許発明2~4の課題を解決できることを認識できるといえる。
エ 特許異議申立人のサポート要件に関する主張(理由1-1~理由1-3)について
特許異議申立人は、前記第4 1(1)(理由1-1~理由1-3)に記載のとおり、請求項1~4に係る発明に関して、カリウムが存在することでレモンの果汁の果汁感が低下することは技術常識であるから(甲第5号証)、実施例の砂糖等の可溶性固形分を置き換えた場合に課題が解決できると理解できないし(理由1-1)、甘味料の種類によって甘味度が大きく異なることは技術常識であるから(甲第7号証)、実施例の砂糖をネオテームに置き換えても課題が解決できると理解できないし(理由1-2)、具体的に効果を確認している酸としてはクエン酸配合の場合だけで、レモン果汁の酸であるクエン酸のみ飲料に配合していること(甲第9号証)、自然な果汁感付与のため、その果汁本来の有機酸の組成と等しくなるように酸味料を添加するのが技術常識であること(甲第8号証)、酢酸が多く含まれる液体調味料の果汁感の困難性の技術常識であること(甲第6号証)を考慮すると、実施例のクエン酸を酢酸に置き換えても課題が解決できると理解できないから、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないからサポート要件を満たさない旨主張している。
しかしながら、甲第5~8号証で記載された事項が技術常識とまでいえるかどうかはさておき、たとえ、カリウムの存在や甘味料の種類やレモン果汁の本来の有機酸の組成と相違や酢酸の多く含まれる液体調味料の果汁感に困難性があるからといって、当業者であれば、レモン果汁含有飲料に対して酸味や果汁感に影響のある成分が大量に混合される態様や、酸味や果汁感に影響のある極端な成分組成となる態様を避けることは当然であり、大きな影響のない範囲でレモン果汁を含有する飲料の糖酸比、レモン果汁を含有する飲料の果汁含有量、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を特定範囲にすることで、一定程度課題が解決できることは当業者が認識できるといえるので、上記ア~ウで検討したとおり、本件の特許請求の範囲の記載は、サポート要件を満たしており、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
オ 特許異議申立人のサポート要件に関する主張(理由1-4、理由1-5)について
特許異議申立人は、前記第4 1(1)理由1-4、理由1-5に記載のとおり、請求項1~4に係る発明に関して、砂糖の含有量、レモン果汁と砂糖の重量比、酸度の上下限、レモン果汁含有量の下限について、具体的に確認していない範囲が存在するから課題が解決できると理解できないし(理由1-4)、風香味の評価試験が客観的に正確に評価したものととらえられないから課題が解決できると理解できないから(理由1-5)、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないからサポート要件を満たさない旨主張している。
しかしながら、理由1-4に関して、飲料の糖酸比の上下限の技術的意義(【0021】)レモン果汁含有量の上限についての技術的意義(【0026】)、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合の上限の技術的意義(【0022】)、その他糖度、酸度、甘味料としての砂糖の一般的記載が存在し、レモン果汁含有量の糖酸比、飲料の果汁含有量、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を特定範囲とすることで、レモンの果汁感と酸味の質をより高度に発揮できるという技術的思想が示されているのであるから、砂糖の含有量、レモン果汁と砂糖の重量比、酸度の上下限、レモン果汁含有量の下限について、実施例で具体的に確認していない範囲が存在するからといって、本件特許発明の課題が解決できないとはいえないし、本件特許発明のパラメータが特殊なパラメータの数式を発明の特定事項にしているわけではないことも考慮すると、パラメータが示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的意義が出願時の技術常識を参酌して、当該範囲内であれば所望の効果が得られると当業者が認識できる程度に具体例を示していないともいえない。
また、理由1-5に関しても、本件特許明細書の【0055】には、レモンの果汁感、酸味の質に関する評価基準や評価パネルの選択方法の記載があり、【0002】~【0008】には、レモンの果汁感や酸味の質に関係する説明も存在し、レモン果汁含有飲料という本件特許発明との関係で特殊な評価項目とはいえないことも考慮すると、本件特許発明に係る官能評価試験に関して、客観的に正確に評価したものととらえられないとはいえない。
以上のとおり、上記特許異議申立人の主張も採用できない。
(5)異議申立理由1の判断のまとめ
以上のとおり、特許異議申立理由1(サポート要件)には理由がない。
2 異議申立理由2(実施可能要件)について
(1)本件の発明の詳細な説明の記載
本件の発明の詳細な説明には、前記1(3)の記載がある。
(2)判断
前記1(3)に記載したとおり、本件特許発明のレモン果汁含有飲料及びその製造方法において、配合工程等の各工程、各パラメータの調製方法の一般的記載があり、実施例1~29(比較例1~15の記載も存在する。)の具体的原材料の成分組成と各パラメータ値の結果の記載を参考にして、前記1(4)ア~ウで検討した点も合わせて考慮すれば、本件特許発明1~3のレモン果汁含有飲料、本件特許発明4のレモン果汁含有飲料の製造方法の各発明を、本願出願時の技術常識を考慮して、当業者が過度な試行錯誤なく製造でき、使用できるように記載されているといえ、本件の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしているといえる。
(3)特許異議申立人の実施可能要件に関する主張(理由2-1~理由2-3)について
特許異議申立人は、前記第4 1(2)理由2-1~理由2-3に記載のとおり、請求項1~4に係る発明に関連して、化合物の種類によらず可溶性固形成分の風香味が共通するという技術常識はなく、実施例の砂糖等の可溶性固形分を置き換えた場合に効果が発揮されるのか当業者が理解できないし(理由2-1)、具体的に効果を確認している酸としてはクエン酸配合の場合だけでどの酸を選択しどのような比率で配合すればいいか当業者が理解できないし(理由2-2)、可溶性固形分又は酸の量を具体的に確認していない範囲は、甘味料や酸の含有量が異なれば風香味や酸味が異なることが技術常識であるからどのように選択及び配合すればいいか当業者は理解できないから(理由2-3)、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえない旨主張している。
しかしながら、可溶性固形成分の種類によって風香味が一定の変化をすること、クエン酸以外の酸を配合した場合の効果を具体的実験で行っていないこと、甘味料や酸の含有量が異なれば風香味や酸味が異なることがあるとしても、実施例として具体的に行っていない範囲であっても、各可溶性固形成分の風香味やクエン酸以外の酸の風香味は当業者が技術常識として理解し、各成分の添加の増減による効果の方向性は一定程度予測できるのであるから、どのように選択及び配合すればいいか当業者は理解できないとはいえず、上述のとおり、前記1(3)の一般的記載や具体例の記載を参考にすれば、本件の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしており、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
(4)特許異議申立人の実施可能要件に関する主張(理由2-4、理由2-5)について
特許異議申立人は、前記第4 1(2)理由2-4、理由2-5に記載のとおり、請求項1~4に係る発明に関連して、レモン果汁含有量1~40w/v%のみ具体的効果を確認しており、レモン果汁含有量が極めて少ない場合にどのように選択及び配合すればよいか当業者が理解できないし(理由2-4)、レモンは農作物であるため、収穫場所や収穫時期、天候等により含まれる可溶性固形分や酸の濃度が変わることが技術常識であるから、収穫したレモンごとにレモン果汁の糖酸比を測定しなければならず、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤を強いるものであって、当業者がどのように本件特許発明を実施するか理解できないから(理由2-5)、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえない旨主張している。
しかしながら、理由2-4に関して、レモン果汁含有量1w/v%のものでも評価の最も高いものが得られており(実施例11)、レモン果汁含有量が極めて少ない場合には、それらの具体例を参考にその他のパラメータを調整すれば良いことは当業者が理解できることであるから、実施例として具体的に行っていない範囲であっても、当業者は理解できないとはいえない。
また、理由2-5に関して、レモンが農作物であって、収穫場所や収穫時期、天候等により含まれる可溶性固形分や酸の濃度が変わることが技術常識であって、使用にあたって原料を測定しなければならないからといって、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤を強いるものとは、いえず、農作物であるレモンに関しての技術常識を理解している当業者であれば、上述のとおり、前記1(3)の一般的記載や具体例の記載を参考にすれば、本件特許発明を実施できるといえるから、本件の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしており、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
(5)異議申立理由2の判断のまとめ
以上のとおり、異議申立理由2(実施可能要件)には理由がない。
3 異議申立理由3(新規性欠如・異議申立理由3-4、3-5、3-6、3-7)及び異議申立理由4(進歩性欠如・異議申立理由4-1、4-2、4-3、4-4、4-5、4-6、4-7、4-8)について
(1)甲第13、14、15、18、19号証の記載について
ア 甲第13号証の記載
(13a)「【請求項1】
糖度が0.5~21.0であり、糖酸比が1.0~30.0であり、かつpHが2.0~4.0であることを特徴とする容器詰果汁含有飲料。
【請求項2】
酸度が0.1~3.0であることを特徴とする請求項1記載の容器詰果汁含有飲料。
【請求項3】
飲料全体に対する果汁量が0.5~30.0質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の容器詰果汁含有飲料。
【請求項4】
果汁がウメを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の容器詰果汁含有飲料。
【請求項5】
ウメ以外の果汁の使用量が、飲料全体に対して0~10.0質量%であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の容器詰果汁含有飲料。
【請求項6】
非アルコール性飲料であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の容器詰果汁含有飲料。
【請求項7】
非炭酸飲料であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の容器詰果汁含有飲料。
【請求項8】
糖度を0.5~21.0に調整する工程と、糖酸比を1.0~30.0に調整する工程と、pHを2.0~4.0に調整する工程とを含むことを特徴とする容器詰果汁含有飲料の製造方法。
【請求項9】
糖度を0.5~21.0に調整する工程と、糖酸比を1.0~30.0に調整する工程と、pHを2.0~4.0に調整する工程とを含むことを特徴とする容器詰果汁含有飲料の呈味バランス改善方法。」
(13b)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、ウメが本来有する爽やかな酸味とほのかな甘味の絶妙な呈味バランスを楽しむことができる容器詰果汁含有飲料を提供することを目的とする。」
(13c)「【0013】
(果汁含有量)
果汁とは、これら成熟した果実を搾汁して得られる果汁、エキスあるいは、ピューレなどを含むものであり、市販品を使用しても良い。本発明の果汁含有飲料は、飲料全体に対する果汁量が0.5~30.0質量%であることを特徴とする。このような範囲であれば、果汁感が強すぎず、爽快感を感じることができる。好ましくは、1.0~20.0質量%、更に好ましくは2.0~15.0質量%とする。好ましくは、使用する果汁の種類は1又は複数の混合でもよく、果汁の原料となる果実の種類としては、本発明の効果が発揮される限りにおいて特に限定されることなく、例えば、イチゴ、キウイフルーツ、ブドウ、リンゴ、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ナシ、ライチ、メロン、西洋ナシ、柑橘類果実類(オレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、シークワーサー、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等)等が挙げられるが、バラ科サクラ属のものが好ましい。バラ科サクラ属の果実としては、ウメ、アンズ、サクランボ、スモモ類、ネクタリン、プルーン、モモ等を挙げることが出来るが、好ましくはウメである。ウメは、発明の果汁含有飲料が演出しようとする「酸味と甘味のバランス」が最も理想的な風味を有しているからである。
更に好ましくは、ウメ及びそれ以外の果汁を含有させる場合、ウメ以外の果汁の使用量が、飲料全体に対して0~10.0質量%、より好ましくは0~5.0質量%となるようにする。このようにすることにより、ウメの理想的な酸味と甘味のバランスを大きく崩すことなく、ウメ風味が程よく感じられる飲料となるからである。なお、本発明において、濃縮物を使用した場合は、ストレート換算した値を含有量とする。」
(13d)「【実施例】
【0017】
後述する市販の各原料を使用し試作品を作製した。果糖ブドウ糖液糖(果糖55%以上、ブドウ糖37%以上)、5倍濃縮梅果汁(酸度15.3%・糖度31%)、濃縮梅酢A(酸度29.8%・糖度40%)、濃縮梅酢B(酸度33.8%・糖度40)、濃縮梅酢C(酸度21.7%・糖度30%)、梅塩A(Na39%、酸度0.6%)、梅塩B(Na35.9%、酸度4.6%)、DL-リンゴ酸を、水100gに表1の配合に基づいて原材料を添加した。・・・
【0021】
【表1】
[図:0001392008000006.jpg]
」
イ 甲第14号証の記載
(14a)「【請求項1】
糖度が0.5~21.0であり、糖酸比が1.0~30.0であり、かつpHが2.0~4.0であり、飲料全体に対する果汁量が0.5~30.0質量%であることを特徴とする容器詰果汁含有飲料。
【請求項2】
酸度が0.1~3.0であることを特徴とする請求項1記載の容器詰果汁含有飲料。
【請求項3】
果汁がウメを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器詰果汁含有飲料。
【請求項4】
ウメ以外の果汁の使用量が、飲料全体に対して0~10.0質量%であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の容器詰果汁含有飲料。
【請求項5】
非アルコール性飲料であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の容器詰果汁含有飲料。
【請求項6】
非炭酸飲料であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の容器詰果汁含有飲料。」
(14b)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、ウメが本来有する爽やかな酸味とほのかな甘味の絶妙な呈味バランスを楽しむことができる容器詰果汁含有飲料を提供することを目的とする。」
(14c)「【0010】
(糖酸比)
更に、本発明の果汁含有飲料は、糖酸比が1.0~30.0に調整されていることが好ましい。糖酸比が1.0を下回る場合、梅が本来有する爽やかな酸味とほのかな甘味の絶妙なバランスが不十分であり、物足りない印象になり、30.0を上回る場合、「梅酒様飲料」のようになり、清涼飲料で求められている、梅が本来有する爽やかな酸味とほのかな甘味の絶妙なバランスが欠ける傾向にある。好ましくは5.0~29.0、特に10.0~27.0、その中でも特に15.0~25.0であるのが好ましい。ここで、本明細書において、糖酸比とは、酸度に対する糖度の比率、即ち[糖度/酸度]を意味する。」
(14d)「【0013】
(果汁含有量)
果汁とは、これら成熟した果実を搾汁して得られる果汁、エキスあるいは、ピューレなどを含むものであり、市販品を使用しても良い。本発明の果汁含有飲料は、飲料全体に対する果汁量が0.5~30.0質量%であることを特徴とする。このような範囲であれば、果汁感が強すぎず、爽快感を感じることができる。好ましくは、1.0~20.0質量%、更に好ましくは2.0~15.0質量%とする。好ましくは、使用する果汁の種類は1又は複数の混合でもよく、果汁の原料となる果実の種類としては、本発明の効果が発揮される限りにおいて特に限定されることなく、例えば、イチゴ、キウイフルーツ、ブドウ、リンゴ、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ナシ、ライチ、メロン、西洋ナシ、柑橘類果実類(オレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、シークワーサー、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等)等が挙げられるが、バラ科サクラ属のものが好ましい。バラ科サクラ属の果実としては、ウメ、アンズ、サクランボ、スモモ類、ネクタリン、プルーン、モモ等を挙げることが出来るが、好ましくはウメである。ウメは、発明の果汁含有飲料が演出しようとする「酸味と甘味のバランス」が最も理想的な風味を有しているからである。
更に好ましくは、ウメ及びそれ以外の果汁を含有させる場合、ウメ以外の果汁の使用量が、飲料全体に対して0~10.0質量%、より好ましくは0~5.0質量%となるようにする。このようにすることにより、ウメの理想的な酸味と甘味のバランスを大きく崩すことなく、ウメ風味が程よく感じられる飲料となるからである。なお、本発明において、濃縮物を使用した場合は、ストレート換算した値を含有量とする。」
ウ 甲第15号証の記載
(15a)「【請求項1】
塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造に際して、レモン果汁を添加・含有させ、飲料のpHを調整することにより、飲料の微生物管理の向上と香味バランスの保持を行うことを特徴とする塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項2】
塩基性アミノ酸が、オルニチン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、シトルリン、γ-アミノ酪酸、及びそれらの塩から選択される塩基性アミノ酸の1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項3】
塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造に際して、レモン果汁と共に、酸性化合物を添加・含有させ、飲料のpHを調整することにより、飲料の微生物管理の向上と香味バランスの保持することを特徴とする請求項1又は2記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項4】
酸性化合物が、クエン酸、リン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フマル酸、フィチン酸、及びビタミンCから選択される酸性化合物の1種又は2種以上であることを特徴とする請求項3記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項5】
飲料のpHの調整により、pH2.0~4.6とすることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項6】
塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料における塩基性アミノ酸の添加量が、0.01~10.0重量%であることを特徴とする請求項1~5のいずれか記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項7】
塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料におけるレモン果汁の添加量が、ストレート果汁換算で0.5~10.0重量%であることを特徴とする請求項1~6のいずれか記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造に際して、甘味料を添加することを特徴する塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項9】
甘味料が、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、サッカリン、アスパルテーム、及びステビアから選択される甘味料の1種又は2種以上であることを特徴とする請求項8記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項10】
塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造工程において、(A)飲料原料に塩基性アミノ酸を添加する工程、及び(B)飲料原料にレモン果汁を添加する工程を設けたことを特徴とする請求項1記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項11】
塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造工程において、(A)飲料原料に塩基性アミノ酸を添加する工程、及び(B)飲料原料にレモン果汁を添加する工程に、更に、(C)飲料原料に酸性化合物を添加する工程を設けたことを特徴とする請求項3記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか記載の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法によって製造された飲料の微生物管理の向上と香味バランスを保持した塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料。」
(15b)「【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、オルニチン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、シトルリン、GABA(γ-アミノ酪酸)、及びそれらの塩のような塩基性アミノ酸を健康機能有効成分として含有する塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料において、容器詰め飲料の微生物増殖抑制の手段としてのpH調整と、その場合に生じる飲料の香味バランスのくずれを防止して、飲料の微生物管理の向上と香味バランスの保持とを両立させた塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料、及びその製造方法を提供することにある。」
(15c)「【0032】
本発明において、酸性化合物の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料への添加量は、飲料の種類や塩基性アミノ酸の添加率、レモン果汁の添加量、目的とするpHにより異なるが、一般的には内容物100重量%に対し、10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
・・・
【0034】
本発明の容器詰め飲料は、糖類、糖アルコール類や甘味料をさらに含むことができる。糖類としては、ショ糖、果糖、ブドウ糖などが挙げられる。糖類の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料への添加率は、飲料の種類などにより異なるが、一般的には内容物100重量%に対し、例えばショ糖であれば0.1~20.0%、果糖であれば0.1~20.0%、ブドウ糖であれば0.1~20.0%添加することができる。糖アルコールとしては、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトールなどが挙げられる。糖アルコール類の塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料への添加率は、飲料の種類などにより異なるが、一般的には内容物100重量%に対し、例えばエリスリトールであれば0.1~15.0%添加することができる。」
エ 甲第18号証の記載
(18a)「【請求項1】 アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料。」
(18b)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】アルコール飲料において、ボディ感や味の幅があり、爽快で、のどの渇きをいやし、かつ、アルコール飲料の持つ良さと水が持つのどの渇きをいやす効果を併せ持つようなアルコール飲料はいまだ開発されていない。」
(18c)「【0019】
【表1】
[図:0001392008000007.jpg]
」
オ 甲第19号証の記載
(19a)甲第19号証には、果汁飲料の農林規格として、第2条の(定義)において、濃縮果汁の定義、濃縮レモンの定義が「レモンの濃縮果汁をいう。」と記載され、果汁入り飲料の定義の記載がある。」
(2)甲第13、14、15、18、19号証記載の発明について
ア 甲第13号証に記載された発明
甲第13号証には、請求項1に「糖度が0.5~21.0であり、糖酸比が1.0~30.0であり、かつpHが2.0~4.0であることを特徴とする容器詰果汁含有飲料。」との記載があるものの(摘記(13a))、甲第13号証全体の記載からみて(摘記(13b)、摘記(13c))、ウメが本来有する爽やかな酸味とほのかな甘味の絶妙な呈味バランスを楽しむことができる容器詰果汁含有飲料を提供することを目的とするものであり、請求項4の果汁がウメを含むことを前提とするものであり、請求項1を引用する請求項2をさらに引用する請求項3をさらに引用する請求項4に係る発明として、以下の発明が認定できるといえる。
「糖度が0.5~21.0であり、糖酸比が1.0~30.0であり、かつpHが2.0~4.0であり、酸度が0.1~3.0であり、飲料全体に対する果汁量が0.5~30.0質量%である果汁がウメを含む容器詰果汁含有飲料。」(以下「甲13発明」という。)
また、その容器詰果汁含有飲料の製造方法として、以下の発明も認定できるといえる。
「糖度が0.5~21.0であり、糖酸比が1.0~30.0であり、かつpHが2.0~4.0であり、酸度が0.1~3.0であり、飲料全体に対する果汁量が0.5~30.0質量%である果汁がウメを含む容器詰果汁含有飲料の製造方法。」(以下「甲13製造方法発明」という。)
イ 甲第14号証に記載された発明
甲第14号証には、請求項1に「糖度が0.5~21.0であり、糖酸比が1.0~30.0であり、かつpHが2.0~4.0であり、飲料全体に対する果汁量が0.5~30.0質量%であることを特徴とする容器詰果汁含有飲料。」との記載があるものの(摘記(14a))、甲第14号証全体の記載からみて(摘記(14b)摘記(14c)摘記(14d))、ウメが本来有する爽やかな酸味とほのかな甘味の絶妙な呈味バランスを楽しむことができる容器詰果汁含有飲料を提供することを目的とするものであり、請求項3の果汁がウメを含むことを前提とするものであり、請求項1を引用する請求項2をさらに引用する請求項3に係る発明として、以下の発明が認定できるといえる。
「糖度が0.5~21.0であり、糖酸比が1.0~30.0であり、かつpHが2.0~4.0であり、飲料全体に対する果汁量が0.5~30.0質量%であり、酸度が0.1~3.0である果汁がウメを含む容器詰果汁含有飲料。」(以下「甲14発明」という。)
また、その容器詰果汁含有飲料の製造方法として、以下の発明も認定できるといえる。
「糖度が0.5~21.0であり、糖酸比が1.0~30.0であり、かつpHが2.0~4.0であり、酸度が0.1~3.0である果汁がウメを含む容器詰果汁含有飲料の製造方法。」(以下「甲14製造方法発明」という。)
ウ 甲第15号証に記載された発明
甲第15号証には、請求項1を引用する請求項3をさらに引用する請求項4に係る発明及び該発明をさらに引用する請求項12に係る発明として以下の発明が認定できるといえる。
「塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造に際して、レモン果汁と共に、クエン酸、リン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フマル酸、フィチン酸、及びビタミンCから選択される酸性化合物の1種又は2種以上を添加・含有させ、飲料のpHを調整することにより、飲料の微生物管理の向上と香味バランスの保持を行う塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法。」(以下「甲15製造方法発明」という。)
「塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造に際して、レモン果汁と共に、クエン酸、リン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フマル酸、フィチン酸、及びビタミンCから選択される酸性化合物の1種又は2種以上を添加・含有させ、飲料のpHを調整することにより、飲料の微生物管理の向上と香味バランスの保持を行う塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料の製造方法によって製造された飲料」(以下「甲15発明」という。)
エ 甲第18号証に記載された発明
甲第18号証には、請求項1に係る発明として以下の発明が認定できるといえる。
「アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有するアルコール飲料。」(以下「甲18発明」という。)
また、そのアルコール飲料の製造方法として、以下の発明も認定できるといえる。
「アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有するアルコール飲料の製造方法。」(以下「甲18製造方法発明」という。)
オ 甲第19号証に記載された発明
甲第19号証には、以下の発明が認定できるといえる。
「レモンの濃縮果汁入り飲料」(以下「甲19発明」という。)
「レモンの濃縮果汁入り飲料の製造方法」(以下「甲19製造方法発明」という。)
(3)本件特許発明と甲第13、14、15、18、19号証の記載の発明との対比・判断
ア 本件特許発明と甲第13号証記載の発明との対比・判断について
(ア)本件特許発明と甲第13号証記載の発明との対比・判断
本件特許発明からは、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料が除かれているのであるから、本件特許発明と甲第13号証記載の発明(甲13発明又は甲13製造方法発明)との対比において、その点で実質的に相違している。
また、摘記(13b)に記載されているとおり、甲第13号証は、ウメが本来有する爽やかな酸味とほのかな甘味の絶妙な呈味バランスを楽しむことができる容器詰果汁含有飲料を提供することを目的とするものであるから、甲13発明又は甲13製造方法発明において、その構成を敢えて変更する動機付けはなく、本願特許発明の構成全体によって、予測できない顕著な効果を奏しているのであるから、本件特許発明は、甲第13号証記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)したがって、異議申立理由3-4、4-4には、理由がない。
イ 本件特許発明と甲第14号証記載の発明との対比・判断について
(ア)本件特許発明と甲第14号証記載の発明との対比・判断
本件特許発明からは、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料が除かれているのであるから、本件特許発明と甲第14号証記載の発明(甲14発明又は甲14製造方法発明)との対比において、その点で実質的に相違している。
また、摘記(14b)に記載されているとおり、甲第14号証は、ウメが本来有する爽やかな酸味とほのかな甘味の絶妙な呈味バランスを楽しむことができる容器詰果汁含有飲料を提供することを目的とするものであるから、甲14発明又は甲14製造方法発明において、その構成を敢えて変更する動機付けはなく、本願特許発明の構成全体によって、予測できない顕著な効果(本件特許明細書【0014】【0015】表1~5)を奏しているのであるから、本件特許発明は、甲第14号証記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)したがって、異議申立理由3-5、4-5には、理由がない。
ウ 本件特許発明と甲第15号証記載の発明との対比・判断について
(ア)本件特許発明1~3と甲15発明との対比・判断
a 本件特許発明1と甲15発明とを対比
本件特許発明1と甲15発明とを対比すると、
「レモン果汁と共に、酸性化合物の1種又は2種以上を添加・含有させる容器詰め飲料。」の点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-15-1:本件特許発明1においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、甲15発明においては、飲料に「塩基性アミノ酸」を含有し、「レモン果汁と共に、クエン酸、リン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フマル酸、フィチン酸、及びビタミンCから選択される酸性化合物の1種又は2種以上を添加・含有させ」ることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-15-1:本件特許発明1においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である」ことが特定されているのに対して、甲15発明においては、飲料に「塩基性アミノ酸」を含有し、「レモン果汁と共に、クエン酸、リン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フマル酸、フィチン酸、及びビタミンCから選択される酸性化合物の1種又は2種以上を添加・含有させ」ることは特定されているものの、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合」が特定されていない点。
相違点3-15-1:本件特許発明1においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、甲15発明においては、そのような特定のない点。
相違点1-15-1、相違点2-15―1の判断について
甲15発明は、飲料の糖酸比の範囲や果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を特定したものではないし、甲第15号証の記載をみても、記載されているに等しいとすることはできないし、優先日時点の技術常識も存在しないので、相違点1-15-1、相違点2-15―1は、実質的な相違点である。
また、甲第15号証は、「オルニチン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、シトルリン、GABA(γ-アミノ酪酸)、及びそれらの塩のような塩基性アミノ酸を健康機能有効成分として含有する塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料において、容器詰め飲料の微生物増殖抑制の手段としてのpH調整と、その場合に生じる飲料の香味バランスのくずれを防止して、飲料の微生物管理の向上と香味バランスの保持とを両立させた塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料、及びその製造方法を提供する」(摘記(15b))を課題とするものであって、甲15発明において、敢えて飲料の糖酸比の範囲や果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を本件特許発明1の範囲とする動機付けはない。
そして、本件特許発明1は、その構成全体によって、予測できない顕著な効果(本件特許明細書【0014】【0015】表1~5)を奏しているのであるから、本件特許発明は、甲第15号証記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
特許異議申立人は、特許異議申立書58~60頁において、レモン果汁含有量や砂糖含有量を仮定して、糖酸比や果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を計算して、新規性・進歩性の主張をしているが、そのような前提を仮定する根拠はなく、上記特許異議申立人の主張を採用することはできない。
b 本件特許発明2又は3と甲15発明との対比・判断
本件特許発明2又は3と甲15発明との対比においても、本件特許発明1と甲15発明との対比で認定されたのと同様の一致点・相違点が認定できる(本件特許発明2(又は本件特許発明2を引用する本件特許発明3)との対比においては、本件特許発明1と甲15発明との対比とは、除く範囲が異なっている点と、砂糖の含有量に関する相違点がさらに追加する点で異なっている。)。
そして、上記aで検討したのと同様に、本件特許発明2~3は、甲第15号証に記載された発明とはいえないし、甲第15号証記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(イ)本件特許発明4と甲15製造方法発明との対比・判断
a 本件特許発明4と甲15製造方法発明とを対比
本件特許発明4と甲15製造方法発明とを対比すると、甲15製造方法発明においても、原材料を配合する工程を有することは明らかであるので、
「レモン果汁と共に、酸性化合物の1種又は2種以上を添加・含有させ、原材料を配合する工程を有する容器詰め飲料の製造方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-15-4:本件特許発明4においては、「飲料の糖酸比が2.0~8.0であ」ることが特定されているのに対して、甲15製造方法発明においては、飲料に「塩基性アミノ酸」を含有し、「レモン果汁と共に、クエン酸、リン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フマル酸、フィチン酸、及びビタミンCから選択される酸性化合物の1種又は2種以上を添加・含有させ」ることは特定されているものの、飲料の糖酸比の範囲が特定されていない点。
相違点2-15-4:本件特許発明4においては、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合が50重量%以下である」ことが特定されているのに対して、甲15製造方法発明においては、飲料に「塩基性アミノ酸」を含有し、「レモン果汁と共に、クエン酸、リン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フマル酸、フィチン酸、及びビタミンCから選択される酸性化合物の1種又は2種以上を添加・含有させ」ることは特定されているものの、「果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合」が特定されていない点。
相違点3-15-4:本件特許発明4においては、「(但し、グラニュー糖1.3質量%、アセスルファムカリウム0.013質量%、スクラロース0.0088質量%、はちみつ1質量%、レモン透明果汁0.4質量%、無水クエン酸0.12質量%、クエン酸三ナトリウム0.11質量%、L-アスコルビン酸0.04質量%、マリーゴールド色素0.04質量%、香料0.2質量%及び水を含み、pHが3.4である加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料、ウメの果汁を含有する容器詰果汁含有飲料、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有することを特徴とするアルコール飲料、高甘昧度甘味料と、柑橘類果汁と、マルチトールとを含む、希釈して飲用するアルコール飲料ベースであって、(A)糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が、1.5w/w%未満;(B)アルコール度数が10~40v/v%;及び(C)マルチトールの含有量が0.027~2.16w/v%;である、前記アルコール飲料ベース、酸味料と、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンとを含有することを特徴とする飲料、合計100質量部あたり、クエン酸2質量部、高果糖液糖8質量部、蜂蜜5質量部、レモン果汁20質量部、及び水65質量部を含有するレモン飲料、並びに、レモン果汁30.0重量%、砂糖14.0重量%、アスコルビン酸1.0重量%、及びクエン酸0.15重量%を含有し、酸量が2.3重量%である、清涼飲料を除く。)」との特定がなされているのに対して、甲15製造方法発明においては、そのような特定のない点。
相違点1-15-4、相違点2-15―4の判断について
甲15製造方法発明は、飲料の糖酸比の範囲や果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を特定したものではないし、甲第15号証の記載をみても、記載されているに等しいとすることはできないし、出願時の技術常識も存在しないので、相違点1-15-4、相違点2-15―4は、実質的な相違点である。
また、甲第15号証は、「オルニチン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、シトルリン、GABA(γ-アミノ酪酸)、及びそれらの塩のような塩基性アミノ酸を健康機能有効成分として含有する塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料において、容器詰め飲料の微生物増殖抑制の手段としてのpH調整と、その場合に生じる飲料の香味バランスのくずれを防止して、飲料の微生物管理の向上と香味バランスの保持とを両立させた塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料、及びその製造方法を提供する」(摘記(15b))を課題とするものであって、甲15製造方法発明において、敢えて飲料の糖酸比の範囲や果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を本件特許発明4の範囲とする動機付けはない。
そして、本件特許発明4は、その構成全体によって、予測できない顕著な効果(本件特許明細書【0014】【0015】表1~5)を奏しているのであるから、本件特許発明4は、甲第15号証記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
特許異議申立人は、特許異議申立書61頁において、甲第16号証、甲第17号証を指摘して、レモン果汁、砂糖を含み飲料中の果汁含有量が30重量/体積%以下の飲料が周知であり、本件特許発明4の進歩性欠如に関する主張をしているが、上記証拠にたまたまそのような飲料が記載されているからといって、上述の進歩性の結論には影響がなく、上記特許異議申立人の主張を採用することはできない。
(ウ)まとめ
本件特許発明1~4は、甲第15号証に記載された発明とはいえないし、甲第15号証記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないので、異議申立理由3-6、異議申立理由4-6には、理由がない。
エ 本件特許発明と甲第18号証記載の発明との対比・判断について
(ア)本件特許発明と甲第18号証記載の発明との対比・判断
本件特許発明からは、アルコール濃度が0.1~12v/v%であり、かつ、苦味物質及び塩類を含有するアルコール飲料が除かれているのであるから、本件特許発明と甲第18号証記載の発明(甲18発明又は甲18製造方法発明)との対比において、その点で実質的に相違している。
また、摘記(18b)に記載されているとおり、甲第18号証は、アルコール飲料において、ボディ感や味の幅があり、爽快で、のどの渇きをいやし、かつ、アルコール飲料の持つ良さと水が持つのどの渇きをいやす効果を併せ持つようなアルコール飲料を提供することを目的とするものであるから、甲18発明又は甲18製造方法発明において、その構成を敢えて変更する動機付けはなく、本願特許発明の構成全体によって、予測できない顕著な効果(本件特許明細書【0014】【0015】表1~5)を奏しているのであるから、本件特許発明は、甲第18号証記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)まとめ
本件特許発明は、甲第18号証に記載された発明とはいえないし、甲第18号証記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないので、異議申立理由3-7、異議申立理由4-7には、理由がない。
オ 本件特許発明と甲第19号証記載の発明との対比・判断について
甲19発明は、レモンの濃縮果汁入り飲料であり、甲19製造方法発明は、レモンの濃縮果汁入り飲料の製造方法であるところ、果汁飲料の日本農林規格にすぎない甲19号証には、本件特許発明の発明特定事項である、糖酸比や果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合に関する記載や示唆がないのであるから、甲第10~15号証や甲第18号証という甲第19号証に適用する動機付けのない別の文献を組み合わせて、本件特許発明の上記発明特定事項を特定したり、除く範囲の特定をすることは、当業者が容易なし得た技術的事項であるとはいえない。
また、本件特許発明は、その構成全体によって、予測できない顕著な効果(本件特許明細書【0014】【0015】表1~5)を奏しているのであるから、本件特許発明は、甲第19号証記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ウ)まとめ
本件特許発明1~4は、甲第19号証記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないので、異議申立理由4-8には、理由がない。
カ 異議申立理由4-1、4-2、4-3(甲第10号証、甲第11号証、甲第12号証からの進歩性欠如の理由)について
特許異議申立人は、異議申立理由4-1、4-2、4-3において、本件特許発明は、それぞれ、甲第10号証に記載された発明、甲第11号証に記載された発明、甲第12号証に記載された発明から、糖酸比、果汁含有量、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を適宜調製することにより、当業者が容易に発明をすることができた旨主張している。
しかしながら、甲第10号証に記載された発明、甲第11号証に記載された発明、甲第12号証に記載された発明は、それぞれ、各発明の課題に基づいてなされたもので、動機付けなく糖酸比、果汁含有量、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を本件特許発明の特定事項の範囲に適宜調製する設計思想も存在しないので、当業者が容易に発明をすることができたとはいえず、特許異議申立人の主張は採用できず、異議申立理由4-1、4-2、4-3には、理由がない。
4 特許異議申立人の意見書の主張について
(1)特許異議申立人は、意見書において、可溶性固形分の種類による風香味の変化(ニンニクフレーバーを用いた場合を例として)、酸の種類による風香味や適度な酸味の変化(酢酸を多く使用した場合を例として)、請求項1~4に係る発明がサポート要件を満たさない旨くり返し主張している。
しかしながら、特許異議申立人の主張は、極端な場合を想定して、風香味が同等でないことを主張しているにすぎず、可溶性固形分の種類や酸の種類によって風香味が一定程度変化することが技術常識であるとしても、当業者は該技術常識に基づいて、各種類を選択すればよく、本件特許明細書の一般的記載や具体例の記載及び技術常識を参考にすれば、請求項1~4に係る発明の課題が一定程度解決できることを当業者は認識できるといえる。
(2)特許異議申立人は、意見書において、甲第10号証~甲第12号証(刊行物1~3)に関する新規性・進歩性欠如の主張として、甲第11号証の比較例2との対比における新規性欠如、甲第10号証記載の発明から嗜好性等を勘案して単糖類等を増やすこと、甲第11号証記載の発明から嗜好性等を勘案して配合成分の変更をすること、甲第12号証記載の発明において、安定性向上のため、アスコルビン酸の含有量を増やすことや嗜好性等のために砂糖やクエン酸の量を適宜調整することは、当業者が容易になし得るため、本件訂正によって、除かれた部分を考慮しても、進歩性欠如の理由が依然として存在する旨主張している。
しかしながら、本件訂正によって、甲第11号証の比較例2に係る発明を含めて新規性を欠如する部分は除かれたのであるから、上記特許異議申立人の新規性欠如の理由は解消しているし、特許異議申立人の甲第10号証~甲第12号証(刊行物1~3)記載の発明に基づく進歩性欠如の理由は、それぞれ、甲第10号証~甲第12号証記載の各発明の課題に基づいた動機付けがない状態で、糖酸比、果汁含有量、果汁に由来する可溶性固形分の飲料全体の可溶性固形分に占める割合を本件特許発明の特定事項の範囲に適宜調製する設計思想も存在しないので、当業者が容易に発明をすることができたとはいえないことは上述のとおりである。
5 取消理由で採用しなかった特許異議申立理由についてのまとめ
したがって、異議申立理由1(サポート要件)、異議申立理由2(実施可能要件)、異議申立理由3(甲第13~15、18号証に基づく新規性欠如)、異議申立理由4(甲第13~15、18号証及び周知技術(甲第16、17号証)に基づく進歩性欠如)の関する許異議申立理由には、理由がない。
第6 むすび
以上のとおり、本件の請求項1~4に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人が申立てた理由及び証拠によっては、取り消されるべきものとはいえない。
また、ほかに本件の請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700873