特許異議申立
2025-700023
緑茶飲料
- 審判番号
- 2025-700023
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-026084
- 登録番号
- 7505893
- 請求日
- 2024年12月25日
- 審決日
- 2026年03月25日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人創英
- 【権利者代理人】長谷川 芳樹
- 【権利者代理人】清水 義憲
- 【権利者代理人】坂西 俊明
- 【異議申立人】山口 幸子
- 審判長/審判官
- 審判長 植前 充司
- 審判官 水野 明梨
- 審判官 加藤 友也
- 分類
- P1652.113-YAA(A23F) / P1652.121-YAA(A23F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7505893号発明「緑茶飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7505893号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1~2〕、〔3~6〕について訂正することを認める。
特許第7505893号の請求項〔1~2〕に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7505893号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和2年2月19日の出願であって、令和6年6月17日にその特許権の設定登録(請求項の数4)がされ、同年同月25日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対して、同年12月25日に特許異議申立人山口 幸子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~2)がなされたものである。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和7年 4月 9日付け:取消理由通知
同年 6月 6日 :訂正請求書及び意見書(特許権者)
同年 7月 2日 :訂正請求があった旨の通知
(特許法第120条の5第5項)
同年 8月 6日 :意見書(申立人)
同年 同月25日付け:手続補正指令(方式)
同年 9月 8日 :訂正請求書の手続補正書(方式)
同年11月14日付け:取消理由通知(決定の予告)
令和8年 1月 9日 :訂正請求書及び意見書(特許権者)
なお、令和7年6月6日に提出され、同年9月8日に提出された手続補正書により補正された訂正請求書による訂正請求については、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。以下、令和8年1月9日に提出された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。
また、本件は、既に申立人に意見書を提出する機会が与えられている場合であって、訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、事件において提出された全ての証拠や意見等を踏まえてさらに審理を進めたとしても特許を維持すべきとの結論となると合議体が判断したため、特許法第120条の5第5項ただし書きの「特別の事情があるとき」に該当し、改めて特許異議申立人に意見書を提出する機会を与えないものとする。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求の趣旨は、「特許第7505893号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求める。」というものであり、本件訂正の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「非重合カテキンの含有量が336.6mg/L以下であり、」とあるのを、「非重合カテキンの含有量が150mg/L以上336.6mg/L以下であり、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「単糖、二糖及び三糖の合計含有量が100mg/L以上200mg/L以下である」とあるのを、「単糖、二糖及び三糖の合計含有量が120mg/L以上155mg/L以下である」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「緑茶飲料」とあるのを、「緑茶飲料(但し、茶葉を原料とするほうじ茶飲料を除き、かつジャスミン茶飲料を除く。)」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3に「酸性アミノ酸を含有し、酸性アミノ酸の含有量に対する非重合カテキンの含有量の比(非重合カテキンの含有量/酸性アミノ酸の含有量)が18以上29以下である、請求項1又は2に記載の緑茶飲料。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、「酸性アミノ酸、非重合カテキン、単糖、二糖及び糖を含有し、非重合カテキンの含有量が336.6mg/L以下であり、単糖、二糖及び三糖の合計含有量が100mg/L以上200mg/L以下であり、酸性アミノ酸の含有量に対する非重合カテキンの含有量の比(非重合カテキンの含有量/酸性アミノ酸の含有量)が18以上29以下である、緑茶飲料。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する)。
特許請求の範囲の請求項3に「酸性アミノ酸を含有し、酸性アミノ酸の含有量に対する非重合カテキンの含有量の比(非重合カテキンの含有量/酸性アミノ酸の含有量)が18以上29以下である、請求項1又は2に記載の緑茶飲料。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、「非重合カテキンの合有量が155mg/L以上336.6mg/L以下である、請求項3に記載の緑茶飲料。」と記載し、新たに請求項5とする。
特許請求の範囲の請求項4に「酸性アミノ酸の含有量に射する非重合カテキンの含有量の比が20以上27以下である、請求項3に記載の緑茶飲料。」とあるうち、請求項2を引用する請求項3を引用するものについて、「酸性アミノ酸の含有量に対する非重合カテキンの含有量の比が20以上27以下である、請求項5に記載の緑茶飲料。」と記載し、新たに請求項6とする。
(5)一群の請求項について、及び、別の訂正単位とすることの求め
訂正前の請求項1~4について、請求項2~4は請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであるから、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
なお、特許権者から、訂正後の請求項3~6については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することの求めがある。
2 訂正の適否
(1)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
ア 訂正事項1~3について
訂正事項1~3による、請求項1についての訂正は、本件訂正前の請求項1に記載されていた「非重合カテキンの含有量が336.6mg/L以下であり、」といる発明特定事項を、願書に添付した明細書の[0017]等の記載に基づいて「非重合カテキンの含有量が150mg/L以上336.6mg/L以下であり、」に訂正するものと、「単糖、二糖及び三糖の合計含有量が100mg/L以上200mg/L以下である」という発明特定事項を、願書に添付した明細書の[0022]等の記載に基づいて「単糖、二糖及び三糖の合計含有量が120mg/L以上155mg/L以下である」に訂正するものと、本件訂正前の請求項1に記載されていた「緑茶飲料」という発明特定事項を、「緑茶飲料(但し、茶葉を原料とするほうじ茶飲料を除き、かつジャスミン茶飲料を除く。)」に訂正するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
そして、訂正事項1~3による、請求項1についての訂正は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項1の記載を引用する請求項2の訂正についても同様である。
イ 訂正事項4について
訂正事項4による、請求項3についての訂正は、本件訂正前の請求項3に記載されていた発明のうち、訂正前の請求項1を引用するものについて独立形式に改め、訂正前の請求項2を引用するものについて削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、訂正事項4による、請求項3についての訂正は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項3の記載を引用する請求項4についての訂正についても同様である。
訂正事項4による、請求項5についての訂正は、本件訂正前の請求項3に記載されていた発明のうち、訂正前の請求項2を引用するものが、請求項3において削除されたことに伴い、訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項3について訂正後の請求項3を引用するかたちで新たな請求項5としたものであり、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、訂正事項4による、請求項5についての訂正は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項5の記載を引用する請求項6についての訂正についても同様である。
(2)独立特許要件について
本件においては、訂正前の請求項1~2に対して特許異議の申立てがなされており、訂正前の請求項1~2に係る訂正事項1および訂正事項2については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
一方、請求項3~6は特許異議申立の対象ではなく、請求項3~6についての本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、独立特許要件が課される。
しかしながら、特許異議申立において提出された証拠等を検討しても、訂正後の請求項3~6について、特許出願の際に独立して特許を受けることができなかったとする理由を発見しない。また、訂正後の請求項3~6について、他に特許を受けることができない理由も発見しないから、訂正後の請求項3~6は独立特許要件を満たしている。
(3)別の訂正単位とすることの求めについて
上記のとおり、訂正前の請求項1~4の訂正は認められるため、請求項3~6に係る訂正は、請求項1~2とは別の訂正単位とすることを認める。
3 訂正請求についてのまとめ
以上のとおり、請求項1~2についての本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
また、請求項3~6についての本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであり、加えて、独立特許要件を満たすから、特許法第120条の5条第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
よって、訂正後の請求項〔1~2〕、〔3~6〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明6」という。まとめて、「本件特許発明」ということもある。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
非重合カテキン、単糖、二糖及び三糖を含有し、
非重合カテキンの含有量が150mg/L以上336.6mg/L以下であり、かつ
単糖、二糖及び三糖の合計含有量が120mg/L以上155mg/L以下である、緑茶飲料(但し、茶葉を原料とするほうじ茶飲料を除き、かつジャスミン茶飲料を除く。)。
【請求項2】
非重合カテキンの含有量が155mg/L以上336.6mg/L以下である、請求項1に記載の緑茶飲料。
【請求項3】
酸性アミノ酸、非重合カテキン、単糖、二糖及び三糖を含有し、
非重合カテキンの合有量が336.6mg/L以下であり
単糖、二糖及び三糖の合計含有量が100mg/L以上200mg/L以下であり、
酸性アミノ酸の含有量に対する非重合カテキンの含有量の比(非重合カテキンの含有量/酸性アミノ酸の含有量)が18以上29以下である、緑茶飲料。
【請求項4】
酸性アミノ酸の含有量に対する非重合カテキンの含有量の比が20以上27以下である、請求項3に記載の緑茶飲料。
【請求項5】
非重合カテキンの含有量が155mg/L以上336.6mg/L以下である、請求項3に記載の緑茶飲料。
【請求項6】
酸性アミノ酸の含有量に対する非重合カテキンの含有量の比が20以上27以下である、請求項5に記載の緑茶飲料。」
第4 特許異議申立理由の概要
申立人は、証拠方法として下記2に示す甲第1号証~甲第8号証(以下、「甲1」~「甲8」という。)を提出し、概略、以下の特許異議申立理由を主張している。なお、特許異議申立理由は当審でまとめ、番号を仮に付与した。
1 特許異議申立理由
(1)申立理由1(甲1に基づく新規性・進歩性欠如)
本件特許発明1~2は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではないか、甲1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法同条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2)申立理由2(甲4に基づく新規性・進歩性欠如)
本件特許発明1~2は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではないか、甲4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法同条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(3)申立理由3(甲5に基づく新規性・進歩性欠如)
本件特許発明1~2は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではないか、甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法同条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
2 証拠方法
・甲第1号証:国際公開第2010/098391号
・甲第2号証:「茶芽の生育中及び緑茶製造中における成分変化」, 野菜・茶業試験場研究報告.B,茶業,農林水産省野菜・茶業試験場, 1991年3月, 4号,pp.25-91
・甲第3号証:”Characterization of commercial green tea leaves by theanalysis of low molecular weight carbohydrates and other quality
indicators”, Food Chemistry, 2019, vol.290, pp.159-167
・甲第4号証:国際公開第2010/098390号
・甲第5号証:特開2015-116168号公報
・甲第6号証:「茉莉花茶 Jasmine tea」, 中華人民共和国国家規格, GB/T/22292-2017
・甲第7号証:「【銀竜入りプレミアムジャスミン茶15袋】 リラックスのひと時に~香り高いプレミアムなジャスミン茶ティーバッグ~ 品番7112」,UJIMORITOKU Online Store, ウェブページ印刷物, URL:<https://ujimoritoku.stores.jp/items/660e4d7632510f0af2fb755c>
・甲第8号証:「ジャスミン茶・茉莉銀竜/モーリーインハオ30g」, 清香花楼, ウェブページ印刷物, URL:<https://www.qingxianghualou.com/products/moliyinhao/>
なお、証拠の表示は当審による。
第5 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要
本件特許発明1~2についての特許に対して、令和7年11月14日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、以下のとおりである。
1 取消理由2(甲4に基づく新規性・進歩性欠如)
本件特許発明1~2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
第6 当審の判断
当審は、令和7年11月14日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)及び申立理由のいずれによっても、本件特許発明1又は本件特許発明2に係る特許を取り消すことはできないものと判断する。
1 申立理由1(甲1に基づく新規性・進歩性欠如)
(1)甲1に記載された事項
甲1には以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。
「[0011] 本容器詰ほうじ茶飲料は、焙煎した緑茶葉を抽出して得られた抽出液乃至抽出物を主成分とする液体を容器に充填してなる飲料であり、赤茶色を呈し、且つ特有の香ばしい香りを持つ茶飲料で、例えば焙煎した緑茶葉を抽出して得られた抽出液のみからなる液体、或いは当該抽出液を希釈した液体、或いは抽出液どうしを混合した液体、或いはこれら前記何れかの液体に添加物を加えた液体、或いはこれら前記何れかの液体を乾燥したものを分散させてなる液体などを挙げることができる。
「主成分」とは、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、緑茶を抽出して得られた抽出液乃至抽出物が、固形分濃度として、飲料中の50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に80質量%以上(100%含む)を占めるのが好ましい。」
「[0014] 単糖は、一般式C6(H2O)6で表される炭水化物であり、加水分解によりそれ以上簡単な糖にならないものであり、本発明でいう単糖は、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)を示すものである。
[0015] 二糖は、一般式C12(H2O)11で表される炭水化物であり、加水分解により単糖を生じるものであり、本発明でいう二糖は、スクロース(蔗糖)、セロビオース、マルトース(麦芽糖)を示すものである。
[0016] 単糖と二糖とを合わせた糖類の濃度(以下、糖類濃度という。)が60ppm~220ppmであることにより、常温で長期間保存した状態や冷めた状態で飲用しても、味と香りのバランスが保たれ、甘味やコクを有し、後味に苦渋味や雑味等の少ないものになる。
かかる観点から、糖類濃度は、好ましくは100ppm~200ppm、特に好ましくは155ppm~180ppmである。
糖類濃度を上記範囲に調整するには、茶葉の焙煎加工や抽出を適宜条件にして調整することができる。例えば、茶葉の焙煎加工を強くすると糖類は分解されて減少し、また、高温で長時間抽出すると糖類は分解されて減少する。しかるに、茶葉の焙煎条件と、抽出条件により糖類濃度を調整することができる。
この際、糖類を添加して調整することも可能であるが、ほうじ茶飲料の本来の香味バランスが崩れるおそれがあるため、糖類を添加することなく、茶抽出液を得るための条件を調整するほか、茶抽出液どうしの混合、或いは茶抽出物の添加などによって調整するのが好ましい。」
「[0020] 本容器詰ほうじ茶飲料における総カテキン類濃度は、90ppm~300ppmであるのが好ましい。
総カテキン類濃度は、特に100ppm~250ppmであるのがより好ましく、中でも特に100ppm~200ppmであるのがさらに好ましい。
この際、総カテキン類とは、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)及びエピガロカテキンガレート(EGCg)の合計8種の意味であり、総カテキン類濃度とは8種類のカテキン濃度の合計値の意味である。
総カテキン類濃度を上記範囲に調整するには、抽出条件で調整するようにすればよい。この際、カテキン類を添加して調整することも可能であるが、ほうじ茶飲料のバランスが崩れるおそれがあるため、茶抽出液を得るための条件を調整するほか、茶抽出液どうしの混合、或いは茶抽出物の添加などによって調整するのが好ましい。」
「[0037] 《評価試験1》
以下の抽出液A~Eを作製し、これらを用いて実施例1~4及び比較例1~4のほうじ茶飲料を作製し、官能評価をした。
[0038] (抽出液A)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型焙煎機で設定温度200℃、焙煎時間30分の条件にて焙煎加工を施し、その茶葉を、茶葉8g、50℃の熱水1L、抽出時間5.5分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Aを得た。
[0039] (抽出液B)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型焙煎機で設定温度300℃、焙煎時間10分の条件にて焙煎加工を施し、その茶葉を、茶葉7g、65℃の熱水1L、抽出時間7分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Bを得た。
[0040] (抽出液C)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型焙煎機で設定温度350℃、焙煎時間1分の条件にて焙煎加工を施し、その茶葉を、茶葉12g、90℃の熱水1L、抽出時間3.5分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Cを得た。
[0041] (抽出液D)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型焙煎機で設定温度370℃、焙煎時間1分の条件にて焙煎加工を施し、その茶葉を、茶葉11g、90℃の熱水1L、抽出時間3.5分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Dを得た。
[0042] (抽出液E)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型焙煎機で設定温度310℃、焙煎時間10分の条件にて焙煎加工を施し、その茶葉を、茶葉8g、90℃の熱水1L、抽出時間10分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Eを得た。」
「[0045] (配合)
各抽出液A~Eを、以下の表2に示す割合で配合し、アスコルビン酸を400ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、イオン交換水を加えて全量を1000mlに調整し、この液を耐熱性の透明容器(ビン)に充填して蓋をし、30秒間転倒殺菌し、レトルト殺菌F0値9以上(121℃、9分)を行い、直ちに20℃まで冷却し、実施例1~4及び比較例1~4のほうじ茶飲料を作製した。
[0046] [表2]
[図:0001436156000001.jpg]
[0047] [表3]
[図:0001436156000002.jpg]
」
「[0057] 《評価試験2》
以下の抽出液F,Gを作製し、これらを用いて実施例5~9のほうじ茶飲料を作製し、経時後の官能評価を行なった。
[0058] (抽出液F)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型焙煎機で設定温度355℃、焙煎時間1分の条件にて焙煎加工を施し、その茶葉を、茶葉11g、90℃の熱水1L、抽出時間3.5分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Fを得た。
[0059] (抽出液G)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型焙煎機で設定温度320℃、焙煎時間1分の条件にて焙煎加工を施し、その茶葉を、茶葉10g、90℃の熱水1L、抽出時間3分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Gを得た。」
「[0062] (配合)
抽出液F,Gを、以下の表5に示す割合で配合し、アスコルビン酸を400ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、イオン交換水を加えて全量を1000mlに調整し、この液を耐熱性の透明容器(ビン)に充填して蓋をし、30秒間転倒殺菌し、レトルト殺菌F0値9以上(121℃、9分)を行い、直ちに20℃まで冷却し、実施例5~9のほうじ茶飲料を作製した。実施例5~9のほうじ茶飲料の成分及びpHを測定した結果を下記表6に示す。糖類濃度、電子局在カテキン濃度、カフェイン濃度、総カテキン濃度、茶葉由来可溶性固形分濃度及びpHは、上記と同様に測定した。
[0063] [表5]
[図:0001436156000003.jpg]
[0064] [表6]
[図:0001436156000004.jpg]
」
「[0069] 《評価試験3》
以下の抽出液H,Iを作製し、これらを用いて実施例10~14のほうじ茶飲料を作製し、官能評価にて香味のバランスの評価を行った。
[0070] (抽出液H)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型焙煎機で設定温度355℃、焙煎時間1分の条件にて焙煎加工を施し、その茶葉を、茶葉11g、60℃の熱水1L、抽出時間3.5分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Hを得た。
[0071] (抽出液I)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型焙煎機で設定温度300℃、焙煎時間10分の条件にて焙煎加工を施し、その茶葉を、茶葉11g、93℃の熱水1L、抽出時間5分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Iを得た。」
「[0074] (配合)
抽出液H,Iを、以下の表8に示す割合で配合し、アスコルビン酸を400ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、イオン交換水を加えて全量を1000mlに調整し、この液を耐熱性の透明容器(ビン)に充填して蓋をし、30秒間転倒殺菌し、レトルト殺菌F0値9以上(121℃、9分)を行い、直ちに20℃まで冷却し、実施例10~14のほうじ茶飲料を作製した。実施例10~14のほうじ茶飲料の成分及びpHを測定した結果を下記表9に示す。糖類濃度、電子局在カテキン濃度、カフェイン濃度、総カテキン濃度、茶葉由来可溶性固形分濃度及びpHは、上記と同様に測定した。
[0075] [表8]
[図:0001436156000005.jpg]
[0076] [表9]
[図:0001436156000006.jpg]
」
(2)甲1に記載された発明
甲1の実施例1~7、10~12のほうじ茶飲料について、二糖と単糖との比(二糖/単糖)が有限であること、すなわちどちらか一方の含有量が0ではないことも考慮して整理すると、甲1には以下の発明が記載されている。
「総カテキン類と単糖と二糖を含有し、総カテキン類の濃度が155.4~245.8ppmであり、単糖と二糖とを合わせた糖類の濃度が111.7~182.2ppmである実施例1~7、10~12のほうじ茶飲料。」(当審注:実施例1~7、10~12については上記(1)参照。以下、「甲1発明」という。)
(3)本件特許発明1について
ア 本件特許発明1と甲1発明との対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「総カテキン類」は、甲1の[0020]を参酌すると「カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)及びエピガロカテキンガレート(EGCg)」を意味し、これらは非重合カテキンと認められるから、本件特許発明1の「非重合カテキン」に相当する。
また、甲1発明の成分濃度の単位である「ppm」は、本件特許発明1の「mg/L」に相当する。
してみると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
「非重合カテキン、単糖、二糖を含有し、非重合カテキンの含有量が150mg/L以上336.6mg/L以下である飲料。」
(相違点1-1)
本件特許発明1は、「三糖」を含有し、かつ、単糖、二糖及び三糖の合計含有量が120mg/L以上155mg/L以下であるのに対し、甲1発明は単糖と二糖とを合わせた糖類の濃度が111.7~182.2ppmである点。
(相違点1-2)
本件特許発明1は「緑茶飲料(但し、茶葉を原料とするほうじ茶飲料を除き、かつジャスミン茶飲料を除く。)」であるのに対し、甲1発明は「ほうじ茶」である点。
イ 相違点1-2について
事案に鑑み、相違点1-2について検討する。
相違点1-2は実質的な相違点である。
そして、甲1は「焙煎香が強く、あっさりしていて、しかもすっきりとした後味を備えており、冷めた状態でもおいしく飲用できる、新たな容器詰ほうじ茶飲料を提供」することを課題としている(甲1の[0007])ところ、甲1及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲1発明をほうじ茶以外の緑茶飲料とする動機はない。
よって、甲1発明において、相違点1-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
ウ 本件特許発明1についてのまとめ
以上のとおり、相違点1-2は実質的な相違点であり、甲1発明において相違点1-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たことではないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲1発明ではなく、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1の発明特定事項の全てを有し、さらに限定するものである。
そして、上記(3)のとおり、本件特許発明1は、甲1発明ではなく、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件特許発明2は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
2 申立理由2及び取消理由2(甲4に基づく新規性・進歩性欠如)
(1)甲4に記載された事項
甲4には以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。
「[0001] 本発明は、緑茶から抽出された緑茶抽出液を主成分とする緑茶飲料であって、これをプラスチックボトルや缶などに充填した容器詰緑茶飲料に関する。」
「[0017] 単糖は、一般式C6(H2O)6で表される炭水化物であり、加水分解によりそれ以上簡単な糖にならないものであり、本発明でいう単糖は、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)を示すものである。
[0018] 二糖は、一般式C12(H2O)11で表される炭水化物であり、加水分解により単糖を生じるものであり、本発明でいう二糖は、スクロース(蔗糖)、セロビオース、マルトース(麦芽糖)を示すものである。」
「[0021] 本容器詰緑茶飲料における総カテキン類濃度は、150ppm~600ppmであるのが好ましい。
総カテキン類濃度は、特に200ppm~500ppmであるのがより好ましく、中でも特に250ppm~400ppmであるのがさらに好ましい。
なお、カテキン濃度が高すぎると、香りが目立なくなるため、香りを特に重視する場合には、総カテキン類濃度は380ppm以下、特に350ppm以下であるのが好ましい。
この際、総カテキン類とは、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)及びエピガロカテキンガレート(EGCg)の合計8種の意味であり、総カテキン類とは8種類のカテキン濃度の合計値の意味である。
総カテキン類濃度を上記範囲に調整するには、抽出条件で調整するようにすればよい。
この際、カテキン類を添加して調整することも可能であるが、緑茶飲料のバランスが崩れるおそれがあるため、茶抽出液を得るための条件を調整するほか、茶抽出液どうしの混合、或いは茶抽出物の添加などによって調整するのが好ましい。」
「[0036] <評価試験1>
以下の抽出液A~Dを作成し、これらを用いて実施例1~3及び比較例1~6の緑茶飲料を作製し、その官能評価を行なった。
[0037] (抽出液A)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型火入機で設定温度90℃、乾燥時間30分の条件にて乾燥加工(火入加工)を施し、その茶葉を、茶葉5g、90℃の熱水1L、抽出時間3分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Aを得た。
[0038] (抽出液B)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型火入機で設定温度90℃、乾燥時間30分の条件にて乾燥加工(火入加工)を施し、その茶葉を、茶葉12g、90℃の熱水1L、抽出時間5分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Bを得た。
[0039] (抽出液C)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型火入機で設定温度280℃、乾燥時間10分の条件にて乾燥加工(火入加工)を施し、その茶葉を、茶葉20g、90℃の熱水1L、抽出時間5分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Cを得た。
[0040] (抽出液D)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型火入機で設定温度280℃、乾燥時間10分の条件にて乾燥加工(火入加工)を施し、その茶葉を、茶葉5g、90℃の熱水1L、抽出時間3分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Dを得た。
[0041] (抽出液の分析)
上記各抽出液の1/10量を量り取り、アスコルビン酸を400ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、イオン交換水を加えて全量を100mlに調整し、この液を耐熱性の透明容器(ビン)に充填して蓋をし、30秒間転倒殺菌し、レトルト殺菌F0値9以上(121℃、9分)を行い、直ちに20℃まで冷却した溶液を測定し、各抽出液の成分を分析した。
その分析結果を下記表1に示す。なお測定方法は下記に示すのと同様である。
[0042][表1]
[図:0001436156000007.jpg]
[0043](配合)
抽出液A~Dを、以下の表2に示す割合で配合し、アスコルビン酸を400ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、イオン交換水を加えて全量を1000mlに調整し、この液を耐熱性の透明容器(ビン)に充填して蓋をし、30秒間転倒殺菌し、レトルト殺菌F0値9以上(121℃、9分)を行い、直ちに20℃まで冷却し、実施例1~3及び比較例1~6の緑茶飲料を作製した。
[0044]
[表2]
[図:0001436156000008.jpg]
[0045]
[表3]
[図:0001436156000009.jpg]
[0046](分析)
実施例1~3及び比較例1~6の緑茶飲料の成分及びpHを以下に示したとおり測定した。その結果を上記表3に示す。」
「[0055] <評価試験2>
以下の抽出液E,Fを作成し、これらを用いて実施例4~8の緑茶飲料を作製し、経時後の官能評価を行った。
[0056] (抽出液E)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型火入機で設定温度300℃、乾燥時間8分の条件にて乾燥加工(火入加工)を施し、その茶葉を、茶葉8g、80℃の熱水1L、抽出時間3分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Eを得た。
[0057] (抽出液F)
摘採後の茶葉(やぶきた種、静岡県産1番茶)を、荒茶加工し、回転ドラム型火入機で設定温度330℃、乾燥時間1分の条件にて乾燥加工(火入加工)を施し、その茶葉を、茶葉12g、80℃の熱水1L、抽出時間2.5分の条件にて抽出した。この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過して茶殻を取り除いた後、さらに、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、その濾液を、SA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液Fを得た。
[0058] (抽出液の分析)
各抽出液E,Fの1/10量を量り取り、アスコルビン酸を400ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、イオン交換水を加えて全量を100mlに調整し、この液を耐熱性の透明容器(ビン)に充填して蓋をし、30秒間転倒殺菌し、レトルト殺菌F0値9以上(121℃、9分)を行い、直ちに20℃まで冷却した溶液を測定し、各抽出液の成分を分析した。
その分析結果を下記表4に示す。なお測定方法は上記に示すのと同様である。
[0059] [表4]
[図:0001436156000010.jpg]
[0060] (配合)
抽出液E,Fを、以下の表5に示す割合で配合し、アスコルビン酸を400ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、イオン交換水を加えて全量を1000mlに調整し、この液を耐熱性の透明容器(ビン)に充填して蓋をし、30秒間転倒殺菌し、レトルト殺菌F0値9以上(121℃、9分)を行い、直ちに20℃まで冷却し、実施例4~8の緑茶飲料を作製した。実施例4~8の緑茶飲料の成分を測定した結果を下記表6に示す。単糖濃度、二糖濃度、電子局在カテキン濃度、総カテキン濃度、カフェイン濃度及びpHは、上記と同様に測定した。
[0061] [表5]
[図:0001436156000011.jpg]
[0062] [表6]
[図:0001436156000012.jpg]
」
(2)甲4に記載された発明
甲4の実施例5~7及び比較例4の緑茶飲料について、二糖と単糖との比(二糖/単糖)が有限であること、すなわちどちらか一方の含有量が0ではないことも考慮して整理すると、甲4には以下の発明が記載されている。
「総カテキン類と単糖と二糖を含有し、総カテキン類の濃度が321.0、230.8、140.7又は216.2ppmであり、単糖と二糖とを合わせた糖類の濃度が167.7、155.3、142.8又は107.3ppmである実施例5~7、比較例4の緑茶飲料。」(以下、「甲4発明」という。)
(3)本件特許発明1について
ア 本件特許発明1と甲4発明との対比
本件特許発明1と甲4発明とを対比する。
甲4発明の「総カテキン類」は、本件特許発明1の「非重合カテキン」に相当し、甲4発明の成分濃度の単位である「ppm」は、本件特許発明1の「mg/L」に相当する。
してみると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
「非重合カテキン、単糖、二糖を含有する、緑茶飲料。」
(相違点4-1)
本件特許発明1は、「三糖」を含有し、かつ、単糖、二糖及び三糖の合計含有量が120mg/L以上200mg/L以下であるが、甲4発明はそのように特定されていない点。
(相違点4-2)
本件特許発明1は、「非重合カテキンの含有量が150mg/L以上336.6mg/L以下であり、」と特定するのに対し、甲4発明では、非重合カテキンに相当する総カテキン類の濃度が、321.0、230.8、140.7又は216.2ppmである点。
イ 相違点4-1及び相違点4-2について
まず、相違点4-1について検討する。
甲2には、甲4の実施例の緑茶飲料の茶葉と同じ品種である’やぶきた’について、異なる生育条件、異なる葉位、またほうじ操作に準じた加熱後においての遊離糖の含量を測定し、その測定結果がTable5,6,9,39に記載されているが、いずれの測定においても三糖であるラフィノースが測定されている。例えば、甲2のTable5の第1行目、すなわち遮光されずに4/23に採取された茶葉には、ラフィノースが40mg%含有され、また、単糖であるグルコースとフルクトースがそれぞれ173mg%と209mg%含有され、二糖であるスクロースが1216mg%含有されることが記載されている。また、この茶葉について、単糖と二糖の合計含有量に対する三糖の含有量の比率を計算すると、40/(1216+173+206)=0.0250であるが、Table5,6,9,39のすべての茶葉について同様に計算すると、単糖と二糖の合計含有量に対する三糖の含有量の比率は、0.0122~0.0678の範囲にある。
甲3には、主要な茶生産国の原産地である日本、韓国、イラン、ネパール、スリランカ、中国、ポルトガル、インドからの56種の市販緑茶葉について、低分子量炭水化物を分析し、国ごとの緑茶葉の低分子量炭水化物の平均値(標準偏差)の結果がTable2に記載されているが、いずれの測定においてもラフィノースが測定されている。例えば、Table2には日本産の緑茶葉について、3.45mg/gのラフィノースが含有され、4.97mg/gのグルコースが含有され、6.28mg/gのフルクトース含有され、35.24mg/gのスクロースが含有されることが記載されており、単糖と二糖の合計含有量に対する三糖の含有量の比率を計算すると、3.45/(4.97+6.28+35.24)=0.0742である。
してみると、緑茶葉の産地、生育条件、葉位に依らず、そして加熱後であっても、緑茶葉には、単糖と二糖の他に、三糖であるラフィノースが含まれているといえるから、甲1発明においても、単糖と二糖の他に、三糖が含有されている蓋然性が高い。また、甲1発明と同じ品種の緑茶葉を測定した甲2において、単糖と二糖の合計含有量に対する三糖の含有量の比率が、0.0122~0.0678の範囲にあり、品種についての記載はないが日本産の茶葉を測定した甲3においては0.0742であり、その比率は最大でも0.0742程度である。
甲4発明のうち、単糖と二糖の合計含有量が142.8ppmである場合、単糖、二糖及び三糖の合計含有量は、最大でも142.8×1.0742=153.4ppm程度と計算される。また、単糖、二糖及び三糖の合計含有量は、最低でも単糖と二糖の合計含有量を超える。
してみると、甲4発明のうち単糖と二糖の合計含有量が142.8ppmである場合、単糖、二糖及び三糖の合計含有量は、142.8ppm~153.4ppmの範囲内であり、相違点4-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たす。
しかしながら、単糖と二糖の合計含有量が142.8ppmである場合、総カテキン類の濃度が140.7ppmであり、相違点4-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たさない。
一方、甲4発明のうち、単糖と二糖の合計含有量が167.7、155.3又は107.3ppmである場合は、相違点4-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たさない。
したがって、甲4発明には、相違点4-1又は相違点4-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を同時に満たすものがなく、また、甲4及び他の全ての証拠の記載をみても、相違点4-1又は相違点4-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を同時に満たすものとする動機はない。
(申立人の主張について)
申立人は、令和7年8月6日に提出された意見書において、以下のように主張している。
「甲第4号証は、「火香(こうばしい香り)が強く、薄い味ではなく、しかもさっぱりとした後味を備えており、冷めた状態でもおいしく飲用できる、新たな容器詰緑茶飲料を提供」(甲第4号証[0010])することを課題とする発明である。そして、単糖の濃度と二糖の濃度とを合計した糖類濃度等を調整することにより、上記課題を解決しようとしている。
そして、単糖と二糖とを合わせた糖類濃度については、「100ppm~300ppmであることにより、常温で長期間保存した状態や冷めた状態で飲用しても、味と香りのバランスが保たれ、甘味やコクを有し、後味に苦渋味や雑味等の少ないものになる。」(同[0019])と記載されており、上記甲第4号証の課題解決に沿ったものとなっている。
そうすると、上記課題を解決する範囲において、単糖と二糖とを合わせた糖類濃度を調整すること、例えば[0019]に例示された「100ppm~300ppm」や「140ppm~220ppm」の範囲、あるいは後述する実施例7の142.8ppm程度に調整することは、当業者にとって容易である。
本件明細書には、単糖、二糖及び三糖の合計含有量が153.7mg/L、非重合カテキンが275.0mg/Lである実施例5と、単糖、二糖及び三糖の合計含有量が158.lmg/L、非重合カテキンが372.2mg/Lである比較例2とがそれぞれ記載されており、実施例5の緑茶飲料は「苦渋味が低減され、かつ充分な甘みが感じられると共に、苦渋味と甘みのバランスに優れていた。」(本件明細書【0054】)と記載されている。
しかし、上記実施例5と比較例2とは、単糖、二糖及び三糖の合計含有量が155mg/L以下か否かといった差よりも、非重合カテキン含有量において顕著な差が認められる。そのため、上記実施例5と比較例2と官能評価の相違は、単糖、二糖及び三糖の合計含有量が155mg/L以下か否かという点のみに起因しているとは認められず、当該合計含有量が155mg/L以下であることによる効果ということはできない。
そのため、単糖、二糖及び三糖の合計含有量を155mg/L以下とすることにより、当業者の予測し得ない効果が奏されるとは認められない。
また、甲第4号証には、糖類濃度(単糖と二糖とを合わせた糖類の濃度)を所定範囲に調整することで「味と香りのバランスが保たれ、甘味やコクを有し、後味に苦渋味や雑味等の少ないものになる。」(甲第4号証[0019])こと、糖類濃度に対する電子局在カテキン濃度の比率(電子局在カテキン/糖類)を調整することで、「渋味と甘味のバランスがとれ、火香が広がり、さらにキレのよい飲料になる。」(同[0023])こと、等が記載されており、カテキン含有量および糖類含有量を調整することで、苦渋味を抑制し、甘味を有し、渋味と甘味のバランスがとれた飲料とするという技術的思想について開示されている。
そして、特許異議申立書で述べたように、
・相違点1のうち、三糖(ラフィノース)を含有することの明示は実質的な相違点ではなく、また、三糖(ラフィノース)をさらに含有することによる効果が本件明細書に記載されていないこと;
・本件特許発明の効果とされる技術的思想、すなわちカテキン含有量および糖類含有量を調整することで、苦渋味を抑制し、甘味を有し、渋味と甘味のバランスがとれた飲料とするという技術的思想が甲第4号証に開示されていること;
との事実が認められる。
そのため、単糖、二糖及び三糖の合計含有量を155mg/L以下とすることで一定の効果が仮に得られたとしても、その効果は甲第4号証の記載から当業者が十分に予測し得る範囲のものである。
したがって、本件訂正発明1が、甲4発明および甲第4号証の記載から、当業者の予測し得ない効果を奏するとはいえない。」
しかしながら、甲4には、非重合カテキンの含有量と、単糖、二糖及び三糖の合計含有量の、どちらかが本件特許発明1の発明特定事項を同時に満たす場合について記載されているものの、非重合カテキンの含有量と、単糖、二糖及び三糖の合計含有量の両方が、本件特許発明1の発明特定事項を満たすように調節することについては記載されていない。
また、本件特許発明1は、非重合カテキンの含有量と、単糖、二糖及び三糖の合計含有量の両方を、特定の範囲とすることにより、「苦渋みを抑えながらも十分な甘みが感じられると共に、苦渋みと甘みのバランスが良い緑茶飲料を提供する」という課題(本件特許の【0007】)を解決するものである。
そのような本件特許発明1の効果は、甲4発明の「火香(こうばしい香り)が強く、薄い味ではない、しかもさっぱりとした後味を備えており、冷めた状態でもおいしく飲用できる」という効果(甲4の[0010])とは異なる効果である。
よって、上記申立人の主張は採用できない。
ウ 本件特許発明1についてのまとめ
以上のとおり、相違点4-1又は相違点4-2は実質的な相違点であり、甲4発明において相違点4-1又は相違点4-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を同時に満たすものとすることは、当業者が容易になし得たことではないから、本件特許発明1は甲4発明ではなく、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1の発明特定事項の全てを有し、さらに限定するものである。
そして、上記(3)のとおり、本件特許発明1は、甲4発明ではなく、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件特許発明2は、甲4発明ではなく、また、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
3 申立理由3(甲5に基づく新規性・進歩性欠如)
(1)甲5に記載された事項
甲5には以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。
「【0001】
本発明は、ジャスミンの花、特にマツリカ(茉莉花)の花の香気を着香した茶葉から抽出されるジャスミン茶飲料及びその製造方法、並びに前記ジャスミン茶飲料の後味改善方法に関する発明である。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、コールドから常温にかけての温度範囲において飲用する場合に、飲用開始時(トップからミドル)に感じるジャスミンの花香を適度に高めつつも、苦渋味に起因するボディ感並びに、飲用後(ラスト)の残香を適度に抑制し、飲用後の香りの抜けが良く、苦渋味に起因するボディ感を軽減し、飲用後のキレやスッキリ感を確保しうる止渇目的の飲料として好適なジャスミン茶飲料を提供することにある。
・・・
【0014】
(ジャスミン茶)
本実施形態においてジャスミン茶とは、上述したマツリカ(茉莉花)の香りを着香させた茶葉の総称を言う、原料茶葉としては、緑茶、烏龍茶(半発酵茶)、白茶(弱発酵茶)等を選択することができ、花弁が茶葉に混合された形態のものも含む。」
「【0017】
(単糖類)
単糖類は、一般式C6H12O6で表される炭水化物であり、加水分解によりそれ以上単純な構造にならない糖類を指す。
本実施形態にあっては、グルコース(ブドウ糖)、及びフルクトース(果糖)を示すものである。
【0018】
(二糖類)
二糖類は単糖の2分子が脱水縮合によるグリコシド結合を介して1分子となった糖のことであり、砂糖の主成分であるスクロース(ショ糖)が代表的である、本実施形態にあっては二糖類の濃度は、スクロースの濃度(ppm)を示すものである。
【0019】
(糖類濃度)
単糖類と二糖類の合計濃度はジャスミン茶飲料のボディ感の強さと相関する。
本実施形態にあっては、上述の単糖類(グルコース、フルクトース)と、二糖類(スクロース)の合計濃度(ppm)は50~500であり、50~400がより望ましく、75~300が更に望ましく、80~300が最も望ましい。
合計濃度が50ppm未満であると、ボディ感が極度に低すぎ、飲料として物足りない味わいとなり、500ppmを超過すると、ボディ感が強すぎてキレやスッキリ感が感じられなくなり、止渇目的の飲料として望ましくなく、また飲用時におけるジャスミン花香を感じにくくする要因ともなる。
また、原料茶の焙煎状態によっても糖類濃度をコントロールすることが可能である。
本実施形態にあっては、上記の数値範囲であれば、原料由来以外に、ブドウ糖、果糖、ショ糖等の糖類を添加することもでき、また高甘味度甘味料等の甘味料を添加することもできるが、本願発明の作用効果を顕著に得る為には、原料由来以外の糖分、甘味料は添加しない、所謂無糖飲料であることが望ましい。」
「【0020】
(カテキン類)
本実施形態にあっては、カテキン類には、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)及びエピガロカテキンガレート(EGCg)の合計8種のカテキン類を含み、カテキン類の濃度とは、前記8種のカテキンの合計濃度をいう。
本実施形態にあっては、カテキン類の濃度(mg/100g)は、13.0~36.0であり、15.0~36.0であることが望ましく、20.0~35.0がより望ましく、25.0~35.0がさらに望ましい。
カテキン類の合計濃度が13.0mg/100g未満であると、苦渋味が少なすぎ飲料として物足りないものとなり、36.0mg/100gを超過した場合は、苦渋味が飲用後も残ってしまい、キレやスッキリ感の阻害となりうる。」
「【0040】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、以下に記載の実施例に限定されるものではない。
<ジャスミン茶飲料の製法>
本実施例中に示すジャスミン茶飲料の実施例試料並びに比較例試料の調整方法につき以下説明する。
本実施例に示す各試料(実施例試料1乃至実施例試料7、比較例試料1乃至比較例試料8)は、以下に示すジャスミン茶抽出液A乃至Dを単独若しくは所定比率で混合し、更に必要に応じ公知の成分調整手段により、飲用液中の各成分の含有量を調整することで製造した。また、比較例の調整にあっては意図的に本願の要件を外すべく、糖類、カテキン製剤等の成分を添加しても良い。
【0041】
(抽出液A)
ジャスミン茶茶葉(銀毫)50gを1250mlの熱水(65℃)で3分間抽出し、80メッシュストレーナーでろ過した。25℃まで冷却した後、イオン交換水で定容し、抽出液Aとした。
【0042】
(抽出液B)
ジャスミンの花香を着香した頭柳50gを1250mlの熱水(65℃)で5分間抽出し、80メッシュストレーナーでろ過した。25℃まで冷却した後、イオン交換水で定容し、抽出液Bとした。
頭柳とは、緑茶加工の工程でやや硬化した葉が柳の葉のように扁平にもまれたものを選別したもの。
・・・
【0044】
(抽出液D)
ジャスミンの花香を着香した玉露50gを1250mlの温水(50℃)で10分間抽出し、80メッシュストレーナーでろ過した。25℃まで冷却した後、イオン交換水で定容し、抽出液Dとした。
【0045】
前記の各抽出液を用いて、実施例試料1乃至7及び比較例試料1乃至8を以下の通り調整した。
各試料はアスコルビン酸を400ppm相当量添加した後に、重曹を添加して殺菌後のpHが6.2になるように調整し、イオン交換水を加えてメスアップした。
その液を、耐熱性の缶容器に充填して蓋をし、30秒間転倒殺菌後にレトルト殺菌F0値9以上(121℃、9分)を行い、20℃まで冷却して作成した。
【0046】
調整後の各試料の分析結果を表4に示す。
【0047】
(実施例試料1)
抽出液Aと抽出液Bを1:1の割合で混合する。
・・・
【0049】
(実施例試料3)
抽出液Dと比較例試料1を1:2の割合で混合する。
・・・
【0054】
(比較例試料1)
抽出液Aを以下の処理で脱カテキン処理を行う。
・
抽出液AにPVPP(ポリビニルピロリドン)を抽出液500gに対し1.0g添加。
・
20分間攪拌後、No.2濾紙でろ過し、ろ過前の液量に純水でメスアップする。」
「【0062】
【表4】
[図:0001436156000013.jpg]
」
(2)甲5に記載された発明
甲5の実施例試料1、3のジャスミン茶飲料について整理すると、甲5には以下の発明が記載されている。
「カテキン8種と糖類を含有し、カテキン8種の濃度が24.8~30.1mg/100gであり、単糖と二糖の合計濃度が116.7~127.5ppmである実施例試料1、3のジャスミン茶飲料。」(当審注:実施例試料1、3については上記(1)参照。以下、「甲5発明」という。)
(3)本件特許発明1について
ア 本件特許発明1と甲5発明との対比
本件特許発明1と甲5発明とを対比する。
甲5発明の「カテキン8種」は、甲5の【0020】を参酌すると「カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)及びエピガロカテキンガレート(EGCg)」を意味し、これらは非重合カテキンと認められるから、本件特許発明1の「非重合カテキン」に相当する。
また、甲5発明の24.8~30.1mg/100gは、248~301mg/Lに相当するから、本件特許発明1の「非重合カテキンの含有量が150mg/L以上336.6mg/L以下」という特定事項を満たす。
甲5発明の単糖と二糖の成分濃度の単位である「ppm」は、本件特許発明1の「mg/L」に相当する。
(一致点)
「非重合カテキンと糖類を含有し、非重合カテキンの含有量が150mg/L以上336.6mg/Lである、飲料。」
(相違点5-1)
本件特許発明1は、「三糖」を含有し、かつ、単糖、二糖及び三糖の合計含有量が120mg/L以上150mg/L以下であるが、甲5発明はそのように特定されていない点。
(相違点5-2)
本件特許発明1は、単糖と二糖を含有しているが、甲5発明は単糖と二糖の両方を含有することの明示がない点。
(相違点5-3)
本件特許発明1は、「緑茶飲料(但し、茶葉を原料とするほうじ茶飲料を除き、かつジャスミン茶飲料を除く。)」であるが、甲5発明は「ジャスミン茶飲料。」である点。
イ 相違点5-3について
事案に鑑み、相違点5-3について検討する。
相違点5-3は実質的な相違点である。
また、甲5はジャスミン茶飲料を提供することを課題としている(甲5の【0009】)ところ、甲5及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲5発明をジャスミン茶飲料以外の緑茶飲料とする動機はない。
よって、甲5発明において、相違点5-3に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
ウ 本件特許発明1についてのまとめ
以上のとおり、相違点5-3は実質的な相違点であり、甲5発明において相違点5-3に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たことではないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲5発明ではなく、甲5発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1の発明特定事項の全てを有し、さらに限定するものである。
そして、上記(3)のとおり、本件特許発明1は、甲5発明ではなく、甲5発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件特許発明2は、甲5発明ではなく、また、甲5発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
第7 結語
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1又は2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1又は2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700023