特許異議申立
2021-700845
X線検査装置
- 審判番号
- 2021-700845
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-132752
- 登録番号
- 6852991
- 請求日
- 2021年09月01日
- 審決日
- 2022年09月06日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】アンリツ株式会社
- 【権利者代理人】西村 教光
- 【権利者代理人】鈴木 典行
- 【異議申立人】平賀 博
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 伊藤 幸仙
- 審判官 樋口 宗彦
- 分類
- P1651.121-YAA(G01N) / P1651.113-YAA(G01N) / P1651.851-YAA(G01N) / P1651.853-YAA(G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第7項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6852991号発明「X線検査装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6852991号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
特許第6852991号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6852991号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成28年7月4日に出願され、令和3年3月15日にその特許権の設定登録がされ、令和3年3月31日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和3年 9月 1日 : 特許異議申立人 平賀博(以下「申立人」と
いう。)による請求項1ないし5に係る
特許に対する特許異議の申立て
令和3年11月26日付け: 取消理由通知書
令和4年 1月20日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和4年 3月 1日 : 申立人による意見書の提出
令和4年 3月25日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
令和4年 5月26日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和4年 6月15日付け: 訂正拒絶理由通知書
令和4年 7月13日 : 特許権者による令和4年5月26日提出の
訂正請求書に対する手続補正書、意見書の
提出
令和4年 8月 9日 : 申立人による意見書の提出
(なお、令和4年1月20日提出の訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたとみなす。)
第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、令和4年7月13日に特許権者により提出された手続補正書により補正された訂正請求書に記載された、以下の(1)及び(2)のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「前記X線検査部は前記フレームの前面に取り付けられていることを特徴とする」と記載されているのを、「前記X線検査部は前記フレームの前面に取り付けられ、前記制御部と前記表示操作部は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレームに設置されていることを特徴とする」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0006】において、「前記X線検査部5は前記フレーム8の前面に取り付けられていることを特徴としている。」と記載されているのを「前記X線検査部5は前記フレーム8の前面に取り付けられ、前記制御部6と前記表示操作部7は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレーム8に設置されていることを特徴としている。 」に訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項、独立特許要件
(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の「前記X線検査部は前記フレームの前面に取り付けられている」から「前記X線検査部は前記フレームの前面に取り付けられ、前記制御部と前記表示操作部は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレームに設置されている」に限定することで、訂正前の請求項1に係る発明の制御部と表示操作部の設置位置を特定して減縮しようとするものである。したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の、設置位置が特定されていない制御部と表示操作部を、搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるようにフレームに設置されている制御部と表示操作部に限定するものであり、訂正前の請求項1の記載について、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項1に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には、「前記制御部と前記表示操作部は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレームに設置されている」ことについては、発明の詳細な説明の段落【0022】に
「本実施形態では、図1に示すように、右側の不図示の生産ラインから自動折り畳み装置3に連包品1が搬送されてくると、自動折り畳み装置3において連包品1は搬送経路に沿って配置された搬送手段としてのローラ12や案内部材13等によって搬送される。自動折り畳み装置3において、搬送経路はフレーム8の前面に設けられたローラ12や案内部材13で構成されている。搬送経路は、自動折り畳み装置3に入った後に上方に向きを変えるが、この搬送経路の鉛直方向に平行となった部分において、自動折り畳み装置3のフレーム8の前面にX線検査部5が取り付けられている。X線検査部5を通過した搬送経路は、案内部材13を経て再び下方に屈曲し、さらに幾つかのローラ12を経て上下に屈曲した形態を示しながら、下方の搬入部14に導かれる。」(下線は当審が付与した。)
と記載され、段落【0028】に
「また、X線検査部5とは別体に構成された制御部6や表示操作部7は、X線検査部5の配置に特段の制約を受けることもなく、自動折り畳み装置3のフレーム8に対してそれぞれ適当なスペースを見つけて任意の位置で設置できる。」と記載され、段落【0018】及び【図1】に
「【0018】
【図1】外部装置に取り付けられた実施形態に係るX線検査装置の正面図である。」
「【図1】
[図:0001392006000001.jpg]
」と記載されていることから、「搬送経路」はフレーム8の前面に設けられたローラ12や案内部材13で構成され、自動折り畳み装置3に入った後に上方に向きを変え、案内部材13を経て再び下方に屈曲し、さらに幾つかのローラ12を経て上下に屈曲した形態を示しながら、下方の搬入部14に導かれる、という、フレーム8の前面において、上下に屈曲した経路であることが読み取れ、「搬送経路のある平面」とは、上記フレーム8の前面において、上下に屈曲した経路である搬送経路が作り出す、【図1】における自動折り畳み装置3の正面図の紙面とほぼ平行な平面であると読み取れ、制御部6と表示操作部7のフレーム8への設置位置は、【図1】における自動折り畳み装置3の正面図、すなわち「前記搬送経路のある平面の垂直方向からみ」た図では、連包品1の搬送経路と制御部6と表示操作部7とが「前記搬送経路に重なる位置に配置され」ていることが看て取れ、制御部6と表示操作部7が搬送経路にあると連包品1を搬送することができないことは自明であることから、「前記搬送経路のある平面とは別の面で、」「フレームに設置されている」と読み取れる。
よって、「X線検査装置」において、「前記制御部6と前記表示操作部7は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレーム8に設置されている」ことは、願書に添付された明細書及び図面(以下「特許明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。よって、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
段落【0006】について、「前記X線検査部5は前記フレーム8の前面に取り付けられている」を、「前記X線検査部5は前記フレーム8の前面に取り付けられ、前記制御部6と前記表示操作部7は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレーム8に設置されていることを特徴としている。 」とする訂正は、上記訂正事項1に係る訂正による特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正である。そうすると、上記訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)一群の請求項及び独立特許要件について
訂正前の請求項2ないし5は請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、請求項1ないし5は一群の請求項である。そして、上記訂正事項1はいずれも、その一群の請求項においてなされたものであるから、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。
また、訂正事項2は、明細書の訂正に係る請求項を含む上記一群の請求項のすべてについて行うものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合するものである。
また、本件においては、訂正前の請求項1ないし5について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1ないし5に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正後の請求項1ないし5に係る発明(以下「本件発明1ないし5」は、令和4年7月13日に特許権者により提出された手続補正書により補正された、令和4年5月26日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
外部装置(3)のフレーム(8)の前面に取り付けられた搬送手段(12,13)により搬送経路に沿って搬送される連続帯状の被検査物(1)にX線を照射し、前記被検査物を透過したX線から生成した透過画像に基づいて前記被検査物の検査を行うX線検査装置(4)であって、
前記搬送経路の所望の位置に設けられ、前記被検査物を挟むように対向して配置されることで前記被検査物が通過する検査空間(24)を構成する第1カバー(21)と第2カバー(22)を有し、前記第1カバーにはX線を照射するX線源(10)が収納され、前記第2カバーにはX線を検出するX線検出器(11)が収納されたX線検査部(5)と、
前記X線検査部を含む装置全体を制御する制御部(6)と、
前記X線検査部の操作及び表示を行う表示操作部(7)と、
前記検査空間の開口を開閉するとともに遮蔽板(43)が設けられた正面カバー(30)とを備え、
前記X線検査部と前記制御部と前記表示操作部が別体として構成され、前記X線検査部は前記フレームの前面に取り付けられ、前記制御部と前記表示操作部は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレームに設置されていることを特徴とするX線検査装置(4)。
【請求項2】
前記X線検査部は、前記フレームの前面に取り付けられる基板(20)を有しており、
前記第1カバーと前記第2カバーの少なくとも一方は、前記検査空間の高さを変更できるように前記基板に対する取り付け位置を変更できることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記X線検査部は、前記基板と前記第1カバーと前記第2カバーを含むアルミ製の筐体と、前記第1カバーに設けられた遮蔽板(46)とを有することを特徴とする請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線検査部において、前記検査空間と前記検査空間の外部との境界となる前記筐体の縁辺部を曲面形状としたことを特徴とする請求項3に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記X線検査部において、前記検査空間を挟んで対向して配置されるように前記筐体に形成された前記X線源の窓部(23)と前記X線検出器の窓部(33)に、それぞれ前記筐体の内部から防塵部材(47,34)を取り付けたことを特徴とする請求項3に記載のX線検査装置。」
第4 特許異議申立理由の概要
申立人は、令和3年9月1日提出の特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)において、証拠として甲第1号証ないし甲第10号証を提出し、以下の異議申立理由(以下「異議申立理由1ないし2」という。)によって、本件訂正前の請求項1ないし5に係る特許を取り消すべきものである旨を主張している。
<証拠一覧>
甲第1号証:特開2014-145733号公報
甲第2号証:特開2015-74503号公報
甲第3号証:特開2013-88144号公報
甲第4号証:特開平11-183405号公報
甲第5号証:特開平10-282018号公報
甲第6号証:特開2013-182814号公報
甲第7号証:特開2012-225666号公報
甲第8号証:特開2013-88199号公報
甲第9号証:特開2014-6064号公報
甲第10号証:特開2016-95248号公報
(1)異議申立理由1(新規性)
本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明と同一である。
(2)異議申立理由2(進歩性)
本件訂正前の請求項1ないし5に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明から当業者が容易になしえた発明である。
第5 取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
みなし取下げとなった令和4年1月20日提出の訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に係る特許に対して、当審が令和4年3月25日に特許権者に通知した取消理由通知書(決定の予告)における取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項1ないし5に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項1ないし5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
<引用文献等一覧>
甲第2号証:特開2015-74503号公報
甲第3号証:特開2013-88144号公報
甲第4号証:特開平11-183405号公報
甲第5号証:特開平10-282018号公報
甲第6号証:特開2013-182814号公報
甲第8号証:特開2013-88199号公報
甲第9号証:特開2014-6064号公報
甲第10号証:特開2016-95248号公報
2.甲号証の記載
(1)甲第2号証
本件特許の出願前である平成27年(2015年)4月20日に頒布された刊行物である「特開2015-74503号公報」(以下「甲第2号証」という。)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与した。以下同様。)
ア 「【0001】
本発明は、スープや薬味等の粉末や液体の調味料を充填した小袋が繋がれた状態の連続包装体を折り畳んで収容箱に箱詰めする箱詰め装置において、小袋の充填異常や量目異常を検査するX線検査機能を有するX線検査機能付き折畳み箱詰め装置に関する。」
イ 「【0034】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0035】
図1~図4は、実施形態に係るX線検査機能付き折り畳み箱詰め装置(以下「折り畳み箱詰め装置」という)の説明図である。
【0036】
この折り畳み箱詰め装置は、図1に示すように、内容物を収納する個装部と横シール部とが交互に並ぶ連続包装体10を搬送部12によって搬送して、搬送された連続包装体10を折り畳み部14によって折り畳んで箱状の収容容器16に収容するものである。
【0037】
そして、この折り畳み箱詰め装置では、搬送されている前記連続包装体10の前記の個装部と横シール部との境界を検出して、境界検出信号を生成する境界検出部18と、搬送されている前記連続包装体10の個装部が良又は不良かを当該連続包装体10へのX線照射に基づき検査するX線検査部20と、前記X線検査部20で検査された前記連続包装体10を折り畳んで収容容器16に収容する折り畳み部14と、前記連続包装体10がX線検査部20のX線照射位置を通過する際、前記搬送部12の搬送速度を制御し一定速度で連続包装体10を搬送し、連続包装体10の特定の個装部の位置を認識する搬送制御部22とを備え、前記搬送部12は、前記X線検査部20で上下に沿って前記連続包装体10を搬送させる機能を有し、前記X線検査部20から折り畳み部14の間に不良品を切断するスペースを設けたものである。
【0038】
また、前記境界検出部18及びX線検査部20に送出する連続包装体10を貯留するプールボックス24が設けられる。
【0039】
また、搬送部12として、プールボックス24から出てくる連続包装体10を誘導するガイドロールユニット26と、ガイドロールユニット26の上方であって前記連続包装体10に引っ張り力を付与して上方向きに引き上げるフィードユニット28とを設けている。ガイドロールユニット26およびフィードユニット28の間の経路内で上方向きに搬送される連続包装体10を検出可能に前記前境界検出部18と前記X線検査部20を設置したものである。」
ウ 「【0044】
図1に示すように、折り畳み箱詰め装置においては、連続包装体10の上流側から下流側に向けてのユニットの並びは、下記のプールボックス24、ガイドロールユニット26、境界検出部18、X線検査部20、フィードユニット28、切断位置A、アキュームボックス30、折り畳み部14の順に設けたものである。折りたたみ箱詰め装置では、各機器が後方側のフレーム36に支持設置されている(図2参照)。」
エ 「【0053】
(4)X線検査部20
X線検査部20は、連続包装体10にX線を照射して、透過したX線を受光して画像解析することにより、異物混入、欠品、質量検査(内容物の占有面積等の検査)等による個装部の不良や、異物の噛み込等の横シール部領域の異常を検出する、通常の異物検出装置と同じ機能を有するが、小型化し搬送手段を取り除いた構成になっている。
【0054】
X線検査部20では、異物混入や欠品、質量検査等の個装(中身)領域の不良や、異物の噛み込等の横シール領域の不良を検出して、良又は不良の判定信号を出力することができる。
【0055】
なお、X線検査部20は、図1に示すように、プールボックス24の奥側に検査制御部20bが設けられ上部にモニタ画面20cが設けられている。符号20dが信号ケーブルである。
【0056】
また、X線検査部20は、図3に示すように、外周が箱型であって、内部に下から上向きに連続包装体10が搬送される。符号20aの部分がX線を照射して検査するX線検査位置である。
【0057】
また、前面には開閉式の蓋20bが設けられ、開くことで連続包装体10を前面から装着し易くなっている。」
オ 「【0058】
(5)フィードユニット28
境界検出部18とフX線検査部20の上方であって、後流のアキュームボックス30との中間部分に、連続包装体10の縦シール部分を挟んで誘導する複数のニップローラーが配置されたフィードユニット28が設けられる。」
カ 「【0116】
3)X線検査部の構造が簡素化する。
X線検査部20の下流側にフィードユニット28を配置し、さらに連続包装体10の流れを鉛直方向にしたため、X線検査部20を貫通するベルトコンベア等の搬送部12を不要にできる。」
キ 「【0118】
5)現状の折り畳み箱詰め装置の設置範囲に設置できる
先願の実願2013-004567号「連包品検査装置」では、不良品の切除を自動で行うメリットはあるが、充填機と折り畳み箱詰め装置の間に例えば3m近くのスペースが必要であった。本実施形態では、X線検査部20の小型化と機器構成の簡素化により、従来の折り畳み箱詰め装置の設置範囲でX線検査が可能になった。」
ク 「【図1】
[図:0001392006000002.jpg]
」
ケ 「【図2】
[図:0001392006000003.jpg]
」
コ 「【図4】
[図:0001392006000004.jpg]
」
サ 上記「ク」より、「X線検査部20」と「搬送制御部22」と「検査制御部20b」と「モニタ画面20c」が別体で構成されていることが読み取れる。
シ 上記「エ」及び「コ」より、X線検査部20は外周が箱型であって、内部に下から上向きに連続包装体10が搬送される空間があることが読み取れる。
ス 上記「イ」、「ウ」、「ク」及び「ケ」より、折り畳み箱詰め装置は、搬送制御部22とX線検査部20を備え、折り畳み箱詰め装置では、プールボックス24、X線検査部20などの各機器が後方側のフレーム36に支持設置されており、X線検査部20はプールボックス24の奥側に検査制御部20bが設けられ上部にモニタ画面20cが設けられていることが読み取れることから、搬送制御部22と検査制御部20bとモニタ画面20cはフレーム36に支持設置されていることが読み取れる。
セ 上記甲第2号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「スープや薬味等の粉末や液体の調味料を充填した小袋が繋がれた状態の連続包装体を折り畳んで収容箱に箱詰めする箱詰め装置であって、小袋の充填異常や量目異常を検査するX線検査機能を有するX線検査機能付き折り畳み箱詰め装置において、
X線検査機能付き折り畳み箱詰め装置は、内容物を収納する個装部と横シール部とが交互に並ぶ連続包装体10を搬送部12によって搬送して、搬送された連続包装体10を折り畳み部14によって折り畳んで箱状の収容容器16に収容するものであり、
X線検査機能付き折り畳み箱詰め装置は、搬送されている前記連続包装体10の前記の個装部と横シール部との境界を検出して、境界検出信号を生成する境界検出部18と、搬送されている前記連続包装体10の個装部が良又は不良かを当該連続包装体10へのX線照射に基づき検査するX線検査部20と、前記X線検査部20で検査された前記連続包装体10を折り畳んで収容容器16に収容する折り畳み部14と、前記連続包装体10がX線検査部20のX線照射位置を通過する際、前記搬送部12の搬送速度を制御し一定速度で連続包装体10を搬送し、連続包装体10の特定の個装部の位置を認識する搬送制御部22と、を備え、前記搬送部12は、前記X線検査部20で上下に沿って前記連続包装体10を搬送させる機能を有し、前記X線検査部20から折り畳み部14の間に不良品を切断するスペースを設けたものであり、
X線検査機能付き折り畳み箱詰め装置は、連続包装体10の上流側から下流側に向けてのユニットの並びは、下記のプールボックス24、ガイドロールユニット26、境界検出部18、X線検査部20、フィードユニット28、切断位置A、アキュームボックス30、折り畳み部14の順に設けたものであり、各機器が後方側のフレーム36に支持設置されており、
搬送部12は、プールボックス24から出てくる連続包装体10を誘導するガイドロールユニット26と、ガイドロールユニット26の上方であって前記連続包装体10に引っ張り力を付与して上方向きに引き上げる複数のニップローラーが配置されたフィードユニット28とを設け、ガイドロールユニット26およびフィードユニット28の間の経路内で上方向きに搬送される連続包装体10を検出可能に前記前境界検出部18と前記X線検査部20を設置したものであり、
X線検査部20は、連続包装体10にX線を照射して、透過したX線を受光して画像解析することにより、異物混入、欠品、質量検査(内容物の占有面積等の検査)等による個装部の不良や、異物の噛み込等の横シール部領域の異常を検出する、通常の異物検出装置と同じ機能を有するものであり、プールボックス24の奥側に検査制御部20bが設けられ上部にモニタ画面20cが設けられており、外周が箱型であって、内部に下から上向きに連続包装体10が搬送される空間があり、前面には開閉式の蓋20bが設けられ、開くことで連続包装体10を前面から装着し易くなっており、
X線検査部20と搬送制御部22と検査制御部20bとモニタ画面20cとが別体で構成されており、
搬送制御部22と検査制御部20bとモニタ画面20cはフレーム36に支持設置されている、
X線検査機能付き折り畳み箱詰め装置。」
(2)甲第3号証
本件特許の出願前である平成25年(2013年)5月13日に頒布された刊行物である「特開2013-88144号公報」(以下「甲第3号証」という。)には、以下の技術事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、肉、魚、加工食品、医薬品等の被検査物中に混入した異物を検出するX線異物検出装置に関し、特に、複数本のX線ラインセンサからの画像を合成して異物を強調させた画像を得るエネルギーサブトラクション法を採用したX線異物検出装置に関するものである。」
イ 「【0049】
図2、図3に示すように、本実施の形態では、X線管31、32のZ軸、X軸、Y軸の3軸上の位置をそれぞれ調整する機構として、内部にX線管31を備えたX線ユニット33を3軸上で変位可能に支持する第1支持機構100、および内部にX線管32を備えたX線ユニット34を3軸上で変位可能に支持する第2支持機構120を備えている。ここで、X線ユニット33、34は、高電圧発生部を含んだモノタンク型の構成としてもよい
し、高電圧発生部を別ユニットとした構成としてもよい。
【0050】
第1支持機構100と第2支持機構120は同様に構成されているため、以下、第1支持機構100について詳細を説明する。第1支持機構100は、内部にX線管31を備えたX線ユニット33を上面で支持する第1ステージ101と、第1ステージ101を下方から支持する第2ステージ102と、第2ステージ102を下方から支持する第3ステージ103とを備えている。」
ウ 上記甲第3号証の記載事項を総合勘案すると、甲第3号証には、次の技術(以下「甲3開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「X線異物検出装置において、内部にX線管31を備えたX線ユニット33を3軸上で変位可能に支持する第1支持機構100、および内部にX線管32を備えたX線ユニット34を3軸上で変位可能に支持する第2支持機構120を備える技術。」
(3)甲第4号証
本件特許の出願前である平成11年(1999年)7月9日に頒布された刊行物である「特開平11-183405号公報」(以下「甲第4号証」という。)には、以下の技術事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線を用いて被検査物内の異物の検出を行う異物検査装置に関し、特に異物検査装置に用いるX線発生装置に関する。」
イ 「【0021】X線発生器1はL字状の支持フレーム13の水平部分上に配置される。又、シャッタ4及びスリットは、この支持フレーム13の水平部分内あるいはその底部に設けることができる。なお、図1に示すシャッタ4は、回転シャッタの例を示しているが、任意の構成のシャッタ機構を採用することができる。」
ウ 「【0033】又、支持フレーム13は、X線異物検査装置のベース11に対して上下方向(図2中の矢印B)に移動可能であり、この移動によってX線発生器1とベルトコンベア12との間の距離調整を行うことができる。移動機構によって、被検査物Sの大きさに応じた距離調整や、シャッタ4やスリット5の補修,調整を行うことができる。」
エ 上記甲第4号証の記載事項を総合勘案すると、甲第4号証には、次の技術(以下「甲4開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「異物検査装置に用いるX線発生装置において、X線発生器1はL字状の支持フレーム13の水平部分上に配置され、支持フレーム13は、X線異物検査装置のベース11に対して上下方向(図2中の矢印B)に移動可能である技術。」
(4)甲第5号証
本件特許の出願前である平成10年(1998年)10月23日に頒布された刊行物である「特開平10-282018号公報」(以下「甲第5号証」という。)には、以下の技術事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非破壊で機器の内部を検査、診断するためのX線透視装置に関するものである。」
イ 「【0018】X線ラインセンサ7は、一軸可動ステージ8によって上下、左右方向に移動できる。一軸可動ステージ8は、コンピュータ20制御で、例えば0.5mmピッチで走査できる。このピッチは、後述するフォトダイオードの幅に合わせる。筐体9は、X線の透過率が高く軽量なアルミニウム材をベースとした材料で作られている。
【0019】図3および図4に、図2のX線ラインセンサ7の構造を示す。図3は、X線ラインセンサ7の断面を示し、図4はX線ラインセンサ7の正面を示す。図3、図4に示すように、内部には、X線を検出する螢光膜10と、コリメータ11と、フォトダイオードアレイ15とが組み込まれたフォトダイオードアレイボード12が設置されており、外側は筐体14で覆われ、X線が入射する筐体14前面の内側に遮蔽板13が取り付けられている。」
ウ 上記甲第5号証の記載事項を総合勘案すると、甲第5号証には、次の技術(以下「甲5開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「X線透視装置の筐体9は、X線の透過率が高く軽量なアルミニウム材をベースとした材料で作られている技術。」
(5)甲第6号証
本件特許の出願前である平成25年(2013年)9月12日に頒布された刊行物である「特開2013-182814号公報」(以下「甲第6号証」という。)には、以下の技術事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、X線管を筐体内に備えたX線照射源に関する。」
イ 「【0021】
図3は、図1に示したX線照射源の斜視図である。また、図4は、図3の平面図であり、図5は、図4におけるV-V線断面図である。図3~図5に示すように、X線照射源2は、ステンレスやアルミニウムなどを用いた金属製の略直方体形状の筐体31内に、上述のX線管21及び高圧発生モジュール22と、X線管21及び駆動回路23の少なくとも一部が搭載される第1の回路基板32と、高圧発生モジュール22が搭載される第2の回路基板33とを有している。」
ウ 「【0024】
フィラメント52は、壁部51b側に配置され、グリッド53は、フィラメント52とターゲット54との間に配置されている。フィラメント52及びグリッド53には、それぞれ複数の給電ピン55(図4参照)が接続されている。給電ピン55は、側壁部51cと壁部51bとの間を通り、真空容器51の幅方向の両側にそれぞれ突出した状態となっている。また、壁部51aの外面側には、図5に示すように、開口部51dを封止するように、例えばベリリウムやシリコン、チタンなどのX線透過性が良く、導電性を備えた材料からなる長方形状の窓材56が密着固定され、ターゲット54で発生したX線をX線管21から外部へ出力させる出力窓57が構成されている。なお、例えばタングステンなどからなるターゲット54は、窓材56の内面に形成されている。」
エ 上記甲第6号証の記載事項を総合勘案すると、甲第6号証には、次の技術(以下「甲6開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「ステンレスやアルミニウムなどを用いた金属製の略直方体形状の筐体31内にX線管21を備えたX線照射源において、開口部51dを封止するように、例えばベリリウムやシリコン、チタンなどのX線透過性が良く、導電性を備えた材料からなる長方形状の窓材56が密着固定され、ターゲット54で発生したX線をX線管21から外部へ出力させる出力窓57が構成される技術。」
(6)甲第8号証
本件特許の出願前である平成25年(2013年)5月13日に頒布された刊行物である「特開2013-88199号公報」(以下「甲第8号証」という。)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明はX線検査装置に関する。」
イ 「【0032】
検査空間Siと、第1空間S1とは、仕切り板部材である第1仕切り部材13により仕切られている。第1仕切り部材13は、図6のように、開口部13aを有し、開口部13aの上方はX線が透過可能なカーボンプレート23により閉塞されている。開口部13aの検査空間Si側には、スリット形成部材24が設けられ、X線通過スリットAが形成されている。スリット形成部材24周りの構成については、X線源ユニット20の説明と併せて後述する。」
ウ 「【図3】
[図:0001392006000005.jpg]
」
エ 上記「イ」及び「ウ」より、「X線源20からのX線を透過させるX線通過スリットAのX線源20側はX線が透過可能なカーボンプレート23により閉塞されている」ことが読み取れる。
オ 上記甲第8号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第8号証には、次の技術(以下「甲8開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「X線検査装置において、X線源20からのX線を透過させるX線通過スリットAのX線源20側をX線が透過可能なカーボンプレート23により閉塞する技術。」
(7)甲第9号証
本件特許の出願前である平成26年(2014年)1月16日に頒布された刊行物である「特開2014-6064号公報」(以下「甲第9号証」という。)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、搬送面上を搬送される被検査物にX線を照射して透過X線を検出し、X線透過量に基づいて被検査物を各種検査するX線検査装置に係り、特にX線検出部における耐環境性能を向上させたX線検査装置に関する。」
イ 「【0021】
上述した搬送面、すなわち、筐体3のフレーム7の上面7aにはX線発生器9から照射されたX線を搬送面の下方に配設されているX線検出器11のX線センサまで効率的に通過させるために、図4に示すように、X線が通過するための略矩形スリット状のX線通過穴12が設けられている。また、図4に示すように、X線通過穴12にはこのX線通過穴12を水密に塞ぐためにシリコンなどからなる樹脂カバー13が設けられている。X線通過穴12の周縁部は、フレーム7の上面7aよりもフレーム7の下面(フレーム7の上板材の下面)7bがX線通過穴12の内方に突出しており、上面7aと下面7bの間には接着層14が設けられている。樹脂カバー13はこの接着層14に接着されてX線通過穴12に固定されている。」
ウ 「【図1】
[図:0001392006000006.jpg]
」
エ 上記甲第9号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第9号証には、次の技術(以下「甲9開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「X線検査装置において、搬送面の下方に配設されているX線検出器11のX線センサまで効率的に通過させるためのX線通過穴12に、このX線通過穴12を水密に塞ぐためにシリコンなどからなる樹脂カバー13を設ける技術。」
(8)甲第10号証
本件特許の出願前である平成28年(2016年)5月26日に頒布された刊行物である「特開2016-95248号公報」(以下「甲第10号証」という。)には、以下の技術事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。」
イ 「【0020】
本発明の第5観点に係るX線検査装置は、第4観点に係るX線検査装置であって、X線源は、複数の素子の上方に位置している。検出部は、複数の素子を上から覆うカバー部材をさらに有している。そして、カバー部材は、基台よりもX線の吸収率が低い。
【0021】
ここでは、オーバーハング部に素子が配置されており、上方のX線源から素子にX線が入ってくるが、素子の上に塵埃が溜まって付着してしまう恐れがある。そこで、カバー部材で素子を上から覆って、素子の感度が落ちることを抑制している。また、X線吸収率が基台よりも低いカバー部材を採用しているため、X線源の出力を上げることなく検出感度を保つこともできる。」
ウ 「【0050】
(2-6-3)カバー板
カバー板46は、4つの第1~第4検出ユニット41~44の複数の素子60を上から覆う板状部材である。このカバー板46は、カーボン製であり、セラミック基板51よりもX線の吸収率が低い。」
エ 上記甲第10号証の記載事項を総合勘案すると、甲第10号証には、次の技術(以下「甲10開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「X線検査装置において、検出部は、複数の素子を上から覆うカーボン製のカバー板46をさらに有する技術。」
(9)甲第1号証
本件特許の出願前である平成26年(2014年)8月14日に頒布された刊行物である「特開2014-145733号公報」(以下「甲第1号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、張力を付与した状態で搬送される連続帯状の被検査物にX線を照射して、被検査物を透過した透過X線のX線透過量に基づいてこの被検査物の品質(外観、割れ欠け、異物混入の有無など)を検査するX線検査装置に係り、詳細には、検査部におけるX線検出手段と被検査物の距離を常に一定に保持するX線検査装置に関する。」
イ 「【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して具体的に説明する。
各実施形態(X線検査装置1)は、連続帯状の被検査物WにX線を照射して、被検査物Wを透過した透過X線のX線透過量に基づいてこの被検査物の品質(外観、割れ欠け、異物混入の有無など)を検査するものである。また、これらは、主にPTP包装機に組み込まれて、PTP包装機における検査工程に使用されるものである。したがって、連続帯状の被検査物Wとしては、従来のX線検査装置100(図7参照)と同様に、図8に示すようなPTPシート110の各ポケット部113に錠剤114などが充填されたものである。
【0024】
まず最初に、図1を参照して各実施形態に共通の全体構成について説明する。
図1に示すように、連続帯状の被検査物Wの品質検査に特化したこのX線検査装置1は、搬送手段2と、X線検査手段4とを主な構成要件として備えている。
【0025】
搬送手段2は、詳細には、PTP包装機内の随所に配置された複数の搬送用ローラ3により構成されているが、X線検査装置1における搬送手段2としては、そのうちの所定位置に設けられた一対の搬送用ローラ3,3が該当する。なお、搬送手段2では、被検査物Wを複数の搬送用ローラ3に掛け回すように取り付けて、取り付けた被検査物Wを所定の張力を付与しながら複数の搬送用ローラ3を回転させて、それぞれの搬送用ローラ3,3の間の所定の搬送方向(X線検査装置1における搬送方向は矢線Y方向)に搬送する。
【0026】
X線検査手段4は、搬送手段2となる、所定位置の一対の搬送用ローラ3,3の間に配置されており、X線を照射するX線照射手段5と、X線を検出するX線検出手段6とを備えている。X線照射手段5とX線検出手段6は、一対の搬送用ローラ3,3の間の被検査物Wを挟んで対向して配置されており、X線照射手段5とX線検出手段6の間がX線検査装置1における検査部7となる。X線検査手段4では、X線照射手段5から照射されて被検査物Wを透過した透過X線をX線検出手段6で検出して、そのX線透過量に基づいて被検査物Wを検査する。
【0027】
X線照射手段となるX線発生器5は、金属製の箱内にX線を発生させるX線管が絶縁油に浸漬されてなり、搬送される被検査物Wに向けてX線を照射する。また、X線検出手段となるX線検出器6は、金属製の箱内に各種機器が収容されており、この箱のX線発生器5と対向する面にはフォトダイオードと、フォトダイオード上に設けられたシンチレータとからなる複数のX線検出素子が設けられている。これらのX線検出素子が搬送方向Yと直交する方向であり、且つ被検査物Wの面と平行となる方向に並んでラインセンサ6aが形成されている。」
ウ 「【0029】
ここから、本発明の要旨である上述した検査部7近傍における構成を各実施形態ごとに説明する。
「第1実施形態」
図1に示すように、X線検査装置1(1A)は、検査部7の近傍における被検査物Wの一方の面側に支持手段10を備えている。すなわち、支持手段10は、被検査物WのX線発生器5と対向する面側に、このX線発生器5と被検査物Wの間に介在するように設けられている。
【0030】
支持手段10は、検査部7において、X線検出器6と搬送される被検査物Wの距離が一定となるようにこの被検査物Wを支持するために設けられたものであり、一対のローラ11,11と、ローラ11,11に掛け回された循環ベルト12と、循環ベルト12のベルト面に突出して設けられた複数の円筒部からなる吸着手段13とを備えている。吸着手段13は、その吸着口13aから空気を吸い込むことにより被検査物Wを吸着口13aに吸着させるものである。」
エ 「【0034】
そして、X線発生器5とX線検出器6の間に形成された検査部7において、X線検出器6と被検査物Wの距離が常に一定に保持されるため、X線透過画像に誤差などが生じなくなり、安定した検査結果を得ることができる。」
オ 「【図1】
[図:0001392006000007.jpg]
」
カ 上記「イ」及び「エ」より、「X線照射手段5から照射されて被検査物Wを透過した透過X線をX線検出手段6で検出して、そのX線透過量に基づいたX線透過画像により被検査物Wを検査する」ことが読み取れる。
キ 上記甲第1号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「PTP包装機に組み込まれて、PTP包装機における検査工程に使用されるX線検査装置1において、
連続帯状の被検査物Wの品質検査に特化したこのX線検査装置1は、搬送手段2と、X線検査手段4とを備え、
搬送手段2は、PTP包装機内の随所に配置された複数の搬送用ローラ3により構成され、被検査物Wを複数の搬送用ローラ3に掛け回すように取り付けて、取り付けた被検査物Wを所定の張力を付与しながら複数の搬送用ローラ3を回転させて、それぞれの搬送用ローラ3,3の間の所定の搬送方向に搬送し、
X線検査手段4は、搬送手段2となる、所定位置の一対の搬送用ローラ3,3の間に配置され、X線を照射するX線照射手段5と、X線を検出するX線検出手段6とを備えてX線照射手段5から照射されて被検査物Wを透過した透過X線をX線検出手段6で検出し、そのX線透過量に基づいたX線透過画像により被検査物Wを検査し、X線照射手段5とX線検出手段6は、一対の搬送用ローラ3,3の間の被検査物Wを挟んで対向して配置されており、X線照射手段5とX線検出手段6の間がX線検査装置1における検査部7となり、
検査部7の近傍における被検査物Wの一方の面側に支持手段10を備え、この支持手段10は、被検査物WのX線発生器5と対向する面側に、このX線発生器5と被検査物Wの間に介在するように設けられており、支持手段10は、検査部7において、X線検出器6と搬送される被検査物Wの距離が一定となるようにこの被検査物Wを支持するために設けられたものであり、一対のローラ11,11と、ローラ11,11に掛け回された循環ベルト12と、循環ベルト12のベルト面に突出して設けられた複数の円筒部からなる吸着手段13とを備え、吸着手段13は、その吸着口13aから空気を吸い込むことにより被検査物Wを吸着口13aに吸着させるものであり、
X線照射手段となるX線発生器5は、金属製の箱内にX線を発生させるX線管が絶縁油に浸漬されてなり、X線検出手段となるX線検出器6は、金属製の箱内に各種機器が収容されており、この箱のX線発生器5と対向する面にはフォトダイオードと、フォトダイオード上に設けられたシンチレータとからなる複数のX線検出素子が設けられている、
X線検査装置1。」
(10)甲第7号証
本件特許の出願前である平成24年(2012年)11月15日に頒布された刊行物である「特開2012-225666号公報」(以下「甲第7号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、PTPシートの製造に際し用いられる錠剤検査装置、及び、該錠剤検査装置を備えたPTP包装機を含む技術分野に属するものである。」
イ 「【0010】
手段1.PTPシートを製造するにあたり、帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容され、当該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着された後の帯状のPTPフィルムにおいて前記錠剤の検査を行う錠剤検査装置であって、
前記PTPフィルムのポケット部に対応したポケット受け孔部を有し、当該ポケット受け孔部に前記ポケット部を嵌め込みつつ、前記PTPフィルムの搬送に伴い回転可能に設けられたX線遮蔽材よりなる筒状の回転体と、
前記回転体の所定回転位置にくる前記ポケット受け孔部の方に向けX線を照射可能なように、前記回転体の内側又は外側のいずれか一方側に配置されたX線源と、
前記回転体の所定回転位置にくる前記ポケット受け孔部に嵌め込まれた前記ポケット部を透過してくるX線を撮像可能なように、前記X線源に対向して前記回転体の内側又は外側の他方側に配置された撮像手段と、
前記回転体、前記X線源及び前記撮像手段を収容したX線遮蔽材よりなる外防壁と、
前記撮像手段により撮像された画像データを基に、前記錠剤の検査を行う検査手段とを備えたことを特徴とする錠剤検査装置。」
ウ 「【0044】
錠剤検査装置17は、その外郭をなす外防壁37を備えると共に、当該外防壁37の内部に、回転体としての回転ローラ38、X線源41、撮像手段としてのX線カメラ42等を備えている。以下、詳しく説明する。」
エ 「【図5】
[図:0001392006000008.jpg]
」
オ 「【図6】
[図:0001392006000009.jpg]
」
カ 上記甲第7号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第7号証には、次の発明(以下「甲7開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「帯状のPTPフィルムにおいて前記錠剤の検査を行う錠剤検査装置であって、
前記PTPフィルムの搬送に伴い回転可能に設けられたX線遮蔽材よりなる筒状の回転体と、
前記回転体の内側又は外側のいずれか一方側に配置されたX線源と、
前記X線源に対向して前記回転体の内側又は外側の他方側に配置された撮像手段と、
前記回転体、前記X線源及び前記撮像手段を収容したX線遮蔽材よりなる外防壁と、
前記撮像手段により撮像された画像データを基に、前記錠剤の検査を行う検査手段と
を備えた錠剤検査装置。」
3.当審の判断
取消理由(進歩性)について検討する。
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
(ア)甲2発明の「連続包装体10」は、本件発明1における「連続帯状の被検査物(1)」に相当する。
(イ)甲2発明の「連続包装体10を折り畳んで収容箱に箱詰めする箱詰め装置」は、本件発明1における「外部装置(3)」に相当する。
(ウ)甲2発明の「後方側のフレーム36」は、本件発明1における「フレーム(8)」に相当する。
(エ)甲2発明の「プールボックス24から出てくる連続包装体10を誘導するガイドロールユニット26と、ガイドロールユニット26の上方であって前記連続包装体10に引っ張り力を付与して上方向きに引き上げる複数のニップローラーが配置されたフィードユニット28」は、本件発明1における「連続帯状の被検査物(1)」を「搬送経路に沿って搬送」する「搬送手段(12,13)」に相当する。
(オ)甲2発明の「連続包装体10にX線を照射して、透過したX線を受光して画像解析することにより、異物混入、欠品、質量検査(内容物の占有面積等の検査)等による個装部の不良や、異物の噛み込等の横シール部領域の異常を検出する」「X線検査部20」は、本件発明1における「連続帯状の被検査物(1)にX線を照射し、」「被検査物を透過したX線から生成した透過画像に基づいて」「被検査物の検査を行う」「X線検査装置(4)」の「X線検査部(5)」に相当する。
(カ)甲2発明の「前記連続包装体10がX線検査部20のX線照射位置を通過する際、前記搬送部12の搬送速度を制御し一定速度で連続包装体10を搬送し、連続包装体10の特定の個装部の位置を認識する搬送制御部22」と「検査制御部20b」とを合わせたものは、本件発明1における「X線検査部を含む装置全体を制御する制御部(6)」に相当する。
(キ)甲2発明の「検査制御部20b」と「モニタ画面20c」は、本件発明1における「X線検査部の操作及び表示を行う表示操作部(7)」に相当する。
(ク)甲2発明の「X線検査部20」の「内部に下から上向きに連続包装体10が搬送され」る「箱形」の「外周」の「前面」の「開閉式の蓋20b」は、「開くことで連続包装体10を前面から装着し易くなっている」ことから、本件発明1における「検査空間の開口を開閉する」「正面カバー(30)」に相当する。
(ケ)甲2発明の「折り畳み箱詰め装置」は、「連続包装体10の上流側から下流側に向けてのユニットの並びは、下記のプールボックス24、ガイドロールユニット26、境界検出部18、X線検査部20、フィードユニット28、切断位置A、アキュームボックス30、折り畳み部14の順に設けたものであり、各機器が後方側のフレーム36に支持設置されてお」り、「X線検査部20」の「検査制御部20b」と「モニタ画面20c」は「プールボックス24の奥側に」「設けられ」ている。よって、甲2発明と本件発明1とは「搬送手段(12,13)」が「外部装置(3)のフレーム(8)の前面に取り付けられ」、「X線検査部(5)は」「搬送経路の所望の位置に設けられ」、「フレームの前面に取り付けられている」点で共通する。
(コ)甲2発明の「X線検査部20と搬送制御部22と検査制御部20bとモニタ画面20cとが別体で構成されている」ことは、本件発明1における「X線検査部と」「制御部と」「表示操作部が別体として構成され」ていることに相当する。
(サ)甲2発明の「搬送制御部22と検査制御部20bとモニタ画面20cはフレーム36に支持設置されている」ことは、本件発明1の「制御部と」「表示操作部は」「フレームに設置されている」ことに相当する。
(シ)甲2発明の「X線検査機能付き折り畳み箱詰め装置」における「前面には開閉式の蓋20bが設けられ」た「X線検査部20」と「搬送制御部22」と「検査制御部20b」と「モニタ画面20c」とを合わせたものは、本件発明1の「X線検査装置(4)」に相当する。
すると、本件発明1と、甲2発明とは、
「外部装置(3)のフレーム(8)の前面に取り付けられた搬送手段(12,13)により搬送経路に沿って搬送される連続帯状の被検査物(1)にX線を照射し、前記被検査物を透過したX線から生成した透過画像に基づいて前記被検査物の検査を行うX線検査装置(4)であって、
前記搬送経路の所望の位置に設けられたX線検査部(5)と、
前記X線検査部を含む装置全体を制御する制御部(6)と、
前記X線検査部の操作及び表示を行う表示操作部(7)と、
前記検査空間の開口を開閉する正面カバー(30)とを備え、
前記X線検査部と前記制御部と前記表示操作部が別体として構成され、前記X線検査部は前記フレームの前面に取り付けられ、前記制御部と前記表示操作部は、前記フレームに設置されている、X線検査装置(4)。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
X線検査部(5)が、本件発明1では「前記被検査物を挟むように対向して配置されることで前記被検査物が通過する検査空間(24)を構成する第1カバー(21)と第2カバー(22)を有し、前記第1カバーにはX線を照射するX線源(10)が収納され、前記第2カバーにはX線を検出するX線検出器(11)が収納された」ものであるのに対し、甲2発明のX線検査部20は、外周が箱型であって、内部に下から上向きに連続包装体10が搬送される空間があり、連続包装体10にX線を照射して、透過したX線を受光して画像解析するものであるが、その内部構造が明示されていない点。
<相違点1-2>
正面カバー(30)が、本件発明1では「遮蔽板(43)が設けられた」ものであるのに対し、甲2発明の開閉式の蓋20bが遮蔽板を設けているか明示されていない点。
<相違点1-3>
フレームに設置されている制御部と表示操作部が、本件発明1では「前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように」フレームに設置されているのに対し、甲2発明は、搬送制御部22と検査制御部20bとモニタ画面20cはフレーム36に支持設置されているものの、上記技術事項を備えていない点。
イ 判断
上記各相違点について検討する。
(ア)相違点1-1について
甲2発明のX線検査部20は、「外周が箱型であって、内部に下から上向きに連続包装体10が搬送される空間があり、連続包装体10にX線を照射して、透過したX線を受光して画像解析する」ものである。したがって、箱形の外周の内部にX線を発生し連続包装体10に照射するX線源と、連続包装体10を透過したX線を検出するX線検出器を備えていることは、明示がなくても明らかである。そうすると甲2発明の「箱形」の「外周」部は、内部にX線源とX線検出器を収納することとなるから、本件発明1の「第1カバー(21)」及び「第2カバー(22)」に相当することとなる。よって、上記相違点1-1は実質的な相違点とはならない。
仮に、本件発明1の「第1カバー(21)」及び「第2カバー(22)」が、それぞれ検査空間(24)側を閉じた独立した箱体に限定されるとしても、X線透過撮像装置においてX線源とX線検出器とを個々に独立した筐体内に収納することは、本願出願前に周知であるから、甲2発明において、箱形の内部を2つのカバーで仕切り、その2つのカバーの間に空間を設け、その空間を連続包装体10が搬送される空間とし、一方のカバーにX線を発生し連続包装体10に照射するX線源を収納し、他方のカバーに連続包装体10を透過したX線を検出するX線検出器を収納する構造として、上記相違点1-1に係る構成を得ることは、当業者が適宜なしうる設計上の事項にすぎず、当業者が容易になしえたことである。
(イ)相違点1-2について
甲2発明の開閉式の蓋20bは、開くことで連続包装体10をX線検査部20の前面から内部の空間に装着し易くするものであるから、蓋20bはX線検査部20においてX線を照射される連続包装体10の近傍にあることは明らかである。
一般に、X線を照射された物体からは、表面で反射されたX線や散乱X線が四方八方に放射されることは、当業者にとって自明のことであり、X線は人体に被曝をもたらす有害な電磁波であるから遮蔽をして人体への影響を少なくすることは、当業者に自明の解決すべき課題である。
したがって、X線を照射された連続包装体10からのX線を遮蔽すべく、蓋20bに遮蔽板を設けて蓋20bの外部へのX線の放射を防いで人体への影響を少なくすることは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、当業者が容易になしえたことである。
(ウ)相違点1-3について
甲2発明では、搬送制御部22と検査制御部20bとモニタ画面20cはフレーム36に支持設置されているが、上記「2.(1)ク」に示した甲第2号証の【図1】が搬送経路のある平面の垂直方向からみた図に該当するものであることから、甲2発明の搬送制御部22と検査制御部20bとモニタ画面20cは、搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されてはいない。
また、甲第1号証並びに甲第3ないし10号証にも、上記相違点1-3に係る技術は開示されておらず、本願出願時に周知の技術であるとも認められない。
したがって、甲2発明において、フレーム36に支持設置された搬送制御部22と検査制御部20bとモニタ画面20cとを、搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置することは、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
(エ)本件発明1の効果について
本件発明1は、上記相違点1-3に係る構成を採用することにより、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、左右方向であるX線検査装置の幅方向における装置サイズを小さくしてスペースの効率化を図ることができる(段落【0005】、【0012】及び【0028】参照。)という効果を奏するものである。
(オ)令和4年8月9日提出の意見書における申立人の主張について
a 申立人は、令和4年8月9日提出の意見書(以下「申立人意見書」という。)において、本件発明1ないし5の進歩性について、以下の点を主張している。
(a)特許権者の令和4年5月26日提出の意見書における、甲第2号証に記載された発明は、プールボックスや検査制御部20やモニタ画面20cがフレーム36に支持設置されているとは見受けられない旨の主張は、甲第2号証の段落【0072】ないし【0077】の記載は単に「本実施形態の折り畳み箱詰め装置」の特徴を並べたものであって、フレーム36に支持設置されている機器を規定したものではないから、特許権者の上記主張は失当である。
(b)制御部や表示操作部が、搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されていることは、周知例1ないし5に例示するように、あらゆる分野において広く周知である。また、そのように配置することは、単なる設計事項である。よって、本件発明1は進歩性を有しない。
周知例1:特開2002-188049号公報
周知例2:特開2007-50932号公報
周知例3:特開平1-167083号公報
周知例4:特開2012-96832号公報
周知例5:特開2015-74503号公報
b 上記申立人意見書における申立人の主張について検討する。
(a)検査制御部20やモニタ画面20cがフレーム36に支持設置されているという技術的事項は、上記「(1)ア」で述べたとおり、甲2発明に開示されている事項として本件発明1と甲2発明との一致点であるから、特許権者の令和4年5月26日提出の意見書における、甲第2号証に記載された発明は、プールボックスや検査制御部20やモニタ画面20cがフレーム36に支持設置されているとは見受けられない旨の主張は、受け入れられない。
(b)制御部や表示操作部が、搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されているという技術的事項は、上記「(1)イ(ウ)」で検討したとおり、周知であるとは認められない。申立人意見書の周知例1ないし5も検討したが、周知例1ないし4は投影視で各機器を重畳する位置に配置すれば省スペースになるという周知技術を示したものではあるものの、連続帯状の検査対象物品の搬送系と周辺機器との相互配置における周知技術を示したものではなく、上記周知例1ないし4が示す周知技術を連続帯状の検査対象物品の搬送系を備える甲2発明に適用した場合に、甲2発明の連続帯状の検査対象物品の搬送系と周辺機器との相互配置をどのように変更すれば省スペース化が図れるのか直ちに想到できるとはいえず、「外部装置(3)のフレーム(8)の前面に取り付けられた搬送手段(12,13)により搬送経路に沿って搬送される連続帯状の被検査物(1)にX線を照射し、前記被検査物を透過したX線から生成した透過画像に基づいて前記被検査物の検査を行うX線検査装置(4)」において「制御部や表示操作部が、搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置」することにより省スペース化を図ることは、当業者といえども容易に想到し得たことであるとはいえない。また、周知例5である甲第2号証には、上記「(1)ア及びイ」で検討したとおり、制御部や表示操作部が、搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されていることは開示されていない。よって、上記申立人意見書における上記主張「a(b)」は採用することができない。
(カ)小括
以上のことから、本件発明1は、甲2発明、並びに甲第1号証、甲第3ないし10号証に開示された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(2)本件発明2ないし5について
本件発明2ないし5は、本件訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する発明であり、本件発明1の発明特定事項を全て備えた発明である。
したがって、上記「(1)」で検討したとおり、甲2発明において、上記相違点1-3に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとすることを当業者が容易になし得るものではないから、本件発明2ないし5においても、甲2発明、並びに甲第1号証、甲第3ないし10号証に開示された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(3)まとめ
以上(1)及び(2)で検討したとおり、本件発明1ないし5は、甲2発明、並びに甲第1号証、甲第3ないし10号証に開示された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、当審が令和4年3月25日に特許権者に通知した取消理由通知書(決定の予告)における取消理由により、本件発明1ないし5に係る特許を取り消すことはできない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由
上記「第4」及び「第5」より、令和4年3月25日付け取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由については、以下のとおりとなる。
(1)異議申立理由1
本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。
(2)異議申立理由2の一部
本件訂正前の請求項1ないし5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易になしえた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
2.当審の判断
(1)異議申立理由1について
上記「第5 3.(1)」で検討したとおり、本件発明1は、甲2発明と相違点1-1ないし1-3で相違しており、本件発明1は甲第2号証に記載された発明と同一ではない。
また、異議申立書における申立人の主張は、訂正前の請求項1に対する主張であり採用することができない。そして、申立人意見書では、本件発明1が甲2発明と同一である旨の主張はない。
よって、申立人の特許法第29条第1項第3号についての異議申立理由1は、理由がない。
(2)異議申立理由2の一部について
ア 本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「PTP包装機」は、本件発明1における「外部装置(3)」に相当する。
(イ)甲1発明の「連続帯状の被検査物W」は、本件発明1における「連続帯状の被検査物(1)」に相当する。
(ウ)甲1発明の「被検査物Wを複数の搬送用ローラ3に掛け回すように取り付けて、取り付けた被検査物Wを所定の張力を付与しながら複数の搬送用ローラ3を回転させて、それぞれの搬送用ローラ3,3の間の所定の搬送方向に搬送」する「PTP包装機内の随所に配置された複数の搬送用ローラ3により構成され」た「搬送手段2」は、本件発明1における「連続帯状の被検査物(1)」を「搬送経路に沿って搬送」する「搬送手段(12,13)」に相当する。
(エ)甲1発明の「X線を照射するX線照射手段5」は、本件発明1における「X線源(10)」に相当する。
(オ)甲1発明の「X線を検出するX線検出手段6」は、本件発明1における「X線検出器(11)」に相当する。
(カ)甲1発明では「X線照射手段5とX線検出手段6は、一対の搬送用ローラ3,3の間の被検査物Wを挟んで対向して配置されており、X線照射手段5とX線検出手段6の間がX線検査装置1における検査部7とな」ることから、甲1発明の「検査部7」は、本件発明1の「搬送経路の所望の位置に設けられ、」「被検査物を挟むように対向して配置されることで」「被検査物が通過する検査空間(24)を構成する」「X線検査部(5)」に相当する。
(キ)甲1発明は、「X線照射手段となるX線発生器5は、金属製の箱内にX線を発生させるX線管が絶縁油に浸漬されてな」ることから、甲1発明と本件発明1とは、「X線を照射するX線源(10)が収納され」た「第1カバー」を有する点で共通する。
(ク)甲1発明は、「X線検出手段となるX線検出器6は、金属製の箱内に各種機器が収容されて」いることから、甲1発明と本件発明1とは、「X線を検出するX線検出器(11)が収納された」「第2カバー」を有する点で共通する。
(ケ)甲1発明の「X線照射手段5から照射されて被検査物Wを透過した透過X線をX線検出手段6で検出し、そのX線透過量に基づいたX線透過画像により被検査物Wを検査」する「X線検査手段4」を備えた「PTP包装機における検査工程に使用されるX線検査装置1」は、本件発明1と「前記被検査物を透過したX線から生成した透過画像に基づいて前記被検査物の検査を行うX線検査装置(4)」の点で共通する。
すると、本件発明1と、甲1発明とは、
「外部装置(3)に取り付けられた搬送手段(12,13)により搬送経路に沿って搬送される連続帯状の被検査物(1)にX線を照射し、前記被検査物を透過したX線から生成した透過画像に基づいて前記被検査物の検査を行うX線検査装置(4)であって、
前記搬送経路の所望の位置に設けられ、前記被検査物を挟むように対向して配置されることで前記被検査物が通過する検査空間(24)を構成する第1カバー(21)と第2カバー(22)を有し、前記第1カバーにはX線を照射するX線源(10)が収納され、前記第2カバーにはX線を検出するX線検出器(11)が収納されたX線検査部(5)と、
を備えた、
X線検査装置(4)。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
搬送手段(12,13)が、本件発明1は「フレーム(8)の前面に取り付けられた」ものであるのに対し、甲1発明は、「PTP包装機内の随所に配置された」ものである点。
<相違点2-2>
本件発明1は、「前記X線検査部を含む装置全体を制御する制御部(6)と、前記X線検査部の操作及び表示を行う表示操作部(7)と、」「を備え、前記X線検査部と前記制御部と前記表示操作部が別体として構成され、前記X線検査部は前記フレームの前面に取り付けられ、前記制御部と前記表示操作部は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレームに設置されている」のに対し、甲1発明は上記技術事項を備えていない点。
<相違点2-3>
本件発明1は、「前記検査空間の開口を開閉するとともに遮蔽板(43)が設けられた正面カバー(30)とを備え」るのに対し、甲1発明は上記技術事項を備えていない点。
イ 判断
上記相違点について、事案に鑑み相違点2-3について検討する。
(ア)本件発明1における正面カバー(30)は、第1カバー(21)と第2カバー(22)の間に設けられて被検査物が通過する検査空間(24)の側面(被検査物搬送方向に沿った側面)にある開口を開閉するように覆うものであるから、正面カバー(30)の大きさは被検査物の厚みより少々大きい程度のものであると認められる。
(イ)一方、甲1発明では、X線照射手段5とX線検出手段6の間である検査部7には、支持手段10が存在し、その支持手段10は、一対のローラ11,11と、ローラ11,11に掛け回された循環ベルト12と、循環ベルト12のベルト面に突出して設けられた複数の円筒部からなる吸着手段13とからなるものであるから、検査部7のX線照射手段5とX線検出手段6の間は、一対のローラ11,11と、ローラ11,11に掛け回された循環ベルト12と、循環ベルト12のベルト面に突出して設けられた複数の円筒部が収まるほどの大きさがあると認められる。
(ウ)ゆえに、甲1発明において、一対のローラ11,11と、ローラ11,11に掛け回された循環ベルト12と、循環ベルト12のベルト面に突出して設けられた複数の円筒部が収まるほどの大きさがある検査部7のX線照射手段5とX線検出手段6の間に対して、開閉するとともに遮蔽板が設けられた正面カバーを設けようという動機付けは、少なくとも甲1発明には見いだすことはできない。
(エ)また、上記「第5 2.(1)」より、甲2発明には、X線検査部20が、外周が箱型であって、内部に下から上向きに連続包装体10が搬送される空間があり、前面には開閉式の蓋20bが設けられ、開くことで連続包装体10を前面から装着し易くなっているという構成が開示されていることから、甲第2号証には検査空間(甲2発明における連続包装体10が搬送される空間)の側面を開閉式の蓋で覆う技術を開示していると認められる。しかしながら、この蓋も被検査物の厚みより少々大きい程度の大きさであると認められることから、上記甲第2号証に開示された技術を甲1発明の検査部7に適用する動機付けとはならない。
(オ)したがって、甲1発明において、検査部7に検査部7の側面を開閉する、遮蔽板が設けられた正面カバーを備える動機付けは存在しない。
(カ)さらに、上記「第5 2.(2)ないし(10)」で検討した甲第3ないし第10号証には、上記相違点2-3に係る事項については開示も示唆もなく、本件発明1の出願前において周知のことでもない。
(キ)ゆえに、甲1発明に上記相違点2-3に係る発明特定事項を備えるようにすることは、当業者が容易になしえたことであるとは認められない。
(ク)以上のことから、相違点2-1及び2-2について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明から当業者が容易になしえた発明ではない。
(ケ)そして、本件発明2ないし5は、本件訂正後の請求項1を直接に又は間接的に引用する発明であり本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記と同様の理由により、甲1発明から当業者が容易になしえた発明ではない。
ウ 小括
以上のことから、本件発明1ないし5を、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、申立人の特許法第29条第2項についての異議申立理由2の一部は、理由がない。
3.まとめ
以上のことから、取消理由通知において採用しなかった異議申立理由1及び異議申立理由2の一部については、本件発明1ない5に係る特許に対しいずれも理由はない。
第7 令和4年8月9日提出の意見書における申立人の主張について
1.申立人は、令和4年8月9日提出の意見書(以下「申立人意見書」という。)において、以下の点を主張している。
(1)<明確性要件違反>
本件発明1の「搬送経路のある平面」が不明であり、「前記搬送経路のある平面とは別の面」及び「前記搬送経路のある平面の垂直方向」が不明確であり、結果として発明が不明確である。
(2)<サポート要件違反>
本件発明1の「前記制御部と前記表示操作部は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレームに設置されている」要件を全て満たしているとしても、特許権者が本件発明1の効果として主張しているような「スペースの効率化が図れる」、「装置全体のコンパクト化及び設置スペースの一層の効率化」、「横方向の寸法をコンパクトにする」等という効果が得られない態様も含まれる。
2.上記主張は、異議申立書における異議申立理由についてのものではないが、本件訂正後の本件発明1に瑕疵がある旨の主張であると認められるので、一応検討する。
(1)明確性要件違反について
上記「第2 2.(1)」で検討したとおり、「前記搬送経路のある平面」とは、フレーム8の前面において、上下に屈曲した経路である搬送経路が作り出す、【図1】における自動折り畳み装置3の正面図の紙面とほぼ平行な平面であると読み取れる。よって、「前記搬送経路のある平面とは別の面」及び「前記搬送経路のある平面の垂直方向」も理解できる。
ゆえに、本件発明1の「搬送経路のある平面」、「前記搬送経路のある平面とは別の面」及び「前記搬送経路のある平面の垂直方向」は明確でないとはいえず、それゆえ本件発明1も明確でないとはいえない。
(2)サポート要件違反について
本件発明1において、「前記制御部と前記表示操作部は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレームに設置されている」ことは、制御部と表示操作部が前記搬送経路のある平面とは別の面で搬送経路のある平面の垂直方向からみて搬送経路に重ならない位置に配置される場合よりも、搬送経路のある平面の垂直方向からみて左右方向である幅方向における装置サイズを小さくしてスペースの効率化を図ることができることは明らかである。
なお、申立人意見書における参考図1を用いた主張では、表示操作部20cを搬送経路のある平面とは別の面で搬送経路のある平面の垂直方向からみて搬送経路に重なる位置に配置されていても省スペース化は図れない旨主張しているが、参考図1で表示操作部20cが搬送経路のある平面の垂直方向からみて搬送経路に重ならない位置に配置されれば、搬送経路のある平面の垂直方向からみて左右方向である幅方向に表示操作部20cが突出したこととなり、そのような装置構成の場合と比べても参考図1においても、搬送経路のある平面の垂直方向からみて左右方向である幅方向において省スペース化の効果があるものとなっている。
ゆえに、本件発明1は、省スペース化という発明の課題を解決するための手段として「前記制御部と前記表示操作部は、前記搬送経路のある平面とは別の面で、前記搬送経路のある平面の垂直方向からみて、前記搬送経路に重なる位置に配置されるように前記フレームに設置されている」という技術事項が反映されていることから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。
3.小括
以上のことから、申立人意見書における上記明確性要件違反及びサポート要件違反の主張は採用することができない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700845