特許異議申立
2022-701012
物品検査装置
- 審判番号
- 2022-701012
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-219332
- 登録番号
- 7065755
- 請求日
- 2022年10月12日
- 審決日
- 2023年06月26日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】アンリツ株式会社
- 【権利者代理人】西村 教光
- 【権利者代理人】鈴木 典行
- 【異議申立人】平賀 博
- 審判長/審判官
- 審判長 樋口 宗彦
- 審判官 上田 泰
- 審判官 伊藤 幸仙
- 分類
- P1651.113-YAA(G01N) / P1651.121-YAA(G01N) / P1651.536-YAA(G01N) / P1651.537-YAA(G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第113条第2号、特許法第29条第2項、特許法第113条第4号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7065755号発明「物品検査装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7065755号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。
特許第7065755号の請求項1に係る特許を維持する。
特許第7065755号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7065755号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成30年11月22日に出願され、令和4年4月28日にその特許権の設定登録がされ、同年5月12日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、同年10月12日に特許異議申立人平賀博(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和5年1月16日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年3月20日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、申立人は、同年4月24日に意見書を提出した。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)~(4)のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1について、
「被検査物(W)を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段(3)を有し、前記搬送手段によって搬送される前記被検査物を順次検査する物品検査装置において、
異なる波長の光を出力して被検査物(W)に照射するための複数の任意の狭い波長成分を有する光源(2a,2b,2c)を有する光源部(2)と、
所定のパターンで配列し、前記複数の光源それぞれに対応して該複数の光源の波長を透過する異なる透過波長帯の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記複数のカラーフィルタを通過した前記複数の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する2次元イメージセンサ(4b)とを有する受光部(4)と、
前記受光部が出力する前記光強度データを取得して記憶するデータ取得部(5)と、
前記データ取得部が記憶する光強度データから前記複数の光源の波長帯毎の2次元画像データを生成する画像データ生成部(6)と、
前記複数の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す特性データを記憶する特性データ記憶部(7a)と、
前記特性データ記憶部に記憶された特性データと、前記画像データ生成部にて生成した前記複数の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて前記被検査物の特性を検出する特性検出部(8)と、
を備えたことを特徴とする物品検査装置。」と記載されているのを、
「被検査物(W)を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段(3)を有し、前記搬送手段によって搬送される前記被検査物を順次検査する物品検査装置において、
異なる波長の光を出力して被検査物(W)に照射するための青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する光源部(2)と、
所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、
前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する2次元イメージセンサ(4b)とを有する受光部(4)と、
前記受光部が出力する前記光強度データを取得して記憶するデータ取得部(5)と、
前記データ取得部が記憶する光強度データから前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データを生成する画像データ生成部(6)と、
前記3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す特性データを記憶する特性データ記憶部(7a)と、
前記特性データ記憶部に記憶された特性データと、前記画像データ生成部にて生成した前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて前記被検査物の特性を検出する特性検出部(8)と、
を備えたことを特徴とする物品検査装置。」に訂正する。
(2)訂正事項2
願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の【0014】において、
「上記目的を達成するため、本発明に係る物品検査装置は、被検査物Wを所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段3を有し、前記搬送手段によって搬送される前記被検査物を順次検査する物品検査装置において、
異なる波長の光を出力して被検査物Wに照射するための複数の任意の狭い波長成分を有する光源2a,2b,2cを有する光源部2と、
所定のパターンで配列し、前記複数の光源それぞれに対応して該複数の光源の波長を透過する異なる透過波長帯の複数のカラーフィルタ4aと、前記複数のカラーフィルタを通過した前記複数の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する2次元イメージセンサ4bとを有する受光部4と、
前記受光部が出力する前記光強度データを取得して記憶するデータ取得部5と、
前記データ取得部が記憶する光強度データから前記複数の光源の波長帯毎の2次元画像データを生成する画像データ生成部6と、
前記複数の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す特性データを記憶する特性データ記憶部7aと、
前記特性データ記憶部に記憶された特性データと、前記画像データ生成部にて生成した前記複数の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて前記被検査物の特性を検出する特性検出部8と、
を備えたことを特徴とする。」と記載されているのを、
「上記目的を達成するため、本発明に係る物品検査装置は、被検査物Wを所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段3を有し、前記搬送手段によって搬送される前記被検査物を順次検査する物品検査装置において、
異なる波長の光を出力して被検査物Wに照射するための青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源2a,2b,2cを有する光源部2と、
所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ4aと、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する2次元イメージセンサ4bとを有する受光部4と、
前記受光部が出力する前記光強度データを取得して記憶するデータ取得部5と、
前記データ取得部が記憶する光強度データから前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データを生成する画像データ生成部6と、
前記3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す特性データを記憶する特性データ記憶部7aと、
前記特性データ記憶部に記憶された特性データと、前記画像データ生成部にて生成した前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて前記被検査物の特性を検出する特性検出部8と、
を備えたことを特徴とする。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(4)訂正事項4
本件明細書の【0015】を削除する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
(ア)訂正前の請求項1における「光源」について、「複数の任意の狭い波長成分を有する」と種類数は「複数」であれば任意の種類数が含まれ、波長は「任意の狭い波長成分を有する」ものであれば任意の波長範囲が含まれていたものを、訂正後の請求項1において、「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種」と種類数及び波長範囲の両方を限定して特定するものである。
(イ)訂正前の請求項1における「複数のカラーフィルタ」について、「前記複数の光源それぞれに対応して該複数の光源の波長を透過する異なる透過波長帯」と、「複数の光源それぞれに対応して該複数の光源の波長を透過」し、「異なる透過波長帯」を有すれば、種類数及び透過波長帯の範囲は任意のものが含まれていたものを、訂正後の請求項1において、「透過波長帯が青、緑、赤である3種」と種類数及び透過波長帯の範囲の両方を限定して特定するものである。
(ウ)訂正前の請求項1における「前記複数の光源」及び「前記複数のカラーフィルタ」について、訂正後の請求項1において「前記3種の光源」及び「前記3種のカラーフィルタ」と種類数を限定して特定するものである。
(エ)上記(ア)~(ウ)より、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無について
訂正事項1の「光源」について、本件明細書の【0022】に「本例における複数の光源は、例えば図3(b)に示すように、矢印Aの青(450nm)の光を発光する光源2a、矢印Bの緑(550nm)の光を発光する光源2b、矢印Cの赤(680nm)の光を発光する光源2cからなる。」と記載されている。
訂正事項1の「カラーフィルタ」について、本件明細書の【0036】に「ここで、本実施の形態における受光部4は、光源部2の複数の光源2a,2b,2cそれぞれに対応し、複数の光源2a,2b,2cの波長を透過する異なる透過波長帯の複数のカラーフィルタ4a、すなわち青、緑、赤の波長帯の複数の光源2a,2b,2cに対応した青、緑、赤のカラーフィルタ4aを配置した2次元イメージセンサ4bを有する。」と記載されている。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項1は訂正要件を満たす。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、上記訂正事項1の特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正である。そうすると、前記訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項2は訂正要件を満たす。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無について
訂正事項3は、請求項2を削除するというものであるから、明らかに願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項3は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項3は訂正要件を満たす。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、上記訂正事項3の特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正である。そうすると、前記訂正事項4は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項4は訂正要件を満たす。
(5)独立特許要件について
申立人による特許異議の申立ては、本件訂正前の全ての請求項に対してされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
3 訂正の適否の小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号および第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、請求項2は削除された。そして、本件訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明1」という。)は、令和5年3月20日提出の訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。ここで、各構成単位冒頭の「A1」などは分説のために当審で付した分説番号であり、以下該各構成単位を該分説番号をもとに「構成A1」などという。以下同様。
「【請求項1】
A1 被検査物(W)を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段(3)を有し、前記搬送手段によって搬送される前記被検査物を順次検査する物品検査装置において、
B1 異なる波長の光を出力して被検査物(W)に照射するための青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する光源部(2)と、
C1 所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、
前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する2次元イメージセンサ(4b)とを有する受光部(4)と、
D1 前記受光部が出力する前記光強度データを取得して記憶するデータ取得部(5)と、
E1 前記データ取得部が記憶する光強度データから前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データを生成する画像データ生成部(6)と、
F1 前記3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す特性データを記憶する特性データ記憶部(7a)と、
G1 前記特性データ記憶部に記憶された特性データと、前記画像データ生成部にて生成した前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて前記被検査物の特性を検出する特性検出部(8)と、
H1 を備えたことを特徴とする物品検査装置。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して、当審が令和5年1月16日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)(明確性)請求項1及び2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(2)(実施可能要件)請求項2に係る特許は、明細書の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(3)(サポート要件)請求項2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が発明の詳細な説明に記載されたものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
2 当審の判断
(1)特許法第36条第6項第2号について
ア 本件訂正により、訂正前の請求項1の「光源部」について、「複数の任意の狭い波長成分を有する」が、「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の」に特定され、各光源の波長範囲が明確になった。
イ 本件訂正により、訂正前の請求項1の「複数のカラーフィルタ」について、「前記複数の光源それぞれに対応して該複数の光源の波長を透過する異なる透過波長帯の」が、「透過波長帯が青、緑、赤である3種の」に特定され、カラーフィルタの透過波長帯が明確になるとともに、光源の波長帯とカラーフィルタの透過波長帯の両方が「青、緑、赤」と特定されたことで、光源の波長帯とカラーフィルタの透過波長帯の関係が明確になった。
ウ 以上より、本件訂正発明1は明確である。
エ 本件訂正により請求項2が削除されたので、訂正前の請求項2に係る発明に関する上記明確性に関する取消理由は解消した。
(2)特許法第36条第4項第1号について
本件訂正により請求項2が削除されたので、特許法第36条第4項第1号の取消理由の対象となる請求項は存在しないものとなった。
(3)特許法第36条第6項第1号について
本件訂正により請求項2が削除されたので、特許法第36条第6項第1号の取消理由の対象となる請求項は存在しないものとなった。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立人の特許異議申立理由
(1)(新規性)請求項1ないし2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明または甲第2号証に記載された発明であるから、請求項1ないし2に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
したがって、請求項1ないし2に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)(進歩性)請求項1ないし2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明または甲第2号証に記載された発明に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、請求項1ないし2に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)(サポート要件)請求項1に係る発明において、例えば、ピーク波長が「α」であって波長幅が「A1」~「A2」の波長成分を有する第1の光源と、ピーク波長が「β」(但し、α<β) であって波長幅が「B1」~「B2」の波長成分を有する第2の光源が存在する場合において、両波長成分が重なる場合(具体的には、B1<A2) 、「複数の任意の狭い」を充足するというのであれば、所謂サポート要件を満たさないこととなる。
したがって、請求項1に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(4)証拠方法
甲第1号証:再公表特許WO2012/153695号
甲第2号証:再公表特許WO2018/038123号
甲第3号証:再公表特許WO2004/012461号
甲第4号証:特開2002-214158号公報
甲第5号証:特開2016-45175号公報
甲第6号証:特開2016-214941号公報
甲第7号証:特開2010-16419号公報
2 各甲号証の記載
(1)甲第1号証(再公表特許WO2012/153695号)(以下「甲1」という。他の甲号証についても同様。)の記載事項及び甲1に記載された発明
ア 甲1の記載事項
甲1には以下の記載がある(下線は当審で付加した。以下同じ。)。
(甲1-ア)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射光を計測してその計測値を出力可能な計測装置と、
ピーク波長が互いに異なる3つ以上の狭帯域光源を選択し、前記狭帯域光源が発する光の発光条件を制御して、それらの光が混合されることにより光源色を白色とする機能性光源であって、前記機能性光源で照明しつつ前記計測装置により2つの弁別対象からの反射光を計測したときの弁別対象間の計測値の差が、略最大となるように構成された前記機能性光源と、
前記機能性光源で照明しつつ前記計測装置により検査対象からの反射光を計測したときの前記検査対象の複数の部分の計測値を取得して、当該計測値に基づいて検査結果を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする機能性光源を用いた検査装置。
・・・
【請求項13】
請求項7または10記載の機能性光源であって、
前記狭帯域光源としてLEDを用いたことを特徴とする機能性光源。」
(甲1-イ)
「【0123】
〈第2実施形態〉
次に、図13、14、15に基づいて、第2実施形態に係る検査装置30について説明する。検査装置30は、ブルーベリージャムの異物検出装置として構成されており、2つの機能性光源31と、計測装置に相当するRGBカメラ32と、RGBカメラ32に接続されパーソナル・コンピュータからなる判定部33と、判定部33に接続された排除機構制御ユニット34とを備えている。RGBカメラ32は、RGB値を出力可能な撮像装置である。判定部33は、画像処理部331とデータ処理部332とを備えている。
【0124】
各機能性光源31は、ピーク波長の異なる3つ以上のLEDが配列された基板311と、LEDからの光を混合する拡散板(図示せず。)とを備え、外部電源から電気の供給を受けて白色光を発光する。
【0125】
各機能性光源31は、弁別の対象をブルーベリージャムの異物混入部と異物無し部として、第1実施形態で説明した設計方法により設計されたものである。但し、第1実施形態では、評価量算出ステップにおいて、各サンプルの色の見えを表すパラメータをCIECAM02により算出したが、第2実施形態では、各サンプルに対しRGBカメラ32から出力されると予想されるRGB値を、RGBカメラ32の分光感度特性に基づいて算出する。後述する第3実施形態及び第4実施形態でも同様である。なお、RGBカメラ32の分光感度特性は、予め調べておくものとする。そして、異物混入部と異物無し部とのRGB値の差を表す評価量(例えば、両RGB値間のユークリッド距離)を算出する。
【0126】
機能性光源31、31は、第1移動手段であるベルトコンベヤ35上の所定の撮影領域を照明するように、互いに向き合う方向に少し傾斜されて配置されている。RGBカメラ32は、真上から機能性光源31、31間を通して撮影領域を撮影するように配置されている。ベルトコンベヤ35は、第2移動手段であるベルトコンベヤ37とともに、検査対象であるブルーベリージャム36の移動手段を構成し、ジャム36は、ベルトコンベヤ35上に乗せられて、撮影領域を通ってベルトコンベヤ37上に落下する。撮影領域は、ジャム36とその両側のベルトコンベヤ35部分を含むように設定されている。ベルトコンベヤ35とベルトコンベヤ37との段差部分には、排除機構であるシュータ38が配置されており、シュータ38は排除機構制御ユニット34と接続されている。シュータ38は、上下方向に回動して開閉する扉部381を有し、扉部381が閉鎖されているときは、ジャム36はベルトコンベヤ35からベルトコンベヤ37に落下するが、扉部381が開放されているとき、ジャム36はベルトコンベヤ35から扉部381を伝って排除物ボックス39に排出され、ベルトコンベヤ37に落下しないように構成されている。
【0127】
以上のように構成された検査装置30の動作について説明する。RGBカメラ32は、ベルトコンベヤ35上のジャム36の移動速度に合わせて、ジャム36に未撮影部分が残らないように、所定の時間間隔で繰り返し撮影領域を撮影し、RGB値を含む計測データである撮影画像を、画像処理部331に出力する。
【0128】
図14(a)は、RGBカメラ32の撮影画像の模式図であり、この撮影画像には、ジャム36の画像部分36’と、ベルトコンベヤ35の画像部分35’と、ジャム36中の異物の画像部分10’とが含まれている。画像処理部331は、まず、撮影画像の各部分の濃度値(強度)をRGB値から計算し、予め定められた閾値にしたがって、背景領域である画像部分35’を、撮影画像から除外し、図14(b)に示すような画像とする。なお、図14では、除外された部分を黒色で表している。閾値は、ジャム36、ベルトコンベヤ35及び異物の各画像部分が含まれ、それらの各々が画像中のどこに含まれているかが分かっている教師画像を用いて、事前に学習を行うことにより、決定しておく。学習方法として線形判別分析を用いるが、これに限らずサポートベクターマシンなど様々な公知の機械分類手法を使用可能である。
【0129】
次に、画像処理部331は、上記背景領域の除外方法と同様の手法を用いて、ジャム36の画像部分36’と異物の画像部分10’とを閾値に従って判別する。この閾値も予め学習により決定しておく。画像処理部331は、この判別結果に基づいて、画像部分10’に例えば白を、それ以外の部分である画像部分36’、37’に例えば黒をラベル付けする2値化処理を行い、図14(c)に示すような2値化処理画像を生成し、データ処理部332に出力する。
【0130】
データ処理部332は、図15に示すように、2値化処理画像において異物の画像部分10’が存在するか否かを判定し(ステップS101)、画像部分10’が存在すれば、排除信号を排除機構制御ユニット34に出力する(ステップS102)。排除信号を受け取った排除機構制御ユニット34は、シュータ38に扉部381を開放する制御信号を出力し、シュータ38は扉部381を開放して、ジャム36を排除物ボックス39に排出する。なお、排除機構制御ユニット34は、ジャム36の異物混入と判定された部分が排出されるのに必要な所定の時間が経過すると、扉部381を閉鎖する制御信号を出力し、これにより扉部381は閉鎖する。
【0131】
例えば赤色の光源下で計測を行った場合、赤色方向への色の変化は検出し難いため、R値は有効に使えない等、白色以外の光源下で計測を行った場合には、RGBカメラ32が出力するR値、G値及びB値を有効に使うことができないが、第2実施形態によれば、白色光源である機能性光源31の下で計測を行うので、すなわち、白色を中心として色の変化を計測することとなるので、RGBカメラ32が出力するR値、G値及びB値の全てを有効に検査結果の判定に用いることができ、検査精度を向上可能である。また、機能性光源31は、同等の輝度を有する等エネルギー白色光源で照明したときよりも弁別対象間の計測値の差が拡大することからも、検査精度を向上可能である。また、検査装置30は、近赤外線、赤外線や多層膜光学フィルタを用いる必要がないので、導入容易である。」
(甲1―ウ)
「【0135】
以上のように構成された検査装置40の動作について説明する。RGBカメラ42は、撮影領域内の皮膚46を撮影し、RGB値を含むデータである撮影画像を、ノイズ・鏡面反射除去部431に出力する。
【0136】
ノイズ・鏡面反射除去部431は、例えばガウシアンフィルタや移動平均フィルタ,メディアンフィルタ等の一般的な画像処理用二次元フィルタを用いて、撮影画像からノイズを除去する。次に、ノイズ・鏡面反射除去部431は、撮影画像から、極端に肌色から逸脱し光源色を示す領域を、予め定めておいた閾値に従って除外する。判断には、撮影画像のRGB値を用いる。閾値は、鏡面反射有りの部分と鏡面反射無しの部分とが分かっている教師画像を用いて事前に学習を行うことにより、定めておく。学習手法として線形判別分析を用いるが、これに限らずサポートベクターマシンなど様々な公知の機械分類手法を使用可能である。ノイズ・鏡面反射除去部431は、ノイズ及び鏡面反射を除去した画像を、色素分布画像生成部432に出力する。」
(甲1―エ)
【図14】
[図:0001401663000001.jpg]
図14(a)~図14(c)のいずれも2次元の画像データであることが見て取れる。
イ 認定事項
(認定事項1a)
機能性光源31に関し、(甲1―ア)の「ピーク波長が互いに異なる3つ以上の狭帯域光源を選択し、前記狭帯域光源が発する光の発光条件を制御して、それらの光が混合されることにより光源色を白色とする機能性光源」及び「前記狭帯域光源としてLEDを用いた」なる記載、(甲1―イ)の「各機能性光源31は、ピーク波長の異なる3つ以上のLEDが配列された基板311と、LEDからの光を混合する拡散板(図示せず。)とを備え、外部電源から電気の供給を受けて白色光を発光する」なる記載から、以下の事項を導くことができる。
「ピーク波長が互いに異なる3つ以上のLEDを有し、それらの光を混合することで光源色を白色とする機能性光源とすること。」
ウ 甲1に記載された発明
上記ア、イから、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる(各構成単位末尾括弧内に主たる認定根拠となる記載箇所を示す)。
「a1 検査対象であるブルーベリージャム36を所定の搬送経路に沿って搬送するベルトコンベヤ35を有し、前記ベルトコンベヤ35によって搬送される前記ブルーベリージャム36を順次検査する検査装置30において(【0123】、【0126】)、
b1 ピーク波長が互いに異なる光を出力して前記ブルーベリージャム36に照射するための、ピーク波長が互いに異なる3つ以上のLEDを有し、それらの光を混合することで光源色を白色とする機能性光源と(【0126】、認定事項1a)、
c1 ベルトコンベヤ35上のジャム36の移動速度に合わせて所定の時間間隔で繰り返し撮影領域を撮影し、RGB値を含む計測データである撮影画像を画像処理部331に出力するRGBカメラと(【0127】)、
d1 画像処理部331にてRGBカメラが出力する撮影画像の各部分の濃度値(強度)をRGB値から計算することと(【0128】)、
e1 画像処理部331にて、教師画像を用いて事前に学習を行うことにより予め定められた閾値を用いて、背景領域である画像部分35’を撮影画像から除外した2次元画像データを生成することと(【0128】、【図14】(b))、
f1 ジャム36の画像部分36’と異物の画像部分10’を判別するための閾値を予め学習により決定しておくことと(【0129】)、
g1 ジャム36の画像部分36’と異物の画像部分10’を判別するための閾値と、背景領域である画像部分35’を撮影画像から除外した前記2次元画像データとに基づいて、異物の画像部分10’を判別してラベル付けし、2値化処理画像を生成してデータ処理部332に出力し、データ処理部332は2値化処理画像において異物の画像部分10’が存在するか否かを判定する(【0129】、【0130】)、
h1 検査装置30」
(2)甲2(再公表特許WO2018/038123号)の記載事項及び甲2に記載された発明
ア 甲2の記載事項
甲2には以下の記載がある。
(甲2-ア)
「【0020】
<搬送手段の構成-1>
搬送手段2は、検査対象物Aを上流工程から検査部Cでの検査工程を経て下流工程を搬送するもので、ベルトコンベアなどから構成されている。搬送手段2は、2m/分から20m/分程度の搬送速度で検査対象物Aを搬送する。
【0021】
<検査部の構成-1>
検査部Cは、搬送手段2の上方に配置された、光照射手段3と、撮像手段4と、波長強調手段5と、識別処理装置6と、から構成され、異物Fnの混在ないことを確認したい搬送中の食品Bから、異物Fnをインラインで識別する。
【0022】
<光照射手段の構成-1>
光照射手段3は、検査対象物Aに光、例えば300nm以上1100nmの波長を含む光を照射するもので、ハロゲンランプなどが用いられる。ハロゲンランプであれば、近紫外線領域から可視光領域及び近赤外線領域までの光を照射することができる。なお、本実施形態では、光照射手段3には、後述する第2の光学フィルター52が取付けられた補光器32も含まれる。
【0023】
<撮像手段の構成-1>
撮像手段4は、搬送中の検査対象物Aを撮像するもので、CCDカメラや、ハイパースペクトルカメラなどで構成される。この撮像手段4には、後述する第1の光学フィルター51が取付けられている。なお、第1の光学フィルター51は、撮像手段4でなく、上述の光照射手段3に取付けてもよい。また、解像度は、食品Bの平均ピクセル長が10~100ピクセルで撮像できる解像度が好ましく、20~40ピクセルでの撮像が最も好ましい。食品Bの平均ピクセル長が10ピクセルよりも小さいと後に十分な特徴検出が行えず、100ピクセルを超えると食品検査としての十分な処理能力を得られない。なおここで、食品Bの平均ピクセル長とは、対象となる食品Bを撮像したときの縦・横いずれかの最大ピクセル数を計測し、10個撮像したときの平均値である。
【0024】
<波長強調手段の構成-1>
波長強調手段5は、検査対象物A中の食品Bの良品S又は異物Fnの少なくとも一方が反射する特徴的な波長Wnを強調する。波長強調手段5は、例えば、光照射手段3又は撮像手段4に取付けた第1の光学フィルター51を用いて、異物F1に特徴的な異物特定波長(第1の異物特定波長)Wf1を少なくとも1つ、又は、食品Bの良品Sが反射する特徴的な良品特定波長Wsを少なくとも1つ、強調する。本実施形態では、異物F1以外の異物F2に特徴的な第2の異物特定波長Wf2も、第2の光学フィルター52を用いて同時に強調する。」
(甲2-イ)
「【0027】
<波長強調手段の構成-4>
これらの第1の異物特定波長Wf1、第2の異物特定波長Wf2及び良品特定波長Wsは、前もって検査対象物Aを撮像し、得られた映像D0から抽出しておく必要がある。
【0028】
<識別処理装置の構成-1>
識別処理装置6は、検査対象物A中の食品Bの良品S又は異物F1,F2を識別するものである。識別処理装置6は、撮像手段4により撮像された映像D1を軽量化データD3とする軽量化手段61と、軽量化データD3から第1の異物特定波長Wf1、第2の異物特定波長Wf2又は良品特定波長Wsを識別する識別手段62と、を有する。
【0029】
<軽量化手段の構成-1>
軽量化手段61は、まず、撮像手段4により搬送中の検査対象物Aを撮像した映像D1を、疑似RGB映像D2とする。このとき、映像D1の第1の異物特定波長Wf1、第2の異物特定波長Wf2及び良品特定波長Wsを、RGB信号のいずれかに1対1で対応させることで、疑似RGB映像D2とすることができる。この疑似RGB映像D2は、必要に応じてモニタなどの表示手段に表示してもよい。
【0030】
<軽量化手段の構成-2>
そして、この疑似RGB映像D2を、光強度に応じた256段階以下の階調で正規化し、軽量化データD3とする。なお、軽量化データD3で最も軽いものは、2値化データである。
【0031】
<軽量化手段の構成-3>
ここで、映像のデータ容量について説明すると、撮像手段4に30万画素(640×480)のCCDカメラを用いる場合、フルカラー(1677万色)で撮像された映像D1及び疑似RGB画像D2は、1枚当たり約3.6MBのデータ容量となるが、256段階以下の階調に正規化することで、軽量化データDは、1枚当たり約0.3MB以下のデータ容量となり、またさらに16段階以下にすることで、さらにデータ量を0.15MB以下にできる。
【0032】
<識別手段の構成-1>
識別手段62は、軽量化データD3に基づいて、搬送手段2によって搬送中の検査対象物Aから異物F1,F2をインラインで識別する。このとき、識別手段62は、逆に良品Sをインラインで識別してもよい。この識別手段62は、検査対象物Aから異物F1、異物F2又は良品Sを識別する処理を、あらかじめディープラーニングにより学習している。」
【0033】
<識別手段の学習方法の説明-1>
識別処理装置6の識別手段62の学習方法について説明する。図3は、識別手段の学習フロー図である。
【0034】
<特定波長抽出ステップの説明-1>
まず、特定波長抽出ステップS1では、異物F1,F2の混在がないことを確認したい食品Bを撮像手段4で、前もって撮像した学習映像d1から、異物F1及び異物F2が反射する特徴的な波長をそれぞれ第1の異物特定波長Wf1及び第2の異物特定波長Wf2として、また、食品Bの良品Sが反射する特徴的な波長を良品特定波長Wsとして、抽出する。なお、異物F1のみを識別する場合は、第1の異物特定波長Wf1のみを抽出すればよい。
【0035】
<学習映像準備ステップの説明-1>
学習映像準備ステップS2では、特定波長抽出ステップS1で抽出された第1の異物特定波長Wf1、第2の異物特定波長Wf2及び良品特定波長Wsを強調する波長強調手段5を用い、撮像手段4で検査対象物Aを撮像する。そして、撮像した学習映像d1から、第1の異物特定波長Wf1、第2の異物特定波長Wf2及び良品特定波長Wsを含む疑似RGB学習映像d2を作成し、複数枚、例えば1000枚以上準備する。このとき、学習映像d1中の第1の異物特定波長Wf1、第2の異物特定波長Wf2及び良品特定波長Wsを、RGB信号のいずれかに1対1で対応させることで、疑似RGB学習映像d2が得られる。
【0036】
<映像軽量化ステップの説明-1>
映像軽量化ステップS3では、複数枚の疑似RGB学習映像d2を、光強度に応じた256段階以下の階調で正規化し、軽量化学習データd3に軽量化する。」
(甲2-ウ)
「【0038】
<学習ステップの説明-2:畳み込みニューラルネットワーク>
またさらに、畳み込みニューラルネットワークの中でも、自己符号化器を用いた再構成や、輝度を用いた色再構成をいると、良品Sのみを用いた学習が可能となり、学習ステップを効率的に進められるため望ましい。この場合、再構成された画像は、「もし仮に撮像された食品Bが全て良品Sであった場合を予測した画像」であり、軽量化学習データd3とのピクセルごとの差分を計算し、予め定めた閾値を超えるピクセルを「良品でない物体」として検出することが可能となる。
【0039】
<学習ステップの説明-3:自己符号化器を用いた再構成>
自己符号化器を用いた再構成の詳細を説明する。
軽量化学習データd3は、自己符号化器を用いた再構成の畳み込みニューラルネットワークの中で、カーネル画像が取り出され、次に複数のノードをもつニューラルネットワーク層で特徴抽出され、次に復号化層で再構成される。さらに、カーネルへの取り出しから復号化までを複数回入れ子状に繰り返すことで、より概念的な特徴抽出が可能となる。
この自己符号化器の学習は、最終復号化層からの出力が元に入力された軽量化学習データd3と極力一致するように、つまり差分を表す損失関数が極力低くなるように学習される。この時の損失関数は、BCE(Binary Cross-entropy)といった損失関数が利用できる。
・・・
【0041】
<識別手段の構成-2>
このようにして、異物F1、異物F2及び良品Sと、第1の異物特定波長Wf1、第2の異物特定波長Wf2及び良品特定波長Wsとの関係を学習した識別手段62は、軽量化データD3に基づいて、図2に示すように、検査対象物Aから異物F1、異物F2又は良品Sを識別する。なお、図2において、異物F1は、毛髪や石などであり、異物F2は、腐敗部である。」
・・・
【0044】
<実施形態の効果-1>
以上、説明した実施形態の効果について述べる。
実施形態の食品検査装置1は、異物Fnの混在がないことを確認する食品Bを検査対象物Aとして搬送する搬送手段2と、検査対象物Aに光を照射する光照射手段3と、検査対象物Aの映像を撮像する撮像手段4と、食品B又は異物Fnの少なくとも一方が反射する特徴的な波長Wを強調する波長強調手段5と、食品B又は異物Fnの少なくとも一方を識別する識別処理装置6と、を備え、波長強調手段5は、光照射手段3又は撮像手段4に取付けた第1の光学フィルター51、及び/又は、補光器32に取付けた第2の光学フィルター52、ないし波長特異的な光源を用いて、300nm以上1100nm以下の光から少なくとも、異物Fnに特徴的な異物特定波長Wf、又は、食品Bの良品Sが反射する特徴的な良品特定波長Wsを強調し、識別処理装置6は、撮像手段4により撮像された映像D1を、光強度に応じた256段階以下の階調で正規化し、軽量化データD3とする軽量化手段61と、軽量化データD3から異物特定波長Wfを識別する処理を、複数枚の軽量化学習データd3を用いて、あらかじめディープラーニングさせた識別手段62と、を有し、識別手段62は、搬送手段2による食品Bの搬送中に撮像して得られた軽量化データD3から、異物Fn又は良品Sをインラインで識別するものである。これにより、高速な処理手段を用いなくても、識別精度を落とすことなく、識別速度を高速化することができる。」
(甲2-エ)
「【0049】
<変形例の説明-2>
上記実施形態では、波長強調手段5は、補光器に取付けた第2の光学フィルター52でなく、所定波長範囲の光のみを放出する波長特異的な光源、例えばLED素子や半導体レーザーであってもよい。LED素子であれば、LEDチップに含まれる材料の種類を変更することで、200nmから1000nm程度の領域内で、所望の波長範囲の光を放出するように構成することができる。」
イ 認定事項
(認定事項2a)
検査対象物Aに光を照射する「光照射手段3」に関し、(甲1-ア)の【0022】には「光照射手段3は、検査対象物Aに光、例えば300nm以上1100nmの波長を含む光を照射するもので、ハロゲンランプなどが用いられる。・・・なお、本実施形態では、光照射手段3には、後述する第2の光学フィルター52が取付けられた補光器32も含まれる。」なる記載があることから、「補光器32」も「光照射手段3」に含まれる。
また、(甲1-ウ)の【0044】には、「補光器32に取付けた第2の光学フィルター52、ないし波長特異的な光源を用いて、300nm以上1100nm以下の光から少なくとも、異物Fnに特徴的な異物特定波長Wf、又は、食品Bの良品Sが反射する特徴的な良品特定波長Wsを強調し、」なる記載があり、(甲1-エ)の【0049】には「波長強調手段5は、補光器に取付けた第2の光学フィルター52でなく、所定波長範囲の光のみを放出する波長特異的な光源、例えばLED素子や半導体レーザーであってもよい。」なる記載があることから、補光器32は、所定波長範囲の光のみを放出する波長特異的な光源を有し、異物特定波長Wf、又は、良品特定波長Wsを強調するものであると解される。
よって、以下の事項を導くことができる。
「検査対象物Aに光を照射する光照射手段3は、300nm以上1100nmの波長を含む光を照射するハロゲンランプと、所定波長範囲の光のみを放出する波長特異的な光源を有し、異物特定波長Wf又は良品特定波長Wsを強調するものである補光器32とから構成されること。」
ウ 甲2に記載された発明
上記ア、イから、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。
「a2 検査対象物Aを所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段2を有し、前記搬送手段2によって搬送される前記検査対象物Aを順次検査する食品検査装置1において(【0020】、【0044】)、
b2 検査対象物Aに光を照射するための、300nm以上1100nmの波長を含む光を照射するハロゲンランプと、所定波長範囲の光のみを放出する波長特異的な光源を有し、異物特定波長Wf又は良品特定波長Wsを強調するものである補光器32とから構成される光照射手段3と(認定事項2a)、
c2 異物特定波長Wf、又は、良品特定波長Wsを強調する波長強調手段5としての第1の光学フィルター51と、
搬送中の検査対象物Aを撮像し、前記第1の光学フィルター51を通過した前記検査対象物Aの映像を撮像する撮像手段4と(【0023】、【0024】、【0044】)、
d2 撮像手段4で撮像して映像D1を取得し(【0044】)、
e2 撮像手段4により撮像された映像D1から光強度に応じた256段階以下の階調で正規化した軽量化データD3を生成する軽量化手段61と(【0028】、【0044】)、
f2 前もって撮像した学習映像d1から光強度に応じた256段階以下の階調で正規化して複数枚の軽量化学習データd3を作成し(【0034】~【0036】)、
g2 軽量化データD3から異物特定波長Wfを識別する処理を、前記複数枚の軽量化学習データd3を用いてあらかじめディープラーニングさせ、前記軽量化データD3に基づいて、搬送手段2によって搬送中の検査対象物Aから異物F1,F2を識別する識別手段62とを備える(【0032】、【0044】)、
h2 食品検査装置1」
(3)甲3(再公表特許WO2004/012461号)の記載事項
甲3には以下の記載がある。
(甲3-ア)第18頁第11~43行
「この第3の実施形態は、上述した第1の実施形態を基本構成として、さらに、CCDの撮像面上に3バンドのカラーフィルタアレイを配設した構成としたものである。すなわち、図21や図22に示すように、撮影装置1は、撮像光学系7により被写体像が結像される光路上のCCD8の近傍に、例えばRGB3バンドのカラーフィルタアレイ(図中、CFAと省略する。)19が配設されていて、撮像素子部としていわゆる単板式のカラー撮像素子が構成されている。
図23は、LED6a~6fの発光スペクトルとカラーフィルタアレイ19を通したCCD8の分光感度特性とを示す線図である。
第1の実施形態においても示したような、曲線fL1~fL6により示される6原色LEDの発光スペクトルに対して、カラーフィルタアレイ19の透過率分布とCCD8の受光感度分布とにより得られるトータルの分光感度特性は、図示の曲線fSB,fSG,fSRとなっている。
これらの内の青色カラーフィルタに該当する分光バンド域を示す曲線fSBは曲線fL1,fL2の2つを包含して第1LED6aと第2LED6bの発光による光を感受することができ、緑色カラーフィルタに該当する分光バンド域を示す曲線fSGは曲線fL3,fL4の2つを包含して第3LED6cと第4LED6dの発光による光を感受することができ、赤色カラーフィルタに該当する分光バンド域を示す曲線fSRは曲線fL5,fL6の2つを包含して第5LED6eと第6LED6fの発光による光を感受することができるように構成されている。
ただし、トータルの分光感度特性が互いに独立して分離している必要はなく、周辺部分において互いに一部が重なり合うようになっていても構わない。さらに、第1の実施形態と同様に、第1LED6a~第6LED6fの各発光スペクトルも、一部が重なり合うような発光スペクトルであっても構わない。もちろん、LEDの種類も6種類に限るものではなく、適宜の種類数のLEDの組み合わせを採用することができるのも同様である。
次に、画像を取得するときの動作について説明する。
この画像処理システムにおいては、上述した第1の実施形態と同様に、画像を取得する際に、モニタ用画像取得モードと分光画像取得モードとを切り替えて行うようになっている。
図24、図26、図27を参照して、分光画像取得モードの動作について説明する。図24は6バンドの分光画像を生成するときのフレーム毎の分光画像の分光特性を示す線図、図26は6バンド分光画像取得における各LEDの発光と撮像素子の画像取得との動作を示すフローチャート、図27は6バンド分光画像取得における各LEDの発光と撮像素子の画像取得との動作の様子を示すタイミングチャートである。」
(甲3-イ)
【図23】
[図:0001401663000002.jpg]
【図24】
[図:0001401663000003.jpg]
(4)甲4(特開2002-214158号公報)の記載事項
甲4には以下の記載がある。
(甲4-ア)
「【0026】照明器aと照明器bが同じ場所を照明する場合は、照明器aと照明器bの両方あるいは照明器aのみを、狭い波長範囲の照明器として、中心波長を持つようにすることが好ましく、中心波長は光の三原色(赤、緑、青)に近いことが望ましい。照明器が中心波長を持つことにより、撮影はCCDカラーカメラを用い、CCDカラーカメラのフィルター処理によって、照明器aによって得られる画像と照明器bによって得られる画像とが分離できる。照明器aで透明板状体の欠点と表面の汚れとの画像を得、照明器bで表面の汚れの画像を得、2つの画像から、透明板状体の欠点のみの画像が得られる。この場合は、CCDカメラが1台でも欠点の検出が可能である。」
(甲4-イ)
「【0035】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0036】実施例1
図1および図2は、実施例1の光学系の概略側面図と概略平面図である。
【0037】厚み5mmのフロート板ガラスの透明板状体3を下方から照明器a6で照明した。さらに照明器a6で照明した同じ透明板状体3の箇所を、照明器b6’で、透明板状体3の表裏両側から、図2の照明範囲5のように、帯状に照明した。
【0038】照明器a6にはハロゲンライトに緑色透過フィルタを用い、照明器b6’には照明器aと同じハロゲンライトに赤色透過フィルタ用いた。」
(5)甲5(特開2016-45175号公報)の記載事項
甲5には以下の記載がある。
(甲5-ア)
「【0031】
第1の実施形態では、カラーセンサ10のキャリブレーションを、光源20R、20Gおよび20Bのうち、光源20Bから射出されるB色の光のみを有効とし、このB色の光をカラーセンサ10に入射させることで行う。この場合、光源20Bは、基準波長に対して例えば±数nm程度の狭い帯域の光を射出可能であるものとする。このような特性の光源としては、青色を発光する半導体レーザを用いることができる。制御部25は、例えば光源20Rおよび20Gを無効とし、光源20Bを有効とする。これにより、光源20Bから出射されたB色の光のみがカラーセンサ10に入射される。制御部25は、センサ回路50に対してカラーセンサ10のキャリブレーションを実行するように指示を出す。
【0032】
センサ回路50は、この指示に従い、B色の光が入射されたカラーセンサ10の各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの検出出力に基づき、各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの各検出出力を補正するための補正係数Rk、GkおよびBkを求める。」
(甲5-イ)
「【0036】
測定部51は、カラーセンサ10から出力された各色の出力値Rc、GcおよびBcを取得し、レジスタなどに一時的に記憶する。比率算出部52は、測定部51により記憶された各出力値Rc、GcおよびBcを用いて、出力値Rc、Gcおよび出力値Bcの出力値Bcに対する比率を求める。比率算出部52は、出力値Rcと出力値Bcとの比率Rc/Bcと、出力値Gcと出力値Bcとの比率Gc/Bcと、出力値Bcと出力値Bcとの比率Bc/Bcとを、係数算出部53に対して出力する。ここで、B色の比率は、1となる。」
(6)甲6(特開2016-214941号公報)の記載事項
甲6には以下の記載がある。
(甲6-ア)
「【要約】
【課題】狭帯域光観察において色分離性及び表層血管の視認性を向上させることを可能とする内視鏡システム及びその作動方法を提供する。
【解決手段】光源装置は、紫色狭帯域光及び緑色狭帯域光を同時に発生する。原色型内視鏡の原色系撮像素子は、R画素信号、G画素信号、B画素信号を出力する。原色用第2処理部44では、マトリクス演算部により、R画素信号、G画素信号、B画素信号がマトリクス演算され、第1及び第2表示用信号D1,D2が生成される。そして、混色補正部により、第1及び第2表示用信号D1,D2が、「D1’=D1-K2×D2」、「D2’=D2-K1×D1」の関係式に基づいて補正される。ここで、K1は、紫色狭帯域光のみを独立照射した場合における第1表示用信号に対する第2表示用信号の信号値の比である。K2は、緑色狭帯域光のみを独立照射した場合における第2表示用信号に対する第1表示用信号の信号値の比である。」
(7)甲7(特開2010-16419号公報)の記載事項
甲7には以下の記載がある。
(甲7-ア)
「【0084】
すなわち、図13の例のように、単色光Rを照射させると、バンドパスフィルタの特性がG画素とB画素に寄与しない場合は、基本的にG画素およびB画素は、G,Bカラーフィルタで吸収されるため、R光に直接応答しない。なお、単色光R(カラーフィルタRの感度が最大になり且つ、波長帯域に制限をもつ光源:白色光源にR波長付近のバンドパスフィルタを通過させたものなどで実現する。
したがって、このような条件下において、図13に示すように、G画素とB画素に存在する応答量(信号量)は、隣接R画素からの混色量に相当する。
同様にG画素およびB画素に対しても各G光、B光を照射することで互いに混色量を測定することができる。
【0085】
たとえば、R画素からG画素の混色率θRGは次式8で求めることができる。
【0086】
[図:0001401663000004.jpg]
【0087】
同様にG画素からR画素へ、G画素からB画素へ、・・・と各画素ごとに求めることができる。」
3 当審の判断
(1)特許法第29条第1項第3号について
ア 甲1を主引例とする場合の対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)構成a1の「検査対象であるブルーベリージャム36」及び「ベルトコンベヤ35」は、それぞれ構成A1の「被検査物(W)」及び「搬送手段(3)」に相当する。
また、構成a1及びh1の「検査装置30」は、構成A1及びH1の「物品検査装置」に相当する。
(イ)構成b1の「機能性光源」は、ピーク波長が互いに異なる3つ以上のLEDを有し、ピーク波長が互いに異なる光を出力して前記ブルーベリージャム36に照射するものであるから、構成b1の「ピーク波長が互いに異なる光を出力して前記ブルーベリージャム36に照射するための、ピーク波長が互いに異なる3つ以上のLEDを有し、それらの光を混合することで光源色を白色とする」「機能性光源」と構成B1の「異なる波長の光を出力して被検査物(W)に照射するための青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」「光源部(2)」は、「異なる波長の光を出力して被検査物に照射するための3種の光源を有する」「光源部」である点で共通している。
(ウ)構成c1の「RGBカメラ」は、RGB値を含む計測データである撮影画像を画像処理部に出力するものであり、(甲1-エ)によれば、RGBカメラの撮影画像である図14(a)は2次元の画像データであるから、当該「RGBカメラ」は2次元イメージセンサに相当する機能を備えているといえる。
そうすると、構成c1の「ベルトコンベヤ35上のジャム36の移動速度に合わせて所定の時間間隔で繰り返し撮影領域を撮影し、RGB値を含む計測データである撮影画像を画像処理部331に出力する」「RGBカメラ」と構成C1の「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する2次元イメージセンサ(4b)とを有する」「受光部(4)」は、「光強度データを出力する2次元イメージセンサを有する」「受光部」である点で共通している。
(エ)構成e1の「画像処理部331」は、撮影画像(RGBカメラが出力する撮影画像)から背景領域である画像部分35’を除外した2次元画像データを生成する機能を備えている。また、構成d1によれば、「画像処理部331」は、RGBカメラが出力する撮影画像の各部分の濃度値(強度)をRGB値から計算する機能も備えている。
そうすると、構成d1及び構成e1の「RGBカメラが出力する撮影画像の各部分の濃度値(強度)をRGB値から計算」し、「教師画像を用いて事前に学習を行うことにより予め定められた閾値を用いて、背景領域である画像部分35’を撮影画像から除外した2次元画像データを生成する」「画像処理部331」と、構成E1の「前記データ取得部が記憶する光強度データから前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データを生成する」「画像データ生成部(6)」は、「光強度データから2次元画像データを生成する」「画像データ生成部」である点で共通している。
(オ)構成f1の「ジャム36の画像部分36’と異物の画像部分10’を判別するための閾値」は、ジャム36(物品)に異物が存在するか否かの特性を判定することに用いるデータであるから、物品の特性を表す特性データであるといえる。
そうすると、構成f1の「ジャム36の画像部分36’と異物の画像部分10’を判別するための閾値」と、構成F1の「前記3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す特性データ」は、「物品の特性を表す特性データ」である点で共通している。
(カ)構成g1において、ジャム36の画像部分36’と異物の画像部分10’を判別するための閾値と、背景領域である画像部分35’を撮影画像から除外した前記2次元画像データに基づいて、データ処理部332にて異物の画像部分10’が存在するか否かを判定するものであるから、当該データ処理部332は、ジャム36(被検査物)に異物が存在するか否か(特性)を検出する機能を備えているといえる。
そうすると、構成g1の「ジャム36の画像部分36’と異物の画像部分10’を判別するための閾値と、背景領域である画像部分35’を前記撮影画像から除外した前記2次元画像データとに基づいて」「異物の画像部分10’が存在するか否かを判定する」「データ処理部332」と、構成G1の「前記特性データ記憶部に記憶された特性データと、前記画像データ生成部にて生成した前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて」「前記被検査物の特性を検出する」「特性検出部(8)」は、「被検査物の特性を検出する」「特性検出部」である点で共通している。
(キ)上記(ア)~(カ)より、本件訂正発明1と甲1発明とは、
「A1 被検査物(W)を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段(3)を有し、前記搬送手段によって搬送される前記被検査物を順次検査する物品検査装置において、
B1’ 異なる波長の光を出力して被検査物に照射するための3種の光源を有する光源部と、
C1’ 光強度データを出力する2次元イメージセンサを有する受光部と、
E1’ 光強度データから2次元画像データを生成する画像データ生成部と、
F1’ 物品の特性を表す特性データと、
G1’ 被検査物の特性を検出する特性検出部と、
H1 を備えたことを特徴とする物品検査装置」
の発明である点で一致し、以下の点で相違する。
a 相違点1(構成B1、C1)
「3種の光源」が出力する「光」と「受光部」が出力する「光強度データ」について、本件訂正発明1は、光が「青、緑、赤の波長帯の光」であり、光強度データが「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた」ものであるのに対し、甲1発明は、光が青、緑、赤の波長帯の光ではなく、光強度データが、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じたものではない点。
b 相違点2(構成D1)
本件訂正発明1は、「前記受光部が出力する前記光強度データを取得して記憶するデータ取得部(5)」を備えるのに対し、甲1発明は、RGBカメラが出力する撮影画像を取得して記憶する手段を備えるのか否か不明である点。
c 相違点3(構成E1)
「画像データ生成部」が生成する「2次元画像データ」が、本件訂正発明1は「3種の光源の波長帯毎の」ものであるのに対し、甲1発明は、3種の光源の波長帯毎のものではない点。
d 相違点4(構成F1、G1)
「特性データ」及び「特性検出部」の「被検査物の特性を検出」について、本件訂正発明1は、「特性データ」が「前記3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す」ものであり、「被検査物の特性を検出」が「特性データを記憶する特性データ記憶部(7a)」を備え、「前記特性データ記憶部に記憶された特性データと、前記画像データ生成部にて生成した前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づ」くものであるのに対し、甲1発明は、閾値が3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表すものではなく、特性データ記憶部に記憶された特性データと、3種の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて、ジャム36(被検査物)に異物が存在するか否か(特性)を検出するものではない点。
(ク)甲1を主引例とする場合の新規性についての小括
上記(キ)のとおり、本件訂正発明1と甲1発明は、相違点1ないし相違点4で相違するので、本件訂正発明1は甲1発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
イ 甲2を主引例とする場合の対比
本件訂正発明1と甲2発明とを対比する。
(ア)構成a2の「検査対象物A」及び「搬送手段2」は、それぞれ構成A1の「被検査物(W)」及び「搬送手段(3)」に相当する。
また、構成a2及びh2の「食品検査装置1」は、構成A1及びH1の「物品検査装置」に相当する。
(イ)構成b2の「光照射手段3」は、300nm以上1100nmの波長を含む光を照射するハロゲンランプと、所定波長範囲の光のみを放出する波長特異的な光源を有する補光器32とを備え、検査対象物Aに照射するものであるから、異なる波長の光を出力して被検査物(W)に照射するものであるといえる。
そうすると、構成b2の「検査対象物Aに光を照射するための、300nm以上1100nmの波長を含む光を照射するハロゲンランプと、所定波長範囲の光のみを放出する波長特異的な光源を有し、異物特定波長Wf又は良品特定波長Wsを強調するものである補光器32とから構成される」「光照射手段3」と、構成B1の「異なる波長の光を出力して被検査物(W)に照射するための青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」「光源部(2)」は、「異なる波長の光を出力して被検査物に照射する」「光源を有する」「光源部」である点で共通している。
(ウ)構成c2の「撮像手段4」は、(甲2-ア)の【0023】によればCCDカメラで構成され、(甲2-イ)の【0031】によればフルカラーで撮像するものであるから、当該「撮像手段4」は、光強度データを出力する2次元イメージセンサに相当する機能を備えているといえる。
また、構成c2の「撮像手段4」は第1の光学フィルター51を備え、第1の光学フィルター51を通過した光を撮像するものである。
そうすると、構成c2の「異物特定波長Wf、又は、良品特定波長Wsを強調する波長強調手段5としての第1の光学フィルター51」と、構成C1の「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)」は、「フィルタ」である点で共通し、構成c2の「搬送中の検査対象物Aを撮像し、前記第1の光学フィルター51を通過した前記検査対象物Aの映像を撮像する」「撮像手段4」と、構成C1の「前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する2次元イメージセンサ(4b)とを有する」「受光部(4)」は、「フィルタを通過した光に応じた光強度データを出力する2次元イメージセンサを有する」「受光部」である点で共通している。
(エ)構成e2の「軽量化手段61」は、撮像手段4により撮像された映像D1から光強度に応じた256段階以下の階調で正規化した軽量化データD3を生成するものであり、(甲2-イ)の【0031】の「256段階以下の階調に正規化することで、軽量化データDは、1枚当たり約0.3MB以下のデータ容量となり、」なる記載から、軽量化データDが2次元画像データであると解される。
そうすると、構成e2の「撮像手段4により撮像された映像D1から光強度に応じた256段階以下の階調で正規化した軽量化データD3を生成する」「軽量化手段61」と、構成E1の「前記データ取得部が記憶する光強度データから前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データを生成する」「画像データ生成部(6)」は、「光強度データから2次元画像データを生成する」「画像データ生成部」である点で共通している。
(オ)構成g2によれば、「複数枚の軽量化学習データd3」は、識別手段62が検査対象物Aから異物F1,F2を識別するために用いる学習データであるから、当該「複数枚の軽量化学習データd3」は、物品の特性を表す特性データであるといえる。
そうすると、構成f2の「複数枚の軽量化学習データd3」と、構成F1の「前記3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す特性データ」は、「物品の特性を表す特性データ」である点で共通している。
(カ)構成g2の「識別手段62」は、複数枚の軽量化学習データd3を用いてディープラーニングさせ、軽量化データD3に基づいて検査対象物A(被検査物)から異物F1,F2を識別する(特性を検出する)ものであるから、複数枚の軽量化学習データd3と軽量化データD3に基づいて被検査物の特性を検出するものであるといえる。
そうすると、構成g1の「搬送手段2によって搬送中の検査対象物Aから異物F1,F2を識別する」「識別手段62」と、構成G1の「前記被検査物の特性を検出する」「特性検出部(8)」は、「被検査物の特性を検出する」「特性検出部」である点で共通している。
(キ)上記(ア)~(カ)より、本件訂正発明1と甲2発明とは、
「A1 被検査物(W)を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段(3)を有し、前記搬送手段によって搬送される前記被検査物を順次検査する物品検査装置において、
B1’ 異なる波長の光を出力して被検査物に照射する光源を有する光源部と、
C1’ フィルタと、フィルタを通過した光に応じた光強度データを出力する2次元イメージセンサを有する受光部と、
E1’ 光強度データから2次元画像データを生成する画像データ生成部と、
F1’ 物品の特性を表す特性データと、
G1’ 被検査物の特性を検出する特性検出部と、
H1 を備えたことを特徴とする物品検査装置」
の発明である点で一致し、以下の点で相違する。
a 相違点5(構成B1、C1)
「光源」、「フィルタ」及び「光強度データ」について、本件訂正発明1は、光源が「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源」であり、フィルタが「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)」であり、光強度データが、「前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた」ものであるのに対し、甲2発明は、光照射手段3が青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源を備えておらず、第1の光学フィルター51が所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタではなく、光強度データが前記3種の光源の波長帯毎の光に応じたものではない点。
b 相違点6(構成D1)
本件訂正発明1は、「前記受光部が出力する前記光強度データを取得して記憶するデータ取得部(5)」を備えるのに対し、甲2発明は、撮像手段4が撮影する映像D1を取得して記憶する手段を備えるのか否か不明である点。
c 相違点7(構成E1)
「画像データ生成部」が生成する「2次元画像データ」が、本件訂正発明1は「3種の光源の波長帯毎の」ものであるのに対し、甲2発明は、3種の光源の波長帯毎のものではない点。
d 相違点8(構成F1、G1)
「特性データ」及び「特性検出部」の「被検査物の特性を検出」について、本件訂正発明1は、「特性データ」が「前記3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す」ものであり、「被検査物の特性を検出」が「特性データを記憶する特性データ記憶部(7a)」を備え、「前記特性データ記憶部に記憶された特性データと、前記画像データ生成部にて生成した前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づ」くものであるのに対し、甲2発明は、複数枚の軽量化学習データd3が、3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表すものではなく、特性データ記憶部に記憶された特性データと3種の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて検査対象物Aから異物F1,F2を識別するものではない点。
(ク)甲2を主引例とする場合の新規性についての小括
上記(キ)のとおり、本件訂正発明1と甲2発明は、相違点5ないし相違点8で相違するので、本件訂正発明1は甲2発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
(2)特許法第29条第2項について
ア 甲1を主引例とする場合の対比
上記(1)アに記載したとおりである。
イ 相違点についての判断
(ア)相違点1について
最初に相違点1について検討する。
a 甲2発明について
上記(1)イに記載したとおり、甲2発明は、本件訂正発明1の構成B1の「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」点及び構成C1の「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点を備えていない。
よって、甲2には、本件訂正発明1の構成B1の「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」点及び構成C1の「前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点について開示されていない。
b 甲3の記載事項について
上記2(3)に記載の(甲3-ア)には、受光部であるCCDの撮像面上に青、緑、赤の3バンドのカラーフィルタアレイを配設した構成が開示されている。一方、光源は6種のLEDから構成されており、各LEDの波長帯は上記3バンドのカラーフィルタアレイの透過波長帯に対応していないのは上記2(3)に記載の(甲3-イ)から明らかである。
また、(甲3-ア)には、「もちろん、LEDの種類も6種類に限るものではなく、適宜の種類数のLEDの組み合わせを採用することができるのも同様である。」なる記載があるが、上記記載はLEDが6種類に限らない旨の記載にすぎず、光源のLEDの種類を前記3バンドのカラーフィルタアレイと同じ青、緑、赤の3種にする点について示唆したものではない。
よって、甲3には、本件訂正発明1の構成B1の「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」点及び構成C1の「前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点について開示されていない。
c 甲4の記載事項について
上記2(4)に記載の(甲4-ア)及び(甲4-イ)から明らかであるように、光源である照明器a(照明器a6)と照明器b(照明器b6’)は、青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源ではない。また、受光部であるCCDカラーカメラについて、フィルタ処理に関する記載はあるが、そのフィルタがどのようなものであるのかについて開示されていない。
そうすると、甲4には、本件訂正発明1の構成B1の「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」点及び構成C1の「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点について開示されていない。
d 甲5の記載事項について
上記2(5)に記載の(甲5-ア)及び(甲5-イ)から明らかであるように、受光部であるカラーセンサ10が、青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタフィルタを備える点について開示されていない。
そうすると、甲5には、本件訂正発明1の構成B1の「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」点及び構成C1の「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点について開示されていない。
e 甲6の記載事項について
上記2(6)に記載の(甲6-ア)から明らかであるように、光源である光源装置は、青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源ではない。また、受光部である原色系撮像素子が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタフィルタを備える点について開示されていない。
そうすると、甲6には、本件訂正発明1の構成B1の「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」点及び構成C1の「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点について開示されていない。
f 甲7の記載事項について
上記2(6)に記載の(甲7-ア)から明らかであるように、光源が、青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源ではない。
そうすると、甲7には、本件訂正発明1の構成B1の「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」点及び構成C1の「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点について開示されていない。
g 上記a~fで述べたように、相違点1の構成について、甲2ないし甲7に開示されていない。そして、上記相違点1に関する技術が、本件特許の出願日前において周知の技術であるとも認められない。
よって、甲1ないし甲7に接した当業者といえども、甲1発明において相違点1の構成とすることは、容易に想起し得ることであるとはいえない。
(イ)相違点4について
事案に鑑み、次に相違点4について検討する。
a 上記(ア)で述べたように、甲2ないし甲7のいずれにも、「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」点及び「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点について開示されていないし、甲2ないし甲7のいずれにも、「前記3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す」「特性データ」及び「前記特性データ記憶部に記憶された特性データと、前記画像データ生成部にて生成した前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて」「被検査物の特性を検出」についても開示されていない。
b そうすると、甲1ないし甲7に接した当業者といえども、甲1発明において相違点4の構成とすることは、容易に想起し得ることであるとはいえない。
(ウ)効果について
本件訂正発明1は、少なくとも相違点1及び相違点4に係る当該構成を採用することにより、「本発明によれば、安価かつシンプルな構成で、しかも高速に複数の異なる波長(狭い帯域の波長)の光によるイメージング画像を取得して被検査物の特性を検出することができる。」(本件特許明細書の段落【0017】)という効果を奏するものである。
(エ)甲1を主引例とする場合の進歩性についての小括
以上のとおりであるから、上記相違点2及び相違点3を検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲1ないし甲7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
ウ 甲2を主引例とする場合の対比
上記(1)イに記載したとおりである。
エ 相違点の判断
(ア)相違点5について
最初に相違点5について検討する。
a 甲1発明について
上記(1)アに記載したとおり、甲1発明は、本件訂正発明1の構成B1の「青、緑、赤の波長帯の光を発光する」点及び構成C1の「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点を備えていない。
よって、甲1には、本件訂正発明1の構成B1の「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」点及び構成C1の「前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点について開示されていない。
b 甲3ないし甲7の記載事項について
上記イ(ア)bないしfに記載したとおりである。
c 上記a、bで述べたように、相違点5の構成について、甲1、甲3ないし甲7について開示されていない。そして、上記相違点5に関する技術が、本件特許の出願日前において周知の技術であるとも認められない。
よって、甲1ないし甲7に接した当業者といえども、甲2発明において相違点4の構成とすることは、容易に想起し得ることであるとはいえない。
(イ)相違点8について
事案に鑑み、次に相違点8について検討する。
a 上記(ア)で述べたように、甲1、甲3ないし甲7のいずれにも、「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の光源(2a,2b,2c)を有する」点及び「所定のパターンで配列し、透過波長帯が青、緑、赤である3種の複数のカラーフィルタ(4a)と、前記3種のカラーフィルタを通過した前記3種の光源の波長帯毎の光に応じた光強度データを出力する」点について開示されていない。また、甲1、甲3ないし甲7のいずれにも、「前記3種の光源に対応する前記光強度データと物品の特性を表す」「特性データ」及び「前記特性データ記憶部に記憶された特性データと、前記画像データ生成部にて生成した前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて」「被検査物の特性を検出」について開示されていない。
b そうすると、甲1ないし甲7に接した当業者といえども、甲2発明において相違点8の構成とすることは、容易に想起し得ることであるとはいえない。
(ウ)効果について
本件訂正発明1は、少なくとも相違点5及び相違点8に係る当該構成を採用することにより、「本発明によれば、安価かつシンプルな構成で、しかも高速に複数の異なる波長(狭い帯域の波長)の光によるイメージング画像を取得して被検査物の特性を検出することができる。」(本件特許明細書の段落【0017】)という効果を奏するものである。
(エ)甲2を主引例とする場合の進歩性についての小括
以上のとおりであるから、上記相違点6及び相違点7を検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2発明及び甲1ないし甲7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)特許法第36条第6項第1号について
ア 発明の詳細な説明の記載事項
光源に関し、発明の詳細な説明の【0021】~【0023】には以下の記載がある。
「【0021】
光源部2は、異なる波長の光を発光する複数の光源2a,2b,2cと、複数の光源2a,2b,2cからの光を被検査物Wに照射する照射部2bとを備える。
【0022】
本例における複数の光源は、例えば図3(b)に示すように、矢印Aの青(450nm)の光を発光する光源2a、矢印Bの緑(550nm)の光を発光する光源2b、矢印Cの赤(680nm)の光を発光する光源2cからなる。
【0023】
光源部2は、レーザダイオード(LD)による青、緑、赤の出力光、発光ダイオード(LED)による青、緑、赤の出力光を光バンドパスフィルタに通過させた光、スーパールミネッセントダイオード(SLD)による青、緑、赤の出力光を光バンドパスフィルタに通過させた光の何れかを出力する。」
イ 当審の見解
(ア)発明の詳細な説明には、光源部を構成する複数の光源のうち、ある光源の波長成分と別の光源の波長成分を完全に重複させない旨の明示的な記載はない。
また、「発明が解決しようとする課題」は、「しかしながら、上述した従来の装置は、いづれも、大規模かつ高価で、しかも測定に時間を要するという問題がある。そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、安価かつシンプルな構成で、測定に時間を要することなく被検査物の特性を検出して検査を行うことができる物品検査装置を提供することを目的としている。」(【0012】、【0013】)と認められるが、光源部を構成する複数の光源のうち、ある光源の波長成分と別の光源の波長成分とが多少重複したとしても、上記課題は解決できるものと解される。
そうすると、発明の詳細な説明には、光源部を構成する複数の光源のうち、ある光源の波長成分と別の光源の波長成分が多少重複する態様も記載されているといえる。
(イ)さらに、本件訂正により、訂正前の請求項1の「光源部」について、「複数の任意の狭い波長成分を有する」が、「青、緑、赤の波長帯の光を発光する3種の」に特定されて「複数の任意の狭い」との記載がなくなった。これにより、光源部を構成する「複数の光源」は、それぞれ「青、緑、赤の波長帯の光を発光する」ものといえる程度に相互に発光波長帯が分離された3種の光源に限定された。
この訂正により、本件訂正発明1における個々の光源の発光波長帯の相互重複が、各光源の主たる発光波長帯において生じるような態様は排除されたといえるし、仮に本件訂正発明1の光源に、発光波長帯が相互に重複する態様が含まれるとしても、該発光波長帯の周縁部においてわずかに重複するような関係のものにとどまることとなったといえる。
そうすると、仮に前記発光波長対相互の重複により、本件訂正発明1における検査に誤差が生じうるとしても、前記重複の程度がわずかであることにより、前記誤差の程度も相応にわずかなものであることが期待できることから、上記課題の解決にあたり許容できる程度のものであることが、当該訂正により、より明確になったといえる。
(ウ)上記(ア)、(イ)のとおりであるから、本件訂正発明1は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているものと解される。
4 申立人による4月24日付け意見書における申立人の主張について
(1)新規性、進歩性について
申立人は、「(2-1-1)この度の訂正により、本件発明1は、要するに、青、緑、赤の3種の光源で照明し、受光部で受光し、青、緑、赤の波長帯毎の2次元画像データの各画素の強度データに基づいて被検査物の特性を検出するという技術思想になった。
それ故、本件発明1は、甲第1号証(再公表特許WO2012/153695)に記載の発明(甲1発明)、或いは、甲第2号証(再公表特許WO2018/038123)に記載の発明(甲2発明)と何ら相違はなく、本件発明1と甲1発明、本件発明1と甲2発明とは実質的に同一である。
(2-1-2)また、百歩譲って本件発明1と甲1発明(或いは甲2発明)との間に表現上或いは形式上の相違があるとしても、それらの相違は何ら実質的な相違点ではなく、周知である。
したがって、本件発明1は、甲1発明、又は、甲2発明と実質的に同一であって、新規性を有しない。
また、上記同様の理由により、本件発明1は、甲1発明又は甲2発明に基づき、適宜周知技術を勘案することで、当業者であれば容易に想到し得るものである。」と主張している。
しかしながら、上記3(1)で述べたように、本件訂正発明1と甲1発明は、相違点1ないし相違点4で相違し、本件訂正発明1と甲2発明は、相違点5ないし相違点8で相違するから、本件訂正発明1と甲1発明、本件訂正発明1と甲2発明とは実質的に同一ではない。
また、上記3(2)で述べたように、甲1ないし甲7に接した当業者といえども、甲1発明において、少なくとも相違点1及び相違点4の構成とすることは、容易に想起し得ることであるとはいえないし、甲2発明において少なくとも相違点5及び相違点8の構成とすることは、容易に想起し得ることであるとはいえない。
したがって、申立人の上記主張には理由がない。
(2)記載不備について
申立人は、「そうすると、少なくとも本件の訂正前の請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明には記載されていないこととなる。してみると、本件発明1の構成1E、すなわち、
「前記データ取得部が記憶する光強度データから前記3種の光源の波長帯毎の2次元画像データを生成する画像データ生成部(6)」について検討してみるに、発明の詳細な説明の何処にも「画像データ生成部(6)」が、どのように「3種の光源の波長帯毎の2次元画像データを生成する」のかが、当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載されているとは言えない。それ故、本件発明1について実施可能要件を満たしていないことは明らかである。」と主張をしている。
しかしながら、本件明細書の【0030】ないし【0031】に「データ取得部5は、受光部4から出力される光強度データを読み込んで取得し、この取得した光強度データを記憶する。画像データ生成部6は、データ取得部5にて読み込んだ光強度データから複数の光源2a,2b,2cの青、緑、赤の波長帯毎の2次元画像データ生成する。」なる記載があるように、画像データ生成部6による青、緑、赤の波長帯毎の2次元画像データを生成することについて記載されている。
したがって、申立人の上記主張には理由がない。
第6 むすび
以上のとおり、本件請求項1に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
さらに、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件請求項2に係る特許は、上記のとおり、本件訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、本件請求項2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701012