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特許異議申立

2021-700790

炭素質材料及びその製造方法、並びに浄水用フィルター及び浄水器

審判番号
2021-700790
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-542021外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6829796
請求日
2021年08月06日
審決日
2021年11月30日
公報発行日
2022年06月24日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.112-Y (B01J) / P1651.113-Y (B01J) / P1651.121-Y (B01J) / P1651.537-Y (B01J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6829796号発明「炭素質材料及びその製造方法、並びに浄水用フィルター及び浄水器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論
特許第6829796号の請求項1~13に係る特許を維持する。

理由

目次 ▾ 38項目
理 由

1 手続の経緯

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本件特許第6829796号(以下、「本件特許」という。)は、2020年(令和2年)4月22日(優先権主張 平成31年4月26日(JP)日本国)を国際出願日とする出願であって、令和3年1月26日にその特許権の設定登録がされ、同年2月10日に特許掲載公報が発行された。

その後、令和3年8月6日に特許異議申立人 後藤 奈美(以下「申立人1」という。)は、請求項1~13に係る特許に対して特許異議の申立てを行った。また、同年同月10日に特許異議申立人 小澤 浩子(以下「申立人2」という。)は、請求項1~7、11~13に係る特許に対して特許異議の申立てを行った。

2 本件発明

本件特許の請求項1~13に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明13」といい、まとめて「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
ベンゼン吸着量が25~40%であり、ビタミンB12吸着量が13.0~50.0mg/gであり、かつ、窒素吸着等温線からBJH法により算出したメソ孔の細孔容積が0.070~0.150cm3/gである、炭素質材料。
【請求項2】
窒素吸着等温線からBET法で算出した比表面積が900~1500m2/gである、請求項1に記載の炭素質材料。
続きを表示(全28行)
【請求項3】
窒素吸着等温線から算出した平均細孔径が1.79~1.88nmである、請求項1又は2に記載の炭素質材料。
【請求項4】
窒素吸着等温線における相対圧P/P0=0.99のときの窒素吸着量により算出した全細孔容積に対する、窒素吸着等温線からMP法により算出されるミクロ孔の細孔容積の割合が96%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭素質材料。
【請求項5】
荷重12kNにおける粉体抵抗測定による導電率が5~12S/cmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の炭素質材料。
【請求項6】
植物系の炭素質前駆体に由来する、請求項1~5のいずれか1項に記載の炭素質材料。
【請求項7】
植物系の炭素質前駆体がヤシ殻である、請求項6に記載の炭素質材料。
【請求項8】
流動炉を用いた炭素質材料の製造方法であって、炉床から導入する流動ガスとは別に、酸素含有ガスを、流動ガスと酸素含有ガスを合計したガス中の酸素濃度が0.004~1容量%となるように流動炉に導入すること、及び、
前記流動ガスが水蒸気及び二酸化炭素を含むことを特徴とする、炭素質材料の製造方法。
【請求項9】
前記炉床から導入する流動ガス中の水蒸気濃度が10~40容量%である、請求項8に記載の炭素質材料の製造方法。
【請求項10】
前記流動炉が、流動ガスの流れ主方向Zでみて流動炉内の上流側にガス分散部を備えており、
前記方向Zにおけるガス分散部の上流端位置を0(m)、下流端位置をt1(m)とし、前記酸素含有ガスを導入する位置をt2(m)としたとき、0.5t1≦t2の関係を満たすように、前記酸素含有ガスを導入する、請求項8又は9に記載の炭素質材料の製造方法。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に記載の炭素質材料と繊維状バインダーを含む浄水用フィルターであって、前記繊維状バインダーのCSF値が10~150mLであり、炭素質材料100質量部に対して、繊維状バインダーを4~10質量部含む、浄水用フィルター。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか1項に記載の炭素質材料を含む、浄水器。
【請求項13】
請求項11に記載の浄水用フィルターを含む、浄水器。」

3 申立理由の概要

申立人1、2が主張する申立理由は、概略、以下のとおりである。

以下、申立人1による特許異議申立書を申立書1といい、申立書1で証拠として提出される甲第1号証~甲第16号証を甲1-1~甲1-16という。

また、申立人2による特許異議申立書を申立書2といい、申立書2で証拠として提出される甲第1号証~甲第6号証を甲2-1~甲2-6という。

(1)申立理由1(新規性)

本件発明1~7、11~13は、その優先日前に市販されており、甲1-2~甲1-5に品番が記載され、甲1-1でその測定結果が示された活性炭と同一であり、その優先日前に公然実施された発明であって、特許法第29条第1項第2号に該当するから、請求項1~7、11~13に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するため、取り消されるべきものである(申立書1第4頁下から6行~第6頁9行)。

(2)申立理由2(進歩性)

本件発明1~7、11~13は、公然実施された発明及び甲1-6~甲1-15に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~7、11~13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するため、取り消されるべきものである(申立書1第6頁第10行~第7頁下から6行)。

(3)申立理由3(進歩性)

本件発明8、9は、甲1-16に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項8、9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するため、取り消されるべきものである(申立書1第7頁下から5行~第8頁10行)。

(4)申立理由4(サポート要件)

本件特許に係る明細書(以下、「本件明細書」という。)の発明の詳細な説明の段落【0094】~【0102】には、実施例の炭素質材料の作成方法の記載において、酸素含有ガスの導入における位置関係について本件発明10の範囲を満たす記載はない。

そうすると、本件発明10における位置関係で酸素含有ガスが導入されることが具体的にどのように発明の課題を解決するのかが開示されているということはできない。

よって、本件発明10は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、請求項10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当するため、取り消されるべきものである(申立書1第8頁11行~第8下から2行)。

(5)申立理由5(新規性)

本件発明1~5は、甲2-1~甲2-3のいずれかに記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~5に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するため、取り消されるべきものである(申立書2第14頁下から13行~第16頁下から4行)。

(6)申立理由6(進歩性)

本件発明1~4は、甲2-1~甲2-3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明5は、甲2-1~甲2-4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明6、7は、甲2-1~甲2-3、甲2-5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明11~13は、甲2-1~甲2-4、甲2-6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~7、11~13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するため、取り消されるべきものである(申立書2第14頁下から13行~第18頁10行)。

<甲号証一覧>

甲1-1:測定結果報告書、2021年8月4日
甲1-2:特開平7-60246号公報
甲1-3:太閤CTタイプ(トリハロメタン用活性炭)カタログ、2007年11月26日
甲1-4:CW830S(粒状活性炭)カタログ、フタムラ化学株式会社、2018年11月15日
甲1-5:活性炭総合カタログ、日本エンバイロケミカルズ株式会社、2014年7月
甲1-6:特開2005-13883号公報
甲1-7:特開昭60-137811号公報
甲1-8:特開平8-52347号公報
甲1-9:特開平10-297912号公報
甲1-10:特開2003-290654号公報
甲1-11:特開2012-179589号公報
甲1-12:特開2016-30697号公報
甲1-13:特開2002-12417号公報
甲1-14:特開2017-164741号公報
甲1-15:国際公開第2016/080241号
甲1-16:特開2004-10436号公報
甲2-1:笠岡成光、外3名、“フェノール樹脂繊維を原料とする繊維状活性炭の製造と分子ふるい特性”、日本化学会誌、1987年、第6号、p.990~1000

甲2-2:Hisashi Tamai et al., “Synthesis of Extremely Large Mesoporous Activated Carbon and Its Unique Adsorption for Giant Molecules”, Chemistry of Materials, 1996, No. 8, p. 454-462

甲2-3:Harry Marsh, Francisco Rodriguez-Reinoso, “Activated Carbon”, 2006, p.383-453
甲2-4:”FLTRASORB 400”, Calgon Carbon Corporation, 2012
甲2-5:Wako Analytical Circle、和光純薬株式会社、2001年3月、第20号
甲2-6:特開2011-255310号公報

4 甲号証の記載内容について

(1)甲1-1の記載内容

甲1-1には、下記の事項が記載されている。

「
[図:0001385197000001.jpg]
」

(2)甲1-2の記載内容及び公然実施された発明

ア 甲1-2の記載内容

甲1-2には、下記の事項が記載されている(当審注:下線は当審による。以下も同様。)。

「【0048】活性炭はクラレケミカル社製クラレコールT-SB48/100を市販のまま用いた。こうして得た浄水器の試験結果を以下に示した。試験に際して、通水速度を4l/分とした。」

イ 公然実施された発明

上記アの記載から、以下の発明が本件特許に係る優先日前に公然実施されていたものと認められる(以下、甲1-2発明という。)。

「「クラレコールT-SB48/100」という活性炭。」

(3)甲1-3の記載内容及び公然実施された発明

ア 甲1-3の記載内容

甲1-3には、下記の事項が記載されている。

「
[図:0001385197000002.jpg]
」

イ 公然実施された発明

上記アの記載は単なるカタログの記載にすぎないが、一応、以下の発明が本件特許に係る優先日前に公然実施されていたものと解することにする(以下、甲1-3発明という。)。

「「CT5100A」という活性炭。」

(4)甲1-4の記載内容及び公然実施された発明

ア 甲1-4の記載内容

甲1-4には、下記の事項が記載されている。

「
[図:0001385197000003.jpg]
」

イ 公然実施された発明

上記アの記載は単なるカタログの記載にすぎないが、一応、以下の発明が本件特許に係る優先日前に公然実施されていたものと解することにする(以下、甲1-4発明という。)。

「「CW830S」という活性炭。」

(5)甲1-5の記載内容及び公然実施された発明

ア 甲1-5の記載内容

甲1-5には、下記の事項が記載されている。

「
[図:0001385197000004.jpg]
」(p.8)

イ 公然実施された発明

上記アの記載は単なるカタログの記載にすぎないが、一応、以下の発明が本件特許に係る優先日前に公然実施されていたものと解することにする(以下、甲1-5発明という。)。

「「粒状白鷺WHA」という活性炭。」

(6)甲1-6の記載内容

甲1-6には、下記の事項が記載されている(当審注:「…」は当審による省略を意味する。以下も同様。)。

「【請求項1】
(a)繊維状活性炭、(b)粉末状活性炭及び(c)繊維状バインダーからなる混合物を成型せしめてなる活性炭成型体。
…
【請求項4】
該粉末状活性炭のベンゼン吸着能が20~50重量%である請求項1~3いずれかに記載の活性炭成型体。」
「【0019】
粉末状活性炭の吸着容量としては、あまり小さいと十分な吸着能力を保持しているとは言えず、また、あまり大きいと過賦活状態で細孔径が増大しており、トリハロメタンの吸着保持力が低下する傾向にあるので、JIS-K1474で定められたベンゼン吸着量が20~50重量%とするのが好ましい。25~40重量%とするのがさらに好ましい。」

(7)甲1-7の記載内容

甲1-7には、下記の事項が記載されている。

「次に本発明のACFの性能についてまとめた。これを第1表に示す。
[図:0001385197000005.jpg]
」(第2頁左下欄下から2行~第3頁)

(8)甲1-8の記載内容

甲1-8には、下記の事項が記載されている。

「【0035】表1において,活性炭総量とは,粉粒状活性炭と繊維状活性炭の含有量の合計を示す。また,圧力損失は,5リットル/分で10分間通水した後の圧力損失を示す。次に,ろ過試験は,分子量1357のビタミンB12をイオン交換水で100mg/リットルの濃度に調整した液を4リットル/分で10分間通液した後に,出口において目視で着色が認められないものを○,認められるものを×として評価した。」

「【0037】実施例1のものは,分子量の大きいビタミンB12をよく吸着し,黴臭物質の吸着ではイオン交換水,水道水の間で吸着性能に差がなくていずれも良好であり,水道水中に含まれる比較的分子量の大きい,例えばたんぱく質, 多糖類 ,フミン酸等の有機物質が水の流入側に存在する粉末活性炭で効率よく除去され,流出側の繊維状活性炭の欠点が解消されていた。」

(9)甲1-9の記載内容

甲1-9には、下記の事項が記載されている。

「【0006】また、染色工業で使用される、分子径が2.26nmと巨大な構造の酸性染料(Acid Blue 90)や、医薬品分野で有用である、分子径が2.09nmのビタミンB12等の比較的大きな分子サイズの化学物質の吸着に対して、選択的に吸着効率を向上させるには、細孔直径3.0~10.0nmの範囲に細孔径分布の極大値を有した吸着材が極めて有用である。」

(10)甲1-10の記載内容

甲1-10には、下記の事項が記載されている。

「【0079】実施例3
実施例1で得られた活性炭素繊維100mgを、ビタミンB12(C63H88N14O14PCo:分子量1355.4)を3ppm含有する水中に加え、25℃で1分、24時間浸透した。その後、活性炭素繊維を濾過した濾液からビタミンB12の残量を330nmにおける吸光度測定より算出し、活性炭素繊維gあたりのビタミンB12の吸着量を算出したところ、1分の場合は130mg/gであり、24時間の場合は166mg/gであった。」
「【0082】実施例5
実施例1と同様の工程で90分間賦活して作製した窒素吸着量で測定したBET比表面積1632m2/gの繊維状活性炭100重量部を水中でミキサーにて粉砕し、アクリルバインダー繊維(東洋紡社製R56F)5重量部と水を加えて繊維状活性炭:バインダー:水=2:0.10:97.90(重量%)の成形用スラリーを調製した。200メッシュのステンレス金網で、直径3.6cm、長さ8cmの円筒状容器を作製し、この中に同じ金網で作製した直径1cm、長さ8cmの円筒状の容器を挿入して、二重管状の容器を作製した。該二重管状容器の内管と外管との間に上記スラリーを注入し、乾燥して円筒状の成型体を作製した。該成型体を長さ7cmに切断し、外径3.6cm、内径1cm、長さ7cm(容積65cc、重量11g)のカートリッジとし、ハウジングに装填して浄水器とした。
【0083】得られた浄水器の評価は、JIS S3201に準拠して行なった。すなわち、水道水に次亜塩素酸ナトリウムと2-メチルイソボルネオール(2-MIB)を加え、水温が20±1℃、遊離塩素濃度が2ppm、2-MIB濃度が50pptになるように調整した原水をカートリッジの外側から1.1リットル(L)/分(SV=1000Hr-1)の割合で全濾過式に通水し、試験を行った。濾過した水について、遊離塩素をDPD法により分光光度計で測定し、2-MIB濃度をGC-MS法により測定した。試験開始から流した水量(L)とカートリッジの容積(cc)の比を累積透過水量(L/cc)とし、遊離塩素の除去率(%)及び2-MIBの除去率(%)との関係を調べた。結果を表3及び図1に示す。塩素除去性能および2-MIB除去性能は除去率が80%になる時の累積透過水量で表した。
…
【0085】
【表3】
[図:0001385197000006.jpg]
」

(11)甲1-11の記載内容

甲1-11には、下記の事項が記載されている。

「【請求項19】
窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上であり、ナトリウム、マグネシウム、カリウム及びカルシウムから成る群から選択された少なくとも1種類の成分を含む植物を原料とした多孔質炭素材料から成る濾材。」
「【0067】
メソ細孔の孔径は、例えば、BJH法に基づき、その孔径に対する細孔容積変化率から細孔の分布として算出することができる。BJH法は、細孔分布解析法として広く用いられている方法である。…」
「【0116】
[表1]
比表面積 全細孔容積 MP法 BJH法 質量
…
実施例6D 843 0.396 0.33 0.080
…」

(12)甲1-12の記載内容

甲1-12には、下記の事項が記載されている。

「【請求項1】
1,1,1-トリクロロエタンの平衡吸着量が20mg/g以上であり、且つ細孔径20Å超300Å以下の細孔容積が0.04cm3/g以上であることを特徴とする吸着性能に優れた活性炭。」
「【0022】
また本発明の活性炭は、細孔径20~300Åの細孔容積が、0.04cm3/g以上である。細孔径20~300Åの細孔容積を増大させると、通水条件下において1,1,1-トリクロロエタンとミクロ孔の接触効率を向上できる。細孔径20~300Åの細孔容積は大きいほど好ましく、0.04cm3/g以上、好ましくは0.05cm3/g以上、更に好ましくは0.10cm3/g以上である。」
「【0073】
3.各細孔径の細孔容積
吸着等温線をBJH法により解析し、全細孔容積(Vtotal)の範囲における各細孔径の細孔容積を算出した。細孔容積は表2の「細孔容積(cm3/g)」欄に細孔径に応じて記載した。」

(13)甲1-13の記載内容

甲1-13には、下記の事項が記載されている。

「【請求項1】比表面積が800~1600m2/g、好ましくは1000~1400m2/gで、かつ、含有される酸素の重量比率が2.0~5.0%、好ましくは3.0~4.5%であることを特徴とする活性炭。」

「【0019】ここで、活性炭の比表面積としては、800~1600m2/g、好ましくは1000~1400m2/gとされる。活性炭の比表面積が1000m2/gより小さくなるにつれ吸着性能が低下する傾向がみられ、1400m2/gより大きくなるにつれ活性炭の強度が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。特に、活性炭の比表面積が800m2/gより小さくなるか、1600m2/gよりも大きくなるとこの傾向が著しいので、いずれも好ましくない。」

(14)甲1-14の記載内容

甲1-14には、下記の事項が記載されている。

「【請求項1】
遊離塩素含有水から遊離塩素を除去するのに用いられる活性炭素繊維であって、平均繊維径が0.1~100μm、活性表面積が60m2/g以上であり、空間速度SVが6000/hの通水条件下で濃度2ppmの遊離塩素含有水(20℃)を通水した際の遊離塩素除去率が80%に低下するまでの累積通水量が、活性炭素繊維1g当たり180L以上であることを特徴とする遊離塩素除去用活性炭素繊維。
…
【請求項4】
平均細孔径が1~4.5nmの細孔を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の遊離塩素除去用活性炭素繊維。」
「【0047】
また、本発明において、活性炭素繊維に形成される細孔は、遊離塩素除去性能の点から、その平均細孔径が1~4.5nmであることが好ましく、より好ましくは1.5~4.0nm、さらに好ましくは2~3.5nmである。上記平均細孔径が小さくなりすぎると拡散が悪く性能が低下するおそれがあり、逆に上記平均細孔径が大きすぎると活性炭素繊維自体が嵩高くなってカラム等への充填量が減少するおそれがある。」

(15)甲1-15の記載内容

甲1-15には、下記の事項が記載されている。

「[請求項1]
活性炭とフィブリル化繊維状バインダーとを含む吸着フィルターであって、
前記活性炭は、体積基準の累計粒度分布における0%粒子径(D0)が9μm以上であり、かつ、体積基準の累計粒度分布における50%粒子径(D50)が30~110μmであり、
前記フィブリル化繊維状バインダーのCSF値が10~150mLであり、
前記活性炭100質量部に対して、前記フィブリル化繊維状バインダーを4~10質量部含む、吸着フィルター。
…
[請求項3]
前記活性炭のベンゼン吸着量が25~60質量%である、請求項1又は2に記載の吸着フィルター。」
「[0027]
活性炭の吸着容量が小さすぎると十分な吸着能力を保持しているとは言えず、吸着容量が大きすぎると過賦活状態で細孔径が増大しており、有害物質の吸着保持力が低下する傾向にある。したがって、本実施形態の活性炭において、吸着容量は、用途にもよるが、ベンゼン吸着量(20℃のときのベンゼン飽和濃度の1/10の濃度で通気した時の飽和吸着量)が25~60質量%程度となるようにすることが好ましい。」
「[0034]
本実施形態の吸着フィルターは、前記活性炭100質量部に対し、フィブリル化繊維状バインダーを4~10質量部含んでいる。このフィブリル化繊維状バインダーの量が4質量部未満となると、十分な強度が得られずに成形体を成形できないおそれがある。また、フィブリル化繊維状バインダーの量が10質量部を超えると、吸着性能が低下するおそれがある。より好ましくは、活性炭100質量部に対し、フィブリル化繊維状バインダーを4.5~6質量部配合することである。」
「[0037]
本実施形態において、フィブリル化繊維状バインダーの通水性は、CSF値で10~150mL程度である。本実施形態において、CSF値はJIS P8121「パルプの濾水度試験方法」カナダ標準ろ水度法に準じて測定した値である。また、CSF値は、繊維状バインダーをフィブリル化させることによって調整できる。
[0038]
フィブリル化繊維状バインダーのCSF値が10mL未満となると、通水性が得られず、成形体の強度が低くなり、圧力損失も高くなる。一方で、前記CSF値が150mLを超える場合は、粉末状の活性炭を十分に保持することができず、成型体の強度が低くなる上、吸着性能に劣ることとなる。」

(16)甲1-16の記載内容及び引用発明

ア 甲1-16の記載内容

甲1-16には、下記の事項が記載されている。

(ア)「【請求項1】
有機性廃棄物を乾燥炭化処理後・炭酸ガスを含む燃焼排ガスを改質炉内に投入した炭化物に直接作用させて賦活処理して吸着性能の高い活性炭化物を製造する方法において、賦活温度が800~950℃、O2濃度は1~5%、水蒸気濃度が34~50%の燃焼排ガスを用いて賦活時間を45~90分に設定して賦活処理を行うことを特徴とする有機性廃棄物より活性炭化物を製造する方法。」
(イ)「【0038】
次に気泡流動床を用いた第2の実施形態を図2により説明する。
7Bは気泡流動床を用いた改質(賦活)炉で、気泡流動床炉7Bよりの炭化物投入口を流動床の側部に設け、燃焼排ガス投入ライン51が多数のノズル群で形成した散気室52下部に接続され、燃焼排ガスにより流動床の流動撹拌が行われるように、又気泡流動床上部の排ガスライン53には気泡流動床下部の一次空気ラインである燃焼排ガス投入ライン51に戻す戻しライン54が設けられ、該ライン54は予冷熱器(熱交換器)55、ダンパ56及び水蒸気付加部57を介して燃焼排ガス投入ライン51に制御弁59を介して接続されている。
【0039】
改質炉7Bの入口側に位置する燃焼排ガス投入ライン51上及び出口側の排ガスライン53には夫々蒸気センサ33、36、酸素センサ34、37、温度センサ35、38が配置されており、夫々の検出値は制御回路30に取り込まれる。
そしてかかる装置において、賦活温度が850~900℃、O2濃度は1~5%、水蒸気濃度が34~50%の燃焼排ガスを用いて賦活時間を60~90分に設定して賦活処理を行うの際の制御回路の制御動作について、説明する。」
(ウ)「【図2】
[図:0001385197000007.jpg]
」

イ 甲1-16に記載された発明

上記ア(ウ)の【図2】には、「燃焼排ガス投入ライン51」が気泡流動床を用いた改質(賦活)の炉床に接続されることが図示されている。

そして、上記アの記載を「気泡流動床を用いた第2の実施形態」に注目して整理すると、甲1-16には、以下の発明が記載されていると認められる(以下、甲1-16発明という。)。

「気泡流動床を用いた改質(賦活)炉において活性炭化物を製造する方法であって、燃焼排ガス投入ラインが炉床に接続されており、燃焼排ガスのO2濃度が1~5%となるように賦活処理を行うものであり、
前記燃焼排ガスが水蒸気を含む、活性炭化物を製造する方法。」

(17)甲2-1の記載内容及び引用発明

ア 甲2-1の記載内容

甲2-1には、下記の事項が記載されている。

(ア)「2.4 細孔特性の評価
(1)比表面積Sg(N2):Carlo Erba社製Sorptomatic 7000を用いて,N2吸着法(-195℃)によりBET有限層式で解析して求めた。一部,クロマトグラフ法装置(島津製作所製ADS-1B)によるN2吸着1点法で測定した。
(2)細孔分布:半径0.7~10nmの範囲の細孔分布は,水蒸気吸着法(30℃)により,また,10~104nmの範囲の細孔分布は水銀圧入法(Carlo Erba社製MOD-220)により測定した。
(3)細孔容積:本研究では,N2吸着法(-195℃)で求めた半径0.7~10nmの細孔容積をVp(i)と記し,ミクロ細孔容積と呼ぶ。また,水銀圧入法で求めた半径10nm以上の細孔容積をVp(a)と記し,マクロ細孔容積と呼ぶことにする。
…
2.5 吸着能の評価
…比較の基準の一つとして,市販活性炭(Calgon社製F400;石炭系)も用いた。
…
(2)ベンゼン吸着量:15.5vol%のベンゼン蒸気と窒素の混合ガス(30℃)中での平衡吸着量qe(mg(C6H6)/g(活性炭))を測定し,また液密度(0.8683g/cm3)から凝縮容積Vg(C6H6)(cm3/g 活性炭)に換算した。」(p.991右欄8行~38行)
(イ)「
[図:0001385197000008.jpg]
」(p.992)

(ウ)「3.3.1 細孔容積と細孔分布:図7にAFCの細孔分布を,図8にAGCとCAL-F400の細孔分布をそれぞれ示す。…CAL-F400もAGCと同様にミクロ孔とマクロ孔の二峰型細孔分布を持つ。」(p.995右欄下から8行~p.996左欄5行)

(エ)「
[図:0001385197000009.jpg]
」(p.995)
(オ)「3.4.2 気相ベンゼン吸着:表1に示したAFC,AGCおよびCAL-F400の計16種を試料として,ベンゼン(15.5vol%)-N2混合ガスを用いて,30℃におけるベンゼンの平衡吸着量qe(C6H6)を測定した。図13は,qe(C6H6)とそれぞれの比表面積Sgとの関係を示したもので,出発原料や製造条件の相違にもかかわらず,Sgが2200m2/g以下での関係は,すべて原点を通る1本の直線で整理され,次式で表された。
qe(C6H6)=0.325Sg;Sg≦2200m2/g (1)
…30℃でのベンゼンの平衡濃度は15.7vol%であるから,15.5vol%濃度で行った本実験は,きわめて凝縮しやすい条件下にある。」(p.997右欄12行~26行)
(カ)「
[図:0001385197000010.jpg]
」(p.997)

イ 甲2-1に記載された発明

上記アの記載をCAL-F400に注目して整理すると、甲2-1には、以下の発明が記載されていると認められる(以下、甲2-1発明という。)。

「比表面積Sg(N2)が1170m2/gであり、ベンゼン吸着量qe(C6H6)が、qe(C6H6)=0.325Sg;Sg≦2200m2/gで表され、N2吸着法(-195℃)で求めた半径0.7~10nmの細孔容積Vp(i)が0.534cm3/gであるCAL-F400。」

(18)甲2-2の記載内容及び引用発明

ア 甲2-2の記載内容

甲2-2には、下記の事項が記載されている。

(ア)「In contrast, carbonaceous materials bearing larger pore sizes such as mesopore (diameter 20-500Å) or macropore (> 500Å) are scarcely reported so far ….」(p.454左欄10行~13行)

(当審訳:対照的に、メソ細孔(直径20~500Å)やマクロ細孔(>500Å)等のより大きな細孔サイズを持つ炭素質材料は、これまでほとんど報告されていない…。)

(イ)「F400 (Filtrasorb 400) activated carbon was purchased from Toyo Cargone (BET surface area, 946 m2/g, mesopore ratio 9.7%, averaged pore size 24.0Å, powder size 0.9-1.1 mm; its origin is bituminoous coal).」(p.455左欄4行~8行)

(当審訳:F400(Filtrasorb 400)活性炭(BET表面積946m2/g、メソ細孔比9.7%、平均細孔径24.0Å、粉末サイズ0.9~1.1mm、原料はれき青炭)は、東洋カルゴンから購入された。)

(ウ)「Adsorption of Vitamins on the Activated Carbon. Vitamin B1, vitamin B2, vitamin B6, and vitamin B12 were purchased from Wako Pure Chemical Industry. The adsorbate (10 mg) was diluted with distilled water (100 mL) and an activated carbon (10 mg) was mixed with the adsorbate solution (10 mL). The rotation (8 rpm) of a mixture was continued for a fixed time, and then the activated carbon was removed by centrifugation (3000 rpm, 10 min). The concentration of the adsorbate in the aqueous solution was determined by a high-performance liquid chromatograph.」(p.455左欄下から4行~右欄6行)

(当審訳:活性炭へのビタミンの吸着。ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12は和光純薬工業から購入した。吸着質(10mg)を蒸留水(100mL)で希釈し、活性炭(10mg)は吸着質溶液(10mL)と混合された。混合物の回転(8rpm)を一定時間続けた後、遠心分離(3000rpm、10分)により活性炭を除去した。水溶液中の吸着質の濃度は、高速液体クロマトグラフによって決定された。)

(エ)「As a result, vitamin B1 and vitamin B6 with relatively small diameter adsorb well on F400 and Kimco activated carbons, but mesoporous carbons showed the large adsorption regarding the giant molecule, vitamin B12 (Table 6)」(p.458右欄11行~15行)

(当審訳:その結果、比較的直径の小さいビタミンB1とビタミンB6はF400及びキムコの活性炭によく吸着するが、メソ細孔の炭素は巨大分子であるビタミンB12に関して大きな吸着を示した。)

(オ)「
[図:0001385197000011.jpg]
」(p.459)

(当審訳:

[図:0001385197000012.jpg]

)

(カ)「The micropore volume for F400, … are 0.447, … mL/g, respectively.」(p.460右欄14行~16行)

(当審訳:F400、…のミクロ細孔容積は、それぞれ、0.447、…mL/gである。)

(キ)「The mesopore volume for … F400 … are … 0.160, … mL/g, respectively.」(p.461左欄21行~24行)

(当審訳:…F400…のメソ細孔容積は、それぞれ、…0.160…mL/gである。)

イ 甲2-2に記載された発明

上記アの記載をF400(Filtrasorb 400)活性炭に注目して整理すると、甲2-2には、以下の発明が記載されていると認められる(以下、甲2-2発明という。)。

「ビタミンB12の吸着が48mg/g、メソ細孔容積が0.160mL/gであるF400(Filtrasorb 400)活性炭。」

(19)甲2-3の記載内容及び引用発明

ア 甲2-3の記載内容

甲2-3には、下記の事項が記載されている。

(ア)「These were Carbon C, Calgon F-400, a bituminous coal-based carbon and Carbon W, … produced by PICA, a chemically activated wood-based carbon. Details of these carbons are in Table 8.6.」(p.409、16行~18行)

(当審訳:これらは、れき青炭に起因する炭素である炭素C、カルゴンF-400、及び、化学的に木材に起因する活性化された炭素である、PICAによって製造された炭素W…であった。これらの炭素の詳細を表8.6に示す。)

(イ)「
[図:0001385197000013.jpg]
」(p.409)

(当審訳:

[図:0001385197000014.jpg]

)

イ 甲2-3に記載された発明

上記アの記載をカルゴンF-400に注目して整理すると、甲2-3には、以下の発明が記載されていると認められる(以下、甲2-3発明という。)。

「メソ細孔容積が0.07cm3g-1であるカルゴンF-400。」

(20)甲2-4の記載内容

甲2-4には、下記の事項が記載されている。

「FILTRASORB 400 is a granular activated carbon developed by Calgon Carbon Corporation for the removal of dissolved organic compounds from water and wastewater as well as industrial and food processing streams.」(p.1左欄2行~5行)

(当審訳:FILTRASORB 400は、カルゴン・カーボン・コーポレーションによって開発された粒状活性炭で、水や廃水、工業用および食品加工用の流れから溶存有機化合物を除去するものである。)

「
[図:0001385197000015.jpg]
」(p.1右欄)

(当審訳:

[図:0001385197000016.jpg]

)

(21)甲2-5の記載内容

甲2-5には、下記の事項が記載されている。

「
[図:0001385197000017.jpg]
」(p.6)

(22)甲2-6の記載内容

甲2-6には、下記の事項が記載されている。

「【請求項1】
活性炭を主成分とする瀘材を、繊維状バインダーにて成形してある成形吸着体であって、前記活性炭が、体積基準モード径が20μm以上100μm以下の微粒子状活性炭であり、前記繊維状バインダーが、フィブリル化により瀘水度20mL以上100mL以下とした繊維材料を主成分とするものである成形吸着体。
【請求項2】
前記繊維状バインダーを4質量%~10質量%含有する請求項1に記載の成形吸着体。」
「【0013】
尚、繊維状バインダーは、濾水度20mL以下とすると、濾過抵抗の大きな成形吸着体となるため好ましくなく、100mL以上とすると、成形強度が低下する傾向にあるため好ましくないと考えられる。また、微粒子状活性炭は、大きくなると単位重量あたりの吸着能力が低下して本発明の優位性を発揮できず、小さくしすぎると成形吸着体が脆くなったり、濾過抵抗が高くなったりすることから、体積基準モード径を20μm以上100μm以下とすることが好ましい。
…
【0015】
〔作用効果〕
つまり、上記成形吸着体において、繊維状バインダーの使用量が少なすぎると、成形吸着体の成形強度の低下を招来するので、成形吸着体に対して4質量%以上含有させておくことが好ましく、繊維状バインダーの使用量が多すぎると、吸着性能が低下する原因となることと、濾過抵抗の悪化の原因となることなどから、10質量%以下としておくことが好ましい。」
「【0047】
〔各物性の測定方法〕
○濾水度
JISP8121「パルプの濾水度試験方法」カナダ標準型に準じた。」

5 当審の判断

(1)申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)について

ア 本件発明1について

(ア)本件発明1と甲1-2発明を対比する。

甲1-2発明の「活性炭」は、本件発明1の「炭素質材料」に相当するから、両者は、「炭素質材料」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1-1>

本件発明1は、ベンゼン吸着量が25~40%であり、ビタミンB12吸着量が13.0~50.0mg/gであり、かつ、窒素吸着等温線からBJH法により算出したメソ孔の細孔容積が0.070~0.150cm3/gであるものであるのに対し、甲1-2発明は、これらが不明である点。

まず、相違点1-1が実質的なものであるか検討する。

当該相違点1-1につき、申立人1は、甲1-1に係る文書を提出して書証の申出をしているので、これを取り調べると、甲1-1は、「活性炭1」~「活性炭5」の「測定結果報告書」について記載されたものであり、特許法第120条で準用する同法第151条でさらに準用する民事訴訟法第228条第4項でいう私文書に該当するところ、甲1-1には、本人又はその代理人の署名又は押印がないから、甲1-1が真正に成立したものと直ちに認めることはできず、そのように認めるに足りる証拠も見当たらない。そのため、甲1-1を証拠として採用しない。

したがって、甲1-2発明が相違点1-1に係る本件発明1の特定事項を満たすとはいえないから、相違点1-1は実質的なものである。

仮に、甲1-1を証拠として採用したとしても、申立書1には、

「甲第1号証の測定結果報告書に示される測定結果は、以下の市販の活性炭(炭素質材料)を測定対象としたものである。…
なお、それぞれの項目における測定は、本件特許明細書中に記載される測定方法と同一の条件で、同一の測定機器を用いて行った。…
<活性炭>
活性炭1:『クラレコールT-SB』(株式会社クラレ(旧クラレケミカル株式会社)製、ヤシ殻活性炭、1993年8月27日(甲第2号証))…」

と記載されているものの、甲1-1には、「活性炭1」に対応するものが具体的にどのような活性炭であり、どの時期にどのように入手したものであるのか、さらに、どのような測定方法及び測定装置を用いたのかについて何ら記載されていないから、甲1-1の「活性炭1」の測定結果が本件特許に係る優先日前に市販されていた甲1-2発明である「クラレコールT-SB/100」の測定結果を示すものであるとする根拠が甲1-1に記載されているとはいえない。

したがって、甲1-1の記載を考慮しても、甲1-2発明が相違点1-1に係る本件発明1の特定事項を満たすとはいえない。

次に、相違点1-1に係る本件発明1の特定事項の容易想到性について検討する。

本件発明は、本件明細書の段落【0025】に記載されるように「トリハロメタンと2-MIBとを単独種で効率よく除去することが可能な炭素質材料を実現するには、それらベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔容積のバランスが重要である」から、ベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔の細孔容積のそれぞれを所定の範囲に調整したものである。

そして、甲1-2発明は、「クラレコールT-SB48/100」という商品名の市販の活性炭に過ぎず、そもそも、甲1-2発明において「ベンゼン吸着量」、「ビタミンB12吸着量」及び「窒素吸着等温線からBJH法により算出したメソ孔の細孔容積」を調節することは想定されない。

また、仮に、甲1-6~甲1-15(上記4(6)~(15))にベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔の細孔容積が個別に記載されているとしても、これらは相互に影響するものであることは明らかであるから、直ちに甲1-2発明と組み合わせることができるものでもなく、また、甲1-6~甲1-15には、このような動機付けとなる記載もない。

したがって、本件発明1は、甲1-2発明ではなく、甲1-2発明及び甲1-6~甲1-15に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)本件発明と甲1-3発明~甲1-5発明を対比した場合も事情は同じであるから、本件発明1は、甲1-3発明~甲1-5発明ではなく、甲1-3発明~甲1-5発明及び甲1-6~甲1-15に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2~7、11~13について

請求項2~7、11~13は請求項1を直接又は間接に引用するものであるから、本件発明2~7、11~13は本件発明1と事情は同じである。

したがって、本件発明2~7、11~13は、甲1-2発明~甲1-5発明ではなく、甲1-2発明~甲1-5発明及び甲1-6~甲1-15に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小活

以上のとおりであるから、申立理由1、2に理由はない。

(2)申立理由3(進歩性)について

ア 本件発明8について

本件発明8と甲1-16発明を対比する。

甲1-16発明の「気泡流動床を用いた改質(賦活)炉」、「活性炭化物を製造する方法」、「燃焼排ガス」は、それぞれ、本件発明8の「流動炉」、「炭素質材料の製造方法」、「流動ガス」に相当する。

そうすると、両者は、「流動炉を用いた炭素質材料の製造方法であって、炉床から導入する流動ガス」「が水蒸気」「を含むことを特徴とする、炭素質材料の製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1-2>

本件発明8は、「炉床から導入する流動ガスとは別に、酸素含有ガスを」「流動炉に導入する」ものであるのに対し、甲1-16発明は、このような特定がない点、

<相違点1-3>

本件発明8は「流動ガスと酸素含有ガスを合計したガス中の酸素濃度が0.004~1容量%となる」ものであるのに対し、甲1-16発明は、燃焼排ガスのO2濃度が1~5%となるように賦活処理を行うものである点、

<相違点1-4>

本件発明8は「前記流動ガスが水蒸気及び二酸化炭素を含む」ものであるのに対し、甲1-16発明は、水蒸気を含むものである点、

事案に鑑み、相違点1-2について検討する。

まず、甲1-16には、O2濃度が1~5%である燃焼排ガスを改質(賦活)炉に導入することは記載されているものの、燃焼排ガスとは別に酸素含有ガスを改質(賦活)炉に導入することは記載されていないから、相違点1-2は実質的なものである。

次に、相違点1-2に係る本件発明8の特定事項の容易想到性について検討すると、甲1-16には、燃焼排ガスとは別に酸素含有ガスを改質(賦活)炉に導入する動機付けになるような記載もないから、この点は当業者が容易に想到し得たものではない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲1-16発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明9について

請求項9は請求項8を引用するものであるから、本件発明9は本件発明8と事情は同じである。

したがって、本件発明9は、甲1-16発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小活

以上のとおりであるから、申立理由3に理由はない。

(3)申立理由4(サポート要件)について

本件発明の課題は、本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0006】に記載されるように「トリハロメタンと2-MIBの除去を単独種で両立させることのできる炭素質材料を提供すること」であると認められる。

他方、発明の詳細な説明の段落【0094】には、実施例1に関して「このヤシ殻炭1kgを900℃に加熱した流動賦活炉に投入し、炉床から水蒸気15容量%、二酸化炭素11容量%の流動ガス50L/分、炉側部から酸素0.5容量%、窒素99.5容量%の酸素含有ガス5L/分を導入し、ベンゼン吸着量が約35重量%となるまで賦活処理を行った(流動賦活炉に導入する合計ガス中の酸素濃度は約0.045容量%)。流動賦活炉には、流動ガスの流れ主方向Zでみて炉内の上流側にガス分散層を備える炉を用いた。また、方向Zにおける酸素含有ガスの導入位置t2とガス分散層の下流端t1とはt1<t2の関係を満たした。すなわち、酸素含有ガスは流動賦活炉の流動床部に導入した。」と記載されており、実施例1は、本件発明10の特定事項を満たす方法で製造されたものである。

また、段落【0095】~【0102】の記載から、実施例2~8も一部の条件を除き同様にして製造されているから、実施例2~8も、本件発明10の特定事項を満たす方法で製造されたものであると解される。

そして、段落【0120】、【0121】に記載されるように、実施例1~8の炭素質材料はいずれも分子サイズの小さいトリハロメタンと、分子サイズの大きい2-MIBとを両方除去できるものであるから、実施例1~8の炭素質材料の製造方法は当業者が本件発明の課題を解決できることを認識できる範囲のものである。

さらに、段落【0103】~【0115】に記載される比較例1~13も併せて考慮しつつ、段落【0037】~【0042】の炭素質材料の製造方法に関する記載を見ると、「炉床から導入する流動ガスとは別に、酸素含有ガスを、流動ガスと酸素含有ガスを合計したガス中の酸素濃度が0.004~1容量%となるように流動炉に導入すること、及び、前記流動ガスが水蒸気及び二酸化炭素を含むこと」を満たす炭素質材料の製造方法であれば、実施例1~8の炭素質材料の製造方法と同様に、分子サイズの小さいトリハロメタンと、分子サイズの大きい2-MIBを両方除去できる炭素質材料を得る上で好適であることが理解され、本件発明の課題を解決できることを当業者が認識できるものである。

したがって、本件発明10は、発明の詳細な説明に記載及び技術常識から本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、サポート要件に適合するものといえる。

なお、申立人1は、実施例の炭素質材料の作成方法の記載において、酸素含有ガスの導入における位置関係について本件発明10の範囲を満たす記載はない旨主張するが、上記のとおり、発明の詳細な説明の段落【0094】に「方向Zにおける酸素含有ガスの導入位置t2とガス分散層の下流端t1とはt1<t2の関係を満たした」と記載され、当該記載の「t1<t2の関係」は、本件発明10の「0.5t1≦t2の関係」を満たしているから、この主張は採用できない。

以上のとおりであるから、申立理由4に理由はない。

(4)申立理由5(新規性)、申立理由6(進歩性)について

ア 本件発明1について

(ア)甲2-1発明との対比・判断

a 本件発明1と甲2-1発明を対比すると、甲2-1発明の「CAL-F400」は、本件発明1の「炭素質材料」に相当するから、両者は、「炭素質材料」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点2-1>

本件発明1は、「ベンゼン吸着量が25~40%」であるのに対し、甲2-1発明は、比表面積Sg(N2)が1170m2/gであり、ベンゼン吸着量qe(C6H6)が、qe(C6H6)=0.325Sg;Sg≦2200m2/gで表される点。

<相違点2-2>

本件発明1は、「ビタミンB12吸着量が13.0~50.0mg/g」であるのに対し、甲2-1発明は、これが不明である点。

<相違点2-3>

本件発明1は、「窒素吸着等温線からBJH法により算出したメソ孔の細孔容積が0.070~0.150cm3/gである」のに対し、甲2-1発明は、N2吸着法(-195℃)で求めた半径0.7~10nmの細孔容積Vp(i)が0.534cm3/gである点。

b 事案に鑑み、まず、相違点2-3が実質的なものであるかについて検討する。

本件発明1において、メソ孔とは、本件明細書の段落【0022】に記載されるように、直径2~50nmの細孔であり、メソ孔の細孔容積とは、段落【0092】に記載されるように、窒素吸着等温線に対し、BJH法を適用して算出されたものである。

他方、甲2-1発明の細孔容積Vp(i)は半径0.7~10nm、すなわち、直径1.4~20nmの細孔を対象にして、N2吸着法(-195℃)で求めたものであるから、本件発明1のメソ孔の細孔容積と甲2-1発明の細孔容積Vp(i)は、類似の条件で測定されたものであると解されるが、本件発明1は、メソ孔の細孔容積が0.070~0.150cm3/gであるのに対し、甲2-1発明の細孔容積Vp(i)は0.534cm3/gであり、大幅に大きいものとなっている。

確かに、本件発明1のメソ孔は、直径2~50nmの細孔であるから、これとの比較において、甲2-1発明の細孔容積Vp(i)は直径1.4~2.0nm(半径0.7~1.0nm)の細孔容積を余分に考慮したものである。しかし、甲2-1のFig.8(上記4(17)ア(エ))に示されるCAL-F400の累積細孔分布の曲線を考慮すると、直径1.4~2.0nmの細孔容積を差し引いたとしても、CAL-F400における直径2~50nmの細孔容積は、0.150cm3/gを超える蓋然性が高い。

したがって、相違点2-3は実質的なものである。

c 次に、相違点2-3に係る本件発明1の特定事項の容易想到性について検討する。

本件発明は、本件明細書の段落【0025】に記載されるように「トリハロメタンと2-MIBとを単独種で効率よく除去することが可能な炭素質材料を実現するには、それらベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔容積のバランスが重要である」から、ベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔の細孔容積のそれぞれを所定の範囲に調整したものである。

そして、仮に、甲2-2、甲2-3(上記4(18)、(19))にメソ孔の細孔容積が記載されているとしても、ベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔の細孔容積は相互に影響するものであることは明らかであるから、直ちに組み合わせることができるものでもなく、また、甲2-1~甲2-3には、このような動機付けとなる記載もない。

d なお、補足的に相違点2-1が実質的なものであるかについて検討する。

甲2-1発明は、比表面積Sg(N2)が1170m2/gであり、ベンゼン吸着量qe(C6H6)が、qe(C6H6)=0.325Sg;Sg≦2200m2/gで表されるものであるから、ここから、ベンゼン吸着量qe(C6H6)を算出すると、約380mg/gとなり、ベンゼンの吸着量は活性炭の重量の約38%となる。

しかしながら、甲2-1の2.5(上記4(17)ア(ア))に記載されるように、ベンゼン吸着量qe(C6H6)は、15.5vol%のベンゼン蒸気と窒素の混合ガス(30℃)中での平衡吸着量であり、甲2-1の3.4.2(上記4(17)ア(オ))に記載されるように30℃におけるベンゼンの平衡濃度に近い条件での測定結果である。

これに対して、本件発明1のベンゼン吸着量は、本件明細書の段落【0080】に記載されるように、20℃の恒温槽内において、飽和濃度の1/10の濃度のベンゼンを含む乾燥空気を通して測定されたものであるから、本件発明1のベンゼン吸着量と甲2-1発明のベンゼン吸着量qe(C6H6)は、その測定条件の違いから直ちにその数値を比較して論じることができるものではない。

したがって、相違点2-1は実質的なものである。

e したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-1発明ではなく、甲2-1発明~甲2-3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)甲2-2発明との対比・判断

a 本件発明1と甲2-2発明を対比すると、甲2-2発明の「F400(Filtrasorb 400)活性炭」は、本件発明1の「炭素質材料」に相当するから、両者は、「炭素質材料」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点2-4>

本件発明1は、「ベンゼン吸着量が25~40%」であるのに対し、甲2-2発明は、これが不明である点。

<相違点2-5>

本件発明1は、「ビタミンB12吸着量が13.0~50.0mg/g」であるのに対し、甲2-2発明は、ビタミンB12の吸着が48mg/gである点。

<相違点2-6>

本件発明1は、「窒素吸着等温線からBJH法により算出したメソ孔の細孔容積が0.070~0.150cm3/gである」のに対し、甲2-2発明は、メソ細孔容積が0.160mL/gである点。

b 事案に鑑み、まず、相違点2-6が実質的なものであるかについて検討する。

甲2-2発明のメソ細孔容積は、その測定条件の詳細は不明であるものの、甲2-2の記載(上記4(18)ア(ア))からみて、メソ孔は直径20~500Å(=2~50nm)の細孔であると解され、メソ孔の定義は同じであるから、本件発明1と甲2-2発明は、異なるメソ孔の細孔容積を有する蓋然性が高い。

したがって、相違点2-6は実質的なものである。

c 次に、相違点2-6に係る本件発明1の特定事項の容易想到性について検討する。

本件発明は、本件明細書の段落【0025】に記載されるように「トリハロメタンと2-MIBとを単独種で効率よく除去することが可能な炭素質材料を実現するには、それらベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔容積のバランスが重要である」から、ベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔の細孔容積のそれぞれを所定の範囲に調整したものである。

そして、仮に、甲2-1、甲2-3(上記4(17)、(19))にメソ孔の細孔容積が記載されているとしても、ベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔の細孔容積は相互に影響するものであることは明らかであるから、直ちに組み合わせることができるものでもなく、また、甲2-1~甲2-3には、このような動機付けとなる記載もない。

d なお、補足的に相違点2-5が実質的なものであるかについて検討する。

甲2-2発明は、ビタミンB12の吸着が48mg/gであるものである。

しかしながら、甲2-2(上記4(18)ア(ウ))に記載されるように、吸着質(10mg)を蒸留水(100mL)で希釈し、活性炭(10mg)は吸着質溶液(10mL)と混合して測定されたものである。

これに対して、本件発明1のビタミンB12吸着量は、本件明細書の段落【0084】に記載されるように、炭素質材料約0.05g~0.30gに、約320ppmに調整したビタミンB12水溶液100mLを加え、振とうすることで測定されたものであるから、本件発明1のビタミンB12吸着量と甲2-2発明のビタミンB12の吸着は、その測定条件の違いから直ちにその数値を比較して論じることができるものではない。

したがって、相違点2-5は実質的なものである。

e したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-2発明ではなく、甲2-1発明~甲2-3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)甲2-3発明との対比・判断

a 本件発明1と甲2-3発明を対比すると、甲2-3発明の「カルゴンF-400」は、本件発明1の「炭素質材料」に相当するから、両者は、「炭素質材料」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点2-7>

本件発明1は、「ベンゼン吸着量が25~40%」であるのに対し、甲2-3発明は、これが不明である点。

<相違点2-8>

本件発明1は、「ビタミンB12吸着量が13.0~50.0mg/g」であるのに対し、甲2-3発明は、これが不明である点。

<相違点2-9>

本件発明1は、「窒素吸着等温線からBJH法により算出したメソ孔の細孔容積が0.070~0.150cm3/gである」のに対し、甲2-3発明は、メソ細孔容積が0.07cm3g-1である点。

b 事案に鑑み、まず、相違点2-7が実質的なものであるかについて検討する。

甲2-3には、ベンゼン吸着量、及び、本件明細書の記載から、ベンゼン吸着量と相関すると考えられるミクロ孔の細孔分布を示す記載はない。

また、甲2-1発明は、甲2-3発明と同一の品番の活性炭であると解されるが、上記(ア)bからすれば、甲2-3発明とはメソ孔の細孔容積において異なっているから、同じ品番であるからといって、ミクロ孔の細孔分布に関して同等であり、ベンゼン吸着量に関しても同等である保証はない。

さらに、甲2-4(上記4(20))に示されるように、「FILTRASORB 400」と呼ばれる粒状活性炭は、その製品の仕様においてミクロ孔の細孔分布やベンゼン吸着量を規定するものではないから、この点からも、甲2-3発明がカルゴンF-400であることが、所定のミクロ孔の細孔分布やベンゼン吸着量を保証することはない。

なお、仮に、甲2-3発明が甲2-1発明と同等のベンゼン吸着量qe(C6H6)を示すとしても、これをもって、甲2-3発明が直ちに本件発明1と同等の「ベンゼン吸着量」を有するとはできないことは、上記(ア)dに記載するとおりである。

したがって、相違点2-7は実質的なものである。

c 次に、相違点2-7に係る本件発明1の特定事項の容易想到性について検討する。

本件発明は、本件明細書の段落【0025】に記載されるように「トリハロメタンと2-MIBとを単独種で効率よく除去することが可能な炭素質材料を実現するには、それらベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔容積のバランスが重要である」から、ベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔の細孔容積のそれぞれを所定の範囲に調整したものである。

そして、仮に、甲2-1、甲2-2(上記4(17)、(18))にベンゼン吸着量が記載されているとしても、ベンゼン吸着量、ビタミンB12吸着量及びメソ孔の細孔容積は相互に影響するものであることは明らかであるから、直ちに組み合わせることができるものでもなく、また、甲2-1~甲2-3には、このような動機付けとなる記載もない。

d したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-3発明ではなく、甲2-1発明~甲2-3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2~7、11~13について

請求項2~7、11~13は請求項1を直接又は間接に引用するものであり、甲2-1発明~甲2-3発明のいずれかと対比すると、少なくとも相違点2-3、相違点2-6、相違点2-7のいずれかで相違するところ、甲2-4~甲2-6(上記4(20)~(22))には、相違点2-3、相違点2-6、相違点2-7に係る本件発明1の特定事項に関する記載はないから、本件発明2~7、11~13は本件発明1と事情は同じである。

したがって、本件発明2~5は、甲2-1発明~甲2-3発明ではない。

また、本件発明2~4は、甲2-1発明~甲2-3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明5は、甲2-1~甲2-3発明及び甲2-4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明6、7は、甲2-1発明~甲2-3発明及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明11~13は、甲2-1発明~甲2-3発明及び甲2-4並びに甲2-6に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括

以上のとおりであるから、申立理由5、6に理由はない。

6 むすび

以上のとおり、請求項1~13に係る特許は、申立書1及び申立書2に記載された申立理由によっては、取り消すことができない。

また、他に請求項1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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2021-700790

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