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特許異議申立

2021-700500

表面処理剤

審判番号
2021-700500
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-129196外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6791430
請求日
2021年05月24日
審決日
2022年03月23日
公報発行日
2022年06月24日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(C09K) / P1651.121-YAA(C09K) / P1651.537-YAA(C09K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6791430号発明「表面処理剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論
特許第6791430号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~23〕について訂正することを認める。
特許第6791430号の請求項1~11及び15~23に係る特許を維持する。
特許第6791430号の請求項12~14に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

目次 ▾ 15項目
理 由

第1 手続の経緯

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特許第6791430号の請求項1~23に係る特許についての出願は、令和2年7月30日(優先権主張 令和元年8月2日 日本、令和2年1月17日 日本)の出願であって、令和2年11月9日にその特許権の設定登録がされ、同年同月25日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~23に係る特許に対し、令和3年5月24日に特許異議申立人 宮本邦彦(以下、「申立人」ともいう。)は特許異議の申立てを行い、当審は同年7月28日付けで取消理由を通知した。この取消理由通知に対して、特許権者は同年9月28日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。その訂正の請求に対して、申立人は同年11月5日に意見書を提出した。当審は同年11月17日付けで取消理由(決定の予告)を通知した。この取消理由通知(決定の予告)に対して、特許権者は令和4年1月21日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行った。その訂正の請求に対して、申立人は同年3月3日に意見書を提出した。なお、令和3年9月28日付けの訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の可否についての判断

1 訂正の内容

本件訂正請求による訂正の内容は、次の訂正事項1~12のとおりである。なお、訂正前の請求項2~23は、訂正前の請求項1の記載を引用するものであるから、本件訂正は、一群の請求項1~23について請求されている。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1において、

「RSiが、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(S2)、(S3)または(S4):
【化3】
[図:0001385170000001.jpg]
[式中:
Z1、R21、R22、p1、およびq1は、式(S11)および式(S12)と同意義であり;
Re1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、または1価の有機基である。]
で表され、
ただし、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)において、RSiが式(S12)で表され、かつ、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)において、RSiが式(S3)で表される場合であって、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)のRf1、Rf2、p、q、RF11、XA、α、β、γ、Z1、R21、R22、p1およびq1と、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)のRf1、Rf2、p、q、RF21、XA、α、β、γ、Z1、R21、R22、p1およびq1とがそれぞれ完全に同一である場合を除く」とあるのを、
「RSiが、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(S4):
【化3】
[図:0001385170000002.jpg]
[式中:
Z1、R21、R22、p1、およびq1は、式(S11)および式(S12)と同意義である。]
で表される」と訂正する(請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~11及び15~23についても同様に訂正する)。

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項12を削除する。

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項13を削除する。

(4)訂正事項4

特許請求の範囲の請求項14を削除する。

(5)訂正事項5

特許請求の範囲の請求項15において、「前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)において、RSiが式(S2)、(S3)または(S4)で表される」とあるのを、

「前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)において、RSiが式(S4)で表される」と訂正する(請求項15を直接又は間接的に引用する請求項16~22についても同様に訂正する。)。

(6)訂正事項6

特許請求の範囲の請求項16において、「前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)において、RSiが式(S2)、または(S4)で表される」とあるのを、

「前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)において、RSiが式(S4)で表される」と訂正する(請求項16を直接又は間接的に引用する請求項17~22についても同様に訂正する。)。

(7)訂正事項7

特許請求の範囲の請求項17において、

「請求項1~16のいずれか1項に記載の表面処理剤。」とあるのを、「請求項1~11、15及び16のいずれか1項に記載の表面処理剤。」と訂正する(請求項17を直接又は間接的に引用する請求項18~22についても同様に訂正する。)。

(8)訂正事項8

特許請求の範囲の請求項18において、

「請求項1~17のいずれか1項に記載の表面処理剤。」とあるのを、「請求項1~11及び15~17のいずれか1項に記載の表面処理剤。」と訂正する(請求項18を直接又は間接的に引用する請求項19~22についても同様に訂正する。)。

(9)訂正事項9

特許請求の範囲の請求項19において、

「請求項1~18のいずれか1項に記載の表面処理剤。」とあるのを、

「請求項1~11および15~18のいずれか1項に記載の表面処理剤。」と訂正する(請求項19を直接又は間接的に引用する請求項20~22についても同様に訂正する。)。

(10)訂正事項10

特許請求の範囲の請求項20において、

「請求項1~19のいずれか1項に記載の表面処理剤。」とあるのを、

「請求項1~11および15~19のいずれか1項に記載の表面処理剤。」と訂正する(請求項20を引用する請求項21~22についても同様に訂正する。)。

(11)訂正事項11

特許請求の範囲の請求項21において、

「請求項1~20のいずれか1項に記載の表面処理剤。」とあるのを、

「請求項1~11および15~20のいずれか1項に記載の表面処理剤。」

と訂正する(請求項21を引用する請求項22についても同様に訂正する。)。

(12)訂正事項12

特許請求の範囲の請求項22において、

「請求項1~20のいずれか1項に記載の表面処理剤。」とあるのを、

「請求項1~11および15~20のいずれか1項に記載の表面処理剤。」

と訂正する(請求項22を引用する請求項23についても同様に訂正する。)。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について

(1)訂正事項1について

訂正事項1は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)を表す化学式における「RSi」の選択肢について、式(S4)のもののみに特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。請求項1を引用する、請求項2~11及び15~23についても同様である。

(2)訂正事項2~4について

訂正事項2は、訂正前の請求項12を削除するものであり、訂正事項3は、訂正前の請求項13を削除するものであり、訂正事項4は、訂正前の請求項14を削除するものであり、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。

(3)訂正事項5及び6について

訂正事項5は、訂正前の請求項15において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)を表す化学式における「RSi」の選択肢について、式(S4)のもののみに特定するものであり、訂正事項6は、訂正前の請求項16において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)を表す化学式における「RSi」の選択肢について、式(S4)のもののみに特定するものであるから、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。

そして、請求項15を直接又は間接的に引用する請求項16~22、及び、請求項16を直接又は間接的に引用する請求項17~22についても同様である。

(4)訂正事項6~12

訂正事項6~12は、訂正事項2~4の請求項12~14の削除に伴って、請求項17~22において、それぞれ、引用請求項について、「請求項1~16」とあるのを「請求項1~11、15及び16」、「請求項1~17」とあるのを「請求項1~11および15~17」、「請求項1~18」とあるのを「請求項1~11および15~18」、「請求項1~19」とあるのを「請求項1~11および15~19」、「請求項1~20」とあるのを「請求項1~11および15~20」、「請求項1~21」とあるのを「請求項1~11および15~20」と訂正するものであり、いずれも、引用請求項を減少させるものであるから、訂正事項6~12は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。

そして、請求項16を直接又は間接的に引用する請求項17~22、請求項17を直接又は間接的に引用する請求項18~22、請求項18を直接又は間接的に引用する請求項19~22、請求項19を直接又は間接的に引用する請求項20~22、請求項20を引用する請求項21~22、及び、請求項22を引用する請求項23についても同様である。

(5)小括

以上のとおり、訂正事項1~16は、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~23〕について訂正することを認める。

第3 本件発明

上記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1~11及び15~23に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~11及び15~23に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を、項番号に応じて「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)。

「【請求項1】
下記式(1)または(2):
【化1】
[図:0001385170000003.jpg]
続きを表示(全118行)
[式中:
RF1は、Rf1-RF-Oq-であり;
RF2は、-Rf2p-RF-Oq-であり;
Rf1は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rf2は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
RFは、2価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
XAは、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基であり;
RSiは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基に結合したSi原子を有する基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)、および、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)を含み、
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)において、
RFが、RF11で表され、
RF11が、式:
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3RFa6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-
[式中、RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、各出現においてそれぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は1以上であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表されるフルオロポリエーテル基であり;
RSiが、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(S11)または(S12):
【化2】
[図:0001385170000004.jpg]
[式中:
Z1は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基であり;
R21は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
R22は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~2の整数である。]で表され、
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)において、
RFが、RF21で表され、
RF21が、式:
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3RFa6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-
で表され、a、b、c、d、e、fおよびRFaは、それぞれRF11の記載と同意義であり、ただし、RF21は、RF11と同種の繰り返し単位からなり;
RSiが、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(S4):
【化3】
[図:0001385170000005.jpg]
[式中:
Z1、R21、R22、p1、およびq1は、式(S11)および式(S12)と同意義である。]
で表される、表面処理剤。
【請求項2】
RFaは、フッ素原子である、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項3】
RF11およびRF21が、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)または(f5):
-(OC3F6)d- (f1)
[式中、dは1~200の整数である。]
-(OC4F8)c-(OC3F6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (f2)
[式中、cおよびdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
eおよびfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、eおよびfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
-(R6-R7)g- (f3)
[式中、R6は、OCF2またはOC2F4であり;
R7は、OC2F4、OC3F6、OC4F8、OC5F10およびOC6F12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2または3つの基の組み合わせであり;
gは、2~100の整数である。]
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3F6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (f4)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3F6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (f5)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、請求項1または2に記載の表面処理剤。
【請求項4】
RF1およびRF2の数平均分子量が、500~30,000の範囲にある、請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項5】
RFにおいて、eおよびfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
fに対するeの比が、0.1~10の範囲にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項6】
α、βおよびγが、1である、請求項1~5のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項7】
XAが、
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-X53-、
-(CH2)s5-X53-(CH2)t5-
-X54-、または
-X54-(CH2)t5-
[式中:
s5が、1~20の整数であり;
X53が、-O-、-CONR54-、または-O-CONR54-であり;
R54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基を表し;
t5が、1~20の整数であり;
X54が、-C(O)O-、-CONR54-、または-O-CONR54-である]、
で表される、請求項1~6のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項8】
Z1が、
C1-6アルキレン基、
-(CH2)z1-O-(CH2)z2-(式中、z1およびz2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~6の整数)または、
-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-(式中、z3およびz4は、各出現においそれぞれ独立して0~6の整数)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項9】
p1が、3である、請求項1~8のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項10】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)は、前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)と前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)との合計量に対して、5質量%以上含まれる、請求項1~9のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項11】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)は、前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)と前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)との合計量に対して、5~95質量%含まれる、請求項1~10のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項12】(削除)
【請求項13】(削除)
【請求項14】(削除)
【請求項15】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)において、RSiが式(S11)で表され、前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)において、RSiが式(S4)で表される、請求項1~11のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項16】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)において、RSiが式(S12)で表され、前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)において、RSiが式(S4)で表される、請求項1~11のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項17】
含フッ素オイル、シリコーンオイル、および触媒から選択される1種またはそれ以上の他の成分をさらに含有する、請求項1~11、15及び16のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項18】
さらに溶媒を含む、請求項1~11および15~17のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項19】
防汚性コーティング剤または防水性コーティング剤として使用される、請求項1~11および15~18のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項20】
真空蒸着用である、請求項1~11および15~19のいずれか1項に記載の表面処理剤。
【請求項21】
請求項1~11および15~20のいずれか1項に記載の表面処理剤を含有するペレット。
【請求項22】
基材と、該基材の表面に、請求項1~11および15~20のいずれか1項に記載の表面処理剤より形成された層とを含む物品。
【請求項23】
光学部材である、請求項22に記載の物品。」

第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要

当審が令和3年11月17日付けで通知した取消理由(進歩性)の要旨は次のとおりである。

「(進歩性)訂正前の請求項1~23に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲1から甲3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
記
甲1:国際公開第2018/216404号
甲2:国際公開第2018/168497号
甲3:特開2016-17176号公報」

第5 当審の判断

1 刊行文献の記載(なお、「[]」が「【】」と記載されるなど、原文と異なる表記となる場合がある。)

(1)甲1

甲1には、次の記載がある。

「【請求項1】
(A)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基含有有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物と、(B)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基とポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物とを含み、(A)成分と(B)成分との混合質量比が15:85~85:15(但し、(A)成分と(B)成分との合計は100)であることを特徴とする含フッ素コーティング剤組成物。
【請求項2】
(A)成分が、下記一般式(1)
続きを表示(全120行)
【化1】
[図:0001385170000006.jpg]
(式中、Rfは1価又は2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であり、Aは独立に2~7価の有機基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基又はフェニル基であり、Xは独立に水酸基又は加水分解性基であり、nは1~3の整数であり、mは1~6の整数であり、αは1又は2である。)
で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基含有有機
ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物であり、
(B)成分が、下記一般式(2)又は(3)
Rf-[N(V)β(E)γ]α (2)
(式中、Rf、αは上記と同じであり、Nは独立に酸素原子、ケイ素原子もしくは窒素原子を含んでいてもよく、フッ素置換されていてもよい3~8価の有機基であり、Vは独立に末端に水酸基又は加水分解性基を有する1価の基であり、Eは独立にオキシアルキレン基を有する1価の基であり、βは1~6の整数、γは1~6の整数で、β+γは2~7の整数である。)
Rf-[Q-(G)δ-(E’)ε-B]α (3)
(式中、Rf、αは上記と同じであり、Qは独立に単結合又は2価の有機基であり、Gは独立に水酸基又は加水分解性基を有する2価の基であり、E’は独立にオキシアルキレン基を有する2価の基であり、水酸基又は加水分解性基を有していてもよい。Bは独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン基であり、δは独立に0~10の整数であり、εは独立に1~10の整数である。なお、上記GとE’は直鎖状に連結しており、これらG、E’はそれぞれランダムに配列されていてよい。)
で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基とポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物である請求項1記載の含フッ素コーティング剤組成物。
【請求項3】
(A)成分が、下記一般式(4)又は(5)
【化2】
[図:0001385170000007.jpg]
(式中、Rfは1価又は2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であり、Yは独立に2~6価の炭化水素基であって、ケイ素原子及び/又はシロキサン結合を有していてもよく、Wは水素原子、又は下記式(4a)
【化3】
[図:0001385170000008.jpg]
で表される基であり、Y’は2~6価の炭化水素基であって、ケイ素原子及び/又はシロキサン結合を有していてもよく、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基又はフェニル基であり、Xは独立に水酸基又は加水分解性基であり、nは1~3の整数であり、aは1~5の整数であり、bは1~5の整数であり、αは1又は2である。)
【化4】
[図:0001385170000009.jpg]
(式中、A1はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2~6の2価の炭化水素基であり、B1は独立して、酸素原子、ジオルガノシリレン基及びジオルガノシロキサン構造から選ばれる1種又は2種以上を含んでいてもよい炭素数1~5のアルキレン基であり、Rf、X、R、n、αは上記と同じである。)
で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基含有有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物であり、
(B)成分が、下記一般式(6)
【化5】
[図:0001385170000010.jpg]
(式中、Rf、Y、X、R、n、αは上記と同じであり、Zは独立に単結合、シロキサン結合又はシリレン基であり、Lは独立に炭素数1~4のアルキレン基であり、lは1~20の整数であり、a1は1~5の整数である。)
で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基とポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物である請求項2記載の含フッ素コーティング剤組成物。
【請求項4】
前記式(1)~(6)のαが1であり、Rf基が下記一般式(7)で表される1価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であることを特徴とする請求項2又は3に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
【化6】
[図:0001385170000011.jpg]
(式中、p、q、r、sはそれぞれ0~200の整数で、p+q+r+s=3~200であり、各繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよく、各繰り返し単位同士はランダムに結合されていてよく、dは0~3の整数であり、該単位は直鎖状であっても分岐状であってもよい。)
【請求項5】
前記式(1)~(6)のαが2であり、Rf基が下記一般式(8)で表される2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であることを特徴とする請求項2又は3記載の含フッ素コーティング剤組成物。
【化7】
[図:0001385170000012.jpg]
(式中、p、q、r、sはそれぞれ0~200の整数で、p+q+r+s=3~200であり、各繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよく、各繰り返し単位同士はランダムに結合されていてよく、dはそれぞれ独立して0~3の整数であり、該単位は直鎖状であっても分岐状であってもよい。)
【請求項6】
前記式(4)、(6)において、Yがそれぞれ、炭素数3~10のアルキレン基、炭素数6~8のアリーレン基を含む炭素数2~8のアルキレン基、炭素数2~8のアルキレン基相互が炭素数1~4のシルアルキレン構造又は炭素数6~10のシルアリーレン構造を介して結合している2価の基、及びケイ素原子数2~10個の直鎖状又はケイ素原子数3~10個の分岐状もしくは環状の2~4価のオルガノポリシロキサン残基の結合手に炭素数2~10のアルキレン基が結合している2~4価の基からなる群より選ばれる基である請求項3~5のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
【請求項7】
前記式(4a)において、Y’が、炭素数2~10のアルキレン基、炭素数6~8のアリーレン基を含む炭素数2~8のアルキレン基、ジオルガノシリレン基を含む炭素数2~6のアルキレン基、炭素数2~8のアルキレン基相互が炭素数1~4のシルアルキレン構造又は炭素数6~10のシルアリーレン構造を介して結合している2価の基、ケイ素原子数2~10個の直鎖状の2価のオルガノポリシロキサン残基を含む炭素数2~6のアルキレン基、及びケイ素原子数2~10個の直鎖状又はケイ素原子数3~10個の分岐状もしくは環状の2~4価のオルガノポリシロキサン残基の結合手に炭素数2~10のアルキレン基が結合している2~4価の基からなる群より選ばれる基である請求項3~6のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
【請求項8】
前記式(6)において、Zが、単結合、ケイ素原子数2~10個の直鎖状又はケイ素原子数3~10個の分岐状もしくは環状の2~4価のオルガノポリシロキサン残基、及びケイ素原子数2~10個の直鎖状のシルアルキレン残基又はシルアリーレン残基からなる群より選ばれる基である請求項3~7のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
【請求項9】
前記式(1)、(4)~(6)において、Xがそれぞれ、水酸基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数2~10のアルコキシアルコキシ基、炭素数1~10のアシロキシ基、炭素数2~10のアルケニルオキシ基、及びハロゲン基からなる群より選ばれる請求項2~8のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
【請求項10】
式(1)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された加水分解性基含有有機ケイ素化合物が、下記式のいずれかで表されるものである請求項2~9のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
【化8】
[図:0001385170000013.jpg]
【化9】
[図:0001385170000014.jpg]
【化10】
[図:0001385170000015.jpg]
【化11】
[図:0001385170000016.jpg]
【化12】
[図:0001385170000017.jpg]
【化13】
[図:0001385170000018.jpg]
【化14】
[図:0001385170000019.jpg]
【化15】
[図:0001385170000020.jpg]
【化16】
[図:0001385170000021.jpg]
(式中、p1は5~100の整数、q1は5~100の整数で、p1+q1は10~105の整数である。括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。)
【請求項11】
式(2)、(3)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された加水分解性基とポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物が、下記式のいずれかで表されるものである請求項2~10のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物。
【化17】
[図:0001385170000022.jpg]
【化18】
[図:0001385170000023.jpg]
【化19】
[図:0001385170000024.jpg]
【化20】
[図:0001385170000025.jpg]
【化21】
[図:0001385170000026.jpg]
【化22】
[図:0001385170000027.jpg]
【化23】
[図:0001385170000028.jpg]
【化24】
[図:0001385170000029.jpg]
【化25】
[図:0001385170000030.jpg]
【化26】
[図:0001385170000031.jpg]
【化27】
[図:0001385170000032.jpg]
【化28】
[図:0001385170000033.jpg]
【化29】
[図:0001385170000034.jpg]
【化30】
[図:0001385170000035.jpg]
【化31】
[図:0001385170000036.jpg]
【化32】
[図:0001385170000037.jpg]
【化33】
[図:0001385170000038.jpg]
【化34】
[図:0001385170000039.jpg]
【化35】
[図:0001385170000040.jpg]
【化36】
[図:0001385170000041.jpg]
【化37】
[図:0001385170000042.jpg]
(式中、p1は5~100の整数、q1は5~100の整数で、p1+q1は10~105の整数であり、r1は1~100の整数、s1は1~100の整数で、p1+q1+r1+s1は12~199の整数である。括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。)
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の含フッ素コーティング剤組成物を含有する表面処理剤。
【請求項13】
請求項12に記載の表面処理剤で表面処理された物品。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素コーティング剤組成物に関し、詳細には、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基含有有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物と、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基とポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物とを特定の混合質量比で配合してなる、撥水撥油性、耐摩耗性に優れた被膜を形成する含フッ素コーティング剤組成物、及び該組成物を含有する表面処理剤、並びに該表面処理剤で表面処理された物品に関する。
・・・
続きを表示(全107行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、撥水撥油性、耐摩耗性に優れた硬化被膜を形成することができるフルオロポリエーテル基含有ポリマー及び/又はその部分(加水分解)縮合物を含む含フッ素コーティング剤組成物、及び該組成物を含有する表面処理剤、並びに該表面処理剤で表面処理された物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を解決すべく鋭意検討した結果、上記フルオロポリエーテル基含有ポリマーにおいて、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基含有有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物として、好適には後述する一般式(1)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基含有有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物、特には後述する一般式(4)又は(5)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基含有有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物と、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基とポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物として、好適には後述する一般式(2)又は(3)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基とポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物、特には後述する一般式(6)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基とポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物とを、特定の配合比率で混合した含フッ素コーティング剤組成物を表面処理剤として適用することにより、該含フッ素コーティング剤組成物を含む表面処理剤が、撥水撥油性に優れ、更に耐スチールウール摩耗性及び耐消しゴム摩耗性の両方に優れた硬化被膜を形成し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
・・・
【0021】
上記式(1)において、Aは2~7価、好ましくは2~5価の有機基であり、具体的には、下記のものを例示することができる。
【化45】
[図:0001385170000043.jpg]
【化46】
[図:0001385170000044.jpg]
【化47】
[図:0001385170000045.jpg]
【化48】
[図:0001385170000046.jpg]
【化49】
[図:0001385170000047.jpg]
【化50】
[図:0001385170000048.jpg]
【化51】
[図:0001385170000049.jpg]
・・・
【0030】
上記式(5)において、A1はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2~6のアルキレン基等の2価の炭化水素基であり、具体的には、下記に示す基が挙げられる。
【化59】
[図:0001385170000050.jpg]
・・・
【0038】
Jは2価の有機基であり、Rf基とM基との連結基である。好ましくはアミド結合、エーテル結合、エステル結合、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジフェニルシリレン基等のジオルガノシリレン基、-Si[-OH][-(CH2)f-Si(CH3)3]-(fは2~4の整数)で示される基、ジオルガノシロキサン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の構造を含んでいてもよい非置換又は置換の炭素数2~12の2価の有機基であり、好ましくは前記構造を含んでいてもよい非置換又は置換の炭素数2~12の2価の炭化水素基である。
【0039】
ここで、非置換又は置換の炭素数2~12の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、又はこれらの基の2種以上の組み合わせ(アルキレン・アリーレン基等)であってよく、更に、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素等のハロゲン原子で置換したもの等が挙げられ、中でも非置換又は置換の炭素数2~4のアルキレン基、フェニレン基が好ましい。
【0040】
このようなJとしては、例えば下記の基が挙げられる。
【化70】
[図:0001385170000051.jpg]
【化71】
[図:0001385170000052.jpg]
【化72】
[図:0001385170000053.jpg]
(式中、f、cは2~4の整数であり、g’、h’は1~4の整数であり、eは1~50の整数である。)
・・・
【0141】
表面処理剤には、必要に応じて、加水分解縮合触媒、例えば、有機錫化合物(ジブチル錫ジメトキシド、ジラウリン酸ジブチル錫など)、有機チタン化合物(テトラn-ブチルチタネートなど)、有機酸(酢酸、メタンスルホン酸、フッ素変性カルボン酸など)、無機酸(塩酸、硫酸など)を添加してもよい。これらの中では、特に酢酸、テトラn-ブチルチタネート、ジラウリン酸ジブチル錫、フッ素変性カルボン酸などが望ましい。 加水分解縮合触媒の添加量は触媒量であり、通常、上記(A)、(B)成分の合計100質量部に対して0.01~5質量部、特に0.1~1質量部である。
【0142】
該表面処理剤は、適当な溶剤を含んでいてもよい。このような溶剤としては、フッ素変性脂肪族炭化水素系溶剤(パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタンなど)、フッ素変性芳香族炭化水素系溶剤(1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなど)、フッ素変性エーテル系溶剤(メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、パーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)など)、フッ素変性アルキルアミン系溶剤(パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリペンチルアミンなど)、炭化水素系溶剤(石油ベンジン、トルエン、キシレンなど)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)を例示することができる。これらの中では、溶解性、濡れ性などの点で、フッ素変性された溶剤が望ましく、特には、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、パーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロトリブチルアミン、エチルパーフルオロブチルエーテルが好ましい。
・・・
【0144】
本発明の表面処理剤は、刷毛塗り、ディッピング、スプレー、蒸着処理など公知の方法で基材に施与することができる。蒸着処理時の加熱方法は、抵抗加熱方式でも、電子ビーム加熱方式のどちらでもよく、特に限定されるものではない。また、硬化温度及び硬化時間は、硬化方法によって異なるが、例えば、直接塗工(刷毛塗り、ディッピング、スプレー等)の場合は、25~200℃、特に25~80℃にて30分~36時間、特に1~24時間とすることが好ましい。また、蒸着処理で施与する場合は、20~200℃、特に25~120℃にて30分~48時間、特に1~24時間の範囲が望ましい。また、加湿下で硬化させてもよい。硬化被膜の膜厚は、基材の種類により適宜選定されるが、通常0.1~100nm、特に1~20nmである。また、例えばスプレー塗工では予め水分を添加したフッ素系溶剤に希釈し、加水分解、つまりSi-OHを生成させた後にスプレー塗工すると塗工後の硬化が速い。
【0146】
本発明の表面処理剤で処理される物品としては、カーナビゲーション、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、PDA、ポータブルオーディオプレーヤー、カーオーディオ、ゲーム機器、眼鏡レンズ、カメラレンズ、レンズフィルター、サングラス、胃カメラ等の医療用器機、複写機、PC、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、保護フイルム、反射防止フイルムなどの光学物品が挙げられる。本発明の表面処理剤は、前記物品に指紋及び皮脂が付着するのを防止し、更に傷つき防止性を付与することができるため、特にタッチパネルディスプレイ、反射防止フイルムなどの撥水撥油層として有用である。
【0147】
また、本発明の表面処理剤は、浴槽、洗面台のようなサニタリー製品の防汚コーティング、自動車、電車、航空機などの窓ガラス又は強化ガラス、ヘッドランプカバー等の防汚コーティング、外壁用建材の撥水撥油コーティング、台所用建材の油汚れ防止用コーティング、電話ボックスの防汚及び貼り紙・落書き防止コーティング、美術品などの指紋付着防止付与のコーティング、コンパクトディスク、DVDなどの指紋付着防止コーティング、金型用に離型剤あるいは塗料添加剤、樹脂改質剤、無機質充填剤の流動性改質剤又は分散性改質剤、テープ、フイルムなどの潤滑性向上剤としても有用である。
【実施例】
【0148】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【0149】
(A)成分のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シラン化合物(フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された加水分解性基含有有機ケイ素化合物)として、下記の化合物([化合物1]~[化合物3])を準備した。なお、式中、括弧内に示される各単位はランダムに結合されているものである。
[化合物1]
【化146】
[図:0001385170000054.jpg]
[化合物2]
【化147】
[図:0001385170000055.jpg]
[化合物3]
【化148】
[図:0001385170000056.jpg]
【0150】
(B)成分のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シラン化合物(フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された加水分解性基とポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物)として、下記の化合物([化合物4])を準備した。なお、式中、括弧内に示される各単位はランダムに結合されているものである。
[化合物4]
【化149】
[図:0001385170000057.jpg]
・・・
【0157】
【表1】
[図:0001385170000058.jpg]
【0158】
実施例1~4及び比較例1~3で得られた硬化被膜を下記の方法により評価した。いずれの試験も、25℃、湿度40%RHで実施した。
【0159】
撥水性の評価
[初期撥水性の評価]
上記にて作製した硬化被膜を形成したガラスについて、接触角計Drop Master(協和界面科学社製)を用いて、硬化被膜の水に対する接触角(撥水性)を測定した(液滴:2μl、温度:25℃、湿度:40%RH)。結果(初期水接触角)を表2に示す。
初期においては、実施例、比較例共に良好な撥水性を示した。
【0160】
[耐摩耗性の評価]
上記にて作製した硬化被膜を形成したガラスについて、ラビングテスター(新東科学社製)を用いて、下記条件でスチールウールは5,000回擦った後、消しゴムは3,000回擦った後の硬化被膜の水に対する接触角(撥水性)を上記と同様にして測定し、耐摩耗性の評価とした。試験環境条件は25℃、湿度40%RHである。結果(摩耗後水接触角)を表2に示す。
耐スチールウール摩耗性
スチールウール:BONSTAR#0000(日本スチールウール社製)
移動距離(片道):30mm
移動速度:3,600mm/分
荷重:1kg/cm2
耐消しゴム摩耗性
消しゴム:Rubber Eraser(Minoan社製)
接触面積:6mmφ
移動距離(片道):30mm
移動速度:3,600mm/分
荷重:1kg/6mmφ
【0161】
【表2】
[図:0001385170000059.jpg]
」

(2)甲2

甲2には、次の記載がある。

「【請求項1】
含フッ素エーテル化合物(A)と含フッ素エーテル化合物(B)とを含み、
前記含フッ素エーテル化合物(A)が、(CF2O)単位を含むポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖および下式(I)で表される基を有する化合物であり、
前記含フッ素エーテル化合物(B)が、(CF2O)単位を含まないポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖および前記式(I)で表される基を有する化合物であることを特徴とする含フッ素エーテル組成物。
続きを表示(全16行)
-SiRnL3-n ・・・(I)
ただし、Lは水酸基または加水分解性基であり、
Rは水素原子または1価の炭化水素基であり、
nは0~2の整数であり、
nが0または1のとき(3-n)個のLは、同一であっても異なっていてもよく、
nが2のときn個のRは、同一であっても異なっていてもよく、
前記含フッ素エーテル化合物(A)および前記含フッ素エーテル化合物(B)それぞれが有する前記式(I)で表される基は同一であっても異なっていてもよい。
・・・
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の含フッ素エーテル組成物と、液状媒体とを含むことを特徴とするコーティング液。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の含フッ素エーテル組成物から形成された表面層を有することを特徴とする物品。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本発明者によれば、上記のような含フッ素エーテル組成物によって形成される表面層は、指等による摩擦が繰り返されたときに潤滑性、撥水撥油性等の性能が低下しやすい(耐久性が低い)ことが分かった。そのため、潤滑性および耐久性の両特性を高いレベルで両立することが難しい。
【0007】
続きを表示(全112行)
本発明は、潤滑性および耐久性に優れる表面層を形成できる含フッ素エーテル組成物およびコーティング液、ならびに潤滑性および耐久性に優れる表面層を有する物品の提供を目的とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の含フッ素エーテル組成物およびコーティング液によれば、潤滑性および耐久性に優れる表面層を形成できる。
本発明の物品は、潤滑性および耐久性に優れる表面層を有する。
・・・
【0043】
(化合物(A)および化合物(B)の好ましい組み合わせ)
本組成物の好ましい一態様においては、化合物(A)および化合物(B)の少なくとも一方が、基(I)を3個以上、より好ましくは3~5個有する。少なくとも一方が基(I)を3個以上有していれば、表面層の耐久性がより優れる。
いずれか一方のみが基(I)を3個以上有する場合、他方が有する基(I)の数は1または2個であり、耐久性の点から、2個が好ましい。
・・・
【0096】
(他の含フッ素エーテル化合物)
本組成物は、化合物(A)および化合物(B)からなるものでもよく、化合物(A)および化合物(B)以外の他の含フッ素エーテル化合物をさらに含むものでもよい。
他の含フッ素エーテル化合物としては、たとえば、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有し、基(I)を有しない含フッ素エーテル化合物(以下、化合物(C)とも記す。)が挙げられる。該ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖は、A鎖であってもよくB鎖であってもよい。
・・・
【0100】
(本組成物の組成)
本組成物において、化合物(A)と化合物(B)の合計に対する化合物(A)の含有量(化合物(A)/[化合物(A)+化合物(B)]の質量割合)は、10~80質量%が好ましく、20~50質量%が特に好ましい。化合物(A)の含有量が前記範囲内で高いほど、表面層の潤滑性がより優れる。化合物(A)の含有量が前記範囲内で低いほど(すなわち、化合物(A)と化合物(B)の合計に対する化合物(B)の含有量が高いほど)、表面層の耐久性がより優れる。
・・・
【0112】
<ドライコーティング法>
本組成物は、ドライコーティング法にそのまま用いることができる。本組成物は、ドライコーティング法によって密着性に優れた表面層を形成するのに好適である。
ドライコーティング法としては、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法等が挙げられる。化合物(A)および化合物(B)の分解を抑える点、および装置の簡便さの点から、真空蒸着法が特に好ましい。真空蒸着時には、鉄や鋼等の金属多孔体に本組成物または本コーティング液を含浸させたペレット状物質を使用してもよい。
・・・
【0116】
〔作用効果〕
本組成物および本コーティング液にあっては、化合物(A)および化合物(B)を含むため、潤滑性および耐久性に優れる表面層を形成できる。すなわち、本組成物または本コーティング液を用いて基材の表面に表面層が形成されることによって、優れた初期の潤滑性、撥水撥油性等の特性が付与されるとともに、該表面が繰り返し摩擦されてもそれらの特性が低下しにくい優れた耐久性が得られる。また、表面が繰り返し摩擦されても撥水撥油性が低下しにくいことから、基材の表面の指紋汚れを容易に除去できる性能(指紋汚れ除去性)が得られる。
化合物(A)は、A鎖に(CF2O)単位を含むため、潤滑性に優れる。その一方で、(CF2O)単位を含まない場合に比べて、耐久性に劣る。化合物(B)は、B鎖に(CF2O)単位を含まないため、耐久性に優れる。その一方で、(CF2O)単位を含む場合に比べて、潤滑性に劣る。これらを組み合わせたときに、それぞれの優れた特性が充分に維持され、優れた潤滑性および耐久性を両立できる。この理由としては、潤滑性が高い成分(化合物(A))により摩耗にかかる力を分散させ、耐久性の高い成分(化合物(B))の耐久性をさらに高めていることが考えられる。
【0117】
〔用途〕
したがって、このようにして得られる、表面層を有する基材は、タッチパネルを構成する部材として好適である。
ただし、本組成物、本コーティング液および物品の用途はタッチパネルに限定されるものではない。たとえば、タッチパネル以外の表示入力装置;透明なガラス製または透明なプラスチック製(アクリル、ポリカーボネート等)部材の表面保護コート、キッチン用防汚コート;電子機器、熱交換器、電池等の撥水防湿コートや防汚コート、トイレタリー用防汚コート;導通しながら撥液が必要な部材へのコート;熱交換機の撥水・防水・滑水コート;振動ふるいやシリンダ内部等の表面低摩擦コート等に用いることができる。
より具体的な使用例としては、ディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板、あるいはそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの、携帯電話、携帯情報端末等の機器のタッチパネルシートやタッチパネルディスプレイ等人の指あるいは手のひらで画面上の操作を行う表示入力装置を有する各種機器、トイレ、風呂、洗面所、キッチン等の水周りの装飾建材、配線板用防水コーティング熱交換機の撥水・防水コート、太陽電池の撥水コート、プリント配線板の防水・撥水コート、電子機器筐体や電子部品用の防水・撥水コート、送電線の絶縁性向上コート、各種フィルタの防水・撥水コート、電波吸収材や吸音材の防水性コート、風呂、厨房機器、トイレタリー用防汚コート、熱交換機の撥水・防水・滑水コート、振動ふるいやシリンダ内部等の表面低摩擦コート、機械部品、真空機器部品、ベアリング部品、自動車部品、工具等の表面保護コート等が挙げられる。
【実施例】
【0118】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下、「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
例1~5、7~11、13~17、19~23、25~29、42~49、52~59、61~65は実施例であり、例6、12、18、24、30~41、50~51、60、66~67は比較例である。
【0119】
〔物性および評価〕
(数平均分子量) 含フッ素エーテル化合物の数平均分子量は、1H-NMRおよび19F-NMRによって、末端基を基準にしてオキシペルフルオロアルキレン基の数(平均値)を求めることによって算出した。末端基は、たとえば基(I)または基(II)である。
【0120】
(水接触角)
表面層の表面に置いた約2μLの蒸留水の接触角(水接触角)を、接触角測定装置(協和界面科学社製、DM-701)を用いて20℃で測定した。表面層の表面における異なる5箇所で測定を行い、その平均値を算出した。接触角の算出には2θ法を用いた。水接触角が大きいほど、撥水性に優れる。
・・・
【0122】
(耐久性1(接触角100°以上の維持回数))
表面層について、JIS L0849:2013(ISO 105-X12:2001)に準拠して往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)を用い、スチールウールボンテスター(♯0000)を圧力:98.07kPa、速度:320cm/分で往復させた。千回往復させる毎に水接触角を測定して、水接触角100°以上が維持される上限の回数(接触角100°以上の維持回数)を求めた。この回数が多いほど、表面層が摩擦によって損なわれにくく、耐久性に優れる。
・・・
【0127】
前記(A-1)~(A-5)、(B-1)~(B-5)、(C-1)が有するポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の繰り返し単位、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の数(以下、PEPE数とも記す。)、基(I)の数および数平均分子量(Mn)を表1に示す。
なお、(A-1)~(A-5)および(C-1)における繰り返し単位「(CF2O)(CF2CF2O)」は、(CF2O)単位と(CF2CF2O)単位とがランダムに配置されたポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖であることを表す。
【0128】
【表1】
[図:0001385170000060.jpg]
【0129】
〔製造例A-1〕
・・・
【0135】
100mLのPFA製ナスフラスコに、化合物(8)の5.0g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.005g、HSi(OCH3)3の0.25g、ジメチルスルホキシドの0.005gおよび1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の0.20gを入れ、40℃で4時間撹拌した。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過し、化合物(8)の1個のアリル基がヒドロシリル化された化合物(9)および化合物(8)の1個のアリル基がインナーオレフィン(-CH=CHCH3)に異性化した副生物からなる組成物(A-1)の4.9g(収率95%)を得た。ヒドロシリル化の転化率は100%であり、化合物(8)は残存していなかった。ヒドロシリル化の選択率は95%であった。
CF3CF2CF2-O-(CF2CF2O)(CF2CF2O){(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2-CH2OCH2CH2CH2-Si(OCH3)3 ・・・(9)
・・・
【0137】
〔製造例A-2〕
・・・
【0139】
100mLのPFA製ナスフラスコに、化合物(11)の12.0g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.03g、HSi(OCH3)3の1.3g、ジメチルスルホキシドの0.01gおよび1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の0.5gを入れ、40℃で10時間撹拌した。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過し、化合物(11)の2個のアリル基がヒドロシリル化された化合物(12)および化合物(11)の2個のアリル基が分子内で環化して生成した副生物からなる組成物(A-2)の11.9g(収率92%)を得た。ヒドロシリル化の転化率は100%であり、化合物(11)は残存していなかった。ヒドロシリル化の選択率は81%であった。
CF3CF2CF2-O-(CF2CF2O)(CF2CF2O){(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2-CH2-N[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]2 ・・・(12)
【0141】
〔製造例A-3〕
・・・
【0142】
10mLのPFA製サンプル管に、化合物(13)の4g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.4mg、HSi(OCH3)3の0.33g、ジメチルスルホキシドの0.01g、1,3―ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の0.2gを入れ、40℃で10時間撹拌した。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、1.0μm孔径のメンブランフィルタでろ過し、化合物(A-3)の4.3g(収率100%)を得た。
CF3CF2CF2-O-(CF2CF2O)(CF2CF2O){(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2-C(O)NH-CH2-C[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]3 ・・・(A-3)
・・・
【0150】
〔製造例B-1〕
国際公開第2013/121984号の実施例6に記載の方法にしたがい、化合物(B-1)を得た。
CF3-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3(CF2CF2O)-CF2CF2CF2-CONHCH2CH2CH2-Si(OCH3)3 ・・・(B-1)
化合物(B-1):単位数x3の平均値13、数平均分子量4,870。
【0151】
〔製造例B-2〕
・・・
【0154】
化合物(11)を化合物(23)に、白金錯体溶液の量を0.029gに、HSi(OCH3)3の量を1.2gに変更した以外は製造例A-2と同様にして、化合物(23)の2個のアリル基がヒドロシリル化された化合物(24)および化合物(23)の2個のアリル基が分子内で環化して生成した副生物からなる組成物(B-2)の11.8g(収率94%)を得た。ヒドロシリル化の転化率は100%であり、化合物(23)は残存していなかった。ヒドロシリル化の選択率は80%であった。
CF3-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3(CF2CF2O)-CF2CF2CF2-CH2-N[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]2 ・・・(24)
【0156】
〔製造例B-3〕
・・・
【0158】
化合物(13)を化合物(26)の6.0gに、白金錯体溶液の量を0.07gに、HSi(OCH3)3の量を0.78gに、ジメチルスルホキシドの量を0.02gに、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の量を0.49gに変更した以外は製造例A-3と同様にして、化合物(B-3)の6.7g(収率100%)を得た。
CF3-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3(CF2CF2O)-CF2CF2CF2-C(O)NH-CH2-C[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]3 ・・・(B-3)
・・・
【0162】
〔例1〕 (A-1)の50質量部と(B-1)の50質量部とを混合して組成物を調製した。この組成物を用いて、下記のドライコーティング法により、基材の表面処理を行い、例1の物品を得た。基材としては化学強化ガラスを用いた。得られた物品について、耐久性1(接触角100°以上の維持回数)、潤滑性および耐久性2(動摩擦係数の低下しにくさ)を評価した。結果を表3~5に示す。
【0163】
(ドライコーティング法) ドライコーティングは、真空蒸着装置(昭和真空社製、SGC-22WA)を用いて行った(真空蒸着法)。組成物の35mgを真空蒸着装置内のモリブデン製ボートに充填し、真空蒸着装置内を5×10-3Pa以下に排気した。組成物を配置したボートを加熱し、組成物を基材の表面に堆積することによって、基材の表面に蒸着膜を形成した。蒸着膜が形成された基材を、温度:25℃、湿度:40%の条件で一晩放置し、基材の表面に表面層を有する物品を得た。
【0164】
〔例2~40〕
使用する化合物の種類と組み合わせを表2に示すように変更した以外は例1と同様にして、組成物を調製し、表面層を形成して物品を得て、得られた物品の評価を行った。2種の化合物を組合わせた例において、各化合物の質量比は全て50:50である。結果を表3~5に示す。
【0165】
【表2】
[図:0001385170000061.jpg]
【0166】
耐久性1(接触角100°以上の維持回数)
【表3】
[図:0001385170000062.jpg]
」

(3)甲3

甲3には、次の記載がある。

「【請求項1】
(i) 下記式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)で表される少なくとも1種のパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物:
【化1】
[図:0001385170000063.jpg]
続きを表示(全121行)
[式中: Rfは、それぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16のアルキル基を表し;
PFPEは、それぞれ独立して、-(OC4F8)a-(OC3F6)b-(OC2F4)c-(OCF2)d-を表し、ここに、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
R11は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
R12は、各出現において、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
R13は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
R14は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
R15は、それぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表し;
Xは、それぞれ独立して、2~7価の有機基を表し;
Yは、各出現において、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、加水分解可能な基、または炭化水素基を表し;
Qは、各出現において、それぞれ独立して、-Z-SiR3fR43-fを表し;
Zは、各出現において、それぞれ独立して、2価の有機基を表し;
R3は、各出現において、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
R4は、各出現において、それぞれ独立して、炭素数1~22のアルキル基、またはQ’を表し;
Q’は、Qと同意義であり;
fは、各QおよびQ’において、それぞれ独立して、0~3の整数であって、fの総和は1以上であり;
Q中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
xは、それぞれ独立して、1~10の整数であり;
yは、それぞれ独立して、0または1であり;
zは、それぞれ独立して、0~2の整数であり;
mは、αを付して括弧でくくられた単位毎に独立して、0~2の整数であり;
nは、αを付して括弧でくくられた単位毎に独立して、1~3の整数であり;
αは、それぞれ独立して、1~6の整数であり;
SILは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式:
【化2】
[図:0001385170000064.jpg]
(式中、X”は、各出現において、それぞれ独立して、2~7価の有機基を表し;
R16は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
gは、1~10の整数であり;
hは、1~10の整数であり;
gまたはhを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。)で表される基であり;
n”は、βを付して括弧でくくられた単位毎に独立して、0~3の整数であり;
α’は、それぞれ独立して、1~6の整数であり;
βは、各出現においてそれぞれ独立して、(SILの価数-1)に対応する整数である。]および
(ii) 下記式(1)で表される少なくとも1種のパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン化合物:
【化3】
[図:0001385170000065.jpg]
[式中:
Rfは、それぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16のアルキル基を表し;
PFPEは、それぞれ独立して、-(OC4F8)a-(OC3F6)b-(OC2F4)c-(OCF2)d-を表し、ここに、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
X1は、単結合または2価の有機基を表し;
R1は、水素原子、低級アルキル基またはフェニル基を表し; R2は、-X2-SiQ1kY13-kを表し;
X2は、2価の有機基を表し;
Y1は、加水分解可能な基を表し;
Q1は、水素原子、低級アルキル基またはフェニル基を表し;
pは、0または1であり;
kは、0~2の整数である。]を含んでなる、表面処理剤。
【請求項3】
パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物および/またはパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン化合物において、PFPEが、下記式(a)または(b):
(a)-(OC3F6)b-
(式(a)中、bは1以上200以下の整数である);
(b)-(OC4F8)a-(OC3F6)b-(OC2F4)c-(OCF2)d-
(式(b)中、aおよびbは、それぞれ独立して、0以上30以下の整数であり、cおよびdは、それぞれ独立して、1以上200以下の整数であり、a、b、cおよびdの和は、10以上200以下の整数であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)
である、請求項1または2に記載の表面処理剤。
・・・
【請求項6】
パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物において、Xが2価の有機基であり、αが1である、請求項1~5のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項7】
パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物において、Xが、-(R31)p’-(Xa)q’-R32-
[式中:
R31は、-(CH2)s-(式中、sは、1~20の整数である)またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、
R32は、-(CH2)t-(式中、tは、1~20の整数である)またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、
Xaは、-(Xb)r-(式中、rは、1~10の整数である)を表し、
Xbは、各出現において、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-Si(R33)2-、-(Si(R33)2O)m’-Si(R33)2-(式中、m’は1~100の整数である)、-NR34-および-(CH2)n’-(式中、n’は1~20の整数である)からなる群から選択される基を表し、
R33は、それぞれ独立して、フェニル基またはC1-6アルキル基を表し、
R34は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基を表し、
p’は、0または1であり、
q’は、0または1であり、
R31、R32およびXaは、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。]
で表される基である、請求項1~6のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項8】
パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物において、Xが:
-CH2O(CH2)2-、
-CH2O(CH2)3-、
-CH2O(CH2)6-、
-CH2O(CH2)3Si(CH3)2OSi(CH3)2(CH2)2-、
-CH2O(CH2)3Si(CH3)2OSi(CH3)2OSi(CH3)2(CH2)2-、
-CH2O(CH2)3Si(CH3)2O(Si(CH3)2O)2Si(CH3)2(CH2)2-、
-CH2O(CH2)3Si(CH3)2O(Si(CH3)2O)3Si(CH3)2(CH2)2-、
-CH2O(CH2)3Si(CH3)2O(Si(CH3)2O)10Si(CH3)2(CH2)2-、
-CH2O(CH2)3Si(CH3)2O(Si(CH3)2O)20Si(CH3)2(CH2)2-、
-(CH2)2-、
-(CH2)3-、
-(CH2)4-、
-(CH2)6-、
-S-(CH2)3-、
-(CH2)2S(CH2)3-、
-C(O)O-(CH2)3-、
-C(O)O-(CH2)6-、
-CH2-O-(CH2)3-Si(CH3)2 -(CH2)2-Si(CH3)2-(CH2)2-、
-CH2-O-(CH2)3-Si(CH3)2 -(CH2)2-Si(CH3)2-CH(CH3)-、
-CH2-O-(CH2)3-Si(CH3)2 -(CH2)2-Si(CH3)2-(CH2)3-、および
-CH2-O-(CH2)3-Si(CH3)2 -(CH2)2-Si(CH3)2-CH(CH3)-CH2-
からなる群から選択される、請求項1~7のいずれかに記載の表面処理剤。
・・・
【請求項19】
パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン化合物において、X2における2価の有機基が、C1-20アルキレン基、-(CH2)s’’’-O-(CH2)t’’’-、-(CH2)s’’’-NR6-(CH2)t’’’-
[式中、R6は、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基を表し;
s’’’は、それぞれ独立して、1~20の整数であり;
t’’’は、それぞれ独立して、1~20の整数である。]
である、請求項1~18のいずれかに記載の表面処理剤。
・・・
【請求項25】
含フッ素オイル、シリコーンオイル、および触媒から選択される1種またはそれ以上の他の成分をさらに含有する、請求項1~24のいずれかに記載の表面処理剤。
・・・
【請求項28】
さらに溶媒を含む、請求項1~27のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項29】
防汚性コーティング剤として使用される、請求項1~28のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項30】
真空蒸着用である、請求項1~29のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項31】
請求項1~30のいずれかに記載の表面処理剤を含有するペレット。
【請求項32】
基材と、該基材の表面に、請求項1~29のいずれかに記載の表面処理剤より形成された層とを含む物品。
・・・
【請求項35】
前記物品が光学部材である、請求項32~34のいずれかに記載の物品。」
「【0007】
本発明は、より高い摩擦耐久性を有する層を形成することのできる、新規な表面処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
続きを表示(全66行)
本発明者らは、鋭意検討した結果、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物およびパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン化合物を組み合わせることにより、より高い摩擦耐久性を有する表面処理層を形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
・・・
【0052】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)s’-O-(CH2)t’-(式中、s’は、1~6の整数であり、t’は、1~6の整数である)または、-フェニレン-(CH2)u’-(式中、u’は、0~6の整数である)であり、より好ましくはC1-3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
・・・
【0080】
上記式で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物において、Rf-PFPE部分および-PFPE-部分の平均分子量は、特に限定されるものではないが、500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。
・・・
【0086】
上記式(1)中、RfおよびPFPEは、上記化合物(i)のRfおよびPFPEに関する記載と同意義である。なお、式(1)中のRfおよびPFPEは、化合物(i)中のRfおよびPFPEと同じであっても、異なっていてもよい。
・・・
【0097】
上記kは、0~2から選択される整数である。好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。R2中のSiに結合する水酸基および加水分解性基が多いほど、基材との密着力が高くなる。
・・・
【0099】
上記式で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル変性アミドシラン化合物において、Rf-PFPE部分の平均分子量は、特に限定されるものではないが、500~30,000、好ましくは1,000~20,000、より好ましくは2,000~15,000である。
・・・
【0160】
上記のようにして、基材の表面に、本発明の表面処理剤の膜に由来する表面処理層が形成され、本発明の物品が製造される。これにより得られる表面処理層は、高い表面滑り性と高い摩擦耐久性の双方を有する。また、この表面処理層は、高い摩擦耐久性に加えて、使用する表面処理剤の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、表面滑り性(または潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
・・・
【実施例】
【0167】
本発明の表面処理剤について、以下の実施例を通じてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、パーフルオロポリエーテルを構成する繰り返し単位(CF2O)、(CF2CF2O)、(CF(CF3)CF2O)、(CF2CF2CF2O)、(CF(CF3)CF2O)および(CF2CF2CF2CF2O)の存在順序は任意である。また、以下に示される化学式はすべて平均組成を示す。
・・・
【0169】
・合成例2
還流冷却器、滴下ロート、温度計および撹拌機を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、合成例1にて合成した末端にエチルエステルを有するパーフルオロポリエーテル基含有エチルエステル化合物(A)450gを仕込み、窒素気流下、室温でアミノプロピルトリエトキシシランNH2CH2CH2CH2Si(OC2H5)325.84gを滴下した後、65℃まで昇温させ1時間撹拌した。続いて、減圧下で揮発分を留去することにより、末端にトリエチルシリル基を有する下記のパーフルオロポリエーテル基含有アミドシラン化合物(B)472gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有アミドシラン化合物(B):
CF3CF2CF2O(CF2CF2CF2O)22CF2CF2CONHCH2CH2CH2Si(OC2H5)3
・・・
【0174】
・合成例7
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた100mLの4つ口フラスコに、合成例6にて合成した末端にトリクロロシランを有するパーフルオロポリエーテル基含有トリクロロシラン化合物(F)16g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン15gを加え、窒素気流下、50℃で30分間撹拌した。続いて、メタノール1.04gとオルソギ酸トリメチル48gの混合溶液を加えた後、65℃まで昇温させ、この温度にて3時間撹拌した。その後、室温まで冷却させて不溶物をろ過し、減圧下で揮発分を留去することにより、末端にトリメチルシリル基を有する下記のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(G)16gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(G):
CF3O(CF2CF2O)19(CF2O)15CF2CH2OCH2CH2CH2Si[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3
(なお、平均組成としては、(CF2CF2CF2CF2O)の繰り返し単位が0.12個および(CF2CF2CF2O)の繰り返し単位が0.16個含まれていたが、微量のため省略した。)
【0175】
実施例1
上記合成例2で得たパーフルオロポリエーテル基含有アミドシラン化合物(B)および合成例7で得たパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(G)を、質量比1:1で、ノベック7200(スリーエム社製)に溶解させて、濃度20wt%になるように、表面処理剤1を調製した。
【0176】
上記で調製した表面処理剤1を化学強化ガラス(コーニング社製、「ゴリラ」ガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。真空蒸着の処理条件は、圧力3.0×10-3Paとし、まず、前処理として、電子線蒸着方式により二酸化ケイ素を7nmの厚さで、この化学強化ガラスの表面に蒸着させて二酸化ケイ素膜を形成し、続いて、化学強化ガラス1枚(55mm×100mm)あたり、表面処理剤2mg(即ち、化合物(B)を0.2mgおよび化合物(G)を0.2mg含有)を蒸着させた。その後、蒸着膜付き化学強化ガラスを、温度20℃および湿度65%の雰囲気下で24時間静置した。これにより、蒸着膜が硬化して、表面処理層が形成された。
【0177】
実施例2~4
下記表に示すように、化合物(i)として、合成例7で得たパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(G)、下記の構造を有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(H)を用い、化合物(ii)として、合成例2で得た化合物(B)を用い、下記表に示す配合比としたこと以外は、実施例1に記載のように、実施例2~4の表面処理層を形成した。なお、表面処理剤の濃度は、実施例1と同じ20wt%とした。
【0178】
・パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(H)
CF3O(CF2CF2O)17(CF2O)18CF2CH2OCH2CH2CH2Si(OCH3)3
【0179】
【表1】
[図:0001385170000066.jpg]
【0180】
比較例1~2
パーフルオロポリエーテル基含有アミドシラン化合物(B)を用いずに、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(G)を単独で用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例1の表面処理層を形成した。また、パーフルオロポリエーテル基含有アミドシラン化合物(B)を用いずに、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(H)を単独で用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例2の表面処理層を形成した。なお、表面処理剤の濃度は、実施例1と同じ20wt%とした。
【0181】
比較例3
パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(G)を用いずに、パーフルオロポリエーテル基含有アミドシラン化合物(B)を単独で用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤を調製し、表面処理層を形成した。なお、表面処理剤の濃度は、実施例1と同じ20wt%とした。
【0182】
上記の実施例1~4および比較例1~3にて基材表面に形成された表面処理層について、消しゴム摩擦耐久試験により、摩擦耐久性を評価した。具体的には、表面処理層を形成したサンプル物品を水平配置し、消しゴム(コクヨ株式会社製、KESHI-70、平面寸法1cm×1.6cm)を表面処理層の表面に接触させ、その上に500gfの荷重を付与し、その後、荷重を加えた状態で消しゴムを20mm/秒の速度で往復させた。往復回数500回毎に水の静的接触角(度)を測定した。接触角の測定値が100度未満となった時点で評価を中止した。最後に接触角が100度を超えた時の往復回数を、下記表に示す。
【0183】
【表2】
[図:0001385170000067.jpg]
」

2 甲1~甲3に記載された発明

(1)甲1に記載された発明(甲1発明)

甲1には、「(A)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基含有有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物と、(B)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基で変性された水酸基もしくは加水分解性基とポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物とを含み、(A)成分と(B)成分との混合質量比が15:85~85:15(但し、(A)成分と(B)成分との合計は100)であることを特徴とする含フッ素コーティング剤組成物。」(請求項1)について記載されているところ、実施例には、(A)成分として[化合物1]及び[化合物3]が記載されている。

また、(B)成分として[化合物4]が記載されている。

そして、実施例1、2、4では、[化合物1]又は[化合物3]と[化合物4]とを調製した表面処理剤を用いて形成した硬化被膜が撥水性及び耐摩耗性(耐消しゴム摩耗性)に優れたものであることが確認されている。

そうすると、甲1には、実施例1、2、4として、

「[化合物1]又は[化合物3]と[化合物4]とを調製して得られた表面処理剤。
[化合物1]:
[図:0001385170000068.jpg]
[化合物3]:
[図:0001385170000069.jpg]
[化合物4]:
[図:0001385170000070.jpg]
」(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)甲2に記載された発明(甲2発明)

甲2には、例14(化合物(A-3)と化合物(B-2)から調製された表面層を形成する組成物)、例9(化合物(A-2)と化合物(B-3)から調製された表面層を形成する組成物)(【0165】)について、得られた表面層が摩擦耐久性に優れたものであることが記載されている。

そうすると、甲2には、例14、9について、

「化合物(A-3)と化合物(B-2)又は化合物(A-2)と化合物(B-3)から調製された表面層を形成する組成物。
〔A-3〕:
CF3CF2CF2-O-(CF2CF2O)(CF2CF2O){(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2-C(O)NH-CH2-C[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]3
〔B-2〕:
CF3-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3(CF2CF2O)-CF2CF2CF2-CH2-N[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]2 )
〔A-2〕:
CF3CF2CF2-O-(CF2CF2O)(CF2CF2O){(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2-CH2-N[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]2
〔B-3〕:
CF3-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3(CF2CF2O)-CF2CF2CF2-C(O)NH-CH2-C[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]3」(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

(3)甲3に記載された発明(甲3発明)

甲3の【請求項1】には、特定のパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物と特定のパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン化合物を含んでなる、表面処理剤が記載され、【0160】には、それから形成された膜が、高い表面滑り性と高い摩擦耐久性の双方を有するものであることが記載されている。

そして、実施例として、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物(G)として合成例7,パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン化合物(B)として、合成例2が記載され、実施例1、2は、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物(G)とパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン化合物(B)から調製されている。

そうすると、甲3には、実施例1、2として、

「パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物(G)とパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン化合物(B))から調製された表面処理剤。
パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(G):
CF3O(CF2CF2O)19(CF2O)15CF2CH2OCH2CH2CH2Si[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3
パーフルオロポリエーテル基含有アミドシラン化合物(B):
CF3CF2CF2O(CF2CF2CF2O)22CF2CF2CONHCH2CH2CH2Si(OC2H5)3」(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

3 対比・判断

(1)甲1発明を主引用発明とした場合(本件発明1について)

本件発明1と甲1発明とを対比する。

甲1発明の「化合物1」における「CF3O-(CF2O)p1-(C2F4O)q1CF2-」は、本件発明1におけるRF1(Rf1-RF-Oq-、q=0)、α=1の場合であって、XAが単結合の場合に相当し、「-C(O(CH2)3Si(OCH3)3)((CH2)3Si(OCH3)3)2)」は本件発明1の式(S11)(β=1)に相当する。

また、甲1発明の「化合物3」における「CF3O-(CF2O)p1-(C2F4O)q1CF2-」が本件発明1におけるRF1(Rf1-RF-Oq-、q=0)、α=1の場合であって、同「-CH2O(CH2)3-」は、本件発明1のXAに相当し、同「-Si(OSi(CH3)2(CH2)3Si(OCH3)3)3)」は本件発明1の式(S12)(β=1)に相当する。

そして、甲1発明の「化合物4」における「CF3O-(CF2O)p1-(C2F4O)q1CF2-」は、本件発明1におけるRF1(Rf1-RF-Oq-、q=0)、α=1の場合であって、XAが単結合の場合に相当し、化合物1、3におけるRFと同種の繰り返し単位からなっている。また、本件発明1の「フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)」と甲1発明の「化合物4」とは、「フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)」である点で共通する。

そうすると、本件発明1と甲1発明とは、

「下記式(1)または(2):
【化1】
[図:0001385170000071.jpg]
[式中:
続きを表示(全34行)
RF1は、Rf1-RF-Oq-であり;
RF2は、-Rf2p-RF-Oq-であり;
Rf1は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rf2は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
RFは、2価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
XAは、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基であり;
RSiは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基に結合したSi原子を有する基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)、および、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)を含み、
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)において、
RFが、RF11で表され、
RF11が、式:
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3RFa6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-
[式中、RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、各出現においてそれぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は1以上であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表されるフルオロポリエーテル基であり;
RSiが、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(S11)または(S12):
【化2】
[図:0001385170000072.jpg]
[式中:
Z1は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基であり;
R21は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
R22は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~2の整数である。]で表される
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)及びフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)を含む表面処理剤。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。

(相違点1)

本件発明1では、「フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)」について、

「RFが、RF21で表され、
RF21が、式:
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3RFa6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-
で表され、a、b、c、d、e、fおよびRFaは、それぞれRF11の記載と同意義であり、ただし、RF21は、RF11と同種の繰り返し単位からなり;
RSiが、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(S4):
【化3】
[図:0001385170000073.jpg]
[式中:
Z1、R21、R22、p1、およびq1は、式(S11)および式(S12)と同意義である。]で表され」るフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)を含むことが特定されているのに対し、甲1発明の「化合物4」は、そのようなものではなく、甲1発明は、本件発明1で規定される「フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)」を含まない点。

ここで、上記相違点について検討する。

甲1発明において、「化合物4」に替えて、又は、「化合物4」に加えて、本件発明1で規定される「フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)」を含有させる動機付けは甲1を精査しても見いだせない。

また、甲2には、本件発明1の式(4)に相当するものとして、(A-2)又は(B-2)が示されているとしても、これらは、甲1発明の[化合物1]又は[化合物3]とともに用いられるものではなく、甲2の記載を参照したとしても、甲1発明において、「化合物4」に替えて、又は、「化合物4」に加えて、本件発明1で規定される「フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)」を含有させることは、当業者が容易に想到し得ることである、ということはできない。

(本件発明1の効果について)

本件発明1は、上記相違点1に係る発明特定事項を備えることで、明細書に記載されているように、「良好な摩擦耐久性を有する表面処理層の形成に寄与し得る」(【0007】)というものであり、その作用効果は、本件明細書の記載から理解し得るものであり、令和4年1月21日付けの特許権者が提出した意見書において記載された追加実施例においても、その作用効果は確認することができる。

(2)甲2発明を主引用発明とした場合(本件発明1について)

本件発明1と甲2発明とを対比する。

甲2発明の「化合物(A-3)」の「CF3CF2CF2-O-(CF2CF2O)(CF2CF2O){(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2-」、「C(O)NH-CH2-」及び「C[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]3」は、それぞれ、本件発明1の「RF1α-」(RF11)、「XA-」及び「RSiβ」(S11)に相当し、甲2発明の「化合物(B-2)」の「CF3-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3(CF2CF2O)-CF2CF2CF2-」、「CH2-」及び「N[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]2」は、それぞれ、本件発明1の「RF1α-」(RF21)、「XA-」及び「RSiβ」(S4)に相当し、甲2発明の「化合物(A-2)」(CF3CF2CF2-O-(CF2CF2O)(CF2CF2O){(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2-CH2-N[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]2)、「化合物(B-3)」(CF3-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3(CF2CF2O)-CF2CF2CF2-C(O)NH-CH2-C[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]3)について同様であるから、本件発明1と甲2発明とは、RF11とRF21とが相違する点のみで相違し、その余の点では一致していると認められる。

しかしながら、甲2の【0116】には、「化合物(A)は、A鎖に(CF2O)単位を含むため、潤滑性に優れる。その一方で、(CF2O)単位を含まない場合に比べて、耐久性に劣る。化合物(B)は、B鎖に(CF2O)単位を含まないため、耐久性に優れる。その一方で、(CF2O)単位を含む場合に比べて、潤滑性に劣る。これらを組み合わせたときに、それぞれの優れた特性が充分に維持され、優れた潤滑性および耐久性を両立できる。」と記載され、RF11とRF21とが相違すること望ましいことが記載されており、RF11とRF21とを同種の繰り返し単位とすることには阻害要因がある。

そして、上記(1)の(本件発明1の効果について)で述べたように、本件発明1は甲2発明に比較して、格別顕著な作用効果を奏するものであるから、本件発明1は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。

(3)甲3発明を主引用発明とした場合(本件発明1について)

甲3発明の「パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物(G)」の「CF3O(CF2CF2O)19(CF2O)15CF2-」は、本件発明1におけるRF1(Rf1-RF-Oq-、q=0)、α=1の場合であって、「-CH2OCH2CH2CH2-」は、本件発明1のXAに相当し、「-Si[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3」は本件発明1の式(S12)(β=1)に相当する。

また、甲3発明の「パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン化合物(B)」における「CF3CF2CF2O(CF2CF2CF2O)22CF2CF2-」は、本件発明1におけるRF1(Rf1-RF-Oq-、q=0)、α=1の場合であって、同「-CO-」は、本件発明1のXAに相当し、同「-NHCH2CH2CH2Si(OC2H5)3」は、本件発明1の式(S4)(β=1)に対応する。

そうすると、本件発明1と甲3発明とは、次の相違点2及び3で相違し、その余の点では一致すると認められる。

(相違点2)

本件発明1は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)とフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)におけるRFの繰り返し単位が同じであるのに対し、甲3発明では、上記化合物(G)と上記化合物(B)におけるRFの繰り返し単位が異なる点。

(相違点3)

Si側末端の「Z1-SiR21p1R22q1」の数が、本件発明1では、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)は3個であり、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)は2個であるのに対し、甲3発明における化合物(G)は、3個有しているものの、化合物(B)では、1個である点。

ここで、まず相違点3について検討する。

(相違点3について)

甲3発明の化合物(B)において、Si側末端の「Z1-SiR21p1R22q1」の数を2個とすること、すなわち、「-NHCH2CH2CH2Si(OC2H5)3」におけるN原子に置換している水素原子においても、R2(-X2-SiQ1kY13-k)基とする、動機付けは見いだせない。

そして、上記(1)の(本件発明1の効果について)で述べたように、本件発明1は甲3発明に比較して、格別顕著な作用効果を奏するものであるから、前記相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。

(4)本件発明2~11、15~23について

本件発明2~11、15~23は、本件発明1を引用し、更に限定するものであるから、本件発明1と同様に、甲1~甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。

(5)まとめ

取消理由で通知した理由は理由がない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について

1 申立人は、次のように主張し、本件請求項の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)を満たしてない旨主張している。

(1)本件発明1において、本件明細書の実施例で示された化合物のXA以外のXAに関して、本件発明の作用効果が有効に発現されることは確認、立証されていない。

(2)本件発明1において、本件明細書の実施例で示された化合物のRF1以外のRF1に関して、本件発明の作用効果が有効に発現されることは確認、立証されていない。

(3)本件発明1において、「フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)は、フルオロポリエーテル含基有シラン化合物(A)とフルオロポリエーテル含基有シラン化合物(B)との合計量に対して」40質量%未満、80質量%超の範囲で化合物(A)、(B)が容易に混合され所期の性能が得られるものであるか不明である。

(4)本件明細書の実施例で示されている範囲の外の領域である「フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)とフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)との合計量に対して」5質量%以上40質量%未満、80質量%超95質量%末満の範囲で化合物(A)、(B)が容易に混合され所期の性能が得られるものであるか不明である。

(5)本件発明1において、式(2)で表される化合物を主体とする表面処理剤に関して、本件特許発明の作用効果が有効に発現されることは、確認、立証されていない。

2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての判断(サポート要件)

本件発明は、「良好な摩擦耐久性を有する表面処理層の形成に寄与し得る」(【0007】)という効果を奏するものであるところ、申立人は、本件明細書の実施例で示された化合物の以外のXA、RF1以外のXA、RF1や化合物の含有量について、本件発明の作用効果が有効に発現しない具体的な根拠については何ら示していない。

一方、化学式が類似するものは、原子の配列が類似するものであるから、多少の優劣はあっても、摩擦耐久性については類似の傾向を示すものと解され、また、化合物の含有量については、特定の含有量を境にして摩擦耐久性が急激に変化するものとは解されない。また、本件明細書の実施例については、本件発明の作用効果は確認されている。

そうすると、本件発明1について、具体的なXA、RF1の例が示され、実施例において本件発明の作用効果を奏することが確認されている以上、本件発明1~11及び15~23について、本件発明の作用効果を奏するものであることは理解でき、本件請求項の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。

第7 むすび

以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~11及び15~23に係る特許を取り消すことはできない。また、他に請求項1~11及び15~23に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

本件特許の請求項12~14に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人による請求項12~14に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

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2021-700500

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  • 2025-700594異議申立 / 2026-03-12 / 訂正認容シール材
    共通の審決分類: 113・C09K、121・C09K、537・C09K
  • 2024-700580異議申立 / 2025-10-07 / 訂正認容シーリング材組成物
    共通の審決分類: 113・C09K、121・C09K、537・C09K

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