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特許異議申立

2022-700219

硬化性組成物

審判番号
2022-700219
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-570581
登録番号
6935028
請求日
2022年03月15日
審決日
2023年03月31日
公報発行日
2023年08月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人 津国
  • 【権利者】ダイキン工業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人 津国
  • 【異議申立人】宮本 邦彦
審判長/審判官
  • 審判長 杉江 渉
  • 審判官 藤代 亮
  • 審判官 近野 光知
分類
P1651.113-YAA(C08L) / P1651.121-YAA(C08L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6935028号発明「硬化性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6935028号の特許請求の範囲を令和4年8月22日受理の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1,3~16〕について訂正することを認める。 特許第6935028号の請求項1~16に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯・本件異議申立の趣旨・審理範囲 1.本件特許の設定登録までの経緯 本件特許第6935028号に係る出願(特願2020-570581号、以下「本願」ということがある。)は、令和2年12月10日(優先権主張 令和1年12月19日 日本国(JP))を国際出願日として出願人モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社及びダイキン工業株式会社(以下「特許権者」ということがある。)によりされた特許出願であり、令和3年8月26日に特許権の設定登録(請求項の数11)がされ、令和3年9月15日に特許掲載公報が発行されたものである。 2.本件特許異議の申立ての趣旨 本件特許につき、令和4年3月15日に特許異議申立人宮本 邦彦(以下「申立人」という。)により、「特許第6935028号の特許請求の範囲の全請求項に記載された発明についての特許を取り消すべきである。」という趣旨の本件特許異議の申立てがされた。(以下、当該申立てを「申立て」という。) 3.審理すべき範囲 上記2.の申立ての趣旨からみて、特許第6935028号の特許請求の範囲の全請求項に記載された発明についての特許を審理の対象とすべきものであり、特許異議の申立てがない請求項は存するものではなく、また、令和4年8月22日受理の訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)された特許請求の範囲の請求項1~16についても、訂正前の請求項1ないし11に基づくものであるから、特許異議の申立てがない請求項は存しない。 4.申立て以降の手続の経緯 令和4年 6月20日付け 取消理由通知 同年 8月22日受理 意見書・訂正請求(特許権者) 同年10月21日受理 手続補正書(特許権者) 同年11月 8日付け 通知書(申立人宛) 同年12月13日受理 意見書(申立人) 第2 令和4年8月22日受理の訂正請求について 1.訂正請求の内容 本件訂正は、訂正前の請求項1,3~11(以下項番に従い「旧請求項1」などという。)を一群の請求項ごとに訂正することにより、訂正後の請求項1,3~16(以下項番に従い「新請求項1」などということがある。)にするものであって、以下の訂正事項1~8を含むものであり、以下の別の訂正単位とする求めを含むものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1について、(A)成分を式(1)で示される化合物に限定し、さらに、Rfにおけるa3~a8を0に訂正する。請求項1の記載を直接又は間接に引用する請求項7~12及び14~16も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3について、請求項1との引用関係を解消して独立形式請求項とする。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。」と記載されているのを、「請求項2または3に記載の硬化性組成物。」に訂正する。請求項4の記載を直接又は間接に引用する請求項5~11も同様に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に「請求項4に記載の硬化性組成物。」とあるうち、引用する請求項4のうち請求項1を引用するものについて、引用先を訂正後の請求項1に改め、さらにRfにおけるa3及びa4を0に限定し、新たに請求項12とする。請求項12の記載を直接又は間接に引用する請求項14~16も同様に訂正する。 (5)訂正事項5 (訂正事項5-1) 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。」と記載されているのを、「請求項2~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。」に訂正する。請求項6の記載を直接又は間接に引用する請求項7~11も同様に訂正する。 (訂正事項5-2) 特許請求の範囲の請求項6に、「請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、新たに請求項13とする。請求項13の記載を直接又は間接に引用する請求項14~16も同様に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。」とあるうち、請求項5又は6を引用し、かつ、訂正後の請求項7で引用されなかったものについて、引用先を訂正後の請求項12又は13に改め、新たに請求項14とする。請求項14の記載を引用する請求項15及び16も同様に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に「請求項7に記載の硬化性組成物。」とあるうち、請求項7を引用し、かつ、訂正後の請求項8で引用されなかったものについて、引用先を訂正後の請求項14に改め、新たに請求項15とする。請求項15の記載を引用する請求項16も同様に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項11に、「請求項1~10のいずれか1項に記載の硬化性組成物。」とあるうち、請求項5~8のいずれか1項を引用し、かつ、訂正後の請求項11で引用されなかったものについて、引用先を訂正後の請求項12~15のいずれか1項に改め、新たに請求項16とする。 (9)別の訂正単位とする求め 訂正後の請求項3~6及び13については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。 (10)一群の請求項 訂正前の請求項3~11は、訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあり、請求項1が訂正されるのに伴い訂正されるから、上記訂正事項1~8に係る訂正は、一群の請求項である訂正前の請求項〔1,3~11〕について請求されたものである。 2.訂正事項1に係る訂正の適否について (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1による訂正は、旧請求項1の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」について、旧請求項4の以下の「式(1)」で示される化学構造のものに特定した上で、該「式(1)」において「a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり」としていたのを、「a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0」としてより特定・減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 「式(1) 【化59】 [図:0001400431000001.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+1価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物」 イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項1は、旧請求項1の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」について、旧請求項4の上記「式(1)」で示される化学構造のものに特定した上で、本件明細書の段落【0023】にある「一の態様において、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して、好ましくは0以上30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下の整数であり、0であってもよい。」を根拠に、旧請求項4の上記「式(1)」において「a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり」としていたのを、「a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0」としてより特定するものといえるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるといえる。 また、訂正事項1による訂正は、旧請求項1の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」について、旧請求項4の上記「式(1)」で示される化学構造のものに特定した上で、該「式(1)」において「a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり」としていたのを、「a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0」としてより特定・減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらないことも明らかである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2による訂正は、旧請求項1を引用する旧請求項3について、旧請求項1に記載された事項を書き下して独立請求項とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるといえる。 イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項2は、旧請求項1を引用する旧請求項3について、旧請求項1に記載された事項を書き下して独立請求項とするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的 訂正事項3による訂正は、旧請求項4が旧請求項1~3を引用していたのを、旧請求項1を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項3は、単に引用していた請求項を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的 訂正事項4による訂正は、上記(3)アにて示した訂正事項3による訂正により、新請求項4が新請求項1を引用するものではなくなったことに伴い、旧請求項1を引用する旧請求項4を引用する旧請求項5について、旧請求項1を引用する旧請求項4に記載された事項を書き下し、かつ特許請求の範囲の減縮を目的とするものである新請求項1を引用することで旧請求項4との引用関係を解消しつつ、更に旧請求項5の式(1)中の「a3及びa4」を「0(ゼロ)」とより特定・減縮して新たな請求項12としたものであるといえる。 そうすると、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項4は、旧請求項1を引用する旧請求項4する旧請求項5について、旧請求項4に記載された事項を書き下し、かつ本件明細書の段落【0023】にある「一の態様において、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して、好ましくは0以上30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下の整数であり、0であってもよい。」を根拠に旧請求項4の式(1)における「a3、a4、a5、a6、a7およびa8」を「0(ゼロ)」に特定し、更に旧請求項5の式(1)中の「a3及びa4」を本件明細書の段落【0023】にある「一の態様において、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して、好ましくは0以上30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下の整数であり、0であってもよい。」を根拠に「0(ゼロ)」に特定しているといえるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるといえる。 また、訂正事項4による訂正は、旧請求項1を引用する旧請求項4を引用する旧請求項5について、旧請求項4に記載された事項を書き下し、かつ特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらないことも明らかである。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的 訂正事項5-1は、旧請求項6が旧請求項1~4を引用していたのを、旧請求項1を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 訂正事項5-2は、旧請求項6のうち旧請求項1を引用するものについて旧請求項1の記載を引用しないものとして新たな請求項13とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。 イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項5-1は、単に引用していた請求項を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。 訂正事項5-2は、旧請求項6のうち旧請求項1を引用するものについて旧請求項1の記載を引用しないものとして新たな請求項13とするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらないことは明らかである。 (6)訂正事項6について ア 訂正の目的 訂正事項6は、訂正事項4及び5-2によって新たに請求項となった請求項12又は13について旧請求項7の特定を満たすものを新たな請求項14とするものであるところ、これは上記(4)ア及び(5)アにて説示した訂正事項4及び5-2の目的と同様、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項6は、訂正事項4及び5-2によって新たに請求項となった請求項12又は13について旧請求項7の特定を満たすものを新たな請求項14とするものであるところ、これは上記(4)イ及び(5)イにて説示した訂正事項4及び5-2と同様、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらないものといえる。 (7)訂正事項7について ア 訂正の目的 訂正事項7は、訂正事項6によって新たに請求項となった請求項14について旧請求項8の特定を満たすものを新たな請求項15とするものであるところ、これは上記(4)ア、(5)ア及び(6)アにて説示した訂正事項4、5-2及び6の目的と同様、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項7は、訂正事項6によって新たに請求項となった請求項14について旧請求項8の特定を満たすものを新たな請求項15とするものであるところ、これは上記(4)イ、(5)イ及び(6)イにて説示した訂正事項4、5-2及び6と同様、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらないものといえる。 (8)訂正事項8について ア 訂正の目的 訂正事項8は、訂正事項4~7によって新たな請求項となった請求項12~16について旧請求項10の特定を満たすものを新たな請求項16とするものであるところ、これは上記(4)ア、(5)ア、(6)ア及び(7)アにて説示した訂正事項4、5-2、6及び7の目的と同様、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項8は、訂正事項4~7によって新たな請求項となった請求項12~16について旧請求項10の特定を満たすものを新たな請求項16とするものであるところ、これは上記(4)イ、(5)イ、(6)イ及び(7)イにて説示した訂正事項4、5-2、6及び7と同様、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらないものといえる。 (9)独立特許要件について 上記「第1」の3.で述べたように、本件の申立ては全請求項に係る特許に対して申立てられたものであり、また新請求項1~16は、上記(1)~(8)で説示したとおり旧請求項1~11に基づくものであるから、申立てが行われていない請求項に係る特許は存するものでなく、独立特許要件につき検討すべき請求項は存しない。 4.別の訂正単位とする求めについて 特許権者からは、上記1.(9)に説示したとおりの求めがあったが、新請求項7~11は新請求項1~6を直接的又は間接的に引用する関係にあり、新請求項1~11で一群の請求項を形成しているので、新請求項3~6を、他の請求項とは別の訂正単位として扱うことはしない。 また、新請求項14~16は請求項1を引用する請求項12及び13の両方を直接的又は間接的に引用する関係にあり、新請求項1,12~16で一群の請求項を形成しているので、新請求項13を、他の請求項とは別の訂正単位として扱うことはしない。 5.本件訂正に係る検討のまとめ 以上総括するに、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は同第4号に掲げる目的要件を満たすものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件も満たすものであるから、本件訂正を認める。 第3 本件特許の特許請求の範囲に記載された事項 上記本件訂正により適法に訂正された本件特許の特許請求の範囲には、以下のとおりの請求項1~16が記載されている。 「【請求項1】 (A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤 を含む硬化性組成物であって、 (A)成分が式(1) 【化59】 [図:0001400431000002.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+1価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物であり、 (D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである、硬化性組成物。 【請求項2】 (A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤 を含む硬化性組成物であって、 (B)成分が、(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物を含み、(A)成分に対する(B3)成分の含有量が0.01~30質量%である、硬化性組成物。 【請求項3】 (A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる小なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤 を含む硬化性組成物であって、 (B)成分が、(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物を含み、(A)成分に対する(B3)成分の含有量が0.01~30質量%であり、 (D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである、硬化性組成物。 【請求項4】 (A)成分が式(1) 【化59】 [図:0001400431000003.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+l価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物である、請求項2または3に記載の硬化性組成物。 【請求項5】 式(1)中、Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OCF2CF2)a21-(OCF(CF3))a2’(OCF2CF2CF2)a31-(OCF2CF(CF3))a3’-(OCF(CF3)CF2)a3‘‘-(OCF2CF2CF2CF2)a4- (式中、fは、1以上4以下の整数であり、a21およびa2’の和はa2に等しく、a31、a3’およびa3’’の和はa3に等しく、a1は0以上50以下の整数であり、a2は0以上50以下の整数であり、a3は0以上30以下の整数であり、a4は0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3およびa4の和は5以上200以下であり、各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。)で示されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上5以下の整数であり、 jおよびKは、それぞれ1であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、ウレタン結合またはアミド結合であり、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、両末端にアミド結合を有する2価のアルキレン基であり、 X2およびX2’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価のアルキレン基であり、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~22のアルキル基である、請求項4に記載の硬化性組成物。 【請求項6】 (A)成分が、下記式: 【化60】 [図:0001400431000004.jpg] [式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物である、請求項2~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。 【請求項7】 (B)成分が、下記式: R1nSi(OR2)4-n (式中、 R1は、各出現においてそれぞれ独立して、置換または非置換の1価の炭化水素基であり、 R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 nは、0、1または2である。) で示される化合物またはその部分加水分解縮合物を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。 【請求項8】 (B)成分がさらに、下記式(B2): 【化61】 [図:0001400431000005.jpg] (式中、 Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 Rg4は、置換または非置換の1価の炭化水素基であり、 Rg6は、各出現においてそれぞれ独立して、Rg8-Rg7-であり、 Rg7は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素原子数1~10のアルキレン基、または、炭素原子数1~10であり主鎖中に窒素原子もしくは酸素原子を含む基であり、 Rg8は、各出現においてそれぞれ独立して、第1級アミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基またはイソシアナト基であり、 ε4は、2または3であり、 ε5は、0または1であり、 ε6は、1または2であるが、ただし、ε4、ε5およびε6の和は4である。) で示される化合物またはその部分加水分解縮合物を含む、請求項7に記載の硬化性組成物。 【請求項9】 (B3)成分のアルコキシシリル基間を連結する基が、さらに-O-基、アルケニレン基および/またはアルキレン基を含む基である、請求項2~8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。 【請求項10】 (B3)成分がアルコキシシリル基含有イソシアヌレート化合物、アルコキシシリル基含有カルバシラトラン化合物、アルコキシシリル基含有フマル酸エステル化合物およびアルコキシシリル基含有アミン化合物からなる群より選択される、請求項2~9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。 【請求項11】 下記流動性試験によって測定した流動性値が15mm以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の硬化性組成物。 流動性試験:硬化性組成物を、45度に傾斜させたアルミニウム板に0.1g塗布し、10秒後に流れた距離(mm)を測定し、その値を流動性値とする。 【請求項12】 式(1)中、Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1―(OCF2CF2)a21-(OCF(CF3))a2’-(OCF2CF2CF2)a31-(OCF2CF(CF3))a3’-(OCF(CF3)CF2)a3“-(OCF2CF2CF2CF2)a4- (式中、fは、1以上4以下の整数であり、a21およびa2’の和はa2に等しく、a31、a3’およびa3’’の和はa3に等しく、a1は0以上50以下の整数であり、a2は0以上50以下の整数であり、a3は0であり、a4は0であり、a1、a2、a3およびa4の和は5以上200以下であり、各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。)で示されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上5以下の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、ウレタン結合またはアミド結合であり、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、両末端にアミド結合を有する2価のアルキレン基であり、 X2およびX2’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価のアルキレン基であり、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~22のアルキル基である、請求項1に記載の硬化性組成物。 【請求項13】 (A)水酸基および加水解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤 を含む硬化性組成物であって、 (A)成分が、下記式: 【化60】 [図:0001400431000006.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物であり、 (D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである、硬化性組成物。 【請求項14】 (B)成分が、下記式: R1nSi(OR2)4-n (式中、 R1は、各出現においてそれぞれ独立して、置換または非置換の1価の炭化水素基であり、 R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 nは、0、1または2である。) で示される化合物またはその部分加水分解縮合物を含む、請求項12または13に記載の硬化性組成物。 【請求項15】 (B)成分がさらに、下記式(B2): 【化61】 [図:0001400431000007.jpg] (式中、 Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 Rg4は、置換または非置換の1価の炭化水素基であり、 Rg6は、各出現においてそれぞれ独立して、Rg8-Rg7-であり、 Rg7は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素原子数1~10のアルキレン基、または、炭素原子1~10であり主鎖中に窒素原子もしくは酸素原子を含む基であり、 Rg8は、各出現においてそれぞれ独立して、第1級アミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基またはイソシアナト基であり、 ε4は、2または3であり、 ε5は、0または1であり、 ε6は、1または2であるが、ただし、ε4、ε5およびε6の和は4である。) で示される化合物またはその部分加水分解縮合物を含む、請求項14に記載の硬化性組成物。 【請求項16】 下記流動性試験によって測定した流動性値が15mm以下である、請求12~15のいずれか1項に記載の硬化性組成物。 流動性試験:硬化性組成物を、45度に傾斜させたアルミニウム板に0.1塗布し、10秒後に流れた距離(mm)を測定し、その値を流動性値とする。」 (以下、上記請求項1~16に係る各発明につき、各々「本件発明1」~「本件発明16」という。)。 第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由及び当審が通知した取消理由について 1 特許異議申立書に記載した申立ての理由 本件訂正前の特許の請求項1~11に係る特許は、下記(1)~(6)のとおり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。証拠方法として、下記(7)の甲第1号証~甲第6号証(以下、「甲1」~「甲6」という。)を提出する。 (1)申立理由1-1(甲1を主引用文献とする新規性) 本件訂正前の請求項1~5,7~9及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)申立理由1-2(甲4を主引用文献とする新規性) 本件訂正前の請求項1,4~5,7~8及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (3)申立理由1-3(甲5を主引用文献とする新規性) 本件訂正前の請求項1,4~5,7及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (4)申立理由2-1(甲1を主引用文献とする進歩性) 本件訂正前の請求項1~11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲1~甲3に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (5)申立理由2-2(甲4を主引用文献とする進歩性) 本件訂正前の請求項1,4~5,7~8及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲4に記載された発明に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (6)申立理由2-3(甲5を主引用文献とする進歩性) 本件訂正前の請求項1,4~5,7及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲5に記載された発明に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (7)証拠方法 ・甲第1号証:特開2008-101113号公報 ・甲第2号証:長谷川 博、「軽質および極微細炭酸カルシウムエ業の現状」(「Gypsum & Lime石膏と石灰」No.122(1973) 第33-41頁)URL: https://doi.org/10.11451/mukimate1953.1973.33 ・甲第3号証:特開2019-112509号公報 ・甲第4号証:特開平9-077944号公報 ・甲第5号証:特開平9-263640号公報 ・甲第6号証:久 英之、「総説 導電性カーボンブラックの現状」(日本印刷学会誌(第44巻第3号(2007) 第133-143頁) URL: https://doi.org/10.11413/nig.44.133 2 当審が通知した取消理由 当審が令和4年6月20日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 (1)取消理由A-1(甲1を主引用文献とする新規性) 本件訂正前の請求項1,4,7~8及び11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (2)取消理由A-2(甲4を主引用文献とする新規性) 本件訂正前の請求項1,4,7~8及び11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (3)取消理由A-3(甲5を主引用文献とする新規性) 本件訂正前の請求項1,4,7及び11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (4)取消理由B-1(甲1を主引用文献とする進歩性) 本件訂正前の請求項1,4,7~8及び11に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (5)取消理由B-2(甲4を主引用文献とする進歩性) 本件訂正前の請求項1,4,7~8及び11に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (6)取消理由B-3(甲5を主引用文献とする進歩性) 本件訂正前の請求項1,4~5,7及び11に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲5に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 第5 各甲に記載された事項 (1)甲1に記載された事項 甲1には、以下の事項が記載されている。 (甲1a) 「【請求項1】 〔A〕下記一般式(1): Z-R1-Rf-R1-Z (1) 〔式中、Rfは2価のパーフルオロポリエーテル含有基であり、R1は結合途中に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子及びイオウ原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子を介在してもよいし、アミド結合又はスルホンアミド結合を含有してもよい、置換又は非置換の2価の炭化水素基であり、またZは下記一般式(2): 【化1】 [図:0001400431000008.jpg] (R2、R3は同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基である。)で表される基である。〕で示される含フッ素有機ケイ素化合物、 〔B〕下記一般式(3)又は(4): (YO)eSiR44-e (3) 【化2】 [図:0001400431000009.jpg] (式中、Yは下記から選ばれる1価の基であり、 【化3】 [図:0001400431000010.jpg] R4は1価の有機基、R5は置換又は非置換の1価炭化水素基である。R1およびRfは上記と同様であり、eは2、3または4であり、fは1、2または3である。)で示される有機ケイ素化合物、 〔C〕縮合促進剤、 〔D〕完全フッ素化ポリエーテル を含有してなることを特徴とする硬化性組成物。 【請求項2】 〔D〕完全フッ素化ポリエーテルが、下記一般式(6)で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。 Rf”O-(CgF2gO)q-Rf” (6) [ここで、gは1~6の整数、qは2~200、Rf”はCfF2f+1-(fは1~6、特に1~3の整数)であらわされる基である。]」 (甲1b) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、縮合反応硬化型の硬化性組成物に関し、フッ素変性シリコーンゴムを与えるものである。」 (甲1c) 「【0014】 以下、本発明について更に詳しく説明する。 〔A〕含フッ素有機ケイ素化合物 本発明の〔A〕成分の含フッ素有機ケイ素化合物は、上記一般式(1)で表わされるように、両末端にSi-OH基を有するフッ素化ポリエーテルである。 【0015】 上記一般式(1)において、Rfは2価のパーフルオポリロエーテル含有基であり直鎖型であるか分岐型であるかは問わない。該パーフルオロポリエーテル構造としては、-CgF2gO-(式中、各単位のgは独立に1~6の整数である。)の多数の繰り返し単位を含むもので、例えば一般式(CgF2gO)hで示されるものなどが挙げられる。ここで、hは2~200、好ましくは2~150、より好ましくは2~100の整数である。 【0016】 上記式で示される繰り返し単位-CgF2gO-としては、例えば下記の単位等が挙げられる。なお、上記パーフルオロアルキルエーテル構造は、これらの繰り返し単位の1種単独で構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。 -CF2O- -CF2CF2O- -CF2CF2CF2O- -CF(CF3)CF2O- -CF2CF2CF2CF2O- -CF2CF2CF2CF2CF2CF2O- -C(CF3)2O- 【0017】 パーフルオロポリエーテル基の場合、各種鎖長のパーフルオロエーテル基が含まれるが、これらの中では、特に下記単位で示される炭素数1~4程度のパーフルオロエーテル基を繰返し単位とするパーフルオロポリエーテルである。 -CF2O- -CF2CF2O- -CF2CF2CF2O- -CF(CF3)CF2O- 【0018】 また、上記式(1)において、2価のパーフルオロポリエーテル含有基としては、下記一般式で示される基から選ばれるものが好ましい。 【0019】 【化5】 [図:0001400431000011.jpg] (ここで、m+n=2~200、好ましくは2~150、より好ましくは2~100の整数である。) 【0020】 一般式(1)において、R1は2価の有機基であり、特に、結合途中に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子及びイオウ原子の1種又は2種以上を介在してもよいし、アミド結合又はスルホンアミド結合を含有してもよい、置換又は非置換の2価炭化水素基であるが、この2価炭化水素基としては、炭素数2~20のものが好ましい。ここで、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子又はイオウ原子を介在せず、かつアミド結合又はスルホンアミド結合を含有しない、置換又は非置換の2価炭化水素基の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基;これらアルキレン基とアリーレン基との組み合わせ;及びこれらアルキレン基及びアリーレン基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。 【0021】 上記2価炭化水素基において、酸素原子は-O-として、窒素原子は-NR-(Rは水素原子又は炭素数1~10のアルキル基又はアリール基)又は-N=として、ケイ素原子は-SiR’R”-(R’、R”は各々炭素数1~10のアルキル基又はアリール基)として、イオウ原子は-S-として介在することができる。また、アミド基は-CONR-(Rは上記と同じ)として、またスルホンアミド基は-SO2NR-(Rは上記と同じ)として介在することができる。このような結合途中に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子又はイオウ原子が介在するか、あるいはアミド結合又はスルホンアミド結合を含有する2価炭化水素基の具体例としては、下記のものが挙げられる。なお、下記式でMeはメチル基、Phはフェニル基であり、また下記の各式において左側にRf基、右側にZ基が結合する。 【0022】 【化6】 [図:0001400431000012.jpg] 」 (甲1d) 「【0027】 〔B〕有機ケイ素化合物 本発明の〔B〕成分の有機ケイ素化合物は、上記一般式(3)又は(4)で表わされるように、水分を必要とせずにSi-OH基と縮合反応するSi-OY基を分子中に2個以上有する化合物である。 ・・・ 【0032】 なお、式(3)又は(4)において、Rf、R1は前記の通りであり、また、各式において、eは2又は3、fは1,2又は3、gは2又は3である。 ・・・ 【0045】 その他の配合剤 硬化物の物性を調整する等のために、種々の配合剤を添加することも可能である。例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロペノキシシラン、ビニルトリブタノキシムシラン、メチルトリアセトキシシラン等の保存安定剤;煙霧質シリカ、沈降性シリカ、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、炭素粉末、タルク、ベントナイト等の補強剤;アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤;顔料、染料等の着色剤;ベンガラ、酸化セリウム等の耐熱性向上剤;耐寒性向上剤;脱水剤;防錆剤;β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等の接着性向上剤;トリオルガノシロキシ単位及びSiO2単位よりなる網状ポリシロキサン等の液状補強剤が挙げられる。 ・・・ 【0047】 本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、自動車用オイルシール材、化学装置のシーリング材、電気電子用シーリング材、ポッティング材、コーティング材、接着剤等に有用である。」 (甲1e) 「【実施例】 【0048】 以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例で部は質量部を示す。 【0049】 〔実施例1〕 下記式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物100部、下記式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物15.0部、表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム25部、DEMNUM S-65(完全フッ素化ポリエーテル;ダイキン工業(株)製)5.0部、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.57部、ジブチルスズジメトキシド0.5部をミキサーで混合、減圧脱泡して組成物1を得た。 【0050】 【化11】 [図:0001400431000013.jpg] 【0051】 【化12】 [図:0001400431000014.jpg] 【0052】 上記組成物を厚さ2mmのシート状に成型して23℃にて7日間硬化させ、JIS K 6251およびJIS K 6253に従いゴムの物性(引張強さ、切断時伸び、硬さ)を測定した。また、JIS K 6850に準じて、接着厚さ1mmのせん断接着試験片を作製し、23℃にて7日間硬化させた後の接着力を測定した。結果を表1に示す。 【0053】 〔実施例2〕 実施例1で使用したDEMNUM S-65(完全フッ素化ポリエーテル;ダイキン工業(株)製)の配合量を10部にした以外は同処方で組成物2を得た。 【0054】 この組成物を実施例1と同様に硬化させ、ゴムの物性を測定したところ、硬度(JIS-A)26、引張強さ9.4kgf/cm2、伸び150%であった。 ・・・ 【0057】 〔比較例1〕 実施例1において、DEMNUM S-65(完全フッ素化ポリエーテル;ダイキン工業(株)製)を配合しないこと以外は同処方で組成物3を得た。この組成物を実施例1と同様に、厚さ2mmのシート状に成型して23℃にて7日間硬化させ、JIS K 6251およびJIS K 6253に従いゴムの物性(引張強さ、切断時伸び、硬さ)を測定した。また、JIS K 6850に準じて、接着厚さ1mmのせん断接着試験片を作製し、23℃にて7日間硬化させた後の接着力を測定した。結果を表1に示す。 【0058】 〔実施例3〕 式(7)の含フッ素有機ケイ素化合物100部、式(8)の含フッ素有機ケイ素化合物5.4部、下記式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物10.0部、表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム25部、FOMBLIN Y45(完全フッ素化ポリエーテル;ソルベイソレクシス(株)製)10.0部、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.55部、ジブチルスズジメトキシド0.3部をミキサーで混合、脱泡して組成物4を得た。 【0059】 【化13】 [図:0001400431000015.jpg] 【0060】 この組成物を実施例1と同様に、厚さ2mmのシート状に成型して23℃にて7日間硬化させ、JIS K 6251およびJIS K 6253に従いゴムの物性(引張強さ、切断時伸び、硬さ)を測定した。また、JIS K 6850に準じて、接着厚さ1mmのせん断接着試験片を作製し、23℃にて7日間硬化させた後の接着力を測定した。結果を表1に示す。 【0061】 〔比較例2〕 実施例3において、FOMBLIN Y45(完全フッ素化ポリエーテル;ソルベイソレクシス(株)製)を配合しないこと以外は同処方で組成物5を得た。 【0062】 この組成物を実施例1と同様に、厚さ2mmのシート状に成型して23℃にて7日間硬化させ、JIS K 6251およびJIS K 6253に従いゴムの物性(引張強さ、切断時伸び、硬さ)を測定した。また、JIS K 6850に準じて、接着厚さ1mmのせん断接着試験片を作製し、23℃にて7日間硬化させた後の接着力を測定した。結果を表1に示す。 【0063】 【表1】 [図:0001400431000016.jpg] 【0064】 実施例1、2と比較例1および実施例3と比較例2を比べると、完全フッ素化ポリエーテルを配合した組成物の硬化物は切断時伸びが大きく、これによって低モジュラス化していることがわかる。また、接着性も向上していることがわかる。」 (2)甲2に記載された事項 甲2には、以下の事項が記載されている。 (甲2a) 「 [図:0001400431000017.jpg] 」(第35頁左欄「1・3 極微細炭酸カルシウム」の第3-4段落) (甲2b) 「 [図:0001400431000018.jpg] 」(第37頁) (3)甲3に記載された事項 甲3には、以下の事項が記載されている。 (甲3a) 「【請求項1】 (A)(A1)両末端がトリアルコキシシリル基で封鎖された直鎖状のポリオルガノシロキサンの20~100質量%と(A2)両末端がジアルコキシシリル基で封鎖された直鎖状のポリオルガノシロキサンの80~0質量%の混合物からなるポリオルガノシロキサン混合物の100質量部、 (B)無機充填剤の1~100質量部、 (C)一般式:R1aSi(OR2)4-a (式中、R1は1価炭化水素基、R2はアルキル基又はアルコキシ置換アルキル基、aは0、1、又は2である。) で表されるアルコキシシランの部分加水分解縮合物の0.5~15質量部、 (D)チタンキレート触媒の0.1~10質量部、及び (E)接着性付与剤の0.01~5質量部 を含有することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。 【請求項2】 前記(B)無機充填剤は炭酸カルシウム又はシリカ粉末からなることを特徴とする請求項1に記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。 ・・・」 (甲3b) 「【0044】 炭酸カルシウムとしては、例えば、重質炭酸カルシウムや合成(軽質)炭酸カルシウムを使用することができる。炭酸カルシウムは、補強性の充填剤であり、硬化前の組成物に高い流動性と粘稠性を付与し、耐スランプ性やチキソ性を付与する。炭酸カルシウムの粒径(平均粒径)は、0.01~10μmの範囲であることが好ましい。炭酸カルシウムの平均粒径が10μmを超えると、硬化物の機械的性質が低下するばかりでなく、硬化物の伸張性が十分でなくなる。また、平均粒径が0.01μm未満の場合には、硬化前の組成物の粘度が著しく上昇し流動性が低下する。なお、この平均粒径の値は、電子顕微鏡による画像解析によって測定された値、比表面積から換算された平均粒径、粒度分布からの質量換算による50%径から求められた平均粒径、あるいはレーザー回折・散乱法で測定された平均粒径のいずれであってもよい。」 (甲3c) 「【0060】 (E)接着性付与剤として、下記式(3)に示されるイソシアヌル酸1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]のようなイソシアヌレート化合物を使用することもできる。 【0061】 【化3】 [図:0001400431000019.jpg] 【0062】 (E)接着性付与剤として使用されるイソシアヌレート化合物としては、上記イソシアヌル酸1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]の窒素原子に結合した(トリメトキシシリル)プロピル基の1つ又は2つが、2-プロペニル基や(ジメトキシシリルメチル)プロピル基に変換された化合物を用いてもよい。 ・・・ 【0070】 実施形態の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、表面硬化性及び深部硬化性に優れ、またその硬化物は上述のような優れた機械的性質を有するため、例えば、電気・電子機器、建築用構造物、土木工事用構造物などの用途における接着剤、シーリング剤として好適である。特に、硬化物からのシミだしがないことから、外観の重視される用途に適している。」 (甲3d) 「【実施例】 【0074】 以下、本発明の実施例について記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、部は質量部を示し、粘度は23℃における値である。 【0075】 以下の実施例及び比較例において使用した各成分は次のものである。 A1-1:両末端がトリメトキシシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度22Pa・s、平均重合度1020) A2-1:両末端がメチルジメトキシシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度11Pa・s、平均重合度820) A3:両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度:0.1Pa・s、平均重合度90) 【0076】 B1:脂肪酸(ステアリン酸)で表面処理された軽質炭酸カルシウム(平均粒子径:0.05μm) B2:未処理の重質炭酸カルシウム(平均粒子径:2.2μm) B3:乾式シリカ(BET法による比表面積:130m2/g) 【0077】 C1:メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(平均重合度:7(7量体)) C2:メチルトリメトキシシラン 【0078】 D:ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン E:イソシアヌル酸1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル] 【0079】 (C1:メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物の調整) (C1)メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物は次のように調製した。メチルトリメトキシシランに塩酸水を滴下し、70℃に加熱し、5時間程度攪拌して縮合反応させた。その後、中和、脱溶媒して(C1)メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物を得た。得られた(C1)メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物における平均重合度の近似値は、(C1)メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物の重量平均分子量/90によって概算した。 【0080】 (実施例1) (A1-1)両末端がトリメトキシシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度22Pa・s、平均重合度1020)80質量部と、(A2-1)両末端がメチルジメトキシシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度11Pa・s、平均重合度820)20質量部を混合して、ポリオルガノシロキサン混合物100質量部を調製した。このポリオルガノシロキサン混合物100質量部に、(B1)脂肪酸で表面処理された軽質炭酸カルシウム45質量部、(B2)未処理の重質炭酸カルシウム5質量部、(C1)メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(平均重合度:7)3.5質量部、(D)ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン1.0質量部、(E)イソシアヌル酸1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]0.5質量部を混合して、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。 ・・・」 (4)甲4に記載された事項 甲4には、以下の事項が記載されている。 (甲4a) 「【請求項1】(A)主鎖中にパーフルオロアルキレン構造およびパーフルオロポリエーテル構造からなる群から選ばれる少なくとも1種を有し、かつ分子鎖両末端に加水分解性シリル基を有する直鎖状フッ素ポリマー化合物、(B)1分子中にシラノール基を少なくとも2個有する有機ケイ素化合物、および、(C)縮合促進剤を含有してなる室温硬化性フッ素ポリマー系組成物。 【請求項2】(A) 成分が下記の一般式: Y-[R1-(Rf-R2)a-Rf-R1]-Y 〔式中、Rfはパーフルオロアルキレン基、2価のパーフルオロポリエーテル基またはパーフルオロアルキレン基と2価のパーフルオロポリエーテル基の組合せからなる2価の基であり、R1およびR2は同一でも異なってもよく、置換または非置換の2価炭化水素基(ただし、該炭化水素基は酸素原子、窒素原子およびケイ素原子の1種または2種以上を含んでもよい)であり、aは0以上の整数であり、Yは加水分解性シリル基である〕で示される化合物である請求項1記載の室温硬化性フッ素ポリマー系組成物。 【請求項3】請求項1または2に記載の組成物を硬化させることからなる硬化物の製造方法。」 (甲4b) 「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、縮合硬化型の室温硬化性フッ素ポリマー系組成物に関するものであり、特に速硬化性および深部硬化性に優れる組成物に関する。」 (甲4c) 「【0006】(A)直鎖状フッ素ポリマー化合物 (A)成分の直鎖状フッ素ポリマー化合物(以下、フッ素ポリマー(A) という)は、本発明の組成物の主成分である。 【0007】このフッ素ポリマー(A) の好ましい例は、下記の一般式(1): Y-[R1-(Rf-R2)a-Rf-R1]-Y (1) 〔式中、Rfはパーフルオロアルキレン基、2価のパーフルオロポリエーテル基またはパーフルオロアルキレン基と2価のパーフルオロポリエーテル基の組合せからなる2価の基であり、R1およびR2は同一でも異なってもよく、置換または非置換の2価炭化水素基(ただし、該炭化水素基は酸素原子、窒素原子およびケイ素原子の1種または2種以上を含んでもよい)であり、aは0以上、好ましくは0~10の整数であり、Yは加水分解性シリル基である〕で示されるものである。一般式(1)において、Rfにより表されるパーフルオロアルキレン基としては、例えば一般式(2): -CmF2m- (2) 〔ただし、mは1~10の整数であり、好ましくは1~6の整数である〕で示す直鎖状または分岐状のものが挙げられる。 【0008】また、Rfにより表される2価のパーフルオロポリエーテル基としては、一般式(3): -(Rf’-O)q- (3) 〔式中、複数のRf’は同一または異なってもよく、炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~3の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基であり、qは1~500の整数、好ましくは2~400の整数、さらに好ましくは10~200の整数である〕で示すものが挙げられる。一般式(3)において、式:-(Rf’-O)-の構造単位の具体例としては、-CF2O-,-CF2CF2O-,-CF2CF2CF2O-,-CF(CF3)CF2O-,-CF2CF2CF2CF2O-,-CF2CF2CF2CF2CF2CF2O-,および-C(CF3)2O-等が挙げられる。特に好ましいのは、-CF2O-,-CF2CF2O-,-CF2CF2CF2O-および-CF(CF3)CF2O-である。 【0009】Rfの具体例としては、-C4F8-,-C6F12-,-[CF(CF3)OCF2]3[CF2OCF(CF3)]2-,-[CF(CF3)OCF2]15[CF2OCF(CF3)]15-,-[CF(CF3)OCF2]m[CF2OCF(CF3)]n-〔ただし、n+mは平均値で38である〕,-CF2CF2OCF2(CF2)2CF2OCF2CF2-,-CF2CF2OCF2CF(CF3)OCF2(CF2)2CF2OCF(CF3)CF2OCF2CF2-,-CF2(OCF2CF2)n(OCF2)mOCF2-〔ただし、nは平均値で5~50の整数、mは平均値で1~10の整数である〕,-CF(CF3)[OCF(CF3)CF2]n(OCF2)mOCF(CF3)-〔ただし、nは平均値で5~50の整数、mは平均値で1~10の整数である〕,-CF2CF2(OCF2CF2CF2)nOCF2CF2-〔ただし、nは平均で5~100の整数である〕,-[CF(CF3)OCF2]n[CF2OCF(CF3)]m-〔ただし、n+mは平均値で2~200の整数、好ましくは30~110の整数である〕および-[CF(CF3)OCF2]n(CF2)2[CF2OCF(CF3)]m-〔ただし、n+mは平均値で20~110の整数〕が挙げられる。 【0010】R1およびR2は、炭素原子数1~20の2価炭化水素基が好ましく、特に炭素原子数2~10の炭化水素基が好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基;これらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子で置換した基;および置換または非置換のアルキレン基とアリーレン基の組合せが例示される。 【0011】R1およびR2は、その構造中に酸素原子、窒素原子およびケイ素原子の1種または2種以上を含んでもよい。この場合、酸素原子、窒素原子およびケイ素原子は、それぞれ、-O-または=C=O結合;-NR’-結合〔R’は、水素原子、アリール基または炭素原子数1~8、特に1~6のアルキル基である〕;下記に示すような直鎖状または環状のオルガノシロキシ基・オルガノシリレン基として炭化水素基内にまたは炭化水素基の末端に存在することができる。 【0012】 【化1】 [図:0001400431000020.jpg] 〔ただし、R’’は置換または非置換の炭素原子数1~8の1価炭化水素基であり、R’’’はアリーレン基または炭素原子数1~6のアルキレン基であり、nは0~10の整数、好ましくは0~5の整数である。〕 上記のR’’として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert- ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;およびこれらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子で置換した基(例えば、クロロメチル基、ブロモエチル基、クロロプロピル基、トリフルオロプロピル基、ノナフルオロヘキシル基)が挙げられる。R1およびR2の具体例として、下記の基を例示することができる。 【0013】 【化2】 [図:0001400431000021.jpg] 【0014】 【化3】 [図:0001400431000022.jpg] 【0015】 【化4】 [図:0001400431000023.jpg] 【0016】 【化5】 [図:0001400431000024.jpg] 【0017】 【化6】 [図:0001400431000025.jpg] 【0018】 【化7】 [図:0001400431000026.jpg] 」 (甲4d) 「【0034】室温硬化性組成物の調製 本発明の室温硬化性組成物を1液型として調製する場合、前記の(A)~(C)成分および必要に応じてその他の配合剤を乾燥雰囲気中で均一に混合することにより、組成物を得ることができる。2液型として調製する場合には、例えばフッ素ポリマー(A)と縮合促進剤(C)を含む液と、シラノール化合物(B)を含む液との2液梱包とし、硬化物を使用するときに、これら2液を混合する。2液型は、2液を例えば二連カートリッジに同体積ずつ梱包し、ミキサー付きノズルより混合押出しするというように1:1に配分することも可能であるので、作業しやすいという効果がある。混合時の温度は、室温~60℃の範囲がよい。本発明の室温硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、自動車用オイルシール材、化学装置のシーリング材、電気電子用シーリング材、ポッティング材等に有用である。」 (甲4e) 「【0050】〔実施例4〕 下記式: 【0051】 【化21】 [図:0001400431000027.jpg] 〔式中、Rfは式: 【0052】 【化22】 [図:0001400431000028.jpg] (ここで、m+nは平均値で94である) で表される2価の基である〕 【0053】 で示される直鎖状化合物〔粘度18700 cSt(25℃)、分子鎖末端がメチルジアセトキシシリル基で封鎖〕 100重量部 下記式: HO-[Si(Me2)O]P-H で示されるジメチルポリシロキサン〔pは平均値で15〕 35重量部 ジフェニルジヒドロキシシラン 4.3重量部 γ-アミノプロピルトリエトキシシラン 1.0重量部 ジブチルスズジメトキサイド 0.2重量部 煙霧質シリカ 10重量部 および アセチレンブラックカーボン 1重量部 を無水の状態で混合して室温硬化性組成物を調製した。・・・」 (5)甲5に記載された事項 甲5には、以下の事項が記載されている。 (甲5a) 「【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 [図:0001400431000029.jpg] 式中、aは0以上の整数、bは2または3 R1およびR3は同一でも異なってもよく、非置換または置換一価炭化水素基、R2 は同一でも異なってもよく、非置換または置換二価炭化水素基、Xは加水分解可能基、Rfは同一でも異なってもよく、二価パーフルオロアルキレン基または二価パーフルオロアルキルエーテル基、Qは結合途中に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子を含んでもよい二価炭化水素基で表わされる含フッ素有機化合物を含有して成る室温硬化性組成物。 【請求項2】 請求項1の組成物を硬化して得られる硬化物。」 (甲5b) 「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、湿気の作用により容易に硬化する室温硬化性組成物に関するものであり、特に耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性、耐寒性に優れた硬化物を形成し得る硬化性組成物に関するものである。」 (甲5c) 「【0008】前記一般式(1)において、非置換または置換一価炭化水素基R1およびR3としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、イソプロペノキシ基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;及びこれらの基の水素原子の一部もしくは全部をハロゲン等で置換した基、例えば3,3,3-トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル基、クロロメチル基、3-クロロプロピル基等を例示することができる。本発明において、特に好適なR1は、メチル基、フェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基である。」 (甲5d) 「【0011】含フッ素基Rfは、二価パーフルオロアルキレン基または二価パーフルオロアルキルエーテル基である。この二価パーフルオロアルキレン基としては、炭素数が4~8のものが好適であり、特に好適なものは、-C4F6-,-C6 F12-である。また二価パーフルオロアルキルエーテル基としては、炭素数が6~100のものが好適であり、特に好適なものは、以下の通りである。 【0012】 【化3】 [図:0001400431000030.jpg] 【0013】また、結合途中に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子を含んでもよい二価炭化水素基としては以下の基が例示される 【化4】 [図:0001400431000031.jpg] 」 (甲5e) 「【0018】この硬化性組成物は、建築、土木産業におけるシーリング材、コーティング材として適しているほか、電気、電子部品の接着、シール材および自動車産業におけるFIPG材料としても非常に有用なものである。」 (甲5f) 「【0024】実施例3 下記式(4): 【化7】 [図:0001400431000032.jpg] 【0025】で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物100g、煙霧質シリカ10g、アセチレンブラックカーボン1g、ビニルトリイソプロペノキシシラン3g、ジブチルスズジメトキサイド0.1g及び下記式(5)で示される化合物0.5gを無水の状態で混合して室温硬化性組成物を調整した。 【化8】 [図:0001400431000033.jpg] この組成物を実施例1と同様な方法により硬化させたところゴム弾性体が得られた。実施例1と同様にこのゴム弾性体の物性を測定したところ、表1に示した結果が得られた。」 (6)甲6に記載された事項 甲6には、以下の事項が記載されている。 (甲6a) 「 [図:0001400431000034.jpg] [図:0001400431000035.jpg] 」(第134~135頁の「2.1 粒子径」欄) (甲6b) 「 [図:0001400431000036.jpg] 」(第142頁。なお、N0.21~23の枠線は当審が付した。) 第6 当審の判断 当審は、特許異議申立書に記載された申立ての理由及び当審が通知した取消理由によっては、本件発明1~16に係る特許を取り消すことはできないと判断する。以下、検討・詳述する。 1 取消理由A-1~A-3(新規性)、取消理由B-1~B-3(進歩性)、申立理由1-1~1-3(新規性)及び申立理由2-1~2-3(進歩性)について 取消理由A-1~A-3(新規性)、取消理由B-1~B-3(進歩性)、申立理由1-1~1-3(新規性)及び申立理由2-1~2-3(進歩性)は、いずれも甲1、甲4又は甲5を主引用文献とする理由であるから、併せて検討する。 (1)甲1に記載された発明 上記摘記事項(甲1e)にある実施例1に着目すると、甲1には、 「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物100部、 [図:0001400431000037.jpg] 式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物15.0部、 [図:0001400431000038.jpg] 表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム25部、 DEMNUM S-65(完全フッ素化ポリエーテル;ダイキン工業(株)製)5.0部、 γ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.57部、および、 ジブチルスズジメトキシド0.5部、 をミキサーで混合、減圧脱泡して得られた硬化性組成物」の発明(以下「甲1発明A」という。)が記載されているといえる。 同様に、実施例2に着目すると、 「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物100部、 [図:0001400431000039.jpg] 式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物15.0部、 [図:0001400431000040.jpg] 表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム25部、 DEMNUM S-65(完全フッ素化ポリエーテル;ダイキン工業(株)製)10部、 γ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.57部、および、 ジブチルスズジメトキシド0.5部、 をミキサーで混合、減圧脱泡して得られた硬化性組成物」の発明(以下「甲1発明B」という。)が記載されているといえる。」 同様に、比較例1に着目すると、 「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物100部、 [図:0001400431000041.jpg] 式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物15.0部、 [図:0001400431000042.jpg] 表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム25部、 γ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.57部、および、 ジブチルスズジメトキシド0.5部、 をミキサーで混合、減圧脱泡して得られた硬化性組成物。」の発明(以下「甲1発明C」という。)が記載されているといえる。 同様に、実施例3に着目すると、 「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物100部、 [図:0001400431000043.jpg] 式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物5.4部、 [図:0001400431000044.jpg] 式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物10.0部、 [図:0001400431000045.jpg] 表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム25部、 FOMBLIN Y-45(完全フッ素化ポリエーテル;ソルベイソレクシス(株)製)10.0部、 N-β-(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン0.55部、および、 ジブチルスズジメトキシド0.3部、 をミキサーで混合、脱泡して得られた硬化性組成物」の発明(以下「甲1発明D」という。)が記載されているといえる。 同様に、比較例2に着目すると、 「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物100部、 [図:0001400431000046.jpg] 式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物5.4部、 [図:0001400431000047.jpg] 式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物10.0部、 [図:0001400431000048.jpg] 表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム25部、 N-β-(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン0.55部、および、 ジブチルスズジメトキシド0.3部、 をミキサーで混合、脱泡して得られた硬化性組成物」の発明(以下「甲1発明E」という。)が記載されているといえる。 (2)甲4に記載された発明 上記摘記事項(甲4e)の実施例4に着目すると、甲4には、 「【化21】で示される直鎖状化合物〔粘度18700 cSt(25℃)、分子鎖末端がメチルジアセトキシシリル基で封鎖〕100重量部、 【化21】 [図:0001400431000049.jpg] 〔式中、Rfは式: [図:0001400431000050.jpg] (ここで、m+nは平均値で94である)で表される2価の基である〕 式:HO-[Si(Me2)O]P-Hで示されるジメチルポリシロキサン〔pは平均値で15〕35重量部、 ジフェニルジヒドロキシシラン4.3重量部、 γ-アミノプロピルトリエトキシシラン1.0重量部、 ジブチルスズジメトキサイド0.2重量部、 煙霧質シリカ10重量部 および アセチレンブラックカーボン1重量部 を無水の状態で混合して調製された室温硬化性組成物」の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているといえる。 (3)甲5に記載された発明 上記摘記事項(甲5f)の実施例3に着目すると、甲5には、 「下記式(4)で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物100g、 [図:0001400431000051.jpg] 煙霧質シリカ10g、 アセチレンブラックカーボン1g、 ビニルトリイソプロペノキシシラン3g、 ジブチルスズジメトキサイド0.1g 及び下記式(5)で示される化合物0.5g [図:0001400431000052.jpg] を無水の状態で混合して調整した室温硬化性組成物」の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されているといえる。 (4)本件発明1について ア-1 甲1に記載された発明との対比 (ア)本件発明1と甲1発明Aとの対比 まず、本件発明1と甲1発明Aとを対比する。 甲1発明Aの「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、その両末端に「HO-Si」を1個ずつ含有するシラン化合物であり、かつ「―(C(CF3)FOCF2)p―(CF2OC(CF3)F)q―」なる構造を有するパーフルオロポリエーテルを含有するものであるから、本件発明1の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」であって、「式(1) 【化59】 [図:0001400431000053.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+1価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物」である(A)と、「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」である限りにおいて一致する。 甲1発明Aの「式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、本件発明1の式(1)の化合物には該当せず、Siと結合したメトキシ基を3個有するものであるから、本件発明1の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 また、甲1発明Aの「γ-アミノプロピルトリメトキシシラン」も、本件発明1の式(1)の化合物には該当せず、シラン(Si)にメトキシ基が3個結合しているものであるから、本件発明1の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 甲1発明Aの「ジブチルスズジメトキシド」は、甲1の明細書段落【0034】を参照すれば「縮合促進剤」であると解され、これは本件発明1の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲1発明Aの「表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム」は、本件明細書の段落【0305】に、「(D)無機充填剤としては、煙霧質酸化チタン等補強性充填剤;珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩;アルミノケイ酸、ケイ酸カルシウム、マイカ等のケイ酸塩;タルク;カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉等の導電性充填剤;これらの表面をトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の疎水化剤で処理したものが挙げられる。(D)無機充填剤は、表面処理シリカでないことが好ましい。これらのなかで、(D)無機充填剤は、カーボンブラックまたは炭酸カルシウムであることが好ましく、より好ましくはカーボンブラックである。」(下線は当審が付した。)と記載されていることを考慮すると、本件発明1の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」であって、「(D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである」ものと、「無機充填剤」であって「炭酸カルシウムである」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲1発明Aとは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物であって、(D)成分が炭酸カルシウムである、硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点1~2において相違する。 相違点1:パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物である(A)について、本件発明1は「式(1) 【化59】 [図:0001400431000054.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+1価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物」であるのに対し、甲1発明Aはそのような特定がなされていない点 相違点2:無機充填剤の粒径について、本件発明1は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲1発明Aは一次粒子径が不明である点 (イ)本件発明1と甲1発明B~Cとの対比 本件発明1と甲1発明B~Cとを、上記「(ア)本件発明1と甲1発明Aとの対比」での検討を踏まえて対比する。 甲1発明Aと「DEMNUM S-65(完全フッ素化ポリエーテル;ダイキン工業(株)製)」の配合量のみが異なる甲1発明B、および、甲1発明Aと「DEMNUM S-65(完全フッ素化ポリエーテル;ダイキン工業(株)製)」を含有しない点のみが異なる甲1発明Cは、どちらも、本件発明1との間に甲1発明Aと同じ上記相違点1~2があるものといえる。 (ウ)本件発明1と甲1発明D~Eとの対比 甲1発明Dと甲1発明Eとは、FOMBLIN Y45(完全フッ素化ポリエーテル:ソルベイソレクシス(株)製)を含有するか否かの違いしかないので、両者をあわせて本件発明1と対比する。 甲1発明D~Eの「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は甲1発明Aが含有するものと同じであり、上記(ア)にて説明したのと同様の理由で、本件発明1の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」であって、「式(1) 【化59】 [図:0001400431000055.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+1価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物」である(A)と、「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」である限りにおいて一致する。 また、甲1発明D~Eの「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、その両末端に「(CH3O)3-Si」を1個ずつ含有するシラン化合物であり、かつ「―(C(CF3)FOCF2)p―(CF2OC(CF3)F)q―」なる構造を有するパーフルオロポリエーテルを含有するものであるから、本件発明1の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」であって、「式(1) 【化59】 [図:0001400431000056.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+1価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物」である(A)と、「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」である限りにおいて一致する。 甲1発明D~Eの「式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、上記(ア)にて説明したのと同様の理由で、本件発明1の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 また、甲1発明D~Eの「N-β-(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン」はH2N-CH2-CH2-NH-(CH2)3-Si(OMe)3という構造式で表すことができ、本件発明1の式(1)の化合物には該当せず、シラン(Si)にメトキシ基が3個結合しているものでるから、本件発明1の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 甲1発明D~Eの「ジブチルスズジメトキシド」は、上記(ア)にて説明したのと同様の理由で、本件発明1の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲1発明D~Eの「表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム」は、上記(ア)にて説明したのと同様の理由で、本件発明1の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」であって、「(D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである」ものと、「無機充填剤」であって「炭酸カルシウムである」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲1発明D~Eとは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物であって、(D)成分が炭酸カルシウムである、硬化性組成物」 である点で一致し、上記相違点1~2と同じ点で相違する。 イ-1 判断 上記ア-1のとおり、甲1発明A~Eは、いずれも本件発明1と相違点1~2で相違するものなので、まとめて検討する。 まず、上記相違点1について検討する。 甲1発明A~Eが含有する「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」、「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、パーフルオロ(ポリ)エーテル基として「―(C(CF3)FOCF2)p―(CF2OC(CF3)F)q―」を有するものであるところ、これは―OCF2-CF2―、―OCF2-CF(CF3)―、―OCF(CF3)-CF2―および―OCF(CF3)-CF(CF3)―の4種類の繰り返し単位を含むものであるといえるものであり、炭素数が3である「―OCF2-CF(CF3)―」及び「―OCF(CF3)-CF2―」並びに炭素数が4である「―OCF(CF3)-CF(CF3)―」を有すると解されるから、パーフルオロ(ポリ)エーテル基における―(OC3F6)a3―のa3及び―(OC4F8)a4―のa4が共にゼロであることを特定する本件発明1の化合物(A)には包含されないものであるといえる。 また、甲1発明A~Eは、他に本件発明1の化合物(A)に相当する化合物を含有しているものともいえない。 したがって、本件発明1は、甲1発明A~Eと実質的に相違するから、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 次に、相違点1について、甲1発明A~E及び甲1~6に記載された事項から容易に発明をすることができたか否かについて検討する。 甲1の上記摘記(甲1c)には、パーフルオロポリエーテル含有基Rfとして多数の選択肢が記載されており、段落【0019】には好ましい態様の一つとして―CF2(OCF2CF2)n(OCF2)mOCF2―(ここで、m+n=2~200)も挙げられているものの、甲1発明A~Eの「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」又は「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」が含有するパーフルオロ(ポリ)エーテル基について多数の選択肢から、特に、上記―CF2(OCF2CF2)n(OCF2)mOCF2―(ここで、m+n=2~200)を選択して変更する積極的な動機があるものとはいえない。 また、甲2~6(特に、「第5 各甲に記載された事項」を参照)をみても、甲1発明A~Eにおいて、「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」又は「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」のパーフルオロポリエーテル基として「-(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。)」を有するものを用いることを動機づける記載はない。 加えて、本件発明1の効果を予測できるか否かについて検討する。 本件発明1は、本件明細書【0005】~【0006】の記載を参照するに、「硬化性組成物に特定範囲の粒子径を有する無機充填剤を配合すること」により、「塗布後に組成物が流れ出さず、流動性が抑えられた組成物を提供」するものであり、この点について、本件発明1の具体的態様であるといえる実施例1~7では組成物の流動性が抑えられていることが示されている(【0377】~【0389】、特に【0388】の【表1】及び【0390】の【表2】にある実施例1~7の欄参照)) 一方で、甲1及び甲2~6の記載を参照しても、組成物の流動性が抑えられることについて記載も示唆もない。 なお、甲3の上記摘記(甲3b)には、炭酸カルシウムは、補強性の充填剤であり、硬化前の組成物に高い流動性と粘稠性を付与し、耐スランプ性やチキソ性を付与すること、組成物において配合される炭酸カルシウムの粒径(平均粒径)は、0.01~10μmの範囲であることが好ましいこと及び平均粒径が0.01μm未満の場合には、硬化前の組成物の粘度が著しく上昇し流動性が低下することが記載されているが、当該記載から当業者は炭酸カルシウムの平均粒径が0.01~10μmの範囲では硬化前の組成物の粘度が低く流動性が「高い」ものと理解するところ、そこから一次粒子径が「0.01~0.1μm」である炭酸カルシウム等の無機充填剤を含むことで逆に流動性が(高くなることを)「抑えられる」という本件発明1の効果が予測できるとはいえない。 そうすると、甲1~6の記載から本件発明1が奏する効果を当業者が予測できるものとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ-1 甲1発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は甲1に記載された発明とはいえず、また甲1に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 ア-2 甲4発明との対比 次に、本件発明1と甲4発明とを対比する。 甲4発明の「【化21】で示される直鎖状化合物」は、その両末端に「(MeO)3Si」を1個ずつ含有するシラン化合物であり、かつ「 [図:0001400431000057.jpg] 」なる構造を有するパーフルオロポリエーテルである「Rf」を含有するものであるから、本件発明1の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」であって、「式(1) 【化59】 [図:0001400431000058.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+1価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物」である(A)と、「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」である限りにおいて一致する。 甲4発明の「式:HO-[Si(Me2)O]P-Hで示されるジメチルポリシロキサン〔pは平均値で15〕」は、本件発明1の式(1)の化合物には該当せず、両末端にOH-Siを1個ずつ有するものであるから、本件発明1の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 また、甲4発明の「ジフェニルジヒドロキシシラン」も、本件発明1の式(1)の化合物には該当せず、シラン(Si)に2個のヒドロキシ基が結合しているものであるから、本件発明1の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。更に、甲4発明の「γ-アミノプロピルトリエトキシシラン」も、本件発明1の式(1)の化合物には該当せず、シラン(Si)にエトキシ基が3個結合しているものであるから、本件発明1の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 甲4発明の「ジブチルスズジメトキサイド」は、上記ア-1の(ア)にて説明したのと同様の理由で、本件発明1の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲4発明の「アセチレンカーボンブラック」は、本件明細書の段落【0305】に、「(D)無機充填剤としては、煙霧質酸化チタン等補強性充填剤;珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩;アルミノケイ酸、ケイ酸カルシウム、マイカ等のケイ酸塩;タルク;カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉等の導電性充填剤;これらの表面をトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の疎水化剤で処理したものが挙げられる。(D)無機充填剤は、表面処理シリカでないことが好ましい。これらのなかで、(D)無機充填剤は、カーボンブラックまたは炭酸カルシウムであることが好ましく、より好ましくはカーボンブラックである。」(下線は当審が付した。)と記載されていることを考慮すると、本件発明1の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」であって、「(D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである」ものと、「無機充填剤」であって「カーボンブラックである」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲4発明とは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物であって、(D)成分がカーボンブラックである、硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点3~4において相違する。 相違点3:パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物である(A)について、本件発明1は「式(1) 【化59】 [図:0001400431000059.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+1価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物」であるのに対し、甲4発明はそのような特定がなされていない点 相違点4:無機充填剤の粒径について、本件発明1は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲4発明は一次粒子径が不明である点 イ-2 判断 まず、上記相違点3について検討する。 甲4発明が含有する「【化21】で示される直鎖状化合物」は、「―(C(CF3)FOCF2)m―(CF2OC(CF3)F)n―」なる構造を有するパーフルオロポリエーテルである「Rf」を含有するものであるところ、該Rfは―OCF2-CF2―、―OCF2-CF(CF3)―、―OCF(CF3)-CF2―および―OCF(CF3)-CF(CF3)―の4種類の繰り返し単位を含むものであるといえるものであり、炭素数が3である「―OCF2-CF(CF3)―」及び「―OCF(CF3)-CF2―」並びに炭素数が4である「―OCF(CF3)-CF(CF3)―」を有すると解されるから、パーフルオロ(ポリ)エーテル基における―(OC3F6)a3―のa3及び―(OC4F8)a4―のa4が共にゼロであることを特定する本件発明1の化合物(A)には包含されないものであるといえる。 また、甲4発明は、他に本件発明1の化合物(A)に相当する化合物を含有しているものともいえない。 したがって、本件発明1は、甲4発明と実質的に相違するから、本件発明1は、甲4に記載された発明であるとはいえない。 次に、相違点3について、甲4発明及び甲1~6に記載された事項から容易に発明をすることができたか否かについて検討する。 甲4の上記摘記(甲4b)には、Rfにより表されるパーフルオロポリエーテル基として多数の選択肢が記載されており、段落【0009】には好ましい態様の一つとして―CF2(OCF2CF2)n(OCF2)mOCF2―[ただし、nは平均値で5~50の整数、mは平均値で1~10の整数である]も挙げられているものの、甲4発明の「【化21】で示される直鎖状化合物」が含有するパーフルオロポリエーテル基について多数の選択肢から、特に、上記―CF2(OCF2CF2)n(OCF2)mOCF2―[ただし、nは平均値で5~50の整数、mは平均値で1~10の整数である]を選択して変更する積極的な動機があるものとはいえない。 また、甲1~3,5~6(特に、「第5 各甲に記載された事項」を参照)をみても、甲4発明の「【化21】で示される直鎖状化合物」が含有するパーフルオロポリエーテル基にとして「-(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。)」を有するものを用いることを動機づける記載はない。 加えて、上記(4)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、本件発明1が奏する組成物の流動性を抑える効果を予測できるとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲4発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ-2 甲4発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点4について検討するまでもなく、本件発明1は甲4に記載された発明とはいえず、また甲4に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 ア-3 甲5発明との対比 本件発明1と甲5発明とを対比する。 甲5発明の「式(4)で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物直鎖状化合物」は、加水分解性基であるジイソプロペノキシ基がシランに結合した構造を有するシラン化合物であり、かつ2個のアミド結合の間にパーフルオロポリエーテル基を含有するものであるから、本件発明1の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」であって、「式(1) 【化59】 [図:0001400431000060.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+1価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物」である(A)と、「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」である限りにおいて一致する。 甲5発明の「ビニルトリイソプロペノキシシラン」は、本件発明1の式(1)の化合物には該当せず、Siと結合する-O-C(CH3)=CH2を3個有するものであるから、本件発明1の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 また、甲5発明の「式(5)で示される化合物」も、本件発明1の式(1)の化合物には該当せず、シラン(Si)に3個のメトキシ基が結合しているものであるから、本件発明1の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 甲5発明の「ジブチルスズジメトキサイド」は、上記「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明1の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲5発明の「アセチレンブラックカーボン」は、上記「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明1の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」であって、「(D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである」ものと、「無機充填剤」であって「カーボンブラックである」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲5発明とは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物であって、(D)成分がカーボンブラックである、硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点5~6において一応相違する。 相違点5:パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物である(A)について、本件発明1は「式(1) 【化59】 [図:0001400431000061.jpg] (式中、 Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。) で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、 gは、0以上の整数であり、 jおよびkは、それぞれ1~9の整数であり、 hおよびiは、各出現においてそれぞれ独立して0~3の整数であるが、ただし、j+k個存在するhおよびiのうちの少なくとも2つは、0または1であるものとし、 X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、 X1’は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し、 X2は、j+1価の有機基を表し、 X2’は、k+1価の有機基を表し、 R3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であるが、ただし、R4はOR3ではないものとする。) で示される化合物」であるのに対し、甲5発明はそのような特定がなされていない点 相違点6:無機充填剤の粒径について、本件発明1は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲5発明は一次粒子径が不明である点 イ-3 判断 まず、上記相違点5について検討する。 甲5発明が含有する「式(4)で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物直鎖状化合物」は、「―(C(CF3)FOCF2)m―(CF2OC(CF3)F)n―」なるパーフルオロ(ポリ)エーテル基を有するものであるところ、該基は―OCF2-CF2―、―OCF2-CF(CF3)―、―OCF(CF3)-CF2―および―OCF(CF3)-CF(CF3)―の4種類の繰り返し単位を含むものであるといえるものであり、炭素数が3である「―OCF2-CF(CF3)―」及び「―OCF(CF3)-CF2―」並びに炭素数が4である「―OCF(CF3)-CF(CF3)―」を有すると解されるから、パーフルオロ(ポリ)エーテル基における―(OC3F6)a3―のa3及び―(OC4F8)a4―のa4が共にゼロであることを特定する本件発明1の化合物(A)には包含されないものであるといえる。 また、甲5発明は、他に本件発明1の化合物(A)に相当する化合物を含有しているものともいえない。 したがって、本件発明1は、甲5発明と実質的に相違するから、本件発明1は、甲5に記載された発明であるとはいえない。 次に、相違点5について、甲5発明及び甲1~6に記載された事項から容易に発明をすることができたか否かについて検討する。 甲5の上記摘記(甲5d)には、Rfにより表されるパーフルアルキレンエーテル基として多数の選択肢が記載されているものの、「式(4)で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物直鎖状化合物」におけるパーフルアルキレンエーテル基として「-(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。)」を有するものを用いることを動機づける記載はない。 また、甲1~4,6(特に、「第5 各甲に記載された事項」を参照)をみても、甲5発明の「式(4)で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物直鎖状化合物」におけるパーフルアルキレンエーテル基として「-(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3X106)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整であり、a1およびa2は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ0であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であるが、ただし、全てのX10が水素原子または塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7およびa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。)」を有するものを用いることを動機づける記載はない。 加えて、上記(4)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、本件発明1が奏する組成物の流動性を抑える効果を予測できるとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲5発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ-3 甲5発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点6について検討するまでもなく、本件発明1は甲5に記載された発明とはいえず、また甲5に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 (5)本件発明2について ア-1 甲1に記載された発明との対比 本件発明1と甲1発明D~Eとを対比する。ここで、甲1発明Dと甲1発明Eとは、FOMBLIN Y45(完全フッ素化ポリエーテル:ソルベイソレクシス(株)製)を含有するか否かの違いしかないので、両者をあわせて本件発明2と対比する。 甲1発明D~Eの「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、その両末端に「HO-Si」を1個ずつ含有するシラン化合物であり、かつ「―(C(CF3)FOCF2)p―(CF2OC(CF3)F)q―」なる構造を有するパーフルオロポリエーテルを含有するものであるから、本件発明2の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」に相当する。 また、甲1発明D~Eの「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、その両末端に加水分解可能な基である「(CH3O)3-Si」を1個ずつ、つまり1分子あたり合計2個含有するシラン化合物であり、かつ「―(C(CF3)FOCF2)p―(CF2OC(CF3)F)q―」なる構造を有するパーフルオロポリエーテル基を含有するものであるから、本件発明2の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」に相当する。 甲1発明D~Eの「式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、本件発明2の(A)には該当せず、Siと結合したメトキシ基を3個有するものであるから、本件発明2の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 また、甲1発明D~Eの「N-β-(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン」はH2N-CH2-CH2-NH-(CH2)3-Si(OMe)3という構造式で表すことができ、本件発明2の(A)には該当せず、シラン(Si)にメトキシ基が3個結合しているものでるから、本件発明2の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 甲1発明D~Eの「ジブチルスズジメトキシド」は、上記(4)の「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明2の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲1発明D~Eの「表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム」は、本件明細書の段落【0305】に、「(D)無機充填剤としては、煙霧質酸化チタン等補強性充填剤;珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩;アルミノケイ酸、ケイ酸カルシウム、マイカ等のケイ酸塩;タルク;カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉等の導電性充填剤;これらの表面をトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の疎水化剤で処理したものが挙げられる。(D)無機充填剤は、表面処理シリカでないことが好ましい。これらのなかで、(D)無機充填剤は、カーボンブラックまたは炭酸カルシウムであることが好ましく、より好ましくはカーボンブラックである。」(下線は当審が付した。)と記載されていることを考慮すると、本件発明2の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」と、「無機充填剤」である限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明2と甲1発明D~Eとは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点7~8で相違する。 相違点7:(B)について、本件発明2は「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を(A)に対して0.01~30質量%含むものであるのに対し、甲1発明D~Eはそのような特定がなされていない点 相違点8:無機充填剤の粒径について、本件発明1は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲1発明D~Eは一次粒子径が不明である点 イ-1 判断 まず、上記相違点7について検討する。 甲1発明D~Eの「式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」1分子中に含まれるアルコキシシリル基は1個であるから、1分子中に含有するアルコキシシリル基が2個以上である(B3)には包含されないものといえる。 甲1発明D~Eが含有する「N-β-(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン」はH2N-CH2-CH2-NH-(CH2)3-Si(OMe)3という構造式で表すことができるものであり、1分子中に含有するアルコキシシリル基は1個であるから、1分子中に含有するアルコキシシリル基が2個以上である(B3)には包含されないものといえる。 また、甲1発明D~Eが含有する「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、上記ア-1にて検討したとおり本件発明2の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」に相当するものであるところ、本件発明2における(B)は「(A)を除く」とされ、(A)に該当する化合物は(B)になり得ないのであるから、当該「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」が(A)を除くことを特定する本件発明2の(B)及び(B3)に相当しないものであることは明らかである。 そして、甲1発明D~Eは、他に本件発明2の化合物(B3)に相当する化合物を含有しているものともいえない。 したがって、本件発明2は、甲1発明D~Eと実質的に相違するから、本件発明2は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 次に、相違点7について、甲1発明D~E及び甲1~6に記載された事項から容易に発明をすることができたか否かについて検討する。 甲1の上記摘記事項及びその他の記載を参照しても、甲1には、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、を除く。)またはその部分加水分解縮合物」であって、「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を用いることを動機づける記載はない。 また、甲2~6(特に、「第5 各甲に記載された事項」を参照)をみても、甲1発明D~Eにおいて、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、を除く。)またはその部分加水分解縮合物」であって、「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を(A)に対して0.01~30質量%含有させることを動機づける記載はない。 加えて、本件発明2の効果を予測できるか否かについて検討する。 本件発明2は、本件明細書【0005】~【0006】の記載を参照するに、「硬化性組成物に特定範囲の粒子径を有する無機充填剤を配合すること」により、「塗布後に組成物が流れ出さず、流動性が抑えられた組成物を提供」するものであり、この点について、本件発明2の具体的態様であるといえる実施例3,4,6,7では組成物の流動性が抑えられていることが示されている(【0377】~【0389】、特に【0388】の【表1】及び【0390】の【表2】にある実施例3,4,6,7の欄参照)) 一方で、上記(4)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、組成物の流動性が抑えられることについて記載も示唆もない。 そうすると、甲1及び甲2~6の記載から本件発明2が奏する効果を当業者が予測できるものとはいえない。 したがって、本件発明2は、甲1発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立人は令和4年12月13日受理の意見書にて、本件発明2に関し、「なお、本件請求項2における(A)成分の規定と(B)成分の規定は、『(ただし、(A)を除く。)』の制約があるにもかかわらず、例えば、甲1発明(実施例3)の「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物のような特定の単独の成分を、本件請求項2の(A)成分及び(B)成分のいずれもが文言上包含するものであって、互いに重複部分を含むいわゆるdouble-inclusionであって、(A)成分と(B)成分とが明確に区別(差別化)されていない点において、請求項2の規定自体が不備であると言わざるを得ない。」と主張する。 しかしながら、本件発明2の(A)成分及び(B)成分に関する特定である「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」及び「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」をみれば、(B)成分は(A)成分を除くとあり、除かれる対象の(A)は「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」であることが理解できるところ、「(A)成分であって、(B)で特定された構造を有する化合物」は、(A)成分に該当する限りは(B)成分にはなり得ないことは明らかであるから、上記主張は採用できず、上記主張によって上記「イ 判断」に影響が及ぶものではない。 エ 甲1発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点8について検討するまでもなく、本件発明2は甲1に記載された発明とはいえず、また甲1に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 ア-2 甲4発明との対比 本件発明2と甲4発明とを対比する。 甲4発明の「【化21】で示される直鎖状化合物」は、その両末端に「(MeO)3Si」を1個ずつ含有するシラン化合物であり、かつ「 [図:0001400431000062.jpg] 」なる構造を有するパーフルオロポリエーテルである「Rf」を含有するものであるから、本件発明1の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」に相当する。 甲4発明の「式:HO-[Si(Me2)O]P-Hで示されるジメチルポリシロキサン〔pは平均値で15〕」は、本件発明2の(A)には該当せず、両末端にOH-Siを1個ずつ有するものであるから、本件発明2の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 また、甲4発明の「ジフェニルジヒドロキシシラン」も、本件発明2の(A)には該当せず、シラン(Si)に2個のヒドロキシ基が結合しているものであるから、本件発明2の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 甲4発明の「ジブチルスズジメトキサイド」は、上記(4)の「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明2の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲4発明の「アセチレンカーボンブラック」は、本件明細書の段落【0305】に、「(D)無機充填剤としては、煙霧質酸化チタン等補強性充填剤;珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩;アルミノケイ酸、ケイ酸カルシウム、マイカ等のケイ酸塩;タルク;カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉等の導電性充填剤;これらの表面をトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の疎水化剤で処理したものが挙げられる。(D)無機充填剤は、表面処理シリカでないことが好ましい。これらのなかで、(D)無機充填剤は、カーボンブラックまたは炭酸カルシウムであることが好ましく、より好ましくはカーボンブラックである。」(下線は当審が付した。)と記載されていることを考慮すると、本件発明2の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」と、「無機充填剤」である限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明2と甲4発明とは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点9~10において相違する。 相違点9:(B)について、本件発明2は「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を(A)に対して0.01~30質量%含むものであるのに対し、甲4発明はそのような特定がなされていない点 相違点10:無機充填剤の粒径について、本件発明2は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲4発明は一次粒子径が不明である点 イ-2 判断 まず、上記相違点9について検討する。 甲4発明が含有する「式:HO-[Si(Me2)O]P-Hで示されるジメチルポリシロキサン〔pは平均値で15〕」はアルコキシシリル基を含有しておらず、1分子中に含有するアルコキシシリル基が2個以上である(B3)には包含されないものといえる。 また、甲4発明が含有する「ジフェニルジヒドロキシシラン」もアルコキシシリル基を含有しておらず、1分子中に含有するアルコキシシリル基が2個以上である(B3)には包含されないものといえる。 そして、甲4発明は、他に本件発明2の化合物(B3)に相当する化合物を含有しているものともいえない。 したがって、本件発明2は、甲4発明と実質的に相違するから、本件発明2は、甲4に記載された発明であるとはいえない。 次に、相違点9について、甲4発明及び甲1~6に記載された事項から容易に発明をすることができたか否かについて検討する。 甲4の上記摘記事項及びその他の記載を参照しても、甲4には、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、を除く。)またはその部分加水分解縮合物」であって、「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を用いることを動機づける記載はない。 また、甲1~3,5~6(特に、「第5 各甲に記載された事項」を参照)をみても、甲4発明において、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、を除く。)またはその部分加水分解縮合物」であって、「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を(A)に対して0.01~30質量%含有させることを動機づける記載はない。 加えて、上記(5)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、本件発明2が奏する組成物の流動性を抑える効果を予測できるとはいえない。 したがって、本件発明2は、甲4発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ-2 甲4発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点10について検討するまでもなく、本件発明2は甲4に記載された発明とはいえず、また甲4に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 ア-3 甲5発明との対比 本件発明2と甲5発明とを対比する。 甲5発明の「式(4)で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物直鎖状化合物」は、加水分解性基であるジイソプロペノキシ基がシランに結合した構造を有するシラン化合物であり、かつ2個のアミド結合の間にパーフルオロポリエーテル基を含有するものであるから、本件発明2の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」に相当する。 甲5発明の「ビニルトリイソプロペノキシシラン」は、本件発明2の(A)には該当せず、Siと結合する-O-C(CH3)=CH2を3個有するものであるから、本件発明2の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 また、甲5発明の「式(5)で示される化合物」も、本件発明2の(A)には該当せず、シラン(Si)に3個のメトキシ基が結合しているものであるから、本件発明2の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 甲5発明の「ジブチルスズジメトキサイド」は、上記「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明2の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲5発明の「アセチレンブラックカーボン」は、上記「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明2の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」と、「無機充填剤」である限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明2と甲5発明とは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点11~12において相違する。 相違点11:(B)について、本件発明2は「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を(A)に対して0.01~30質量%含むものであるのに対し、甲5発明はそのような特定がなされていない点 相違点12:無機充填剤の粒径について、本件発明2は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲5発明は一次粒子径が不明である点 イ-3 判断 まず、上記相違点11について検討する。 甲5発明が含有する「ビニルトリイソプロペノキシシラン」はアルコキシシリル基を含有しておらず、1分子中に含有するアルコキシシリル基が2個以上である(B3)には包含されないものといえる。 また、甲5発明が含有する「式(5)で示される化合物」も、アルコキシシリル基を1個含有するものであるから、1分子中に含有するアルコキシシリル基が2個以上である(B3)には包含されないものといえる。 そして、甲5発明は、他に本件発明2の化合物(B3)に相当する化合物を含有しているものともいえない。 したがって、本件発明2は、甲5発明と実質的に相違するから、本件発明2は、甲5に記載された発明であるとはいえない。 次に、相違点11について、甲5発明及び甲1~6に記載された事項から容易に発明をすることができたか否かについて検討する。 甲5の上記摘記事項及びその他の記載を参照しても、甲5には、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、を除く。)またはその部分加水分解縮合物」であって、「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を用いることを動機づける記載はない。 また、甲1~4,6(特に、「第5 各甲に記載された事項」を参照)をみても、甲5発明において、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、を除く。)またはその部分加水分解縮合物」であって、「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を(A)に対して0.01~30質量%含有させることを動機づける記載はない。 加えて、上記(5)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、本件発明2が奏する組成物の流動性を抑える効果を予測できるとはいえない。 したがって、本件発明2は、甲5発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ-3 甲5発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点12について検討するまでもなく、本件発明2は甲5に記載された発明とはいえず、また甲5に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 (6)本件発明3について 請求項3は独立請求項であるが、請求項3に係る発明である本件発明3は、本件発明2の(D)成分について「カーボンブラックまたは炭酸カルシウムである」と特定したものと同じものであるといえるため、上記(5)の検討を踏まえて下記に検討する。 ア-1 甲1に記載された発明との対比 本件発明1と甲1発明D~Eとを対比する。ここで、甲1発明Dと甲1発明Eとは、FOMBLIN Y45(完全フッ素化ポリエーテル:ソルベイソレクシス(株)製)を含有するか否かの違いしかないので、両者をあわせて本件発明3と対比する。 甲1発明D~Eの「式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は上記(5)の「ア-1」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」に相当する。 また、甲1発明D~Eの「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、上記(5)の「ア-1」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」に相当する。 甲1発明D~Eの「式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、上記(5)の「ア-1」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 また、甲1発明D~Eの「N-β-(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン」は、上記(5)の「ア-1」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 甲1発明D~Eの「ジブチルスズジメトキシド」は、上記(5)の「ア-1」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲1発明D~Eの「表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム」は、本件明細書の段落【0305】に、「(D)無機充填剤としては、煙霧質酸化チタン等補強性充填剤;珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩;アルミノケイ酸、ケイ酸カルシウム、マイカ等のケイ酸塩;タルク;カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉等の導電性充填剤;これらの表面をトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の疎水化剤で処理したものが挙げられる。(D)無機充填剤は、表面処理シリカでないことが好ましい。これらのなかで、(D)無機充填剤は、カーボンブラックまたは炭酸カルシウムであることが好ましく、より好ましくはカーボンブラックである。」(下線は当審が付した。)と記載されていることを考慮すると、本件発明3の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」であって、「(D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである」ものと、「無機充填剤」であって「炭酸カルシウムである」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明3と甲1発明D~Eとは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物であって、(D)成分が炭酸カルシウムである、硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点13~14で相違する。 相違点13:(B)について、本件発明3は「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を(A)に対して0.01~30質量%含むものであるのに対し、甲1発明D~Eはそのような特定がなされていない点 相違点14:無機充填剤の粒径について、本件発明3は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲1発明D~Eは一次粒子径が不明である点 イ-1 判断 上記相違点13は(5)「イ-1」において検討した相違点7と同じであるところ、上記(5)「イ-1」において検討したのと同じ理由により、本件発明3は、甲1発明D~Eと実質的に相違するものであり、また、甲1~6の記載を参照しても容易に発明をすることができたものではない。 加えて、本件発明3の効果を予測できるか否かについて検討する。 本件発明3は、本件明細書【0005】~【0006】の記載を参照するに、「硬化性組成物に特定範囲の粒子径を有する無機充填剤を配合すること」により、「塗布後に組成物が流れ出さず、流動性が抑えられた組成物を提供」するものであり、この点について、本件発明3の具体的態様であるといえる実施例3,4,6,7では組成物の流動性が抑えられていることが示されている(【0377】~【0389】、特に【0388】の【表1】及び【0390】の【表2】にある実施例3,4,6,7の欄参照)) 一方で、上記(4)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、組成物の流動性が抑えられることについて記載も示唆もない。 そうすると、甲1及び甲2~6の記載から本件発明3が奏する効果を当業者が予測できるものとはいえない。 したがって、本件発明3は、甲1発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ-1 甲1に記載された発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点14について検討するまでもなく、本件発明3は甲1に記載された発明とはいえず、また甲1に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 ア-2 甲4発明との対比 本件発明3と甲4発明とを対比する。 甲4発明の「【化21】で示される直鎖状化合物」は、上記(5)の「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」に相当する。 甲4発明の「式:HO-[Si(Me2)O]P-Hで示されるジメチルポリシロキサン〔pは平均値で15〕」は、上記(5)の「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 また、甲4発明の「ジフェニルジヒドロキシシラン」も、上記(5)の「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 甲4発明の「ジブチルスズジメトキサイド」は、上記(5)の「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲4発明の「アセチレンカーボンブラック」は、本件明細書の段落【0305】に、「(D)無機充填剤としては、煙霧質酸化チタン等補強性充填剤;珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩;アルミノケイ酸、ケイ酸カルシウム、マイカ等のケイ酸塩;タルク;カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉等の導電性充填剤;これらの表面をトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の疎水化剤で処理したものが挙げられる。(D)無機充填剤は、表面処理シリカでないことが好ましい。これらのなかで、(D)無機充填剤は、カーボンブラックまたは炭酸カルシウムであることが好ましく、より好ましくはカーボンブラックである。」(下線は当審が付した。)と記載されていることを考慮すると、本件発明3の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」であって、「(D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである」ものと、「無機充填剤」であって「(D)成分がカーボンブラックである」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明3と甲4発明とは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物であって、(D)成分がカーボンブラックである硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点15~16において相違する。 相違点15:(B)について、本件発明3は「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を(A)に対して0.01~30質量%含むものであるのに対し、甲4発明はそのような特定がなされていない点 相違点16:無機充填剤の粒径について、本件発明3は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲4発明は一次粒子径が不明である点 イ-2 判断 上記相違点15は(5)「イ-2」において検討した相違点9と同じであるところ、上記(5)「イ-2」において検討したのと同じ理由により、本件発明3は、甲4発明と実質的に相違するものであり、また、甲1~6の記載を参照しても容易に発明をすることができたものではない。 加えて、上記(6)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、本件発明3が奏する組成物の流動性を抑える効果を予測できるとはいえない。 したがって、本件発明3は、甲4発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ-2 甲4発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点16について検討するまでもなく、本件発明3は甲4に記載された発明とはいえず、また甲4に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 ア-3 甲5発明との対比 本件発明3と甲5発明とを対比する。 甲5発明の「式(4)で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物直鎖状化合物」は、上記(5)の「ア-3」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」に相当する。 甲5発明の「ビニルトリイソプロペノキシシラン」は、上記(5)の「ア-3」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 また、甲5発明の「式(5)で示される化合物」も、上記(5)の「ア-3」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を含む「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」と、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」である限りにおいて一致する。 甲5発明の「ジブチルスズジメトキサイド」は、上記「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲5発明の「アセチレンブラックカーボン」は、上記「ア-2」において検討したのと同様の理由により、本件発明3の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」であって、「(D)成分がである」ものと、「無機充填剤」であって「(D)成分がカーボンブラックである」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明3と甲5発明とは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物であって、(D)成分がカーボンブラックである硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点17~18において相違する。 相違点17:(B)について、本件発明3は「(B3)1分子中に2個以上のアルコキシシリル基を含有し、かつ、アルコキシシリル基間を連結する基がシロキサン結合を有さず、窒素原子および/またはカルボニル基を含む基である化合物、またはその部分加水分解縮合物」を(A)に対して0.01~30質量%含むものであるのに対し、甲5発明はそのような特定がなされていない点 相違点18:無機充填剤の粒径について、本件発明3は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲5発明は一次粒子径が不明である点 イ-3 判断 上記相違点17は(5)「イ-3」において検討した相違点11と同じであるところ、上記(5)「イ-3」において検討したのと同じ理由により、本件発明3は、甲5発明と実質的に相違するものであり、また、甲1~6の記載を参照しても容易に発明をすることができたものではない。 加えて、上記(6)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、本件発明3が奏する組成物の流動性を抑える効果を予測できるとはいえない。 したがって、本件発明3は、甲5発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ-3 甲5発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点18について検討するまでもなく、本件発明3は甲5に記載された発明とはいえず、また甲5に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 (7)本件発明13について ア-1 甲1に記載された発明との対比 本件発明1と甲1発明D~Eとを対比する。ここで、甲1発明Dと甲1発明Eとは、FOMBLIN Y45(完全フッ素化ポリエーテル:ソルベイソレクシス(株)製)を含有するか否かの違いしかないので、両者をあわせて本件発明13と対比する。 甲1発明D~Eの「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、その両末端に「(CH3O)3-Si」を1個ずつ含有するシラン化合物であり、かつ「―(C(CF3)FOCF2)p―(CF2OC(CF3)F)q―」なる構造を有するパーフルオロポリエーテルを含有するものであるから、本件発明13の「(A)成分が、下記式: 【化60】 [図:0001400431000063.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物」である「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」と、「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」である限りにおいて一致する。 甲1発明D~Eの「式(8)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、上記(4)ア-1(ウ)にて検討した理由と同様、本件発明13の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当する。 また、甲1発明D~Eの「N-β-(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン」は上記(4)ア-1(ウ)にて検討した理由と同様、「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当する。 甲1発明D~Eの「ジブチルスズジメトキシド」は、上記(4)ア-1(ウ)にて検討した理由と同様、これは本件発明13の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲1発明D~Eの「表面をステアリン酸で処理したコロイダル炭酸カルシウム」は、上記(4)ア-1(ウ)にて検討した理由と同様、本件発明13の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」であって、「(D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである」ものと、「無機充填剤」であって「炭酸カルシウムである」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明13と甲1発明D~Eとは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物であって、(D)成分が炭酸カルシウムである、硬化性組成物。」 である点で一致し、下記相違点19~20で相違する。 相違点19:(A)について、本件発明13は「(A)成分が、下記式: 【化60】 [図:0001400431000064.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物」であるのに対し、甲1発明D~Eはそのような特定がなされていない点 相違点20:無機充填剤の粒径について、本件発明13は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲1発明D~Eは一次粒子径が不明である点 イ-1 判断 まず、上記相違点19について検討する。 甲1発明D~Eが含有する「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」は、その構造中にSi(CH3)2-C6H4-N(CH3)-C(O)-というベンゼン環を有する連結基を有するものであり、連結基中にベンゼン環を含まない本件発明13の(A)には包含されないものといえる。 そして、甲1発明D~Eは、他に本件発明13の化合物(A)に相当する化合物を含有しているものともいえない。 したがって、本件発明13は、甲1発明D~Eと実質的に相違するから、本件発明13は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 次に、相違点19について、甲1発明D~E及び甲1~6に記載された事項から容易に発明をすることができたか否かについて検討する。 甲1の上記摘記(甲1c)には、連結基であるR1として多数の選択肢が【0020】~【0022】記載されており、段落【0022】には好ましい態様の一つとして―C(O)-NH―CH2CH2CH2-も挙げられているものの、甲1発明D~Eの「式(9)で示される含フッ素有機ケイ素化合物」が含有する連結基について多数の選択肢から、特に、上記―C(O)-NH―CH2CH2CH2-を選択して変更する積極的な動機があるものとはいえない。 また、甲2~6(特に、「第5 各甲に記載された事項」を参照)をみても、甲1発明D~Eにおいて、「【化60】 [図:0001400431000065.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物」を含有させることを動機づける記載はない。 加えて、本件発明13の効果を予測できるか否かについて検討する。 本件発明13は、本件明細書【0005】~【0006】の記載を参照するに、「硬化性組成物に特定範囲の粒子径を有する無機充填剤を配合すること」により、「塗布後に組成物が流れ出さず、流動性が抑えられた組成物を提供」するものであり、この点について、本件発明13の具体的態様であるといえる実施例1~7では組成物の流動性が抑えられていることが示されている(【0377】~【0389】、特に【0388】の【表1】及び【0390】の【表2】にある実施例1~7の欄参照)) 一方で、上記(4)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、組成物の流動性が抑えられることについて記載も示唆もない。 そうすると、甲1及び甲2~6の記載から本件発明13が奏する効果を当業者が予測できるものとはいえない。 したがって、本件発明13は、甲1発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 甲1に記載された発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点20について検討するまでもなく、本件発明13は甲1に記載された発明とはいえず、また甲1に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 ア-2 甲4発明との対比 甲4発明の「【化21】で示される直鎖状化合物」は、その両末端に「(MeO)3Si」を1個ずつ含有するシラン化合物であり、かつ「 [図:0001400431000066.jpg] 」なる構造を有するパーフルオロポリエーテルである「Rf」を含有するものであるから、本件発明13の「(A)成分が、下記式: 【化60】 [図:0001400431000067.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物」である「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」と、「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」である限りにおいて一致する。 甲4発明の「式:HO-[Si(Me2)O]P-Hで示されるジメチルポリシロキサン〔pは平均値で15〕」は、上記(4)ア-2にて検討したのと同様の理由で、本件発明13の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 また、甲4発明の「ジフェニルジヒドロキシシラン」も、上記(4)ア-2にて検討したのと同様の理由で、本件発明13の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。更に、甲4発明の「γ-アミノプロピルトリエトキシシラン」も、上記(4)ア-2にて検討したのと同様の理由で、本件発明13の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 甲4発明の「ジブチルスズジメトキサイド」は、上記(4)ア-2にて検討したのと同様の理由で、本件発明13の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲4発明の「アセチレンカーボンブラック」は、上記(4)ア-2にて検討したのと同様の理由で、本件発明13の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」であって、「(D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである」ものと、「無機充填剤」であって「カーボンブラックである」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明13と甲4発明とは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物であって、(D)成分がカーボンブラックである、硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点21~22において相違する。 相違点21:(A)について、本件発明13は「(A)成分が、下記式: 【化60】 [図:0001400431000068.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物」であるのに対し、甲4発明はそのような特定がなされていない点 相違点22:無機充填剤の粒径について、本件発明13は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲4発明は一次粒子径が不明である点 イ-2 判断 まず、上記相違点21について検討する。 甲4発明が含有する「【化21】で示される直鎖状化合物」は、その構造中にCH2CH2-Si(CH3)2-C6H4-NH-C(O)-というベンゼン環を有する連結基を有するものであり、連結基中にベンゼン環を含まない本件発明13の(A)には包含されないものといえる。 そして、甲4発明は、他に本件発明13の化合物(A)に相当する化合物を含有しているものともいえない。 したがって、本件発明13は、甲4発明と実質的に相違するから、本件発明13は、甲4に記載された発明であるとはいえない。 次に、相違点21について、甲4発明及び甲1~6に記載された事項から容易に発明をすることができたか否かについて検討する。 甲4の上記摘記(甲4c)には、連結基であるR1及びR2として多数の選択肢が【0010】~【0013】に記載されているものの、そのいずれの選択肢を参照しても、「【化60】 [図:0001400431000069.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物」を用いることを導くことができるものとはいえない。 また、甲1~3,5~6(特に、「第5 各甲に記載された事項」を参照)をみても、甲4発明において、「【化60】 [図:0001400431000070.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物」を含有させることを動機づける記載はない。 加えて、上記(7)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、本件発明13が奏する組成物の流動性を抑える効果を予測できるとはいえない。 したがって、本件発明13は、甲4発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ-2 甲4に記載された発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点22について検討するまでもなく、本件発明13は甲4に記載された発明とはいえず、また甲4に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 ア-3 甲5発明との対比 本件発明13と甲5発明とを対比する。 甲5発明の「式(4)で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物直鎖状化合物」は、加水分解性基であるジイソプロペノキシ基がシランに結合した構造を有するシラン化合物であり、かつ2個のアミド結合の間にパーフルオロポリエーテル基を含有するものであるから、本件発明13の「(A)成分が、下記式: 【化60】 [図:0001400431000071.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物」である「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」と、「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物」である限りにおいて一致する。 甲5発明の「ビニルトリイソプロペノキシシラン」は、上記(4)ア-3において検討したのと同様の理由で、本件発明13の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 また、甲5発明の「式(5)で示される化合物」も、上記(4)ア-3において検討したのと同様の理由で、本件発明13の「(B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物」に相当するといえる。 甲5発明の「ジブチルスズジメトキサイド」は、上記(4)ア-3において検討したのと同様の理由で、本件発明13の「(C)縮合触媒」に相当するといえる。 甲5発明の「アセチレンブラックカーボン」は、上記(4)ア-3において検討したのと同様の理由で、本件発明13の「(D)一次粒子径が0.01~0.1μmである無機充填剤」であって、「(D)成分がカーボンブラックまたは炭酸カルシウムである」ものと、「無機充填剤」であって「カーボンブラックである」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明13と甲5発明とは、 「(A)水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基と結合したSi原子を2個以上有する、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、 (B)Si原子と結合したOR2基(式中、R2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である)を少なくとも2個有する化合物(ただし、(A)を除く。)またはその部分加水分解縮合物、 (C)縮合触媒、並びに (D)無機充填剤を含む硬化性組成物であって、(D)成分がカーボンブラックである、硬化性組成物」 である点で一致し、下記相違点23~24において相違する。 相違点23:(A)について、本件発明13は「(A)成分が、下記式: 【化60】 [図:0001400431000072.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物」であるのに対し、甲5発明はそのような特定がなされていない点 相違点24:無機充填剤の粒径について、本件発明13は「一次粒子径が0.01~0.1μm」であるのに対し、甲5発明は一次粒子径が不明である点 イ-3 判断 まず、上記相違点23について検討する。 甲5発明が含有する「式(4)で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物直鎖状化合物」は、その連結基中に-N(Me)-C(O)-を有するものであり、連結基中に-NH-C(O)-を含有し-N(Me)-C(O)-を含有しない本件発明13の(A)には包含されないものといえる。 そして、甲5発明は、他に本件発明13の化合物(A)に相当する化合物を含有しているものともいえない。 したがって、本件発明13は、甲5発明と実質的に相違するから、本件発明13は、甲5に記載された発明であるとはいえない。 次に、相違点23について、甲5発明及び甲1~6に記載された事項から容易に発明をすることができたか否かについて検討する。 甲5発明の「式(4)で示される分子鎖両末端がジイソプロペノキシ基で封鎖された、粘度が9,700cStの直鎖状化合物直鎖状化合物」は、上記摘記事項(甲5a)にある一般式(1)の具体的な態様であると認められるところ、該(甲5a)及び上記摘記事項(甲5c)を参照しても、該一般式(1)における連結基-NR3―C(O)-におけるR3は「非置換または置換」された「一価炭化水素基」であることを前提としており、水素原子とすることは記載されいないため、該化合物の連結基-N(Me)-C(O)-のNに結合したMeを水素原子に置換することを導くことができるとはいえない。 また、甲1~4,6(特に、「第5 各甲に記載された事項」を参照)をみても、甲4発明において、「(A)成分が、下記式: 【化60】 [図:0001400431000073.jpg] 「式中: PFPE1は、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(CfF2f)-(OCF2)a1-(OC2F4)a2-(OC3F6)a3-(OC4F8)a4-(OC5F10)a5-(OC6F12)a6-(OC7F14)a7-(OC8F16)a8- (式中、fは、1~10の整数であり、a1およびa2は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a3、a4、a5、a6、a7およびa8は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6,a7およびa8の和は、5以上200以下の整数であり、(CfF2f)で示される単位は基の左側末端に位置し、添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7またはa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。) で示される基であり; R3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、 dは、各出現においてそれぞれ独立して、1~4の整数であり、 eは、1~4の整数である。] のいずれかで示される化合物」を含有させることを動機づける記載はない。 加えて、上記(7)イ-1で検討したとおり、甲1~6の記載を参照しても、本件発明13が奏する組成物の流動性を抑える効果を予測できるとはいえない。 したがって、本件発明13は、甲5発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ-3 甲5に記載された発明との対比・判断に係る小括 以上のとおりであるから、相違点24について検討するまでもなく、本件発明13は甲5に記載された発明とはいえず、また甲5に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえない。 (8)本件発明4~12,14~16について 本件発明4~12,14~16は、本件発明1~3又は13を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明1~3又は13について上記(1)~(7)で述べたのと同じ理由により、甲1、甲4又は甲5に記載された発明ではなく、また、甲1、甲4又は甲5に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 当審の判断のまとめ 以上より、本件発明1~16は甲1、甲4又は甲5に記載された発明ではなく、また、甲1、甲4又は甲5に記載された発明及び甲1~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、上記本件訂正は適法であるから、これを認める。 そして、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては、本件請求項1~16に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700219

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