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特許異議申立

2023-700304

研磨用組成物

審判番号
2023-700304
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-567388
登録番号
7141339
請求日
2023年03月20日
審決日
2024年08月27日
公報発行日
2024年12月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社フジミインコーポレーテッド
  • 【権利者代理人】安部 誠
  • 【権利者代理人】大井 道子
  • 【権利者代理人】谷 征史
  • 【権利者代理人】梅原 めぐみ
  • 【異議申立人】佐藤 祥徳
  • 【異議申立人】田村 奈緒美
審判長/審判官
  • 審判長 門前 浩一
  • 審判官 関根 裕
  • 審判官 瀬下 浩一
分類
P1651.113-YAA(C09K) / P1651.121-YAA(C09K) / P1651.537-YAA(C09K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7141339号発明「研磨用組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7141339号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、〔6~9〕について」)訂正することを認める。 特許第7141339号の請求項1~6、8、9に係る特許を維持する。 特許第7141339号の請求項7に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7141339号の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成30年2月1日(平成29年2月8日(以下「優先日」という。)、及び、平成29年3月30日 いずれも日本国)を国際出願日とするものであって、令和4年9月13日に特許権の設定登録(請求項の数9)がされ、同年同月22日に特許掲載公報が発行された。その後の特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和5年 3月20日 :特許異議申立書 特許異議申立人 佐藤 祥徳(以下「申立人A」という。)による全請求項に対する特許異議の申立て 令和5年 3月22日 :特許異議申立書 特許異議申立人 田村 奈緒美(以下「申立人B」という。)による全請求項に対する特許異議の申立て 同年 9月 6日付け:取消理由通知書 同年11月 9日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年11月21日付け:訂正請求があった旨の通知書 同年12月22日 :意見書(申立人A) 同年12月22日 :意見書(申立人B) 令和6年 3月 5日付け:取消理由通知書(決定の予告) 同年 4月30日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年 5月14日付け:訂正請求があった旨の通知書 なお、令和6年5月14日付けの訂正請求があった旨の通知書に対し、申立人A及び申立人Bからの応答はなかった。 また、令和5年11月9日の訂正請求書による訂正請求は、特許法120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和6年4月30日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、次の訂正事項1~8のとおりである。なお、訂正箇所に下線を付した。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「式中、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。Rl、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。nは1~15の整数である。」と記載されているのを、 「式中、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。nは1~15の整数である。」に訂正する。(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に 「エーテル結合非含有アミン化合物」と記載されているのを、 「エーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項6に 「式中、R1、R2は:それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基;および、互いに結合して環状構造を形成しているアミノアルキル基;からなる群から選択される。R1、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。nは1~15の整数である。」と記載されているのを、 「式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。nは1~15の整数である。」に訂正する(請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項8、9も同様に訂正する) (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6に 「(B1)アンモニア、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物および金属水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物; (B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) (式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~15のアルキル基および1級アミノ基を有していないアミノアルキル基から選択される。ただし、R3、R4、R5のうち少なくとも2つは、水素原子以外の基である。R3、R4、R5は、C-C間もしくはC-N間に二重結合を有していてもよい。また、R3、R5は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表されるアミン化合物;および (B4)分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物; からなる群から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」と記載されているのを、 「(B1)アンモニア、アンモニウム水酸化物およびホスホニウム水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物; (B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) (式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~15のアルキル基および1級アミノ基を有していないアミノアルキル基から選択される。ただし、R3、R4、R5のうち少なくとも2つは、水素原子以外の基である。R3、R4、R5は、C-C間もしくはC-N間に二重結合を有していてもよい。また、R3、R5は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表されるアミン化合物(但し、ピペラジンを除く);および (B4)分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物; からなる群から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」に訂正する(請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項8、9も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に 「ロールオフ化合物Bと、 を含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である」と記載されているのを、 「ロールオフ化合物Bと、 を含み、 前記ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲であり、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である」に訂正する(請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項8、9も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に 「研磨用組成物。」と記載されているのを、 「研磨用組成物(但し、下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物を含むものを除く)。 【化1】 [図:0001417602000001.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。)」に訂正する(請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項8、9も同様に訂正する)。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に「前記砥粒はシリカ粒子である、請求項6」 と記載されているのを、「前記砥粒はシリカ粒子であり、 前記ロールオフ化合物Bは、 (B1)アンモニウム水酸化物およびホスホニウム水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物; (B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) (式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~15のアルキル基および1級アミノ基を有していないアミノアルキル基から選択される。ただし、R3、R4、R5のうち少なくとも2つは、水素原子以外の基である。R3、R4、R5は、C-C間もしくはC-N間に二重結合を有していてもよい。また、R3、R5は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表されるアミン化合物(但し、ピペラジンを除く);および (B4)分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物; からなる群から選択された少なくとも1種の化合物である、請求項6」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する)。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項8に「請求項6または7に記載の研磨用組成物。」と記載されているのを、「請求項6に記載の研磨用組成物。」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する)。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項8に「研磨用組成物。」と記載されているのを、「研磨用組成物(但し、マロン酸、シュウ酸、リンゴ酸、メタクリル酸、シアノ酢酸および安息香酸のいずれかを含むものを除く)。」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する)。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項9に「シリコンの研磨に用いられる、請求項6」 と記載されているのを、「シリコンの研磨に用いられ、 前記ロールアップアミン化合物Aは、下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。nは1~15の整数である。ただし、R1、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールを除く)である、請求項6」に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項9に「請求項6~8のいずれか一項に記載の研磨用組成物。」と記載されているのを、「請求項6または8に記載の研磨用組成物。」に訂正する。 2 一群の請求項 本件訂正前の請求項2~5は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して記載が訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1~5は一群の請求項である。同様に、本件訂正前の請求項7~9は、請求項6を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項3~6によって記載が訂正される請求項6に連動して記載が訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項6~9は一群の請求項である。よって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされた訂正である。 3 訂正の適否についての当審の判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、請求項1の一般式(a)のR1とR2の説明の記載を、「式中、R1,R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。Rl、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。」から、「式中、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。」に訂正することによって、R1とR2の選択肢から、「Rl、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。」に該当する場合を除くものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項1は、R1とR2の選択肢から、「Rl、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。」に該当する場合を除くものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項1は、R1とR2の選択肢から、「Rl、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。」に該当する場合を除くものであるから、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2は、請求項1の「エーテル結合非含有アミン化合物」という記載を、「エーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」に訂正することによって、「エーテル結合非含有アミン化合物」に該当する化合物の範囲からアミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除くものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項2は、「エーテル結合非含有アミン化合物」に該当する化合物の範囲からアミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除くものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項2は、「エーテル結合非含有アミン化合物」に該当する化合物の範囲から「アミノエチルエタノールアミン」を除くことにより、後記第4の1(2)の甲A1、甲A2、甲A3及び甲A4、並びに後記第4の2(2)の甲B3に記載された発明を除外し、また、同じく「1,6-ヘキサンジアミン」を除くことにより、甲A5に記載された発明を除外するためのものであるから、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、請求項6の一般式(a)のR1とR2の説明の記載における「式中、R1、R2は:それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基;および、互いに結合して環状構造を形成しているアミノアルキル基;からなる群から選択される。R1、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。」を、「式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。」に訂正するものである。 この訂正により、請求項6の一般式(a)のR1とR2の説明の記載を(i)の場合と(ii)の場合に区別して記載することによって、R1、R2という同じ記号を使いつつ、R1とR2が、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基から選ばれるものであるか、または、R1とR2が互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成しているもののいずれかであることが明確な記載になった。 そうすると、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 前記アのとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項6におけるエーテル結合非含有アミン化合物についての記載上の不備を訂正し、本来の意を明らかにするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項3は、明細書の段落【0021】に「一般式(a)」が記載され、式中のR1、R2の選択肢として、「水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基およびアミノアルキル基」が挙げられ、「R1、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい」と記載されていることに基いて訂正されたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的 訂正事項4は、請求項6の「研磨用組成物に含まれるロールオフ化合物B」の選択肢のうち、(B1)に挙げられていた塩基性化合物の選択肢から「金属水酸化物」を削除し、さらに(B2)のアミン化合物から「ピペラジン」を除くことにより、訂正後の請求項6に係る発明の「ロールオフ化合物B」をさらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 前記アのとおり、訂正事項4は、訂正前の請求項6の「ロールオフ化合物B」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項4は、ロールオフ化合物Bから金属水酸化物およびピペラジンを除くことにより、後記第4の1(2)の甲A2に記載された発明を除外するためのものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的 訂正事項5は、請求項6の「研磨用組成物」に含まれる「ロールアップアミン化合物A」と「ロールオフ化合物B」について、「前記ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲である」ことを特定することにより、訂正後の請求項6に係る特許発明の「研磨用組成物」をさらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 前記アのとおり、訂正事項5は、訂正前の請求項6の「研磨用組成物」を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項5は、明細書の段落【0031】の「ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)」は、「より好ましくは、1:30~30:1」との記載に基いて訂正されたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的 訂正事項5は、請求項6の「研磨用組成物」から、「下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物。 【化1】 [図:0001417602000002.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。)」を含むものを除くことにより、訂正後の請求項6に係る特許発明の「研磨用組成物」をさらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 前記アのとおり、訂正事項6は、訂正前の請求項6の「研磨用組成物」を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項6は、「研磨用組成物」から、前記した「疎水性高分子化合物」を含むものを除くことにより、後記第4の1(2)の甲A1に記載された発明を明確に除外するためのものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (7)訂正事項7 訂正事項7は、請求項7を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正に該当するから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (8)訂正事項8 ア 訂正の目的 訂正事項8は、請求項8が引用する請求項6の「ロールオフ化合物B」の「B1」に挙げられていた塩基性化合物の選択肢から「アンモニア」及び「金属水酸化物」を削除し、「B2」に挙げられていた塩基性化合物から「ピペラジン」を除いた上で、請求項8の発明特定事項として追加することにより、訂正前の請求項6を引用する請求項8に係る発明の「ロールオフ化合物B」をさらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 前記アのとおり、訂正事項8は、訂正前の請求項8が引用する請求項6の「ロールオフ化合物B」を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項8は、「ロールオフ化合物B」の「B1」に挙げられていた塩基性化合物の選択肢の一部を削除し、一部を除くものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (9)訂正事項9、12 ア 訂正の目的 訂正事項9、12は、請求項7を含む複数の請求項を引用する請求項8、9について、訂正事項7による請求項7を削除する訂正に伴い、請求項8、9の引用先から請求項7を除くことにより、請求項8、9が引用する請求項を減少させる訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正に該当するから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (10)訂正事項10 ア 訂正の目的 訂正事項10は、請求項8の「研磨用組成物」から、「マロン酸、シュウ酸、リンゴ酸、メタクリル酸、シアノ酢酸および安息香酸のいずれかを含むもの」を含むものを除くことにより、訂正後の請求項6に係る特許発明の「研磨用組成物」をさらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 前記アのとおり、訂正事項10は、訂正前の請求項8の「研磨用組成物」を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項10は、「研磨用組成物」から、前記した「マロン酸、シュウ酸、リンゴ酸、メタクリル酸、シアノ酢酸および安息香酸のいずれかを含むもの」を除くことにより、後記第4の1(2)の甲A6に記載された発明を除外するためのものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (11)訂正事項11 ア 訂正の目的 訂正事項11は、請求項9の「エーテル結合非含有アミン化合物」から「2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール」を除くものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項11は、「エーテル結合非含有アミン化合物」に該当する化合物から「2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール」を除くものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項11は、「エーテル結合非含有アミン化合物」から「2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール」を除くことにより、後記第4の1(2)の甲A2に記載された発明を除外するためのものであるから、訂正事項11による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 4 独立特許要件についての判断 本件訂正においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~9に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定は課されない。 5 小括 以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、〔6~9〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正は前記第2のとおり認められたので、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明9」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は次のとおりのものである。 「【請求項1】 砥粒と、水と、下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、Rl、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。nは1~15の整数である。ただし、Rl、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)と を含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物。 【請求項2】 前記エーテル結合非含有アミン化合物の含有量が1重量%未満である、請求項1に記載の研磨用組成物。 【請求項3】 前記砥粒の含有量が1重量%未満である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。 【請求項4】 前記砥粒はシリカ粒子である、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。 【請求項5】 シリコンの研磨に用いられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨用組成物。 【請求項6】 砥粒と、水と、 下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。nは1~15の整数である。ただし、R1、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物であるロールアップアミン化合物Aと、 (B1)アンモニア、アンモニウム水酸化物およびホスホニウム水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物; (B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) (式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~15のアルキル基および1級アミノ基を有していないアミノアルキル基から選択される。ただし、R3、R4、R5のうち少なくとも2つは、水素原子以外の基である。R3、R4、R5は、C-C間もしくはC-N間に二重結合を有していてもよい。また、R3、R5は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表されるアミン化合物(但し、ピペラジンを除く);および (B4)分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物; からなる群から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物Bと、 を含み、 前記ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲であり、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物(但し、下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物を含むものを除く)。 【化1】 [図:0001417602000003.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。) 【請求項7】(削除) 【請求項8】 前記砥粒はシリカ粒子であり、 前記ロールオフ化合物Bは、 (B1)アンモニウム水酸化物およびホスホニウム水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物; (B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) (式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~15のアルキル基および1級アミノ基を有していないアミノアルキル基から選択される。ただし、R3、R4、R5のうち少なくとも2つは、水素原子以外の基である。R3、R4、R5は、C-C間もしくはC-N間に二重結合を有していてもよい。また、R3、R5は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表されるアミン化合物(但し、ピペラジンを除く);および (B4)分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物; からなる群から選択された少なくとも1種の化合物である、請求項6に記載の研磨用組成物(但し、マロン酸、シュウ酸、リンゴ酸、メタクリル酸、シアノ酢酸および安息香酸のいずれかを含むものを除く)。 【請求項9】 シリコンの研磨に用いられ、 前記ロールアップアミン化合物Aは、下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。nは1~15の整数である。ただし、R1、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールを除く)である、請求項6または8に記載の研磨用組成物。」 第4 特許異議の申立ての理由及び取消理由の概要 1 申立人A (1)申立人Aによる申立理由 ア 申立理由A1(新規性) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 イ 申立理由A2(進歩性) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 ウ 申立理由A3(サポート要件) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号の規定を充足しない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 エ 申立理由A4(明確性要件) 本件特許の特許請求の範囲の請求項6~9の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は、特許法第36条第6項第2号の規定を充足しない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、前記申立理由A1は、前記第3の本願発明と後記(2)の証拠との組み合わせにおいて、次のものを含む。 ・本願発明1~9は、甲A1又は甲A2に記載された発明と同一 ・本願発明1、3~9は、甲A3に記載された発明と同一 ・本願発明1~5は、甲A4又は甲A5に記載された発明と同一 ・本願発明6~9は、甲A6に記載された発明と同一 また、前記申立理由A2は、次の組み合わせを含む。 ・本願発明1~9は、甲A1、甲A2又は甲A3に記載された発明から容易 ・本願発明1~5は、甲A4又は甲A5に記載された発明から容易 ・本願発明6~9は、甲A6に記載された発明から容易 (2)申立人Aが提出した証拠 ア 申立人Aが、特許異議申立書とともに提出した証拠は次のとおりである。以下、申立人Aの提示した甲1号証~甲6号証を「甲A1」~「甲A6」という。 甲A1:特開2015-174918号公報 甲A2:特開2001-77063号公報 甲A3:特開2002-16025号公報 甲A4:特開2007-19093号公報 甲A5:特開2002-105440号公報 甲A6:国際公開第2016/143323号 イ 申立人Aが、令和5年12月22日の意見書とともに提出した証拠は次のとおりである。以下、申立人1の提示した甲7号証~甲11号証を「甲A7」~「甲A11」という。 甲A7:大橋弘三郎他著、「分析化学-溶液反応を基礎とする-」、三共出版株式会社、2000年3月1日初版第12刷発行、10~11頁 甲A8:熊丸尚宏他編著、「基礎からの分析化学」、株式会社朝倉書店、2010年3月10日第3刷、14~15頁 甲A9:Chrstian Sogaard(外2名)、「Silica sol as grouting material: physio-chemical analysis」、Nano Convergence(2018)5:6 (URL: https://nanoconvergencejournal.springeropen.com/articles/10.1186/s40580-018-0138-1) 甲A10:国際公開第2011/142362号 甲A11:特開2011-131346号公報 2 申立人Bによる特許異議の申立ての概要 (1)申立人Bによる申立理由 ア 申立理由B1(新規性) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1~6、8、9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 イ 申立理由B2(進歩性) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1~5、7~9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 なお、前記申立理由B1は、前記第3の本願発明と後記(2)の証拠との組み合わせにおいて、次のものを含む。 ・本願発明1~6、8、9は、甲B1、甲B3又は甲B4に記載された発明と同一 ・本願発明1、3~6、8、9は、甲B5に記載された発明と同一 ・本願発明1~5は、甲B6に記載された発明と同一 また、前記申立理由B2は、次の組み合わせを含む。 ・本願発明3~5、7~9は、甲B1に記載された発明から容易 ・本願発明2~5、7~9は、甲B3に記載された発明から容易 ・本願発明1~5、7~9は、甲B4又はB5に記載された発明から容易 (2)申立人Bが提出した証拠 以下、申立人Bの提出した甲第1号証~甲第6号証を「甲B1」~「甲B6」という。 甲B1:特開2001-77063号公報(当審注:甲A2と同じ。) 甲B2:特開平9-193004号公報 甲B3:特開2006-121101号公報 甲B4:特開2005-340755号公報 甲B5:特開2002-16025号公報(当審注:甲A3と同じ。) 甲B6:特開2002-105440号公報(当審注:甲A5と同じ。) 3 令和5年9月6日付けの取消理由の概要 (1)取消理由1(新規性) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)取消理由2(進歩性) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)取消理由3(明確性) 本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は、特許法第36条第6項第2号の規定を充足しない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、取消理由1は、申立人Aが提出した甲A1、甲A2、甲A4、甲A6、申立人Bが提出した甲B3のいずれかを主たる引用文献等とするものである。 また、取消理由2は、申立人1が提出した甲A1~A6、申立人Bが提出した甲B3のいずれかを主たる引用文献等とするものである。 4 令和6年3月5日付けの取消理由(決定の予告)の概要 (1)取消理由1(新規性) 本件特許の特許請求の範囲の請求項6、8、9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)取消理由2(進歩性) 本件特許の特許請求の範囲の請求項6、8、9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 なお、取消理由1は、申立人Aが提出した甲A2を主たる引用文献等とするものである。 また、取消理由2は、申立人Aが提出した甲A1、又は甲A2を主たる引用文献等とするものである。 5 証拠に記載された事項、及び証拠に記載された発明 (1)甲A1について ア 甲A1には、次の記載がある。 「【請求項1】 砥粒と、 疎水性高分子化合物と、 アミン化合物と、 を含む、研磨用組成物。」 「【0013】 疎水性高分子化合物としては、水溶性高分子化合物が用いられる。疎水性高分子化合物は、ウェーハに対して疎水性を有する。ここで、「ウェーハに対して疎水性を有する」とは、疎水性高分子化合物の水溶物をウェーハ上に置いたときに、ウェーハの表面に濡れが広がりにくい性質を意味する。疎水性高分子化合物としては、非イオン性の界面活性剤が好適である。このような疎水性高分子化合物としては、下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物が好適である。 【0014】 【化1】 [図:0001417602000004.jpg] 【0015】 式(1)において、nは1以上の整数である。 【0016】 アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに結合されるブロック型ポリエーテルは、以下(a)~(d)で示されるエーテル基から選ばれる少なくとも1種を含む。 【0017】 (a)-[(EO)a-(PO)b]x-H (b)-[(PO)b-(EO)a]x-H (c)-(EO)a-[(PO)b-(EO)a]x-H (d)-(PO)b-[(EO)a-(PO)b]x-H なお、式中、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示す。オキシエチレン基の数aは1以上の整数であり、1≦a≦500を満たす。また、オキシプロピレン基の数bは1以上の整数であり、1≦b≦200を満たす。xは1以上の整数を示す。 【0018】 アルキルジアミン構造を有する化合物としては、例えば、ポロキサミン(エチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)を用いることができる。ポロキサミンとしては、例えば、式(1)においてn=2であって、アルキルアミン構造の2つの窒素のそれぞれに(b)で示されるブロック型ポリエーテルが2つずつ結合し、(b)で示されるブロック型ポリエーテルにおいてエチレンオキシドの数a=16、プロピレンオキシドの数b=19、及びx=1とした化合物(エチレンオキシドとプロピレンオキシドの質量比がEO:PO=40:60)等を採用することができる。 【0019】 疎水性高分子化合物としては、アルキルジアミン構造を有する化合物の他、オキシアルキレン重合体、ポリオキシアルキレン付加物、オキシアルキレンの共重合体等の水溶性高分子化合物が挙げられる。 【0020】 オキシアルキレン重合体としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。 【0021】 ポリオキシアルキレン付加物としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。 【0022】 オキシアルキレンの共重合体としては、ブロック型、ランダム型、交互型の共重合体が挙げられる。」 「【0024】 ピペラジン化合物としては、例えば、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEP)、N-メチルピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン(ピペラジン-2-エタノール)(HEP)等が挙げられる。1-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEP)、及び1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン(HEP)の構造式は、それぞれ、以下の式(2)、(3)で表される。 【0025】 【化2】 [図:0001417602000005.jpg] ・・・ 【0027】 また、アルコールアミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン(AEEA)、・・・N-(β-アミノエチル)エタノールアミン(AEEA)の構造式は、以下の式(4)で表される。 【0028】 【化4】 [図:0001417602000006.jpg] 」 「【0039】 [実施例] 以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。 【0040】 実施例1~9および比較例における研磨用組成物の成分を表1に示す。表1において、各成分の重量%は、研磨用組成物の原液全体に対する重量%を表す。 【0041】 【表1】 [図:0001417602000007.jpg] 【0042】 実施例1の研磨用組成物は、95.5重量%の水と、3.0重量%の砥粒(コロイダルシリカ)と、1重量%の炭酸カリウム(K2CO3)と、0.3重量%の水酸化カリウム(KOH)と、0.004重量%のエチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ポロキサミン)と、0.004重量%のヒドロキシエチルセルロース(HEC)と、0.2重量%のアミノエチルピペラジン(AEP)と、0.01重量%のジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)とを含む原液を作製し、その作製した原液を脱イオン水で10倍希釈したものである。 【0043】 実施例2の研磨用組成物は、アミノエチルピペラジン(AEP)の代わりに、0.2重量%のアミノエチルエタノールアミン(AEEA)を含むことを除いて実施例1と同一組成の原液を作製し、その作製した原液を脱イオン水で10倍希釈したものである。」 「【0052】 (研磨速度評価) 研磨装置(SPP800S、岡本工作機械製作所製)を用い、研磨パッド(SUBATM400、ニッタ・ハース社製)に実施例1~9および比較例の研磨用組成物を600ml/分の割合で供給し、かつ、直径12インチのシリコンウェーハに15kPaの圧力をかけながら研磨定盤を33rpmの回転速度で回転させ、キャリアを30rpmの回転速度で回転させながら、4分間、研磨を行なった。なお、研磨装置の下底盤の揺動速度は600mm/分、及び揺動距離は60mmであった。また、用いたシリコンウェーハは、伝導型がP型、結晶方位が<100>、抵抗率が0.1~100Ω・cmであった。」 イ 甲A1に記載された発明 甲A1の実施例2の研磨用組成物に着目すると、甲A1には次の発明(以下「甲A1発明」ともいう。)が記載されていると認められる。 (甲A1発明) 「95.5重量%の水と、3.0重量%の砥粒(コロイダルシリカ)と、アルカリとしての1重量%の炭酸カリウム(K2CO3)及び0.3重量%の水酸化カリウム(KOH)と、疎水性高分子化合物としての0.004重量%のエチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ポロキサミン)と、親水性高分子化合物としての0.004重量%のヒドロキシエチルセルロース(HEC)と、アミン化合物としての0.2重量%のアミノエチルエタノールアミン(AEEA)と、キレート剤としての0.01重量%のジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)とを含む原液を作製し、その作製した原液を脱イオン水で10倍希釈した研磨用組成物。」 (2)甲A2について ア 甲A2には、次の記載がある。 「【請求項1】 研磨粒子を含むスラリーに2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール又はピペラジンのいずれか一方又は双方からなるアミン類を含有するシリコンウェーハの研磨液。 【請求項2】 シリコンウェーハの研磨時に研磨粒子0.01~10重量%と、アミン類0.01~0.3重量%とを含む請求項1記載のシリコンウェーハの研磨液。」 「【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、これら有機アルカリは、ウェーハ表面の金属不純物を低減する効果はほとんどないばかりか、ある種のアミン類の還元性は研磨速度を促進する作用がある一方で研磨剤中の金属不純物を還元してウェーハ上やウェーハ内を金属汚染する原因にもなり問題となっていた。また、多種類のキレート剤の中から金属不純物、特に現在最も問題となっている銅の汚染を低減するために最適なキレート剤を選択されておらず、またその濃度も決定されていない。更に、研磨液中のキレート剤の種類によってはウェーハ表面の汚染を防止する効果が不十分であったり、汚染防止効果を高めるためには大過剰に添加しなければならず経済的ではなかった。また、研磨液中に含まれる不純物を除去したり高純度の原材料を使うと高コストになる問題点もあった。本発明の目的は、安価で、研磨工程で生じる金属汚染、特に銅又はニッケルによる汚染を低減させ、研磨速度を向上させるシリコンウェーハの研磨液及びこれを用いた研磨方法を提供することにある。」 「【0008】本発明のアミン類には2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール又はピペラジンのいずれか一方又は双方が挙げられる。本発明のアミン類の組合せは2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール又はピペラジンのみならず、他のアミン類を含んでもよい。他のアミン類を例示すれば、アミノエタノール、エチレンジアミン、メチルアミン、N-N-N’-N’-テトラメチルエチレンジアミン、p-フェニレンジアミン等が挙げられる。他のアミン類は本発明のアミン類の作用効果を低減させないようにするため、本発明のアミン類と同等若しくは少量用いることが好ましい。・・・」 「【0010】スラリー状の研磨液(研磨剤原液)は研磨装置で使用する際には純水で2~50倍に希釈される。希釈された研磨液を100重量%とするとき研磨粒子は0.01~10重量%含まれ、アミン類は0.01~0.3重量%含まれ、キレート剤は1×10-5~3×10-3mol/l含まれる。アミン類の好ましい濃度は0.05~0.1重量%である。0.01重量%未満であると汚染を低減する効果が不十分であり、0.3重量%を超えても汚染を低減する効果の向上は見込めない。キレート剤の好ましい濃度は1×10-4~2×10-3mol/lである。1×10-5mol/l未満であると汚染を低減する効果が不十分であり、3×10-3mol/lを超えても汚染を低減する効果の向上は見込めない。」 「【0013】 【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに説明する。 <実施例1>先ず、CZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットから切出されスライスされたシリコンウェーハをラッピングし、面取り加工を施し、化学エッチングした後、機械的化学的研磨工程を行った。粗研磨工程に用いる研磨液として、SiO2の研磨粒子が分散した研磨スラリー1(研磨剤原液)を用意し、この研磨スラリー1をSiO2濃度が2.0重量%となるように純水で希釈した。この希釈液に2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールを濃度が0.12重量%となるように添加混合し、pH11.0となるように水酸化ナトリウムを添加混合して研磨液とした。この研磨液に原子吸光分析用の標準銅溶液(銅濃度が1000ppmの硝酸銅溶液)を添加して銅濃度が0.1ppbとなるように研磨液を強制的に銅で汚染させた。このように混合された研磨液を用いて上記シリコンウェーハの粗研磨を図1に示す研磨装置10により10分間行った。以下、実施例2~14、比較例1~6の粗研磨も同様に図1に示す研磨装置により行った。 【0014】また、pH調整は実施例2~14、比較例1~6も同様にアミン類、キレート剤等の添加後に行い、pH11.0以下の場合は水酸化ナトリウムを、pH11.0以上の場合は塩酸をそれぞれ用いて行った。 【0015】<実施例2>実施例1と同様にして得られたシリコンウェーハを用意し、実施例1と同じ希釈液(SiO2濃度:2.0重量%)にピペラジンを濃度が0.12重量%となるように添加混合して研磨液とした。この研磨液を実施例1と同様に強制的に銅で汚染させた。このように混合された研磨液を用いて上記シリコンウェーハの粗研磨を10分間行った。 【0016】<実施例3>実施例1と同様にして得られたシリコンウェーハを用意し、実施例1と同じ希釈液(SiO2濃度:2.0重量%)に2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールとピペラジンをそれぞれの濃度が0.12重量%となるように添加混合して研磨液とした。この研磨液を実施例1と同様に強制的に銅で汚染させた。このように混合された研磨液を用いて上記シリコンウェーハの粗研磨を10分間行った。」 「【0038】 【表1】 [図:0001417602000008.jpg] 」 イ 甲A2に記載された発明 (ア)甲A2の実施例2の研磨液に着目すると、甲A2には次の発明(以下「甲A2発明2」ともいう。)が記載されていると認められる。 (甲A2発明2) 「SiO2の研磨粒子が分散した研磨スラリー1のSiO2濃度が2.0重量%となるように純水で希釈した希釈液に、ピペラジンの濃度が0.12重量%となるように添加混合し、pH11.0となるように水酸化ナトリウムを添加混合して得た研磨液。」 (イ)甲A2の実施例3の研磨液に着目すると、甲A2には次の発明(以下「甲A2発明3」ともいう。)が記載されていると認められる。 (甲A2発明3) 「SiO2の研磨粒子が分散した研磨スラリー1のSiO2濃度が2.0重量%となるように純水で希釈した希釈液に、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールの濃度が0.12重量%、ピペラジンの濃度が0.12重量%となるように添加混合し、pH11.0となるように水酸化ナトリウムを添加混合して得た研磨液。」 (3)甲A3について ア 甲A3には、次の記載がある。 「【請求項1】 半導体ウェーハを表裏面側から挟む研磨面を有した一対の定盤と半導体ウェーハとを相対的に移動させると共に研磨面に研磨液を供給して半導体ウェーハを研磨する研磨工程を有した半導体ウェーハの製造方法であって、 前記研磨工程前の自然放置中又は洗浄中に生じた前記半導体ウェーハの表裏面の薄膜のうち表面側の薄膜のみを除去する表面膜除去工程と、 前記表面膜除去工程後に、前記半導体ウェーハの材料に対する研磨速度が前記薄膜に対する研磨速度よりも高い前記研磨液を供給して半導体ウェーハの表面側を選択的に化学的研磨する表面研磨工程とを備えていることを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。 【請求項2】 請求項1に記載の半導体ウェーハの製造方法において、 前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハであると共に、前記薄膜は、酸化膜であり、 前記研磨液は、砥粒濃度が0重量%以上1重量%以下のアルカリ性溶液であることを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。」 「【0024】研磨液供給機構7は、シリコンに対する研磨速度がその酸化膜(SiO2)に対する研磨速度よりも高い研磨液として砥粒(シリカ)濃度が0重量%以上1重量%以下のアルカリ性溶液を供給可能な第1供給機構8と、砥粒濃度が1重量%を越えるアルカリ性溶液である光沢度調整用の研磨液を供給可能な第2供給機構(別研磨液供給機構)9とからなり、第1供給機構8又は第2供給機構9の一方を任意に選択可能になっている。」 「【0035】また、研磨液が、砥粒濃度が0重量%以上1重量%以下のアルカリ性溶液であるので、砥粒による機械的研磨作用がほとんど無く、アルカリ性溶液による化学的研磨作用だけで研磨が行われることにより、裏面Rの酸化膜OX、すなわちSiO2をほとんど研磨せずに、表面Sのシリコンだけを良好に研磨することができる。」 「【0045】 【実施例】次に、本発明に係る上記実施形態を実施例により具体的に説明する。上記第1実施形態により上記研磨を行った際のデータを、図6に示す。なお、図6の(a)は従来の片面研磨方式、図6の(b)は従来の両面研磨方式、図6の(c)は上記実施形態の実施例であって、それぞれGBIR(Global BacksideIdeal Reference)に対する頻度を示したヒストグラムを示したものである。用いた研磨液は、ピペラジン、アミノエチルアミノエタノールとKOHの混合溶液である。この研磨結果からわかるように、片面研磨であるにもかかわらず、両面研磨と同様の平坦度を得ることができた。」 イ 甲A3に記載された発明 甲A3の実施例の記載によれば、甲A3には次の発明(以下「甲A3発明」ともいう。)が記載されていると認められる。 (甲A3発明) 「ピペラジン、アミノエチルアミノエタノールとKOHの混合溶液である研磨液。」 (4)甲A4について ア 甲A4には、次の記載がある。 「【請求項1】 砥粒、塩基性低分子化合物および窒素含有基を含む水溶性高分子化合物を含むことを特徴とする半導体研磨用組成物。」 「【0027】 また本発明によれば、前記塩基性低分子化合物は、アンモニア、アルカリ金属元素の水酸化物、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素の炭酸塩、第四級アンモニウム塩、第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンから選ばれる1種または2種以上の化合物であり、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、モノエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノエチルピペラジン、ピペラジンから選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。」 「【実施例】 【0043】 以下では、本発明の実施例および比較例について説明する。 [実施例および比較例の組成] 半導体研磨用組成物としては、研磨使用時に40倍に希釈したものを用いる。以下に示す組成は、希釈済みの組成で、残部は水である。 【0044】 (実施例1) 砥粒 :コロイダルシリカ粒子(平均粒径70nm)3000ppm 塩基性低分子化合物:アミノエチルエタノールアミン 300ppm 高分子化合物 :ポリエチレンイミン(分子量200) 25ppm」 イ 甲A4に記載された発明 甲A4の実施例1に着目すれば、甲A4には次の発明(以下「甲A4発明」ともいう。)が記載されていると認められる。 (甲A4発明) 「コロイダルシリカ粒子(平均粒径70nm)3000ppm、アミノエチルエタノールアミン300ppm、ポリエチレンイミン(分子量200)25ppm、及び、残部が水である半導体研磨用組成物。」 (5)甲A5について ア 甲A5には、次の記載がある。 「【0001】 【発明が属する技術分野】本発明はシリコンウエーハ及び同様な材料を研磨するための研磨剤及びその研磨剤を用いた研磨方法に関する。」 「【0013】研磨剤はコロイダルシリカを純水中に0.1~30wt%分散させたものが好適に用いられる。この研磨剤中に本発明のアミンを添加するが、添加するアミンの量は、研磨剤1L(リットル)当たり1.000mol以下の量で十分である。特に好ましくは0.001~0.05mol/Lである。この範囲の量を添加すれば研磨速度も向上し、金属汚染も十分に防止することができる。」 「【0016】研磨能力(研磨速度)を向上するには、アミノ基が多いアミンが好ましい。この点からアミノ基は2個以上含まれるアミンが好ましい。 【0017】また、添加物による汚染を少なくするため、炭素原子の数が異なるジアミンのキレート性を確認した。確認したアミンは、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミンで確認した。 【0018】炭素数が増え1,6-ヘキサンジアミンになるとキレート性がなくなり、添加物自体に金属汚染がないことがわかった。これ以下の炭素数のものでは、研磨能力は高いもののキレート効果を有する。このキレート能力が強く添加剤自体から金属が放出されなければこれら炭素数の少ないアミンを添加しても問題無いが、研磨中にウエーハ側に金属が移動してしまうこともあり、添加前に添加剤に金属が含まれていた場合にウエーハを汚染する事になる。研磨中にキレート効果のない添加物を用いた場合、つまりこの炭素数が6個以上の1,6-ヘキサンジアミンを用い研磨した場合、研磨されたウエーハも殆ど金属汚染がないことがわかった。このように炭素数は6個以上つながった直鎖状のアミンが好ましい。 【0019】以下、具体的な例を挙げ本発明について説明する。本発明の実施例として、1,6-ヘキサンジアミン(実施例1)、及び比較例として研磨能力の高いN-(β-アミノエチル)エタノールアミン(比較例1)、ピペラジン(比較例2)を添加した。 【0020】 【実施例】コロイダルシリカ(SiO2)を含有した研磨剤を用い研磨した。ベースとなる研磨剤は、研磨剤全体に対し平均粒度が50nmのコロイダルシリカ(SiO2)を約2.5wt%含有させ、pHを約11に調整したものである。 【0021】(実施例1)上記ベースとなる研磨剤に1,6-ヘキサンジアミンをスラリー1リットル当たり、0.007mol添加した研磨剤を準備した。この時のpHは10.96であった。 【0022】(比較例1)上記ベースとなる研磨剤にN-(β-アミノエチル)エタノールアミンをスラリー1リットル当たり、0.060mol添加した研磨剤を準備した。この時のpHは10.95であった。」 イ 甲A5に記載された発明 甲A5の請求項1、3、4の記載を参酌すれば、甲A5には次の発明(以下「甲A5発明」ともいう。)が記載されていると認められる。 (甲A5発明) 「研磨剤全体に対し平均粒度が50nmのコロイダルシリカ(SiO2)を約2.5wt%含有させ、pHを約11に調整したベースに対して、 1,6-ヘキサンジアミンを、ベースとなるスラリー1リットル当たり、0.007mol添加した研磨剤。」 (6)甲A6について ア 甲A6には、次の記載がある。 「[0001] 本発明は、研磨用組成物及びシリコン基板の研磨方法に関する。」 「[0090]〔実施例〕 以下に実施例を示し、表1を参照しながら本発明をさらに具体的に説明する。 コロイダルシリカからなる砥粒と、塩基性化合物と、多重結合含有化合物又はアニオン性基含有化合物と、液状媒体である水とを、表1に示す通りの含有量となるように混合して、砥粒を水に分散させ、さらに水酸化カリウムを混合してpHを10.5とした実施例1~28及び比較例1~7の研磨用組成物を製造した。 ・・・ [0092] なお、表1中の「AEP」はN-(2-アミノエチル)ピペラジンを意味し、「BAPP」は1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジンを意味する。また、「TMAH」はテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを意味し、「TBAH」はテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを意味する。さらに、「TBPH」はテトラブチルホスホニウムヒドロキシドを意味し、「DABCO」は1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを意味する。 [0093] [表1] [図:0001417602000009.jpg] [0094] 実施例1~28及び比較例1~7の研磨用組成物において、砥粒として使用したコロイダルシリカの平均一次粒子径は、表1に示す通りである。この平均一次粒子径は、BET法により測定された砥粒の比表面積と、砥粒の密度から算出したものである。 実施例1~28及び比較例1~7の研磨用組成物を用いて、下記の研磨条件で、シリコンウェーハの研磨を行った。このシリコンウェーハの伝導型はP型であり、結晶方位は<100>であり、抵抗率は0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満である。また、このシリコンウェーハは矩形板状に切り出したものであり、その寸法は縦60mm、横60mmである。」 イ 甲A6に記載された発明 甲A6の実施例1の記載に基づいて、以下の発明(以下、「甲A6発明」ともいう。)が記載されていると認められる。 (甲A6発明) 「砥粒としてコロイダルシリカを1.2質量%と、塩基性化合物としてTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を0.1質量%と、多重結合含有化合物又はアニオン性基含有化合物としてマロン酸を0.3質量%と、水とを含み、水酸化カリウムを混合してpHを10.5とした研磨用組成物。」 (7)甲A7の3頁には、次の記載がある。 「 [図:0001417602000010.jpg] 」 (8)甲A8の16頁には、次の記載がある。 「 [図:0001417602000011.jpg] 」 (9)甲A9には次の記載がある。仮訳は、申立人作成のものを流用した。 ア 2頁左欄18~19行 「 [図:0001417602000012.jpg] 」 (仮訳) 「商業的に入手可能なシリカゾルは、ナトリウムイオン(Na+)によってpH10付近で安定化されている。・・・」 イ 2頁下欄 「 [図:0001417602000013.jpg] 」 (10)甲A10には、次の記載がある。 「[0001] 本発明は、シリコンウェーハに対する金属汚染防止効果を有するシリコンウェーハ用研磨組成物及びシリコンウェーハの研磨方法に関するものである。」 「[0027] 本発明に用いられる塩基性物質は、例えばアルカリ金属の無機塩、アンモニウム塩、及びアミン類からなる群から選ばれる少なくとも1種類である。」 「[0030] アミン類としては、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、2-(2-アミノエチル)アミノエタノールアミン、ジエチレントリアミン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、3-(アミノメチル)ピペリジン、1,3-ジアミノプロパン、1,2-ジアミノプロパン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N-エチルエチレンジアミン、ジプロピレントリアミン、ピペラジンなどが挙げられる。エチレンジアミンは、研磨速度を上げる効果が高く、特に好ましい。アミン類としてはこれらのアミンのみならず、他のアミンを含んでいてもよい。」 (11)甲A11には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法に関する。」 「【0026】 本発明の研磨液組成物に用いられる脂肪族アミン化合物は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、3-(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジブチルアミノ)プロピルアミン、3-(メチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、N-アミノエチルイソプロパノールアミン、N-アミノエチル-N-メチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミンからなる群から選択されることが好ましく、エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、3-(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジブチルアミノ)プロピルアミン、3-(メチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、N-アミノエチルイソプロパノールアミン、及びN-アミノエチル-N-メチルエタノールアミンからなる群から選択されることがより好ましい。」 (12)甲B1は、甲A2と同じなので、摘記を省略する。 (13)甲B2について 甲B2には、次の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンに代表される半導体ウェハーの研磨やIC製造工程中での絶縁膜の研磨(以下、CMP研磨とも言う)等に好適に使用される新規な研磨剤に関する。詳しくは、水系溶媒にヒュームドシリカ粒子を分散させたシリカ分散液よりなり、高純度で且つ研磨性能及び保存安定性に優れた研磨剤である。」 「【0041】また、上記水系溶媒には、シリカ分散液の粘度を下げ、且つ、研磨速度を制御するためにアルカリを添加してもよい。上記のアルカリとしては、KOH等の水酸化アルカリを始めとし、アンモニア、アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど、通常、研磨剤の組成として知られているアルカリが特に制限なく使用される。シリコンウェハー用の研磨剤には、上記アルカリとして、モノエタノールアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリエタノールアミン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、N-メチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、2-アミノメチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール、トリエチレンテトラミン、アミノエチルエタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドなどのアミンが好適に使用できる。また、IC製造工程中で絶縁膜を研磨するための研磨剤には、上記アルカリとして、KOHやアンモニアが好適に用いられる。」 (14)甲B3について ア 甲B3には、次の記載がある。 「【請求項1】 (i)液体キャリア、(ii)少なくとも1種の酸化剤、(iii)系が基体の少なくとも1つの層を研磨する速度を増加させる少なくとも1種の研磨添加剤、並びに(iv)研磨パッド及び/又は研磨材を含み、前記研磨添加剤が、ピロリン酸塩、縮合リン酸塩、ホスホン酸及びそれらの塩、アミン、アミノアルコール、アミド、イミン、イミノ酸、ニトリル、ニトロ、チオール、チオエステル、チオエーテル、カルボチオール酸、カルボチオン酸、チオカルボキシル酸、チオサリチル酸、及びそれらの混合からなる群より選択される、第1の金属層及び第2の層を有する多層基体の1又は複数の層を研磨する系。」 「【0025】 研磨添加剤は、本発明の系に任意の適当な濃度で存在していてよい。好ましくは研磨添加剤は、約0.05~10wt%の量で系の液体部分に存在している。より好ましくは、研磨添加剤は約0.3~5wt%の量で系の液体部分に存在している。」 「【0032】 適当な研磨材としては例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、セリア、及びそれらの共生成物、並びにそれら混合のような金属酸化物研磨材を挙げることができる。研磨材はフュームド生成物であってよい。好ましくは系の研磨材は、アルミナ(例えばフュームドアルミナ)及び/又はシリカ(例えばフュームドシリカ)である。 【0033】 上述のような研磨材は、系の研磨パッド上又はその中に完全に又は部分的に固定することができる。更に研磨材は、任意の適当な量で系の液体部分中に存在していてよい。好ましくは研磨材は、系の液体部分に約0.1~30.0wt%の量で存在する。より好ましくは研磨材は、系の液体部分に約0.5~6.0wt%の量で存在する。」 「【0047】 以下の例のうちの1つ(すなわち例7)を除く全ての例の系は、特に示さない場合は水酸化アンモニウム(NH4OH)で目標pHに調節した。 ・・・ 【0055】 例2 この例では、本発明の系によって達成可能な第1の金属層の研磨速度が、系における研磨添加剤の存在及び種類に依存していることを示す。 【0056】 銅ウェハーを、以下の成分を含む5つの異なる研磨系(系2A~2Eとする)でそれぞれ研磨した:2wt%のアルミナ(具体的にはCabot社のSemi-Sperse(商標)W-A355製品)、1wt%の酸化剤(具体的にはH2O2)、様々な濃度の第1の研磨添加剤(具体的には0.16Mのエチレンジアミン、0.33Mの2-アミノー1-ブタノール、0.33Mのアミノエチルエタノールアミン、0.33Mの2,2’-アミノエトキシエタノール、又は0.33Mの低分子量エチレンイミンコポリマー(すなわちLupasol(商標)FG))、2.2wt%の第2の研磨添加剤(具体的にはアミノトリ(メチレンホスホン酸)(すなわちDequest(商標)2000製品))、及び0.08wt%のフィルム形成剤(具体的にはトリアゾール)。ここで、それぞれの系はpHが8.5であった。系の使用の後で、それぞれの系による銅の除去速度(RR)を測定した。試験結果のデータは表2に示している。それぞれの系における第1の研磨添加剤の一部の分子構造も表2に示しており、上述のXY-NCR1R2CR3R4N-X’Y’部分が研磨添加剤に存在する場合には、表2の分子構造において太字で示している。 【0057】 【表2】 [図:0001417602000014.jpg] 」 イ 甲B3に記載された発明 甲B3の例2の研磨系2Bに着目し、同【0047】の記載を参酌すれば、甲B3には次の発明(以下「甲B3発明」ともいう。)が記載されていると認められる。 (甲B3発明) 「2wt%のアルミナ(具体的にはCabot社のSemi-Sperse(商標)W-A355製品)、1wt%の酸化剤(具体的にはH2O2)、第1の研磨添加剤(具体的には0.33Mのアミノエチルエタノールアミン、2.2wt%の第2の研磨添加剤(具体的にはアミノトリ(メチレンホスホン酸)(すなわちDequest(商標)2000製品))、及び0.08wt%のフィルム形成剤(具体的にはトリアゾール)を含み、水酸化アンモニウム(NH4OH)で系のpHが8.5に調節されている、研磨系。」 (15)甲B4について ア 甲B4には、次の記載がある。 「【0013】 本発明は、エッチング、エロージョンを抑制し特に金属膜の平坦性を維持したまま高速に研磨できる研磨組成物を提供すると共にこの研磨組成物を用いた金属膜の研磨方法、およびこの研磨組成物で平坦化する工程を含む基板の製造方法を提供することを目的としたものである。」 「【0038】 本発明の研磨組成物には性能、物性に悪影響を及ぼさない範囲で、アルカリを含有させることが出来る。安定した研磨性能を維持する目的やpH調整剤、緩衝剤として使用される。このようなアルカリとしては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、t-ブチルアミン、アミルアミン、アリルアミン、2-エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、フルフリルアミン、テトラヒドロフルフリルアミンなどのアルキルモノアミン、O-アミノフェノール、エタノールアミン、3-アミノー1-プロパノール、2-アミノー1-プロパノールなどのヒドロキシル基を有するモノアミン、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、O-フェニレンジアミン、トリメチレンジアミン、2-メチル-2-(2-ベンジルチオエチル)エチレンジアミン、1,5-ジアミノー3-ペンタノール、1,3-ジアミノー2-プロパノール、キシレンジアミン、ビスアミノプロピルポリアルキレンエーテルなどのジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2-ジアミノジn-プロピルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどのポリアミンが挙げられる。これらアルカリのうち、好ましくは、アンモニア、ジアミン、水酸化カリウムである。アルカリの添加は、研磨組成物に対して10質量%以下である。好ましくは、5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。 【0039】 本発明の研磨組成物は、砥粒なしで使用することも出来るが、研磨速度を十分に上げたりする目的で含有させることも出来る。砥粒としては、シリカ、アルミナ、セリア、有機砥粒が挙げられる。これら砥粒は一種を添加しても良いし、二種以上を混合して添加しても良い。含有量が多いと、ディッシングやスクラッチの原因になるので、含有量は研磨組成物に対して30質量%以下が好ましい。より好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは、10質量%以下である。」 「【0063】 〈分子量測定〉 合成した化合物の分子量は、ゲルパ-ミッションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリエチレングリコール換算で測定した。尚、本発明では市販の化合物も用いたのでこれらも合わせて測定した。市販の化合物としては1-ビニルイミダゾールと1-ビニルビロリドンとの1:1共重合体、VPI55K18P(18Pと略す。BASF社製)とVPI55K72W(72Wと略す。BASF社)を用いた。」 「【0092】 実施例18~25 8インチウエハを用いて評価した。圧力は15Kpaで行った。パッドはIC1400(kグルーブ)を用いた。 組成は表9に示した。表以外の添加物は水であり、添加量は質量%で示した。ここで、APSは過硫酸アンモニウム、DBSはドデシルベンゼンスルホン酸、POEはポリオキシエチレン2級アルキルエーテルリン酸エステル、OLAはオレイン酸、BZIはベンズイミダゾールを示す。コロイダルシリカは粒子径120nmのものを用いた。 【0093】 【表9】 [図:0001417602000015.jpg] 【0094】 結果を表10に示した。実施例18~21は種々のビニルイミダゾールと1-ビニルピロリドン共重合体をアゾール類として用いた。いずれもディッシング、エロージョンは低く、特に分子量の高いアゾール類はディッシング性能が高く(実施例22)、実施例18は少量の添加で同様の性能が得られた。 【0095】 実施例23はアルカリとしてエチレンジアミンを少量添加して研磨した。ややディッシングが大きくなる。プロセスによってはある程度のディッシングが必要な場合もあり、この場合にはエチレンジアミンを添加することが有効になる。」 イ 甲B4に記載された発明 甲B4の【0093】の【表9】の実施例23に着目し、同【0092】の記載を参酌すれば、甲B4には次の発明(以下「甲B4発明」ともいう。)が記載されていると認められる。 (甲B4発明) 「アゾールとして化合物Iを0.05%と、酸として蓚酸を0.5%と、酸化剤としてAPS(過硫酸アンモニウム)を1.5%と、界面活性剤としてDBS(ドデシルベンゼンスルホン酸)0.07%、POE(ポリオキシエチレン2級アルキルエーテルリン酸エステル)0.01%及びOLA(オレイン酸)0.03%と、アルカリとしてエチレンジアミン0.01%及びアンモニアと、砥粒としてコロイダルシリカを0.75%と、水とからなり、pHが9.0である研磨組成物。」 (16)甲B5及び甲B6は、それぞれ、甲A3及び甲A5と同じなので、摘記を省略する。 第5 取消理由についての当審の判断 1 取消理由3(明確性)について(前記第4の3(3)参照。) (1)請求項1の「R1、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。」との記載について 前記第2の1(1)のとおり、本件訂正により、「R1、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。」との記載は削除された。 したがって、本件訂正後の請求項1の記載は、第三者に不測の不利益を与えるほど不明確なものではない。請求項1を引用する請求項2~6の記載も同様である。 (2)請求項6の「R1、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。」との記載について 前記第2の1(3)のとおり、訂正前の請求項6の「式中、R1、R2は:それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基;および、互いに結合して環状構造を形成しているアミノアルキル基;からなる群から選択される。R1、R2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。」との記載は、本件訂正により、「式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。」との記載に訂正された。 この訂正により、一般式(a)のR1とR2の説明の記載を(i)の場合と(ii)の場合に区別して記載することによって、R1、R2という同じ記号を使いつつ、R1とR2が、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基から選ばれるものであるか、または、R1とR2が互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成しているもののいずれかであることが明確な記載になった。 したがって、本件訂正後の請求項6の記載は、第三者に不測の不利益を与えるほど不明確なものではない。請求項6を引用する請求項8及び9の記載も同様である。 (3)小括 本件特許の請求項1~6、8及び9の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。 2 取消理由1(新規性)、取消理由2(進歩性)について(前記第4の3(1)及び(2)、並びに、同第4の4(1)及び(2)参照。) (1)甲A1を主たる引用例とする場合 ア 本件発明1 本件発明1と甲A1発明を対比すると、甲A1発明の「砥粒(コロイダルシリカ)」は本件発明1の「砥粒」に相当する。 甲A1発明の「アミノエチルエタノールアミン(AEEA)」と本件発明1の「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」とは、ともに「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」である点で共通する。 甲A1発明は、「3.0重量%の砥粒(コロイダルシリカ)・・・を含む原液を作製し、その作製した原液を脱イオン水で10倍希釈した研磨用組成物」と特定されているから、その「砥粒」の含有割合は、0.3重量%であり、本件発明1の「前記砥粒の含有量が2重量%以下である」を充足する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、Rl、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。nは1~15の整数である。ただし、Rl、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、1,6-ヘキサンジアミンを除く)とを含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物。」 <相違点1(A1)> エーテル結合非含有アミン化合物が、本件発明1は「アミノエチルエタノールアミン」が除かれたものであるのに対し、甲A1発明は「アミノエチルエタノールアミン(AEEA)」である点。 上記相違点1(A1)について検討する。甲A1発明を認定した甲A1の【0027】~【0028】には、「アルコールアミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン(AEEA)、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン、N-オクチルジエタノールアミン、N-(2-エチルヘキシル)ジエタノールアミン、N-デシルジエタノールアミン、N-ドデシルジエタノールアミン、N-トリデシルジエタノールアミン、N-テトラデシルジエタノールアミン、N-ヘキサデシルジエタノールアミン、N-オクタデシルジエタノールアミン、N-ヤシ油由来アルキルジエタノールアミン、N-牛脂由来アルキルジエタノールアミン、N-大豆油由来アルキルジエタノールアミン、N-オレイルジエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、N-シクロヘキシルジエタノールアミン等が挙げられる。研磨用組成物COMPには、これらのうち1種又は2種以上が配合されている。・・・」と記載され、各種のモノアミンのアルコールアミン化合物が挙げられているものの、ジアミン系のものは、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)のみである。 そうすると、甲A1発明の「アミノエチルエタノールアミン(AEEA)」を、本件発明1の「式(a) R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、Rl、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。nは1~15の整数である。ただし、Rl、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」で特定されるようなジアミン系の「エーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」に変更することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 また、甲A1の他の記載や甲A2~甲B6の記載を参酌しても、甲A1発明の「アミノエチルエタノールアミン(AEEA)」を、本件発明1の式(a)で特定されるようなジアミン系の「エーテル結合非含有アミン化合物」に変更する動機付けとなるような記載はない。 そして、本件特許明細書の段落【0105】の【表1】に記載されているように、本件発明1の式(a)において、R1=エチル基、R2=水素原子、n=2であるNEDA(N-エチルエチレンジアミン)を使用した実施例2Aに記載のように高い研磨レートとロールアップ性能有していることが読み取れる。そして、それにより、本件明細書の段落【0106】に記載のように、シリコンウェーハの端面ダレが抑制されるという予測できない効果を奏するものと認められる。 そうすると、本件発明1は、甲A1発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~5 本件発明2~5は、本件発明1で特定される事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、甲A1発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明6 本件発明6と甲A1発明を対比すると、甲A1発明の「砥粒(コロイダルシリカ)」は本件発明6の「砥粒」に相当する。 甲A1発明の「アミノエチルエタノールアミン(AEEA)」と、本件発明6の「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物であるロールアップアミン化合物A」とは、ともに「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」である点で共通する。 甲A1発明は、「3.0重量%の砥粒(コロイダルシリカ)・・・を含む原液を作製し、その作製した原液を脱イオン水で10倍希釈した研磨用組成物」と特定されているから、その「砥粒」の含有割合は、0.3重量%であり、本件発明6の「前記砥粒の含有量が2重量%以下である」を充足する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、 下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。nは1~15の整数である。ただし、R1、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物と、 を含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物。」 <相違点6(A1)-1> 本件発明6は、エーテル結合非含有アミン化合物である「ロールアップアミン化合物A」を含むのに対し、甲A1発明は、エーテル結合非含有アミン化合物である「アミノエチルエタノールアミン(AEEA)」を含むものであるが、当該AEEAを「ロールアップ化合物」として用いた認識はない点。 <相違点6(A1)-2> 本件発明6は「(B1)の塩基性化合物、(B2)のアミン化合物、および(B4)のアミン化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」を含むのに対し、甲A1発明は「水酸化カリウム(KOH)」を含むものの、本件発明6で定義される「ロールオフ化合物B」に該当する成分を含むものではなく、また、ロールオフ化合物という認識もない点。 <相違点6(A1)-3> 本件発明6は「ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲」であるのに対し、甲A1発明は、ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比が定かでない点。 <相違点6(A1)-4> 本件発明6は、本件発明6の「研磨用組成物」から、「下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物を含むもの。 【化1】 [図:0001417602000016.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。)」が除かれているのに対し、甲A1発明の「研磨用組成物」は、前記一般式(1)に含まれる「親水性高分子化合物としての」「ポロキサミン」を含むものである点。 事案に鑑み、まず、相違点6(A1)-3について検討する。前記相違点6(A1)-1及び相違点6(A1)-2に記載したとおり、甲A1発明には、ロールアップ化合物やロールオフ化合物といった認識がない。 そうすると、甲A1発明の「研磨液」が、形式的に、ロールアップ化合物に該当するアミノエチルエタノールアミン(AEEA)を含み、ロールオフ化合物に該当する水酸化カリウム(KOH)を含むとしても、水酸化カリウム(KOH)を、金属水酸化物以外のロールオフ化合物に代える動機付けはないし、その結果、ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とすることが容易であるともいえない。 また、甲A1の他の記載や甲A2~甲B6の記載を参酌しても、ロールアップ化合物やロールダウン化合物に関する記載はないから、甲A1発明のロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とする動機付けを見いだすことはできない。 そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、甲A1発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明8、9 本件発明8、9は、本件発明6で特定される事項を全て含むものであるから、前記ウと同じ理由により、甲A1発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)甲A2を主たる引用例とする場合 ア 本件発明1 本件発明1と甲A2発明2を対比すると、甲A2発明2の「SiO2の研磨粒子」は本件発明1の「砥粒」に相当する。 甲A2発明2の「ピペラジン」と本件発明1の「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」とは、ともに「エーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」である点で共通する。 甲A2発明2は、「研磨スラリー1のSiO2濃度が2.0重量%となるように純水で希釈した」と特定されているから、本件発明1の「前記砥粒の含有量が2重量%以下である」を充足する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、エーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)とを含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物。」 <相違点1(A2)-1> エーテル結合非含有アミン化合物が、本件発明1は「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」であるのに対し、甲A2発明2は「ピペラジン」である点。 上記相違点1(A2)-1について検討する。甲A2発明2を認定した甲A2の【0008】には「本発明のアミン類の組合せは2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール又はピペラジンのみならず、他のアミン類を含んでもよい。他のアミン類を例示すれば、アミノエタノール、エチレンジアミン、メチルアミン、N-N-N’-N’-テトラメチルエチレンジアミン、p-フェニレンジアミン等が挙げられる。」と記載されている。 そうすると、甲A2発明2の「研磨液」に、アミノエタノール、エチレンジアミン、メチルアミン、N-N-N’-N’-テトラメチルエチレンジアミン、p-フェニレンジアミン等のアミン類を添加することは、当業者が容易になし得たことであるかもしれないが、列挙されたアミン類は、いずれも、本件発明1の「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」には該当しない。 また、甲A2の他の記載や甲A1、甲A3~甲B6の記載を参酌しても、甲A2発明2の「研磨液」に、本件発明1の式(a)で特定される「エーテル結合非含有アミン化合物」を添加する動機付けとなるような記載はない。 そうすると、本件発明1は、甲A2発明2及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~5 本件発明2~5は、本件発明1で特定される事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、甲A2発明2及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明6 本件発明6と甲A2発明3を対比すると、甲A2発明3の「砥粒(コロイダルシリカ)」は本件発明6の「砥粒」に相当する。 甲A2発明3の「2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール」と、本件発明6の「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物であるロールアップアミン化合物A」とは、ともに「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」である点で共通する。 甲A2発明3の「ピペラジン」は、本件発明6の「(B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) ・・・で表されるアミン化合物(但し、ピペラジンを除く)・・・から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」と、「B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) ・・・で表されるアミン化合物・・・から選択された少なくとも1種の化合物」である点で共通する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、 下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。nは1~15の整数である。ただし、R1、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物と、 (B1)アンモニア、アンモニウム水酸化物およびホスホニウム水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物; (B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) (式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~15のアルキル基および1級アミノ基を有していないアミノアルキル基から選択される。ただし、R3、R4、R5のうち少なくとも2つは、水素原子以外の基である。R3、R4、R5は、C-C間もしくはC-N間に二重結合を有していてもよい。また、R3、R5は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表されるアミン化合物;および (B4)分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物; からなる群から選択された少なくとも1種の化合物と、 を含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物(但し、下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物を含むものを除く)。 【化1】 [図:0001417602000017.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。)」 <相違点6(A2)-1> 本件発明6は、エーテル結合非含有アミン化合物である「ロールアップアミン化合物A」を含むのに対し、甲A2発明3は、エーテル結合非含有アミン化合物である「2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール」を含むものであるが、当該「2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール」を「ロールアップ化合物」として用いた認識はない点。 <相違点6(A2)-2> 本件発明6は「(B1)の塩基性化合物、(B2)のアミン化合物、および(B4)のアミン化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」を含むのに対し、甲A2発明3は「水酸化ナトリウム」を含むものの、本件発明6で定義される「ロールオフ化合物B」に該当する成分を含むものではなく、「ロールオフ化合物」という認識もない点。 <相違点6(A2)-3> 本件発明6は「ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲」であるのに対し、甲A2発明3は、ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比が定かでない点。 事案に鑑み、まず、前記相違点6(A2)-3について検討する。前記相違点6(A2)-1及び相違点6(A2)-2に記載したとおり、甲A2発明3には、ロールアップ化合物やロールオフ化合物といった認識がない。 そうすると、甲A2発明3の「研磨液」が、形式的に、ロールアップ化合物に該当する2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールを含み、ロールオフ化合物に該当する水酸化ナトリウムやピペリジンを含むとしても、水酸化ナトリウムやピペリジンを、金属水酸化物やピペリジン以外のロールオフ化合物に代える動機付けはないし、その結果、ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とすることが容易であるともいえない。 また、甲A2の他の記載や甲A1、甲A3~甲B6の記載を参酌しても、ロールアップ化合物やロールダウン化合物に関する記載はないから、甲A2発明3のロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とする動機付けを見いだすことはできない。 そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、甲A2発明3及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明8、9 本件発明8、9は、本件発明6で特定される事項を全て含むものであるから、前記ウと同じ理由により、甲A2発明3及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)甲A3を主たる引用例とする場合 ア 本件発明1 本件発明1と甲A3発明を対比すると、甲A3発明の「アミノエチルアミノエタノール」は本件発明1の「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」と「エーテル結合非含有アミン化合物」である点で共通する。 また、甲A3発明は、砥粒を含まないから、本件発明1の「前記砥粒の含有量が2重量%以下である」を充足する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「水と、下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、Rl、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。nは1~15の整数である。ただし、Rl、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、1,6-ヘキサンジアミンを除く)とを含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物。」 <相違点1(A3)-1> 本件発明1は「砥粒」を含むのに対し、甲A3発明は砥粒を含まない点。 <相違点1(A3)-2> エーテル結合非含有アミン化合物が、本件発明1は「アミノエチルエタノールアミン」が除かれたものであるのに対し、甲A3発明は「アミノエチルアミノエタノール」である点。 事案に鑑み、まず相違点1(A3)-2について検討する。甲A3発明を認定した甲A3の【0045】には「用いた研磨液は、ピペラジン、アミノエチルアミノエタノールとKOHの混合溶液である」と記載されているものの、【0045】以外の記載を見ても、ピペラジン、アミノエチルアミノエタノール、KOH以外に、研磨液として如何なる化合物を用い得るのかについての記載や示唆はない。 そうすると、前記(1)アにおける検討と同様に、甲A3発明の「アミノエチルアミノエタノール」を、本件発明1で特定されるような「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」に代えることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲A3発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~5 本件発明2~5は、本件発明1で特定される事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、甲A3発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明6 本件発明6と甲A3発明を対比すると、甲A3発明の「アミノエチルアミノエタノール」と、本件発明6の「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物であるロールアップアミン化合物A」とは、「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」である点で共通する。 甲A3発明の「ピペラジン」と、本件発明6の「(B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) ・・・で表されるアミン化合物(但し、ピペラジンを除く)・・・から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」とは、ともに「(B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) ・・・で表されるアミン化合物・・・から選択された少なくとも1種の化合物」である点で共通する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「水と、 下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。nは1~15の整数である。ただし、R1、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物と、 (B1)アンモニア、アンモニウム水酸化物およびホスホニウム水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物; (B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) (式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~15のアルキル基および1級アミノ基を有していないアミノアルキル基から選択される。ただし、R3、R4、R5のうち少なくとも2つは、水素原子以外の基である。R3、R4、R5は、C-C間もしくはC-N間に二重結合を有していてもよい。また、R3、R5は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表されるアミン化合物;および (B4)分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物; からなる群から選択された少なくとも1種の化合物と、 を含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物(但し、下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物を含むものを除く)。 【化1】 [図:0001417602000018.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。)」 <相違点6(A3)-1> 本件発明6は「砥粒」を含むのに対し、甲A3発明は砥粒を含まない点。 <相違点6(A3)-2> 本件発明6は、エーテル結合非含有アミン化合物である「ロールアップアミン化合物A」を含むのに対し、甲A3発明は、エーテル結合非含有アミン化合物である「アミノエチルアミノエタノール」を含むものであるが、当該「アミノエチルアミノエタノール」を「ロールアップ化合物」として用いた認識はない点。 <相違点6(A3)-3> 本件発明6は「(B1)の塩基性化合物、(B2)のアミン化合物、および(B4)のアミン化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」を含むのに対し、甲A3発明は「KOH」や「ピペリジン」を含むものの、本件発明6で定義される「ロールオフ化合物B」に該当する成分を含むものではなく、また、ロールオフ化合物についての認識もない点。 <相違点6(A3)-4> 本件発明6は「ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲」であるのに対し、甲A3発明は、ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比が定かでない点。 事案に鑑み、まず、相違点6(A3)-4について検討する。前記相違点6(A3)-2及び相違点6(A3)-3に記載したとおり、甲A3発明には、ロールアップ化合物やロールオフ化合物といった認識がない。 そうすると、甲A3発明の「研磨液」が、形式的に、ロールアップ化合物に該当するアミノエチルアミノエタノールを含み、ロールオフ化合物に該当するKOHやピペリジンを含むとしても、KOHやピペリジンを、金属水酸化物やピペリジン以外のロールオフ化合物に代える動機付けはないし、その結果、ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とすることが容易であるともいえない。 また、甲A3の他の記載や甲A1、甲A2、甲A4~甲B6の記載を参酌しても、甲A3発明のロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とする動機付けとなるような記載はない。 そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、甲A3発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明8、9 本件発明8、9は、本件発明6で特定される事項を全て含むものであるから、前記ウと同じ理由により、甲A3発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)甲A4を主たる引用例とする場合 ア 本件発明1 本件発明1と甲A4発明を対比すると、甲A4発明の「コロイダルシリカ粒子」は、本件発明1の「砥粒」に相当する。 甲A4発明の「アミノエチルアミノエタノール」は本件発明1の「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」と「エーテル結合非含有アミン化合物」である点で共通する。 また、甲A4発明の「コロイダルシリカ粒子」の含有割合は、「3000ppm」であるから、本件発明1の「前記砥粒の含有量が2重量%以下である」を充足する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、Rl、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。nは1~15の整数である。ただし、Rl、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、1,6-ヘキサンジアミンを除く)とを含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物。」 <相違点1(A4)> エーテル結合非含有アミン化合物が、本件発明1は「アミノエチルエタノールアミン」が除かれたものであるのに対し、甲A4発明は「アミノエチルアミノエタノール」である点。 相違点1(A4)について検討する。甲A4発明を認定した甲A4の【0027】には「また本発明によれば、前記塩基性低分子化合物は、アンモニア、アルカリ金属元素の水酸化物、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素の炭酸塩、第四級アンモニウム塩、第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンから選ばれる1種または2種以上の化合物であり、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、モノエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノエチルピペラジン、ピペラジンから選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。」と記載されているものの、「アミノエチルエタノールアミン」以外のジアミン化合物は例示されていない。 そうすると、前記(1)アにおける検討と同様に、甲A4発明の「アミノエチルアミノエタノール」を、本件発明1で特定されるような「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」に代えることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 そうすると、本件発明1は、甲A4発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~5 本件発明2~5は、本件発明1で特定される事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、甲A4発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明6 本件発明6と甲A4発明を対比すると、甲A4発明の「コロイダルシリカ粒子」は、本件発明6の「砥粒」に相当する。 甲A4発明の「アミノエチルアミノエタノール」と、本件発明6の「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物であるロールアップアミン化合物A」とは、「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」である点で共通する。 また、甲A4発明の「コロイダルシリカ粒子」の含有割合は、「3000ppm」であるから、本件発明6の「前記砥粒の含有量が2重量%以下である」を充足する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、 下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。nは1~15の整数である。ただし、R1、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物と、 を含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物(但し、下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物を含むものを除く)。 【化1】 [図:0001417602000019.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。)」 <相違点6(A4)-1> 本件発明6は、エーテル結合非含有アミン化合物である「ロールアップアミン化合物A」を含むのに対し、甲A4発明は、エーテル結合非含有アミン化合物である「アミノエチルエタノールアミン」を含むものであるが、当該「アミノエチルエタノールアミン」を「ロールアップ化合物」として用いた認識はない点。 <相違点6(A4)-2> 本件発明6は「(B1)の塩基性化合物、(B2)のアミン化合物、および(B4)のアミン化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」を含むのに対し、甲A4発明は、本件発明6で定義される「ロールオフ化合物B」に該当する成分を含むものではなく、また、ロールオフ化合物についての認識もない点。 <相違点6(A4)-3> 本件発明6は「ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲」であるのに対し、甲A4発明は、ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比が定かでない点。 事案に鑑み、まず、相違点6(A4)-3について検討する。前記相違点6(A4)-1及び相違点6(A4)-2で挙げたとおり、甲A4発明には、ロールアップ化合物やロールオフ化合物といった認識がない。 そうすると、甲A4発明の「研磨液」が、形式的に、ロールアップ化合物に該当するアミノエチルアミノエタノールを含むとしても、ロールオフ化合物を添加する動機付けはないし、その結果、ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とすることが容易であるともいえない。 また、甲A4の他の記載や甲A1~甲A3、甲A5~甲B6の記載を参酌しても、甲A4発明のロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とする動機付けとなるような記載はない。 そうすると、本件発明6は、甲A4発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明8、9 本件発明8、9は、本件発明6で特定される事項を全て含むものであるから、前記ウと同じ理由により、甲A4発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)甲A5を主たる引用例とする場合 ア 本件発明1 本件発明1と甲A5発明を対比すると、甲A5発明の「平均粒度が50nmのコロイダルシリカ(SiO2)」は、本件発明1の「砥粒」に相当する。 甲A5発明の「1,6-ヘキサンジアミン」と本件発明1の「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」とは、ともに「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」である点で共通する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、Rl、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。nは1~15の整数である。ただし、Rl、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンを除く)とを含む、研磨用組成物。」 <相違点1(A5)-1> エーテル結合非含有アミン化合物が、本件発明1は、「1,6-ヘキサンジアミン」が除かれたものであるのに対し、甲A5発明は「1,6-ヘキサンジアミン」である点。 <相違点1(A5)-2> 砥粒の含有量が、本件発明1は「2重量%以下」であるのに対し、甲A5発明は「2.5wt%程度(1,6-ヘキサンジアミンを0.007mol添加しても、添加前とほぼ同じと考えられる。)」である点。 相違点1(A5)-1について検討する。甲A5発明を認定した甲A5の【0016】~【0018】には、「研磨能力(研磨速度)を向上するには、アミノ基が多いアミンが好ましい。・・・炭素原子の数が異なるジアミンのキレート性を確認した。確認したアミンは、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミンで確認した。・・・炭素数が増え1,6-ヘキサンジアミンになるとキレート性がなくなり、添加物自体に金属汚染がないことがわかった。・・・」と記載され、列挙された中では1,6-ヘキサンジアミンが好適だとされている。 そうすると、甲A5発明の「1,6-ヘキサンジアミン」を、本件発明1で特定されるような、1,6-ヘキサンジアミンが除かれたエーテル結合非含有アミン化合物に変更することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 そして、本件特許明細書の段落【0105】の【表1】に記載されているように、本件発明1の式(a)において、R1=エチル基、R2=水素原子、n=2であるNEDA(N-エチルエチレンジアミン)を使用した実施例2Aに記載のように高い研磨レートとロールアップ性能有していることが読み取れる。そして、それにより、本件明細書の段落【0106】に記載のように、シリコンウェーハの端面ダレが抑制されるという予測できない効果を奏するものと認められる。 そうすると、本件発明1は、前記相違点1(A5)-2について検討するまでもなく、甲A5発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~5 本件発明2~5は、本件発明1で特定される事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、甲A5発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明6 本件発明6と甲A5発明を対比すると、甲A5発明の「平均粒度が50nmのコロイダルシリカ(SiO2)」は、本件発明6の「砥粒」に相当する。 甲A5発明の「1,6-ヘキサンジアミン」と、本件発明6の「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物であるロールアップアミン化合物A」とは、ともに「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) ・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」である点で共通する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、 下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。nは1~15の整数である。ただし、R1、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物と、 を含む、研磨用組成物(但し、下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物を含むものを除く)。 【化1】 [図:0001417602000020.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。)」 <相違点6(A5)-1> 本件発明6は、エーテル結合非含有アミン化合物である「ロールアップアミン化合物A」を含むのに対し、甲A5発明は、エーテル結合非含有アミン化合物である「1,6-ヘキサンジアミン」を含むものであるが、当該「1,6-ヘキサンジアミン」を「ロールアップ化合物」として用いた認識はない点。 <相違点6(A5)-2> 本件発明6は「(B1)の塩基性化合物、(B2)のアミン化合物、および(B4)のアミン化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」を含むのに対し、甲A5発明は、本件発明6で定義される「ロールオフ化合物B」に該当する成分を含むものではなく、また、ロールオフ化合物についての認識もない点。 <相違点6(A5)-3> 本件発明6は「ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲」であるのに対し、甲A5発明は、ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比が定かでない点。 <相違点6(A5)-4> 砥粒の含有量が、本件発明6は「2重量%以下」であるのに対し、甲A5発明は「2.5wt%程度(1,6-ヘキサンジアミンを0.007mol添加しても、添加前とほぼ同じと考えられる。)」である点。 まず、相違点6(A5)-3について検討する。前記相違点6(A5)-1及び相違点6(A5)-2で挙げたとおり、甲A5発明には、ロールアップ化合物やロールオフ化合物といった認識がない。 そうすると、甲A5発明の「研磨液」が、形式的に、ロールアップ化合物に該当する1,6-ヘキサンジアミンを含むとしても、ロールオフ化合物を添加する動機付けはないし、その結果、ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とすることが容易であるともいえない。 また、甲A5の他の記載や甲A1~甲A4、甲A6~甲B6の記載を参酌しても、甲A5発明のロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とする動機付けとなるような記載はない。 そうすると、本件発明6は、甲A5発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明8、9 本件発明8、9は、本件発明6で特定される事項を全て含むものであるから、前記ウと同じ理由により、甲A5発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)甲A6を主たる引用例とする場合 ア 本件発明1 本件発明1と甲A6発明を対比すると、甲A6発明の「砥粒としてコロイダルシリカ」は、本件発明1の「砥粒」に相当する。 甲A6発明の「TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)」及び「水酸化カリウム」と、本件発明1の「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」とは、ともに「塩基性化合物」である点で共通する。 また、甲A6発明の「コロイダルシリカ」の含有割合は、「1.2質量%」であるから、本件発明1の「前記砥粒の含有量が2重量%以下である」を充足する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、塩基性化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)とを含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物。」 <相違点1(A6)-1> 塩基性化合物が、本件発明1は、「下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、Rl、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。nは1~15の整数である。ただし、Rl、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」であるのに対し、甲A6発明は「TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)」及び「水酸化カリウム」である点。 相違点1(A6)-1について検討する。甲A6発明を認定した甲A6の[請求項1]には、研磨用組成物に添加される塩基性化合物について、「下記の一般式(1)で表される環状化合物、下記の一般式(2)で表されるイオン性化合物、及び下記の一般式(3)で表される環状ジアミン化合物のうちの少なくとも1種」と記載されており、本件発明1の「下記一般式(a)」で特定される化合物と重複するものはない。また、甲A6発明の「塩基性化合物」を、本件発明1の「下記一般式(a)」に含まれるような環状ではないジアミン化合物とすることも、そのようにする動機付けがないことから、当業者が容易になし得たこととはいえない。 そうすると、本件発明1は、甲A6発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~5 本件発明2~5は、本件発明1で特定される事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、甲A6発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明6 本件発明6と甲A6発明を対比すると、前記アと同様の対比ができるから、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、 塩基性化合物と、 を含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下であるむ、研磨用組成物(但し、下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物を含むものを除く)。 【化1】 [図:0001417602000021.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。)」 <相違点6(A6)-1> 本件発明6は、「ロールアップアミン化合物A」及び「ロールオフ化合物B」を含むのに対し、甲A6発明は、「TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)」及び「水酸化カリウム」を含むものであるが、これらを「ロールアップ化合物」や「ロールオフ化合物」として用いた認識はない点。 <相違点6(A6)-2> 本件発明6は「ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲」であるのに対し、甲A6発明は、ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比が定かでない点。 これらの相違点について検討する。前記相違点6(A6)-1のとおり、甲A6発明には、ロールアップ化合物やロールオフ化合物といった認識がない。 そうすると、甲A6発明の「研磨液」が、形式的に、ロールアップ化合物やロールオフ化合物に該当する成分を含むとしても、ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とすることが容易であるとはいえない。 また、甲A6の他の記載や甲A1~甲A5、甲A7~甲B6の記載を参酌しても、甲A5発明のロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とする動機付けとなるような記載はない。 そうすると、本件発明6は、甲A6発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明8、9 本件発明8、9は、本件発明6で特定される事項を全て含むものであるから、前記ウと同じ理由により、甲A6発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)甲B3を主たる引用例とする場合 ア 本件発明1 本件発明1と甲B3発明を対比すると、甲B3発明の「2wt%のアルミナ」は本件発明1の「砥粒」及び「砥粒の含有量が2重量%以下」に相当する。 また、甲B3発明の「アミノエチルエタノールアミン」は本件発明1の「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」と「エーテル結合非含有アミン化合物」である点で共通する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、Rl、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。nは1~15の整数である。ただし、Rl、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、1,6-ヘキサンジアミンを除く)とを含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物。」 <相違点1(B3)-1> エーテル結合非含有アミン化合物が、本件発明1は「アミノエチルエタノールアミン」が除かれたものであるのに対し、甲A3発明は「アミノエチルエタノールアミン」である点。 甲B3発明を認定した甲B3の【0020】には「好ましい少なくとも1種の研磨添加剤は、・・・最も好ましくは、窒素含有化合物は、ポリエチレンイミン、1,3-ジアミノー2-プロパノール、イミノージ-酢酸、2-アミノー1-ブタノール、エチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,2’-アミノエトキシ-エタノール、及びそれらの混合からなる群より選択される。」と記載されているものの、本件発明1の「下記一般式(a)」に該当する化合物は挙げられていない。 そうすると、前記(1)アにおける検討と同様、甲B3発明の「アミノエチルアミノエタノール」を、本件発明1で特定されるような「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」に代えることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 そうすると、本件発明1は、甲B3発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~5 本件発明2~5は、本件発明1で特定される事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、甲B3発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明6 本件発明6と甲B3発明を対比すると、前記アの相当関係に加え、甲B3発明の「水酸化アンモニウム(NH4OH)」が本件発明6の「(B1)アンモニア、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物および金属水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物」に相当する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、 下記一般式(a): R1-N(R2)-(CH2)n-NH2 (a) (式中、(i)R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である、または、(ii)R1とR2は、互いに結合して環状構造のアミノアルキル基を形成している。nは1~15の整数である。ただし、R1、R2の両方が水素原子の場合、nは3~15の整数である。)で表されるエーテル結合非含有アミン化合物と、 (B1)アンモニア、アンモニウム水酸化物およびホスホニウム水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物; (B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) (式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~15のアルキル基および1級アミノ基を有していないアミノアルキル基から選択される。ただし、R3、R4、R5のうち少なくとも2つは、水素原子以外の基である。R3、R4、R5は、C-C間もしくはC-N間に二重結合を有していてもよい。また、R3、R5は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表されるアミン化合物(但し、ピペラジンを除く);および (B4)分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物; からなる群から選択された少なくとも1種の化合物と、 を含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物(但し、下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物を含むものを除く)。 【化1】 [図:0001417602000022.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。)」 <相違点6(B3)-1> 本件発明6は、エーテル結合非含有アミン化合物である「ロールアップアミン化合物A」を含むのに対し、甲B3発明は、エーテル結合非含有アミン化合物である「アミノエチルアミノエタノール」を含むものであるが、当該「アミノエチルアミノエタノール」を「ロールアップ化合物」として用いた認識はない点。 <相違点6(B3)-2> 本件発明6は「(B1)の塩基性化合物、(B2)のアミン化合物、および(B4)のアミン化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」を含むのに対し、甲B3発明は「水酸化アンモニウム(NH4OH)」を含むものの、当該「水酸化アンモニウム(NH4OH)」をロールオフ化合物として用いた認識はない点。 <相違点6(B3)-3> 本件発明6は「ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲」であるのに対し、甲B3発明は、ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比が定かでない点。 事案に鑑み、まず、相違点6(B3)-3について検討する。前記相違点6(B3)-1及び相違点6(B3)-2に記載したとおり、甲B3発明には、ロールアップ化合物やロールオフ化合物といった認識がない。 そうすると、甲B3発明の「研磨液」が、形式的に、ロールアップ化合物に該当するアミノエチルアミノエタノールを含み、ロールオフ化合物に該当する「水酸化アンモニウム(NH4OH)」を含むとしても、ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とすることが容易であるとはいえない。 また、甲B3の他の記載や甲A1~甲B2、甲B4~甲B6の記載を参酌しても、甲B3発明のロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物Bを1:30~30:1の範囲とする動機付けとなるような記載はない。 そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、甲B3発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明8、9 本件発明8、9は、本件発明6で特定される事項を全て含むものであるから、前記ウと同じ理由により、甲B3発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 取消理由で採用しなかった申立理由についての当審の判断 1 甲B1を主たる引用例とする新規性及び進歩性(前記第4の2(1)参照。) 前記第4の2(2)にも記載したとおり、甲B1は甲A2と同じであるから、前記第5の2(2)と同じ理由により、本件発明1~9は、甲B1発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 甲B4を主たる引用例とする新規性及び進歩性(前記第4の2(1)参照。) (1)本件発明1 本件発明1と甲B4発明を対比すると、甲B4発明の「砥粒としてコロイダルシリカを0.75%」は本件発明1の「砥粒」及び「砥粒の含有量が2重量%以下」に相当する。 また、甲B4発明の「エチレンジアミン」は本件発明1の「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」と「エーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)」である点で共通する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、 エーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く)とを含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物。」 <相違点1(B4)-1> エーテル結合非含有アミン化合物が、本件発明1は「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物(但し、アミノエチルエタノールアミンおよび1,6-ヘキサンジアミンを除く」であるのに対し、甲A3発明は「エチレンジアミン」である点。 前記相違点について検討すると、甲B4発明を認定した甲B4の【0095】には、実施例23の説明として「実施例23はアルカリとしてエチレンジアミンを少量添加して研磨した。ややディッシングが大きくなる。プロセスによってはある程度のディッシングが必要な場合もあり、この場合にはエチレンジアミンを添加することが有効になる。」と記載されている。 そうすると、甲B4発明の【0038】に「本発明の研磨組成物には性能、物性に悪影響を及ぼさない範囲で、アルカリを含有させることが出来る。・・・このようなアルカリとしては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、t-ブチルアミン、アミルアミン、アリルアミン、2-エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、フルフリルアミン、テトラヒドロフルフリルアミンなどのアルキルモノアミン、O-アミノフェノール、エタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-1-プロパノールなどのヒドロキシル基を有するモノアミン、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、O-フェニレンジアミン、トリメチレンジアミン、2-メチル-2-(2-ベンジルチオエチル)エチレンジアミン、1,5-ジアミノ-3-ペンタノール、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、キシレンジアミン、ビスアミノプロピルポリアルキレンエーテルなどのジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2-ジアミノジn-プロピルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどのポリアミンが挙げられる。」と記載され、その中に「1,3-プロピレンジアミン」や「トリメチレンジアミン」が挙げられていたとしても、甲B4発明の「エチレンジアミン」を「トリメチレンジアミン」に代える動機付けはなく、代えることが容易であるともいえない。 してみると、本件発明1は、甲B4発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~5 本件発明2~5は、本件発明1で特定される事項を全て含むものであるから、前記(1)と同じ理由により、甲B4発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明6 本件発明6と甲B4発明を対比すると、前記アの相当関係に加え、甲B4発明の「アンモニア」が本件発明6の「(B1)アンモニア、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物および金属水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物」に相当する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「砥粒と、水と、 エーテル結合非含有アミン化合物と、 (B1)アンモニア、アンモニウム水酸化物およびホスホニウム水酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物; (B2)下記一般式(b2): R3-NR4-R5 (b2) (式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~15のアルキル基および1級アミノ基を有していないアミノアルキル基から選択される。ただし、R3、R4、R5のうち少なくとも2つは、水素原子以外の基である。R3、R4、R5は、C-C間もしくはC-N間に二重結合を有していてもよい。また、R3、R5は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表されるアミン化合物(但し、ピペラジンを除く);および (B4)分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物; からなる群から選択された少なくとも1種の化合物と、 を含み、 前記砥粒の含有量が2重量%以下である、研磨用組成物(但し、下記一般式(1)で示されるアルキルジアミン構造を含み、アルキルアミン構造の2つの窒素のいずれかに、少なくとも1つのブロック型ポリエーテルが結合された化合物;オキシアルキレン重合体;ポリオキシアルキレン付加物;またはオキシアルキレンの共重合体;である疎水性高分子化合物を含むものを除く)。 【化1】 [図:0001417602000023.jpg] (上記一般式(1)において、nは1以上の整数である。)」 <相違点6(B4)-1> 本件発明6は、「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」である「ロールアップアミン化合物A」を含むのに対し、甲B4発明は、エーテル結合非含有アミン化合物である「エチレンジアミン」を含むものであるが、当該「エチレンジアミン」は「下記一般式(a)・・・で表されるエーテル結合非含有アミン化合物」に該当せず、また、「エチレンジアミン」を「ロールアップ化合物」として用いた認識はない点。 <相違点6(B4)-2> 本件発明6は「(B1)の塩基性化合物、(B2)のアミン化合物、および(B4)のアミン化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物であるロールオフ化合物B」を含むのに対し、甲B4発明は「アンモニア」を含むものの、当該「アンモニア」をロールオフ化合物として用いた認識はない点。 <相違点6(B4)-3> 本件発明6は「ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比(ロールアップアミン化合物A:ロールオフ化合物B)が1:30~30:1の範囲」であるのに対し、甲B4発明は、ロールアップアミン化合物Aおよびロールオフ化合物Bのモル濃度の比が定かでない点。 事案に鑑み、まず、相違点6(B4)-1について検討する。前記アで検討したとおり、甲B4発明の「エチレンジアミン」を「トリメチレンジアミン」に代える動機付けはなく、代えることが容易であるともいえない。 そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、甲B4発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明8、9 本件発明8、9は、本件発明6で特定される事項を全て含むものであるから、前記(3)と同じ理由により、甲B4発明及び甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 甲B5又は甲B6を主たる引用例とする新規性及び進歩性(前記第4の2(1)参照。) 前記第4の2(2)にも記載したとおり、甲B5は甲A3と同じであり、甲B6は甲A5と同じであるから、前記第5の2(3)及び(5)と同じ理由により、本件発明1~9は、甲B5発明又は甲B6発明、並びに甲A1~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 申立理由A3(サポート要件)(前記第4の1(1)ウ参照。) (1)申立人の主張 申立人Aは、特許異議申立書48頁下から7行~53頁8行において、概略次の主張をしている。 ア 請求項1~5について 請求項1では、「エーテル結合非含有アミン」が一般式(a)によって特定されているが、発明の詳細な説明からは、この一般式(a)に含まれるあらゆる化合物がエッジロールオフ量を低減する効果を有するとは認識できない。 一般式(a)において、Rl、R2の両方が水素原子の場合について、nが6の1,6-ジアミノヘキサンの場合にエッジロールオフ低減効果が得られる一方、nが2のエチレンジアミンでは効果が得られなかったことが記載されているが、この2つの例だけでは、nが3~5、7~15の整数の場合の全ての範囲で、エッジロールオフ量を低減する効果が得られることが明らかとはいえない。 また、一般式(a)において、Rl、R2の少なくとも一方が水素原子以外である場合について、nが2のN-エチルエチレンジアミン及び2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールの場合にエッジロールオフ低減効果が得られることが記載されているが、nが1、3~15の整数の場合の全ての範囲で、エッジロールオフ量を低減する効果が得られることが明らかとはいえない。 イ 請求項6~9について 請求項6では、「ロールアップアミン化合物A」が一般式(a)によって特定されているが、発明の詳細な説明からは、この一般式(a)に含まれるあらゆる化合物がエッジロールアップを生じさせる作用を有するとは認識できない。同様に、「ロールオフ化合物B」が(B1)、(B2)及び(B4)からなる群から選択された化合物であることが特定されているが、発明の詳細な説明からは、これら(B1)、(B2)及び(B4)からなる群から選択されたあらゆる化合物がエッジロールオフを生じさせる作用を有するとは認識できない。 (2)判断 前記(1)アについて、本件特許の明細書の【0105】の【表1】には、一般式(a)によって特定されるエーテル結合非含有アミンに該当するDAH(1,6-ジアミノヘキサン)、NEDA(N-エチルエチレンジアミン)及びAEAE(2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)について、エッジロールオフ低減効果が得られることが記載されているから、本件発明1が課題を解決できないものとはいえない。 また、前記(2)イについても同様に、本件特許の明細書の【0108】の【表2】には、ロールアップアミン化合物AとしてNEDA(N-エチルエチレンジアミン)、AEAE(2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)、AEP(N-(2-アミノエチル)ピペラジン)が記載され、同【0109】の【表3】には、ロールオフ化合物Bとしてen(エチレンジアミン)、TEA(トリエチルアミン)、DEA(ジエチルアミン)等が記載されており、ロールアップアミン化合物Aとロールオフ化合物Bを組み合わせることで、エッジ近傍と中央部とで厚み差が少ない平坦性のよい研磨後表面を実現し得るとの課題を解決できることを理解できるものである。 申立人の主張は、一般式(a)によって特定されるエーテル結合非含有アミンの中に、課題を解決できないものが含まれている可能性を指摘するものにすぎず、具体的に課題が解決できないことを示したものではないから、採用できない。 5 申立理由A4(明確性要件)(前記第4の1(1)エ参照。) (1)申立人の主張 申立人Aは、特許異議申立書53頁9行~同頁下から2行において、本件特許の明細書の段落【0056】には、分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物B4の具体例として、メチレンジアミン、エチレンジアミン、1-メチルエチレンジアミン、1-エチルエチレンジアミン・・・等が例示される。・・・」と記載されているが、字句どおりに解釈すれば、例えば1-メチルエチレンジアミンは、「分子内の2つの1級アミノ基間に存在する炭素原子数」は3であるから、請求項6の「(B4)分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物」との記載は明確でない。1,2-ジアミノシクロヘキサンについても同様である、との趣旨の主張をしている。 (2)判断 請求項6の「分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有する」の意味は、NとNがいくつのCを経由して連結しているかという趣旨であって、側鎖のCの数を含まないことが明らかであるから、1-メチルエチレンジアミンは、「分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物」に該当することが明らかである。 また、1,2-ジアミノシクロヘキサンも、NとNが2つのC又は4つのCを経由して連結しているものであるから、「分子内の2つの1級アミノ基間に炭素原子数1または2の炭化水素基を有するアミン化合物」に該当することが明らかである。 そうすると、請求項6の当該記載は明確であるから、申立人の主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、本件訂正後の請求項1~6、8、9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項7は、本件訂正により削除され、当該請求項に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700304

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