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特許異議申立

2024-700580

シーリング材組成物

審判番号
2024-700580
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-004374
登録番号
7402394
請求日
2024年06月18日
審決日
2025年10月07日
公報発行日
2026年01月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
  • 【権利者代理人】木内 圭
  • 【異議申立人】目黒 茂
審判長/審判官
  • 審判長 関根 裕
  • 審判官 村守 宏文
  • 審判官 渡辺 陽子
分類
P1651.113-YAA(C09K) / P1651.121-YAA(C09K) / P1651.537-YAA(C09K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第36条、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

結論

結 論 特許第7402394号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。 特許第7402394号の請求項6、7に係る特許を維持する。 特許第7402394号の請求項1~5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 本件特許に係る出願は、令和2年1月15日(優先権主張 平成31年4月8日)の出願であって、令和5年12月13日に特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、同年同月21日に特許掲載公報が発行されたところ、令和6年6月18日に特許異議申立人 目黒 茂(以下「申立人」という。)により全請求項に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。 2 前記特許異議の申立て以降の手続きは以下のとおりである。 令和6年11月14日付け 取消理由通知 令和7年 1月21日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年 5月22日付け 取消理由通知(決定の予告) 同年 6月27日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) その後、当審において令和7年7月9日付けで、申立人に対して意見書提出の期間を指定して、同年6月27日の訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を行ったが、当該期間内に申立人から意見書の提出はなかった。 また、令和7年1月21日提出の訂正請求書による訂正(以下「最初の訂正」という。)の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正内容 令和7年6月27日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、次の訂正事項からなる。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1~5を削除する。 (2)訂正事項2 訂正前の請求項6が訂正前の請求項1~5の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項2~5を引用する態様を削除し、訂正前の請求項1を引用するものについて独立形式請求項へ改める(訂正事項2-1)とともに、 訂正前の請求項1の「(B)炭素数20以上の1価の炭化水素基、を有するモノアミンと、(C)炭素数20未満の1価の炭化水素基、を有するアミン」との記載を、訂正後に、「(B)炭素数20~30の1価の炭化水素基を1つ有し、且つ、アミノ基を1つ有するモノアミンと、 (C)炭素数20未満の1価の炭化水素基を有し、下記式(I): R1-NH-R2-NH2 (I) (式(I)中、R1は上記炭素数20未満の1価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1~5のアルキレン基を表す)で表される化合物であるアミン」 との記載に変更する(訂正事項2-2)ものである。(なお、下線は訂正箇所であり、当審が付与した。) (3)訂正事項3 訂正前の請求項7が訂正前の請求項1~6の記載を引用する記載であるところ、請求項1~5が削除されたことに伴い、訂正前の請求項1~5を引用する態様を削除する。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項1~7について、訂正前の請求項2~7はそれぞれ訂正前の請求項1を引用するものであって、訂正事項1及び訂正事項2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1~7は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 本件訂正についての検討 (1)訂正事項1 訂正事項1は、請求項1~5を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合し、さらに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 (2)訂正事項2 ア 訂正事項2-1 訂正事項2-1は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項1~5の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項2~5を引用する態様を削除し、訂正前の請求項1を引用するものについて独立形式請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合し、さらに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 イ 訂正事項2-2 (ア)訂正事項2-2は、訂正前の請求項1の「(B)炭素数20以上の1価の炭化水素基、を有するモノアミン」及び「(C)炭素数20未満の1価の炭化水素基、を有するアミン」を、それぞれ「(B)炭素数20~30の1価の炭化水素基を1つ有し、且つ、アミノ基を1つ有するモノアミン」、「(C)炭素数20未満の1価の炭化水素基を有し、下記式(I): R1-NH-R2-NH2 (I) (式(I)中、R1は上記炭素数20未満の1価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1~5のアルキレン基を表す)で表される化合物であるアミン」との限定をさらに付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)また、訂正事項2-2は、技術的特徴を付加することにより発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)さらに、訂正後の請求項6の(B)アミンが、「炭素数20~30の1価の炭化水素基を1つ有し、且つ、アミノ基を1つ有するモノアミン」であることは、本願出願当初明細書に、「本発明の組成物に含有されるB成分は、炭素数20以上の1価の炭化水素基、を有するモノアミンである。すなわち、炭素数20以上の1価の炭化水素基を有し、且つ、アミノ基又はイミノ基を1つ有する化合物である」(段落0026)、「炭素数20以上の1価の炭化水素基の炭素数は、本発明の効果等がより優れる理由から、20~30であることが好ましく」(段落0027)、「上述のとおり、B成分はアミノ基又はイミノ基を1つ有する。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、アミノ基を1つ有するものが好ましい。」(段落0028)と記載されていることに基づいている。また、訂正後の請求項6の(C)アミンが、上記式(I)で表される構造を有する旨の技術的特徴は、本願出願当初明細書に、「C成分は、本発明の効果等がより優れる理由から、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。 R1-NH-R2-NH2 (I) 式(I)中、R1は上記炭素数20未満の1価の炭化水素基を表し、R2は2価の炭化水素基を表す。」、「R2は、本発明の効果等がより優れる理由から、アルキレン基(特に、炭素数1~5であることが好ましい。」(段落0035)と記載されていることに基づいている。 してみると、訂正事項2-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項3 訂正事項3は、訂正前の請求項7が訂正前の請求項1~6の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項1~5を引用する態様を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合し、さらに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (4)独立特許要件について 本件においては、訂正前の全ての請求項1~7について特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される独立特許要件が課される請求項はない。 (5)小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1、4号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5、6項の規定に適合するものである。 4 訂正の適否についてのまとめ したがって、本件特許の特許請求の範囲を令和7年6月27日提出の訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 前記第2のとおり、本件訂正の請求は認められたので、本件特許の請求項1~7に係る発明は、その特許の特許請求の範囲の請求項1~7に記載された以下のとおりのものである(それらのうち、請求項6、7に係る発明を、それぞれ「本件訂正発明6」、「本件訂正発明7」といい、まとめて「本件訂正発明」ともいう。)。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 (A)架橋性シリル基を末端に有するポリマーと、 (B)炭素数20~30の1価の炭化水素基を1つ有し、且つ、アミノ基を1つ有するモノアミンと、 (C)炭素数20未満の1価の炭化水素基を有し、下記式(I): R1-NH-R2-NH2 (I) (式(I)中、R1は上記炭素数20未満の1価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1~5のアルキレン基を表す)で表される化合物であるアミンと、 (D)シランカップリング剤と、 (E)充填剤と、 (F)可塑剤と、 (G)硬化触媒と、 を含有する、シーリング材組成物であり、 さらに、 (H)白色であり、平均粒子径が100~500μmであり、表面に水酸基を有する、シリカ、ガラスバルーン及びセラミックバルーンからなる群より選択される少なくとも1種の骨材と、 (I)黒色であり、平均粒子径が150~250μmであり、表面に水酸基を有する、シリカであるカラーサンドと、 を含有し、 前記(H)骨材の含有量が、組成物全体に対して、1~20質量%であり、 前記(I)カラーサンドの含有量が、組成物全体に対して、1~10質量%であり、 前記(E)充填剤の平均粒子径が100μm未満である、シーリング材組成物。 【請求項7】 サイディングボード用である、請求項6に記載のシーリング材組成物。」 第4 特許異議申立ての理由及び当審が通知した取消理由の概要 1 申立人が申し立てた理由(以下「申立理由」という。)の要旨は、次のとおりである。 (1)新規性、進歩性の欠如 ア 甲第1号証を主引用例とする新規性、進歩性の欠如 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~3、5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第1号証及び甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 イ 甲第2号証を主引用例とする新規性、進歩性の欠如 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~5、7に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 ウ 甲第4号証を主引用例とする進歩性の欠如 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明は、甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)サポート要件違反 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~7は、シーリング組成物中の各成分の具体的な化合物、及びその配合量、配合割合が特定されておらず、かつ、各成分がどのような化合物、配合量、配合割合であっても本件特許発明の課題を解決できることは発明の詳細な説明には記載されていないから、発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 2 当審において令和6年11月14日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)理由1(新規性の欠如) ア 甲第1号証を主引用例とする新規性の欠如 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1、5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。(前記1(1)アの申立理由に対応する。) イ 甲第2号証を主引用例とする新規性の欠如 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1、4、5に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。(前記1(1)イの申立理由に対応する。) (2)理由2(進歩性の欠如) ア 甲第1号証を主引用例とする進歩性の欠如 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1、4、5、7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。(前記1(1)アの申立理由に対応する。) イ 甲第2号証を主引用例とする進歩性の欠如 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1、4、5、7に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第証2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。(前記1(1)イの申立理由に対応する。) ウ 甲第4号証を主引用例とする進歩性の欠如 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~5、7に係る発明は、甲第4号証に記載された発明並びに甲第2号証、甲第証4号証、文献A、文献E及び文献Fに記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。(前記1(1)ウの申立理由に対応する。) 3 当審において令和7年5月22日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 (1)理由1(甲4を主引用例とする進歩性の欠如) 最初の訂正後の特許請求の範囲の請求項1~5、7に係る発明は、甲4に記載された発明及び甲4、文献A、文献E及び甲Fに記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。(前記2(2)ウの取消理由、前記1(1)ウの申立理由に対応する。) (2)理由2(サポート要件違反) 最初の訂正後の特許請求の範囲の請求項1~7に係る発明は、本件特許の明細書に課題が解決できると当業者が認識できるように記載されている態様が、(B)成分が「ベヘニルアミン(C22H45-NH2)」又はそれと同等のものであり、(C)成分が「硬化牛脂プロピレンジアミン(C17H33-NH-(C3H6)-NH2)」又はそれと同等のものである態様に限られ、本件出願時の技術常識を考慮しても、当該態様に限定されない前記特許請求の範囲の記載は、当業者が課題を解決できると認識できる範囲を超えていると認められるから、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、最初の訂正後の特許請求の範囲の請求項1~7に係る特許は、同法第36条第6項の規定を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。(前記1(2)の申立理由に対応する。) 4 証拠方法等の一覧 (1)特許異議申立書とともに申立人が提出した証拠 甲第1号証:特開2017-206610号公報 甲第2号証:特許第4473645号公報 甲第3号証:特開2004-59870号公報 甲第4号証:特開2017-190382号公報 甲第5号証:花王社製品カタログ「花王の脂肪アミン ファーミン」,花王株式会社ケミカル事業ユニット, 平成30年7月 甲第6号証:花王社製品カタログ「花王の脂肪アミン ファーミン」,花王株式会社ケミカル事業ユニット, 平成21年12月 (2)当審において、令和6年11月14日付け取消理由通知書で新たに引用した文献 文献A:特開2006-137804号公報 文献B:特開昭59-57602号公報 文献C:特開2018-105078号公報 文献D:特開2013-112775号公報 文献E:特開2003-327856号公報 文献F:特開2006-96859号公報 第5 取消理由及び取消理由(決定の予告)についての判断 1 甲第1号証を主引用例とする新規性、進歩性の欠如(第4 2(1)ア及び第4 2(2)アの取消理由、第4 1(1)アの申立理由に対応) 本件訂正により、甲第1号証を主引用例とする新規性、進歩性の欠如の取消理由を通知した訂正前の請求項1、4、5、7のうち、訂正前の請求項1、4、5は削除され、また、訂正前の請求項7は、訂正前の請求項1~5を引用する態様が削除されて訂正前の請求項6を引用する態様に限定された。 すなわち、本件訂正発明6は、当該取消理由を通知していない請求項6に係る発明(第4 1(1)アの申立理由の対象でもない)に対応するものであり、本件訂正発明7は、その本件訂正発明6を引用するものであるから、当該取消理由の対象となるものが存在しないものとなった。 2 甲第2号証を主引用例とする新規性、進歩性の欠如(第4 2(1)イ及び第4 2(2)イの取消理由、第4 1(1)イの申立理由に対応) 本件訂正により、甲第2号証を主引用例とする新規性、進歩性の欠如の取消理由を通知した訂正前の請求項1、4、5、7のうち、訂正前の請求項1、4、5は削除され、また、訂正前の請求項7は、訂正前の請求項1~5を引用する態様が削除されて訂正前の請求項6を引用する態様に限定された。 すなわち、本件訂正発明6は、当該取消理由を通知していない請求項6に係る発明(第4 1(1)イの申立理由の対象でもない)に対応するものであり、本件訂正発明7は、その本件訂正発明6を引用するものであるから、当該取消理由の対象となるものが存在しないものとなった。 3 甲第4号証を主引用例とする新規性、進歩性の欠如(第4 2(2)ウ及び第4 3(1)の取消理由、第4 1(1)ウの申立理由に対応) 本件訂正により、甲第4号証を主引用例とする新規性、進歩性の欠如の取消理由を通知した訂正前の請求項1~5、7のうち、訂正前の請求項1~5は削除され、また、訂正前の請求項7は、訂正前の請求項1~5を引用する態様が削除されて訂正前の請求項6を引用する態様に限定された。 すなわち、本件訂正発明6は、当該取消理由を通知していない請求項6に係る発明(第4 1(1)ウの申立理由の対象でもない)に対応するものであり、本件訂正発明7は、その本件訂正発明6を引用するものであるから、当該取消理由の対象となるものが存在しないものとなった。 4 サポート要件違反(第4 3(2)の取消理由、第4 1(2)の申立理由に対応) (1)本件訂正発明の課題 本件訂正発明の課題は、本件特許の明細書の段落0004、0005の記載からみて、「施工時期に依らず優れた耐汚染性を示すシーリング材組成物を提供すること」であると認める。 (2)当審における判断 本件特許の明細書の段落0067~0076には、シーリング材組成物においてシランカップリング剤と併用するアミンとして、本件訂正発明6の(B)成分に相当する「ベヘニルアミン(C22H45-NH2)」と(C)成分に相当する「硬化牛脂プロピレンジアミン(C17H33-NH-(C3H6)-NH2)」とを併用した態様(実施例1~7)において、(B)成分のみ、(C)成分のみ、または(B)成分と比較アミン「1,12-ドデカンジアミン」とを併用した態様(比較例1~3)とは異なり、硬化温度が低温か高温かに依らず、すなわち、施工時期に依らず、タック性、耐汚染性に優れること、なかでも、B/(B+C)が50質量%超である実施例1及び実施例3~7は、より耐汚染性に優れることが(段落0074の表1、段落0076)、具体的なデータの裏付けをもって示されている。 また、段落0011には、「(B)炭素数20以上の1価の炭化水素基、を有するモノアミン」及び「(C)炭素数20未満の1価の炭化水素基、を有するアミン」の2種類のアミンを併用することについて、「上記2種類のアミンはいずれも硬化物(シーリング材)の内部から表面へブリードアウトし、アミノ基等が空気中の二酸化炭素と反応して、シーリング材の表面で塩を形成するものと考えられる」、「その結果、残留タックが軽減され、ほこり等の汚れがシーリング材の表面に付着し難くなるものと考えられる」、「一方、アミンのブリードアウトの仕方は硬化時や硬化後の環境(特に温度)によって変化するため、1種類のアミンのみを使用した場合、施工時期によってはブリードアウトが不十分になったり、逆に過度なブリードアウト(タックに繋がる)が生じたりする」、「そのため、施工時期によって耐汚染性が不十分となることがある」、「この点、本発明では上述のとおり2種類の特定のアミンを併用するため、幅広い温度域で適度なブリードアウトが実現され、結果として、施工時期に依らず優れた耐汚染性を示すものと推測される」と記載されている。 そうすると、シーリング材組成物においてシランカップリング剤と併用するアミンとして、ブリードアウトのしやすさが異なる2種類のアミンを、幅広い温度域で適度なブリードアウトが実現されるように併用することで、好ましくは、「ベヘニルアミン(C22H45-NH2)」又はそれと同等のもの及び「硬化牛脂プロピレンジアミン(C17H33-NH-(C3H6)-NH2)」又はそれと同等のものを併用することで、前記課題が解決できることが推認できる。 さらに、甲第4号証の段落0011、0012にも記載されているように、アミン化合物が低分子である場合、相対的に融点が低くなり、冬場のような低温の環境下でもブリードアウトしやすく、アミン化合物が長鎖のアルキル基を有する場合、ポリマーと絡みやすく、夏場のような高温下でもブリードアウトしにくいことは、当業者であれば推認できることである。 そして、本件訂正発明6の(C)成分は、「炭素数20未満の1価の炭化水素基を有し、下記式(I):R1-NH-R2-NH2 (I) (式(I)中、R1は炭素数20未満の1価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1~5のアルキレン基を表す)で表される化合物であるアミン」に特定されているところ、冬場のような低温の環境下でのブリードアウトのしやすさは、この式(I)におけるR1が「C17H33-」(炭素数17の1価の炭化水素基)、R2が「-(C3H6)-」(炭素数3のアルキレン基)である化合物に相当する「硬化牛脂プロピレンジアミン(C17H33-NH-(C3H6)-NH2)」と同等であると推認できる。 また、本件訂正発明6の(B)成分は、「炭素数20~30の1価の炭化水素基を1つ有し、且つ、アミノ基を1つ有するモノアミン」と特定されているところ、夏場のような高温下でのブリードアウトのしにくさは、炭素数22の炭化水素基とアミノ基を有する「ベヘニルアミン(C22H45-NH2)」と同等であると推認できる。 してみると、本件訂正発明6は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できるものであるから、本件訂正発明6は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 本件訂正発明6の引用形式で記載された本件訂正発明7についても同様である。 (3)小括 したがって、本件訂正発明は、発明の詳細な説明に記載された発明であって、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものであるから、本件訂正発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当せず、第4 3(2)の取消理由によって取り消されるべきものでない。 第6 取消理由及び取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立ての理由について 本件特許の請求項6、7に対して、取消理由及び取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立ての理由はない。 第7 むすび 前記第5のとおり、本件特許の請求項6、7に係る特許は、前記第4 1の特許異議申立書に記載した申立ての理由、前記第4 2の取消理由、前記第4 3の取消理由(決定の予告)によっては、取り消すことができない。 また、他に本件特許の請求項6、7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件訂正により請求項1~5は削除され、請求項1~5に係る特許異議の申立ては対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700580

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