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特許異議申立

2021-700911

ウェアラブル端末用部材

審判番号
2021-700911
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-550413
登録番号
6849096
請求日
2021年09月21日
審決日
2022年06月17日
公報発行日
2022年09月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ダイキン工業株式会社
  • 【権利者代理人】山田 卓二
  • 【権利者代理人】吉田 環
  • 【権利者代理人】式見 真行
  • 【異議申立人】宮本 邦彦
審判長/審判官
  • 審判長 山崎 勝司
  • 審判官 井上 茂夫
  • 審判官 加藤 友也
分類
P1651.121-YAA(B32B) / P1651.537-YAA(B32B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項、特許法第135条
データ出所
審決公報(XML)

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特許第6849096号発明「ウェアラブル端末用部材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6849096号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、7~9〕、〔6、10、11〕について訂正することを認める。 特許第6849096号の請求項1~4、6~11に係る特許を維持する。 特許第6849096号の請求項5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6849096号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成30年10月30日(優先権主張 平成29年10月31日、日本国)を国際出願日とする出願であって、令和3年3月8日にその特許権の設定登録がされ(特許掲載公報令和3年3月24日発行)、その後、その特許について、令和3年9月21日に特許異議申立人宮本邦彦(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和3年12月14日付けで取消理由が通知され、令和4年2月15日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされ、令和4年4月20日に申立人から意見書が提出されたものである。 第2 本件訂正請求について 1.訂正の内容 本件訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~11について訂正することを求めるものである(なお、訂正箇所に下線を付した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記電子部品は、前記保護層により全面を覆われており、 前記樹脂基材は、凹部を有し、該凹部に前記電子部品が配置されており、 前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、」の発明特定事項を加え、 「樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、 前記保護層は、架橋剤とパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層であり、 前記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であり、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、または、分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物であり、 前記電子部品は、前記保護層により全面を覆われており、 前記樹脂基材は、凹部を有し、該凹部に前記電子部品が配置されており、 前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、 ウェアラブル端末用部材。」と訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項6に「前記電子部品が前記樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を前記保護層が覆っている、請求項1~3のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式の請求項に改め、さらに「前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である」の発明特定事項を加え、 「樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、 前記保護層は、架橋剤とパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層であり、 前記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であり、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、または、分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物であり、 前記電子部品が前記樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を前記保護層が覆っており、 前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、 ウェアラブル端末用部材。」と訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項7の「眼鏡フレームである、請求項1~6のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材。」とあるのを、「眼鏡フレームである、請求項1~4のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材。」と訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項8の「時計用バンドである、請求項1~6のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材。」とあるのを、「時計用バンドである、請求項1~4のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材。」と訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項9の「請求項1~8のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材を有して成るウェアラブル端末。」とあるのを、「請求項1~4のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材を有して成るウェアラブル端末。」と訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項6に「前記電子部品が前記樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を前記保護層が覆っている、請求項1~3のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、 「前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物が、式(A)、(B)、(C)、または(D): 【化3】 [図:0001388386000001.jpg] [式中: PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3X106)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。) で表される基であり; R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; R14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~22のアルキル基を表し; R11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し; R12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; R11”、R12”、R13”、およびR14”は、それぞれ、R11、R12、R13、およびR14と同意義であり; n1は、(-SiR13n1R143-n1)単位毎または(-SiR13”n1R14”3-n1)単位毎に独立して、0~3の整数であり; ただし、式(A)、および(B)において、各出現においてそれぞれ独立して、R13およびR13”からなる群より選ばれる基が少なくとも2存在し; X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; X2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し; tは、各出現においてそれぞれ独立して、1~10の整数であり; α1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり; X3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; β1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり; X5は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; γ1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり; Raは、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3-SiR71p1R72q1R73r1を表し; Z3は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し; R71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表し; Ra’は、Raと同意義であり; Ra中、Z3基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり; R72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; R73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; Ra”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3-SiR71p1R72”q1R73r1を表し; R72”は、R72と同意義であり; ただし、(-Z3-SiR71p1R72q1R73r1)毎、または(-Z3-SiR71p1R72”q1R73r1)毎において、p1、q1およびr1の和は3であり、式(C)において、少なくとも1つのq1が1~3の整数であり; Rbは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; Rcは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; Rb”、およびRc”は、それぞれ、Rb、およびRcと同意義であり; k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; ただし、(SiRak1Rbl1Rcm1)毎、または(SiRa”k1Rb”l1Rc”m1)毎において、k1、l1およびm1の和は3であり; (C)において、Rb、Rb”、R72、およびR72”からなる群より選ばれる基が少なくとも2存在し; X7は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; δ1は、それぞれ独立して、1~9の整数であり; Rdは、各出現においてそれぞれ独立して、-Z4-CR81p2R82q2R83r2を表し; Z4は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し; R81は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd’を表し; Rd’は、Rdと同意義であり; Rd中、Z4基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり; R82は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85n2R863-n2を表し; Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し; R85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; R86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; R83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し; p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; Rd”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z4-CR81p2R82”q2R83r2を表し; R82”は、-Y-SiR85”n2R86”3-n2を表し; ただし、(-Z4-CR81p2R82q2R83r2)毎または(-Z4-CR81p2R82”q2R83r2)毎において、p2、q2およびr2の和は3であり; n2は、(-Y-SiR85n2R863-n2)単位毎または(-Y-SiR85”n2R86”3-n2)単位毎に独立して、0~3の整数を表し; R85”、およびR86”は、それぞれ、R85、およびR86と同意義であり; Reは、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85n2R863-n2を表し; Re”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85”n2R86”3-n2を表し; Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し; Rf”は、Rfと同意義であり; k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; ただし、(CRdk2Rel2Rfm2)毎または(CRd”k2Re”l2Rf”m2)毎において、k2、l2およびm2の和は3であり、式(D)において、n2が1以上である-Y-SiR85n2R863-n2で表される基およびn2が1以上である-Y-SiR85”n2R86”3-n2で表される基からなる群より選ばれる基が2以上存在する。] で表される少なくとも1種のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物である、請求項6に記載のウェアラブル端末用部材。」と記載し、新たに請求項10とする。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項6に「前記電子部品が前記樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を前記保護層が覆っている、請求項1~3のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、 「前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物が、以下の式: CH2=CH-Rk1-PFPE-Rk1-CH=CH2 (I) [式中: PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3X106)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。) で表される基であり; RK1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または2価の有機基である。] で表される化合物である、請求項6に記載のウェアラブル端末用部材。」と記載し、新たに請求項11とする。 (9)一群の請求項について 訂正前の請求項2~9は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものであり、いずれも、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正後の請求項1~11は、一群の請求項を構成するものである。 なお、特許権者は、訂正後の請求項6、10及び11については、それらの訂正が認められるのであれば、一群の請求項の他の請求項とは別途の訂正とすることを求めている。 2.訂正の適否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載されていた「樹脂基材」について凹部を有するものに限定し、「電子部品」について上記凹部に配置されているものに限定し、「保護層」について上記電子部品の全面を覆い、その厚さが10μm以上1.0mm以下であるものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 訂正事項1は、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の段落【0037】、【0491】の記載事項からみて、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。 さらに、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであることは明らかである。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項1~3のいずれか1項を引用する請求項6のうち、請求項1を引用する請求項6について、請求項間の引用を解消して、請求項1の記載を引用しない独立形式の請求項に改め、「保護層」について、その厚さが10μm以上1.0mm以下であるものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。 訂正事項3は、本件特許明細書等の段落【0037】の記載事項からみて、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。 さらに、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4~6について 訂正事項4~6は、訂正前の請求項7~9の各々が引用する請求項の数を減少させるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、訂正事項4~6は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 (5)訂正事項7について 訂正事項7は、訂正前の請求項1~3のいずれか1項を引用する請求項6のうち、請求項2を引用する請求項6を分けて新たに項番を付して請求項10とするものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)訂正事項8について 訂正事項8は、訂正前の請求項1~3のいずれか1項を引用する請求項6のうち、請求項3を引用する請求項6を分けて新たに項番を付して請求項11とするものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3.本件訂正請求についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げられた事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 そして、請求項6、10及び11については、一群の請求項の他の請求項とは別途の訂正とすることの求めがされているので、訂正後の請求項〔1~5、7~9〕、〔6、10、11〕について訂正を認める。 第3 本件特許発明 上記のとおり、本件訂正請求が認められるから、本件特許の請求項1~4、6~11に係る発明(以下「本件発明1」等といい、また、本件発明1~4、6~11を「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~4、6~11に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項1】 樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、 前記保護層は、架橋剤とパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層であり、 前記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であり、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、または、分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物であり、 前記電子部品は、前記保護層により全面を覆われており、 前記樹脂基材は、凹部を有し、該凹部に前記電子部品が配置されており、 前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、 ウェアラブル端末用部材。 【請求項2】 前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物が、式(A)、(B)、(C)、または(D): 【化2】 [図:0001388386000002.jpg] [式中: PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3X106)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。) で表される基であり; R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; R14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~22のアルキル基を表し; R11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し; R12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; R11”、R12”、R13”、およびR14”は、それぞれ、R11、R12、R13、およびR14と同意義であり; n1は、(-SiR13n1R143-n1)単位毎または(-SiR13”n1R14”3-n1)単位毎に独立して、0~3の整数であり; ただし、式(A)、および(B)において、各出現においてそれぞれ独立して、R13およびR13”からなる群より選ばれる基が少なくとも2存在し; X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; X2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し; tは、各出現においてそれぞれ独立して、1~10の整数であり; α1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり; X3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; β1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり; X5は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; γ1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり; Raは、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3-SiR71p1R72q1R73r1を表し; Z3は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し; R71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表し; Ra’は、Raと同意義であり; Ra中、Z3基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり; R72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; R73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; Ra”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3-SiR71p1R72”q1R73r1を表し; R72”は、R72と同意義であり; ただし、(-Z3-SiR71p1R72q1R73r1)毎、または(-Z3-SiR71p1R72”q1R73r1)毎において、p1、q1およびr1の和は3であり、式(C)において、少なくとも1つのq1が1~3の整数であり; Rbは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; Rcは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; Rb”、およびRc”は、それぞれ、Rb、およびRcと同意義であり; k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; ただし、(SiRak1Rbl1Rcm1)毎、または(SiRa”k1Rb”l1Rc”m1)毎において、k1、l1およびm1の和は3であり; (C)において、Rb、Rb”、R72、およびR72”からなる群より選ばれる基が少なくとも2存在し; X7は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; δ1は、それぞれ独立して、1~9の整数であり; Rdは、各出現においてそれぞれ独立して、-Z4-CR81p2R82q2R83r2を表し; Z4は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し; R81は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd’を表し; Rd’は、Rdと同意義であり; Rd中、Z4基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり; R82は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85n2R863-n2を表し; Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し; R85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; R86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; R83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し; p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; Rd”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z4-CR81p2R82”q2R83r2を表し; R82”は、-Y-SiR85”n2R86”3-n2を表し; ただし、(-Z4-CR81p2R82q2R83r2)毎または(-Z4-CR81p2R82”q2R83r2)毎において、p2、q2およびr2の和は3であり; n2は、(-Y-SiR85n2R863-n2)単位毎または(-Y-SiR85”n2R86”3-n2)単位毎に独立して、0~3の整数を表し; R85”、およびR86”は、それぞれ、R85、およびR86と同意義であり; Reは、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85n2R863-n2を表し; Re”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85”n2R86”3-n2を表し; Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し; Rf”は、Rfと同意義であり; k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; ただし、(CRdk2Rel2Rfm2)毎または(CRd”k2Re”l2Rf”m2)毎において、k2、l2およびm2の和は3であり、式(D)において、n2が1以上である-Y-SiR85n2R863-n2で表される基およびn2が1以上である-Y-SiR85”n2R86”3-n2で表される基からなる群より選ばれる基が2以上存在する。] で表される少なくとも1種のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物である、請求項1に記載のウェアラブル端末用部材。 【請求項3】 前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物が、以下の式: CH2=CH-Rk1-PFPE-Rk1-CH=CH2 (I) [式中: PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3X106)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。) で表される基であり; RK1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または2価の有機基である。] で表される化合物である、請求項1に記載のウェアラブル端末用部材。 【請求項4】 前記保護層が、前記電子部品を直接覆っている、請求項1~3のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材。」 「【請求項6】 樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、 前記保護層は、架橋剤とパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層であり、 前記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であり、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、または、分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物であり、 前記電子部品が前記樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を前記保護層が覆っており、 前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、 ウェアラブル端末用部材。 【請求項7】 眼鏡フレームである、請求項1~4のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材。 【請求項8】 時計用バンドである、請求項1~4のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材。 【請求項9】 請求項1~4のいずれか1項に記載のウェアラブル端末用部材を有して成るウェアラブル端末。 【請求項10】 前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物が、式(A)、(B)、(C)、または(D): 【化3】 [図:0001388386000003.jpg] [式中: PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3X106)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。) で表される基であり; R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; R14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~22のアルキル基を表し; R11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し; R12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; R11”、R12”、R13”、およびR14”は、それぞれ、R11、R12、R13、およびR14と同意義であり; n1は、(-SiR13n1R143-n1)単位毎または(-SiR13”n1R14”3-n1)単位毎に独立して、0~3の整数であり; ただし、式(A)、および(B)において、各出現においてそれぞれ独立して、R13およびR13”からなる群より選ばれる基が少なくとも2存在し; X1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; X2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し; tは、各出現においてそれぞれ独立して、1~10の整数であり; α1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり; X3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; β1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり; X5は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; γ1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり; Raは、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3-SiR71p1R72q1R73r1を表し; Z3は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し; R71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表し; Ra’は、Raと同意義であり; Ra中、Z3基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり; R72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; R73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; Ra”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3-SiR71p1R72”q1R73r1を表し; R72”は、R72と同意義であり; ただし、(-Z3-SiR71p1R72q1R73r1)毎、または(-Z3-SiR71p1R72”q1R73r1)毎において、p1、q1およびr1の和は3であり、式(C)において、少なくとも1つのq1が1~3の整数であり; Rbは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; Rcは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; Rb”、およびRc”は、それぞれ、Rb、およびRcと同意義であり; k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; ただし、(SiRak1Rbl1Rcm1)毎、または(SiRa”k1Rb”l1Rc”m1)毎において、k1、l1およびm1の和は3であり; (C)において、Rb、Rb”、R72、およびR72”からなる群より選ばれる基が少なくとも2存在し; X7は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し; δ1は、それぞれ独立して、1~9の整数であり; Rdは、各出現においてそれぞれ独立して、-Z4-CR81p2R82q2R83r2を表し; Z4は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し; R81は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd’を表し; Rd’は、Rdと同意義であり; Rd中、Z4基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり; R82は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85n2R863-n2を表し; Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し; R85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し; R86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し; R83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し; p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; Rd”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z4-CR81p2R82”q2R83r2を表し; R82”は、-Y-SiR85”n2R86”3-n2を表し; ただし、(-Z4-CR81p2R82q2R83r2)毎または(-Z4-CR81p2R82”q2R83r2)毎において、p2、q2およびr2の和は3であり; n2は、(-Y-SiR85n2R863-n2)単位毎または(-Y-SiR85”n2R86”3-n2)単位毎に独立して、0~3の整数を表し; R85”、およびR86”は、それぞれ、R85、およびR86と同意義であり; Reは、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85n2R863-n2を表し; Re”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85”n2R86”3-n2を表し; Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し; Rf”は、Rfと同意義であり; k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり; ただし、(CRdk2Rel2Rfm2)毎または(CRd”k2Re”l2Rf”m2)毎において、k2、l2およびm2の和は3であり、式(D)において、n2が1以上である-Y-SiR85n2R863-n2で表される基およびn2が1以上である-Y-SiR85”n2R86”3-n2で表される基からなる群より選ばれる基が2以上存在する。] で表される少なくとも1種のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物である、請求項6に記載のウェアラブル端末用部材。 【請求項11】 前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物が、以下の式: CH2=CH-Rk1-PFPE-Rk1-CH=CH2 (I) [式中: PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式: -(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3X106)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。) で表される基であり; RK1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または2価の有機基である。] で表される化合物である、請求項6に記載のウェアラブル端末用部材。」 第4 取消理由及び特許異議の申立ての理由について 1.特許権者に通知した取消理由 本件発明に対して、特許権者に通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。 本件発明は、その優先日前に日本国内または外国において頒布された以下の甲第1号証、甲第3号証及び甲第7号証に係る発明に基いて、本件特許出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 甲第1号証:特開2016-219782号公報 甲第3号証:特開2014-77070号公報 甲第7号証:特開2008-214566号公報 以下、甲第1号証を「甲1」といい、甲第3号証以降も同様。 2.取消理由についての判断 (1)甲3を主引用例とする理由について ア 甲3の記載事項、甲3に記載された発明 甲3には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、硬化後に含フッ素エラストマーを形成し、硬化時に金属やプラスチック等の各種基材に対して強固に接着する接着剤組成物に関する。特に、コーティング用途又はポッティング用途において表面が平滑で均一な硬化物を与えることができる接着剤組成物に関する。」 「【0008】 本発明の接着剤組成物によれば、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性、低温特性、低透湿性、電気特性に優れ、かつ比較的低温かつ短時間の加熱によって金属やプラスチック等の幅広い種類の基材に対して良好な接着性を有する硬化物を与えることができる。特に、表面が平滑で均一な硬化物を与えることができ、更に硬化性及び保存安定性にも優れているので、長期的な保護性能が要求される電気・電子部品のコーティング用途又はポッティング用途において好適に使用することができる。」 「【0113】 本発明の接着剤組成物は、自動車関連部品、各種電気・電子部品などの接着剤として有用である。例えば、自動車の制御系に使用される各種圧力センサー、ガス濃度検知器、温度センサーなどの検知器・センサーの接着シール剤や保護用コーティング剤、ポッティング剤として好適であり、また、各種ガス、温水、薬品などに曝されるセンサーなどの保護用封止剤、インクジェットプリンター用の接着剤、プリンターヘッド用の接着剤・封止剤、レーザープリンターや複写装置のロールやベルトのコーティング剤、各種回路基板の接着シール剤、コーティング剤、ポッティング剤などに好適に用いることができる。」 さらに、甲3の実施例1の組成物に基づくと、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているといえる。 「式(8)で示されるポリマーと、式(11)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンを含む組成物を、テトラフルオロエチレン製平板に塗布し加熱して硬化させた硬化物を備えた、部材。 [図:0001388386000004.jpg] [図:0001388386000005.jpg] 」 イ 本件発明1について 本件発明1と甲3発明と対比する。 甲3発明の式(8)で示される「ポリマー」は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状ポリフルオロ化合物であり、本件発明1の「分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物」に相当する。 また、甲3発明の式(11)で示される「含フッ素オルガノ水素シロキサン」は、1分子中にケイ素原子に直結した水素原子を2個以上有する有機ケイ素化合物であり、本件発明1の「Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であり、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基」である「架橋剤」に相当する。 甲3発明の「テトラフルオロエチレン製平板」は、本件発明1の「樹脂基材」に相当し、甲3発明の「式(8)で示されるポリマーと、式(11)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンを含む組成物を塗布し加熱して硬化させた硬化物」は、本件発明1の「架橋剤とパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層」に相当する。 甲3発明の「組成物」を「テトラフルオロエチレン製平板に塗布し加熱して硬化させた硬化物を備えた、部材」と、本件発明1の「樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、」「前記電子部品は、前記保護層により全面を覆われており、前記樹脂基材は、凹部を有し、該凹部に前記電子部品が配置されており、前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、ウェアラブル端末用部材」とは、「樹脂基材と硬化物の層を有する部材」という限りで一致する。 そうすると、本件発明1と甲3発明とは、 「《一致点1》 樹脂基材と硬化物の層を有する部材であって、 前記硬化物の層は、架橋剤とパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層であり、 前記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であり、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、または、分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物である、部材」で一致し、 「《相違点1》 樹脂基材と硬化物の層を有する部材に関し、本件発明1が、「樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、」「前記電子部品は、前記保護層により全面を覆われており、前記樹脂基材は、凹部を有し、該凹部に前記電子部品が配置されており、前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、ウェアラブル端末用部材」であるのに対し、甲3発明は、「組成物」を「テトラフルオロエチレン製平板に塗布し加熱して硬化させた硬化物を備えた、部材」である点」で相違する。 上記《相違点1》について検討する。 甲3には、コーティング用途又はポッティング用途において表面が平滑で均一な硬化物を与えることができる接着剤組成物(【0001】)について記載されているが、甲3発明のテトラフルオロエチレン製平板に凹部を形成して、その凹部に電子部品を配置し、ウェアラブル端末用部材として構成することについて契機となる記載はなく、そのように構成することに動機付けがあるとは認められない。 甲1には、電子部品を備えるウェアラブル端末用部材が記載されているが、「樹脂基材は、凹部を有し、該凹部に電子部品が配置されており、保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である」ことは記載されておらず、甲3発明のテトラフルオロエチレン製平板に凹部を形成して、その凹部に電子部品を配置し、ウェアラブル端末用部材として構成することへの動機付けにつながる記載も示唆もない。 また、他に本件発明1の相違点1に係る構成について、記載ないし示唆する証拠は提出されていない。 よって、本件発明1は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明2~4、7~9について 本件発明2~4、7~9は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるところ、本件発明1は 甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2~4、7~9も同様に、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明6について 本件発明6と甲3発明と対比する。 甲3発明の「組成物」を「テトラフルオロエチレン製平板に塗布し加熱して硬化させた硬化物を備えた、部材」と、本件発明6の「樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、」「前記電子部品が前記樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を前記保護層が覆っており、前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、ウェアラブル端末用部材」とは、「樹脂基材と硬化物の層を有する部材」という限りで一致し、その余の事項の対応関係は、上記(1)イと同様である。 そうすると、本件発明6と甲3発明とは、上記一致点1で一致し、 「《相違点2》 樹脂基材と硬化物の層を有する部材に関し、本件発明6が、「樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、」「前記電子部品が前記樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を前記保護層が覆っており、前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、ウェアラブル端末用部材」であるのに対し、甲3発明は、「組成物」を「テトラフルオロエチレン製平板に塗布し加熱して硬化させた硬化物を備えた、部材」である点」で相違する。 上記《相違点2》について検討する。 甲3には、上記(1)イで述べた接着剤組成物が記載されているが、甲3発明のテトラフルオロエチレン製平板に電子部品を埋設し、ウェアラブル端末用部材として構成することについて契機となる記載はなく、そのように構成することに動機付けがあるとは認められない。 甲1には、電子部品を備えるウェアラブル端末用部材が記載されているが、「電子部品が樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を保護層が覆っており、保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である」ことは記載されておらず、甲3発明のテトラフルオロエチレン製平板に電子部品を埋設し、ウェアラブル端末用部材として構成することへの動機付けにつながる記載も示唆もない。 また、他に本件発明6の相違点2に係る構成について、記載ないし示唆する証拠は提出されていない。 よって、本件発明6は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 本件発明10、11について 本件発明10、11は、本件発明6の発明特定事項を全て備えるものであるところ、本件発明6は 甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明10、11も同様に、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)甲7を主引用例とする理由について ア 甲7の記載事項、甲7に記載された発明 甲7には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、離型性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性、撥水性、撥油性、耐熱性に優れ、更に低透湿性である硬化性フルオロポリエーテル組成物の硬化皮膜が表面に形成されたゴムに関する。」 「【0005】 本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、分子中に加水分解性基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状フルオロポリエーテル化合物を、アミノ基、エポキシ基又はメルカプト基を有するカーボンファンクショナルシラン及び硬化触媒と共に配合した硬化性フルオロポリエーテル系コーティング組成物は、ゴムに塗布することにより、ゴムと強固に接着し、塗布されたコーティング組成物は硬化してゴム表面に硬化皮膜を形成し、ゴムに離型性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性、撥水性、撥油性、耐熱性、低透湿性を付与することができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。」 「【0007】 本発明の硬化性フルオロポリエーテル組成物をコーティングして表面にその硬化皮膜を形成したゴムは、離型性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性、撥水性、撥油性、耐熱性等を改良することができる。更に、この硬化性フルオロポリエーテル組成物の硬化皮膜は低透湿性であるため、防湿コートとしても有用であり、トナー離型性が必要とされる定着ロール、定着ベルト、耐ガソリン性、低固着性が必要とされるダイヤフラム、バルブ、耐メタノール性、耐薬品性が必要とされる燃料電池用ゴム材料等に有用である。」 「【0032】 本発明の硬化性フルオロポリエーテル組成物をコーティングしたゴムは、離型性、耐薬品性、耐溶剤性、撥水性、撥油性、耐候性、耐熱性等を改良することができる。更に、この硬化性フルオロポリエーテル組成物の硬化皮膜は低透湿性であるため、防湿コートとしても有用であり、各種の用途に使用することができる。 【0033】 本発明の組成物の硬化皮膜を有するゴムの応用例としては、耐燃料性、耐油性が必要とされる燃料噴射装置のクイックコネクター用などの各種Oリング、チェックバルブ、電磁弁などの各種バルブ、あるいはオイルシール、ダイヤフラム、ガスケット、ホースなどの自動車用ゴム部品、航空機用エンジンオイル、ジェット燃料、ハイドローリックオイル、スカイドロール等の流体配管用などの各種Oリング、バルブ、フェースシール、トナー離型性が必要とされる定着ロール、定着ベルト、低固着性が必要とされるダイヤフラム、バルブ、耐メタノール性、耐薬品性が必要とされる燃料電池用ゴム材料あるいはダイヤフラム、ガスケット、パッキン、チューブ、ホース、ロール、ベルトなどの分析、理化学機器用ゴム部品、化学プラント用ゴム部品、医療機器用ゴム部品、印刷機用ゴム部品、半導体製造装置用ゴム部品、電気電子機器用ゴム部品、土木、建設、建築用ゴム部品、船舶用ゴム部品、一般機械用ゴム部品及び発電装置用ゴム部品等を例示することができる。」 さらに、甲7の、特に実施例1の組成物に基づくと、甲7には、次の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されているといえる。 「下記式で表されるポリマーと、γ-エチレンジアミノプロピルトリエトキシシランを含む組成物を、ゴムのシート状の成形物に塗布し硬化させたコーティング層を備えた、部材。 [図:0001388386000006.jpg] 」 イ 本件発明1について 本件発明1と甲7発明と対比する。 甲7発明の式で示される「ポリマー」は、本件発明1の「パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物」に相当する。 また、甲7発明の「γ-エチレンジアミノプロピルトリエトキシシラン」は、ケイ素原子と結合したエトキシ基(-OCH2CH3)を2個以上有する有機ケイ素化合物であり、本件発明1の「Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であり、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基」である「架橋剤」に相当する。 甲7発明の「ゴムのシート状の成形物」は、本件発明1の「樹脂基材」に相当し、甲7発明の「下記式で表されるポリマーと、γ-エチレンジアミノプロピルトリエトキシシランを含む組成物を、ゴムのシート状の成形物に塗布し硬化させたコーティング層」は、本件発明1の「架橋剤とパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層」に相当する。 甲7発明の「組成物」を「ゴムのシート状の成形物に塗布し硬化させたコーティング層を備えた、部材」と、本件発明1の「樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、」「前記電子部品は、前記保護層により全面を覆われており、前記樹脂基材は、凹部を有し、該凹部に前記電子部品が配置されており、前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、ウェアラブル端末用部材」とは、「樹脂基材と硬化物の層を有する部材」という限りで一致する。 そうすると、本件発明1と甲7発明とは、 「《一致点2》 樹脂基材と硬化物の層を有する部材であって、 前記硬化物の層は、架橋剤とパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層であり、 前記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であり、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、 前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、または、分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物である、部材」で一致し、 「《相違点3》 樹脂基材と硬化物の層を有する部材に関し、本件発明1が、「樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、」「前記電子部品は、前記保護層により全面を覆われており、前記樹脂基材は、凹部を有し、該凹部に前記電子部品が配置されており、前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、ウェアラブル端末用部材」であるのに対し、甲7発明は、組成物を「ゴムのシート状の成形物に塗布し硬化させたコーティング層を備えた、部材」である点」で相違する。 上記《相違点3》について検討する。 甲7には、硬化性フルオロポリエーテル組成物の硬化皮膜が表面に形成されたゴム(【0001】)に関し、その硬化皮膜が形成されたゴムはダイヤフラム、バルブ、耐メタノール性、耐薬品性が必要とされる燃料電池用ゴム材料等に有用である(【0007】)と記載されているが、甲7発明のゴムのシート状の成形物に凹部を形成して、その凹部に電子部品を配置し、ウェアラブル端末用部材として構成することについて契機となる記載はなく、そのように構成することに動機付けがあるとは認められない。 甲1には、電子部品を備えるウェアラブル端末用部材が記載されているが、「樹脂基材は、凹部を有し、該凹部に電子部品が配置されており、保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である」ことは記載されておらず、甲7発明のゴムのシート状の成形物に凹部を形成して、その凹部に電子部品を配置し、ウェアラブル端末用部材として構成することへの動機付けにつながる記載も示唆もない。 また、他に本件発明1の相違点3に係る構成について、記載ないし示唆する証拠は提出されていない。 よって、本件発明1は、甲7発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明2~4、7~9について 本件発明2~4、7~9は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるところ、本件発明1は 甲7発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2~4、7~9も同様に、甲7発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明6について 本件発明6と甲7発明と対比する。 甲7発明の「組成物」を「ゴムのシート状の成形物に塗布し硬化させたコーティング層を備えた、部材」と、本件発明6の「樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、」「前記電子部品が前記樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を前記保護層が覆っており、前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、ウェアラブル端末用部材」とは、「樹脂基材と硬化物の層を有する部材」という限りで一致し、その余の事項の対応関係は、上記(2)イと同様である。 そうすると、本件発明6と甲7発明とは、上記一致点2で一致し、 「《相違点4》 樹脂基材と硬化物の層を有する部材に関し、本件発明6が、「樹脂基材と、電子部品と、前記電子部品を保護する保護層を有して成り、」「前記電子部品が前記樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を前記保護層が覆っており、前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である、ウェアラブル端末用部材」であるのに対し、甲7発明は、組成物を「ゴムのシート状の成形物に塗布し硬化させたコーティング層を備えた、部材」である点」で相違する。 上記《相違点4》について検討する。 甲7には、上記(2)イで述べた硬化皮膜が形成されたゴムについて記載されているが、甲7発明のゴムのシート状の成形物中に電子部品を埋設し、ウェアラブル端末用部材として構成することについて契機となる記載はなく、そのように構成することに動機付けがあるとは認められない。 甲1には、電子部品を備えるウェアラブル端末用部材が記載されているが、「電子部品が樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を保護層が覆っており、保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下である」ことも記載されておらず、甲7発明のゴムのシート状の成形物中に電子部品を埋設し、ウェアラブル端末用部材として構成することへの動機付けにつながる記載も示唆もない。 また、他に本件発明6の相違点4に係る構成について、記載ないし示唆する証拠は提出されていない。 よって、本件発明6は、甲7発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3.取消理由に採用しなかった特許異議申立理由について (1)甲1を主引用例とする進歩性に係る申立理由について ア 甲1には、ウェアラブル機器に用いられ得る「伸縮性フレキシブル基板」について、主に【請求項1】の記載に基づいて、以下の「甲1発明」が記載されていると認められる。 「電子部品、 前記電子部品の周囲に位置付けられ、互いに対向する第1主面および第2主面を有する第1絶縁層、 前記第1主面と接する第1金属層、 前記第2主面と接し、前記電子部品と電気的に接続された第2金属層、ならびに 前記電子部品、前記第1絶縁層および前記第2金属層を封止する第2絶縁層を備え、 平面視において、 少なくとも前記電子部品と、前記第1絶縁層の一部と、前記第1金属層の一部と、前記第2金属層の一部とから構成される中心部から、 少なくとも前記第1絶縁層の前記一部以外の他部と、前記第1金属層の前記一部以外の他部と、前記第2金属層の前記一部以外の他部とから構成される少なくとも1つの湾曲配線部が延びており、 前記少なくとも1つの湾曲配線部は、少なくとも部分的に湾曲している、伸縮性フレキシブル基板。」 イ 本件発明1と甲1発明を対比すると、 本件発明1が「電子部品は、保護層により全面を覆われており、樹脂基材は、凹部を有し、該凹部に前記電子部品が配置されており、前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下」であり、「前記保護層は、架橋剤とパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層であり、前記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であり、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、または、分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物」であるのに対し、 甲1発明は「電子部品の周囲に位置付けられ、互いに対向する第1主面および第2主面を有する第1絶縁層、前記第1主面と接する第1金属層、前記第2主面と接し、前記電子部品と電気的に接続された第2金属層、ならびに 前記電子部品、前記第1絶縁層および前記第2金属層を封止する第2絶縁層」を備え、第1絶縁層及び第2絶縁層の樹脂については特定されていない点(以下「相違点5」という。)で、少なくとも相違する。 甲1発明の伸縮性フレキシブル基板は、基材に凹部を有し、その凹部に電子部品が配置されているか特定されていないし、保護層の樹脂と厚さが、本件発明1に特定されるものではなく、甲1に、それらの事項を示唆する記載もない。 また、これらを記載ないし示唆する証拠は、他に提出されていない。 よって、上記相違点5は、当業者が容易に想到することができたものとはいえないから、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 ウ 本件発明6と甲1発明を対比すると、 本件発明6が「電子部品が樹脂基材中に埋設され、該樹脂基材を保護層が覆っており、前記保護層の厚さは、10μm以上1.0mm以下」であり、「前記保護層は、架橋剤とパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層であり、前記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であり、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、または、分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物」であるのに対し、 甲1発明は「電子部品の周囲に位置付けられ、互いに対向する第1主面および第2主面を有する第1絶縁層、前記第1主面と接する第1金属層、前記第2主面と接し、前記電子部品と電気的に接続された第2金属層、ならびに 前記電子部品、前記第1絶縁層および前記第2金属層を封止する第2絶縁層」を備え、第1絶縁層及び第2絶縁層の樹脂については特定されていない点(以下「相違点6」という。)で、少なくとも相違する。 甲1発明の伸縮性フレキシブル基板は、電子部品を基材中に埋設するものとは特定されていないし、基材を覆う保護層の樹脂と厚さが、本件発明1に特定されるものではなく、甲1に、それらの事項を示唆する記載もない。 また、これらを記載ないし示唆する証拠は、他に提出されていない。 よって、上記相違点6は、当業者が容易に想到することができたものとはいえないから、本件発明6は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 エ 本件発明2~4、7~11も、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 オ 以上より、甲1を主引用例とする進歩性に係る申立理由は、採用できない。 (2)サポート要件に係る申立理由について ア 申立人は、サポート要件について、 本件発明1の「パーフルオロポリエーテル基含有化合物」について、「パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物」または「分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物」の全てについて常に好ましい効果が得られることが、本件特許明細書等から理解することができない、 本件発明1で特定される架橋剤の全てについて常に好ましい効果が得られることが、本件特許明細書等から理解することができない、 実施例1で具体的に記載され、その作用効果が実証されているのは、本件発明2において式(B)で表される化合物だけであり、それ以外の(A)、(C)、(D)のものまで拡張することはできない、 本件発明2及び3のパーフルオロポリエーテル基について、作用効果が具体的に確認されているのは実施例1及び2のもののみであり、本件発明2及び3で特定されるものまで一般化できない旨、主張する。 イ 本件発明の解決しようとする課題は、「電子部品を有するウェアラブル端末用部材において、外部からの汚染物質に対して電子部品が保護されたウェアラブル端末用部材を提供すること」(本件特許明細書等の段落【0005】)にあると認められる。 この課題の解決について、本件特許明細書等の記載によれば、「パーフルオロポリエーテル基含有化合物で保護することにより、種々の汚染物質に対して電子部品を保護することができることを見出し、本発明を完成するに至った。」(段落【0006】)とし、パーフルオロポリエーテル基含有化合物で電極に取り付けたボタン型電池を保護した実施例1及び2は、保護層を設けない比較例1、シリコーンエラストマーにより保護層を形成した比較例2と比べて、電極を保護する効果が確認されている。 そうすると、パーフルオロポリエーテル基含有化合物で形成した保護層を備えた本件発明により、上記課題を解決し得るものと認識できるといえるから、申立人が主張する上記事項は、本件発明において特定することを要しないものである。 ウ 以上より、サポート要件に係る申立理由は、採用できない。 (3)明確性要件に係る申立理由について 申立人は、本件発明1~3において、本件発明の作用効果を奏さない組成物が含まれている、あるいは含まれている蓋然性が高い旨主張する。 しかし、明確性要件は、特許を受けようとする発明が明確でならないことを求めるものであって、本件発明の作用効果を奏さないものを含むか否かは、その要件に該当するものではない。 以上より、明確性要件に係る申立理由は、採用できない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件特許の請求項1~4、6~11に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1~4、6~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件訂正請求に係る訂正により、請求項5に係る特許は削除されたため、請求項5に対して申立人がした特許異議の申立ては、不適法であって、その補正をすることができないものであることから、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700911

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