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特許異議申立

2021-700276

スパッタリングターゲット

審判番号
2021-700276
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-009426
登録番号
特許第6755422号(P6755422)
請求日
2021年03月16日
審決日
2021年11月09日
公報発行日
2021年12月24日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】住友化学株式会社
  • 【権利者代理人】吉田 環
  • 【権利者代理人】松谷 道子
  • 【権利者代理人】山中 誠司
  • 【異議申立人】奥田 ひとみ
審判長/審判官
  • 審判長 宮澤 尚之
  • 審判官 伊藤 真明
  • 審判官 金 公彦
分類
P1651.113-Y (C23C) / P1651.121-Y (C23C) / P1651.537-Y (C23C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6755422号発明「スパッタリングターゲット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6755422号の請求項1、2に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許第6755422号(以下、「本件特許」という。)の請求項1、2に係る特許についての出願は、令和1年11月6日(優先権主張 平成31年2月7日(JP)日本国)に出願した特願2019-201625号の一部を令和2年1月23日に新たな特許出願としたものであって、令和2年8月27日にその特許権の設定登録がされ、同年9月16日に特許掲載公報が発行された。その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 3年 3月16日  :特許異議申立人 奥田 ひとみ(以下「申 立人」という。)による請求項1、2に係 る特許に対する特許異議の申立て 同年 6月 1日付け:取消理由通知 同年 7月29日  :特許権者による意見書の提出 同年 8月10日付け:申立人に対する審尋 同年 9月13日  :申立人による意見書の提出 第2 特許異議の申立てについて 1 本件発明 本件特許の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」といい、まとめて「本件発明」という。)は、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 バッキングプレートと、 前記バッキングプレートの接合領域に接合材を介して接合されたターゲット材と を備え、 前記ターゲット材の長さは、1000mm以上4000mm以下であり、 前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合箇所の接合面積は、前記接合領域の面積に対して、97%以上であり、 前記接合領域の全体において、前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合材が存在しない箇所の最大欠陥面積は、前記接合領域全面の面積に対して、0.6%以下である、スパッタリングターゲット。 【請求項2】 前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間に複数のワイヤを有する、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。」 2 取消理由の概要 令和3年6月1日付けの取消理由通知で通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (1)取消理由1(新規性) 本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するため、取り消されるべきものである。 (2)取消理由2(進歩性) 本件発明1は、甲第1号証~甲第3号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、本件発明2は、甲第1号証~甲第4号証に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するため、取り消されるべきものである。 <甲号証一覧> 甲第1号証:特開2017-193779号公報 甲第2号証:特開2009-242915号公報 甲第3号証:特許第5175976号公報 甲第4号証:特開平11-131225号公報 3 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由の概要 申立人が主張する特許異議申立理由のうち、上記2の取消理由において採用しなかった特許異議申立理由は、概略、以下のとおりである。 (1)申立理由1(サポート要件) ア 申立理由1-1 本件発明の課題は、ターゲット材が剥がれにくいスパッタリングターゲットを製造することにある(本件特許に係る明細書(以下、「本件明細書」という。)段落【0005】)。 他方、本件明細書の記載からは、接合率(本件発明1の「前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合箇所の接合面積」の「前記接合領域の面積に対」する割合のこと。本件発明1は、接合率を97%以上と特定するものである。以下、「接合率」と記載する場合は同じ意味に用いる。)が剥がれやすさに大きく影響する因子であり、最大欠陥面積の割合(本件発明1の「前記接合領域の全体において、前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合材が存在しない箇所の最大欠陥面積」の「前記接合領域全面の面積に対」する割合のこと。本件発明1は、最大欠陥面積の割合を0.6%以下と特定するものである。以下、「最大欠陥面積の割合」と記載する場合は同じ意味に用いる。)は剥がれやすさに影響を及ぼさないことが示唆され、こうした示唆は、当業者が最大欠陥面積の割合を0.6%以下という具体的な数値範囲とすることで本件発明の課題が解決されることを認識できないことを示している。 したがって、最大欠陥面積の割合を0.6%以下とする構成が、本件発明の課題を解決するためにどのように寄与するか不明であり、最大欠陥面積の割合が0.6%よりも大きくても剥がれ難いスパッタリングターゲットが実現できると考えられるから、当業者が最大欠陥面積を0.6%以下という具体的な数値範囲とすることで本件発明の課題が解決されることを認識できない。 よって、本件発明1、2は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、本件発明1、2に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当するため、取り消されるべきものである(特許異議申立書第24頁第4行~第31頁第12行)。 イ 申立理由1-2 本件明細書の段落【0035】の記載から、ターゲット材の線熱膨張率が高いとバッキングプレートからの剥がれが生じやすいが、実施例には、高純度Al製のターゲットしか記載されていない。 そして、段落【0035】に例示される材料の内、例えば、インジウムはアルミニウムより線熱膨張率が大きい(甲第5号証参照)ため、バッキングプレートからの剥がれがアルミニウムより生じやすいことになるが、本件明細書には実験データが記載されていないので、インジウムをターゲット材とした場合に本件発明の課題を解決できるか否かは不明である。 よって、本件発明1、2は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、本件発明1、2に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当するため、取り消されるべきものである(特許異議申立書第31頁第13行~第32頁最終行)。 (2)申立理由2(明確性) 本件発明1の接合領域に関して、本件明細書の段落【0037】には「接合領域30の大きさは、ターゲット材2の接合面の大きさ、好ましくはターゲット材2の大きさと実質的に同じである。」と記載されているが、段落【0069】には、接合領域がターゲット材の大きさよりも小さいことが記載されているから接合領域の大きさの定義が多義的である。 そして、接合領域の大きさの定義が多義的であり、接合領域がターゲット材の大きさより小さい場合には、ターゲット材のうち接合領域がない部分は、「接合材が存在しない箇所」になり、この部分に「最大欠陥面積」が存在してもよいことになるため、「前記接合領域の全体において、前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合材が存在しない箇所の最大欠陥面積は、前記接合領域の面積に対して、0.6%以下」の意味が明確でない。 よって、本件発明1、2は明確でないから、本件発明1、2に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当するため、取り消されるべきものである(特許異議申立書第33頁第1行~第34頁第4行)。 <甲号証一覧> 甲第5号証:「化学大辞典1縮刷版」、共立出版株式会社、昭和38年7月1日、p.437、438、715 4 甲号証の記載内容について (1)甲第1号証の記載内容及び甲第1号証に記載された発明 ア 甲第1号証の記載内容 甲第1号証には、下記の事項が記載されている(当審注:下線は当審による。また、「…」は当審による省略を意味する。以下同様。)。 (ア)「【0015】 また、このような蓋部材の厚さの不均一性は、繰返しターゲット材を貼りあわせて使用するバッキングプレート自体の強度を低下させるだけでなく、その反対側のターゲット材を貼る側の厚さの不均一性をも生じさせる。通常、蓋部材の接合面と平行になるように反対側の面を加工するため、本体の歪みや、撓みに起因する蓋部材の厚さの不均一性が残っていると、その反対側の面の加工の際にも厚さの不均一性が生じてしまうためである。このような厚さの不均一性により冷却効率が局所的に異なるので、ハンダによってターゲット材が結合されたスパッタリングターゲットにおいては、ターゲット材が局所的に剥離する可能性もある。 【0016】 そこで、本発明では、蓋部材の厚さを均一にすることのできるバッキングプレートの製造方法の提供ならびに製造後の蓋部材の厚さが均一なバッキングプレートの提供ならびにこのようなバッキングプレートを含むスパッタリングターゲットの提供を課題とする。」 (イ)「【0084】 [実施例1] 図1、2に示す形状の本体および蓋部材を用いて、図5A、6Aに示すバッキングプレート10を作製した。なお、工程(a)での接合では、シュタイガーバルト社製の電子ビーム溶接機を用いて、電子ビーム溶接により本体と蓋部材とを接合した。 … 【0119】 [実施例4] 実施例1と同様にして、バッキングプレートを作製し、流路につながる蓋部材に設けた穴より0.5MPaの水圧をバッキングプレート内の流路に印加し、耐圧テストを行った。加圧状態で30分間保持した後、除荷状態で蓋部材が変形しているか確認したところ、変形した箇所は見られなかった。また、耐圧テスト後に、アルバック製のHeリーク装置を用い、流路のHeリークテストを行ったが、リークレートが5.0×10-10Pa・m3/s以下であり、漏洩は見られなかった。蓋部材の厚さを均一にすることによって、加圧によっても蓋部材の塑性変形が生じない変形に強いバッキングプレートを得ることができる。 【0120】 前記耐圧テスト及び流路のHeリークテストにより変形やリークの無いことを確認したバッキングプレート上に、2250mm×200mm×t15mmのアルミニウムターゲットをインジウムはんだを用いてボンディングし、スパッタリングターゲットを作製した。ボンディング作業時は、バッキングプレートを240℃に加熱したが、大きな反りは生じず、超音波探傷装置により接合率検査を行ったところ、接合率が99%以上であり、ターゲット材全面が均一にボンディングされているスパッタリングターゲットを作製することができた。」 イ 甲第1号証に記載された発明 上記ア(イ)の記載から、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 「バッキングプレートと、バッキングプレート上にインジウムはんだを用いてボンディングされたアルミニウムターゲットと、を備え、アルミニウムターゲットは2250mm×200mm×t15mmであり、超音波探傷装置により接合率検査を行ったところ、接合率が99%以上である、スパッタリングターゲット。」 (2)甲第2号証の記載内容及び甲第2号証に記載された技術的事項 ア 甲第2号証の記載内容 甲第2号証には、下記の事項が記載されている。 (ア)「【0006】 しかしながら、特許文献1に示される方法では、ターゲット材の接合される側の面が砥粒により研磨され、この研磨面に極力凹凸が存在しないよう形成されているので、ターゲット材とボンディング材との接触面積が十分に取れず、これらの接合強度が不足して剥離が発生するという問題があった。…」 (イ)「【0045】 [実施例] 実施例として、ターゲット材2に、材質:ZnS-SiO2、寸法:φ200mm×厚み6mmのものを用い、接合面2aの研削加工には平面研削盤を使用し、研削砥石種類:GC砥石、砥石粒度:#120、研削回転数:1500回転の研削条件で研削を行った後、接合面2aのブラスト加工を、研掃材種類:ガラス粒子(GB-AG:上限粒径150μm、下限粒径45μm、中心粒径106-53μm)、ブラスト圧力:7kgf/cm2、噴出ノズル径:6mmの条件で行った。図4は、このようにして形成した接合面2a上に1~5の各点を設定したものであり、これら各点におけるa方向又はb方向の表面粗さの最大高さRz及び算術平均粗さRaを測定した。結果を表1として示す。 【0046】 そして、このように形成したターゲット材2の接合面2aに、ボンディング材3としてInはんだを用い、超音波半田コテを使用して該Inはんだを塗布した後、前述の実施形態のようにしてCuからなるバッキングプレート4を接合してスパッタリングターゲットを用意した。 次いで、X線透過検査装置を用いて、このスパッタリングターゲットのボンディング健全性を調査した(条件:電圧160kV、照射時間0.2min)。結果を図5、図6の画像に示す。 … 【0050】 また図5、図6に示す通り、実施例においては、Inはんだ(ボンディング材3)に空気を含有する欠陥は見受けられず、Inはんだとターゲット材2との接合の密着性が充分に確保されていることが解った。また、Inはんだが接合面2a全体に略均一に拡散して接合されていることが確認された。」 イ 甲第2号証に記載された技術的事項 上記ア(イ)の記載から、甲第2号証には、下記の技術的事項(以下、「甲2技術的事項」という。)が記載されている。 「材質:ZnS-SiO2、寸法:φ200mm×厚み6mmのターゲット材の接合面に、ボンディング材としてInはんだを用いてCuからなるバッキングプレートを接合したスパッタリングターゲットにおいて、Inはんだ(ボンディング材)に空気を含有する欠陥は見受けられず、Inはんだとターゲット材との接合の密着性が充分に確保されていること。」 (3)甲第3号証の記載内容及び甲第3号証に記載された技術的事項 ア 甲第3号証の記載内容 甲第3号証には、下記の事項が記載されている。 (ア)「【0018】 下記に実施例と比較例を示すが、MgとCu-Cr合金との接合する際に使用するNi又はNiを主成分とする合金は接着強度を高め、接合したターゲットとバッキングプレートプレートの組立体を加工する際及びスパッタリング中にも剥離が生じないという優れた効果を有する。 これは、ターゲット材がMgであり、バッキングプレートがCu-Cr合金である場合の固有の効果であることが分かる。このNi層又はNiを主成分とする合金層は、ターゲット及びバッキングプレート双方の間には、欠陥が発生することがない。これは接合強度を高めるために必要なことである。 スパッタリングターゲット-バッキングプレート接合体では、接合界面の接着強度を3kgf/mm2以上とすることが可能である。本願発明は、このようなスパッタリングターゲット-バッキングプレート接合体を提供できる。」 (イ)「【0030】 (実施例1) 次に、実施例1を説明する。テストピースとしては、造機5N(ガス成分を除き、99.999wt%)の高純度マグネシウムをターゲット材(厚さ10mm、100mmφ)とした。バッキングプレートとしては、前記組成からなるCu-Cr合金(厚さ10mm、100mmφ)を用いた。そして、Mgターゲット側の接合界面の全面にNiを蒸着により、0.1μmの厚さのNi被覆層を形成し、実施例1のテストピースとした。このテストピースの概念図を図6に示す。 これらのターゲットとバッキングプレートの表面を清浄した後、これらをSUS箔に真空封入し、温度290°C、圧力1450kg/cm2で、保持時間1h、HIPした。 【0031】 界面にNi蒸着層を介在させたターゲットとバッキングプレートの接合後、ターゲット側から超音波探傷試験を行い、内部欠陥を観察した。この超音波探傷試験では、ターゲットとバッキングプレートの界面には欠陥が全く観察されなかった。 この結果を、図7に示す。すなわち、MgターゲットとCu-Cr合金バッキングプレートとの界面にNiを被覆し場合、このスパッタリングターゲット-バッキングプレート接合体を、切断、切削する加工の工程で、これらの界面から剥離を生ずることは全く無かった。」 イ 甲第3号証に記載された技術的事項 上記ア(イ)の記載から、甲第3号証には、下記の技術的事項(以下、「甲3技術的事項」という。)が記載されている。 「Mgターゲット材(厚さ10mm、100mmφ)の接合界面の全面にNi被覆層を形成したものとCu-Cr合金のバッキングプレートをHIPで接合した後、ターゲット側から超音波探傷試験を行い、内部欠陥を観察したところ、ターゲットとバッキングプレートの界面には欠陥が全く観察されなかったこと。」 (4)甲第4号証の記載内容 甲第4号証には、下記の事項が記載されている。 「【0021】 【発明の実施の形態】ターゲット材とバッキングプレートとの間の低融点金属のろう材接合層内にバッキングプレートと同じ材質の金属ワイヤを組み込んだものは、バッキングプレートと金属ワイヤの熱膨張率やろう材との濡れ性が同じで、金属ワイヤをバッキングプレートと一体のものとして扱うことができ、ターゲット材とバッキングプレートとの平行度が確保されると共に、ターゲット材との接合性が改善され、また、金属ワイヤの介在によるガスの排出も良好で、無接合による接合欠陥が少ないものとなる。この時スパッタリングターゲットの反りはターゲットの長さ方向のターゲット長さの0.024%以下と非常に反りの小さいスパッタリングターゲットが得られる。」 「【0027】…金属ワイヤ自体が接合欠陥につながる可能性の点からは、最低2本として本数は少ないほうがよいが、各種ターゲットの曲げ強度と上部圧力を比較して決定する。…」 (5)甲第5号証の記載内容 甲第5号証には、アルミニウムの線膨張率が2.386×10-5deg-1であること、インジウムの線膨張率が3.3×10-5deg-1であることが記載されている。 (6)申立人が令和3年9月13日に意見書と共に提出した甲第6号証(特開2014-5517号公報)の記載内容 甲第6号証には、以下の記載がある。 「【0012】 ろう材表面に濃化したMnは、酸化され易いため酸化膜が形成されることになる。ろう材の表面に酸化膜が形成された状態でろう付けによるボンディングを行うと、酸化膜はろう材との濡れ性が悪いために、スパッタリングターゲットとバッキングプレートを重ね合わせたときに、ろう材中にポロシティ(気泡)が生じることになる。このポロシティ部分は、熱伝導性に劣るので、スパッタリングによる成膜中にスパッタリングターゲットの部分的な温度上昇が生じ、成形膜厚の面内での不均一が生じやすい。また、スパッタリングターゲットの温度上昇が生じると、ろう材が溶け、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの界面からはみ出して異常放電の原因となり、安定した成膜が行えないという問題がある。はみ出したろう材は、ガラス基板に付着しパーティクルやスプラッシュが発生する原因にもなる。」 5 当審の判断 (1)取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について 特許権者及び申立人の主張を踏まえ、改めて取消理由1及び取消理由2について検討する。 ア 本件発明1について (ア)本件発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明の「バッキングプレート上にインジウムはんだを用いてボンディングされたアルミニウムターゲット」、「アルミニウムターゲットは2250mm×200mm×t15mm」であることは、それぞれ、本件発明1の「前記バッキングプレートの接合領域に接合材を介して接合されたターゲット材」、「前記ターゲット材の長さは、1000mm以上4000mm以下」であることに相当する。 また、甲1発明の「超音波探傷装置により接合率検査を行ったところ、接合率が99%以上である」ことは、本件明細書の段落【0063】の「欠陥箇所10の測定は、例えば、超音波探傷測定や透過型X線観察を用いて測定することができるが、接合領域の面積が大きい場合には、超音波探傷測定を用いることが好ましい。」といった記載を考慮すれば、その測定方法からみて、「前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合箇所の接合面積は、前記接合領域の面積に対して、97%以上」であることに相当する。 そうすると、本件発明1は、甲1発明と、 「バッキングプレートと、 前記バッキングプレートの接合領域に接合材を介して接合されたターゲット材と を備え、 前記ターゲット材の長さは、1000mm以上4000mm以下であり、 前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合箇所の接合面積は、前記接合領域の面積に対して、97%以上で」ある、「スパッタリングターゲット」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 本件発明1は、「前記接合領域の全体において、前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合材が存在しない箇所の最大欠陥面積は、前記接合領域全面の面積に対して、0.6%以下である」のに対し、甲1発明は、このような特定がない点。 (イ)まず、相違点1が実質的なものであるかについて検討する。 a 甲1発明は、接合率が99%以上であるものであるから、最大欠陥面積の割合は1%以下であることは明らかであるものの、甲第1号証には、最大欠陥面積の割合が0.6%以下であることを示す記載はない。また、本件明細書の記載を考慮しても、接合率が99%以上であれば、そのときの最大欠陥面積の割合が必ず0.6%以下になることを証明するに足る根拠はない。 加えて、特許権者は、乙第1号証として、甲第1号証の追試という目的で実験成績証明書を提出しているところ、甲第1号証(上記4(1)ア)には、乙第1号証の「2.実験内容」の「(2-1)」に記載される条件を示唆する記載はないから、乙第1号証の実験は、甲第1号証の追試であるとまでは認められないものの、接合率が99%であっても、最大欠陥面積の割合が0.6%を超える場合があることを示す実験としては成立しており、そのような場合があることを証明していると認められる。 そうすると、甲第1号証、乙第1号証、本件明細書等の記載を踏まえると、甲1発明において、最大欠陥面積の割合が必ず0.6%以下になっているといえない。 b また、本件発明1は最大欠陥面積の割合が0.6%以下のものであり、甲1発明は最大欠陥面積の割合が1%以下のものであり、両者は、最大欠陥面積の割合の数値範囲としては重複しているともいえる。 しかしながら、本件明細書の段落【0049】には、最大欠陥面積率が大きくなるとターゲットが剥がれ易くなるメカニズムが記載されており、このメカニズムからすれば、最大欠陥面積の割合が小さい方が、スパッタリング中に、接合材に局所的な熱集中が発生することを防止して、ターゲット材が剥がれ難くなるという作用効果が高まることが推認されるので、最大欠陥面積率が0.6%以下であるという数値限定には臨界的意義があり、このような最大欠陥面積の割合という観点を有しない先行技術に比して格別に優れた作用効果が奏されることが想定されるから、最大欠陥面積の割合の数値範囲の重複をもって、相違点1が実質的なものではないとすることもできない。 c したがって、相違点1は実質的なものである。 (ウ)次に、相違点1に係る本件発明1の特定事項の容易想到性について検討する。 a まず、甲第2号証を従たる証拠とする場合について検討する。 上記4(1)ア(ア)によれば、甲1発明は、ハンダによってターゲット材が結合されたスパッタリングターゲットにおいて、ターゲット材が局所的に剥離することを課題とするものであり、当該課題は、スパッタリングターゲット-バッキングプレートを接合する際に剥離を生じないようにするという甲第2号証に記載された技術の課題(上記4(2)ア(ア))と共通するものである。 そうすると、甲1発明において、当該課題を解決するべく、甲2技術的事項(上記4(2)イ)を採用することまでは、当業者が容易に想到し得たことであるといえるものの、甲2技術的事項は「寸法:φ200mm×厚み6mm」というターゲット材の大きさを前提とするものであるから、ターゲットの寸法が「2250mm×200mm×t15mm」である甲1発明において、甲2技術的事項を採用しても、空気を含有する欠陥が全く見受けられない状態になって、最大欠陥面積の割合が0.6%以下のものとなる保証はない。 b 次に、甲第3号証を従たる証拠とする場合について検討する。 甲3技術的事項(上記4(3)イ)は、ターゲット材がMgであり、ターゲット材とバッキングプレートとをNi被覆層を介してHIPで接合することを前提とするものであるから、バッキングプレート上にインジウムはんだを用いてアルミニウムターゲットをボンディングする甲1発明において甲3技術的事項を採用する動機付けが生じることはない。 そして、仮に、甲1発明において、甲3技術的事項を採用しても、甲3技術的事項は、「厚さ10mm、100mmφ」というターゲット材の大きさを前提とするものであるから、ターゲットの寸法が「2250mm×200mm×t15mm」である甲1発明において、甲3技術的事項を採用しても、ターゲットとバッキングプレートの界面に欠陥が全く観察されない状態となって、最大欠陥面積の割合が0.6%以下のものとなる保証はない。 c なお、相違点1は、数値限定のみで相違するものあるとはいえず、最大欠陥面積の割合に着目するという技術思想の点で相違し、この点は甲1発明のみから導かれないから、甲1発明のみから相違点1に係る本件発明1の特定事項を容易に想到し得たものとすることもできない。 (エ)以上のとおりであるから、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではなく、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について 請求項2は請求項1を引用するものであり、甲1発明と対比すると、少なくとも上記相違点1で相違するところ、甲第4号証(上記4(4))には、相違点1に係る本件発明1の特定事項に関する記載はないから、上記ア(ウ)で検討した理由と同様の理由により、本件発明2は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人の主張は、概略、以下の主張1~5のとおりであるということができる。 a 主張1 乙第1号証の実験成績証明書に関して、(i)甲第1号証に開示されたバッキングプレートを使用したことの裏付けがない点、(ii)比較例1、2を混合した条件を採用している点、(iii)実際にはがれやすくなっていること確認していない点、及び(iv)簡略図1の作成方法が不明である点を指摘した上で、当該実験成績証明の信憑性がないため、乙第1号証を証拠として採用できない(令和3年9月13日提出の意見書第6頁下から3行~第10頁第1行)。 b 主張2 甲1発明において接合率が99%以上である以上、残りの1%未満の接合材が存在しない領域が偏在していることは自明であるから、「最大欠陥面積」なる概念が明示的に記載されていないことをもって、甲1発明の「接合率が99%以上である」という構成において、最大欠陥面積の割合が0.6%以下である構成が明確に排除されているとはいえないから、本件発明1は甲1発明によって新規性が否定される(同意見書第10頁下から5行~第11頁下から4行)。 c 主張3 本件発明1の進歩性に関して、(i)甲第1号証のスパッタリングターゲットにおいても「欠陥」が生じていることは自明であり、甲第1号証に「欠陥」という文言が明記されているかどうかは、相違点の根拠とはならないこと、(ii)甲第6号証の記載に基づき、欠陥の大きさがスパッタリング中のターゲット材の剥がれの原因に関与していることは技術常識であること、(iii)接合率を上げれば、最大欠陥面積の割合は小さくなるから、接合率を上げることと、最大欠陥面積の割合を小さくすることは、共通の技術的思想に基づくこと、及び、(iv)本件発明が奏する効果が甲1発明から予測できることから、本件発明1の進歩性は肯定されない(同意見書第12頁第2行~第16頁第13行)。 d 主張4 乙第2号証の実験成績証明書の信憑性がないため、乙第2号証によって、本件発明1の進歩性は肯定されない(同意見書第16頁第14行~第19頁第15行)。 e 主張5 本件明細書の比較例2について、ターゲット材の接合される側の面の表面粗さは最大高さで6.3μmであると特許権者が主張する点は本件明細書から読み取れない内容であるから、当該主張によって、本件発明1の進歩性は肯定されない(同意見書第25頁第6~12行)。 (イ)申立人の主張に対する検討 申立人の主張1~5について検討する。 a 主張1について 乙第1号証は、甲第1号証の再現実験であるといえないものの、実験条件及び結果が具体的に記載されているため、接合率99%であっても、最大欠陥面積が0.6%以下にならないとの結果に信憑性がないといえないため、乙第1号証の証拠能力は否定されない。 b 主張2について 甲1発明において、最大欠陥面積の割合が0.6%以下である構成が明確に排除されていないとしても、同時に0.6%超である構成も排除されていないため、甲1発明の最大欠陥面積の割合が0.6%以下でなることを示す根拠にならない。 c 主張3について 甲第6号証の段落【0012】(上記4(6))には、「ポロシティ部分は、熱伝導性に劣るので、スパッタリングによる成膜中にスパッタリングターゲットの部分的な温度上昇が生じ、成形膜厚の面内での不均一が生じやすい。また、スパッタリングターゲットの温度上昇が生じると、ろう材が溶け」ると記載されているのみであって、欠陥の大きさがスパッタリング中のターゲット材の剥がれの原因に関与していることが明示的に記載されていない。 また、甲第1号証には、最大欠陥面積の割合が記載されていないのであるから、本件発明と甲1発明は技術思想が異なるというべきである。 d 主張4について 上記ア及びイでの進歩性の検討において、乙第2号証は証拠として採用していないから、乙第2号証の信憑性の有無は当該判断に影響しない。 e 主張5について 特許権者の当該主張に関わらず、上記ア及びイで検討したとおり、本件発明1は及び2新規性及び進歩性を有しているといえる。 以上のとおりであるから、申立人の主張はいずれも採用できない。 エ 小活 以上のとおりであるから、取消理由1及び取消理由2に理由はない。 (2)申立理由1(サポート要件)について ア 申立理由1-1について (ア)本件発明の課題について 本件発明の課題は、本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0005】の記載から、スパッタリング中にターゲット材が剥がれにくいスパッタリングターゲットを実現できるスパッタリングターゲットを提供することである認められる。 (イ)発明の詳細な説明に記載された発明 発明の詳細な説明の段落【0069】~【0088】には、本件発明の実施例1~13が記載されており、バッキングプレートと、高純度Al製であり、その長さが2300mmであるターゲット材とを備え、接合率が98.31~99.88%、最大欠陥面積の割合が0.01~0.44%の範囲であるスパッタリングターゲットが「ターゲット材が剥がれ難くなっており、スパッタリング装置にて使用後も、ターゲット材の剥がれは確認されなかった」(段落【0085】)とされており、上記課題が解決できることを当業者が認識できるものとなっている。 また、発明の詳細な説明の段落【0030】には、ターゲット材の長さに関して「1000mm以上4000mm以下」ことが記載されており、一般的にターゲット材が大きい場合にターゲット材が剥がれやすい傾向があることが技術常識から予測できるものの、実施例で示された「2300mm」を中心に「1000mm以上4000mm以下」であれば、一定のターゲット材の剥がれにくさが達成できるものと当業者は認識できる。 さらに、発明の詳細な説明の段落【0064】には、接合率に関して「97%以上」であることや最大欠陥面積の割合に関して「0.6%以下」であることが記載されており、段落【0048】には、「接合率に関して、接合率が大きくなると、接合材4が存在しない領域を減らすことができ、ターゲット材2が剥がれ難くなる」、段落【0049】には、「最大欠陥面積に関しては、最大欠陥面積が大きくなると、局所的に大きな欠陥が発生することになって、その部分の電気・熱伝導が悪くなり、その部分に熱の集中が発生し、接合材4の溶融が生じることでターゲット材2が剥がれ易くなる」と記載されている。これらの記載から、接合率や最大欠陥面積の割合はその値が小さい方がターゲット材は剥がれやすい傾向があるといえるが、実施例で示された接合率である「98.31~99.88%」を中心に「97%以上」の範囲、実施例で示された最大欠陥面積の割合である「0.01~0.44%」を中心に「0.6%以下」の範囲においても一定のターゲット材の剥がれにくさを達成できるものと当業者は認識できる。 加えて、発明の詳細な説明の段落【0035】には、「ターゲット材2が作製される材料は、スパッタリング法による成膜に通常用いられ得るような金属や合金、酸化物、窒化物などのセラミックス又は焼結体から構成された材料であれば特に限定されず、用途や目的に応じて適宜、ターゲット材料を選択すればよい」と記載されており、高純度のAlを含めて多様な材料が挙げられている。同段落には、「高純度のAlは線熱膨張係数が比較的大きいため、スパッタリング時に受ける熱によって反りやすく、バッキングプレートからの剥がれが生じやすいが、本発明によれば接合率を向上させ、最大欠陥面積を小さくすることができ、バッキングプレートからの剥がれを防止できる」と記載されているから、ターゲット材の材料の線熱膨張係数が高いほど、ターゲット材が剥がれやすい傾向があることは理解できるが、上記のように接合率や最大欠陥面積の割合等を調整することで、ターゲット材の材料が任意のものであっても、その材料の熱膨張係数によって程度に差は生じるとしても、一定のターゲット材の剥がれにくさを達成できるものと当業者は認識できる。 そうすると、バッキングプレートと、長さが1000mm以上4000mm以下であるターゲット材とを備え、接合率が97%以上、最大欠陥面積の割合が0.6%以下の範囲であるスパッタリングターゲットが、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得るものであるといえる。 (ウ)本件発明と発明の詳細な説明に記載された発明の対比 本件発明と、上記(イ)の発明の詳細な説明に記載された発明(当業者が課題を解決できると認識し得る範囲)を対比すると、本件発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲内のものといえるから、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号所定のサポート要件に適合するものである。 (エ)申立理由1-1として主張される点について 本件明細書の段落【0049】には、最大欠陥面積率が大きくなるとターゲットが剥がれ易くなるメカニズムが記載されており、このメカニズムからすれば、最大欠陥面積の割合が小さい方が、スパッタリング中に、接合材に局所的な熱集中が発生することを防止して、ターゲット材が剥がれ難くなるという作用効果が高まることが推認される。 したがって、最大欠陥面積の割合を0.6%以下とする構成が、本件発明の課題を解決するための寄与は明らかであり、最大欠陥面積の割合が0.6%よりも大きい場合に比べて0.6%以下の方が剥がれ難いスパッタリングターゲットが実現できると考えられるから、当業者であれば最大欠陥面積を0.6%以下という具体的な数値範囲とすることで本件発明の課題が解決されることを認識できるものである。 (オ)したがって、申立理由1-1に理由はない。 イ 申立理由1-2について 上記アのとおり、本件特許に係る特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号所定のサポート要件に適合するものであるものの、申立理由1-2として主張される点について改めて検討すると、ターゲット材の線熱膨張率が高いとバッキングプレートからの剥がれが生じやすく、実施例には、高純度Al製のターゲットしか記載されていないことが認められるものの、上記のように接合率や最大欠陥面積の割合等を調整することで、任意の材料からなるターゲット材の剥がれが生じにくくなることは実験データがなくても当業者が予測できることであるから、甲第5号証(上記4(5))に示されるように、インジウムはアルミニウムより線熱膨張率が大きく、バッキングプレートからの剥がれがアルミニウムより生じやすい傾向があるとしても、ターゲット材としてインジウムを用いた場合も、一定のターゲット材の剥がれにくさを達成できるものと当業者は認識できる。 したがって、申立理由1-2に理由はない。 ウ 申立人の主張について 申立人の主張は、乙第2号証によって、実質的には、特許出願時に存在していなかった比較例を、特許出願後に実験データを提出して、発明の詳細な説明の記載内容を記載外で補足しており、特許権者のこの行為は、取消理由通知書で指摘のないサポート要件違反の不備を、発明の詳細な説明の記載外の実験をもって解消しようとする行為であり、許されないというものである(令和3年9月13日提出の意見書第19頁第16行~第21頁第16行)。 しかしながら、上記ア及びイに記載のとおり、乙第2号証は証拠として採用していないから、申立人の主張は、サポート要件の検討に影響するものでない。 エ 小活 以上のとおりであるから、申立理由1に理由はない。 (3)申立理由2(明確性)について 本件明細書の段落【0037】には「接合領域30は、ターゲット材2を接合すべき領域である」と記載されているから、接合領域とは「接合を意図する領域」であって、ターゲット材の面積とは異なることはあり得るものと理解できる。 また、「前記接合領域の全体において、前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合材が存在しない箇所の最大欠陥面積は、前記接合領域の面積に対して、0.6%以下」という記載において、「前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合材が存在しない箇所の最大欠陥面積」というのは、接合領域(接合を意図する領域)内で評価されるものであって、ターゲット材における接合領域より外側の領域(接合を意図しない領域)に「前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合材が存在しない箇所」があっても、それを含めて評価されるものではないから、接合領域を設定することで、その結果、最大欠陥面積は一意に定まる。 したがって、接合領域の大きさの定義が多義的であっても、「前記接合領域の全体において、前記ターゲット材と前記バッキングプレートの間の接合材が存在しない箇所の最大欠陥面積は、前記接合領域の面積に対して、0.6%以下」の意味は明確である。 したがって、申立理由2に理由はない。 第3 むすび 以上のとおりであるから、請求項1、2に係る特許は、特許異議申立書に記載された申立理由、及び、取消理由に記載した取消理由によっては、取り消すことができない。 また、他に請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700276

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