特許訂正審判
2021-390159
移動体通信システムおよび移動体端末
- 審判番号
- 2021-390159
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2002-080605
- 登録番号
- 3908574
- 請求日
- 2021年10月01日
- 審決日
- 2021年12月15日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】三菱電機 株式会社
- 【請求人代理人】吉竹 英俊
- 【請求人代理人】有田 貴弘
- 審判長/審判官
- 審判長 中木 努
- 審判官 圓道 浩史
- 審判官 森田 充功
- 分類
- P141 .852-Y (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第3908574号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第3908574号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第3908574号は、平成14年3月22日の出願である特願2002-80605号の請求項1ないし8について、平成19年1月26日に特許権の設定登録がなされたものである。
そして、令和3年10月1日に本件訂正審判の請求がされた。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第3908574号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、次の訂正事項1ないし3のとおりである。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項5に記載された「第2の移動局」を「他の移動体端末」に訂正する。すなわち、請求項5に「前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記第2の移動局と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信することが可能な」と記載されているのを、「前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記他の移動体端末と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信することが可能な」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6~8も同様に訂正する)。
2 訂正事項2
明細書の段落【0017】に記載された「第2の移動局」を「他の移動体端末」に訂正する。すなわち、段落【0017】の「前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記第2の移動局と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信することが可能な」と記載されているのを、「前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記他の移動体端末と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信することが可能な」に訂正する。
3 訂正事項3
明細書の段落【0023】に記載された「復号器7」を「復号部7」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項5の第1段落には、「移動体端末同士の間の通信の中継を行なう基地局の中継を介して他の移動体端末と通信可能であるとともに、前記他の移動体端末が所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記他の移動体端末と直接に通信することも可能な移動体端末であって、」と記載され、第2段落に「前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、」と記載されている。(下線は当審にて付与した。以下同様。)
一方、訂正前の請求項5の第2段落には、続いて、「第1の復調方式を用いて前記第2の移動局と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信することが可能な」と記載されているが、「前記第2の移動局」の「前記」に対応する「第2の移動局」は請求項5には記載されておらず、訂正前の請求項5では通信相手として「他の移動体端末」が記載されている。よって、訂正前の請求項5の第2段落における「第2の移動局」が「他の移動体端末」の誤記であることは明らかである。
してみれば、訂正前の請求項5における「第2の移動局」を「他の移動体端末」へ訂正することは、誤記の訂正を目的とするものである。
また、訂正後の請求項6ないし8の訂正は、請求項5の訂正事項を引用するのみであるから、同様に、誤記の訂正を目的とするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
(2)願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
願書に最初に添付した明細書の段落【0017】には、「請求項5に記載の発明は、移動体端末同士の間の通信の中継を行なう基地局の中継を介して他の移動体端末と通信可能であるとともに、前記他の移動体端末が所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記他の移動体端末と直接に通信することも可能な移動体端末であって、前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかに応じて、第1の復調方式、または、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式のいずれかを選択して受信信号の復調を行なうことが可能な移動体端末である。」と記載されている。
また、願書に最初に添付した明細書の段落【0053】には、「請求項5に記載の発明によれば、移動体端末は、基地局の中継を介して他の移動体端末と通信するか、あるいは、他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかに応じて、第1の復調方式、または、第1の復調方式よりも、信号復調特性が良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式のいずれかを選択して受信信号の復調を行なうことが可能である。よって、移動体端末が、基地局からの送信信号の復調を行なう際には信号復調特性が良い第2の復調方式を選択し、一方、他の移動体端末からの送信信号の復調を行なう際には受信信号の周波数のずれへの耐性が高い第1の復調方式を選択することができる。そうすれば、基地局と移動体端末との間の通信品質を劣化させずに、基地局からの信号の送信可能範囲を広くすることが可能となる。また、移動体端末間の直接通信に適した第1の復調方式をも選択可能となる。」と記載されている。
してみれば、移動体端末が他の移動体端末と通信することは願書に最初に添付した明細書に記載されているから、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではないことについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項1は訂正前の請求項5の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項1は請求項5の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、訂正後の請求項5ないし8に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正前の段落【0017】には、「請求項5に記載の発明は、移動体端末同士の間の通信の中継を行なう基地局の中継を介して他の移動体端末と通信可能であるとともに、前記他の移動体端末が所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記他の移動体端末と直接に通信することも可能な移動体端末であって、前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、」と記載されている。
一方、訂正前の段落【0017】には、続いて、「第1の復調方式を用いて前記第2の移動局と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信することが可能な移動体端末である。」と記載されているが、「前記第2の移動局」の「前記」に対応する「第2の移動局」は段落【0017】には記載されておらず、訂正前の段落【0017】では通信相手として「他の移動体端末」が記載されている。ここで、段落【0017】は請求項5に対応する記載であるから、訂正事項2は訂正事項1と同様の訂正を行っているといえる。よって、訂正前の段落【0017】における「第2の移動局」は「他の移動体端末」の誤記であることが明らかであり、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
(2)願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
願書に最初に添付した明細書の段落【0017】には、「請求項5に記載の発明は、移動体端末同士の間の通信の中継を行なう基地局の中継を介して他の移動体端末と通信可能であるとともに、前記他の移動体端末が所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記他の移動体端末と直接に通信することも可能な移動体端末であって、前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかに応じて、第1の復調方式、または、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式のいずれかを選択して受信信号の復調を行なうことが可能な移動体端末である。」と記載されている。
また、願書に最初に添付した明細書の段落【0053】には、「請求項5に記載の発明によれば、移動体端末は、基地局の中継を介して他の移動体端末と通信するか、あるいは、他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかに応じて、第1の復調方式、または、第1の復調方式よりも、信号復調特性が良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式のいずれかを選択して受信信号の復調を行なうことが可能である。よって、移動体端末が、基地局からの送信信号の復調を行なう際には信号復調特性が良い第2の復調方式を選択し、一方、他の移動体端末からの送信信号の復調を行なう際には受信信号の周波数のずれへの耐性が高い第1の復調方式を選択することができる。そうすれば、基地局と移動体端末との間の通信品質を劣化させずに、基地局からの信号の送信可能範囲を広くすることが可能となる。また、移動体端末間の直接通信に適した第1の復調方式をも選択可能となる。」と記載されている。
してみれば、移動体端末が他の移動体端末と通信することは願書に最初に添付した明細書に記載されているから、訂正事項2は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではないことについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項2は段落【0017】の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項2は請求項5に対応する段落【0017】の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、訂正後の請求項5ないし8に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
願書に添付した明細書の段落【0023】には、「図1は、本実施の形態に係る移動体通信システムに採用される移動局TR1の構成例をTR1aとして示す図である。図1に示すように、この移動局TR1aは、アンテナ1、周波数変換部2、スイッチ3,6、同期検波部4、遅延検波部5、復号部7、スピーカ8、制御部9および操作部10を備えている。」と記載されている。
また、願書に添付した明細書の段落【0024】には、「この移動局TR1aは、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号に対して同期検波処理を行なう同期検波部4を、遅延検波部5とともに備えている。そして、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号が、同期検波部4および遅延検波部5のいずれで復調処理されて復号部7に出力されるかが、制御部9によりスイッチ3,6が制御されて決定される。なお、制御部9への指令は、トグルスイッチ等で構成される操作部10を移動局TR1aのユーザーが手動操作することにより与えられる。」と記載されており、願書に添付した図面の図1には、符号7を付された「復号部」が記載されている。
一方、訂正前の段落【0023】には、「周波数変換部2、遅延検波部5、復号器7およびスピーカ8の動作については、図8に示した従来の移動局TR1cと同様であるので、ここでは説明を省略する。」とも記載されており、段落【0023】では同じ符号7を付されたものに対し「復号器」と「復号部」の2つがあり、他の段落【0024】や図1の記載から、段落【0023】の当該「復号器7」は「復号部7」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
(2)願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
願書に最初に添付した明細書の段落【0023】には、「図1は、本実施の形態に係る移動体通信システムに採用される移動局TR1の構成例をTR1aとして示す図である。図1に示すように、この移動局TR1aは、アンテナ1、周波数変換部2、スイッチ3,6、同期検波部4、遅延検波部5、復号部7、スピーカ8、制御部9および操作部10を備えている。」と記載されている。
また、願書に最初に添付した明細書の段落【0024】には、「この移動局TR1aは、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号に対して同期検波処理を行なう同期検波部4を、遅延検波部5とともに備えている。そして、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号が、同期検波部4および遅延検波部5のいずれで復調処理されて復号部7に出力されるかが、制御部9によりスイッチ3,6が制御されて決定される。なお、制御部9への指令は、トグルスイッチ等で構成される操作部10を移動局TR1aのユーザーが手動操作することにより与えられる。」と記載されている。
また、願書に最初に添付した図面の図1には、符号7を付された「復号部」が記載されている。
してみれば、「復号部7」は願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されているから、訂正事項3は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではないことについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項3は段落【0023】の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項3は段落【0023】の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、訂正後の請求項1ないし8に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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