特許訂正審判
2021-390156
測定データ処理装置、測定システムおよび測定データ処理用プログラム
- 審判番号
- 2021-390156
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-045883
- 登録番号
- 6556469
- 請求日
- 2021年09月28日
- 審決日
- 2021年11月25日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日置電機 株式会社
- 【請求人代理人】酒井 伸司
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 居島 一仁
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P141 .853-Y (G01D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条、特許法第131条の2第1項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6556469号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6556469号の明細書及び特許請求の範囲を、令和3年10月20日付けの手続補正により補正された審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔19~23〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6556469号の請求項1~23に係る特許についての出願は、平成27年3月9日に出願され、令和元年7月19日にその特許権の設定登録がされ、令和元年8月7日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許権者である日置電機株式会社(以下「請求人」という。)は、令和3年9月28日に本件訂正審判の請求を行った(本件訂正審判に係る訂正を、以下「本件訂正」という。)、なお、同年10月20日付けで審判請求書を対象とする手続補正(自発)がされている。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6556469号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項19~23について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
なお、令和3年10月20日付けで審判請求書の補正がされているところ、当該補正は、請求の理由についての補正であり、当該補正は審判請求書の要旨を変更するものではないから、特許法131条の2第1項の規定に適合する。
第3 本件訂正の内容1 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項19~23の記載は、以下のとおりである。
「【請求項19】
測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、測定値の取得が完了していない前記測定対象のなかで前記測定順序が最も早い当該測定対象の前記測定対象像を特定可能な特定用表示を当該測定対象像に関連付けて表示させる第1の処理と、いずれかの前記測定対象像に関連付けて前記特定用表示を表示させている状態で当該いずれかの測定対象像に対応する前記測定対象についての前記測定値の取得が完了したときに取得した当該測定値を当該測定対象に対応させて測定結果データに記録する第2の処理とを測定データ処理装置の処理部に実行させる手順が記録されると共に、前記第1の処理および前記第2の処理を実行し、かつ当該第2の処理の完了後に当該第1の処理を再び実行すると共に、前記各測定対象を撮像して撮像データを出力する撮像部から出力された当該撮像データを前記画像データに基づいて前記画像を前記表示部に表示させるように当該各処理の実行手順が記録されている測定データ処理用プログラム。
【請求項20】
測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、測定値の取得が完了していない前記測定対象のなかで前記測定順序が最も早い当該測定対象の前記測定対象像を特定可能な特定用表示を当該測定対象像に関連付けて表示させる第1の処理と、いずれかの前記測定対象像に関連付けて前記特定用表示を表示させている状態で当該いずれかの測定対象像に対応する前記測定対象についての前記測定値の取得が完了したときに取得した当該測定値を当該測定対象に対応させて測定結果データに記録する第2の処理とを測定データ処理装置の処理部に実行させる手順が記録されると共に、前記第1の処理および前記第2の処理を実行し、かつ当該第2の処理の完了後に当該第1の処理を再び実行するように当該各処理の実行手順が記録され、かつ前記画像データに基づく前記画像を前記表示部に表示させている状態で前記各測定対象像および当該画像上における当該各測定対象像の表示位置のいずれか予め規定された一方を順次指定する第2の指定操作が行われたときに、当該第2の指定操作が行われた順序に従って指定された当該一方に対応する前記測定対象の前記測定順序を規定する処理の実行手順が記録されている測定データ処理用プログラム。
【請求項21】
測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、測定値の取得が完了していない前記測定対象のなかで前記測定順序が最も早い当該測定対象の前記測定対象像を特定可能な特定用表示を当該測定対象像に関連付けて表示させる第1の処理と、いずれかの前記測定対象像に関連付けて前記特定用表示を表示させている状態で当該いずれかの測定対象像に対応する前記測定対象についての前記測定値の取得が完了したときに取得した当該測定値を当該測定対象に対応させて測定結果データに記録する第2の処理とを測定データ処理装置の処理部に実行させる手順が記録されると共に、前記第1の処理および前記第2の処理を実行し、かつ当該第2の処理の完了後に当該第1の処理を再び実行するように当該各処理の実行手順が記録されると共に、予め規定された操作が行われたときに、前記各測定対象について過去に測定された前記測定値を含む履歴データに基づいて当該測定対象についての当該過去に測定された測定値を前記表示部に表示させる処理の実行手順が記録されている測定データ処理用プログラム。
【請求項22】
測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、測定値の取得が完了していない前記測定対象のなかで前記測定順序が最も早い当該測定対象の前記測定対象像を特定可能な特定用表示を当該測定対象像に関連付けて表示させる第1の処理と、いずれかの前記測定対象像に関連付けて前記特定用表示を表示させている状態で当該いずれかの測定対象像に対応する前記測定対象についての前記測定値の取得が完了したときに取得した当該測定値を当該測定対象に対応させて測定結果データに記録する第2の処理とを測定データ処理装置の処理部に実行させる手順が記録されると共に、前記第1の処理および前記第2の処理を実行し、かつ当該第2の処理の完了後に当該第1の処理を再び実行し、前記第1の処理においていずれかの前記測定対象像に関連付けて前記特定用表示を表示させている状態で前記測定値の取得が完了している前記測定対象を指定する第1 の指定操作が行われたときに、指定された当該測定対象についての前記測定値の取得が完了していないものとして前記第1の処理を再び実行するように当該各処理の実行手順が記録されている測定データ処理用プログラム。
【請求項23】
前記画像データに基づいて前記画像を表示部に表示させるときに、前記各測定対象に対して指定された前記測定順序を特定可能な順序表示を対応する当該測定対象の前記測定対象像にそれぞれ関連付けて表示させる処理の実行手順が記録されている請求項19から22のいずれかに記載の測定データ処理用プログラム。」
2 本件訂正の訂正事項
本件訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項19に、
「前記各測定対象を撮像して撮像データを出力する撮像部から出力された当該撮像データを前記画像データに基づいて前記画像を前記表示部に表示させるように当該各処理の実行手順が記録されている測定データ処理用プログラム。」
と記載されているのを、
「前記各測定対象を撮像して撮像データを出力する撮像部から出力された当該撮像データを前記画像データとして記憶部に記憶させ、記憶させた当該画像データに基づいて前記画像を前記表示部に表示させるように当該各処理の実行手順が記録されている測定データ処理用プログラム。」
と訂正する(下線部分は、訂正箇所を示す。以下の訂正事項2~10についても同様である。)。
請求項19を引用する請求項23も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項19に、
「測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と記載されているのを、
「測定順序がそれぞれ指定されている複数の測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と訂正する。
請求項19を引用する請求項23も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項20に、
「測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と記載されているのを、
「測定順序がそれぞれ指定されている複数の測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と訂正する。(下線部分は、訂正箇所を示す。)
請求項20を引用する請求項23も同様に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項21に、
「測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と記載されているのを、
「測定順序がそれぞれ指定されている複数の測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該両像を表示部に表示させると共に、」
と訂正する。
請求項21を引用する請求項23も同様に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項22に、
「測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と記載されているのを、
「測定順序がそれぞれ指定されている複数の測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と訂正する。
請求項22を引用する請求項23も同様に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0024】に、
「前記各測定対象を撮像して撮像データを出力する撮像部から出力された当該撮像データを前記画像データに基づいて前記画像を前記表示部に表示させるように当該各処理の実行手順が記録されている。」
と記載されているのを、
「前記各測定対象を撮像して撮像データを出力する撮像部から出力された当該撮像データを前記画像データとして記憶部に記憶させ、記憶させた当該画像データに基づいて前記画像を前記表示部に表示させるように当該各処理の実行手順が記録されている。」
と訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0024】に、
「請求項19記載の測定データ処理用プログラムは、測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と記載されているのを、
「請求項19記載の測定データ処理用プログラムは、測定順序がそれぞれ指定されている複数の測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落【0024】に、
「請求項20記載の測定データ処理用プログラムは、測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の両像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と記載されているのを、
「請求項20記載の測定データ処理用プログラムは、測定順序がそれぞれ指定されている複数の測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の段落【0024】に、
「請求項21記載の測定データ処理用プログラムは、測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた両像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と記載されているのを、
「請求項21記載の測定データ処理用プログラムは、測定順序がそれぞれ指定されている複数の測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた両像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と訂正する。
(10)訂正事項10
明細書の段落【0024】に、
「請求項22記載の測定データ処理用プログラムは、測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と記載されているのを、
「請求項22記載の測定データ処理用プログラムは、測定順序がそれぞれ指定されている複数の測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた両像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」
と訂正する。
第4 当審の判断
1 一群の請求項ごとに訂正審判を請求することについて
訂正前の請求項23は、訂正審判の請求の対象である請求項19の記載を引用する請求項であるから、請求項19と請求項23は一群の請求項である。同様に、請求項20~22と各請求項の記載を引用する請求項23についても、各々一群の請求項である。これら4つの「一群の請求項」は共通の請求項を有するから、これらの一群の請求項は組み合わされて、1つの一群の請求項となる。
そして、本件訂正は、訂正事項1~10により、訂正前の請求項19~23を訂正するものであるから、本件訂正審判は、一群の請求項19~23に対して請求されているものである。
したがって、本件訂正は特許法第126条第3項の規定に適合するものである。
2 訂正の目的、新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張または変更の存否について
(1) 訂正事項1
ア 訂正の目的について
請求人は、審判請求書6(3)イ(ア)aにおいて、訂正事項1は特許法126条1項ただし書3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である旨主張しているので、以下検討する。
訂正前の請求項19の「前記各測定対象を撮像して撮像データを出力する撮像部から出力された当該撮像データを前記画像データに基づいて前記画像を前記表示部に表示させるように当該各処理の実行手順が記録されている測定データ処理用プログラム。」において、「撮像データ」と「画像データ」の関係が不明瞭であるため、「撮像データ」をどのようにして「前記画像を前記表示部に表示させる」か不明瞭である。
この点について、訂正後の「前記各測定対象を撮像して撮像データを出力する撮像部から出力された当該撮像データを前記画像データとして記憶部に記憶させ、記憶させた当該画像データに基づいて前記画像を前記表示部に表示させるように当該各処理の実行手順が記録されている測定データ処理用プログラム。」の記載において、「当該撮像データを前記画像データとして記憶部に記憶させ」、「記憶させた当該画像データに基づいて前記画像を前記表示部に表示させる」ものとして、「撮像データ」と「画像」との関係を明確にすることで、発明の構成が技術的に不明瞭となっている記載を正し、その本来の意を明らかにしたものと認められる。
また、請求項19を引用する請求項23についても同様である。
したがって、前記訂正事項1の訂正は、特許法126条1項ただし書き3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当審によるものである。
「【0036】
請求項1記載の測定データ処理装置、そのような測定データ処理装置を備えた測定システム、および請求項19記載の測定データ処理用プログラムによれば、撮像部から出力された撮像データを画像データとして記憶部に記憶させ、記憶させた画像データに基づいて画像を表示部に表示させることにより、測定対象像を描いた画像データを測定作業等に先立って生成する煩雑な作業を行うことなく、撮像部によって各測定対象を撮像するだけで、各測定対象像を含む画像を測定データ処理装置の表示部に容易に表示させることができる。また、測定対象像を描いた画像データを使用するのとは異なり、実際に測定を行う各測定対象を撮像した撮像データを画像データとして使用して画像を表示させることで、特定用表示の表示位置に基づき、次に測定を行う測定対象の位置などを正確かつ容易に把握することができる。」
「【0108】
さらに、この携帯情報端末2、測定システム100および測定データ処理用プログラムDpによれば、カメラ21から出力された撮像データD2を「画像データ」として記憶部27に記憶させ、記憶させた「画像データ(撮像データD2)」に基づいて画像31を表示部24に表示させることにより、「測定対象像」を描いた「画像データ」を測定作業等に先立って生成する煩雑な作業を行うことなく、カメラ21によって各ブレーカXを撮像するだけで、「測定対象像」としての各像32を含む画像31を携帯情報端末2の表示部24に容易に表示させることができる。また、「測定対象像」を描いた「画像データ」を使用するのとは異なり、実際に測定を行う各ブレーカXを撮像した撮像データD2を「画像データ」として使用して画像31を表示させることで、「特定用表示」としてのマーカー33の表示位置に基づき、次に測定を行うブレーカXの位置などを正確かつ容易に把握することができる。」
明細書等の上記の箇所には、訂正事項1に係る構成である「前記各測定対象を撮像して撮像データを出力する撮像部から出力された当該撮像データを前記画像データとして記憶部に記憶させ、記憶させた当該画像データに基づいて前記画像を前記表示部に表示させる」ことが記載されている。
よって、前記訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、明細書等に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
そして、訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し、又は変更されたものとも認められない。
また、請求項19を引用する請求項23についても同様である。
したがって、前記訂正事項1による訂正は、特許法126条5項及び6項の規定に適合するものである。
(2) 訂正事項2~5
ア 訂正の目的について
請求人は、審判請求書6(3)イ(イ)aにおいて、訂正事項2~5は特許法126条1項ただし書3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である旨主張しているので、以下検討する。
訂正前の請求項19~22の各々に記載された「測定順序がそれぞれ指定されている複数の当該測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」において「・・・複数の当該測定対象」と記載されているが、この記載の前に「測定対象」という用語が記載されていないため、「当該」が表す技術的な意味が不明瞭である。
この点について、訂正後の「測定順序がそれぞれ指定されている複数の測定対象のそれぞれの位置に対応して当該測定対象を示す測定対象像が並べられた画像の画像データに基づいて当該画像を表示部に表示させると共に、」の記載において、技術的な意味が不明瞭な「当該」を削除した「・・・複数の測定対象」とすることにより、発明の構成が技術的に不明瞭となっている記載を正し、その本来の意を明らかにしたものと認められる。
また、請求項19~22の各請求項を引用する請求項23についても同様である。
したがって、前記訂正事項2~5の訂正は、特許法126条1項ただし書き3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
前記アのとおり、訂正事項2~5は、訂正前の請求項19~22の各々に記載された「・・・複数の当該測定対象」のうち技術的な意味が不明瞭な「当該」を削除することにより、発明の構成が技術的に不明瞭となっている記載を正し、その本来の意を明らかにしたものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかであり、明細書等に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
そして、訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し、又は変更されたものとも認められない。
また、請求項19~22の各請求項を引用する請求項23についても同様である。
したがって、前記訂正事項2~5による訂正は、特許法126条5項及び6項の規定に適合するものである。
(3) 訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、特許請求の範囲の請求項19に対応する明細書の段落【0024】について、訂正事項1と同様の訂正を行うものである。
したがって、前記(1)アと同様に前記訂正事項6の訂正は、特許法126条1項ただし書き3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
前記(1)イに示した訂正事項1と同様の理由により、訂正事項6は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、明細書等に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
そして、訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し、又は変更されたものとも認められない。
したがって、前記訂正事項6による訂正は、特許法126条5項及び6項の規定に適合するものである。
(4) 訂正事項7~10
ア 訂正の目的について
訂正事項7~10は、特許請求の範囲の請求項20~22に対応する明細書の段落【0024】について、訂正事項2~5と同様の訂正を行うものである。
したがって、前記(2)アと同様に前記訂正事項7~10の訂正は、特許法126条1項ただし書き3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
前記(2)イに示した訂正事項2~5と同様の理由により、訂正事項7~10は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、明細書等に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
そして、訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し、又は変更されたものとも認められない。
したがって、前記訂正事項7~10による訂正は、特許法126条5項及び6項の規定に適合するものである。
3 独立特許要件について
訂正事項1~10は、特許法126条1項ただし書3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであるから、同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。
第5 むすび
以上のとおり、前記訂正事項1~10は、特許法126条1項ただし書き3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であるから同条1項の規定に適合し、かつ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないから、同条5項及び6項の規定に適合する。そして、同条7項の要件は課されない。したがって、請求項19~23及び明細書に係る訂正は、訂正の要件を満たしている。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-390156