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特許訂正審判

2018-390176

磁気エンコーダ及び前記磁気エンコーダを備える転がり軸受ユニット

審判番号
2018-390176
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2005-151395
登録番号
特許第4639953号(P4639953)
請求日
2018年11月09日
審決日
2018年12月18日
公報発行日
2019年03月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】日本精工 株式会社
  • 【請求人代理人】松山 美奈子
審判長/審判官
  • 審判長 清水 稔
  • 審判官 中村 説志
  • 審判官 中塚 直樹
分類
P141 .851-Y (G01D) / P141 .852-Y (G01D) / P141 .853-Y (G01D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項特許法126条5項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第4639953号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第4639953号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第4639953号に係る出願は、平成17年5月24日に特願2005-151395号として出願されたものであって、平成22年12月10日に特許権の設定登録がなされ、平成30年11月9日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨と訂正の内容 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4639953号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、次のとおりである(なお、下線は請求人が付したものである。)。 1 訂正事項1 特許請求の範囲の【請求項1】の「前記バインダが、ポリアミド6と、前記ポリアミド6をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド6とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド6を5~50質量%の割合で含有する樹脂A、もしくはポリアミド12と、前記ポリアミド12をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド12とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド12を5~50質量%の割合で含有する樹脂Bを含む」との記載を、 「前記バインダが、ポリアミド12と、前記ポリアミド12をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド12とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド12を5~50質量%の割合で含有する樹脂Bを含む」に訂正する(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項3~7において同様に訂正する。)。 2 訂正事項2 特許請求の範囲の【請求項2】を削除する。 3 訂正事項3 特許請求の範囲の【請求項3】の「請求項1または2記載の磁気エンコーダ」との記載を「請求項1記載の磁気エンコーダ」に訂正する。 4 訂正事項4 特許請求の範囲の【請求項4】の「請求項1~3の何れか1項に記載の磁気エンコーダ」との記載を「請求項1又は3に記載の磁気エンコーダ」に訂正する。 5 訂正事項5 特許請求の範囲の【請求項7】の「請求項1~6の何れか1項に記載の磁気エンコーダ」との記載を「請求項1、3~6の何れか1項に記載の磁気エンコーダ」に訂正する。 6 訂正事項6 明細書の段落【0010】の 「(1)磁性体粉と該磁性体粉のバインダとを含む磁性材料を円環状に形成した磁石部を備える磁気エンコーダにおいて、 前記バインダが、ポリアミド6と、前記ポリアミド6をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド6とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド6を5~50質量%の割合で含有する樹脂A、もしくはポリアミド12と、前記ポリアミド12をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド12とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド12を5~50質量%の割合で含有する樹脂Bを含むことを特徴とする磁気エンコーダ。 (2)前記バインダが、樹脂Bを含有することを特徴とする上記(1)記載の磁気エンコーダ。 (3)前記磁性材料の曲げたわみ量が、厚さ=3.0mm、スパン間距離=50mm、温度=23℃において、2~15mmであることを特徴とする上記(1)または(2)記載の磁気エンコーダ。 (4)前記磁石部が、予め半硬化状態の接着剤層を設けたスリンガにインサート成形によって接合されていることを特徴とする上記(1)~(3)の何れか1項に記載の磁気エンコーダ。 (5)前記インサート成形後に2次加熱して得られることを特徴とする上記(4)記載の磁気エンコーダ。 (6)前記接着剤がフェノール樹脂系接着剤またはエポキシ樹脂系接着剤であることを特徴とする上記(4)記載の磁気エンコーダ。 (7)固定輪と、回転輪と、前記固定輪及び前記回転輪との間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体とを備える転がり軸受ユニットにおいて、 上記(1)~(6)の何れか1項に記載の磁気エンコーダが、前記回転輪に固定されていることを特徴とする転がり軸受ユニット。」との記載を、 「(1)磁性体粉と該磁性体粉のバインダとを含む磁性材料を円環状に形成した磁石部を備える磁気エンコーダにおいて、 前記バインダが、ポリアミド12と、前記ポリアミド12をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド12とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド12を5~50質量%の割合で含有する樹脂Bを含むことを特徴とする磁気エンコーダ。 (2)前記磁性材料の曲げたわみ量が、厚さ=3.0mm、スパン間距離=50mm、温度=23℃において、2~15mmであることを特徴とする上記(1)記載の磁気エンコーダ。 (3)前記磁石部が、予め半硬化状態の接着剤層を設けたスリンガにインサート成形によって接合されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の磁気エンコーダ。 (4)前記インサート成形後に2次加熱して得られることを特徴とする上記(3)記載の磁気エンコーダ。 (5)前記接着剤がフェノール樹脂系接着剤またはエポキシ樹脂系接着剤であることを特徴とする上記(3)記載の磁気エンコーダ。 (6)固定輪と、回転輪と、前記固定輪及び前記回転輪との間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体とを備える転がり軸受ユニットにおいて、 上記(1)~(5)の何れか1項に記載の磁気エンコーダが、前記回転輪に固定されていることを特徴とする転がり軸受ユニット。」に訂正する。 7 訂正事項7 明細書の段落【0035】の「メチルエチルケトン等の」との記載を「メチルエチルケトン等に」に訂正する。 8 訂正事項8 明細書の段落【0040】の「物性悪く」との記載を「物性が悪く」に訂正する。 9 訂正事項9 明細書の段落【0085】の「検出こと」との記載を「検出すること」に訂正する。 10 訂正事項10 明細書の段落【0090】の「軸橋」との記載を「軸端」に訂正する。 11 訂正事項11 明細書の段落【0096】【表3】中の「実施例」を「参考例」に訂正する。 第3 当審の判断 1 訂正事項1 (1)訂正の目的 訂正事項1は、請求項1で特定されるバインダに含まれる樹脂について、訂正前には「ポリアミド6と、前記ポリアミド6をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド6とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド6を5~50質量%の割合で含有する樹脂A」と「ポリアミド12と、前記ポリアミド12をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド12とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド12を5~50質量%の割合で含有する樹脂B」の2つの選択肢があったものから、「ポリアミド6と、前記ポリアミド6をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド6とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド6を5~50質量%の割合で含有する樹脂A」の選択肢を削除して「ポリアミド12と、前記ポリアミド12をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド12とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド12を5~50質量%の割合で含有する樹脂B」の選択肢のみを残すものである。 したがって、訂正事項1は、訂正前にあった択一的記載の要素を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 訂正事項1は、訂正前にあった択一的記載の要素を削除するものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項1は、訂正前にあった択一的記載の要素を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものといえる。 (4)独立特許要件 訂正事項1は、訂正前にあった択一的記載の要素を削除するものであるから、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項3~7も含め、訂正後の請求項1、3~7に係る発明において、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、また、特許法第36条第4項第1号又は第6項(第4号を除く)に規定する要件を満たさなくなることもない。そして、その他にも、訂正事項1の訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1、3~7に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由はない。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件を満たすものといえる。 2 訂正事項2 (1)訂正の目的 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するというものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するというものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものである。したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものといえる。 (4)独立特許要件 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するというものであるから、独立特許要件についての判断を要しない。 3 訂正事項3ないし5 (1)訂正の目的 訂正事項3ないし5は、訂正事項2により特許請求の範囲の請求項2が削除されることに伴い、特許請求の範囲の請求項3、4及び7のそれぞれが請求項2を引用しないように訂正するものである。 訂正事項3ないし5は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 訂正事項3ないし5は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものである。したがって、訂正事項3ないし5は、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項3ないし5は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものといえる。 (4)独立特許要件 訂正事項3ないし5は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであって、請求項4を引用する請求項5及び6も含め、訂正事項3ないし5の訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項3~7に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由はない。 したがって、訂正事項3ないし5は、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件を満たすものといえる。 4 訂正事項6 (1)訂正の目的 訂正事項6は、明細書の段落【0010】の記載が訂正後の特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載とならないように、明細書の段落【0010】の記載を、特許請求の範囲における訂正事項1ないし5に係る訂正と対応させて訂正するものである。 したがって、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 訂正事項6は、明細書の段落【0010】の記載を訂正事項1ないし5に係る訂正後の特許請求の範囲の記載と対応させるものであり、上記「1(2)」、「2(2)」、「3(2)」に記載したのと同様に、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項1ないし5は、上記「1(3)」、「2(3)」、「3(3)」に記載したように、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないところ、訂正事項6は、明細書の段落【0010】の記載を訂正事項1ないし5に係る訂正後の特許請求の範囲の記載と対応させるものであるから、訂正事項1ないし5に係る訂正後の特許請求の範囲の記載と対応する事項については、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。また、訂正事項6には、その他、請求項に記載された事項の解釈に影響を与え、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更することに至るような事項も存在しない。 したがって、訂正事項6は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものといえる。 5 訂正事項7 (1)訂正の目的 訂正前の明細書の段落【0035】には「フェノール樹脂系接着剤は、・・・ノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂と、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤を、メタノールやメチルエチルケトン等の溶解させたものが使用できる。」と記載されている。 この記載は文章として不自然である一方で、「メタノールやメチルエチルケトン等」の性質や「溶解させた」という語句からすると、上記記載は、「メタノールやメチルエチルケトン等」が、「ノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂」及び「ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤」を、「溶解させ」る溶剤(溶媒)として用いられる趣旨の記載であることは明らかである。 そうすると、段落【0035】の「フェノール樹脂系接着剤は、・・・ノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂と、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤を、メタノールやメチルエチルケトン等の溶解させたものが使用できる。」という記載は、「フェノール樹脂系接着剤は、・・・ノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂と、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤を、メタノールやメチルエチルケトン等に溶解させたものが使用できる。」の誤記であることは明らかといえる。 したがって、訂正事項7は、明細書中の明らかな誤記である「・・・メチルエチルケトン等の溶解させたもの・・・」という記載を、本来の正しい記載である「・・・メチルエチルケトン等に溶解させたもの・・・」に訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 訂正事項7は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものに過ぎない。 また、明細書の段落【0035】は出願後に補正されていないから、明細書の段落【0035】の記載は、願書に最初に添付した明細書に記載されていたとおりのものである。 そして、訂正事項7は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項7は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項7は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものであり、また、その正しい記載が自明な事項として定まるものであって、請求項に記載された事項の解釈に影響を与えない。したがって、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものといえる。 (4)独立特許要件 訂正事項7は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものであり、また、その正しい記載が自明な事項として定まるものであって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由はない。したがって、訂正事項7は、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件を満たすものといえる。 6 訂正事項8 (1)訂正の目的 訂正前の明細書の段落【0040】には「エポキシ当量が小さすぎると、硬化剤の配合量が多くなりすぎ、硬化物の物性悪くなる等の傾向が生じ易くなり、大きすぎると、硬化剤の配合量が少なくなると共にエポキシ樹脂自体の分子量が大きくなって樹脂組成物の粘度が高くなる等の傾向が生じ易くなる。」と記載されている。 この記載の「物性悪くなる」という箇所は、文法的に不自然であり、「物性」と「悪くなる」の語句の関係や、その後の「粘度が高くなる」といった記載との関係からすると、「物性が悪くなる」の誤記であることは明らかといえる。 したがって、訂正事項8は、明細書中の明らかな誤記である「物性悪くなる」という記載を、本来の正しい記載である「物性が悪くなる」に訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 訂正事項8は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものに過ぎない。 また、明細書の段落【0040】は出願後に補正されていないから、明細書の段落【0040】の記載は、願書に最初に添付した明細書に記載されていたとおりのものである。 そして、訂正事項8は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項8は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項8は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものであり、また、その正しい記載が自明な事項として定まるものであって、請求項に記載された事項の解釈に影響を与えない。したがって、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものといえる。 (4)独立特許要件 訂正事項8は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものであり、また、その正しい記載が自明な事項として定まるものであって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由はない。したがって、訂正事項8は、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件を満たすものといえる。 7 訂正事項9 (1)訂正の目的 訂正前の明細書の段落【0085】には「磁気エンコーダ20の軸方向外方には磁気センサ114が対向配置されており、磁束密度の変化を検出して車輪の回転速度を検出ことができる。」と記載されている。 この記載の「・・・を検出ことができる」という箇所は、文法的に不自然であり、「・・・を検出することができる」の誤記であることは明らかといえる。 したがって、訂正事項9は、明細書中の明らかな誤記である「・・・を検出ことができる」という記載を、本来の正しい記載である「・・・を検出することができる」に訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 訂正事項9は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものに過ぎない。 また、明細書の段落【0085】は出願後に補正されていないから、明細書の段落【0085】の記載は、願書に最初に添付した明細書に記載されていたとおりのものである。 そして、訂正事項9は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項9は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項9は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものであり、また、その正しい記載が自明な事項として定まるものであって、請求項に記載された事項の解釈に影響を与えない。したがって、訂正事項9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものといえる。 (4)独立特許要件 訂正事項9は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものであり、また、その正しい記載が自明な事項として定まるものであって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由はない。したがって、訂正事項9は、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件を満たすものといえる。 8 訂正事項10 (1)訂正の目的 訂正前の明細書の段落【0090】には「図示の例では、磁気エンコーダ20は軸端に配置されているが、磁気ンコーダ20は列間に配置することもできる。列間に配置する場合は、耐熱性を考慮して使用材料を適宜選定する。また、軸橋に配置する場合も、耐水性を考慮して使用材料を適宜選定する。」と記載されている。 この記載の「軸橋」という語句は、そのままの記載では意味が不明であるが、「図示の例では、磁気エンコーダ20は軸端に配置されているが、磁気ンコーダ20は列間に配置することもできる。列間に配置する場合は、耐熱性を考慮して使用材料を適宜選定する。また、軸橋に配置する場合も、耐水性を考慮して使用材料を適宜選定する。」の下線部の記載の並びからすると、「軸端」の誤記であることは明らかといえる。 したがって、訂正事項10は、明細書中の明らかな誤記である「軸橋」という記載を、本来の正しい記載である「軸端」に訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 訂正事項10は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものに過ぎない。 また、明細書の段落【0090】は出願後に補正されていないから、明細書の段落【0090】の記載は、願書に最初に添付した明細書に記載されていたとおりのものである。 そして、訂正事項10は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項10は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項10は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものであり、また、その正しい記載が自明な事項として定まるものであって、請求項に記載された事項の解釈に影響を与えない。したがって、訂正事項10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものといえる。 (4)独立特許要件 訂正事項10は、明細書中の明らかな誤記を本来の正しい記載に訂正するものであり、また、その正しい記載が自明な事項として定まるものであって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由はない。したがって、訂正事項10は、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件を満たすものといえる。 9 訂正事項11 (1)訂正の目的 訂正事項1は、特許請求の範囲で特定されるバインダに含まれる樹脂として、訂正前の「ポリアミド6と、前記ポリアミド6をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド6とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド6を5~50質量%の割合で含有する樹脂A」もしくは「ポリアミド12と、前記ポリアミド12をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド12とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド12を5~50質量%の割合で含有する樹脂B」という2つの選択肢から、「ポリアミド6と、前記ポリアミド6をハードセグメントとし、ポリエステル成分及びポリエーテル成分の少なくとも一方をソフトセグメントとするブロック共重合からなる変性ポリアミド6とを、両樹脂の合計量に対し変性ポリアミド6を5~50質量%の割合で含有する樹脂A」の選択肢を削除するものである。 一方で、明細書の段落【0096】【表3】には、「PA6」と「変性PA6」をバインダとする磁性材料を用いる例が「実施例」として記載されているが、この例は、訂正事項1に係る特許請求の範囲の訂正に伴い、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明に含まれないこととなる。そうすると、明細書の段落【0096】【表3】における上記の「実施例」という記載は、特許請求の範囲の記載との関係で不整合を生じさせ、不明瞭な記載となってしまう。 訂正事項11は、明細書の段落【0096】【表3】における上記の例について、訂正前の「実施例」という記載を「参考例」と訂正することで、明細書の記載を訂正される特許請求の範囲の記載と整合させるものである。 したがって、訂正事項11は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の有無 訂正事項11は、明細書の記載を訂正される特許請求の範囲の記載と整合させるものであって、実質的な内容の変更を伴うものではなく、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。したがって、訂正事項11は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項11は、訂正事項1に係る特許請求の範囲の訂正に伴って訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明に含まれなくなる、発明の詳細な説明に記載された例を、「実施例」でなく「参考例」と訂正するものであって、訂正される特許請求の範囲の記載に合わせて発明の詳細な説明の記載を整合させるものである。よって、訂正事項11に係る訂正は、請求項に記載された事項の解釈に影響を与えない。 したがって、訂正事項11は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものといえる。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定を満たすものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-390176

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