商標拒絶査定不服審判
2022-009329
ヒオキ
- 審判番号
- 2022-009329
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-081822
- 請求日
- 2022年06月17日
- 審決日
- 2023年11月02日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】日置電機株式会社
- 【請求人代理人】IAT弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 藤村 浩二
- 分類
- T18 .8 -WY (W070937)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法64条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第64条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-81822拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の標章は、登録第6218822号の防護標章として登録をすべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年7月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年8月30日付け:拒絶理由通知書
令和3年12月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年3月4日付け :拒絶査定
令和4年6月17日 :審判請求書の提出
令和4年8月1日 :手続補正書の提出
2 本願標章及び手続の経緯
本願標章は、別掲1のとおりの構成からなり、第7類、第9類及び第37類の願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として防護標章登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記1の手続補正により、最終的に別掲2のとおりの商品及び役務に補正されたものである。
3 原登録商標
登録第6218822号商標は、本願標章と同一の構成からなり、令和元年10月15日に登録出願、第9類、第37類及び第42類に属する別掲3のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同2年1月22日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
4 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「原登録商標は、「HIOKI」の文字を書してなり商標登録を受けたものであり、他人がこれを本願に係る指定商品又は指定役務について使用される場合であっても、なお出所の混同を来すといえるほどに、自己の業務に係る商品(役務)を表示するものとして需要者間に広く認識されているものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
5 当審の判断
(1)原登録商標は、上記3のとおり、本願標章と同一の構成からなり、令和2年1月22日に設定登録され、当該商標権が現在も有効に存続するものであること及び当該商標権が請求人の所有に係るものであることは、商標登録原簿の記載から明らかである。また、別掲2及び3のとおり、本願標章の指定商品及び指定役務は、原登録商標に係る指定商品及び指定役務並びにこれに類似する商品及び役務以外のものである。
(2)原登録商標が需要者の間に広く認識されているかについて
請求人の主張及び同人が提出した甲第1号証ないし甲第58号証(枝番号を含む。)により、以下検討する。
ア 請求人の企業の概要及び規模
請求人は、1935年に創業、1952年に法人として設立され、電気測定器の製造及び販売を主とする企業として、約88年にわたり事業を継続している(甲1)。長野県上田市の本社とともに、国内に14の支店、オフィス又はサポート組織を有しており、海外において、18の事務所及びグループ会社を有している(甲2)。
請求人が製造販売する商品は、電気磁気測定器、電気機器の各種値や動作の状態を記録する記録装置(電気磁気測定器を備えた装置)及び電子回路基板の試験を行う試験装置(電気磁気測定器を備えた装置)を主とするものであり(甲4~甲8)、その売上高は、2017年は208.91億円、2018年は232.88億円、2019年は228.10億円、2020年は216.64億円、2021年は293.22億円である(甲3)。商品「電気測定器」に関する国内シェアは、2017年が26%、2018年は29%、2019年は28%、2020年は27%、2021年は31%であるとされ(甲9)、少なくとも2019年はシェアトップであることが推定される(甲58)。
イ 原登録商標を使用した商品及び使用期間
請求人は、原登録商標と同一の商標を1996年10月1日からハウスマークとして使用を開始し(以下、「使用商標」という。)、以後今日に至るまで使用を継続している(甲53,甲54等)。
電気測定器をはじめとする請求人が取り扱う商品において、ディスプレイを有する測定機器についてはディスプレイの周囲に、ディスプレイを有さない機器や装置においては商品の正面に使用商標が付されている(甲4~甲8)。
ウ 使用商品等の広告宣伝等
(ア)ホームページ及びカタログ
請求人は、自社のホームページ及び製品カタログにおいて、使用商標を、視認しやすい場所に顕著に表示している(甲1~甲8等)。
(イ)新聞広告
請求人は、全国紙に広告を、2021年2月~2022年4月において少なくとも40回掲出しており、いずれも使用商標を表示している(甲49)。
(ウ)展示会への出展
請求人は、展示会に出展し、商品の紹介や販売促進活動を行っている。その数は、提出された証拠によれば、2016年に2回、2017年に10回、2018年に5回、2019年に8回、2020年に4回である(甲20~甲48)。
(エ)製品紹介サイトへの掲載
請求人は、株式会社インコムが管理するウェブサイト「製品ナビ」に自社製品を多数掲載しており、2021年3月1日~2022年3月31日までの請求人商品へのセッション数はおおむね3000~5000件弱/月、ページビュー数は、同4000~10000件弱/月である(甲51、甲52)。
(オ)受賞歴
請求人は、「ジャパンマニュアルアワード」を2019年及び2021年に受賞し(甲10,甲11)、その業務に係る電気測定機器等は「グッドデザイン賞」を1985年から2021年まで、1990年、1991年、2002年及び2009年を除き,毎年受賞し(甲12~甲18)、また、「JIDAデザインミュージアムセレクション」に2019年に選ばれている(甲19)。
エ 判断
以上によれば、請求人は、電気測定器の製造及び販売を主とする企業として、約88年にわたり事業を継続しており、長野県上田市の本社とともに、国内に14の支店、オフィス又はサポート組織を有しており、海外において、18の事務所及びグループ会社を有していることから、全国的に事業を展開しているといえる。
そして、請求人の売上げは2017年~2021年まで毎年200億円を超えており、「電気測定器」は請求人の業務に係る主要な商品であって、2017年~2021年までの市場シェアは毎年26%を超えており、少なくとも2019年においては国内トップレベルのシェアであったといえる。
また、請求人は、1996年から現在に至るまで、原登録商標と同一である使用商標を請求人のハウスマークとして原登録商標の指定商品及び指定役務に含まれる商品「電気測定器」等に付し、継続的に使用しているものであり、使用商標は、ディスプレイを有する測定機器についてはディスプレイの周囲に、ディスプレイを有さない機器や装置においては商品の正面に、というように、各商品の需要者の目に止まりやすい位置に付されるとともに、ホームページ及び製品カタログにおいて視認しやすい場所に顕著に表示されている。
さらに、請求人は、全国紙における企業広告で使用商標を使用した広告宣伝活動を行うのに加え、展示会への出展や製品紹介サイトへの掲載も行っており、請求人に係る電気測定機器は継続して「グッドデザイン賞」等を受賞している。
これらを総合すれば、請求人の原登録商標は、その指定商品に含まれる「電気測定器」について使用されたことによって、請求人の業務に係る「電気測定器」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められる。
(3)混同を生ずるおそれについて
原登録商標は、上記(2)のとおり、「電気測定器」の取引者、需要者間に広く認識されているものと認められることに加え、原登録商標は、請求人のハウスマークとして使用されていることが認められる。
また、請求人が使用している「電気測定器」は、機械を使用する工業製品の製造、建設工事、各種修理・保守等、広い産業分野で使用される汎用性の高い商品であるところ、別掲2に示す本願標章の指定商品及び指定役務は、その製造過程や役務提供の際に「電気測定器」を使用する可能性も高いと考えられるから、本願標章の指定商品及び指定役務と、原登録商標に係る「電気測定器」とは、取引者、需要者を共通にする場合があるといえる。
以上を踏まえると、原登録商標と同一の構成からなる本願標章が他人によって本願標章の指定商品及び指定役務に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、その商品及び役務が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
(4)まとめ
以上によれば、原登録商標は、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、原登録商標に係る指定商品及び指定役務並びにこれに類似する商品及び役務以外の商品及び役務である本願標章の指定商品及び指定役務について他人が登録商標の使用をすることにより、その商品及び役務と自己の業務に係る商品及び役務とが混同を生ずるおそれがあるものである。
したがって、本願標章は、商標法第64条の規定する要件を具備するものである。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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