2021-390081
遊技機
- 審判番号
- 2021-390081
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-096405外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年05月18日
- 審決日
- 2021年07月20日
- 公報発行日
- 2021年11月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 三洋物産
- 【請求人代理人】特許業務法人勇智国際特許事務所
- 分類
- P141 .853-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本件特許第6766919号(以下「本件特許」という。)は、平成27年8月7日に出願した特願2015-157222号の一部を平成28年12月29日に新たな特許出願(特願2016-257187号)とし、さらにその一部を令和1年5月22日に新たな特許出願(特願2019-96405号)としたものであって、令和2年8月12日に特許査定され、その後、請求項1に係る発明について、令和2年9月23日に特許権の設定の登録がされ、令和3年5月18日に訂正審判(以下「本件審判」という。)が請求されたものである。
第2 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、「特許第6766919号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。また、請求人が求める訂正の内容は、以下のとおりである。
第3 訂正の内容
本件審判による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のものである。
1 訂正事項1
本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に
「発射手段と、前記発射手段により遊技盤の遊技領域に発射された遊技球が入球可能な第1の入球部と、前記第1の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する判定手段と、続きを表示(全17行)前記第1の入球部への入球に基づいて、前記所定の判定の結果に対応した表示を行なうための単位遊技回動作を実行する動作実行手段と、所定領域への入球を検出する検出手段と、前記検出手段による検出に基づいて、前記動作実行手段による前記第1の入球部への入球に基づいた前記単位遊技回動作の開始を停止する処理である停止処理を実行する停止手段と、を備える遊技機であって、前記停止手段は、前記検出手段によって検出された場合に、所定の期間、前記単位遊技回動作の開始を停止する手段を備え、前記遊技機は、前記検出手段によって検出された後の前記遊技球が入球可能に構成された第2の入球部と、前記第2の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する手段と、前記取得手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する手段と、を備え、前記第2の入球部に入球した遊技球は、その後必ず遊技者に不利な状態となる領域へと誘導されるものであり、前記検出手段によって検出された後の前記遊技球が前記第2の入球部に入球するタイミングにおいて前記停止手段により前記単位遊技回動作が実行されていない状態とし得ることを特徴とする遊技機。」と記載されているのを、
「発射手段と、前記発射手段により遊技盤の遊技領域に発射された遊技球が入球可能な第1の入球部と、前記第1の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する判定手段と、続きを表示(全17行)前記第1の入球部への入球に基づいて、前記所定の判定の結果に対応した表示を行なうための単位遊技回動作を実行する動作実行手段と、所定領域への入球を検出する検出手段と、前記検出手段による検出に基づいて、前記動作実行手段による前記第1の入球部への入球に基づいた前記単位遊技回動作の開始を停止する処理である停止処理を実行する停止手段と、を備える遊技機であって、前記停止手段は、前記検出手段によって検出された場合に、所定の期間、前記単位遊技回動作の開始を停止する手段を備え、前記遊技機は、前記検出手段によって検出された後の前記遊技球が入球可能に構成された第2の入球部と、前記第2の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する手段と、前記取得する手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定判定を実行する手段と、を備え、前記第2の入球部に入球した遊技球は、その後必ず遊技者に不利な状態となる領域へと誘導されるものであり、前記検出手段によって検出された後の前記遊技球が前記第2の入球部に入球するタイミングにおいて前記停止手段により前記単位遊技回動作が実行されていない状態とし得ることを特徴とする遊技機。」に訂正する(下線は、当審が付した。以下同様。)。
以下、本件訂正前の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1を、「訂正前請求項1」という。
本件訂正後についても、「訂正前」を「訂正後」に変えて同様に、「訂正後請求項1」という。
なお、審判請求人が審判請求書で主張する訂正事項1は、訂正前請求項1において「前記取得手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する手段」とあるのを、訂正後請求項1では「前記取得する手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定判定を実行する手段」に訂正しようとするものであるから、次の訂正事項1-1及び1-2に分けられる。
訂正事項1-1 訂正前請求項1の「前記取得手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する手段」との記載において「前記取得手段」とあるのを「前記取得する手段」に訂正する。
訂正事項1-2 訂正前請求項1の「前記取得手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する手段」との記載において「所定の判定」とあるのを「所定判定」に訂正する。
2 訂正事項2
本件特許明細書の【0006】に
「[形態]発射手段と、前記発射手段により遊技盤の遊技領域に発射された遊技球が入球可能な第1の入球部と、前記第1の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する取得手段と、続きを表示(全18行)前記取得手段によって取得された乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する判定手段と、前記第1の入球部への入球に基づいて、前記所定の判定の結果に対応した表示を行なうための単位遊技回動作を実行する動作実行手段と、所定領域への入球を検出する検出手段と、前記検出手段による検出に基づいて、前記動作実行手段による前記第1の入球部への入球に基づいた前記単位遊技回動作の開始を停止する処理である停止処理を実行する停止手段と、を備える遊技機であって、前記停止手段は、前記検出手段によって検出された場合に、所定の期間、前記単位遊技回動作の開始を停止する手段を備え、前記遊技機は、前記検出手段によって検出された後の前記遊技球が入球可能に構成された第2の入球部と、前記第2の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する手段と、前記取得手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する手段と、を備え、前記第2の入球部に入球した遊技球は、その後必ず遊技者に不利な状態となる領域へと誘導されるものであり、前記検出手段によって検出された後の前記遊技球が前記第2の入球部に入球するタイミングにおいて前記停止手段により前記単位遊技回動作が実行されていない状態とし得ることを特徴とする遊技機。」と記載されているのを、
「[形態]発射手段と、前記発射手段により遊技盤の遊技領域に発射された遊技球が入球可能な第1の入球部と、前記第1の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する取得手段と、続きを表示(全18行)前記取得手段によって取得された乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する判定手段と、前記第1の入球部への入球に基づいて、前記所定の判定の結果に対応した表示を行なうための単位遊技回動作を実行する動作実行手段と、所定領域への入球を検出する検出手段と、前記検出手段による検出に基づいて、前記動作実行手段による前記第1の入球部への入球に基づいた前記単位遊技回動作の開始を停止する処理である停止処理を実行する停止手段と、を備える遊技機であって、前記停止手段は、前記検出手段によって検出された場合に、所定の期間、前記単位遊技回動作の開始を停止する手段を備え、前記遊技機は、前記検出手段によって検出された後の前記遊技球が入球可能に構成された第2の入球部と、前記第2の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する手段と、前記取得する手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定判定を実行する手段と、を備え、前記第2の入球部に入球した遊技球は、その後必ず遊技者に不利な状態となる領域へと誘導されるものであり、前記検出手段によって検出された後の前記遊技球が前記第2の入球部に入球するタイミングにおいて前記停止手段により前記単位遊技回動作が実行されていない状態とし得ることを特徴とする遊技機。」に訂正する。
第4 当合議体の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
上記の訂正事項1-1、1-2それぞれについて訂正の目的を検討する。
ア 訂正事項1-1について
訂正前請求項1の「前記取得手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報」という訂正事項1-1に係る記載において「乱数情報」は「第2の入球部に係る」ものであることが明確に記載されている。
一方、訂正前請求項1の「前記取得手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報」における「前記取得手段」の「前記」に対応する箇所を参照すると「前記第1の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する取得手段」と記載されている。そうすると、訂正前請求項1の「前記取得手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報」という記載は、「第2の入球部に係る乱数情報」を「前記第1の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する取得手段」により取得していることになり、技術的に矛盾を含む記載となるため、明瞭ではなかったということができる。
他方、訂正後請求項1では、訂正前請求項1の「前記取得手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する手段」との記載において「取得手段」とあったのを「取得する手段」としている。ここで、請求項1において「取得する手段」とは「前記第2の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する手段」と記載されている。そうすると、訂正後請求項1の「前記取得する手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報」は、「第2の入球部に係る乱数情報」を「前記第2の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する手段」により取得することになり、上記の技術的な矛盾は解消する。したがって、本件訂正の訂正事項1-1は、「取得された前記第2の入球部に係る乱数情報」を「前記第2の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する手段」により取得するものである点を明瞭にしようとするものといえる。
してみると、訂正事項1-1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
イ 訂正事項1-2について
訂正前請求項1の「前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する手段」という訂正事項1-2に係る記載において、「判定」は「第2の入球部に係る乱数情報に基づいて」実行されることは明確に記載されている。
ここで、「所定の判定」について請求項1では、訂正箇所とは別に「前記取得手段によって取得された乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する判定手段」との記載がある。アで述べたとおり、「取得手段」とは「前記第1の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する取得手段」であるから、これとあわせて読むと当該記載は「『前記第1の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する取得手段』によって取得された乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する判定手段」となる。すなわち、上記記載でいう「所定の判定」とは、第1の入球部への入球に基づいて取得された乱数情報に基づく判定を意味する。
一方、訂正前請求項1の訂正事項1-2に係る部分の「前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定の判定を実行する手段」という記載においても、「所定の判定」を上記記載と同様に「第1の入球部への入球に基づいて取得された乱数情報に基づく判定」と解すると、「第2の入球部に係る乱数情報に基づいて」実行される「判定」が、「第1の入球部への入球に基づいて取得された乱数情報に基づく判定」ということになり、技術的に矛盾を含む記載となるため、当該記載は明瞭ではなかったということができる。
他方、訂正後請求項1では、訂正前において「所定の判定」とあったのを「所定判定」としているため、第1の入球部への入球に基づいて取得された乱数情報に基づく判定である「所定の判定」とは別の判定を意味することが明瞭となっていて、上記の技術的な矛盾は解消されている。そのため、訂正後請求項1の「前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定判定を実行する手段」は、「第2の入球部に係る乱数情報に基づいて」所定判定を実行するものである点をより明瞭にしようとするものといえる。
してみると、訂正事項1-2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
ウ 小括
上記ア、イで検討したとおり、訂正事項1-1及び1-2は、訂正前請求項1では第1と第2のいずれの入球部に係る乱数情報を取得して判定を行うのか明瞭ではなかったところ、訂正後請求項1では「第2の入球部に係る乱数情報」を取得して判定を行う点で明瞭にしようとするものであるといえる。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)訂正が本件特許明細書、本件特許の特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
ア 訂正事項1-1について
訂正後請求項1のうち訂正事項1-1に関するのは「前記取得する手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報」という部分である。なお、上記(1)アで述べたとおり、請求項1において「取得する手段」とは「前記第2の入球部への入球に基づいて、乱数情報を取得する手段」と記載されている。
本件特許明細書の【0173】には「ステップS209において、遊技球が第2始動口34に入球したと判定した場合には(S209:YES)、ステップS210に進み、払出制御装置70に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットする。その後、ステップS211に進む。一方、ステップS209において、遊技球が第2始動口34に入球していないと判定した場合には(S209:NO)、本始動口用の入球処理を終了する。」と記載され、
【0176】には「ステップS213では、ステップS103(図14)において更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2およびリーチ乱数カウンタC3の各値をRAM64の判定処理判定処理実行エリア64cに記憶する。その後、ステップS214に進む。」と記載され(審決注:【0176】において「判定処理判定処理実行エリア64c」とあるのは「判定処理実行エリア64c」の誤記と認める。)、
【0285】には「ステップS1302では、高確率モード用の当否テーブルを参照して当否判定を行う。具体的には、判定処理実行エリア64cに記憶されている大当たり乱数カウンタC1の値が、図7(b)に示す高確率モード用の当否テーブルにおいて大当たりとして設定されている値と一致しているか否かを判定する。その後、ステップS1304に進む。一方、ステップS1301において高確率モードではないと判定した場合には(S1301:NO)、ステップS1303に進む。」と記載されている。
そうすると、本件特許明細書には、第2始動口34(第2の入球部)への入球に基づいて、大当たり乱数カウンタC1等(乱数情報)を判定処理実行エリア64cに記憶し、その後、判定処理実行エリア64cから当該乱数情報を取得することが記載されているから、訂正後請求項1に係る発明の「前記取得する手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報」という記載は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
してみると、訂正事項1-1は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
イ 訂正事項1-2について
訂正後請求項1のうち訂正事項1-2に関するのは、「前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定判定を実行する手段」という部分である。
上記アで摘記した本件特許明細書の【0173】、【0176】、【0285】には、第2始動口34(第2の入球部)への入球に基づいて、大当たり乱数カウンタC1等(乱数情報)を判定処理実行エリア64cに記憶し、その後、当該乱数情報を取得することに加えて、取得された大当たり乱数カウンタC1等(乱数情報)の値が、大当たりとして設定されている値と一致しているか否かを判定することも記載されている(特に【0285】参照)。してみれば、訂正後請求項1の「前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定判定を実行する手段」という記載は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
してみると、訂正事項1-2は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 小括
以上より、訂正事項1-1及び1-2の内容は、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内であるから、訂正事項1は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
ア 訂正事項1-1について
上記のとおり、訂正事項1-1は「前記取得する手段によって取得された前記第2の入球部に係る乱数情報」に訂正しようとするものであるが、訂正前請求項1にも「前記第2の入球部に係る乱数情報」とあることから、訂正事項1-1に係る「乱数情報」が「第2入球部に係る乱数情報」である点は訂正前請求項1においても明確である。上記(1)アで述べたとおり、訂正事項1-1に関して訂正前請求項1の「前記取得手段によって取得された」という記載は、この点と技術的に矛盾を含むものであり、訂正事項1-1で「前記取得する手段によって取得された」という記載に訂正することで当該矛盾を解消して記載を明瞭にしようとするものである。そうすると、訂正事項1-1に関する部分で取得される「乱数情報」が「第2の入球部に係る乱数情報」を用いる点において、訂正の前後で請求項1に係る発明の範囲を拡張するものでなければ、変更するものでもない。
してみると、訂正事項1-1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
イ 訂正事項1-2について
上記のとおり、訂正事項1-2は「前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、所定判定を実行する手段」に訂正しようとするものであるが、訂正前請求項1にも「前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて、」「判定を実行する手段」とあることから、訂正事項1-2に係る「判定」が「前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて」行われている点は訂正前請求項1においても明確である。上記(1)イで述べたとおり、訂正事項1-2に関して訂正前請求項1の「所定の判定を実行する」という記載は、この点と技術的に矛盾を含むものであり、訂正事項1-2で「所定判定を実行する」という記載に訂正することで当該矛盾を解消して記載を明瞭にしようとするものである。そうすると、訂正事項1-2に関する部分において「判定」が「前記第2の入球部に係る乱数情報に基づいて」実行される点において、訂正の前後で請求項1に係る発明の範囲を拡張するものでなければ、変更するものでもない。
してみると、訂正事項1-2は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 小括
上記ア、イで検討したとおり、訂正事項1-1及び1-2に係る訂正は、請求項1に係る発明の範囲を拡張するものでなければ、変更するものでもない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を変更するものでもない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正により本件特許請求の範囲の請求項1を訂正することに伴い、明細書の【0006】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合するように訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)訂正が本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1に対応する明細書の【0006】について、訂正事項1と同様の訂正をするものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正と同様の理由により、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1に対応する明細書の【0006】について、訂正事項1と同様の訂正をするものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正と同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を変更するものでもなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3 特許法第126条第7項(独立特許要件)について
訂正事項1及び2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とする訂正であるので、訂正後請求項1に係る発明には、同法第126条第7項に規定されるいわゆる独立特許要件の検討は要しない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-390081