特許訂正審判
2025-390104
遊技機
- 審判番号
- 2025-390104
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2021-089008
- 登録番号
- 7118572
- 請求日
- 2025年07月31日
- 審決日
- 2025年10月09日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社大一商会
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼川 康史
- 審判官 秋田 将行
- 審判官 三橋 健二
- 分類
- P141 .853-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7118572号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7118572号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7118572号(以下「本件特許」という。)は、平成29年2月10日に特許出願された特願2017-22838の一部を令和3年5月27日に新たに特許出願(特願2021-89008)したものであって、令和4年8月5日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和7年7月31日に本件訂正審判の請求がなされた。
第2 審判請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める、であると認める。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線は当審で付した。以下同様。)。
(訂正事項1)
特許請求の範囲の請求項1に
「遊技者が操作可能であり、遊技領域に向けて遊技球を発射する発射装置を備え、
前記遊技領域に設けられた入賞口に前記遊技球が入賞すると所定数の賞球が付与される遊技機であって、
前記入賞口のうち特定の入賞口に前記遊技球が入賞すると当りに関する抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数ある演出の中からいずれかの演出を決定する演出決定手段と、
前記演出決定手段によって決定された演出が表示される演出表示手段と、
特定の条件を満たした場合に、前記遊技領域に向けて発射された遊技球数と付与された遊技球数とに基づいて所定の算出処理を実行する算出処理手段と、
前記算出処理手段による前記算出処理によって算出された結果を表示可能な情報表示手段と、を備えた遊技機であって、
前記遊技領域に向けて遊技球を発射し、前記付与された遊技球数を前記遊技領域に向けて発射された遊技球数で除した値が第1水準で遊技可能な遊技状況のときの前記抽選手段による抽選の結果が当りでない場合には前記演出決定手段は特別演出を前記演出表示手段に表示不能とする第1の演出群から演出を決定し、前記遊技領域に向けて遊技球を発射し、前記付与された遊技球数を前記遊技領域に向けて発射された遊技球数で除した値が前記第1水準の値に前記第1水準の値の3%を減算した値よりも下回る値である場合の第2水準で遊技可能な遊技状況のときの前記抽選手段による抽選の結果が当りでない場合には前記演出決定手段は前記特別演出を前記演出表示手段に表示可能とする第2の演出群から演出を決定し、
前記第1水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出を含まない前記第1の演出群から決定されうる演出の数は、前記第2水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出を含む前記第2の演出群から決定されうる演出の数よりも少ないものであり、
前記第1水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出を含まない前記第1の演出群から演出が決定されるときの平均変動時間は、前記第2水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出を含む前記第2の演出群から決定されるときの平均変動時間よりも短く、
前記第2水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出が前記演出表示手段に表示されているときに前記第2水準で遊技可能な遊技状況であることを認識させる表示を行うことを可能とする
ことを特徴とする遊技機。」
とあるのを、
「遊技者が操作可能であり、遊技領域に向けて遊技球を発射する発射装置を備え、
前記遊技領域に設けられた入賞口に前記遊技球が入賞すると所定数の賞球が付与される遊技機であって、
前記入賞口のうち特定の入賞口に前記遊技球が入賞すると当りに関する抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数ある演出の中からいずれかの演出を決定する演出決定手段と、
前記演出決定手段によって決定された演出が表示される演出表示手段と、
特定の条件を満たした場合に、前記遊技領域に向けて発射された遊技球数と付与された賞球数とに基づいて所定の算出処理を実行する算出処理手段と、
前記算出処理手段による前記算出処理によって算出された結果を表示可能な情報表示手段と、を備えた遊技機であって、
前記遊技領域に向けて遊技球を発射し、前記付与された賞球数を前記遊技領域に向けて発射された遊技球数で除した値が第1水準で遊技可能な遊技状況のときの前記抽選手段による抽選の結果が当りでない場合には前記演出決定手段は特別演出を前記演出表示手段に表示不能とする第1の演出群から演出を決定し、前記遊技領域に向けて遊技球を発射し、前記付与された賞球数を前記遊技領域に向けて発射された遊技球数で除した値が前記第1水準の値に前記第1水準の値の3%を減算した値よりも下回る値である場合の第2水準で遊技可能な遊技状況のときの前記抽選手段による抽選の結果が当りでない場合には前記演出決定手段は前記特別演出を前記演出表示手段に表示可能とする第2の演出群から演出を決定し、
前記第1水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出を含まない前記第1の演出群から決定されうる演出の数は、前記第2水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出を含む前記第2の演出群から決定されうる演出の数よりも少ないものであり、
前記第1水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出を含まない前記第1の演出群から演出が決定されるときの平均変動時間は、前記第2水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出を含む前記第2の演出群から決定されるときの平均変動時間よりも短く、
前記第2水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出が前記演出表示手段に表示されているときに前記第2水準で遊技可能な遊技状況であることを認識させる表示を行うことを可能とする
ことを特徴とする遊技機。」
に訂正する。
第4 訂正の適否についての判断
1 特許法第126条第1項ただし書に規定する要件(訂正の目的)
(1) 訂正前の特許請求の範囲の請求項1には、「前記遊技領域に設けられた入賞口に前記遊技球が入賞すると所定数の賞球が付与される遊技機であって」という記載、及び、「付与された遊技球数」という記載がされており、前者では「入賞」により「付与され」る対象が「賞球」であることを特定している一方、後者では「付与され」る対象が「遊技球数」であることを特定している。そのため、訂正前の請求項1の記載は「入賞」により「付与され」る対象について、「賞球」という用語を用いた記載と、「遊技球数」という用語を用いた記載とが混在しており、訂正前の請求項1の「付与された遊技球数」について付与された対象が何であるのか不明瞭となっていた。
(2) 「賞球」及び「遊技球数」について、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)には、次のとおり記載されている。
「【0507】
図52(A)は、最も簡単な方法のワークエリアの構造の一例を示す。図52(A)に示すワークエリアの構造では、賞球数バッファ、総賞球数、アウト球数バッファ、入賞球数バッファ、特定入賞球数バッファ、総アウト球数及びベースを格納する。賞球数バッファは、特賞中以外に遊技者に払い出された賞球数を一時的に格納し、賞球数が所定の条件を満たした場合(例えば、所定数の賞球ごと)にベースを計算するために用いられる。総賞球数は、特賞中以外に遊技者に払い出された全賞球数である。アウト球数バッファは、特賞中以外に遊技者が発射した遊技球数であり、アウト球数が所定の条件を満たした場合(例えば、所定数のアウト球ごと)にベースを計算するために用いられる。入賞球数バッファは、一般入賞口や始動入賞口に入賞した球数を一時的に格納する。特定入賞球数バッファは、特定の一般入賞口や始動入賞口に入賞した球数を一時的に格納する。入賞球数バッファは、アウト口通過球数によってアウト球数を計数する場合(図55、図56)に使用される。特定入賞球数バッファは、特定一般入賞口への入賞球数でアウト球数を補正する場合(図71、図72)に使用される。総アウト球数は、特賞中以外に遊技者が発射した全遊技球数である。ベースは、総賞球数÷総アウト球数×100で計算され、パーセンテージで表された数値であり、ベース算出・表示処理のステップS903で計算される。」
「【0759】
また、遊技者に付与する遊技媒体(賞球)の数によって、ベース値を計算する処理の実行の有無を判定してもよい。すなわち、入賞口毎に定められた賞球数の観点から、賞球数やアウト球数をベース値の計算に使用するかを切り替えてもよい。例えば、一つの入賞球に対して最大の賞球を付与する入賞口の賞球は、ベース値の計算に使用しなくてもよい。
【0760】
具体的には、遊技領域に設けられた入賞口毎に定められた遊技媒体が入賞したときに付与する賞遊技媒体(1つの入賞球に対して払い出される賞球)の数が1個、3個、5個の3種類である場合、最大である5個の賞球数及びこれに対応するアウト球数をベース値の計算に使用しなくてもよい。これは、賞球数が大きい入賞をベース値の計算に使用すると、計算されたベース値の変化が大きくなり、計算されたベース値の下位桁を加工手段によって丸めて(四捨五入、切り上げ、切り捨て等をして)表示しても、表示される値が頻繁に変化する場合が生じる。このような場合、パチンコ機が所定の性能を発揮しているか(例えば、設定した出玉率通りなのか)のホールによる判断が困難になるからである。」
(3) 【0507】には「遊技者が発射した遊技球数」、及び、「遊技者が発射した全遊技球数」と記載されており、「遊技球数」は「遊技者が発射した」「遊技球」の「数」を意味する用語として用いられている。
一方、【0759】には「入賞球に対して」「賞球を付与する」と記載されており、【0760】には「入賞口毎に定められた遊技媒体が入賞したときに付与する賞遊技媒体(1つの入賞球に対して払い出される賞球)」と記載されていることから、「賞球」は「入賞」により「付与」される対象を意味する用語として用いられている。
このことは、訂正前の請求項1の「前記遊技領域に設けられた入賞口に前記遊技球が入賞すると所定数の賞球が付与される」と整合する。
(4) そうすると、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1では「付与された遊技球数」について「付与」された対象が何であるのかが不明瞭であったところ、上記(3)で述べた本件特許明細書等に記載した用語に合わせて「付与された賞球数」と訂正することで特許請求の範囲における用語の混在を解消し、「付与され」る対象が「入賞」により「付与」される「賞球」であることを明瞭にするものである。
(5) したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
2 特許法第126条第5項に規定する要件(新規事項の有無)
上記1で検討したとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の記載を、本件特許明細書等の【0507】、【0759】、【0760】の記載に基づいて、「付与され」る対象が「入賞」により「付与」される「賞球」であることを明瞭にするものであり、本件特許明細書等により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、本件訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3 特許法第126条第6項に規定する要件(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)
訂正事項1に係る訂正は、上記1で検討したとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「付与された遊技球数」という記載を「付与された賞球数」と訂正することで特許請求の範囲における用語の混在を解消し、「付与され」る対象が「入賞」により「付与」される「賞球」であることを明瞭にするものであるから、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 独立特許要件について
訂正事項1に係る訂正は、上記1のとおり、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであるから、同条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
第5 まとめ
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は適法にされたものであるから、特許請求の範囲を、本件訂正審判の請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
よって、結論のとおり審決する。
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