特許訂正審判
2025-390106
遊技機
- 審判番号
- 2025-390106
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2023-027821
- 登録番号
- 7418765
- 請求日
- 2025年07月31日
- 審決日
- 2025年10月15日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社大一商会
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 俊久
- 審判官 太田 恒明
- 審判官 酒井 保
- 分類
- P141 .853-Y (A63F) / P141 .841-Y (A63F) / P141 .854-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7418765号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7418765号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7418765号(以下「本件特許」という。)は、平成29年8月24日に特許出願された特願2017-161147の一部が令和3年12月8日に新たに特許出願(特願2021-199671)され、さらにその一部が令和5年2月24日に新たに特許出願(特願2023-27821)されたものであって、令和6年1月12日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和7年7月31日に本件訂正審判の請求がなされた。
なお、本件審判請求書の第1頁右上には、「令和7年8月1日」と記載されているが、本件審判請求書は、令和7年7月31日に特許庁に提出されている。
第2 審判請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであると認める。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求による訂正の内容は次のとおりである(下線は当審で付した。以下同様。)。
(訂正事項1)
特許請求の範囲の請求項1に、
「遊技者が操作可能であり、遊技領域に向けて遊技球を発射する発射装置を備え、
前記遊技領域に設けられた入賞口に前記遊技球が入賞すると所定数の賞球が付与される遊技機であって、
前記入賞口のうち特定の入賞口に前記遊技球が入賞すると当りに関する抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数ある演出の中からいずれかの演出を決定する演出決定手段と、
前記演出決定手段によって決定された演出が表示される演出表示手段と、
特定の条件を満たした場合に、前記遊技領域に向けて発射された遊技球数と付与された遊技球数とに基づいて所定の算出処理を実行する算出処理手段と、
前記算出処理手段による前記算出処理によって算出された結果を表示可能な情報表示手段と、を備えた遊技機であって、
前記遊技領域に向けて遊技球を発射し、前記付与された遊技球数を前記遊技領域に向けて発射された遊技球数で除した値が第1水準で遊技可能な遊技状況のときの前記抽選手段による抽選の結果が当りでない場合には前記演出決定手段は特別演出を前記演出表示手段に表示不能とする第1の演出群から演出を決定し、前記遊技領域に向けて遊技球を発射し、前記付与された遊技球数を前記遊技領域に向けて発射された遊技球数で除した値が前記第1水準の値に前記第1水準の値の3%を減算した値よりも下回る値である場合の第2水準で遊技可能な遊技状況のときの前記抽選手段による抽選の結果が当りでない場合には前記演出決定手段は前記特別演出を前記演出表示手段に表示可能とする第2の演出群から演出を決定し、
前記複数ある演出には特別なリーチ演出があり、前記特別演出が前記演出表示手段に表示されているときの装飾図柄の大きさは前記特別なリーチ演出が行われているときの装飾図柄の大きさよりも大きいものであり、
前記第2水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出が前記演出表示手段に表示されているときに前記第2水準で遊技可能な遊技状況であることを認識させる表示を行うことを可能とし、
前記第1水準から前記第2水準で遊技可能な遊技状況になって所定時間経過すると前記特別演出とは異なる特定演出を表示可能とし、
前記特別演出を表示する時間は、前記第1の演出群から演出が決定されるときの演出として最も選ばれやすい演出の変動時間よりも長い
ことを特徴とする遊技機。」
とあるのを、
「遊技者が操作可能であり、遊技領域に向けて遊技球を発射する発射装置を備え、
前記遊技領域に設けられた入賞口に前記遊技球が入賞すると所定数の賞球が付与される遊技機であって、
前記入賞口のうち特定の入賞口に前記遊技球が入賞すると当りに関する抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選の結果に基づいて、複数ある演出の中からいずれかの演出を決定する演出決定手段と、
前記演出決定手段によって決定された演出が表示される演出表示手段と、
特定の条件を満たした場合に、前記遊技領域に向けて発射された遊技球数と付与された賞球数とに基づいて所定の算出処理を実行する算出処理手段と、
前記算出処理手段による前記算出処理によって算出された結果を表示可能な情報表示手段と、を備えた遊技機であって、
前記遊技領域に向けて遊技球を発射し、前記付与された賞球数を前記遊技領域に向けて発射された遊技球数で除した値が第1水準で遊技可能な遊技状況のときの前記抽選手段による抽選の結果が当りでない場合には前記演出決定手段は特別演出を前記演出表示手段に表示不能とする第1の演出群から演出を決定し、前記遊技領域に向けて遊技球を発射し、前記付与された賞球数を前記遊技領域に向けて発射された遊技球数で除した値が前記第1水準の値に前記第1水準の値の3%を減算した値よりも下回る値である場合の第2水準で遊技可能な遊技状況のときの前記抽選手段による抽選の結果が当りでない場合には前記演出決定手段は前記特別演出を前記演出表示手段に表示可能とする第2の演出群から演出を決定し、
前記複数ある演出には特別なリーチ演出があり、前記特別演出が前記演出表示手段に表示されているときの装飾図柄の大きさは前記特別なリーチ演出が行われているときの装飾図柄の大きさよりも大きいものであり、
前記第2水準で遊技可能な遊技状況において前記特別演出が前記演出表示手段に表示されているときに前記第2水準で遊技可能な遊技状況であることを認識させる表示を行うことを可能とし、
前記第1水準から前記第2水準で遊技可能な遊技状況になって所定時間経過すると前記特別演出とは異なる特定演出を表示可能とし、
前記特別演出を表示する時間は、前記第1の演出群から演出が決定されるときの演出として最も選ばれやすい演出の変動時間よりも長い
ことを特徴とする遊技機。」
に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正の目的
(1) 本件特許請求の範囲の記載
訂正前の特許請求の範囲の請求項1には、「前記遊技領域に設けられた入賞口に前記遊技球が入賞すると所定数の賞球が付与される遊技機であって」という記載(以下「前者」という。)、及び、「特定の条件を満たした場合に、前記遊技領域に向けて発射された遊技球数と付与された遊技球数とに基づいて所定の算出処理を実行する算出処理手段」という記載(以下「後者」という。)がある。
後者の「算出処理手段」は「特定の条件を満たした場合に」「所定の算出処理を実行する」ときに「付与された遊技球数」を利用するところ、当該「付与された遊技球数」は、「付与された」「遊技球」に基づく「数」と解される。ここで、後者の「付与された」ことは、前者の「前記遊技領域に設けられた入賞口に前記遊技球が入賞する」ことで「付与され」たことであるのかが明らかでなく、また、後者の「遊技球」は、前者の「賞球」であるのかが明らかでなかった。そのため、後者の「付与された遊技球数」は、前者における「前記遊技領域に設けられた入賞口に前記遊技球が入賞すると」「付与される」「賞球」に基づく「数」であるのかが、必ずしも明瞭でなかった。
(2) 判断
「特定の条件を満たした場合に」「所定の算出処理を実行する」ときに「算出処理手段」が利用する「付与された遊技球」について、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)には、次のとおり記載されている。
「【0501】
図51は、ベース算出・表示処理(ステップS89)の別の一例を示すフローチャートである。図51に示すベース算出・表示処理では、賞球数とアウト球数のいずれかが所定の条件を満たすタイミングでベース値が更新される。なお、図51において、前述したベース算出・表示処理と同じ部分には同じステップ番号を付し、その詳細の説明は省略する。
【0502】
まず、賞球数バッファに格納されている賞球数が予め定められている閾値Th1以上であるかを判定する(ステップS890)。賞球数バッファ値が閾値Th1より小さければ、総賞球数を更新するタイミングではないので、ステップS895に進む。一方、賞球数バッファ値が閾値Th1以上であれば、総賞球数に閾値Th1を加算し(ステップS891)、賞球数バッファから閾値Th1を減算する(ステップS892)。そして、総アウト球数にアウト球数バッファ値を加算し(ステップS893)、アウト球数バッファを0にする(ステップS894)。なお、賞球数バッファ値と閾値Th1とを比較せずに、所定回数の入賞毎や所定時間毎に、ステップS891からS894を実行してもよい。
【0503】
その後、アウト球数バッファに格納されているアウト球数が予め定められている閾値Th2以上であるかを判定する(ステップS895)。アウト球数バッファ値が閾値Th2より小さければ、総アウト球数を更新するタイミングではないので、ステップS902に進む。一方、アウト球数バッファ値が閾値Th2以上であれば、総賞球数に賞球数バッファ値を加算し(ステップS897)、賞球数バッファを0にする(ステップS898)。そして、総アウト球数に閾値Th2を加算し(ステップS899)、アウト球数バッファから閾値Th2を減算する(ステップS900)。
【0504】
その後、総アウト球数が0であるかを判定する(ステップS902)。総アウト球数が0であれば、ベース値を計算できないので、ベース算出・表示処理を終了する。一方、総アウト球数が0でなければ、総賞球数を総アウト球数で除してベース値を計算する(ステップS903)。具体的には、総賞球数に所定数(例えば100)を乗じて除算入力レジスタA131216に格納し、総アウト球数を除算入力レジスタB131217に格納する。そして、32クロック経過後に、除算結果レジスタA131218から商を読み出して、ベース値とする。なお、総アウト球数が0である場合、ベース値を計算しても、演算回路13121からの返り値はエラーとなるので、ベース算出用領域13128に格納しなくてよい。この場合、ベース表示器1317に表示されるベース値は更新されない。」
【0501】~【0504】には、「総アウト球数が0でなければ、総賞球数を総アウト球数で除してベース値を計算する」ことが記載されていることから、「特定の条件を満たした場合に」「所定の算出処理を実行する」ときに「算出処理手段」が利用する「付与された遊技球」は「入賞すると」「付与される」「賞球」に基づく「数」であると認められる。
そうすると、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1では「特定の条件を満たした場合に」「所定の算出処理を実行する」ときに「算出処理手段」が利用する「付与された遊技球数」が「前記遊技領域に設けられた入賞口に前記遊技球が入賞すると」「付与される」「賞球」に基づく「数」であるのかが不明瞭であったところ、上記「付与された遊技球数」を「付与された賞球数」と訂正することで、上記「入賞すると」「付与される」「賞球」に基づく「数」であることを明瞭にするものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法126条1項ただし書3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
2 新規事項の追加
上記1で検討したとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の記載を、本件特許明細書等の【0501】~【0504】の記載に基づいて、訂正前の「付与された遊技球数」を「付与された賞球数」と訂正することで「入賞すると」「付与される」「賞球」に基づく「数」であることを明瞭にするものであり、本件特許明細書等により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法126条5項の規定に適合する。
3 特許請求の範囲の拡張又は変更
訂正事項1に係る訂正は、上記1で検討したとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「付与された遊技球数」という記載を「付与された賞球数」と訂正することで「入賞すると」「付与される」「賞球」であることを明瞭にするものであるから、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法126条6項の規定に適合する。
4 独立特許要件
訂正事項1に係る訂正は、上記1のとおり、特許法126条1項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであるから、同条7項に規定する独立特許要件は課されない。
第5 まとめ
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1は、特許法126条1項ただし書3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条5項~6項の規定に適合するものである。
したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は適法にされたものであるから、特許請求の範囲を、本件訂正審判の請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
よって、結論のとおり審決する。
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