2021-390069
新規hGHポリマープロドラッグ
- 審判番号
- 2021-390069
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-544993外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年04月20日
- 審決日
- 2021年07月09日
- 公報発行日
- 2021年11月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】アセンディス ファーマ エンドクライノロジー ディヴィジョン エー/エス
- 【請求人代理人】特許業務法人平木国際特許事務所
- 分類
- P141 .832-Y (A61K) / P141 .852-Y (A61K) / P141 .853-Y (A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項特許法126条7項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 7項目
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許6783782号発明(以下、「本件特許」という。)は、平成27年11月17日(パリ条約による優先権主張 2014年11月18日 欧州特許庁)を国際出願日として出願され、その請求項1~29に係る発明について令和2年10月26日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和3年4月20日に本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件審判の請求の趣旨は、「特許第6783782号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものであって、その訂正の内容は以下のとおりである。
[訂正事項1]
特許請求の範囲の請求項1において、「-Y3-、-Y5-は、-O-及び-S-からなる群から互いに独立して選択され、」との記載を、「-Y3-は、-O-及び-S-からなる群から選択され、=Y5は、=O及び=Sからなる群から選択され、」との記載に訂正する。(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~29も同様に訂正する)。
[訂正事項2]
明細書の段落【0012】における「-Y3-、-Y5-は、-O-及び-S-からなる群から互いに独立して選択され、」との記載を、「-Y3-は、-O-及び-S-からなる群から選択され、=Y5は、=O及び=Sからなる群から選択され、」との記載に訂正する。
[訂正事項3]
明細書の段落【0293】における「-Y3-、-Y5-は、-O-及び-S-からなる群から互いに独立して選択され、」との記載を、「-Y3-は、-O-及び-S-からなる群から選択され、=Y5は、=O及び=Sからなる群から選択され、」との記載に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正の目的について
訂正事項1~3は、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリマープロドラッグである式(Ia)又は式(Ib)の下記化学構造式に関して、
Y5の定義である「-Y5-は、-O-及び-S-からなる群から互いに独立して選択され、」との記載を「=Y5は、=O及び=Sからなる群から選択され、」に訂正するものである。
訂正前の請求項1、明細書段落【0012】、【0293】の記載をみると、式(Ia)又は式(Ib)の化学構造式の表記
からは、Y5は二重結合を介して隣接する1つの原子に結合していると理解される一方、Y5に関する定義「-Y5-は、-O-及び-S-からなる群から互いに独立して選択され」からは、Y5は二重結合を介して隣接する1つの原子に結合するだけでなく、一重結合を介して隣接する2つの原子に結合する態様も包含するように解され、つまりY5の結合態様について、化学構造式中の表記と、文章中の定義とで意味合いが整合していない。
また、式(Ia)又は式(Ib)の化学構造式中の
を構成するY1 、Y2の定義については「=Y1は、=O及び=Sからなる群から選択され、-Y2-は、-O-及び-S-からなる群から選択され」と記載されており、同一の化学構造式中で「=」という同一の表記を用いて表されているにも関わらず、「=Y1」の定義と「=Y5」の定義が整合していない。
一方、訂正前明細書段落【0085】には、「好ましい実施形態では、式(Ia)及び(Ib)の=Y5は、=Oである。」と記載され、Y5が二重結合によって隣接する原子と結合する態様が記載されている。
さらに、訂正前の請求項1を引用する請求項12では、訂正前請求項1に記載のプロドラッグとして、式(IV)で示される下記の化学構造式が記載されており、式(Ia)におけるY5と隣接する炭素原子に対応する化学構造式が「O=C」であること、すなわちY5が二重結合によって隣接する原子と結合することが記載されている。
他方、本件明細書には、Y5が一重結合を介して隣接する2つの原子に結合している式(Ia)又は式(Ib)の化合物は全く記載されていない。
そして、化学構造式において、「=」との表記は2つの原子間の二重結合を意味することは技術常識でもある。
そうすると、訂正前の請求項1、明細書段落【0012】、【0293】に記載されていた式(Ia)又は式(Ib)の化学構造式において、Y5は二重結合を介して隣接する原子に結合する態様のみを意味することは、訂正前の特許請求の範囲及び明細書の記載、そして技術常識から明らかである。よって、訂正前の請求項1、明細書段落【0012】、【0293】において、Y5の定義である「-Y5-は、-O-及び-S-からなる群から互いに独立して選択され、」との記載が誤りで「=Y5は、=O及び=Sからなる群から選択され、」が正しい記載であることは当業者に明らかといえる。したがって、訂正事項1~3は誤記の訂正を目的とするものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものである。
また、上記訂正事項1~3は、式(Ia)又は式(Ib)の化学構造式において、Y5と隣接する原子との結合態様に関する記載が整合しておらず、多義的で曖昧なものとなっていた点を、「=Y5は、=O及び=Sからなる群から選択され、」に整合化し、曖昧さを解消するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるともいえる。
2 願書に最初に添付した外国語書面の明細書、特許請求の範囲、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
願書に最初に添付した外国語書面の請求項1、明細書2頁27行~3頁10行には、式(Ia)又は式(Ib)の化学構造式において「-Y5-は、-O-及び-S-からなる群から互いに独立して選択され」ることが記載され、Y5が酸素原子又は硫黄原子を意味することが記載されており、かつ、式(Ia)又は式(Ib)の化学構造式中の
との表記により、Y5と隣接する原子との結合態様が二重結合であることも記載されていたといえる。
よって、訂正事項1~3は、願書に最初に添付した外国語書面の明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
また、式(Ia)又は式(Ib)の化学構造式において「-Y5-は、-O-及び-S-からなる群から互いに独立して選択され」ること、及び、式(Ia)又は式(Ib)の化学構造式中の
との表記は、願書に添付した請求項1、明細書段落【0012】、【0293】にも記載されているから、訂正事項1~3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものでもある。
3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上の1のとおり、訂正事項1~3は、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
4 独立特許要件について
訂正事項1~3は、誤記の訂正を目的とするといえるところ、本訂正事項によって特許要件の適否について見直すべき新たな事情は見当たらず、訂正後の特許請求の範囲の請求項1~29に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見出せないから、訂正事項1~3は、特許法第126条第7項に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項乃至第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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