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特許拒絶査定不服審判

2021-016191

回路構造

審判番号
2021-016191
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-207349外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年11月26日
審決日
2022年08月31日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-207349「回路構造」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月22日出願公開、特開2019- 47129〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成18年6月23日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2005年6月24日(US)米国)を出願日とする特願2006-173775号の一部を、平成26年1月17日に特願2014-7143号として新たな特許出願とし、更にその一部を、平成28年6月15日に特願2016-119070号として新たな特許出願とし、更にその一部を、平成30年11月2日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 元年10月23日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 3月 9日 :手続補正書、意見書の提出
令和 2年 9月30日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 1月 5日 :手続補正書、意見書の提出
令和 3年 7月27日付け:拒絶査定
令和 3年11月26日 :手続補正書、審判請求書の提出

第2 令和3年11月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年11月26日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項10の記載は、次のとおり補正された(当審注:下線部は補正箇所である。)。

「【請求項10】
回路構造であって、
半導体基板と、
前記半導体基板上の多数のトランジスタと、
続きを表示(全14行)
前記半導体基板に結合された第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層に結合された導電構造と、ここにおいて、前記導電構造は、第1の回路層と前記第1の回路層に結合された第2の回路層とを備える、
前記第1及び第2の回路層の間の第2の誘電体層と、
前記導電構造に結合され、前記第1及び第2の誘電体層に結合された絶縁層と、ここにおいて、前記絶縁層は、窒化物層を備え、ここにおいて、前記絶縁層中の第1の開口は、前記導電構造の接触ポイントを露出する、
前記接触ポイント上の、前記絶縁層に結合された第1の導電層と、ここにおいて、前記第1の導電層は、前記第1の開口を通して前記接触ポイントに接続され、ここにおいて、前記第1の導電層は、2マイクロメータと30マイクロメータの間の厚さを有し、前記接触ポイントに結合され、前記絶縁層に結合される、
前記第1の導電層上の第1の導電柱体と、ここにおいて、前記第1の導電柱体は、前記第1の導電層と接触し、ここにおいて、前記第1の導電柱体は、前記第1の導電層を通して前記接触ポイントに接続される、
前記第1の導電層上の、前記絶縁層に結合された第1の重合物材と、ここにおいて、前記第1の重合物材は、前記第1の導電柱体の側壁に接触し、ここにおいて、前記第1の重合物材は、前記第1の導電柱体の第2の表面と同じ水平レベルにおける第1の表面を有する、
前記第1の重合物材上の第2の重合物材と、ここにおいて、前記第2の重合物材中の開口は、前記第1の導電柱体の前記第2の表面を露出する、
前記第2の表面に結合された、前記第2の重合物材の前記開口周辺の表面上、および前記開口内側壁上の第2の導電層と、ここにおいて、前記第2の導電層は、400Åと7000Åの間の厚さを有し、ここにおいて、前記第2の導電層は、前記第1の導電柱体を通して前記第1の導電層に接続される、
を備える、回路構造。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

本件補正前の、令和3年1月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項11の記載は次のとおりである。

「【請求項11】
回路構造であって、
半導体基板と、
前記半導体基板上の多数のトランジスタと、
続きを表示(全14行)
前記半導体基板に結合された第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層に結合された導電構造と、ここにおいて、前記導電構造は、第1の回路層と前記第1の回路層に結合された第2の回路層とを備える、
前記第1及び第2の回路層の間の第2の誘電体層と、
前記導電構造に結合され、前記第1及び第2の誘電体層に結合された絶縁層と、ここにおいて、前記絶縁層は、窒化物層を備え、ここにおいて、前記絶縁層中の第1の開口は、前記導電構造の接触ポイントを露出する、
前記接触ポイント上の、前記絶縁層に結合された第1の導電層と、ここにおいて、前記第1の導電層は、前記第1の開口を通して前記接触ポイントに接続され、ここにおいて、前記第1の導電層は、2マイクロメータと30マイクロメータの間の厚さを有し、前記接触ポイントに結合され、前記絶縁層に結合される、
前記第1の導電層上の第1の導電柱体と、ここにおいて、前記第1の導電柱体は、前記第1の導電層と接触し、ここにおいて、前記第1の導電柱体は、前記第1の導電層を通して前記接触ポイントに接続される、
前記第1の導電層上の、前記絶縁層に結合された第1の重合物材と、ここにおいて、前記第1の重合物材は、前記第1の導電柱体の側壁に接触し、ここにおいて、前記第1の重合物材は、前記第1の導電柱体の第2の表面と同じ水平レベルにおける第1の表面を有する、
前記第1の重合物材上の第2の重合物材と、ここにおいて、前記第2の重合物材中の開口は、前記第1の導電柱体の前記第2の表面を露出する、
前記第2の表面に結合された、前記第2の重合物材の前記開口周辺の表面上、および前記開口内側壁上の第2の導電層と、ここにおいて、前記第2の導電層は、1マイクロメータと100マイクロメータの間の厚さを有し、ここにおいて、前記第2の導電層は、前記第1の導電柱体を通して前記第1の導電層に接続される、
を備える、回路構造。」

(3)補正事項

本件補正により、本件補正前の請求項11の「前記第2の表面に結合された、前記第2の重合物材の前記開口周辺の表面上、および前記開口内側壁上の第2の導電層と、ここにおいて、前記第2の導電層は、1マイクロメータと100マイクロメータの間の厚さを有し、ここにおいて、前記第2の導電層は、前記第1の導電柱体を通して前記第1の導電層に接続される」との特定事項が、本件補正後の請求項10の「前記第2の表面に結合された、前記第2の重合物材の前記開口周辺の表面上、および前記開口内側壁上の第2の導電層と、ここにおいて、前記第2の導電層は、400Åと7000Åの間の厚さを有し、ここにおいて、前記第2の導電層は、前記第1の導電柱体を通して前記第1の導電層に接続される」と補正された(以下、「補正事項1」という。)。

2 目的要件について

特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(同項第1号)、特許請求の範囲の減縮(同項第2号)、誤記の訂正(同項第3号)、明りょうでない記載の釈明(同項第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。

そこで、本件補正について、以下、検討する。

(1)補正事項1について

補正事項1により、「第2の導電層」の厚さが、「1マイクロメータと100マイクロメータの間」から、「400Åと7000Åの間」に変更された。

ここで、「400Åと7000Åの間」は、「1マイクロメータと100マイクロメータの間」に包含されるものではないから、「1マイクロメータと100マイクロメータの間」を「400Åと7000Åの間」に変更することは、減縮には該当しない。

よって、当該補正事項1は、同項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。

また、補正事項1は、明らかに請求項の削除には該当せず、更に、本件補正前の「第2の導電層」について、誤記や明りょうでない記載があったものともいえないことからすれば、補正事項1が同条同項第1、3、4号の各号のいずれを目的とするものではないことは明らかである。

(2)まとめ

よって、補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではない。

3 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和3年11月26日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年1月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項11に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項11に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

本願発明に関する原査定(令和3年7月27日付け拒絶査定)の拒絶の理由は、この出願の請求項11に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2001-168126号公報
引用文献2:特開2000-164621号公報

3 引用文献、引用発明

(1)引用文献1について

ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、次の記載がある(当審注:下線は当審による。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置とその製造方法に関し、特にチップサイズパッケージ(Chip Size Package、以下CSPと称す。)と呼ばれる、チップサイズと同等か、わずかに大きいパッケージの総称であり、高密度実装を目的としたパッケージ技術に関するものである。」
「【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る半導体装置とその製造方法について説明する。
【0017】図10に於いて、図番1は、通常のワイヤボンディングタイプのICチップに於いて、最上層のメタル(ボンディングパッドとしても機能する部分)の部分であり、このAl電極1のコンタクトホールCが形成される層間絶縁膜を図番2で示す。
【0018】また、このコンタクトホールCの下層には、メタルが複数層で形成され、例えばトランジスタ(MOS型のトランジスタまたはBIP型のトランジスタ)、拡散領域、ポリSiゲートまたはポリSi等とコンタクトしている。
続きを表示(全15行)
・・・
【0021】更には、パッシベーション膜を図番3で示す。ここでパッシベーション膜3は、Si窒化膜、エポキシ樹脂またはポリイミド層等でなり、更にこの上には、絶縁樹脂層rが被覆されている。この絶縁樹脂層rは、後述するようにフラット性を実現し、半田ボールの高さを一定にしている。
【0022】また、Al電極1上には、キャップメタルとして窒化Ti膜(TiN)5が形成されている。
【0023】パッシベーション膜3と絶縁樹脂層rは、窒化Ti膜(TiN)5を露出する開口部Kが形成され、ここには、配線層のメッキ電極(シード層)としてCuの薄膜層6が形成される。そしてこの上には、Cuメッキにより形成される配線層7が形成される。
【0024】そして、配線層7を含むチップ全面には、樹脂から成る樹脂層Rが形成される。ただし、図面上では省略しているが、樹脂層Rと配線層7、樹脂層Rとメタルポスト8の界面には後述するように樹脂層RとCuとの反応を防止するためのシリコン窒化膜(以下、Si3N4膜という。)を設けても良い。
・・・
【0026】ここで、樹脂層Rは、液状のアミック酸を主材料として用意され、ウエハ全面にスピンコートされ、厚さ20~60μm程度で形成される。その後、この樹脂層Rは、熱硬化反応により重合される。温度は、300℃以上である。しかし、熱硬化前のアミック酸より成る樹脂は、前記温度の基で非常に活性に成り、Cuと反応し、その界面を悪化させる問題がある。しかし、配線層の表面に上記Si3N4膜を被覆することにより、このCuとの反応を防止することができる。ここでSi3N4膜の膜厚は、1000~3000Å程度である。
・・・
【0028】そして、樹脂層Rから露出したメタルポスト8の頭部には、後述するようにPd9やメッキ形成されたNi10及びAu11を介して半田ボール12が形成されるわけであるが、本発明では、前記メタルポスト8の頭部以外の樹脂層R表層に感光性のポリイミド層Pを形成している。
・・・
【0031】そして、このポリイミド層Pで被覆されていないメタルポスト8の頭部に、前述したPd9,Ni10及びAu11が形成されている。」
「【0045】続いて全面にCuの薄膜層6を形成する。このCuの薄膜層6は、後に配線層7のメッキ電極となり、例えばスパッタリングにより約1000~2000Å程度の膜厚で形成される。
【0046】続いて、全面に例えばホトレジスト層PR1を塗布し、配線層7に対応するホトレジスト層PR1を取り除く(以上図3参照)。
【0047】続いて、このホトレジスト層PR1の開口部に露出するCuの薄膜層6をメッキ電極とし、配線層7を形成する。この配線層7は機械的強度を確保するために2~5μm程度に厚く形成する必要がある。ここでは、メッキ法を用いて形成したが、蒸着やスパッタリング等で形成しても良い。」

「【0051】そして、前記ホトレジスト層PR2を介して前記メタルポスト8を被覆するようにエポキシ樹脂層Rを形成した後に、当該樹脂層Rを所定量研磨して前記メタルポスト8の頭部を露出させる(以上図7参照)。」

「【図7】
[図:0001393683000001.jpg]
」
「【図10】
[図:0001393683000002.jpg]
」

イ 引用文献1の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

(ア)上記アの【0001】に、「本発明は、半導体装置とその製造方法に関し、特にチップサイズパッケージ(Chip Size Package、以下CSPと称す。)と呼ばれる、チップサイズと同等か、わずかに大きいパッケージの総称であり、高密度実装を目的としたパッケージ技術に関するものである」と記載されているから、引用文献1の記載は、「半導体装置」に関するものであるといえる。

(イ)同【0017】に、「図10に於いて、図番1は、通常のワイヤボンディングタイプのICチップに於いて、最上層のメタル(ボンディングパッドとしても機能する部分)の部分であり、このAl電極1のコンタクトホールCが形成される層間絶縁膜を図番2で示す」と記載されているから、「半導体装置」は、「ICチップ」と、当該「ICチップ」の最上層のメタルである「Al電極1」と、当該「Al電極1」の「コンタクトホールC」が形成される「層間絶縁膜2」とを備えるといえる。

(ウ)同【0018】に、「また、このコンタクトホールCの下層には、メタルが複数層で形成され、例えばトランジスタ(MOS型のトランジスタまたはBIP型のトランジスタ)、拡散領域、ポリSiゲートまたはポリSi等とコンタクトしている」と記載されているから、「半導体装置」は、「コンタクトホールC」の下層に形成された「複数層のメタル」と、「トランジスタ」とを備えるといえる。

(エ)同【0022】に、「また、Al電極1上には、キャップメタルとして窒化Ti膜(TiN)5が形成されている」と記載されているから、「半導体装置」は、「Al電極1」上の「窒化Ti膜5」を備えるといえる。

(オ)同【図10】から、「窒化Ti膜5」上に「パッシベーション膜3」が形成されることが見て取れる。また、同【0021】に、「ここでパッシベーション膜3は、Si窒化膜、エポキシ樹脂またはポリイミド層等でなり、更にこの上には、絶縁樹脂層rが被覆されている」と記載されているから、「パッシベーション膜3」の上には、「絶縁樹脂層r」が形成されている。

以上によれば、「半導体装置」は、「窒化Ti膜5」上の「パッシベーション膜3」と、「パッシベーション膜3」上の「絶縁樹脂層r」とを備えるといえる。

(カ)同【0023】に、「パッシベーション膜3と絶縁樹脂層rは、窒化Ti膜(TiN)5を露出する開口部Kが形成され、ここには、配線層のメッキ電極(シード層)としてCuの薄膜層6が形成される。そしてこの上には、Cuメッキにより形成される配線層7が形成される。」と記載されているから、「半導体装置」は、「パッシベーション膜3」及び「絶縁樹脂層r」に形成され、「窒化Ti膜5」を露出する「開口部K」と、当該「開口部K」に形成された「Cuの薄膜層6」と、「Cuの薄膜層6」上に形成された「配線層7」とを備えるといえる。

(キ)同【図10】から、「配線層7」に接触して「メタルポスト8」が形成されることが見て取れ、同【0027】に、「メタルポスト8を形成した後、樹脂層Rを被覆する」と記載され、同【0024】に、「配線層7を含むチップ全面には、樹脂から成る樹脂層Rが形成される」と記載され、同【0027】に、「樹脂層Rから露出したメタルポスト8の頭部」と記載されているから、「半導体装置」は、「配線層7」に接触して形成された「メタルポスト8」と、「配線層7」を含むチップ全面の上に形成された「樹脂層R」であって、「メタルポスト8」の頭部を露出する「樹脂層R」を備えるといえる。

(ク)同【0028】に、「本発明では、前記メタルポスト8の頭部以外の樹脂層R表層に感光性のポリイミド層Pを形成している」と記載されているから、「半導体装置」は、「メタルポスト8」の頭部以外の「樹脂層R」上に形成された「ポリイミド層P」を備えるといえる。

(ケ)同【0028】に、「そして、樹脂層Rから露出したメタルポスト8の頭部には、後述するようにPd9やメッキ形成されたNi10及びAu11を介して半田ボール12が形成される」と記載され、同【0031】に、「そして、このポリイミド層Pで被覆されていないメタルポスト8の頭部に、前述したPd9,Ni10及びAu11が形成されている」と記載されているから、「半導体装置」は、「樹脂層R」から露出し、「ポリイミド層P」で被覆されていない「メタルポスト8」の頭部に形成された「Pd9」、「Ni10」、「Au11」及び「半田ボール12」を備えるといえる。

(コ)同【0021】に、「ここでパッシベーション膜3は、Si窒化膜・・・でなり」と記載されているから、「半導体装置」の「パッシベーション膜3」は、Si窒化膜でなるものといえる。

(サ)同【0051】に、「そして、前記ホトレジスト層PR2を介して前記メタルポスト8を被覆するようにエポキシ樹脂層Rを形成した後に、当該樹脂層Rを所定量研磨して前記メタルポスト8の頭部を露出させる(以上図7参照)」と記載されているから、「半導体装置」の「樹脂層R」は、研磨されることにより「メタルポスト8」の頭部を露出したものといえる。

(シ)同【0045】には、「このCuの薄膜層6は、後に配線層7のメッキ電極となり、例えばスパッタリングにより約1000~2000Å程度の膜厚で形成される」と記載されているから、「半導体装置」の「Cuの薄膜層6」の厚さは、「約1000~2000Å」であるといえる。

(ス)同【0047】には、「この配線層7は機械的強度を確保するために2~5μm程度に厚く形成する必要がある」と記載されているから、「半導体装置」の「配線層7」の厚さは、「2~5μm程度」であるといえる。

ウ 引用文献1に記載された発明

前記イの記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「ICチップと、
前記ICチップの最上層のメタルであるAl電極1と、
前記Al電極1のコンタクトホールCが形成される層間絶縁膜2と、
前記コンタクトホールCの下層に形成された複数層のメタルと、
続きを表示(全20行)
前記コンタクトホールCの下層に形成されたトランジスタと、
前記Al電極1上の窒化Ti膜5と、
前記窒化Ti膜5上のパッシベーション膜3と、
前記パッシベーション膜3上の絶縁樹脂層rと、
前記パッシベーション膜3及び前記絶縁樹脂層rに形成され、窒化Ti膜5を露出する開口部Kに形成されたCuの薄膜層6と、
前記Cuの薄膜層6上に形成された配線層7と、
前記配線層7に接触して形成されたメタルポスト8と、
前記配線層7を含むチップ全面の上に形成された樹脂層Rであって、前記メタルポスト8の頭部を露出する樹脂層Rと、
前記メタルポスト8の頭部以外の前記樹脂層R上に形成されたポリイミド層Pと、
前記樹脂層Rから露出し、前記ポリイミド層Pで被覆されていない前記メタルポスト8の頭部に形成された、Pd9、Ni10、Au11及び半田ボール12と、
を備え、
前記パッシベーション膜3は、Si窒化膜からなり、
前記樹脂層Rは、研磨されることにより前記メタルポスト8の頭部を露出したものであり、
前記Cuの薄膜層6の厚さは、約1000~2000Åであり、
前記配線層7の厚さは、2~5μm程度である、
半導体装置。」

(2)引用文献2について

ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2には、次の記載がある(当審注:下線は当審による。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チップサイズパッケージとその製造方法に関する。チップサイズパッケージ(Chip Size Package)は、CSPとも呼ばれ、チップサイズと同等か、わずかに大きいパッケージの総称であり、高密度実装を目的としたパッケージである。本発明は、CSPに採用される半田バンプの高さと径をコントロールし、チップサイズパッケージの信頼性を向上させる技術に関する。」
「【発明の実施の形態】
・・・
【0017】続いて第2の実施の形態について図3と図4を参照しながら説明する。本実施の形態は、図5のような配線層53を採用したものであり、前者は図1に対応し、後者は図2に対応した傾斜を有するものである。図3に於いても、最上層のメタル(Al電極)を図番1で示し、このAl電極1のコンタクトホールが形成される層間絶縁膜を図番2で示す。更には、パッシベーション膜を図番3で示す。ここでパッシベーション膜3は、Si窒化膜、エポキシ樹脂またはPIX等でなる。
【0018】続いて、このパッシベーション膜3は、Al電極1を露出する開口部13が形成され、ここには、バリアメタルとして、Cr、Ti、TiN等から選択されて形成される。このバリアメタル11は、開口部13の中およびその周辺だけに形成されても良い。そしてこの上には、配線層10が形成される。ここでは、バリアメタル11をメッキ電極として活用し、Cuが形成されている。続いて、ポリイミド等の絶縁樹脂から成る樹脂層12が形成され、配線層10の端部に開口部4が形成され、この開口部4に、下からNi層5、Cu層6が形成されている。このバリアメタル5、6は、開口部の中およびその周辺に延在されるようにパターニングされている。
【0019】また、このバリアメタル5、6の上には、メタルポスト7が形成されている。このメタルポスト7は、例えば半田ボール8と親和性の良いCu等から成り、例えば電解メッキで形成される。しかし蒸着、スパッタリング等で形成されても良い。
【0020】そして半田ボール8が形成される。ここで半田ボール8は、下地のCuに電解メッキにより形成される。」
「【図4】
[図:0001393683000003.jpg]
」

イ 引用文献2の記載事項

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(ア)上記アの【0001】に、「本発明は、チップサイズパッケージとその製造方法に関する」と記載されているから、引用文献2の記載は、「チップサイズパッケージ」に関するものである。

(イ)同【0017】に、「この開口部4に、下からNi層5、Cu層6が形成されている。このバリアメタル5、6は、開口部の中およびその周辺に延在されるようにパターニングされている。」と記載されているから、「チップサイズパッケージ」は、「開口部4」と、「開口部4」の中及びその周辺に延在されるようにパターニングされる「バリアメタル5、6」を備える。

(ウ)同【0018】に「このバリアメタル5、6の上には、メタルポスト7が形成されている」と記載され、同【0019】に、「そして半田ボール8が形成される」と記載されているから、「チップサイズパッケージ」は、「バリアメタル5、6」上に形成された「メタルポスト7」と、「メタルポスト7」上に形成された「半田ボール8」を含む。

(エ)同【図4】から、「メタルポスト7」及び「半田ボール8」が、「開口部4」の中及びその周辺に延在していることが見て取れる。

ウ 引用文献2に記載された発明

前記イの記載事項から、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「開口部4と、
前記開口部4の中及びその周辺に延在されるようにパターニングされるバリアメタル5、6と、
前記バリアメタル5、6上に形成されたメタルポスト7であって、前記開口部4の中及びその周辺に延在しているメタルポスト7と、
前記メタルポスト7上に形成された半田ボール8であって、前記開口部4の中及びその周辺に延在している半田ボール8と、
を備えるチップサイズパッケージ。」

(3)周知技術

ア 本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2000-164622号公報(平成12年6月16日出願公開)には、次の記載がある(当審注:下線は当審による。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チップサイズパッケージとその製造方法に関する。チップサイズパッケージ(Chip Size Package)は、CSPとも呼ばれ、チップサイズと同等か、わずかに大きいパッケージの総称であり、高密度実装を目的としたパッケージである。本発明は、CSPに採用されるメッキ用の電極に対するバリアメタルに関する。」
「【発明の実施の形態】
・・・
【0027】続いて第2の実施の形態について図6を参照しながら説明する。本実施の形態は、図9のような配線層53を採用したものである。図6は、2層メタルのトランジスタを示し、10、11がソース、ドレイン領域、12はゲートである。また13は、ソース電極およびその配線、14は、ドレイン電極およびその配線である。そして2層目のメタルとしてAl電極1がドレイン電極14とコンタクトしている。
【0028】ここでも、通常のワイヤボンディングタイプのICチップに於いて、最上層のメタル(ボンディングパッドとしても機能する部分)を図番1で示し、このAl電極1のコンタクトホールCが形成される層間絶縁膜を図番2で示す。更には、パッシベーション膜を図番3で示す。ここでパッシベーション膜3は、Si窒化膜、エポキシ樹脂またはPIX等でなる。
【0029】ここでAl電極1上には、本発明のポイントである窒化Ti膜5が形成されている。
【0030】続いて、このパッシベーション膜3は、窒化Ti膜5を露出する開口部15が形成され、ここには、配線層のメッキ電極としてCuの薄膜層6が形成される。そしてこの上には、Cuメッキによる配線層16が形成される。
【0031】続いて、ポリイミド等の絶縁樹脂から成る樹脂層17が形成され、配線層16の端部に開口部18が形成され、この開口部18には、メタルポスト7のメッキ電極としてCuの薄膜層19が形成され、この上にメタルポスト7が形成されている。またメタルポスト7の上には、下からNiの薄膜層20、Cuの薄膜層(またはAu層)21が形成されている。これらのメタル19、7、20、21は、開口部の中およびその周辺に延在されるようにパターニングされている。
【0032】また、Cuの薄膜層(またはAuの薄膜層)の上には、半田ボール8が形成される。ここで半田ボール8は、下地のCuの薄膜層21を電極として電解メッキにより形成される。
【0033】続いて図6の構造について図1より簡単にその製造方法について説明する。まず、Al電極1を有するLSIが形成された半導体基板(ウエーハ)を準備する。ここでは、前述したように2層メタルのICで、トランジスタのソース電極13、ドレイン電極14が一層目のメタルとして形成され、ドレイン電極14とコンタクトしたAl電極1が2層目のメタルとして形成されている。」
「【図6】
[図:0001393683000004.jpg]
」

イ 本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2000-164709号公報(平成12年6月16日出願公開)には、次の記載がある(当審注:下線は当審による。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チップサイズパッケージとその製造方法に関する。チップサイズパッケージ(Chip Size Package)は、CSPとも呼ばれ、チップサイズと同等か、わずかに大きいパッケージの総称であり、高密度実装を目的としたパッケージである。本発明は、CSPに採用されるメッキ用の電極に対するバリアメタルに関する。」
「【発明の実施の形態】
・・・
【0015】図6は、2層メタルのトランジスタを示し、10、11がソース、ドレイン領域、12はゲートである。また13は、ソース電極およびその配線、14は、ドレイン電極およびその配線である。そして2層目のメタルとしてAl電極1がドレイン電極14とコンタクトしている。
【0016】ここで、通常のワイヤボンディングタイプのICチップに於いて、最上層のメタル(ボンディングパッドとしても機能する部分)を図番1で示し、このAl電極1のコンタクトホールCが形成される層間絶縁膜を図番2で示す。更には、パッシベーション膜を図番3で示す。ここでパッシベーション膜3は、Si窒化膜、エポキシ樹脂またはPIX等でなる。
続きを表示(全13行)
【0017】ここでAl電極1上には、窒化Ti膜5が形成されている。
【0018】続いて、このパッシベーション膜3は、窒化Ti膜5を露出する開口部5が形成され、ここには、配線層のメッキ電極としてCuの薄膜層6が形成される。そしてこの上には、Cuメッキによる配線層16が形成される。
【0019】続いて、配線層16を含む全面に本発明のポイントであるSi3N4膜SNが被覆され、ポリイミド樹脂から成る樹脂層17が形成される。
【0020】ポリイミド樹脂17は、液状のイミド樹脂で用意され、ウェハ全面にスピンオンされ、厚さ20~60μm程度で形成される。その後、このイミド樹脂は、熱硬化反応により重合される。温度は、300~400°C程度である。しかし熱硬化前のイミド樹脂は、非常に活性でありCuと反応するが、配線層の表面にはSi3N4膜SNが被覆されているため、このCuとの反応を防止することができる。ここでSi3N4膜の膜厚は、1000~3000Å程度である。また膜SNは、バリア性が優れた絶縁膜で良いが、SiO2膜は、バリア性に劣り、もしSiO2膜を採用する場合は、Si3N4膜よりもその膜厚を厚くする必要がある。またSi3N4膜は、プラズマCVD法で形成できるので、そのステップカバレージも優れ、好ましい。
【0021】続いて、配線層16の端部に開口部18が形成され、この開口部18には、メタルポスト7のメッキ電極としてCuの薄膜層19が形成され、この上にCuから成るメタルポスト7が形成されている。またメタルポスト7の上には、下からNiの薄膜層20、Cuの薄膜層(または酸化も考慮しAu層の場合もある)21が形成されている。これらのメタル19、7、20、21は、開口部の中およびその周辺に延在されるようにパターニングされている。
【0022】また、Cuの薄膜層21(またはAuの薄膜層)の上には、半田ボール8が形成される。ここで半田ボール8は、下地のCuの薄膜層21を電極として電解メッキにより形成される。
【0023】ここでCuの薄膜層19とポリイミド樹脂17との界面は、Si3N4膜を形成する必要はない。つまりこのCuの薄膜層19を形成する時点では、ポリイミド樹脂は、熱硬化反応が終了しており、Cuとの反応は殆どない。
【0024】続いて図6の構造について図1より簡単にその製造方法について説明する。
【0025】まず、Al電極1を有するLSIが形成された半導体基板(ウエーハ)を準備する。ここでは、前述したように2層メタルのICで、トランジスタのソース電極13、ドレイン電極14が一層目のメタルとして形成され、ドレイン電極14とコンタクトしたAl電極1が2層目のメタルとして形成されている。」
「【図6】
[図:0001393683000005.jpg]
」

ウ 本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2005-136187号公報(平成17年5月26日出願公開)には、次の記載がある(当審注:下線は当審による。)。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型化及び高速動作化が図れる半導体装置及びその製造方法に係わり、特に、複数の半導体装置を順次積層する積層型半導体装置の製造技術に適用して有効な技術に関する。」
「【実施例1】
・・・
【0030】
第1の半導体装置2は、四角形状の半導体基板6aを有している。半導体基板6aは、例えば、シリコン(Si)からなり、その第1の主面(IC等の回路が形成される面であり、図1では上面)側には多層配線部7aが形成され、かつこの多層配線部7a上には絶縁性樹脂からなる第1の絶縁層8aが設けられている。絶縁層は、一般に半導体装置の製造に使用される樹脂、例えば、ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂等の絶縁性の有機樹脂で形成されている。半導体基板6aは、例えば20μm程度の厚さになっている。半導体基板6aは5~50μm程度の厚さとしてもよい。絶縁層は半導体装置を製造するときの強度部材となることから、比較的厚く、例えば50μm程度である。なお、絶縁層は20~100μm程度であってもよい。
続きを表示(全14行)
【0031】
また、第1の絶縁層8aを貫通し、多層配線部7aの所定の配線に電気的に接続される柱状の銅(Cu)からなるポスト電極9aが設けられている。ポスト電極9aは第1の絶縁層8aの表面に露出している。ポスト電極9aの露出部分には突起電極10aが設けられている。突起電極10aは、例えば、半田ボール,金ボール,表面が金メッキされた銅ボール等からなるバンプ電極である。
【0032】
半導体基板6aの第1の主面には、各種構造のトランジスタやダイオード等の能動素子や、抵抗素子,容量素子,インダクタ層等の受動素子が必要に応じて形成されている。ポスト電極9aの直径は10μm程度であり、厚さは50μmである。ポスト電極9aは直径が10~50μm程度とし、厚さが20~100μm程度としてもよい。また、突起電極10aは接続前の大きさで、例えば、60μm程度の直径のボールで形成され、厚さは40μm程度となる。突起電極10aは直径が40~80μm程度のボールを使用して形成してもよい。
・・・
【0055】
図7は前記充填電極及び多層配線部等を示す一部の模式的拡大断面図である。図7に示すように、半導体基板6aの第1の主面には、絶縁層30と配線層(配線)31が所定パターンで交互に積層形成されて多層配線部7aが形成されている。そして、最上層の配線層によって電極パッド32が形成されている。この電極パッド32の一部は露出する。露出する部分にはポスト電極9aが形成されることになる。従って、露出する部分は直径10μm程度の孔となっている。なお、図6は多層配線部7aの最下層の絶縁層30と配線層(配線)31を示すものである。
・・・
【0063】
図10及び図11は、電極パッド32上に電極パッド32と同程度の直径のポスト電極9aを形成した例(変形例)である。」
「【図7】
[図:0001393683000006.jpg]
」
「【図11】
[図:0001393683000007.jpg]
」

エ 前記ア~ウから、メタルポストが接続される配線層の下層において、半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたトランジスタと、前記半導体基板上の第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層上の第1の回路層と、前記第1の回路層上の第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層上の第2の回路層と、を備える半導体装置は、本願の優先日前において当業者にとって周知の技術(以下、「周知技術」という。)であったといえる。

4 対比

本願発明と引用発明1とを対比する。

(1)引用発明1の「トランジスタ」は、本願発明の「トランジスタ」に相当する。よって、本願発明と引用発明1とは、「トランジスタ」を備える点で共通する。

(2)引用発明1の「Al電極1」及び「窒化Ti膜5」は、技術常識からすれば導電性を有する構造であるから、「導電構造」に当たる。

よって、引用発明1の「Al電極1」及び「窒化Ti膜5」は、本願発明の「導電構造」に対応するものといえ、本願発明と引用発明1とは、「導電構造」を備える点で共通する。

(3)引用発明1の「パッシベーション膜3」は、「Al電極1」及び「窒化Ti膜5」上に形成されるものであり、Si窒化膜からなり、更に、「開口部K」により「窒化Ti膜5」を露出するものであり、この「開口部K」に「Cuの薄膜層6」が形成されるものである。

また、上記(2)によれば、引用発明1の「Al電極1」及び「窒化Ti膜5」は、本願発明の「導電構造」に対応するものといえる。

そうすると、引用発明1の「パッシベーション膜3」と本願発明の「絶縁層」とは、共に、「導電構造」に結合された絶縁層であり、窒化物層を備え、「導電構造」の接触ポイントを露出する開口を有するものであるから、両者は対応するものである。

以上によれば、本願発明と引用発明1とは、「前記導電構造に結合され」た「絶縁層」であって、「ここにおいて、前記絶縁層は、窒化物層を備え、ここにおいて、前記絶縁層中の第1の開口は、前記導電構造の接触ポイントを露出する」という「絶縁層」を備える点で共通する。

(4)引用発明1の「Cuの薄膜層6」及び「配線層7」は、「パッシベーション膜3」に形成された「開口部K」に形成されるものである。

そして、引用発明1の「Cuの薄膜層6」の厚さは、「約1000~2000Å」であり、「配線層7」の厚さは、「2~5μm程度」であるところ、「Cuの薄膜層6」及び「配線層7」の合計の厚さは、「2マイクロメータと30マイクロメータの間の厚さ」に当たる。

そして、上記(3)によれば、引用発明1の「パッシベーション膜3」は、本願発明の「絶縁層」に対応する。

以上によれば、引用発明1の「Cuの薄膜層6」及び「配線層7」は、本願発明の「第1の導電層」に相当する。

(5)引用発明1の「メタルポスト8」は、「配線層7」に接触して形成される。

また、引用文献1の【図10】(上記3(1)ア)によれば、引用発明1の「メタルポスト8」は、「配線層7」及び「Cuの薄膜層6」を介して、「パッシベーション膜3」に形成された「開口部K」により露出された「窒化Ti膜5」に結合するものであるといえる。

以上によれば、引用発明1の「メタルポスト8」は、本願発明の「第1の導電柱体」に相当する。

(6)引用発明1の「樹脂層R」は、引用文献1の【0026】(上記3(1)ア)に、「ここで、樹脂層Rは、液状のアミック酸を主材料として用意され、ウエハ全面にスピンコートされ、厚さ20~60μm程度で形成される。その後、この樹脂層Rは、熱硬化反応により重合される。」と記載されているから、重合物材であるといえる。

また、引用発明1の「樹脂層R」は、「メタルポスト8」の頭部を露出するものであり、引用文献1の【図10】(上記3(1)ア)によれば、当該「樹脂層R」は「メタルポスト8」の頭部以外を露出するものではない。

また、引用発明1の「樹脂層R」は、「メタルポスト8」を形成した後にチップ全面の上に形成されるものであり、上述のとおり「メタルポスト8」の頭部以外を露出するものではないことからすれば、当然、「樹脂層R」は「メタルポスト8」の側壁に接触しているといえる。

また、引用発明1の「樹脂層R」は、研磨されることにより「メタルポスト8」の頭部を露出したものであるところ、技術常識からすれば、研磨により露出を行う場合、その上面は面一になるといえるから、引用発明1の「樹脂層R」と「メタルポスト8」の上面の高さは同一であるといえる。

そして、上記(5)によれば、引用発明1の「メタルポスト8」は、本願発明の「第1の導電柱体」に相当する。

以上によれば、引用発明1の「樹脂層R」は、本願発明の「第1の重合物材」に相当する。

(7)引用発明1の「ポリイミド層P」は、「樹脂層R」上に形成される。

そして、引用発明1の「ポリイミド層P」は、「メタルポスト8」の頭部以外の部分に形成されるものであるから、「メタルポスト8」の頭部を露出するものである。

そして、上記(5)及び(6)によれば、引用発明1の「メタルポスト8」及び「樹脂層R」は、本願発明の「第1の導電柱体」及び「第1の重合物材」にそれぞれ相当する。

以上によれば、引用発明1の「ポリイミド層P」は、本願発明の「第2の重合物材」に相当する。

(8)引用発明1の「Pd9、Ni10、Au11及び半田ボール12」は、「ポリイミド層P」から露出した「メタルポスト8」の頭部に形成される。

また、引用文献1の【図10】(上記3(1)ア)によれば、引用発明1の「Pd9、Ni10、Au11及び半田ボール12」は、「メタルポスト8」を介して「配線層7」及び「Cuの薄膜層6」に接続されるものであるといえる。

さらに、上記(4)、(5)、(7)によれば、引用発明1の「配線層7」及び「Cuの薄膜層6」は、本願発明の「第1の導電層」に相当し、引用発明1の「メタルポスト8」は、本願発明の「第1の導電柱体」に相当し、引用発明1の「ポリイミド層P」は、本願発明の「第2の重合物材」に相当する。

また、引用発明1の「Pd9、Ni10、Au11及び半田ボール12」は、技術常識からすれば、導電体である。

以上によれば、引用発明1の「Pd9、Ni10、Au11及び半田ボール12」と、本願発明の「第2の導電層」とは、「前記第2の表面に結合された」、「第2の導電層」であり、「ここにおいて、前記第2の導電層は、前記第1の導電柱体を通して前記第1の導電層に接続される」点で共通する。

(9)引用発明1の「半導体装置」は、本願発明の「回路構造」に相当する。

(10)以上の(1)~(9)によれば、本願発明と引用発明1の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

「回路構造であって、
トランジスタと、
導電構造と、
前記導電構造に結合された絶縁層と、ここにおいて、前記絶縁層は、窒化物層を備え、ここにおいて、前記絶縁層中の第1の開口は、前記導電構造の接触ポイントを露出する、
前記接触ポイント上の、前記絶縁層に結合された第1の導電層と、ここにおいて、前記第1の導電層は、前記第1の開口を通して前記接触ポイントに接続され、ここにおいて、前記第1の導電層は、2マイクロメータと30マイクロメータの間の厚さを有し、前記接触ポイントに結合され、前記絶縁層に結合される、
前記第1の導電層上の第1の導電柱体と、ここにおいて、前記第1の導電柱体は、前記第1の導電層と接触し、ここにおいて、前記第1の導電柱体は、前記第1の導電層を通して前記接触ポイントに接続される、
前記第1の導電層上の、前記絶縁層に結合された第1の重合物材と、ここにおいて、前記第1の重合物材は、前記第1の導電柱体の側壁に接触し、ここにおいて、前記第1の重合物材は、前記第1の導電柱体の第2の表面と同じ水平レベルにおける第1の表面を有する、
前記第1の重合物材上の第2の重合物材と、ここにおいて、前記第2の重合物材中の開口は、前記第1の導電柱体の前記第2の表面を露出する、
前記第2の表面に結合された第2の導電層と、ここにおいて、前記第2の導電層は、前記第1の導電柱体を通して前記第1の導電層に接続される、
を備える、回路構造。」

<相違点1>

本願発明は、「半導体基板と、前記半導体基板上の多数のトランジスタと、前記半導体基板に結合された第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層に結合された導電構造と、ここにおいて、前記導電構造は、第1の回路層と前記第1の回路層に結合された第2の回路層とを備える、前記第1及び第2の回路層の間の第2の誘電体層と」を備えるのに対し、引用発明1がそのような構成を備えるか否かが不明である点。

<相違点2>

本願発明が、「前記導電構造に結合され、前記第1及び第2の誘電体層に結合された絶縁層と、ここにおいて、前記絶縁層は、窒化物層を備え、ここにおいて、前記絶縁層中の第1の開口は、前記導電構造の接触ポイントを露出する」という「絶縁層」を備えるのに対し、上記相違点1のとおり引用発明1が「第1の誘電体層」及び「第2の誘電体層」を備えるか否かが不明であるため、引用発明1の「パッシベーション膜3」が「前記第1及び第2の誘電体層に結合された」という構成を備えるか否かが不明である点。

<相違点3>

本願発明は、「第2の導電層」が、「前記第2の重合物材の前記開口周辺の表面上、および前記開口内側壁上」にあるのに対し、引用発明1の「Pd9、Ni10、Au11及び半田ボール12」がそのような構成を備えるか否かが不明である点。

<相違点4>

本願発明は、「前記第2の導電層は、1マイクロメータと100マイクロメータの間の厚さを有」するのに対し、引用発明1の「Pd9、Ni10、Au11及び半田ボール12」の厚さが不明である点。

5 判断

(1)相違点1及び2について

引用発明1の「ICチップ」は、「メタルポスト8」が接続される「配線層7」の下層にある「Al電極1」を最上位のメタルとして含むから、「メタルポスト8」が接続される「配線層7」の下層に存在するものといえる。

また、引用発明1の「複数層のメタル」及び「トランジスタ」は、「コンタクトホールC」の下層に形成されるものであり、当該コンタクトホールC」は、「ICチップ」の最上層のメタルである「Al電極1」が形成される場所であるから、引用発明1の「複数層のメタル」及び「トランジスタ」は、「ICチップ」に含まれるものといえる。

ここで、引用文献1に、「ICチップ」の具体的な構造が記載されておらず、引用発明1を当業者が実施する際には、周知の構造を適用する必要があることからすれば、引用発明1において、メタルポストが接続される配線層の下層に存在するICチップであって、複数層のメタルとトランジスタとを備えるICチップに係る周知の構造を適用する動機付けが存在するといえる。

一方、前記3(3)エに示したとおり、メタルポストが接続される配線層の下層において、半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたトランジスタと、前記半導体基板上の第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層上の第1の回路層と、前記第1の回路層上の第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層上の第2の回路層と、を備える半導体装置は、周知技術であった。

そうすると、引用発明1に上記周知技術を適用し、引用発明1において、「メタルポスト8」が接続される「配線層7」の下層に、半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたトランジスタと、前記半導体基板上の第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層上の第1の回路層と、前記第1の回路層上の第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層上の第2の回路層とを備えるようにすることは、当業者にとって格別の困難性を要するものではない。

なお、トランジスタを多数備えることは、ICチップにおいて当然のことである。

また、上記のように引用発明1において、第1、第2の誘電体層を備えるようにすれば当然、引用発明1の「パッシベーション膜3」は、当該第1、第2の誘電体層に結合するものといえる。

以上のとおりであるから、引用発明1に上記周知技術を適用し、上記相違点1及び2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。

(2)相違点3について

引用文献1の【0001】に、「本発明は、半導体装置とその製造方法に関し、特にチップサイズパッケージ(Chip Size Package、以下CSPと称す。)と呼ばれる、チップサイズと同等か、わずかに大きいパッケージの総称であり、高密度実装を目的としたパッケージ技術に関するものである」と記載されており、引用文献2の【0001】に、「本発明は、チップサイズパッケージとその製造方法に関する。チップサイズパッケージ(Chip Size Package)は、CSPとも呼ばれ、チップサイズと同等か、わずかに大きいパッケージの総称であり、高密度実装を目的としたパッケージである。本発明は、CSPに採用される半田バンプの高さと径をコントロールし、チップサイズパッケージの信頼性を向上させる技術に関する。」と記載されていることから、引用発明1及び2の技術分野は共通するといえる。

また、引用発明1の「半田ボール12」と、引用発明2の「半田ボール8」とは、技術常識からすれば、半導体チップのパッケージにおけるバンプ電極として機能するものであるから、両者の作用・機能は共通するといえる。

以上によれば、引用発明1に引用発明2を適用する動機付けが存在するといえる。

よって、引用発明1に引用発明2を適用し、引用発明1において、「半田ボール12」を、「メタルポスト8」の頭部を露出する「ポリイミド層P」の開口の中及びその周辺に延在するようにすることで、相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。

(3)相違点4について

引用発明1において、「Pd9、Ni10、Au11及び半田ボール12」の厚さを適宜定めることで、「1マイクロメータと100マイクロメータの間の厚さ」とすることは、単なる設計事項に過ぎない。

(4)そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明1及び2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(5)したがって、本願発明は、引用発明1及び2並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 まとめ

よって、本願発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1~2に記載された発明及び本願の優先日前における周知の技術に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-016191

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