2021-002509
リソース構成方法、装置及び記憶媒体
- 審判番号
- 2021-002509
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-551310外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年02月26日
- 審決日
- 2022年05月24日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】中興通訊股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】宮田 英毅
- 【請求人代理人】酒井 宏明
- 分類
- P18 .113-WZ (H04W) / P18 .121-WZ (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)3月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年3月31日 中華人民共和国(CN))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
補正の却下の決定、拒絶査定
第2 本願発明
本願の請求項1ないし25に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし25に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】リソース構成方法であって、第1基地局は、第2基地局の装置ツー装置通信リソース、前記第1基地局自体の装置ツー装置通信リソースのうちの少なくとも1つの装置ツー装置通信リソースを取得するステップと、前記第1基地局は、取得した装置ツー装置通信リソースをユーザー装置に送信するステップとを含み、前記装置ツー装置通信リソースは、装置ツー装置通信異常送信リソースプールを含み、前記ユーザー装置は、T304が動作する場合に前記装置ツー装置通信異常送信リソースプールを使用する、方法。」
第3 拒絶の理由
令和3年10月28日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、理由3の概要は「この出願の請求項1、12、16、21、23、25に係る発明は、その出願前に、頒布された日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。」というものであり、また、理由4の概要は「この出願の請求項1、12、16、21、23、25に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。
引用文献7 国際公開第2015/168937号
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献7について
当審拒絶理由(令和3年10月28日付け)で引用された、本願優先日前に公開された引用文献7(国際公開第2015/168937号)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)
(1)「[図:0001390083000001.jpg]」(1ページ11行目~19行目)
(当審訳:
ユーザー装置がD2D通信を直接行う前に、基地局は、該ユーザー装置のために通信リソースを割り当てる必要がある。基地局がD2D通信リソースを割り当てるモードは、モード1(Mode 1)及びモード2(Mode 2)を含む。
モード1のリソース割り当て方式は、基地局によりスケジューリングされる割り当て方式である。基地局がモード1のリソースをスケジューリングする前に、ユーザー装置は、無線リソース制御(RRC、Radio Resource Control)接続状態(RRC_Connected state)に入り、バッファ状態報告(BSR、Buffer State Report)などの方式で基地局にリソース要求を送信する必要がある。該基地局は、該要求を受信した後に、該ユーザー装置のためにリソースを割り当てることができる。
モード2のリソース割り当て方式は、基地局がブロードキャスト又は専用シグナリングによりリソースプールの時間周波数位置をユーザー装置に通知する方式である。ユーザー装置が基地局によりカバーされない時に、モード2のリソースプールは、予め該ユーザー装置に設定することができる。該ユーザー装置は、該リソースプールを得た後に、自発的に該リソースプール中からリソースをD2D通信のために選択することができる。)
(2)「[図:0001390083000002.jpg][図:0001390083000003.jpg]」(8ページ7行目~9ページ22行目)
(当審訳:
実施例2
本発明の実施例2は、リソース選択方法を提供し、それは、ユーザー装置がセル間でハンドオーバーを実施するシナリオに対応する。該方法は、ユーザー装置がソース基地局との接続を切った後に、該ユーザー装置が該ユーザー装置のターゲット基地局への接続をトリガーする構成情報を受信してから、該ターゲット基地局により第一モードに従って割り当てられた第一リソースを受信するまでの第二期間において、該ユーザー装置は、ソース基地局又はターゲット基地局により第二モードに従って構成されたリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択することを含む。
本実施例では、第一モードに従って割り当てられた第一リソース及び第二モードに従って構成されたリソースプールの実施方式は、実施例1と同様であるため、ここでの重複説明が省略される。
図4Aは、本実施例2におけるリソース選択方法のフローチャートである。ハンドオーバーのシナリオに関し、図4Aに示すように、該方法は、次のようなステップを含む。
本実施例では、該ソース基地局は、ブロードキャスト又は専用シグナリングにより、ユーザー装置に、モード2のリソースプールの時間周波数位置を通知することができ、及び/又は、該ソース基地局は、ブロードキャスト又は専用シグナリングにより、ユーザー装置に、該ユーザー装置がモード1のリソースの使用を要求し得ることを通知することができる。
本実施例では、該ユーザー装置は、チャネル品質、例えば、参照信号受信パワー(Reference Signal Receiving Power、RSRP)及び参照信号受信品質(Reference Signal Receiving Quality、RSRQ)を測定し、そして、上述の測定結果を該ソース基地局に報告する。
本実施例では、該ハンドオーバー要求は、該ユーザー装置がD2D通信を行っている情報、及び/又は、該ユーザー装置が使用するD2D通信リソースの割り当てモード及びリソース位置を含んでも良い。
本実施例では、該構成情報は、ターゲット基地局がモード2に従って構成したリソースプールの時間周波数位置、及び/又は、該ターゲット基地局がモード1のリソース割り当て方式をサポートするかを示す情報、及び/又は、該ターゲット基地局がモード1に従って割り当てたリソースのリソース位置を含んでも良い。
本実施例では、該ソース基地局が該構成情報を該ユーザー装置のために構成し、そのうち、構成方式は、従来の任意の方式、例えば、上位層シグナリング又は他のシグナリングにより、該構成情報を該ユーザー装置に通知するなどの方式を採用しても良い。
ステップ406:ターゲット基地局と接続を確立し、そのうち、該ユーザー装置が該構成情報を受信してから、該ターゲット基地局によりモード1に従って割り当てられたリソースを受信するまでの第二期間において、該ユーザー装置は、該ソース基地局又はターゲット基地局がモード2に従って構成したリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択し;
本実施例では、該構成情報がRRC接続再構成メッセージにより構成される時に、該ユーザー装置は、Mobility Control Info IEを含むRRC接続再構成メッセージを受信した時に、T304タイマーの計時を起動し、ソース基地局との接続を切り、そして、ランダムアクセスにより該ターゲット基地局と接続を確立し、その後、T304タイマーの計時が停止する。
本実施例では、T304タイマー起動から、ターゲットセルが割り当てたモード1のリソースを成功裏に受信するまでの時間期間(時間期間T2内)において、該ユーザー装置は、モード2のリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択し、モード1のリソースを使用せず、そのうち、T304に関する具体的な設定方法については、従来の規格を参照することができるため、ここでの説明が省略される。)
(3)「[図:0001390083000004.jpg]」
(当審訳:
[図:0001390083000005.jpg]
図4A
)
上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。
ア 上記「(2)」には「本発明の実施例2は、リソース選択方法を提供し、それは、ユーザー装置がセル間でハンドオーバーを実施する」と記載されているから、リソース選択方法が記載されているといえる。
よって、引用文献7には、「リソース選択方法」が記載されているといえる。
イ 上記「(1)」には、「ユーザー装置がD2D通信を直接行う前に、基地局は、該ユーザー装置のために通信リソースを割り当てる必要がある。基地局がD2D通信リソースを割り当てるモードは、モード1・・・及びモード2・・・を含む。」と記載されており、該通信リソースは、ユーザー装置がD2D通信を行うために基地局が割り当てる通信リソースであるから、D2D通信リソースであるといえる。そうすると、引用文献7には、「ユーザー装置がD2D通信を直接行う前に、基地局は、該ユーザー装置のためにD2D通信リソースを割り当て、基地局がD2D通信リソースを割り当てるモードは、モード1及びモード2を含む」ことが記載されているといえる。
また、上記「(1)」には、「モード2のリソース割り当て方式は、基地局が・・・リソースプールの時間周波数位置をユーザー装置に通知する方式である。・・・該ユーザー装置は、該リソースプールを得た後に、自発的に該リソースプール中からリソースをD2D通信のために選択する」と記載されており、該モード2のリソース割り当ては、D2D通信のためのリソース割り当て、すなわちD2D通信リソースの割り当てであるから、引用文献7には、「モード2のD2D通信リソース割り当ては、基地局がリソースプールの時間周波数位置をユーザー装置に通知し、該ユーザー装置は該リソースプールを得た後に自発的に該リソースプール中からリソースをD2D通信のために選択する」ものであることが記載されているといえる。
ウ 上記「(2)」には、「リソース選択方法を提供し、それは、ユーザー装置がセル間でハンドオーバーを実施するシナリオに対応する。・・・該方法は、次のようなステップを含む。」と記載され、該方法は「ステップ401:ソース基地局は、ユーザー装置(UE)に、該ソース基地局が構成したモード2のリソースプールの時間周波数位置を通知し」、「ステップ404:該ターゲット基地局は、該ハンドオーバー要求を受信した後に、構成情報を該ソース基地局に送信し・・・該構成情報は、ターゲット基地局がモード2に従って構成したリソースプールの時間周波数位置・・・を含んでも良い」ものであり、「ステップ405:該ソース基地局は、該ターゲット基地局の構成情報を受信した後に、該ユーザー装置に対して再構成を行い・・・該ソース基地局が該構成情報を該ユーザー装置のために構成し、・・・該構成情報を該ユーザー装置に通知する」ことを含むと記載されている。
そうすると、引用文献7には、「ユーザー装置がセル間でハンドオーバーを実施する」際、「ソース基地局は、ユーザー装置に、該ソース基地局が構成したモード2のリソースプールの時間周波数位置を通知」すること、「ターゲット基地局は、ハンドオーバー要求を受信した後に、構成情報を該ソース基地局に送信し、該構成情報は、該ターゲット基地局がモード2に従って構成したリソースプールの時間周波数位置を含む」こと、及び「該ソース基地局は、該ターゲット基地局の構成情報を受信した後に、該構成情報を該ユーザー装置のために構成し、該ユーザー装置に通知する」ことが記載されているといえる。
エ 上記「(2)」には、「該構成情報がRRC接続再構成メッセージにより構成される時に、該ユーザー装置は、Mobility Control Info IEを含むRRC接続再構成メッセージを受信した時に、T304タイマーの計時を起動し」、「T304タイマー起動から、ターゲットセルが割り当てたモード1のリソースを成功裏に受信するまでの時間期間(時間期間T2内)において、該ユーザー装置は、モード2のリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択し、モード1のリソースを使用せず」と記載されており、同様の事項が上記「(3)」の図4Aからも見て取れる。
そうすると、引用文献7には、「該ユーザー装置は、該構成情報がRRC接続再構成メッセージにより構成された該RRC接続再構成メッセージを受信した時に、T304タイマーの計時を起動し、T304タイマー起動から、ターゲットセルが割り当てたモード1のリソースを成功裏に受信するまでの時間期間において、該ユーザー装置は、モード2のリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択し、モード1のリソースを使用しない」ことが記載されているといえる。
以上を総合すると、引用文献7には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「リソース選択方法であって、ユーザー装置がD2D通信を直接行う前に、基地局は、該ユーザー装置のためにD2D通信リソースを割り当て、該基地局が該D2D通信リソースを割り当てるモードは、モード1及びモード2を含み、該モード2のD2D通信リソース割り当ては、該基地局がリソースプールの時間周波数位置を該ユーザー装置に通知し、該ユーザー装置は該リソースプールを得た後に自発的に該リソースプール中からリソースをD2D通信のために選択するものであって、該ユーザー装置がセル間でハンドオーバーを実施する際、ソース基地局は、該ユーザー装置に、該ソース基地局が構成したモード2のリソースプールの時間周波数位置を通知し、ターゲット基地局は、ハンドオーバー要求を受信した後に、構成情報を該ソース基地局に送信し、該構成情報は、該ターゲット基地局がモード2に従って構成したリソースプールの時間周波数位置を含み、該ソース基地局は、該ターゲット基地局の該構成情報を受信した後に、該構成情報を該ユーザー装置のために構成し、該ユーザー装置に通知し、該ユーザー装置は、該構成情報がRRC接続再構成メッセージにより構成された該RRC接続再構成メッセージを受信した時に、T304タイマーの計時を起動し、該T304タイマー起動から、ターゲットセルが割り当てたモード1のリソースを成功裏に受信するまでの時間期間において、該ユーザー装置は、該モード2のリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択し、モード1のリソースを使用しない、方法。」
第5 対比・判断
1 本願発明について
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明のユーザー装置が行う「D2D通信」とは、「デバイスツーデバイス通信」の略称であり、引用発明の該デバイスはユーザー装置であることは明らかであるから、D2D通信は、ユーザー装置ツーユーザー装置通信といえる。
そうすると、引用発明の「D2D通信」は、本願発明の「装置ツー装置通信」に含まれ、引用発明の「ユーザー装置」は、本願発明の「ユーザー装置」に相当する。
イ 引用発明は、「ユーザー装置がD2D通信を直接行う前に、基地局は、該ユーザー装置のためにD2D通信リソースを割り当て、該基地局が該ユーザー装置のためにD2D通信リソースを割り当てるモードは・・・モード2を含み、該モード2のD2D通信リソース割り当ては、該基地局がリソースプールの時間周波数位置を該ユーザー装置に通知し、該ユーザー装置は該リソースプールを得た後に自発的に該リソースプール中からリソースをD2D通信のために選択するもの」であるから、引用発明のD2D通信リソースにはモード2のD2D通信リソースが含まれ、モード2のD2D通信リソースはリソースプールを含んでいるといえる。よって、引用発明では、基地局がユーザー装置に割り当てるD2D通信リソースはリソースプールを含むといえる。
そして、上記「ア」で述べたとおり、引用発明の「D2D通信」は、本願発明の「装置ツー装置通信」に含まれるものであるから、引用発明の「D2D通信リソース」は、本願発明の「装置ツー装置通信リソース」に含まれ、本願発明の「装置ツー装置通信異常送信リソースプール」と引用発明の「リソースプール」とは、装置ツー装置通信リソースプールであるという点で共通する。
更に、上述のとおり、引用発明では、基地局がユーザー装置に割り当てるD2D通信リソースはリソースプールを含むといえることから、本願発明と同様に、「装置ツー装置通信リソースは、装置ツー装置通信リソースプールを含む」といえる。
そして、引用発明において、ソース基地局は、ユーザー装置に、該ソース基地局が構成したモード2のリソースプールの時間周波数位置を通知し、また、ソース基地局は、ターゲット基地局がモード2に従って構成したリソースプールの時間周波数位置を含む構成情報を受信した後に、該構成情報を該ユーザー装置のために構成し、該ユーザー装置に通知している。
ここで、ソース基地局はユーザー装置に該ソース基地局が構成したモード2のリソースプールの時間周波数位置を通知するものであるから、ソース基地局がモード2のリソースプールをユーザー装置に通知するために、ソース基地局自体のモード2のリソースプールを取得するものであることは明らかである。
また、ソース基地局において、ターゲット基地局がモード2に従って構成したリソースプールの時間周波数位置を含む構成情報を受信することは、ソース基地局が、ターゲット基地局がモード2に従って構成したモード2のリソースプールを取得すること、すなわち、ソース基地局が、ターゲット基地局が構成したモード2のリソースプールを取得することに他ならない。
そして、上述のとおり、引用発明のD2D通信リソースにはモード2のD2D通信リソースが含まれ、モード2のD2D通信リソースはリソースプールのことであるといえることから、引用発明のモード2のリソースプールは引用発明のD2D通信リソースに含まれる。更に、引用発明の「D2D通信リソース」は、本願発明の「装置ツー装置通信リソース」に含まれることから、引用発明のモード2のリソースプールも本願発明の「装置ツー装置通信リソース」に含まれる。
そうすると、引用発明の「ソース基地局」が、ソース基地局自体及びターゲット基地局が構成したモード2のリソースプールを取得することは、本願発明の「第1基地局が第2基地局の装置ツー装置通信リソース、第1基地局自体の装置ツー装置通信リソースのうちの少なくとも1つの装置ツー装置通信リソースを取得する」ことに対応するといえることから、引用発明の「ソース基地局」は、本願発明の「第1基地局」に相当し、また、引用発明の「ターゲット基地局」は、本願発明の「第2基地局」に相当し、そして、本願発明と引用発明は、「第1基地局は、第2基地局の装置ツー装置通信リソース、前記第1基地局自体の装置ツー装置通信リソースのうちの少なくとも1つの装置ツー装置通信リソースを取得するステップ」を含む点で共通する。
更に、ソース基地局がユーザー装置に該ソース基地局が構成したモード2のリソースプールの時間周波数位置を通知すること、及びソース基地局がターゲット基地局がモード2に従って構成したソースプールの時間周波数位置を含む構成情報をユーザー装置に通知することは、いずれも、ソース基地局が、ユーザー装置にモード2のリソースプールを通知することであり、ソース基地局がモード2のリソースプールをユーザー装置に通知するためには、ソース基地局が取得したモード2のリソースプールをユーザー装置に送信していることは明らかである。
そして、上述のとおり、引用発明のモード2のリソースプールは、本願発明の「装置ツー装置通信リソース」に含まれる。
そうすると、本願発明と引用発明は、「第1基地局は、取得した装置ツー装置通信リソースをユーザー装置に送信するステップ」を含む点で共通する。
ウ 引用発明は、「該構成情報は、該ターゲット基地局がモード2に従って構成したリソースプールの時間周波数位置を含み」、「該ユーザー装置は、該構成情報がRRC接続再構成メッセージにより構成された該RRC接続再構成メッセージを受信した時に、T304タイマーの計時を起動し、該T304タイマー起動から、ターゲットセルが割り当てたモード1のリソースを成功裏に受信するまでの時間期間において、該ユーザー装置は、モード2のリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択し、モード1のリソースを使用しない」ものであるから、引用発明の該構成情報は、モード2に従って構成したリソースプールの時間周波数位置を含むものであり、ユーザー装置は、モード2に従って構成したリソースプールの時間周波数位置を含む構成情報を受信し、T304タイマーの計時を起動した時から、ターゲットセルが割り当てたモード1のリソースを成功裏に受信するまでの時間期間、すなわち、T304が動作する場合において、モード2のリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択するものである。
そして、引用発明のユーザー装置は、T304が動作する場合において、モード2のリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択するものであるから、ユーザー装置はT304が動作する場合にリソースの選択のためにリソースプールを使用しているといえる。更に、「イ」で説示したように、本願発明の「装置ツー装置通信異常送信リソースプール」と引用発明の「リソースプール」とは、装置ツー装置通信リソースプールであるという点で共通することから、本願発明と引用発明は、「ユーザー装置は、T304が動作する場合に装置ツー装置通信リソースプールを使用するステップ」を有する点で共通する。
エ 引用発明はリソース選択方法であって、ソース基地局は、ユーザー装置に、該ソース基地局が構成したモード2のリソースプールの時間周波数位置を通知し、また、該ソース基地局はターゲット基地局がモード2に従って構成したリソースプールの時間周波数位置を含む構成情報を受信した後に、該構成情報を該ユーザー装置のために構成し該ユーザー装置に通知し、該ユーザー装置は、該モード2のリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択するものであるから、ユーザー装置はソース基地局からモード2のリソースプールの時間周波数位置の通知を受けて、当該リソースプールからリソースを選択するものである。一方、ソース基地局側から見れば、該リソース選択方法は、ソース基地局がユーザー装置に対して、ソース基地局が構成したモード2のリソースプールやターゲット基地局から得たD2D通信に使用するリソースプールの時間周波数位置を通知することによって、ユーザー装置が通知されたリソースプールからリソースを選択する等を構成するものであるから、ソース基地局側から見れば、リソースプールをユーザー装置が使用できるように構成するリソース構成方法であるということができる。よって、引用発明のソース基地局が行う「リソース選択方法」も本願発明と同様に、「リソース構成方法」であるといえる。
そうすると、本願発明と引用発明は、「リソース構成方法」であるという点で共通する。
以上を総合すると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。
(一致点)
「リソース構成方法であって、第1基地局は、第2基地局の装置ツー装置通信リソース、前記第1基地局自体の装置ツー装置通信リソースのうちの少なくとも1つの装置ツー装置通信リソースを取得するステップと、前記第1基地局は、取得した装置ツー装置通信リソースをユーザー装置に送信するステップとを含み、前記装置ツー装置通信リソースは、装置ツー装置通信リソースプールを含み、前記ユーザー装置は、T304が動作する場合に前記装置ツー装置通信リソースプールを使用する、方法。」
(相違点)
装置ツー装置通信リソースプールに関しては、本願発明では「装置ツー装置通信異常送信リソースプール」であるのに対し、引用発明では、「モード2のリソースプール」であり、モード2のリソースプールは、セル間でハンドオーバーを実施する際、T304タイマー起動から、ターゲットセルが割り当てたモード1のリソースを成功裏に受信するまでの時間期間において、該ユーザー装置は、モード2のリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択するために使用されるものである点。
第6 判断
1 相違点について
引用発明では、ユーザー装置がD2D通信を直接行う前に、・・・該ユーザー装置は・・・該リソースプール中からリソースをD2D通信のために選択するもの、すなわち、ユーザー装置が通信する際に装置ツー装置リソースプールであるリソースプールの中からリソースを選択するものであり、該選択が送信の際にも行われることは明らかである。
また、引用発明では、T304タイマー起動から、ターゲットセルが割り当てたモード1のリソースを成功裏に受信するまでの時間期間において、該ユーザー装置は、モード2のリソースプール中からD2D通信を行うためのリソースを選択するものである。ここで、引用発明はセル間でハンドオーバーを実施するものであり、「ターゲットセルが割り当てたモード1のリソースを成功裏に受信するまでの時間期間」とはターゲットセルが割り当てたモード1のリソースを成功裏に受信できていない通信異常状態である時間期間をあらわすものであるから、その通信異常状態の時間期間に用いられる装置ツー装置通信リソースプールであるモード2のリソースプールは、装置ツー装置通信異常送信リソースプールであるといえる。
してみれば、引用発明のT304が動作する場合にD2D通信行うために用いられる装置ツー装置通信リソースプールであるモード2のリソースプールは装置ツー装置通信異常送信リソースプールといえることから、上記相違点は、実質的な相違点とは認められない。または、引用発明に基づいて、上記相違点の構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。
2 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和4年2月1日に提出された意見書の「3.」の「(3-2)理由3,理由4について」において、「引用文献7には、モード2のリソースプールが開示されていますが、本願の請求項1,12,21,23,25に記載の異常リソースプール(異常送信リソースプール)は、引用文献7のモード2のリソースプールとは異なるリソースプールです。本願発明のユーザ装置は、異常リソースプールにおいてリソースを選択する方式(ランダム選択)ですが、引用文献7のモード2のリソースプールにおいてリソースを選択する方式(センシングに基づく)であり、異なっています。具体的には、引用文献7では、モード2のリソースプールを使用し、例えば以下のコードに示されます(欧州電気通信標準化機構が公表したETSI TS 138 331-2021参照)。・・・これに対して、本願の発明に使用される異常リソースプールは、以下のコードに示されます(欧州電気通信標準化機構が公表したETSI TS 138 331-2021参照)。・・・したがいまして、・・・本願発明の特徴的な構成が開示されていない引用文献7の発明に基づいて本願の請求項1,12,21,23,25の構成を実現することはできず、いわゆる当業者が引用文献7の構成に基づいて容易に想到できたとはいえないことから、請求項1,12,21,23,25の発明は特許法第29条第2項に規定する要件を十分に満たしているものと思料致します。」と主張している。
しかしながら、請求人が令和4年2月1日に提出された意見書において主張する「本願発明のユーザ装置は、異常リソースプールにおいてリソースを選択する方式(ランダム選択)ですが、引用文献7のモード2のリソースプールにおいてリソースを選択する方式(センシングに基づく)であり、異なっています。」と主張しているが、請求項1には、異常リソースプールにおいてリソースを選択する方式をランダム選択とすることについての記載は存在しないから、当該主張は請求項1の記載に基づいたものではなく、また、請求人は、「具体的には、引用文献7では、モード2のリソースプール、及び本願の発明に使用される異常リソースプールは、例えば以下のコードに示されます(欧州電気通信標準化機構が公表したETSI TS 138 331-2021参照)」と主張するが、コードが示されるとする「欧州電気通信標準化機構が公表したETSI TS 138 331-2021」は、2021年に複数公表されており、当該公表が、2021年のいつ公表されたものを特定しようとしているのか不明である。また、いずれであっても公表日が2021年であるから、「欧州電気通信標準化機構が公表したETSI TS 138 331-2021」は、本願優先日前に公表されていない。また、本願発明においても欧州電気通信標準化機構が公表したETSI TS 138 331-2021については定義されていないことから、引用発明のモード2のリソースプール、及び本願発明に使用される装置ツー装置通信異常送信リソースプールが相違することを裏付ける根拠にはなり得ないものである。
よって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明であり、また、本願発明は引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は引用文献7に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、引用文献7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-002509