特許拒絶査定不服審判
2021-002145
電磁波検出装置、電磁波検出システム、およびプログラム
- 審判番号
- 2021-002145
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-114597外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年02月17日
- 審決日
- 2021年10月11日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G01S) / P18 .575-Z (G01S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-114597「電磁波検出装置、電磁波検出システム、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月27日出願公開、特開2018-205285〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年6月9日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 4月28日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 7月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年12月 4日付け:拒絶査定(同年12月15日送達、以下「原査定」という。)
令和 3年 2月17日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和3年2月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年2月17日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和3年2月17日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び明細書についてした補正であり、この補正により、以下に示すとおり、本件補正前の請求項1が、本件補正後の請求項1に補正された。
<本件補正前の請求項1>
「 【請求項1】
電磁波を検出する第1の検出素子および第2の検出素子を有する検出部と、
入射する電磁波を前記検出部へ進行させる第1の状態または入射する電磁波を前記検出部へ進行させない第2の状態に切り替え可能な進行素子を含む進行部と、を備え、
前記進行部は、互いに隣接する前記進行素子を複数含む、第1の進行素子群及び第2の進行素子群を有し、
前記第1の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第1の検出素子に進行させ、
前記第2の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第2の検出素子に進行させる
電磁波検出装置。」
<本件補正後の請求項1>
「 【請求項1】
電磁波を検出する第1の検出素子および第2の検出素子を有する検出部と、
入射する電磁波を前記検出部へ進行させる第1の状態または入射する電磁波を前記検出部へ進行させない第2の状態に切り替え可能な進行素子を含む進行部と、を備え、
前記進行部は、互いに隣接する複数の前記進行素子からなる第1の進行素子群及び第2の進行素子群を有し、
前記第1の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第1の検出素子に進行させ、
前記第2の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第2の検出素子に進行させ、
前記第1の進行素子群及び前記第2の進行素子群のそれぞれに含まれる前記進行素子を前記第1の状態又は前記第2の状態に切り替えさせる制御部を、さらに備え、
前記第1の状態の前記進行素子が前記検出部に進行させる電磁波は、照射部から対象に照射された電磁波の反射波であり、
前記制御部は、前記照射部が前記電磁波を放射する度に、前記照射部から次の前記電磁波が放射される前に、前記第1の進行素子群と前記第2の進行素子群のそれぞれについて、複数の前記進行素子を前記第1の状態に切り替えさせる
電磁波検出装置。」(下線は、補正箇所を示す。)
2 補正の目的
本件補正は、本件補正前の「互いに隣接する前記進行素子を複数含む第1の進行素子群及び第2の進行素子群」という表現を、「互いに隣接する複数の前記進行素子からなる第1の進行素子群及び第2の進行素子群」とした上で、「前記第1の進行素子群及び前記第2の進行素子群のそれぞれに含まれる前記進行素子を前記第1の状態又は前記第2の状態に切り替えさせる制御部を、さらに備え、前記第1の状態の前記進行素子が前記検出部に進行させる電磁波は、照射部から対象に照射された電磁波の反射波であり、前記制御部は、前記照射部が前記電磁波を放射する度に、前記照射部から次の前記電磁波が放射される前に、前記第1の進行素子群と前記第2の進行素子群のそれぞれについて、複数の前記進行素子を前記第1の状態に切り替えさせる」構成を新たに付加するものであり、かつ本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることから、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。
3 独立特許要件の判断
(1) 本願補正発明
本願補正発明は、前記1の<本件補正後の請求項1>に示した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
(2) 引用文献1に記載された事項と引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に発行された特表2014-512525号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当審が付したもので、以下同様である。
「【0009】
しかしこれ等のイメージング・システムは、受光システムに関連する限界がある。アレイに含まれる光センサのサイズが、スキャンされた対象物の表面の画像の解像度に影響を及ぼす。基本的に、光センサの全体サイズが大きい(センサーとその回路をシリコンチップ内に通常のマイクロ電子技術を用いて集積することは困難であるので)と、スキャニング・システムにより検知可能な光ビームの数は少なくなる、即ち少数の光ビームの部分のみしか検出できない。その為スキャンされた画像の空間解像度が低くなる。デジタル・イメージの空間解像度は、ビデオ画像の深さ情報に関連する動画(ビデオ)生成技術の分野では、非常に重要である。例えば、3Dビジョンの手段により車両又はロボットをガイドする技術分野、製造プロセスによる品質を制御する分野。低い空間解像度の既存システムは、この様なアプリケーションでの使用には適さない。このような分野では、高い空間解像度即ち性能の高さが必要とされる。」
「【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の一実施例により、対象物の表面28をスキャンし、前記表面28のデジタル・イメージを得るシステム20を説明する。図2に於いて、本発明の表面をスキャンするシステム20は、パルス状レーザビーム送信(送出)機22の形態の光源(Nd:YAGパルスレーザー)を有する。
【0051】
パルス状レーザビーム送信機22は第1のレンズの組23を有する。この第1のレンズの組23は、レーザーであるパルス状レーザビーム送信機22が、パルス状の光ビームの信号を送信(送出)した時に、レーザー・ビームの範囲を広げ、焦点ではなく広い範囲に達するようにする。
【0052】
本発明の対象物の表面をスキャンするシステム20は、光ビーム受光システム21を有する。この光ビーム受光システム21は、ピクセル化された(ピクセルに細分化された)光スイッチ・アレイ(DMD)24(この実施例の場合TI社により製造されたデジタル・マイクロミラー装置である)と、Geiger modeで光ビームを検出するアバランシ光ダイオードセンサー・アレイ26と、前記ピクセル化された(ピクセルに細分化された)光スイッチ・アレイ(DMD)24の前に配置される第2のレンズの組25とを有する。前記要素は、ピクセル化された(ピクセルに細分化された)光スイッチ・アレイ(DMD)24が観測した表面の画像を生成するものである。
【0053】
第1のレンズの組23と第2のレンズの組25は、光学レンジを開閉する手段を有する。これにより、装置に入射する光ビームの量を加減して、デジタル・マイクロミラー装置24のスイッチの方向に向けることができる。これは、光グラフィック或いはビデオカメラの対象物の動作と同様である。かくしてイメージがDMD24の表面に形成される。これにより、DMDの観測された表面のイメージを得る。これは、例えば地性イメージ即ち3Dイメージである。
【0054】
前記DMD24は複数の「ピクセル」を有する。「ピクセル」は、電子的に制御される複数のマイクロミラーにより規定/形成される。このマイクロミラーは、対象物の表面で反射された光ビームの一部を受光し、マイクロミラーを回転させることにより、受光した光ビームの向きを変える(偏向する)。DMD24と光ダイオードセンサー・アレイ26との相対的位置関係により、DMD24のマイクロミラーが偏向した時に、光ビームの対応する部分が前記光ダイオードセンサー・アレイ26の光ダイオードの一つに向くようになる。
【0055】
具体的には、マイクロミラーは複数の偏向位置を有する。第1の位置は、来入する光ビームを光ダイオードセンサー・アレイ26に含まれる光ダイオードセンサーの少なくとも1つに向ける位置である。第2の位置は、来入する光ビームをダンプ位置27に向ける。この第2の位置27は、来入する光ビームをいずれの光ダイオードの方向にも向けないような位置である。
【0056】
第3のレンズの組29が、、ピクセル化された光スイッチ・アレイであるデジタル・マイクロミラー装置24と光ダイオードセンサー・アレイ26との間に配置される。これにより、どのマイクロミラーも光ダイオードセンサー・アレイ26の方向に向けられた時に、来入する光ビームが、正確に光ダイオードセンサー・アレイ26の方向を向くようにしている。
【0057】
デジタル・マイクロミラー装置24は、複数のマイクロミラー(ピクセル)を有する。その数は、光ダイオードセンサー・アレイ26に含まれる光ダイオードの数よりも多い。
【0058】
本発明と共に使用するのに適した様々なタイプのDMD24が市販されている。それぞれ空間解像度に影響を及ぼす幾つかの特徴を有する。その通常マイクロミラー(ピクセル)の数は、0.7-2メガピクセルである。その為DMD装置により得られる画像は最大1920×1080ポイントの解像度を有し、これは、通常市販されている176×144ポイント(即ち25344個のピクセル)よりも多い。
【0059】
DMD24の他の特徴は、ほぼ類似し、例えばDMD装置24の標準のフレーム・レートは、32.552Hzで、マイクロミラーの傾斜は最大+/-12°である。
【0060】
更に重要な特徴は充填係数(fill factor)である。この充填係数は、マイクロミラーの間のスペースに関連し、この実施例では充填係数は、約91%で、これはマイクロミラーの間が、10.08μm以上のスペースに相当する。
【0061】
ダンプ要素27の配置は次の通りである。DMD24のスイッチが使用されていない時には、その来入する光ビームの一部を前記ダンプ要素27の方向に向けて、DMD24の別のスイッチにより光ダイオードセンサー・アレイ26の方向に向けられた光ビームの一部との干渉を回避するように配置される。
【0062】
本発明のシステムは、FPGA装置のようなコンピュータ・コントローラ30を有する。このコンピュータ・コントローラ30は、複数のモジュール31,32,33を有し、光ビームが反射される対象物の表面のデジタル・イメージを得る。
【0063】
FPGAであるコンピュータ・コントローラ30は、システム全体の制御を実行する。その様々な構成要素(例えばレーザー送信部品と、システムの受光部品)の機能を調整して、様々な要素(例えばDMD24と光ダイオードセンサー・アレイ26)を制御し、それらから送受光する信号を、FPGAに含まれる別のモジュールにより調整する。
【0064】
FPGAのコンピュータ・モジュールは、受光制御システム31である。この受光制御システム31は、DMD24と光ダイオードセンサー・アレイ26に接続されて、それらの動きとそれらからの信号の獲得を電気的に制御する。例えば偏向された光ビームが1つの光ダイオードに当たった時に、マイクロミラーの偏向と光ダイオードのアレイからの検出信号の獲得は、受光制御システム31により実行される。光ダイオードセンサー・アレイ26は直接FPGA30に接続されていなくてもよい。例えばパルス検出アナログ電子装置を、FPGA30と光ダイオードセンサー・アレイ26の間に配置して、それらの間で送信される信号を確保してもよい。
【0065】
TOF計算モジュール32の第2のコンピュータ・モジュールは、DMD24の各マイクロミラーに到着する光ビームの各部分の飛行時間(遅延時間)を決定する。これは光ダイオードセンサー・アレイ26のアレイに含まれる1つの光ダイオードを通して検出される。この検出技術は、レーザ・パルス信号ビームが送信(送出)された時間と、このレーザ・パルス信号ビームが対象物の表面で反射されて戻ってきた時間を計算し、受信したレーザ・パルス信号のパルスの立ち上がりを検出することにより、行われる。
【0066】
FPGAに含まれる更なるコンピュータ・モジュールは、画像生成モジュール33である。この画像生成モジュール33は、DMDの各ポイント(ピクセル)で計算されたTOFに基づいて、即ち対応するマイクロミラーで受光した光ビームの一部に基づいて、光ビームの各部分が伝搬した距離を計算し、この距離を用いてデジタル・イメージのZ軸を決定する。
【0067】
反射表面のデジタル・イメージは、先ずX軸とY軸に対応する情報を集めて得られる。この二次元情報は、DMDの表面サイズとそのDMDが含むマイクロミラーの数により決定される。かくして表面の2次元のデジタル・イメージが得られ、第3の成分をZ軸に加える。これは、対象物の表面により反射されたレーザビーム様々な部分が伝搬する距離を用いて行われる。この反射光は、光ダイオードのDMD24と光ダイオードのアレイ26を通してシステムに到着し、そこで、構成要素X,Y,Zを有する反射表面の3次元のデジタル・イメージを得る。
【0068】
本発明によれば、図3に示すように、前記のシステムは表面をスキャンする方法を実行する。
【0069】
本発明の他の態様によれば、本発明のシステムは、請求項13に記載した特徴を有する。前記ピクセル化された光スイッチ・アレイ(24)は、液晶ディスプレイ又は偏向可能なミラーを含む。
【0070】
ステップ102に於いて、レーザは、数百-数千ピコ秒でピーク・パワーが数kwのパルス状信号を送信する。このパルス状信号は、レーザ22の前に配置された第1のレンズの組23によりが広げられ、スキャンされるべき表面28の更に広い表面28に到着する。
【0071】
レーザ・ソースの一例は、目に安全な1.55μmの波長範囲の光を生成するコンパクトなレーザ源で、これは、「Eyesafe microchip laser for laser range finder application by Do-Hyun Park et.」に記載されている。このようなレーザ・ソースは、幾つかのアプリケーションで有用で、例えば人間又は動物のスキャニングで有効で、これは人又は動物の目に障害を及ぼすのを回避できる。
【0072】
その後光ビームが表面18で反射される。ステップ103で、第2のレンズの組25は、この光ビームの来入した一部をデジタル・マイクロミラー装置24に向ける。ステップ104で、その後、個々のマイクロミラーを個別に偏向して(方向を変えて)、光ビームの来入部分を、光ダイオードセンサー・アレイ26の方向に向ける。
【0073】
この実施例に於いては、1個の光ダイオードのみを用いて、光ビームの偏向された一部を検出するが、他の構成も採用可能である。例えば複数の光ダイオードを用いて、光ビームの偏向した部分を検出してもよい。この場合、マイクロミラーの数が光ダイオードの数よりも多いという事実により、システムは、光ビームを各光ダイオードに向けるため、マイクロミラーからの光ビームの一部を光ダイオードの方に順次向ける時、全ての来入する光ビームを検出するために、より少数の光ダイオードを用いて、より高い空間解像度を得ることができる。
【0074】
複数の光ダイオードを用いる更なる実施例では、光ビームの一部を並列に検出できる。これにより、DMD24のマイクロミラーのサブセットを一斉に偏向させ、並列に配置された光ダイオード26を用いて、各光ダイオード26が、それぞれ偏向したマイクロミラー24により反射された光ビームの一部を検出できる。
【0075】
DMDを用いずに(即ち光ダイオードのアレイにより光ビームの一部の直接検出が可能な装置を用いて)、同一の空間解像度を得るためには、、より多数の光ダイオードを用いる必要があり、本発明の装置(DMDを有するが光ダイオードが少数で済む)よりも大きな装置となってしまう。
【0076】
その後各センサーは、偏向した光ビームを検出し、FPGA30に送信される信号を生成する。そして、光ビームが送信された時点と、反射された戻ってきた時点に基づいて、光ビームの各対応する部分のTOFの値を決定する。
【0077】
具体的に本発明の一実施例によれば、FPGA30は、パルス状のレーザ信号が送信された時点を送信時に予め記録する。この送信時点は第1パルスの立ち上がりが送信された時である。その後時間カウンターが、この立ち上がり時点で動き出し、反射された光ビームの到着が検出された時に、この時間カウンターにより、パルスの送信時点とパルスの到着時点との間の時間が決定される。
【0078】
TOFの計算の速度に関しては、DMD装置の高いフレーム速度は、システムが32KHzの計算速度を有することを意味する。これにより、1秒当たり32000回の測定が可能となり、空間解像度は最大2メガピクセルとなる。複数の光センサを並列に用いて来入する光ビームを検出する場合には、より多数回の測定がより短時間で可能である。例えば4個のセンサーを並列に用いると、1秒当たり128000回の測定が可能である。
【0079】
その後、TOFの計算に基づく通常の距離計算技術を用いて、距離Ziが、各計算されたTOFに対し決定され、これは、DMDの各マイクロミラーにより反射された光ビームの各部分に対応する。
【0080】
スキャンパターンからデジタル・イメージを得ると、このデジタル・イメージは、X,Y,Zの値を含むが、これらの値は、通常の物理的値(例、メートル、フィート、その他)に関連してもしなくてもよい。
【0081】
Xの値とYの値は、第1のレンズの組23または第2のレンズの組25の大きさ/構成を考慮に入れて表される。デジタル・イメージのピクセル間の実値(メートル/フィート等で表された)が決定されるが、ある場合には、Z軸の実値のみが必要とされる場合がある。かくして実際の長さに相当する画像のスケールを決定するには、このような計算が不必要となる場合もある。
【0082】
更に画像の実のZ軸の値は、TOFの通常の計算と追加的な計算により決定することもできる。ある場合には、アプリケーションに応じて、差分のみが必要となるだけで、システムと画像の各ポイントとの間の実値を決定する必要はなく、デジタル・イメージの各ポイントの間の関係のみを決定できればよい場合もある。
【0083】
本発明一実施例に於いては、パルス状の光信号の送受信を用いて記述したが、他の実施例では、変調した光信号の送受信を用いて実行してもよい。
【0084】
この場合の送受信の方法は、変調した信号を検出するためパルス状の光信号の場合とは異なる。例えば信号の特定の位相の受信の検出を、パルス状の信号の立ち上がり又は立ち上がりの検出の代わりに、行う。
【0085】
送受信以外の構成においては、変調した信号の送受信を含む実施例の場合も同様である。その理由は、TOFと距離とX,Y,Zの値が画像を得るために必要であり、これらは、両方の場合とも対応する計算方法を用いて得られるからでる。」
「【手続補正書】
【提出日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
(中略)
【請求項12】
対象物の表面(28)をスキャンする方法に於いて、
(A)光ビームをスキャンされるべき表面(28)に照射するステップと、
(B)請求項2に記載の光ビームを受光する方法を実行するステップと、
前記ステップ(B)は、ピクセル化された光スイッチ・アレイ(24)で、前記表面(28)上で反射された光ビームの来入する部分を受光し、前記来入する部分を、前記光センサのアレイ(26)に含まれる光センサの方向に順次再方向付けし、
(C)前記光センサのアレイ(26)に含まれる光センサで受光した光の部分のTOFの値を決定するステップと、
(D)前記光ビームの受光した部分に対する距離に関連するパラメータを、前記決定されたTOFの値を考慮に入れて、決定するステップと、
を有し、
前記距離に関連するパラメータは、前記スキャンされた表面(28)の空間ポイントを表す
ことを特徴とする対象物の表面(28)をスキャンする方法。
【請求項13】
前記光スイッチ・アレイ(24)は、デジタル・マイクロミラー・デバイス( Digital micromirror Device: DMD)を含み、前記光センサは、光ダイオードであり、
(A)光スイッチ・アレイ(24)の第1マイクロミラーを選択するステップ(101)と、
(B)レーザビーム送信機(22)が、光ビームであるパルス状のレーザー信号をスキャンされるべき表面(28)に放射するステップと、
(C)前記光スイッチ・アレイ(24)で、第2のレンズの組(25)を介して、スキャンすべき表面(28)により反射された光ビームを受光するステップ(103)と、
(D)前記光ビームの一部を、光ダイオード(26)の方向に、選択された前記第1マイクロミラーを偏向させることにより、偏向するステップと、
(E)前記光ビームの偏向した部分のTOFの値を計算するステップ(105)と、
前記光ビームの一部は、前記光ダイオード(26)の光ダイオードで検出され、
(F)計算されたTOFから、偏向したマイクロミラーに対応するスキャン・パターンのピクセルのZ値を決定するステップ(106)と、
(G)前記光スイッチ・アレイ(24)に含まれる全てのマイクロミラーが偏向したか否かを検出し、偏向していない場合には、前記光スイッチ・アレイ(24)に含まれる別のマイクロミラーを選択し、前記ステップ(B)に戻るステップと、
(H)スキャン・パターンに含まれるX,Y,Zの値からデジタル・イメージを得るステップ(108)と
を有する
ことを特徴とする請求項12記載の方法。」
「【図2】
[図:0001380751000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001380751000002.jpg]
」
イ 引用発明の認定
上記(ア)の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ピクセル化された光スイッチ・アレイ(DMD)24と、光ダイオードセンサー・アレイ26を有する、対象物の表面をスキャンするシステム20であって(【0052】)、
前記DMD24は、電子的に制御される複数のマイクロミラーにより形成され(【0054】)、
マイクロミラーは複数の偏向位置を有し、第1の位置は、来入する光ビームを光ダイオードセンサー・アレイ26に含まれる光ダイオードセンサーの少なくとも1つに向ける位置であり、第2の位置27は、来入する光ビームをいずれの光ダイオードの方向にも向けないような位置であり(【0055】)、
複数のマイクロミラーの数は、光ダイオードセンサー・アレイ26に含まれる光ダイオードの数よりも多く(【0057】)、
システムは、コンピュータ・コントローラ30を有し、このコンピュータ・コントローラ30は、複数のモジュール31,32,33を有し、光ビームが反射される対象物の表面のデジタル・イメージを得るものであり(【0062】)。
受光制御システム31は、DMD24と光ダイオードセンサー・アレイ26に接続されて、それらの動きとそれらからの信号の獲得を電気的に制御し(【0064】)、
TOF計算モジュール32は、DMD24の各マイクロミラーに到着する光ビームの各部分の飛行時間(遅延時間)を決定し、これは光ダイオードセンサー・アレイ26のアレイに含まれる1つの光ダイオードを通して検出され(【0065】)、
画像生成モジュール33は、DMDの各ポイント(ピクセル)で計算されたTOFに基づいて、光ビームの各部分が伝搬した距離を計算し、この距離を用いてデジタル・イメージのZ軸を決定し(【0066】)、
画像のZ軸の値は、差分のみが必要となるだけで、システムと画像の各ポイントとの間の実値を決定する必要はなく、デジタル・イメージの各ポイントの間の関係のみを決定できればよく(【0082】)、
対象物の表面(28)のスキャンは、
(A)光スイッチ・アレイ(24)の第1マイクロミラーを選択するステップ(101)と、
(B)レーザビーム送信機(22)が、光ビームであるパルス状のレーザー信号をスキャンされるべき表面(28)に放射するステップと、
(C)前記光スイッチ・アレイ(24)で、第2のレンズの組(25)を介して、スキャンすべき表面(28)により反射された光ビームを受光するステップ(103)と、
(D)前記光ビームの一部を、光ダイオード(26)の方向に、選択された前記第1マイクロミラーを偏向させることにより、偏向するステップと、
(E)前記光ビームの偏向した部分のTOFの値を計算するステップ(105)と、
前記光ビームの一部は、前記光ダイオード(26)の光ダイオードで検出され、
(F)計算されたTOFから、偏向したマイクロミラーに対応するスキャン・パターンのピクセルのZ値を決定するステップ(106)と、
(G)前記光スイッチ・アレイ(24)に含まれる全てのマイクロミラーが偏向したか否かを検出し、偏向していない場合には、前記光スイッチ・アレイ(24)に含まれる別のマイクロミラーを選択し、前記ステップ(B)に戻るステップと、
(H)スキャン・パターンに含まれるX,Y,Zの値からデジタル・イメージを得るステップ(108)と
を有し(【手続補正書】の【請求項12】、【請求項13】)、
マイクロミラーの数が光ダイオードの数よりも多いという事実により、システムは、光ビームを各光ダイオードに向けるため、マイクロミラーからの光ビームの一部を光ダイオードの方に順次向ける時、全ての来入する光ビームを検出するために、より少数の光ダイオードを用いて、より高い空間解像度を得る(【0073】)、
対象物の表面をスキャンするシステム20。」
(3) 対比
ア 本願補正発明と引用発明の対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 引用発明の「光ダイオードセンサー・アレイ26」は、並列に配置された光ダイオード26を有しているから、少なくとも2つの光ダイオードを有していることは明らかである。
また、引用発明の「光ダイオードセンサー・アレイ26」は、検出対象である「光」が「電磁波」に含まれることから、「電磁波を検出する」「検出部」に相当する
よって、引用発明の「光ダイオードセンサー・アレイ26」は、本願補正発明の「電磁波を検出する第1の検出素子および第2の検出素子を有する検出部」に相当する。
(イ) 引用発明の「光スイッチ・アレイ(DMD)24」は、電子的に制御される複数のマイクロミラーにより形成され、マイクロミラーは複数の偏向位置を有し、第1の位置は、来入する光ビームを光ダイオードセンサー・アレイ26に含まれる光ダイオードセンサーの少なくとも1つに向ける位置であり、第2の位置27は、来入する光ビームをいずれの光ダイオードセンサーの方向にも向けないような位置であるから、引用発明の「マイクロミラー」は、本願補正発明の「入射する電磁波を前記検出部へ進行させる第1の状態または入射する電磁波を前記検出部へ進行させない第2の状態に切り替え可能な進行素子」に相当する。
よって、引用発明の「光スイッチ・アレイ(DMD)24」は、本願補正発明の「入射する電磁波を前記検出部へ進行させる第1の状態または入射する電磁波を前記検出部へ進行させない第2の状態に切り替え可能な進行素子を含む進行部」に相当する。
(ウ)a 引用発明は、
「(A)光スイッチ・アレイ(24)の第1マイクロミラーを選択」し、「(B)レーザビーム送信機(22)が、光ビームであるパルス状のレーザー信号をスキャンされるべき表面(28)に放射」し、
「(C)前記光スイッチ・アレイ(24)で、第2のレンズの組(25)を介して、スキャンすべき表面(28)により反射された光ビームを受光」し、
「(D)前記光ビームの一部を、光ダイオード(26)の方向に、選択された前記第1マイクロミラーを偏向させることにより、偏向」し、
「(E)前記光ビームの偏向した部分のTOFの値を計算」し、
「(F)計算されたTOFから、偏向したマイクロミラーに対応するスキャン・パターンのピクセルのZ値を決定」し、
「(G)前記光スイッチ・アレイ(24)に含まれる全てのマイクロミラーが偏向したか否かを検出し、偏向していない場合には、前記光スイッチ・アレイ(24)に含まれる別のマイクロミラーを選択し、前記ステップ(B)に戻る」ものである。
これは、引用発明では、「複数のマイクロミラーの数は、光ダイオードセンサー・アレイ26に含まれる光ダイオードの数よりも多く」、「複数のマイクロミラー」により偏向された光ビーム全てを、「光ダイオードセンサー・アレイ26に含まれる光ダイオード」で一度に検出することは不可能であるから、「複数のマイクロミラー」を順次に切り替え、数回に分けて、「複数のマイクロミラー」により偏向された光ビームを、「光ダイオード」で検出するためであることは明らかである。
そうすると、本願補正発明の「第1の検出素子」に相当する「光ダイオード」は、数回に分けて、位置の異なるマイクロミラーから反射された光ビームを検出することになり、数回に分けて検出されるうちの1回分に含まれる、これらの位置の異なるマイクロミラーが、本願補正発明の「第1の進行素子群」に相当する。
同様に、本願補正発明の「第2の検出素子」に相当する「光ダイオード」も、数回に分けて、位置の異なるマイクロミラーから反射された光ビームを検出することになり、数回に分けて検出されるうちであって、本願補正発明の「第1の進行素子群」に相当するものと異なる1回分に含まれるこれらの位置の異なるマイクロミラーが、本願補正発明の「第2の進行素子群」に相当する。
b また、上記aにおいて検討したことを踏まえると、引用発明の「第1の進行素子群」に相当する「位置の異なるマイクロミラー」が光ダイオードに向けて光ビームを反射させることと、「第2の進行素子群」に相当する「位置の異なるマイクロミラー」が光ダイオードに向けて光ビームを反射させることは、本願補正発明の「前記第1の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第1の検出素子に進行させ、前記第2の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第2の検出素子に進行させ」ることに相当する。
c 上記の検討内容を踏まえると、本願補正発明と引用発明は、「前記進行部は、複数の前記進行素子からなる第1の進行素子群及び第2の進行素子群を有し、前記第1の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第1の検出素子に進行させ、前記第2の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第2の検出素子に進行させ」ている点で共通する。
(エ) 引用発明の「コンピュータ・コントローラ30」は、受光制御システム31を有しており、この受光制御システム31は、DMD24を電気的に制御しているから、本願補正発明の「前記第1の進行素子群及び前記第2の進行素子群のそれぞれに含まれる前記進行素子を前記第1の状態又は前記第2の状態に切り替えさせる制御部」に相当する。
(オ) 引用発明において、DMD24のマイクロミラーにより反射され、光ダイオードで検出される光ビームが、対象物の表面を反射した光ビームであることは、本願補正発明の「前記第1の状態の前記進行素子が前記検出部に進行させる電磁波は、照射部から対象に照射された電磁波の反射波であ」ることに相当する。
(カ) 前記(ウ)で検討したとおり、引用発明では、「複数のマイクロミラー」を順次切り替えるごとに、「(G)前記光スイッチ・アレイ(24)に含まれる全てのマイクロミラーが偏向したか否かを検出し、偏向していない場合には、前記光スイッチ・アレイ(24)に含まれる別のマイクロミラーを選択し」て、「(B)レーザビーム送信機(22)が、光ビームであるパルス状のレーザー信号をスキャンされるべき表面(28)に放射」する動作に戻ることを繰り返しており、引用発明のこの動作は、本願補正発明の「前記制御部は、前記照射部が前記電磁波を放射する度に、前記照射部から次の前記電磁波が放射される前に、前記第1の進行素子群と前記第2の進行素子群のそれぞれについて、複数の前記進行素子を前記第1の状態に切り替えさせる」動作に相当する。
(キ) 引用発明の「対象物の表面をスキャンするシステム20」は、電磁波である光を検出する「光ダイオードセンサー・アレイ26」を有しているから、本願補正発明の「電磁波検出装置」に相当する。
イ 一致点及び相違点
上記アの検討を総合すると、本願補正発明と引用発明の両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点において相違する。
<一致点>
電磁波を検出する第1の検出素子および第2の検出素子を有する検出部と、
入射する電磁波を前記検出部へ進行させる第1の状態または入射する電磁波を前記検出部へ進行させない第2の状態に切り替え可能な進行素子を含む進行部と、を備え、
前記進行部は、複数の前記進行素子からなる第1の進行素子群及び第2の進行素子群を有し、
前記第1の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第1の検出素子に進行させ、
前記第2の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第2の検出素子に進行させ、
前記第1の進行素子群及び前記第2の進行素子群のそれぞれに含まれる前記進行素子を前記第1の状態又は前記第2の状態に切り替えさせる制御部を、さらに備え、
前記第1の状態の前記進行素子が前記検出部に進行させる電磁波は、照射部から対象に照射された電磁波の反射波であり、
前記制御部は、前記照射部が前記電磁波を放射する度に、前記照射部から次の前記電磁波が放射される前に、前記第1の進行素子群と前記第2の進行素子群のそれぞれについて、複数の前記進行素子を前記第1の状態に切り替えさせる
電磁波検出装置、である点。
<相違点>
「第1の進行素子群及び第2の進行素子群」が、本願補正発明では、「互いに隣接する複数の前記進行素子からなる」ものであるのに対して、引用発明では、互いに隣接する複数のマイクロミラーからなるものか不明な点。
(4) 当審の判断
ア 相違点についての判断
上記相違点について検討する。
引用発明は、「画像のZ軸の値は、差分のみが必要となるだけで、システムと画像の各ポイントとの間の実値を決定する必要はなく、デジタル・イメージの各ポイントの間の関係のみを決定できればよい」とされており、このように差分のみで対象物の表面のZ軸の値を決定するためには、DMD24の各マイクロミラーとそれに対応する光ダイオードの距離が各ポイントにおいて等しくなっていることが前提となるから、1つの光ダイオードに向けて光ビームを反射する複数のマイクロミラーを互いに隣接するものとして、マイクロミラーと光ダイオードの距離を各ポイントにおいてなるべく等しくなるようにすることは、当然配慮されるべき事項に過ぎない。
また、引用文献1の【0009】には、「アレイに含まれる光センサのサイズが、スキャンされた対象物の表面の画像の解像度に影響を及ぼす。基本的に、光センサの全体サイズが大きい(センサーとその回路をシリコンチップ内に通常のマイクロ電子技術を用いて集積することは困難であるので)と、スキャニング・システムにより検知可能な光ビームの数は少なくなる、即ち少数の光ビームの部分のみしか検出できない。その為スキャンされた画像の空間解像度が低くなる。」と記載されている。
そして、引用発明の「DMD24」は、「より高い空間解像度を得る」ため、「光ダイオードセンサー・アレイ26に含まれる光ダイオードの数よりも多」い「複数のマイクロミラーにより形成され」、DMD24の空間解像度は、光ダイオ-ドセンサ・アレイ26の空間解像度よりも高いことから、1つの光ダイオードに対応するDMD24のマイクロミラーが複数存在するものであり、すなわち、DMD24のマイクロミラーは、光ダイオードの各々を、さらに細分化したものといえる。
そうすると、本願補正発明の「第1の検出素子」又は「第2の検出素子」に相当する「光ダイオード」に向けて光ビームを偏向する、本願補正発明の「第1の進行素子群」又は「第2の進行素子群」に相当する「複数のマイクロミラー」を、当該光ダイオードを細分化したものとするのであれば、互いに隣接しないマイクロミラーを「第1の進行素子群」又は「第2の進行素子群」とするよりも、個別の各マイクロミラーの角度制御が、より簡単になる、互いに隣接するマイクロミラーの配置とすることは、ごく自然な発想である。
以上の理由により、上記相違点に係る本願補正発明の構成は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本願補正発明によって奏される効果は、引用発明から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
したがって、本願補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
イ 請求人の主張について
請求人は、審判請求の理由において、次の主張をしている。
(8頁25行~9頁2行)
「まず、引用文献1には進行素子群が互いに隣接する進行素子からなることが明示されておりません。そして、審査官殿が拒絶査定において認められているように、引用文献1には、『第1の進行素子群』及び『第2の進行素子群』と、『第1の検出素子』及び『第2の検出素子』との対応関係が明示されていません。従って、あるマイクロミラーからの光ビームが常に特定の光ダイオードによって検出されるかは定まっておりません。」
上記請求人の主張について検討する。
引用発明において、1つの光ダイオードセンサーに対応する複数のマイクロミラーが互いに隣接するものとすることは、引用文献1に明示されていないが、上記アで示した理由のとおり、格別の困難性があるものでない。
そして、1つの光ダイオードセンサーに対応する複数のマイクロミラーを互いに隣接するものとした場合は、マイクロミラーと光ダイオードセンサーの対応関係が固定されることになるから、あるマイクロミラーからの光ビームが、常に、特定の光ダイオードセンサーによって検出されることになることは明らかである。
よって、当該主張は採用できない。
(5) まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明
本件補正は上記第2において説示したとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年7月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「 【請求項1】
電磁波を検出する第1の検出素子および第2の検出素子を有する検出部と、
入射する電磁波を前記検出部へ進行させる第1の状態または入射する電磁波を前記検出部へ進行させない第2の状態に切り替え可能な進行素子を含む進行部と、を備え、
前記進行部は、互いに隣接する前記進行素子を複数含む、第1の進行素子群及び第2の進行素子群を有し、
前記第1の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第1の検出素子に進行させ、
前記第2の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第2の検出素子に進行させる
電磁波検出装置。」
第4 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、理由3の概要は、次のとおりである。
本願発明は、下記引用文献1に記載された発明に基づいて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1. 特表2014-512525号公報
第5 引用文献1に記載された発明の認定
引用文献1に記載された発明は、前記第2の3(2)の「イ 引用発明の認定」において、引用発明として示したとおりである。
第6 対比
本願発明と引用発明を対比すると、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点において相違する。
<一致点>
電磁波を検出する第1の検出素子および第2の検出素子を有する検出部と、
入射する電磁波を前記検出部へ進行させる第1の状態または入射する電磁波を前記検出部へ進行させない第2の状態に切り替え可能な進行素子を含む進行部と、を備え、
前記進行部は、前記進行素子を複数含む、第1の進行素子群及び第2の進行素子群を有し、
前記第1の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第1の検出素子に進行させ、
前記第2の進行素子群に含まれる前記第1の状態の進行素子は、入射する前記電磁波を前記第2の検出素子に進行させる
電磁波検出装置、である点。
<相違点>
「第1の進行素子群及び第2の進行素子群」が、本願発明では、「互いに隣接する前記進行素子を複数含む」ものであるのに対して、引用発明では、互いに隣接するマイクロミラーを複数含むものであるか不明な点。
第7 判断
上記相違点について検討する。
前記第2の3の「(4) 当審の判断」において示した理由と同様の理由により、引用発明において、上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明によって奏される効果は、引用発明から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-002145