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特許拒絶査定不服審判

2024-018683

位置推定システム、及び、位置推定方法

審判番号
2024-018683
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-545483
請求日
2024年11月22日
審決日
2026年03月04日
公報発行日
2026年05月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
  • 【請求人代理人】新居 広守
  • 【請求人代理人】寺谷 英作
  • 【請求人代理人】道坂 伸一
審判長/審判官
  • 審判長 後藤 亮治
  • 審判官 道祖土 新吾
  • 審判官 谷垣 圭二
分類
P18 .121-Z (G01S) / P18 .575-Z (G01S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023-545483「位置推定システム、及び、位置推定方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 3月 9日国際公開、WO2023/032769〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2022年(令和4年)8月24日を国際出願日とする日本語特許出願であって(優先権主張 令和3年8月31日)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和6年 6月28日付け:拒絶理由通知書 同年 8月16日 :意見書の提出 同年10月 3日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月 8日 :原査定の謄本の送達) 同年11月22日 :審判請求書、手続補正書の提出 以下、2021年(令和3年)8月31日を「優先日」という。 第2 令和6年11月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年11月22日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年11月22日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前、すなわち出願当初の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「人が位置する空間が映る画像の画像情報、及び、前記空間の温度分布情報のいずれかの情報を取得する取得部と、 取得された前記情報に基づいて、前記空間における前記人の座標を推定する推定部と、 前記空間に位置する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置それぞれとの通信状態に基づいて前記第一通信装置の位置を計測する測位システムから前記第一通信装置の位置情報を取得する位置情報取得部とを備え、 前記推定部は、 推定された前記人の座標、及び、取得された前記位置情報に基づいて、前記人が保持する対象の第一通信装置の座標を推定し、 前記人以外の物体に保持された第三通信装置と前記対象の第一通信装置との通信状態、及び、推定された前記対象の第一通信装置の座標に基づいて、前記空間における前記物体の座標を推定する 位置推定システム。」 (2) 本件補正後 「人が位置する空間が映る画像の画像情報、及び、前記空間の温度分布情報のいずれかの情報を取得する取得部と、 取得された前記情報に基づいて、前記空間における前記人の座標を推定する推定部と、 前記空間に位置する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置それぞれとの通信状態に基づいて前記第一通信装置の位置を計測する測位システムから前記第一通信装置の位置情報を取得する位置情報取得部とを備え、 前記推定部は、 推定された前記人の座標、及び、取得された前記位置情報に基づいて、前記人が保持する対象の第一通信装置の座標を推定し、 前記人以外の物体に保持された第三通信装置と前記対象の第一通信装置との互いに異なる複数のタイミングにおける通信状態、及び、推定された前記対象の第一通信装置の前記複数のタイミングにおける座標に基づいて、前記空間における前記物体の座標を推定する 位置推定システム。」 2 補正の目的 (1) 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項について、次の事項を限定するものである。 [限定事項] 本件補正前の請求項1に記載された、空間における物体の座標を推定するための人以外の物体に保持された第三通信装置と前記対象の第一通信装置との「通信状態」及び推定された前記対象の第一通信装置の「座標」それぞれについて、「互いに異なる複数のタイミングにおける通信状態」及び「前記複数のタイミングにおける座標」に限定すること。 (2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 (3) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Bまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】、【図3】及び【図5】を掲載する。 <本件補正発明の分説> A1 人が位置する空間が映る画像の画像情報、及び、前記空間の温度分布情報のいずれかの情報を取得する取得部と、 A2 取得された前記情報に基づいて、前記空間における前記人の座標を推定する推定部と、 A3 前記空間に位置する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置それぞれとの通信状態に基づいて前記第一通信装置の位置を計測する測位システムから前記第一通信装置の位置情報を取得する位置情報取得部とを備え、 前記推定部は、 A4 推定された前記人の座標、及び、取得された前記位置情報に基づいて、前記人が保持する対象の第一通信装置の座標を推定し、 B 前記人以外の物体に保持された第三通信装置と前記対象の第一通信装置との互いに異なる複数のタイミングにおける通信状態、及び、推定された前記対象の第一通信装置の前記複数のタイミングにおける座標に基づいて、前記空間における前記物体の座標を推定する X 位置推定システム。 <参考図> 【図1】 [図:0001434854000001.jpg] 【図3】 [図:0001434854000002.jpg] 【図5】 [図:0001434854000003.jpg] イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものである。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、位置推定システム、及び、位置推定方法に関する。 【背景技術】 …(中略)… 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明は、所定の空間における物体の座標を推定することができる、位置推定システム、及び、位置推定方法を提供する。 …(中略)… 【発明の効果】 【0008】 本発明の位置推定システム、及び、位置推定方法は、所定の空間における物体の座標を推定することができる。」 「 【0031】 [第一通信装置の座標の推定動作例1] 上述のように測位システム40は、複数の第二通信装置42のそれぞれが送信するビーコン信号の第一通信装置41における受信信号強度に基づいて、人によって保持される第一通信装置41(ビーコン受信機)の位置を計測することができる。しかしながら、測位システム40によって計測される第一通信装置41の位置の精度はあまり高くない場合がある。また、測位システム40は、第三通信装置50のようなビーコン送信機の位置を直接的に計測できない。 【0032】 そこで、位置推定システム10は、カメラ20によって撮像される画像の画像情報と、測位システム40によって提供される第一通信装置41の位置情報とを併用することで、高精度に第一通信装置41の位置を推定する。以下、第一通信装置41の位置(座標)の推定動作例1について説明する。図3は、第一通信装置41の座標の推定動作例1のフローチャートである。 …(中略)… 【0042】 以上説明したように、位置推定システム10は、画像情報、及び、測位システム40から取得した位置情報に基づいて、人が保持する対象の第一通信装置41の座標を高精度に推定することができる。」 「 【0044】 [物体の座標の推定動作例1] また、位置推定システム10は、推定された対象の第一通信装置41の位置を利用して、室内空間60における第三通信装置50の座標(言い換えれば、第三通信装置50を保持する物体の座標)を推定することができる。図5は、物体の座標の推定動作例1のフローチャートである。なお、以下の第三通信装置50の座標の推定動作例1では、対象の第一通信装置41を保持する人は移動するが、第三通信装置50を保持する物体は移動しないものとして説明が行われる。 …(中略)… 【0049】 上述のように、対象の第一通信装置41を保持する人は移動し、第三通信装置50を保持する物体は移動しないとすると、時刻t1における対象の第一通信装置41、時刻t2における対象の第一通信装置41、及び、時刻t3における対象の第一通信装置41は、座標が既知であり、かつ、座標が互いに異なる3つのビーコン受信機とみなすことができる。つまり、ステップS24の処理は、座標が既知であり、かつ、座標が互いに異なる3つのビーコン受信機を用いて、ビーコン送信機(第三通信装置50)の座標を推定する処理と同様に扱うことができる。」 (2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2021-109750号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記イの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 (ア) 段落【0001】~【0007】 「【0001】 本発明は、物品管理システムおよび物品管理方法に関する。 【背景技術】 【0002】 RFID(Radio Frequency Identification)タグは近年構築されつつあるIoT(Internet of Things)技術で活用が進んでいる。活用が検討されている分野は、物流・流通、交通、金融、FA、アミューズメント、医療、食品等、幅が広い。 例えば、IoT技術を利用したシステムの一形態として、RFIDタグを利用した、物品としての商品の在庫管理システムが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、商品陳列場所の複数の商品棚の各々にRFIDタグリーダライタを設け、各商品棚の各棚段に配置したアンテナをRFIDタグリーダライタに接続させ、RFIDタグリーダライタに、商品に付されたRFIDタグを非接触で読み取らせる在庫管理システムが記載されている。 …(中略)… 【0004】 従来の在庫管理システムは、例えば店舗での各商品の在庫の有無を判別するが、商品の在庫が有る場合に当該商品の店舗内での位置がわかれば、商品を管理する上で有益である。 【0005】 そこで、本発明の目的は、エリア内の各物品の位置を把握しやすくすることである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明のある態様は、エリア内に存在する一以上の物品の管理を行う物品管理システムであって、前記エリア内の物品に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、周囲の電波からエネルギーを得て動作する無線タグと、前記エリア内を移動し、前記無線タグからタグ識別情報を受信する携帯端末と、前記携帯端末と通信可能であり、前記エリア内の物品を識別する物品情報と、前記物品に取り付けられている無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶する情報処理装置とを含み、前記情報処理装置は、前記携帯端末から受信する前記無線タグのタグ識別情報と、前記携帯端末の位置情報とに基づいて前記エリア内に存在する物品の位置を特定する、物品管理システムである。 【発明の効果】 【0007】 本発明のある態様によれば、エリア内の各物品の位置を把握しやすくすることができる。」 (イ) 段落【0010】~【0020】、図1 「【0010】 (1)第1の実施形態 以下、物品管理システムの一実施形態である在庫管理システムについて図面を参照して説明する。以下の実施形態では、物品の一例として商品を挙げる。また、本実施形態の在庫管理システム1では、周囲環境の電波を基に発電する環境発電型のタグであって、バッテリを備えていないタグであるIoTタグ(以下では適宜、単に「タグ」という。)を利用するものとする。 【0011】 (1-1)在庫管理システムのシステム構成 先ず、図1を参照して本実施形態の在庫管理システム1のシステム構成について説明する。図1は、本実施形態の在庫管理システム1のシステム構成を概略的に示す図である。 図1において、本実施形態の在庫管理システム1は、店舗内の各商品に取り付けられたIoTタグT(無線タグの一例)から受信する信号を基に、ネットワークに接続された商品管理サーバ5によって在庫管理が行われるクラウド型のシステムである。なお、商品管理サーバ5は、複数の店舗の在庫管理を行うことが可能であるが、図1では1つの店舗のみを示している。」 「【図1】 [図:0001434854000004.jpg] 」 「【0012】 図1に示すように、在庫管理システム1では、店舗内に、例えば無線装置2と、店員SCが所持する店員端末4(携帯端末の一例)と、受信機6とが設けられ、店舗内又は店舗の事務所に位置特定装置7が設けられている。位置特定装置7は、インターネット等のネットワークNWを介して商品管理サーバ5と通信可能である。 店員端末4は、限定しない例として、例えば、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンが挙げられる。店員端末4は、無線通信ネットワーク若しくは店舗内LAN(Local Area Network)(図示せず)およびネットワークNWを介して商品管理サーバ5と通信可能である。図1では、1つの店員端末4のみが示されるが、店舗内に複数の店員がいる場合には、複数の店員端末4が設けられる場合がある。 …(中略)… 【0015】 IoTタグTの通信距離は、例えば1~3メートルの範囲である。したがって、店員端末4を所持する店員SCが店舗内を巡回し、店員SCが店舗内の商品に近付いたときに、当該商品に取り付けられているIoTタグTと店員端末4とが通信可能となる。 【0016】 IoTタグTは、低電力消費の無線通信を行うように構成されており、通信プロトコルの例としては、Bluetooth Low Energy(登録商標)(以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。 IoTタグTは、BLEの規格に準拠する場合、周囲のBLE端末に対してアドバタイジングパケット(後述する)をブロードキャストする。 【0017】 店員SCが所持する店員端末4は、BLE端末として機能する。つまり、店員端末4は、IoTタグTによりブロードキャストされるアドバタイジングパケットを受信する。アドバタイジングパケットには、IoTタグTの固有の識別情報として、暗号化されたタグID(タグ識別情報の一例)が含まれている。店員端末4は、IoTタグTから受信した情報を、無線通信ネットワーク(図示せず)若しくは店舗内LAN、および、ネットワークNWを介して商品管理サーバ5に送信する。 【0018】 受信機6と位置特定装置7は通信可能に接続されており、店員端末4の店舗内での位置を特定する位置特定システムを構成する。受信機6(ロケータ)は、例えば店舗の天井に設置され、店舗内を移動する店員SCの店員端末4が放射する電波(ビーコン信号)を受信し、その電波の入射角を測定する。位置特定装置7は、受信機6が測定した入射角を基に店員端末4の店舗内の位置(平面上の位置)を特定するAOA(Angle of Arrival)方式により店員端末4を測位する。 なお、店舗内に複数の店員端末4が設けられている場合には、各店員端末4は、送信元を識別可能なビーコン信号を放射し、位置特定装置7は、各店員端末4を測位する。 【0019】 1つの受信機6によっても店員端末4の位置を推定可能であるが、店員端末4から送信されるビーコン信号の受信信号強度(RSSI)の大きさや店舗面積、店舗の電波環境に応じて、より多くの受信機6を設けることが好ましい。なお、店員端末4の測位方法はAOA方式に限定するものではなく、TOA(Time of Arrival)方式等の他の方法を利用してもよい。 【0020】 商品管理サーバ5(情報処理装置の一例)は、例えば店舗に対してクラウド型の在庫管理サービスを提供するネットワークサーバである。 商品管理サーバ5は、タグIDと商品コードとを対応付けた在庫データベースを有しており、店員端末4から取得するタグIDに対応する店舗内の各商品の在庫の有無を判定し、その判定結果を記録する。 また、商品管理サーバ5は、店員端末4からタグIDを取得するタイミングで位置特定装置7によって特定される店員端末4の推定位置から、当該タグIDに対応する商品コードの商品の、店舗内での位置を推定する。」 (ウ) 段落【0039】、図2 「【0039】 図2に示すように、位置特定装置7は、制御部71、ストレージ72、および、通信部73を備える。 制御部71は、マイクロプロセッサを主体として構成され、位置特定装置7の全体を制御する。例えば、制御部71のマイクロプロセッサは、位置特定エンジン(ソフトウェア)を実行し、受信機6から受信する入射角の情報を基に店員端末4の位置を特定する。より具体的には、AOA方式を利用する場合、前述したように、受信機6の店舗内での既知の位置(店舗の所定の位置を基準とした3次元座標の位置)と、受信機6から逐次取得する店員端末4の入射角(電波の到来方向)の情報とに基づいて、時刻の経過に応じた店員端末4の店舗のエリア内の位置(店舗フロアのXY座標の位置)を算出(測位)する。 制御部71は、算出された位置の情報(位置情報)を逐次、通信部73を介して商品管理サーバ5に送信する。店舗内に複数の店員端末4が設けられている場合には、制御部71は、店員端末4の端末IDごとに位置を算出して商品管理サーバ5に送信する。 店員端末4の測位間隔は、任意に設定してよいが、店員端末4の位置を正確に把握するために必要な時間(例えば、数100ms以下)に設定される。」 「【図2】 [図:0001434854000005.jpg] 」 (エ) 段落【0049】~【0054】、図4、7 「【0049】 (1-3)在庫管理システムの動作 次に、図7を参照して、本実施形態の在庫管理システム1の動作を説明する。図7は、本実施形態の在庫管理システム1の動作を示すシーケンスチャートである。 図7のシーケンスチャートでは、開始前に店舗の各商品に対応するレコードがすべて、商品管理サーバ5の在庫データベースに作成済みである場合を想定する。図7のシーケンスチャートの処理は、店員端末4が店舗内の各IoTタグ(タグT1,T2,…)からパケットを受信する度に繰り返し行われる。 また、図7では、受信機6と位置特定装置7を総称して位置特定システムと表記している。」 「【図7】 [図:0001434854000006.jpg] 」 「【0050】 在庫管理を行うときには、店員端末4を所持する店員が店舗内を巡回してもよく、所定の時間間隔で複数の店員端末4からの情報に基づいて行っても良い。 位置特定システムは、店員端末4が発信するビーコン信号を基に複数の店員端末4の店舗内の位置をモニタしている。つまり、店員端末4が、店員端末4に固有の識別情報である端末IDを含むビーコン信号を発信し(ステップS2)、位置特定装置7が当該ビーコン信号の受信機6における入射角を基に、端末IDによって特定される店員端末4の位置特定処理を行う(ステップS4)。位置特定システムは、位置を特定した店員端末4の位置情報を商品管理サーバ5に送信する(ステップS6)。商品管理サーバ5は、位置情報を受信する度に位置データセット(図4参照)を更新する(ステップS8)。」 「【図4】 [図:0001434854000007.jpg] 」 「【0054】 タグIDの認証が成功すると商品管理サーバ5は、当該タグIDと、その時点での最新の位置データセットとを突合する突合処理を行う(ステップS20)。具体的には、商品管理サーバ5は、位置データセットにおいて、処理対象となるタグIDを含む在庫処理要求を受信した時刻と同一の、又は当該時刻に最も近い時刻の店員端末4の位置を特定する。ここで特定された店員端末4の位置が、処理対象となるタグIDのタグが取り付けられている商品の店舗内の位置であると推定される。」 (オ) 段落【0062】~【0065】、図8、9 「【0062】 (2)第2の実施形態 次に、第2の実施形態に係る在庫管理システム1について、第1の実施形態との相違点に着目し、図8~図10を参照して説明する。 図8は、本実施形態の在庫管理システム1において複数の店員端末を利用したIoTタグの測位方法を説明する図である。図9は、本実施形態の在庫管理システム1の動作を示すシーケンスチャートである。図10A~図10Cは、それぞれ本実施形態の在庫管理システム1において店員端末4の表示例を示す図である。 後述するが、本実施形態では、複数の店員端末4を利用してタグを測位するため、タグと店員端末4の通信距離は、第1の実施形態よりも長い方が好ましい。例えば、通信距離は、3~10メートルの範囲である。」 「【図8】 [図:0001434854000008.jpg] 」 「【図9】 [図:0001434854000009.jpg] 」 「【0063】 本実施形態の在庫管理システム1の構成は、第1の実施形態(図2参照)と同じであるが、タグの位置特定方法が異なる。本実施形態では、店舗内に複数の店員端末4が設けられている場合には、より精度良くタグの位置を特定することができる。複数の店員端末4を用いたタグの位置特定方法について図8を参照して説明する。 図8は、店舗のエリア内を平面視した図であり、店舗内で例えば3個の店員端末4-1,4-2,4-3をそれぞれ店員が所持している場合を想定する。このとき、各店員端末の位置は逐次、上述したように、受信機6が各店員端末から受信したビーコン信号に基づいて測位される。図8において、タグTが送信するパケットを店員端末4-1,4-2,4-3が受信し、各端末がパケットを受信したときの受信信号強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator)値)をSR1,SR2,SR3とする。この位置特定方法では、距離に応じた電波の減衰特性を利用し、各端末でのRSSI値SR1,SR2,SR3に基づいてタグTと各端末との距離を推定し、三角測量法によりタグTを測位する。この位置特定方法によれば、複数の店員端末を利用することでタグの位置特定の精度を向上させることができる。 なお、図8では、3個の店員端末をタグTの測位に利用する場合を示しているが、その限りではない。店舗内の電波の伝播環境は一般に理想的な自由空間ではないため、4個以上の任意の数の店員端末を単一のタグTの測位に利用することで、さらにタグTの測位精度を高めることもできる。 【0064】 図9では、タグTがブロードキャスト送信したパケットを店舗内の店員端末4-1,4-2,4-3が受信する場合(ステップS30)を想定する。店員端末4-1,4-2,4-3は、パケットを受信すると、受信したパケットのPDUを復号し、ブロードキャストデータを抽出する。次いで各端末は、自身の端末IDと、ブロードキャストデータに含まれるタグIDと、パケットを受信したときのRSSI値とを含むビーコン信号を送信する(ステップS32)。 位置特定システムは、各端末から受信したビーコン信号に基づいて、タグTの現在位置を特定する位置特定処理を実行する(ステップS34)。 位置特定処理では、位置特定システムは、店員端末4-1,4-2,4-3の各端末からのビーコン信号の入射角の情報を基に、店員端末4-1,4-2,4-3を測位する。次いで、位置特定システムは、各端末から受信したビーコン信号に含まれるRSSI値に基づいて、タグTと各端末との距離を推定する。さらに位置特定システムは、店員端末4-1,4-2,4-3の位置と、タグTと各端末との距離とに基づいて、三角測量法によりタグTの現在位置(店舗フロアのXY座標の位置)を特定する。 【0065】 次に位置特定システムは、処理対象のタグIDと、ステップS34で特定したタグTの現在位置の情報とを含む在庫処理要求を、商品管理サーバ5に送信する(ステップS36)。 商品管理サーバ5は、受信した在庫処理要求に含まれるタグIDの認証を行う(ステップS38)。タグIDの認証が成功すると商品管理サーバ5は、棚配置データベース(図6)を参照して、タグTの現在位置に対応する棚IDを特定し(ステップS40)、在庫データベースを更新する(ステップS42)。在庫データベースの更新では、処理対象となるタグIDを含むレコードにおいて、「現在位置」フィールドにステップS40で特定された棚IDを格納し、「在庫有無」フィールドの値を「有」のまま(商品入荷時の値)とする。 ステップS38~S42の処理がすべて完了すると、商品管理サーバ5は、店員端末4-1,4-2,4-3に在庫処理完了通知を返す(ステップS44)。 なお、図9では、位置特定システムが1つのタグTの現在位置を特定する場合について説明した。店舗内の複数のタグの各々から各店員端末4がパケットを受信する場合も同様である。各店員端末4から位置特定システムに送信されるビーコン信号にはタグIDとRSSI値の情報が含まれているため、位置特定システムは、タグIDごとに各端末との距離を推定し、各タグの現在位置を特定する。」 イ 引用発明の認定 前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、第2の実施形態に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「店舗内の各商品に取り付けられたIoTタグT(以下「タグT」という。)から受信する信号を基に、ネットワークに接続された商品管理サーバ5によって在庫管理が行われる在庫管理システムであって、(【0011】) 店舗内に、店員SCが所持する店員端末4と、複数の受信機6(【0019】)と、位置特定装置7が設けられ、(【0012】) 受信機6と位置特定装置7は通信可能に接続されており、店員端末4の店舗内での位置を特定する位置特定システムを構成し、受信機6(ロケータ)は、店舗の天井に設置され、店舗内を移動する店員SCの店員端末4が放射する電波(ビーコン信号)を受信し、その電波の入射角を測定し、位置特定装置7は、受信機6が測定した入射角を基に店員端末4の店舗内の位置を特定するAOA(Angle of Arrival)方式により店員端末4を測位し、 店舗内に複数の店員端末4が設けられている場合には、各店員端末4は、送信元を識別可能なビーコン信号を放射し、位置特定装置7は、各店員端末4を測位し、(【0018】) 店員端末4の測位方法はAOA方式に限定するものではなく、TOA(Time of Arrival)方式等の他の方法を利用してもよく、(【0019】) 商品管理サーバ5は、店員端末4からタグIDを取得するタイミングで位置特定装置7によって特定される店員端末4の推定位置から、当該タグIDに対応する商品コードの商品の、店舗内での位置を推定し、(【0020】) 3個の店員端末4-1,4-2,4-3をそれぞれ店員が所持し、タグTが送信するパケットを店員端末4-1,4-2,4-3が受信し、各端末がパケットを受信したときの受信信号強度RSSI値をSR1,SR2,SR3とし、距離に応じた電波の減衰特性を利用し、各端末でのRSSI値SR1,SR2,SR3に基づいてタグTと各端末との距離を推定し、三角測量法によりタグTを測位し、複数の店員端末を利用することでタグの位置特定の精度を向上させ、(【0063】) 位置特定システムは、店員端末4-1,4-2,4-3の各端末から受信したビーコン信号に含まれるRSSI値に基づいて、タグTと各端末との距離を推定し、店員端末4-1,4-2,4-3の位置と、タグTと各端末との距離とに基づいて、三角測量法によりタグTの現在位置を特定する、(【0064】) 在庫管理システム。」 (3) 引用文献2の記載事項及び引用文献2技術事項の認定 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2020-122726号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 ア 引用文献2に記載された事項 (ア) 段落【0001】~【0009】 「【技術分野】 【0001】 本開示は、ユーザによって携帯される通信装置(以降、携帯端末)の車両に対する相対位置を、電波を用いて推定する技術に関する。」 【背景技術】 (…中略…) 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 車両においてそれぞれ異なる箇所に上記基準局としての通信機(以降、車載通信機)を3機以上設置した構成によれば、各車載通信機が携帯端末までの距離を算出/計測することで、車両に対する携帯端末の相対位置(以降、端末位置)を推定できる。しかしながら、上記方式は、3機以上の車載通信機が携帯端末と通信可能であることを前提とする。故に、携帯端末と通信可能な車載通信機が3機未満である場合には端末位置を特定不能となる。 【0006】 例えば、1つ又は複数の車載通信機が故障し、正常に動作可能な車載通信機が3機未満となった場合には、端末位置を特定できなくなってしまう。また、3機以上の車載通信機が正常であっても、携帯端末の位置によっては、携帯端末と通信可能な車載通信機が3機未満となっている状況もありうる。例えば携帯端末が一部の車載通信機の見通し外に位置している場合には、一部の車載通信機が携帯端末と通信できない事象が生じうる。そのような場合にも端末位置を特定不能となる。 【0007】 そのような課題に対し、車載通信機の数を増設すれば、端末位置を推定不能となる恐れは低減できる。しかしながら、車載通信機の増設はコストの増大を招く。加えて、車両の搭載スペースは有限であるため、車載通信機の設置可能数にも上限がある。例えば車両のモデルによっては3機しか車載通信機を設置できないことも考えられる。 【0008】 また、各車載通信機と携帯端末が通信することで特定される距離情報(例えば伝搬時間)には誤差が含まれる。そのため、携帯端末が通信可能な車載通信機が3機以上であってもその推定精度が高いとは限らない。特に、駐車されている車両の周囲には他車両や壁などが存在し、マルチパス環境となっている可能性が高い。車両がマルチパス環境下にある場合には、各車載通信機と携帯端末が通信することで特定される距離情報に含まれる誤差は増大しうる。そのような課題に対し、GNSSと同様の考え方によれば、車載通信機の設置数を増やせば、端末位置を誤推定する恐れを低減することが期待できる。しかしながら、車載通信機の増設は上述の通り、コストの増大等の課題がある。 【0009】 本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、基準局としての車載通信機を増設すること無く、端末位置を推定不能となる恐れや、端末位置を誤推定する恐れを低減可能な車両用位置推定システムを提供することにある。」 (イ) 段落【0015】~【0057】、図1~5 「【0015】 [実施形態] 以下、本開示の車両用位置推定システムの実施形態の一例として、当該車両用位置推定システムが適用された車両用電子キーシステムについて図を用いて説明する。本開示に係る車両用電子キーシステムは、図1に示すように、車両Hvに搭載された車載システム1と、当該車両Hvのユーザによって携帯される通信端末である携帯端末2と、を備えている。車載システム1が搭載されている車両Hvのことを以降では自車両とも記載する。」 「【図1】 [図:0001434854000010.jpg] 」 「【0016】 <全体の概要> 車載システム1と携帯端末2は、UWB-IR(Ultra Wide Band - Impulse Radio)方式の無線通信(以降、UWB通信)を実施可能に構成されている。すなわち、車載システム1と携帯端末2はUWB通信で使用されるインパルス状の電波(以降、インパルス信号)を送受信可能に構成されている。UWB通信で用いられるインパルス信号とは、パルス幅が極短時間(例えば2ナノ秒)であって、かつ、500MHz以上の帯域幅(つまり 超広帯域幅)を有する信号である。 …(中略)… 【0020】 <携帯端末2の構成について> まずは、携帯端末2の構成及び作動について説明する。携帯端末2は、車載システム1と対応付けられてあって、車両Hvの電子キーとして機能する装置である。携帯端末2は種々の用途に供される通信端末を援用して実現することができる。例えば携帯端末2はスマートフォンである。携帯端末2は、タブレット端末などの情報処理端末であってもよい。また、携帯端末2は、従来スマートキーとして知られている長方形型、楕円型(フォブタイプ)、又はカード型の小型デバイスであってもよい。その他、携帯端末2は、ユーザの指や腕等に装着されるウェアラブルデバイスとして構成されていてもよい。 【0021】 携帯端末2は、図2に示すように、UWB通信部21、BLE通信部22、及び携帯側制御部23を備える。携帯側制御部23は、UWB通信部21、及びBLE通信部22のそれぞれと相互通信可能に接続されている。」 「【図2】 [図:0001434854000011.jpg] 」 「【0022】 UWB通信部21は、UWBのインパルス信号を送受信するための通信モジュールである。UWB通信部21は、携帯側制御部23から入力されたベースバンド信号を変調する等、電気的に処理しつつ変調信号を生成し、この変調信号をUWB通信により送信する。変調信号は、送信データを所定の変調方式(例えばPCM変調方式)で変調した信号である。変調信号は、複数のインパルス信号を送信データに対応する時間間隔で配置した信号系列(以降、パルス系列信号)である。また、UWB通信部21は、車載システム1から送信された複数のインパルス信号からなる一連の変調信号(つまりパルス系列信号)を受信すると、当該受信信号を復調し、変調前のデータを復元する。そして、受信データを携帯側制御部23に出力する。 …(中略)… 【0029】 <車載システム1について> 次に車載システム1の機能及び構成について説明する。車載システム1は、携帯端末2と所定の周波数帯の電波を用いた無線通信を実施することで、パッシブ・エントリ・パッシブ・スタートシステム(以降、PEPSシステム)を実現するように構成されている。例えば車載システム1は、携帯端末2が車両Hvに対して予め設定されている作動エリア内に存在することを確認できている場合には、後述するドアボタン14に対するユーザ操作に基づいて、ドアの施錠や開錠といった制御を実行する。 …(中略)… 【0040】 サイドカメラ17は、車両Hvの後側方を撮像するカメラである。サイドカメラ17は、左右側面部に1つずつ設けられている。サイドカメラ17は、例えば運転席に着座したドライバから見たドアミラーに映る範囲を撮影するように設けられる。つまり、車載システム1はサイドカメラ17として図4に示すように、車両Hvの右後方を撮像するように右側面部に取り付けられている右側カメラ17Aと、車両Hvの左後方を撮像するように左側面部に取り付けられている左側カメラ17Bと、を備える。サイドカメラ17は、例えば電子ミラーシステムを構成するカメラである。電子ミラーシステムは、各サイドカメラ17によって撮影される車両Hvの後側方の映像を、所定のディスプレイに表示させるシステムである。なお、図4に示すハッチングは各カメラの撮像方向/範囲を概念的に表している。」 「【図4】 [図:0001434854000012.jpg] 」 「【0041】 右側カメラ17Aは、例えば車両Hvの右後方に撮像面を向けた姿勢にて、右側Aピラーの下端部付近に取り付けられる。Aピラーは車両Hvにおいて前から1番目のピラーである。Aピラーはフロントピラーとも称される。例えば右側カメラ17Aは、右側ドアミラーの取り付け位置に、右側ドアミラーに替えて設けられる。右側カメラ17Aの動作は、スマートECU11等によって制御される。右側カメラ17Aは駆動時、車両Hvの右側方から後方にかけての範囲を所定のフレームレートで撮像するとともに、その映像信号をスマートECU11等に提供する。 【0042】 左側カメラ17Bは、車両左側面部において右側カメラ17Aと対応する(換言すれば左右対称な)位置に取り付けられている。左側カメラ17Bの動作もまた、スマートECU11等によって制御される。左側カメラ17Bは駆動時、車両Hvの左側方から後方にかけての範囲を所定のフレームレートで撮像するとともに、その映像信号をスマートECU11等に提供する。 【0043】 リアカメラ18は、車両後方を撮像するカメラである。リアカメラ18は、車両の後端部や、リアガラスの上端部/下端部付近に設置されている。リアカメラ18の動作は、スマートECU11等によって制御される。リアカメラ18は駆動時、車両Hvの後方を所定のフレームレートで撮像するとともに、その映像信号をスマートECU11等に提供する。サイドカメラ17やリアカメラ18は何れも車室外(換言すれば外界)を撮像するカメラである。故に、サイドカメラ17やリアカメラ18を区別せず、車室外を撮像するカメラのことを以降では外界カメラとも記載する。 【0044】 <各UWB通信機12の取付位置及び電気的構成について> 本実施形態の車載システム1は、UWB通信機12として図4に示すように、右側通信機12A、左側通信機12B、前側通信機12C、及び後側通信機12Dを備える。右側通信機12Aは、例えば車両右側のBピラー(換言すればセンターピラー)の上側領域に配置されている。ピラーの上側領域とは、ピラーの上半分となる領域を指す。ピラーの上側領域には、ピラーの上端部も含まれる。左側通信機12Bは、例えば車両左側のBピラーの上側領域に配置されている。前側通信機12Cはルームミラー付近(換言すればフロントガラス上端部)に配置されている。後側通信機12Dは、例えば後部座席の上方に位置する天井部の車幅方向中央部に取り付けられている。なお、図4ではUWB通信機12の取付位置を明示するために屋根部を透過させている。 【0045】 フラッシュメモリ112には、各UWB通信機12の設置位置を示す通信機位置データが格納されている。車両Hvにおける各UWB通信機12の設置位置は、車両の任意の点を基準点(換言すれば原点)とする3次元直交座標系の点として表現されていればよい。ここでは一例として、前輪車軸の中心を原点とし、互いに直交するX、Y、Z軸を備える3次元座標系(以降、車両3次元座標系)上の点として表されている。車両3次元座標系を形成するX軸は車幅方向に平行であって、車両右側を正方向とする軸である。Y軸は車両前後方向に平行であって、車両前方を正方向とする軸である。Z軸は、車両高さ方向に平行であって、車両上方を正方向とする軸である。3次元座標系の中心は、例えば後輪車軸の中心など、適宜変更可能である。もちろん、他の態様として各UWB通信機12の搭載位置は極座標で表されていてもよい。各UWB通信機12の設置位置は通信機番号と対応付けられて保存されていればよい。 【0046】 複数のUWB通信機12のそれぞれは、図5に示すように、送信部31、受信部32、及び伝搬時間計測部33を備える。送信部31は、スマートECU11から入力されたベースバンド信号を変調する等、電気的に処理しつつインパルス信号を生成し、このインパルス信号を電波として放射する構成である。送信部31は例えば、変調回路311、及び送信アンテナ312を用いて実現されている。」 「【図5】 [図:0001434854000013.jpg] 」 「…(中略)… 【0057】 <スマートECU11の機能について> スマートECU11は、上述した位置推定プログラムを実行することで、図5に示す種々の機能ブロックに対応する機能を提供する。すなわち、スマートECU11は機能ブロックとして、車両情報取得部F1、BLE通信処理部F2、UWB通信処理部F3、通信機診断部F4、外界情報取得部F5、位置推定部F6、及び、車両制御部F7を備えている。」 (ウ) 段落【0075】~【0097】、図6~8 「【0075】 外界情報取得部F5は、サイドカメラ17やリアカメラ18といった外界カメラから入力される画像(以降、外界画像)を解析することで、車両周辺に相当する所定範囲に人が存在するか否かを判定する。また、人が存在する場合には、画像内における人物位置と、カメラの取付位置、及び取付姿勢に基づいて、その人物の車両Hvに対する相対位置(つまり所在)を特定する。車両Hvに対する人物の相対位置は、通信機位置を示す座標系と同様の車両3次元座標系にて表現されればよい。自車両周辺に存在する人物の相対位置を示す情報は、人位置情報として、位置推定部F6に提供される。外界カメラの撮像データは、外界カメラの撮像範囲に存在する人物の位置を表す情報に相当する。外界情報取得部F5が人物検出部に相当する。車両周辺とは例えば車室外において車両から3m以内となる領域である。車両周辺とみなす領域、換言すれば、人物の検出範囲は適宜設計されれば良い。 【0076】 なお、外界情報取得部F5としてのスマートECU11は、例えば、ユーザの車両Hvへの接近を検出した場合に、外界カメラを起動して外界画像を取得するように構成されていればよい。ユーザの車両Hvへの接近は、例えばBLE通信機13が携帯端末2からのアドバタイズ信号を受信したことに基づいて検出されれば良い。車両Hvの周辺に携帯端末2が存在するか否かは、BLE通信機13やUWB通信機12と携帯端末2との通信状況に基づいて判定されれば良い。当該制御態様によれば、駐車中に常時外界カメラを起動させておく必要はないため、駐車中の暗電流を抑制することができる。 【0077】 位置推定部F6は、携帯端末2の位置を推定する処理を実行する構成である。位置推定部F6は、概略的には、各UWB通信機12に所定の順に携帯端末2とインパルス信号を送受信させることにより、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離を推定する。そして、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報に基づいて携帯端末2の位置(以降、端末位置)を推定する。 【0078】 位置推定部F6は、例えばBLE通信機13が携帯端末2と通信接続が確立している状態において、端末位置の推定を実施する。以降では便宜上、車両Hvが駐車されている状態における端末位置を推定するための処理のことを駐車中位置推定処理とも称する。当該駐車中位置推定処理の詳細については、別途後述する。 【0079】 なお、駐車中位置推定処理は、車室外(主として車両周辺)における携帯端末2の位置を推定する処理に相当する。車室外においては、携帯端末2はユーザによって携帯されている可能性が高い。そのため、携帯端末2の位置を推定することは、ユーザの位置を推定することに相当する。 …(中略)… 【0081】 <駐車中位置推定処理> 次に、図6に示すフローチャートを用いてスマートECU11が実施する駐車中位置推定処理について説明する。駐車中位置推定処理は、BLE通信機13と携帯端末2との通信接続が確立されている状態において、例えば所定の位置推定周期で実施される。なお、BLE通信機13と携帯端末2との通信接続が確立されている状態とは、携帯端末2の認証が成功している状態に相当する。位置推定周期は、例えば200ミリ秒である。もちろん、位置推定周期は100ミリ秒や300ミリ秒であってもよい。本実施形態では一例として位置推定処理はステップS101~S109を備える。各ステップは、主として位置推定部F6が、UWB通信機12やBLE通信機13、BLE通信処理部F2、UWB通信処理部F3などと協働して実行される。」 「【図6】 [図:0001434854000014.jpg] 」 「【0082】 まずステップS101ではBLE通信処理部F2と協働して、BLE通信機13に反射応答指示信号を送信させる。反射応答指示信号は、携帯端末2に反射応答モードで動作するように指示する信号である。これにより、携帯端末2は車載システム1から送信されたインパルス信号を受信する度に、反射的にインパルス信号を返送するように動作する。 【0083】 次にステップS102では、通信機診断部F4によって不具合が検出されていない任意のUWB通信機12(つまり健全機)をホスト機に設定する。ホスト機は、複数のUWB通信機12のうち、ラウンドトリップ時間を計測する役割を担うUWB通信機12に相当する。ステップS102での処理が完了するとステップS103を実行する。ステップS103では、当該ホスト機からインパルス信号を送信させる。これによりステップS104にてホスト機が送信した無線信号が携帯端末2で受信されるまでの時間である伝搬時間Taを取得する。その際、ホスト機以外のUWB通信機12は、動作を停止させるか、インパルス信号を受信しても応答信号としてのインパルス信号を返送しないように制御される。 【0084】 上記のステップS103~S104においてホスト機の伝搬時間計測部33は、位置推定部F6からの指示に基づき図7に示すように、ラウンドトリップ時間Tpを計測する。そして、当該ラウンドトリップ時間Tpに携帯端末2での応答処理時間Tbの想定値を減算する。応答処理時間Tbの想定値は、演算用のパラメータとしてフラッシュメモリ112に登録されていればよい。ラウンドトリップ時間Tpから応答処理時間Tbを減算した値は、往復分の飛行時間に相当する。故に、ラウンドトリップ時間Tpから応答処理時間Tbを減算した値を2で割った値は、無線信号の片道分の飛行時間に相当する。伝搬時間計測部33は、ラウンドトリップ時間Tpから応答処理時間Tbを減算した値を2で割った値を伝搬時間TaとしてスマートECU11に提供する。」 「【図7】 [図:0001434854000015.jpg] 」 「【0085】 なお、伝搬時間計測部33は、インパルス信号を送信してから所定の応答待機時間が経過しても応答信号としてのインパルス信号を受信しなかった場合には、伝搬時間Taが不明であることを示すデータをスマートECU11に提供すればよい。応答待機時間は例えば33ナノ秒など、ユーザが車両Hvから十分(例えば10m以上)離れている状態を想定した値に設定されていればよい。以降では、携帯端末2からの応答信号としてのインパルス信号を受信でき、その結果として、伝搬時間Taの計測に成功したUWB通信機12のことを測距成功機とも記載する。伝搬時間Taは携帯端末2までの距離を示す情報として機能するためである。 【0086】 ステップS105では全ての健全機に伝搬時間Taを計測させたか否かを判定する。全ての健全機に伝搬時間Taの計測を実行させている場合にはステップS105を肯定判定してステップS107を実行する。一方、まだ伝搬時間Taの計測を実行していない健全機が残っている場合にはステップS105を否定判定してステップS106を実行する。 【0087】 ステップS106では、伝搬時間Taをまだ計測していない任意の健全機をホスト機に設定してステップS103を実行する。ホスト機として動作させる順番(換言すればインパルス信号を送信させる順番)は適宜設計されれば良い。例えば位置推定部F6は、全てのUWB通信機12が健全機である場合には、右側通信機12A→左側通信機12B→前側通信機12C→後側通信機12Dの順にホスト機に設定する。各UWB通信機12で計測された伝搬時間Taは、携帯端末2までの距離を間接的に示す。つまり、伝搬時間Taは距離情報に相当する。故に、ステップS103からステップS106までの一連の処理は、各UWB通信機12からインパルス信号を送信させることにより、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報を収集する処理に相当する。 【0088】 ステップS107では、ステップS103~ステップS106の処理の結果として、3機以上のUWB通信機12にて伝搬時間を取得できたか否かを判定する。つまり、測距成功機が3機以上となっているか否かを判定する。3機以上のUWB通信機12にて伝搬時間を取得できている場合とは、3機以上のUWB通信機12が携帯端末2と無線通信可能な位置関係にあることを意味する。なお、或るUWB通信機12において伝搬時間が取得できなかった場合とは、偶発的に携帯端末2との通信が失敗した場合や、当該UWB通信機12が故障している場合などである。また、伝搬時間を取得できたUWB通信機12とは、例えば携帯端末2からの応答としてのインパルス信号を受信できたUWB通信機12に相当する。 【0089】 3機以上のUWB通信機12にて伝搬時間を取得できている場合には、ステップS107を肯定判定してステップS108を実行する。一方、伝搬時間を取得できたUWB通信機12の数が3機未満である場合には、ステップS107を否定判定してステップS109を実行する。 【0090】 ステップS108では、伝搬時間を取得できている各UWB通信機12の設置位置と、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報に基づいて携帯端末2の位置を算出する。各UWB通信機12の設置位置は、フラッシュメモリ112に格納されている通信機位置データを使用すれば良い。各UWB通信機12から携帯端末2までの距離は、各UWB通信機12での伝搬時間Taに光速を乗じた値とすればよい。各UWB通信機12の設置位置と各UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報に基づく位置の推定は、三角測量の原理を用いて実施することができる。各UWB通信機12の設置位置及び携帯端末2までの距離情報を用いた位置推定法としては、最小二乗法や、Newton-Raphson法、最小二乗平均推定法(MMSE:Minimum Mean Square Estimate)など、多様なアルゴリズムを採用することができる。以降では、各UWB通信機12の設置位置と、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報を用いて端末位置を推定する測位方式をノーマル方式と称する。 【0091】 ステップS109では、伝搬時間を取得できている各UWB通信機12の設置位置、及び、そのUWB通信機12で観測された伝搬時間に加えて、外界情報取得部F5が取得している人位置情報を併用して端末位置を推定する。例えば前側通信機12Cと後側通信機12Dでのみ伝搬時間を計測できた場合、その伝搬時間の大きさによっては、図8に示すように、車両右側と左側に携帯端末2が存在しうる領域(以降、候補領域)Ar1、Ar2が生じうる。候補領域Ar1、Ar2は、前側通信機12Cからの距離が前側観測距離となり、かつ、後側通信機12Dからの距離が後側観測距離となる地点から所定の測距誤差以内となる領域を指す。前側観測距離は、前側通信機12Cで観測された伝搬時間に基づいて定まる、前側通信機12Cから携帯端末2までの距離を指す。後側観測距離は、後側通信機12Dで観測された伝搬時間に基づいて定まる、後側通信機12Dから携帯端末2までの距離を指す。図8における1点鎖線は、前側通信機12Cから前側観測距離となる地点を示しており、2点鎖線は、後側通信機12Dから後側観測距離となる地点を示している。測距誤差は、例えば15cmや30cm、50cmなどに設定されていればよい。」 「【図8】 [図:0001434854000016.jpg] 」 「【0092】 このような場合において、外界情報取得部F5によって車両右側の候補領域Ar1付近に人物Pdが存在し、かつ、車両左側の候補領域Ar2に誰もいないことが確認されている場合には、携帯端末2は車両右側の候補領域Ar1に存在すると判定する。車両右側に人物Pdが存在するか否かは右側カメラ17Aの撮像画像を解析することで特定される。車両左側に人物Pdが存在するか否かは左側カメラ17Bの撮像画像を解析することで特定される。図8における星印「☆」は、携帯端末2の推定位置を概念的に示している。 【0093】 なお、前側通信機12C及び後側通信機12Dから所定距離以内となる点の集合は、3次元的には、YZ平面に略平行な円環状となりうる。ただし、高さ方向において携帯端末2が存在しうる範囲には地上から2m以内となることが期待できる。少なくとも通常の車両の使用において、屋根部の上や車体下に携帯端末2が存在する可能性は無視できる。故に、上記のような例においては、候補領域は車両の左側と右側に二分割して取り扱うことができる。 【0094】 また、他の例として、後側通信機12Dでのみ伝搬時間の計測に成功している場合には、車室外において後側通信機12Dから後部観測距離となる領域において人が存在する地点を端末位置として採用する。例えば図9に示すように、サイドカメラ17の撮像画像に基づいて車両左右において後側通信機12Dから後部観測距離となる地点に誰もいないことが検出されており、且つ、リアカメラ18の撮像画像に基づいて後側通信機12Dから後部観測距離となる地点に人の存在が検出されている場合には、当該リアカメラ18によって撮像されている人物の位置を端末位置として採用する。なお、人の位置が3次元モデルとして表現されている場合には、その中心/重心に相当する座標を当該人物の位置座標として用いれば良い。以降では、UWB通信機12の設置位置と、UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報とに加えて、人位置情報を併用して端末位置を推定する測位方式を人位置併用方式と称する。人位置併用方式は、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報と、人位置情報を相補的に使用して端末位置を特定する方式に相当する。 【0095】 以上によって算出された端末位置は、車両制御部F7等によって参照される。例えば、ステップS107で算出された端末位置が作動エリアや車室内に該当するか否かを判定する。端末位置が作動エリア内に該当する場合には、車両制御部F7は当該判定結果に基づいてドアの開錠や施錠を実行する。 【0096】 <本実施形態の効果> ここでは比較構成を導入して本実施形態の効果について説明する。比較構成は、外界カメラの撮像画像を用いずに、複数のUWB通信機12で観測された携帯端末2までの無線信号の伝搬時間と、各UWB通信機12の設置位置のみを用いて端末位置を推定する構成である。このような比較構成では、携帯端末2と通信可能なUWB通信機12の数が3機未満である場合には、携帯端末2の位置が不定(特定不能)となってしまう。端末位置が不定となると、携帯端末2が作動エリアに存在するのか否かを識別できず、車両Hvのドアの開錠を実施しない。つまり、ユーザとしてはPEPSシステムとしての機能を利用できなくなってしまい、利便性が低下する。 【0097】 これに対し、上述した実施形態によれば、携帯端末2と通信可能なUWB通信機12が3機未満である場合には、車室外において携帯端末2はユーザに携帯されているという前提の元、外界カメラでの撮像画像に基づいて端末位置を特定する。このような構成によれば、UWB通信機12の故障又は偶発的な通信エラー等によって、携帯端末2からの応答信号を受信できたUWB通信機12の数が3機未満であっても端末位置を推定することができる。なお、携帯端末2と通信可能なUWB通信機12の数は、携帯端末2の位置を推定するために使用可能なUWB通信機12の数に相当する。上記の構成は、測距成功機の数に応じて、車室外における携帯端末2の位置の推定処理に、人位置情報を使用するかどうかを切り替える構成に相当する。」 (エ) 段落【0102】~【0106】、図10 「【0102】 [変形例1] 上述した実施形態では、測距成功機が3機未満である場合に人位置情報を併用して端末位置を推定する態様を開示したが、端末位置の推定に人位置情報を併用する条件はこれに限定されない。例えば位置推定部F6は、測距成功機の数が3機以上である場合にも人位置情報を併用して端末位置を推定するように構成されていても良い。以下、当該技術思想に基づく位置推定部F6の作動例について変形例1として図10を用いて説明する。」 「【図10】 [図:0001434854000017.jpg] 」 「【0103】 図10に示すフローチャートはステップS108の代替処理である。本変形例の位置推定部F6は、測距成功機の数が3機以上である場合には、伝搬時間を取得できている各UWB通信機12の設置位置と、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報に基づいて携帯端末2の位置を算出する(ステップS201)。 【0104】 次に、外界情報取得部F5から人位置情報を取得し、ステップS201で推定した端末位置(以降、推定位置)に人が存在するか否かを判定する(ステップS202)。推定位置に人が存在する場合には(ステップS202 YES)、その推定位置を端末として採用する(ステップS203)。一方、推定位置に人が存在しない場合には(ステップS202 NO)、外界情報取得部F5から提供されている人位置情報に基づき、推定位置から所定の補正許容距離以内に人が存在するか否かを判定する(ステップS204)。補正許容距離は、後述するステップS205にて端末位置を推定位置近傍に存在する人の位置へと補正する処理を実施するための閾値としての機能するパラメータである。補正許容距離は、ノーマル測位方式の測位誤差の許容値に応じた値に設定されている。補正許容距離は、例えば30cmや50cmなどに設定されていれば良い。 【0105】 推定位置から補正許容距離以内に人が存在する場合には(ステップS204 YES)、その人物(推定位置から補正許容距離以内に存在する人物)の位置を、端末位置として採用する(ステップS205)。すなわち、推定位置を人位置へと補正した上で、端末位置として採用する。一方、推定位置から補正許容距離以内に人が存在しない場合には(ステップS204 NO)、端末位置は不定として判断する(ステップS206)。 【0106】 以上の制御態様によれば、反射等の影響によって一部のUWB通信機12にて観測された伝搬距離に誤差が含まれ、測位結果に数10cm程度の誤差が生じた場合であっても、端末位置を正しい位置へと補正することができる。つまり、端末位置の推定精度を高めることができる。」 イ 引用文献2技術事項の認定 前記アに摘記した引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には、変形例1に係る次の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用文献2技術事項> 「ユーザによって携帯される通信装置(携帯端末)の車両に対する相対位置を、電波を用いて推定する技術であって、(【0001】) 駐車されている車両の周囲には他車両や壁などが存在し、マルチパス環境となっている可能性が高いところ、車両がマルチパス環境下にある場合には、各車載通信機と携帯端末が通信することで特定される距離情報に含まれる誤差は増大し得るため、これを解決するものであり、【0008】 外界情報取得部F5は、サイドカメラ17やリアカメラ18といった外界カメラから入力される画像(外界画像)を解析することで、車両周辺に相当する所定範囲に人が存在するか否かを判定し、 人が存在する場合には、画像内における人物位置と、カメラの取付位置、及び取付姿勢に基づいて、その人物の車両Hvに対する相対位置(所在)を特定し、 車両Hvに対する人物の相対位置は、通信機位置を示す座標系と同様の車両3次元座標系にて表現し、自車両周辺に存在する人物の相対位置を示す情報は、人位置情報として、位置推定部F6に提供され、 外界カメラの撮像データは、外界カメラの撮像範囲に存在する人物の位置を表す情報に相当し、(【0075】) 位置推定部F6は、各UWB通信機12に所定の順に携帯端末2とインパルス信号を送受信させることにより、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離を推定し、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報に基づいて携帯端末2の位置(端末位置)を推定し、(【0077】) 位置推定部F6は、伝搬時間を取得できている各UWB通信機12の設置位置と、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報に基づいて携帯端末2の位置を算出し、(【0103】) 外界情報取得部F5から人位置情報を取得し、推定した端末位置(推定位置)に人が存在するか否かを判定し、推定位置に人が存在する場合には、その推定位置を端末として採用し、推定位置に人が存在しない場合には、外界情報取得部F5から提供されている人位置情報に基づき、推定位置から所定の補正許容距離以内に人が存在するか否かを判定し、(【0104】) 推定位置から補正許容距離以内に人が存在する場合には、その人物の位置を、端末位置として採用し、推定位置を人位置へと補正した上で、端末位置として採用することで、(【0105】) 端末位置を正しい位置へと補正し、端末位置の推定精度を高めることができる、(【0106】) 端末位置を推定する技術。」 (4) 引用文献3の記載事項及び引用文献3技術事項の認定 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2007-316028号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 ア 引用文献3に記載された事項 (ア) 段落【0001】~【0010】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、自律的に現在位置を取得できない移動通信装置に対して、その現在位置情報を提供する位置情報提供システムおよび移動通信装置に関する。 …(中略)… 【0009】 第1の発明は、現在位置を検知する位置検知手段を備えて自律的に現在位置を取得する第1の移動通信装置が、自律的に現在位置を取得できない第2の移動通信装置の現在位置を検出し、その現在位置を第2の移動通信装置に通知する位置情報提供システムにおいて、第1の移動通信装置は、第2の移動通信装置との間で無線通信を行う無線通信手段と、無線通信手段を用いて第2の移動通信装置と交信し、送受信パワーまたは信号伝送時間を計測して第1の移動通信装置と第2の移動通信装置との間を距離を算出する測距手段と、位置検知手段が取得した現在位置と、測距手段が取得した第1の移動通信装置と第2の移動通信装置との間を距離から、第2の移動通信装置の現在位置を算出し、当該現在位置を含むデータを無線通信手段から第2の移動通信装置に送信する制御を行う制御手段とを備える。第2の移動通信装置は、第1の移動通信装置との間で無線通信を行う無線通信手段と、第1の移動通信装置から送信されたデータを無線通信手段で受信し、該データから第2の移動通信装置の現在位置を取得する制御を行う制御手段とを備える。 【0010】 また、第1の移動通信装置の測距手段は、無線通信手段を用いて第2の移動通信装置と交信した際の平均送信パワーと平均受信パワーを計測し、その計測値の比を用いて第1の移動通信装置と第2の移動通信装置との間を距離を算出する構成である。」 (イ) 段落【0018】~【0019】、図1 「【0018】 (システム構成) 図1は、本発明の位置情報提供システムの実施形態を示す。図において、位置情報提供システムは、自装置の現在位置を取得可能な移動通信装置10と、自律的に自装置の現在位置を取得できない移動通信装置20から構成される。移動通信装置10は、位置検知部11、無線通信部12、測距部13を備え、それらが制御部14を介して接続された構成である。一方、移動通信装置20は、無線通信部21と制御部22が接続された構成である。移動通信装置10と移動通信装置20は、互いに無線通信可能な範囲に存在している限り、双方の無線通信部12,21を介して無線通信が可能である。」 「【図1】 [図:0001434854000018.jpg] 」 「【0019】 ここで、移動通信装置10および移動通信装置20は、例えば携帯電話やPHSなどの通話装置、または無線通信機能を内蔵した携帯型コンピュータやPDAなどの小型コンピュータであってもよい。また、移動通信装置10は、例えば車載の通信機能付きカーナビゲーション装置であってもよい。このような通信機能を備えたカーナビゲーション装置は、カーテレマティクス装置とも呼ばれている。また、移動通信装置20は、例えばICタグなどであってもよい。これらの装置は、内蔵された補助記憶装置に格納されているプログラムを主記憶部に展開し、処理部が該プログラムに従って演算処理する「コンピュータ」に類するものであればその形態を問わない。また、移動通信装置10および移動通信装置20は、自走するロボットのような装置でもよいが、必ずしも自走できる必要はない。すなわち、人が携帯して持ち運べる装置、あるいは車両に搭載して移動できる装置であればよい。また、本発明の位置情報提供システムは、移動通信装置10と移動通信装置20の2台で運用される場合に限らず、本システムが適用される空間(実空間およびコンピュータやネットワークで展開される仮想空間)上で複数あってもよい。また、移動通信装置10を構成する位置検知部11、無線通信部12および測距部13、移動通信装置20を構成する無線通信部21は、ソフトウェア処理またはハードウェア処理のいずれの形態であってもよい。」 (ウ) 段落【0031】~【0034】、図7、8 「【0031】 (移動通信装置20の位置同定方法) 移動通信装置10は、位置検知部11で得た自装置の現在位置と、測距部13で得た移動通信装置20との距離から、移動通信装置20の位置を次のように同定する。なお、この処理は、移動通信装置10の制御部14で行われ、同定された移動通信装置20の位置情報は無線通信部12から移動通信装置20に通知される。また、移動通信装置10における移動通信装置20の位置の同定には、移動通信装置10の移動量に対して移動通信装置20の移動量が小さい(または静止している)ことが前提になる。 【0032】 図7は、第1の位置同定方法を示す。図において、移動通信装置10は(1)の位置で、自装置の現在位置P1と移動通信装置20との距離L1を得る。このとき、移動通信装置20は、移動通信装置10の現在位置P1に対して半径L1の円周上に位置することがわかる。次に、移動通信装置10は(2)の位置に移動し、同様に自装置の現在位置P2と移動通信装置20の距離L2を得る。このとき、移動通信装置20は、P1を中心とする半径L1の円周と、P2を中心とする半径L2の円周の交点C1,C2のいずれかに位置することがわかる。」 「【図7】 [図:0001434854000019.jpg] 」 「【0033】 次に、例えば移動通信装置10から位置C1,C20の方向にアンテナ指向性を設定し、交互に指向方向を変えて移動通信装置20に制御信号を送信し、その応答信号のあった方向に移動通信装置20の位置を同定する。 【0034】 また、図8に示すように、移動通信装置10が非直線的に移動する場合には、移動通信装置10,20間の(1),(2),(3)で距離計測を3回以上行うことにより、移動通信装置20の1つの位置を同定することが可能である。」 「【図8】 [図:0001434854000020.jpg] 」 イ 引用文献3技術事項の認定 前記アに摘記した引用文献3の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用文献3技術事項> 「自律的に現在位置を取得できない移動通信装置に対して、その現在位置情報を提供する位置情報提供システムであって、(【0001】) 現在位置を検知する位置検知手段を備えて自律的に現在位置を取得する第1の移動通信装置が、自律的に現在位置を取得できない第2の移動通信装置の現在位置を検出し、 第1の移動通信装置は、第2の移動通信装置との間で無線通信を行う無線通信手段と、無線通信手段を用いて第2の移動通信装置と交信し、送受信パワーまたは信号伝送時間を計測して第1の移動通信装置と第2の移動通信装置との間を距離を算出する測距手段と、位置検知手段が取得した現在位置と、測距手段が取得した第1の移動通信装置と第2の移動通信装置との間を距離から、第2の移動通信装置の現在位置を算出し、(【0009】) 自装置の現在位置を取得可能な移動通信装置10と、自律的に自装置の現在位置を取得できない移動通信装置20から構成された場合には、(【0018】) 移動通信装置10は、位置検知部11で得た自装置の現在位置と、測距部13で得た移動通信装置20との距離から、(【0031】) 移動通信装置10が非直線的に移動する場合には、移動通信装置10,20間の(1),(2),(3)で距離計測を3回以上行うことにより、移動通信装置20の1つの位置を同定する、(【0034】) 位置情報提供システム。」 (5) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点(位置特定システム) 引用発明の「在庫管理システム」は、店舗内に存在する物品の位置の特定、すなわち物品の位置推定を行うものであるといえるから、「位置推定システム」の発明である本件補正発明と「在庫管理システム」の発明である引用発明は、「位置推定」を行う「システム」の発明である点において一致する。 (イ) 構成A1及びA2の観点(取得部及び推定部について) a 構成A1は、「人が位置する空間が映る画像の画像情報、及び、前記空間の温度分布情報のいずれかの情報を取得する取得部」を備えることであり、構成A2は、「取得された前記情報に基づいて、前記空間における前記人の座標を推定する推定部」を有することである。 b 引用発明は、本件補正発明の構成A1及びA2に相当する構成を備えていないから、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。 (a) 本件補正発明は「人が位置する空間が映る画像の画像情報、及び、前記空間の温度分布情報のいずれかの情報を取得する取得部」を備えるのに対し 引用発明は当該構成を備えない点。 (b) 本件補正発明は「取得された前記情報に基づいて、前記空間における前記人の座標を推定する推定部」を備えるのに対し 引用発明は当該構成を備えない点。 (ウ) 構成A3の観点(位置情報取得部について) a 構成A3は、「前記空間に位置する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置それぞれとの通信状態に基づいて前記第一通信装置の位置を計測する測位システムから前記第一通信装置の位置情報を取得する位置情報取得部とを備え[る]」ことである。 b 引用発明における「店舗内」、「携帯端末4」及び「受信機6」はそれぞれ、本件補正発明における「空間」、「第一通信装置」及び「第二通信装置」に相当する。また、本件補正発明における「携帯端末4」は「店舗内」に位置し、「受信機6」は「店舗の天井」に設置されるのであるから、「携帯端末4」及び「受信機6」はそれぞれ、本件補正発明における「空間に位置する第一通信装置」及び「空間に設置された」「第二通信装置」に相当するものといえる。 c そして、引用発明においては、店舗の天井に設置された複数の「受信機6」は「携帯端末4」が放射する電波(ビーコン信号)を受信し、その電波の入射角を測定し、引用発明における「位置特定装置7」は、「受信機6」が測定した入射角を基に「店員端末4」の店舗内の位置を測位するのであるから、引用発明の「位置特定装置7」は、本件補正発明の「空間に位置する人が保持する対象の第一通信装置と空間に設置された複数の第二通信装置それぞれとの通信状態に基づいて第一通信装置の位置を計測する測位システム」に相当する部分を有するものと認められる。 d なお、前記cでは「AOA(Angle of Arrival)方式」により「店員端末4」を測位する場合について検討したが、引用発明は、測位の方式として「TOA(Time of Arrival)方式」を用いることも記載されている。 e 引用発明の「位置特定装置7」が本件補正発明の「測位システム」に相当する部分を有することは前記cで検討したとおりである。そして、当該部分で測位された「店員端末4」の位置情報はその後「位置特定装置7」において物品の位置を特定するのに用いられることから、前記「位置特定装置7」は、当該部分に加えて、本件補正発明における「測位システムから第一通信装置の位置情報を取得する位置情報取得部」に相当する部分を有しているものと認められる(後記(オ)eも参照されたい。)。 f したがって、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。 「空間に位置する第一通信装置と空間に設置された複数の第二通信装置それぞれとの通信状態に基づいて第一通信装置の位置を計測する測位システムから第一通信装置の位置情報を取得する位置情報取得部とを備える」点 (エ) 構成A4の観点 a 構成A4は、「推定部」が「推定された前記人の座標、及び、取得された前記位置情報に基づいて、前記人が保持する対象の第一通信装置の座標を推定[する]」ことである。 b 引用発明における「店員端末4」は「店員SC」が所持するものであるから、本件補正発明の「第一通信装置」と引用発明の「店員端末4」は「人が保持する対象」である点で一致する。 c 引用発明における「位置特定装置7」は、店舗内の店員SCが所持する「店員端末4」から店舗内に設置された「複数の受信機6」が受信する電波(ビーコン信号)の受信状態に基づいて、「店員端末4」の店舗内の位置を測位する位置特定システムから取得される「店員端末4」の店舗内の位置をそのまま採用しているところ、本件補正発明の「推定部」とは、「取得された前記位置情報に基づいて、前記人が保持する対象の第一通信装置の座標を推定」する点で共通するといえるが、その一方で、引用発明は「推定された」「人の座標」を有していないから、「店員端末4」の位置を推定するにあたり、「推定された」「人の座標」に基づいてはいない(前記(イ)も参照されたい。)。 d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成A4の観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成A4の観点における一致点 「推定部は、取得された位置情報に基づいて、第一通信装置の座標を推定」する点 (b) 構成A4の観点における相違点 本件補正発明では、 「推定された前記人の座標、及び、取得された前記位置情報に基づいて、前記人が保持する対象の第一通信装置の座標を推定」するのに対し、 引用発明では、 店員端末4の店舗内の位置を測位する位置特定システムから取得される、店員端末4の店舗内の位置をそのまま採用している点。 (オ) 構成A1~A4の「人の座標」及び「第一通信装置の位置情報」 ここで、前記(イ)~(エ)を踏まえるに、構成A4における「推定された前記人の座標」は、構成A1において「取得」処理された「人が位置する空間が映る画像の画像情報、及び、前記空間の温度分布情報のいずれかの情報」に基づいて、構成A2において「推定」処理された「前記空間における前記人の座標」である。また、構成A4における「取得された前記位置情報」は、構成A3における「前記空間に位置する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置それぞれとの通信状態に基づいて前記第一通信装置の位置を計測する測位システム」から「取得」処理された「前記第一通信装置の位置情報」にほかならない。 他方、引用発明における「店員端末4の店舗内の位置」は、店舗内の店員SCが所持する店員端末4から、店舗内に設置された複数の受信機6が受信する電波(ビーコン信号)の受信状態に基づいて、店員端末4の店舗内の位置を測位する位置特定システムから取得処理された、店員端末4の店舗内の位置である。 (カ) 構成Bについて a 構成Bは、推定部が「前記人以外の物体に保持された第三通信装置と前記対象の第一通信装置との互いに異なる複数のタイミングにおける通信状態、及び、推定された前記対象の第一通信装置の前記複数のタイミングにおける座標に基づいて、前記空間における前記物体の座標を推定する」ことである。 b 引用発明における、「物品に取り付けられている無線タグ」である「タグT」は本件補正発明における「第三通信装置」に相当する。 c 引用発明においては、「タグTが送信するパケットを店員端末4-1,4-2,4-3が受信し、各端末がパケットを受信したときの受信信号強度をSR1,SR2,SR3」とし、「距離に応じた電波の減衰特性を利用し、各端末でのRSSI値SR1,SR2,SR3に基づいてタグTと各端末との距離を推定し、三角測量法によりタグTを測位する」ものであるから、本件補正発明と引用発明は「前記人以外の物体に保持された第三通信装置と前記対象の第一通信装置との通信状態に基づいて、前記空間における前記物体の座標を推定」する点で一致する。 d 引用発明においては、当該三角測量を行うのに際して「位置特定システムは、店員端末4-1,4-2,4-3の位置と、タグTと各端末との距離とに基づいて、三角測量法によりタグTの現在位置を特定する」ものであり、引用発明における「位置特定システム」は「受信機6と位置特定装置7」によって構成されているのであるから、「位置特定装置7」によってタグTの現在位置が特定されているものと認められるため、当該「位置特定装置7」は本件補正発明の「推定部」に相当するものと認められる。 してみれば、本件補正発明の「推定部」と引用発明の「位置特定装置7」とは、「人以外の物体に保持された第三通信装置と対象の第一通信装置との互いに異なる複数の通信状態、及び、推定された対象の第一通信装置の互いに異なる複数の座標に基づいて、空間における前記物体の座標を推定する」点で共通する。 e また、引用発明の「位置特定システム7」は「店員端末4-1,4-2,4-3の位置」を用いて「タグT」の現在位置を特定しているから、引用発明の「位置特定装置7」は、「位置特定装置7」の「測位システム」に相当する部分から、「店員端末4-1,4-2,4-3の位置」の情報を取得する部分を有することは明らかである。すなわち、引用発明における「位置特定装置7」は、本件補正発明における「測位システム」、「位置情報取得部」及び「推定部」に相当する部分を備えているものと認められる。 f 一方、引用発明においては、SR1,SR2,SR3との互いに異なる携帯端末との通信状態及び互いに異なる通信端末の座標に基づいてタグTを測位しており、通信状態の測定のタイミングを異ならせる本件補正発明とは相違する。 g 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Bの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成Bの観点における一致点 「推定部が前記人以外の物体に保持された第三通信装置と前記対象の第一通信装置との互いに異なる複数の通信状態、及び、推定された前記対象の第一通信装置の互いに異なる複数の座標に基づいて、前記空間における前記物体の座標を推定する」点。 (b) 構成Bの観点における相違点 前記物体の座標を推定するために「前記人以外の物体に保持された第三通信装置と前記対象の第一通信装置との互いに異なる複数の通信状態、及び、推定された前記対象の第一通信装置の互いに異なる複数の座標に基づいて、前記空間における前記物体の座標」を用いるにあたり、 本件補正発明においては、「複数のタイミングにおける通信状態」及び「複数のタイミングにおける座標」を用いるものであるのに対し、 引用発明においては、互いに異なる携帯端末との通信状態及び互いに異なる通信端末の座標を用いるものである点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「空間に位置する人が保持する対象の第一通信装置と空間に設置された複数の第二通信装置それぞれとの通信状態に基づいて第一通信装置の位置を計測する測位システムから前記第一通信装置の位置情報を取得する位置情報取得部とを備え、 推定部は、 取得された位置情報に基づいて、第一通信装置の座標を推定し、 人以外の物体に保持された第三通信装置と対象の第一通信装置との互いに異なる複数の通信状態、及び、推定された前記対象の第一通信装置の互いに異なる複数の座標に基づいて、前記空間における前記物体の座標を推定する 位置推定システム。」 である点。 (イ) 相違点 a 相違点1(構成A1、A2、A4) 第一通信装置の座標を推定する処理として、 本件補正発明では、 「人が位置する空間が映る画像の画像情報、及び、前記空間の温度分布情報のいずれかの情報を取得」し、「取得された前記情報に基づいて、前記空間における前記人の座標を推定」し、「前記空間に位置する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置それぞれとの通信状態に基づいて前記第一通信装置の位置を計測する測位システムから前記第一通信装置の位置情報を取得」し、「推定された前記人の座標、及び、取得された前記位置情報に基づいて、前記人が保持する対象の第一通信装置の座標を推定」するのに対し、 引用発明では、 店舗内の店員SCが所持する店員端末4から、店舗内に設置された複数の受信機6が受信する電波(ビーコン信号)の受信状態に基づいて、店員端末4の店舗内の位置を測位する位置特定システムから取得される、店員端末4の店舗内の位置をそのまま採用している点。 b 相違点2(構成B) 物体の座標を推定するために「前記人以外の物体に保持された第三通信装置と前記対象の第一通信装置との」「通信状態」、及び、「推定された前記対象の第一通信装置の」「座標に基づいて、前記空間における前記物体の座標」を用いるにあたり、 本件補正発明においては、「複数のタイミングにおける通信状態」及び「複数のタイミングにおける座標」を用いるものであるのに対し、 引用発明においては、互いに異なる携帯端末との通信状態及び互いに異なる通信端末の座標を用いるものである点。 (6) 判断 ア 相違点1(構成A1、A2、A4)について (ア) 引用文献2技術事項と、相違点1との関係について a 引用文献2技術事項の「携帯端末2」及び「UWV通信機12」はそれぞれ、本件補正発明の「第一通信装置」、「第二通信装置」に相当する。 b 引用文献2技術事項の「外界情報取得部F5」は、「サイドカメラ17やリアカメラ18といった外界カメラから入力される画像(外界画像)を解析する」ものであって、「画像内における人物位置」を特定するものであるところ、当該「外界画像」の情報は本件補正発明における「人が位置する空間が移る画像の画像情報」に相当する。また、「外界情報取得部F5」は、本件補正発明の「取得部」に相当する。 c 引用文献2技術事項の「外界情報取得部F5」は、「画像内における人物位置と、カメラの取付位置、及び取付姿勢に基づいて」「人物の車両Hvに対する相対位置を特定」するところ、「相対位置は」「車両3次元座標系にて表現」されるから、本件補正発明の「推定部」と、「取得された前記情報に基づいて、前記空間における前記人の座標を推定する」点で一致する。すなわち、引用文献2技術事項の「外界情報取得部5」は、本件補正発明の「推定部」にも相当する。 d 引用文献2技術事項の「位置推定部F6」は、「各UWB通信機12に所定の順に携帯端末2とインパルス信号を送受信させることにより、各UWB通信機12から携帯端末2までの距離を推定」し、「各UWB通信機12から携帯端末2までの距離情報に基づいて携帯端末2の位置(端末位置)を推定する」ものであるから、本件補正発明の「測位システム」と、「前記空間に位置する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置それぞれとの通信状態に基づいて前記第一通信装置の位置を計測する」点で一致する。すなわち、引用文献2技術事項の「位置推定部F6」は、「測位システム」に相当する部分を有するものといえる。 e 引用文献2技術事項の「位置推定部F6」は「外界情報取得部F5から人位置情報を取得し、端末位置(推定位置)に人が存在するか否かを判定する」ものであるところ、当該「判定」には、推定された「端末位置」を使用していることから、引用文献2技術事項の「位置推定部F6」の当該「判定」を行う部位は、前記dの「測位システム」に相当する部位から、推定された「端末位置」(第一通信装置の位置情報)を取得する部分、すなわち「位置情報取得部」に相当する部分を有するものといえる。 f 引用文献2技術事項の「位置推定部F6」は「推定位置に人が存在する場合には、その推定位置を端末として採用し、推定位置に人が存在しない場合には、外界情報取得部F5から提供」された「車両3次元座標系にて表現」される「人位置情報に基づき、推定位置から所定の補正許容距離以内に人が存在するか否かを判定し、推定位置から補正許容距離以内に人が存在する場合には、その人物の位置を、端末位置として採用し、推定位置を人位置へと補正した上で、端末位置として採用する」ものであるから、「推定された前記人の座標、及び、取得された前記位置情報に基づいて、前記人が保持する対象の第一通信装置の座標を推定」する点で、本件補正発明と一致する。 g 前記a~fの検討結果を踏まえると、引用文献2技術事項は、相違点1に係る本件補正発明の構成を有しているものと認められる。 (イ) 相違点1に係る本件補正発明の想到容易性について 引用文献2技術事項は、「マルチパス環境」における「端末位置を誤推定する恐れを低減可能」なものであるが、引用発明においても、受信機6の設置位置と、店員SCと店舗内の棚または壁との位置関係によっては、マルチパス環境が発生し得ることは、当業者に当然に想定される事態である。 してみれば、引用発明においても、当該事態に対処するために、引用文献2技術事項を適用することとして、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 イ 相違点2(構成B)について (ア) 引用文献3技術事項と相違点2との関係について a 引用文献3技術事項における「第1の移動通信装置」である「移動通信装置10」は、本件補正発明における「第一通信手段」に相当する。また、引用文献3技術事項における「第2の移動通信装置」である「移動通信装置20」は、本件補正発明における「第三通信手段」に相当する。 b 引用文献3技術事項においては、「移動通信装置20の1つの位置を同定」するために、「第1の移動通信装置」は「第2の移動通信装置と交信し、送受信パワーまたは信号伝送時間を計測して第1の移動通信手段と第2の移動通信手段との間の距離を算出する」のであるから、「物体の座標を推定する」にあたり、本件補正発明と引用文献3技術事項とは、「第三通信装置と前記対象の第一通信装置との通信状態」に基づく点で一致する。 c 引用文献3技術事項においては、「移動通信装置10」は「位置検出部11で得た自装置の現在位置」を用いて「移動通信装置20」の位置を同定するのであるから、「物体の座標を同定する」にあたり、「前記対象の第一通信手段の座標に基づく」点で一致する。 d 引用文献3技術事項における「移動通信装置10」は、非直線的に移動し、距離測定を3回以上行うのであるから、「物体の座標を推定する」にあたり、本件補正発明と引用発明とは、「互いに異なる複数のタイミングにおける通信状態」及び「前記複数のタイミングにおける座標」に基づく点で一致する。 e 前記a~dの検討結果を踏まえると、引用文献3技術事項は、相違点2に係る本件補正発明の構成を有しているものと認められる。 (イ) 相違点2に係る本件補正発明の想到容易性について 引用発明と引用文献3記載技術とは、いずれも「物体の座標を推定する」ことに関連した技術分野に属するものと認められる。また、両者の技術はいずれも自律的には現在位置を取得できない物体の座標を推定できるという共通の作用、機能を有するものともいえる。 してみれば、引用発明において引用文献3記載技術を選択し、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 ウ 総合評価 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献2技術事項及び引用文献3技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1及び2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。特に、前記(4)ア(ウ)に摘記したとおり、引用文献3には、移動通信装置20の位置を同定するに当たり、複数の移動通信装置10を使用するか、単一の移動通信装置10の複数タイミングを使用するかは、択一的な選択事項として記載されていることから、予測・発見困難な効果は認められない。 したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2技術事項及び引用文献3技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張内容 本件補正発明において、「前記人以外の物体に保持された第三通信装置と前記対象の第一通信装置との互いに異なる複数のタイミングにおける通信状態、及び、推定された前記対象の第一通信装置の前記複数のタイミングにおける座標に基づいて、前記空間における前記物体の座標を推定する」ことは、引用文献1~7に記載も示唆もされておらず、この構成によって、対象の第一通信装置が1台でありながら、1台の対象の第一通信装置の複数のタイミングにおける座標を、複数台の第一通信装置の座標とみなすことで、物体の座標の推定精度の向上を図ることができる効果が得られる。 (イ) 請求人の主張についての検討 請求人の主張する構成は、前記(5)イ(イ)dで抽出した相違点2に係る本件補正発明の構成(構成B)のことと認められるが、当該構成は引用文献3技術事項が具備し、かつ当業者であれば当該引用文献3技術事項を引用発明に適用できたことは、前記(6)イで検討したとおりであり、また本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできないこともまた、前記(6)ウで検討したとおりである。 したがって、前記請求人の主張は採用することができない。 オ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本願補正発明は、引用発明、引用文献2技術事項及び引用文献3技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(6)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由(進歩性の欠如) 本願発明は、その優先日前に発行された下記の引用文献1、2に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2021-109750号公報(主たる引用文献) 引用文献2.特開2020-122726号公報 3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等 引用文献1に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)ア及びイにおいて示したとおりである。また、引用文献2に記載された事項及び引用文献2技術事項は前記第2の3(3)ア及びイにおいて示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明における「互いに異なる複数のタイミングにおける通信状態」及び「前記複数のタイミングにおける座標」から「互いに異なる複数のタイミングにおける」及び「前記複数のタイミングにおける」との限定、すなわち相違点2に関する特定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明と引用発明を比較すると、両者は、前記第2の3(5)イ(ア)の点において一致し、同(イ)aの相違点1において相違する。そして、前記第2の3(6)アにおいて説示したとおり、相違点1に係る構成は、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-018683

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