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特許拒絶査定不服審判

2024-013584

スペックル感度が低減されたLIDARシステム

審判番号
2024-013584
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-544718
請求日
2024年08月23日
審決日
2026年04月09日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】シルク テクノロジーズ インコーポレイティッド
  • 【請求人代理人】弁理士法人謝国際特許商標事務所
審判長/審判官
  • 審判長 濱野 隆
  • 審判官 道祖土 新吾
  • 審判官 井海田 隆
分類
P18 .57 -Z (G01S) / P18 .575-Z (G01S) / P18 .121-Z (G01S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-544718「スペックル感度が低減されたLIDARシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月20日国際公開、WO2020/167515、令和 4年 4月 8日国内公表、特表2022-521459〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)2月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年2月9日、米国(US))を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和3年 8月20日 :翻訳文の提出 令和5年11月 2日付け:拒絶理由通知書 令和6年 2月 6日 :意見書、手続補正書の提出 同年 4月22日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月24日 :原査定の謄本の送達) 同年 8月23日 :審判請求書、手続補正書の提出 以下、2019年(令和元年)2月9日を「優先日」という。 第2 令和6年8月23日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年8月23日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年8月23日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年2月6日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「 【請求項1】 複数のLIDAR出力信号を生成する1つ以上のLIDARチップ、及び 前記LIDAR出力信号が視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられ、サンプル領域でオーバーラップするように前記1つ以上のLIDARチップを操作する電子機器を含む、LIDARシステムであって、前記LIDAR出力信号が、波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域に対する入射角の多様性からなる群から選択される1つ以上の光学的多様性を有し、前記電子機器は、サンプル領域に対して複数の異なるLIDARデータ結果を生成し、各LIDARデータ結果は、LIDARシステムとサンプル領域間の距離および/または視線速度を含み、かつ、異なるLIDARデータ結果の各々は、電子機器がLIDARデータ結果を生成するためにLIDARデータ結果に関連付けられたLIDAR出力信号からの光を使用するという点で、LIDAR出力信号の異なる1つに関連付けられている、LIDARシステム。 【請求項2】 前記1つ以上のLIDARチップが、前記複数のLIDAR出力信号を生成する1つのLIDARチップである、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項3】 前記1つ以上のLIDARチップが、前記複数のLIDAR出力信号を生成する複数のLIDARチップである、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項4】 前記光学的多様性が、波長の多様性である、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項5】 前記光学的多様性が、偏光の多様性である、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項6】 前記光学的多様性が、入射角の多様性である、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項7】 前記サンプル領域が、前記視野内の複数のサンプル領域のうちの1つであり、前記電子機器は、前記LIDAR出力信号がいずれの前記サンプル領域に同時に方向付けられ、サンプル領域でオーバーラップするよう、前記LIDAR出力信号を一連の前記サンプル領域に逐次的に方向付けるように構成されている、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項8】 前記LIDAR出力信号が、2つ以上の前記光学的多様性を有する、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項9】 前記LIDAR出力信号が、それぞれ、前記LIDARシステムから離れながら焦点に移動する、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項10】 複数のLIDAR出力信号を生成すること、 前記LIDAR出力信号がサンプル領域でオーバーラップするように、LIDAR出力信号を視野内のサンプル領域に同時に方向付けること、 および サンプル領域に対して複数の異なるLIDARデータ結果を生成すること を含む、LIDARシステムを操作する方法であって、 前記LIDAR出力信号が、波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域に対する入射角の多様性からなる群から選択された1つ以上の光学的多様性を有し、 各LIDARデータ結果は、LIDARシステムとサンプル領域との間の距離および/または視線速度を含み、および 異なるLIDARデータ結果の各々は、電子機器がLIDARデータ結果を生成するためにLIDARデータ結果に関連付けられたLIDAR出力信号からの光を使用するという点で、LIDAR出力信号の異なる1つに関連付けられる、方法。 【請求項11】 前記LIDAR出力信号が、1つのLIDARチップから出射する、請求項10に記載の方法。 【請求項12】 前記LIDAR出力信号が、異なるLIDARチップから出射する、請求項10に記載の方法。 【請求項13】 前記光学的多様性が、波長の多様性である、請求項10に記載の方法。 【請求項14】 前記光学的多様性が、偏光の多様性である、請求項10に記載の方法。 【請求項15】 前記光学的多様性が、入射角の多様性である、請求項10に記載の方法。 【請求項16】 前記サンプル領域が、視野内の複数のサンプル領域のうちの1つであり、かつ該方法が、前記LIDAR出力信号が一連の各サンプル領域に同時に方向付けられるように、前記LIDAR出力信号を一連の前記サンプル領域に逐次的に方向付けることをさらに含む、請求項10に記載の方法。 【請求項17】 前記LIDAR出力信号が、2つ以上の前記光学的多様性を有する、請求項10に記載の方法。 【請求項18】 前記LIDAR出力信号が、それぞれ、前記サンプル領域に移動しながら焦点に移動する、請求項10に記載の方法。 【請求項19】 前記LIDARは、LIDARチップとサンプル領域との間の同じ光路を移動する、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項20】 前記LIDARがLIDARチップから出て、LIDAR出力信号がLIDARチップとサンプル領域との間の同じ光路を移動する、請求項10に記載の方法。」 (2) 本件補正後 「 【請求項1】 複数のLIDAR出力信号を生成する1つ以上のLIDARチップ、及び 前記LIDAR出力信号がLIDARシステムの視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられ、サンプル領域でオーバーラップするようにLIDARシステムを操作する電子機器を含む、LIDARシステムであって、 前記LIDAR出力信号が、波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域に対する入射角の多様性からなる群から選択される1つ以上の光学的多様性を有し、 前記電子機器は、サンプル領域に対して複数の異なるLIDARデータ結果を生成し、 各LIDARデータ結果は、LIDARシステムとサンプル領域間の距離および/または視線速度を含み、かつ、 異なるLIDARデータ結果の各々は、電子機器がLIDARデータ結果を生成するためにLIDARデータ結果に関連付けられたLIDAR出力信号からの光を使用するという点で、LIDAR出力信号の異なる1つに関連付けられている、LIDARシステム。 【請求項2】 前記1つ以上のLIDARチップが、前記複数のLIDAR出力信号を生成する1つのLIDARチップである、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項3】 前記1つ以上のLIDARチップが、前記複数のLIDAR出力信号を生成する複数のLIDARチップである、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項4】 前記光学的多様性が、波長の多様性である、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項5】 前記光学的多様性が、偏光の多様性である、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項6】 前記光学的多様性が、入射角の多様性である、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項7】 前記サンプル領域が、前記視野内の複数のサンプル領域のうちの1つであり、前記電子機器は、前記LIDAR出力信号がいずれの前記サンプル領域に同時に方向付けられ、サンプル領域でオーバーラップするよう、前記LIDAR出力信号を一連の前記サンプル領域に逐次的に方向付けるように構成されている、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項8】 前記LIDAR出力信号が、2つ以上の前記光学的多様性を有する、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項9】 前記LIDAR出力信号が、それぞれ、前記LIDARシステムから離れながら焦点に移動する、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項10】 複数のLIDAR出力信号を生成すること、 前記LIDAR出力信号がサンプル領域でオーバーラップするように、LIDAR出力信号を視野内のサンプル領域に同時に方向付けること、 および サンプル領域に対して複数の異なるLIDARデータ結果を生成すること を含む、LIDARシステムを操作する方法であって、 前記LIDAR出力信号が、波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域に対する入射角の多様性からなる群から選択された1つ以上の光学的多様性を有し、 各LIDARデータ結果は、LIDARシステムとサンプル領域との間の距離および/または視線速度を含み、および 異なるLIDARデータ結果の各々は、電子機器がLIDARデータ結果を生成するためにLIDARデータ結果に関連付けられたLIDAR出力信号からの光を使用するという点で、LIDAR出力信号の異なる1つに関連付けられる、方法。 【請求項11】 前記LIDAR出力信号が、1つのLIDARチップから出射する、請求項10に記載の方法。 【請求項12】 前記LIDAR出力信号が、異なるLIDARチップから出射する、請求項10に記載の方法。 【請求項13】 前記光学的多様性が、波長の多様性である、請求項10に記載の方法。 【請求項14】 前記光学的多様性が、偏光の多様性である、請求項10に記載の方法。 【請求項15】 前記光学的多様性が、入射角の多様性である、請求項10に記載の方法。 【請求項16】 前記サンプル領域が、視野内の複数のサンプル領域のうちの1つであり、かつ該方法が、前記LIDAR出力信号が一連の各サンプル領域に同時に方向付けられるように、前記LIDAR出力信号を一連の前記サンプル領域に逐次的に方向付けることをさらに含む、請求項10に記載の方法。 【請求項17】 前記LIDAR出力信号が、2つ以上の前記光学的多様性を有する、請求項10に記載の方法。 【請求項18】 前記LIDAR出力信号が、それぞれ、前記サンプル領域に移動しながら焦点に移動する、請求項10に記載の方法。 【請求項19】 前記LIDARは、LIDARチップとサンプル領域との間の同じ光路に沿って方向付けられる、請求項1に記載のLIDARシステム。 【請求項20】 LIDARチップは、複数のLIDAR出力信号を出力し、LIDAR出力信号は、LIDARチップとサンプル領域の間の同じ光経路に沿って方向付けられる、請求項10に記載の方法。 【請求項21】 LIDAR出力信号は、LIDARチップから離れて、同じ方向に移動する、請求項1に記載のLIDARシステム。」 2 補正の適否について (1) 補正の内容について ア 請求項1についての補正の内容 請求項1についての補正は、次の(ア)及び(イ)の補正事項1及び補正事項2を含むものである。 (ア) 補正事項1 本件補正前の請求項1において、LIDAR出力信号が同時に方向付けられる「視野内の同じサンプル領域」に係る「視野」を、本件補正後は「LIDARシステムの」ものに限定すること。 (イ) 補正事項2 本件補正前の請求項1における、LIDAR出力信号がサンプル領域でオーバーラップするようにするための操作対象を、本件補正前は「前記1つ以上のLIDARチップ」であったものを「LIDARシステム」と補正すること。 イ 請求項19についての補正の内容 請求項19についての補正は、次の補正事項3を含むものである。 [補正事項3] 本件補正前の請求項19におけるLIDARが「LIDARチップとサンプル領域との間の同じ光路を移動する」とされていたのを、「LIDARチップとサンプル領域との間の同じ光路に沿って方向付けられる」と補正すること。 ウ 請求項20についての補正の内容 請求項20についての補正は、次の(ア)及び(イ)の補正事項4及び補正事項5を含むものである。 (ア) 補正事項4 本件補正前の請求項20における「前記LIDARは」との記載を削除し、「LIDARチップは、複数のLIDAR出力信号を出力し」との記載を加えること。 (イ) 補正事項5 本件補正前の請求項20において、LIDAR出力信号が、「LIDARチップとサンプル領域との間の同じ光路を移動する」とされていたのを、「LIDARチップとサンプル領域の間の同じ光経路に沿って方向付けられる」と補正すること。 エ 請求項21についての補正の内容 本件補正後の請求項2~18が本件補正前の請求項2~18に対応するものであることは、本件補正後の請求項2~18が本件補正前から実質的に何らの変更もされていないことから明らかである。また、前記ア~ウで検討したように、本件補正後の請求項1、19、20は、それぞれ本件補正前の請求項1、19、20に対応するものである。そうすると、本件補正後の請求項21については、本件補正前に対応する請求項が存在しないものと認められる。 (2) 目的外補正について ア 請求項1について(範囲を拡張する補正) 補正事項2は、LIDAR出力信号がサンプル領域でオーバーラップするようにするための操作対象を、本件補正前は「前記1つ以上のLIDARチップ」であったものを「LIDARシステム」と補正することである。すなわち、操作対象が本件補正前は「前記1つ以上のLIDARチップ」に限定されていたものを、本件補正後はより範囲が広い概念である「LIDARシステム」へと拡張しており、このような補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」には該当せず、また同項1号に掲げる「請求項の削除」にも、同項3号に掲げる「誤記の訂正」にも、同項4号に掲げる「明りょうでない記載の釈明」にも該当しないことは明らかである。 イ 請求項21について(増項補正) 前記(1)エを踏まえると、請求項21に係る本件補正がいわゆる増項補正となっていることは明らかであり、このような増項補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」には該当せず、また同項1号に掲げる「請求項の削除」にも、同項3号に掲げる「誤記の訂正」にも、同項4号に掲げる「明りょうでない記載の釈明」にも該当しないことは明らかである。 (3) 補正の適否についてのまとめ 以上検討のとおりであるから、本件補正による請求項1についての補正、及び本件補正による請求項21についての補正は、特許法17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 3 独立特許要件の判断 前記2で説示したとおり、本件補正は目的外補正であることを理由として却下すべきものであるが、仮に本件補正が特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものであるとして、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否かについて、以下念のため検討する。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成A1から構成B4までに分説する。また、参考図として、本願の【図1】に部材名を記入したものを掲載する。 <本件補正発明の分説> A1 複数のLIDAR出力信号を生成する1つ以上のLIDARチップ、及び B1 前記LIDAR出力信号がLIDARシステムの視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられ、サンプル領域でオーバーラップするようにLIDARシステムを操作する電子機器を含む、 X LIDARシステムであって、 A2 前記LIDAR出力信号が、波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域に対する入射角の多様性からなる群から選択される1つ以上の光学的多様性を有し、 B2 前記電子機器は、サンプル領域に対して複数の異なるLIDARデータ結果を生成し、 B3 各LIDARデータ結果は、LIDARシステムとサンプル領域間の距離および/または視線速度を含み、かつ、 B4 異なるLIDARデータ結果の各々は、電子機器がLIDARデータ結果を生成するためにLIDARデータ結果に関連付けられたLIDAR出力信号からの光を使用するという点で、LIDAR出力信号の異なる1つに関連付けられている、 X LIDARシステム。 <参考図> 【図1】 [図:0001438736000001.jpg] イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。 「【技術分野】 【0002】 本発明は、光学装置に関し、特にLIDARシステムに関する。 【背景技術】 【0003】 スペックルは、拡散反射表面によって反射される干渉性LIDARの出力信号を出力するLIDARシステムの性能に影響を与える現象である。LIDARシステムにおける反射物体の表面は一般に拡散反射表面または半拡散反射体であるので、物体によって反射されたLIDAR出力信号の大部分は、鏡面状表面から生じるように鏡面反射されず、その代わりに、複数の方向に散乱され、複数の波面を有するLIDAR入力信号を形成する。 【0004】 LIDAR入力信号の該干渉性により、複数の波面間の干渉が生じ、位相及び強度の変動を引き起こすことがある。これらの変動は、「スペックルパターン」という用語で表現される遠視野画像における明暗スポットの源となりうる。LIDARの用途において、これらの変動は、性能を害する可能性がある。なぜなら、不定量の光が戻って、LIDARチップに結合し、ある条件下で信号の「衰弱」を引き起こしうるからである。所与の波長におけるLIDAR出力信号の場合、これらの条件は、次によって変化するであろう。即ち、表面の特性、LIDAR出力信号の反射物体上への入射角、LIDAR出力信号の偏光、反射物体のLIDAR出力信号源からの距離、空気の密度変動に起因されるような、LIDAR出力信号がそこで反射物体とLIDAR出力信号源との間を移動する大気による経路の長さの変化。 【0005】 拡散反射体の性質により、スペックル効果は、表面上の光線の位置によって変化する。その結果、反射物体が迅速に動くことにより、測定中に信号が衰弱することがある。これが干渉効果であるため、所与の反射物体の位置及び周囲条件でのスペックルパターンは、LIDAR出力信号の波長や偏光、及びLIDAR出力信号の源と反射物体との間の距離によって変化するであろう。 【0006】 スペックルによる信号の衰弱は、測定の精度を低下させ、ある場所で測定不能となることがあるため、LIDARシステムの性能を制限する。そのため、スペックルに対する感度を低減させ、改良された干渉性LIDARシステムの提供が必要である。 【発明の概要】 【0007】 LIDARシステムは、複数のLIDAR出力信号を生成する1つ以上のLIDARチップを有する。該システムはまた、LIDAR出力信号が視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられるように、1つ以上のLIDARチップを操作する電子機器を含む。前記LIDAR出力信号は、波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域上の入射角の多様性からなる群から選択された1つ以上の光学的多様性を有する。 【0008】 LIDARシステムを操作することは、複数のLIDAR出力信号を生成することを含む。前記LIDAR出力信号は、これが波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域上の入射角の多様性からなる群から選択された1つ以上の光学的多様性を有するように、視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられる。」 「【発明の詳細な説明】 【0027】 複数のLIDAR出力信号が生成され、視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられる。LIDAR出力信号は、波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域またはサンプル領域内の物体に対する入射角の多様性からなる群から選択される1つ以上の光学的多様性を有する。サンプル領域に方向付けられた異なるLIDAR出力信号のいずれを用いて、異なるLIDARデータの結果(LIDAR出力信号源とサンプル領域の反射物体との間の距離および/または視線速度)を生成することができる。その結果、各サンプル領域は、サンプル領域に方向付けられたLIDAR出力信号の異なる1つにそれぞれ関連する複数の異なるLIDARデータの結果を有することができる。サンプル領域に方向付けられたLIDAR出力信号はそれぞれ異なる光学特性を有するので、LIDARデータの結果の少なくとも1つにスペックルの影響が許容可能なレベルまで減少するか、存在しない機会が増加する。その結果、サンプル領域に対する異なるLIDARデータの結果が、スペックルの影響を低減するように処理される。例えば、異なるLIDARデータの結果を平均して、結果としてのサンプル領域のLIDARデータを生成することができる。あるいは、スペックルからの影響を低減する可能性が最も高いLIDARデータの結果を識別し、結果としてのLIDARデータとして使用することができる。例えば、LIDAR出力信号が反射物体によって反射されると、LIDAR入力信号が得られ、LIDARチップによって受信される。最高のパワーレベルを有するLIDARチップによって受信されるLIDAR入力信号を識別することができ、関連するLIDARデータの結果を結果としてのLIDARデータとして使用することができる。その結果、LIDARシステムは、LIDARデータからのスペックルの影響を低減または排除することができる。」 「 【0174】 上述したように、異なるLIDAR出力信号は、視野上の同じサンプル領域に同時に入射する。同じサンプル領域に同時に入射する異なるLIDAR出力信号は、互いにオーバーラップすることができる。いくつかの例では、LIDAR出力信号を構成し、これにより、LIDAR出力信号が反射物体によって交差されない場合に、あるLIDAR出力信号が同じ領域内の別のLIDAR出力信号とオーバーラップする最小量は、視野上でオーバーラップしたLIDAR出力信号のスポットサイズの25%、45%または60%を超え、かつ100%以下になるよう、LIDAR出力信号は、サンプル領域で互いにオーバーラップする。 【0175】 上記のように、いずれの異なる光学的多様性は、1つ以上のLIDAR出力信号を用いて、サンプル領域のLIDARデータを生成する機会を提供する。従って、1サイクルでは、LIDARシステムは、異なるLIDAR出力信号にそれぞれ関連付けられた複数の異なるLIDARデータを生成する能力を有する。LIDARデータ処理方法を用いて、1サイクル中にサンプル領域の結果としてのLIDARデータを生成することができる。該結果としてのLIDARデータは、電子機器62及び/または電子機器62と通信する他の電子機器による他の処理のための、LIDAR出力信号の光源と反射物体との間の距離及び/または視線速度として処理されるLIDARデータであってもよい。 【0176】 LIDARデータ処理方法は、1サイクル中にサンプル領域について生成された異なるLIDARデータの組み合わせから、結果としてのLIDARデータを生成することができる。例えば、LIDARデータ処理方法は、1サイクル中にサンプル領域について生成される異なるLIDARデータ値について、平均し、加重平均を実行し、その最大値、最小値または中央値を取ることができる。一例として、加重平均は、LIDARデータが生成されたLIDAR入力信号のパワーによって重み付けされた各LIDARデータを有するLIDARデータの平均である。一例として、同じサイクル中のサンプル領域に対して生成された複数の視線速度値を平均し、最終的な視線速度値を生成することができる。あるいは、LIDARデータ処理方法は、特定のLIDARデータを識別し、結果としてのLIDARデータとして機能することができる。例えば、LIDARデータの中央値を識別して、結果としてのLIDARデータとして機能することができ、または1つ以上の選択基準を使用して、LIDARデータを識別することができる。あるいは、1つ以上の選択基準を使用して、特定のLIDARデータを識別することができ、識別されたLIDARデータを結合して、結果としてのLIDARデータを生成することができる。例えば、識別されたLIDARデータを平均することができる。一例として、識別された複数の視線距離値を平均して、最終的な視線速度値を生成することができる。 【0177】 選択基準の一例は、サンプル領域を照射するLIDAR出力信号から得られるLIDAR入力信号のパワーを示すデータを考慮したものである。該パワーのレベルに関する様々な異なる指標がLIDARチップから得られる。例えば、平衡検出器からの出力パワー、平衡検出器を代替する光センサからの出力パワー、比較信号と参照信号との間の拍動を有する信号のパワー、及び比較信号の一部分と参照信号の一部との間の拍動を有する信号のパワーは、全て、LIDAR入力信号のパワーレベルを示すことができる。最も強力なLIDAR入力信号から生成されたLIDARデータを選択し、結果としてのLIDARデータとして機能することができる。あるいは、パワー閾値を超えるパワーレベルを有する1つ以上のLIDAR入力信号を、結果としてのLIDARデータが生成されるLIDAR入力信号として識別することができる。上述したように、識別されたLIDARデータを結合し、結果としてのLIDARデータを生成することができる。例えば、識別されたLIDARデータを平均することができる。一例として、識別された複数の視線距離値を平均して、最終的な視線速度値を生成することができる。」 (2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である米国特許出願公開第2019/0025426号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、括弧内に当合議体が作成した日本語訳を示した。また、当合議体により、後記イの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 (ア) 段落[0003]~[0005] 「[0003] This disclosure relates to three-dimensional (3D) image systems and, specifically, to coherent Light Detection and Ranging (LIDAR) imaging systems.」 ([0003] 本開示は、3次元(3D)画像システムに関し、具体的には、コヒーレント光検出及び測距(LIDAR)画像システムに関する。) 「[0004] 3D imaging systems are critical for a number of applications in the automotive industry, robotics, unmanned vehicles etc. Traditionally, pulsed LIDAR systems relying on the time of flight (TOF) technique have been investigated for these applications, wherein the range to a target is determined by measuring the time taken by a single narrow pulse to be reflected from a distant target. TOF LIDAR suffers from some major challenges and limitations. Since the amount of light reflected from distant targets is very small (typically under 100 photons in the measurement time) and the pulse width needs to be very small (<1 ns) to achieve high range accuracy, these systems require sophisticated detectors, typically high-speed photon-counters. The TOF technique places very stringent requirements on the dynamic range of the detector and associated electronics (typically about 60 dB, or 20 bits). Further, these very sensitive detectors often have difficulty dealing with crosstalk from other LIDAR systems or from other sources of light (including direct sunlight) when operated in real-world situations.」 ([0004] 3Dイメージングシステムは、自動車産業、ロボット工学、無人車両など、多くのアプリケーションにおいて極めて重要である。従来、これらのアプリケーションでは、飛行時間(TOF)技術に基づくパルスLIDARシステムが研究されてきた。このシステムでは、単一の狭いパルスが遠方のターゲットから反射されるまでの時間を測定することで、ターゲットまでの距離を測定する。TOF LIDARには、いくつかの大きな課題と限界がある。遠方のターゲットから反射される光の量は非常に少なく(通常、測定時間中に100光子未満)、高い距離精度を実現するにはパルス幅を非常に小さく(1ナノ秒未満)する必要があるため、これらのシステムには高度な検出器、通常は高速光子カウンタが必要である。TOF技術は、検出器と関連電子機器のダイナミックレンジに非常に厳しい要件を課す(通常、約60dB、つまり20ビット)。さらに、これらの非常に高感度な検出器は、実際の状況で動作させた場合、他のLIDARシステムや他の光源(直射日光を含む)からのクロストークへの対応が困難な場合が多くある。) 「[0005] Coherent LIDAR is a promising 3D imaging technology because of its potential to achieve excellent performance on a number of key metrics: high-speed (>1 million points/second), long-range (>200 m for targets with albedo of 0.1), high lateral resolution (<0.1 degrees), and fine range precision (<10 cm). FIG. 1 is a simplified block diagram of an exemplary coherent LIDAR system 100. The LIDAR system 100 is based on the frequency modulated continuous wave (FMCW) technique, where the frequency of a continuous wave (CW) laser is “chirped” or changed in accordance with a predetermined periodic frequency versus time function. The periodic frequency versus time function may be a positive linear sawtooth function where the frequency starts at a baseline value, increases linearly over a time period, resets to the baseline value, and repeats periodically. The periodic frequency versus time function may be a negative linear sawtooth function where the frequency starts at a baseline value, decreases linearly over a time period, resets to the baseline value, and repeats periodically. The periodic frequency versus time function may be a linear triangular function where the frequency starts at a baseline value, increases linearly over a time period, decreases linearly back to the baseline value over a second time period, and repeats periodically. The periodic frequency versus time function may be some other linear or nonlinear function. The system 100 includes a semiconductor diode laser 100 to produce the chirped waveform. This device will be referred to in this patent as a Chirped Diode Laser (CHDL).」 ([0005] コヒーレントLIDARは、高速(100万点/秒超)、長距離(アルベド0.1のターゲットで200m超)、高横方向分解能(0.1度未満)、微細範囲精度(10cm未満)など、多くの重要な基準で優れたパフォーマンスを実現する可能性があるため、有望な3Dイメージング技術である。図1は、例示的なコヒーレントLIDARシステム100の簡略化されたブロック図である。LIDARシステム100は、周波数変調連続波(FMCW)技術に基づいており、連続波(CW)レーザーの周波数が、所定の周期的な周波数対時間関数に従って「チャープ」又は変更される。周期的な周波数対時間関数は、周波数が基準値から始まり、一定期間にわたって直線的に増加し、基準値にリセットされ、周期的に繰り返される、正の線形のこぎり歯関数であってもよい。周期的な周波数対時間関数は、周波数が基準値から始まり、一定期間にわたって直線的に減少し、基準値にリセットされ、周期的に繰り返される、負の線形のこぎり歯関数であってもよい。周期的な周波数対時間関数は、周波数が基準値から始まり、一定期間にわたって線形に増加し、次の期間にわたって線形に減少して基準値に戻り、これを周期的に繰り返す線形三角関数であってもよい。周期的な周波数対時間関数は、他の線形又は非線形関数であってもよい。システム100は、チャープ波形を生成するための半導体ダイオードレーザー100を含む。このデバイスは、本特許ではチャープダイオードレーザー(CHDL)と呼ばれる。) (イ) [0064]~[0065]、Fig.5 「[0064] The “speed of light limit” on the 3D imaging rate can be overcome with two improvements to the basic coherent LIDAR system of FIGS. 1, 2, and 3. The first improvement, as incorporated into the LIDAR system 500 of FIG. 5, is to use two CHDLs 510, 570 to simultaneously illuminate the same pixel on the target, with the frequencies of the CHDLs chirping in opposite directions. For example, the frequency of the first CHDL 510 may follow a positive sawtooth function and the frequency of the second CHDL 570 may follow a negative sawtooth function. Alternatively, the frequency of the first CHDL 510 may follow a triangle function and the frequency of the second CHDL 570 may follow a triangle function shifted 180 degrees (shifted in time by one chirp period T) compared to the first CHDL. This enables the up and down measurements of FIG. 3 to be performed simultaneously.」 ([0064] 3Dイメージング速度における「光速限界」は、図1、2、及び3に示す基本的なコヒーレントLIDARシステムに2つの改良を加えることで克服できる。図5のLIDARシステム500に組み込まれた最初の改良点は、2つのCHDL 510、570を用いてターゲット上の同じピクセルを同時に照射し、CHDLの周波数を反対方向にチャープさせることである。例えば、第1のCHDL 510の周波数は正の鋸歯状関数に従い、第2のCHDL 570の周波数は負の鋸歯状関数に従う。あるいは、第1のCHDL 510の周波数は三角関数に従い、第2のCHDL 570の周波数は第1のCHDLと比較して180度シフトした(時間的に1チャープ周期Tだけシフトした)三角関数に従うようにしてもよい。これにより、図3に示す上下方向の測定を同時に実行できる。) 「Fig.5 [図:0001438736000002.jpg] 」 「[0065] In the LIDAR system 500, elements with reference designators from 510 to 560 have the same function as the counterpart elements in the LIDAR system 100 and will not be further described. The LIDAR system 500 includes second CHDL 570, which is chirped in the opposite direction as the first CHDL 510. The first and second CHDLs 510, 570 may be multiplexed by a beam combiner 575. For example, the first and second CHDLs 510, 570 may have orthogonal polarization, and the beam combiner 575 may be a polarization beam splitter. The first and second CHDLs 510, 570 may have different wavelengths, and the beam combiner 575 may be a dichroic beam splitter. In any case, the beams from the first and second CHDLs 510, 570 are combined and directed to the target 560. The reflected beams from the target are separated by beam divider (using polarization or wavelength as appropriate) are directed to separate detectors 550, 585. With this approach, the time to obtain R and dR/dt for a pixel is T, and the 3D imaging rate is (1/T) pixels per second. Again, by minimizing the measurement time TM, the limitation on 3D-IR is 0.5 million pixels per second for a maximum range of 300 meters. A 3D-IR of 0.5 million pixels per second, while twice the rate of conventional coherent LIDAR systems, may still not be sufficient for some application.」 ([0065] LIDARシステム500において、参照番号510から560までの要素は、LIDARシステム100の対応する要素と同じ機能を有するため、これ以上の説明は省略する。LIDARシステム500は、第1のCHDL510とは反対方向にチャープされた第2のCHDL570を備える。第1及び第2のCHDL510、570は、ビームコンバイナ575によって多重化され得る。例えば、第1及び第2のCHDL510、570は直交偏光を有し、ビームコンバイナ575は偏光ビームスプリッタであってもよい。第1及び第2のCHDL510、570は異なる波長を有し、ビームコンバイナ575はダイクロイックビームスプリッタであってもよい。いずれの場合も、第1及び第2のCHDL 510、570からのビームは合成され、ターゲット560に向けられる。ターゲットからの反射ビームは、ビーム分割器(偏光又は波長を適宜選択)によって分離され、別々の検出器550、585に向けられる。このアプローチでは、1ピクセルのR及びdR /dtを取得する時間はTであり、3Dイメージング速度は(1/T)ピクセル/秒である。ここでも、測定時間TMを最小限に抑えることで、3D-IRの限界は、最大距離300メートルで毎秒50万ピクセルとなる。毎秒50万ピクセルの3D-IRは、従来のコヒーレントLIDARシステムの2倍の速度であるが、一部の用途では依然として不十分な場合がある。) (ウ) [0088]~[0097]、Fig.13A、13B、14 「[0088] Coherent LIDAR measures the amplitude and phase of the electromagnetic field reflected from the target. This reflected field is strongly influenced by surface irregularities on the target within the illuminated spot. These irregularities result in random variations in the amplitude and phase of the reflected field, commonly known as speckle. In most practical cases, the intensity of the reflected field has an exponential probability distribution and the phase has a uniform probability distribution. This means that even a bright target can occasionally have a low intensity and may be below the detection threshold of the LIDAR system. The spatial scale of the speckle variations is given by the resolution of the receiver optics. For example, in a conventional coherent LIDAR system, if the angular resolution of the LIDAR system is 0.1 degrees, the amplitude and phase of the speckle pattern change every 0.1 degrees.」 ([0088] コヒーレントLIDARは、ターゲットから反射された電磁場の振幅と位相を測定する。この反射場は、照射されたスポット内のターゲットの表面の凹凸に強く影響される。これらの凹凸により、反射場の振幅と位相にランダムな変動が生じ、一般にスペックルと呼ばれる。ほとんどの実用ケースでは、反射場の強度は指数確率分布を持ち、位相は均一な確率分布を持つ。つまり、明るいターゲットであっても、強度が低く、LIDARシステムの検出閾値を下回る場合がある。スペックルの変動の空間スケールは、受信光学系の解像度によって決まる。例えば、従来のコヒーレントLIDARシステムでは、LIDARシステムの角度解像度が0.1度の場合、スペックルパターンの振幅と位相は0.1度ごとに変化する。) 「[0089] The probabilistic nature of target reflections also occurs in RADAR systems, and techniques for RADAR detection of so-called “fluctuating targets” have been developed. These techniques rely on multiple RADAR measurements of the target to overcome the target strength (and phase) fluctuations. These measurements are then coherently or incoherently “integrated” to overcome the negative effects of target fluctuations. Integration refers to the process of combining multiple measurements to extract range and/or Doppler measurements, and can provide a higher probability of detection of the target for a given signal to noise ratio of the measurements. The process of incoherent integration ignores the optical phase of the reflected field, whereas coherent integration utilizes the phase information. The process of integration works best if the multiple measurements being integrated are in some way uncorrelated from each other, so that the target fluctuations can be “averaged” out. Speckle in a LIDAR system is comparable to a fluctuating target in a RADAR system, and similar mathematical techniques can be applied to mitigate the effects of speckle. However, the goal of a high-speed coherent LIDAR system is to obtain range and Doppler information from every scene pixel in a single scan of the field of view. Thus integration over multiple scans, as used in RADAR systems, cannot be directly applied to a LIDAR system.」 ([0089] ターゲット反射の確率的な性質はレーダーシステムでも発生し、いわゆる「変動ターゲット」をレーダーで検出する技術が開発されている。これらの技術は、ターゲットの強度(及び位相)変動を克服するために、ターゲットの複数のレーダー測定に依存する。これらの測定は、コヒーレント又はインコヒーレントに「積分」され、ターゲットの変動による悪影響を克服する。積分とは、複数の測定を組み合わせて距離測定やドップラー測定を抽出するプロセスを指し、測定の信号対雑音比が与えられた場合、ターゲットの検出確率を高めることができる。インコヒーレント積分では反射場の光位相が無視されるが、コヒーレント積分では位相情報が利用される。積分プロセスは、積分される複数の測定が何らかの形で互いに無相関である場合に最も効果的に機能し、ターゲットの変動を「平均化」することができる。LIDARシステムにおけるスペックルは、レーダーシステムにおける変動ターゲットに相当し、同様の数学的手法を適用してスペックルの影響を軽減することがでる。しかし、高速コヒーレントLIDARシステムの目的は、視野内の1回のスキャンで場面のすべてのピクセルから距離情報とドップラー情報を取得することである。そのため、レーダーシステムで用いられるような複数スキャンにわたる積分処理は、LIDARシステムに直接適用することはできない。) 「[0090] The key to speckle mitigation in LIDAR systems is to obtain multiple measurements over each scene pixel during each scan of the field of view, and then coherently or incoherently integrate (combine) these measurements to mitigate target fluctuations (speckle). FIG. 13A and FIG. 13B illustrate two approaches to obtain the multiple measurements. The common idea behind both approaches is to divide the pixel into N subpixels, perform separate LIDAR measurements on the subpixels, and coherently or incoherently integrate these measurements to provide a composite measurement for the pixel.」 ([0090] LIDARシステムにおけるスペックル軽減の鍵は、視野の各スキャン中に各場面のピクセルに対して複数の測定値を取得し、これらの測定値をコヒーレント又はインコヒーレントに統合(合成)することで、ターゲットの変動(スペックル)を軽減することである。図13Aと図13Bは、複数の測定値を取得するための2つのアプローチを示している。どちらのアプローチにも共通する考え方は、ピクセルをN個のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに対して個別のLIDAR測定を行い、これらの測定値をコヒーレント又はインコヒーレントに統合して、ピクセルの合成測定値を生成することである。) 「In the first approach shown in FIG. 13A, each scene pixel 1310 is partitioned into N subpixels 1320, where N is an integer greater than one, that are measured sequentially. In the example of FIG. 13A, N=3. Each subpixel is measured using an illumination beam that is scanned across the pixel during the pixel measurement time TM (as defined in FIG. 1). The angular size of the illumination beam determines the subpixel size. A one-dimensional scan is shown in FIG. 13A for simplicity, but other scanning patterns are possible. N separate LIDAR measurements are sequentially performed over these subpixels (each measurement takes time TM/N), and these measurements are coherently or incoherently integrated to determine the range and/or range-rate of the pixel. A beam with a narrower angular size than the desired pixel size can be implemented in multiple ways, e.g., by using a scanning element with a larger aperture in the LIDAR system, or by using a magnifying optic such as a telescope or a diffraction grating to increase the size of the beam while using a scanner with a small aperture. Note that the (near-field) size of the beam at the LIDAR transmitter/receiver is inversely proportional to the angular size of the beam in the far field (i.e., at the target).」 ([0091] 図13Aに示す第1のアプローチでは、各場面のピクセル1310はN個のサブピクセル1320に分割され(Nは1より大きい整数)、これらのサブピクセルは順次測定される。図13Aの例では、N=3である。各サブピクセルは、ピクセル測定時間TM(図1で定義)中にピクセルを走査する照明ビームを用いて測定される。照明ビームの角度サイズによってサブピクセルのサイズが決定される。図13Aでは簡略化のために1次元スキャンが示されているが、他のスキャンパターンも可能である。これらのサブピクセルに対してN回の個別のLIDAR測定が順次実行され(各測定にはTM/Nの時間がかかる)、これらの測定値はコヒーレント又はインコヒーレントに積分され、ピクセルの距離及び/又は距離変化率が決定される。所望のピクセルサイズよりも狭い角度サイズのビームは、LIDARシステムにおいてより大きな開口を持つ走査素子を使用する、あるいは望遠鏡や回折格子などの拡大光学系を用いてビームサイズを拡大する一方で、小さな開口を持つスキャナを使用するなど、複数の方法で実現できる。LIDAR送信機/受信機におけるビームの(近距離場における)サイズは、遠距離場(すなわちターゲット)におけるビームの角度サイズに反比例することに注意する必要がある。) 「Fig.13A [図:0001438736000003.jpg] 」 「[0092] Alternatively, the LIDAR measurements on N subpixels within a pixel can be performed simultaneously and in parallel, as illustrated in FIG. 13B. In this example, N=4. The N subpixels are simultaneously illuminated and imaged on different photodetectors to obtain N different LIDAR measurements (range and/or range-rate). In this case, each measurement is performed over the full pixel measurement time TM. The N measurements are coherently or incoherently integrated to provide a composite range and/or range-rate of the pixel.」 ([0092] あるいは、図13Bに示すように、ピクセル内のN個のサブピクセルに対するLIDAR測定を同時かつ並列に実行することもできる。この例ではN=4である。N個のサブピクセルは同時に照射され、異なる光検出器で結像され、N個の異なるLIDARの測定値(距離及び/又は距離変化率)が得られる。この場合、各測定はピクセル測定時間TM全体にわたって実行される。N個の測定値はコヒーレント又はインコヒーレントに積分され、ピクセルの合成された距離及び/又は距離変化率が得られる。) 「Fig.13B [図:0001438736000004.jpg] 」 「[0093] A hybrid of the techniques shown in FIG. 13A and FIG. 13B is also possible. For example, a pixel may be divided into four subpixels (as in FIG. 13B) which are scanned in two horizontal (as shown in FIG. 13A) steps by two vertically-offset beams.」 ([0093] 図13Aと図13Bに示した技術を組み合わせたものも可能である。例えば、1つのピクセルを4つのサブピクセルに分割し(図13B参照)、垂直方向にオフセットした2本のビームで水平方向に2段階(図13A参照)で走査する。) 「[0094] A third approach to speckle mitigation is to take advantage of the wavelength dependence of the amplitude and phase of the speckle pattern, Multiple independent measurements of a scene pixel may be obtained by illuminating the pixel with light at different wavelengths. LIDAR measurements performed at different wavelengths are coherently or incoherently integrated (combined) to determine the range and/or range-rate at that pixel, while mitigating the effects of speckle. For example, the beams from two lasers having different wavelengths may be combined (as previously shown in FIG. 5) and scanned over a scene. The reflected light may be separated into two components by a wavelength-selective beam splitter (as shown in FIG. 5) and detected by respective photodiodes. A data processing function may coherently or incoherently combine the outputs from the two photodetectors to determine the range and/or range-rate of each pixel. This technique can be easily extended to three or more lasers with different wavelengths.」 ([0094] スペックル軽減の3つ目のアプローチは、スペックルパターンの振幅と位相の波長依存性を利用することである。異なる波長の光でピクセルを照射することにより、場面のピクセルについて複数の独立した測定値を得ることができる。異なる波長で行われたLIDAR測定値は、コヒーレント又はインコヒーレントに積分(合成)され、スペックルの影響を軽減しながら、そのピクセルにおける距離及び/又は距離変化率を決定する。例えば、異なる波長を持つ2つのレーザーからのビームを合成し(図5に示すように)、シーン全体を走査することができる。反射光は、波長選択性ビームスプリッター(図5に示すように)によって2つの成分に分離され、それぞれのフォトダイオードによって検出される。データ処理機能は、2つの光検出器からの出力をコヒーレント又はインコヒーレントに合成し、各ピクセルの距離及び/又は距離変化率を決定する。この技術は、異なる波長を持つ3つ以上のレーザーにも容易に拡張できる。) 「(再掲)Fig.5 [図:0001438736000005.jpg] 」 「[0095] FIG. 14 is a schematic diagram of a coherent LIDAR system 1400 that performs simultaneous measurements of N subpixels within each pixel. The system 1400 is similar to the LIDAR system 800 of FIG. 8, but with N beams propagating in parallel though much of the system.」 ([0095] 図14は、各ピクセル内のN個のサブピクセルを同時に測定するコヒーレントLIDARシステム1400の概略図である。システム1400は図8のLIDARシステム800に類似しているが、システムの大部分をN本のビームが平行に伝播する点が異なる。) 「Fig.14 [図:0001438736000006.jpg] 」 「[0096] The output of a CHDL 1410 is divided into N parallel beams. A tap coupler 1420 is used to extract a small fraction of each beam as a respective LO beam. The majority (typically >90%) of each CHDL beam is directed toward a target via an N-channel circulator 1430. The N-channel circulator may be, for example, implemented using discrete optical elements (e.g. known combinations of polarizing beam splitters and a Faraday rotator) such that N beams can pass through the circulator in parallel. A lens 1470 converts the N output beams 1435 from the circulator 1430 into Ncollimated output beams at slightly different angles such that the N beams illuminate N subpixels within a target pixel, as shown in FIG. 13B. The N output beams are scanned across a field of view by a scanning mirror 1475.」 ([0096] CHDL 1410の出力はN本の平行ビームに分割される。タップカプラー1420は、各ビームのごく一部をそれぞれのLOビームとして抽出するために使用される。各CHDLビームの大部分(通常90%以上)は、Nチャネルサーキュレータ1430を介してターゲットに向けられる。Nチャネルサーキュレータは、例えば、個別の光学素子(例えば、偏光ビームスプリッタとファラデー回転子の既知の組み合わせ)を用いて実装され、N本のビームがサーキュレータを並列に通過できるようにする。レンズ1470は、サーキュレータ1430からのN本の出力ビーム1435を、わずかに異なる角度を持つN本のコリメートされた出力ビームに変換する。これにより、図13Bに示すように、N本のビームはターゲットピクセル内のN個のサブピクセルを照射する。N本の出力ビームは、走査ミラー1475によって視野全体にわたって走査される。) 「[0097] The lens 1470 collects light reflected from the target (not shown) and forms the reflected light into N received light beams 1440. The received light beams separated from the output beams by the circulator 1430 and are combined with respective LO beams by N couplers or beamsplitters 1445. The combined LO waves and the received light beams from the target are respectively incident on N photodetectors 1450. The N photodetectors 1450 provide respective measurements indicative of the range and range rate of respective subpixels, as previously described. A processor (not shown) coherently or incoherently combines the N subpixel measurements to provide a composite range and/or range rate measurement for the pixel.」 ([0097] レンズ1470は、ターゲット(図示せず)からの反射光を集光し、N本の受信光ビーム1440を形成する。受信光ビームは、サーキュレータ1430によって出力ビームから分離され、N個のカプラ又はビームスプリッタ1445によってそれぞれのLOビームと合成される。合成されたLO波とターゲットからの受信光ビームは、それぞれN個の光検出器1450に入射する。N個の光検出器1450は、前述のように、各サブピクセルの距離及び距離変化率を示す測定値を提供する。プロセッサ(図示せず)は、N個のサブピクセルの測定値をコヒーレント又はインコヒーレントに合成し、ピクセルの合成された距離及び/又は距離変化率を提供する。) イ 引用発明の認定 前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「LIDARシステムにおけるスペックル軽減のために、視野の各スキャン中に各場面のピクセルに対して複数の測定値を取得し、これらの測定値をコヒーレント又はインコヒーレントに統合(合成)することで、ターゲットの変動(スペックル)を軽減するものであって、([0090]) 複数の測定値を取得するための1つのアプローチとして、([0090]) ピクセル内のN個のサブピクセルに対するLIDAR測定を同時かつ並列に実行し、N個のサブピクセルは同時に照射され、異なる光検出器で結像され、N個の異なるLIDARの測定値(距離及び/又は距離変化率)が得られ、N個の測定値はコヒーレント又はインコヒーレントに積分され、ピクセルの合成された距離及び/又は距離変化率を得るものであり、([0092]) 各ピクセル内のN個のサブピクセルを同時に測定するコヒーレントLIDARシステム1400において、([0095]) CHDL(チャープダイオードレーザー) 1410の出力はN本の平行ビームに分割され、タップカプラー1420は、各ビームのごく一部をそれぞれのLOビームとして抽出するために使用され、各CHDLビームの大部分(通常90%以上)は、Nチャネルサーキュレータ1430を介してターゲットに向けられ、Nチャネルサーキュレータは、例えば、個別の光学素子(例えば、偏光ビームスプリッタとファラデー回転子の既知の組み合わせ)を用いて実装され、N本のビームがサーキュレータを並列に通過できるようにし、レンズ1470は、サーキュレータ1430からのN本の出力ビーム1435を、わずかに異なる角度を持つN本のコリメートされた出力ビームに変換し、これにより、N本のビームはターゲットピクセル内のN個のサブピクセルを照射するものであり、([0096]、[0005]) レンズ1470は、ターゲットからの反射光を集光し、N本の受信光ビーム1440を形成し、受信光ビームは、サーキュレータ1430によって出力ビームから分離され、N個のカプラ又はビームスプリッタ1445によってそれぞれのLOビームと合成され、合成されたLO波とターゲットからの受信光ビームは、それぞれN個の光検出器1450に入射し、N個の光検出器1450は、各サブピクセルの距離及び距離変化率を示す測定値を提供し、プロセッサは、N個のサブピクセルの測定値をコヒーレント又はインコヒーレントに合成し、ピクセルの合成された距離及び/又は距離変化率を提供するものであり、([0097]) あるいは、別のアプローチとして、異なる波長の光でピクセルを照射することにより、場面のピクセルについて複数の独立した測定値を得るものであって、異なる波長を持つ2つのレーザーからのビームを合成し、反射光は、波長選択性ビームスプリッターによって2つの成分に分離され、それぞれのフォトダイオードによって検出され、データ処理機能は、2つの光検出器からの出力をコヒーレント又はインコヒーレントに合成し、各ピクセルの距離及び/又は距離変化率を決定するものであって、([0094]) 同じピクセルを同時に照射するLIDARシステム500は、2つのCHDL 510、570を用い、([0064]) 第1及び第2のCHDL510、570は異なる波長を有し、ビームコンバイナ575はダイクロイックビームスプリッタであって、第1及び第2のCHDL 510、570からのビームは合成され、ターゲット560に向けられ、ターゲットからの反射ビームは、ビーム分割器によって分離され、別々の検出器550、585に向けられる、([0065]) LIDARシステム。」 (3) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点 「LIDARシステム」の発明である本件補正発明と、「LIDARシステム」の発明である引用発明とは、「LIDARシステム」の発明である点において一致する。 (イ) 構成A1及びA2の観点 a(a) 構成A1は、「複数のLIDAR出力信号を生成する1つ以上のLIDARチップ」を備える点である。 (b) 構成A2は、「前記LIDAR出力信号が、波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域に対する入射角の多様性からなる群から選択される1つ以上の光学的多様性を有[する]」点である。 (c) 以下、構成A1及びA2についてまとめて検討する。 b 引用発明の「1つのアプローチ」として、「CHDL(チャープダイオードレーザー)1410の出力」は「N本の平行ビームに分割され」、「わずかに異なる角度を持つN本のコリメートされた出力ビームに変換」され、「N本のビームはターゲットピクセル内のN個のサブピクセルを照射する」ところ、引用発明におけるN本の「ビーム」は、本件補正発明の「複数のLIDAR出力信号」に相当する。また、引用発明の「ターゲットピクセル」は本件補正発明の「サンプル領域」に相当するものであるところ、引用発明における「わずかに異なる角度を持つN本のコリメートされた出力ビーム」は、本件補正発明の「サンプル領域に対する入射角の多様性」という「光学的多様性」を有する「LIDAR出力信号」に相当するものと認められる。 c また、引用発明の「別のアプローチ」として、異なる波長でピクセルを照射するために「異なる波長を有[する]」「第1及び第2のCHDL510、570」を用い、「第1及び第2のCHDL510、570からのビームは合成され、ターゲット560に向けられる」との構成も採用し得るものであるところ、この「別のアプローチ」を採用した場合の「合成」された「ビーム」は、本件補正発明の「波長の多様性」という「光学的多様性」を有する「LIDAR出力信号」に相当するものと認められる。 d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成A1、A2の観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成A1、A2の観点における一致点 「複数のLIDAR出力信号を生成」し、「前記LIDAR出力信号が、波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域に対する入射角の多様性からなる群から選択される1つ以上の光学的多様性を有[する]」点。 (b) 構成A1、A2の観点における相違点 「複数のLIDAR出力信号を生成」するのにあたり、 本件補正発明においては「1つ以上のLIDARチップ」を用いるのに対して、 引用発明においては、 「1つ以上のLIDARチップ」を用いるものであるのか不明である点。 (ウ) 構成B1~4の観点 a(a) 構成B1は、「前記LIDAR出力信号がLIDARシステムの視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられ、サンプル領域でオーバーラップするようにLIDARシステムを操作する電子機器を含む」ことである。 (b) 構成B2は、「前記電子機器は、サンプル領域に対して複数の異なるLIDARデータ結果を生成」することである。 (c) 構成B3は「各LIDARデータ結果は、LIDARシステムとサンプル領域間の距離および/または視線速度を含[む]」ことである。 (d) 構成B4は「異なるLIDARデータ結果の各々は、電子機器がLIDARデータ結果を生成するためにLIDARデータ結果に関連付けられたLIDAR出力信号からの光を使用するという点で、LIDAR出力信号の異なる1つに関連付けられている」ことである。 (e) 以下、構成B1~B4についてまとめて検討する。 b(a)構成B1について検討するに、引用発明における「LIDARシステム」は、当該「LIDARシステム」を操作するための何らかの「電子機器」(電子工学の技術を応用した電気製品)を含むものであることは明らかである。また仮にそうでないとしても、引用文献1の記載に接した当業者がその存在を直ちに想起するものということができるから、引用文献1に記載されているに等しい事項といえる。したがって、「電子機器」を含むか否かは、本件補正発明と引用発明との相違点とは認められない。 また、引用発明における「1つのアプローチ」においては、「ピクセル内のN個のサブピクセルに対するLIDAR測定を同時かつ並列に実行し、N個のサブピクセルは同時に照射され[る]」ものであって、「N本のビームはターゲットピクセル内のN個のサブピクセルを照射するもの」であるから、引用発明と本件補正発明とは「前記LIDAR出力信号がLIDARシステムの視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられ」ている点で一致しているものといえるが、その一方で、引用発明における「1つのアプローチ」において、「ビーム」が「ターゲットピクセル」(「サンプル領域」に相当)で「オーバーラップ」するものであるかは不明である。 また、引用発明における「別のアプローチ」においても、「同じピクセルを同時に照射する」のであるから、「前記LIDAR出力信号がLIDARシステムの視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられ」ということができるが、引用発明における「別のアプローチ」において、「ビーム」が「ターゲットピクセル」(「サンプル領域」に相当)で「オーバーラップ」するものであるかは、同様に不明である。 (b) 構成B2について検討するに、引用発明における「ピクセル」及び「測定値」は、それぞれ本件補正発明の「サンプル領域」、「LIDARデータ結果」に相当するものであるところ、引用発明は、「各場面のピクセルに対して複数の測定値を取得」するものであるから、本件補正発明における「前記電子機器は、サンプル領域に対して複数の異なるLIDARデータ結果を生成[する]」との要件を満たす。 (c) 構成B3について検討するに、引用発明において測定される「距離」は、本件補正発明における「LIDARシステムとサンプル領域間」の「距離」に相当する。 また、本件補正発明における「視線速度」とは、本願明細書の段落【0146】の記載を参酌すれば、LIDARシステムから反射物体(サンプル領域)を見た場合の視線方向に沿った反射物体の相対速度のことであると解するのが相当であるところ、引用発明における「距離変化率」は、「LIDARシステム」と「ターゲットピクセル」の間の「距離」の時間変化の割合(すなわち「LIDARシステム」からみた「ターゲットピクセル」の相対速度)を意味することは明らかである。 そうすると、引用発明において測定される「距離変化率」は、本件補正発明における「LIDARシステムとサンプル領域間」の「視線速度」に相当するものと認められる。 してみれば、引用発明と本件補正発明とは、「各LIDARデータ結果は、LIDARシステムとサンプル領域間の距離および/または視線速度を含[む]」点で一致する。 (d) 構成B4について検討するに、引用発明における「1つのアプローチ」においては、「N個のサブピクセルに対するLIDAR測定を同時かつ並行に実行し、N個のサブピクセルは同時に照射され、異なる光検出器で結像され、N個の異なるLIDARの測定値(距離及び/又は距離変化率)が得られ[る]」ものであって、そのために「N本のビームはターゲットピクセル内のN個のサブピクセルを照射する」のであるから、引用発明におけるN個の「測定値」の各々は、「測定値」を生成するために、「測定値」に関連づけられた「ビーム」を使用するという点で、各「測定値」は「ビーム」の一つに関連付けられているということができる。また、「別のアプローチ」においても、それぞれの「測定値」は波長の異なる2つの「ビーム」に関連付けられていることは明らかである。 したがって、引用発明と本件補正発明とは、「異なるLIDARデータ結果の各々は、電子機器がLIDARデータ結果を生成するためにLIDARデータ結果に関連付けられたLIDAR出力信号からの光を使用するという点で、LIDAR出力信号の異なる1つに関連付けられている」点で一致しているということができる。 c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成B1~B4の観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成B1~B4の観点における一致点 「前記LIDAR出力信号がLIDARシステムの視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられるようにLIDARシステムを操作する電子機器を含むLIDARシステムであって」、「前記電子機器は、サンプル領域に対して複数の異なるLIDARデータ結果を生成し、各LIDARデータ結果は、LIDARシステムとサンプル領域間の距離および/または視線速度を含み、かつ、異なるLIDARデータ結果の各々は、電子機器がLIDARデータ結果を生成するためにLIDARデータ結果に関連付けられたLIDAR出力信号からの光を使用するという点で、LIDAR出力信号の異なる1つに関連付けられている」点。 (b) 構成B1~B4の観点における相違点 「LIDAR出力信号」が、 本件補正発明においては、「サンプル領域でオーバーラップする」のに対し、 引用発明においては、「ターゲットピクセル」(「サンプル領域」に相当)で「オーバーラップする」のか不明である点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「 複数のLIDAR出力信号を生成し、前記LIDAR出力信号がLIDARシステムの視野内の同じサンプル領域に同時に方向付けられるようにLIDARシステムを操作する電子機器を含む、LIDARシステムであって、 前記LIDAR出力信号が、波長の多様性、偏光の多様性、及びサンプル領域に対する入射角の多様性からなる群から選択される1つ以上の光学的多様性を有し、 前記電子機器は、サンプル領域に対して複数の異なるLIDARデータ結果を生成し、 各LIDARデータ結果は、LIDARシステムとサンプル領域間の距離および/または視線速度を含み、かつ、 異なるLIDARデータ結果の各々は、電子機器がLIDARデータ結果を生成するためにLIDARデータ結果に関連付けられたLIDAR出力信号からの光を使用するという点で、LIDAR出力信号の異なる1つに関連付けられている、LIDARシステム。」である点。 (イ) 相違点 a 相違点1 「複数のLIDAR出力信号を生成」するのにあたり、 本件補正発明においては「1つ以上のLIDARチップ」を用いるのに対して、 引用発明においては、 「1つ以上のLIDARチップ」を用いるものであるのか不明である点。 b 相違点2 「LIDAR出力信号」が、 本件補正発明においては、「サンプル領域でオーバーラップする」のに対し、 引用発明においては、「サンプル領域でオーバーラップする」のか不明である点。 (4) 判断 ア 相違点1について 本願明細書の発明の詳細な説明をみても、「LIDARチップ」の定義は特段見当たらないところ、LIDARシステム内の「チップ」状の部品であれば、本件補正発明にいう「LIDARチップ」に相当するものと認められる。 そして、引用発明において、例えば「LIDAR出力信号」を生成する「CHDL(チャープダイオードレーザー)」をチップ状の素子としたり、あるいは当該「CHDL」と他の素子(レンズ、タップカプラー、サーキュレータ等)を含む形でチップ状の素子を構成したりすることは、当業者が適宜なし得る設計的な事項にすぎないものというべきであり(なお、必要であれば特表2018-512600号の段落【0044】の「LIDARシステムの構成要素の全て又は幾つかが、シリコン又は他の適切な材料からなるウエハ又はチップの上に設けられてよい。…(中略)…この例では、WGM共振器は別途製造されて、LIDARチップに組み込まれる。」との記載を参照。)、このようなチップ状の素子は、本件補正発明における「1つ以上のLIDARチップ」に相当するものと認められる。 してみれば、この点は実質的にみて相違点ではないか、または当業者が適宜なし得る設計的な事項にすぎないものと認められる。 イ 相違点2について (ア) 本件補正発明においてLIDAR出力信号を「サンプル領域でオーバーラップ」させる技術的理由は、同じサンプル領域において複数のLIDARデータを得るためである(例えば本願明細書の段落【0160】の「図12は、LIDAR出力信号が、それぞれ、視野305内の同じサンプル領域302に方向付けられていることを示している。該サンプル領域は、いずれのLIDAR出力信号から生成されたLIDARデータのためのLIDAR出力信号の間に、視野の同じ領域を表すのにオーバーラップがある場所に配置される。」を参照。なお原文をみると「The sample region is located where there is sufficient overlap between the LIDAR output signals for the LIDAR data generated from each of the LIDAR output signals to be representative of the same region of the field of view.」とされており、すなわち、LIDAR出力信号のそれぞれが、視野における同じ領域を代表するのに十分であるようなLIDAR出力信号間のオーバーラップが存在する場所に、サンプル領域が設けられることが示されている。)。 引用発明も、同じ「ピクセル」においてN個(複数)のLIDARの測定値を得て、それぞれの測定値から「合成された距離及び/又は距離変化率」を得るのであるから、その意味において、引用発明も本件補正発明と同様に、同じピクセルに対して「ビーム」を「オーバーラップ」させているとみることができる。 (イ) さらにいえば、一般にレーザから出力される光の空間分布はガウシアン分布(正規分布)となり、すなわち光分布の裾は広がるところ、引用文献1のFig.13Bのようにサブピクセルを設定した場合、通常はその光出力の裾野は重なり合うものと考えられる。そのような意味からみても、引用発明における「ビーム」は相互に「オーバーラップ」しているものと認められる。 <参考図:Ophir社ブログ「レーザービームサイズの計算方法」https://www.ophiropt.com/blog/ja/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%81%AE%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%96%B9%E6%B3%95/(アクセス日:2025年11月27日)> [図:0001438736000007.jpg] (ウ) また、引用発明における「別のアプローチ」を採用した場合には、それぞれのビームは異なる波長を持ち、そのことによって本件補正発明にいう「光学的多様性」を実現しているところ、この場合には、Fig.5のように、「異なる波長を持つ2つのレーザーからのビームを合成し、反射光は、波長選択性ビームスプリッターによって2つの成分に分離され、それぞれのフォトダイオードによって検出」することとなる。すなわち、引用発明における「別のアプローチ」を採用した場合には、「1つのアプローチ」のように、ビームごとにサブピクセルを設定しなくても複数の「測定値」を得ることができるから、2つの「ビーム」をわざわざ別の「サブピクセル」に照射する必要はない。そうすると、2つの「ビーム」を「ピクセル」で「オーバーラップ」するように構成することは、むしろ自然なことといえる。 (エ) 前記(ア)~(ウ)で検討したように、相違点2については実質的にみて相違点ではないか、または当業者が容易に想到できたことと認められる。 ウ 総合評価 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1、2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張内容 引用発明は、異なるビームのそれぞれが「異なる角度」で出力され、Fig.13Bに示されるようにそれぞれが異なるサブピクセルを照らすものであり、それぞれのサブピクセルの配置は重なり合っていない。すなわち、引用発明は、本件補正発明に記載されるようにビームが重なり合っていること、すなわちオーバーラップすることは特定されていない。 (イ) 請求人の主張についての検討 オーバーラップについては、前記イにおいて既に検討したとおりであり、この点は実質的にみて相違点ではないか、または当業者が容易に想到できたことと認められる。 したがって、請求人の主張は採用することができない。 オ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記2(3)に説示したとおり、本件補正による請求項1についての補正、及び本件補正による請求項21についての補正は、特許法17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 仮に本件補正が特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものであるとして検討しても、前記3(4)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものであることに変わりはない。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 <主たる引用文献> 引用文献1.米国特許出願公開第2019/0025426号明細書 3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等 引用文献1に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)ア及びイにおいて示したとおりである。 4 対比・判断 (1) 本願発明と本件補正発明との違い 本願発明は、前記第2の2(1)アにおいて検討したとおり、補正事項1及び補正事項2に関して、本件補正発明から以下の点を変更したものである。 ア LIDAR出力信号が同時に方向付けられる「視野内の同じサンプル領域」に係る「視野」について、「LIDARシステムの」との限定を削除したもの。 イ LIDAR出力信号がサンプル領域でオーバーラップするようにするための操作対象を、「LIDARシステム」から「1つ以上のLIDARチップ」に変更したもの。 (2) 本願発明についての判断 前記(1)アの点について検討するに、本件補正発明よりも限定が削除されて発明の範囲が拡張されているものであり、この点は、前記第2の3(4)の判断を左右しないものと認められる。 前記(1)イの点について検討するに、「LIDAR出力信号がサンプル領域でオーバーラップするようにするための操作対象」を「1つ以上のLIDARチップ」とすることは、当業者が適宜なし得た事項にすぎないものと認められる。 そうすると、本件補正発明が引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるところ、本願発明も、同様の理由により引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-013584

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