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商標異議申立

2020-900144

ニューブロスレッド、ニューブロスリード、ブロスレッド、ブロスリード

審判番号
2020-900144
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2019-073755外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年05月22日
審決日
2020年10月21日
公報発行日
2020年12月25日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
T1651.271-Y (W23)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
標準文字
論点(本文から自動抽出・参考)
称呼外観観念要部・分離観察品質表示出所の混同周知・著名不正の目的濃い色は判断部分で検討された論点、薄い色は本文中で触れているもの
引用商標(本文から自動抽出・参考)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

登録第6232282号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

【結 論】
登録第6232282号商標の商標登録を維持する。

理由

目次 ▾ 16項目
【理 由】

1 本件商標

本件登録第6232282号商標(以下「本件商標」という。)は、「New brothread」の欧文字を標準文字で表してなり、令和元年5月25日に登録出願、第23類「糸,綿糸,刺しゅう糸,絹糸,綿紡糸,縫糸,紡績糸,レーヨン糸,かがり糸,織物用ガラス繊維糸,織物用弾性糸,織物用プラスチック製糸,刺しゅう用金属糸」を指定商品として、同2年2月17日に登録査定され、同年3月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも申立人が商品「ミシン」などについて使用し、需要者の間に広く認識されているとするものである。

(1)登録第4425377号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 別掲のとおり

指定商品 第1類ないし第34類に属する商標登録原簿に記載の商品

登録出願日 平成11年12月13日

設定登録日 平成12年10月20日

(2)登録第934694号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 別掲のとおり

指定商品 第6類ないし第9類、第11類、第12類、第15類ないし第17類、第19類ないし第21類及び第26類に属する商標登録原簿に記載の商品

登録出願日 昭和43年6月22日

設定登録日 昭和46年10月30日

なお、引用商標に係る商標権はいずれも現に有効に存続しており、また、引用商標2については第1類ないし第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務について防護標章登録されている。

3 登録異議の申立ての理由

折りたたみ中(クリックで表示)

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。

(1)申立人について

申立人は、明治41年にミシンの修理業から創業し、昭和3年の麦わら帽子製造用環縫ミシンで初めて「BROTHER」のブランドを使用し、以来90年以上一貫してハウスマークとしてブラザーブランドを継続使用し、昭和59年から小文字を基調した現在のロゴ「brother」(引用商標)を使用している。

現在は創業時からのミシンに加えてプリンターや複合機の売上を伸ばし、全世界のグループ売上収益は6,373億円(令和元年度実績)に伸ばし、日本、米国、欧州を始めとして全世界に製品を提供し、申立人のブラザーブランド、及び「brother」は著名である。

令和元年度実績において、特に日本国内において申立人及びその子会社「ブラザー販売株式会社」による家庭用ミシンの売上収益は約28億円、売上台数は約11.6万台にも上り、国内における市場シェアは約28%を占めるものと推察される。またミシンの関連商品として、申立人は商標「brother」のもとで、糸の販売も行っている(甲4)。

加えて、申立人が行った「2019グローバルブランド浸透調査報告書」(甲5)によると、特に日本においては、調査を行った2,000人のうち全体の79%がブラザーという会社を認知しており、全体の72%が家庭用ミシン及び工業用ミシンの事業を認知しているという結果であった。

(2)申立人の商標登録について

申立人は、引用商標1を含めて第23類「糸」を指定商品とする商標権を、また、引用商標2を含めて第7類「ミシン」を指定商品とする商標権を、いずれも多数登録している。

さらに、申立人が平成6年に「brother」の防護標章登録を受けている事実は、登録商標「brother」が申立人の業務に係る指定商品(役務)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている事実を示すものである。

(3)本件商標の出所混同のおそれについて

本件商標は「New brothread」と標準文字で書してなり、「New」部分、及びスペースを含んで、「brothread」より構成されてなるものである。構成中の「New」は「新しい」を意味する英単語であり、「brothread」のうち、後半部分の「thread」は本件商標の指定商品である「糸」を意味する英単語である。

一方構成中の「brothread」のうち、前半部分の「brothre」は直接の意味合いを持たないものの、申立人の商標権である「brother」と比較すると、語尾である「re」と「er」の順序が入れ替わったのみであり、外観において類似しているものと考えられる。

また、本件商標は、全体として一個不可分の既成の概念を示すものでなく、比較的長い商標であり、構成中の「New」は他部分とスペースを含んで切り離されて認識され得るものであり、加えて指定商品の関係から構成中の「thread」部分は識別力が低いと考えられるため、全体の一部分である「brothre」が抽出され、この部分がこれに接する取引者及び需要者の注意を特に強く引くであろうことが推察される。

一方で、上述のように本件商標の指定商品である「糸」が用いられる本体製品である「ミシン」において、申立人の商標「brother」が非常に広く知られた著名な商標であり、加えて、商標「brother」を付した「糸」を販売している事実がある。すなわち、本件商標の指定商品「糸」と引用商標1の現に使用されている指定商品「糸」が重複し、また引用商標2の指定商品「ミシン」についても「糸」との関連性の程度が極めて強く、「糸」及び「ミシン」の取引者及び需要者も共通する。

以上により、本件商標を目にした需要者は全体として「新しいブラザーの糸」、又は「新しいブラザーミシン向けの糸」と理解し、指定商品である「糸」に使用された際には、需要者は引用商標に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生じるおそれがある。加えて、申立人若しくはその経営する会社、またはこれらと密接な関係にある営業主に係る商品であるとの観念も生じ得ると考えられる。

仮に、その商標登録を認めた場合には、引用商標の持つ顧客吸引力ヘのただ乗りやその希釈化を招くという結果を生じ兼ねないと思料する。

(4)結び

本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性

申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(商標登録原簿、インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、申立人は明治41年に創業、昭和3年に「麦わら帽子製造用環縫ミシン」について、商標として「BROTHER」の使用を開始し、昭和59年からは別掲(引用商標)のとおりの態様で、商標「BROTHER(brother)」を現在まで90年以上ハウスマーク等として継続使用していること(職権調査)、現在はミシン、プリンターや複合機のほか糸も取り扱っていること(職権調査、甲4)、申立人の全世界のグループ売上収益は6,373億円(2019年度実績)であること(職権調査)、引用商標2は多数の区分に防護標章登録され、直近では平成30年6月に更新登録されていること(職権調査)などを認め得ることから、申立人の我が国における売上高、シェアなど販売実績は確認できないものの、引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(ミシン)を表示するものとして、少なくともミシンの需要者の間に広く認識されているものと認めて差し支えない。

(2)本件商標と引用商標の類似性の程度

ア 本件商標

本件商標は、上記1のとおり「New brothread」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「ニューブロスレッド」又は「ニューブロスリード」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

そして、本件商標は、その構成中「New」の文字は「新型の商品であること」など商品の品質を表示するものとして各種商品について使用され、自他商品識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものといえるから、「brothread」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得、該文字に相応し「ブロスレッド」又は「ブロスリード」の称呼も生じるものであって、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。

イ 引用商標

引用商標は、いずれも「brother」の文字を別掲1及び2のとおりの態様で表してなるものである。

そして、引用商標は、上記(1)のとおり申立人の業務に係る商品を表示するものとしてミシンの需要者の間に広く認識されているものと認められるものであること、及びその構成文字「brother」が「兄弟」を意味する我が国で親しまれた英単語であることからすれば、その構成文字及び態様に相応し「ブラザー」の称呼を生じ、「(申立人のブランドしての)ブラザー」及び「兄弟」の観念を生じるものと判断するのが相当である。

ウ 本件商標と引用商標の比較

本件商標と引用商標の類否について検討すると、まず、本件商標の構成中「brothread」の文字部分と引用商標の比較において、外観上両者は、文字のデザイン化の有無の差異、及び綴りにおいて語尾に「read」と「er」の差異を有するから、これらの差異が両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。

次に、前者から生じる「ブロスレッド」又は「ブロスリード」と後者から生じる「ブラザー」の称呼とは、明らかに語調語感が異なり、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものである。

さらに、観念においては、前者が特定の観念を生じないのに対し、後者は「(申立人のブランドしての)ブラザー」及び「兄弟」の観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。

そうすると、本件商標の構成中「brothread」の文字部分と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものというべきものである。

そうとすれば、本件商標(の構成全体)と引用商標は、非類似の商標であって、別異の商標ということができる。

(3)出所混同のおそれ

上記(1)のとおり引用商標はミシンの需要者の間に広く認識されているものであって、本件商標の指定商品と引用商標が使用される商品「ミシン」は関連性があり、取引者、需要者の一部が一致することがあるとしても、上記(2)のとおり本件商標と引用商標は非類似の商標であって別異の商標というべきものであること、及び引用商標を構成する「brother」の文字は「兄弟」を意味する我が国で親しまれた英単語であることから、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起することはないものと判断するのが相当である。

してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。

(4)申立人の主張について

申立人は、本件商標は「New」と「brothread」の間にスペースを含んでいる、構成中の「New」は「新しい」を意味する、「brothread」のうち、後半部分の「thread」は本件商標の指定商品「糸」を意味する英単語である、前半部分の「brothre」は著名な引用商標と語尾の「re」と「er」の順序が入れ替わったのみであり外観において類似している、本件商標は構成中の「brothre」の文字部分が取引者及び需要者の注意を特に強く引くなどとして、本件商標はこれを目にした需要者が「新しいブラザーの糸」又は「新しいブラザーミシン向けの糸」と理解し、出所の混同を生じるおそれがある旨主張している。

しかしながら、本件商標は上記(2)のとおり「brothread」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえるものの、「brothread」の構成文字は同書同大同間隔で一体に表され、その称呼「ブロスレッド」又は「ブロスリード」も無理なく一連に称呼し得ること、及び引用商標を構成する「brother」の文字は「兄弟」を意味する親しまれた既成語であることをあわせみれば、引用商標がミシンの需要者の間に広く認識されていることを考慮してもなお、「brothread」の構成文字中の「brothre」の文字部分が需要者等の注意をひくということはできないと判断するのが相当であり、また、本件商標は看者をして「新しいブラザーの糸」又は「新しいブラザーミシン向けの糸」の意味を理解させるということもできない。

したがって、申立人のかかる主張は採用できない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

別掲(理由中で参照)

別掲1 (引用商標1)
別掲2 (引用商標2)

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2020-900144

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