商標異議申立
2025-900260
- 審判番号
- 2025-900260
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2025-022711
- 登録番号
- 6978680
- 請求日
- 2025年11月28日
- 審決日
- 2026年07月22日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社SPECIAL HEROES
- 【異議申立人】ディーシー コミックス
- 【異議申立人代理人】弁理士法人MM&A
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 藤田 和美
- 審判官 林田 悠子
- 分類
- T1651.271-Y (W2528)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6978680号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6978680号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6978680号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和7年2月18日に登録出願、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年9月16日に登録査定、同年10月21日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第6701619号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、令和3年4月27日に登録出願、第3類、第9類、第16類ないし第18類、第21類、第24類ないし第26類、第29類、第30類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同5年5月26日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(以下「甲○」と記載する。)を提出した。
(1)本件商標
本件商標は、二つの同心円の上に稲妻を想起させる図形を重ねた(その結果、稲妻を想起させる図形と重なった二つの同心円の一部が消えている)構成からなる(甲1)。
(2)引用商標
引用商標は、欧文字「The」の白抜き文字と、それより数倍大きく、各文字の左側にスピードが出て動いている様子を表す模様が付いた欧文字「FLASH」の白抜き文字の下に、円と稲妻を想起させる図形が重なった構成からなる(甲2)。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
引用商標は、申立人が1940年1月に出版を開始した「The Flash」というアメリカンコミックスに由来する(甲3、甲4)。
このコミックスの主人公の名前が「The Flash」で、その胸に付いているマークが、引用商標を構成する「円と稲妻を想起させる図形を重ねたもの」である。第1号が出版されたのは上記のとおり1940年と、今から80年以上も前のことで、その当時の胸のマークは引用商標とは異なるが、その後主人公はスタイリッシュに変遷を重ね、1990年頃には胸のマークが引用商標の図形部分と同じ態様になった(甲5)。
「The Flash」のコミック本は、関連グッズも含め日本でもアマゾン等で購入でき(甲6)、コミック本で始まった「The Flash」は現地の米国でテレビシリーズとして映像化された後、日本でもそのDVDが多数発売されている。シーズンのすべてのエピソードが入ったいわゆるコンプリートボックスのほか、エピソードが二つずつ入り、特典映像も盛り込まれたDVDを視聴することができる(甲7)。
「The Flash」の関連グッズも販売されており、その一例としてナップザックがある(甲8)。
また、申立人制作のいわゆるアメコミには、「バットマン」や「スーパーマン」など、日本でも大変人気があり有名な作品があるが、「The Flash」もそういったスーパーヒーローのグループの一員としてよく知られている(甲9)。
2017年には神奈川県茅ケ崎市のバンダレコードに、申立人のアメコミのヒーローをフィーチャーしたポップアップショップがオープンし、その中でもバットマン、スーパーマン、ワンダーウーマンなどと一緒に「The Flash」が取り上げられている(甲10)。
同年には、これらのヒーロー達をフィーチャーしたアニメ映画「DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団」が制作され、公開された(甲11)。
このように、「The Flash」はコミック本、テレビシリーズのDVD等を通じて日本でもよく知られている。「The Flash」は、「胸に稲妻のマークのついた深紅のコスチュームを身にまとい、超スピードで疾走する」キャラクターである(甲3)。引用商標は「超スピードで疾走する」さまを、白抜きの欧文字「FLASH」の左側にスピードが出ている様子を表す模様をつけて雄弁に語っており、その点でも引用商標を目にした者に強い印象を与えるものといえる。
このような状況において、引用商標と同様に円の中に稲妻を想起させる図形を重ねた構成からなる本件商標を付した商品に接した者は、その商品が申立人のコミック本、テレビシリーズに何らかの関連のある商品と混同するおそれがある。
本件商標のように、文字要素を含まず図形だけで成り立つ商標については、需要者は外観を視覚的に捉えて認識し、その図形が単に抽象的なものではなく具体的に何かの形を表したものである場合は、その「具体的なもの」の名前と共に記憶する場合が多いといえる。それを本件商標に当てはめた場合、視覚的な認識に加えて「円と稲妻」という観念とともに記憶すると考えられる。引用商標に接した者においても、同様な記憶の作用が生じ、その図形部分からは外観とともに「円と稲妻」という観念を使って記憶されるものといえる。
以上のとおり、本件商標を付した商品は申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるため、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 引用商標の周知著名性
申立人が提出した証拠及び同人の主張によれば、「The Flash」の文字は、1940年に米国で出版されたコミック本の題名及びキャラクターの名称として使用されており(甲3、甲4)、円と稲妻風の図形を組み合わせた図形が当該キャラクターの胸元に表示されている(甲5)。
また、当該コミック本及びそのキャラクターを用いたフィギュア等の関連グッズは、我が国においても入手可能であり(甲6)、当該コミック本が映像化されたDVDが、我が国において2014年及び2015年に製作・販売され(甲7)、2017年には神奈川県茅ケ崎市のレコード店におけるポップアップショップにて当該コミック本のキャラクターが取り上げられ(甲10)、当該キャラクターを含むヒーロー達を取り上げたアニメ映画が制作され、公開された(甲11)ことがうかがえる。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠をもってしては、引用商標が使用された商品又は役務の我が国における販売開始時期、市場シェア、売上高などの販売実績、広告宣伝の規模等が不明であり、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、引用商標が、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において周知、著名となり、広く知られるに至っていたと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性
(ア)本件商標
本件商標は、中央に折り返しが1回ある稲妻風の図形を太線で描き、その周りに、二重の円状の弧を太線で描いた構成からなり、稲妻風の図形と二重の円状の弧は互いに接しない形で配されているものである。
そして、上記構成からなる本件商標は、中央に稲妻風の図形が描かれてはいるものの、これより一義的な意味合いが認識されるとまではいえないことから、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(イ)引用商標
引用商標は、上側にデザイン化した「The FLASH」の欧文字を配し、下側に中央に折り返しが2回ある稲妻風の図形を細線で描き、その周りに、円状の弧を細線で描いた構成からなり、稲妻風の図形と円状の弧は互いに接する形で配されているものである。
そして、上記構成からなる引用商標は、その構成中の文字部分に相応して、「ザフラッシュ」又は「フラッシュ」の称呼及び「(光などの)ひらめき、ぱっと出る発火」(研究社「新英和中辞典」第7版)程の観念が生じ、その構成中の図形部分は、中央に稲妻風の図形が描かれてはいるものの、これより一義的な意味合いが認識されるとまではいえないことから、当該部分からは特定の称呼及び観念は生じないものである。
(ウ)本件商標と引用商標の類似性の程度
まず、引用商標の文字部分と図形部分とは、態様が異なり、互いに重なることなく配置されていることから、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、それぞれが視覚上、分離して看取されることから、本件商標と引用商標の図形部分とを比較することも許されるものといえる。
そして、本件商標と引用商標の図形部分の外観を比較すると、両者は、稲妻風の図形と円状の弧を組み合わせた構成からなる点では共通するものの、稲妻風の図形の構成における折り返しの回数や線の太さ、円状の弧の数及び線の太さ、稲妻風の図形と円状の弧が接している否かにおいて明確な差異があり、図形部分全体として、外観上、明確に区別し得るものといえる。
また、称呼及び観念においては、本件商標及び引用商標の図形部分のいずれからも特定の称呼及び観念を生じないものであるから、両者を比較することはできない。
次に、本件商標と引用商標全体とを比較すると、本件商標は図形部分のみから構成されるのに対し、引用商標は図形部分に加えて「The FLASH」の欧文字から構成されるものであって、文字部分の有無に明らかな差異があり、両者の図形部分については、前記のとおり、明確に区別し得るものであるから、全体として、外観上、明確に区別できる。
また、称呼においては、本件商標からは特定の称呼が生じないのに対し、引用商標からは、その構成文字に相応して「ザフラッシュ」又は「フラッシュ」の称呼を生じるものであるから、称呼上、互いに相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは、その構成文字に相応して「(光などの)ひらめき、ぱっと出る発火」程の観念を生じるものであるから、観念上、互いに相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても区別でき、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、両商標の類似性の程度は低いものである。
ウ 出所の混同のおそれ
上記ア及びイのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者の間において周知、著名となり、広く知られるに至っていたものではなく、かつ、本件商標と引用商標の類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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