特許異議申立
2022-700312
プロセスカートリッジ
- 審判番号
- 2022-700312
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-050494
- 登録番号
- 6950147
- 請求日
- 2022年04月13日
- 審決日
- 2023年09月26日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ブラザー工業株式会社
- 【権利者代理人】小川 啓輔
- 【権利者代理人】稲垣 達也
- 【異議申立人】東京総合コンサルティング 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 殿川 雅也
- 審判官 藤本 義仁
- 審判官 佐藤 海
- 分類
- P1652.113-YAA(G03G) / P1652.121-YAA(G03G) / P1652.537-YAA(G03G) / P1652.841-YAA(G03G) / P1652.851-YAA(G03G) / P1652.853-YAA(G03G) / P1652.854-YAA(G03G) / P1652.856-YAA(G03G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6950147号発明「プロセスカートリッジ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6950147号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕、〔14-17〕について」)訂正することを認める。
特許第6950147号の請求項1ないし8、14ないし17に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6950147号の請求項1~17に係る特許についての出願は、平成28年3月15日に出願され、令和3年9月28日にその特許権の設定登録がされ、同年10月13日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和4年4月13日付けで特許異議申立人 東京総合コンサルティング株式会社(以下、「異議申立人」という。)より請求項1~8及び請求項14~17に対して特許異議の申立てがされ、令和4年6月21日付けで取消理由が通知され、同年8月26日に意見書、乙第1~13号証及び証拠説明書の提出がなされ、同年9月30日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年11月29日に訂正請求書及び意見書が提出され、令和5年1月16日に異議申立人より意見書、甲第11~12号証及び証拠説明書が提出され、令和5年2月9日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年3月17日に意見書が提出され、同年4月4日付けで取消理由が通知され、同年5月15日に訂正請求書及び意見書が提出されたところ、特許異議申立人は、同年5月24日付けの訂正請求があった旨の通知に対して、指定した期間内に何ら応答をしなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正請求の趣旨
令和5年5月15日に提出された訂正請求書(以下、当該訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。)に記載された請求の趣旨は、「特許第6950147号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9、14~17について訂正することを求める。」というものである。
2 訂正の内容
本件訂正請求書による本件訂正の内容は以下のとおりである。(注:下線部分は訂正箇所を示す。)
なお、特許法第120条の5第7項の規定により、令和4年11月29日に提出された訂正請求書による訂正請求は取り下げられたものとみなす。
(1)訂正事項
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「現像ローラを有する現像ユニットが、感光ドラムを有するドラムユニットに対して、前記現像ローラに沿って延びる回動軸線を中心に、前記現像ローラが前記感光ドラムと接触する位置と、前記現像ローラが前記感光ドラムから離れる位置との間で、回動可能に取り付けられたプロセスカートリッジであって、
前記現像ローラを前記感光ドラムに向けて付勢する付勢部材と、
前記現像ユニットに設けられ、前記現像ローラに電圧を印加するための導電性樹脂で形成される導電部材と、を備え、
前記導電部材は、画像形成装置本体の電気的な接点と接触する接触部を有し、
前記回動軸線から前記接触部までの距離は、前記回動軸線から前記付勢部材までの距離よりも短く、
前記回動軸線、前記接触部および前記付勢部材は、直線上に並ぶことを特徴とするプロセスカートリッジ。」
と記載されているのを、
「トナーを収容する筐体と現像ローラを有する現像ユニットが、感光ドラムを有するドラムユニットに対して、前記現像ローラに沿って延びる回動軸線を中心に、前記現像ローラが前記感光ドラムと接触する位置と、前記現像ローラが前記感光ドラムから離れる位置との間で、回動可能に取り付けられたプロセスカートリッジであって、
前記現像ローラを前記感光ドラムに向けて付勢する引張コイルバネと、
前記現像ユニットに設けられ、前記現像ローラに電圧を印加するための導電性樹脂で形成される導電部材であって、前記筐体の側壁に位置する導電部材と、を備え、
前記導電部材は、画像形成装置本体の電気的な接点と接触する接触部を有し、
前記ドラムユニットは、前記現象ユニットを回動可能に支持するサイドフレームを有し、
前記サイドフレームは、前記回動軸線方向に貫通した開口部であって、前記側壁に位置する前記接触部を、前記回動軸線方向に露出させる開口部を有し、
前記回動軸線から前記接触部までの距離は、前記回動軸線から前記引張コイルバネまでの距離よりも短く、
前記回動軸線方向に見て、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、
前記回動軸線方向に見て、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なることを特徴とするプロセスカートリッジ。」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2~9、14~17も同様に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記回動軸線方向から見て、前記接触部は、前記回動軸線と前記付勢部材との間に配置されている」
と記載されているのを、
「前記回動軸線方向に見て、前記接触部は、前記回動軸線と前記引張コイルバネとの間に配置されている」
に訂正する。
請求項2の記載を引用する請求項3~9、14~17も同様に訂正する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記付勢部材は、コイルバネであり、前記コイルバネのコイル部分の長さは、」
と記載されているのを、
「前記引張コイルバネのコイル部分の長さは、」
に訂正する。
請求項3の記載を引用する請求項4~9、14~17も同様に訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に
「前記回動軸線方向から見て、前記付勢部材は、」
と記載されているのを、
「前記回動軸線方向に見て、前記引張コイルバネは、」
に訂正する。
請求項7の記載を引用する請求項8、9、14~17も同様に訂正する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8に
「前記付勢部材」
と記載されているのを、
「前記引張コイルバネ」
に訂正する。
請求項8の記載を引用する請求項9、14~17も同様に訂正する。
3 訂正の適否
(1)訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無及び一群の請求項について
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「現像ユニット」について、「トナーを収容する筐体」を有することを明示的に明らかにするもの(以下「訂正事項1-1」という。)、訂正前の請求項1の「付勢部材」について、「引張コイルバネ」と具体的に限定するもの(以下「訂正事項1-2」という。)、請求項1の「『現像ユニット』に設けられた『導電部材』」について、その「位置」を「筐体の側壁」と具体的に限定するもの(以下「訂正事項1-3」という。)、請求項1の「ドラムユニット」について、「前記現象ユニットを回動可能に支持するサイドフレーム」を有することを明示的に明らかにするとともに、当該「サイドフレーム」が「前記回動軸線方向に貫通した開口部であって、前記側壁に位置する前記接触部を、前記回動軸線方向に露出させる開口部」を有することを具体的に特定するもの(以下「訂正事項1-4」という。)、請求項1の「前記回動軸線、前記接触部および前記付勢部材は、直線上に並ぶこと」について「前記回動軸線方向に見て、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、前記回動軸線方向に見て、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なること」と具体的に限定するもの(以下「訂正事項1-5」という。)である。
そうすると、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また、訂正事項1-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項1-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項1-4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同条同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また、訂正事項1-5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項1-1は、訂正前の請求項1の「現像ユニット」について、「トナーを収容する筐体」を有することを明示的に明らかにするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、上記(ア)のとおり、訂正事項1-2は、訂正前の請求項1の「付勢部材」について、「引張コイルバネ」と具体的に限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、上記(ア)のとおり、訂正事項1-3は、訂正前の請求項1の「『現像ユニット』に設けられた『導電部材』」について、その「位置」を「筐体の側壁」と具体的に限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、上記(ア)のとおり、訂正事項1-4は、訂正前の請求項1の「ドラムユニット」について、「前記現象ユニットを回動可能に支持するサイドフレーム」を有することを明示的に明らかにするとともに、当該「サイドフレーム」が「前記回動軸線方向に貫通した開口部であって、前記側壁に位置する前記接触部を、前記回動軸線方向に露出させる開口部」を有することを具体的に特定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、上記(ア)のとおり、訂正事項1-5は、訂正前の請求項1の「前記回動軸線、前記接触部および前記付勢部材は、直線上に並ぶこと」について「前記回動軸線方向に見て、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、前記回動軸線方向に見て、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なること」と具体的に限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
そうすると、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で 準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-1の「トナーを収容する筐体」について、願書に添付した明細書の【0051】の「現像ユニット60は、各サイドフレーム74に、所定の回動軸線CLを中心に回動可能に取り付けられている。現像ユニット60は、トナーを収容する筐体64を備えている。筐体64は、各サイドフレーム74の間に位置している。筐体64は、各サイドフレーム74の各支持穴74Aで回転可能に支持される2つの円柱状の軸部65を有している。各軸部65は、筐体64の軸線方向両側の側壁64A(1つのみ図示)から軸線方向外側に突出している。各軸部65の中心は、回動軸線CLとなっている。回動軸線CLは、軸線方向に沿って延びる直線である。」との記載に基づいて導き出される事項である。
訂正事項1-2の「引張コイルバネ」について、願書に添付した明細書の【0078】の「なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。前記実施形態では、付勢部材として引張コイルバネSPを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、付勢部材は、トーションバネ、板バネ、圧縮コイルバネなどであってもよい。」との記載に基づいて導き出される事項である。
訂正事項1-3の「前記筐体の側壁に位置する導電部材」、訂正事項1-4の「前記ドラムユニットは、前記現象ユニットを回動可能に支持するサイドフレームを有し、前記サイドフレームは、前記回動軸線方向に貫通した開口部であって、前記側壁に位置する前記接触部を、前記回動軸線方向に露出させる開口部を有し、」及び訂正事項1-5の「前記回動軸線方向に見て、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、前記回動軸線方向に見て、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なる」について、願書に添付した明細書の【0062】及び【0063】の「一方のサイドフレーム74は、回動軸線方向に貫通する開口部74Cと、後述する付勢部材の一例としての引張コイルバネSPの第1取付部SP2が取り付けられる第1取付ピン74Dとを有している。開口部74Cは、回動軸線CLと位置決め溝74Bの間に位置している。第1取付ピン74Dは、開口部74Cと感光ドラム71の回転中心との間に位置している。第1取付ピン74Dは、一方のサイドフレーム74の回転軸線方向の外面から突出している。現像ユニット60は、現像ローラ61と供給ローラ62に電圧を印加するための導電部材66と、引張コイルバネSPの第2取付部SP3が取り付けられる第2取付ピン67とを有している。導電部材66および第2取付ピン67は、筐体64の回動軸線方向の一方側に位置する。導電部材66および第2取付ピン67は、サイドフレーム74の開口部74Cを介して外部に露出している。」との記載に基づいて導き出される事項である。
そうすると、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的
訂正事項2は、訂正事項1-2に伴い、「付勢部材」について、「引張コイルバネ」と特定するとともに、訂正前の請求項2の「接触部」の「配置」について、「『前記回動軸線方向に見て』、『前記回動軸線と前記引張コイルバネとの間』」と具体的に限定するものである。
そうすると、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」及び同条同項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記ア(イ)と同様に、「引張コイルバネ」と特定することは、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項2の「接触部」の「配置」について、「『前記回動軸線方向に見て』、『前記回動軸線と前記引張コイルバネとの間』」と具体的と具体的に限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
そうすると、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2の「前記回動軸線方向に見て、前記接触部は、前記回動軸線と前記引張コイルバネとの間に配置されている」について、願書に添付した明細書の【0062】及び【0063】の「一方のサイドフレーム74は、回動軸線方向に貫通する開口部74Cと、後述する付勢部材の一例としての引張コイルバネSPの第1取付部SP2が取り付けられる第1取付ピン74Dとを有している。開口部74Cは、回動軸線CLと位置決め溝74Bの間に位置している。第1取付ピン74Dは、開口部74Cと感光ドラム71の回転中心との間に位置している。第1取付ピン74Dは、一方のサイドフレーム74の回転軸線方向の外面から突出している。現像ユニット60は、現像ローラ61と供給ローラ62に電圧を印加するための導電部材66と、引張コイルバネSPの第2取付部SP3が取り付けられる第2取付ピン67とを有している。導電部材66および第2取付ピン67は、筐体64の回動軸線方向の一方側に位置する。導電部材66および第2取付ピン67は、サイドフレーム74の開口部74Cを介して外部に露出している。」との記載に基づいて導き出される事項である。
そうすると、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的
訂正事項3は、訂正事項1-2に伴い、「付勢部材」について、「引張コイルバネ」と特定するものである。
そうすると、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記ア(イ)と同様に、「引張コイルバネ」と特定することは、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
そうすると、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3の「引張コイルバネ」について、願書に添付した明細書の【0078】の「なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。前記実施形態では、付勢部材として引張コイルバネSPを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、付勢部材は、トーションバネ、板バネ、圧縮コイルバネなどであってもよい。」との記載に基づいて導き出される事項である。
そうすると、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 訂正事項4について
訂正事項4は訂正事項2と同内容であることから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」及び同条同項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものであり、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
オ 訂正事項5について
訂正事項5は訂正事項3と同内容であることから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものであり、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
カ 一群の請求項について
訂正前の請求項1~9及び14~17について、請求項2~9及び14~17はそれぞれ請求項1を直接的または間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~9及び14~17に対応する訂正後の請求項1~9及び14~17は特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
キ 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
(ア)特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する同法126条第7項に規定する要件(所謂独立特許要件)については、本件訂正に係る本件特許の請求項1~8及び14~17に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、本件訂正請求による訂正後の請求項1~8及び14~18に係る発明については課されない。
(イ)訂正後の請求項9に係る発明について
後記のとおり、訂正後の請求項9が引用する訂正後の請求項8に取消理由がないのであるから、訂正後の請求項9は独立特許要件を満たす請求項である。
4 まとめ
上記のとおり、令和5年5月15日に特許権者が行った本件訂正における本件訂正前の請求項1~9及び14~17に係る訂正事項1~5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするもの、であり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項及び第7項の規定に適合するので、本件訂正後の請求項1~9及び14~17について、訂正を認める。
第3 訂正後の本件訂正特許発明
上記第2で検討したとおり、請求項1~8及び14~17に係る訂正を認めることができるから、請求項1~8及び14~17に係る特許についての発明は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1~8及び14~17に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」~「本件訂正特許発明8」及び「本件訂正特許発明14」~「本件訂正特許発明17」といい、総称して「本件訂正特許発明」という。)
「【請求項1】
トナーを収容する筐体と現像ローラを有する現像ユニットが、感光ドラムを有するドラムユニットに対して、前記現像ローラに沿って延びる回動軸線を中心に、前記現像ローラが前記感光ドラムと接触する位置と、前記現像ローラが前記感光ドラムから離れる位置との間で、回動可能に取り付けられたプロセスカートリッジであって、
前記現像ローラを前記感光ドラムに向けて付勢する引張コイルバネと、
前記現像ユニットに設けられ、前記現像ローラに電圧を印加するための導電性樹脂で形成される導電部材であって、前記筐体の側壁に位置する導電部材と、を備え、
前記導電部材は、画像形成装置本体の電気的な接点と接触する接触部を有し、
前記ドラムユニットは、前記現象ユニットを回動可能に支持するサイドフレームを有し、
前記サイドフレームは、前記回動軸線方向に貫通した開口部であって、前記側壁に位置する前記接触部を、前記回動軸線方向に露出させる開口部を有し、
前記回動軸線から前記接触部までの距離は、前記回動軸線から前記引張コイルバネまでの距離よりも短く、
前記回動軸線方向に見て、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、
前記回動軸線方向に見て、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記回動軸線方向に見て、前記接触部は、前記回動軸線と前記引張コイルバネとの間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記引張コイルバネのコイル部分の長さは、前記現像ユニットの回動方向における前記接触部の長さよりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記回動方向における前記接触部の長さは、5mm以上12mm以下であることを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記回動方向における前記接触部の長さは、6mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記回動方向における前記接触部の長さは、7mm以上9mm以下であることを特徴とする請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記回動軸線方向に見て、前記引張コイルバネは、前記現像ローラの回転中心と前記回動軸線とを通る直線を横切るように延びていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記引張コイルバネの一端部は、前記ドラムユニットに取り付けられ、他端部は、前記現像ユニットに取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項14】
前記接触部は、前記回動軸線方向に直交する直交面を有し、
前記直交面が外部に露出していることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項15】
前記現像ユニットは、前記現像ローラに現像剤を供給する供給ローラを備え、
前記導電部材は、前記供給ローラに接触していることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項16】
前記接触部から前記回動軸線までの距離は、7mm以上12mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項17】
前記接触部から前記回動軸線までの距離は、8mm以上11mm以下であることを特徴とする請求項16に記載のプロセスカートリッジ。」
第4 取消理由通知(令和4年9月30日付け決定の予告及び令和5年4月4日付け)に記載した取消理由について
1 取消理由の概要(取消理由4(特許法第36条第6項第2号違反))
(1)本件特許発明1について
ア 本件特許発明1には、「前記回動軸線、前記接触部および前記付勢部材は、直線上に並ぶ」と記載されているが、線が直線上に並ぶとは日本語としていかなることを意味しているのか不明確である。
(2)本件特許発明2~本件特許発明8及び本件特許発明14~本件特許発明17について
ア 本件特許発明1を直接的又は間接的に引用する本件特許発明2~本件特許発明8及び本件特許発明14~本件特許発明17も、上記「(1)ア」と同様の理由により、明確でない。
イ 本件特許発明2及び本件特許発明7には、「回動軸線方向から見て」と記載されているが、「回動軸線方向から見て」とは、どのように「見て」ということを意味しているのか不明確である。
(「回動軸線方向から見て」とは、「回動軸線方向に見て」ということを意味しているという解釈以外に、「回動軸線方向に伸びる線における所定の点から見て」ということを意味しているという解釈も包含していることに注意されたい。)
ウ 本件特許発明2及び本件特許発明7を直接的又は間接的に引用する本件特許発明3~本件特許発明8、本件特許発明14~本件特許発明17についても上記「イ」と同様の理由により、明確でない。
(3)取消理由4のまとめ
上記(1)及び(2)で検討したとおり、本件特許発明1~本件特許発明8及び本件特許発明14~本件特許発明17は、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~請求項8及び請求項14~請求項17に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであって、同法第113条第4号に該当するから、取り消されるべきものである。
2 当審の判断
(1)本件訂正特許発明1について
本件訂正における訂正事項1-5により、請求項1の「前記回動軸線、前記接触部および前記付勢部材は、直線上に並ぶこと」について、「前記回動軸線方向に見て、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、前記回動軸線方向に見て、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なること」と具体的に限定された。
そうすると、「直線上に並ぶ」との不明確な記載は解消され、「回動軸線方向に見て、接触部および引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、前記回動軸線方向に見て、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが側壁と重なる」と視線の方向及び各構成要素の配置位置が明確な記載となった。
よって、本件訂正特許発明1の記載は明確である。
(2)本件特許発明2~本件特許発明8及び本件特許発明14~本件特許発明17について
ア 上記(1)のとおり、本件訂正特許発明1は明確であるところ、本件訂正特許発明1を直接的又は間接的に引用する本件訂正特許発明2~本件訂正特許発明8及び本件訂正特許発明14~本件訂正特許発明17も、上記(1)と同様の理由により、明確である。
イ 本件特許発明2及び本件特許発明7には、「回動軸線方向から見て」と記載されているが、「回動軸線方向から見て」とは、どのように「見て」ということを意味しているのか不明確である。
本件訂正における訂正事項2により、請求項2の「前記回動軸線方向から見て、前記接触部は、前記回動軸線と前記付勢部材との間に配置されている」について、「前記回動軸線方向に見て、前記接触部は、前記回動軸線と前記引張コイルバネとの間に配置されている」と具体的に限定された。
そうすると、「回動軸線方向から見て」との不明確な記載は解消され、視線の方向が「回動軸線方向に」と明確な記載となった。
よって、本件訂正特許発明2及び本件訂正特許発明7の記載は明確である。
ウ 本件訂正特許発明2及び本件訂正特許発明7を直接的又は間接的に引用する本件訂正特許発明3~本件訂正特許発明8、本件訂正特許発明14~本件訂正特許発明17についても上記イと同様の理由により、明確である。
3 まとめ
上記のとおりであるから、本件特許請求の範囲の請求項1~8及び14~17の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないということはできないから、本件特許の請求項1~8及び14~17に係る特許が、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものということはできない。
第5 取消理由通知(令和4年9月30日付け決定の予告及び令和5年4月4日付け)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由の概要
(1)申立理由1(新規性の欠如)
請求項1~3、8及び14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~3、8及び14に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)申立理由2(進歩性の欠如)
ア 請求項1~8及び14~17に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
イ 請求項1~8及び14~17に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
ウ 請求項1~8及び14~17に係る発明は、甲第3号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)申立理由3(サポート要件違反)
ア 技術的意義が不明であり、発明の課題を解決できる範囲を超えていること(サポート要件違反理由1)
構成要件1Fのサポートとして出願人が示したのは、図6のみであり、「前記回動軸線、前記接触部および前記付勢部材は、直線上に並ぶ」について、本件特許明細書には、その構成を採用するに至った課題やその構成の作用効果はもとより、その構成自体の説明が全くない。
直線LBについても、距離L5に関係する位置決め溝74Bの位置を定義するための線として説明されているのみであって(【0070】)、回動軸線、接触部および付勢部材の三者の位置関係を説明するものではない。
このように構成要件1Fは、その構成自体の技術的意義が特許明細書及び図面に全く開示がなく、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」(特許庁審査基準第II部第2章第2節サポート要件)でないことは明らかである。
このように構成要件1Fは、その構成自体の技術的意義が特許明細書及び図面に全く開示がなく、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」(特許庁審査基準第II部第2章第2節サポート要件)でないことは明らかである。
加えて、本件特許の図6には、回動軸線方向から見た場合に、回動軸線、接触部及び付勢部材が直線上に並ぶ構成が示唆されているものの、構成要件1Fにおいては、回動軸線、接触部及び付勢部材を特定の方向から見た場合にこれらが直線上に並ぶ等の限定はされていない。したがって、構成要件1Fは、文言上、回動軸線、接触部及び付勢部材が、3次元空間における立体的な位置関係で直線上に並ぶ構成や、回動軸線と直交する方向から見て、直線上に並ぶ構成をも含む広範な範囲に理解される。
この点は、本件特許の他の請求項との対比からも明らかである。例えば本件特許の請求項2においては、「前記回動軸線方向から見て、前記接触部は、前記回動軸線と前記付勢部材との間に配置されている」と、所定の方向から見た位置関係であることを明示的に特定している。このような他の請求項の記載振りをも踏まえると、出願人(特許権者)自身が、意識的に、構成要件1Fにおいて、回動軸線方向から見た場合を限定しなかったものと理解される。
しかしながら、図6に示唆された回動軸線方向から見た場合でさえ、その技術的意義が不明であるところ、これを拡張して、3次元空間における立体的な位置関係で直線上に並ぶ構成や、回動軸線と直交する方向から見て、直線上に並ぶ構成等を含む構成要件1Fは、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」でないことが更に明らかである。
したがって、構成要件1Fは、本件特許明細書又は図面に開示された構成の拡張ないし一般化の限度を超えたものであるので、サポート要件を満たさない。
イ 本来の意義と異なる直線との配置関係を包含していること(サポート要件違反理由2)
出願人が構成要件1Fを追加する際に補正の根拠として示した図6の直線LBは、上述した通り位置決め溝74Bの位置を定義するための基準として説明されている。具体的には、位置決め溝74Bが直線LBに対して感光ドラム71とは反対側に位置すると定義されている(【0070】)。そして、図6の直線LBは、接触部66Bの中心(図心)を通り、かつ、引張コイルバネSPのコイル部分SP1の中央部付近を通る線である。この直線LBは、感光ドラム71に対する位置決め溝74Bの位置を定義する基準であるから、図6の位置と異なる位置の線は基準としての意義を失う。
すなわち、直線LBは、接触部66Bの中心(図心)を通り、かつ、引張コイルバネSPのコイル部分SP1の中央部付近を通る線であるからこそ、基準足り得るのであり、これ以外の直線は感光ドラム71に対する位置決め溝74Bの位置を定義する基準とはならないのであるから、本件特許明細書又は図面に開示されていないと言うべきである。したがって、直線LBに対する回動軸線CL、接触部66B及び引張コイルバネSPの配置関係も、正に、図6に示された直線LBとの関係でのみ成立するものと言うべきである。
一方、構成要件1Fは、「前記回動軸線、前記接触部および前記付勢部材は、直線上に並ぶ」と規定するのみであり、当該直線が「接触部」や「付勢部材」のどの部位を通るかまでは限定されていない。したがって、感光ドラム71に対する位置決め溝74Bの位置を定義する基準とならない直線上に、回動軸線、接触部、付勢部材が並ぶ構成も構成要件1Fに包含されていることになる。しかし、本件特許明細書又は図面に開示された配置は、接触部66Bの中心(図心)を通り、かつ、引張コイルバネSPのコイル部分SP1の中央部付近を通る直線LB上に、回動軸線、接触部及び付勢部材が並ぶ構成しか開示されていないのであるから、構成要件1Fがサポート要件に違反していることは明白である。
したがって、構成要件1Fは、本件特許明細書又は図面に開示された構成の拡張ないし一般化の限度を超えたものであるので、サポート要件を満たさない。
ウ 請求項1の「付勢部材」は、本件特許明細書又は図面に開示された構成の拡張ないし一般化の限度を超えたものであるので、発明の詳細な説明に記載したものとは認められない。
2~8、14~17も同様。
2 各甲号証の記載
(1)甲第1号証:特開2014-55996号公報
本願の出願日前の平成26年3月27日に頒布された特開2014-55996号公報(以下「甲第1号証」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成装置等の画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジに関するものである。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1では、現像ユニットの現像ローラの回転軸方向の他端側は、感光ドラムに対して回動可能で且つ移動可能に支持されている。これにより、現像ユニットの現像ローラの回転軸方向の他端側には所定の自由度があり、積極的に位置決めがされていない。
【0015】
そのため、感光ドラムの表面に当接する現像ローラの当接位置がばらつくという問題がある。その結果、現像ローラの感光ドラムへの接触圧が不安定になる。
【0016】
従来では、現像ローラの回転中心と、感光ドラムの回転中心と、現像ユニットの回動中心との配置を最適化することによって現像ローラが感光ドラムの表面に当接する当接位置の安定化を図ってきた。
【0017】
例えば、図11に示す現像ユニット9の回動中心Xと、現像ローラ6と感光ドラム4との接触点Nとを結んだ直線Uと、現像ローラ6の回転軸6bと感光ドラム4の回転軸4bとを結んだ直線Wとにより形成される角度θ2を略直角に設定する。そうすると、現像ローラ6が感光ドラム4の表面に当接する当接位置が安定する。そして、現像ローラ6の感光ドラム4への接触圧が安定する。
【0018】
一方、プロセスカートリッジPを小型化するためには、現像ローラ6の回転軸6b、感光ドラム4の回転軸4b、現像ユニット9の回動中心Xのそれぞれの配置に自由度を増す必要がある。そのため、現像ローラ6が感光ドラム4の表面に当接する当接位置が安定する角度θ2を略直角に配置出来ない場合がある。その結果、感光ドラム4の表面上に当接する現像ローラ6の当接位置がばらつき、現像ローラ6の感光ドラム4への接触圧が不安定になることがある。
【0019】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、現像ユニットの回動中心の配置に自由度を増しても像担持体に対する現像剤担持体の当接位置を高精度に保つことが出来る。更に、該現像剤担持体の像担持体への接触圧の安定化が図れるプロセスカートリッジを提供するものである。」
ウ 「【0034】
図2に示すように、本実施形態の各プロセスカートリッジPは、表面に静電潜像を担持する像担持体となる感光ドラム4を有する。更に、該感光ドラム4に作用する画像形成プロセス手段として、該感光ドラム4の表面を一様に帯電する帯電手段となる帯電ローラ5を有する。更に、該感光ドラム4の表面に残留した現像剤を掻き取るクリーニング手段となるクリーニングブレード7を有する。更に、該クリーニングブレード7により掻き取った廃現像剤を収納する廃現像剤収納部27を有するクリーニング容器26とを備えた像担持体ユニットとなる感光ドラムユニット8を有する。感光ドラムユニット8は該感光ドラム4を回転可能に支持する。
【0035】
また、各プロセスカートリッジPは、感光ドラム4の表面上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像として現像する現像剤担持体となる現像ローラ6を有する。更に、該現像ローラ6の表面に担持されるトナーを一定の層厚に規制する現像ブレード31を有する。更に、現像剤を収容する現像剤収容部49を構成する現像枠体29とを備えた現像ユニット9を有する。現像ユニット9は該現像ローラ6を回転可能に支持する。
【0036】
感光ドラムユニット8と現像ユニット9とは相対的に回動可能に結合されている。即ち、現像ユニット9は感光ドラムユニット8に対して、現像ローラ6と感光ドラム4とが当接する図6(a)に示す当接位置と、現像ローラ6と感光ドラム4とが離間する図6(b)に示す離間位置との間を図2に示す回動中心Xを中心に回動可能に設けられている。」
エ 「【0079】
そして、感光ドラムユニット8のカートリッジカバー部材25に設けられ、現像ユニット9の回動中心Xを中心とした回動を規制する規制部となる貫通穴からなる穴部25d内に凸部45bが挿通される。そして、該穴部25dの周壁面の一部からなる規制面25cに該凸部45bが当接し得るように構成されている。
【0080】
図3に示す第二支持部となる突出部25aの外径は、図4に示す第二被支持部となる長穴部45aの内周径よりも小さい寸法で構成されており、これにより、突出部25aが長穴部45a内に挿入されて該突出部25aが長穴部45a内を移動可能に支持される。
【0081】
本実施形態では、図7及び図8に示すように、規制面25cを含む平面Qは、現像ユニット9の回動中心Xを含むように設定されている。また、現像ユニット9の非駆動側の軸受部材45に突出して設けられた凸部45bは導電性樹脂からなり、該導電性樹脂は、少なくとも現像ローラ6の芯金6jが回転自在に挿入される貫通孔45hまで連続的に形成されている。凸部45bは、装置本体2の図示しない現像バイアス電圧供給部と電気的に接触することにより貫通孔45hを介して現像ローラ6の芯金6jに通電し、現像ローラ6へ給電する電気接点部材として構成されている。これにより、現像ローラ6へ現像バイアス電圧を印加する。
【0082】
<感光ドラムユニットと現像ユニットとの組立>
図3及び図4に示すように、現像ユニット9と感光ドラムユニット8とを組み付ける。その場合、図3の右側に示す駆動側のカートリッジカバー部材24の貫通穴からなる支持穴部24a(第一支持部)内に現像カバー部材32から突出した円筒部32bの外径部を嵌合する。
【0083】
また、図3の左側に示す非駆動側のカートリッジカバー部材25から突出した突出部25aに、図4の左側に示す非駆動側の軸受部材45に設けられた長穴部45aを移動自在に嵌合する。
【0084】
これにより、現像ユニット9は、感光ドラムユニット8に対して回動中心Xを中心に回動可能に支持される。ここで、現像ユニット9の感光ドラムユニット8に対する回動中心Xは、支持穴部24a(第一支持部)の中心と、突出部25a(第二支持部)の中心とを結んだ軸線である。支持穴部24a(第一支持部)は図3の右側に示す駆動側のカートリッジカバー部材24に設けられる。突出部25a(第二支持部)は図3の左側に示す非駆動側のカートリッジカバー部材25に設けられる。
【0085】
<現像ローラと感光ドラムとの当接動作>
図4に示すように、感光ドラムユニット8のカートリッジカバー部材25には、現像ローラ6を感光ドラム4に当接させる方向に現像ユニット9を付勢する付勢部材となる加圧バネ95が設けられている。
【0086】
加圧バネ95の一端は感光ドラムユニット8の非駆動側のカートリッジカバー部材25に設けられた凸部25jに係止される。そして、該加圧バネ95の他端は該カートリッジカバー部材25に設けられた貫通穴25bを介して現像ユニット9の非駆動側の軸受部材45に突出して設けられた凸部45jに係止されている。」
オ 「【0093】
<現像ローラと感光ドラムとの離間動作>
図6(a)、(b)はプロセスカートリッジPを駆動側から見た側面図である。また、説明の都合上、一部の部品を省略している。図5に示すように、駆動側の軸受部材44には下方に突出したフック部44fが設けられている。図6に示すように、フック部44fは装置本体2に設けられた離間部材80と係合可能に構成されている。
【0094】
離間部材80は、図示しないモータからの駆動力を受けてレール81に沿って図6の矢印F7、F8方向に移動可能な構成となっている。例えば、雄ネジからなるレール81をモータにより所定の方向に回転駆動し、レール81の雄ネジに噛合する雌ネジを離間部材80に設けることで該離間部材80をレール81に沿って図6の矢印F7、F8方向に移動可能な構成とすることが出来る。
【0095】
図6(a)は、加圧バネ95の引っ張り力による付勢力と、装置本体2から現像駆動入力ギア68に入力される回転駆動力とにより感光ドラム4と現像ローラ6とが互いに当接した状態を示している。このとき、駆動側の軸受部材44に設けられたフック部44fと、離間部材80とは隙間dを有して離間している。
【0096】
図6(b)は、図示しないモータにより回転駆動されるレール81に沿って離間部材80が図6(b)の矢印F7方向へ距離δ5だけ移動した状態を示す。このとき、駆動側の軸受部材44に設けられたフック部44fが離間部材80と係合し、現像ユニット9は加圧バネ95の引っ張り力に抗して回動中心Xを中心として図6(b)の矢印T方向に回動した状態となっている。このとき、感光ドラム4と現像ローラ6とは互いに距離ε1だけ離間した状態となる。尚、このとき、装置本体2から現像駆動入力ギア68に回転駆動力は入力されず、該現像駆動入力ギア68は回転自在に開放されている。
【0097】
このように、装置本体2に設けられた離間部材80の位置をレール81に沿って移動することにより、感光ドラム4と現像ローラ6との当接/離間状態を適宜選択出来る。」
カ 甲1の図4より、回動中心Xが現像ローラ6に沿って延びていることが看取できる。
キ 甲1の図4及び図7より、回動中心Xから側壁に設けた凸部45bまでの距離は、回動中心Xから加圧バネ95までの距離より短いことが看取できる(必要ならば、異議申立書27ページの図7を参照されたい。)。
ク 甲1の図7の右側(異議申立書27ページの図7におけるAl方向)から見た場合、回動中心X、凸部45b及ぴ加圧バネ95が直線に並んでいると認められる(必要ならば、異議申立書27ページの「※Al方向からみた模式図」を参照されたい)。
ケ 甲1の図4及び図7より、現像ユニット9の回動軸線方向に見たときに、上下方向について、凸部45bは、回動中心Xと加圧バネ95との間に配置されていることが看取できる(必要ならば、異議申立書35ページの図7を参照されたい)。
コ 甲1の図4より、加圧バネ95がコイルバネであること及び、加圧バネ95のコイル部分の長さが、現像ユニット9の回動方向における凸部45bの長さよりも大きいことが看取できる。
サ 甲1の図4及び図7より、現像ユニット9の回動軸線方向に見て、加圧バネ95は、現像ローラ9の回転中心と回動中心Xとを通る直線を横切るように延びていることが看取できる(必要ならば、異議申立書40ページの図7を参照されたい。)。
シ 甲1の図4及び図7より、凸部45bが、現像ユニット9の回動軸線方向に直交する直交面を有することが看取でき、上記「イ」より、感光ドラムユニット8のカートリッジカバ一部材25に設けられた穴部25d内に凸部45bが挿通されること及び、凸部45bは、装置本体2の現像バイアス電圧供給部と電気的に接触することを踏まえると、当該直交面は外部に露出しているといえる(必要ならば、異議申立書41ページの図4拡大図及び囮7を参照されたい。)。
ス そうすると、上記より、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が示されているものと認められる。
「プロセスカートリッジPであって、
プロセスカートリッジPは、感光ドラム4及び感光ドラムユニット8を有し、
感光ドラムユニット8は感光ドラム4を回転可能に支持し、
プロセスカートリッジPは、現像ローラ6及び現像ユニット9を有し、
現像ユニット9は現像ローラ6を回転可能に支持し、
現像ユニット9は加圧バネ95の引っ張り力に抗して回動中心Xを中心として回動し、感光ドラム4と現像ローラ6とは互いに距離ε1だけ離間した状態となり、
感光ドラム4と現像ローラ6との当接/離間状態を適宜選択出来、
感光ドラムユニット8のカートリッジカバ一部材25には、現像ローラ6を感光ドラム4に当接させる方向に現像ユニット9を付勢する付勢部材となる加圧バネ95が設けられており、
現像ユニット9の側壁であって、非駆動側の軸受部材45に突出して設けられた凸部45bは、装置本体2の現像バイアス電圧供給部と電気的に接触することにより貫通孔45hを介して現像ローラ6の芯金6jに通電し、現像ローラ6へ給電する電気接点部材として構成されており、これにより、現像ローラ6へ現像バイアス電圧を印加し、
凸部45bは導電性樹脂からなり、
回動中心Xが現像ローラ6に沿って延びており、
回動中心Xから凸部45bまでの距離は、回動中心Xから加圧バネ95までの距離より短く、
回動中心X、凸部45b及び加圧バネ95が直線に並んでおり、
現像ユニット9の回動軸線方向に見て、凸部45bは、回動中心Xと加圧バネ95との間に配置されており、
加圧バネ95がコイルバネであり、
加圧バネ95のコイル部分の長さが、現像ユニット9の回動方向における凸部45bの長さよりも大きく、
現像ユニット9の回動軸線方向に見て、加圧バネ95は、現像ローラ9の回転中心と回動中心Xとを通る直線を横切るように延びており、
加圧バネ95の一端は感光ドラムユニット8の非駆動側のカートリッジカバ一部材25に設けられた凸部25jに係止され、該加圧バネ95の他端は該カートリッジカバ一部材25に設けられた貫通穴25bを介して現像ユニット9の非駆動側の軸受部材45に突出して設けられた凸部45jに係止されており、
凸部45bが、現像ユニット9の回動軸線方向に直交する直交面を有し、直交面が外部に露出しているプロセスカートリッジP。」
(2)甲第2号証:特開2001-242767号公報
本願の出願日前の平成13年9月7日に頒布された特開2001-242767号公報(以下「甲第2号証」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式等を用いた複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置および画像形成装置で使用されるプロセスカートリッジに関し、特に、回転する表面に静電潜像が形成される像担持体を有する像担持体ユニットと、前記像担持体表面の静電潜像をトナー像に現像する現像器を有する現像ユニットとが連結ピンにより回動可能に連結されたプロセスカートリッジを使用した画像形成装置および前記画像形成装置で使用されるプロセスカートリッジに関する。」
イ 「【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記カートリッジ側給電部材は、その外端部から内端部までの長さが長くなると、構成が複雑になり、プロセスカートリッジの組み立て作業も面倒になる。したがって、カートリッジ側給電部材の長さを短くして、プロセスカートリッジの組み立て作業を容易にするための技術として、従来特開平6-19242号公報が知られている。この公報に記載された技術は、前記カートリッジ側給電部材と連結ピンとは独立した部品として組み立てられるため、連結ピンとは別にカートリッジ側給電部材をプロセスカートリッジの外側面に露出させている。このため、カートリッジ側給電部材の外端部と内端部との長さをそれほど短くすることができなかった。
【0006】本発明は前述の事情に鑑み下記(O01)、(O02)の記載内容を課題とする。(O01)カートリッジ側給電部材の長さを短くすること。(O02)カートリッジ側給電部材を有するプロセスカートリッジの組み立て作業を容易にすること。」
ウ 「【0018】(プロセスカートリッジU2)図2は前記図1に示すプロセスカートリッジの拡大説明図である。図3は前記プロセスカートリッジを構成する像担持体ユニットおよび現像ユニットを分解した状態の斜視図である。プロセスカートリッジU2は、像担持体ユニットU3および現像ユニットU4と、前記各ユニットU3およびU4を回転可能に連結する一対の連結ピンPN、PNと、前記各ユニットU3およびU4に回転力を付与する一対の圧縮コイルスプリング(弾性部材)SP、SPと、を有しており、前記開閉可能なシート排出トレイTRhを上方に開放した状態で画像形成装置本体U1に着脱可能に装着される。
【0019】(像担持体ユニットU3)図4は前記図3に示す像担持体ユニットの下面の斜視図である。図5は前記図4の要部拡大図である。図2~図5において像担持体ユニットU3は、像担持体PR、帯電ロール(帯電部材、電圧印加部材)CRおよびそれらを回転可能に支持するトナー回収容器Tを有している。トナー回収容器Tの上面には凹部が形成されており、その凹部には持ち運びするためのハンドルH(図3参照)が回動可能(起伏可能)に収容されている。
【0020】像担持体ユニットU3は、前記像担持体PRの軸方向の両端部(前後両端部)にそれぞれ設けた側壁の内側にピン装着部T1を有している。像担持体ユニットU3の前記ピン装着部T1は導電性の連結ピンPNが挿入されるピン挿入孔を有しており、後述の現像ユニットU4のピン装着部V1と連結ピンPNにより回転可能に連結される。前記ピン装着部T1の右側に隣接してばね支持部T2が設けられている。ばね支持部T2は後で詳細に説明するが、圧縮コイルスプリング(弾性部材)SPを支持する部材である。像担持体ユニットU3の前側部分には、帯電ロール用給電プレート(カートリッジ側給電部材)PL1が設けられており、その一端部は、前側に配置されたピン装着部T1に装着される連結ピンPNの内端に接続しており、他端部は帯電ロールCRに接続されている。」
エ 「【0022】図2に示す前記トナー回収容器Tの下部に回転可能に支持された前記像担持体PRの後端部にはギヤG1(図4参照)が設けられており、ギヤG1は、プロセスカートリッジU2を画像形成装置本体U1に装着したときに、画像形成装置本体U1に設けたギヤ(図示せず)と噛み合って回転力が伝達されるように構成されている。帯電ロールCRは図示しない押圧ばねにより常時像担持体PRに押圧されている。帯電ロールCRを像担持体PRに押圧する手段としては従来公知の種々の手段を採用することが可能である。回転移動する像担持体PR表面は、帯電領域Q1において前記帯電ロールCRにより帯電され、潜像書込位置Q2において前記ROS(潜像書込装置)から出射するレーザビームLにより静電潜像が書き込まれる。前記静電潜像は現像領域Q3において現像ユニットU4によりトナー像に現像され、前記転写領域Q4において転写ロールTRにより記録シートに転写される。
【0023】像担持体PR表面の残留トナーは、転写領域Q4の下流側のクリーニング領域Q5においてクリーニングブレードCBにより除去され(擦り取られ)、トナー回収容器Tに回収される。なお、前記クリーニングブレードCBに対向する位置にフィルムシールFSが設けられており、フィルムシールFSは前記トナー回収容器T内に回収されたトナーが外にこぼれ出るのを防止する。
【0024】(現像ユニットU4)図6は前記図3に示す現像ユニットの分解斜視図である。図2~図6において現像ユニットU4は、現像容器Vを有しており、現像容器V内部には現像ロールGaおよび現像剤攪拌部材Gbが回転可能に支持されている。現像ロールGaの軸の後端部にはギヤG2(図6参照)が装着されており、ギヤG2は前記像担持体PR後端部のギヤG1と噛み合っている。したがって、画像形成装置本体U1のギヤ(図示せず)により前記像担持体PR後端部のギヤG1に回転力が伝達されると、ギヤG2を介して現像ロールGaが回転し、現像ロールGaの回転は図示しないギヤを介して現像剤攪拌部材Gbに伝達される。
【0025】現像容器Vの上面には前後両端部にピン装着部V1、V1およびばね支持部V2、V2が設けられている。前記ピン装着部V1は前記連結ピンPNが挿入される現像器側ピン挿入孔を有しており、前記現像ユニットU4のピン装着部V1および像担持体ユニットU3のピン装着部T1に設けたピン挿入孔を貫通する前記連結ピンPNにより前記現像ユニットU4および像担持体ユニットU3は回転可能に連結される。前記像担持ユニットU3のばね支持部T2、T2(図4、図5参照)と前記ばね支持部V2、V2との間に支持された圧縮コイルスプリング(弾性部材)SP、SPにより、像担持体ユニットU3および現像ユニットU4は前記連結ピンPN回りの回動力を受けている。前記回動力により像担持体PRおよび現像ロールGaは互いに圧接する方向の力を受けている。
【0026】前記現像容器Vの上面の前端部には電極プレート装着凸部V3が形成されており、電極プレート装着凸部V3には現像ロール用給電プレート(プロセスカートリッジ側給電部材)PL2が装着されている。現像ロール用給電プレート(プロセスカートリッジ側給電部材)PL2と前記帯電ロール用給電プレートPL1(図4、図5参照)とはこの実施例1では、プロセスカートリッジU2の前側(X側)に配置されている。現像ロール用給電プレートPL2の一端部分は前記現像ロールGaの導電性の金属軸に電気的に接続されている。現像ロール用給電プレートPL2は、プロセスカートリッジU2が画像形成装置本体U1に装着された際、画像形成装置本体U1に設けた本体側給電部材(図示せず)に接触して現像バイアスが供給される。図6に示すように、前記現像容器Vには円筒状内面を有する現像剤カートリッジ装着部V4が設けられており、現像剤カートリッジ装着部V4と現像容器Vの内部とを隔てる隔壁には現像剤補給口V5が形成されている。また、現像剤カートリッジ装着部V4にはカートリッジ回転防止用凹部V6が形成されている。」
オ 「
[図:0001404734000001.jpg]
」
カ 「
[図:0001404734000002.jpg]
」
キ 甲2の図3より、像担持体PRは、ドラム形状であることが看取できる。
ク 上記イより、現像ユニットU4は、連結ピンPN回りに回動するのであるから、連結ピンPNは、現像ユニットU4の回動軸線に一致し、また、甲2の図3から、連結ピンPNすなわち現像ユニット4の回動軸線は、現像ロールGaに沿って延びていることが看取できる。
ケ 図2及び図3から、現像ロール用給電プレートPL2は現像ロール用給電プレートPL2の現像ロールGaの導電性の金属軸に電気的に接続される一端部分に対して反対側に位置する他端にある部分が、現像ユニットU4の回動軸線方向に見たときにプロセスカートリッジU2の外部に露出している、すなわち、回動軸線方向に見たときに連結ピンPN、現像ロール用給電プレートPL2及び圧縮コイルスピリングSPがプロセスカートリッジU2の側壁と重なる
ことが看取できる(以下、現像ロール用給電プレートPL2の他端において、現像ユニットU4の回動軸線方向に見たときにプロセスカートリッジU2の外部に露出している部分を「現像ロール用給電プレートPL2の他端部分」という。)。
コ 甲2の図2から、連結ピンPNすなわち現像ユニットU4の回動軸線から、現像ロール用給電プレートPL2の他端部分までの距離は、連結ピンPNすなわち現像ユニットU4の回動軸線から、圧縮コイルスプリングSP.SPまでの距離よりも短いことが看取できる。
サ 甲2の図2から、連結ピンPNと直交する方向に見て、連結ピンPNすなわち現像ユニットU4の回動軸線、現像ロール用給電プレートPL2の他端部分及び圧縮コイルスプリングSP、SPが、直線上に並んでいることが看取できる。
シ 甲2の図2から、現像ユニットU4の回動軸線方向に見て、現像ロール用給電プレートPL2の他端部分は、連結ピンPNすなわち現像ユニットU4の回動軸線と、圧縮コイルスプリングSP.SPとの間に配置されていることが看取できる。
ス 甲2の図2から、圧縮コイルスピリングSP、SPのコイル部分の長さは、現像ユニットU4の回動方向における現像ロール用給電プレートPL2の他端部分の長さよりも大きいことが看取できる。
ス 甲2の図2から、現像ロール用給電プレートPL2の他端部分が現像ユニットU4の回動軸線方向に直交する直交面を有し、直交面が外部に露出していることが看取できる。
セ そうすると、上記より、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が示されているものと認められる。
「プロセスカートリッジU2であって、
プロセスカートリッジU2は、像担持体ユニットU3および現像ユニットU4と、前記各ユニットU3およびU4を回転可能に連結する一対の連結ピンPN、PNと、前記各ユニットU3およびU4に回転力を付与する一対の圧縮コイルスプリングSP、SPと、を有しており、
像担持体ユニットU3は、像担持体PRを有し、
像担持体PR表面は、静電潜像が書き込まれ、
像担持体PRは、ドラム形状であり、
圧縮コイルスプリングSP、SPにより、像担持体ユニットU3および現像ユニットU4は前記連結ピンPN回りの回動力を受けており、前記回動力により像担持体PRおよび現像ロールGaは互いに圧接する方向の力を受けており、
前記現像容器Vの上面の前端部には電極プレート装着凸部V3が形成されており、電極プレート装着凸部V3には現像ロール用給電プレートPL2が装着されており、現像ロール用給電プレートPL2が、プロセスカートリッジU2の前側に配置されており、現像ロール用給電プレートPL2の一端部分は前記現像ロールGaの導電性の金属軸に電気的に接続されており、現像ロール用給電プレートPL2は、プロセスカートリッジU2が画像形成装置本体U1に装着された際、画像形成装置本体U1に設けた本体側給電部材に接触して現像バイアスが供給され、
現像ユニット4の回動軸線は、現像ロールGaに沿って延びており、
現像ロール用給電プレートPL2の他端部分が、現像ユニットU4の回動軸線方向に見たときにプロセスカートリッジU2の外部に露出しており、
現像ユニットU4の回動軸線から、現像ロール用給電プレートPL2の他端部分までの距離は、現像ユニットU4の回動軸線から、圧縮コイルスプリングSP、SPまでの距離よりも短く、
連結ピンPNと直交する方向に見て、現像ユニットU4の回動軸線、現像ロール用給電プレートPL2の他端部分及び圧縮コイルスプリングSP、SPが、直線上に並んでおり、
現像ユニットU4の回動軸線方向に見て、現像ロール用給電プレートPL2の他端部分は、現像ユニットU4の回動軸線と、圧縮コイルスプリングSP、SPとの間に配置されており、
圧縮コイルスピリングSP、SPのコイル部分の長さは、現像ユニットU4の回動方向における現像ロール用給電プレートPL2の他端部分の長さよりも大きく、
現像ユニットU4は、現像容器Vを有しており、現像容器Vの上面には前後両端部にピン装着部V1、V1およびばね支持部V2、V2が設けられており、
前記像担持ユニットU3のばね支持部T2、T2と前記ばね支持部V2、V2との間に支持された圧縮コイルスプリングSP、SPにより、像担持体ユニットU3および現像ユニットU4は前記連結ピンPN回りの回動力を受けており、
現像ロール用給電プレートPL2の他端部分が現像ユニットU4の回動軸線方向に直交する直交面を有し、直交面が外部に露出して、回動軸線方向に見たときに連結ピンPN、現像ロール用給電プレートPL2及び圧縮コイルスピリングSPがプロセスカートリッジU2の側壁と重なるプロセスカートリッジU2。」
(3)甲第3証:特開2015-11318号公報
本願の出願日前の平成27年1月19日に頒布された特開2015-11318号公報(以下「甲第3号証」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に搭載される現像装置、現像装置を備えるプロセスユニット及び画像形成装置に関する。」
イ 「【0012】
図1に示すように、カラーレーザープリンタの装置本体(画像形成装置本体)100には、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y、1M、1C、1Bkが着脱可能に装着されている。各プロセスユニット1Y、1M、1C、1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。」
ウ 「【0033】
図4は、プロセスユニットの概略断面図である。
本実施形態では、プロセスユニット1(各色を示すアルファベットY、M、C、Bkは省略する。)は、大きく2つのモジュールから成り立っている。1つは、感光体2と帯電ローラ3とクリーニングブレード5等を有する感光体ユニット(第1のユニット)U1である。もう1つは、現像装置4を有する現像ユニット(第2のユニット)U2である。
【0034】
現像ユニットU2(現像装置4)は、内部にトナー等を収容するハウジング40と、トナーを担持する現像剤担持体としての現像ローラ41と、現像ローラ41にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ42と、現像ローラ41上に担持されたトナーの厚さを規制する規制部材としての規制ブレード43と、トナーを搬送する搬送部材としての搬送スクリュー44と、トナーを撹拌する撹拌部材としてのアジテータ45を備える。」
エ 「【0046】
図8は、プロセスユニットを、上記駆動側とは反対側(以下、「反駆動側」という)から見た斜視図である。
図8に示すように、現像ユニットU2の反駆動側の側壁部40bの下部であって、上記駆動側の回転軸40dと反対側には、断面円形のピン状の回転移動軸40fが設けられている。一方、感光体ユニットU1の反駆動側の支持壁50bの下部には、現像ユニットU2の回転移動軸40fを挿入可能な直線状の溝50eが感光体2に対して接近離間する方向に設けられている。この溝50eに回転移動軸40fを挿入することで、現像ユニットU2の反駆動側の側壁部40bは、回転移動軸40fと溝50eを介して、感光体ユニットU1の反駆動側の支持壁50bに対し、図の矢印C方向及びD方向に移動可能で、かつ、図の矢印S方向及びT方向に回転可能に組み付けられる。ここでは、溝50eを、反駆動側の支持壁50bを貫通する貫通孔としているが、底部を有する溝形状であってもよい。
【0047】
また、現像ユニットU2の反駆動側には、付勢部材として、第1の反駆動側コイルバネ52と第2の反駆動側コイルバネ53が設けられている。第1の反駆動側コイルバネ52は、現像ユニットU2の反駆動側の上部に設けられ、第2の反駆動側コイルバネ53は、現像ユニットU2の反駆動側の下部に設けられている。
【0048】
詳しくは、第1の反駆動側コイルバネ52の一端部は、現像ユニットU2のギアカバー46の上部に設けられた係止部46aに係止され、他端部は、感光体ユニットU1の反駆動側の支持壁50bの外側に取り付けられたカバー部材56(図7参照)の上部に設けられた係止部50fに係止されている。なお、図8では、カバー部材56は図示省略している。このように、第1の反駆動側コイルバネ52は、2つの係止部46a、50f間で引張された状態で掛け渡されており、第1の反駆動側コイルバネ52の引張力によって、現像ローラ41が感光体2側へ付勢されている。
【0049】
第2の反駆動側コイルバネ53の一端部は、現像ユニットU2の反駆動側の側壁部40bの下部に設けられた上記回転移動軸40fに係止され、他端部は、感光体ユニットU1の反駆動側の支持壁50bの下部に設けられた係止部50gに係止されている。第2の反駆動側コイルバネ53は、回転移動軸40fと係止部50gとの間で引張された状態で掛け渡されており、この第2の反駆動側コイルバネ53の引張力も、現像ローラ41を感光体2側へ付勢する付勢力として作用する。なお、ここでは、回転移動軸40fが、第2の反駆動側コイルバネ53の一端部を係止する係止部としての機能を兼ねているが、別途係止部を設けてもよい。」
オ 「【0055】
また、図8に示すように、反駆動側には、装置本体側の図示しない電源(高圧基盤)からの電力を現像ローラ41に対して給電するための導通経路を構成する2つの電極部材54、55が設けられている。一方の電極部材54は、感光体ユニットU1の反駆動側の支持壁50bに取り付けられ、他方の電極部材55は、現像ユニットU2のギアカバー46に取り付けられている。このように、導通経路を、感光体ユニットU1側の電極部材54と、現像ユニットU2側の電極部材55とで、分けて構成することで、各ユニットU1、U2の組立性、操作性、交換性が向上する。以下の説明において、感光体ユニットU1側の電極部材54を感光側電極部材54と称し、現像ユニットU2側の電極部材55を現像側電極部材55と称する。
【0056】
図11は、プロセスユニットの反駆動側の構成を示す斜視図である。
なお、図11では、図8に示す感光体ユニットU1の反駆動側の支持壁50bを図示省略している。
感光側電極部材54と現像側電極部材55は、それぞれ薄い金属板を折り曲げて形成されている。感光側電極部材54は、感光体ユニットU1の反駆動側の支持壁50bの内側に配設される内側部54aと、反駆動側の支持壁50bの外側に配設される外側部54bと、内側部54aと外側部54bとを繋ぐ折り曲げ部54cとを有する。同様に、現像側電極部材55も、現像ユニットU2のギアカバー46の内側に配設される内側部55aと、ギアカバー46の外側に配設される外側部55bと、内側部55aと外側部54bとを繋ぐ折り曲げ部55cとを有している。
【0057】
現像側電極部材55は、その内側部55aにて、現像ローラ41の軸端部(金属製の芯金の端部)41aに接触している。また、現像側電極部材55は、その外側部55bにて、感光側電極部材54の内側部54aと接触している。また、感光側電極部材54の外側部54bは、プロセスユニット1を装置本体に装着した際、装置本体側に設けられている図示しない電極部材と接触するようになっている。」
カ 「
[図:0001404734000003.jpg]
」
キ 「
[図:0001404734000004.jpg]
」
ク 上記イ及びウより、図8より、感光体ユニットU1に対する現像ユニットU2の回転軸線を規定する回転移動軸40f、第1の反駆動側コイルバネ52及び電極部材54が、回転移動軸40fの軸線方向から見て直線上に並ぶことが看取できる。
ケ 図8より、回転移動軸40fと外側部54bの距離が、回転移動軸40fと第1の反駆動側コイルバネ52との距離よりも短く、回転移動軸40fに見て、前記回転移動軸40f、外側部54bおよび第1の反駆動側コイルバネ52がハウジング40と重なることが看取できる。
上記ア~ケより、甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。
「感光体2と帯電ローラ3とクリーニングブレード5等を有する感光体ユニットU1と、現像装置4を有する現像ユニットU2から成り立っているプロセスユニット1であって、
現像ユニットU2は、内部にトナー等を収容するハウジング40と、トナーを担持する現像剤担持体としての現像ローラ41と、現像ローラ41にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ42と、現像ローラ41上に担持されたトナーの厚さを規制する規制部材としての規制ブレード43と、トナーを搬送する搬送部材としての搬送スクリュー44と、トナーを撹拌する撹拌部材としてのアジテータ45を備え、
現像ユニットU2の反駆動側の側壁部40bの下部には、断面円形のピン状の回転移動軸40fが設けられ、一方、感光体ユニットU1の反駆動側の支持壁50bの下部には、現像ユニットU2の回転移動軸40fを挿入可能な直線状の溝50eが感光体2に対して接近離間する方向に設けられ、
現像ユニットU2の反駆動側には、付勢部材として、第1の反駆動側コイルバネ52と第2の反駆動側コイルバネ53が設けられ、
第1の反駆動側コイルバネ52の引張力によって、現像ローラ41が感光体2側へ付勢され、
第2の反駆動側コイルバネ53の引張力も、現像ローラ41を感光体2側へ付勢する付勢力として作用し、
感光体ユニットU1の反駆動側の支持壁50bには電極部材54が取り付けられ、現像ユニットU2のギアカバー46には他方の電極部材55が取り付けられ、装置本体側の電源(高圧基盤)からの電力を現像ローラ41に対して給電し、
感光体ユニットU1に対する現像ユニットU2の回転軸線を規定する回転移動軸40f、第1の反駆動側コイルバネ52及び電極部材54が、回転移動軸40fの軸線方向から見て直線上に並び、
回転移動軸40fと外側部54bの距離が、回転移動軸40fと第1の反駆動側コイルバネ52との距離よりも短く、回転移動軸40fに見て、前記回転移動軸40f、外側部54bおよび第1の反駆動側コイルバネ52がハウジング40と重なる、
プロセスユニット1。」
(4)甲第4号証:特開2013-127575号公報
本願の出願日前の平成25年6月27日に頒布された特開2013-127575号公報(以下「甲第4号証」という。)には、次の事項が記載されている。
「装置本体の本体電極と現像ローラとを電気的に接続する導電性の樹脂(導電樹脂)で形成され接点部が設けられた電子写真画像形成装置。」(【0001】、【0019】参照。)
(5)甲第5号証:特開2015-146016号公報
本願の出願日前の平成27年8月13日に頒布された特開2015-146016号公報(以下「甲第5号証」という。)には、次の事項が記載されている。
「現像カートリッジが本体ケーシングに装着された状態において、第2本体電極は、現像電極の現像接触部の現像接触平坦面と左右方向において接触するように配置され、現像電極は、導電性のPOM(ポリアセタール)などの導電性の樹脂材料からなる、電子写真方式が採用される画像形成装置に用いられる現像カートリッジおよびプロセスカートリッジ。」(【0001】、【0122】、【0154】参照。)
(6)甲第6号証:特開2015-232658号公報
本願の出願日前の平成27年12月24日に頒布された特開2015-232658号公報(以下「甲第6号証」という。)には、次の事項が記載されている。
「現像ローラと感光ドラムとが当設している当設状態から、現像ローラと感光ドラムとが離間した離間状態に移行可能なプロセスカートリッジを備える電子写真画像形成装置。」(【0001】、【0027】参照。)
(7)甲第7号証:特開2014-186129号公報
本願の出願日前の平成26年10月2日に頒布された特開2014-186129号公報(以下「甲第7号証」という。)には、次の事項が記載されている。
「現像ロール及び感光ドラムが当接状態から離間状態へと移行可能に構成されている画像形成装置。」(【0001】、【0029】参照。)
(8)甲第8号証:特開2009-187042号公報
本願の出願日前の平成21年8月20日に頒布された特開2009-187042号公報(以下「甲第8号証」という。)には、次の事項が記載されている。
「現像ローラ及び感光ドラムが当接状態から離間状態へと移行可能に構成されている画像形成装置。」(【0001】、【0179】、【0180】参照。)
(9)甲第9号証:特開2006-65267号公報
本願の出願日前の平成18年3月9日に頒布された特開2006-65267号公報(以下「甲第9号証」という。)には、次の事項が記載されている。
「クリーニングユニットに対して回動自在に支持されている現像ユニットと、カムによって現像ユニットをクリーニングユニットに対して回動することで、現像ローラを感光体ドラムに対して当接離間可能に構成され、現像ローラは、押圧バネの付勢力によって感光ドラム体に押圧され、現像ローラに印加するための現像バイアスを装置本体から受けるための現像バイアス電気接点を設けた電子写真画像形成装置。」(【0001】、【0031】、【0043】、【0073】参照。)
(10)甲第10号証:特開2005-99691号公報
本願の出願日前の平成17年4月14日に頒布された特開2005-99691号公報(以下「甲第10号証」という。)には、次の事項が記載されている。
「現像ユニットが、軸を回動中心として、感光体ユニットに対して回動可能に構成され、加圧バネ(圧縮コイルバネ)によって現像ローラが感光体ドラムに付勢され、現像ユニットの側面には、現像ローラに現像バイアスを印加するための、本体現像バイアス接点と接触する現像バイアス接点部が設けられ、現像ローラと感光体ドラムとには離間機構が設けられ、現像ユニットの回動中心から現像バイアス接点部までの距離が、軸から加圧バネまでの距離よりも短い、電子写真画像形成装置。」(【0001】、【0041】~【0043】、【0055】参照。)
3 当審の判断
(1)申立理由1(新規性欠如)について
ア 本件訂正特許発明1について
(ア)対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、
a 甲1発明の「プロセスカートリッジP」、「感光ドラム4」、「感光ドラムユニット8」、「現像ローラ6」、「現像ユニット9」及び「加圧バネ95」は、それぞれ、本件特許発明1の「プロセスカートリッジ」、「感光ドラム」、「ドラムユニット」、「現像ローラ」、「現像ユニット」及び「引張コイルバネ」に相当する。
b 甲1発明は、「プロセスカートリッジPは、感光ドラム4及び感光ドラムユニット8を有し、感光ドラムユニット8は感光ドラム4を回転可能に支持し、プロセスカートリッジPは、現像ローラ6及び現像ユニット9を有し、現像ユニット9は現像ローラ6を回転可能に支持し、現像ユニット9は加圧バネ95の引っ張り力に抗して回動中心Xを中心として回動し、感光ドラム4と現像ローラ6とは互いに距離c1だけ離間した状態となり、感光ドラム4と現像ローラ6との当接/離間状態を適宜選択出来」、「回動中心Xが現像ローラ6に沿って延びている」のであるから、甲1発明の「回動中心X」は、本件特許発明1の「回動軸線」に相当し、本件特許発明1の「プロセスカートリッジ」と甲1発明の「プロセスカートリッジP」とは、「現像ローラを有する現像ユニットが、感光ドラムを有するドラムユニットに対して、前記現像ローラに沿って延びる回動軸線を中心に、前記現像ローラが前記感光ドラムと接触する位置と、前記現像ローラが前記感光ドラムから離れる位置との間で、回動可能に取り付けられた」点で共通する。
c 甲1発明における「加圧バネ95」は、「現像ローラ6を感光ドラム4に当接させる方向に現像ユニット9を付勢する引張コイルバネとなる」ものであるから、本件特許発明1の「引張コイルバネ」と、甲1発明における「加圧バネ95」とは、「前記現像ローラを前記感光ドラムに向けて付勢する」点で共通する。
d 甲1発明における「現像ユニット9の非駆動側の軸受部材45に突出して設けられた凸部45b」は、「装置本体2の現像バイアス電圧供給部と電気的に接触することにより貫通孔45hを介して現像ローラ6の芯金6jに通電し、現像ローラ6へ給電する電気接点部材として構成されており、これにより、現像ローラ6ヘ現像バイアス電圧を印加」するものであり、「凸部45b」は「導電性樹脂からなる」ものであるから、本件特許発明1の「導電部材」と、甲1発明における「凸部45b」は、「前記現像ユニットに設けられ、前記現像ローラに電圧を印加するための導電性樹脂で形成される」点で共通し、本件特許発明1における「接触部」と甲1発明の「凸部45b」は、「画像形成装置本体の電気的な接点と接触する」点で共通する。
してみると、本件特許発明1の「導電部材」と、甲1発明における「凸部45b」とは筐体の側壁に設けられ、その機能が共通するのであり、甲1発明の「凸部45b」は「導電部材」に相当し、甲1発明の「凸部45b」は「接触部」を備えると認められる。
e 甲1発明における「プロセスカートリッジP」は、「回動中心Xから凸部45bまでの距離は、回動中心Xから加圧バネ95までの距離より短く、回動中心X、凸部45b及び加圧バネ95が直線に並んでいる」のであるから、本件特許発明1の「プロセスカートリッジ」と、甲1発明の「プロセスカートリッジP」は、「前記回動軸線から前記接触部までの距離は、前記回動軸線から前記引張コイルバネまでの距離よりも短く、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネは、直線上に並ぶ」点で共通する。
f 甲1発明の現像ユニット9が筐体を備えることは自明な事項である。
g 甲1発明は、プロセスカートリッジPが備える現像ユニット9が加圧バネ95の引っ張り力に抗して回動中心Xを中心として回動し、プロセスカートリッジPが備える感光ドラム4と現像ローラ6とは互いに距離ε1だけ離間した状態となるものであるから、本件訂正特許発明1のドラムユニットと甲1発明のプロセスカートリッジPとは、現象ユニットを回動可能に支持するサイドフレームを有している点で共通する。
h 甲1発明の凸部45bは、装置本体2の現像バイアス電圧供給部と電気的に接触するものであるから、筐体の開口から露出していることは明らかである。
i したがって、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
[一致点]
「トナーを収容する筐体と現像ローラを有する現像ユニットが、感光ドラムを有するドラムユニットに対して、前記現像ローラに沿って延びる回動軸線を中心に、前記現像ローラが前記感光ドラムと接触する位置と、前記現像ローラが前記感光ドラムから離れる位置との間で、回動可能に取り付けられたプロセスカートリッジであって、
前記現像ローラを前記感光ドラムに向けて付勢する引張コイルバネと、
前記現像ユニットに設けられ、前記現像ローラに電圧を印加するための導電性樹脂で形成される導電部材であって、前記筐体の側壁に位置する導電部材と、を備え、
前記導電部材は、画像形成装置本体の電気的な接点と接触する接触部を有し、
前記ドラムユニットは、前記現象ユニットを回動可能に支持するサイドフレームを有し、
前記サイドフレームは、前記回動軸線方向に貫通した開口部であって、前記側壁に位置する前記接触部を、前記回動軸線方向に露出させる開口部を有し、
前記回動軸線から前記接触部までの距離は、前記回動軸線から前記引張コイルバネまでの距離よりも短い、
プロセスカートリッジ。」
[相違点1]
本件訂正特許発明1は、「前記回動軸線方向に見て」、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、「前記回動軸線方向に見て」、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なるものであるのに対し、甲1発明は、「回動軸線と直交する方向に見て」、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、「前記回動軸線と直交する方向に見て」、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なる」ものである点。
(イ)判断
以上のとおり、本件訂正特許発明1と甲1発明とは、相違点1において相違するものであって、本件訂正特許発明1は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。
イ 本件訂正特許発明2、3、8及び14について
本件訂正特許発明2、3、8及び14は、本件訂正特許発明1を引用し、さらなる限定を付加したものであるから、本件訂正特許発明2、3、8及び14と甲1発明とは、少なくとも上記相違点1において相違するものである。
(ウ)小括
したがって、本件訂正特許発明1~3、8及び14は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。
(2)申立理由2(進歩性欠如)について
ア 甲第1号証を主引例とした申立理由2
(ア)本件訂正特許発明1について
a 対比・判断
上記(1)ア(ア)のとおり、本件訂正特許発明1と甲1発明とは、上記相違点1において相違するものであるところ、異議申立人が提出した甲第2号証~甲第10号証のいずれにも上記相違点1に係る事項は、記載されておらず、また、上記相違点1が設計的事項とする理由も見当たらないから、上記相違点1を当業者が容易に想到し得るものということはできない。
b 小括
したがって、本件特許発明1は、甲1発明、甲第2号証~第10号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。
(イ)本件訂正特許発明2~8、14~17について
本件訂正特許発明2~8、14~17は、本件訂正特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記相違点1に係る発明特定事項を有する。
してみると、本件訂正特許発明2~8、14~17と甲1発明とは、少なくとも上記相違点1において相違するものである。
そうすると、上記(ア)aと同様の理由により、本件訂正特許発明2~8、14~17は、甲1発明、甲第2号証~第10号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
イ 甲第2号証を主引例とした申立理由2
(ア)本件訂正特許発明1について
a 対比
(a)本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「プロセスカートリッジU2」、「現像ロールGa」、「現像ユニットU4」及び「圧縮コイルスプリングSP、SP」は、それぞれ、本件特許発明1の「プロセスカートリッジ」、「現像ローラ」、「現像ユニット」及び「引張コイルバネ」相当する。
(b)甲2発明は、像担持体PR表面に静電潜像が書き込まれ、像担持体PRがドラム形状であるから、甲2発明の「像担持体PR」及び「像担持体ユニットU3」は、それぞれ、本件特許発明1の「感光ドラム」及び「ドラムユニット」に相当する。
(c)甲2発明は、「プロセスカートリッジU2は、像担持体ユニットU3および現像ユニットU4と、前記各ユニットU3およびU4を回転可能に連結する一対の連結ピンPN、PNと、前記各ユニットU3およびU4に回転力を付与する一対の圧縮コイルスプリングSP、SPと、を有しており、像担持体ユニットU3は、像担持体PRを有し、圧縮コイルスプリングSP、SPにより、像担持体ユニットU3および現像ユニットU4は前記連結ピンPN回りの回動力を受けており、前記回動力により像担持体PRおよび現像ロールGaは互いに圧接する方向の力を受けており、」「現像ユニット4の回動軸線は、現像ロールGaに沿って延びて」いるのであるから、本件特許発明1の「プロセスカートリッジ」と甲2発明の「プロセスカートリッジU2」とは、「現像ローラを有する現像ユニットが、感光ドラムを有するドラムユニットに対して、前記現像ローラに沿って延びる回動軸線を中心に、」「回動可能に取り付けられた」点で共通する。
(d)甲2発明において、「圧縮コイルスプリングSP.SPにより、像担持体ユニットU3および現像ユニットU4は前記連結ピンPN回りの回動力を受けており、前記回動力により像担持体PRおよび現像ロールGaは互いに圧接する方向の力を受けて」いるのであるから、本件特許発明1の「引張コイルバネ」と、甲2発明における「圧縮コイルスプリングSP、SP」とは、「前記現像ローラを前記感光ドラムに向けて付勢する」点で共通し、連結ピンPNが水平であることから、ユニットのサイドフレームに支持されているといえる。
(e)甲2発明における「現像ロール用給電プレートPL2」は、「現像ロール用給電プレートPL2が、プロセスカートリッジU2の前側に配置されており」、「現像ロール用給電プレートPL2は、プロセスカートリッジU2が画像形成装置本体U1に装着された際、画像形成装置本体U1に設けた本体側給電部材に接触して現像バイアスが供給され」るものであるから、本件特許発明1の「導電部材」と、甲1発明における「現像ロール用給電プレートPL2」は、「前記現像ユニットに設けられ、前記現像ローラに電圧を印加するため」に「形成される」点、「筐体の側壁に位置する」点及び「画像形成装置本体の電気的な接点と接触する接触部を有」する点で共通する。
(f)甲2発明の現像ユニットU4が筐体を備えていることは自明の事項である。
(g)現像ロール用給電プレートPL2は、プロセスカートリッジU2が画像形成装置本体U1に装着された際、画像形成装置本体U1に設けた本体側給電部材(図示せず)に接触して現像バイアスが供給される。
(h)したがって、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
[一致点]
「トナーを収容する筐体と現像ローラを有する現像ユニットが、感光ドラムを有するドラムユニットに対して、取り付けられたプロセスカートリッジであって、
前記現像ローラを前記感光ドラムに向けて付勢する引張コイルバネと、
前記現像ユニットに設けられ、前記現像ローラに電圧を印加するための導電部材であって、前記筐体の側壁に位置する導電部材と、を備え、
前記導電部材は、画像形成装置本体の電気的な接点と接触する接触部を有し、
前記ドラムユニットは、前記現象ユニットを回動可能に支持するサイドフレームを有し、
前記サイドフレームは、前記回動軸線方向に貫通した開口部であって、前記側壁に位置する前記接触部を、前記回動軸線方向に露出させる開口部を有し、
前記回動軸線方向に見て、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なる、プロセスカートリッジ。」
上記を踏まえ、本件特許発明1と甲2発明を対比すると、両者は以下の点
で相違し、その余の点で一致する。
[相違点2]
本件特許発明1は、現像ローラを有する現像ユニットが、感光ドラムを有するドラムユニットに対して、前記現像ローラに沿って延びる匝動軸線を中心に、前記現像ローラが前記感光ドラムと接触する位置と、前記現像ローラが前記感光ドラムから離れる位置との間で、回動可能であるのに対し、甲2発明は、「現像ローラを有する現像ユニットが、感光ドラムを有するドラムユニットに対して、前記現像ローラに沿って延びる回動軸線を中心に、」「回動可能」ではあるものの、「現像ローラが感光ドラムと接触する位置と、現像ローラが感光ドラムから離れる位置との間で」、回動可能であるとはいえない点。
[相違点3]
本件特許発明1は、導電部材が導電性樹脂で形成されるのに対し、甲2発明はそのような特定を有していない点。
[相違点4]
本件特許発明1は、回動軸線から接触部までの距離が、回動軸線から引張コイルバネまでの距離よりも短く、回動軸線方向に見て、回動軸線、接触部および引張コイルバネは、直線上に並ぶのに対し、甲2発明は、現像ユニットU4の回動軸線から、現像ロール用給電プレートPL2の他端部分までの距離は、現像ユニットU4の回動軸線から、圧縮コイルスプリングSP.SPまでの距離よりも短く、連結ピンPN方向に見て、現像ユニットU4の回動軸線、現像ロール用給電プレートPL2の他端部分及び圧縮コイルスプリングSP、SPが、直線上に並んでいるものではなく、「現像ロール用給電プレートPL2の他端部分」が「接触部」であるとは明記されていない点。
b 判断
事案に鑑みて、相違点4から検討する。
甲3発明には、回転移動軸40f、第1の反駆動側コイルバネ52及び電極部材54が、回転移動軸40fの軸線方向から見て直線上に並ぶことが示されている。
しかし、甲2発明は、その構成要素である、現像ユニットU4の回動軸線、現像ロール用給電プレートPL2の他端部分及び圧縮コイルスプリングSP、SPが、直線上に並んでいるものではないところ、これら構成要素を、連結ピンPN方向に見て、直線上に並べる動機付けを甲2発明には見いだせない。
そうすると、甲2発明において、上記相違点4のように、回動軸線方向に見て、回動軸線、接触部および引張コイルバネは、直線上に並べることには、阻害要因があるといえる。
してみると、上記相違点4を当業者が容易に想到し得るものということはできない。
c 小括
したがって、本件特許発明1は、甲2発明、甲第1号証、甲第3号証~第10号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。
(イ)本件訂正特許発明2~8、14~17について
本件訂正特許発明2~8、14~17は、本件訂正特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、甲2発明に対し、上記相違点2~相違点4に係る発明特定事項を有する。
してみると、本件訂正特許発明2~8、14~17と甲2発明とは、少なくとも上記相違点2~相違点4において相違するものである。
そうすると、上記(ア)bと同様の理由により、本件訂正特許発明2~8、14~17は、甲2発明、甲第1号証、甲第3号証~第10号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 甲第3号証を主引例とした申立理由2
(ア)本件訂正特許発明1について
a 対比
そこで、本件訂正特許発明1と甲3発明とを対比すると、
(a)甲3発明の「トナー」、「内部にトナー等を収容するハウジング40」、「現像ローラ41」、「現像ユニットU2」、「感光体2」、「感光体ユニットU1」、「現像ユニットU2の回転移動軸40f」、「プロセスユニット1」、「『引張力によって、現像ローラ41』を『感光体2側へ付勢」する『第1の反駆動側コイルバネ52』」、「『現像ユニットU2のギアカバー46』に取り付けられ、『装置本体側の電源(高圧基盤)からの電力を現像ローラ41に対して給電』する『他方の電極部材55』」、「外側部54b」、「支持壁50b」はそれぞれ、本件訂正特許発明1の「トナー」、「トナーを収容する筐体」、「現像ローラ」、「現像ユニット」、「感光ドラム」、「ドラムユニット」、「現像ローラに沿って延びる回動軸線」、「プロセスカートリッジ」、「現像ローラを感光ドラムに向けて付勢する引張コイルバネ」、「現像ユニットに設けられ、前記現像ローラに電圧を印加するための導電部材であって、前記筐体の側壁に位置する導電部材」、「接触部」、「サイドフレーム」に相当する。
(b)甲3発明の「回転移動軸40fと外側部54bの距離が、回転移動軸40fと第1の反駆動側コイルバネ52との距離よりも短い」点は、本件訂正特許発明1の「前記回動軸線から前記接触部までの距離は、前記回動軸線から前記引張コイルバネまでの距離よりも短く」に相当する。(c)甲3発明の「回転移動軸40f、第1の反駆動側コイルバネ52及び電極部材54が、回転移動軸40fの軸線方向から見て直線上に並び」は、本件訂正特許発明1の「前記回動軸線方向に見て、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され」に相当する。
したがって、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。[一致点]
「トナーを収容する筐体と現像ローラを有する現像ユニットが、感光ドラムを有するドラムユニットに対して、取り付けられたプロセスカートリッジであって、
前記現像ローラを前記感光ドラムに向けて付勢する引張コイルバネと、
前記現像ユニットに設けられ、前記現像ローラに電圧を印加するための導電性樹脂で形成される導電部材であって、前記筐体の側壁に位置する導電部材と、を備え、
前記導電部材は、画像形成装置本体の電気的な接点と接触する接触部を有し、
前記ドラムユニットは、サイドフレームを有し、
前記回動軸線から前記接触部までの距離は、前記回動軸線から前記引張コイルバネまでの距離よりも短く、
前記回動軸線方向に見て、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、
前記回動軸線方向に見て、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なることを特徴とするプロセスカートリッジ。」
[相違点5]
本件訂正特許発明1が、現像ユニットが、ドラムユニットに対して、「現像ローラに沿って延びる回動軸線を中心に、前記現像ローラが感光ドラムと接触する位置と、前記現像ローラが前記感光ドラムから離れる位置との間で、回動可能に取り付けられ」、ドラムユニットのサイドフレームは「現象ユニットを回動可能に支持」しているのに対し、甲3発明は、現像ユニットU2の回転移動軸40fを直線状の溝50eに挿入する際に、感光体2に対して接近離間する点。
[相違点6]
本件訂正特許発明1のサイドフレームは、「回動軸線方向に貫通した開口部であって、側壁に位置する接触部を、前記回動軸線方向に露出させる開口部を有し」ているのに対し、甲3発明の感光体ユニットU1の支持壁50bは、開口部を有していない点。
b 判断
事案に鑑みて、相違点5から検討する。
ア 甲1発明の「現像ユニット9は加圧バネ95の引っ張り力に抗して回動中心Xを中心として回動し、感光ドラム4と現像ローラ6とは互いに距離ε1だけ離間した状態となり、」及び甲2発明の「プロセスカートリッジU2は、像担持体ユニットU3および現像ユニットU4と、前記各ユニットU3およびU4を回転可能に連結する」は、いずれも、上記相違点5に係る構成に相当する。
イ しかし、そもそも、甲3発明は、現像ユニットU2の回転移動軸40fを直線状の溝50eに挿入する際に、感光体2に対して接近離間しているだけであって、稼働中のプロセスユニット1において、感光体ユニットU1と、現像ユニットU2とを接離させるものではない。
ウ そうすると、甲3発明において、上記相違点5のように、現像ローラに沿って延びる回動軸線を中心に、前記現像ローラが感光ドラムと接触する位置と、前記現像ローラが前記感光ドラムから離れる位置との間で、回動可能に取り付けることには、阻害要因があるといえる。
してみると、上記相違点5を当業者が容易に想到し得るものということはできない。
c 小括
したがって、本件特許発明1は、甲3発明、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証~第10号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件訂正特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものということはできない。
(イ)本件訂正特許発明2~8、14~17について
本件訂正特許発明2~8、14~17は、本件訂正特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、甲3発明に対し、上記相違点5及び相違点6に係る発明特定事項を有する。
してみると、本件訂正特許発明2~8、14~17と甲3発明とは、少なくとも上記相違点5及び相違点6において相違するものである。
そうすると、上記(ア)bと同様の理由により、本件訂正特許発明2~8、14~17は、甲3発明、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証~第10号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(3)申立理由3(サポート要件違反)について
ア 本件訂正特許明細書には、以下のとおり、記載されている。
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した構造では、現像電極が現像ユニットの回動軸線に対してバネよりも遠い位置に配置されているので、現像ユニットが接触位置と離間位置との間で回動する際に現像電極が本体電極から外れないように、現像電極を回動方向に大きく形成する必要があった。そして、このような現像電極の大型化により、プロセスカートリッジが大型化してしまう問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、現像ユニットがドラムユニットに対して所定の回動軸線を中心に回動可能に取り付けられたプロセスカートリッジにおいて、現像電極(接触部)の大きさを小さくすることを目的とする。」
「【0074】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
接触部66Bから回動軸線CLまでの距離L1が、回動軸線CLから引張コイルバネSPまでの距離L2よりも短いので、現像ユニット60の回動に伴って移動する接触部66Bの移動範囲を小さくすることができる。その結果、接触部66Bの長手方向の大きさ(接触部66Bに接触する本体側電極との関係を考慮した大きさ)を小さくすることができる。
【0075】
回動軸線方向から見て、接触部66Bを回動軸線CLと引張コイルバネSPとの間に配置したので、構造を複雑化させることなく、引張コイルバネSPと接触部66Bを配置することができる。」
イ 上記記載からすると、本件訂正特許発明は、「現像電極の大型化により、プロセスカートリッジが大型化する」という課題に対して、「前記回動軸線から前記接触部までの距離は、前記回動軸線から前記引張コイルバネまでの距離よりも短く」との特定事項により、「現像ユニット60の回動に伴って移動する接触部66Bの移動範囲を小さくすることができる。その結果、接触部66Bの長手方向の大きさ(接触部66Bに接触する本体側電極との関係を考慮した大きさ)を小さくすることができる」という効果(技術的意義)を奏するものである。
ウ してみると、異議申立人が主張するように、本件訂正特許発明の構成要件である「前記回動軸線方向に見て、前記接触部および前記引張コイルバネを通る少なくとも1つの直線が、前記回動軸線を通るように、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが配置され、 前記回動軸線方向に見て、前記回動軸線、前記接触部および前記引張コイルバネが前記側壁と重なる」こと自体に技術的意義が見いだせないとしても、上記イのとおりの技術的意義を本件訂正特許発明1が有していることから、異議申立人の申立理由は採用できない。
エ なお、本件訂正により、「付勢部材」は「引張コイルバネ」と訂正されたことから、1(3)ウで主張する申立理由は解消された。
オ したがって、本件訂正特許発明1~8、14~17は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないとはいえないから、申立理由3により、本件特許請求の範囲の請求項1~8、14~17係る特許を取り消すことはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~8、14~17に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~8、14~17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700312