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特許異議申立

2025-701099

制御装置、工作システム、及びプログラム

審判番号
2025-701099
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-078088
登録番号
7683303
請求日
2025年11月27日
審決日
2026年02月17日
公報発行日
2026年03月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】ブラザー工業株式会社
  • 【異議申立人】藤江 桂子
審判長/審判官
  • 審判長 本庄 亮太郎
  • 審判官 青木 良憲
  • 審判官 田々井 正吾
分類
P1652.121-Y (G05B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7683303号発明「制御装置、工作システム、及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7683303号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7683303号の請求項1~8に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和3年4月30日に出願され、令和7年5月19日にその特許権の設定登録がされ、同月27日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1に係る特許に対し、令和7年11月27日に特許異議申立人藤江桂子(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 本件特許のうち、特許異議の申立てがされた請求項1に係る発明(以下「本件特許発明1」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載した次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 表示部を備える工作機械の動作を制御する制御装置において、 前記工作機械に対してワークの搬入出を行なう搬送装置に関するアラームを識別する識別情報と、前記アラームの解除に資する第一のアラーム情報と、前記アラームの優先度とを関連付けて記憶する第一記憶部と、 前記搬送装置から前記識別情報を受け付ける受付部と、 該受付部が受け付けた前記識別情報に関連付けて前記第一記憶部が記憶している前記第一のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部と、 前記工作機械に関するアラームの解除に資する第二のアラーム情報と、前記アラームの優先度とを関連付けて記憶する第二記憶部と、 前記搬送装置に関するアラーム及び前記工作機械に関するアラームの合計が複数である場合、各アラームの優先順位を決定する優先順位決定部と を備え、 該優先順位決定部は、複数の前記アラームに、前記搬送装置に関するアラームと前記工作機械に関するアラームとが含まれており、且つ、所定の条件が成立している場合、前記搬送装置に関するアラームの優先度を前記第二記憶部に記憶してある優先度よりも小さくしてから各アラームの優先順位を決定し、 前記表示制御部は、前記優先順位決定部の決定結果に基づいて、最も優先順位が高いアラームの第一又は第二のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御することを特徴とする制御装置。」 第3 申立ての理由 1 申立人が特許異議申立書で主張する申立ての理由の概要 (進歩性)請求項1に係る発明は、甲第1~4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 証拠方法 申立人が特許異議申立書に添付して提出した証拠方法は、以下のとおりである。 (1)甲第1号証:特開2019-139558号公報 (2)甲第2号証:特開昭60-179899号公報 (3)甲第3号証:特開2001-34316号公報 (4)甲第4号証:特開2008-176579号公報 以下、甲第○号証を「甲○」という。 第4 証拠の記載内容について 1 甲1 (1)甲1の記載事項 ア 発明の詳細な説明 「【0001】 本発明は、工作機械の制御装置に関する。 ・・・ 【0009】 本発明は、警告の要因を容易に特定することが可能な工作機械の制御装置を提供することを目的とする。 ・・・ 【0010】 (1)本発明の工作機械の制御装置(例えば、後述の制御装置100)は、工作機械および/または前記工作機(当審注:「工作機械」の誤記)の周辺機器(例えば、後述の交流電源120、またはモータ160)の作動状態を示す諸量を取得するセンサ(例えば、後述の電源監視部170)と、前記工作機械および/または前記周辺機器の作動状態の異常を検出し、前記異常を示す信号および前記異常を検出したときの前記諸量を出力する、異常検出部(例えば、後述の電源異常検出部180)と、前記諸量のうち、前記異常に関わる諸量を自動的に選択し、前記異常の要因を自動的に診断する異常診断部(例えば、後述の異常診断部195)と、を備えることを特徴とする。 【0011】 (2)(1)の前記工作機械の制御装置は、制御部(例えば、後述の制御部190)と、表示部(例えば、後述の表示部300)と、記憶部(例えば、後述の記憶部197)をさらに備え、前記表示部の表示画面には、前記異常の名称、前記異常の要因、および前記異常に関わる諸量が表示されてもよい。前記記憶部には、前記異常の名称、前記異常の要因、および前記異常に関わる諸量を記憶させてもよい。 ・・・ 【0016】 以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、制御装置100の機能ブロック図である。整流器130は、交流電源120からの交流を直流に変換する。逆変換器140は、整流器130からの直流を交流に変換し、モータ160へ供給する。整流器130と逆変換器140との間には、ノイズを除去するための平滑コンデンサ150が設けられる。 【0017】 電源監視部170は、整流器130へ入力される諸量、すなわち電圧、電流、周波数、および平滑コンデンサ150の電圧を検出する。検出された諸量は、電源異常検出部180および制御部190に伝達される。制御部190に設けられたメモリ(図示せず)には、電源監視部170から伝達される諸量が常時記録される。制御部190に設けられた記憶部197は、たとえば不揮発性メモリを有し、電源異常検出部180が検出した異常状態および、異常が検出された際の諸量を記憶する。制御部190は、以下に詳述するような、異常を診断する異常診断部195、および表示部300を備える。 【0018】 図2は、本発明の一実施形態に係る、異常要因を特定するためのシーケンスを示すフローチャートである。図2に示される処理は、電源異常検出部180および制御部190において行われる。ステップS210~S246の処理では、諸量にもとづいて工作機(当審注:「工作機械」の誤記)の動作の異常の有無が判断され、判断の結果に応じて表示画面の遷移の要否が決定される。 【0019】 ステップS210において、電源監視部170(図1参照)において検出された諸量が取得される。諸量とは、例えば交流電源120(図1参照)の電圧、電流、周波数、平滑コンデンサ150の電圧、およびモータ160の速度、加速度を含む、工作機械の周辺機器の電圧および/または電流の情報である。 【0020】 諸量が取得されると、ステップS214において、諸量が正常範囲内にあるか否かが判定される。正常範囲とは、制御装置100(図1参照)が正常に動作するための数値の範囲である。諸量が正常範囲内にあるとき、ステップS218において、異常がないと判定される。 【0021】 ステップS214において、諸量が正常範囲内にないと判定されると、処理はステップS222へ移行する。ステップS222において、異常があると判定されると、電源異常検出部180(図1参照)は、異常診断部195(図1参照)へ、異常を示す信号を送信する。 【0022】 異常診断部195は、異常を示す信号を受信すると、ステップS226における異常要因を特定するための繰り返し処理を実行する。異常要因特定ループでは、m種類(mは正の整数)の諸量が、異常要因を満たすか否か、すなわち諸量が正常範囲内にあるか否かが判定される。mの値は、電源監視部170が検出する諸量の種類の数によって定められる。 【0023】 異常要因を満たすと判定されると、ステップS234において、異常要因が制御部190(図1参照)へ送信される。異常要因が制御部190へ送信されると、ステップS246において、制御部190は、表示画面を図3に示されるような警告画面へ遷移させる。 【0024】 ステップS226における異常要因特定ループの処理が終了すると、ステップS238において、異常要因が制御部190へ送信されたか否か判定される。ステップS238において、異常要因が送信されなかったと判定されると、ステップS242の処理が行われる。 【0025】 ステップS242において、異常要因が特定されなかったことを示す信号が制御部190(図1参照)へ送信される。ステップS246において、制御部190は、表示部300の表示画面を警告画面に遷移するとともに、異常要因が特定できなかったことを表示する。 【0026】 図3は、表示部300の表示画面を示す図である。表示部300は、警告領域310、数値表示領域320、グラフ表示領域330を備える。 【0027】 警告領域310には、異常の名称、推定される異常要因、およびガイダンスが表示される。異常の名称は、例えば「X軸:PS入力電源異常」など、異常の現象を端的に示す。推定される異常要因は、異常診断部195(図1参照)において推定された複数の異常要因、例えば「1.PS、SV、またはSPの不良」、「2.入力電源異常」、および「3.MCCまたはケーブル不良」など、推定される異常要因を示す。ガイダンスは、例えば「電源が供給されていません」および「動力ケーブル、電圧検出ケーブル、または入力電源の不良です」など、より具体的な対処を促すメッセージである。 【0028】 数値表示領域320には、異常が発生したときの諸量が表示される。諸量とは、前述のとおり、例えば電源120(図1参照)の電圧、電流、および周波数である。また、グラフ表示領域330には、数値表示領域320に表示された諸量に基づいて可視化されたグラフが表示される。オペレータは、グラフと推定要因とを照らし合わせて、異常が発生している箇所を特定することが出来る。また、オペレータは、制御部190(図1参照)のメモリ(図示せず)に記録される諸量の履歴を参照して、諸量の変化を追跡することも可能である。 ・・・ 【0032】 なお、本実施形態において、電源監視部170は、交流電源120および平滑コンデンサ150の諸量を検出するが、モータ160の速度および加速度を含む、工作機械の周辺機器の電圧および/または電流の諸量を検出してもよい。 イ 図面 「【図1】 [図:0001433141000001.jpg] 【図2】 [図:0001433141000002.jpg] 【図3】 [図:0001433141000003.jpg] 」 (2)甲1の記載事項の整理 ア 段落0010~0011、0017~0018、0026、0032、図1、3の記載からみて、甲1には、工作機械の動作を制御する制御装置100について記載され、この制御装置100は表示部300を備える。 イ 段落0010~0011、0017~0023、0027、図1~3の記載からみて、上記アの制御装置100は、工作機械および/または前記工作機械の周辺機器の諸量を取得、出力し、警告の要因となる異常要因を特定するものであり、制御装置100が備える記憶部197は、この諸量を記憶する。そして、この記憶部197に関し、警告の具体的な対処を促すガイダンスを記憶することは、甲1に明記はされていないものの、このようなガイダンスは予め作成された内容を記憶して、異常の発生の際に表示するものであるところ、この記憶部197に、やはり異常の発生の際に表示する「異常の名称」(段落0027)を記憶させてもよい(段落0011)ことが記載されていることから、当該ガイダンスも同様に記憶部197に記憶させてもよいことが類推される。 そうすると、記憶部197は、工作機械の周辺機器に関する警告の要因を特定するための異常に関わる諸量と、前記警告の具体的な対処を促すガイダンスを記憶すると解される。 ウ 段落0010、0017、0021~0022、0027、図1~2の記載からみて、制御装置100は、工作機械の周辺機器の作動状態を示す諸量を取得して、異常に関わる諸量を自動的に選択し、異常の要因を自動的に診断する異常診断部195を備えており、この異常診断部195は、工作機械の周辺機器から異常に関わる諸量を受け付けることが理解される。 エ 段落0011、0017~0018、0023~0027、図1~3の記載からみて、上記ウの異常診断部195が工作機械の周辺機器から受け付ける異常に関わる諸量により異常要因が推定され、この異常要因が制御部190に送信されると、制御部190は、表示部300の表示画面を警告画面へ遷移させて、上記イの具体的な対処を促すガイダンスを表示させる。 したがって、制御装置100の制御部190は、上記ウの異常診断部195が受け付けた異常に関わる諸量に関連付けて、上記イの記憶部197が記憶している工作機械の周辺機器の警告の具体的な対処を促すガイダンスを表示するよう前記表示部300を制御するものである。 オ 上記イの工作機械の周辺機器に関する警告の具体的な対処を促すガイダンスと同様に、工作機械に関する警告の具体的な対処を促すガイダンスも記憶部197に記憶するものであるといえる。 (3)甲1に記載された発明 上記(1)~(2)より、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「 表示部300を備える工作機械の動作を制御する制御装置100において、 前記工作機械の周辺機器に関する警告の要因を特定するための異常に関わる諸量と、前記警告の具体的な対処を促すガイダンスを記憶する記憶部197と、 前記工作機械の周辺機器から前記異常に関わる諸量を受け付ける異常診断部195と、 該異常診断部195が受け付けた前記異常に関わる諸量に関連付けて前記記憶部197が記憶している前記工作機械の周辺機器の警告の具体的な対処を促すガイダンスを表示するよう前記表示部300を制御する制御部190と、 前記工作機械に関する警告の具体的な対処を促すガイダンスを記憶する記憶部197と、 を備えた制御装置100。」 2 甲2 (1)甲2の記載事項 ア 発明の詳細な説明 (ア)「 この発明は数値制御機器(以下、NC機器と略称する)、その他の機器に用うることのできるアラーム表示装置に関する。」(第1ページ右下欄第1~3行) (イ)「 この発明は上記従来技術に鑑みて、異常原因の早期発見を行うと共に、当該異常原因に対する対策をも素早く行うことのできるアラーム表示装置を提供することを目的とする。 上記目的を達成するためのこの発明は、アラーム発生原因に対応する要約的アラーム情報テーブルと解説的アラーム情報テーブルとを設け、前記アラーム発生原因に基づいてディスプレイ装置に要約的アラーム表示を行うと共に前記解説的アラーム情報テーブルの内容を所望により表示させる表示制御部を設けたことを特徴とするアラーム表示装置である。 従って、この発明においては特に解説的アラーム情報テーブルを設け、アラーム発生原因を解説するようにしたので、オペレータはアラーム発生原因をより詳細に知ることができると共に、その対策に関する指針をも得ることができ、異常原因に対する対策を素早く行うことができるのである。」(第2ページ左上欄第8行~右上欄第5行) (ウ)「 第1図~第6図は、この発明に係るアラーム表示装置の一実施例を示すものである。第1図において、主制御部1で制御される機器3には適宜のアラームセンサ5が設けられ、通常の作業が行われている。機器の例としては、NC工作機械、レーザ装置、その他、プラント、ボイラ等各種の機器が対象とされる。主制御部1は、前記アラームセンサ5からの異常検出信号により、或いは、主制御部内部に設けられた異常検出手段により異常を検出し、ランプ、ブザー、或いは表示装置等用いて異常を知らせることは通常行なわれている通りである。前記主制御部1に表示制御部1aを設け、CRTコントローラ7を介してキーボード9を付設したCRT11を設けている。又、主制御部1に、要約的アラーム情報テーブル13と、解説的アラーム情報テーブル15とを設けている。これらの情報テーブル13、及び、15は、ROM17に書き込まれて使用される。」(第2ページ右上欄第6行~左下欄第3行) (エ)「 前記要約的アラーム情報テーブル13は、アラーム発生原因の情報を要約して記載したものであり、例えば、アラーム発生場所、アラーム発生センサの番号、あるいは異常の原因となったプログラムナンバ等を発生原因に対応して定めたものである。非常停止の他、オーバロード、リミットスイッチ(センサ)作動、制御値との誤差発生、等々の項目を該当させている。この他、例えば、前記機器がNC装置であれば、補間、又は、分配部のエラー、ソフトリミットの作動、エンコーダエラー、データ不足、システムエラー、等々をも該当させている。機器に応じて、定められるこれらの項目は多岐に亘るものであるが、適宜分類して比較的短文で表現することができる。 前記解説的アラーム情報テーブル15は、前記要約的アラーム情報テーブル13の内容を補足するものであり、オペレータの要望により該当アラームの解説を行うものである。前記要約的情報が非常停止である場合の例を挙げれば、非常停止の詳細、例えば「モータ○○番のサーマルが作動しました。」、或いは、「一度、電源を切ってから再投入して下さい。」、更に或いは、「マニュアル○○ページを開いて下さい。」の如く非常停止の内容を解説するのである。」(第2ページ左下欄第4行~右下欄第7行) (オ)「 第2図はCRT11に、要約的アラーム情報テーブルの内容を表示させた例である。画面19にアラーム表示21、及び、番号を付した要約的情報23を表示している。この表示はアラーム発生に基づいて、キーボード9の要約表示用操作スイッチ25を操作することにより得られるが、解説を要する際には、解説表示操作スイッチ27を操作すると共に、要約的情報23に指示される番号(本例では100番)をテンキー29で入力することにより得られる。なお、NC機器にあってはHELP機能を応用することも可能である。 第3図フローチャートに示したように、ステップ301におけるアラーム発生に伴って、ステップ303で要約表示用操作スイッチ25を押しアラーム画面を指定すると、第2図に示した画面19が現われる。ステップ305において解説を要する場合には、ステップ307において解説表示用の操作スイッチ27を押し、ステップ309で解説を要するアラーム番号を指定すれば、アラーム解説画面が得られるのである。」(第2ページ右下欄第8行~第3ページ左上欄第7行) (カ)「 第4図~第6図に、アラーム発生原因31(31a,31b…)と、要約的アラーム情報テーブル13(13a,13b…)、及び、解説的アラーム情報テーブル15(15a,15b…)との関係例を示した。」(第3ページ左上欄第8~12行) (キ)「 第6図は、解説的アラーム情報テーブル15を並列的又は直列的に複数段設け、オペレータの要望により順次読出しするようにしたものである。今、アラームが発生され、要約的アラーム情報テーブル13で非常停止が確認されたとする。そして、解説的アラーム情報テーブル15eに、その非常停止の原因で2つ考えられると表示されているとする。オペレータは、テーブル15f、又は、15h、のいずれか可能性の大きいと考えられる方を読出し、次の指示を知ることができる。なお、この際、主制御部側の判定により自動的にテーブル15f、15hを選択させることも可能である。テーブル15fが選択された場合、該テーブル15fをより詳細に解説するため直列的に設けられたテーブル15gを読出すこともできる。」(第3ページ右上欄第16行~左下欄第10行) (ク)「 以上、詳細に説明したように、この発明は、アラーム発生原因に対応する要約的アラーム情報テーブルと解説的アラーム情報テーブルとを設け、前記アラーム発生原因に基づいてディスプレイ装置に要約的アラーム表示を行うと共に前記解説的アラーム情報テーブルの内容を所望により表示させる表示制御部を設けたことを特徴とするものであるから、異常原因の早期発見を行うと共に、当該異常原因に対する対策をも素早く行うことのできるアラーム表示装置を提供することができる。」(第3ページ左下欄第20行~右下欄第9行) イ 図面 (ア)第1図 [図:0001433141000004.jpg] (イ)第2図 [図:0001433141000005.jpg] (ウ)第3図 [図:0001433141000006.jpg] (エ)第6図 [図:0001433141000007.jpg] (2)甲2に記載された技術的事項 上記(1)より、甲2には次の技術的事項(以下「甲2記載の技術的事項」という。〔 〕内に甲2における根拠箇所を記載した。)が記載されている。 「 CRT11を設けたNC工作機械等の機器3の動作を制御する主制御部1において〔上記(1)ア(ア)、(ウ)、第1~2図〕、 前記NC工作機械等の機器3に関するアラーム番号と、異常を解説する情報を含む解説的アラーム情報テーブル15と、前記解説的アラーム情報テーブル15の異常を解説する情報を得るために必要なアラーム番号を指示する要約的情報23を含む要約的アラーム情報テーブル13が書き込まれるROM17と〔上記(1)ア(イ)~(カ)、第1、3、6図〕、 テンキー29で前記アラーム番号を入力するCRTコントローラ7と〔上記(1)ア(ウ)、(オ)、第1~3図〕、 前記CRTコントローラ7が受け付けた前記アラーム番号に関連付けて前記解説的アラーム情報テーブル15が含む前記異常を解説する情報を表示するようCRT11を制御する表示制御部1aを備えた〔上記(1)ア(ウ)、(オ)、第1、3、6図〕主制御部1。」 3 甲3 (1)甲3の記載事項 ア 発明の詳細な説明 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、工作機械やこれに付属したワーク搬送装置、その他の一般機械における制御装置に関し、特にそのアラームの管理システムに関する。 ・・・ 【0004】この発明の目的は、アラームメッセージの変更を、使用者が簡単に変更することができて、使用者の使い勝手の良い機械制御装置を提供することである。この発明の他の目的は、具体的なアラーム状態を履歴として知ることができ、また使用者の希望項目の履歴を容易に得られるようにすることである。この発明のさらに他の目的は、アラーム発生時に機械状態の情報を自動収集でき、アラーム原因の特定を容易とすることである。 【0005】 【課題を解決するための手段】この発明の構成を実施形態に対応する図1と共に説明する。この機械制御装置は、制御対象機械(1)をプログラム制御すると共に、所定の機械異常時にアラーム(a)を発生する機械制御手段(3)と、アラームメッセージを表示する表示手段(14)と備えた装置において、複数種類のアラームメッセージを書換え可能に記憶したアラーム表示ファイル(15)と、前記機械制御部(3)で発生したアラーム(a)に応じて前記アラーム表示ファイル(15)から対応するアラームメッセージを抽出し、前記表示手段(14)に表示させる表示制御手段(14)とを設けたものである。この装置によると、機械制御手段(3)でアラーム(a)を発生すると、表示制御手段(16)の処理により、アラーム表示ファイル(15)からアラーム種類に対応するアラームメッセージが抽出され、表示手段(14)に表示される。アラーム表示ファイル(15)は書換え可能なファイルとして準備されており、例えば機械制御手段(3)の制御アプリケーション(2)から切り離した外部ファイルとして準備されているため、内容の変更は、現地の機械使用者でも容易に行える。変更する具体例としては、そのアラーム(a)が発生した時の調査項目等のノウハウの追加、ミスコーディングの修正等が挙げられる。アラーム表示ファイル(15)は、制御アプリケーション(2)から独立したものであるため、例えばテキスト形式等の汎用的なファイル形式とでき、そのため専門的な知識を必要とせずに表示内容をカスタマイズできる。 ・・・ 【0007】この発明の上記各構成の場合において、アラーム発生時に、前記機械制御部(3)の有するレジスタ(9)の全てまたは大部分の現在記憶内容を自動収集して記憶するレジスタ情報収集手段(18)を設けても良い。このように、アラーム発生時のレジスタ(9)の全てまたは大部分の現在記憶内容を自動収集して記憶するようにした場合、アラーム原因となる機械異常の特定が容易に行える。また、その記憶内容をファイル(17)等として使用者からメーカに送ることにより、専門知識を有するメーカで分析し、アラーム原因となる機械異常を特定することができる。 ・・・ 【0012】アラーム表示ファイル15は、表示手段14に表示するアラームメッセージ(詳しくはその表示データ)を書換え可能に記憶したものであり、制御アプリケーション2とは別の外部ファイルとして、所定の記憶手段に設けられる。アラーム表示ファイル15には、アラームメッセージの他に、履歴ファイル19に記憶させるための履歴記録指定情報が含まれる。履歴記録指定情報は、機械制御手段3のレジスタ9のアドレスなど、内部記憶手段8のアドレス指定情報である。これらアラームメッセージおよび履歴記録指定情報は、アラームaの種類に応じて複数設けられる。アラーム表示ファイル15は、汎用的なファイル形式、例えばテキスト形式やCSV形式等のファイル形式とされる。アラーム表示ファイル15は、アラーム表示ファイル更新手段21により、その記憶内容が更新可能である。アラーム表示ファイル更新手段21は、この機械制御装置に設けられたものであっても、別のコンピュータ等に設けられたものであっても良い。 ・・・ 【0016】上記構成によるアラーム管理方法を説明する。機械制御手段3のアラーム発生手段13によりアラームaが発生すると、表示制御手段16の処理により、アラーム表示ファイル15からアラームaの種類に応じたアラームメッセージが読み出され、表示装置14の画面に表示される。このとき、表示装置14には、アラームメッセージと共に、アラーム表示ファイル15に記憶された履歴記録指定情報も表示される。図2は、表示装置14におけるアラームメッセージ表示画面の一例を示す。同図に示すように、表示装置14の画面には、アラーム種類としてアラーム番号とアラーム内容が示されると共に、使用者が任意に記述したアラームの具体的な現象、処置(例えば調査項目)、各種の信号状態の情報等が表示され、また履歴記録指定情報として「D・・・」というようにレジスタアドレスが示される。上記の「現象」の具体的な記述例としては、例えば、「……のモータが過負荷の異常です。」というようなメッセージを示すことができる。 【0017】これらのアラームメッセージの内容は、外部ファイルであるアラーム表示ファイル15として準備するため、従来のROMに登録されたものと異なり、ファイル内容を書き換えるだけで、自由に変更することができる。変更の具体例としては、アラームが発生した時の調査項目等のノウハウの追加や、万一、制御アプリケーション2にミスコーディングがあった場合の修正内容の表示等が挙げられる。また、アラーム表示ファイル15は、制御アプリケーション2と切り離したファイルであるため、テキスト形式等の汎用的なファイル形式とでき、そのため専門的な知識を必要とせずに、表示内容をカスタマイズすることができる。 【0018】また、アラームaが発生すると、レジスタ情報収集手段18は、現時点の機械制御手段3内のレジスタ9の情報の全てまたは殆どを、アラーム時レジスタ内容ファイル17に記録する。このとき、所定の内部メモリ10の情報もアラーム時レジスタ内容ファイル17に記録する。アラームaが発生していないときでも、手動起動手段22でレジスタ情報収集手段18を起動することで、これらレジスタ情報や内部メモリ情報がアラーム時レジスタ内容ファイル17に記録される。そのため、アラーム発生時や、沈黙停止時のレジスタ値を収集することが可能になり、そのデータであるアラーム時レジスタ内容ファイル17をメーカーへ送って分析し、原因を特定することができる。」 イ 図面 「【図1】 [図:0001433141000008.jpg] 【図2】 [図:0001433141000009.jpg] 」 (2)甲3に記載された技術的事項 上記(1)より、甲3には次の技術的事項(以下「甲3記載の技術的事項」という。〔 〕内に甲3における根拠箇所を記載した。)が記載されている。 「 表示手段14を備える工作機械の動作を制御する機械制御装置であって〔段落0005、図1〕、 前記工作機械に関するアラームの種類を特定するアラーム番号と、アラームの種類に応じたアラームメッセージを関連付けて記憶するアラーム表示ファイル15と〔段落0005、0016、図1~2〕、 アラームaが発生するとアラーム表示ファイル15からアラームaの種類に応じたアラームメッセージが読み出され、表示手段14に表示させる表示制御手段14を備え、 前記アラーム表示ファイル15は、書き換え可能な外部ファイルであって前記アラームメッセージを使用者が自由に変更することができ〔段落0012、0017、図1〕、 さらに、アラーム時レジスタ内容ファイル17に機械制御手段3内のレジスタ9の情報を記録する〔段落0007、0018、図1〕機械制御装置。」 4 甲4 (1)甲4の記載事項 ア 発明の詳細な説明 「【0001】 本発明は、工作機械や各種産業機械を制御する制御装置に関し、特に、機械に生じるアラーム履歴を記憶する制御装置に関する。 ・・・ 【0010】 そこで、本発明の目的は、アラームの重要度が高いアラームに関する情報を長時間確実に記録できる、機械の制御装置を提供することにある。 ・・・ 【0015】 以下、本発明の一実施形態を図面と共に説明する。 本発明は、工作機械、放電加工機、ロボット、射出成形機などの各種産業用機械の制御装置に適用されるものであり、図1に示す本発明の一実施形態では、工作機械を制御する制御装置(数値制御装置)の例を示している。図1では該数値制御装置の要部のみを示している。 制御装置(数値制御装置)10は、プロセッサ(CPU)11と該プロセッサ11とバス19で接続された、ROM、RAM、不揮発性RAM等で構成されたメモリ12、液晶やCRT等で構成される表示装置13、キーボード等のデータや指令を入力するための入力装置14、管理コンピュータ等の上位制御装置との通信を行う通信インタフェース15、機械本体20の各可動軸を駆動するサーボモータを制御する各軸サーボ制御装置16、主軸モータを制御する主軸制御装置17及び入出力回路18等で構成されている。 【0016】 メモリ12中のROMには、システムプログラムが格納されており、不揮発性RAMには、機械(工作機械)本体を制御する制御プログラム、本願発明に関係して、アラームの重要度を設定する重要度設定処理プログラム、アラーム重要度別の保存データを選択設定する保存データ設定処理プログラム、アラームデータ保存処理プログラム、アラームデータ表示処理等のプログラムが格納されている。さらに、後述するように、アラームデータをその重要度別に記憶するメモリエリアもこの不揮発性RAMに設けられている。 ・・・ 【0020】 まず、アラーム毎の重要度の設定について説明する。 このアラーム毎の重要度は、例えば、高い順にA、B、Cとする。そして、機械が出荷されるときには、あらかじめ各アラームに対して、重要度A、B、Cのいずれかが初期設定データとして、また、最初の設定データとしてもメモリ12の不揮発性RAMに記憶される。 ・・・ 【0035】 図6は、メモリ12の不揮発性RAMに設けられた、アラーム履歴データ保存用のメモリ領域の説明図である。重要度の高いアラームほどそのアラームに対して保存するデータ項目が多いことや、重要度の高いアラームほど、そのデータを長時間保存しておく必要があることから、重要度の高いアラームのデータを記憶するアラーム履歴データ保存用のメモリ領域が多く取られている。この実施形態では重要度Aのアラームのデータを記憶するメモリ領域12aが一番多く、次に重要度Bのアラームのデータを記憶するメモリ領域12bとし、重要度Cのアラームのデータを記憶するメモリ領域12cが一番小さいものとされている。なお、重要度の高いアラームほど発生する頻度が低いものであることから、この発生頻度をも考慮して、重要度毎にそのアラームデータを記憶するメモリ領域を設けて、重要度が高いほど長時間保存されるように構成されている。又、各重要度毎のメモリ領域は、リングバッファ形式で構成され、ポインタで示される位置にアラームデータが記憶され、順次ポインタが更新され、メモリ領域の最後までアラームデータが格納されるとポインタはメモリ領域の最初の位置に戻され、その位置より再びポインタを更新しながらアラームデータが記憶されるように構成され、アラームデータは循環して記憶される。 【0036】 図7は、機械を運転中にアラームが発生したときのアラームデータ保存処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。 アラームが発生すると、制御装置10のプロセッサ11は、アラーム別の重要度設定データとして不揮発性RAMに記憶する当該アラーム番号のメッセージと重要度を読み取りそのメッセージを表示装置13の画面に表示し(ステップ301)、かつ、該重要度に対応する保存アラームデータの項目を不揮発性RAMに記憶する重要度別保存アラームデータより読み出し、対応する項目のデータをそれぞれ取得し、当該アラームの重要度に応じて、対応する重要度におけるアラーム履歴保存データ記憶用のメモリ領域でのポインタが示す位置に記憶する(ステップ302)。例えば、発生したアラーム番号「000」のアラームが発生したときは、アラーム別の重要度設定データより、図2に示す例で、「電源を切断して下さい」とのメッセージを表示すると共に、重要度Bを読み取る。この重要度Bに対して、重要度別保存アラームデータとして設定されている項目(ONとして設定されている項目)を判別し、例えば、図4に示す例で、重要度Bに対して、「発生日時」「アラーム番号」「メッセージ」「モーダル情報」が設定されていることから、これらの項目のデータを取得し、メモリ12の不揮発性RAMにおける重要度B用メモリ12bの領域のポインタが示す位置に、これら項目の取得データをアラームデータとして格納する。 その後、ポインタを更新し(ステップ303)、このアラームデータ保存処理は終了する。 【0037】 以下、アラームが発生する毎に、図7に示す処理が実行され、発生したアラームの重要度をアラーム別重要度の設定データに基づいて判別し、その重要度に対して重要度別保存データとして設定されている項目のデータを取得して、その重要度に対応するメモリ領域に取得した項目のデータをアラーム履歴データとして格納する。 【0038】 アラームデータを記憶するメモリ領域は、図6に示すように、重要度A用のメモリ領域12aの容量が大きく、次に重要度Bのメモリ領域12bとされ、重要度Cは一番小さな容量のメモリ領域12cとされている。そのため、重要度Cのアラーム履歴データは記憶する期間が他のものと比べ短くなり、他の重要度のアラーム履歴データより書き換え速度が早くなる。又、重要度A用のメモリ領域の容量は一番大きいことから、そのデータの書き換え速度は遅くなり、この重要度Aのアラーム履歴データを記憶する期間は長いものとなる。又、重要度Bのアラーム履歴データの記憶期間は、重要度Aと重要度Cの記憶期間の中間となる。 これによって、重要度の高いアラーム履歴データが低いアラーム履歴データによって消去されるのを防止することができる。 【0039】 そこで、障害等が発生した場合は、記憶するアラーム履歴データを表示装置の画面に表示させることより、過去に発生したアラームおよび関連するデータを確認することができる。アラーム履歴の表示方法としては、特定の指定した重要度のアラーム履歴データのみを発生時系列順に表示するか、または全ての重要度のアラーム履歴データを混在して発生時系列順に表示するかの2通りの方法を本実施形態では選択できるようにしている。前者の場合、つまり特定の重要度のアラーム履歴データのみを表示することにより、ユーザが必要とする履歴を抽出して表示することもでき、また障害調査の際にメーカのサービスマンが必要とする履歴を抽出して表示することもできる。また後者の場合は、より見やすくするため、重要度別に色分けして表示するようにする。 ・・・ 【0041】 図9に示す例では、アラーム履歴として表示画面に表示されるアラーム履歴データとして、アラームの発生日時、アラーム番号、メッセージ、重要度が表形式で表示されている。又ソフトキー30a、30bは、頁をアップ/ダウンさせるキーであり、ソフトキー30cは、アラームをサーチし選択するキーである。又、ソフトキー30kは、選択されたアラームの詳細なアラームデータを表示させるためのキーである。又、ソフトキー30lは、アラーム履歴データを、通信インタフェース15を介して外部記憶装置等に出力させるための指令キーである。」 イ 図面 「【図1】 [図:0001433141000010.jpg] ・・・ 【図6】 [図:0001433141000011.jpg] 【図7】 [図:0001433141000012.jpg] ・・・ 【図9】 [図:0001433141000013.jpg] 」 (2)甲4に記載された技術的事項 上記(1)より、甲4には次の技術的事項(以下「甲4記載の技術的事項」という。〔 〕内に甲4における根拠箇所を記載した。)が記載されている。 「 表示装置13を備える工作機械の動作を制御する制御装置において〔段落0001、0015、図1〕、 前記工作機械に関するアラームの履歴データのアラーム番号と、メッセージと、重要度を記憶するメモリ12の不揮発性RAMと〔段落0015~0016、0036、図1、6~7〕、 前記アラーム番号に関連付けて前記メモリ12の不揮発性RAMが記憶している前記メッセージを表示するように前記表示装置13を制御するプロセッサ(CPU)11を備え〔段落0036~0037、0039、0041、図1、9〕、 前記アラーム番号のアラームの履歴データを、重要度毎に設けたメモリ領域に、重要度が高いほど長時間保存する〔段落0020、0035、0038、図6~7〕制御装置。」 第5 当審の判断 上記第3の1の申立ての理由として、特許異議申立書(以下、単に「申立書」という。)では、甲1を主引用例とする理由(申立書の3(4)(4-3)イのイ-1「理由1:甲1を主引例とした進歩性違反」[第19~25ページ])と、甲2を主引用例とする理由(申立書の3(4)(4-3)イのイ-2「理由2:甲2を主引例とした進歩性違反」[第25~29ページ])の2つが申し立てられているので、以下前者を「進歩性理由1」、後者を「進歩性理由2」として検討する。 1 進歩性理由1(甲1を主引用例とするもの) (1)引用文献 甲1~甲4 (2)本件特許発明1と甲1発明の対比 ア 甲1発明の「表示部300」は本件特許発明1の「表示部」に相当し、同様に「制御装置100」は「制御装置」に相当する。 イ 甲1発明の「工作機械の周辺機器」と本件特許発明1の「工作機械に対してワークの搬入出を行なう搬送装置」を対比すると、両者は「工作機械補助デバイス」という点に限り一致する。そして、甲1発明の「警告」は本件特許発明1の「アラーム」に相当し、以下同様に「の要因を特定するための」は「を識別する」に、「異常に関わる諸量」は「識別情報」に、「警告の具体的な対処を促すガイダンス」は「アラームの解除に資する第一のアラーム情報」に、「記憶部197」は「第一記憶部」に、それぞれ相当する。 ウ 甲1発明の「異常診断部195」は本件特許発明1の「受付部」に相当する。 エ 甲1発明の「工作機械に関する警告の具体的な対処を促すガイダンス」は本件特許発明1の「工作機械に関するアラームの解除に資する第二のアラーム情報」に相当し、同様に、「記憶部197」は「第二記憶部」にも相当する。 (3)本件特許発明1と甲1発明の一致点及び相違点 上記(2)の対比より、本件特許発明1と甲1発明は、次のアの一致点で一致し、イの相違点1~3で相違すると認められる。 ア 一致点 表示部を備える工作機械の動作を制御する制御装置において、 工作機械補助デバイスに関するアラームを識別する識別情報と、前記アラームの解除に資する第一のアラーム情報を記憶する第一記憶部と、 前記工作機械補助デバイスから前記識別情報を受け付ける受付部と、 該受付部が受け付けた前記識別情報に関連付けて前記第一記憶部が記憶している前記第一のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部と、 前記工作機械に関するアラームの解除に資する第二のアラーム情報を記憶する第二記憶部と、 を備えた制御装置。 イ 相違点 (ア)相違点1 工作機械補助デバイスが、本件特許発明1では工作機械に対してワークの搬入出を行なう搬送装置であるのに対して、甲1発明では工作機械の周辺機器ではあるものの、かかる搬送装置であるか否かが不明である点。 (イ)相違点2 本件特許発明1は、搬送装置に関するアラームの優先度を、アラームを識別する識別情報とアラームの解除に資する第一のアラーム情報と関連付けて記憶し、工作機械に関するアラームの優先度を、アラームを識別する識別情報とアラームの解除に資する第二のアラーム情報と関連付けて記憶するのに対して、甲1発明にはアラームの優先度という技術的思想が存在しないため、アラームを識別する識別情報とアラームの解除に資するアラーム情報を、この優先度と関連付けて記憶するものでもない点。 (この相違点2については、申立書の3(4)(4-3)イのイ-1(イ)(イ-2)a[第23ページ]の相違点1にほぼ対応する。) (ウ)相違点3 本件特許発明1は、搬送装置に関するアラーム及び工作機械に関するアラームの合計が複数である場合、各アラームの優先順位を決定する優先順位決定部を備え、該優先順位決定部は、複数の前記アラームに、前記搬送装置に関するアラームと前記工作機械に関するアラームとが含まれており、且つ、所定の条件が成立している場合、前記搬送装置に関するアラームの優先度を前記第二記憶部に記憶してある優先度よりも小さくしてから各アラームの優先順位を決定し、表示制御部は、前記優先順位決定部の決定結果に基づいて、最も優先順位が高いアラームの第一又は第二のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御するのに対して、甲1発明は各アラームの優先度という技術的思想が存在しないため、優先順位を決定することもないから優先順位決定部が存在せず、優先順位決定部の決定結果に基づいて、第一又は第二のアラーム情報を表示することもない点。 (この相違点3については、申立書の3(4)(4-3)イのイ-1(イ)(イ-2)b[第23ページ]の相違点2にほぼ対応する。) (4)相違点の検討 事案に鑑み、相違点3から検討する。 相違点3は、甲2~4のいずれにも記載も示唆もされていないと認められるので、以下詳述する。 ア 甲2について 上記第4の2(2)の甲2記載の技術的事項について、「工作機械の異常が検出された場合に発生したアラーム番号に関連付けて、解説的アラーム情報テーブル15が含む異常を解説する情報を表示する」ものであって、本件特許発明1とは、識別情報に関連付けて記憶部が記憶しているアラーム情報を表示するよう表示部を制御する表示制御部を備える点では共通するといえる。しかしながら、甲2には、検出された異常、あるいはアラーム番号が複数存在する場合に、優先順位を決定すること自体、記載も示唆も無く、したがって、当然に搬送装置に関するアラームの優先度を工作機械に関する優先度よりも小さくしてから各アラームの優先順位を決定することについても、記載も示唆も無い。 申立人は、甲2の上記第4の2(1)ア(ウ)及び(キ)の記載内容を根拠に、アラームの発生に対し、解説的アラーム情報テーブル15eの情報により非常停止の2つの原因が考えられることを認識したオペレータが、対応する2つの解説的アラーム情報テーブル15f、15hのうち可能性の高い方の原因に関する解説的アラーム情報テーブルを読み出し、指示を知ることができると解した上で、甲2には「どちらか一方を優先的に検討すべき動機付けが提供されている。」旨の説明をする(申立書3(4)(4-3)イのイ-1(ウ)b「相違点2について」の前半部分[第24ページ])。 しかしながら、ここでは、アラームの原因として可能性の高い方の優先順位を高くして「優先的に検討する」のであるから、その優先順位は、相違点3に係る表示すべき複数のアラームが存在する場合に、どのアラームを表示するかということに対する優先順位とは異なるから、申立人の上記説明によっては、甲2に相違点3への動機付けが存在すると判断することはできないし、仮に甲1発明に甲2を適用できたとしても、相違点3に係る構成には至らない。また、甲2において、他に相違点3が当業者にとって容易であると判断できる根拠も存在しない。 イ 甲3について 甲3記載の技術的事項は、「アラームaが発生するとアラーム表示ファイル15からアラームaの種類に応じたアラームメッセージが読み出され、表示手段14に表示させる表示制御手段14を備え」るものであって、本件特許発明1とは、識別情報に関連付けて記憶部が記憶しているアラーム情報を表示するよう表示部を制御する表示制御部を備える点では共通するといえる。しかしながら、甲3には、甲2と同様に、検出された異常、あるいはアラーム番号が複数存在する場合に、優先順位を決定すること自体、記載も示唆も無く、したがって、当然に、搬送装置に関するアラームの優先度を工作機械に関する優先度よりも小さくしてから各アラームの優先順位を決定することについても、記載も示唆も無い。 申立人は、甲3の段落0016~0018の記載を根拠として、相違点3について、「当業者であれば適宜容易に設定し得る設計的事項に過ぎないものといえる。」との説明をする(申立書3(4)(4-3)イのイ-1(ウ)b「相違点2について」の後半部分[第24~25ページ])。 これに対して、段落0016の記載内容からは、上記のとおり、本件特許発明1と甲3記載の技術的事項が表示制御部に関する点で共通することが理解できるにとどまる。 段落0017には、甲3記載の技術的事項におけるアラーム表示ファイル15が、書き換え可能な外部ファイルであってアラームメッセージを使用者が自由に変更することができることが記載されているが、アラームメッセージの変更を、使用者が簡単に変更することができて、使用者の使い勝手を良くするためのもの(段落0004)であって、相違点3に係る表示すべき複数のアラームが存在する場合に、どのアラームを表示するかということに対する優先順位との関連を、申立人の説明からは見いだすことができない。 そして、段落0018の記載に関する甲3記載の技術的事項のアラーム時レジスタ内容ファイル17に機械制御手段3内のレジスタ9の情報を記録することについても、アラーム発生時に機械状態の情報を自動収集でき、アラーム原因の特定を容易とするもの(段落0004)であって、やはり、申立人の説明によっては、相違点3の優先順位との関連が存在することを理解することができないし、さらに、甲3の他の記載をみても、同様である。 ウ 甲4について 甲4記載の技術的事項は、「アラーム番号に関連付けて前記メモリ12の不揮発性RAMが記憶している前記メッセージを表示するように前記表示装置13を制御するプロセッサ(CPU)11を備える」ものであって、本件特許発明1とは、識別情報に関連付けて記憶部が記憶しているアラーム情報を表示するよう表示部を制御する表示制御部を備える点では共通するといえる。しかしながら、甲4には、甲2~甲3と同様に、検出された異常、あるいはアラーム番号が複数存在する場合に、優先順位を決定すること自体、記載も示唆も無く、したがって、当然に、搬送装置に関するアラームの優先度を工作機械に関する優先度よりも小さくしてから各アラームの優先順位を決定することについても、記載も示唆も無い。 甲4記載の技術的事項は、アラーム番号のアラームの履歴データを、重要度毎に設けたメモリ領域に、重要度が高いほど長時間保存することによって、重要度が高いアラームに関する情報を長時間確実にできるようにするもの(段落0010)であって、相違点3の表示すべき複数のアラームが存在する場合に、どのアラームを表示するかということに対する優先順位との関連がないことが明らかである。また、甲4の段落0039及び図9には、アラーム履歴データを重要度別に色分けすることについて記載されているが、これもやはり、重要度によってアラームを選別するものではなく、相違点3に係る優先順位と関連が無いことは明らかである。 そして、甲4に関し、申立書においては、相違点2(申立書における相違点1)との関連について説明がある(申立書の3(4)(4-3)イのイ-1(ウ)a「相違点1について」[第23~24ページ])のみで、相違点3との関連については特に言及されていないし、甲4の他の箇所にそのような関連を裏付けるような記載も存在しない。 (5)進歩性理由1についてのまとめ 上記(4)で検討したとおり、相違点3に関し、甲2~4のいずれにも記載も示唆もされていないから、相違点1~2について検討するまでもなく、甲1発明に、甲2~甲4記載の技術的事項を適用しても、本件特許発明1に容易に想到できるとはいえない。 したがって、本件特許発明1は、進歩性理由1によっては、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 進歩性理由2(甲2を主引用例とするもの) (1)引用文献 甲2~甲4 (2)理由の検討 既に上記1で検討したとおり、甲2~甲4には、いずれも相違点3に係る事項が記載されていないのであるから、甲2~甲4に記載された発明から、本件特許発明1に容易に想到し得ないことは明らかである。 したがって、本件特許発明1は、進歩性理由2によっては、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 小括 本件特許発明1は、進歩性理由1及び進歩性理由2のいずれによっても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当しない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許のうち特許異議の申立てがされた請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-701099

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