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商標異議申立

2026-900002

イブズキス、イブズキッス、イブズ、イブ、イイブイイイ、キス、キッス

審判番号
2026-900002
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2025-029546
登録番号
6979819
請求日
2025年12月29日
審決日
2026年07月23日
公報発行日
2026年08月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】夏娃之吻(広東省)生物科技有限公司
  • 【権利者代理人】TRY国際弁理士法人
  • 【異議申立人】エスエス製薬 株式会社
  • 【異議申立人代理人】関口 一哉
審判長/審判官
  • 審判長 板谷 玲子
  • 審判官 藤田 和美
  • 審判官 林田 悠子
分類
T1651.261-Y (W03052021252635) / T1651.262-Y (W03052021252635) / T1651.263-Y (W03052021252635) / T1651.271-Y (W03052021252635)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6979819号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6979819号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6979819号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和7年3月19日に登録出願、第3類、「ティッシュに浸み込ませた消毒剤,携帯用救急箱,ワイプに浸み込ませた衛生用殺菌消毒剤」を含む第5類、第20類、第21類、第25類、第26類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月16日に登録査定され、同年10月23日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する商標(以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。 1 登録第1598640号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 指定商品:第1類、「薬剤」を含む第5類及び第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日:昭和55年8月 4日 設定登録日:昭和58年6月30日 書換登録日:平成15年2月26日 2 登録第3065023号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 指定商品:「薬剤」を含む第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日:平成4年12月 4日 設定登録日:平成7年 7月31日 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第17号証(以下「甲○」と記載する場合がある。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「EVE’S」と「KISS」の2語から構成され、「イブスキッス」/「イブズ キッス」/「イブス キス」/「イブズ キス」等の称呼が生じる。 また、「EVE’S」における「’S」が「~の」という意味を表すための表記であることは一般に知られていることから、「EVE’S」からは「イブ」という称呼も生じるものである。 申立人が引用する引用商標は、それぞれ「イブ/EVE」及び「EVE」という文字から構成され、いずれも「イブ」という称呼が生じる。ここで、引用商標に係る商標は、後述のように昭和60年(1985年)以来「鎮痛・解熱剤及び総合感冒薬」等の薬剤について長年にわたり使用され、著名となっている商標である。本件商標は申立人が引用する著名商標「イブ/EVE」、「EVE」をその要部として含む商標であるから、本件商標と引用商標は類似する(昭和48年(行ケ)第96号、平成2年(行ケ)第17号、平成3年(行ケ)第92号等)。 本件商標の指定商品・役務のうち、少なくとも第3類、第5類、第35類の商品・役務は引用商標の指定商品と類似する。 以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似し、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号について 申立人が引用する引用商標を使用した商品は、「鎮痛・解熱剤及び総合感冒薬」等の薬剤などについて昭和60年(1985年)12月に販売が開始され(甲4)、それ以来今日まで継続して販売され、需要者に非常によく知られた商品となっている。 引用商標を使用した商品については、発売以来継続してテレビや新聞、雑誌、インターネットなどで宣伝を行っており、広告に関する複数の賞を受賞している(甲5~甲11)。また、広告には多数の異なる構成のバージョン(多数の異なるキービジュアル)が用いられ(甲12)、「イブ/EVE」や「EVE」は、幅広い需要者層に認識されるに至っている。 このことは定期的に行われている商標の周知性調査の結果からも確認できる。甲第13号証は、2023年5月に行った日本人500人(18~65歳)に対する対面インタビューの結果に関する資料である。これは、症状のある時に、記載されたブランドのうちどの商品ブランドを選択するかを、各薬剤の効き目が出るまでの速さやその持続性などの評価と共に調査した結果であり、引用商標を使用した商品は選択肢としてトップ3に入る人気を有し、その薬効に対する評価も高いことを示す結果が示されている。また、当該「EVE」に係る商品について、症状が出た際に日常的に用いたり、女性としての自分に自信が持てるようになった等の点で高いスコアを有する一方、低いスコアが少なく、「EVE」に係る商品は、他のブランド製品と比べてマイナス評価の少ない、需要者に広く知られかつ高い評価を受けている人気商品であることが理解される。 甲第14号証は、甲第13号証と同様に、2023年10月に行った日本人300人(18~65歳)に対するインタビューの結果に関する資料である。症状が出た際に思い出される薬剤のブランドに関するデータであり、引用商標に関する「EVE」が対象ブランドの中で2番目によく思い出される(すなわちよく知られている)ことが示されている。その他、甲第13号証と同様に対象ブランドの中でトップ3に入る人気を有し、マイナス評価が低いことが示されている。 甲第15号証も、記載される対象ブランドに関する認知度を、2024年5月から6月にかけて行った日本人800人(18~65歳)のインタビューの結果からまとめたものであり、2023年と同様、引用商標は対象ブランドの中でトップ3に入る人気商品となっていることが理解される。 甲第16号証は、記載される対象ブランドに関する認知度を、2025年5月から6月にかけて行った日本人800人(18~65歳)のインタビューの結果からまとめたものであり、2023年や2024年と同様、引用商標は対象ブランドの中でトップ3に入る人気商品であることがわかる。 このように引用商標に係る「イブ/EVE」、「EVE」を使用した商品は、需要者に非常によく知られ、高い評価を得ているものである。これは、当該商品の解熱鎮痛剤市場におけるマーケットシェアは連続して伸びていて2025年は30%を超えるシェアを獲得している(甲17)ことからもわかる。 以上のように、申立人の引用商標に係る「イブ/EVE」及び「EVE」は需要者の間で著名であり、様々な形態による宣伝広告を継続して行ってきていることによりその著名性が維持されている。なお、「イブ/EVE」及び「EVE」が著名であることは、申立人が行った複数の無効審判においても認められている(無効2004-89035、無効2007-890020~同890024、無効2007-890102、無効2017-890083等)。 本件商標はこのように著名な商標である「EVE」をその一部に含むものであるから、本件商標と引用商標は類似のものである。そして、申立人の引用商標に係る商標は上述のように需要者に非常によく知られており、係る商標を使用する商品の日本における市場占有率も極めて大きい。したがって、本件指定商品の分野の需要者は、「EVE」を含む本件商標がその指定商品について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知著名性 (1)申立人提出の証拠、同人の主張及び当審における職権調査によれば、以下のとおりである。 ア 申立人は、「EVE」の文字(別掲4、以下「申立人使用商標」という。)を表示した「鎮痛・解熱剤」(以下「申立人商品」という。)について、1985年12月に発売した(甲4、甲5、別掲5)。 イ 申立人は、申立人商品について、1985年から1997年にかけてコマーシャルを制作した(甲5)ほか、発売以来、継続的にテレビや新聞、雑誌、インターネット等において宣伝を行っていることがうかがえる(甲6~甲12)。 ウ 申立人商品は、本件商標の登録出願前の2023年5月から2024年6月頃及び本件商標の登録査定前の2025年6月頃、我が国の鎮痛・解熱剤の分野において、調査対象ブランドの中でトップ3に入る認知度を得ていることがうかがえる(甲13~甲16)。 エ 申立人商品の販売金額及び市場シェアについては、本件商標の登録出願時前の2024年時点において約240億円、鎮痛・解熱剤市場におけるマーケットシェアは2021年以降連続して伸びており、2024年は30%を超えるシェアを獲得していることがうかがえる(甲17)。 (2)上記(1)のとおり、申立人使用商標は、我が国において、申立人の業務に係る商品「鎮痛・解熱剤」に40年以上にわたり継続して使用されていることが認められ、一定の認知度を得ていることや2024年には市場占有率も3割を超えていることがうかがえることからすると、申立人の業務に係る「鎮痛・解熱剤」については、本件商標の登録出願前から、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されており、それが本件商標の登録査定時においても継続していたと推認し得るものである。 しかしながら、「鎮痛・解熱剤」以外の商品及び役務については、商標の使用の態様、商標を使用した商品又は役務の我が国における市場占有率、広告宣伝の方法、範囲、回数等、周知著名性を判断するための事実を客観的に把握することができる資料の提出はないから、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人使用商標ないしは引用商標(以下「引用商標等」という。)が、申立人の業務に係る商品及び役務を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く知られていたとはいえない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性 (1)本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、「EVE’S KISS」の欧文字を表してなるところ、構成各文字は、同じ書体、同じ大きさで、外観上、まとまりよく一体的に表されているものである。 また、本件商標の構成文字から生じる「イブズキス」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標の構成中、「EVE」の文字は、「祭日の前夜」又は「イブ、エバ(旧約聖書創世記で、アダムの妻、人類最初の女性、母)」を、「KISS」は「くちづけ」を意味する英語であり、「’」は所有格の符号と理解されるところ(研究社「新英和中辞典 第7版」、岩波書店「広辞苑 第七版」)、その構成からすれば、本件商標から「(アダムの妻である)イブのくちづけ」程の一連一体の観念を生じるというのが相当である。 してみれば、本件商標は、その全体が一体不可分のものであって、「イブズキス」の一連の称呼を生じ、「(アダムの妻である)イブのくちづけ」程の観念を生じるというのが相当である。 (2)引用商標 引用商標1は、別掲2のとおり、「イブ」及び「EVE」の文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「イブ」の称呼を生じ、「祭日の前夜」又は「イブ、エバ(旧約聖書創世記で、アダムの妻、人類最初の女性、母)」の観念を生じる。 引用商標2は、別掲3のとおり、「EVE」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「イブ」の称呼を生じ、「祭日の前夜」又は「イブ、エバ(旧約聖書創世記で、アダムの妻、人類最初の女性、母)」の観念を生じる。 (3)本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標の外観を比較すると、「EVE」の文字を共通にするものの、「’S KISS」の文字部分の有無及び書体の相違等により、外観上、明確に区別できる。 また、称呼においては、本件商標から生じる「イブズキス」の称呼と、引用商標から生じる「イブ」の称呼とは、「ズキス」の音の有無により、音数及び語感において顕著な差異があることから、両称呼は明瞭に聴別し得る。 さらに、観念においては、本件商標は「(アダムの妻である)イブのくちづけ」程の観念を生じるのに対し、引用商標は「祭日の前夜」又は「イブ、エバ(旧約聖書創世記で、アダムの妻、人類最初の女性、母)」の観念を生じるところ、引用商標からいずれの観念が生じる場合であっても、両者は「~のくちづけ」の観念の有無において明確な差があることから、相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観上明確に区別でき、称呼において明瞭に聴別することができ、観念上相紛れるおそれもないことから、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 (4)小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品との類否を判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性 (1)引用商標等の周知著名性の程度 上記1のとおり、引用商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「鎮痛・解熱剤」について、取引者、需要者の間において広く知られているといい得るとしても、その他の商品及び役務については広く知られているものとはいえない。 (2)本件商標と引用商標等の類似性の程度 上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、両商標の類似性の程度は低く、同じつづりからなる申立人使用商標についても同様に、本件商標との類似性の程度は低いものというのが相当である。 (3)引用商標等の独創性の程度 「EVE」及び「イブ」の文字は、「祭日の前夜」又は「イブ、エバ(旧約聖書創世記で、アダムの妻、人類最初の女性、母)」を意味する成語として親しまれたものであるから、その独創性が高いとはいえない。 (4)本件商標の指定商品及び指定役務と申立人商品との関連性の程度 本件商標は、上記第1のとおりの幅広い商品及び役務を指定商品及び指定役務としているところ、このうち、第5類の「ティッシュに浸み込ませた消毒剤,携帯用救急箱,ワイプに浸み込ませた衛生用殺菌消毒剤」は、「鎮痛・解熱剤」とは薬剤分野の商品という点では共通しているものの、用途を異にし、必ずしも製造・販売に係る事業者を共通にするとはいい難いものであり、その他の指定商品及び指定役務についても、事業者、用途、販売場所、提供場所等を異にするものであるから、商品及び役務の関連性が高いとはいえない。 (5)出所の混同のおそれについて 上記のとおり、引用商標等は、「鎮痛・解熱剤」については周知性を有するが、その他の商品及び役務について周知性を有するものではなく、本件商標は、引用商標等とは類似性の程度が低く、「EVE」又は「イブ」の文字の独創性が高いとはいえず、本件商標の指定商品及び指定役務と申立人商品との関連性が高いともいえない。 そうすると、商標権者が本件商標をその指定商品又は指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標等を連想又は想起させるとは考え難く、その商品又は役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはない。 その他、本件商標について出所の混同を生ずるおそれがあると認めるに足りる事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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