商標異議申立
2025-900215
クズオカジュモクソー、ジュモクソー
- 審判番号
- 2025-900215
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2025-059139
- 登録番号
- 6956388
- 請求日
- 2025年10月15日
- 審決日
- 2026年08月03日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】メモワール利府石材株式会社
- 【異議申立人】有限会社 アートパテント
- 【異議申立人代理人】須田 篤
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 大島 康浩
- 分類
- T1651.13 -Y (W45) / T1651.272-Y (W45) / T1651.21 -Y (W45) / T1651.22 -Y (W45) / T1651.25 -Y (W45) / T1651.271-Y (W45)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第6号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の2第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6956388号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6956388号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6956388号商標(以下「本件商標」という。)は、「葛岡樹木葬」の文字を標準文字で表してなり、令和7年5月29日に登録出願、第45類「墓地又は納骨堂の提供,葬儀の執行,法要の執行,永代供養の執行,葬儀・法要のための施設の提供,冠婚葬祭の企画及び運営,宗教儀式の実施」を指定役務として、同年7月22日に登録査定され、同年8月8日に設定登録されたものである。
第2 引用標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、仙台市が運営、管理する「墓地」及び「斎場」として宮城県内の需要者の間に広く認識されている旨主張し、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する標章は、「葛岡墓園」(以下「引用標章1」という。)及び「葛岡斎場」(以下「引用標章2」という。)のとおりの文字からなる標章である。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第6号、同項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
1 本件商標について
本件商標の構成中の「葛岡」の文字は、仙台市の市営墓地である引用標章1及び仙台市の市営斎場である引用標章2の地名として(甲2~甲4)、また、「樹木葬」の文字は、「遺骨を土中に埋め、墓標の代わりに樹木を植える葬礼」の意味を有する語として(甲5)、それぞれ一般的に理解される語である。そして、葬祭関連の役務を取り扱う業界においては、地名を表す語を「樹木葬」の語に冠した「○○樹木葬」の文字が「○○地域における、遺骨を土中に埋め、墓標の代わりに樹木を植える葬礼(樹木葬)」の意味合いで使用されている実情がある。
例えば、「松島樹木葬」、「秋保樹木葬」、「上尾樹木葬」、「滑川樹木葬」、「酒井保泉樹木葬」、「佐賀樹木葬」、「杉並堀ノ内樹木葬」などの樹木葬がある(「樹木葬なび」https://www.e-jyumoku.com/参照)。
2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標を、その指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「宮城県仙台市青葉区郷六字葛岡周辺における、遺骨を土中に埋め、墓標の代わりに樹木を植える葬礼(樹木葬)による葬儀の執行,法要の執行,永代供養の執行,葬儀・法要のための施設の提供,冠婚葬祭の企画及び運営,宗教儀式の実施,墓地又は納骨堂の提供」であることを認識するにとどまるというべきであるから、本件商標は、単に役務の提供の場所・質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
また、本件商標を「宮城県仙台市青葉区郷六字葛岡周辺地域における、遺骨を土中に埋め、墓標の代わりに樹木を植える葬礼(樹木葬)による役務」以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるといえるものであり、同法第4条第1項第16号に該当する。
なお、甲6に示す出願商標「麻布樹木葬」は、本件商標と同様に地名である「麻布」の語と「樹木葬」の語との結合からなるが、甲7に示すとおり拒絶査定となっている。本件商標も同様に商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録を取り消されるべき商標である。
3 商標法第4条第1項第6号について
甲2及び甲4に示すとおり、引用標章1は仙台市営の3つのみの墓地のうちの1つとして著名であり、甲3に示すとおり、引用標章2は仙台市営の仙台市唯一の火葬炉を備えた県内最大規模の斎場として著名である。「墓園」及び「斎場」の語はそれぞれ「墓地」、「葬儀・法要のための施設」の一般名称であるから、引用標章1及び引用標章2の要部は「葛岡」であり、また、本件商標の「樹木葬」の語は、甲5により前述のとおり一般名称であるから、本件商標は仙台市の事業の著名な標章である引用標章1及び引用標章2と類似する商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号について
甲2及び甲4に示すとおり、葛岡墓園は仙台市営の3つの墓地のうちの1つとして著名であり、甲3に示すとおり、葛岡斎場は仙台市営の仙台市唯一の火葬炉を備えた県内最大規模の斎場として著名である。甲2に「仙台市営墓地では樹木葬は行っておりません。」と記載され、甲3に「葬祭業者のチラシやホームページ等で、葛岡斎場と業務提携しているかのような記述がされているものがありますが、葛岡斎場は公の施設であり、特定の葬祭業者と業務提携したり、特定の葬祭業者を推薦したりすることはありません。」と記載されるように、本件商標「葛岡樹木葬」は仙台市の公益事業である葛岡墓園及び葛岡斎場に便乗した商標であって、仙台市営の事業と誤信させるおそれがあり、その登録を認め、指定役務について独占使用権、排他権を付与することは市民の行政に対する信頼を損ねるとともに、取引秩序を乱すおそれがあり、社会公共の利益に反するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
5 商標法第4条第1項第10号について
甲2及び甲4に示すとおり、引用標章1は仙台市営の3つのみの墓地のうちの1つとして需要者の間に広く認識されており、甲3に示すとおり、引用標章2は仙台市営の仙台市唯一の火葬炉を備えた県内最大規模の斎場として需要者の間に広く認識されている。「墓園」及び「斎場」の語はそれぞれ「墓地の提供」、「葬儀・法要のための施設」の一般名称であるから、引用標章1及び引用標章2の要部は「葛岡」であり、また、本件商標の「樹木葬」の語は甲5により前述のとおり一般名称であるから、本件商標は仙台市の需要者の間に広く認識されている商標、引用標章1及び引用標章2と類似する商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
6 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない場合でも、甲2ないし甲4に示すとおり、仙台市の業務に係る役務である「墓地の提供」及び「葬儀・法要のための施設」の役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
7 むすび
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号、同項第6号、同項第7号、同項第10号又は同項第15号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、本件登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、「葛岡樹木葬」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「葛岡」の文字は、weblio辞書の「地名辞典」において秋田県由利本荘市の地名として、同辞書の「駅名辞典」において宮城県に所在するJR仙山線の駅名として、それぞれ掲載されている。また、インターネットの「名字由来net」においては、「【読み】くずおか、かつおか他 【全国順位】5,777位 【全国人数】およそ1,700人」とされていることから、日本の名字、姓氏としても使用されていることがうかがえる一方、「広辞苑」及び「コンサイス日本地名事典」等の一般的な辞書類には載録されていない。
また、その構成中の「樹木葬」の文字は、「遺骨を直接地中に埋葬し、目印に木を植える方式。」(デジタル大辞泉 株式会社小学館)を意味する語である。
そうすると、本件商標の構成中の「樹木葬」の文字が、その指定役務中の「墓地又は納骨堂の提供」との関係において、役務の質等を認識させる場合があるとしても、「葛岡」の文字は、地名、駅名又は姓氏などの複数の用法を有し、本件商標の指定役務との関係において特定の地名又は役務の提供の場所を直ちに認識させるものとはいえない。
したがって、これらの文字を結合してなる「葛岡樹木葬」の文字は、本件商標の指定役務との関係において、役務の提供の場所又は質を直接的かつ具体的に表示したものとして、取引者及び需要者に直ちに理解されるとはいい難く、その構成全体をもって、特定の役務の提供の場所又は質を直接的かつ具体的に認識させることのない一種の造語として認識し、把握されるとみるのが相当である。
さらに、当審において職権をもって調査するも、本件商標の指定役務を取り扱う業界において、「葛岡樹木葬」の文字が、役務の提供の場所又は具体的な質等を直接的に表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本件商標に接する取引者及び需要者が、当該文字を役務の提供の場所又は質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
そうすると、本件商標は、その指定役務との関係において、役務の提供の場所又は質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえず、自他役務を識別する機能を果たし得るものである。
また、本件商標は、その構成全体として特定の役務の提供の場所又は質等を直接的かつ具体的に表示するものではないから、これをその指定役務について使用しても、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとはいえない。
2 引用標章の周知・著名性について
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
甲2ないし甲4は、仙台市のホームページであり、公共施設の案内として、引用標章1及び引用標章2が紹介されている。
また、葛岡墓園のホームページ内において、「【墓園を利用される皆様へ】」の項に、「仙台市営墓地では樹木葬は行っておりません。」の記載のほか、「所在地」及び「管理事務所受付時間」等が記載されている(甲2)。
さらに、葛岡斎場のホームページ内において、「葛岡斎場を利用される皆様へ」の項に、「葬祭業者のチラシやホームページ等で、葛岡斎場と業務提携しているかのような記述がされているものがありますが、葛岡斎場は公の施設であり、特定の葬祭業者と業務提携したり、特定の葬祭業者を推薦したりすることはありません。」の記載のほか、「施設概要」の項に、「県内最大規模の斎場です。」等が記載されている(甲3)。
(2)上記(1)において認定した事実によれば、仙台市は、仙台市青葉区において、市営の墓地・斎場の運営及び管理を行っており、引用標章1及び引用標章2が使用されている事実は認められる。
しかしながら、引用標章1及び引用標章2が、仙台市及びその周辺地域の需要者等にどの程度認識されているかといった証拠は見当たらず、その他、引用標章2について「県内最大規模の斎場です。」との記載はあるものの、当該役務について、いつから引用標章1及び引用標章2を継続的に使用していたのか、過去複数年における当該斎場の火葬件数、当該周辺地域における死亡者数のうち当該斎場で火葬される件数及びその占有率、また、宮城県における墓地の総区画数に占める当該墓地の区画数、墓地区画の募集・応募数(年度別)、その抽選倍率など他の自治体との比較や、葬祭事業者の資料への掲載、新聞記事の掲載数などといった周知性を推し量る証拠の提出はなく、引用標章1及び引用標章2の知名度が需要者等にどのように認識されているか不明である。
したがって、引用標章1及び引用標章2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、仙台市及びその周辺地域において、墓園及び斎場に関する事業を表示する標章として、取引者及び需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)引用標章1及び引用標章2の周知性について
上記2のとおり、引用標章1及び引用標章2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、仙台市及びその周辺地域の公共施設である墓園・斎場に関する事業を表示する標章として、取引者及び需要者の間に広く認識されていると認めることができない。
(2)本件商標と引用標章1及び引用標章2の類否について
ア 本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「葛岡樹木葬」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同書同大で、外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
そして、上記1のとおり、「葛岡樹木葬」の文字は、本件商標の指定役務との関係において、役務の提供の場所又は質を直接的かつ具体的に表示したものとして、取引者及び需要者に直ちに理解されるとはいい難く、その構成全体をもって、特定の役務の提供の場所又は質を直接的かつ具体的に認識させることのない一種の造語として認識され、把握されるとみるのが相当であるから、その構成全体から生じる「クズオカジュモクソー」の称呼も冗長とはいえない。
そうすると、本件商標は、上記の構成及び称呼からすれば、「葛岡樹木葬」の構成文字全体をもって、一体不可分のものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
その他、本件商標は、これに接する取引者、需要者が、殊更に「樹木葬」の文字部分を捨象し、「葛岡」の文字部分に着目するというべき事情はない。
したがって、本件商標は、「クズオカジュモクソー」の称呼を生じ、その構成全体として特定の観念を生じない。
イ 引用標章1
引用標章1は、「葛岡墓園」の文字からなるところ、その構成文字は、同書同大に表され、外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
そして、その構成中の「葛岡」の文字は、上記1のとおり、地名、駅名又は姓氏として使用されるものであり、また、「墓園」の文字は、「墓地。霊園。」(デジタル大辞泉 株式会社小学館)の意味を有する語である。
さらに、引用標章1の構成全体から生じる「クズオカボエン」の称呼は、格別冗長ではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
したがって、引用標章1は、その構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識されるものであり、「クズオカボエン」の称呼を生じ、「葛岡という名称の墓園」ほどの観念を生じる。
ウ 引用標章2
引用標章2は、「葛岡斎場」の文字からなるところ、その構成文字は、同書同大に表され、外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
そして、その構成中の「葛岡」の文字は、上記1のとおり、地名、駅名又は姓氏として使用されるものであり、また、「斎場」の文字は、「葬儀を行う場所・会場。」等(前掲書)の意味を有する語である。
さらに、引用標章2の構成全体から生じる「クズオカサイジョー」の称呼は、格別冗長ではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
したがって、引用標章2は、その構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識されるものであり、「クズオカサイジョー」の称呼を生じ、「葛岡という名称の斎場」 ほどの観念を生じる。
エ 本件商標と引用標章1及び引用標章2の類否
本件商標と引用標章1及び引用標章2とをそれぞれ比較すると、外観においては、構成中前半部分の「葛岡」の文字が同じであるとしても、該文字に続く「樹木葬」と「墓園」及び「斎場」の文字が異なることからすれば、これらの外観は明確に区別できる。
そして、称呼においては、本件商標より生じる「クズオカジュモクソー」の称呼と引用標章1及び引用標章2から生じる「クズオカボエン」及び「クズオカサイジョー」の称呼とは、構成音及び構成音数の比較において、これらを一連に称呼しても、語調、語感が異なり、聞き誤るおそれはなく、明瞭に聴別できる。
さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用標章1及び引用標章2は、それぞれ、「葛岡という名称の墓園」、「葛岡という名称の斎場」ほどの観念を生じるから、両者は、観念上、互いに紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用標章1及び引用標章2とは、外観において明確に区別でき、また、称呼において明瞭に聴別できるものであり、観念においても互いに紛れるおそれのないものであるから、これらの商標及び標章が与える印象、記憶等を総合してみれば、役務の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。
(3)小括
したがって、上記(1)のとおり、引用標章1及び引用標章2は、仙台市及びその周辺地域の公共施設である墓園・斎場に関する事業を表示する標章として、取引者及び需要者の間に広く認識されている標章ではなく、また、本件商標と引用標章1及び引用標章2とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定役務と引用標章1及び引用標章2の使用に係る役務との類否について検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号には該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記2のとおり、引用標章1及び引用標章2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、仙台市及びその周辺地域の公共施設である墓園・斎場に関する事業を表示する標章として、取引者及び需要者の間に広く認識されていると認めることができないから、その周知著名性の程度は高いものとはいえない。
また、引用標章1及び引用標章2は、上記3(2)イ及びウのとおり、地名、駅名又は姓氏として使用される「葛岡」の文字と、「墓地。霊園。」の意味を有する「墓園」の文字又は「葬儀を行う場所・会場。」等の意味を有する「斎場」の文字とを結合してなるものであり、それぞれ「葛岡という名称の墓園」及び「葛岡という名称の斎場」ほどの観念を生じるものであるから、その独創性の程度は高いものとはいえない。
他方、本件商標の指定役務は、上記第1のとおりであり、引用標章1及び引用標章2が使用されている墓園及び斎場に関する事業との関連性及び需要者の共通性は高い。
しかしながら、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、上記2のとおり、引用標章1及び引用標章2は仙台市及びその周辺地域において広く認識されたものとはいえず、その独創性の程度も高いものとはいえない。また、上記3のとおり、本件商標と引用標章1及び引用標章2は類似しないことを考慮すれば、取引者、需要者が、その役務が仙台市あるいは同市と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第6号該当性について
引用標章1及び引用標章2は、宮城県仙台市青葉区郷六字葛岡所在の仙台市が管理・運営する事業を表示する標章として使用されていることが、申立人の主張から認められることから(甲2~甲4)、引用標章1及び引用標章2は、仙台市の公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章といえる。
しかしながら、上記2のとおり、引用標章1及び引用標章2は、本件商標の登録査定時において、仙台市及びその周辺地域の公共施設である墓園・斎場に関する事業を表示する標章として、取引者及び需要者の間に広く認識されていると認めることはできないから、著名なものということはできない。
そして、上記3のとおり、本件商標と引用標章1及び引用標章2とは、類似する商標ではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、「葛岡樹木葬」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるようなものではない。
また、本件商標をその指定役務について使用することが、社会公共の利益又は社会の一般的道徳観念に反するというべき事情は認められず、本件商標の使用等が他の法律によって禁止されているとの事情や、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するとの事情も見当たらない。
なお、申立人は、本件商標が、仙台市の公益事業に係る引用標章1及び引用標章2に便乗した商標であって、仙台市営の事業であると誤信させるおそれがあり、その登録を認め、指定役務について独占使用権及び排他権を付与することは、市民の行政に対する信頼を損ねるとともに、取引秩序を乱すおそれがあり、社会公共の利益に反する旨主張する。
しかしながら、上記2のとおり、引用標章1及び引用標章2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、仙台市及びその周辺地域の公共施設である墓園及び斎場に関する事業を表示する標章として、取引者及び需要者の間に広く認識されていたものとは認められない。また、上記3のとおり、本件商標と引用標章1及び引用標章2とは、類似する商標ではないから、本件商標が、引用標章1及び引用標章2の名声、信用、顧客吸引力等にただ乗りし、不正の利益を得るためにひょう窃的に出願され、登録を受けたものということはできない。
その他、本件商標が不正の目的でひょう窃的に出願され、登録されたものであることを具体的に示す証拠はない。
また、本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠く事情があるなど、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情も見当たらない。
そうすると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当するとまではいえないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
7 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号、同項第6号、同項第7号、同項第10号及び同項第15号に違反して登録されたものではなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-900215