商標異議申立
2025-900283
ザダブリュウリラックスガーデンリゾート、ダブリュウリラックスガーデンリゾート、ザダブリュウ、リラックスガーデンリゾート、リラックスガーデン
- 審判番号
- 2025-900283
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2025-083433
- 登録番号
- 6977166
- 請求日
- 2025年12月23日
- 審決日
- 2026年07月23日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】蒼穹株式会社
- 【権利者代理人】羽鳥 亘
- 【権利者代理人】羽鳥 慎也
- 【権利者代理人】柿原 希望
- 【異議申立人】スターウッド ホテルズ アンド リゾーツ ワールドワイド リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
- 【異議申立人代理人】和田 信博
- 【異議申立人代理人】秋山 朋子
- 審判長/審判官
- 審判長 濱田 佐代子
- 審判官 浜岸 愛
- 審判官 小林 正和
- 分類
- T1651.26 -Y (W4344) / T1651.271-Y (W4344)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の2、商標法第43条の3第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6977166号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6977166号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6977166号商標(以下「本件商標」という。)は、「THE W Relax Garden Resort」の文字を標準文字で表してなり、令和7年7月23日に登録出願、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同年9月16日に登録査定、同年10月15日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第4965244号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲1のとおり
指定役務:第43類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日:平成14年6月28日
設定登録日:平成18年6月30日
2 登録第5331759号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
指定役務:第43類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日:平成21年7月21日
設定登録日:平成22年6月18日
3 登録第5046547号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
指定役務:第35類、第36類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日:平成18年6月20日
設定登録日:平成19年5月11日
4 登録第5294655号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
指定商品・指定役務:第20類、第24類、第25類、第39類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日:平成21年3月23日
設定登録日:平成22年1月15日
第3 本件登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第41号証(枝番号を含む。枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号違反
(1)本件商標について
本件商標は、全体として「ザダブリュウリラックスガーデンリゾート」と称呼される。
また、その構成中、前段の「THE W」の部分はすべて大文字で、後段の「Relax Garden Resort」とは表記方法が異なること、前記一連の称呼が冗長であることから、「ザダブリュウ」と「リラックスガーデンリゾート」に分割された称呼も生じる。
後段の「Relax Garden Resort(リラックスガーデンリゾート)」は、例えば「リラックスできる庭園風又は緑の多いリゾート」といった意味合いが容易に看取され、本件商標の指定役務である第43類「宿泊施設の提供」や第44類「サウナの提供,サウナ風呂の提供,入浴施設の提供」といったサービスの内容や特徴を直接又は間接的に表示するものであるため、本件商標に接する需要者らは、すべて大文字で表記された前段の「THE W(ザダブリュウ)」の部分を本件商標の主たる識別標識(要部)と認識すると考えられる。また当該部分から、日本語の用法にはない英語の定冠詞(the)を除いた「W(ダブリュウ)」の文字部分に着目して取引にあたることも少なくない。
(2)引用商標について
引用商標は、上段に大きく欧文字の「W」を均一の幅・太さの整然とした態様で表し、下段に「HOTELS」の文字を配置した構成である。
このうち下段の「HOTELS」の部分は、本件商標の指定役務の分野、特に第43類「宿泊施設の提供」に関してその内容を表示することがあり、需要者らは引用商標の独特の構成と、上段に大きく特徴的な態様で表された「W」の部分に強い印象を受け、記憶し、商標として認識するものと考えられる。
よって、引用商標からは一連の「ダブリュウホテルズ」のほか、前記「W」の部分に照応して「ダブリュウ」の称呼や観念が生じる。
(3)本件商標と引用商標との類似性
本件商標は、前段の「THE W」の部分が主たる識別標識(要部)と認識され、また、需要者らはそこから日本語の用法にはない英語の定冠詞(the)を除いた「W(ダブリュウ)」の文字部分に着目して取引にあたることも少なくない。
一方、引用商標は、その独特の構成と、上段に大きく特徴的な態様で表された「W」の部分が強い印象を与え記憶されるものであり、「W(ダブリュウ)」の称呼や観念を生じる。
したがって、本件商標は、需要者らが「W(ダブリュウ)」の部分をもって取引に資するという点において引用商標と共通し、引用商標と称呼や観念において相紛らわしい類似商標というべきである。
(4)本件商標と引用商標の指定役務について
本件商標の指定役務中、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,展示施設の貸与」は、引用商標1及び2の第43類指定役務と同一であり、また「キャンプ場施設の提供」は引用商標1及び2の前記「宿泊施設の提供」と同じ類似群に属する類似の役務である。
さらに、これらを除く本件商標の第43類指定役務「布団の貸与,まくらの貸与,毛布の貸与,家庭用電気式ホットプレートの貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用調理台の貸与,業務用流し台の貸与,家庭用加熱器(電気式のものを除く。)の貸与,家庭用調理台の貸与,家庭用流し台の貸与,食器の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」は、前述のキャンプ場・宿泊施設をはじめ保育・高齢者、会議・展示その他の施設の提供に付随又は密接に関連するものであるから、引用商標1及び2の第43類指定役務と類似する役務である。
また、本件商標の指定役務中、第44類「入浴施設の提供,美容,理容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり治療,医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」は、引用商標3及び4の第44類指定役務と同一であり、「サウナの提供,サウナ風呂の提供」、「整体」、「動物の飼育,動物の治療,動物の美容」は、前記第44類指定役務「入浴施設の提供,柔道整復」等並びに引用商標4の第45類指定役務「愛玩動物の世話」とそれぞれ同じ類似群に属する類似の役務である。
さらに、これらを除く本件商標の第44類指定役務「庭園樹の植樹,庭園又は花壇の手入れ,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・水産養殖業・園芸又は林業に関するものに限る。),景観の設計,植木の貸与,農業用機械器具の貸与,医療用機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,芝刈機の貸与」は、前述した第43類のキャンプ場・宿泊施設をはじめ保育・高齢者その他の施設及び第44類の入浴施設の提供、また、第44類医療系サービスの提供に付随又は密接に関連するものであるから、引用商標の第43類又は第44類指定役務と類似する役務である。
(5)結語
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してなされたものである。
2 商標法第4条第1項第15号違反
(1)引用商標及び「W」ロゴの周知性について
申立人は、The Ritz-Carlton(ザ・リッツ・カールトン)、St.Regis(セント・レジス)、Sheraton(シェラトン)、Westin(ウェスティン)といったハイグレードなホテルチェーンで知られるマリオット・インターナショナル傘下で、洗練されたスタイルや個性的なデザインと行き届いたサービスの融合をコンセプトとするW HOTELS(Wホテル)ブランドを運営し、1998年オープンの「Wニューヨーク」に始まり、現在では世界主要都市やリゾート地に70ものWホテルを展開している(甲6~甲8)。
日本においては、W OSAKA(W大阪)(甲9)が、2018年1月にプレス発表、2021年3月に開業し(甲10、甲11)、Wホテルブランドの日本上陸として大きな話題を集めた(甲12~甲17)。2023年には世界トップレベルの施設やサービスを提供しているラグジュアリー・ホテルに与えられる「The World Luxury Hotel Awards(ワールド・ラグジュアリー・ホテル・アワード)」各部門において3冠を受賞している(甲18)。
W大阪(甲9)では宿泊、レストラン・ダイニングはもちろん、スパにおける美容、サウナやプール、フィットネス、ウェディング、会議及びイベントなど多様なサービスを提供し、引用商標やその構成要素である「W」のロゴを例えばホテル建物内外に大きく掲示しローブなどサービス提供にかかる物品に表示している。
また、同じ大阪・心斎橋エリアに位置する大丸心斎橋店、心斎橋PARCOと合同で、心斎橋エリアの活性化と地域との更なるつながりを目指したプロジェクトを発足し、その第1弾として「W」ロゴをフィーチャーしたチャリティトートバッグを販売(甲19)、第5弾では国際ジャズ・デーに、大阪のジャズミュージシャンを応援するイベントを共催(甲20)し、また大阪観光局や他社と合同で「レインボーフェスタ!」出店やパレードへの参加(甲21)、「大阪アート&デザイン2024」のオフィシャルパートナーホテルとして若手アーティスト作品の展示(甲22)などホテル業にとどまらずコミュニティ、文化活動に積極的に参画している。
申立人は、Wホテルの日本進出以前から日本でのプロモーションを行っており、例えば2010年に日本で開催したイベント(甲23)では、Wホテルは既に「世界で最もファッショナブルなホテル」「ラグジュアリーなデザインホテルの代表」等と紹介され、これら記事にもイベントで使用した引用商標や「W」のロゴを用いたキャンドル、ステージ背景、オブジェの写真などが掲載されている。
またアジアでは香港や、特に2000年代後半からの韓国ドラマや旅行ブームにのってソウルのWホテルが新聞・雑誌、ガイドブックなどで大々的に取り上げられてきた(甲24~甲41)。これらの記事でも、WホテルやWホテルのサービスに関して引用各商標や「W」ロゴが掲載されている。
こういったプロモーション活動、メディアを通じて、本件商標の出願時には、申立人のWホテルブランドを象徴し、Wホテルにおける宿泊、レストラン、スパにおける美容、サウナやプール、フィットネス、ウェディング、会議及びイベントなどのサービスに使用される引用商標「W/HOTELS」及び「W」ロゴは取引者、需要者に広く知られるに至っていた。
(2)出所の混同のおそれ
引用商標や「W」ロゴが、申立人のWホテルブランドを指称するものとして取引者、需要者間に広く知られているところ、当ブランドのようなホテルでは、宿泊にとどまらず、レストラン、スパにおける美容、サウナやプール、フィットネス、ウェディング、会議及びイベントに関するサービスはホテルとしてのサービスの一環であり不可欠かつ密接な関係にある。
そして、本件商標は、前段の「THE W」の部分が主たる識別標識(要部)と認識され、また、需要者らはそこから日本語の用法にはない英語の定冠詞(the)を除いた「W(ダブリュウ)」の文字部分に着目して取引にあたることも少なくない。特に後段の「Relax Garden Resort(リラックスガーデンリゾート)」が、例えば「リラックスできる庭園風又は緑の多いリゾート」といった意味合いが容易に看取され、本件商標の指定役務の内容や特徴を直接又は間接的に表示するものである。
こういった状況において、引用商標「W/HOTELS」及び「W」ロゴと相紛らわしい類似商標である本件商標が、その指定役務、特に引用商標の指定役務と同一の第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」や、第44類「入浴施設の提供,美容,理容,マッサージ」に使用された場合、取引者、需要者は共通し、当該役務が異議申立人とその運営にかかるWホテルブランドのホテル又はこれらと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)結語
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「THE W Relax Garden Resort」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、同書、同大でまとまりよく、一体的に表してなるものであり、その構成文字に相応して、「ザダブリューリラックスガーデンリゾート」の称呼を生じ、上記称呼は、やや冗長ではあるものの、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標の構成中、「THE」は「その,例の」の意味を有する英語の定冠詞であり(「新英和中辞典第7版」(株式会社研究社))、また、「W」はローマ字の一字であり、そして、「Relax」、「Garden」及び「Resort」の各文字は、それぞれ「リラックスする」、「庭、庭園」及び「行楽地、リゾート」の意味(前掲書)を有する英語であるところ、これらを一連に書した本件商標は、直ちに特定の意味合いを想起させるものではない。
そうすると、上記のまとまりよい構成と相俟って、本件商標は、一連一体のものとみるのが相当であって、その構成文字に相応して、「ザダブリューリラックスガーデンリゾート」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲1及び別掲2のとおり、上段に大きく「W」の文字を、下段に小さく「HOTELS」の文字を配した構成からなるものである。
そして、引用商標の構成中「W」の文字部分は、ローマ字の一文字「W」を書したものと容易に認識、把握されるものであり、また、「HOTELS」の文字部分は、その指定役務中の「ホテル」に関わる役務との関係から、役務の提供場所を表したものと理解されるものであるところ、両文字部分は、それぞれ単独では自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
また、上記構成からなる引用商標は、全体として「W」の文字と「HOTELS」の文字とが外観上まとまりよく一体的に表されているといえるものである。
そうすると、引用商標は、「W」と「HOTELS」の文字からなる一体不可分の商標というのが相当であり、その構成全体に相応して「ダブリューホテルズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較してみれば、両者は、「W」の文字を共通にするものの、それ以外の文字を全て異にするものであるから、外観上、明確に区別できるものである。
また、本件商標から生じる「ザダブリューリラックスガーデンリゾート」の称呼と引用商標から生じる「ダブリューホテルズ」の称呼とは、その音構成及び音数を異にするから、明確に聴別できるものである。
さらに、観念については、いずれも特定の観念が生じないから、比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において明確に区別できるものであるから、これらを総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定役務が同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
(ア)申立人は、「マリオット・インターナショナル」の傘下であり、「W HOTELS(Wホテル)」ブランドのホテルを1998年にニューヨークで開業し、現在では、世界の主要都市やリゾート地に約70のホテルを展開している(甲6~甲8)。
(イ)申立人は、日本においては、2021年3月に「Wホテル」ブランドのホテルとして「W OSAKA(W大阪)」を開業し、そのプレス発表が2018年1月10日及び2020年11月18日に行われ(甲9~甲11)、当該ホテルの開業がウェブサイトで紹介された(甲12~甲17)。また、「W OSAKA(W大阪)」においては、宿泊以外に美容、ウェディング施設、会議室等を提供している(甲9)。
(ウ)「W OSAKA(W大阪)」は、「The World Luxury Hotel Awards 2023」において、「Luxury Hotel-Country」カントリー部門、「Luxury Lifestyle Hotel-Global」グローバル部門及び「Best Architectural Design-Regional」リージョナル部門の3冠を受賞した(甲18)。
(エ)「W OSAKA(W大阪)」には、壁面に「W」の文字が大きく表示され、「W」のロゴからなるオブジェが置かれている(甲9)。
(オ)「W OSAKA(W大阪)」は、「W」の文字と「OSAKA」の文字を使用したトートバッグを2022年2月28日から販売(甲19)し、2023年10月7日及び8日に「レインボーフェスタ!2023」に参加(甲21)し、また、2024年4月30日に大丸心斎橋店及び心斎橋PARCOと合同でジャズミュージシャンを応援するイベントを行い(甲20)、さらに、同年5月29日~6月25日に開催された「大阪アート&デザイン2024」に参加し、若手アーティスト作品を展示した(甲22)。
(カ)ソウルの「Wホテル」が、ウェブサイトや雑誌等で紹介された(甲24~甲41)。
イ 上記アによれば、申立人は、1998年にニューヨークで「Wホテル」ブランドのホテルを開業し、現在では世界各地に70か所のホテルを展開していること、我が国においては、2021年に「Wホテル」ブランドのホテルとして「W OSAKA(大阪)」を開業したこと、当該ホテルの開業がウェブサイトで紹介されたこと、種々のイベントに参加したことなどが認められる。
しかしながら、引用商標を使用した、申立人又は「マリオット・インターナショナル」(以下「申立人等」という。 )の業務に係る役務「宿泊施設の提供,飲食物の提供,展示施設の貸与,美容」等(以下「申立人等の業務に係る役務」という。)における売上高、市場シェア等の実績及び広告宣伝の規模等、引用商標の周知性を数量的に判断し得る具体的な証拠は提出されていないから、引用商標が、需要者の間に広く認識されるに至ったかをうかがい知ることができない。
その他、申立人の提出に係る全証拠及び職権による調査によっても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で、申立人等の業務に係る役務を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、申立人が提出した証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人等の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
なお、申立人は「W」のロゴの周知性についても主張しているが、当該ロゴが、「Wホテル」ブランドにオブジェとして設置され、ホテルの壁面に表示されていること及びイベントで表示されたことなどは認められるものの、我が国における申立人等による「W」のロゴを用いた広告宣伝活動の規模(媒体、期間、回数や地域)等、その周知性を判断し得る具体的な証拠は提出されていないから、「W」のロゴが、申立人等の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
(2)本件商標と引用商標の類似性の程度について
上記1(3)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(3)役務の関連性及び需要者の共通性について
本件商標の指定役務には、引用商標の指定役務と同一又は類似するものが含まれるから、両者は役務の関連性を有し、取引者、需要者を共通にする場合がある。
(4)出所の混同のおそれについて
上記(1)のとおり、引用商標は、申立人等の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであり、「W」のロゴについても、需要者の間に広く認識されていたものと認められないものである。
また、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標の指定役務に、引用商標の指定役務と関連性を有する役務が含まれており、これらの役務の取引者、需要者を共通にする場合があるとしても、本件商標権者が、本件商標をその指定役務について使用する際に、取引者、需要者をして、引用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人等)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
(5)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同項に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲1 引用商標1
[図:0001439384000001.jpg]
別掲2 引用商標2~引用商標4
[図:0001439384000002.jpg]
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2025-900283