2020-700612
照明システム
- 審判番号
- 2020-700612
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-180350外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年08月18日
- 審決日
- 2021年08月10日
- 公報発行日
- 2021年11月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】東芝ライテック株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 【異議申立人】三木 郁子
- 分類
- P1651.113-YAA(H05B) / P1651.121-YAA(H05B) / P1651.537-YAA(H05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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特許第6651755号の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成27年9月14日に出願され、令和2年1月27日にその特許権の設定登録がされ、同年2月19日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許の請求項1~5について、同年8月18日に特許異議申立人三木郁子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、同年11月26日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である令和3年2月1日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、そして、同年3月25日付けで申立人に対し訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)をし、同年4月28日付けで申立人から意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和3年2月1日付け訂正請求書による訂正の請求は、「特許第6651755号の明細書、特許請求の範囲を本請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1~5について訂正することを求める。」というものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、本件特許の願書に添付した明細書について、訂正請求書に添付した明細書に記載されたとおりに訂正するとともに、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~5について、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載されたとおりに訂正するものである。(下線は、訂正箇所を示すため、当審が付与したものである。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の
「照明機器を制御する照明制御装置と;前記照明制御装置における前記照明機器への操作に基づく操作情報と、前記照明制御装置の設定情報とを保存する外部端末と;前記外部端末から前記照明制御装置の設定情報を受信する他の照明制御装置と;を具備することを特徴とする照明システム。」
を、
「照明機器を制御する第1照明制御装置と;前記第1照明制御装置における前記照明機器への操作に基づく操作情報と、前記第1照明制御装置の設定であって、当該操作が行われた際における前記照明機器に対する操作を受け付ける操作部と前記照明機器との対応を示す設定情報とを前記第1照明制御装置から受信し保存する外部端末と;前記外部端末から前記第1照明制御装置の設定情報を受信する第2照明制御装置と;を具備することを特徴とする照明システム。」
に訂正する(請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3の
「前記照明制御装置は、前記外部端末から取得した前記操作情報に基づいて前記照明機器への操作を再現することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明システム。」
を、
「前記第2照明制御装置は、前記外部端末から前記操作情報を受信し、受信した前記操作情報と、前記設定情報とに基づいて、前記第1照明制御装置による前記照明機器への操作を、当該第2照明制御装置と対応する照明機器に対して再現することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明システム。」
に訂正する(請求項3を直接又は間接的に引用する請求項4、5も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4の
「前記照明制御装置は、前記操作を行うユーザを認証し、認証後のユーザの前記操作を受け付け、前記外部端末は、前記認証後のユーザ毎に前記操作情報を保存することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の照明システム。」
を、
「前記第1照明制御装置は、前記第1照明制御装置が有する操作部への操作を行うユーザを認証し、認証後のユーザによる前記第1照明制御装置が有する操作部への操作を受け付け、前記外部端末は、前記認証後のユーザ毎に前記操作情報を保存することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の照明システム。」
に訂正する(請求項4を引用する請求項5も同様に訂正する)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5の
「前記外部端末は、前記認証後のユーザに前記操作情報に基づいて当該ユーザの操作に関する学習し、前記照明制御装置は、前記外部端末から前記認証後のユーザに対応する学習結果に関する情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の照明システム。」
を、
「前記外部端末は、前記認証後のユーザによる操作の履歴を示す操作情報に基づいて当該ユーザの操作に関する特徴を学習し、前記第2照明制御装置は、前記外部端末から前記認証後のユーザに対応する学習結果に関する情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の照明システム。」
に訂正する。
(5)訂正事項5
願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0006】の
「本実施形態の照明システムは、照明制御装置と、外部サーバとを具備する。照明制御装置は、照明機器を制御する。外部サーバは、照明制御装置における照明機器への操作に基づく操作情報を保存する。」
を、
「本実施形態の照明システムは、第1照明制御装置と、外部サーバと、第2照明制御装置とを具備する。照明制御装置は、照明機器を制御する。外部サーバは、第1照明制御装置における照明機器への操作に基づく操作情報と、第1照明制御装置の設定であって、当該操作が行われた際における照明器に対する操作を受け付ける操作部と照明機器との対応を示す設定情報とを第1照明制御装置から受信し保存する。第2照明制御装置は、外部端末から第1照明制御装置の設定情報を受信する。」
に訂正する。
なお、訂正事項1~5は、訂正前に引用関係にある請求項1~5に対して請求されたものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1に係る請求項1についての訂正における、訂正前の「照明制御装置」、「他の照明制御装置」をそれぞれ「第1照明制御装置」、「第2照明制御装置」とする訂正は、後述する訂正事項2における、訂正前の「前記照明制御装置」がいずれの「照明制御装置」を示すのか不明確であったのを「前記第1照明制御装置」として対応関係を明確とする訂正に整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正前の「前記照明制御装置の設定情報」を「前記第1照明制御装置の設定であって、当該操作が行われた際における前記照明機器に対する操作を受け付ける操作部と前記照明機器との対応を示す設定情報」とする訂正については、本件特許明細書の段落【0029】の「操作対象となったフェーダやサブマスタ(SM)等」や「サブマスタフェーダ」との記載から、訂正前の「照明制御装置」は、照明機器に対する操作を受け付ける操作部といえるものを有していることは自明であり、さらに、同段落の「照明制御装置30は、シーンやキュー(CUE)やサブマスタ(SM)等を操作した際に複数の照明機器を制御するための調光情報と、フェーダ等の操作対象を示す情報とともにクラウドサーバ70へ送信してもよい。」との記載から、「設定情報」に関し、照明機器への操作が行われた際における照明機器に対する操作部と照明機器との対応を示す設定情報であることは自明であって、当該訂正は、訂正前の「前記照明制御装置の設定情報」を具体的に限定するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、同項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2に係る請求項3についての訂正における、訂正前の「前記照明制御装置」を「第1照明制御装置」とする訂正は、訂正事項1による請求項1の訂正に整合させ、かつ、請求項1に記載される2つの「照明制御装置」のうちの「第1照明制御装置」であることを特定するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正前の「前記外部端末から取得した前記操作情報に基づいて前記照明機器への操作を再現する」を「前記外部端末から前記操作情報を受信し、受信した前記操作情報と、前記設定情報とに基づいて、前記第1照明制御装置による前記照明機器への操作を、当該第2照明制御装置と対応する照明機器に対して再現する」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0032】の「照明制御装置30から履歴情報の要求を受け付けたクラウドサーバ70は、要求に対応する履歴情報を抽出する」、同【0033】の「クラウドサーバ70から送信された履歴情報を照明制御装置30が受信した後、操作者OP1は、照明制御装置30において操作を再現する(ステップS24)。なお、ここでいう、操作の再現とは、受信した履歴情報を参照しつつ操作者OP1が操作部34を操作することにより行われてもよいし、受信した履歴情報に基づいて照明制御装置30が自動で行ってもよい。」、同【0069】の「照明システム1Aにおいて、所定の操作者OP1が照明制御装置30A-1において行った操作に関する操作情報を、他の照明制御装置30A-3において利用する例を示す。」、同【0080】の「照明制御装置30A-3から操作情報(履歴情報)の要求を受け付けたクラウドサーバ70Aは、要求に対応する操作情報(履歴情報)を抽出する(ステップS37)。例えば、クラウドサーバ70Aは、ステップS33で保存した操作情報LG11を、照明制御装置30A-3からの要求に対応する操作情報(履歴情報)として抽出する。その後、クラウドサーバ70Aは、ステップS37において抽出した履歴情報を照明制御装置30A-3へ送信する(ステップS38)。」、同【0081】の「クラウドサーバ70Aから送信された操作情報LG11を照明制御装置30A-3が受信した後、操作者OP1は、照明制御装置30A-3において操作を再現する(ステップS39)。」との記載から、「再現する」ことに関し、外部端末から操作情報を受信し、受信した操作情報と、設定情報とに基づいて、第1照明制御装置による照明機器への操作を、第2照明制御装置と対応する照明機器に対して再現するものであることは自明のことであって、当該訂正は、「再現する」ことの対象機器を具体的に特定し、また、「再現する」「操作」が基づく情報を特定し、さらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項2は、 特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、同項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
訂正事項3に係る請求項4についての訂正における、訂正前の「前記照明制御装置」を「前記第1照明制御装置」とする訂正は、訂正事項1による請求項1の訂正に整合させ、かつ、請求項1に記載される2つの「照明制御装置」のうちの「第1照明制御装置」であることを特定するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正前の「前記操作」を「前記第1照明制御装置が有する操作部への操作」とし、訂正前の「認証後のユーザの操作部への前記操作」を「認証後のユーザによる前記第1照明制御装置が有する操作部への操作」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0074】の「まず、操作者OP1は、照明制御装置30A-1において操作者に関する認証(以下、「操作者認証」とする場合がある)を受ける(ステップS31)。」、同【0078】の「そして、操作者OP1は、照明制御装置30A-3において操作者認証を受ける(ステップS35)。これにより、照明制御装置30A-3は、入力される操作を操作者OP1の操作として受け付ける。」との記載から、「操作を行う」ことについて、第1照明制御装置が有する操作部への操作であること、及び、「操作を受け付ける」ことについて、認証後のユーザによる第1照明制御装置が有する操作部への操作を受け付けるものであることは自明のことであって、当該訂正は、「操作を行う」ことの対象、及び、「操作を受け付ける」ことの対象を特定し、さらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項3は、 特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、同項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
訂正事項4に係る請求項5についての訂正における、訂正前の「前記照明制御装置」を「前記第2照明制御装置」とする訂正は、訂正事項1による請求項1の訂正に整合させ、かつ、請求項1に記載される2つの「照明制御装置」のうちの「第1照明制御装置」であることを特定するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正前の「前記認証後のユーザに前記操作情報に基づいて当該ユーザの操作に関する学習し」を「前記認証後のユーザによる操作の履歴を示す操作情報に基づいて当該ユーザの操作に関する特徴を学習し」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0085】の「また、クラウドサーバ70Aは、操作情報と操作を行った操作者とを対応付けに基づいて、認証後のユーザに操作情報に基づいてユーザの操作に関する学習を行ってもよい。例えば、クラウドサーバ70Aは、認証後のユーザに操作情報に基づいて、ユーザの操作に適した操作部34への制御アドレス等の割当に関する学習を行ってもよい。また、各照明制御装置30Aは、クラウドサーバ70Aから認証後のユーザに対応する学習結果に関する情報を取得してもよい。これにより、各照明制御装置30Aは、クラウドサーバ70Aにおける学習結果に基づいて、ユーザに適した設定を行うことが可能となる。」との記載より、「ユーザの操作に関する学習」に係る「操作情報」について、認証後のユーザによる操作の履歴を示す操作情報であることは自明のことであって、当該訂正は、「ユーザの操作に関する学習」に係る「操作情報」を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項4は、 特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5について
訂正事項5に係る本件特許明細書の段落【0006】についての訂正は、訂正事項1による請求項1の訂正に伴い、当該訂正の内容に段落【0006】の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項5は、 特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
3 小括
上記のとおり、本件訂正の訂正事項1~5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認め、本件特許明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の段落【0006】について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記「第2」のとおり、本件訂正が認められたから、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1~5」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】照明機器を制御する第1照明制御装置と;前記第1照明制御装置における前記照明機器への操作に基づく操作情報と、前記第1照明制御装置の設定であって、当該操作が行われた際における前記照明機器に対する操作を受け付ける操作部と前記照明機器との対応を示す設定情報とを前記第1照明制御装置から受信し保存する外部端末と;前記外部端末から前記第1照明制御装置の設定情報を受信する第2照明制御装置と;続きを表示(全18行)を具備することを特徴とする照明システム。【請求項2】前記外部端末は、前記操作情報として、段階的な前記照明機器の状態の制御において操作される操作部への操作に関する情報を保存することを特徴とする請求項1に記載の照明システム。【請求項3】前記第2照明制御装置は、前記外部端末から前記操作情報を受信し、受信した前記操作情報と、前記設定情報とに基づいて、前記第1照明制御装置による前記照明機器への操作を、当該第2照明制御装置と対応する照明機器に対して再現することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明システム。【請求項4】前記第1照明制御装置は、前記第1照明制御装置が有する操作部への操作を行うユーザを認証し、認証後のユーザによる前記第1照明制御装置が有する操作部への操作を受け付け、前記外部端末は、前記認証後のユーザ毎に前記操作情報を保存することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の照明システム。【請求項5】前記外部端末は、前記認証後のユーザによる操作の履歴を示す操作情報に基づいて当該ユーザの操作に関する特徴を学習し、前記第2照明制御装置は、前記外部端末から前記認証後のユーザに対応する学習結果に関する情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の照明システム。」
第4 取消理由の概要
訂正前の請求項1~5に係る特許に対して、当審が令和2年11月26日付け取消理由通知書で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由1:本件の請求項1~5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
記
理由1について
刊行物等一覧
(それぞれ、申立人が提出した甲第1~3号証であり、以下「甲1~3」という。)
理由2について
請求項3は「請求項1または請求項2」を引用するものであるところ、「前記照明制御装置は、・・・・前記照明機器への操作を再現する」との記載があるが、「前記照明制御装置」及び「前記照明機器」が、何を特定しようとしているのか明らかでないため、請求項3に係る発明がどこまでを含むのか特定できず、明確でない。
請求項4、5にも「前記照明制御装置」との記載があるが、上記と同様の理由により、請求項4、5に係る発明がどこまでを含むのか特定できず、明確でない。
第5 当審の判断
第5-1 理由1について(特許法第29条第2項)
1 引用文献の記載事項等
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(1)甲1
ア 記載事項
甲1には次の事項が記載されている(なお、下線は当審で付加した。以下同様。)。
(1a)「【請求項1】 照明負荷を調光する調光器と;前記照明負荷の明るさを調光制御するための調光制御レベルを調光データとして設定すると共に前記調光器の制御および前記調光器や照明負荷の状態監視を行う調光卓と;前記調光卓や前記調光器の制御操作および前記調光卓が検出し記憶している前記調光器や前記調光卓の状態情報の監視を行うためのクライアントPCと;前記クライアントPCからの制御情報を前記調光卓に伝えると共に前記調光卓からの状態情報を前記クライアントPCへ伝えるサーバーと;前記サーバーと前記クライアントPCとの間の情報伝達を行うネットワークと;を備えたことを特徴とする調光システム。」
(1b)「【0014】また、調光卓は、予め照明負荷の明るさを調光制御するための調光データをシーン毎に作成する。そして、照明演出時には、その作成したシーンを読み出され、シーンに設定された調光データにより照明負荷を制御しシ一ンを再生する。これにより、舞台やスタジオさらにはホール等の照明演出を行う。また、調光卓には、必要に応じて表示モニタが設置され、照明負荷や調光器の状態情報、さらには調光卓の状態情報を表示する。」
(1c)「【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わる調光システムの構成図である。
【0028】複数個の各々の照明負荷1には調光器2がそれぞれ設けられ、この調光器2により照明負荷1は点灯消灯制御や調光制御が行われる。調光卓3は、各々の調光器2の制御および各々の調光器2や照明負荷1の状態監視を行うものであり、その制御情報や監視情報を記憶している。例えば、照明負荷1の負荷容量、球切れ、過負荷、回路故障、レベルモニター等を記憶している。
【0029】また、調光卓3では、予め照明負荷1の調光制御のための調光データを設定したシーンが作成され、その作成されたシーンも記憶している。そして、照明演出時には、その作成したシーンを読み出すことによってシ一ンを再生し、シーンに設定された調光データにより照明負荷1を制御する。これにより、舞台やスタジオさらにはホール等の照明演出を行う。また、調光卓3には、図示省略の表示モニタが設置されており、照明負荷1や調光器2の状態情報、さらには調光卓3の状態情報を表示するようにしている。
【0030】そして、この調光卓3には、例えばRS232C等を用いてサーバー4が接続され、サーバー4はクライアントPC5が接続されたネットワーク6に接続されている。ネットワーク6は例えばインターネットやイントラネット等の汎用のネットワークである。サーバー4はクライアントPC5からの制御情報を調光卓に伝える機能、および調光卓3からの状態情報をクライアントPC5へ伝える機能を持つ。これにより、クライアントPC5はネットワーク6を介してサーバー4と情報伝達できることになる。
【0031】クライアントPC5は、ネットワーク6およびサーバー4を介して調光卓3や調光器2に制御信号を出力し調光卓や調光器2への制御操作を行う。また、調光卓3が検出し記憶している照明負荷1や調光器2の状態情報、調光卓3自体の状態情報、例えば電源低下や接続している調光器2の監視を行う。」
(1d)「【0048】次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図5は、本発明の第3の実施の形態に係わる調光システムの構成図である。この第5の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、調光卓3で作成した調光データをサーバー4へ送信する送信手段7と、サーバー4に記憶された調光データをダウンロードする受信手段8とを調光卓3に設けたものである。図5では、クライアントPCおよびネットワーク6の図示を省略している。
【0049】図5において、調光卓3では、予め照明負荷1の調光制御のための調光データを設定したシーンが作成されるが、その作成された調光データはその調光卓3に記憶されると共に、送信手段7によりサーバー4に送信される。サーバー4では各々の調光卓3から送信されてきた調光データをシーン毎に保存する。そして、他の調光卓3で既に作成済のシーンを、自己の調光卓3で使用するには、受信手段8によりサーバー4に記憶されたシーンの調光データをダウンロードして読み出す。
【0050】このように、調光卓3には、作成した照明演出のためのシーンの調光データをサーバー4へ送信する送信手段7と、サーバー4からのそのシーンの調光データを受信する受信手段8とを設ける。サーバー4は各々の調光卓3からの照明演出の調光データを受信して記憶し、読み出し要求のあったシーンの調光データを要求のあった調光卓3へ送信する。従って、他の調光卓3で作成された照明演出用の調光データを容易に取得できるので、作成済のシーン再生データの有効利用が図れる。」(なお、段落【0048】の「この第5の実施の形態は、」という記載は、「この第3の実施の形態は、」の誤記と認める。)
(1e)【図1】は次のとおりである。
(1f)【図5】は次のとおりである。
イ 甲1発明
上記アより、甲1には、特に「第3の実施の形態」に対応する次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。
「照明負荷1を調光する調光器2と、前記照明負荷1の明るさを調光制御するための調光制御レベルを調光データとして設定すると共に前記調光器2の制御および前記調光器2や照明負荷1の状態監視を行う調光卓3と、前記調光卓3や前記調光器2の制御操作および前記調光卓3が検出し記憶している前記調光器2や前記調光卓3の状態情報の監視を行うためのクライアントPC5と、前記クライアントPC5からの制御情報を前記調光卓3に伝えると共に前記調光卓3からの状態情報を前記クライアントPC5へ伝えるサーバー4と、続きを表示(全11行)前記サーバー4と前記クライアントPC5との間の情報伝達を行うネットワーク6と、を備えた調光システムであって、調光卓3で作成した調光データをサーバー4へ送信する送信手段7と、サーバー4に記憶された調光データをダウンロードする受信手段8とを調光卓3に設け、調光卓3では、予め照明負荷1の調光制御のための調光データを設定したシーンが作成され、その作成された調光データはその調光卓3に記憶されると共に、送信手段7によりサーバー4に送信され、サーバー4では各々の調光卓3から送信されてきた調光データをシーン毎に保存し、読み出し要求のあったシーンの調光データを要求のあった調光卓3へ送信し、他の調光卓3で既に作成済のシーンを、自己の調光卓3で使用するには、受信手段8によりサーバー4に記憶されたシーンの調光データをダウンロードして読み出す、調光システム。」
(2)甲2
ア 記載事項
甲2には次の事項が記載されている。
(2a)「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の回路制御卓は、調光操作卓の制御装置の入力端末として機能しているため、調光操作卓側に不具合があると、回路制御卓も使用できなくなってしまう。
【0008】
しかも、調光操作卓の制御部が割付情報を記憶しているため、調光操作卓側に不具合があって割付情報が消えてしまったり、別の調光操作卓を持ち込んで使用する場合には、再度、最初から割付作業をしなければならず、手間と時間がかかり、スタジオの運用に影響する問題がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、調光操作卓側に不具合が生じても、再度、割付作業をする手間と時間を省き、スタジオの運用への影響を少なくできる回路制御卓、およびこの回路制御卓を用いたスタジオ照明システムを提供することである。」
(2b)「【0017】
また、調光操作卓13は、調光操作卓本体21、およびこの調光操作卓本体21内に配置されている調光操作制御部22を有している。なお、図1では調光操作卓本体21と調光操作制御部22とを分けて図示している。
【0018】
調光操作卓本体21には、照明負荷11の調光レベルを調整するための複数のフェーダ23を含む複数の操作部24が設けられている。
【0019】
調光操作制御部22は、回路制御卓14から各フェーダ23に対応して複数の照明負荷11が割り付けられている割付情報を取得し、記憶している。そして、調光操作制御部22は、各フェーダ23が操作されることにより、割付情報に基づいて各フェーダ23に割り付けられている複数の照明負荷11の調光レベルを可変する調光信号を対応する調光器12に対して出力する。」
(2c)「【0020】
また、回路制御卓14は、入力手段としてのタッチパネル式のモニタ31、および割付制御部32を有している。・・・
【0025】
そして、割付制御部32は、調光操作卓13の各フェーダ23に対応してモニタ31の選択部35で選択される照明負荷11を割り付け、各フェーダ23に割り付けた割付情報(パッチデータ)を割付制御部32が有する記憶部に記憶するとともにネットワーク15を通じて他の機器へ出力する。
【0026】
さらに、割付制御部32は、割付情報を割り付けた調光操作卓13とは異なる別の調光操作卓に対し、記憶している割付情報をその別の調光操作卓に適用する機能を有している。
【0027】
さらに、割付制御部32は、照明負荷11の調光レベルに関する情報を取得し、この照明負荷11の調光レベルに関する情報をモニタ31の対応する選択部35に表示させる機能や、調光操作卓13および調光器12から各種情報を取得し、その情報を表示したり、異常がある場合にアラーム表示を表示したり、あるいは伝言情報を表示させる機能を有している。」
(2d)【図1】は次のとおりである。
イ 甲2技術
上記アより、甲2には次の技術的事項(以下「甲2技術」という。)が記載されているものと認める。
「調光操作卓13は、調光操作卓本体21、およびこの調光操作卓本体21内に配置されている調光操作制御部22を有し、調光操作卓13の調光操作卓本体21には、照明負荷11の調光レベルを調整するための複数のフェーダ23を含む複数の操作部24が設けられ、調光操作制御部22は、回路制御卓14から各フェーダ23に対応して複数の照明負荷11が割り付けられている割付情報を取得し、記憶し、各フェーダ23が操作されることにより、割付情報に基づいて各フェーダ23に割り付けられている複数の照明負荷11の調光レベルを可変する調光信号を対応する調光器12に対して出力し、回路制御卓14は、割付制御部32を有しており、割付制御部32は、調光操作卓13の各フェーダ23に対応して照明負荷11を割り付け、各フェーダ23に割り付けた割付情報を割付制御部32が有する記憶部に記憶するとともにネットワーク15を通じて他の機器へ出力するものであり、割付制御部32は、割付情報を割り付けた調光操作卓13とは異なる別の調光操作卓に対し、記憶している割付情報をその別の調光操作卓に適用する機能を有している」技術。
(3)甲3
ア 記載事項
甲3には次の事項が記載されている。
(3a)「【0047】
利用者用端末16は、インターネット12を介して制御サーバ11にアクセス可能であり、データベース29に蓄積されているLED照明管10の履歴情報などを参照できるとともに、制御サーバ11に対してLED照明管10に対する調光指示を送信することもできる。」
(3b)「【0062】
また、利用者用端末16からも、LED26の調光制御をローカルに行うことができる。アプリケーションサーバ28によってインターネット12上に提供されているページに利用者用端末16からログインし、図3(b)に示す画面で「調光設定」を選択すると、図3(f)のような画面が表示される。利用者が、この画面で調光設定を行うと、その設定に応じた調光指示情報37が制御サーバ11に送信される。
【0063】
制御サーバ11は、利用者用端末16から調光指示情報37を受信すると、その指示内容に応じた調光制御情報31を作成し、指示されたLED照明管10に送信する。LED照明管10の制御部20は、その調光制御情報31にしたがってLED26の発光を調光することにより、利用者が利用者用端末16に設定したローカルの設定にしたがった調光制御が実現される。
【0064】
また、制御サーバ11は、利用者用端末16から調光指示情報37を受信したときには、その指示内容にしたがった調光制御情報31の内容を履歴情報としてデータベース29に記録する。
【0065】
したがって、その後、利用者用端末16から入力された調光指示情報37の内容も反映して調光の制御が行われるようになる。つまり、利用者からローカルの調光制御が行われたという状況を学習して、その結果を反映した制御が行われる。
【0066】
また、利用者は、利用者用端末16から、データベース29に蓄積されている履歴情報や管理情報を参照することもできる。アプリケーションサーバ28によってインターネット12上に提供されているページに利用者用端末16からログインし、図3(b)に示す画面で「エコモニター」を選択すると、図3(d)のような画面が表示される。さらに図3(d)において、所望のグラフを選択すると、図3(e)のように選択したグラフが拡大表示される。」
(3c)【図3】は次のとおりである。
イ 認定事項
上記記載事項(3c)の【図3】(a)の「ユーザーログイン」画面に「ID」、「PSW」と記載されており、それぞれ利用者のID、パスワードを示し、それらを入力して利用者を認証してログインすることは技術的に明らかである。そして、同【図3】(b)の「ユーザーTOPページ」画面は、認証後の利用者の操作を受け付けることが技術的に明らかである。
ウ 甲3技術
上記ア、イより、甲3には次の技術的事項(以下「甲3技術」という。)が記載されているものと認める。
「利用者用端末16は、インターネット12を介して制御サーバ11にアクセス可能であり、データベース29に蓄積されているLED照明管10の履歴情報などを参照できるとともに、制御サーバ11に対してLED照明管10に対する調光指示を送信することができ、アプリケーションサーバ28によってインターネット12上に提供されているページに利用者用端末16の『ユーザーログイン』画面にID、パスワードを入力し、利用者を認証してログインし、認証後の利用者の操作を受け付ける『ユーザーTOPページ』画面から、『調光設定』を選択し、利用者が、この画面で調光設定を行うと、その設定に応じた調光指示情報37が制御サーバ11に送信され、制御サーバ11は、利用者用端末16から調光指示情報37を受信したときには、その指示内容にしたがった調光制御情報31の内容を履歴情報としてデータベース29に記録し、利用者用端末16から入力された調光指示情報37の内容も反映し、利用者からローカルの調光制御が行われたという状況を学習して、その結果を反映した調光の制御が行われるようになる」技術。
2 対比・判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)後者の「照明負荷1」は前者の「照明機器」に相当し、同様に、「調光卓3」及び「自己の調光卓3」は「第1照明制御装置」に、「他の調光卓3」は「第2照明制御装置」に、「調光システム」は「照明システム」にそれぞれ相当する。
(イ)本件発明1の「外部端末」は、具体的には、本件特許明細書の段落【0009】に記載される「外部サーバ」のことであるから、後者の「サーバー4」と、前者の「外部端末」とは「端末」である点において共通するといえる。
(ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえると、後者の
「照明負荷1を調光する調光器2と、前記照明負荷1の明るさを調光制御するための調光制御レベルを調光データとして設定すると共に前記調光器2の制御および前記調光器2や照明負荷1の状態監視を行う調光卓3と」「を備える」
ということは、前者の
「照明機器を制御する第1照明制御装置と」「を具備する」
ということに相当するといえる。
(エ)前者の「前記第1照明制御装置における前記照明機器への操作に基づく操作情報と、前記第1照明制御装置の設定であって、当該操作が行われた際における前記照明機器に対する操作を受け付ける操作部と前記照明機器との対応を示す設定情報とを前記第1照明制御装置から受信し保存する外部端末と」「を具備する」という事項について、「操作情報」も「設定情報」も「照明機器の照明に係る情報」といえるものである。
そして、後者の
「前記調光卓3や前記調光器2の制御操作および前記調光卓3が検出し記憶している前記調光器2や前記調光卓3の状態情報の監視を行うためのクライアントPC5と、前記クライアントPC5からの制御情報を前記調光卓3に伝えると共に前記調光卓3からの状態情報を前記クライアントPC5へ伝えるサーバー4と、前記サーバー4と前記クライアントPC5との間の情報伝達を行うネットワーク6と、を備え」、
「調光卓3で作成した調光データをサーバー4へ送信する送信手段7と、サーバー4に記憶された調光データをダウンロードする受信手段8とを調光卓3に設け、調光卓3では、予め照明負荷1の調光制御のための調光データを設定したシーンが作成され、その作成された調光データはその調光卓3に記憶されると共に、送信手段7によりサーバー4に送信され、サーバー4では各々の調光卓3から送信されてきた調光データをシーン毎に保存」
するという事項における、「照明負荷1の調光制御のための調光データ」も、「照明負荷1の照明に係る情報」といえるものである。また、「サーバー4では各々の調光卓3から送信されてきた調光データをシーン毎に保存」するということは、「サーバー4」は当該調光データを受信し保存していることは明らかである。
そうすると、上記(ア)、(イ)も踏まえると、後者の上記事項と、前者の上記事項とは、
「前記第1照明制御装置における前記照明機器の照明に係る情報を前記第1照明制御装置から受信し保存する端末と」「を具備する」
ことにおいて共通するといえる。
(オ)後者の
「読み出し要求のあったシーンの調光データを要求のあった調光卓3へ送信し、他の調光卓3で既に作成済のシーンを、自己の調光卓3で使用するには、受信手段8によりサーバー4に記憶されたシーンの調光データをダウンロードして読み出す」
ということについて検討すると、「自己の調光卓3」も「他の調光卓3」もそれぞれが作成した「調光データ」を相互に利用できるものであるから、当然、
「読み出し要求のあったシーンの調光データを要求のあった調光卓3へ送信し、自己の調光卓3で既に作成済のシーンを、他の調光卓3で使用するには、受信手段8によりサーバー4に記憶されたシーンの調光データをダウンロードして読み出す」
という事項も実質的に有しているものである。
そうすると、上記(ア)~(エ)を踏まえると、後者の上記事項と、前者の
「前記外部端末から前記第1照明制御装置の設定情報を受信する第2照明制御装置と」「を具備する」
こととは、
「前記端末から前記第1照明制御装置の照明機器の照明に係る情報を受信する第2照明制御装置と」「を具備する」
ことにおいて共通するといえる。
(カ)以上のことより、本件発明1と甲1発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点〕
「照明機器を制御する第1照明制御装置と;前記第1照明制御装置における前記照明機器の照明に係る情報を前記第1照明制御装置から受信し保存する端末と;前記端末から前記第1照明制御装置の照明機器の照明に係る情報を受信する第2照明制御装置と;を具備する照明システム。」
〔相違点1〕
「端末」に関し、本件発明1は、「外部端末」であるのに対し、甲1発明は、「サーバー4」(端末)が外部サーバー(すなわち外部端末)であることの特定がない点。
〔相違点2〕
「照明機器の照明に係る情報」に関し、本件発明1は、「外部端末」が保存する情報が、「前記照明機器への操作に基づく操作情報」と「前記第1照明制御装置の設定であって、当該操作が行われた際における前記照明機器に対する操作を受け付ける操作部と前記照明機器との対応を示す設定情報」であり、「第2照明制御装置」が受信する情報が、「設定情報」であるのに対し、甲1発明は、「サーバー4」(端末)が保存する情報は、「調光データ」であって、照明負荷1(照明機器)への操作に基づく操作情報と、調光卓3(第1照明制御装置)の設定であって、当該操作が行われた際における照明負荷1(照明機器)に対する操作を受け付ける操作部と照明負荷1(照明機器)との対応を示す設定情報であるのか明らかでなく、「他の調光卓3」(第2照明制御装置)がダウンロードして読み出す「調光データ」(上記(オ)参照。)が設定情報であるのかも明らかでない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点1について
情報を保存するサーバーを内部に持つか、あるいは、外部に持つかについては、当業者であれば所望により適宜選択し得たことであり、甲1発明の「サーバー4」(端末)を外部に持たせるようにして、上記相違点1に係る本件発明1の事項を有するものとすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。
(イ)相違点2について
a 甲1発明における「調光データ」については、「調光卓3」において「調光データを設定したシーン」が作成されるものであるが、具体的にどのような手段により作成されるのか特定がない。
そして、「調光データを設定したシーン」は、操作部の操作によらずとも、例えばプログラミングをすること等により作成可能なものであり、特に甲1発明において「予め照明負荷1の調光制御のための調光データを設定したシーンが作成され」るということは、操作部の操作が必要な実際の舞台での上演等によらずに各々のシーン毎に任意に作成することも示唆されているといえる。
そうすると、調光卓は照明機器を操作するための操作部を有していることは技術常識であり、甲1発明の「調光卓3」においても「操作部」を有していることは自明といえたとしても、甲1発明が、上記相違点2に係る本件発明1の「前記照明機器への操作に基づく操作情報」を有するとは直ちにはいえないし、甲1発明の「調光データ」において、照明負荷1(照明機器)への操作に基づく操作情報に変更する動機付けもなく、さらに上記相違点2に係る本件発明1の「前記第1照明制御装置の設定であって、当該操作が行われた際における前記照明機器に対する操作を受け付ける操作部と前記照明機器との対応を示す設定情報」を有するものとすることまでは、甲1の開示内容(特に上記の示唆)からみて当業者であっても容易想到とはいえない。
b ここで、上記甲2技術について検討すると、甲2技術の「照明負荷11」は本件発明1の「照明機器」に相当し、以下同様に、「複数のフェーダ23を含む複数の操作部24」は「操作部」に、「別の調光操作卓」は「第2照明制御装置」にそれぞれ相当する。また、甲2技術の「調光操作卓13」は、その「調光操作卓本体21には、照明負荷11の調光レベルを調整するための複数のフェーダ23を含む複数の操作部24が設けられ」ているものであるから、「照明負荷11」を制御している装置といえるので、本件発明1の「第1照明制御装置」に相当する。
しかしながら、甲2技術は、「調光操作卓13」の「フェーダ23」を操作することで作成した調光レベルのデータを「別の調光操作卓」に適用するものではなく、「別の調光操作卓」に適用するのは、「回路制御卓14」の「割付制御部32」の「調光操作卓13の各フェーダ23に対応して照明負荷11を割り付け、各フェーダ23に割り付けた割付情報」である。
そうすると、甲1発明に甲2技術を適用したとしても、上記相違点2に係る本件発明1の「前記照明機器への操作に基づく操作情報」を「外部端末」に保存するものには至らない。
仮に、甲2技術の「調光操作卓13」と「回路制御卓14」の両者を合わせたものが、本件発明1の「第1照明制御装置」に相当すると解釈したとしても、上記と同様に、「別の調光操作卓」に適用するのは、当該「割付情報」であるので、甲1発明に甲2技術を適用したとしても、上記と同様に、上記相違点2に係る本件発明1の「前記照明機器への操作に基づく操作情報」を「外部端末」に保存するものには至らない。
以上のとおりであるから、甲1発明に甲2技術を適用したとしても、上記相違点2に係る本件発明1の事項を有するものには至らない。
c 申立人は令和3年4月28日付け意見書において、「回路制御卓14は調光操作卓に相当する。」(3頁18~19行)、及び「甲1発明において、甲2記載事項の割付情報を送信・受信することは、当業者にとって容易になし得ることである。その際、回路制御卓14(調光制御卓)から調光制御卓13に割付情報を直接送信する代わりに、回路制御卓14(調光制御卓)からサーバーを介して調光制御卓13に割付情報を送信することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。」(4頁1~5行)と主張する(なお、2つめのかっこ書きにおける「調光制御卓13」は「調光操作卓13」の誤記と認め、同様に「(調光制御卓)」も「(調光操作卓)」の誤記と認める。)。
しかしながら、甲2において、「調光操作卓13」と「回路制御卓14」とは別の装置として記載されており(摘記(2b)~(2d)参照。)、申立人がいうような「回路制御卓14」が「調光操作卓」に相当するという認定はできないし、そもそも上記bのとおり、本件発明1の「第1照明制御装置」に相当するのは、甲2技術の「調光操作卓13」であり、同様に、本件発明1の「第2照明制御装置」に相当するのは、甲2技術の「調光操作卓13」ではなく「別の調光操作卓」であるから、本件発明1の「第2照明制御装置」に相当するのは甲2技術の「調光操作卓13」であるかのような申立人の上記主張はその前提において失当である。また、甲2技術の「調光操作卓13」と「回路制御卓14」の両者を合わせたものが、本件発明1の「第1照明制御装置」に相当すると解釈したとしても、本件発明1の「第2照明制御装置」に相当するのは、甲2技術の「別の調光操作卓」であることに変わりはなく、甲2技術を甲1発明に適用したとしても、上記相違点2に係る本件発明1の事項を有するものには至らないことは、上記bで述べたとおりである。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
d なお、取消理由通知において、請求項4、5に対し引用した甲3技術も、上記相違点2に係る本件発明1の事項を開示ないし示唆するものではない。
e よって、本件発明1は、甲1発明及び甲2技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(2)本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、請求項2~5において特定した事項をさらに付加することにより限定をしたものであるから、上記(1)で示したのと同様の理由により、甲1発明、甲2技術、及び甲3技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
第5-2 理由2について(特許法第36条第6項第2号)
本件訂正により、請求項3が引用する請求項1において、「照明制御装置」と「他の照明制御装置」を、それぞれ「第1照明制御装置」、「第2照明制御装置」と訂正し、それに合わせて請求項3において、「前記照明機器」を「当該第2照明制御装置と対応する照明機器」と訂正したので、各照明制御装置と照明機器との関係が明確となった。
また、本件訂正により、請求項4においても「前記照明制御装置は、前記操作を行うユーザを認証し、認証後のユーザの前記操作を受け付け」を、「前記第1照明制御装置は、前記第1照明制御装置が有する操作部への操作を行うユーザを認証し、認証後のユーザによる前記第1照明制御装置が有する操作部への操作を受け付け」と訂正したので、各照明制御装置と操作部との関係が明確となり、請求項5においても「前記照明制御装置は、前記外部端末から前記認証後のユーザに対応する学習結果に関する情報を取得する」を、「前記第2照明制御装置は、前記外部端末から前記認証後のユーザに対応する学習結果に関する情報を取得する」と訂正したので、各照明制御装置と学習結果に関する情報を取得することの関係が明確となった。
したがって、理由2により、本件発明3~5に係る特許を取り消すことはできない。
第5-3 取消理由通知で採用しなかった異議申立理由について
申立人は、本件発明1~3は、甲1に記載された発明であるとして、特許法第29条第1項第3号に該当する旨主張する。
しかしながら、本件発明1と甲1発明との間には、上記「第5-1 2(1)ア(カ)」で述べた相違点が存在するのであるから、本件発明1は甲1発明であるとはいえない。本件発明1の発明特定事項を全て含み、請求項2~3において特定した事項をさらに付加することにより限定をした本件発明2、3も同様である。
したがって、かかる主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1~5に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件発明1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700612